JP7638904B2 - 小麦全粒粉を含有するパスタ類 - Google Patents

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Description

本発明は、小麦全粒粉を含有するパスタ類に関する。具体的には、茹で上げた際に小麦特有の風味を有し、ふすま臭やエグミを感じづらく、かつ、ぼそつきのない、小麦全粒粉を含有するパスタ類に関する。
パスタ類は小麦を主体とした麺原料に水を添加し混捏して麺生地を得、該麺生地を麺線に加工することで製造されている。そのようにして製造されたパスタ類は、麺線表面が滑らかで、適度な弾力を有しているのが特徴である。近年、消費者からは、より小麦の風味を感じられ、尚且つ、健康意識の高まりから、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素に富むふすまや胚芽を含んだ小麦全粒粉を用いて製造したパスタ類の需要が増している。
小麦全粒粉とは、精選した小麦粒を任意に調質した後、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を使用してまるごと粉砕し、表皮、胚芽、胚乳を含む小麦粒全てを粉にしたもの、あるいは、精選した小麦粒を任意に調質した後、ロールミルで複数回粉砕して胚乳の微粒画分(小麦粉、以下「胚乳画分」という)、胚芽画分、胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま)を含む粗粒画分に分画し、胚芽画分及び/又は粗粒画分をそのまま又はピンミル、ハンマーミル、ジェットミル、グラインダーミル等の粉砕機を使用して微粉砕するなどして胚芽画分及び小麦ふすま画分を得たのち、胚乳画分、胚芽画分及び小麦ふすま画分を小麦粒における構成比で混合して得られるものである。小麦全粒粉は栄養素を豊富に含む一方で、ふすま臭やエグミがあり、パスタに使用すると脆くぼそついた食感となるため、パスタとしてのおいしさに欠けるという問題があった。
小麦全粒粉を使用したパスタに関しては、種々検討されている。例えば、特許文献1では、平均粒径が60~100μmで且つ粒径200μm以下の粒を90質量%以上含むデュラム小麦粉80~98質量%、並びに穀類全粒粉、穀類粒の外皮部及び穀類粒の胚芽からなる群から選択される1種以上を含む粒径60~80μmの微粉原料(但し焙焼したものを除く)を2~20質量%含有したパスタの製造方法が開示されており、風味に優れ、喫食した際に小麦などの穀類の風味が口腔に広がるような風味豊かな麺類が提供されると記載されている。しかし、特定のデュラム小麦粉を麺原料として用いる必要があり、パスタ製造で一般的に使用されるデュラム小麦のセモリナなどを用いた場合に、良好な風味、食感を有するパスタの製造方法については言及されていなかった。
特許文献2では、粒径180μm未満の微粒子を30~90質量%含有する微粉画分と、粒径180μm以上の粗粒子を10~70質量%含有する粗粉画分とを含んで構成されている小麦全粒粉を含む穀類原料で製造した麺類の製造方法が開示されており、栄養的に優れた特徴を有しつつも、滑らかな麺線表面と良好な粘弾性とを有していて食感に優れ、且つ喫食時の麺のほぐれが良好な麺類が得られると記載されている。しかし、小麦などの穀類の風味を得られることには言及がなく、また、粗粉砕した後に、分級し、粗い画分を微粉砕し、細かい画分と混合するといった、工程が複雑で、かつ設備も複数必要であるという問題があった。
特開2015-226527号公報 特開2017-225464号公報
本発明は、茹で上げた際に小麦特有の風味を有し、ふすま臭やエグミを感じづらく、かつ、ぼそつきのない、小麦全粒粉を含有するパスタ類又は小麦粉と小麦ふすまを含有するパスタ類を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物を少なくとも含むパスタ類であって、前記胚乳画分が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の胚乳画分(GA-SX小麦粉)からなり、前記パスタ類に含まれる穀粉原料の全質量に対して、前記混合物の質量が2~50質量%であり、かつ前記混合物の質量に対する小麦ふすま画分の質量が0.2~20質量%である、上記パスタ類により、茹で上げた際に小麦特有の風味を有し、ふすま臭やエグミを感じづらく、かつ、ぼそつきのない、小麦全粒粉を含有するパスタ類を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物を少なくとも含むパスタ類であって、
前記胚乳画分が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の胚乳画分(GA-SX小麦粉)からなり、
前記パスタ類に含まれる穀粉原料の全質量に対して、前記混合物の質量が2~50質量%であり、かつ前記混合物の質量に対する小麦ふすま画分の質量が0.2~20質量%である、上記パスタ類。
[2]前記混合物がGBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の全粒粉(GA-SX小麦全粒粉)である、[1]記載のパスタ類。
[3]前記GA-SX小麦全粒粉が、GA-SA小麦全粒粉である、[2]記載のパスタ類。
[4]前記小麦ふすま画分が、普通小麦の小麦ふすま画分を含み、又は普通小麦の小麦ふすま画分からなる、[1]記載のパスタ類。
[5]前記混合物が、さらに普通小麦の胚芽画分を含み、胚乳画分:小麦ふすま画分:胚芽画分の質量比が81~85:12~15:1~3である、[1]又は[4]記載のパスタ類。
[6]胚乳画分がGBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の胚乳画分からなる全粒粉(GA-SX小麦全粒粉)を含むパスタ類であって、パスタ類用穀粉原料の全量に対して前記GA-SX小麦全粒粉を2~50質量%含む、前記パスタ類。
[7]GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SX小麦粉)と普通小麦の小麦ふすまを含むパスタ類であって、パスタ類用穀粉原料の全量に対して前記GA-SX小麦粉と前記普通小麦の小麦ふすまを合計で2~50質量%含み、かつ、前記GA-SX小麦粉と前記普通小麦の小麦ふすまの合計に対して前記普通小麦の小麦ふすまを20質量%以下で含む、前記パスタ類。
本発明によれば、茹で上げた際に小麦特有の風味を有し、かつ、ふすま臭やエグミを感じづらく、食感はぼそつきのない全粒粉又はふすまを含有するパスタ類を得ることができる。
本発明のパスタ類の1つの実施態様は、小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物を少なくとも含むパスタ類であって、前記胚乳画分が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の胚乳画分(GA-SX小麦粉)からなり、前記パスタ類に含まれる穀粉原料の全質量に対して、前記混合物の質量が2~50質量%であり、かつ前記混合物の質量に対するふすま部分由来の小麦粉の質量が0.2~20質量%である、上記パスタ類である。
本発明において、小麦粒粉砕物の「胚乳画分」、「小麦ふすま画分」及び「胚芽画分」はそれぞれ小麦粒の胚乳部分由来の粉砕物、小麦ふすま部分由来の粉砕物及び胚芽部分由来の粉砕物を意味する。
小麦粒は、胚乳、胚芽及び胚乳よりも外層の部分からなる。胚乳よりも外層の部分とは、胚乳と接するアリューロン層から最外層に至る部分を指し、胚乳側からアリューロン層、珠心層、種皮、管状細胞、横細胞、下皮、表皮から構成される(各層は別称されることがある)。外皮は、珠心層から表皮に至る6層から構成され、ふすまと称されることがある。果皮は、管状細胞から表皮に至る4層から構成される。アリューロン層は、胚乳と外皮とを隔てている、澱粉を含まず、タンパク質や脂質、灰分(ミネラル)を多く含む特殊な層である。小麦粒における外皮、アリューロン層及び胚乳の構成割合は、それぞれ重量比率で小麦粒の6~8%、6~7%及び81~85%である。製粉工程において、アリューロン層は外皮(ふすま)と共に胚乳から分離されるので、本発明において、胚乳から分離された胚乳よりも外層の部分を「小麦ふすま」とし、外皮を意味する場合の「ふすま」とは区別する。また胚乳部分を製粉したものを「小麦粉」とする。なお、小麦粒における胚乳、胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま)及び胚芽の構成割合は、生育条件や品種等により多少の増減はあるものの、おおよそ83:15:2の割合とされている。
本発明のパスタ類において、小麦粒粉砕物の胚乳画分は、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の胚乳画分(GA-SX小麦粉)からなる。
普通系コムギは、異質6倍体であり、その染色体には同祖染色体であるA、B、Dの3つのゲノムがそれぞれ1~7番まで存在する(1A~7A、1B~7B、1D~7D)。
「GBSSI」とは、アミロースの合成に関与する顆粒結合性澱粉合成酵素であり、GBSSI-A1、GBSSI-B1、GBSSI-D1が、それぞれ7A、4A、7D染色体上に座乗する遺伝子によってコードされている。
「SSIIa」とは、アミロペクチンの分岐鎖合成に関与する澱粉合成酵素であり、SSIIa-A1、SSIIa-B1、SSIIa-D1が、それぞれ7A、7B、7D染色体上に座乗する遺伝子によってコードされている。
「酵素活性を欠損する」とは、コムギ植物体内で正常な酵素活性を有するタンパク質が機能していないこと、好ましくは正常な酵素活性を有するタンパク質が発現していないことをいう。具体的には、遺伝子配列の変異(一つ又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、逆位、転座などの変異をいい、遺伝子領域全体の欠失も含む)、mRNA転写の欠損、タンパク質翻訳の欠損、コムギ植物体内での酵素活性の阻害などの態様が挙げられ、野生型の酵素活性の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは1%未満にまで酵素活性が低下ないし欠失していれば、いずれの態様であってもよい。
GA-SX小麦粉としては、酵素活性を欠損した2種類のSSIIaの組み合わせにより、以下のコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉が挙げられる。
GA-SA小麦:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギ;
GA-SB小麦:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-B1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-A1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギ;
GA-SD小麦:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-D1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-A1及びSSIIa-B1の酵素活性を欠損したコムギ。
またGA-SX小麦粉は、好ましくは、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SA小麦粉)である。
本発明のパスタ類において、小麦ふすま画分は、普通小麦の小麦ふすま画分を含むか、又は普通小麦の小麦ふすま画分からなる、画分であってもよい。小麦ふすま画分はGA-SX小麦由来の画分であってもその他の小麦(軟質、硬質を含む普通小麦)由来のものであっても良いが、好ましくはGA-SX小麦由来の画分である。
本発明において、小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物が、さらに普通小麦の胚芽画分を含んでいても良く、好ましくは胚乳画分:小麦ふすま画分:胚芽画分の質量比が81~85:12~15:1~3である。胚芽画分はGA-SX小麦由来であってもその他の小麦(軟質、硬質を含む普通小麦)由来のものであっても良いが、好ましくはGA-SX小麦由来である。
本発明において、小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物はGA-SX小麦全粒粉であっても良い。
小麦全粒粉とは、一般的には小麦粒の胚乳、胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま)、胚芽の各構成成分の粉末が、小麦粒における各構成割合(胚乳:胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま):胚芽=83:15:2)と略同一の構成割合で含まれるものである。本発明において、小麦全粒粉における胚乳:胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま):胚芽の構成割合は、好ましくは81~85:12~15:1~3、より好ましくは83:15:2である。
このような小麦全粒粉は、製粉工程において、胚乳と胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま)と胚芽とを分離することなく全てを粉砕して得ることができ(製造方法1)、ないしは、胚乳の微粒画分(小麦粉、「胚乳画分」に相当)と、胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま)の粗粒画分(「小麦ふすま画分」に相当)と胚芽画分とに分画し、任意に小麦ふすま画分及び/又は胚芽画分を更に微粉砕した後に、胚乳画分、小麦ふすま画分及び胚芽画分を混合して得ることもできる(製造方法2)。製造方法2の場合、胚乳画分、小麦ふすま画分及び胚芽画分の各画分は同一の品種又は銘柄の小麦に由来してもよく(例えば全ての画分の由来がGA-SX小麦)、異なる品種又は銘柄の小麦由来であってもよい(例えば各画分の由来がそれぞれGA-SX小麦、DNS、WW)。
具体的には、製造方法1では、精選した小麦粒を任意に調質し、ピンミルやジェットミル等の衝撃式粉砕機で粉砕して全粒粉を得ることができる。製造方法2では、精選した小麦粒を任意に調質し、ロール粉砕機等で粉砕した後シフター等で分画し、大きな小麦ふすま断片が含まれる小麦ふすま画分を任意に調質してピンミル、ジェットミル、グラインダーミル等で微粉砕したものと、小麦粉(胚乳画分)と、任意に微粉砕した胚芽画分とを混合して全粒粉を得ることができる。胚芽及び胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま)は、タンパク質やミネラル、食物繊維等の成分を豊富に含有している。なお、市販されている小麦ふすま製品(例えば日本製粉株式会社「小麦ふすま」等)は、製粉工程で分画した胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま)を含む粗粒画分であり、本発明における小麦ふすまに加えて少量の小麦粉や胚芽が混入する。
GA-SX小麦全粒粉としては、胚乳画分が、酵素活性を欠損した2種類のSSIIaの組み合わせにより、以下のコムギの収穫物由来の胚乳画分からなる小麦全粒粉が挙げられる。
GA-SA小麦:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギ;
GA-SB小麦:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-B1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-A1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギ;
GA-SD小麦:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-D1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-A1及びSSIIa-B1の酵素活性を欠損したコムギ。
GA-SX小麦全粒粉は、好ましくは、胚乳画分が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の胚乳画分からなる、小麦全粒粉(GA-SA小麦全粒粉)である。
本発明において、GA-SX小麦全粒粉はその胚乳画分がGA-SX小麦由来の胚乳画分であればよく、小麦ふすま画分と胚芽画分についてはGA-SX小麦由来であってもその他の小麦(軟質、硬質を含む普通小麦)由来のものであっても良い。好ましくはGA-SX小麦全粒粉は胚乳画分、小麦ふすま画分、胚芽画分のすべてがGA-SX小麦由来である。
本発明のパスタ類の原料穀粉には、前述のGA-SX小麦由来の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物、GA-SA全粒粉に加え、さらにデュラム小麦のセモリナや、求める食感及び品質に応じ、デュラム小麦、普通小麦(硬質系、軟質系)から得られる小麦粉(セモリナよりも粒度が細かいもの)を含んでいてもよい。なおGA-SX小麦は普通小麦に含まれる。また、デュラム小麦は異質4倍体のコムギ属の作物であり、普通小麦とは区別される。
本発明において、デュラム小麦のセモリナは、デュラム品種の硬質小麦を製粉して得られる、パスタ類の製造に使用する標準的な原料粉である。「セモリナ」とはデュラム小麦などの硬質小麦の製粉工程において得られる比較的粒度の粗い状態の胚乳の粉砕物を指し、一般に目開き約300μmの篩を抜けない程度の粗さのものをいう。
本発明において「小麦粉」は小麦の胚乳部分を製粉したものであってセモリナよりも粒度が細かいものを意味し、セモリナとは区別される。
本発明において、GA-SX小麦粉以外の他の小麦粉としてはGA-SX小麦以外の小麦から製粉した小麦粉であれば特に限定はない。例えば、GBSSI(GBSSI-A1、GBSSI-B1及びGBSSI-D1)及びSSIIa(SSIIa-A1,SSIIa-B1及びSSIIa-D1)の6種の酵素活性の欠損の組み合わせ(ただし、GA-SXを除く)で酵素活性を欠損した小麦並びにGBSSI及びSSIIaの何れの酵素活性も欠損していない小麦から製粉した小麦粉が挙げられる。あるいは一般に使用される、強力粉、中力粉、薄力粉、及びそれらの混合物であってよい。
パスタ類原料穀粉全量に対する小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物又はGA-SX小麦全粒粉の含有量は2~50質量%であり、好ましくは5~40質量%であり、更に好ましくは10~35質量%である。2質量%未満では、全粒粉特有の風味を得られず、デュラムセモリナのみで製造したパスタと大差がない。50質量%を超えると、ふすま臭とエグミのために風味が悪くなり、ぼそついた食感になる。
また小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物の質量に対する小麦ふすま画分の質量は20質量%以下であり、好ましくは0.2~20質量%であり、より好ましくは0.3~19質量%、さらに好ましくは0.8~18質量%であり、さらにより好ましくは5.0~17質量%、なお好ましくは10~16質量%、最も好ましくは12~15質量%である。
デュラム小麦のセモリナの含有量は、デュラム小麦のセモリナと小麦粉とからなるパスタ類原料穀粉全量に対して好ましくは65~98質量%、さらに好ましくは70~97質量%、最も好ましくは80~90質量%である。
本発明におけるパスタ類とは、ロングパスタ(スパゲッティ、リングイーネ、フィットチーネ、ブカティーニ、キターラ、バーミセル、スペルチーニ、タリアッテレ等)、ショートパスタ(マカロニ、ペンネ、リガトーニ、コンキリエ、ファルファッレ、フジッリ等)、シートパスタ(ラザーニャ、マルタリアーティ、コルツェッティ等)、詰め物パスタ(ラヴィオリ等)など公知のパスタであれば何れであってもよい。また、本発明のパスタは、生パスタ、乾燥パスタに加え、加熱調理済みチルド保存パスタ、加熱調理済み冷凍保存パスタとすることができる。
本発明のパスタ類は、原料に本願所定の小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物を所定量用いる以外は、従来の製法により得ることができる。例えば、乾燥パスタ類であれば、デュラム小麦のセモリナ、GA-SX小麦全粒粉並びに任意に硬質及び/又は軟質小麦粉とからなる穀粉原料100質量部に26~30質量部の水を添加混合して水和生地を調製し、真空ミキサーで脱気しつつマカロニ類成形機から50~200barで押し出した後、切断し、定法の調湿乾燥により水分13%以下まで乾燥させ、必要に応じて長さを切り揃えて製造することができる。生パスタ類であれば、前記穀粉原料100質量部に33~37質量部の水を添加混合して水和生地を調製し、真空ミキサーで脱気しつつマカロニ類成形機から50~200barで押し出したものを切り揃えて製造することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<製造例1:乾燥パスタの製造>
(1)パスタ類用穀粉原料100質量部に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(2)水和生地を真空ミキサーで約80kpaの真空度で脱気しつつ、マカロニ類成形機にて孔径約1.9mmのロングパスタ用ダイスから100bar前後で押出し、生パスタ麺線を得た。これを竿にかけ、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、長さ25cmに裁断して直径1.7mm程度の乾燥ロングパスタを得た。
<製造例2:小麦全粒粉の製造>
小麦を精選し、加水・調質せずに衝撃式微粉砕機(西村機械製作所製 商品名「SPM-R200」)で粉砕し、小麦全粒粉を得た。
なお、小麦粒における胚乳、胚乳よりも外層の部分(小麦ふすま)及び胚芽の構成割合は、生育条件や品種等により多少の増減はあるものの、おおよそ83:15:2の割合とされており、以下の試験例において「小麦全粒粉」に占める小麦ふすま画分の割合は15質量%とみなす。
<試験例1 乾燥パスタの食感および風味に与えるGA-SA小麦全粒粉の影響(茹でパスタ)>
デュラム小麦のセモリナとGA-SA小麦全粒粉、及び普通小麦全粒粉を表1記載の割合にした以外は製造例1に従って乾燥パスタを製造した。デュラム小麦のセモリナには日本製粉株式会社製「ジョーカーA」を、普通小麦全粒粉には日本製粉株式会社の「FH全粒粉」を使用した。それらを沸騰湯浴中に投入して茹で歩留が240%になるよう茹で上げ、茹で直後の食感を熟練パネラー10名により評価基準表1に従って評価した。
なお、官能評価において、比較例として、デュラム小麦のセモリナのみを使用して製造例1に従って製造した小麦全粒粉を含まない標準的な乾燥パスタの風味を3点、ぼそつき感を5点とした。普通小麦の全粒粉を20%配合したパスタ(従来の全粒粉パスタ)のぼそつきを3点とした。結果を表1に示す。
評価基準表
Figure 0007638904000001
Figure 0007638904000002

Figure 0007638904000003
普通小麦全粒粉およびGA-SA小麦全粒粉ともに全粒粉を2質量%配合したパスタでは、対照のデュラム小麦のセモリナのみを使用したパスタと風味において大差は感じられなかったが、GA-SA小麦全粒粉を使用したパスタのぼそつきは普通小麦全粒粉を使用したパスタのぼそつきよりもわずかながらも良好であった(実施例1-1)。実施例1-2~1-6においては、GA-SA小麦全粒粉が20質量%をピークに良好な小麦の風味が感じられた。比較例2~7では、普通小麦全粒粉が10質量をピークに小麦の風味が感じられたが、30質量%を超えると使用量に依存してふすま臭とエグミが強く感じられるようになり、ぼそつきは使用量の増加に伴って感じられるようになったが、GA-SA小麦全粒粉を使用したパスタでは同量の普通小麦全粒粉を使用したパスタよりもぼそつきが抑制されており、GA-SA小麦全粒粉を50質量%使用した実施例1-7であっても基準とした全粒粉パスタである比較例4とほぼ同等であった。
<試験例2:乾燥パスタの食感に与えるGA-SA小麦全粒粉の影響(チルド保管後の評価)>
試験例1で用いたのと同じ乾燥パスタを茹で歩留が240%になるよう茹で上げ、冷水で冷やし、麺さばき用の油を茹で麺100質量部に対し2質量部和えたものを、樹脂製容器に200gを盛り付けて密封包装し、4℃で24時間保存した。500Wで2分間レンジアップし、熟練パネラー10名により評価した。結果を表2に示す。3点及び5点の基準評価点は試験例1と同様である。
Figure 0007638904000004

Figure 0007638904000005
その結果、チルド小麦全粒粉パスタの評価は、試験例1と同様の傾向であり、普通小麦全粒粉およびGA-SA小麦全粒粉ともに全粒粉を2質量%配合したパスタでは、対照のデュラム小麦のセモリナのみを使用したパスタと大差は感じられなかったが、GA-SA小麦全粒粉を使用したパスタのぼそつきは普通小麦全粒粉を使用したパスタのぼそつきよりもわずかながらも良好であった(実施例2-1)。実施例2-2~2-6においては、GA-SA小麦全粒粉が20質量%をピークに良好な小麦の風味が感じられた。比較例2-2~2-7では、普通小麦全粒粉が10質量をピークに小麦の風味が感じられたが、30質量%を超えると使用量に依存してふすま臭とエグミが強く感じられるようになり、ぼそつきは使用量の増加に伴って感じられるようになったが、GA-SA小麦全粒粉を使用したパスタでは同量の普通小麦全粒粉を使用したパスタよりもぼそつきが抑制されており、GA-SA小麦全粒粉を50質量%使用した実施例2-7であっても基準とした全粒粉パスタである比較例2-4とほぼ同等であった。
<試験例3:GA-SA小麦粉と小麦ふすまを含有するパスタ>
パスタ原料として70質量部のデュラム小麦のセモリナ、24.6質量部のGA-SA小麦粉又は普通小麦粉(ニップン北海道、日本製粉株式会社)及び5.4質量部の小麦ふすま自家調製品(83%が小麦ふすまで、残余が小麦粉に相当、普通小麦の小麦ふすま4.5質量部を含んでいる)を用いた以外は試験例1に従って茹でパスタを得て評価した(実施例5又は比較例5に相当)。なお、使用した小麦ふすまを含む粗粒画分の歩留は18質量%(小麦穀粒を製粉して分画し、得られた小麦ふすまを含む粗粒画分が粉砕物全量に対して18質量%)であり、微量の小麦粉が混入しているものであった。
その結果、GA-SA小麦粉を使用して製造したパスタは、ぼそつきがなく、小麦の風味があり、実施例1-5と同等の評価であった。それに対して普通小麦粉を使用して製造したパスタは、比較例1-5と同等で、ぼそつきがあり、ややふすま臭とエグミがあった。
以上の結果から、小麦全粒粉パスタ又は小麦ふすま含有パスタを製造するにあたり、普通小麦の全粒粉に換えてGA-SA小麦全粒粉を使用するか、又は普通小麦粉に換えてGA-SA小麦粉を使用することで、小麦の風味が増し、且つ、ぼそつきを顕著に抑制できることが分かった。本発明の全粒粉パスタは、加工形態に関わらず、各種のソース等を絡めるなどした加熱調理済みパスタやその冷凍パスタ等にも適用することができる。

Claims (5)

  1. 小麦粒粉砕物の胚乳画分及び小麦ふすま画分を含む混合物、並びにデュラム小麦のセモリナを含むパスタ類であって、
    前記胚乳画分が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の胚乳画分(GA-SX小麦粉)からなり、
    前記パスタ類に含まれる穀粉原料の全質量に対して、前記混合物の質量が40質量%であり、前記デュラム小麦のセモリナの質量が60~95質量%であり、かつ前記混合物の質量に対する小麦ふすま画分の質量が0.2~20質量%である、上記パスタ類。
  2. 前記混合物がGBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物由来の全粒粉(GA-SX小麦全粒粉)である、請求項1記載のパスタ類。
  3. 前記GA-SX小麦全粒粉が、GA-SA小麦全粒粉である、請求項2記載のパスタ類。
  4. 前記小麦ふすま画分が、普通小麦の小麦ふすま画分を含み、又は普通小麦の小麦ふすま画分からなる、請求項1記載のパスタ類。
  5. 前記混合物が、さらに普通小麦の胚芽画分を含み、胚乳画分:小麦ふすま画分:胚芽画分の質量比が81~85:12~15:1~3である、請求項1又は4記載のパスタ類。
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