JP7639277B2 - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びタイヤに関する。
自動車用タイヤには、ウェットグリップ性能等の種々の性能が要求され、例えば、特許文献1には、シリカ、シランカップリング剤、液状樹脂等を配合することで、ウェット操縦安定性等を改善する技術が提案されている。しかしながら、近年、安全性等の観点から、特に、高温でのウェット路面における操縦安定性を改善することが望まれている。
特開2007-186567号公報
本発明は、前記課題を解決し、高温でのウェット路面における操縦安定性を向上するタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、膨潤圧縮法により求められるモノスルフィド結合の架橋密度(νM)及び全架橋密度(νT)が下記式(1)を満たし、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
(1)νM/νT≧0.20
下記式を満たすことが好ましい。
νM/νT≧0.25
下記式を満たすことが好ましい。
νM/νT≧0.30
下記式を満たすことが好ましい。
νM≧1.0×10-5mol/cm
ゴム成分100質量部に対する充填材の含有量が5~200質量部、シリカ100質量部に対する前記有機珪素化合物の含有量が0.1~20質量部であることが好ましい。
充填材100質量%中のシリカ含有率が30質量%以上であることが好ましい。
ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が30質量%以上であることが好ましい。
ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が50~90質量%、ブタジエンゴムの含有量が10~40質量%であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対するジアルキルジチオリン酸化合物の含有量が0.1~10質量部であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対する硫黄の含有量が5.0質量部以下であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対する硫黄の含有量が1.0質量部以下であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が5~30質量部であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対するシリカ及び可塑剤の含有量が下記式を満たすことが好ましい。
2.4≦シリカの含有量/可塑剤の含有量≦4.0
ゴム成分100質量部に対するシリカ及び樹脂の含有量が下記式を満たすことが好ましい。
10≦シリカの含有量/樹脂の含有量≦20
本発明はまた、前記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤに関する。
本発明によれば、膨潤圧縮法により求められるモノスルフィド結合の架橋密度(νM)及び全架橋密度(νT)が前記式(1)を満たし、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物であるので、高温でのウェット路面における操縦安定性を向上できる。
本発明は、膨潤圧縮法により求められるモノスルフィド結合の架橋密度(νM)及び全架橋密度(νT)が前記式(1)を満たし、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物である。前記ゴム組成物は、高温でのウェット路面における操縦安定性に優れている。すなわち、タイヤ(トレッド等)が高温になった場合において良好なウェット路面での操縦安定性が得られるという効果を奏するものであり、例えば、気温が高温であることにより直接的にタイヤが高温になる場合、気温が高温であることに起因して路面が高温になり、結果、タイヤが高温になる場合、気温に関係なく、高速走行することにより高温になる場合など、タイヤ(トレッド等)が高温になる任意の場合に当該効果が得ることが可能である。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
シランカップリング剤としてアルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物、すなわち、長鎖シランカップリング剤を用いることで、シリカの分散が促進される為、ゴム相内のポリマー間の距離が均一になる。更に、「モノスルフィド結合の架橋密度(νM)/全架橋密度(νT)≧0.20」、すなわち、比較的短いモノ架橋比率を高くすることにより、シリカ界面はフレキシブルになり、微小変形での追従性を生じると共に、十分な発熱性を得ることができる。加えて、熱に対してモノ架橋は強い為、連続した走行により、発熱が生じても変化が少なく、ゴム全体の応力の低下を防ぐことが可能となる。従って、高温でのウェット路面における操縦安定性が顕著に改善されると推察される。
前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、膨潤圧縮法により求められるモノスルフィド結合の架橋密度(νM(mol/cm))及び全架橋密度(νT(mol/cm))が下記式(1)を満たす。
(1)νM/νT≧0.20
高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、νM/νTは、0.25以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、0.33以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、0.50以下が好ましく、0.45以下がより好ましく、0.43以下が更に好ましく、0.41以下が特に好ましい。
前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、膨潤圧縮法により求められるモノスルフィド結合の架橋密度(νM(mol/cm))が下記式を満たすことが好ましい。
νM≧1.0×10-5mol/cm
νMは、1.2×10-5mol/cm以上が好ましく、1.3×10-5mol/cm以上がより好ましく、1.4×10-5mol/cm以上が更に好ましく、1.5×10-5mol/cm以上が特に好ましい。上限は、3.5×10-5mol/cm以下が好ましく、3.0×10-5mol/cm以下がより好ましく、2.8×10-5mol/cm以下が更に好ましい。
前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、膨潤圧縮法により求められる全架橋密度(νT(mol/cm))が下記式を満たすことが好ましい。
νT≧4.0×10-5mol/cm
νTは、4.4×10-5mol/cm以上が好ましく、4.7×10-5mol/cm以上がより好ましく、4.9×10-5mol/cm以上が更に好ましく、5.0×10-5mol/cm以上が特に好ましい。上限は、8.0×10-5mol/cm以下が好ましく、7.0×10-5mol/cm以下がより好ましく、6.5×10-5mol/cm以下が特に好ましい。
なお、前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)において、モノスルフィド結合の架橋密度、全架橋密度は、中内秀雄、外4名、「日本ゴム協会誌」、1987年、第60巻、第5号、p.267-272に記載の膨潤圧縮法、すなわち、LiAlHやプロパン2-チオールといった試薬で選択的に架橋を切断し、その前後での膨潤度から、Flory-Rehnerの式を用いて、モノスルフィド結合(R-S-R)の架橋密度、全架橋密度を算出する方法により求めることができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)のνM、νTは、硫黄量の調整、加硫促進剤量の調整、ジアルキルジチオリン酸化合物の配合、前記有機珪素化合物の配合などの方法により調整が可能である。具体的には、νMは、ジアルキルジチオリン酸化合物を配合すること、前記有機珪素化合物を配合すること、硫黄量に対して促進剤の比率を上げることなどの方法により、値が大きくなる傾向がある。νTは、硫黄を増量すること、加硫促進剤を増量することなどの方法により、値が大きくなる傾向がある。
(ゴム成分)
ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、SBR、BRがより好ましい。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは8.0質量%以上、更に好ましくは10.0質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは35.0質量%以下、更に好ましくは30.0質量%以下、特に好ましくは28.0質量%以下、最も好ましくは27.0質量%以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
SBRのビニル結合量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上、最も好ましくは50質量%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。また、SBRとして、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。また、BRは、水素添加ブタジエン重合体(水添BR)も使用可能である。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。上限は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
(シリカ)
ゴム組成物には、充填材としてシリカが配合される。使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは250m/g以下、より好ましくは220m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内にすることで、ウェット路面における高速旋回性能が向上する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは60質量部以上、特に好ましくは70質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
(シランカップリング剤)
ゴム組成物に使用されるシランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むものである。このような有機珪素化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記有機珪素化合物のなかでも、下記平均組成式(I)で表される有機珪素化合物が好ましい。
Figure 0007639277000001
(式中、xは、硫黄原子の平均個数を表し、3.5以上である。mは、6以上の整数を表す。R~Rは、同一若しくは異なって炭素数1~6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、R~Rの少なくとも1つ及びR~Rの少なくとも1つが前記アルコキシ基である。なお、R~Rは、前記アルキル基又は前記アルコキシ基が結合した環構造を形成したものでもよい。)
xは、前記有機珪素化合物の硫黄原子の平均個数を表す。xは、3.5以上12以下が好ましい。ここで、硫黄原子の平均個数、珪素原子の個数は、蛍光X線により組成物中の硫黄量、珪素量を測定しそれぞれの分子量より換算した値である。
mは、6以上の整数を表し、好ましくは6以上14以下である。
アルキル基(R~R)の炭素数に関し、好ましくは炭素数1以上5以下である。アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
アルコキシ基(R~R)は、好ましくは炭素数1以上5以下である。アルコキシ基中の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基等が挙げられる。
~Rの少なくとも1つ及びR~Rの少なくとも1つが炭素数1~6のアルコキシ基であり、好ましくは、R~R、R~Rのそれぞれ2つ以上が炭素数1~6のアルコキシ基である。
なお、R~Rは、炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基が結合した環構造を形成したものでもよい。例えば、(i)Rがエトキシ基、Rがメチル基が結合した環構造、(ii)Rがエチル基、Rがメチル基が結合した環構造、を形成する場合、それぞれ、R及びRで「-O-C-CH-」、「-C-CH-」という2価の基が形成され、Siに結合した構造が挙げられる。
前記有機珪素化合物は、例えば、特開2018-65954号公報に記載の製造方法で調製できる。具体的には、特開2018-65954号公報に記載の式(I-1)のハロゲン基含有有機珪素化合物、及びNaSで表される無水硫化ソーダ、更に必要により硫黄を反応させることにより、前記有機珪素化合物を製造することが可能である。上記反応を行う際、スルフィド鎖の調整のため、硫黄の添加は任意であり、所望の平均組成式(I)の化合物となるように、平均組成式(I-1)の化合物と無水硫化ソーダと必要により硫黄との配合量から決定すればよい。例えば、平均組成式(I)の化合物のxを3.5にしたい場合、無水硫化ソーダ1.0molと、硫黄2.5molと、式(I-1)の化合物2.0molとを反応させればよい。
そして、シランカップリング剤としてアルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物、すなわち、長鎖シランカップリング剤を用いると、化合物中のアルコキシ基がシリカ表面の水酸基と反応することで、シリカ表面を疎水化し、かつ該化合物の炭素鎖が長いことに起因して従来のシランカップリング剤よりも疎水化の影響が大きくなるため、シリカの分散性が顕著に向上する。また、長鎖構造によるシリカの均一分散により、ゴム相内のポリマー間の距離を均一にすることも可能となる。更に前記のとおり、比較的短いモノ架橋比率が高いことで、微小変形での追従性を生じると共に、十分な発熱性を得ることができ、更に、連続走行により発熱が生じても変化が少なく、ゴム全体の応力の低下も防止できる。従って、このような長鎖シランカップリング剤を用いることで、高温でのウェット路面における操縦安定性を顕著に改善できる。
ゴム組成物において、前記有機珪素化合物の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。なお、前記平均組成式(I)で表される有機珪素化合物の含有量も同様の範囲が望ましい。
ゴム組成物は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物以外の他のシランカップリング剤を含んでもよい。
他のシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量(前記有機珪素化合物、他のシランカップリング剤の総量)は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
(他の充填材)
シリカ以外の他の充填材としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー等が挙げられる。なかでも、カーボンブラック、水酸化アルミニウムが好ましい。
ゴム組成物において、充填材の含有量(充填材の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは55質量部以上、更に好ましくは65質量部以上、特に好ましくは75質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
ゴム組成物において、充填材100質量%中のシリカ含有率は、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。
前記ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、70m/g以上がより好ましく、90m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
水酸化アルミニウムとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水酸化アルミニウムの平均一次粒子径は、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは0.7μm以上である。また、水酸化アルミニウムの平均一次粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1.3μm以下、特に好ましくは1.2μm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、水酸化アルミニウムの平均一次粒子径は数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
ゴム組成物において、水酸化アルミニウムの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
(可塑剤)
ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。なかでも、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、樹脂が好ましい。
ゴム組成物において、可塑剤の含有量(液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)と樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)の合計量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状樹脂、液状ジエン系ポリマーなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
液状樹脂としては、25℃で液体状態のテルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。
ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂が好ましい。
ゴム組成物において、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。なお、芳香族ビニル重合体の含有量に関しても、同様の範囲が好適である。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
ゴム組成物は、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量(質量部)と、ゴム成分100質量部に対する前記可塑剤の含有量(質量部)とが、下記式を満たすことが好ましい。
2.0≦シリカの含有量/可塑剤の含有量≦4.5
シリカの含有量/可塑剤の含有量は、好ましくは2.4以上、より好ましくは2.6以上、更に好ましくは2.8以上、特に好ましくは3.0以上である。下限は、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.8以下、更に好ましくは3.6以下、特に好ましくは3.4以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
ゴム組成物は、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量(質量部)と、ゴム成分100質量部に対する前記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)の含有量(質量部)とが、下記式を満たすことが好ましい。
5≦シリカの含有量/樹脂の含有量≦25
シリカの含有量/可塑剤の含有量は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上、特に好ましくは15以上である。下限は、好ましくは20以下、より好ましくは19以下、更に好ましくは18以下、特に好ましくは17以下である。上記範囲内にすることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が向上する傾向がある。
ゴム組成物は、高温でのウェット路面における操縦安定性の観点から、ジアルキルジチオリン酸化合物を含有することが好ましい。
このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
ジチオリン酸亜鉛等の化合物を導入することで、アルキル基がゴムと相溶しつつ、亜鉛が硫黄、促進剤等の加硫剤を引き連れて、比較的短いモノ架橋が系内に生じやすくなる。そして、比較的短いモノ架橋比率を高くすることにより、シリカ界面はフレキシブルになり、微小変形での追従性を生じると共に、十分な発熱性を得ることができ、また、熱に対してモノ架橋は強い為、連続した走行により、発熱が生じても変化が少なく、ゴム全体の応力の低下を防ぐことが可能となる。従って、前記有機珪素化合物(長鎖シランカップリング剤)と共に、ジアルキルジチオリン酸化合物を用いることで、高温でのウェット路面における操縦安定性が顕著に改善されると推察される。
ジアルキルジチオリン酸化合物としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸と、亜鉛、モリブデン等との金属との塩を用いることができる。市販品としては、ラインケミー社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、下記式で表される化合物(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)が好ましい。
Figure 0007639277000002
(式中、R~Rはそれぞれ独立に炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又は炭素数5~12のシクロアルキル基を表す。)
前記式において、R~Rが表す直鎖若しくは分岐鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、4-メチルペンチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、オクタデシル基等が挙げられ、一方、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。なかでも、ゴム組成物中で分散し易く、かつ製造が容易であるという点から、R~Rは、炭素数2~8の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であることが好ましく、n-ブチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-オクチル基であることがより好ましく、n-ブチル基であることが更に好ましい。
ジアルキルジチオリン酸化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、特に好ましくは2質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量も同様の範囲が望ましい。
(他の材料)
前記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下、特に好ましくは1.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
前記ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
前記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
前記ゴム組成物を適用できる部材としては、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング、トレッド等、空気入りタイヤの各部材に好適に使用できる。なかでも、トレッド(キャップトレッド)に好適に使用できる。
タイヤは、ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を未加硫の段階でトレッド等の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、タイヤが得られる。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用及び大型SUV用タイヤ、トラック及びバスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。なかでも、乗用車用タイヤ、大型乗用車用タイヤ、大型SUV用タイヤに好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:JSR(株)製のHPR850(スチレン含有量27.5質量%、ビニル結合量59.0質量%)
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B(シス含量98質量%)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックN220(NSA115m/g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(NSA175m/g)
有機珪素化合物1:下記製造例1で合成したシランカップリング剤
有機珪素化合物2:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-70S(アロマ系プロセスオイル)
樹脂:アリゾナケミカル社製のSylvares4401(α-メチルスチレンと
スチレンとの共重合体、軟化点85℃、Tg43℃)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエースワックス
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
ジアルキルジチオリン酸化合物:ラインケミー社製のTP-50(ジチオリン酸亜鉛及びポリマーの混合物、R~Rがn-ブチル基、有効成分50質量%)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-
2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS))
(製造例1:有機珪素化合物1の合成)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに、無水硫化ソーダ78.0g(1.0モル)、硫黄80.3g(2.5モル)およびエタノール480gを仕込み、80℃に加熱した。その中に、6-クロロヘキシルトリエトキシシラン566g(2.0モル)を滴下投入し、80℃にて10時間加熱撹拌した。この反応液を、濾過板を用いて加圧濾過することで、反応の進行とともに生成した塩が除去された濾液を得た。得られた濾液を100℃まで加熱し、10mmHg以下の減圧下でエタノールを留去することで、反応生成物として有機珪素化合物1(シランカップリング剤)を得た。得られた有機珪素化合物1は、化合物中に含まれる硫黄量が18.5質量%であり、有機珪素化合物1分子中に含まれる平均の硫黄の原子数xは3.5であり、mの値は6であった。
<実施例及び比較例>
各表に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、ポリマーや配合薬品添加し、150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、100℃の条件下で2分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた各未加硫ゴム組成物をそれぞれキャップトレッドの形状に成型し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて170℃で15分間加硫することにより、試験タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた試験タイヤについて、以下の物性測定、評価を行った。評価結果を各表に示した。なお、表1、2は、それぞれ比較例1-1、2-1を基準比較例とした。
[膨潤圧縮法]
試験用タイヤのトレッドから採取した試験片(2cm×2cm、厚み1mm(加硫後のゴム組成物))を、テトラヒドロフランとトルエンを1:1の割合で混合した溶液に1日浸して膨潤させた。この膨潤サンプルについて、熱機械分析計(島津製作所社製、製品名「TMA-50」)を用いて膨潤圧縮度を測定した。そして、Flory-Rehnerの式を用いて、膨潤サンプルの膨潤圧縮度から全網目密度(全架橋密度(νT))(mol/cm)を算出した。
また、LiAlHを飽和させた、テトラヒドロフランとトルエンを1:1の割合で混合した溶液に1日浸して膨潤させ、同様に、膨潤サンプルの膨潤圧縮度を測定し、Flory-Rehnerの式を用いて、網目密度を算出し、モノスルフィドの網目密度(モノスルフィド結合の架橋密度(νM))(mol/cm)とした。
<高温でのウェット路面における操縦安定性(実車)>
試験用タイヤを装着し、タイヤが高温になる条件下(気温20℃かつ平均時速120kmでの周回)で、湿潤路面のテストコースを周回した後の、コーナリング時の応答性をドライバーのフィーリングに基づいて、1点~10点の10段階で評価した。同じテストを合計10人のドライバーで実施し、試験用タイヤごとに合計点を計算し、基準比較例(表1では比較例1-1、表2では比較例2-1)の合計点が100となるように指数化した。指数が大きいほど、高温でのウェット路面における操縦安定性に優れている。
Figure 0007639277000003
Figure 0007639277000004
各表より、前記式(1)「M300/M100≧4.0」を満たし、前記式(1)「νM/νT≧0.20」を満たし、シリカを含む充填材と、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むシランカップリング剤とを含む実施例は、高温でのウェット路面における操縦安定性に優れていた。

Claims (15)

  1. 膨潤圧縮法により求められるモノスルフィド結合の架橋密度(νM)及び全架橋密度(νT)が下記式(1)を満たし、
    スチレンブタジエンゴムと、樹脂と、シリカを含む充填材と、シランカップリング剤とを含み、
    前記スチレンブタジエンゴムのスチレン含有量は、5.0~30.0質量%であり、
    前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含み、
    前記有機珪素化合物は、下記平均組成式(I)で表される有機珪素化合物であるタイヤ用ゴム組成物。
    (1)νM/νT≧0.20
    Figure 0007639277000005
    (式中、xは、硫黄原子の平均個数を表し、3.5以上である。mは、6以上の整数を表す。R~Rは、同一若しくは異なって炭素数1~6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、R~Rの少なくとも1つ及びR~Rの少なくとも1つが前記アルコキシ基である。なお、R~Rは、前記アルキル基又は前記アルコキシ基が結合した環構造を形成したものでもよい。)
  2. 下記式を満たす請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
    νM/νT≧0.25
  3. 下記式を満たす請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
    νM/νT≧0.30
  4. 下記式を満たす請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    νM≧1.0×10-5mol/cm
  5. ゴム成分100質量部に対する充填材の含有量が5~200質量部、シリカ100質量部に対する前記有機珪素化合物の含有量が0.1~20質量部である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 充填材100質量%中のシリカ含有率が30質量%以上である請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が30質量%以上である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が50~90質量%、ブタジエンゴムの含有量が10~40質量%である請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  9. ゴム成分100質量部に対するジアルキルジチオリン酸化合物の含有量が0.1~10質量部である請求項1~8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  10. ゴム成分100質量部に対する硫黄の含有量が5.0質量部以下である請求項1~9のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  11. ゴム成分100質量部に対する硫黄の含有量が1.0質量部以下である請求項1~9のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  12. ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が5~30質量部である請求項1~11のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  13. ゴム成分100質量部に対するシリカ及び可塑剤の含有量が下記式を満たす請求項1~12のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    2.4≦シリカの含有量/可塑剤の含有量≦4.0
  14. ゴム成分100質量部に対するシリカ及び樹脂の含有量が下記式を満たす請求項1~13のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    10≦シリカの含有量/樹脂の含有量≦20
  15. 請求項1~14のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドに用いたタイヤ。
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