JP7637248B2 - 温度測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、温度測定装置に関する。
本願は、2021年8月18日に日本に出願された特願2021-133131号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来から、特許文献1に示されるような温度測定装置が知られている。この温度測定装置は、配列された複数の熱源(バッテリーセル)の温度を測定するため、複数の温度センサーを有する。複数のバッテリーセルの温度を測定することで、バッテリーの温度変化に基づいて異常を検知している。
米国特許出願公開第2010/0136392号明細書
特許文献1の構成では、熱源の数に応じて複数の温度センサーを配置することになる。また、複数の温度センサーには、測定データを出力するための回路がそれぞれ接続されるため、温度測定装置が大型化する場合があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、1つの温度センサーで複数の熱源の温度変化を測定することが可能な温度測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る温度測定装置は、作動流体が封入されたコンテナを有するヒートパイプと、前記ヒートパイプの温度を検出する温度センサーと、前記温度センサーに接続されたワイヤ部と、を備え、前記ヒートパイプは、複数の熱源から熱を受け取る。
この構成では、ヒートパイプを複数の熱源と熱的に接続することで、作動流体の循環が発生し、熱源から発せられる熱を温度センサー近傍まで作動流体によって輸送することができる。複数の熱源のうち、例えばいずれか1つの熱源の温度が上昇した場合、温度センサーによって検出されるヒートパイプの温度も上昇する。したがって、ヒートパイプに接している複数の熱源のうち、いずれかに異常が発生したことを検出できる。このように、1つの温度センサーにより複数の熱源の異常を検出できるため、温度測定装置を小型化できる。
また、上述の温度測定装置では、熱源から温度センサーまでの間の熱の輸送は作動流体により行われる。例えば、単に熱伝導性の高い金属の棒により熱を伝導させる場合、熱の移動に数分かかる場合がある。対して、上述のような作動流体による熱の輸送は、熱伝導による熱の移動速度と比較し格段に速いため、熱源の温度変化に対する応答速度を速くすることができる。
以上より、上記態様の温度測定装置によれば、シンプルな構成で、複数の熱源の異常を素早く検知することができる。
また、温度測定装置は、前記複数の熱源と前記ヒートパイプとの間に位置する接触面拡張プレートをさらに備え、前記ヒートパイプは扁平形状であり、前記接触面拡張プレートは、前記ヒートパイプの厚さ方向に直交するように延在する板状であってもよい。
また、温度測定装置は、前記複数の熱源と前記ヒートパイプとの間に位置する絶縁層をさらに備え、前記ヒートパイプは扁平形状であり、前記絶縁層は、前記ヒートパイプの厚さ方向に直交するように延在する板状であってもよい。
また、温度測定装置は、前記複数の熱源と前記ヒートパイプとの間に位置する高さ調整層をさらに備え、前記ヒートパイプは扁平形状であり、前記高さ調整層は、前記ヒートパイプの厚さ方向に直交するように延在する板状であってもよい。
また、前記ワイヤ部はFPCであってもよい。
また、前記温度センサーは、前記ヒートパイプの長手方向における第1端部に配置され、前記ヒートパイプの前記第1端部側が、前記作動流体の蒸気が凝縮する凝縮部となっていてもよい。
また、温度測定装置は、前記ヒートパイプの長手方向における第2端部に配置されたヒートシンクをさらに備えていてもよい。
また、温度測定装置は、冷却液の流入口および流出口を有するコールドプレートをさらに備え、前記コールドプレートと前記ヒートパイプとの間に、前記複数の熱源が配置されていてもよい。
本発明の上記態様によれば、1つの温度センサーで複数の熱源の温度変化を測定することが可能な温度測定装置を提供することができる。
第1実施形態に係る温度測定装置の上面図である。 第1実施形態に係る温度測定装置の側面図である。 ヒートパイプの横断面図である。 第2実施形態に係る温度測定装置の上面図である。 第2実施形態に係る温度測定装置の側面図である。 第3実施形態に係る温度測定装置の上面図である。 第3実施形態に係る温度測定装置の側面図である。
(第1実施形態)
以下、本実施形態の温度測定装置1の構成を図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、温度測定装置1は、ヒートパイプ10と、温度センサー20と、ワイヤ部30と、接触面拡張プレート41と、絶縁層42と、高さ調整層43と、を備えている。ヒートパイプ10の長手方向に直交する横断面視において、ヒートパイプ10は扁平形状である。温度測定装置1は、複数の熱源100の温度を測定する。
各熱源100はヒートパイプ10とコールドプレート50との間に配置されている。熱源100は、例えば、基板101上に実装された複数の半導体である。図1では、1つの基板101上に1つの熱源100が実装されている。ただし、1つの基板101上に、複数の熱源100が実装されていてもよい。
(方向定義)
ここで、本実施形態ではXYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。X方向は、ヒートパイプ10の延びる長手方向である。Y方向は、ヒートパイプ10の厚さ方向である。X方向およびY方向の双方に直交する方向をZ方向とする。以下、X方向を長手方向といい、Y方向を厚さ方向といい、Z方向を幅方向という。
図3に示すように、ヒートパイプ10は、ウイック12と、コンテナ13と、を備える。ヒートパイプ10は、複数の熱源100から熱を受け取り、コンテナ13内に封入された作動流体の潜熱を利用して熱を輸送する熱輸送素子である。
図3に示すように、ヒートパイプ10は、厚さ方向を向く第1面10cおよび第2面10dと、幅方向を向く2つの側面10eとを有する。
コンテナ13は、長手方向に直交する横断面視において、扁平な形状に形成された中空容器である。コンテナ13の材質は、作動流体の種類や使用温度などの条件によって、適宜選択することができる。例えば、コンテナ13は、銅、スチール、アルミニウムなどの金属で形成されている。特に、銅やアルミなどの熱伝導率の高い金属材料を用いる場合、熱輸送性や熱拡散性を高めることができる。本実施形態では、コンテナ13として銅管を用いている。
コンテナ13は、厚さ方向の厚みよりも、幅方向の幅が大きい。すなわち、第1面10cの表面積は側面10eよりも大きくなっている。ヒートパイプ10の長手方向の長さは複数の熱源100と接触可能な長さとなっている。幅方向において、ヒートパイプ10の幅は熱源100の幅よりも小さくなっていてもよい。
長手方向において、ヒートパイプ10の幅方向の幅は略一定となっている。また、長手方向において、ヒートパイプ10の厚さ方向の厚さは略一定となっている。なお、ヒートパイプ10の長手方向における端部において、端面に向かうにしたがってヒートパイプ10の幅方向の幅および厚さ方向の厚さが漸次狭くなるようになっていてもよい。
コンテナ13の内部空間11には、作動流体が封入されている。作動流体は、相変化することが可能な周知の熱輸送媒体であって、コンテナ13内で液相と気相とに相変化する。作動流体としては、例えば、水、アルコール、アンモニア、代替フロンなどを採用できる。作動流体の種類は、温度測定装置1に要求される温度測定範囲や精度に応じて適宜変更されてもよい。なお、本明細書では液相の作動流体を「作動液」と称し、気相の作動流体を「蒸気」と称する場合がある。また、液相と気相とを特に区別しない場合には単に作動流体と記載する。図3において作動流体は図示されていない。
コンテナ13内には、ウイック12が配置されている。
ウイック12は、例えば図3に示すように、コンテナ13の内周面に沿って形成されている。長手方向で、ウイック12はコンテナ13の内側において全長にわたって延びている。なお、ウイック12はコンテナ13の内周面のうち、周方向および長手方向の一部の領域のみに形成されていてもよい。
ウイック12は、例えば、複数本の金属細線を束ねて形成されている。金属細線は、コンテナ13の長手方向に延在する線条体である。ウイック12の金属細線は、例えば、複数本の銅細線である。銅細線の外径は、例えば、数μm~数百μmである。
銅細線同士の間には長手方向に延びる隙間が形成される。その隙間は作動液を流動させる液体流路として用いられ、作動液を凝縮部から蒸発部へ還流させるための還流路(以下、「流路」という)となる。流路内の作動液は、毛管力によって長手方向に流動する。
ウイック12は、金属細線に限らず、金属メッシュ(網状体)、および金属粉末の焼結体なども使用できる。
ウイック12を構成する金属としては、銅、アルミニウム、ステンレス、これらの合金などが挙げられる。ウイック12は、金属製に限らず、カーボン材などで構成されていてもよい。例えば、ウイック12は、カーボン細線、カーボンメッシュなどで構成されていてもよい。
接触面拡張プレート41は、複数の熱源100とヒートパイプ10との間に位置している。接触面拡張プレート41は、板状であり、厚さ方向に直交するように延在する。接触面拡張プレート41は、熱伝導性の高い金属で形成され、例えば、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金などの熱伝導性の良好な金属によって形成されている。
厚さ方向から見て、接触面拡張プレート41は複数の熱源100を覆うように構成されている。接触面拡張プレート41の幅方向の寸法は、ヒートパイプ10の幅よりも大きく、熱源100の幅と同等以上である。
なお、図1の例では、1枚の接触面拡張プレート41が7つの熱源100を覆うように配置されているが、接触面拡張プレート41の数は適宜変更可能である。例えば、2つの接触面拡張プレート41を配置し、一方の接触面拡張プレート41が3つの熱源100を覆い、他方の接触面拡張プレート41が残り4つの熱源100を覆ってもよい。熱源100の数を適宜変更してもよい。
広い表面積を有する接触面拡張プレート41がヒートパイプ10の第1面10cに接触することにより、複数の熱源100で発生した熱をヒートパイプ10へ効率よく伝達することができる。
なお、接触面拡張プレート41を省略してもよい。
絶縁層42は、複数の熱源100とヒートパイプ10との間に位置している。絶縁層42は、板状であり、厚さ方向に直交するように延在する。図1および図2の例では、絶縁層42は接触面拡張プレート41と複数の熱源100との間に位置している。熱源100の表面に電気回路が形成されている場合や、熱源100において漏電が発生した場合でも、絶縁層42があることで、ヒートパイプ10や接触面拡張プレート41を介した電気短絡を防ぐことができる。
厚さ方向から見て、絶縁層42は接触面拡張プレート41と同等の大きさになっている。なお、複数の熱源100とヒートパイプ10とが電気的に接続されないよう、複数の熱源100をそれぞれ覆うように複数の絶縁層42が配置されていてもよい。
絶縁層42は、絶縁性を有し、かつ熱抵抗の低い材料で形成されることが好ましい。この場合、熱源100で発生した熱をヒートパイプ10へ効率よく伝達することができる。
なお、ヒートパイプ10が絶縁被覆で覆われている場合や、接触面拡張プレート41が絶縁性を有する場合には、絶縁層42が配置されていなくてもよい。
高さ調整層43は、複数の熱源100とヒートパイプ10との間に位置している。高さ調整層43は、板状であり、厚さ方向に直交するように延在する。図1および図2の例では、高さ調整層43は、絶縁層42と複数の熱源100との間に位置している。
高さ調整層43は、圧縮により変形する材料により形成された層である。例えば、厚さ方向において、複数の熱源100の上面の位置にばらつきがある場合、高さ調整層43を複数の熱源100に押し当てて、熱源100同士の厚さ方向の位置に応じて変形させることにより、熱源100の上面とヒートパイプ10との間に隙間(空気の層)が生じないようにできる。これにより、複数の熱源100からの熱をヒートパイプ10へ効率よく伝達させることができる。
厚さ方向から見て、高さ調整層43は接触面拡張プレート41と同等の大きさになっている。なお、複数の熱源100をそれぞれ覆うように複数の高さ調整層43が配置されていてもよい。これにより、高さ調整層43同士を介した熱源100同士の電気短絡を防ぐことができる。
高さ調整層43は、圧縮により変形可能で、かつ熱抵抗の低い材料で形成されることが好ましい。この場合、熱源100で発生した熱をヒートパイプ10へ効率よく伝達することができる。例えば、高さ調整層43は、シリコーンで形成されていてもよい。なお、高さ調整層43を省略してもよい。例えば、複数の熱源100の上面同士の位置が同等である場合や、ヒートパイプ10が厚さ方向に容易に変形可能である場合には、複数の熱源100をヒートパイプ10に直接的に接触させることが可能である。
また、接触面拡張プレート41、絶縁層42、および高さ調整層43が厚さ方向に積層される順番は、この順に限られず、変更してもよい。さらに、絶縁層42および高さ調整層43を配置する代わりに、絶縁性および高さ調整機能の両方を有する材料により形成された層を配置してもよい。このように1層に複数の機能を付与してもよい。
長手方向におけるヒートパイプ10の第1端部10a側に、温度センサー20およびワイヤ部30が配置されている。
温度センサー20は、配置された場所におけるヒートパイプ10の温度を検出する。温度センサー20として、サーミスタや熱電対を用いてもよい。サーミスタは、温度の変化により抵抗値が変化する電子部品である。熱電対は、2種の異なる金属導体で構成された温度センサーである。温度センサー20において検出された温度情報は、電気信号としてワイヤ部30を伝わり、不図示の判定部や記録部に入力される。
温度センサー20は、長手方向において、熱源100とは異なる位置に配置されている。また、ヒートパイプ10の第2面10d側に温度センサー20が配置されている。すなわち、熱源100が配置されている第1面10cと対向する第2面10dに温度センサー20は配置されている。幅方向において、温度センサー20はヒートパイプ10の中央部分に配置されている。
厚さ方向および長手方向において、温度センサー20は熱源100と異なる位置に配置されている。このように、温度センサー20は複数の熱源100からある程度離れた位置に配置される。これにより、温度センサー20が検出する温度への影響として、特定の熱源100からコンテナ13を介して熱伝導によって温度センサー20に伝わる熱よりも、複数の熱源100の全体からコンテナ13内の作動流体を介して温度センサー20に伝わる熱の方が支配的となる。したがって、1つの温度センサー20を用いて、複数の熱源100の温度変化の状況をより確実に検知することが可能となる。また、ヒートパイプ10内の特定の部位において作動液が蒸発しウイック12が乾燥しきってしまった場合でも、温度測定部分が過度に加熱され温度センサー20が故障することを防止できる。
なお、温度センサー20を配置する場所は適宜変更してもよい。例えば、温度センサー20は、ヒートパイプ10の第1面10cに配置されてもよいし、長手方向において熱源100と同じ位置に配置されていてもよい。これらの場合も、複数の熱源100のうちの1つの温度が上昇した場合には、温度センサー20により検出される温度が上昇する。したがって、複数の熱源100のいずれかに異常が発生したことを検出可能である。
温度センサー20には、ワイヤ部30が電気的に接続されている。ワイヤ部30は、温度センサー20で測定した温度データを判定部や記録部へ伝達する。ワイヤ部30は、温度データを伝達可能な金属ワイヤであってもよいし、ポリイミドフィルム上に回路が形成されたFPC(Flexible Printed Circuits)であってもよい。ワイヤ部30としてFPCを用いた場合、温度センサー20が実装されたFPCをヒートパイプ10に接触させることで、温度センサー20とヒートパイプ10とを確実に熱的に接続させることができる。また、FPCは厚みが小さいため、温度測定装置1の厚さ方向の寸法をコンパクトにすることが可能になる。
ワイヤ部30は、ヒートパイプ10の第2面10dにおいて、温度センサー20の近傍に配置されている。図1の例では、ワイヤ部30はヒートパイプ10と温度センサー20との間に配置されている。
ワイヤ部30は接着剤によりヒートパイプ10に接着される。接着剤は、熱源100の熱によりヒートパイプ10が加熱された場合でもコンテナ13とワイヤ部30とを確実に接着でき、かつ熱抵抗が低い材料であることが好ましい。接着剤は、例えばエポシキ接着剤であってもよい。
なお、温度センサー20がヒートパイプ10に接するようにワイヤ部30と温度センサー20が配置されていてもよいし、温度センサー20とヒートパイプ10との間にワイヤ部30以外の構成が配置されていてもよい。また、温度センサー20が内蔵されたFPCを用いてもよい。
温度センサー20による測定データは、電気信号として、ワイヤ部30を介して不図示の判定部や記録部へ出力される。判定部は測定データをもとに、複数の熱源100が正常に動作しているかを判定する。記録部は記録媒体に測定データを記録する。判定部および記録部は、熱源100の作動を制御する制御部(不図示)に判定結果や記録データを出力するよう構成されていてもよい。制御部としては、CPUを用いることができる。判定部および記録部は制御部の内部に設けられてもよいし、制御部の外部に設けられてもよい。
複数の熱源100は、温度測定装置1とコールドプレート50との間に配置されている。熱源100として、例えば半導体や電気化学デバイス(バッテリーセル等)が挙げられるが、その他の動作時に熱を発する機器であってもよい。図1および図2の例では、熱源100は基板101上に実装された半導体である。
熱源100は長手方向に沿って複数並んでいる。複数並んだ熱源100の数や露出面積に応じて、ヒートパイプ10の長さや接触面拡張プレート41の寸法は適宜変更される。また、複数の熱源100の配列や上面の形状に応じて、ヒートパイプ10や接触面拡張プレート41の形状を変更してもよい。
コールドプレート50は、熱源100の下側(熱源100から見て、厚さ方向におけるヒートパイプ10とは反対側)に配置される。図1および図2の例では、コールドプレート50は熱源100が実装された基板101の下側に配置している。コールドプレート50は、長手方向および幅方向に延びる板状に形成されている。コールドプレート50は、例えばアルミニウムなどの金属により形成され、その内部に冷却液の流路が設けられている。
コールドプレート50は、冷却液の流入口51および流出口52を有している。冷却液は、不図示のポンプなどによって流入口51からコールドプレート50内に流入し、流路を通過して、流出口52から流出する。冷却液を流路に流すことで、コールドプレート50に熱的に接続された熱源100を冷却することができる。
<温度測定装置1を用いた温度測定方法>
次に、以上のように構成された温度測定装置1の作用について説明する。
まず、熱源100が発した熱は、高さ調整層43、絶縁層42、および接触面拡張プレート41を介して、ヒートパイプ10に伝わる。この熱により、熱源100の近傍(高温部)においてヒートパイプ10内の作動液が蒸発する。蒸気は、熱源100から離れた低温部に向かって移動し、凝縮する。本実施形態において、低温部は温度センサー20が配置されている第1端部10a側である。低温部で凝縮した作動液は、ウイック12の流路に沿って移動し、再び高温部まで移動する。
このようにヒートパイプ10内を作動流体が循環することで、熱源100からの熱が温度センサー20近傍まで輸送される(熱輸送工程)。また、作動液が蒸気へ、蒸気が作動液へ相変化する際に内部空間11に起こる圧力変化により、作動流体は局所的に停滞することなく内部空間11の全体にわたって循環することになる。
作動流体が循環し続けることで、ヒートパイプ10の温度分布が平衡な状態(温度分布に変化が起こらない状態)になる場合がある。以降、ヒートパイプ10の温度分布が平衡状態になることを定常状態とも呼ぶ。
次に、温度センサー20により、温度センサー20が配置された箇所におけるヒートパイプ10の温度が測定される(温度測定工程)。例えば、定常状態においては、温度センサー20で測定される温度は一定となる。温度センサー20により測定された温度データは、ワイヤ部30を介して判定部へ出力される。
そして、判定工程が行われる。判定工程では、判定部が温度センサー20からの測定データに基づいて、各熱源100が正常に動作しているか否かを判定する。判定部の判定結果は熱源100の制御部へ出力されてもよい。
ここで、複数の熱源100のうち、少なくとも1つにおいて異常があった場合、ヒートパイプ10の温度分布に変化が生じ、定常状態で測定される温度とは異なる温度が温度センサー20により測定される。例えば、複数の熱源100のうち、1つの熱源100で過度な発熱があった場合には、温度センサー20で測定される温度が上昇する。また、複数の熱源100のうち、1つの熱源100の動作が停止し発熱が止まった場合には、温度センサー20で測定される温度が低下する。定常状態における温度からの温度変化ΔTにより、熱源100のいずれかに異常が起こったことを検知することができる。
なお、判定部に温度変化ΔTの閾値が記憶され、定常状態における温度と測定温度との差が閾値を超えた場合、熱源100に異常が発生したと判定するよう設定されていてもよい。また、温度変化の傾向や温度変化の速度などのデータに基づき異常の判定をしてもよい。さらに、判定部により異常が起こったと判定された場合、熱源100の制御部を介して熱源100の作動を停止させてもよい。
ここで、熱源100が電気自動車のバッテリーセルである場合において、バッテリーセルの温度に起因する異常を検知する方法を説明する。
電気自動車に、12個のバッテリーセルをそれぞれ備える20組のモジュールが配置されているとする。従来技術では、1つのバッテリーセルに対して1つの温度センサーが配置されるため、温度センサーを合計240個設置する必要があった。さらに、240個の温度センサーの測定結果を出力するためのワイヤ部を配線する必要があり、温度測定装置が大型化する場合があった。
これに対して、本実施形態の温度測定装置1によれば、1本のヒートパイプ10が12個のバッテリーセルと熱的に接続された状態にすることで、1つの温度センサー20で12個のバッテリーセルの温度変化を測定することができる。すなわち、1組のモジュールに対して1個の温度測定装置1を配置することで複数のバッテリーセルの異常を検知することができる。このように、温度測定装置1によれば、簡易な構成で複数の熱源100の温度変化を測定することが可能で、かつワイヤ部30の配線を簡略化できるため省スペース化が可能となる。
また、異常が起こったバッテリーセルを含むモジュールのみ、電気自動車との電気的な接続を解除するように制御してもよい。これにより、電気自動車の安全性を高めることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の温度測定装置1は、作動流体が封入されたコンテナ13を有するヒートパイプ10と、ヒートパイプ10の温度を検出する温度センサー20と、温度センサー20に接続されたワイヤ部30と、を備え、ヒートパイプ10は、複数の熱源100から熱を受け取る。
この構成では、ヒートパイプ10を複数の熱源100と熱的に接続することで、作動流体の循環が発生し、熱源100から発せられる熱を温度センサー20近傍まで作動流体によって輸送することができる。複数の熱源100のうち、例えばいずれか1つの熱源100の温度が上昇した場合、温度センサー20によって検出されるヒートパイプ10の温度も上昇する。したがって、ヒートパイプ10に接している複数の熱源100のうち、いずれかに異常が発生したことを検出できる。このように、1つの温度センサー20により複数の熱源100の異常を検出することができるため、温度測定装置1を小型化できる。
また、本実施形態の温度測定装置1では、熱源100から温度センサー20までの間の熱の輸送は作動流体により行われる。例えば、単に熱伝導性の高い金属の棒により熱を伝導させる場合、熱の移動に数分かかる場合がある。対して、本実施形態のような作動流体による熱の輸送は、熱伝導による熱の移動速度と比較し格段に速いため、熱源100の温度変化に対する応答速度を速くすることができる。
以上より、上記態様の温度測定装置1によれば、シンプルな構成で、複数の熱源100の異常を素早く検知することができる。
また、温度測定装置1は、複数の熱源100とヒートパイプ10との間に位置する接触面拡張プレート41をさらに備え、ヒートパイプ10は扁平形状であり、接触面拡張プレート41は、ヒートパイプ10の厚さ方向に直交するように延在する板状であってもよい。
これにより、複数の熱源100で発生した熱をヒートパイプ10内へ効率よく伝達することができる。
また、温度測定装置1は、複数の熱源100とヒートパイプ10との間に位置する絶縁層42をさらに備え、ヒートパイプ10は扁平形状であり、絶縁層42は、ヒートパイプ10の厚さ方向に直交するように延在する板状であってもよい。
これにより、ヒートパイプ10や接触面拡張プレート41を介した電気短絡を防ぐことができる。
また、温度測定装置1は、複数の熱源100とヒートパイプ10との間に位置する高さ調整層43をさらに備え、ヒートパイプ10は扁平形状であり、高さ調整層43は、ヒートパイプ10の厚さ方向に直交するように延在する板状であってもよい。
熱源100の上面とヒートパイプ10との間に隙間(空気の層)が生じないようにすることで、複数の熱源100からの熱をヒートパイプ10へ効率よく伝達させることができる。
また、ワイヤ部30はFPCであってもよい。
これにより、温度測定装置1の更なる小型化が可能になる。特に、ヒートパイプ10は厚さ方向の厚みが幅方向の寸法より薄くなるよう構成されているので、FPCと組み合わせた場合、厚さ方向において薄型の温度測定装置1を得ることができる。
また、温度センサー20は、ヒートパイプ10の長手方向における第1端部10aに配置され、ヒートパイプ10の第1端部10a側が、作動流体の蒸気が凝縮する凝縮部となっていてもよい。
これにより、熱源100の熱を効率よく温度センサー20近傍へ輸送することが可能になる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4および図5に、第2実施形態に係る温度測定装置1を示す。本実施形態ではヒートパイプ10の長手方向における第2端部10bに、ヒートシンク60が形成されている点が第1実施形態の温度測定装置1と異なる。なお、ヒートシンク60が形成されたヒートパイプ10により熱源100の冷却が可能であるため、コールドプレート50は配置されていない。
ヒートシンク60は、ヒートパイプ10のコンテナ13の外周面に対して垂直に立設する板状のフィン61を有する。複数のフィン61は、第2端部10bにおいて、ヒートパイプ10の第1面10c、第2面10d、および側面10eに接するように形成されている。フィン61は、例えば、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金などの熱伝導性の良好な金属によって形成されている。
第1実施形態では第1端部10aが凝縮部となっていたが、本実施形態ではヒートシンク60が配置された第2端部10b側が凝縮部となる。以下に、本実施形態における、熱の移動およびヒートパイプ10内の作動流体の循環について、説明する。
熱源100の熱により、熱源100の近傍においてヒートパイプ10内の作動液が蒸発する。蒸気はヒートシンク60が設けられたヒートパイプ10の第2端部10b側へ移動し凝縮する。この際、熱はヒートシンク60へ伝達される。広い表面積を有するフィン61に伝達された熱は、効率よくフィン61から放熱される。さらにファンFからの送風により、より効率よくフィン61から放熱させてもよい。このように、ヒートシンク60による熱源100の冷却が可能となる。
第2端部10b側で凝縮した作動液は、ウイック12の流路に沿って熱源100近傍まで移動し、再び蒸気になる。このように、作動流体は長手方向において熱源100から第2端部10bを主に循環することになる。さらに加えて、主となる循環によって生じる第1端部10a側も含むヒートパイプ10の内側全体の作動流体の循環や、熱源100と第1端部10aとの間の温度差による作動流体の循環も生じる。このような作動流体の循環により、第1端部10a側の温度も熱源100の発熱具合に応じて変化するため、第1端部10aに配置された温度センサー20により熱源100の温度変化を検知することができる。
以上説明したように、本実施形態の温度測定装置1は、ヒートパイプ10の長手方向における第2端部10bに配置されたヒートシンク60をさらに備える。
これにより、1つの温度センサー20により複数の熱源100の温度を測定しつつ、ヒートパイプ10により複数の熱源100を効率よく冷却することが可能になる。また、他に熱源の冷却装置を設置する必要がないため、熱源100を有する装置の小型化が可能になる。
<第3実施形態>
次に、本発明に係る第3実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6および図7に、第3実施形態に係る温度測定装置1を示す。本実施形態では第2実施形態と同様に温度測定装置1のヒートパイプ10の第2端部10bに、ヒートシンク60が形成されている。なお、第2実施形態ではコールドプレート50が配置されていなかったが、本実施形態では熱源100の下側にコールドプレート50が配置されており、ヒートシンク60を備えるヒートパイプ10およびコールドプレート50により熱源100の冷却を行っている。
第2実施形態と同様、ヒートパイプ10の内側における作動流体の循環により、第1端部10aの温度も熱源100の発熱具合に応じて変化するため、第1端部10aに配置された温度センサー20により熱源100の温度変化を検知することができる。
以上説明したように、本実施形態の温度測定装置1は、冷却液の流入口51および流出口52を有するコールドプレート50をさらに備え、コールドプレート50とヒートパイプ10との間に、複数の熱源100が配置されている。
この構成では、コールドプレート50により主に熱源100の冷却を行い、さらに補助冷却装置としてヒートパイプ10を用いることができる。これにより、例えばコールドプレート50の冷却能力以上に熱源100の発熱があり、コールドプレート50の冷却能力を超える熱的な過負荷がかかる場合でも、ヒートパイプ10を補助冷却装置として用いることが可能となる。これにより、冷却能力を向上させつつ、複数の熱源100の温度変化を測定することが可能となる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態または実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1実施形態では、コールドプレート50により熱源100が冷却されていたが、ヒートパイプ10により補助的に熱源100が冷却されていてもよい。
また、第3実施形態では、ヒートパイプ10により補助的に熱源100の冷却を行っているが、熱源100の補助冷却が不要である場合には、ファンFからの送風を停止させてもよいし、送風量の調整を行ってもよい。
また、第1実施形態ではヒートパイプ10の第1端部10a側が作動流体の凝縮部となっており、この凝縮部近傍に温度センサー20が配置されていたが、温度センサー20の位置は凝縮部近傍に限られない。例えば、第2実施形態や第3実施形態のように、ヒートパイプ10の長手方向において、凝縮部とは反対側の端部に温度センサー20が配置されていてもよい。すなわち、第1~第3実施形態にて説明したように、作動流体が循環する作用により複数の熱源100の温度変化を検知可能な位置に、温度センサー20が配置されていればよい。
また、熱源100が動作し始めて、ヒートパイプ10の作動流体の循環が定常状態に達するまでの間に、ヒートパイプ10の熱輸送および冷却能力により温度センサー20により測定される温度にばらつきが生じる場合がある。また、熱源100を有するデバイスの指令により熱源100の動作がより多くの熱を発する状態になる場合もある。すなわち、熱源100の異常ではなく、熱源100の動作状況に応じて熱源100の温度が変化する場合がある。このような場合に、判定部で異常が発生したと判定しないよう、予め熱源100の動作指令に対応して温度変化ΔTの閾値を変更するよう設定してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…温度測定装置、10…ヒートパイプ、10a…第1端部、10b…第2端部、10c…第1面、10d…第2面、10e…側面、11…内部空間、12…ウイック、13…コンテナ、20…温度センサー、30…ワイヤ部、41…接触面拡張プレート、42…絶縁層、43…高さ調整層、50…コールドプレート、51…流入口、52…流出口、60…ヒートシンク、61…フィン、100…熱源、F…ファン

Claims (7)

  1. 作動流体が封入されたコンテナを有するヒートパイプと、
    前記ヒートパイプの温度を検出する温度センサーと、
    前記温度センサーに接続されたワイヤ部と、
    冷却液の流入口および流出口を有するコールドプレートと、を備え、
    前記ヒートパイプは、複数の熱源から熱を受け取り、
    前記コールドプレートと前記ヒートパイプとの間に、前記複数の熱源が配置され
    前記ヒートパイプの厚さ方向および長手方向において、前記温度センサーは前記熱源と異なる位置に配置され、前記温度センサーは配置された場所において前記ヒートパイプの温度を測定する、温度測定装置。
  2. 前記複数の熱源と前記ヒートパイプとの間に位置する接触面拡張プレートをさらに備え、
    前記ヒートパイプは扁平形状であり、
    前記接触面拡張プレートは、前記ヒートパイプの前記厚さ方向に直交するように延在する板状である、請求項1に記載の温度測定装置。
  3. 前記複数の熱源と前記ヒートパイプとの間に位置する絶縁層をさらに備え、
    前記ヒートパイプは扁平形状であり、
    前記絶縁層は、前記ヒートパイプの前記厚さ方向に直交するように延在する板状である、請求項1または2に記載の温度測定装置。
  4. 前記複数の熱源と前記ヒートパイプとの間に位置する高さ調整層をさらに備え、
    前記ヒートパイプは扁平形状であり、
    前記高さ調整層は、前記ヒートパイプの前記厚さ方向に直交するように延在する板状である、請求項1から3のいずれか1項に記載の温度測定装置。
  5. 前記ワイヤ部はFPCである、請求項1から4のいずれか1項に記載の温度測定装置。
  6. 前記温度センサーは、前記ヒートパイプの前記長手方向における第1端部に配置され、
    前記ヒートパイプの前記第1端部側が、前記作動流体の蒸気が凝縮する凝縮部となっている、請求項1から5のいずれか1項に記載の温度測定装置。
  7. 前記ヒートパイプの前記長手方向における第2端部に配置されたヒートシンクをさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の温度測定装置。
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