JP7645894B2 - プラスチックシンチレーションファイバ及びその製造方法 - Google Patents

プラスチックシンチレーションファイバ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラスチックシンチレーションファイバ及びその製造方法に関する。
従来のプラスチックシンチレーションファイバ(PSF:Plastic Scintillating Fiber)は、シンチレータであるコアの外周面が、コアよりも低屈折率のクラッド層に覆われたプラスチックファイバであり、主に放射線検出に用いられる。通常、コアは、例えばポリスチレンやポリビニルトルエンなどの芳香環を有する基材に、有機系蛍光体を添加した高分子材から構成される。クラッド層は、例えばポリメチルメタクリレートやフッ素含有のポリメチルメタクリレートなどの低屈折率高分子材から構成される。
プラスチックシンチレーションファイバを用いた放射線検出の原理について説明する。シンチレーションファイバのコア基材は芳香環を有しており、照射された放射線がシンチレーションファイバを横断すると、コア内での二次粒子などの再放射などでエネルギーの一部を吸収し、紫外線として放出するという特徴を持つ。この紫外線は、コア基材に蛍光体が添加されていなければ、コア基材自身に自己吸収され、コア内で伝送されずに消失する。
プラスチックシンチレーションファイバでは、この紫外線がコア基材に添加された蛍光体に吸収され、より長波長の光が再放出される。そのため、適切な蛍光体を選択することにより、コア基材に自己吸収され難い、例えば青色などの長波長の光に変換し、ファイバ内で伝送する。ファイバ内で伝送された光は、一端又は両端に接続された検出器において検出される。
このように、シンチレーションファイバは、放射線検出による発光と光伝送の2つの機能を兼ね備えており、放射線の通過位置や量を算出する用途などで使用されている。このようなシンチレーションファイバでは、コアから放出される紫外光をいかに高効率に長波長に波長変換させ、長距離伝送するかが重要である。
一方、シンチレーションファイバと並んで多用されるのがプラスチック波長変換ファイバ(WLSF:Wavelength Shifting Fiber)である。波長変換ファイバは、例えば青色発光するプラスチックシンチレータなどと組み合わせて使用される。板状又は棒状のプラスチックシンチレータに溝や穴を設けて、青色光を吸収し緑色光に変換する波長変換ファイバを埋め込む。
大型で大面積の検出器では、個々のシンチレータから距離が離れた外部の光電検出器(例えば光電子増倍管など)まで光伝送するのは、光の減衰や空間的な制約から困難な場合がある。このような場合、細くて曲がり易く長距離伝送可能な波長変換ファイバが好適に用いられる。外部の光電検出器まで、多数本の波長変換ファイバを自由にレイアウトできる。
波長変換ファイバのコアはポリスチレン樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂からなり、波長変換用の蛍光体が溶解されている。波長変換ファイバでは、外部のシンチレータから入射したシンチレーション光をコア内の蛍光体によって吸収し、効率よく波長変換すると共に、ファイバ内で伝送する。波長変換ファイバと組み合わせるシンチレータとしては、プラスチックシンチレータに限らず、中性子等に高感度な無機シンチレータなどが用いられる。
このように、波長変換ファイバによって、大面積あるいは長尺のシンチレータや、中性子検出用等の特殊なシンチレータから発するシンチレーション光を簡単に集光できる。また、波長変換ファイバによって、コアで波長変換した光を伝送し、光電検出器まで自由に接続できる。
ここで、中性子線の検出は、プラスチックのみから構成されたプラスチックシンチレータでは感度が低く、難しいため、例えば無機シンチレータが用いられる。無機シンチレータとしては、特許文献1に開示されたものや、LiF/ZnS:Ag、LiI:Eu2+、LiBaF:Ce3+、LiCaAlF:Ce3+、Li:Cuなど多数知られている。
しかしながら、無機シンチレータは、減衰長が数mmと透明性が高くなく、発光光(すなわちシンチレーション光)を長距離伝送できない。また、結晶サイズの制約もあるため、無機シンチレータによって光電検出器まで光伝送することは難しい。
また、特許文献2、3などに開示されているように、無機シンチレータを粉砕した微粒子を透明樹脂に分散させたシートが、中性子の検出用に開発されている。このようなシートでは、無機シンチレータと透明樹脂との屈折率差が大きく、透明性が確保できず、シート自身では光電検出器まで効率的に光伝送できない。
そのため、特許文献2、3、4などでは、波長変換ファイバをシンチレータの端面や表面に沿わせ、波長変換ファイバによって光電検出器まで光伝送している。波長変換ファイバを用いることによって、検出光をより長距離伝送できる。
ここで、特許文献2、3、4においてはいずれも、特に特許文献3に開示されたイメージ検出のような空間分解能を重視した検出では、シンチレータと波長変換ファイバとを組み合わせる後加工が多数必要となる。
特開2012-126854号公報 国際公開第2015/064588号 特開2011-141239号公報 特開2015-72227号公報
従来のプラスチックシンチレーションファイバでは、コア自身においてシンチレーション発光させると共に、光電検出器まで光伝送するため、コアに高い透明性が要求される。そのため、中性子線の照射によってシンチレーション光を発する材料をコアに含ませることによって、中性子線を検出するためのプラスチックシンチレーションファイバを得ることはできない。
同様に、波長変換ファイバでも、外部のシンチレータから照射されたシンチレーション光をコアにおいて波長変換すると共に光伝送するため、コアに高い透明性が要求される。そのため、中性子線の照射によってシンチレーション光を発する材料をコアに含ませることによって、中性子線を検出するためのプラスチックシンチレーションファイバを得ることはできない。
他方、波長変換ファイバを用いた従来のシンチレーション検出器では、シンチレータと波長変換ファイバとを組み合わせる後加工が必要である。さらに、イメージ検出する場合、多数の波長変換ファイバ毎にシンチレータも1つずつ分離して組み合わせる必要があり、加工が著しく難しくなる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、中性子線を検出可能であって、生産性に優れたプラスチックシンチレーションファイバを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るプラスチックシンチレーションファイバは、
中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有し、中性子線の照射によってシンチレーション光を発するプラスチック材料を含む最外周層と、
前記最外周層の内部に設けられており、前記シンチレーション光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の蛍光体を含む高屈折率のコアと、
前記コアの外周面を覆うと共に、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッド層と、を備え、
前記コア及び前記クラッド層を含む波長変換ファイバと、当該波長変換ファイバの外周面を覆う前記最外周層とが一体形成されている。
本発明のプラスチックシンチレーションファイバでは、最外周層が、中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有し、中性子線の照射によってシンチレーション光を発するプラスチック材料を含む。そのため、通常のプラスチックシンチレーションファイバよりも中性子に対する感度が向上する。
中性子が照射されると、中性子反応断面積が水素よりも大きいリチウム6、ホウ素10、ガドリニウムなどの元素は通常のプラスチックシンチレータを構成する炭素、酸素、水素などの元素よりもはるかに多くの放射線を発する。本発明のプラスチックシンチレーションファイバでは、最外周層を構成するプラスチック材料において、このような放射線が発生し、その放射線によってシンチレーション光が発生する。このような機構により、中性子線を高感度に検出できる。また、最外周層はコアのように光を伝送するために必要な高い透明性が必要ではないため、上記有機化合物を高濃度で添加できる。
また、本発明の一態様に係るプラスチックシンチレーションファイバでは、最外周層から発せられたシンチレーション光を内部のコアが吸収して波長変換すると共に光伝送する。そのため、従来のプラスチックシンチレーションファイバでは感度が低く、検出し難かった中性子線を検出できる。また、コア及びクラッド層を含む波長変換ファイバと、当該波長変換ファイバの外周面を覆う最外周層とが一体形成されているため、従来必要だったシンチレータと波長変換ファイバとを組み合わせる後加工が不要となる。すなわち、中性子線を検出可能であって、生産性に優れたプラスチックシンチレーションファイバを提供できる。
前記最外周層が、前記シンチレーション光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の蛍光体を含んでもよい。
前記有機化合物が、リチウム6を含んでもよい。
あるいは、前記有機化合物が、ホウ素10を含んでもよい。ここで、前記有機化合物が、カルボラン系化合物でもよい。カルボラン化合物は、分子量に占めるホウ素の比率が高く、効率的にホウ素10原子を添加できる。さらに、前記有機化合物の分子量に占めるホウ素の比率が、50%以上でもよい。このような構成によって、高濃度でホウ素10を含有させることができ、中性子反応性が高くなる。
あるいは、前記有機化合物が、ガドリニウムを含んでもよい。
また、前記波長変換ファイバと前記最外周層とが、線引き加工によって一体形成されていてもよい。生産性がより向上する。
前記最外周層のさらに外側に、前記最外周層を保護する保護層が一体形成されていてもよい。これにより耐久性等が向上する。
さらに、前記クラッド層が、インナークラッド層と、前記インナークラッド層の外周面を覆うと共に、前記インナークラッド層よりも低い屈折率を有するアウタークラッド層とを含むマルチクラッド構造を有していてもよい。全反射角が広くなり、より高発光となる。
前記最外周層又は前記保護層よりも外側に反射層を有してもよい。最外周層で発光したシンチレーション光や、コアで波長変換された光が、反射層で反射することによって、ファイバ側面から外部に漏れ難くなり、高発光となる。
前記反射膜は金属膜でもよい。当該構成によって、薄い厚みで高い反射率が得られる。
本発明の一態様に係るプラスチックシンチレーションファイバの製造方法は、
中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有し、中性子線の照射によってシンチレーション光を発するプラスチック材料を含む最外周層と、
前記最外周層の内部に設けられており、前記シンチレーション光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の蛍光体を含む高屈折率のコアと、
前記コアの外周面を覆うと共に、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッド層と、を備えたプラスチックシンチレーションファイバの製造方法であって、
前記最外周層用の第1円筒体の内部に前記クラッド層用の第2円筒体を挿入し、当該第2円筒体の内部に前記コア用のロッドを挿入し、プリフォームを作製する工程と、
前記プリフォームを加熱しつつ線引き加工する工程と、を備える。
本発明の一態様に係るプラスチックシンチレーションファイバの製造方法は、
中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有し、中性子線の照射によってシンチレーション光を発するプラスチック材料を含む最外周層と、
前記最外周層の内部に設けられており、前記シンチレーション光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の蛍光体を含む高屈折率のコアと、
前記コアの外周面を覆うと共に、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッド層と、を備えたプラスチックシンチレーションファイバの製造方法であって、
前記コア及び前記クラッド層を含む波長変換ファイバの表面に、前記最外周層をコーティングする。
本発明により、従来のシンチレーションファイバよりも高い感度で中性子線を検出可能であって、生産性に優れたプラスチックシンチレーションファイバを提供できる。
実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバの断面図である。 実施の形態1の変形例に係るプラスチックシンチレーションファイバの断面図である。 実施の形態1の他の変形例に係るプラスチックシンチレーションファイバの断面図である。 実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバの製造方法を示す斜視図である。 実施の形態1に係るシンチレーションファイバの応用例を示す斜視図である。 最外周層に添加したパラターフェニルの発光スペクトルと波長変換蛍光体BBOTの吸収及び発光スペクトルである。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
(実施の形態1)
<プラスチックシンチレーションファイバの構成>
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバについて説明する。図1は、実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバの断面図である。
図1に示すように、実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバは、最外周層1、コア2、クラッド層3を備えている。
最外周層1は、中性子線の照射によってシンチレーション光を発するプラスチック材料からなる。そして、当該プラスチック材料は、中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含む。また、プラスチック材料は、中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物に加え、当該プラスチック材料から発せられたシンチレーション光を吸収し長波長に変換する蛍光体を含有してもよい。
最外周層1は、シンチレーション光がクラッド層3を貫通して中心部のコア2へ入射する程度に、十分に発光すると共に透明であればよく、高い透明性は要求されないが、できる限り透明であることが望ましい。最外周層の厚みは、必要とする中性子に対する感度を得るために厚くしてもよい。仮にシンチレータ層である最外周層1の透明性は低くても、光伝送を担う中心部のコア2が高い透明性を有していれば、長距離伝送が可能となる。
コア2は、最外周層1の内部に設けられており、最外周層1において発生したシンチレーション光を吸収してより長波長に変換する少なくとも1種類の蛍光体を含む高屈折率の透明樹脂からなる。コア2を構成する透明樹脂の屈折率は1.5以上が好ましい。
クラッド層3は、コア2の外周面を覆うと共に、コア2よりも低屈折率の透明樹脂からなる。ここで、コア2及びクラッド層3から構成された波長変換ファイバと、当該波長変換ファイバの外周面を覆う最外周層1とが一体形成されている。
光ファイバとして長距離伝送を行うためには、コア2の透明性と同じくクラッド層3の透明性も重要である。長距離伝送のためには、最外周層1の透明性はさほど重要でない。
光ファイバとして長距離伝送を行うためには、クラッド層3の厚さは、伝送光がコア2からクラッド層3に染み出すエバネッセント波の深さより十分厚い3μmから100μmが好ましい。クラッド層3の厚さが、クラッド層3に染み出すエバネッセント波の深さより十分厚ければ、クラッド層3と最外周層1の屈折率は同じもの、さらには同一の透明樹脂でもよい。
コア2が含む蛍光体としては、最外周層1において発生したシンチレーション光の波長に吸収スペクトルが適合すると共に、波長変換する蛍光スペクトルが吸収スペクトルからできる限り離れたものが望ましい。さらに、光電子増倍管(PMT)やアバランシェフォトダイオード(APD)などの光電検出器の波長感度に合わせるなどのため、さらに波長変換させる第2の蛍光体をコア2が含んでもよい。なお、蛍光体の詳細については後述する。
実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバでは、中性子線の照射に伴い、最外周層1においてシンチレーション光が発生し、当該シンチレーション光を内部のコア2が吸収して波長変換すると共に光伝送する。そのため、従来のプラスチックシンチレーションファイバでは感度が低く、検出し難かった中性子線を高感度に検出できる。すなわち、実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバは、中性子線に対するシンチレーション機能と波長変換機能とを兼ね備えた複合型のプラスチック光ファイバである。
また、コア2及びクラッド層3から構成された波長変換ファイバと、当該波長変換ファイバの外周面を覆う最外周層1とが一体形成されている。そのため、従来必要だったシンチレータと波長変換ファイバとを組み合わせる後加工が不要であり、従来に比べ、飛躍的に生産性が向上すると共にコストも低減できる。
なお、最外周層1のさらに外側に、最外周層を保護する保護層(不図示)を一体形成してもよい。保護層によって、プラスチックシンチレーションファイバの耐久性等が向上する。
<プラスチックシンチレーションファイバの変形例>
図2は、実施の形態1の変形例に係るプラスチックシンチレーションファイバの断面図である。図2に示すように、最外周層1もしくは保護層の表面に反射層5を設けてもよい。最外周層1で発光したシンチレーション光や、コア2で波長変換された光が、反射層5で反射することによって、ファイバ側面から外部に漏れ難くなり、高発光となる。ここで、反射層5を金属膜とすることによって、薄い厚みで高い反射率が得られ、好適である。
図3は、実施の形態1の他の変形例に係るプラスチックシンチレーションファイバの断面図である。他の変形例に係るプラスチックシンチレーションファイバは、クラッド層3をインナークラッド層として、さらにクラッド層4をアウタークラッド層として備えている。すなわち、クラッド層が、インナークラッド層(クラッド層3)とアウタークラッド層(クラッド層4)とを含むマルチクラッド構造を有している。クラッド層4は、クラッド層3の外周面を覆うと共に、クラッド層3よりも低屈折率の透明樹脂からなる。
ここで、コア2で波長変換された再発光光はコア2内で立体角的に等方的に放射される。そのため、コア2とクラッド層3もしくはクラッド層4との屈折率差に基づいた全反射角以内の光しかファイバ方向に伝送できない。他の変形例に係るプラスチックシンチレーションファイバは、クラッド層3に加え、低屈折率のクラッド層4を備えるため、図1のプラスチックシンチレーションファイバよりも全反射角が広くなり(開口数NAが大きくなり)、より高発光になる。
<最外周層1の材料>
シンチレータ層である最外周層1は、中性子線の照射によってシンチレーション光を発する透明樹脂すなわちプラスチック材料からなる。ここで、透明樹脂は、中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有する。
最外周層1を構成する透明樹脂は、加熱によって細く線引きが可能なように、熱可塑性であることが好ましい。このような透明樹脂としては、メチルメタクリレートなどで代表されるメタクリル酸エステルモノマー群、メチルアクリレートに代表されるアクリル酸エステルモノマー群及びスチレンに代表されるビニル基を持った芳香族モノマー群のいずれかからなる単独重合体、もしくは共重合体が好適である。
ここで、透明樹脂が放射線によってシンチレーション光を発する蛍光体を含有してもよく、透明樹脂自体が放射線によってシンチレーション光を発してもよい。透明樹脂自体が放射線によってシンチレーション光を発する透明樹脂としては、スチレンに代表されるビニル基を持った芳香族モノマー群のいずれかからなる単独重合体、もしくは共重合体が好適である。
中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物は、安定でかつスチレンに代表されるビニル基を持った芳香族モノマー(すなわち透明樹脂の原料であるモノマー)への溶解性が高いことが望ましい。溶解性が高ければ、有機化合物を芳香族モノマーに溶解して重合した重合物の透明性が高くなる。溶解性が低いと、有機化合物が透明樹脂中に均一に分散せず、中性子に対する感度のばらつきが生じるなどの不具合が生じる。また、粉体として分散した場合は加熱による線引きが困難になったりする。
中性子反応断面積が水素よりも大きい元素として、リチウム6、ホウ素10、ガドリニウムが挙げられる。
リチウム6を含む有機化合物としては、メタクリル酸リチウム、フェニルサリシル酸リチウム、ピバリン酸リチウムなどのリチウムのカルボン酸塩などが好適に用いられる。
ホウ素10を含む有機化合物としては、o-カルボラン、m-カルボラン、p-カルボラン、及びそれらの誘導体などのカルボラン系化合物などが好適に用いられる。カルボラン化合物(B1012)は、分子量に占めるホウ素の比率が高く、効率的にホウ素10原子を添加できる。ここで、分子量に占めるホウ素の原子量の合計分の比率が50質量%以上であると、高濃度でホウ素10を含有させることができ、中性子反応性が高くなる。
ガドリニウムを含む有機化合物としては、ガドリニウムイソプロポキシドなどのガドリニウムアルコキシド、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)ガドリニウムなどのガドリニウム錯体などが好適に用いられる。
最外周層1に含まれる波長変換蛍光体は、芳香環を有し、かつ共鳴可能な構造を有する有機蛍光体であって、コア2に単分子溶解することが好ましい。代表的な蛍光体としては、250~350nmを吸収する2-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(b-PBD)、2-(4-ビフェニル)-5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、パラターフェニル(PTP)、パラクォーターフェニル(PQP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、1-フェニル-3-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-ピラゾリン(PMP)、3-ヒドロキシフラボン(3HF)、などが挙げられる。
また、350~400nmを吸収する4,4’-ビス-(2,5-ジメチルスチリル)-ジフェニル(BDB)、2,5-ビス-(5-t-ブチル-ベンゾキサゾイル)チオフェン(BBOT)、1,4-ビス-(2-(5-フェニロキサゾリル))ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス-(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン(DPB)、1,6-ジフェニル-1,3,5-ヘキサトリエン(DPH)なども好ましい。
最外周層1の例として、中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物としてピバリン酸リチウムを含有すると共に、ポリスチレンが発するシンチレーション光を長波長に変換する蛍光体を含有するポリスチレンが挙げられる。ピバリン酸リチウムに含まれるリチウムのうち約7.5%はリチウム6である。リチウム6は、中性子線によってアルファ線を生じる。このアルファ線によりポリスチレンがシンチレーション発光し、そのシンチレーション光を蛍光体が吸収し、長波長にシフトして発光する。この最外周層1は、中性子線によって400~500nmの可視光を発光する。
最外周層1の他の例として、中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物としてホウ素を高比率で含むカルボラン系化合物を含有すると共に、ポリスチレンのシンチレーション光を長波長に変換する蛍光体を含有するポリスチレンが挙げられる。カルボラン系化合物に含まれるホウ素のうち約19.8%は、水素よりも中性子反応断面積がはるかに大きいホウ素10である。ホウ素10は、中性子線によってアルファ線を生じる。このアルファ線によりポリスチレンがシンチレーション発光し、そのシンチレーション光を蛍光体が吸収し、長波長にシフトして発光する。この最外周層1は、中性子線によって350~400nmの紫外光をシンチレーション発光する。
なお、中性子反応断面積が水素よりも大きい有機化合物、プラスチック材料(透明樹脂)及び蛍光体の種類は上記に限定されない。また、上記材料の配合比率、濃度などは製造の難易度などによって適宜選択され、上記に限定されない。
<コア2の材料>
コア2に用いられる材料は、透明樹脂であれば、制約はない。中でもメチルメタクリレートに代表されるメタクリル酸エステルモノマー群、メチルアクリレートに代表されるアクリル酸エステルモノマー群及びスチレンに代表されるビニル基を持った芳香族モノマー群のいずれかからなる単独重合体、もしくは共重合体が好適である。
中でも、ビニル基を持った芳香族モノマーからなる重合体が、高い屈折率を有し、好ましい。コア2とクラッド層3との屈折率差が大きくなり、全反射角が広くなる。すなわち、コア2内で波長変換された光のうち、より広い角度の光を伝送できるため、より高発光のシンチレーションファイバが得られる。
コア2に含まれる波長変換蛍光体は、芳香環を有し、かつ共鳴可能な構造を有する有機蛍光体であって、コア2に単分子溶解することが好ましい。代表的な蛍光体としては、250~350nmを吸収する2-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(b-PBD)、2-(4-ビフェニル)-5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、パラターフェニル(PTP)、パラクォーターフェニル(PQP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、1-フェニル-3-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-ピラゾリン(PMP)、3-ヒドロキシフラボン(3HF)、などが挙げられる。
また、350~400nmを吸収する4,4’-ビス-(2,5-ジメチルスチリル)-ジフェニル(BDB)、2,5-ビス-(5-t-ブチル-ベンゾキサゾイル)チオフェン(BBOT)、1,4-ビス-(2-(5-フェニロキサゾリル))ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス-(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン(DPB)、1,6-ジフェニル-1,3,5-ヘキサトリエン(DPH)なども好ましい。
高発光を得るには、コア2に含まれる波長変換蛍光体の吸収スペクトルと、最外周層1に含まれる蛍光体の発光スペクトルとの重なりが大きいことが好ましい。
上述の波長変換蛍光体を単体で使用してもよいし、複数の波長変換蛍光体を併用してもよい。各波長変換蛍光体では、量子収率が高く、吸収スペクトルと発光スペクトルの重なりが少ない(ストークスシフトが大きい)ことが好ましい。プラスチックファイバの特性として、長波長である程、可視光は伝送損失が小さいため、より長波長で発光する波長変換蛍光体が好ましく、適宜2種以上併用してもよい。波長変換蛍光体は、コア2を構成する透明樹脂に可溶であることが好ましい。
波長変換蛍光体の濃度は、単独でも複数でも質量濃度で50~10000ppmが好適であり、さらには100~1000ppmが好ましい。濃度が低過ぎると、最外周層1からのシンチレーション光をコア2において効率よく吸収できない。逆に、濃度が高過ぎると、蛍光体自身が持つ自己吸収の影響が大きくなって、波長変換効率が低下したり、変換された光に対する透過率が低下して減衰長が悪化する。
<クラッド層3の材料>
クラッド層3に用いられる材料は、コア2より低屈折率を有する透明樹脂であれば、制約はない。中でも、メチルメタクリレートに代表されるメタクリル酸エステルモノマー群及びパーフルオロアルキルメタクリレート等のフッ素化モノマー群、メチルアクリレートに代表されるアクリル酸エステルモノマー群及びパーフルオロアルキルアクリレート等のフッ素化モノマー群のいずれかを原料とする単独重合体もしくは共重合体が好適である。
<クラッド層4の材料>
クラッド層4に用いられる材料は、クラッド層3よりさらに低屈折率を有する透明樹脂であればよい。クラッド層3のモノマー群などからから選択できる。特に、低屈折率を有する含フッ素モノマー群から選択することが好ましい。
これらのモノマー群は熱又は光照射により容易に重合体又は共重合体が得られるため、精密な組成分布を形成でき、かつ取り扱い易いという利点がある。重合にあたっては有機過酸化物又はアゾ化合物を重合開始剤として加えてもよい。代表的な有機過酸化物としては1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられるが、熱又は光照射によってラジカルを生成するものであれば特に制限はない。
また分子量調整のために連鎖移動剤としてメルカプタンを添加してもよい。代表的なメルカプタンとしてはオクチルメルカプタンがあるが、R-SH(ここでRは有機基を表す)の構造を有するものであれば特に制限はない。
<反射層の材料>
反射層5を構成する材料は、ファイバ側面から出射する光を高反射率で反射できる材料であれば制約はない。中でも金属膜は、例えば白色の反射塗料等に比べ、より薄い厚みで高い反射率が得られ、特にファイバとして細い径が要求される場合に好ましい。
金属膜は、アルミニウム、金、銀、ニッケル等、必要とする波長範囲の反射率が高ければ特に限定されない。可視光領域の反射率の高さからアルミニウムと銀が好適である。さらに、コストの観点からはアルミニウムが好適である。
なお、金属膜の厚みは特に制限されないが、可視光領域で、できる限り薄い厚みで高い反射率を得ることが好ましい。例えば、アルミニウムでは、10~100nmが好ましく、20~70nmがさらに好ましい。銀では、35~150nmが好ましく、50~100nmがさらに好ましい。また、成膜方法についても、蒸着法、スパッタリング法など、特に制限されない。
<プラスチックシンチレーションファイバの製造方法>
図4は、実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバの製造方法を示す斜視図である。図4は、図1に示したプラスチックシンチレーションファイバを製造するための母材(プリフォーム)を示す。
第1円筒体11は、中性子線によってシンチレーション発光する熱可塑性樹脂からなる円筒体である。この熱可塑性樹脂は、中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有する。第1円筒体11は、線引き加工後に最外周層1を構成する。第1円筒体11の製造方法の例については実施例で後述する。
ロッド12は、シンチレーション光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の蛍光体を溶解させた透明な熱可塑性樹脂からなる円柱体である。ロッド12は、線引き加工後にコア2を構成する。
第2円筒体13は、ロッド12より低い屈折率を有し、透明な熱可塑性樹脂からなる円筒体である。第2円筒体13は、線引き加工後にクラッド層3を構成する。
図4に示すように、第1円筒体11の内部に第2円筒体13を挿入すると共に、第2円筒体13の内部にロッド12を挿入し、プリフォームを作製する。図4は、ロッド12を第2円筒体13の内部に挿入している途中の様子を示している。作製されたプリフォームの先端を加熱しながら、例えば外径1mmに線引きすることによって、実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバが得られる。
なお、図4に示すように、第1円筒体11、第2円筒体13、及びロッド12の間には隙間が形成されているが、減圧下において線引き加工を行うため、コア2、クラッド層3、及び最外周層1は、密着して一体形成される。
図3に示した変形例に係るプラスチックシンチレーションファイバも、同様の製造方法によって製造できる。
実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバの製造方法では、中性子線によって発光するシンチレータ層(最外周層1)を波長変換ファイバ(コア2及びクラッド層3)の外周面に一体形成する。そのため、当該プラスチックシンチレーションファイバは、中性子線を検出可能であると共に光伝送可能である。すなわち、当該プラスチックシンチレーションファイバは、単体で、従来のシンチレータ及び波長変換ファイバの機能を兼ね備えている。
そのため、従来必要だったシンチレータと波長変換ファイバとを組み合わせる後加工が不要であり、従来に比べ、生産性が向上すると共にコストも低減できる。特に、イメージ検出する場合、波長変換ファイバ毎にシンチレータも1つずつ分離して組み合わせる必要がなく、当該プラスチックシンチレーションファイバを並べるだけよい。そのため、従来に比べ、飛躍的に生産性が向上すると共にコストも低減できる。
なお、波長変換ファイバ(コア2及びクラッド層3)を製造した後、当該波長変換ファイバの表面にシンチレータ層(最外周層1)をコーティング(塗装を含む)によって一体形成してもよい。但し、上述の通り、線引き加工によって、シンチレータ層(最外周層1)と波長変換ファイバ(コア2及びクラッド層3)とを同時に製造すれば、より生産性が向上する。
<プラスチックシンチレーションファイバの応用例>
次に図5を参照して、実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバの応用例について説明する。図5は、実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバの応用例を示す斜視図である。当該応用例では、実施の形態1に係るプラスチックシンチレーションファイバPSFが、基板上にアレイ状に配列されている。
なお、当然のことながら、図5に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正向きが鉛直上向き、xy平面が水平面である。
各プラスチックシンチレーションファイバPSFには、光電子増倍管などの光電検出器が接続されており(不図示)、伝送された光を検出できる。このような構成によって、例えば1mm分解能で1次元のイメージ検出(位置検出)が可能となる。ここで、分解能はプラスチックシンチレーションファイバPSFの直径に等しい。さらに、このようなプラスチックシンチレーションファイバPSFのアレイを2段設け、互いに直交させて上下に重ねて配置すれば、2次元のイメージ検出も実現できる。
このように、空間分解能が高い中性子線のイメージ検出も、本実施の形態に係るプラスチックシンチレーションファイバを用いることによって、簡易かつ低コストに実現できる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は係る実施例により何ら限定されない。
<実施例1>
中性子反応断面積が水素よりも大きいホウ素10を含む有機化合物であるm-カルボランを5質量%、蛍光体2-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(b-PBD)1質量%をスチレンモノマーに添加して重合し、その重合物を外径50mm、内径40mmの最外周層用円筒体(図4の第1円筒体11)を成形した。
ポリスチレン(屈折率1.59)からなる直径32mmのコア用ロッド(図4のロッド12)と、ポリメチルメタクリレート(屈折率1.49)からなる外径38mm、内径34mmのクラッド層用円筒体(図4の第2円筒体13)とを準備した。コア用ロッドには、波長変換蛍光体として、2,5-ビス-(5-t-ブチル-ベンゾキサゾイル)チオフェン(BBOT)を200質量ppmの濃度で溶解させた。
図4に示すように、最外周層用円筒体の内部にクラッド層用円筒体を挿入すると共に、クラッド層用円筒体の内部にコア用ロッドを挿入し、プリフォームを作製した。このプリフォームの先端を加熱しながら、減圧下で外径が1mmとなるように一体線引きし、実施例1に係るプラスチックシンチレーションファイバを得た。このプラスチックシンチレーションファイバは、図1に示した断面構成を有している。外径は1000μm、クラッド層3の直径は770μm、コア2の直径は680μm、最外周層1の厚みは115μm、クラッド層3の厚みは45μmであった。
図6は、最外周層1に添加した蛍光体2-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(b-PBD)の発光スペクトル、コア2に添加した波長変換蛍光体BBOTの吸収及び発光スペクトルを示すグラフである。図6に示すように、最外周層1に添加したb-PBDの発光スペクトルとコア2に添加したBBOTの吸収スペクトルとの重なりが大きい。実施例1に係るプラスチックシンチレーションファイバは、中性子反応断面積が水素よりも大きい有機化合物を含むため、従来のプラスチックシンチレーションファイバよりも中性子感度が向上した。
<実施例2>
実施例1と同様に、外径50mm、内径40mmの最外周層用円筒体(図4の第1円筒体11)を成形した。また、実施例1と同様に、ポリスチレン(屈折率1.59)からなる直径28mmのコア用ロッド(図4のロッド12)と、ポリメチルメタクリレート(屈折率1.49)からなる外径33mm、内径30mmのインナークラッド層用円筒体(図4の第2円筒体13)とを準備した。コア用ロッドには、波長変換蛍光体として、BBOTを300質量ppmの濃度で溶解させた。
さらに、実施例2では、パーフルオロアルキルアクリレート等のフッ素化モノマーの共重合体(屈折率1.42)からなる外径38mm、内径35mmのアウタークラッド層用円筒体(不図示)を準備した。アウタークラッド層用円筒体は、線引き加工後に図3に示したクラッド層4を構成する。
そして、最外周層用円筒体の内部にアウタークラッド層用円筒体を挿入し、その内部にインナークラッド層用円筒体を挿入し、その内部にコア用ロッドを挿入することによって、プリフォームを作製した。
このプリフォームの先端を加熱しながら、減圧下で外径が1mmとなるように一体線引きし、実施例2に係るプラスチックシンチレーションファイバを得た。このプラスチックシンチレーションファイバは、図3に示した断面構成を有している。外径は1000μm、クラッド層4の外径は754μm、クラッド層3の外径は682μm、コア2の直径は612μm、最外周層1の厚みは123μm、クラッド層4の厚みは36μm、クラッド層3の厚みは35μmであった。
実施例2に係るプラスチックシンチレーションファイバに中性子線を入射したところ、10m離れた先端において実施例1より30%ほど高い光量を観察できた。コア2の直径は実施例1より小さくなったものの、より低屈折のクラッド層4を設けたことによって、全反射角が広くなり、より高発光になったものと考えられる。
<実施例3>
中性子反応断面積が水素よりも大きいリチウム6を含む有機化合物であるピバリン酸リチウムを1.9質量%、蛍光体2-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(b-PBD)質量%をスチレンモノマーに添加して重合し、それを外径50mm、内径40mmの最外周層用円筒体(図4の第1円筒体11)を成形した。
ポリスチレン(屈折率1.59)からなる直径32mmのコア用ロッド(図4のロッド12)と、ポリメチルメタクリレート(屈折率1.49)からなる外径38mm、内径34mmのクラッド層用円筒体(図4の第2円筒体13)とを準備した。コア用ロッドには、波長変換蛍光体として、2,5-ビス-(5-t-ブチル-ベンゾキサゾイル)チオフェン(BBOT)を200質量ppmの濃度で溶解させた。
図4に示すように、最外周層用円筒体の内部にクラッド層用円筒体を挿入すると共に、クラッド層用円筒体の内部にコア用ロッドを挿入し、プリフォームを作製した。このプリフォームの先端を加熱しながら、減圧下で外径が1mmとなるように一体線引きし、実施例1に係るプラスチックシンチレーションファイバを得た。このプラスチックシンチレーションファイバは、図1に示した断面構成を有している。外径は1000μm、クラッド層3の直径は770μm、コア2の直径は680μm、最外周層1の厚みは115μm、クラッド層3の厚みは45μmであった。実施例3に係るプラスチックシンチレーションファイバは、中性子反応断面積が水素よりも大きい有機化合物を含むため、従来のプラスチックシンチレーションファイバよりも中性子感度が向上した。
<実施例4>
実施例1に係るプラスチックシンチレーションファイバの表面に蒸着法によりアルミニウム膜を約50nmの厚みで成膜した。
最外周層1で発光したシンチレーション光や、コア2で波長変換された光が、反射層5で反射することによって、ファイバ側面から外部に漏れ難くなり、高発光となった。
本発明は上記実施の形態に限られず、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
この出願は、2020年9月16日に出願された日本出願特願2020-155285を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 最外周層
2 コア
3 クラッド層(インナークラッド層)
4 クラッド層(アウタークラッド層)
5 反射層
11 第1円筒体
12 ロッド
13 第2円筒体
PSF プラスチックシンチレーションファイバ

Claims (14)

  1. 中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有し、中性子線の照射によってシンチレーション光を発するプラスチック材料と、前記シンチレーション光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の第1蛍光体と、を含む最外周層と、
    前記最外周層の内部に設けられており、前記第1蛍光体が発する光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の第2蛍光体を含む高屈折率のコアと、
    前記コアの外周面を覆うと共に、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッド層と、を備え、
    前記コア及び前記クラッド層を含む波長変換ファイバと、当該波長変換ファイバの外周面を覆う前記最外周層とが一体形成されており
    前記第1蛍光体が吸収する前記シンチレーション光は、波長250~350nmの紫外光であり、
    前記第2蛍光体は、前記第1蛍光体が発する波長350~400nmの光を吸収し、さらに長波長側の光に変換する、
    プラスチックシンチレーションファイバ。
  2. 前記有機化合物が、リチウム6を含む、
    請求項1に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  3. 前記有機化合物が、ホウ素10を含む、
    請求項1に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  4. 前記有機化合物が、カルボラン系化合物である、
    請求項に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  5. 前記有機化合物の分子量に占めるホウ素の比率が、50%以上である、
    請求項又はに記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  6. 前記有機化合物が、ガドリニウムを含む、
    請求項1に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  7. 前記波長変換ファイバと前記最外周層とが、線引き加工によって一体形成されている、
    請求項1~のいずれか一項に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  8. 前記最外周層のさらに外側に、前記最外周層を保護する保護層が一体形成されている、
    請求項1~のいずれか一項に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  9. 前記クラッド層が、
    インナークラッド層と、
    前記インナークラッド層の外周面を覆うと共に、前記インナークラッド層よりも低い屈折率を有するアウタークラッド層と、を含むマルチクラッド構造を有している、
    請求項1~のいずれか一項に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  10. 前記最外周層よりも外側に反射層を有する、
    請求項1~のいずれか一項に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  11. 前記保護層よりも外側に反射層を有する、
    請求項8に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  12. 前記反射層が金属膜である、
    請求項10又は11に記載のプラスチックシンチレーションファイバ。
  13. 中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有し、中性子線の照射によってシンチレーション光を発するプラスチック材料と、前記シンチレーション光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の第1蛍光体と、を含む最外周層と、
    前記最外周層の内部に設けられており、前記第1蛍光体が発する光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の第2蛍光体を含む高屈折率のコアと、
    前記コアの外周面を覆うと共に、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッド層と、を備えたプラスチックシンチレーションファイバの製造方法であって、
    前記最外周層用の第1円筒体の内部に前記クラッド層用の第2円筒体を挿入し、当該第2円筒体の内部に前記コア用のロッドを挿入し、プリフォームを作製する工程と、
    前記プリフォームを加熱しつつ線引き加工する工程と、を備え、
    前記第1蛍光体が吸収する前記シンチレーション光は、波長250~350nmの紫外光であり、
    前記第2蛍光体は、前記第1蛍光体が発する波長350~400nmの光を吸収し、さらに長波長側の光に変換する、
    プラスチックシンチレーションファイバの製造方法。
  14. 中性子反応断面積が水素よりも大きい元素を含む有機化合物を含有し、中性子線の照射によってシンチレーション光を発するプラスチック材料と、前記シンチレーション光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の第1蛍光体と、を含む最外周層と、
    前記最外周層の内部に設けられており、前記第1蛍光体が発する光を吸収して長波長に波長変換する少なくとも1種類の第2蛍光体を含む高屈折率のコアと、
    前記コアの外周面を覆うと共に、前記コアよりも低い屈折率を有するクラッド層と、を備えたプラスチックシンチレーションファイバの製造方法であって、
    前記コア及び前記クラッド層を含む波長変換ファイバの表面に、前記最外周層をコーティング
    前記第1蛍光体が吸収する前記シンチレーション光は、波長250~350nmの紫外光であり、
    前記第2蛍光体は、前記第1蛍光体が発する波長350~400nmの光を吸収し、さらに長波長側の光に変換する、
    プラスチックシンチレーションファイバの製造方法。
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