JP7635592B2 - アルデヒドの回収方法 - Google Patents

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本発明は、ロジウム錯体触媒の存在下に、高級オレフィンを一酸化炭素および水素とヒドロホルミル化反応させることにより高級アルデヒドを製造するに当たり、ヒドロホルミル化反応の反応生成物から高級アルデヒドとロジウム錯体触媒とを分離して回収する際に有用なアルデヒドの回収方法に関する。
エチレン性不飽和化合物を、周期表第VIII族金属化合物または第VIII族金属化合物とリン化合物が錯形成してなる金属錯体触媒の存在下に一酸化炭素および水素と反応させてアルデヒドに変換する反応は、ヒドロホルミル化反応またはオキソ反応と称されており、この反応を利用したアルデヒドの製造は、工業的に極めて価値が高い。
ヒドロホルミル化反応による工業的なアルデヒドの製造では、主としてロジウム化合物とリン化合物からなるロジウム錯体触媒が使用されている。この触媒は極めて高価であり、工業的使用においては、ヒドロホルミル化反応後高収率で回収して再利用することが必須となる。
従来、低級アルデヒドのヒドロホルミル化反応においては、ヒドロホルミル化反応の反応生成物を蒸留することによりアルデヒドと未反応のエチレン性不飽和化合物を分離取得し、蒸発残分として触媒を回収する方法(蒸発分離法)が行われている。しかしながら、高級アルデヒドまたは官能基を有するアルデヒドを製造する場合には、蒸発分離法は適用されていない。これは、それらのアルデヒドは沸点が高く、蒸留温度を高める必要が生じ、一方、アルデヒドは熱に敏感であることから、蒸留時にアルデヒドの一部が触媒と分離し難い高沸点副生物に変化し、アルデヒドの収率が低下すること、またロジウム錯体触媒が熱的に不安定であり、高温での蒸留中に分解し易く、触媒を回収再使用できないことなどが原因である。
ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応生成物からアルデヒドを回収する方法として、アルデヒドを水やアルコールで抽出分離する方法も公知である。例えば、特表平06-501958号公報では、水/メタノールなどの極性溶媒相で反応生成物から炭素数10のジアルデヒドを水層に抽出し、油層にロジウム錯体触媒を回収している。しかし、この方法では、炭素数10のジアルデヒドを80%以上の高い回収率で回収することができるが、ロジウム錯体触媒を油層に高回収率で回収するためにはカルボン酸塩の添加が必要となる。この場合、更にアルデヒドとの分離が必要となり、工業的な製造には不利である。
特表平06-501958号公報
本発明の目的は、ロジウム錯体触媒の存在下にオレフィンのヒドロホルミル化反応でアルデヒドを製造するヒドロホルミル化反応において、反応生成物からアルデヒドとロジウム錯体触媒とを簡便にかつ効率的に分離回収するアルデヒドの回収方法を提供することにある。
本発明者らが、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、反応生成物に芳香族炭化水素と貧溶媒を加えて晶析することにより、高級アルデヒドを簡便かつ効率的に固体として分離回収することができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 融点が-5℃以上の飽和直鎖状または飽和分岐鎖状のアルデヒドと、ロジウムおよび有機リン化合物を含むヒドロホルミル化触媒とを含む混合物から、以下の(i)~(iv)の工程を順次行って該アルデヒドと該ヒドロホルミル化触媒とを分離するアルデヒドの回収方法。
(i)該混合物に芳香族炭化水素と貧溶媒とを加える。
(ii)加熱して均一化する。
(iii)冷却して該アルデヒドを析出させる。
(iV)析出したアルデヒドを回収する。
[2] 前記貧溶媒が炭素数1~3の第一級アルコールであることを特徴とする[1]に記載のアルデヒドの回収方法。
[3] 前記貧溶媒が炭素数1~5のアミド化合物であることを特徴とする[1]に記載のアルデヒドの回収方法。
[4] 前記貧溶媒が炭素数4~6の環状エーテルであることを特徴とする[1]に記載のアルデヒドの回収方法。
[5] 前記アルデヒドの回収率および前記ヒドロホルミル化触媒中のロジウムの回収率が60%以上であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載のアルデヒドの回収方法。
[6] 前記炭素数1~3の第一級アルコールが、メタノールおよび/またはエタノールであることを特徴とする[2]に記載のアルデヒドの回収方法。
[7] 前記炭素数1~5のアミド化合物が、N,N-ジメチルホルムアミドであることを特徴とする[3]に記載のアルデヒドの回収方法。
[8] 前記炭素数4~6の環状エーテルが、1,4-ジオキサンであることを特徴とする[4]に記載のアルデヒドの回収方法。
本発明によれば、ヒドロホルミル化反応の反応生成物であるアルデヒドとロジウム錯体触媒を含む混合物から、晶析という簡便な操作で、アルデヒドを固体としてロジウム錯体触媒から効率的に分離回収することができる。
従来法では、液相としてアルデヒドとロジウム錯体触媒を分離、回収していたため、回収したアルデヒドを製品とするには溶剤の除去、次工程への変換については溶媒置換などの工程が必要であったが、本発明によれば濾過等の簡便な操作でアルデヒドを固体として得ることで製造工程の短縮が可能となる。
また、ロジウム錯体触媒も効率的に回収、再利用することができることから、ヒドロホルミル化反応についても均一系で行うことができ、他の添加剤を追加することなく、高転化率でヒドロホルミル化反応を実施することができる。
特に、ロジウム錯体触媒の回収、再利用効率の向上で、ロジウム錯体触媒の配位子として、製品価値の高い直鎖アルデヒドを得るために好適な配位子を適用することができるため、直鎖選択性が高いアルデヒドを得ることができるようになる。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明のアルデヒドの回収方法では、融点が-5℃以上の飽和直鎖状または飽和分岐鎖状のアルデヒドと、ロジウムおよび有機リン化合物を含むヒドロホルミル化触媒とを含む混合物から、以下の(i)~(iv)の工程を順次行って該アルデヒドと該ヒドロホルミル化触媒とを分離してそれぞれ回収する。
(i)該混合物に芳香族炭化水素と貧溶媒とを加える。
(ii)加熱して均一化する。
(iii)冷却して該アルデヒドを析出させる。
(iV)析出したアルデヒドを分離回収する。
本発明において、分離対象となる融点が-5℃以上の飽和直鎖状または飽和分岐鎖状のアルデヒドと、ロジウムおよび有機リン化合物を含むヒドロホルミル化触媒とを含む混合物とは、このアルデヒドとヒドロホルミル化触媒とを含むものであればよく、特に制限はないが、本発明はロジウム錯体触媒の存在下、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応でアルデヒドを製造する際の反応生成物に好適に適用される。
分離、回収対象とするアルデヒドの融点が-5℃未満のアルデヒドでは、工業的スケールで実施する場合、冷却エネルギーが多大に掛かるため、本発明では融点が-5℃以上のアルデヒドを分離、回収対象とする。晶析効果の観点から分離、回収対象のアルデヒドとしては融点が-2℃以上、特に10℃以上のアルデヒドが好ましい。
このような融点を有するアルデヒドは、一般に炭素数が11以上の高級アルデヒドであり、具体的には、ウンデカナール、トリデカナール、ペンタデカナール、ヘプタデカナール、ノナデカナール等の炭素数11~40の飽和直鎖状または飽和分岐鎖状の高級アルデヒドが挙げられる。従って、ヒドロホルミル化反応の原料エチレン性不飽和化合物としては、上記の高級アルデヒドの原料となるエチレン性不飽和化合物が用いられる。
なお、このような高級アルデヒドは、前述のように蒸発分離法の適用が不可である観点においても、本発明は有効である。
一方、分離、回収対象のロジウム錯体触媒としては、ロジウムと配位子としての有機リン化合物とを含むものであれば特に制限はなく、一般的なヒドロホルミル化反応に使用されるロジウム錯体触媒が挙げられる。
ロジウム錯体触媒の原料化合物(Rh源)としては、例えば酢酸ロジウム[Rh(OAc)]、アセチルアセトナートジカルボニルロジウム[Rh(acac)(CO)]、アセチルアセトナートカルボニルトリフェニルホスフィンロジウム[Rh(acac)(CO)(TPP)]、ヒドリドカルボニルトリ(トリフェニルホスフィン)ロジウム[HRh(CO)(TPP)]の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、酢酸ロジウム[Rh(OAc)]やアセチルアセトナートジカルボニルロジウム[Rh(acac)(CO)]等のようにホスフィンやホスファイト系の配位子を有していない原料化合物が、触媒活性に優れたロジウム錯体触媒を調製できるため、好ましい。
ロジウム錯体触媒を形成するための配位子としての有機リン化合物としては、ロジウムに対して単座配位子又は多座配位子として機能常用の任意の3価有機リン化合物を用いることができる。このうち、単座配位子となる有機リン化合物としては、下記式[I]で表される第三トリオルガノホスフィンが挙げられる。
Figure 0007635592000001
(式[I]中、Rはそれぞれ独立して、置換又は非置換の1価の炭化水素基を表す。)
Rの1価の炭化水素基としては、通常炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数3~12のアリール基、炭素数6~24のアルキルアリール基、炭素数6~24のアリールアルキル基等が挙げられる。即ち、上記トリオルガノホスフィンは、例えばトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリシクロアルキルホスフィン、アルキルアリールホスフィン、シクロアルキルアリールホスフィン、アルキルシクロアルキルホスフィン等である。
1価の炭化水素基が有し得る置換基としては、限定されるものではないが、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
トリオルガノホスフィンの具体例としては、例えば、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリシクロアルキルホスフィン、モノブチルジフェニルホスフィン、ジプロピルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィンなどが挙げられる。最も好ましいトリオルガノホスフィンはトリフェニルホスフィンである。
3価有機リン化合物のその他の例としては、例えば、下記の式(1)~(10)で表される3価のホスファイト化合物を用いることができる。
<式(1)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000002
(式(1)式中、R~Rはそれぞれ独立して、置換されていてもよい1価の炭化水素基を表す。)
~Rの置換されていてもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基などが挙げられる。
式(1)で示される化合物の具体例としては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、n-ブチルジエチルホスファイト、トリ-n-ブチルホスファイト、トリ-n-プロピルホスファイト、トリ-n-オクチルホスファイト、トリ-n-ドデシルホスファイト等のトリアルキルホスファイト;トリフェニルホスファイト、トリナフチルホスファイト等のトリアリールホスファイト;ジメチルフェニルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイト、エチルジフェニルホスファイト等のアルキルアリールホスファイトなどが挙げられる。また、例えば、特開平6-122642号公報に記載のビス(3,6,8-トリ-t-ブチル-2-ナフチル)フェニルホスファイト、ビス(3,6,8-トリ-t-ブチル-2-ナフチル)(4-ビフェニル)フェニルホスファイトなどを用いてもよい。これらの中で最も好ましいのはトリフェニルホスファイトである。
<式(2)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000003
(式(2)中、Rは置換されていてもよい2価の炭化水素基を表し、Rは置換されていてもよい1価の炭化水素基を表す。)
の置換されていてもよい2価の炭化水素基としては、炭素鎖の中間に酸素、窒素、硫黄原子などを含んでいてもよいアルキレン基;炭素鎖の中間に酸素、窒素、硫黄原子などを含んでいてもよいシクロアルキレン基;フェニレン、ナフチレンなどの2価の芳香族基;2価の芳香環が直接、又は中間にアルキレン基や酸素、窒素、硫黄などの原子を介して結合した2価の芳香族基;2価の芳香族基アルキレン基とが直接、又は中間に酸素、窒素、硫黄などの原子を介して結合したものなどが挙げられる。
の1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基などが挙げられる。
式(2)で表される化合物としては、例えば、ネオペンチル(2,4,6-t-ブチル-フェニル)ホスファイト、エチレン(2,4,6-t-ブチル-フェニル)ホスファイト等の米国特許第3415906号公報記載の化合物などが挙げられる。
<式(3)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000004
(式(3)中、R10は上記式(2)におけるRと同義であり、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール基を表し、x及びyは、それぞれ独立して、0又は1を表し、Qは-CR1112-、-O-、-S-、-NR13-、-SiR1415及び-CO-よりなる群から選ばれる架橋基であり、R11及びR12はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、トリル基又はアニシル基を表し、R13、R14およびR15はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、nは0又は1を表す。)
式(3)で表される3価のホスファイト化合物としては、具体的には1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル-(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト等の米国特許第4599206号公報記載の化合物、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル(2-t-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスファイト等の米国特許第4717775号公報記載の化合物などが挙げられる。
<式(4)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000005
(式(4)中、Rは環状又は非環状の置換されていてもよい3価の炭化水素基を表す。)
式(4)で表される化合物としては、例えば、4-エチル-2,6,7-トリオキサ-1-ホスファビシクロ-[2,2,2]-オクタン等の米国特許第4567306号公報記載の化合物などが挙げられる。
<式(5),(6)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000006
(式(5)中、Rは上記式(3)におけるRと同義であり、R及びRはそれぞれ独立して、置換されてもよい炭化水素基を表し、a及びbはそれぞれ0~6の整数を表し、aとbの和は2~6であり、Xは(a+b)価の炭化水素基を表す。)
式(5)で表される化合物のうち、好ましいものとしては、例えば、下記式(6)で表される化合物が挙げられ、また、特開昭62-116535号公報および特開昭62-116587号公報に記載の化合物が含まれる。
Figure 0007635592000007
(式(6)中、Xはアルキレン、アリーレンおよび-Ar-(CH)x-Qn-(CH)y-Ar-からなる群から選ばれる2価の基を表し、Ar、Ar、Q、x、y、nは上記式(3)におけるAr、Ar、Q、x、y、nと同義である。)
<式(7)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000008
(式(7)中、X、Ar、Ar、Q、x、y、nは上記式(3)におけるX、Ar、Ar、Q、x、y、nと同義であり、R18は上記式(2)におけるRと同義である。)
<式(8)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000009
(式(8)中、R19及びR20はそれぞれ独立して芳香族炭化水素基を表し、かつ少なくとも一方の芳香族炭化水素基は、酸素原子が結合する炭素原子に隣接する炭素原子に炭化水素基を有しており、mは2~4の整数を表し、各-O-P(OR19)(OR20)基は互いに異なっていてもよく、Xは置換されていてもよいm価の炭化水素基を表す。)
式(8)で表される化合物の中で、例えば、特開平5-178779号公報に記載の化合物が好ましい。
<式(9)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000010
(式(9)中、R21~R24は、それぞれ独立して置換されていてもよい炭化水素基を表し、R21とR22、R23とR24は互いに結合して環を形成していてもよく、Wは置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表し、Lは置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の2価の脂肪族炭化水素基を表す。)
式(9)で表される化合物としては、例えば、特開平8-259578号公報に記載のものが用いられる。
<式(10)で表される3価のホスファイト化合物>
Figure 0007635592000011
(式(10)中、R25~R28は、置換されていてもよい1価の炭化水素基を表し、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成していてもよく、A及びBはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、nは0又は1の整数を表す。)
25~R28の置換してもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基などが挙げられる。A,Bの置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、芳香族、脂肪族又は脂環族のいずれであってもよい。
式(10)で表される化合物としては、例えば、特開平10-45776号公報に記載のものが用いられる。
有機リン化合物としては、直鎖選択性の観点から、前記式(10)で表されるトリオルガノホスフィンが好ましい。
これらの有機リン化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、通常は1種のみが用いられる。
また、有機リン化合物のリンとロジウムとの比率は通常モル比でP/Rh=1~10000、好ましくはP/Rh=1~1000、より好ましくは1~100である。有機リン化合物が少なすぎるとロジウムへの配位量が少なくなるため、ロジウムが十分に安定化されないことがあり、多すぎると触媒コストが嵩み、製品価格が高くなってしまう。
ロジウム錯体触媒は、常法に従ってヒドロホルミル化反応に先立ち或いはヒドロホルミル化反応系内で製造することができる。
また、アルデヒドとロジウム錯体触媒を含む反応生成物を得るヒドロホルミル化反応は、常法に従って行うことができる。
通常、ヒドロホルミル化反応で得られる反応生成物は、反応条件や用いたロジウム錯体触媒等によっても異なるが、目的物のアルデヒドを60~99重量%、ロジウム錯体触媒を0.05~5重量%程度含み、残部が原料オレフィンと内部異性化したオレフィンの液状物である。
本発明では、このような反応生成物に対して、以下の工程(i)~(iv)を順次行って、アルデヒドとロジウム錯体触媒とを分離、回収する。なお、以下の工程(i)~(iv)では酸素による触媒失活のおそれがあるため、操作は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
<工程(i)>
本発明では、このような反応生成物に対して、芳香族炭化水素と貧溶媒を加える。
芳香族炭化水素としては、反応生成物中のアルデヒドの良溶媒として、当該アルデヒドを60℃の条件下通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上溶解し得るものであればよく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アルデヒドの良溶媒として芳香族炭化水素を用いることにより、特に、直鎖選択性が高いという理由から、配位子として芳香族基を有する二座ホスフィンや二座ホスファイトを用いる場合には、芳香族基同士の親和性という観点から、アルデヒドとヒドロホルミル化触媒との分離が良好となる。
貧溶媒としては、反応生成物中のアルデヒドの貧溶媒として、60℃の条件下当該アルデヒドの溶解度が通常10重量%以下、特に5重量%以下のものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1~3の第一級アルコール、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の炭素数1~5のアミド化合物、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、4-メチルヒドロピラン等の炭素数4~6の環状エーテルなどが挙げられる。
これらの貧溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの貧溶媒のうち、アルデヒド回収率及びロジウム錯体触媒回収率の観点からは炭素数の少ないアルコールが好ましく、また、分岐鎖状アルコールよりも直鎖状アルコールが好ましい。また、N,N-ジメチルホルムアミドや1,4-ジオキサンも高い回収率を示す。
反応生成物への芳香族炭化水素及び貧溶媒の添加量は、芳香族炭化水素は反応生成物1gに対して0.1~5mL、特に0.5~1.5mLで、貧溶媒は反応生成物1gに対して0.01~1.5mL、特に0.15~0.3mLとし、芳香族炭化水素:貧溶媒(容量比)=10~1:1とすることが好ましい。
上記範囲よりも芳香族炭化水素が少ないとロジウム触媒の回収率の低下があり、多いとアルデヒドの回収率の低下がある。また、上記範囲よりも貧溶媒が少ないとアルデヒドの回収率の低下があり、多いとロジウム触媒の回収率の低下がある。
なお、反応生成物への芳香族炭化水素及び貧溶媒の添加は同時であってもよく、別々に添加してもよい。別々に添加する場合、どちらを先に添加してもよい。
<工程(ii)>
工程(ii)では、工程(i)で反応生成物に芳香族炭化水素と貧溶媒を添加した液を加熱して均一化する。
この加熱温度は高過ぎると溶媒が揮発して最適な溶媒比にならない場合があり、低過ぎると均一化することが困難な場合があるため、アルデヒドや溶媒によっても異なるが40~120℃、特に60~90℃の範囲とすることが好ましい。
また、加熱時間は通常15~120分程度である。この加熱工程では、必要に応じて撹拌を行ってもよい。
<工程(iii)>
工程(iii)では、工程(ii)で加熱して均一化した液を冷却してアルデヒドを固体として析出させる。
この冷却温度はアルデヒドが析出する温度であればよく、特に制限はないが、-5~10℃程度とすることが好ましい。冷却温度が高過ぎるとアルデヒドの析出効率が悪い。
<工程(iv)>
工程(iv)では、工程(iii)で析出させたアルデヒドを固形物として分離回収する。
この分離回収時の固液分離方法としては、濾過、減圧濾過、加圧濾過、膜分離等を用いることができるが、濾過又は減圧濾過が操作が簡便であり、好ましい。
工程(iv)で分離、回収したアルデヒドは、乾燥することで製品とすることができる。
また、アルデヒドを回収した残液側にはロジウム錯体触媒が含有されているため、これを溶媒除去することで、ロジウム錯体触媒を回収し、ヒドロホルミル化反応に再利用することができる。
このような本発明のアルデヒドの回収方法によれば、アルデヒドおよびヒドロホルミル化触媒であるロジウム錯体触媒をいずれも60%以上、好ましくは70%以上という高い回収率で分離回収することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[参考例1]
ガラス容器に26.6mg(0.049mmol)の酢酸ロジウム1,5-シクロオクタジエンダイマー([Rh(cod)(OAc)]2)を量り取り、基質である200mLの1-ヘキサデセンを加えて、窒素雰囲気下で溶解させた。別に用意したステンレス鋼オートクレーブにロジウム:配位子のモル比1:10に相当する1.1gの以下に記載のビスホスファイト(A)を加え、ガラス容器の溶液を窒素雰囲気下でオートクレーブに移した。オートクレーブを密栓後、電気炉にて80℃に加熱したのち、ガス導入バルブより速やかに水素/一酸化炭素混合ガス(混合比:1/1)を3MPaまで導入し、上下式撹拌機により撹拌をしながら、2時間反応させた。その後電気炉で150℃まで加熱し、さらに2時間反応させた。
反応終了後、室温まで冷却し、残存ガスを放圧した後、ガスクロマトグラフィーにて反応成績を解析した。その結果、ヘプタデカナール(融点34~39℃)収率は88.4%であった。また、ヘプタデカナールの直鎖選択率(分岐型アルデヒド(B)に対する直鎖型アルデヒド(L)の比(L/B))は12.5であった。
Figure 0007635592000012
[実施例1]
ガラス製ナスフラスコに上記の方法で得られた20.0gの反応生成物(ヘプタデカナール濃度93.2重量%、ロジウム錯体触媒濃度0.69重量%)を入れ、窒素置換した。このフラスコに30mLのトルエン(芳香族炭化水素)と10mLのエタノール(貧溶媒)を加え、60℃に30分加熱攪拌して溶解させた。この溶液を室温で放冷後、氷浴(5℃)で冷却して、固体を析出させた。減圧濾過により、固体と濾液を分離して、それぞれガスクロマトグラフィー分析と蛍光X線分析で、ヘプタデカナールとRhの解析を行い、それぞれ回収率を求めた。結果を表1に記載する。
[実施例2~5、比較例1~3]
実施例1において、回収に供した反応生成物の量、良溶媒として用いた芳香族炭化水素又はその他の溶媒および貧溶媒の種類と量を表1に示す通り変更したこと以外は同様にしてヘプタデカナールとロジウム錯体触媒の回収操作および分析を行ってそれぞれの回収率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0007635592000013
表1より、本発明によれば、晶析という簡便な操作で、ヒドロホルミル化反応の反応生成物から、アルデヒドとロジウム錯体触媒とをそれぞれ高回収率で分離回収することができることが分かる。
[比較例1]
参考例1の方法で得られた20.0gの反応生成物を窒素気流下のグローブボックス内でガラス瓶に移し、このガラス瓶に59mLのエチレングリコールと57mLのメチルシクロヘキサンを加え、激しく撹拌したのち、二層に分層するまで静置した。各相を分取し、それぞれガラスクロマトグラフィー分析を行ったところ、分配係数Kp(=エチレングリコール抽出層中のヘプタデカナール量)/(メチルシクロヘキサン層中のヘプタデカナール量)は0.0003であり、この方法ではヘプタデカナールの殆どがロジウム錯体触媒回収層である油層のメチルシクロヘキサン層側に移行するため、ロジウム錯体触媒との分離回収が困難であることが分かる。

Claims (8)

  1. 融点が-5℃以上の飽和直鎖状または飽和分岐鎖状のアルデヒドと、ロジウムおよび有機リン化合物を含むヒドロホルミル化触媒とを含む混合物から、以下の(i)~(iv)の工程を順次行って該アルデヒドと該ヒドロホルミル化触媒とを分離するアルデヒドの回収方法。
    (i)該混合物に芳香族炭化水素と前記アルデヒドの貧溶媒とを加える。
    (ii)加熱して均一化する。
    (iii)冷却して該アルデヒドを析出させる。
    (iV)析出したアルデヒドを回収する。
  2. 前記貧溶媒が炭素数1~3の第一級アルコールであることを特徴とする請求項1に記載のアルデヒドの回収方法。
  3. 前記貧溶媒が炭素数1~5のアミド化合物であることを特徴とする請求項1に記載のアルデヒドの回収方法。
  4. 前記貧溶媒が炭素数4~6の環状エーテルであることを特徴とする請求項1に記載のアルデヒドの回収方法。
  5. 前記アルデヒドの回収率および前記ヒドロホルミル化触媒中のロジウムの回収率が60%以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のアルデヒドの回収方法。
  6. 前記炭素数1~3の第一級アルコールが、メタノールおよび/またはエタノールであることを特徴とする請求項2に記載のアルデヒドの回収方法。
  7. 前記炭素数1~5のアミド化合物が、N,N-ジメチルホルムアミドであることを特徴とする請求項3に記載のアルデヒドの回収方法。
  8. 前記炭素数4~6の環状エーテルが、1,4-ジオキサンであることを特徴とする請求項4に記載のアルデヒドの回収方法。
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