JP7640747B2 - 吸収性物品の液透過性シート用の不織布 - Google Patents

吸収性物品の液透過性シート用の不織布 Download PDF

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Description

本発明は、吸収性物品の液透過性シート用の不織布に関する。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において、表面シート等の液透過性シート用の資材として、二層構造の不織布を用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、第1繊維層と、第1繊維層の一方の主表面に位置する第2繊維層を含み、第1繊維層が、第1芯鞘型複合繊維を含み、第2繊維層が、第2芯鞘型複合繊維とセルロース系繊維を含み、第1芯鞘型複合繊維の繊度が第2芯鞘型複合繊維の繊度よりも小さく、第1芯鞘型複合繊維の繊度が1.0~2.8dtexであり、第2芯鞘型複合繊維の繊度が1.7~5.6dtexであり、セルロース系繊維の繊度が1.2~6.0dtexであり、第2繊維層が、第2繊維層の総質量を基準として、セルロース系繊維を5質量%~40質量%の割合で含む吸収性物品用の不織布が開示されている。
特開2020-171688号公報
吸収性物品には、着用者から排泄される経血などの液状の排泄物に加え、着用者の肌から排出される汗等の水分が、供給される。
特許文献1の不織布は、第1繊維層の厚みが面方向で一様であるため、第1繊維層の厚みが厚い場合、排泄物を第1繊維層によって受け入れ非肌対向面側の吸収体に移行できるが、第1繊維層がセルロース系繊維による吸水性を妨げ、汗等の水分が着用者の肌と吸収性物品の間に留まることで、着用者に汗蒸れによる不快感を与えてしまう懸念がある。第1繊維層の厚みが薄い場合、セルロース系繊維と着用者の肌の距離が近いため、セルロース系繊維による吸水性が得られるが、汗等の水分を吸水したセルロース系繊維によって、湿った状態の不織布の表面が着用者の肌に貼りついてしまい、着用者の肌のかぶれやかゆみの原因になるという虞があった。
本発明は、吸水性に優れると共に、着用者の肌への貼りつきを抑制する吸収性物品の液透過性シート用の不織布を提供することを目的とする。
本発明は、第1繊維層及び第2繊維層を、厚さ方向に順に備える吸収性物品の液透過性シート用の不織布であって、前記第1繊維層は、熱可塑性樹脂繊維からなり、前記液透過性シートの肌対向面となる第1面を有し、前記第2繊維層は、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含み、前記液透過性シートの非肌対向面となる第2面を有し、前記第1面に、前記第2面から前記第1面に向かう方向に突出し中実である複数の凸部と、前記第1面から前記第2面に向かう方向に窪んでいる複数の凹部とを有し、前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みが、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚みより薄く、前記厚さ方向へ荷重が付加されていない前記不織布において、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚み及び前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みを、それぞれTc1及びTd1とし、前記厚さ方向へ2.9kPaの荷重が付加された前記不織布において、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚み及び前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みを、それぞれTc2及びTd2とした場合、(Tc2/Tc1)<(Td2/Td1)の関係式を満たす、不織布である。
本発明による不織布は、吸水性に優れると共に、着用者の肌への貼りつきを抑制する。
実施形態に係る吸収性物品を模式的に示す図である。 実施形態に係る不織布を模式的に示す平面図である。 図2のIII-III線に沿った断面を模式的に示す部分断面図である。 図2のIII-III線に沿った断面を模式的に示す部分断面図であり、不織布に対し厚さ方向の荷重が付加された状態を示す図である。
本発明の実施態様は、以下の態様に関する。
[態様1]
第1繊維層及び第2繊維層を、厚さ方向に順に備える吸収性物品の液透過性シート用の不織布であって、
前記第1繊維層は、熱可塑性樹脂繊維からなり、前記液透過性シートの肌対向面となる第1面を有し、
前記第2繊維層は、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含み、前記液透過性シートの非肌対向面となる第2面を有し、
前記第1面に、前記第2面から前記第1面に向かう方向に突出し中実である複数の凸部と、前記第1面から前記第2面に向かう方向に窪んでいる複数の凹部とを有し、
前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みが、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚みより薄く、
前記厚さ方向へ荷重が付加されていない前記不織布において、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚み及び前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みを、それぞれTc1及びTd1とし、前記厚さ方向へ2.9kPaの荷重が付加された前記不織布において、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚み及び前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みを、それぞれTc2及びTd2とした場合、(Tc2/Tc1)<(Td2/Td1)の関係式を満たす、不織布。
上記不織布は、第1繊維層と第2繊維層とを備え、第1繊維層は熱可塑性樹脂繊維からなり、第2繊維層は吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含み、複数の凸部と複数の凹部とを有するため、吸収性物品の液透過性シート(例えば、表面シート等)に用いられた場合、肌対向面(第1面)の凸部が着用者の肌に触れ、当該凸部の熱可塑性樹脂繊維が着用者から排泄された経血などの排泄物を受け入れ、第2繊維層を通じて非肌対向面(第2面)側に位置する吸収体へ排泄物を移行させる。
着用者の肌から排出された汗等の水分は、水滴や蒸気の状態で、経血などの排泄物と異なり第1繊維層を厚さ方向へ移行するよりも、主に着用者の肌から直接又は第1面に沿って凹部に到達する。本不織布は、複数の凹部における第1繊維層の厚みが、複数の凸部における第1繊維層の厚みより薄いため、凹部における第1面から第2繊維層までの距離が凸部における第1面から第2繊維層までの距離よりも近く、複数の凹部において汗等の水分が第2繊維層に到達しやすい。したがって、本不織布は、凹部の第2繊維層に含まれる吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収しやすくなっており、さらに第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維が上記水分を非肌対向面(第2面)側に位置する吸収体へ移行させる。
本不織布は、厚さ方向への荷重を付加する前後の凸部における第1繊維層の厚み及び凹部における第1繊維層の厚みが上記関係式を満たすことによって、凸部における第1繊維層の方が凹部における第1繊維層より厚みの減少する割合が高い。そのため、本不織布は、着用者の体圧等を受けた場合に、凸部においても第1面から第2繊維層までの距離が近くなり、着用者の肌から排出される汗等の水分が、凸部の第1繊維層を通じて第2繊維層に到達しやすくなる。当該水分の一部は第2繊維層に含まれる吸水性繊維によって吸収され、他の一部は第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維によって非肌対向面(第2面)側に位置する吸収体へ移行する。上記のようにして、本不織布は、着用者の体圧等を受けた場合に、凸部においても吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収し得る。
本不織布は、第2繊維層が着用者の汗等の水分および着用者から排泄された排泄物を吸収している場合でも、第2繊維層に含まれる吸水性繊維を着用者の肌から離れた位置に凸部の第1繊維層が保持することによって、第1面が着用者の肌へ貼りつくことを抑制する。
以上より、本不織布は、吸水性に優れると共に、着用者の肌への貼りつきを抑制する吸収性物品の液透過性シート用の不織布を提供することができる。
[態様2]
前記第1繊維層及び前記第2繊維層の坪量はそれぞれ、面方向で一様であり、
前記厚さ方向へ2.9kPaの荷重が付加された前記不織布において、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚みが、前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みより薄い、態様1に記載の不織布。
本不織布の凸部は、第1繊維層及び第2繊維層の坪量が面方向で一様であり、凹部における第1繊維層の厚みが凸部における第1繊維層の厚みより薄い、すなわち凸部における第1繊維層の厚みが凹部における第1繊維層の厚みより厚いため、凸部の方が凹部に比べ、第1繊維層の繊維密度が低く、厚さ方向へより変形しやすい。しかも、凸部は、厚さ方向への荷重が第1面及び第2面から作用するため、厚さ方向への荷重を受けた場合、凸部の方が凹部より厚みが減少しやすい。一方、凹部は、第1繊維層及び第2繊維層の坪量が面方向で一様であり、凹部における第1繊維層の厚みが凸部における第1繊維層の厚みより薄いため、凹部における第1繊維層の繊維密度が高く、第1繊維層が厚さ方向へ変形しにくい。さらに本不織布は、第1面において凸部が凹部より厚さ方向へ突出している限り、凹部に対し厚さ方向の荷重はほとんど作用しない。したがって本不織布は、厚さ方向へ荷重が付加された場合でも、凹部における第1繊維層の厚みは凸部における第1繊維層の厚みより変化しにくい。
本不織布は、厚さ方向への荷重が2.9kPaの場合、第1面において凸部が凹部より厚さ方向へ突出している形状を維持しつつ、凸部における第1繊維層の厚みが減少し、凸部における第1繊維層の厚みが凹部における第1繊維層の厚みより薄くなることによって、凸部においても第1面から第2繊維層までの距離がより近くなる。したがって本不織布は、着用者の体圧等を受けた場合に、凸部においても吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収し得る。
[態様3]
前記厚さ方向へ2.9kPaの荷重が付加された前記不織布において、前記複数の凹部の最深部が前記複数の凸部の最高部より前記第1面から前記第2面に向かって窪んだ位置にある、態様1又は2に記載の不織布。
本不織布は、厚さ方向へ2.9kPaの荷重を付加した場合、すなわち着用者の体圧等を受けた場合、凸部が上記荷重を受けつつ、複数の凹部の最深部が複数の凸部の最高部より第2面に向かって窪んだ位置である形状を維持する。したがって、本不織布は、凹部が着用者の肌に触れることを防止することによって、着用者の肌への貼りつきを抑制する。
[態様4]
前記第2繊維層は、前記吸水性繊維を30質量%~70質量%含む、態様1~3のいずれか1項に記載の不織布。
本不織布は、第2繊維層において、吸水性繊維を30質量%~70質量%と、熱可塑性樹脂繊維とを含むので、着用者の肌から排出される汗等の水分を吸水性繊維によって吸収しつつ、着用者から排泄された排泄物を熱可塑性樹脂繊維によって非肌対向面側へ移行させる。
[態様5]
前記第2繊維層の前記熱可塑性樹脂繊維の繊維径が、前記第1繊維層の前記熱可塑性樹脂繊維の繊維径より小さく、
前記第1繊維層及び前記第2繊維層のそれぞれにおいて、前記熱可塑性樹脂繊維同士の交点が熱接合している、態様1~4のいずれか1項に記載の不織布。
第2繊維層は、繊維径が小さい分、熱可塑性樹脂繊維同士が熱接合しやすいので、第1繊維層に比べ、熱可塑性樹脂繊維同士の交点が熱接合した接合部が多いため、変形し難い。一方、第1繊維層は、繊維径が大きい分、第2繊維層の熱可塑性樹脂繊維より熱接合しにくく、熱可塑性樹脂繊維同士の交点が熱接合した接合部が少ないため、変形しやすい。
したがって本不織布は、凸部において変形しやすい第1繊維層を、変形しにくい第2繊維層が第2面側から支持するため、厚さ方向への荷重を付加した場合、凸部の厚みが減少することによって、凸部においても第1面から第2繊維層までの距離が近くなり、吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収し得る。
[態様6]
前記第2面側に熱可塑性樹脂繊維からなる第3層を備える、態様1~5のいずれか1項に記載の不織布。
本不織布は、第2面側に第3繊維層を備えるので、着用者の体圧等を受けた場合に、凸部において第1繊維層を、第2繊維層及び第3繊維層が第2面側から支持するため、厚さ方向への荷重を付加した場合、凸部における第1繊維層の厚みが減少しやすい。したがって本不織布は、着用者の体圧等を受けた場合、凸部においても第1面から第2繊維層までの距離が近くなり、吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収し得る。
[態様7]
前記吸水性繊維の一部が、前記第1面から露出している、態様1~6のいずれか1項に記載の不織布。
本不織布は、吸水性繊維の一部が第1面から露出しているため、吸収性物品の液透過性シートに用いられた場合、肌対向面(第1面)から露出した吸水性繊維の一部を通じて、着用者の肌から排出される汗等の水分を第2繊維層へ移行させやすいので、吸水性に優れる。
以下、実施形態に係る吸収性物品の液透過性シート用の不織布について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(生理用ナプキンの構成)
図1に示す吸収性物品1は、生理用ナプキンであり、互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、長手方向Lに延びる本体部1Aと、長手方向Lの略中央に幅方向Wの両側に延びる一対のフラップ部1Bとを備える。吸収性物品1の長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tと後述される各資材の長手方向、幅方向及び厚さ方向とは一致するので、以下では、吸収性物品1及びその各資材に共通に長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを用いる。「肌対向面側」及び「非肌対向面側」とは、吸収性物品1の着用者による吸収性物品1の着用時、厚さ方向Tにて相対的に着用者の肌面に近い側及び遠い側をそれぞれ意味し、吸収性物品1の各資材に共通に用いる。本明細書においては、吸収性物品及び当該吸収性物品を構成する各資材(例えば、表面シート、吸収体、裏面シート等)の「肌対向面側の表面」及び「非肌対向面側の表面」を、それぞれ単に「肌対向面」及び「非肌対向面」ということがある。
吸収性物品1は、表面シート2と吸収体3と裏面シート4とを、肌対向面側から順に備える。表面シート2は着用者の肌対向面側に位置する液透過性シートである。吸収体3は、表面シート2及び裏面シート4の間に位置する液吸収性及び液保持性の材料である。吸収体3としては、パルプ繊維、合成繊維、吸収性ポリマーなどが挙げられる。裏面シート4は着用者の非肌対向面側に位置する液不透過性シートである。裏面シート4としては、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SMS不織布など任意の液不透過性シートが挙げられる。裏面シート4の非肌対向面側には、裏面シート4を補強し、手触りを改善する外装シート9が積層されてもよい。外装シート9としては、裏面シート4と同様の材料や撥水性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート等任意の撥水性シートが挙げられる。吸収体3と表面シート2及び裏面シート4とはそれぞれ接着剤により接合される。表面シート2、吸収体3及び裏面シート4間の接合用の接着剤は、吸収性物品1で一般的に使用される公知の材料、例えば熱可塑性接着剤を使用できる。
(表面シート)
以下、表面シート2について図2~図4を参照して説明する。表面シート2は、本実施形態に係る不織布10からなる。表面シート2は、長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、一方の面に第1面22と、第1面22と反対側に第2面24とを有する。第1面22と第2面24とは、それぞれ厚さ方向Tと交差する。厚さ方向Tのうちの一方向を上向きとし、他方向を下向きとする。
不織布10は、第1繊維層26及び第2繊維層28を、厚さ方向Tへ上記順番に備える。第1繊維層26は、熱可塑性樹脂繊維からなり、表面シート2(液透過性シート)の肌対向面となる第1面22を有する。不織布10は、表面シートとして使用可能な不織布であれば特に制限されるものではないが、熱可塑性樹脂繊維同士が熱接合したサーマルボンド不織布が好ましく、エアスルー不織布がより好ましい。
第2繊維層28は、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含み、表面シート2の非肌対向面となる第2面24を有する。第2繊維層28は、吸水性繊維を30質量%~70質量%含むのが好ましく、40質量%~60質量%含むのがより好ましい。吸水性繊維の一部は、第1繊維層26を貫通して第1面22から露出していてもよい。
不織布10は、第2面24側に熱可塑性樹脂繊維からなる第3繊維層36をさらに備えていてもよい。すなわち、不織布10は、第1繊維層26、第2繊維層28及び第3繊維層36を、厚さ方向Tに順に備えてもよい。第3繊維層36は、第1繊維層26と同じ資材を用いることができる。第3繊維層36は、肌対向面側の表面において第2繊維層28と接している。不織布10は、第3繊維層36を備える場合、第3繊維層36の非肌対向面側の表面が不織布10の非肌対向面である第2面24となる。
不織布10は、第1面22に、第2面24から第1面22に向かう方向に突出し中実である複数の凸部30と、第1面22から第2面24に向かう方向に窪む複数の凹部32とを有する。本明細書において、「中実」とは、凸部30内での液体の移動を妨げるような、繊維密度が周囲と比較して著しく低い空間を有さないことをいう。第1面22の高さが最も高い最高部31と第1面22の高さが最も低い最深部33の高さの差をdとした場合、最深部33からd/2の高さの位置よりも上方側へ突出する部分を凸部30、下方側へ窪む部分を凹部32ということができる。
不織布10は、凹部32における第1繊維層26の厚みTd1が、凸部30における第1繊維層26の厚みTc1より薄くなっている。ここで、凹部32における第1繊維層26の厚みTd1は、最深部33における第1繊維層26の厚みであり、凸部30における第1繊維層26の厚みTc1は、最高部31における第1繊維層26の厚みである。
不織布10の第1繊維層26及び第2繊維層28の各部の厚みは、下記方法で測定する。まず、親水性繊維を染色し、その後、各部の厚みを測定する。親水性繊維の染色は、以下の手順で行う。(1)厚みを測定する不織布を準備する。(2)鍋に水1Lを入れ、60℃~70℃に加熱する。(3)試薬カヤステインQ(KayastainQ)(株式会社色染社)を(2)の鍋に入れ溶かす。(4)鍋を80℃まで加熱する。(5)不織布を(4)の鍋に投入し30分放置する。(5)その後、不織布を流水で水洗いする。(6)80℃のオーブンで1時間乾燥する。上記の手順の結果、吸水性繊維は青色、熱可塑性樹脂繊維は黄色に染色される。
厚みの測定は以下の手順で行う。(1)染色した不織布を搬送方向(MD)長さ5mm、横断方向(CD)長さ20mmに切り出し試料とする。(2)試料を治具に両面テープで固定し、CD断面が観察できる状態にする。(3)株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX-7000にて断面の拡大写真を撮影し、平面計測の2点間距離を選択し、不織布の第1繊維層及び第2繊維層の各部の厚みを測定する。
凸部30の寸法としては例えば幅0.25~5mm、高さ0.25~5mm、ピッチ0.5~10mmが挙げられる。これら凸部30の寸法は、無加圧状態における不織布10を走査型電子顕微鏡などの拡大観察手段により拡大観察して、その平面写真又は平面画像から測定することができる。
複数の凸部30は、図2に示すように、長手方向Lに連続的に伸びる複数本の畝部として形成されており、複数の凹部32は、幅方向Wにおいて畝部と隣接し(すなわち幅方向Wに隣り合う畝部の間に位置し)、かつ長手方向Lに連続的に伸びる複数本の溝部として形成されている。不織布10は、このような畝溝構造を備えているため、厚さ方向Tのクッション性に優れ、良好な肌触りを発揮することができるうえ、排泄物を畝部及び溝部が延びる長手方向Lに沿って拡散させることができる。
不織布10の第2面24は、略平坦な表面構造を有している。不織布10は、表面シート2の非肌対向面側に配置される吸収体3との接触面積をより広く確保することができ、表面シート2を透過する液状の排泄物を吸収体3へより効率よく、確実に移行させることができる。本発明において、不織布10の第2面24は、上記のような表面構造の場合に限定されない。例えば、不織布10の第2面24は、第1面22側の凸部30と厚さ方向Tに対応する部分が第1面22から第2面24に向かう方向へ突出した表面構造を有していてもよい。別の例として、不織布10の第2面24は、第1面22側の凸部30と厚さ方向Tに対応する部分が第2面24から第1面へ向かう方向へ窪んだ表面構造を有していてもよい。
不織布10は、図2に示すように、圧搾部34を備えていてもよい。圧搾部34は、凹部32において長手方向Lに沿って間欠的に配置される。圧搾部34は、凹部32において長手方向Lに等間隔に配置されてもよいし、非等間隔に配置されてもよい。幅方向Wに隣り合う凹部32において、長手方向Lに同じ位置でもよいし、異なる位置でもよい。図2に示す不織布10は、凹部32において市松模様状に配置された圧搾部34を有する。圧搾部34は、厚さ方向Tにおいて第1繊維層26の上方と第2繊維層28の下方とから挟み込んで形成され、第1繊維層26と第2繊維層28とを接合する。
第1繊維層26及び第2繊維層28の坪量は、面方向で概ね一様である。凸部30の繊維密度は凹部32の繊維密度よりも低い。凹部32の繊維密度は圧搾部34の繊維密度よりも低い。第1繊維層26の坪量と第2繊維層28の坪量とはどちらが高くてもよく、同じでもよい。
第1繊維層26は、液透過性であり、坪量としては例えば6~200g/mが挙げられる。第1繊維層26に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性樹脂からなる繊維であれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル系樹脂;6-ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独で使用しても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。このような熱可塑性樹脂からなる繊維の構造は、特に制限されず、例えば、PET/PE等の芯鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y字形、C字形等の異形断面型繊維などが挙げられ、これらの構造を有する繊維は単独で使用しても、二種類以上の繊維を併用してもよい。繊維の繊度としては例えば1~20dtexが挙げられる。
第2繊維層28は、液透過性であり、坪量としては例えば6~200g/mが挙げられる。第2繊維層28に含まれる吸水性繊維は、例えば、パルプ、コットン、麻等の天然セルロース系繊維;レーヨン、リヨセル、キュプラ等の再生セルロース系繊維などが挙げられ、これらのセルロース系繊維は、1種類の繊維を単独で用いても、2種類以上の繊維を併用してもよい。第2繊維層28に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、第1繊維層26で例示した熱可塑性樹脂繊維の中から選択することができ、第1繊維層26と同じでもよいし、異なっていてもよい。第2繊維層28に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊度としては、例えば1~20dtexが挙げられる。
第2繊維層28に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維径は、第1繊維層26に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維径と異なっていてもよい。第2繊維層28に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維径は、第1繊維層26に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維径より小さくてもよい。繊維径がより小さい熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性樹脂繊維同士が熱接合しやすい。したがって繊維径がより小さい熱可塑性樹脂繊維を用いてエアスルー不織布を形成した場合、熱接合した接合部をより多く有するので、変形し難い不織布が得られる。
第2繊維層28における上記吸水性繊維の含有量は、以下のようにして得ることができる。(1)予め105℃で1時間乾燥した不織布から対象となる領域のサンプルを切り出した後、該サンプルの初期質量(g)を測定する。(2)サンプルを70%の硫酸中に1時間浸漬して吸水性繊維を溶解させる。(3)硫酸浸漬後のサンプルをブフナー漏斗上で吸引しながら約6リットルの水で洗浄した後、さらに、約1リットルの純水で洗浄する。(4)洗浄後のサンプルを105℃で2時間乾燥した後、サンプルの処理後質量(g)を測定する。(5)上記サンプルの初期質量からサンプルの処理後質量を差し引くことにより、サンプル中の吸水性繊維含有質量(g)を算出し、さらに、得られた吸水性繊維含有質量を単位平面視面積当たりの質量に換算することによって、吸水性繊維の含有量を得ることができる。
第1繊維層26と第2繊維層28とは、気体吹き付け法によって接合することができる。具体的には、以下の通りである。第1繊維層26用の熱可塑性樹脂繊維からなる第1繊維ウェブと、第2繊維層28用の吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む第2繊維ウェブとを重ねて積層繊維ウェブとする。次いで、当該積層繊維ウェブを搬送しながら積層繊維ウェブの表面に対し所定温度及び所定圧力の気体(例えば、エア等)を吹き付けることにより、各繊維ウェブ内及び各繊維ウェブ間の繊維同士を交絡させる。次いで、積層繊維ウェブをエアスルー方式の加熱装置に搬送し、当該加熱装置において各繊維ウェブ内及び各繊維ウェブ間の繊維同士を熱可塑性樹脂繊維により融着させることで、上述の熱可塑性樹脂繊維からなる第1繊維層26と、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む第2繊維層28とを接合した不織布を得ることができる。第2繊維層28は、熱接合した接合部を有する熱可塑性樹脂繊維と、熱接合していない吸水性繊維とを含む。
上述の第1繊維層26と第2繊維層28とを接合した不織布に上述のような凹凸構造を付与する方法は、基本的には特許6139039号公報に記載の複合シートの製造方法に従って行うことができる。具体的には、熱可塑性樹脂繊維からなる第1繊維層26と、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む第2繊維層28とを接合した不織布を、一対のギア加工ロールで挟み込み、局所的に押圧することにより、複数の凹部32を形成し不織布10を得ることができる。
第1繊維層26、第2繊維層28、及び第3繊維層36を備える不織布10は、以下の方法で形成することができる。第3繊維層36用の熱可塑性樹脂繊維からなる第3繊維ウェブを、上記第1繊維ウェブ及び第2繊維ウェブと重ねて積層繊維ウェブを形成する。当該積層繊維ウェブは、上述のとおり、搬送しながら積層繊維ウェブの表面に対し所定温度及び所定圧力の気体(例えば、エア等)を吹き付けることにより、各繊維ウェブ内及び各繊維ウェブ間の繊維同士を交絡させる。次いで、積層繊維ウェブをエアスルー方式の加熱装置に搬送し、当該加熱装置において各繊維ウェブ内及び各繊維ウェブ間の繊維同士を熱可塑性樹脂繊維により融着させることで、第1繊維層26と、第2繊維層28と、第3繊維層36とを接合した不織布を得ることができる。さらに上述したギア加工によって複数の凹部32を形成し不織布10を得ることができる。
次に、厚さ方向Tに荷重を受けた不織布10の特性について説明する。不織布10に対する厚さ方向Tの荷重は、主に厚さ方向Tへ突出している凸部30に作用する。凸部30は、荷重によって厚さ方向Tへ圧縮され、荷重が増加するほど、凸部30の最高部31と凹部32の最深部33の差dが徐々に縮まる。厚さ方向Tへ荷重が付加されていない不織布10において、凸部30における第1繊維層26の厚みをTc1、凹部32における第1繊維層26の厚みをTd1とする。厚さ方向Tへ2.9kPa(30gf/cm)の荷重が付加された不織布10において、凸部30における第1繊維層26の厚みをTc2、凹部32における第1繊維層26の厚みをTd2とする。2.9kPa(30gf/cm)の荷重は、着用者が生理用ナプキンを装着した場合に、当該生理用ナプキンに付加される荷重を想定している。
不織布10は、上記した通りギア加工等によって凹部32が形成されているので、凹部32は凸部30に比べ第1繊維層26が厚さ方向Tへ圧縮されている。したがって、厚さ方向Tへ荷重が付加されていない不織布10において、凸部30における第1繊維層26の厚みTc1は、凹部32における第1繊維層26の厚みTd1より厚い。すなわち厚さ方向Tへ荷重が付加されていない不織布10は、Tc1>Td1の関係式を満たす。
不織布10に対し2.9kPa(30gf/cm)の厚さ方向Tへの荷重が付加された場合、不織布10は、(Tc2/Tc1)<(Td2/Td1)の関係式を満たす。すなわち、厚さ方向Tへ2.9kPaの荷重が付加された不織布10において、不織布10は、凸部30における第1繊維層26の方が、凹部32における第1繊維層26より、厚みの減少する割合が高い。なお、圧搾部34を有する不織布10の場合、凹部32における第1繊維層26の厚みは、圧搾部34以外の凹部32において測定した厚みとする。
厚さ方向Tへ2.9kPaの荷重が付加された不織布10において、凸部30における第1繊維層26の厚みTc2は、凹部32における第1繊維層26の厚みTd2より薄いことが好ましい。すなわち不織布10は、Tc2<Td2の関係式を満たすことが好ましい。上記のとおり、厚さ方向Tへ荷重が付加されていない不織布10は、Tc1>Td1の関係式を満たすが、厚さ方向Tの荷重を受けることによって、凸部30における第1繊維層26が圧縮される。結果として厚さ方向Tへ2.9kPaの荷重が付加された不織布10において、不織布10は、Tc2<Td2の関係式を満たす。なお、圧搾部34を有する不織布10の場合、凹部32における第1繊維層26の厚みは、圧搾部34以外の凹部32において測定した厚みとする。
厚さ方向Tへ2.9kPaの荷重が付加された不織布10において、凹部32の最深部33が凸部30の最高部31より第1面22から第2面24に向かって窪んだ位置にあることが好ましい。厚さ方向Tの荷重を受けることによって、凸部30が圧縮され、荷重が大きくなるほど凸部30の最高部31と凹部32の最深部33との差が縮まる。不織布10は、厚さ方向Tの荷重が2.9kPa以下の場合、凹部32の最深部33が凸部30の最高部31より第1面22から第2面24に向かって窪んだ位置にある形状を保持する。
(測定方法)
上記実施形態における不織布の坪量、厚み、繊維密度及び繊度は下記方法で測定する。
(1)不織布の坪量:不織布を5cm×5cmの大きさに切り出して試料とし、100℃以上の雰囲気での乾燥処理後に質量を測定する。測定した質量を試料の面積で割り算して試料の坪量を算出する。10個の試料の坪量を平均した値を不織布の坪量とする。
(2)不織布の厚さ:15cmの測定子を備えた厚さ計((株)大栄化学精器製作所製 型式FS-60DS)を用い、3gf/cm(0.3kPa)の測定荷重の条件で不織布の厚さを測定する。1つの試料で3か所の厚さを測定し、3か所の厚さの平均値を不織布の厚さとする。
(3)不織布の繊維密度:不織布の繊維密度は、上記方法で求めた不織布の秤量を、上記方法で求めた不織布の厚みで割り算して算出する。
(4)繊維の繊度:繊維の繊度は、走査型電子顕微鏡を用いて、対象となる繊維の断面形状を拡大観察して繊維の断面積を測定し、その断面積と繊維の比重(すなわち、繊維の構成成分の比重)から算出する。
(作用及び効果)
不織布10は、着用されると、凸部30が着用者の肌に接触すると共に、凹部32が着用者の肌から最大で最深部33から最高部31までの高さ分だけ離れた状態となる。着用者から経血などの液状の排泄物が供給された場合、凸部30の第1繊維層26(熱可塑性樹脂繊維)が排泄物を受け入れ、第2繊維層28を通じて非肌対向面(第2面24)側に位置する吸収体3へ排泄物を素早く移行させる。
着用者からは、液状の排泄物の他、肌から汗等の水分が排出される。当該水分は、排泄物とは異なり、水滴や蒸気の状態である。凸部30は、熱可塑性樹脂繊維からなる第1繊維層26の厚みが厚いので、上記水分は、排泄物とは異なり、第1繊維層26を厚さ方向Tへ移行するよりも、主に着用者の肌から直接又は第1面22に沿って凹部32へ到達する。凹部32は、第1繊維層26の厚みが凸部30の第1繊維層26の厚みより薄いため、凹部32における第1面22から第2繊維層28までの距離が、凸部30における第1面22から第2繊維層28までの距離よりも近く、凹部32において汗等の水分が第2繊維層28に到達しやすい。したがって、不織布10は凹部32の第2繊維層28に含まれる吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収しやすい。さらに第2繊維層28に到達した水分は、第2繊維層28に含まれる熱可塑性樹脂繊維によって非肌対向面(第2面24)側に位置する吸収体3へ移行する。
不織布10は、厚さ方向Tへ荷重を受けた場合、すなわち着用者の体圧等を受けた場合、厚さ方向Tへ突出している凸部30が、着用者の肌と着用者の下着などに挟まれるようにして、主に凸部30で主に荷重が作用する。したがって、凸部30は、荷重によって厚さ方向Tへ圧縮され、厚さ方向Tの荷重が大きくなるほど、凸部30の最高部31と凹部32の最深部33の差dが縮まる。
不織布10は、厚さ方向Tへ2.9kPaの荷重が付加された場合に、(Tc2/Tc1)<(Td2/Td1)の関係式を満たす。すなわち不織布10は、凸部30における第1繊維層26の方が凹部32における第1繊維層26より厚みの減少する割合が高い。そのため、不織布10は、着用者の体圧等を受けた場合に、凸部30においても厚さ方向Tの荷重を受ける前に比べ、第1面22から第2繊維層28までの距離が近くなり、着用者の肌から排出される汗等の水分が、凸部30においても第1繊維層26を通じて第2繊維層28に到達しやすくなる。当該水分の一部は第2繊維層28に含まれる吸水性繊維によって吸収され、他の一部は第2繊維層28に含まれる熱可塑性樹脂繊維によって非肌対向面(第2面24)側に位置する吸収体3へ移行する。したがって、不織布10は、着用者の体圧等を受けた場合に、凸部30においても吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収し得る。
上記のように第2繊維層28が着用者の汗等の水分及び着用者から排泄された排泄物を吸収している場合でも、第2繊維層28に含まれる吸水性繊維を、凸部30においては第1繊維層26が着用者の肌と第2繊維層28の間に介在し、凹部32においては第2繊維層28に含まれる吸水性繊維を着用者の肌から離れた位置に凸部30の第1繊維層26が保持する。したがって、不織布10は、第1面22が着用者の肌へ貼りつくことを抑制する。
以上より、不織布10は、吸水性に優れると共に、着用者の肌への貼りつきを抑制する吸収性物品1の液透過性シート用の不織布10を提供することができる。
好ましい態様において、不織布10の凸部30は、第1繊維層26及び第2繊維層28の坪量が面方向で一様であり、凹部32における第1繊維層26の厚みが凸部30における第1繊維層26の厚みより薄い、すなわち凸部30における第1繊維層26の厚みが凹部32における第1繊維層26の厚みより厚い。この場合、凸部30の第1繊維層26の方が凹部32の第1繊維層26に比べ、第1繊維層26の繊維密度が低く、第1繊維層26が厚さ方向Tへより変形しやすい。しかも、凸部30は、厚さ方向Tへの荷重を受けた場合、厚さ方向Tへの荷重が第1面22及び第2面24から作用するため、凸部30の第1繊維層26の方が凹部32の第1繊維層26より厚みが減少しやすい。一方、凹部32は、第1繊維層26及び第2繊維層28の坪量が面方向で一様であり、凹部32における第1繊維層26の厚みが凸部30における第1繊維層26の厚みより薄いため、凹部32における第1繊維層26の繊維密度が高く、第1繊維層26が厚さ方向Tへ変形しにくい。さらに不織布10は、第1面22において凸部30が凹部32より厚さ方向Tへ突出している限り、凹部32に対し厚さ方向Tの荷重はほとんど作用しない。したがって不織布10は、厚さ方向Tへ荷重が付加された場合でも、凹部32における第1繊維層26の厚みが凸部30における第1繊維層26の厚みより変化しにくい。
好ましい態様において、不織布10は、厚さ方向Tの荷重が付加されていない状態において、凸部30における第1繊維層26の厚みTc1は、凹部32における第1繊維層26の厚みTd1より厚い。すなわち厚さ方向Tへ荷重が付加されていない不織布10は、Tc1>Td1の関係式を満たす。この場合、不織布10は、厚さ方向Tの荷重が付加されると、凸部30における第1繊維層26の方が、凹部32における第1繊維層26より、厚みの減少する割合が高いので、凸部30における第1繊維層26の厚みと凹部32における第1繊維層26の厚みの差が縮まる。結果として厚さ方向Tへ2.9kPaの荷重が付加された不織布10において、不織布10は、Tc2<Td2の関係式を満たすようになる。このように、不織布10は、厚さ方向Tへの荷重が2.9kPaの場合、凸部30における第1繊維層26の厚みが減少し、凸部30における第1繊維層26の厚みが凹部32における第1繊維層26の厚みより薄くなることによって、凸部30においても第1面22から第2繊維層28までの距離がより近くなる。したがって不織布10は、着用者の体圧等を受けた場合に、凸部30においても吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収し得る。
不織布10は、着用者の体圧等を受けた場合、凸部30が上記荷重を受けつつ、凸部30が厚さ方向Tへ変形する。凸部30が荷重によって厚さ方向Tへ圧縮され、凸部30の最高部31と凹部32の最深部33の差dが縮まる。不織布10に対し厚さ方向Tへ2.9kPaの荷重が付加された場合、好ましい態様において、不織布10は、複数の凹部32の最深部33が複数の凸部30の最高部31より第2面24に向かって窪んだ位置である形状を維持する。すなわち、不織布10は、厚さ方向Tの荷重が2.9kPa以下の場合、凹部32の最深部33が凸部30の最高部31より第1面22から第2面24に向かって窪んだ位置にある形状を保持する。この場合、不織布10は、着用者の体圧等を受けた場合において、凹部32が着用者の肌に触れることを防止することによって、着用者の肌への貼りつきを抑制する。
好ましい態様において、不織布10は、第2繊維層28において、吸水性繊維を30質量%~70質量%を含む。この場合、凹部32において汗等の水分を吸収しやすく、凸部30においても不織布10が厚さ方向Tへ荷重を受けた場合に第1面22から第2繊維層28までの距離が近くなるので、汗等の水分を吸収しやすい。不織布10は、第2繊維層28において、熱可塑性樹脂繊維を含むので、凸部30において第1繊維層26が受け入れた排泄物を非肌対向面側に配置された吸収体3へ素早く移行させ、凹部32において第1面22に沿って到達した排泄物を受け入れ、非肌対向面側の吸収体3へ移行させる。したがって、不織布10は、吸水性繊維を30質量%~70質量%と、熱可塑性樹脂繊維とを含むので、着用者の肌から排出される汗等の水分を吸水性繊維によって吸収しつつ、着用者から排泄された排泄物を熱可塑性樹脂繊維によって非肌対向面側へ移行させる。
好ましい態様において、第2繊維層28の熱可塑性樹脂繊維の繊維径が、第1繊維層26の熱可塑性樹脂繊維の繊維径より小さい。この場合、第2繊維層28は、繊維径が小さい分、熱可塑性樹脂繊維同士が熱接合しやすいので、第1繊維層26に比べ、熱可塑性樹脂繊維同士の交点が熱接合した接合部が多い。すなわち第2繊維層28は接合部が多い分だけ、変形し難い。一方、第1繊維層26は、繊維径が大きい分、第2繊維層28の熱可塑性樹脂繊維より熱接合しにくく、熱可塑性樹脂繊維同士の交点が熱接合した接合部が少ないため、変形しやすい。したがって本不織布10は、凸部30において変形しやすい第1繊維層26を、変形しにくい第2繊維層28が第2面24側から支持することによって、厚さ方向Tへの荷重を付加した場合、凸部30の厚みが減少することによって、凸部30においても第1面22から第2繊維層28までの距離が近くなりやすい。結果として不織布10は、第2繊維層28の熱可塑性樹脂繊維の繊維径が、第1繊維層26の熱可塑性樹脂繊維の繊維径より小さいことによって、着用者の体圧等を受けた場合に、吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収しやすい。
好ましい態様において、不織布10は、第2面24側に第3繊維層36を備える。この場合、着用者の体圧等を受けた場合に、凸部30において第1繊維層26を、第2繊維層28及び第3繊維層36が第2面24側から支持する。そうすると、不織布10は、厚さ方向Tへの荷重を付加した場合、凸部30における第1繊維層26に荷重が加わりやすくなるので、凸部30における第1繊維層26の厚みが減少しやすい。したがって不織布10は、着用者の体圧等を受けた場合、凸部30における第1繊維層26の厚みが減少することによって、凸部30においても第1面22から第2繊維層28までの距離が近くなり、吸水性繊維が着用者の肌から排出される汗等の水分を吸収し得る。
好ましい態様において、不織布10は、吸水性繊維の一部が第1面22から露出している。この場合、不織布2は、吸収性物品1の液透過性シートに用いられた場合、肌対向面(第1面22)から露出した吸水性繊維の一部を通じて、着用者の肌から排出される汗等の水分を第2繊維層28へ移行させやすいので、吸水性に優れる。
(変形例)
吸収性物品の種類及び用途としては、特に限定されるものではなく、例えばパンティライナー、使い捨ておむつ(テープ型、パンツ型)、失禁パッド、汗取りシート等の衛生用品・生理用品が挙げられ、これらはヒトが対象であってもよいし、ペット等のヒト以外の動物が対象であってもよい。その吸収性物品が吸収対象とする液体は特に限定されるものではなく、例えば着用者の液状排泄物、体液等が挙げられる。
複数の凸部及び複数の凹部を備えた凹凸構造は、畝溝構造である場合に限らず、例えば、長手方向に間欠的に延び、かつ幅方向に並ぶ複数列の凸部と、幅方向に隣り合う凸部の間において長手方向に間欠的に延びる複数列の凹部とからなる凹凸構造、半球状や円柱状の複数の凸部と、隣り合う凸部の間に位置する複数の凹部とからなる凹凸構造などが挙げられる。
第1繊維層26、第2繊維層28、及び第3繊維層36を備える不織布10を形成する場合の例として、第3繊維ウェブを、第1繊維ウェブ及び第2繊維ウェブと重ねて積層繊維ウェブを形成する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、不織布は、第1繊維層26と第2繊維層28とを接合し、肌対向面に畝溝構造を有する第1不織布と、第1不織布の非肌対向面側に、第3繊維層36からなる第2不織布とを備えてもよい。
(実施例)
上記実施形態に対応した不織布を作製し、評価を行った。以下実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
(1)試料
上述のギア加工によって、芯鞘型繊維の熱可塑性樹脂繊維からなる第1繊維層、及び吸水性繊維としてのレーヨンと芯鞘型繊維の熱可塑性樹脂繊維とを含む第2繊維層を接合したエアスルー不織布からなる実施例の不織布を作製した。実施例に係る不織布の詳細な構成は表1に示す通りである。実施例の不織布は、複数の畝部及び複数の溝部を備えていた。
参考例として、芯鞘型繊維の熱可塑性樹脂繊維で形成されたエアスルー不織布(参考例1)とコットンからなる不織布(参考例2)とを作製した。参考例1及び2に係る不織布の詳細な構成は表1に示す通りである。参考例1及び2に係る不織布は、いずれも表面に畝部及び溝部を有していなかった。
(2)評価方法
以下の方法によって不織布の貼りつき性を評価した。
(i)イオン交換水50mlと色水50mlの溶液を用意した。
(ii)シルコット(商標)(ユニ・チャーム株式会社製)に、滴下量を測定しつつ上記溶液8gを滴下し、全体に行きわたるように、含ませた。
(iii)シルコット上に人工皮革を貼りつけた30g/cmの重り(サイズ:50mm×35mm)を載せ、30秒放置した。
(iv)60mm×50mmのサイズに切り出した試料を2枚重ねのエアレイド不織布上に置き、試料上に(iii)の重りを載せた。
(v)30秒後、重りを持ち上げ、試料が重りに貼りついているかを目視で確認した。
上記評価を各試料に対しN=10にて行った。
上記(iii)の重りを濾紙に30秒転写し、重りの人工皮革に付着した溶液の付着量を測定したところ0.036g(N=5の平均)であった。
試料が重りに貼りついた試料数(N=10)が2個以下の場合、合格、3個以上の場合、不合格とした。
(3)結果
実施例に係る不織布は、重りに貼りついた試料数が2個であり合格であり、そのうち1個の試料は自重ですぐに重りから落下した。参考例に係る不織布は、いずれも重りに貼りついた試料数が10個であり不合格であった。以上より、本実施例に係る不織布は、着用者の肌への貼りつきを抑制できることを確認できた。
Figure 0007640747000001
1 吸収性物品
1A 本体部
1B フラップ部
2 表面シート
3 吸収体
4 裏面シート
9 外装シート
10 不織布
22 第1面
24 第2面
26 第1繊維層
28 第2繊維層
30 凸部
31 最高部
32 凹部
33 最深部
34 圧搾部

Claims (6)

  1. 第1繊維層及び第2繊維層を、厚さ方向に順に備える吸収性物品の液透過性シート用の不織布であって、
    前記第1繊維層は、熱可塑性樹脂繊維からなり、前記液透過性シートの肌対向面となる第1面を有し、
    前記第2繊維層は、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含み、前記液透過性シートの非肌対向面となる第2面を有し、
    前記第1面に、前記第2面から前記第1面に向かう方向に突出し中実である複数の凸部と、前記第1面から前記第2面に向かう方向に窪んでいる複数の凹部とを有し、
    前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みが、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚みより薄く、
    前記厚さ方向へ荷重が付加されていない前記不織布において、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚み及び前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みを、それぞれTc1及びTd1とし、前記厚さ方向へ2.9kPaの荷重が付加された前記不織布において、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚み及び前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みを、それぞれTc2及びTd2とした場合、(Tc2/Tc1)<(Td2/Td1)の関係式を満たし、
    前記第1繊維層及び前記第2繊維層の坪量はそれぞれ、面方向で一様であり、
    前記厚さ方向へ2.9kPaの荷重が付加された前記不織布において、前記複数の凸部における前記第1繊維層の厚みが、前記複数の凹部における前記第1繊維層の厚みより薄い、不織布。
  2. 前記厚さ方向へ2.9kPaの荷重が付加された前記不織布において、前記複数の凹部の最深部が前記複数の凸部の最高部より前記第1面から前記第2面に向かって窪んだ位置にある、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記第2繊維層は、前記吸水性繊維を30質量%~70質量%含む、請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記第2繊維層の前記熱可塑性樹脂繊維の繊維径が、前記第1繊維層の前記熱可塑性樹脂繊維の繊維径より小さく、
    前記第1繊維層及び前記第2繊維層のそれぞれにおいて、前記熱可塑性樹脂繊維同士の交点が熱接合している、請求項1~のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記第2面側に熱可塑性樹脂繊維からなる第3層を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記吸水性繊維の一部が、前記第1面から露出している、請求項1~のいずれか1項に記載の不織布。
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