以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお、図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。また、図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接的に接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に開示されているものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書では、結晶面を、ミラー指数を用いて表す。ミラー指数は、丸括弧の中の3つの整数で示される。また、結晶面の並びの方向(結晶面に対して垂直方向)を、結晶方位という。結晶方位は、角括弧の3つの整数で示される。例えば、結晶面を表す際は(111)と示し、結晶方位を表す際は[111]で示す。なお、六方晶系では、ミラー-ブラベー(Miller-Bravais)指数と呼ばれる表記が利用される場合がある。具体的には、六方晶格子の面指数を、4つの整数(h、k、i、l)を用いて、(hkil)で表す。ここでi=-(h+k)である。指数iは指数hと指数kの値から計算できるため、本明細書では、六方晶系の結晶面に対しても、3つの整数を用いたミラー指数(hkl)で表記する。また、結晶面、方向および空間群の表記は、結晶学上、数字に上付きのバーを付すが、本明細書等では出願表記の制約上、数字の上にバーを付す代わりに、数字の前に-(マイナス符号)を付して表現する場合がある。
また、本明細書では、単結晶基板の表面に現れる結晶面を、単結晶基板の面方位と呼ぶ場合がある。
また、本明細書では、結晶面に対応する、逆格子における格子点(逆格子点ともいう)を、括弧なしの指数で表記する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である無機発光素子に用いられる金属窒化物膜の作製方法について説明する。
金属および窒素を有する金属窒化物は、半導体装置に用いる半導体材料や絶縁性材料として注目されている。半導体装置に用いる金属窒化物は、不純物や欠陥が少なく、安定性が高いことが好ましい。なお、金属窒化物の不純物や欠陥が少ないことを金属窒化物の結晶性が高いと言い換えることができる。また、金属窒化物の安定性が高いとは、半導体装置の動作に伴う発熱などによって、当該金属窒化物に接する材料と反応しにくいこと、当該金属窒化物の結晶性が変化しないこと、または当該金属窒化物に欠陥が生じにくいこと、などをさす。不純物や欠陥が少なく、安定性が高い金属窒化物を半導体装置に用いることで、当該半導体装置の信頼性を向上させることができる。
本発明の一態様では、不純物及び欠陥が少ない結晶性の高い金属窒化物膜を作製するために、基板と金属窒化物の間にバッファ層として金属酸窒化物膜を設けることができる。結晶性の高い金属窒化物膜を作製するためには、不純物及び欠陥が少ない金属酸窒化物膜を設けることが好ましい。
金属酸窒化物における不純物とは、例えば、金属酸窒化物を構成する主成分以外をいう。例えば、金属酸窒化物において、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物といえる。当該元素として、例えば、水素、シリコン、ホウ素、リン、炭素、及び金属酸窒化物を構成する主成分以外の遷移金属などがある。また、金属酸窒化物における欠陥とは格子欠陥のことであり、格子欠陥としては、例えば、酸素欠損、窒素欠損などの点欠陥、転位などの線欠陥、結晶粒界などの面欠陥等がある。また、金属酸窒化物における欠陥には、鬆などのボイド欠陥等がある。
また、薄膜には、結晶性の観点から、面内配向した薄膜、配向性薄膜、無配向薄膜(多結晶薄膜)、非晶質薄膜(アモルファス薄膜)などがある。配向性薄膜は、薄膜に含まれる結晶において、少なくとも一つの結晶軸が特定の方向に揃っている状態の薄膜である。また、面内配向した薄膜は、薄膜に含まれる結晶において、3つの結晶軸がそれぞれ特定の方向に揃っている状態の薄膜である。
半導体装置などに用いる金属酸窒化物の薄膜は、配向性を有することが好ましく、面内配向した金属酸窒化物の薄膜であることがさらに好ましい。面内配向した金属酸窒化物の薄膜は、不純物や欠陥が少なく、緻密な構造を有している。よって、面内配向した金属酸窒化物の薄膜を半導体装置などに用いることで、当該半導体装置などの信頼性を向上させることができる。
面内配向した薄膜の形成方法として、エピタキシャル成長が知られている。エピタキシャル成長とは、単結晶の基板上に、薄膜を構成する結晶が一定の結晶方位関係をもって成長することをいう。なお、単結晶の基板上に、当該基板と同じ材料を用いて、当該基板の有する結晶の格子定数と同じである結晶が成長することを、ホモエピタキシャル成長と呼ぶ。また、単結晶の基板上に、当該基板と異なる材料を用いて、または、当該基板の有する結晶の格子定数と異なる格子定数の材料を用いて、結晶が成長することを、ヘテロエピタキシャル成長と呼ぶ。ヘテロエピタキシャル成長は、基板の有する結晶に対して格子不整合が小さい材料を選択する、または、基板と薄膜の間に格子歪みを緩和する層(バッファ層ともいう)を設ける、などにより可能となる。
エピタキシャル成長の方法には、固相エピタキシャル成長(SPE:Solid Phase Epitaxy)法、液相エピタキシャル成長(LPE:Liquid Phase Epitaxy)法、気相エピタキシャル成長(VPE:Vapor Phase Epitaxy)法がある。
SPE法は、基板表面に堆積する材料を電子ビーム照射などにより加熱して、当該材料を基板の有する結晶と同じ結晶構造に変える方法である。また、LPE法は、過飽和溶液から基板表面に結晶部分を析出させる方法である。また、VPE法は、気相中の成分を基板表面に堆積させる方法である。VPE法には、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、分子線エピタキシャル成長(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法などがある。MBE法は、超高真空中で目的の結晶を構成する元素あるいは元素を含む材料を加熱蒸発させ、加熱された基板上に結晶を堆積させる方法である。
従来技術では、薄膜をエピタキシャル成長させるのに、様々な制約がある。当該制約として、例えば、当該薄膜を高温で成膜すること、当該薄膜を成膜した後に高温(例えば、1000℃以上)で熱処理を行うこと、当該薄膜を成膜する前に基板表面に対して平坦化処理を施すこと、基板上に1以上のバッファ層を設けること、または、格子定数や熱膨張係数の近い基板を選択すること、などがある。基板表面の平坦化処理として、例えば、当該基板に対して高温で熱処理を行うこと、などがある。
そこで、本発明の一態様の金属酸窒化物膜の作製方法では、金属酸窒化物膜を低温でエピタキシャル成長させる。本作製方法では、単結晶の基板上に、反応室へ気体を導入して、スパッタリング法によって、金属酸窒化物膜をエピタキシャル成長させる。本発明の一態様では、エピタキシャル成長させることで面内配向した膜を形成することができる。
エピタキシャル成長させる金属酸窒化物膜の結晶構造は、六方晶系の結晶構造であることが好ましい。六方晶系の結晶構造のうち、特に、ウルツ鉱型構造であることが好ましい。ウルツ鉱型構造は、立方晶系(例えば、ダイヤモンド構造、蛍石型構造、閃亜鉛型構造など)に対してエピタキシャル成長が可能な結晶方位関係を有する。例えば、立方晶の[111]方向とウルツ鉱型構造の[001]方向とは、エピタキシャル成長が可能な結晶方位関係である。よって、六方晶系の結晶構造を有する金属酸窒化物膜を、立方晶系、六方晶系などの結晶構造を有する単結晶の基板上にエピタキシャル成長させやすくすることができる。また、当該金属酸窒化物膜上に、立方晶系、六方晶系などの結晶構造を有する材料をエピタキシャル成長させやすくすることができる。
なお、上述した六方晶系の結晶構造以外では、エピタキシャル成長させる金属酸化物薄膜の結晶構造が立方晶系の結晶構造であることが好ましい。立方晶系の結晶構造のうち、特にビックスバイト(bixbyite)(C型希土類型)構造であることが好ましい。立方晶系は、六方晶系に対してエピタキシャル成長が可能な結晶方位関係を有する。上述のように、立方晶の[111]方向とウルツ鉱型構造の[001]方向とは、エピタキシャル成長が可能な結晶方位関係であるため、六方晶系の結晶構造を有する金属窒化物膜を、立方晶系の結晶構造を有する当該金属酸化物薄膜上にエピタキシャル成長させやすくすることができる。
上記単結晶の基板として、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板など)などの絶縁体基板を用いることができる。金属酸窒化物の結晶構造がウルツ鉱型構造である場合、上記基板として、例えば、面方位が(111)であるYSZ基板、または面方位が(110)であるa面サファイア基板を用いることが好ましい。上記基板にYSZ基板またはa面サファイア基板を用いることで、ウルツ鉱型構造の結晶を有し、面内配向した金属酸窒化物の薄膜を形成しやすくなる。なお、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛などの基板を用いてもよい。
エピタキシャル成長した薄膜の結晶の格子定数と、基板の結晶の格子定数との差(格子不整合ともいう)は小さい方が好ましい。格子不整合を小さくすることで、単結晶の基板上に、薄膜をエピタキシャル成長させやすくすることができる。
格子不整合の度合いを評価する方法の一つとして、格子不整合度がある。格子不整合度Δaは、エピタキシャル成長した薄膜の結晶の格子定数aeと、基板の結晶の格子定数asと、を用いて、以下の数式(1)より算出される。
エピタキシャル成長させる金属酸窒化物膜と、単結晶の基板との格子不整合度は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。これにより、単結晶の基板上に、金属酸窒化物膜をエピタキシャル成長させやすくすることができる。
なお、立方晶系の単結晶の基板上に、ウルツ鉱型構造の結晶を有する金属酸窒化物膜をエピタキシャル成長させる場合、例えば、当該基板は[111]方向であり、当該金属酸窒化物膜は[001]方向であり、結晶方位が異なる。そこで、asを当該基板の結晶の格子定数を2分のルート2倍した値とすることで、格子不整合度を算出することができる。具体的には、当該単結晶の基板として、a軸方向の格子定数が約0.51nmであるYSZ基板を用いる場合、[111]方向から見た最隣接原子間距離は、最小のもので約0.36nmとなる。よって、上記した格子不整合度の好ましい範囲を鑑みて、金属酸窒化物膜の結晶の、a軸方向の格子定数は、0.31nm以上0.41nm以下が好ましく、0.32nm以上0.40nm以下がより好ましい。
さらに、本発明の一態様の金属窒化物膜の作製方法では、金属酸窒化物膜上または金属酸化物膜上に金属窒化物膜を低温でエピタキシャル成長させる。一例として、金属酸窒化物膜上に金属窒化物膜を低温でエピタキシャル成長させる場合、上述した金属酸窒化物膜上に、反応室へ気体を導入して、スパッタリング法によって、金属窒化物膜をエピタキシャル成長させる。本発明の一態様では、エピタキシャル成長させることで面内配向した膜を形成することができる。
エピタキシャル成長させる金属窒化物膜の結晶構造は、六方晶系の結晶構造であることが好ましい。六方晶系の結晶構造のうち、特に、ウルツ鉱型構造であることが好ましい。エピタキシャル成長した金属酸窒化物膜がウルツ鉱構造を有するため、金属酸窒化物膜上には、ウルツ鉱構造を有する金属窒化物膜を成長させることが容易である。
例えば、面方位が(111)であるYSZ基板または面方位が(110)であるa面サファイア基板上にエピタキシャル成長した金属酸窒化物膜上にエピタキシャル成長させた金属窒化膜は、面方位が(111)であるYSZ基板または面方位が(110)であるa面サファイア基板上にエピタキシャル成長した金属窒化物膜よりも結晶性が高くなる。エピタキシャル成長させるのに一般的に高温条件が必要であるのに対して、本方法ではエピタキシャル成長させるには、高温条件を必要としない。また、金属酸窒化物膜は、スパッタリング法を用いて容易に形成することができる。
エピタキシャル成長した金属酸窒化物膜がウルツ鉱構造を有することから、金属酸窒化物膜は、基板と金属窒化物膜との格子不整合を緩和する良好なバッファ層として機能する。金属酸窒化物膜および金属窒化物膜を半導体装置として用いる場合、金属窒化物膜の結晶性は高いことが好ましい。
一例として、金属窒化物を用いて無機発光素子を形成する場合、金属窒化物膜は、少なくともn型のクラッド層、活性層、およびp型のクラッド層を有する。したがって、金属窒化物膜を積層するため、バッファ層上の金属窒化物膜はバッファ層よりも結晶性が高いことが好ましい。結晶性を高くすることで、金属窒化物膜中のキャリア濃度などの均一性が向上し、電気的特性が向上する。さらに、結晶性を高くすることで無機発光素子の耐圧および電流に対する信頼性を向上させることができる。実施の形態2では、金属酸窒化物膜および金属窒化物膜を用いて無機発光素子または表示装置を作製する例について詳細に説明する。
なお、金属酸窒化物膜および金属窒化物膜を用いた半導体装置は、表示素子および表示装置に限定されない。当該半導体装置として、投影装置、照明装置、電気光学装置、蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置、通信装置、または電子機器などに適用することができる。
単結晶の基板上にエピタキシャル成長させた、金属酸窒化物膜を含む構造体の模式図を図1Aに示す。図1Aは、単結晶の基板10上に、金属酸窒化物膜20が成膜された構造体の模式図である。図1Aには、金属酸窒化物膜20が、ウルツ鉱型構造の結晶20aを有する場合を図示している。本発明の一態様の作製方法によって、ウルツ鉱型構造の結晶20aのc軸([001]方向)が、単結晶の基板10表面の法線方向と一致するように、金属酸窒化物膜20はエピタキシャル成長する。ここで、本発明の一態様の作製方法でエピタキシャル成長した膜は、当該膜に含まれる結晶のc軸([001]方向)が、単結晶の基板表面の法線方向と一致するため、本発明の一態様の作製方法でエピタキシャル成長した膜を、c軸エピタキシャル膜と呼ぶ場合がある。なお、法線方向は、垂直方向と言い換えてもよい。
図1Bを用いて、ウルツ鉱型構造の結晶面について説明する。図1Bには、ウルツ鉱型構造の代表的な結晶面((001)面、(101)面)を示している。図1Bに示すウルツ鉱型構造の(001)面は、単結晶の基板10表面と平行な面となる。
図1Cに、ウルツ鉱型構造における原子配置を示す。図1C中の配置X1は、金属原子の配置であり、配置X2は酸素原子または窒素原子の配置である。なお、配置X1が酸素原子または窒素原子の配置であり、配置X2が金属酸原子の配置であってもよい。
上記スパッタリング法に用いるスパッタリングターゲットは、亜鉛を含む酸化物ターゲットであることが好ましく、インジウムおよびガリウムの少なくとも一方と、亜鉛と、を含む酸化物ターゲットであることがより好ましい。当該酸化物ターゲットとして、例えば、酸化亜鉛ターゲット、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)ターゲット、ガリウム亜鉛酸化物(Ga-Zn酸化物)ターゲット、インジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn酸化物)ターゲットなどを用いることができる。特に、当該酸化物ターゲットとして、インジウムガリウム亜鉛酸化物ターゲットを用いるとよい。窒化インジウム、窒化ガリウム、酸化亜鉛の結晶構造はいずれも、ウルツ鉱型構造である。よって、当該酸化物ターゲットを用いて成膜することで、ウルツ鉱型構造の結晶を有し、面内配向した金属酸窒化物の薄膜を形成し易くなる。なお、ウルツ鉱型ではない当該酸化物ターゲットを用いた場合でも、形成された薄膜はウルツ鉱型構造を有することがある。
また、異なる例としてスパッタリング法に用いるスパッタリングターゲットは、インジウムを含む酸化物ターゲットであることが好ましく、インジウムと、錫と、を含む酸化物ターゲットであることがより好ましい。当該酸化物ターゲットとして、例えば、酸化インジウムターゲット、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)ターゲットを用いることが出来る。通常、酸化インジウム、酸化インジウム錫の結晶構造はいずれも、ビックスバイト(bixbyite)(C型希土類型)構造である。よって、当該酸化物ターゲットを用いて成膜することで、ビックスバイト型構造の結晶を有し、面内配向した金属酸化物の薄膜を形成し易くなる。
図2は、ウルツ鉱構造を有する金属酸窒化物膜20上にエピタキシャル成長させた、金属窒化物膜30を含む構造体の模式図を示す。金属窒化物膜30は、ウルツ鉱型構造の結晶30aを有する。なお、金属酸窒化物膜20のウルツ鉱型構造の(001)面は、金属窒化物膜30がエピタキシャル成長する結晶面と平行な面になるため、金属窒化物膜30の結晶性が良好になる。なお、金属窒化物膜30は、少なくとも第13族元素および第15族元素の元素を含むことが好ましい。
図3を用いて、上記亜鉛を含む酸化物ターゲットを構成する金属の原子数比の好ましい範囲について説明する。図3は、上記酸化物ターゲットが有するインジウム、ガリウム、および亜鉛の原子数比を表す図である。なお、図3には、酸素の原子数比については記載しない。また、上記酸化物ターゲットが有するインジウム、ガリウム、および亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[Ga]、および[Zn]とする。
図3において、破線は、[In]:[Ga]:[Zn]=(1+α):(1-α):1の原子数比(αは-1以上1以下の実数)となるライン、[In]:[Ga]:[Zn]=(1+α):(1-α):2の原子数比となるライン、[In]:[Ga]:[Zn]=(1+α):(1-α):3の原子数比となるライン、および[In]:[Ga]:[Zn]=(1+α):(1-α):4の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[Ga]:[Zn]=4:1:βの原子数比(βはゼロ以上の実数)となるライン、[In]:[Ga]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、[In]:[Ga]:[Zn]=1:1:βの原子数比となるライン、[In]:[Ga]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、および[In]:[Ga]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるラインを表す。
図3に示す領域Aは、上記酸化物ターゲットが有するインジウム、ガリウム、および亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。領域Aには、[In]:[Ga]:[Zn]=4:2:4.1、および[In]:[Ga]:[Zn]=1:1:1のIn-Ga-Zn酸化物ターゲット、[In]:[Ga]:[Zn]=2:0:1([In]:[Zn]=2:1)のIn-Zn酸化物ターゲット、ならびに[In]:[Ga]:[Zn]=0:0:1の酸化亜鉛ターゲットが含まれる。
なお、上記スパッタリング法に用いるスパッタリングターゲットは、酸化物ターゲットに限られず、酸窒化物ターゲットでもよい。酸窒化物ターゲットとして、例えば、インジウムガリウム亜鉛酸窒化物(In-Ga-Zn酸窒化物)ターゲット、インジウムガリウム酸窒化物(In-Ga酸窒化物)ターゲットなどを用いることができる。
上記金属酸窒化物膜の成膜中の基板温度は、室温(25℃)以上500℃以下であることが好ましく、80℃以上400℃以下であることがより好ましく、150℃以上350℃以下であることがさらに好ましい。基板温度を500℃以下にして成膜できるため、当該金属酸窒化物膜を用いた半導体装置などの生産性を高めることができる。
金属酸窒化物膜の成膜中に反応室へ導入する気体として、窒素ガスを含む気体を用いることが好ましい。例えば、当該気体として、窒素ガス、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス、窒素ガスと希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)との混合ガスなどを用いることが好ましい。ここで、窒素ガスの流量は、当該気体の全流量中の50%以上100%以下が好ましく、70%以上100%以下がより好ましく、85%以上100%以下がさらに好ましい。なお、当該気体の流量に対する窒素ガスの流量比を調整することで、得られる金属酸窒化物膜の組成を調整することができる。
<スパッタリング装置>
次に、図4を用いて、本発明の一態様である金属酸窒化物膜の作製方法に係るスパッタリング装置について説明する。図4は、スパッタリング装置200が有する成膜室201を説明する断面図である。
図4に示す成膜室201は、基板ホルダ202と、スパッタリングターゲット204と、バッキングプレート205と、マグネットユニット206と、を有する。マグネットユニット206は、1つまたは複数(例えば、マグネットユニット206a、マグネットユニット206b)を設けることができる。また、マグネットユニット206は、固定されているか、もしくは揺動機構を有することができる。なお、スパッタリングターゲット204は、バッキングプレート205上に配置され、固定される。また、マグネットユニット206は、バッキングプレート205を介してスパッタリングターゲット204下に配置される。なお、成膜室201に基板203を搬入する場合、基板203は基板ホルダ202に接して配置される。また、成膜室201には、気体(成膜ガスともいう)を供給するための吸気口210aと排気口210bとを有する。成膜室201には、吸気口210aを介して成膜ガスが与えられ、排気口210bを介して成膜ガスが排気される。
図4では、マグネットユニット206aおよびマグネットユニット206bを設けた例を示す。マグネットユニット206aおよびマグネットユニット206bは揺動機構を有し、マグネットユニット206aは、揺動範囲207aを有し、マグネットユニット206bは、揺動範囲207bを有する。マグネットユニット206aおよびマグネットユニット206bが、スパッタリングターゲット204が配置されている範囲を揺動することで均一な膜を形成することができる。例えば、マグネットユニット206aまたはマグネットユニット206bを、0.1Hz以上1kHz以下のビート(リズム、拍子、パルス、周波、周期、サイクルなどと言い換えてもよい。)で揺動させればよい。
スパッタリングターゲット204が受ける磁場は、基板ホルダ202に与えられる電圧V2と、バッキングプレート205に与えられる電圧V1とによって決定される。また、スパッタリングターゲット204が受ける磁場は、マグネットユニット206の揺動とともに変化する。磁場の強い領域は高密度プラズマ領域となるため、その近傍においてスパッタリングターゲット204のスパッタリング現象が起こりやすい。なお、スパッタリングターゲット204が多元素を含む場合、マグネットユニット206aからスパッタリングターゲット204に与える磁場強度は、マグネットユニット206bからスパッタリングターゲット204に与える磁場強度と異なる強度を与えることができる。磁場強度に応じた元素が基板203に成膜される。
なお、図4では、平行平板型のスパッタリング装置を用いる例について示したが、本実施の形態に係る金属酸窒化物膜の成膜方法はこれに限られるものではない。例えば、対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いて金属酸窒化物膜を成膜してもよい。
スパッタリング法は、低温での成膜が可能であるため、当該金属酸窒化物膜を用いた半導体装置などの生産性を高めることができる。
本発明の一態様により、金属酸窒化物膜を低温でエピタキシャル成長させて成膜する方法を提供できる。また、本発明の一態様により、金属酸窒化物膜の成膜前後で、高温処理を行わずに、当該金属酸窒化物膜をエピタキシャル成長させて成膜する方法を提供できる。また、本発明の一態様は、金属酸窒化物膜上に金属窒化物膜を、高温処理を行わずに、エピタキシャル成長させて成膜する方法を提供できる。また、本発明の一態様により、金属酸窒化物膜上にエピタキシャル成長させて成膜した金属窒化物膜を用いた半導体装置などを提供できる。また、本発明の一態様により、金属窒化物膜を用いた半導体装置などの生産性を高めることができる。
<薄膜の結晶性および配向性の評価方法>
エピタキシャル成長の評価は、評価方法によって、薄膜の成膜中または薄膜の成膜後に行うことができる。
薄膜の成膜中に行う、エピタキシャル成長の評価方法として、例えば、反射高速電子線回折(RHEED:Reflecton High Energy Electron Diffraction)、表面光吸収法(SPA:Surface Photoabsorption)などが挙げられる。
また、成膜した薄膜のエピタキシャル成長(結晶性および配向性)は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、X線回折(XRD:X-ray Diffraction)法における、逆格子空間マッピング(Reciprocal Space Mapping)、極点測定(φスキャン)、Out-of-Plane測定、In-Plane測定などを組み合わせて評価することができる。
以下では、薄膜の結晶性および配向性の評価に用いることができる測定方法について説明する。
<逆格子空間マッピング>
逆格子空間マッピングについて説明する。
逆格子空間とは、逆格子空間の基本ベクトル(逆格子ベクトルともいう)によって構成される空間であり、実空間の周期性が反映される。ここで、逆格子ベクトルbjは、実空間格子の基本ベクトルaiと以下の数式(1)の関係にある。つまり、実空間の結晶において定義される面を、逆格子における格子点として扱う。
エピタキシャル成長した薄膜は、当該薄膜を構成する結晶の結晶方位のばらつきが小さい、つまり、配向性が高い。よって、エピタキシャル成長した薄膜に対して逆格子空間マップを取得した場合、観測されるスポットの強度は高く、スポットの半値全幅(FWHM)は小さくなる。一方、結晶の結晶方位のばらつきが大きい、つまり、配向性が低い薄膜に対して逆格子空間マップを取得した場合、観察されるスポットの強度は低く、スポットの半値全幅は大きくなる。以上より、逆格子空間マップを取得することで、薄膜の結晶性および配向性を評価することができる。
図5を用いて、X線分析に用いることのできる装置について説明する。ここで、図5に示すように、X線分析装置を上面から見て、X線源source、試料sample、および検出器detectorが、一列に並ぶ方向をψ軸とする。また、X線分析装置を上面から見て、ψ軸に対して垂直な方向をθ軸とする。また、ψ軸およびθ軸に対して垂直な方向をφ軸とする。つまり、φ軸は、X線分析装置を上面から見た方向と平行である。なお、本明細でψ軸としている軸は、装置によってはχ軸としている場合がある。そのためψ軸はχ軸と言い換えることもできる。同様に、本明細でθ軸としている軸は、装置によってはω軸としている場合がある。そのためθ軸はω軸と言い換えることもできる。
なお、検出器として、2次元検出器を用いてもよい。2次元検出器は、検出面に2θとχ方向に対する位置情報を有する。なお、図5に示す検出器detectorは、2次元検出器を模して示している。なお、特に断りがない場合、本明細書では、CuKα線(波長:0.15418nm)をX線源とした値を用いる。
<極点測定>
極点測定は、X線源と検出器の位置(角度)を一定に保ったまま、試料をあらゆる方向に回転させることで、回折強度の分布を測定する方法である。
また、試料に対する所定の結晶面に対して、φ方向に走査する分析をφスキャンとよび、φスキャンにおける半値全幅(Δφと呼ぶ場合がある)が小さいものを面内配向性がよいとする。また、この面内配向性は明細中で結晶性と言い換える場合がある。
極点測定により得られる回折強度について、図6を用いて説明する。極点測定により得られる回折強度は、極図形で表される。図6Aに、極図形を示す。図6Aに示すように、極図形の中心P0は、角度ψが0°であり、極図形の外周P1は、角度ψが90°である。また、極図形の中心P0から極図形の外周P1に向かって、真上に伸びる直線(図6Aで、P0-P2の一点鎖線で示す直線)は、角度φが0°であり、当該直線と、極図形の中心P0から極図形の外周P1に向かって伸びる直線(図6Aで、P0-P3の一点鎖線で示す直線)とのなす角は、角度φとなる。なお、図6Aでは、反時計回りに回転させた場合に、角度φが大きくなるよう図示しているが、これに限られず、装置などによっては、時計回りに回転させた場合に、角度φが大きくなる場合がある。また、φスキャンの範囲によっては、極点測定で得られる極図形の角度が、0°以上90°以下の範囲で取得されない場合がある。なお、極点測定において、本明細書でψとしている軸は、装置によっては、αとしている場合がある。そのためψはαと言い換えることもできる。同様に、本明細書でφとしている軸は、装置によってはβとしている場合がある。そのためθはβと言い換えることもできる。
図6Bおよび図6Cに、極点測定で得られる回折強度の模式図を示す。図6Bでは、角度ψの同心円(図中の、一点鎖線で示す円)上に、スポット状の強度分布が観察される場合の、回折強度の模式図であり、図6Cでは、リング状の強度分布が観測される場合の、回折強度の模式図である。
例えば、ウルツ鉱型構造の(101)面は、6回対称性を有する。つまり、ウルツ鉱型構造の結晶を有し、c軸エピタキシャル薄膜に対して極点測定を行った場合、図6Bに示すように、ある角度ψの同心円上に、6つのスポット状の強度分布(回折ピーク)が観測される。よって、ウルツ鉱型構造の結晶を有する薄膜が、c軸にエピタキシャル成長した場合、薄膜の結晶の(101)面に対する極点測定もしくはφスキャンにて、6回対称を示す回折ピークが観測される。具体的には、角度ψが約62°の同心円上に、約60°おきに回折ピークが観測される。
他方、エピタキシャル成長していない薄膜に対して極点測定を行った場合、図6Cに示すようなリング状の強度分布が観察される、または、回折ピークが観察されない。したがって、極点測定で観察される強度分布を解析することで、薄膜がエピタキシャル成長しているかについて評価することができる。
なお、単結晶のYSZ基板の(220)面に対する極点測定もしくはφスキャンでは、3回対称を示す回折ピークが観測される。具体的には、角度ψが約35°の同心円上に、約120°おきに回折ピークが観測される。また、単結晶のa面サファイア基板の(300)面に対する極点測定もしくはφスキャンでは、2回対称を示す回折ピークが観測される。具体的には、角度ψが約30°の同心円上に、約180°おきに回折ピークが観測される。
<Out-of-plane測定およびIn-plane測定>
XRD法を用いた測定には、Out-of-plane測定およびIn-plane測定がある。Out-of-plane測定は、薄膜の表面に対して平行な結晶面を評価する手法であり、In-plane測定は、薄膜の表面に対して垂直な結晶面を評価する手法である。Out-of-plane測定およびIn-plane測定では、検出器として、0次元検出器を用いても良い。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態や実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した、エピタキシャル成長した金属酸窒化物膜の用途について説明する。
上記金属酸窒化物膜の用途として、例えば、無機発光素子、受光素子、パワー半導体素子、半導体装置などがある。特に、無機発光素子に用いることが好ましい。なお、無機発光素子には、LED(Light Emitting Diode)、マイクロLEDが含まれる。
図7を用いて、上記金属酸窒化物膜を用いた無機発光素子の構成例について説明する。なお、本実施の形態では、ダブルヘテロ接合を有する無機発光素子について説明する。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、量子井戸接合を有する無機発光素子でもよい。
図7は、本発明の一態様に係る金属酸窒化物膜上に形成する金属窒化物膜を用いた無機発光素子100である。図7に示すように、無機発光素子100は、基板10、金属酸窒化物膜20で形成するバッファ層と、n型のクラッド層31と、活性層32と、p型のクラッド層33と、電極35と、電極36と、を有する。n型のクラッド層31、活性層32、およびp型のクラッド層33は、金属窒化物膜で形成することができる。なお、p型のクラッド層33と、電極36との間に、導電体34を設けてもよい。金属酸窒化物膜20は、導電性を有し、無機発光素子100の電極として機能する。一例として、無機発光素子100では、金属酸窒化物膜20をカソード電極、および導電体34をアノード電極として用いている。
なお、金属窒化物膜であるn型のクラッド層31は、金属酸窒化物膜20を介することで電極35とオーミック接触を得ることができる。また、金属窒化物膜であるp型のクラッド層33は、導電体34を介することで電極36とオーミック接触を得ることができる。
活性層32は、n型のクラッド層31とp型のクラッド層33とに挟持されている。活性層32では、電子と正孔が結合して光を発する。つまり、活性層32は、発光層と呼ぶことができる。例えば、n型のクラッド層31には、n型ドーパントとして珪素、ゲルマニウム、または錫などを含むことが好ましい。またp型のクラッド層33には、p型ドーパントとして、マグネシウムなどを含むことが好ましい。活性層32には、インジウム、亜鉛、または珪素などを含むことが好ましい。
本発明の一態様に係る金属酸窒化物膜20を構成する金属の原子数比、金属窒化物膜に加えるドーパント、成膜時に反応室へ導入する窒素ガスの流量などを適宜選択することで、金属酸窒化物膜20および当該金属窒化物膜の導電性(または絶縁性)、バンドギャップ、光の透過性などを調整することができる。例えば、当該窒素ガスの流量が多いほど、当該膜の結晶性および導電性が高くなる傾向がある。
さらに、金属酸窒化物膜20は、当該膜上に金属窒化物の薄膜をエピタキシャル成長させるためのバッファ層として機能することができる。よって、金属酸窒化物膜20上に形成するn型のクラッド層31、活性層32、およびp型のクラッド層33の結晶性を高めることができる。なお、当該金属窒化物膜の結晶構造は、金属酸窒化物膜20と同じく六方晶系であり、特に、ウルツ鉱型結晶構造である。よって、金属酸窒化物膜20上に形成するn型のクラッド層31または活性層32には、ガリウム窒化物、インジウム・窒化ガリウム化合物などのウルツ鉱型結晶構造を形成する材料を用いることが好ましい。
以上より、金属酸窒化物膜20は、六方晶系結晶成長用のバッファ層としての機能を有し、且つ、電極としての機能を有する。金属酸窒化物膜20をバッファ層に用いることで、n型のクラッド層31または活性層32をエピタキシャル成長させやすく、n型のクラッド層31または活性層32の結晶性を高くする。よって、発光効率や耐久寿命などの無機発光素子の特性を向上させることができる。
図8は、半導体装置の構成例を示す図である。半導体装置は、無機発光素子と、トランジスタ、容量とを有する。よって、本発明の一態様では、半導体装置が表示装置の画素に適用された構成例について説明する。なお、図8で説明する表示装置は、照明装置に適用することができる。本発明の一態様である無機発光素子を用いることで、発光効率が良好な、信頼性の高い表示装置を作製できる。
画素は、無機発光素子100、トランジスタ92、および容量95を有する。無機発光素子100は、基板10上に金属酸窒化物膜20を介して形成される。無機発光素子100は、金属酸窒化物膜20上に順にn型のクラッド層31、活性層32、p型のクラッド層33、および導電体34を形成することで構成される。
導電体34上には、容量95が形成され、容量95上にはトランジスタ92が形成される。基板10の無機発光素子100が形成される面の裏面側には、機能層12を介して基板11が設けられる。なお、機能層12は、画素ごとに異なる着色層及び色変換層の一方又は双方を有することが好ましい。なお、機能層12は、画素と重なる位置に配置されることが好ましい。機能層12は、機能層12a乃至機能層12cを有し、機能層12a乃至機能層12cは、遮光層13によって画素と重なる領域が決定される。
図8では、図を簡便に説明するために画素がトランジスタを一つ有する例を示しているが、トランジスタの数は1つに限定されない。容量と重なる位置に複数のトランジスタが配置することができる。なお、トランジスタは、無機発光素子および容量と重なる位置にも配置することができる。例えば、画素は、複数のトランジスタを有する構成でもよい。
絶縁体41は、無機発光素子100を覆うように形成される。よって、絶縁体41は、導電体34および金属酸窒化物膜20と接することが好ましい。導電体52は、絶縁体41上に形成される。導電体52は、容量95の電極の一方として機能する。なお、導電体52は、無機発光素子100上に形成された絶縁体41の開口部を介して導電体34と電気的に接続される。また、導電体52は、無機発光素子100が射出した光を反射する反射膜として機能する。
絶縁体43は、導電体52上に形成される。絶縁体43は、絶縁体41および金属酸窒化物膜20と接することが好ましい。導電体54は、絶縁体43上に形成される。なお、導電体54は、容量95の電極の他方として機能する。よって、容量95は、導電体54が絶縁体43を介して導電体52と重なる領域に形成される。
絶縁体47は、導電体54上に形成される。なお、絶縁体47は、絶縁体43と接することが好ましい。また、絶縁体47は、着色層であることが好ましい。当該着色層は、無機発光素子100が射出する光が透過するのを低減することが好ましい。
導電体52および導電体54には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銀、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。または、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。なお、導電体52には、反射率の高い金属膜(アルミニウム、アルミニウムを含む合金、または銀など)を用いることが好ましい。
無機発光素子100は、一例として、光L1乃至光L5を射出する。基板11が表示装置の表示面とした場合、無機発光素子100の射出する光L1は、表示に寄与することができる。光L2乃至光L5は、容量95の方向に射出される光である。光L2は、容量95の電極の一方が反射膜となり表示面より射出される。ただし、当該反射膜に反射された光L3は、遮光層13によって表示面に射出する光を低減する。遮光層13を有することで、当該反射膜に反射された光L3が隣接する画素の機能層12bを介して射出されるのを防ぐことができる。また、当該反射膜に反射された光L4および光L5は、隣接する画素に当該射出される光が混入するのを防ぐことができる。よって、絶縁体47は、画素の射出する光の純度および輝度を保ち、他の画素の射出する光の影響を低減することができる。
なお、絶縁体47の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されることが好ましい。絶縁体47の上方にはトランジスタ92が形成される。
絶縁体47上には絶縁体49、および絶縁体61が、順に積層して設けられる。さらに、絶縁体49の上方には、トランジスタ92が設けられている。トランジスタ92の上方には、絶縁体81が設けられる。トランジスタ92の上方には、半導体装置の配線を形成するBEOL(Back end of line)領域が設けられる。例えば、トランジスタ92と、容量とを接続する導電体59(導電体59a乃至導電体59d)を有する。また、端子58は、導電体59と接続することができる。なお、絶縁体81の上方には、絶縁体83が設けられる。絶縁体83の上方には、配線として機能する導電体58が設けられる。導電体58の上方には、絶縁体85が設けられ、絶縁体85の上方には、配線として機能する導電体59が設けられる。導電体59の上方には、絶縁体87が設けられ、絶縁体87の上方には、端子として機能する導電体72(導電体72a、導電体72b)が設けられる。なお、絶縁体49および絶縁体61の一部には、トランジスタ92の一部が埋め込まれるように配置される場合がある。
本実施の形態では、導電体58および導電体59を単層構成で示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構成でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
なお、導電体58および導電体59は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構成と同じ工程で形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
また、絶縁体47、絶縁体49、絶縁体61、絶縁体81、絶縁体83、絶縁体85、または絶縁体87には、導電体56(導電体56a乃至導電体56d)、導電体71(導電体71a、導電体71b)、またはトランジスタ92を構成する導電体(例えば、導電体503)等が埋め込まれるように配置されている。なお、導電体56は、容量95およびトランジスタ92と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。また、導電体71は、無機発光素子100のカソード電極として機能する金属酸窒化物膜20と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。なお、金属酸窒化物膜20は、共通電極として機能する。したがって、複数の画素を有する表示装置は、導電体71を一つ以上設けることが好ましい。一例として、図8では、画素一つに対して導電体71aおよび導電体71bが設けられる例を示しているが限定はされない。
導電体56、導電体71の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
なお、絶縁体63、絶縁体65、絶縁体67、および絶縁体69については、図9で詳細に説明する。
続いて、トランジスタ92について説明する。トランジスタ92の半導体層は、酸素を含み、さらにIn、Ga、Sn、またはZnのいずれか一もしくは複数を含むことが好ましい。よって、トランジスタ92の半導体層は、酸化物半導体を有すると言い換えることができる。なお、トランジスタのチャネルが形成される半導体層に金属酸化物の一種である酸化物半導体(Oxide Semiconductor:OS)を含むトランジスタを「OSトランジスタ」または「OS-FET」と呼ぶ。なお、OSトランジスタは、温度変化による電気的特性の変動が小さいことが知られている。また、OSトランジスタは半導体層のエネルギーギャップが大きいため、数yA/μm(チャネル幅1μmあたりの電流値)という極めて低いオフ電流特性を示すことができる。したがって、OSトランジスタは、記憶装置に適用することが好ましい。なお、OSトランジスタの構造については、図9で詳細に説明する。
ここでは、OSトランジスタを用いた画素について説明する。OSトランジスタを用いた画素は、電力の供給を停止しても、当該画素に保持されるデータの劣化を抑制することができる。したがって、当該画素は、データを保持する容量を小さくすることができるため高密度化に適した表示装置を提供することができる。また、当該画素は、極めて低いオフ電流特性を利用することで、静止画において、画像の書き換え回数を削減でき、低消費電力に繋がる間欠駆動(IDS駆動)が可能になる。
なお、IDS駆動とは、通常よりも低速のフレーム周波数で動作するアイドリング・ストップ駆動である。IDS駆動では、画像データの書き込み処理を実行した後、画像データの書き換えを停止する。一旦画像データの書き込みをして、その後、次の画像データの書き込みまでの間隔を延ばすことで、その間の画像データの書き込みに要する分の消費電力を削減することができる。IDS駆動のフレーム周波数は、例えば、通常動作(代表的には60Hz以上240Hz以下)の1/100以上1/10以下とすることができる。静止画は、連続するフレーム間でビデオ信号が同じである。よって、IDS駆動モードは、静止画を表示する場合に特に有効である。
また、OSトランジスタは高温環境下でもオフ電流がほとんど増加しない。具体的には室温以上200℃以下の環境温度下でもオフ電流がほとんど増加しない。また、高温環境下でもオン電流が低下しにくい。また、OSトランジスタは、ソースとドレイン間の絶縁耐圧が高い。無機発光素子が高温になる場合でも、表示装置および照明装置などを構成するトランジスタにOSトランジスタを用いることで、高温環境下においても動作が安定し、信頼性の良好な表示装置および照明装置などが実現できる。
また、OSトランジスタは、半導体装置の配線を形成するBEOL工程中にスパッタリング法を用いて形成できる。したがって、異なるトランジスタ特性のトランジスタを用いて一つの半導体装置を形成することができる。言い換えれば、OSトランジスタを用いることで、SOC(System on chip)を容易に形成することができる。
なお、OSトランジスタは、バックゲートを有することができる。バックゲートは、ゲートとバックゲートで半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。バックゲートはゲートと同様に機能させることができる。また、バックゲートの電圧を変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。バックゲートの電圧は、ゲートと同電圧としてもよく、GNDもしくは任意の電圧としてもよい。
また、一般に、ゲートとバックゲートは導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電場が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気に対する静電遮蔽機能)を有する。すなわち、静電気などの外部の電場の影響による、トランジスタの電気特性の変動を防ぐことができる。
続いて、絶縁体41、絶縁体43、絶縁体47、絶縁体49、絶縁体61、絶縁体85、および絶縁体87について説明する。上述した絶縁体のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
特に、絶縁体49および絶縁体61は、無機発光素子100を設ける領域などからトランジスタ92を設ける領域に水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。また、絶縁体83は、外部からトランジスタ92を設ける領域に水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ92等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ92と、無機発光素子との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体49の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体49の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ92等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ92と、無機発光素子100との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
特に、窒化シリコンは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、窒化シリコンは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ92への混入を防止することができる。また、トランジスタ92を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ92に対する保護膜として用いることに適している。
また、例えば、絶縁体61は、絶縁体49よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体61の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体61の比誘電率は、絶縁体49の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体61として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体49と接する領域の導電体56および導電体71は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、無機発光素子100は、トランジスタ92と、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で、分離することができ、無機発光素子100からトランジスタ92への水素の拡散を抑制することができる。
続いて、基板について説明する。基板10は、発光ダイオードからの光を取り出す側に位置するため、可視光に対する透過性の高い材料を用いることが好ましい。基板10および基板11に用いることができる材料としては、例えば、サファイア、イットリア安定化ジルコニア、ガラス、石英、樹脂などが挙げられる。なお、基板10および基板11には、樹脂フィルムなどのフィルムなどを用いてもよい。これにより表示装置の軽量化、薄型化が可能となる。
色変換層としては、蛍光体や量子ドット(QD:Quantum Dot)を用いることが好ましい。特に、量子ドットは、発光スペクトルのピーク幅が狭く、色純度のよい発光を得ることができる。これにより、表示装置の表示品位を高めることができる。
色変換層は、液滴吐出法(例えば、インクジェット法)、塗布法、インプリント法、各種印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷)等を用いて形成することができる。また、量子ドットフィルムなどの色変換フィルムを用いてもよい。
色変換層となる膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法を用いることが好ましい。フォトリソグラフィ法としては、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法と、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法と、がある。例えば、フォトレジストに量子ドットを混合した材料を用いて薄膜を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いて当該薄膜を加工することで、島状の色変換層を形成することができる。
量子ドットを構成する材料としては、特に限定は無く、例えば、第14族元素、第15族元素、第16族元素、複数の第14族元素からなる化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族元素との化合物、第2族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素との化合物、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素との化合物、第11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン類、カルコゲナイドスピネル類、各種半導体クラスターなどが挙げられる。
具体的には、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、硫化水銀、セレン化水銀、テルル化水銀、砒化インジウム、リン化インジウム、砒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化インジウム、窒化ガリウム、アンチモン化インジウム、アンチモン化ガリウム、リン化アルミニウム、砒化アルミニウム、アンチモン化アルミニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、硫化鉛、セレン化インジウム、テルル化インジウム、硫化インジウム、セレン化ガリウム、硫化ヒ素、セレン化ヒ素、テルル化ヒ素、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、テルル化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化ビスマス、テルル化ビスマス、ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム、錫、セレン、テルル、ホウ素、炭素、リン、窒化ホウ素、リン化ホウ素、砒化ホウ素、窒化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化バリウム、セレン化バリウム、テルル化バリウム、硫化カルシウム、セレン化カルシウム、テルル化カルシウム、硫化ベリリウム、セレン化ベリリウム、テルル化ベリリウム、硫化マグネシウム、セレン化マグネシウム、硫化ゲルマニウム、セレン化ゲルマニウム、テルル化ゲルマニウム、硫化錫、セレン化錫、テルル化錫、酸化鉛、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酸化銅、セレン化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、硫化コバルト、酸化鉄、硫化鉄、酸化マンガン、硫化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、セレンと亜鉛とカドミウムの化合物、インジウムとヒ素とリンの化合物、カドミウムとセレンと硫黄の化合物、カドミウムとセレンとテルルの化合物、インジウムとガリウムとヒ素の化合物、インジウムとガリウムとセレンの化合物、インジウムとセレンと硫黄の化合物、銅とインジウムと硫黄の化合物、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、組成が任意の比率で表される、いわゆる合金型量子ドットを用いてもよい。
量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-マルチシェル型などが挙げられる。また、量子ドットは、表面原子の割合が高いことから、反応性が高く、凝集が起こりやすい。そのため、量子ドットの表面には保護剤が付着している又は保護基が設けられていることが好ましい。当該保護剤が付着している又は保護基が設けられていることによって、凝集を防ぎ、溶媒への溶解性を高めることができる。また、反応性を低減させ、電気的安定性を向上させることも可能である。
量子ドットは、サイズが小さくなるに従いバンドギャップが大きくなるため、所望の波長の光が得られるように、そのサイズを適宜調整する。結晶のサイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へシフトするため、量子ドットのサイズを変更させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長領域にわたって、その発光波長を調整することができる。量子ドットのサイズ(直径)は、例えば、0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下である。量子ドットはそのサイズ分布が狭いほど、発光スペクトルがより狭線化し、色純度の良好な発光を得ることができる。また、量子ドットの形状は特に限定されず、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。棒状の量子ドットである量子ロッドは、指向性を有する光を呈する機能を有する。
着色層は特定の波長域の光を透過する有色層である。例えば、赤色、緑色、青色、又は黄色の波長域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料又は染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
図9Aおよび図9Bに示すように、トランジスタ92は、絶縁体49および絶縁体61に埋め込まれるように配置された導電体503と、絶縁体61および導電体503の上に配置された絶縁体63と、絶縁体63の上に配置された絶縁体65と、絶縁体65の上に配置された絶縁体67と、絶縁体67の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、酸化物530b上に互いに離れて配置された導電体542aおよび導電体542bと、導電体542aおよび導電体542b上に配置され、導電体542aと導電体542bの間に重畳して開口が形成された絶縁体81と、開口の底面および側面に配置された絶縁体545と、絶縁体545の形成面に配置された導電体560と、を有する。
また、図9Aおよび図9Bに示すように、酸化物530a、酸化物530b、導電体542a、および導電体542bと、絶縁体81の間に絶縁体69が配置されることが好ましい。また、図9Aおよび図9Bに示すように、導電体560は、絶縁体545の内側に設けられた導電体560aと、導電体560aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体560bと、を有することが好ましい。また、図9Aおよび図9Bに示すように、絶縁体81、導電体560、および絶縁体545の上に絶縁体83が配置されることが好ましい。
なお、本明細書などにおいて、酸化物530a、および酸化物530bをまとめて酸化物530という場合がある。
なお、トランジスタ92では、チャネルが形成される領域と、その近傍において、酸化物530a、および酸化物530bの2層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物530bの単層、または3層以上の積層構成を設ける構成にしてもよい。
また、トランジスタ92では、導電体560を2層の積層構成として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体560が、単層構成であってもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。また、図8および図12に示すトランジスタ92は一例であり、その構成に限定されず、回路構成や駆動方法などに応じて適切なトランジスタを用いればよい。
ここで、導電体560は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体542aおよび導電体542bは、それぞれソース電極またはドレイン電極として機能する。上記のように、導電体560は、絶縁体81の開口、および導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。導電体560、導電体542aおよび導電体542bの配置は、絶縁体81の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ92において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体560を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ92の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
さらに、導電体560が、導電体542aと導電体542bの間の領域に自己整合的に形成されるので、導電体560は、導電体542aまたは導電体542bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体560と導電体542aおよび導電体542bとの間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ92のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有せしめることができる。
導電体560は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体503は、第2のゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体503に印加する電圧を、導電体560に印加する電圧と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ92のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体503に負の電圧を印加することにより、トランジスタ92のしきい値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電圧を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電圧が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
導電体503は、酸化物530、および導電体560と、重なるように配置する。これにより、導電体560、および導電体503に電圧を印加した場合、導電体560から生じる電界と、導電体503から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
本明細書等において、一対のゲート電極(第1のゲート電極、および第2のゲート電極)の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構成を、surrounded channel(S-channel)構成とよぶ。また、本明細書等において、surrounded channel(S-channel)構成は、ソース電極およびドレイン電極として機能する導電体542aおよび導電体542bに接する酸化物530の側面および周辺が、チャネル形成領域と同じくI型であるといった特徴を有する。また、導電体542aおよび導電体542bに接する酸化物530の側面および周辺は、絶縁体69と接しているため、チャネル形成領域と同様にI型となりうる。なお、本明細書等において、I型とは後述する、高純度真性と同様として扱うことができる。また、本明細書等で開示するS-channel構成は、Fin型構成およびプレーナ型構成とは異なる。S-channel構成を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
また、導電体503は、導電体56と同様の構成であり、絶縁体49および絶縁体61の開口の内壁に接して導電体503aが形成され、さらに内側に導電体503bが形成されている。なお、トランジスタ92では、導電体503aおよび導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、または3層以上の積層構成として設ける構成にしてもよい。なお、図8では、導電体56が単層の例を示し、図9では、導電体503が2層を有する例を示している。
ここで、導電体503aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。
例えば、導電体503aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
また、導電体503が配線の機能を兼ねる場合、導電体503bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。なお、本実施の形態では導電体503を導電体503aと導電体503bの積層で図示したが、導電体503は単層構成であってもよい。
絶縁体63、絶縁体65、および絶縁体67は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
ここで、酸化物530と接する絶縁体67は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。当該酸素は、加熱により膜中から放出されやすい。本明細書などでは、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」と呼ぶ場合がある。つまり、絶縁体67には、過剰酸素を含む領域(「過剰酸素領域」ともいう。)が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物530に接して設けることにより、酸化物530中の酸素欠損(Vo:oxygen vacancyともいう)を低減し、トランジスタ92の信頼性を向上させることができる。なお、酸化物530中の酸素欠損に水素が入った場合、当該欠陥(以下、VoHと呼ぶ場合がある。)はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、酸化物半導体中の水素は、熱、電界などのストレスによって動きやすいため、酸化物半導体に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。本発明の一態様においては、酸化物530中のVOHをできる限り低減し、高純度真性または実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VOHが十分低減された酸化物半導体を得るには、酸化物半導体中の水分、水素などの不純物を除去すること(「脱水」または「脱水素化処理」ともいう。)と、酸化物半導体に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(「加酸素化処理」ともいう。)が重要である。VOHなどの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、または3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と、酸化物530と、を接して加熱処理、マイクロ波処理、またはRF処理のいずれか一または複数の処理を行っても良い。当該処理を行うことで、酸化物530中の水、または水素を除去することができる。例えば、酸化物530において、VoHの結合が切断される反応が起きる、別言すると「VoH→Vo+H」という反応が起きて、脱水素化することができる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合してH2Oとして、酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体542にゲッタリングされる場合がある。
また、上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、または、基板側にRFを印加する電源を有する装置を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、且つ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとしては、例えば、酸素と、アルゴンとを用い、酸素流量比(O2/(O2+Ar))が50%以下、好ましくは10%以上30%以下で行うとよい。
また、トランジスタ92の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(Vo)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「Vo+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
また、絶縁体67が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体65は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
絶縁体65が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物530が有する酸素は、絶縁体63側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体503が、絶縁体67や、酸化物530が有する酸素と反応することを抑制することができる。
絶縁体65は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、または(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁膜として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電圧の低減が可能となる。
特に、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウム、ハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム、ハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体65を形成した場合、絶縁体65は、酸化物530からの酸素の放出や、トランジスタ92の周辺部から酸化物530への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
また、絶縁体63は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体を酸化シリコン、または酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成の絶縁体63を得ることができる。
なお、図9Aおよび図9Bのトランジスタ92では、3層の積層構成からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体63、絶縁体65、および絶縁体67が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、または4層以上の積層構成を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構成に限定されず、異なる材料からなる積層構成でもよい。
トランジスタ92は、チャネル形成領域を含む酸化物530に、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いる。なお、酸化物半導体は、InまたはZnの少なくとも一方が含まれることが好ましい。例えば、酸化物530として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。
酸化物半導体として機能する金属酸化物の形成は、スパッタリング法で行なってもよいし、ALD(Atomic Layer Deposition)法で行なってもよい。なお、酸化物半導体として機能する金属酸化物については、他の実施の形態で詳細に説明する。
また、酸化物530においてチャネル形成領域にとして機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
酸化物530は、酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構成物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。
なお、酸化物530は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構成を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
また、酸化物530aの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物530bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物530a電子親和力が、酸化物530bの電子親和力より小さいことが好ましい。
ここで、酸化物530aおよび酸化物530bの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530aおよび酸化物530bの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物530aと酸化物530bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物530aとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物530bとなる。酸化物530aを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ92は高いオン電流を得られる。
酸化物530b上には、ソース電極、およびドレイン電極として機能する導電体542a、および導電体542bが設けられる。導電体542a、および導電体542bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。更に、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素または酸素に対するバリア性があるため好ましい。
また、図9A及び図9Bでは、導電体542a、および導電体542bを単層構成として示したが、2層以上の積層構成としてもよい。例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜を積層するとよい。また、チタン膜とアルミニウム膜を積層してもよい。また、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構成、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構成、チタン膜上に銅膜を積層する二層構成、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構成としてもよい。
また、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構成、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構成等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
また、図9Aに示すように、酸化物530の、導電体542a(導電体542b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域543a、および領域543bが形成される場合がある。このとき、領域543aはソース領域またはドレイン領域の一方として機能し、領域543bはソース領域またはドレイン領域の他方として機能する。また、領域543aと領域543bに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
酸化物530と接するように上記導電体542a(導電体542b)を設けることで、領域543a(領域543b)の酸素濃度が低減する場合がある。また、領域543a(領域543b)に導電体542a(導電体542b)に含まれる金属と、酸化物530の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域543a(領域543b)のキャリア密度が増加し、領域543a(領域543b)は、低抵抗領域となる。
絶縁体69は、導電体542a、および導電体542bを覆うように設けられ、導電体542a、および導電体542bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体69は、酸化物530の側面を覆い、絶縁体67と接するように設けられてもよい。
絶縁体69として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタンまたは、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体69として、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなども用いることができる。
特に、絶縁体69として、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム、およびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、導電体542a、および導電体542bが耐酸化性を有する材料、または、酸素を吸収しても著しく導電性が低下しない場合、絶縁体69は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
絶縁体69を有することで、絶縁体81に含まれる水、および水素などの不純物が絶縁体545を介して、酸化物530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁体81が有する過剰酸素により、導電体560が酸化するのを抑制することができる。
絶縁体545は、第1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体545は、上述した絶縁体67と同様に、過剰に酸素を含み、かつ加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
過剰酸素を含む絶縁体を絶縁体545として設けることにより、絶縁体545から、酸化物530bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体67と同様に、絶縁体545中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体545の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
また、絶縁体545が有する過剰酸素を、効率的に酸化物530へ供給するために、絶縁体545と導電体560との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体545から導電体560への酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体545から導電体560への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。当該金属酸化物としては、絶縁体69に用いることができる材料を用いればよい。
なお、絶縁体545は、第2のゲート絶縁膜と同様に、積層構成としてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合があるため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体を、high-k材料と、熱的に安定している材料との積層構成とすることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電圧の低減が可能となる。また、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成とすることができる。
第1のゲート電極として機能する導電体560は、図9Aおよび図9Bでは2層構成として示しているが、単層構成でもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。
導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体545に含まれる酸素により、導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、導電体560aとして、酸化物530に適用できる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電体560bをスパッタリングで成膜することで、導電体560aの電気抵抗値を低下させて導電体にすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
また、導電体560bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体560bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは積層構成としてもよく、例えば、チタンまたは窒化チタンと上記導電性材料との積層構成としてもよい。
絶縁体81は、絶縁体69を介して、導電体542a、および導電体542b上に設けられる。絶縁体81は、過剰酸素領域を有することが好ましい。例えば、絶縁体81として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などを有することが好ましい。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で、容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
絶縁体81は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体81を設けることで、絶縁体81中の酸素を酸化物530へと効率良く供給することができる。なお、絶縁体81中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
絶縁体81の開口は、導電体542aと導電体542bの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体560は、絶縁体81の開口、および導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。
半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電体560の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体560の膜厚を大きくすると、導電体560はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、導電体560を絶縁体81の開口に埋め込むように設けるため、導電体560をアスペクト比の高い形状にしても、工程中に導電体560を倒壊させることなく、形成することができる。
絶縁体83は、絶縁体81の上面、導電体560の上面、および絶縁体545の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体83をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体545、および絶縁体81へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物530中に酸素を供給することができる。
例えば、絶縁体83として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。したがって、スパッタリング法で成膜した酸化アルミニウムは、酸素供給源であるとともに、水素などの不純物のバリア膜としての機能も有することができる。
また、絶縁体83の上に、層間膜として機能する絶縁体85を設けることが好ましい。絶縁体85は、絶縁体67などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
また、絶縁体85、絶縁体83、絶縁体81、および絶縁体69に形成された開口に、導電体540a、および導電体540bを配置する。導電体540aおよび導電体540bは、導電体560を挟んで対向して設ける。
絶縁体85上には、絶縁体87が設けられている。絶縁体87は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体87には、絶縁体49と同様の材料を用いることができる。
特に、窒化シリコンは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、窒化シリコンは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ92への混入を防止することができる。また、トランジスタ92を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ92に対する保護膜として用いることに適している。
また、トランジスタ92の形成後、トランジスタ92を囲むように開口を形成し、当該開口を覆うように、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体を形成してもよい。上述のバリア性の高い絶縁体でトランジスタ92を包み込むことで、外部から水分、および水素が侵入するのを防止することができる。または、複数のトランジスタ92をまとめて、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体で包み込んでもよい。なお、トランジスタ92を囲むように開口を形成する場合、例えば、絶縁体65または絶縁体49に達する開口を形成し、絶縁体65または絶縁体49に接するように上述のバリア性の高い絶縁体を形成すると、トランジスタ92の作製工程の一部を兼ねられるため、好適である。したがって、図8では示していないが導電体56または導電体71の側壁を包み込むように上述のバリア性の高い絶縁体を形成することが好ましい。なお、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体としては、例えば、絶縁体65または絶縁体49と同様の材料を用いればよい。
本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
本発明の一態様の半導体装置に用いることができる基板としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板(例えば、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板など)、半導体基板(例えば、単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、または化合物半導体基板など)SOI(SOI:Silicon on Insulator)基板、などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラス、またはソーダライムガラスなどがある。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。
または、基板として、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィルムなどを用いることができる。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、またはポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド樹脂、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、または紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、またはSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、または形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、または回路の高集積化を図ることができる。
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ、抵抗、および/または容量などを形成してもよい。または、基板と、トランジスタ、抵抗、および/または容量などの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタ、抵抗、および/または容量などは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構成の構成や、基板上にポリイミド等の有機樹脂膜が形成された構成、水素を含むシリコン膜等を用いることができる。
つまり、ある基板上に半導体装置を形成し、その後、別の基板に半導体装置を転置してもよい。半導体装置が転置される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、またはゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、可撓性を有する半導体装置の製造、壊れにくい半導体装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、または薄型化を図ることができる。
可撓性を有する基板上に半導体装置を設けることで、重量の増加を抑え、且つ破損しにくい半導体装置を提供することができる。
<トランジスタの変形例1>
図10A乃至図10Cに示すトランジスタ92Aは、図9A、図9Bに示す構成のトランジスタ92の変形例である。図10Bはトランジスタ92Aのチャネル長方向の断面図であり、図10Cはトランジスタ92Aのチャネル幅方向の断面図である。
図10A乃至図10Cに示す構成のトランジスタ92Aは、絶縁体552、絶縁体48および絶縁体51を有する点が、図9A、図9Bに示す構成のトランジスタ92と異なる。また、導電体540aの側面に接して絶縁体552が設けられ、導電体540bの側面に接して絶縁体552が設けられる点が、図9A、図9Bに示す構成のトランジスタ92と異なる。さらに、絶縁体63を有さない点が、図9A、図9Bに示す構成のトランジスタ92と異なる。
図10A乃至図10Cに示す構成のトランジスタ92Aは、絶縁体47上に絶縁体48が設けられる。また、絶縁体83上、および絶縁体48上に絶縁体51が設けられる。
図10A乃至図10Cに示す構成のトランジスタ92Aでは、絶縁体49、絶縁体61、絶縁体65、絶縁体67、絶縁体69、絶縁体81、および絶縁体83がパターニングされており、絶縁体51がこれらを覆う構成になっている。つまり、絶縁体51は、絶縁体83の上面、絶縁体83の側面、絶縁体81の側面、絶縁体69の側面、絶縁体67の側面、絶縁体65の側面、絶縁体61の側面、絶縁体49の側面、絶縁体48の上面とそれぞれ接する。これにより、酸化物530等は、絶縁体51と絶縁体48によって外部から隔離される。
絶縁体48および絶縁体51は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)または水分子の拡散を抑制する機能が高いことが好ましい。例えば、絶縁体48および絶縁体51として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを用いることが好ましい。これにより、酸化物530に水素等が拡散することを抑制することができるので、トランジスタ92Aの特性低下を抑制できる。よって、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
絶縁体552は、絶縁体85、絶縁体51、絶縁体83、絶縁体81、および絶縁体69に接して設けられる。絶縁体552は、水素または水分子の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。たとえば、絶縁体552として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化酸化シリコン等の絶縁体を用いることが好ましい。特に、窒化シリコンは水素バリア性が高い材料であるので、絶縁体552として用いると好適である。絶縁体552として水素バリア性が高い材料を用いることにより、水または水素等の不純物が、絶縁体81等から導電体540aおよび導電体540bを通じて酸化物530に拡散することを抑制することができる。また、絶縁体81に含まれる酸素が導電体540aおよび導電体540bに吸収されることを抑制することができる。以上により、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
<トランジスタの変形例2>
図11A、図11Bおよび図11Cを用いて、トランジスタ92Bの構成例を説明する。図11Aはトランジスタ92Bの上面図である。図11Bは、図11Aに一点鎖線で示すL1-L2部位の断面図である。図11Cは、図11Aに一点鎖線で示すW1-W2部位の断面図である。なお、図11Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素の記載を省略している。
トランジスタ92Bはトランジスタ92の変形例であり、トランジスタ92に置き換え可能なトランジスタである。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主にトランジスタ92Bのトランジスタ92と異なる点について説明する。
第1のゲート電極として機能する導電体560は、導電体560a、および導電体560a上の導電体560bを有する。導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体560bの材料選択性を向上することができる。つまり、導電体560aを有することで、導電体560bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。
また、導電体560の上面および側面と絶縁体545の側面を覆うように、絶縁体69を設けることが好ましい。なお、絶縁体69は、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、窒化シリコンなどを用いることが好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、または窒化酸化シリコンなどを用いることができる。
絶縁体69を設けることで、導電体560の酸化を抑制することができる。また、絶縁体69を有することで、絶縁体81が有する水、および水素などの不純物がトランジスタ92Bへ拡散することを抑制することができる。
トランジスタ92Bは、導電体542aの一部と導電体542bの一部に導電体560が重なるため、トランジスタ92よりも寄生容量が大きくなりやすい。よって、トランジスタ92に比べて動作周波数が低くなる傾向がある。しかしながら、絶縁体81などに開口を設けて導電体560や絶縁体545などを埋めこむ工程が不要であるため、トランジスタ92と比較して生産性が高い。
図12は、図8と異なる表示装置の構成例を説明する図である。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
図12は容量95の他方の電極として機能する導電体54が、さらに、無機発光素子100の側面の一部が絶縁体41を介して覆われている点が異なる。よって、容量95の電極の一方および他方は、共に反射電極として機能する。一例として、絶縁体47aが透光性を有する場合、無機発光素子100から射出される光L4は、無機発光素子100の側面の一部を覆う容量95の電極の他方が反射電極として機能するため基板11を介して表示に寄与することができる。また、無機発光素子100から射出される光L5は、隣の画素が有する無機発光素子100の側面の一部を覆う容量95の電極の他方が反射電極として機能するため基板11を介して表示に寄与することができる。
容量95の電極の一方および他方が向かい合う側を容量95の電極の一方および他方の内側とする場合、容量95の電極の一方および他方が向かい合わない面を外側とすることができる。
無機発光素子100から射出される光L2は、容量95の電極の一方によって反射され表示に寄与することができる。無機発光素子100から射出される光L4は、容量95の電極の他方の内側によって反射され表示に寄与することができる。無機発光素子100から射出される光L5は、隣接する画素が有する容量95の電極の他方の外側によって反射され表示に寄与することができる。よって、無機発光素子100が射出する光を有効に利用することができる。また、光L4および光L5は、反射電極として機能する容量95によって反射されて表示装置の表示面より射出されるため、視野角が広くなる効果を有する。
また、異なる例として、導電体54は、無機発光素子100の光が射出される表示面以外の全てが覆われていてもよい。無機発光素子100の光が射出される表示面以外の全てが覆われることで、無機発光素子100が射出する光は表示面より射出される。したがって、無機発光素子100の光の取り出し効率が改善し、当該側面によって反射される光は視野角の改善に効果を有する。さらに、光がトランジスタに照射されることで発生する、トランジスタの電気的特性の変動を低減することができる。
なお、図8では、絶縁体47aが透光性を有してもよいし着色層でもよい。また導電体54の一部は、絶縁体41および金属酸窒化物膜20と重畳する領域を有することが好ましい。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した無機発光素子を用いた表示装置の構成例について説明する。
本実施の形態の表示装置は、無機発光素子を用いて映像を表示する機能を有する。本実施の形態では、特に、無機発光素子として、マイクロ発光ダイオード(以下、マイクロLEDとも記す)を用いる場合の例について説明する。
表示素子としてマイクロLEDを用いることで、表示装置の消費電力を低減することができる。また、表示装置の薄型・軽量化が可能である。また、表示素子としてマイクロLEDを用いた表示装置は、コントラストが高く視野角が広いため、表示品位を高めることができる。
マイクロLEDの光を射出する領域の面積は、1mm2以下が好ましく、10000μm2以下がより好ましく、3000μm2以下がより好ましく、700μm2以下がさらに好ましい。
図13Aに、無機発光素子を用いた表示装置400の構成例を示す。表示装置400は、画素部401、駆動回路402、および駆動回路403を有する。
画素部401は、複数の画素pixによって構成される。画素pixはそれぞれ、配線SLおよび配線GLと接続されている。また、配線GLはそれぞれ駆動回路402と接続され、配線SLはそれぞれ駆動回路403と接続されている。配線GLには選択信号が供給され、配線SLには映像信号が供給される。
駆動回路402は、選択信号を画素pixに供給する機能を有する。具体的には、駆動回路402は、配線GLに選択信号を供給する機能を有し、配線GLは、駆動回路402から出力された選択信号を画素pixに伝える機能を有する。なお、駆動回路402は、ゲート側駆動回路、ゲートドライバと呼ぶことができ、配線GLは、選択信号線、ゲート線などと呼ぶこともできる。
駆動回路403は、映像信号を画素pixに供給する機能を有する。具体的には、駆動回路403は、配線SLに映像信号を供給する機能を有し、配線SLは、駆動回路403から出力された映像信号を画素pixに伝える機能を有する。なお、駆動回路403は、ソース側駆動回路、ソースドライバと呼ぶことができ、配線SLは、映像信号線、ソース線などと呼ぶこともできる。
図13Bに、表示素子として無機発光素子を用いた画素pixの構成例を示す。図13Bに示す画素pixは、トランジスタ91、トランジスタ92、容量95、および無機発光素子100を有する。なお、ここではトランジスタ91、トランジスタ92をnチャネル型としているが、トランジスタの極性は適宜変更することができる。上記実施の形態で説明した無機発光素子は、無機発光素子100に用いることができる。
トランジスタ91のゲートは配線GLと接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタ92のゲート、および容量95の一方の電極と接続され、ソースまたはドレインの他方は配線SLと接続されている。トランジスタ92のソースまたはドレインの一方は容量95の他方の電極、および無機発光素子100の一方の電極と接続され、ソースまたはドレインの他方は電位Vaが供給される配線と接続されている。無機発光素子100の他方の電極は、電位Vcが供給される配線と接続されている。トランジスタ91のソースまたはドレインの一方、トランジスタ92のゲート、および容量95の一方の電極と接続されたノードを、ノードN96とする。また、トランジスタ92のソースまたはドレインの一方、容量95の他方の電極、および無機発光素子100の一方の電極と接続されたノードを、ノードN97とする。
ここでは、電位Vaを高電源電位とし、電位Vcを低電源電位とした場合について説明する。電位Vaおよび電位Vcはそれぞれ、複数の画素pixで共通の電位とすることができる。また、容量95は、ノードN96の電位を保持するための保持容量としての機能を有する。
トランジスタ91は、配線SLの電位のノードN97への供給を制御する機能を有する。具体的には、配線GLの電位を制御してトランジスタ91をオン状態とすることにより、映像信号に対応する配線SLの電位がノードN96に供給され、画素pixの書き込みが行われる。その後、配線GLの電位を制御してトランジスタ91をオフ状態とすることにより、ノードN96の電位が保持される。
そして、ノードN96、ノードN97の間の電圧に応じてトランジスタ92のソースとドレインとの間に流れる電流量が制御され、無機発光素子100が当該電流量に応じた輝度で発光する。これにより、画素pixの階調を制御することができる。なお、トランジスタ92は飽和領域で動作させることが好ましい。
ここで、トランジスタ91とトランジスタ92とは、同じ層に設けられてもよいし、積層して設けてもよい。トランジスタ91とトランジスタ92とを同じ層に設けることで、トランジスタ91とトランジスタ92を同時に作製することができ、表示装置の作製工程を短縮することができる。または、トランジスタ91とトランジスタ92とを積層して設けることで、表示装置の集積度を高めることができる。
また、図13Bに示すように、画素pix内に2つのトランジスタ(91および92)を有する構成が好適である。ただし、本発明の一態様についてはこれに限定されず、画素pix内に3つ以上のトランジスタを有する構成としてもよい。
図13Cは、図13Bとは異なる、表示素子として無機発光素子を用いた画素pixの構成例である。図13Cに示す画素pixは、トランジスタ91、トランジスタ92、トランジスタ93、容量95、および無機発光素子100を有する。つまり、図13Cに示す画素pixは、図13Bに示す画素pixに、トランジスタ92を流れる電流量をモニターするためのトランジスタ93が追加された画素である。
トランジスタ91のゲートは配線GLと接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタ92のゲート、および容量95の一方の電極と接続され、ソースまたはドレインの他方は配線SLと接続されている。トランジスタ92のソースまたはドレインの一方は容量95の他方の電極、無機発光素子100の一方の電極、およびトランジスタ93のソースまたはドレインの一方と接続され、ソースまたはドレインの他方は電位Vaが供給される配線と接続されている。無機発光素子100の他方の電極は、電位Vcが供給される配線と接続されている。トランジスタ93のゲートは配線GLと接続され、ソースまたはドレインの他方は、モニター線MLと接続されている。トランジスタ91のソースまたはドレインの一方、トランジスタ92のゲート、および容量95の一方の電極と接続されたノードを、ノードN96とする。また、トランジスタ92のソースまたはドレインの一方、容量95の他方の電極、無機発光素子LEの一方の電極、およびトランジスタ93のソースまたはドレインの一方と接続されたノードを、ノードN97とする。
上記の動作を配線GLごとに順次行うことにより、第1フレーム分の映像を表示することができる。
なお、配線GLの選択には、プログレッシブ方式を用いてもよいし、インターレース方式を用いてもよい。また、配線SLへの映像信号の供給は、配線SLに順次映像信号を供給する点順次駆動を用いて行ってもよいし、全ての配線SLに一斉に映像信号を供給する線順次駆動を用いて行ってもよい。また、複数の配線SLごとに順に、映像信号を供給してもよい。
その後、第2のフレーム期間において、第1のフレーム期間と同様の動作により、映像の表示が行われる。これにより、画素部401に表示される映像が書き換えられる。
画素pixが有するトランジスタに用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムなどの第14族の元素、ガリウムヒ素などの化合物半導体、有機半導体、金属酸化物などを用いることができる。また、半導体は、非単結晶半導体(非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導体など)、であってもよいし、単結晶半導体であってもよい。
画素pixが有するトランジスタは、チャネル形成領域に非晶質半導体、特に、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)を含むことが好ましい。非晶質半導体を用いたトランジスタは、基板の大面積化に対応することが容易であるため、例えば4K2K放送、8K4K放送などに対応可能な大画面の表示装置を作製する場合に、製造工程を簡略化することができる。
また、画素pixが有するトランジスタには、チャネル形成領域に金属酸化物を含むトランジスタ(OSトランジスタ)を用いることもできる。OSトランジスタは、水素化アモルファスシリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が高い。また、多結晶シリコンを用いたトランジスタなどで必要であった結晶化の工程が不要である。
また、OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、トランジスタ91としてOSトランジスタを用いる場合、画素pixに映像信号を極めて長期間にわたって保持することができる。これにより、画素部401に表示される映像に変化がない期間、または変化が一定以下である期間において、映像信号の更新の頻度を極めて低く設定することができる。映像信号の更新の頻度は、例えば、0.1秒間に1回以下、1秒間に1回以下、10秒間に1回以下などに設定することができる。特に、4K2K放送、8K4K放送などに対応して画素pixが多数設けられる場合は、映像信号の更新を省略することによって消費電力を低減することは効果的である。
図14は、表示装置を説明する図である。当該表示装置は、基板10、基板11、機能層12、金属酸窒化物膜20、画素部401、複数の端子Vp、および複数の端子Vcを有する。画素部401は、複数の画素Pixを有する。金属酸窒化物膜20は共通電極として機能し、当該共通電極上に複数の画素Pixが形成される。なお、当該共通電極には、カソード電位が与えられることが好ましい。
複数の端子Vpは、それぞれの画素Pixに信号を与えるための端子である。なお、一部の端子Vpは、配線SLと接続され、残りの端子VPは、配線GLと接続される。また、複数の端子Vcは、共通電極として機能する金属酸窒化物膜20と接続される。なお、それぞれの画素Pixが有する無機発光素子100のカソード電位は、端子Vcを複数有することで金属酸窒化物膜20が有する抵抗成分の影響で電位が浮くことを抑えることができる。
また、表示装置は、無機発光素子100が形成される無機発光素子形成層100L、容量95が形成される容量形成層95L、およびトランジスタ92が形成されるトランジスタ形成層92Lを有する。画素Pixは、無機発光素子形成層100Lに形成される無機発光素子100、容量形成層95Lに形成される容量95、およびトランジスタ形成層92Lに形成されるトランジスタ92を有する。端子Vpは、トランジスタ形成層の配線と電気的に接続される。
なお、端子Vpおよび端子Vc上には、バンプを設けることができる。図14では図示していないが、駆動回路402、駆動回路403を貼り合わせることが好ましい。したがって、小型且つ高精細な表示装置を作成することができる。また、駆動回路402、駆動回路403がバンプを介して貼り合わされることで、部品数を少なくすることができる。上述した表示装置は、頭部装着ディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)に用いることができる。一例として、ゴーグル型表示装置または眼鏡型表示装置などに用いることが好ましい。
図15Aは、メガネ型の情報端末900の斜視図を示す。情報端末900は、一対の表示パネル901、一対の筐体(筐体902a、筐体902b)、一対の光学部材903、一対の装着部904等を有する。
情報端末900は、光学部材903の表示領域906に、表示パネル901で表示した画像を投影することができる。また、光学部材903は透光性を有するため、ユーザーは光学部材903を通して視認される透過像に重ねて、表示領域906に表示された画像を見ることができる。したがって情報端末900は、AR表示またはVR表示が可能な情報端末である。なお、先の実施の形態で説明した表示部14には、表示パネル901だけでなく、表示領域906を含む光学部材903、および後述するレンズ911、反射板912、および反射面913を有する光学系も含めることができる。表示パネル901として、マイクロLEDディスプレイを用いることが好ましい。なお、表示パネル901は、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、液晶ディスプレイなどを用いることができる。なお、表示パネル901が液晶ディスプレイを用いる場合、バックライトとして機能する光源に無機発光素子100を用いることができる。
また、情報端末900には、前方を撮像することのできる一対のカメラ905、およびユーザー側を撮像することのできる一対のカメラ909が設けられている。カメラ905は、カメラモジュールの構成要素の一部であり、カメラ909は、カメラモジュールの構成要素の一部である。情報端末900にカメラ905を複数設けることで、材料や調理器具を立体的に撮像することができるため好ましい。ただし、本実施の形態のカメラ905はこれに限らない。情報端末900に設けられるカメラ905は、1つでもよい。この場合、カメラ905は、情報端末900の前面の中央部に設けられてもよいし、筐体902a、および筐体902bの一方の前面に設けられてもよい。また、2つのカメラ905を、それぞれ筐体902a、および筐体902bの前面に設けることができる。
カメラ909は、ユーザーの視線を検知することができる。よって、カメラ909は、右目用、および左目用として2つ設けられることが好ましい。ただし、1つのカメラで両目の視線を検知できる場合、カメラ909は1つでもよい。また、カメラ909は、赤外線を検出できる赤外カメラでもよい。
また、筐体902aには無線通信機907を有し、筐体902に映像信号等を供給することができる。また、無線通信機907は、通信モジュールを有し、データベースと通信を行うことが好ましい。なお、無線通信機907に代えて、または無線通信機907に加えて、映像信号や電源電位が供給されるケーブル910を接続可能なコネクタを備えていてもよい。また、筐体902は、加速度センサやジャイロセンサなどを備えることで、ユーザーの頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域906に表示することもできる。また、筐体902にはバッテリが設けられていることが好ましく、無線、または有線によって充電することができる。なお当該バッテリは、一対の装着部904に組み込まれていることが好ましい。
また筐体902bには、集積回路908が設けられている。集積回路908は、図15では示していないがコントローラ、プロセッサ、メモリ、オーディオコントローラなどを有しており、カメラ905、無線通信機907、一対の表示パネル901、マイクロフォン、スピーカ等を有している。なお、情報端末900は、各種コンポーネントを制御する機能や、画像を生成する機能等を有することが好ましい。集積回路908は、AR表示またはVR表示のための合成画像を生成する機能を有することが好ましい。
無線通信機907によって、外部の機器とデータの通信を行うことができる。例えば外部から送信されるデータを集積回路908に出力し、集積回路908は、当該データに基づいて、AR表示またはVR表示のための画像データを生成することもできる。外部から送信されるデータの例としては、カメラ905によって取得された画像をデータベースに送信し、データベースで解析されたデータなどである。
続いて、図15Bを用いて、情報端末900の表示領域906への画像の投影方法について説明する。筐体902の内部には、表示パネル901、レンズ911、反射板912が設けられている。また、光学部材903の表示領域906に相当する部分には、ハーフミラーとして機能する反射面913を有する。
表示パネル901から発せられた光915は、レンズ911を通過し、反射板912により光学部材903側へ反射される。光学部材903の内部において、光915は光学部材903の端面で全反射を繰り返し、反射面913に到達することで、反射面913に画像が投影される。これにより、ユーザーは、反射面913に反射された光915と、光学部材903(反射面913を含む)を透過した透過光916の両方を視認することができる。
図15Bでは、反射板912及び反射面913がそれぞれ曲面を有する例を示している。これにより、これらが平面である場合に比べて、光学設計の自由度を高めることができ、光学部材903の厚さを薄くすることができる。なお、反射板912及び反射面913を平面としてもよい。
反射板912には、鏡面を有する部材を用いることができ、且つ反射率が高いことが好ましい。また、反射面913としては、金属膜の反射を利用したハーフミラーを用いてもよいが、全反射を利用したプリズムなどを用いると、透過光916の透過率を高めることができる。
ここで、筐体902は、レンズ911と表示パネル901との距離や、これらの角度を調整する機構を有していることが好ましい。これにより、ピンと調整や、画像の拡大、縮小などを行うことが可能となる。例えば、レンズ911または表示パネル901の一方または両方が、光軸方向に移動可能な構成とすればよい。
また筐体902は、反射板912の角度を調整可能な機構を有していることが好ましい。反射板912の角度を変えることで、画像が表示される表示領域906の位置を変えることが可能となる。これにより、ユーザーの目の位置に応じて最適な位置に表示領域906を配置することが可能となる。
表示パネル901には、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な情報端末900とすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す表示装置を用いた本発明の一態様の電子機器について、図面を参照して説明する。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニター、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。なお、表示部は表示装置によって構成することができるので、表示部は表示装置と呼ぶこともできる。また、電子機器がアンテナおよび二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
図16Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図16Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指、スライタスなどで表示部7000に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネルおよび音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機およびモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図16Bに、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図16C、図16Dに、デジタルサイネージの一例を示す。
図16Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、スピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
また、図16Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
図16C、図16Dにおいて、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報、交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
また、図16C、図16Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
また、本発明の一態様に係る表示装置は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、車両の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。図16Eに、本発明の一態様に係る表示装置の車両への搭載例を示す。
図16Eに、表示部5001を備えた車両の構成例を示す。表示部5001として、本発明の一態様に係る表示装置を用いることができる。なお、図16Eには表示部5001が右ハンドルの車両に搭載された例を示すが、特に限定されず、左ハンドルの車両に搭載することもできる。この場合、図16Eに示す構成の左右の配置が替わる。
図16Eには、運転席と助手席の周辺に配置されるダッシュボード5002、ハンドル5003、フロントガラス5004などを示している。表示部5001は、ダッシュボード5002の所定の位置、具体的には運転者の回りに配置され、概略T字形状を有する。図16Eには、複数の表示パネル5007(表示パネル5007a、5007b、5007c、5007d)を用いて形成される1つの表示部5001を、ダッシュボード5002に沿って設けた例を示しているが、表示部5001は複数箇所に分けて配置してもよい。
なお、複数の表示パネル5007は可撓性を有していてもよい。この場合、表示部5001を複雑な形状に加工することができ、表示部5001をダッシュボード5002などの曲面に沿って設ける構成や、ハンドルの接続部分、計器の表示部、送風口5006などに表示部5001の表示領域を設けない構成などを容易に実現することができる。
また、後側方の状況を撮影するカメラ5005を車外に複数設けてもよい。図16Eにおいてはサイドミラーの代わりにカメラ5005を設置する例を示しているが、サイドミラーとカメラの両方を設置してもよい。
カメラ5005としては、CCDカメラやCMOSカメラなどを用いることができる。また、これらのカメラに加えて、赤外線カメラを組み合わせて用いてもよい。赤外線カメラは、被写体の温度が高いほど出力レベルが高くなるため、人や動物等の生体を検知又は抽出することができる。
カメラ5005で撮像された画像は、表示パネル5007のいずれか一または複数に出力することができる。この表示部5001を用いて主に車両の運転を支援する。カメラ5005によって後側方の状況を幅広い画角で撮影し、その画像を表示パネル5007に表示することで、運転者の死角領域の視認が可能となり、事故の発生を防止することができる。
また、車のルーフ上などに距離画像センサを設け、距離画像センサによって得られた画像を表示部5001に表示してもよい。距離画像センサとしては、イメージセンサやライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)などを用いることができる。イメージセンサによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを表示部5001に表示することにより、より多くの情報を運転手に提供し、運転を支援することができる。
また、表示部5001は、地図情報、交通情報、テレビ映像、DVD映像などを表示する機能を有していてもよい。例えば、表示パネル5007a、5007b、5007c、5007dを1つの表示画面として、地図情報を大きく表示することができる。なお、表示パネル5007の数は、表示される映像に応じて増やすことができる。
また、表示パネル5007a、5007b、5007c、5007dに表示される映像は、運転手の好みによって自由に設定することができる。例えば、テレビ映像、DVD映像を左側の表示パネル5007dに表示し、地図情報を中央部の表示パネル5007bに表示し、計器類を右側の表示パネル5007cに表示し、オーディオ類を変速ギア近傍(運転席と助手席の間)の表示パネル5007aに表示することができる。また、複数の表示パネル5007を組み合わせることにより、表示部5001にフェールセーフの機能を付加することができる。例えば、ある表示パネル5007が何らかの原因で故障したとしても、表示領域を変更し、他の表示パネル5007を用いて表示を行うことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例の記載と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、上記実施の形態に示す方法を用いて、金属酸窒化物膜上に形成した金属窒化物膜の結晶性および配向性を評価した結果について説明する。具体的には、基板上に、金属酸窒化物膜を上記実施の形態に示す方法にて成膜した複数の試料(試料1乃至試料5)を用意し、各試料に対してX線を用いた、Out-of-plane測定、φスキャンを行った。試料1および試料2は、基板上に金属酸窒化物膜を作製し、当該金属酸窒化物膜上に金属窒化物膜を作製した。試料3は、基板上に金属酸化物膜を作製し、当該金属酸化物膜上に金属窒化物膜を作製した。試料4および試料5は、試料1乃至試料3の比較対象として基板上に金属窒化物膜を作製した。
<試料の作製方法>
まず、試料1乃至試料3の作製方法について説明する。なお、試料4および試料5は、試料1乃至試料3の比較対象として作製した。
試料1乃至試料3は、実施の形態1で例示した金属酸窒化物膜の作製方法を用いて作製した。具体的には、単結晶の基板を用意し、当該基板上に、反応室へ気体を導入して、酸化物ターゲットを用いて、スパッタリング法によって、金属酸窒化物膜を成膜した。なお、当該基板上に金属酸窒化物膜を成膜する前に、当該基板に対して、高温での大気アニール、真空アニールなどの前処理は行っていない。また、成膜した金属酸窒化物膜に対して熱処理は行っていない。
試料1乃至試料3に共通する金属酸窒化物膜の成膜条件として、成膜圧力を0.4Paとし、成膜電力を200Wとし、酸化物ターゲットと基板との間隔を130mmとした。
各試料の作製に用いた、単結晶の基板について説明する。単結晶の基板として、試料1では、a面サファイア基板を用意した。試料2および試料3では、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板を用意した。当該a面サファイア基板の面方位は(110)であり、当該YSZ基板の面方位は(111)である。なお、本実施例では、面方位の異なる基板を用いた場合でも金属酸窒化物膜および酸化インジウム錫がバッファ層として機能することを確認する。
次に、各試料の作製に用いた酸化物ターゲットについて説明する。酸化物ターゲットとして、試料1および試料2では、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のIn-Ga-Zn酸化物ターゲットを用いた。よって、試料1および試料2の金属酸窒化物膜は、In-Ga-Zn酸窒化物膜(IGZONと表記)である。また、酸化物ターゲットとして、試料3では、酸化インジウム錫を用いた。
次に、反応室へ導入した気体(成膜ガスともいう)について説明する。成膜ガスとして、試料1および試料2では、窒素ガス(N2)45sccmを用いた。また、成膜ガスとして、試料3では、酸素ガス(O2)5sccmとアルゴンガス(Ar)40sccmとの混合ガスを用いた。
続いて、試料1乃至試料3に共通する金属窒化物膜の成膜条件として、成膜圧力を0.4Paとし、成膜電力を200Wとし、窒化物ターゲットと基板との間隔を130mmとした。なお、試料1および試料2の基板上には金属酸窒化物膜が成膜され、金属酸窒化物膜はIn-Ga-Zn酸窒化物膜である。また、試料3の基板上には金属酸化物膜が成膜され、金属酸化物膜は酸化インジウム錫膜である。
次に、各試料の作製に用いた窒化物ターゲットについて説明する。窒化物ターゲットとして、試料1乃至試料3では、GaNの焼結体ターゲットを用いた。
次に、反応室へ導入した気体(成膜ガスともいう)について説明する。成膜ガスとして、試料1乃至試料3では、窒素ガス(N2)45sccmを用いた。
なお、試料1乃至試料3に対する前処理および成膜後の熱処理は実施していない。
次に、金属酸窒化物膜を成膜中の基板温度について説明する。試料1乃至試料3基板温度を200℃とした。
次に、金属窒化物膜を成膜中の基板温度について説明する。試料1乃至試料3基板温度を300℃とした。
以上により、試料1乃至試料3を作製した。各試料の処理条件についてまとめたものを表1および表2に示す。表1は、金属酸窒化物膜を作製する処理条件を示し、表2は、金属窒化物膜を作製する処理条件を示す。なお、試料4は、a面サファイア基板に金属窒化物膜を作成し、試料5は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板に金属窒化物膜を作製した。
作製した試料1乃至試料5のそれぞれに対して、X線を用いたOuf-of-plane測定およびφスキャンなどを行った。X線測定用の装置は、ブルカージャパン社製X線回折装置D8 DOSCOVERを用い、検出器は、0次元検出器を用いた。本実施例では、Out-of-plane測定およびφスキャンの結果を図示する。
なお、φスキャンの結果を示す各図において、横軸は角度φ[°](phi(deg.)と表記)であり、縦軸はピーク強度(Intensity(a.u.)と表記)である。また、面内配向性を評価するために、測定されたピークの半値全幅を評価した。
各試料のφスキャンを実施した結果、本実施例では、各試料において6つの回析ピークが測定された。よって、試料1乃至試料3において、金属酸窒化物上に作製された金属窒化物の結晶構造は、ウルツ鉱型構造であることが確認された。
また、本実施例では、Out-of-plane測定の結果、φスキャン(phi scan(GaN)と表記)の結果、および試料を作製するために使用した基板のφスキャンの結果(phi scan(substrate)と表記)を図17に示す。また、試料1乃至試料5のφスキャンの結果から半値全幅(FWHM)を測定した結果を表3に示す。なお、Out-of-plane測定の結果、および試料を作製するために使用した基板のφスキャンの結果についての説明は省略する。
続いて、試料1乃至試料3の評価結果について詳細に説明する。
<試料1の評価>
試料1の測定結果を図17に示す。試料1は、a面サファイア(a-plane sapphireと表記)基板上にIn-Ga-Zn酸窒化物膜を作製し、さらにIn-Ga-Zn酸窒化物膜上に金属窒化物膜(GaN)を作製した。
試料1のφスキャンの結果、6つの回折ピークが観測された。なお、比較対象として、試料4を作製した。試料4は、a面サファイア基板上に金属窒化物膜(GaN)を作製した。試料1および試料4は、それぞれ6つの回折ピークが確認され、いずれも六回対称性を有することがわかる。
つまり、試料1の金属窒化物膜(GaN)の(101)面が6回対称を有しており、試料1の金属窒化物膜(GaN)は面内配向していることが分かる。また、ウルツ鉱型構造の、(002)面と(101)面とのなす角度は、約62°であることから、当該角度でφスキャンを行うことで得られた6回対称性を示すピークから、試料1の金属窒化物膜(GaN)が有する結晶は、ウルツ型構造であることが分かる。よって、試料1の金属窒化物膜(GaN)は、c軸エピタキシャル膜であることが分かる。
以上より、試料1の金属窒化物膜は、ウルツ鉱型構造を有し、エピタキシャル成長していることが分かる。なお、φスキャンで測定された試料1の回折ピークの半値全幅(FWHM)は、5.25だった。したがって、In-Ga-Zn酸窒化物膜は、金属窒化物膜(GaN)を成長させるためのバッファ層として好ましい。
<試料2の評価>
試料2の測定結果を図17に示す。試料2は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板上にIn-Ga-Zn酸窒化物膜を作製し、さらにIn-Ga-Zn酸窒化物膜上に金属窒化物膜(GaN)を作製した。
試料2のφスキャンの結果、6つの回折ピークが観測された。なお、比較対象として、試料5を作製した。試料5は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板上に金属窒化物膜(GaN)を作製した。試料2および試料5は、それぞれ6つの回折ピークが確認され、いずれもウルツ鉱型構造であることがわかる。
つまり、試料2の金属窒化物膜(GaN)の(101)面が6回対称を有しており、試料2の金属窒化物膜(GaN)は面内配向していることが分かる。また、ウルツ鉱型構造の、(002)面と(101)面とのなす角度は、約62°であることから、当該角度でφスキャンを行うことで得られた6回対称性を示すピークから、試料2の金属窒化物膜(GaN)が有する結晶は、ウルツ型構造であることが分かる。よって、試料2の金属窒化物膜(GaN)は、c軸エピタキシャル膜であることが分かる。
以上より、試料2の金属窒化物膜は、ウルツ鉱型構造を有し、エピタキシャル成長していることが分かる。なお、φスキャンで測定された試料2の回折ピークの半値全幅は、2.96だった。したがって、In-Ga-Zn酸窒化物膜は、金属窒化物膜(GaN)を成長させるためのバッファ層として好ましい。
<試料3の評価>
試料3の測定結果を図17に示す。試料3は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板上に酸化インジウム錫(ITO)膜を作製し、さらに酸化インジウム錫(ITO)膜上に金属窒化物膜(GaN)を作製した。
試料3のφスキャンの結果、6つの回折ピークが観測され、ウルツ鉱型構造であることがわかる。
つまり、試料3の金属窒化物膜(GaN)の(101)面が6回対称を有しており、試料3の金属窒化物膜(GaN)は面内配向していることが分かる。また、ウルツ鉱型構造の、(002)面と(101)面とのなす角度は、約62°であることから、当該角度でφスキャンを行うことで得られた6回対称性を示すピークより、試料3の金属窒化物膜(GaN)が有する結晶は、ウルツ型構造であることが分かる。よって、試料3の金属窒化物膜(GaN)は、c軸エピタキシャル膜であることが分かる。
以上より、試料3の金属窒化物膜(GaN)は、ウルツ鉱型構造を有し、エピタキシャル成長していることが分かる。なお、φスキャンで測定された試料3の回折ピークの半値全幅は、3.36だった。したがって、In-Ga-Zn酸窒化物膜は、金属窒化物膜(GaN)を成長させるためのバッファ層として好ましい。
試料1乃至試料3で用いた金属酸窒化物膜および金属酸化膜のキャリア濃度についてホール効果測定を行った。ホール効果測定の評価結果を表4に示す。ホール効果測定器の例として、比抵抗/ホール測定システムResiTest8310(東陽テクニカ製)を挙げることができる。比抵抗/ホール測定システムResiTest8310は、磁場の向きと大きさを一定の周期で変化させ、それと同期してサンプルに現れるホール起電圧のみを検出するAC(交流)ホール測定が可能であり、移動度が小さくて抵抗率の高い材料についても、ホール起電圧を検出できる。
評価試料は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板に表1で示した条件を用いて金属酸窒化物膜を作製した。表3は、評価試料のホール効果測定した結果を示す。比較対象として、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板上に作製した酸化インジウム錫(ITO)膜およびIn-Ga-Zn酸窒化物膜を測定した。なお、酸化インジウム錫(ITO)膜は、表示装置および照明装置において、透明導電膜として用いられることが多い。
ホール効果測定の結果から、In-Ga-Zn酸窒化物膜は、酸化インジウム錫(ITO)膜と同等の導電膜として機能することが確認された。また試料2では、In-Ga-Zn酸窒化物膜上に金属窒化物膜(GaN)を作製することで試料5よりも結晶性が高い金属窒化物膜(GaN)を作成することができることが確認された。つまり、In-Ga-Zn酸窒化物膜は、金属窒化物膜(GaN)を作製するためのバッファ層として機能することを示している。また、In-Ga-Zn酸窒化物膜は、酸化インジウム錫(ITO)と同等の導電性を有するため、無機発光素子の電極としての機能を備えることができる。
なお、In-Ga-Zn酸窒化物膜は、スパッタリングによって形成することができ、さらに当該In-Ga-Zn酸窒化物膜上に金属窒化物膜(GaN)をスパッタリング法によって作製することができる。複数のスパッタリングターゲットを有するスパッタリング装置であれば、In-Ga-Zn酸窒化物膜および金属窒化物膜(GaN)を連続で作製することができる。また、In-Ga-Zn酸窒化物膜および金属窒化物膜(GaN)を低温で作製することができる。
本実施例に示す構成、方法などは、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。