JP7635741B2 - シリコンウェーハ用の研磨スラリーの分析方法 - Google Patents

シリコンウェーハ用の研磨スラリーの分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリコンウェーハを研磨する際に用いられる研磨スラリー中に含まれる金属不純物を分析する方法に関する。
シリコンウェーハを研磨する際に用いられる研磨スラリー(以下、単にスラリーともいう)は、一般的に、コロイダルシリカを主成分に、pH調整剤、アミン類、キレート剤、界面活性剤等の各種の無機・有機物が含まれている。シリコンウェーハの加工工程において、金属汚染はウェーハの特性悪化を及ぼす要因となり、スラリー中の金属不純物の低レベル化が望まれる。
従来、スラリー中の金属不純物分析方法として、スラリー中にフッ化水素酸(以下、HF)や硝酸(以下、HNO)の混酸を添加し、コロイダルシリカを溶解するとともに、マイクロウェーブやホットプレート、赤外線ランプ等により加熱処理し、含有有機物を分解した後、処理液を蒸発乾固・再抽出して誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)で分析する方法(特許文献1、特許文献2)、スラリー中にエチレンジアミン四酢酸(以下、EDTA)等のキレート剤を添加し、その後、コロイダルシリカを遠心分離で分離除去し、残ったスラリーをイオンクロマトグラフ等で分析する方法(特許文献3)がある。また、溶液中の金属不純物分析方法として、清浄なシリコンウェーハ上に検体を滴下し、乾燥後に滴下個所を全反射蛍光X線分析装置(以下、TRXFとも言う)で分析する方法(特許文献4)がある。
特開2011-38843号公報 特開2008-20339号公報 特開平9-260319号公報 特開2004-109072号公報
特許文献1や特許文献2のような化学分析法では、スラリー中のコロイダルシリカや有機物成分が分析の際に妨害となり、試料導入系の詰まりや分析精度(安定性)が悪くなる問題があり、これらを前処理により完全に除去しなければならない。このため工程は複雑となり、クロスコンタミネーションのリスクも増大する問題がある。また、特許文献3ではキレート錯体を生成する金属のみを分析対象にすることしかできず、キレート剤起因の汚染の影響を十分考慮しなくてはならない。また、TRXFでは、スラリーのような液体試料は分析できず、特許文献4のように、シリコンウェーハ上にスラリーを滴下し、蒸発乾固等で溶媒を蒸発させ薄膜状にすると、有機物成分は乾燥時に収縮するため、ウェーハ表面から剥離し反り返ってしまうためTRXF分析できない問題がある。
本発明者が鋭意研究を行い、スラリー中のコロイダルシリカや有機物の前処理方法を検討した結果、ICP-MS等を用いたり、キレート錯体による抽出を行わずとも、簡便にスラリー中の金属不純物を分析し得るTRXF分析に着目した。
そして本発明は、TRXF分析における上記問題点に鑑みてなされたものであり、剥離することなく安定してスラリー薄膜を形成し、分析することができる方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、シリコンウェーハ用の研磨スラリー中の金属不純物を分析する方法であって、
測定対象の研磨スラリーにフッ酸を添加して、前記研磨スラリー中のコロイダルシリカを溶解してスラリー溶液とする工程Aと、
該工程A後のスラリー溶液で、シリコンウェーハ上に溶液膜を形成する工程Bと、
該工程Bで形成した溶液膜にUV光を照射して溶液膜中の有機物を分解する工程Cと、
該工程Cで前記有機物を分解した溶液膜を前記シリコンウェーハ上で乾燥させてスラリー薄膜を形成する工程Dと、
該工程D後のスラリー薄膜から前記金属不純物の分析を全反射蛍光X線分析装置を用いて行う工程Eと、
を備えることを特徴とするシリコンウェーハ用の研磨スラリーの分析方法を提供する。
このような分析方法であれば、UV光の照射の工程Cによって溶液膜中の有機物を分解することができるため、工程Dにおいて溶液膜を乾燥させてスラリー薄膜を形成する際に、有機物を起因として該スラリー薄膜が剥離するのを防ぐことができる。このように、従来法よりも極めて安定してスラリー薄膜を得ることができるため、その後のTRXF分析を確実に行うことができる。
また、ICP-MS等での化学分析法で必要となる複雑な工程も不要とすることができ、スラリー中のコロイダルシリカや有機物の分解や除去が完全でなくとも、また、キレート錯体による抽出を行わずとも分析することが可能であり、実に簡便である。ICP-MS等を用いなくとも、高感度で分析することができる。
また、前記工程Cにおいて前記UV光を照射するとき、
波長が344nm~179nmのUV光を前記溶液膜に10~15分間照射することができる。
照射するUV光の波長が上記範囲であれば、より効果的に有機物を分解することができるし、そのようなUV光を照射可能な市販の装置を入手しやすい。
また、上記のような照射時間であれば、スラリー薄膜の剥離をより確実に防ぐことができるし、UV光照射でのクロスコンタミネーション等による二次汚染の影響をより効果的に抑えることができる。
また、前記工程Dにおいて前記溶液膜を乾燥させるとき、
70℃~100℃で加熱して乾燥させるか、または、150Torr(19998.3Pa)以下で減圧乾燥させることができる。
このような条件で乾燥させた場合、スラリー薄膜の剥離や二次汚染の影響をより効果的に抑制することができる。
また、前記工程Bにおいて前記溶液膜を形成するとき、
前記工程A後のスラリー溶液を、前記シリコンウェーハ上に滴下して形成することができる。
このように滴下法で形成すれば、クロスコンタミネーション等による二次汚染をより確実に抑えることができる。
本発明のシリコンウェーハ用の研磨スラリーの分析方法であれば、従来のTRXF分析で生じていたスラリー薄膜の剥離を効果的に防ぐことができる。また、ICP-MS等を用いた従来法に比べて簡便な工程で分析を行うことができる。さらには、感度も十分に高い分析方法である。
本発明の研磨スラリーの分析方法の工程を示すフロー図である。 UV光照射環境暴露における二次汚染の時間依存性を示すグラフである。 加熱乾燥環境暴露における二次汚染の時間依存性を示すグラフである。 本発明の研磨スラリーの分析方法の別の形態における工程を示すフロー図である。 減圧乾燥環境暴露における二次汚染の時間依存性を示すグラフである。 実施例1のスラリーAのTRXFスペクトル(UV光照射10分+150Torr減圧乾燥10分)の測定結果を示すグラフである。 実施例1のスラリーBのTRXFスペクトル(UV光照射10分+150Torr減圧乾燥10分)の測定結果を示すグラフである。 実施例1のスラリーCのTRXFスペクトル(UV光照射10分+150Torr減圧乾燥10分)の測定結果を示すグラフである。 実施例2のスラリーAのTRXFスペクトル(UV光照射10分+90℃加熱乾燥2分)の測定結果を示すグラフである。 実施例2のスラリーBのTRXFスペクトル(UV光照射10分+90℃加熱乾燥2分)の測定結果を示すグラフである。 実施例2のスラリーCのTRXFスペクトル(UV光照射10分+90℃加熱乾燥2分)の測定結果を示すグラフである。 スラリーAの実施例1、2と比較例1の結果比較を示すグラフである。 スラリーBの実施例1、2と比較例1の結果比較を示すグラフである。 スラリーCの実施例1、2と比較例1の結果比較を示すグラフである。 従来の研磨スラリーの分析方法の工程を示すフロー図である。
以下、金属不純物の分析での前処理方法の検討結果や、本発明に至った経緯を説明しつつ、本発明について図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
はじめに、従来の研磨スラリーの分析方法について説明する。図15はその工程のフロー図である。図15に示すスラリーの分析方法では、スラリーにHFを添加してスラリー中に含まれるコロイダルシリカを溶解させる(シリコン成分溶解工程)。コロイダルシリカの成分であるSiOは、HFとの反応でHSiFの形態で液中に溶解し、蒸発時はSiFの形態で揮発させることができる。ただし、HFとHNOの混酸でコロイダルシリカを溶解すると、蒸発時に難溶解性の(NHSiFを生じ、さらに200~400℃の熱分解処理を要する。
つぎに、シリコン成分が溶解したスラリー溶液を、清浄な鏡面シリコンウェーハ上の任意の個所に滴下する(スラリー滴下工程)。ここで使用するシリコンウェーハは特に限定されないが、特には、シリコン基板製造工程において、最終洗浄まで行われた鏡面シリコンウェーハであって、ウェーハ表面や基板内部の金属汚染が無いものを指し、抵抗率が0.1Ω・cm以上のp型またはn型のシリコンウェーハとすることが好ましい。
つぎに、ホットプレートにより50℃から100℃に加熱することで、滴下したスラリーを蒸発・乾燥させ、ウェーハ上にスラリー薄膜を形成する(蒸発乾燥工程)。
最後に乾燥したスラリー薄膜上をTRXFで測定する(TRXF分析工程)。TRXF測定を行うためには、試料形態は薄膜状になり、剥離等を起こさず安定した状態であることが望まれる。
図15の方法について蒸発乾燥温度を50℃から100℃、乾燥時間を8.5~1.5分の間で振ったときのスラリー薄膜の状態を表1に示す。後述する本発明のフローのように有機物分解処理を行わず、そのまま蒸発乾燥した場合は、すべての条件において、ウェーハ表面からスラリー薄膜が剥離し、TRXF分析ができないことから、有機物分解工程が必須であることがわかった。
Figure 0007635741000001
次に、本発明のスラリーの分析方法について説明する。図1は本発明のスラリーの分析方法の工程のフロー図である。
図1に示す本発明のスラリーの分析方法では、工程A:シリコン成分溶解工程、工程B:溶液膜形成工程(スラリー滴下工程)、工程C:有機物分解工程、工程D:スラリー薄膜形成工程(蒸発乾燥工程)、工程E:TRXF分析工程、からなっている。そして本発明では、図1のスラリー滴下工程と蒸発乾燥工程との間に、スラリー溶液からなる溶液膜にUV光(例えば、波長185nmの光)を照射して溶液膜中の有機物を分解する工程(上記の有機物分解工程)を含むことに特徴がある。
まず工程A、工程Bについて説明する。
工程Aでは、測定対象の研磨スラリーにフッ酸を添加して、研磨スラリー中のコロイダルシリカを溶解してスラリー溶液とする。また、工程Bでは、工程A後のスラリー溶液で、シリコンウェーハ上に溶液膜を形成する。
これらの工程は、例えば、前述した図15におけるシリコン成分溶解工程、スラリー滴下工程と同様の手順で行うことができる。
なお、工程Aに関して、HFとHNOの混酸を用いても良いが、前述したようにさらに熱分解処理を要するため、この加熱時のクロスコンタミネーションの影響も考慮すると、HF単独での添加がより好ましい。
また、工程Bに関して、ここではスラリー溶液を滴下することでシリコンウェーハ上に溶液膜を形成する例について説明するが、溶液膜の形成方法自体は特に限定されない。例えば塗布や浸漬などの方法を用いても良く、その場合にクロスコンタミネーションを起こさないように適宜工夫することができる。滴下による方法であれば、クロスコンタミネーションの発生を効果的に防ぐことができるので好ましい。
次に、工程Cについて説明する。工程Bで形成した溶液膜にUV光を照射して溶液膜中の有機物を分解する。
ここで光の波長とエネルギーの関係について記す。UV光の波長と光エネルギーとの関係は次式で表される。
E=hc/λ
E=エネルギー (J)
h=プランク定数 6.626×10-34 (Js)
c=光速度 2.9979×10 (m/s)
λ=波長 185×10-9 (m)
この式から、例えば波長185nmのエネルギーは1.074×10-18Jとなる。
これを光子1molに換算すると、アボガドロ数Na=6.022×1023/molより、647KJ/molとなる。
また、有機物の分子結合と結合ネルギーを考慮する。代表的な分子結合であるO-O結合(138.9KJ/mol)、C-C結合(347.7KJ/mol)、C-O結合(351.5KJ/mol)、C-H結合(413.4KJ/mol)、O=O結合(490.4KJ/mol)、C=C結合(607.0KJ/mol)のうち、有機物の分解に特に効果があるのはC-C結合を断ち切るエネルギーに相当する344nmの波長以下のUV光である。ただし、工程Cで照射する光はUV光であれば良く、この波長の光に限定されない。
また、市販のUV光照射装置には波長179nmのエキシマレーザーを用いたものもあるが、波長185nmのUV光照射装置は低圧水銀ランプを用いるため一般に入手が容易であるため好ましい。
以上より、波長344nm~179nmのUV光を照射するのが特に好ましい。
この工程Cの有機物分解工程では、その後の工程Dである乾燥によるスラリー薄膜形成工程後にスラリー薄膜が剥離しないようにすることが重要である。
またさらにはUV光照射中に二次汚染を抑制できると好ましい。
そこで、UV光照射とスラリー薄膜の剥離の関係についての試験1を行った。ウェーハ製造工程の最終洗浄まで行ったシリコンウェーハにスラリーを滴下し、UV光源をウェーハ上面から30mm上方に配置したポリテトラフルオロエチレン製のウェーハ収納容器内にスラリーを滴下したウェーハを載置した。UV光照射時間を10分~30分の間で振ってUV光照射を行った後、90℃で2分間、蒸発乾燥させ、その後にスラリー膜の状態を確認した。
また、UV光照射と二次汚染の関係についての試験2も行った。上記の試験1とは別にウェーハ製造工程の最終洗浄まで行ったシリコンウェーハに対してスラリーを滴下せずに、前記試験1と同様の環境に10分~30分間暴露した後、ウェーハ表面の不純物をTRXF分析してUV光照射中の二次汚染の影響を調査した。
その結果を表2、表3、および図2に示す。なお、UV光照射時間が0分(照射なし)の場合についても併せて示す。
このときの二次汚染量が1.7×1011atoms/cm以下であれば、デバイスに影響を及ぼすことはないので特に問題はない。なお、本発明の分析方法において、二次汚染量については上記数値範囲に特に限定されないものの、二次汚染量が小さくなるように、適宜、UV光の照射条件等の設定を行うことができる。
Figure 0007635741000002
Figure 0007635741000003
その結果、乾燥後のスラリー薄膜の剥離は見られなかった。図15のようにUV光照射を行わず、表1(および表2の照射時間0分)に示すように剥離してしまった従来法に対し、UV光照射を行った場合は剥離を防ぐことができた。
他方、UV光照射中の二次汚染の影響調査では、図2からも分かるように暴露時間が長くなるほど不純物の濃度が高くなっている。
工程CにおけるUV光照射時間は特に限定されるものではないが、例えば、上記のように10分間以上とすることができ、30分間もすれば十分である。また、スラリー薄膜の剥離の抑制効果の他に、UV光照射によるクロスコンタミネーション等による二次汚染の影響もさらに考慮すると、UV光照射時間は特に10分間から15分間の範囲が好ましい。
つぎに、工程Dについて説明する。工程Cで有機物を分解した溶液膜をシリコンウェーハ上で乾燥させてスラリー薄膜を形成する。ここでは、加熱による乾燥の場合について説明する。加熱方法は特に限定されず、例えばホットプレートの上にシリコンウェーハを載せて行う加熱方法が挙げられる。
この工程の好ましい条件を検討するため、蒸発乾燥とスラリー薄膜の剥離の関係に関する試験3を行った。ウェーハ製造工程の最終洗浄まで行ったシリコンウェーハにスラリーを滴下し、UV光照射時間を10分間行った後、ホットプレートによるスラリーの蒸発乾燥の条件を温度50℃~100℃、時間8.5分~1.5分の間で振って乾燥させ、その後のスラリー薄膜の状態を確認した。
また、蒸発乾燥と二次汚染の関係に関する試験4を行った。上記の試験3とは別にウェーハ製造工程の最終洗浄まで行ったシリコンウェーハに対してスラリーを滴下せずにシリコンウェーハをホットプレートの上方に配置させ、ホットプレートを前記試験3と同様の条件で加熱した際のホットプレートからのアウトガスをシリコンウェーハに付着させ、その後、ホットプレート側のウェーハ表面の不純物をTRXF分析して、蒸発乾燥中の二次汚染の影響を調査した。
その結果を表4、表5、および、図3に示す。なお、表4に記載されているように、ここでは温度が高くなるに従い、短時間で乾燥させることができるので、それぞれの温度において、最短の乾燥時間に設定した。
Figure 0007635741000004
Figure 0007635741000005
乾燥後のスラリー薄膜の剥離は見られなかった。
そして、図3から分かるように温度が90℃以上、つまり、90℃(2分)~100℃(1.5分)では時間が短くても不純物濃度が高くなっているのに対して、温度が90℃より低い条件、つまり、80℃(2.5分)~50℃(8.5分)では、温度に関係なく時間が長くなるに従い不純物濃度が高くなっている。
工程Dにおける蒸発乾燥温度は特に限定されないが、例えば上記のように50℃から100℃の範囲とすることができ、二次汚染の影響も考慮すると60℃から100℃の範囲、さらには70℃から100℃の範囲が好ましい。
そして、工程Eにおいて、工程D後のスラリー薄膜から金属不純物の分析を全反射蛍光X線分析装置を用いて行う。
全反射蛍光X線分析装置自体は市販のものを用いることができ、例えば、テクノス製TREX630Tなどが挙げられる。このような装置を用いた分析手順自体は従来法と同様に行うことができる。
前述したように、従来法では溶液膜の乾燥後のスラリー薄膜がシリコンウェーハから剥離してしまっていたが、乾燥前にUV光照射を溶液膜に対して行う本発明ではスラリー薄膜が剥離するのを防ぐことができ、そのため、より確実にTRXF分析を行うことができる。しかもICP-MS等を用いた分析方法よりも簡便な工程で行うことができる。また、前述したように各工程での条件調整により二次汚染の抑制を図ることも十分可能であり、従来法と同レベルの高精度で分析することも可能である。
なお、スラリー中の不純物濃度が高いとTRFXスペクトル強度が強すぎて検出器が飽和し、正確に分析できない可能性がある。この場合はさらにHFを添加してスラリーを希釈した状態で当該前処理を行う事で安定した分析を行う事が可能となる。
図4は本発明の別の形態のスラリーの分析方法である。
図4に示すスラリーの分析方法は、工程Dのスラリー薄膜形成工程として、図1の蒸発乾燥(加熱)工程の代わりに減圧による溶液膜の乾燥工程を行っている(蒸発乾燥(減圧)工程)。例えば、チャンバー内に溶液膜を有するウェーハを入れ、チャンバー内を減圧することによって行うことができる。
減圧時での乾燥工程の好ましい条件を検討するため、減圧乾燥とスラリー薄膜の剥離の関係に関する試験5を行った。ウェーハ製造工程の最終洗浄まで行ったシリコンウェーハにスラリーを滴下し、減圧乾燥の圧力値を15Torr~760Torr(1999.83Pa~101325Pa)、時間を2.1分~120分の間で振って減圧乾燥を行い、乾燥後のスラリー薄膜の状態を確認した。
また、減圧乾燥と二次汚染の関係に関する試験6を行った。試験5とは別にウェーハ製造工程の最終洗浄まで行ったシリコンウェーハに対してスラリーを滴下せずにシリコンウェーハを前記試験5と同じ減圧環境中に暴露し、ウェーハ表面の不純物をTRXF分析して減圧乾燥中の二次汚染の影響を調査した。
その結果を表6、表7、および、図5に示す。減圧乾燥条件は圧力が高くなるに従い、乾燥するまでの時間が長くなるので、それぞれの圧力値において、最短の乾燥時間に設定した。
Figure 0007635741000006
Figure 0007635741000007
どの圧力においてもスラリー薄膜の剥離は見られなかった。
また、図5に示すように、大気圧中に放置する場合は暴露時間が長くクロスコンタミネーション等による二次汚染の影響が見られたが、150Torr(19998.3Pa)以下の減圧環境では乾燥時間は10分以下と短く、クロスコンタミネーション等による二次汚染の影響はないと考えられる。
工程Dにおける減圧乾燥での圧力は特に限定されないが、例えば760Torr(101325Pa)未満とすることができ、二次汚染の影響も考慮すると上記のように150Torr(19998.3Pa)以下が特に好ましい。また、例えば上記のように15Torr(1999.83Pa)以上とすることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
シリコンウェーハ研磨工程で用いられるニッタ・デュポン製の研磨スラリー3種類(スラリーA、B、C)について、図4に示すような本発明の分析方法により分析を行う。具体的な工程を以下に示す。
研磨スラリーを滴下・乾燥させるウェーハには、ウェーハ製造工程の最終洗浄まで行った直径200mmの抵抗率9~12Ωcmのp型シリコンPWウェーハを用いた。研磨スラリーを0.2mLと希釈用の超純水を9mL、および、スラリー中のコロイダルシリカを溶解するため、多摩化学製の超純度フッ化水素酸(Tapapure-AA100 HF 38%)の0.8mLを清浄なPFA(パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)製のボトルに入れ攪拌(トータル50倍希釈)し、静置した。
その後、このスラリー溶液をマイクロピペット(エッペンドルフ製)で0.2mLを取り出し、洗浄済みウェーハの中心付近に滴下する。滴下したスラリー溶液は直径約40mmの大きさに広がる(溶液膜の形成)。
つぎに、波長185nmの紫外線ランプを組み込んだUV光照射ボックス(UV光照射距離は30mm)に溶液膜を形成したウェーハを入れ、10分間放置し、溶液膜中の有機物を分解する。
その後、ダイヤフラムポンプを有する減圧チャンバーに当該ウェーハを移し、150Torr(19998.3Pa)まで減圧したまま10分間放置し、スラリーを減圧により蒸発乾燥させる。
乾燥させると直径40mmのスラリー薄膜が生成されるため、その個所を全反射蛍光X線分析装置(テクノス製TREX630T)で測定した。
スラリーA、B、CのそれぞれのTRXFスペクトルを図6、7、8に示し、各スラリー中の不純物(S、Cl、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ce)の結果を表8に示す。TRXF測定による不純物濃度の単位はatoms/cmであるため、スラリーの広がった総面積からスラリー中に含まれる各元素の総原子数、および、スラリー液量と希釈率からスラリー原液中の含有不純物量を計算した結果を表9に示す。
Figure 0007635741000008
Figure 0007635741000009
(実施例2)
実施例1とは別の形態の分析方法(図1参照)により分析を行う。
使用するスラリー、ウェーハや、スラリー中のシリコン成分分解から有機物分解に至る工程は実施例1と同様であり記載は省略する。
有機物分解後、クラス100の環境に設置されたホットプレートにウェーハを移し、90℃で2分間放置し、スラリーを蒸発乾燥させる。
乾燥させると直径40mmのスラリー薄膜が生成されるため、その個所を全反射蛍光X線分析装置(テクノス製TREX630T)で測定した。
スラリーA、B、CのそれぞれのTRXFスペクトルを図9、10、11に示し、各スラリー中の不純物(S、Cl、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ce)の結果を表10に示す。TRXF測定による不純物濃度の単位はatoms/cmであるため、スラリーの広がった総面積からスラリー中に含まれる各元素の総原子数、および、スラリー液量と希釈率からスラリー原液中の含有不純物量を計算した結果を表11に示す。
Figure 0007635741000010
Figure 0007635741000011
(比較例1)
特許文献1に記載の研磨スラリーの分析方法により分析を行う。
まず、実施例1と同じ3種類の研磨スラリー1mLをフッ素樹脂(PFA製)ビーカーに入れ、多摩化学製高純度フッ化水素酸(Tapapure-AA100 HF 38%)1.5mLと多摩化学製超高純度硝酸(Tapapure-AA100 HNO 68%)0.5mLを添加して研磨スラリー中のコロイダルシリカを溶解する。
つぎに、最大出力1000W、2450MHzのマイクロウェーブ湿式灰化装置(パーキンエルマー社製)を用い4段階分解レシピでスラリー中の有機物を分解する。
つぎに、清浄な直径200mmのシリコンPWウェーハ上に、有機物分解後のスラリーを1mL滴下し、70℃で30分間蒸発乾固した。つぎに、蒸発乾固したウェーハを350℃のホットプレートで10分間加熱し、乾燥残渣中のシリコン成分を揮発させた。
つぎに、残った乾燥残渣を上記HFと多摩化学製の超高純度過酸化水素水(Tapapure-AA100 H 30%)を2wt%/2wt%の水溶液に調製し、乾燥残渣を1mLの2wt%/2wt%の水溶液で回収し、回収液とした。
最後に回収液を超純水で200倍に希釈した後、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ELEMENT2)で、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ceを分析した。
3種類のスラリーの分析結果を表12に示す。
Figure 0007635741000012
実施例1(表9)、実施例2(表11)と比較例1(表12)の結果をスラリー別にまとめたものを図12、13、14に示す(順に、スラリーA、B、C)。これらの結果から、実施例1、2と比較例1は概ね同等の数値を示すことがわかる。
(比較例2)
実施例1、2の分析方法とは異なり、UV光照射を行わない場合の分析方法を行う。
まず、実施例1と同じウェーハ、および3種類の研磨スラリーを準備する。スラリーは原液では濃度が高いため、実施例1と同様にスラリーを希釈して、そこから0.2mLを取り出し、洗浄済みウェーハの中心付近に滴下する。
つぎにクラス100の環境に設置されたホットプレートにウェーハを移し、90℃で2分間放置し、スラリーを蒸発乾燥させた。
この結果、乾燥させたスラリー薄膜は剥離し反り返ってしまい、TRXF分析は不可であった(表13)。
また、ホットプレートによる蒸発乾燥の代わりに150Torrで10分間の減圧乾燥を行った場合も、乾燥させたスラリー膜は剥離し反り返ってしまい、TRXF分析は不可であった(表14)。
Figure 0007635741000013
Figure 0007635741000014
比較例1において、スラリー中の含有コロイダルシリカ量が多いと、ICP-MSによる分析の際に試料導入系の詰まりを起こす要因となり、同様に有機物量が多いと試料導入系の汚染やプラズマインターフェース部分の焼き付きを生じ、装置性能に重大な影響を及ぼす可能性がある。このため、マイクロウェーブによる有機物分解や蒸発乾固によるシリコン成分除去が必須であった。
また、比較例2において、UV光照射による有機物分解処理を行わないと、乾燥後のスラリー薄膜が剥離し反り返ることによりTRXF分析できない問題がある。
これに対して実施例1、2のように、本発明の分析方法ではUV光照射による有機物分解処理を行うことで、安定したスラリーの乾燥膜を形成することができ、かつ、TRXFによる非接触な分析を行うため、スラリー薄膜中の成分が装置内を汚染するリスクが無く、比較例1のように十分な有機物分解やシリコン成分除去を必要としない利点がある。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (4)

  1. シリコンウェーハ用の研磨スラリー中の金属不純物を分析する方法であって、
    測定対象の研磨スラリーにフッ酸を添加して、前記研磨スラリー中のコロイダルシリカを溶解してスラリー溶液とする工程Aと、
    該工程A後のスラリー溶液で、シリコンウェーハ上に溶液膜を形成する工程Bと、
    該工程Bで形成した溶液膜にUV光を照射して溶液膜中の有機物を分解する工程Cと、
    該工程Cで前記有機物を分解した溶液膜を前記シリコンウェーハ上で乾燥させてスラリー薄膜を形成する工程Dと、
    該工程D後のスラリー薄膜から前記金属不純物の分析を全反射蛍光X線分析装置を用いて行う工程Eと、
    を備えることを特徴とするシリコンウェーハ用の研磨スラリーの分析方法。
  2. 前記工程Cにおいて前記UV光を照射するとき、
    波長が344nm~179nmのUV光を前記溶液膜に10~15分間照射することを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハ用の研磨スラリーの分析方法。
  3. 前記工程Dにおいて前記溶液膜を乾燥させるとき、
    70℃~100℃で加熱して乾燥させるか、または、150Torr(19998.3Pa)以下で減圧乾燥させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコンウェーハ用の研磨スラリーの分析方法。
  4. 前記工程Bにおいて前記溶液膜を形成するとき、
    前記工程A後のスラリー溶液を、前記シリコンウェーハ上に滴下して形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコンウェーハ用の研磨スラリーの分析方法。
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