以下、実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
(実施の形態1)
図1に、実施の形態1に係る通信システム1の構成を示す。図1に示すように、通信システム1は、空調機10と、データ統合装置30と、ユーザ端末50と、を備える。
空調機10は、対象となる室内空間を空調する。空調機10は、一例として、CO2(二酸化炭素)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等を冷媒として用いたヒートポンプ式の空調設備である。空調機10は、室外に設置される室外機11と、室内に設置される複数の室内機12a,12b,…と、空調機10の動作を制御するシステムコントローラ13と、を備える。空調機10は、いわゆるマルチエアコンであって、複数の室内機12a,12b,…により複数の室内空間を空調することができる。
室外機11と複数の室内機12a,12b,…との間には、冷媒が流れるヒートポンプが設けられている。室外機11は、冷媒を圧縮してヒートポンプを循環させる圧縮機と、冷媒の循環方向を切り替える四方弁と、室外空気と冷媒との間で熱交換する室外熱交換器と、冷媒を減圧して膨張させる膨張弁と、室外空気を室外熱交換器に送る室外ファンと、を備える。複数の室内機12a,12b,…のそれぞれは、室内空間の空気と冷媒との間で熱交換する室内熱交換器と、熱交換された空気を室内空間に送る室内ファンと、を備える。
システムコントローラ13は、室外機11及び複数の室内機12a,12b,…の動作を制御する集中コントローラである。システムコントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信インタフェース及び読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備えており、空調機10全体の動作を制御する。具体的に説明すると、システムコントローラ13は、室外機11に設けられた圧縮機の駆動周波数、四方弁の切り換え、室外ファンの回転速度、及び、膨張弁の開度を制御し、複数の室内機12a,12b,…のそれぞれに設けられた室内ファンの回転速度を制御する。
システムコントローラ13は、フィールドネットワークN2を介して、室外機11及び複数の室内機12a,12b,…と通信する。フィールドネットワークN2は、室外機11と複数の室内機12a,12b,…とシステムコントローラ13との間に構築された通信ネットワークである。フィールドネットワークN2では、予め定められた通信プロトコルに従って通信が行われる。フィールドネットワークN2に接続された各ユニットにはアドレスが割り当てられている。送信元のユニットは、送信先のユニットのアドレスに対して、又はブロードキャストでコマンドを送信する。
システムコントローラ13は、ゲートウェイ14を介して広域ネットワークN1と接続されている。広域ネットワークN1は、地理的に離れた広域なエリア間で通信するための通信ネットワークであって、具体的にはインターネット通信網である。システムコントローラ13は、広域ネットワークN1を介してデータ統合装置30と通信し、システムコントローラ13で集約した空調機10の情報をデータ統合装置30に送信する。
ゲートウェイ14は、通信プロトコルが異なるネットワーク間で送信されるデータを中継する装置であって、具体的には、システムコントローラ13とデータ統合装置30との間で送信されるデータを中継する。
アダプタ15は、室内機12aをWi-Fi(Wireless Fidelity)及び広域ネットワークN1に接続させるためのインタフェースである。アダプタ15は、室内機12aに対して通信可能に取り付けられる。より詳細には、アダプタ15は、室内機12aとの間で情報のやり取りをすることができるように、室内機12aに対して有線ケーブルで電気的に接続される。アダプタ15は、室内機12aから取得した情報を広域ネットワークN1に送信し、広域ネットワークN1から受信した情報を室内機12aに伝送する。
リモコン16は、室内機12aを操作するための装置である。リモコン16は、例えば、室内機12aにより空調される室内空間の壁、柱等に設置されている。リモコン16は、室内空間に居るユーザの操作を受け付けて、室内機12aに送信する。例えば、ユーザは、リモコン16を操作して、室内機12aに運転指令を入力する。運転指令は、例えば、運転と停止との切換、運転モード、設定温度、設定湿度、風量又は風向の設定等である。室内機12aは、リモコン16に入力された運転指令に従って動作する。
操作端末17は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の情報端末である。操作端末17は、図示を省略するが、CPU、ROM、RAM、操作部、表示部、通信インタフェース及び読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備えており、主に空調機10を点検及び保守する作業員により操作される。操作端末17は、BLE(Bluetooth Low Energy:登録商標)等の通信媒体を介してリモコン16と通信する。操作端末17は、作業員の操作を受け付けて、リモコン16を介して室内機12aに送信する。
このように、室内機12aは、システムコントローラ13、アダプタ15及びリモコン16を介して、外部と通信することができる。そのため、室内機12aは、システムコントローラ13により制御されるだけでなく、アダプタ15及びリモコン16によっても制御される。一方で、室内機12bは、アダプタ15及びリモコン16とは接続されていないため、システムコントローラ13のみにより制御される。
データ統合装置30は、広域ネットワークN1を介して空調機10と通信可能に接続されており、空調機10を遠隔的に管理する。データ統合装置30は、一例として、クラウドコンピューティングのリソースを提供するサーバである。図2に示すように、データ統合装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備える。
制御部31は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ等とも呼び、データ統合装置30の制御に係る処理及び演算を実行する処理部として機能する。制御部31において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、データ統合装置30を統括制御する。
記憶部32は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部32は、制御部31が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部32は、制御部31が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
通信部33は、データ統合装置30の外部の装置と通信するための通信インタフェースを備える。通信部33は、具体的には、機器通信部33aと、端末通信部33bと、を備える。
機器通信部33aは、広域ネットワークN1を介して、空調機10と通信する。これにより、機器通信部33aは、空調機10の現在の運転状態、アドレス等の情報を取得する。より詳細には、機器通信部33aは、フィールドネットワークN2、システムコントローラ13及びゲートウェイ14を通る通信経路21により、空調機10に含まれる室外機11及び複数の室内機12a,12b,…のそれぞれと通信する。また、図1に示したように、室内機12aには、アダプタ15とリモコン16とが接続されている。そのため、機器通信部33aは、アダプタ15を通る通信経路22でも室内機12aと通信することができ、リモコン16及び操作端末17を通る通信経路23でも室内機12aと通信することができる。このように、機器通信部33aは、それぞれシステムコントローラ13とアダプタ15とリモコン16という異なるシステムノードを通る3つの通信経路21~23で室内機12aと通信することができる。
機器通信部33aは、設備機器である室内機12aに関する機器データを、異なる通信経路21~23を経由して受信する。第1に、機器通信部33aは、第1の通信経路を経由して、室内機12aから第1の機器データを受信する。第2に、機器通信部33aは、第2の通信経路を経由して、室内機12aから第2の機器データを受信する。第3に、機器通信部33aは、第3の通信経路を経由して、室内機12aから第3の機器データを受信する。
以下では、フィールドネットワークN2、システムコントローラ13及びゲートウェイ14を通る通信経路21を第1の通信経路と呼び、アダプタ15を通る通信経路22を第2の通信経路と呼び、リモコン16及び操作端末17を通る通信経路23を第3の通信経路と呼ぶ。また、第1、第2、第3の通信経路を経由して受信された機器データを、それぞれ第1、第2、第3の機器データと呼ぶ。なお、第1、第2、第3の通信経路の呼び方は例示であって、これら3つの通信経路21~23のうちのどれを第1の通信経路、第2の通信経路、又は第3の通信経路と呼んでも良い。
通信経路21~23では、通信に使用される通信プロトコルが異なる。一例として、通信経路21では、主にマルチエアコン内のフィールドネットワークN2で採用されている通信プロトコルが使用され、通信経路22では、主にスリムエアコン又はルームエアコンで採用されている通信プロトコルが使用され、通信経路23では、操作端末17にインストールされているアプリケーションソフトウェア独自の通信プロトコルが使用される。
なお、ゲートウェイ14、アダプタ15、及びリモコン16のそれぞれを「アダプタ」と総称することもできる。機器通信部33aは、各アダプタと通信を行うインタフェースを備えており、アダプタ毎のプロトコルの吸収を行う。機器通信部33aは、機器通信手段の一例である。
端末通信部33bは、広域ネットワークN1を介して、ユーザ端末50と通信する。具体的に説明すると、端末通信部33bは、ユーザ端末50上で動作するアプリケーションプログラムと通信するためのインタフェースであるAPI(Application Programming Interface)を備える。例えば、端末通信部33bは、MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)等のプロトコルで、ユーザ端末50と通信する。
図1に戻って、ユーザ端末50は、ユーザにより操作されるパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の情報端末である。ユーザ端末50を操作するユーザは、主に空調機10を利用する一般ユーザである。図3に示すように、ユーザ端末50は、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、操作部54と、表示部55と、を備える。
制御部51は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ等とも呼び、ユーザ端末50の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部51において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、ユーザ端末50を統括制御する。
記憶部52は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部52は、制御部51が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、制御部51が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
通信部53は、ユーザ端末50が外部の装置と通信するための通信インタフェースを備える。例えば、通信部53は、データ統合装置30を含む外部の装置との間で、広域ネットワークN1又はその他のネットワークを介して通信する。
操作部54は、キーボード、マウス、スイッチ、タッチパッド、タッチパネル等の入力デバイスを備えており、ユーザから操作を受け付ける。ユーザは、操作部54を操作することによって、様々な指示をユーザ端末50に入力することができる。操作部54は、ユーザから入力された操作指示を受け付けると、受け付けた操作指示を制御部51に送信する。
表示部55は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、有機EL(Electro-Luminescence)等の表示デバイスを備える。表示部55は、図示しない表示駆動回路によって駆動され、制御部51による制御のもとで様々な画像を表示する。
次に、図4を参照して、データ統合装置30及びユーザ端末50の機能的な構成について説明する。図4に示すように、データ統合装置30は、機能的に、データ保存部311と、データ統合部312と、データ出力部313と、を備える。また、ユーザ端末50は、機能的に、データ取得部511を備える。
これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部32,52に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部32,52に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
データ保存部311は、機器通信部33aにより室内機12aから通信経路21~23を経由して受信された機器データを、記憶部32に保存する。ここで、機器データは、管理対象の設備機器である室内機12aに関するデータであって、具体的には、室内機12aの現在の運転状態、アドレス等を示すデータである。
通信経路21~23毎に通信プロトコルが異なるため、データ保存部311は、室内機12aから受信された機器データを、通信経路21~23毎に別々のテーブルに保存する。具体的に説明すると、データ保存部311は、通信経路21を経由して受信された機器データを、機器データAとして記憶部32に保存する。データ保存部311は、通信経路22を経由して受信された機器データを、機器データBとして記憶部32に保存する。データ保存部311は、通信経路23を経由して受信された機器データを、機器データCとして記憶部32に保存する。データ保存部311は、制御部31が記憶部32と協働することにより実現される。データ保存部311は、データ保存手段の一例である。
図5~図7に、それぞれ機器データA~Cの例を示す。機器データA,Bは、動的データと静的データとを含んでいる。動的データは、室内機12aの運転状態、運転モード等のように、変化するデータであって、室内機12aから定期的に送信されるデータである。動的データは、具体的には、室内機12aの運転状態、運転モード、設定温度、風量、風向、湿度、外気温等の情報を含む。
これに対して、静的データは、基本的に変化しないデータである。静的データは、室内機12aの設定情報、設置情報、メタ情報等のように、初回設定又は設定更新のタイミングで、保守作業員により入力される。静的データは、具体的には、室内機12aのアドレス、リモコングループ、設置場所、設置日、機器点検日、機器点検報告者、機器点検結果、次回点検日等の情報を含む。
動的データと静的データは、更新されるタイミングが異なる。そのため、動的データと静的データは、室内機12aからデータ統合装置30に別々のタイミングで送信され、データ統合装置30において別々のテーブルに保存される。
図5に示すように、機器データAは、動的データとして、運転状態、運転モード、設定温度、風量及び風向の各項目について、プロパティ名称、物理プロパティ名及び値の情報を有する。また、機器データAは、静的データとして、アドレス及びグループの各項目について、プロパティ名称、物理プロパティ名及び値の情報を有する。
図6に示すように、機器データBは、動的データとして、運転状態、運転モード、設定温度、湿度及び風量の各項目について、プロパティ名称、物理プロパティ名及び値の情報を有する。また、機器データBは、静的データとして、ソフトウェアバージョン及びMAC(Media Access Control)アドレスの各項目について、プロパティ名称、物理プロパティ名及び値の情報を有する。
図7に示すように、機器データCは、静的データとして、点検日、点検結果及び次回点検日の各項目について、プロパティ名称、物理プロパティ名及び値の情報を有する。一方で、機器データCは、動的データを有さない。
また、各機器データA~Cは、動的データと静的データのそれぞれにおいて、更新時刻の情報を有する。ここで、更新時刻は、各データが取得された時刻である。更新時刻が付与されるタイミングは、通信経路毎の設計に応じて決められている。例えば、更新時刻は、室内機12aで付与されても良いし、ゲートウェイ14、アダプタ15又はリモコン16で付与されても良いし、データ統合装置30で付与されても良い。
なお、機器データA~Cに含まれるプロパティ名称、物理プロパティ名、値、更新時刻等の情報を総称して、「プロパティ」又は「データプロパティ」と呼ぶこともできる。また、項目は、プロパティ項目とも呼ばれ、機器データA~Cのテーブルにおける行単位の情報に対応する。言い換えると、機器データA~Cは、動的データ及び静的データのそれぞれのテーブルにおいて、1行当たり1つの項目の情報を有する。
ここで、「プロパティ名称」は、論理プロパティ名又は論理名とも呼ばれ、機器データA~Cに含まれる各項目の意味を示す名称である。「物理プロパティ名」は、物理名とも呼ばれ、通信システム1上のデータベース及びソフトウェアで処理する際において、各項目を一意に定義する変数名である。言い換えると、「プロパティ名称」と「物理プロパティ名」はどちらも各項目を識別するための名称であるが、「プロパティ名称」が各項目をユーザが識別するための名称であり、「物理プロパティ名」は、コンピュータ上で各項目を識別するための名称である。例えば、「運転状態」、「設定温度」等は「プロパティ名称」であり、「setTemp」、「targetTemperature」等は「物理プロパティ名」である。
また、機器データA~Cに含まれる「値」は、プロパティ値とも呼ばれ、プロパティのデータ値である。「値」は、数値であることに限らず、「ON」、「COOL」等のString型のフォーマットで表されるものであっても良い。
図4に戻って、データ統合部312は、機器通信部33aにより室内機12aから異なる通信経路21~23を経由して受信された機器データA~Cを統合する。これにより、データ統合部312は、機器データA~Cが統合された統合データSを生成する。データ統合部312は、制御部31が記憶部32と協働することにより実現される。データ統合部312は、データ統合手段の一例である。
図8に、データ統合部312により生成される統合データSの例を示す。統合データSは、機器データA~Cと同様に、動的データのテーブルと静的データのテーブルとを別々に有する。統合データSは、機器データA~Cのうちの2以上の機器データに共通して含まれる項目を含んでいる。
具体的には、統合データSは、動的データとして、機器データAの動的データと機器データBの動的データとに共通して含まれる運転状態、運転モード、設定温度及び風量の項目を含んでいる。更に、統合データSは、動的データとして、機器データAの動的データのみに含まれる風向の項目と、機器データBの動的データのみに含まれる湿度の項目と、を含んでいる。
また、統合データSは、静的データとして、機器データAの静的データに含まれるアドレス及びグループの項目と、機器データBの静的データに含まれるソフトウェアバージョン及びMACアドレスの項目と、機器データCの静的データに含まれる点検日、点検結果及び次回点検日の項目と、を含んでいる。
このように、統合データSは、機器データA~CをOR、すなわち論理和で統合した項目のデータを有する。言い換えると、統合データSは、機器データA~Cのうちの少なくとも1つに含まれる項目のデータを有する。
なお、データ統合装置30は、統合データSに含まれる項目を定義した定義ファイルを、予め記憶部32に有する。定義ファイルに定義された項目以外は、機器データA~Cに含まれていても、統合データSに含めなくても良い。統合データSに不要な項目を含めないことで、統合データSの容量の肥大化を抑え、統合処理を軽減できる。
統合データSは、このような機器データA~CのORをとった項目のそれぞれについて、プロパティ名称、物理プロパティ名、値及び更新時刻の情報を有する。ここで、物理プロパティ名、値及び更新時刻は、図5~図7に示したように、機器データA~C間で統一されていない。言い換えると、複数の機器データに共通に含まれる項目であっても、その項目の物理プロパティ名、値及び更新時刻は、複数の機器データ間で同じではない。例えば、「運転状態」の物理プロパティ名は、機器データAでは「Drive」であるが、機器データBでは「operationStatus」である。また、「運転モード」の値は、機器データAでは「COOL」であるが、機器データBでは「cooling」である。
このように機器データA~C間でプロパティが異なる理由は、機器データA~Cが互いに異なる通信経路21~23を経由して送信されるためである。通信経路21~23で使用される通信プロトコルが異なるため、送信されるデータに含まれるプロパティが通信経路21~23によって異なる。従来の技術では、通信経路21~23によってプロパティが異なると、同一の設備機器から送信されたデータであっても、同一の設備機器から送信されたデータであると扱うことが難しい。そのため、別の設備機器から送信されたデータとして扱わざるを得ず、設備機器から送信されたデータの管理が複雑になる、との課題がある。
そこで、データ統合部312は、異なる通信経路21~23を経由して送信された機器データA~Cから、各機器データA~Cに含まれるプロパティが統合された統合データSを生成する。図8に示すように、統合データSは、物理プロパティ名、値及び更新時刻のそれぞれの情報として、機器データA~Cのそれぞれに含まれる情報を全て有するのではなく、1つの項目当たり、統一された1つの情報を有する。
このような統合データSを生成するために、データ統合部312は、予め定められた統合ルールRを参照する。ここで、統合ルールRは、機器データA~Cから統合データSを生成するためのルールを定めたデータである。統合ルールRは、予め定められており、記憶部32に記憶されている。以下、図9~図12を参照して、統合ルールRの具体例について説明する。
(1)名称の統合
データ統合部312は、機器データA~Cのうちの第1の機器データに含まれる一の項目の名称と、機器データA~Cのうちの第2の機器データに含まれるその項目の名称と、が異なる場合、統合データSにおけるその項目の名称を、統一された1つの名称に設定する。言い換えると、データ統合部312は、2以上の機器データに共通して含まれる項目の名称がその2以上の機器データ間で異なる場合、統合データSにおけるその項目の名称を、1つの名称に統一する。
ここで、項目の名称は、機器データA~Cに含まれる項目を通信システム1上で識別するための情報であって、具体的には、物理プロパティ名である。図5及び図6に示したように、機器データAと機器データBとは、共通の項目として、どちらも運転状態、運転モード、設定温度及び風量の項目を有するが、これらの項目の物理プロパティ名は、機器データAと機器データBとで異なる。そこで、統合ルールRは、統合データSにおけるこれらの項目の物理プロパティ名として、統一された物理プロパティ名を定める。
図9に、機器データAと機器データBとの双方に共通に含まれる運転状態、運転モード、設定温度及び風量の各項目について、統合ルールRにおける物理プロパティ名及びデータ型の対応例を示す。図9に示す統合ルールRは、統合データSにおけるこれらの項目の物理プロパティ名として、機器データBの物理プロパティ名と同じ物理プロパティ名を使用することを定めている。
この理由は、一例として、機器データAの物理プロパティ名はメーカー独自の名称であり、機器データBの物理プロパティ名は国際標準規格であるECHONET Lite(登録商標)に準拠していることを想定しているためである。統合データSの物理プロパティ名として、国際標準規格に準拠する機器データBの物理プロパティ名に統一することで、社外のアプリケーションソフトウェアとデータ連携する場合でも、データフォーマットを公開できるというメリットがある。
なお、統合ルールRは、図9に示した機器データA,Bと統合データSとの間の対応だけではなく、図示は省略するが、機器データCと統合データSとの間の対応も定めている。データ統合部312は、このような統合ルールRに従って、機器データA~Cにおける物理プロパティ名及びデータ型を、統合データSにおける物理プロパティ名及びデータ型に変換する。
(2)データフォーマットの統合
データ統合部312は、機器データA~Cのうちの第1の機器データに含まれる一の項目のデータフォーマットと、機器データA~Cのうちの第2の機器データに含まれるその項目のデータフォーマットと、が異なる場合、統合データSにおけるその項目のデータのデータフォーマットを、統一されたデータフォーマットに設定する。言い換えると、データ統合部312は、2以上の機器データに共通して含まれる項目のデータフォーマットが2以上の機器データ間で異なる場合、統合データSにおけるその項目のデータフォーマットを、1つのフォーマットに統一する。
ここで、データフォーマットは、機器データA~C及び統合データSにおける値のデータ型、値の持ち方、値のステップ幅、値のステップ数、値の表現形式等を含む。データ型は、String型、Boolean型、Number型等のような、機器データA~C及び統合データSにおける値のフォーマットである。値の持ち方は、例えば風量の値を1-3で持つか、HIGH/MID/LOWで持つかである。
データ型に関して、図9の例では、機器データAでは、全ての項目のデータ型としてString型が使用されている。これに対して、統合ルールRは、統合データSでは、運転状態のデータ型としてBoolean型を使用し、運転モードのデータ型としてString型を使用し、設定温度及び風量のデータ型としてNumber型を使用することを定める。
更に、図10~図12に、運転状態、風量及び運転モードのデータフォーマットに関する統合ルールRの例を示す。図10~図12の例では、統合ルールRは、図9と同様に、統合データSにおけるデータフォーマットを、機器データBにおけるデータフォーマットに統一することを定めている。
より詳細には、図10に示すように、機器データAにおける運転状態の値は、{ON,OFF,TESTRUN}の3状態で表される。これに対して、機器データB及び統合データSにおける運転状態の値は、{True,False}の2状態のみで表される。なお、「TESTRUN」は、運転状態が試運転であることを示す。
このように機器データAと統合データSとで状態数が異なるため、図10に示すように、データAと統合データSとの間で状態の合わせ込みを行う。具体的に説明すると、運転状態の統合ルールRは、データAにおけるON,OFFは、それぞれ統合データSにおけるTrue,Falseに対応すると定める。更に、運転状態の統合ルールRは、データAにおけるTESTRUNは、統合データSにおける運転状態がTrueに対応し、且つ、運転モードがTestRunの状態に対応すると定める。
図11に示すように、機器データAにおける風量の値は、{LOW,MID1,MID2,HIGH}の4ステップで表される。これに対して、機器データB及び機器データSにおける風量の値は、1~10の10ステップで表される。このように、機器データAと統合データSとでステップ数が異なるため、図11に示すように、統合ルールRは、機器データAと統合データSとの間でステップの合わせ込みを行うことを定めている。
このように情報の粒度が異なるデータの統合ルールRは、設計者が定める以外にも、以下の(a)~(d)の処理のように、データ間のステップ数の差から計算により自動的に定めることができる。
(a)以下のように、ソートされた2つのレベルリストを用意する。
機器データA[String]:LOW,MID1,MID2,HIGH
機器データB[Number]:1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
(b)大きいリストの配列数を小さいリストの配列数で割ることで、レンジ幅を決める。
(c)リストにインデックスを振り、小さいリストのインデックス×レンジ幅を計算する。
(d)小数点は四捨五入などして、小さいリストに合わせた大きいリストのインデックス幅を決定する。例では、レンジ幅=2.5となるので、[3,5,8,10]が機器データAの各モードの範囲となる。つまり、LOWは1-3、MID1は4-5、MID2は6-8、HIGHは9-10に合わせ込まれる。
図12に示すように、機器データAにおける運転モードの値は「COOL」と表される。これに対して、機器データB及び統合データSにおける運転モードの値は「cooling」と表される。このように、データ型はいずれもString型であるが、値の表現形式が異なる。そのため、統合ルールRは、運転モードの値について、機器データAと統合データSとの間で、String値の変換を行うことを定めている。
(3)更新時刻の統合
データ統合部312は、機器データA~Cのうちの第1の機器データに含まれる一の項目の更新時刻と、機器データA~Cのうちの第2の機器データに含まれるその項目の更新時刻と、が異なる場合、統合データSにおけるその項目の更新時刻を、統一された更新時刻に設定する。言い換えると、データ統合部312は、2以上の機器データに共通して含まれる項目の更新時刻がその2以上の機器データ間で異なる場合、統合データSにおけるその項目の更新時刻を、1つの時刻に統一する。
図5~図7に示したように、機器データA~Cのそれぞれは、更新時刻の情報を有する。データ統合部312は、統合データSにおいて、機器データA~Cのうちのいずれか1つの機器データにのみ含まれる項目の更新時刻を、その機器データにおける更新時刻に設定する。一方で、更新時刻は機器データA~Cにより異なるため、データ統合部312は、統合データSにおいて、機器データA~Cのうちの2つ以上の機器データに共通に含まれる項目の更新時刻を、統一された1つの更新時刻に設定する。
より詳細には、データ統合部312は、統合データSにおける一の項目が、機器データA~Cのうちの2以上の機器データに共通して含まれる場合、統合データSにおけるその項目の更新時刻を、その2以上の機器データにおけるその項目の更新時刻のうちの最新の更新時刻に設定する。例えば、機器データAの動的データの更新時刻は、機器データBの動的データの更新時刻よりも新しい。そのため、データ統合部312は、統合データSにおいて、機器データA,Bに共通に含まれる運転状態、運転モード、設定温度及び風量の各項目の更新時刻を、機器データAの更新時刻に設定する。このように更新時刻を1つに統一することで、データの管理をし易くする。
なお、統合前の機器データA~Cは、統合データSが生成された後も削除されず、履歴データとして統合データSとは別にデータ統合装置30に保存される。これにより、例えば、ユーザ端末50で使用されているアプリケーションソフトウェアのバージョンが古い場合のように、機器データA~Cからデータを取得する機能を備えるが、統合データSからデータを取得する機能を備えない場合であっても対応可能となるため、ユーザの利便性を損なわない。
図4に戻って、ユーザ端末50において、データ取得部511は、通信部53によりデータ統合装置30と通信し、データ統合装置30に格納されている統合データS又は機器データA~Cを取得する。データ取得部511は、制御部51が通信部53と協働することにより実現される。データ取得部511は、データ取得手段の一例である。
ユーザ端末50には、データ統合装置30からデータを取得するためのアプリケーションソフトウェアがインストールされている。ユーザは、アプリケーションソフトウェアを起動させ、操作部54を操作して、統合データSと機器データA~Cのうちから取得することを望むデータを選択する。データ取得部511は、ユーザにより選択されたデータの要求をデータ統合装置30に送信する。そして、データ取得部511は、要求に対する応答として、統合データS又は機器データA~Cを取得する。
データ統合装置30において、データ出力部313は、ユーザ端末50のデータ取得部511から要求を受け付けると、受け付けた要求に応答して、統合データSに含まれる少なくとも1つの項目のデータを出力する。具体的に説明すると、データ出力部313は、ユーザ端末50から統合データSに対する要求を受け付けた場合、統合データSに含まれる運転状態、運転モード、設定温度等の情報を示す出力データを生成する。
このとき、データ出力部313は、例えばデータ統合装置30に接続された設備機器のリスト一覧が100件ある場合、50件ずつの2ページにページングを行い、2ページにわたる出力データを生成する。このように、データ出力部313は、統合データSに格納されているデータを、ユーザが確認し易い形式に変換して、出力データを生成する。
出力データを生成すると、データ出力部313は、端末通信部33bを介してユーザ端末50と通信し、生成した出力データをユーザ端末50に出力する。データ出力部313は、制御部31が端末通信部33bと協働することにより実現される。データ出力部313は、データ出力手段の一例である。ユーザ端末50において、データ取得部511は、データ出力部313から出力された出力データを受信すると、受信した出力データを表示部55に表示する。
更に、データ出力部313は、ユーザ端末50から個別の機器データ、すなわち機器データA~Cのいずれかのデータに対する要求を受け付けた場合、機器データA~Cのうちの要求先の機器データに含まれる少なくとも1つの項目のデータを出力する。言い換えると、データ出力部313は、統合データSに格納されているデータを要求された場合、上述のように、統合データSから出力データを生成し、ユーザ端末50に出力する。これに対して、データ出力部313は、個別の機器データに格納されているデータを要求された場合、統合データSからではなく、その機器データから出力データを生成し、ユーザ端末50に出力する。
例えば、ユーザが空調機10を利用する一般ユーザである場合、ユーザは、空調のオン/オフ、設定温度の変更等のような運転に関連する情報を確認できればよく、点検日、点検結果等の保守管理に関する情報を確認する必要がない。そのため、個別の機器データに格納されているデータを参照できれば、ユーザの要望を満たすことができる。これに対して、ユーザが空調機10の保守作業員である場合、ユーザは、運転に関連する情報だけではなく、保守管理に関する情報も確認する必要がある。そのため、ユーザは、統合データSの情報を参照することが必要となる。
このように、空調機10のユーザの違いによって、必要とする情報が異なる。そのため、データ出力部313は、ユーザ端末50からの要望に応じて、統合データSと機器データA~Cとのうちのいずれかに格納されているデータを、ユーザ端末50に出力する。これにより、機器データA~Cを個別に参照すれば済む場合に、わざわざ統合データSを生成する必要がなくなる。
次に、データ統合装置30により実行されるデータ統合処理の流れについて、図13に示すフローチャートを参照して説明する。図13に示すデータ統合処理は、データ統合装置30が正常に動作可能な状態において、適宜のタイミングで繰り返し実行される。
データ統合処理を開始すると、制御部31は、室内機12から通信経路21~23のうちのいずれかを経由して機器データから送信された場合、送信された機器データを機器通信部33aにより受信する(ステップS11)。
機器データを受信すると、制御部31は、データ保存部311として機能し、受信した機器データを記憶部32に保存する(ステップS12)。具体的に説明すると、制御部31は、通信経路21により受信した機器データを機器データAとして保存し、通信経路22により受信した機器データを機器データBとして保存し、通信経路23により受信した機器データを機器データCとして保存する。
機器データを保存した後、統合データSを生成するタイミングが到来すると、制御部31は、データ統合部312として機能し、機器データA~Cを統合することにより、統合データSを生成する(ステップS13)。具体的に説明すると、制御部31は、統合ルールRに従って物理プロパティ名、データフォーマット及び更新時刻を統一し、機器データA~Cを論理和で結合した統合データSを生成する。
ここで、統合データSを生成するタイミングは、定期的なタイミング、データ統合装置30にある程度の量の機器データA~Cが蓄積されたタイミング、ユーザ端末50から統合データSが要求されたタイミング等、適宜のタイミングに設定することができる。
統合データSを生成すると、制御部31は、端末通信部33bによりユーザ端末50からデータの要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS14)。ユーザ端末50からデータの要求を受け付けていない場合(ステップS14;NO)、制御部31は、ステップS15のデータ出力処理をスキップし、図13に示すデータ統合処理を終了する。
これに対して、ユーザ端末50からデータの要求を受け付けた場合(ステップS14;YES)、制御部31は、データ出力部313として機能し、データ出力処理を実行する(ステップS15)。ステップS15におけるデータ出力処理の詳細は、図14を参照して説明する。
データ出力処理を開始すると、制御部31は、ユーザ端末50から受け付けたデータの要求が、統合データSに対する要求であるか、それとも個別の機器データに対する要求であるかを判定する(ステップS101)。
ユーザ端末50から統合データSに対する要求を受け付けた場合(ステップS101;YES)、制御部31は、統合データSに含まれる運転状態、運転モード、設定温度等の情報を示す出力データを生成する(ステップS102)。
一方で、ユーザ端末50から個別の機器データに対する要求を受け付けた場合(ステップS101;NO)、制御部31は、機器データA~Cのうちの、要求先の機器データに含まれる運転状態、運転モード、設定温度等の情報を示す出力データを生成する(ステップS103)。
ステップS102又はS103で出力データを生成すると、制御部31は、端末通信部33bによりユーザ端末50と通信し、データの要求元であるユーザ端末50に対して、生成した出力データを出力する(ステップS104)。以上により、図14に示したデータ出力処理、及び、図13に示したデータ統合処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態1に係るデータ統合装置30は、室内機12aに関する機器データA~Cを異なる通信経路21~23を経由して受信し、受信した機器データA~Cを予め定められた統合ルールRに従って統合して統合データSを生成する。そして、データ統合装置30は、第1の機器データに含まれる項目の名称又はデータフォーマットと、第2の機器データに含まれるその項目の名称又はデータフォーマットと、が異なる場合、統合データSにおけるその項目の名称又はデータフォーマットを、統一された名称又はデータフォーマットに設定する。このように、統合データSにおける項目の名称及びデータフォーマットを統一された名称及びデータフォーマットに設定することにより、同一の設備機器から送信されたデータが、別の設備機器から送信されたデータとして扱われることを回避することができる。これにより、室内機12aから異なる通信経路21~23を経由して送信された機器データA~Cを管理し易くすることができる。その結果として、室内機12aを遠隔で管理する効率を高めることにつながる。
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2について説明する。実施の形態1と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。
上記実施の形態1において、データ出力部313は、ユーザ端末50から受け付けた要求に応答して、統合データSに含まれる少なくとも1つの項目のデータを出力した。これに対して、実施の形態2では、データ出力部313は、ユーザ端末50から統合データSに対する要求を受け付けた場合、統合データSに含まれる複数の項目の更新時刻の時間差Δtを計算する。
ここで、統合データSに含まれる複数の項目の更新時刻の時間差Δtは、統合データSの動的データに含まれる全項目に付与された更新時刻のうちの、最も新しい更新時刻と最も古い更新時刻との差である。具体的に、図8に示した統合データSの例では、最も古い更新時刻は湿度に付与された「12/23 0:00」であり、最も新しい更新時刻は湿度以外の各項目に付与された「12/23 0:13」である。この場合、更新時刻の時間差Δtは13分となる。このように更新時刻に時間差Δtが生じる理由は、機器データが送信される通信経路21~23の設計思想の違いから、通信経路21~23で機器データが送信される送信周期が異なるためである。
データ出力部313は、ユーザ端末50から統合データSに対する要求を受け付けた場合、統合データSに含まれる複数の項目の更新時刻の時間差Δtを計算する。そして、データ出力部313は、計算した時間差Δtが予め定められた時間Tよりも小さいか否かを判定する。予め定められた時間Tは、例えば10分、20分等の適宜の時間に予め設定される。
判定の結果、データ出力部313は、更新時刻の時間差Δtが予め定められた時間Tよりも大きい場合、機器通信部33aに対して、新たな機器データを取得することを要求する。具体的に説明すると、データ出力部313は、統合データSに含まれる複数の項目のうちの、最も古い更新時刻の項目に対応する機器データを、室内機12aから新たに受信するように、機器通信部33aに対して要求する。ここで、最も古い更新時刻の項目に対応する機器データは、機器データA~Cのうちの、その項目のデータの取得元である機器データである。
機器通信部33aは、データ出力部313の要求に応答して、室内機12aに対して、最も古い更新時刻の項目に対応する機器データの送信を要求する。要求を受けた室内機12aは、データ統合装置30に対して新たな機器データを送信する。機器通信部33aは、室内機12aから送信された新たな機器データを受信する。
データ統合部312は、機器通信部33aにより新たに受信された機器データに基づいて、統合データSを更新する。具体的に説明すると、データ統合部312は、新たに受信された機器データを含む機器データA~Cを、統合ルールRに従って統合することにより、新たな統合データSを生成する。これにより、更新時刻の時間差Δtが小さくなった統合データSが生成される。
なお、機器通信部33aは、統合データSに含まれる複数の項目の更新時刻の中に、最も新しい更新時刻との時間差Δtが予め定められた時間Tよりも大きい更新時刻が複数存在する場合、それら複数の更新時刻の項目に対応する全ての機器データを、室内機12aから新たに受信しても良い。これにより、統合データSを効率的に更新することができる。
以下、図15を参照して、実施の形態2に係るデータ統合装置30により実行されるデータ出力処理の流れについて説明する。実施の形態2に係るデータ統合装置30は、図13に示すデータ統合処理のステップS15において、実施の形態1で図14を参照して説明したデータ出力処理に代えて、図15に示すデータ出力処理を実行する。
データ出力処理を開始すると、制御部31は、ユーザ端末50から受け付けたデータの要求が、統合データSに対する要求であるか、それとも個別の機器データに対する要求であるかを判定する(ステップS201)。
ユーザ端末50から統合データSに対する要求を受け付けた場合(ステップS201;YES)、制御部31は、統合データSの各項目に付与された更新時刻の時間差Δtを計算する(ステップS202)。そして、制御部31は、計算した時間差Δtが予め定められた時間Tよりも小さいか否かを判定する(ステップS203)。
時間差Δtが予め定められた時間Tよりも大きい場合(ステップS203;NO)、制御部31は、室内機12aから機器データを新たに受信する(ステップS204)。具体的に説明すると、制御部31は、室内機12aに対して、統合データSに含まれる複数の項目のうちの最も古い更新時刻の項目に対応する機器データの送信を要求し、室内機12aから機器データを受信する。
機器データを取得すると、制御部31は、新たに受信された機器データに基づいて、統合データSを更新する(ステップS205)。具体的に説明すると、制御部31は、新たに受信された機器データを含む機器データA~Cを、統合ルールRに従って統合することにより、新たな統合データSを生成する。
統合データSを新たに生成すると、制御部31は、処理をステップS202に戻し、再び更新時刻の時間差Δtを計算する。そして、制御部31は、時間差Δtが予め定められた時間Tよりも小さいか否かを判定する。このように、制御部31は、時間差Δtが予め定められた時間Tよりも小さくなるまで、ステップS202~S205の処理を繰り返す。
一方で、ステップS203で時間差Δtが予め定められた時間Tよりも小さい場合(ステップS203;YES)、制御部31は、統合データSに含まれる運転状態、運転モード、設定温度等の情報を示す出力データを生成する(ステップS206)。
一方で、ステップS201において、ユーザ端末50から個別の機器データに対する要求を受け付けた場合(ステップS201;NO)、個別の機器データでは更新時刻が揃っているため、ステップS202~S205の処理は必要ない。そのため、この場合、制御部31は、ステップS202~S205の処理を実行せずに、機器データA~Cのうちの、要求先の機器データに含まれる運転状態、運転モード、設定温度等の情報を示す出力データを生成する(ステップS207)。
ステップS206又はS207で出力データを生成すると、制御部31は、端末通信部33bによりユーザ端末50と通信し、データの要求元であるユーザ端末50に対して、生成した出力データを出力する(ステップS208)。以上により、図15に示したデータ出力処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態2に係るデータ統合装置30は、統合データSにおける更新時刻の時間差Δtが予め定められた時間Tよりも大きい場合、最も古い更新時刻の項目に対応する機器データを室内機12aから新たに受信し、新たに受信された前記機器データに基づいて統合データSを更新する。このように、統合データS内の更新時刻の時間差Δtを小さくすることにより、ユーザに表示するデータの時刻と実際の時刻の乖離が少なくなり、状態の不一致が起きにくくなる。
(実施の形態3)
次に、本開示の実施の形態3について説明する。実施の形態1,2と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。
実施の形態1では、データ統合部312は、統合データSにおける一の項目が、2以上の機器データに共通して含まれる場合、統合データSにおけるその項目の更新時刻を、その2以上の機器データにおけるその項目の更新時刻のうちの最新の更新時刻に設定した。これに対して、実施の形態3では、データ統合部312は、統合データSに設定される更新時刻を調整するために、統合データSに設定する更新時刻の基準となる個別の機器データA~Cの更新時刻に対して、尤度となる尤度時間を持たせる。
例えば、機器データA,Bに共通して含まれる項目の更新時刻が、機器データAよりも機器データBの方が後である場合、実施の形態1の統合ルールRに従うと、統合データSにおけるその項目の更新時刻として、機器データBの更新時刻が設定される。これに対して、機器データAの更新時刻に尤度時間を加えた時刻が、機器データBの更新時刻よりも後になる場合、データ統合部312は、統合データSの更新時刻として、機器データAの更新時刻に尤度時間を加えた時刻を設定する。尤度時間は、例えば+30分のような時間幅に設定される。
このように、尤度時間を用いて統合データSに設定される更新時刻を調整することにより、統合データSに含まれる複数の項目の更新時刻を揃えることができる。複数の項目間で更新時刻がずれていると、統合データSを出力する際に、項目毎に時刻を出力する必要が生じるため、出力データが複雑になる。実施の形態3では、尤度時間を用いて統合データSの更新時刻を揃えることで、統一された時刻をユーザに提示することができる。そのため、ユーザにとって確認し易いデータを提供することができる。
(実施の形態4)
次に、本開示の実施の形態4について説明する。実施の形態1~3と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。
実施の形態4において、データ統合部312は、統合データSが論理的に矛盾するデータを含む場合、そのデータを論理的に矛盾しないデータに修正する。ここで、論理的に矛盾するデータとは、通常では起こり得ない順序、組み合わせ等でプロパティが変化したことを示すデータを意味する。例として、運転状態がオフにもかかわらず設定温度、運転モード等が設定されたことを示すデータ、試運転の最中に風量が設定されたことを示すデータ等が挙げられる。
このような論理的に矛盾するデータは、具体的には、データ統合装置30で更新時刻を付与する場合において、通信遅延によりデータスワップが発生することに起因して生じる。一例として、0:00に室内機12aから機器データAが送信され、0:01に室内機12aから機器データBが送信された場合において、機器データBは0:01にデータ統合装置30に到着したが、機器データAは通信遅延により0:02にデータ統合装置30に到着した場合が挙げられる。
データ統合部312は、統合データSに含まれるデータが論理的に矛盾していないかを定期的に判定する。具体的に説明すると、データ統合部312は、統合データSに含まれる複数の項目に付与された更新時刻の前後関係が論理的に矛盾する順序であるか否かを判定する。
判定の結果、データ統合部312は、更新時刻の前後関係が矛盾する順序である場合、データ統合部312は、関連する項目の更新時刻を、互いに矛盾しない更新時刻に修正する。例えば、データ統合部312は、新しく受信された機器データの更新時刻を、それより1つ前に受信された機器データの更新時刻よりも前の時刻に変更する。
統合データSが論理的に矛盾するデータを含んでいると、統合データSを分析して異常を検知する場合において、誤って異常が検知される恐れがある。実施の形態4では、データ統合部312は、統合データSに含まれる論理的に矛盾するデータを論理的に矛盾しないデータに修正することにより、誤って異常が検知されることを抑制することができる。
(変形例)
以上、実施の形態を説明したが、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
例えば、上記実施の形態では、データ統合部312は、統合ルールRに従って機器データA~Cを統合して、統合データSを生成した。しかしながら、上記は一例であり、データ統合部312は、上記で説明した統合ルールR以外のルールに従って統合データSを生成しても良い。
例えば、データ統合部312は、統合データSにおける物理プロパティ名を、機器データA~Cのいずれとも異なる物理プロパティ名に変換しても良い。また、データ統合部312は、機器データA~Cのうちの2以上の機器データに共通して含まれる項目のデータに使用されている物理量単位が異なる場合、統合データSにおけるその項目のデータに使用される物理量単位を、統一された1つの物理量単位に設定しても良い。
上記実施の形態では、データ統合部312は、統合データSにおける一の項目が、機器データA~Cのうちの2以上の機器データに共通して含まれる場合、統合データSにおけるその項目の更新時刻を、その2以上の機器データにおけるその項目の更新時刻のうちの最新の更新時刻に設定した。しかしながら、データ統合部312は、統合データSにおける一の項目が、機器データA~Cのうちの2以上の機器データに共通して含まれる場合、統合データSにおけるその項目の更新時刻を、その2以上の機器データのうちの、室内機12aからデータ統合装置30に送信される送信間隔が最も短い機器データの更新時刻に設定しても良い。この理由は、送信間隔が長い方の更新時刻が最新であっても、通信経路、アプリケーションソフトウェア等によっては機器データの取得時刻が遅い場合があるためである。また、送信間隔が短い機器データは、高い頻度で室内機12aからデータ統合装置30に送信されるため、変化しやすいプロパティを扱っていることが多い。そのため、送信間隔が短い機器データの更新時刻を優先して統合データSに設定することで、実際の状態との乖離が発生しにくくすることができる。
或いは、データ統合部312は、統合データSにおける一の項目が、機器データA~Cのうちの2以上の機器データに共通に含まれる場合、統合データSにおけるその項目の更新時刻を、その2以上の機器データのうちの、その項目の物理プロパティ名が統合データSに採用された機器データの更新時刻に設定しても良い。言い換えると、物理プロパティ名が採用された機器データは重要である可能性が高いため、更新時刻もその機器データから優先して採用するという方針でも良い。
統合データSのプロパティに、機器データA~Cのうちのデータ取得元を示すリンクを付与しても良い。これにより、機器データA~Cの形式でデータを要求された場合、統合データSから取得元のデータを辿ってプロパティを取得できる。また、機器データA~Cは、それぞれ、システムコントローラ13、アダプタ15及びリモコン16のID、型番、アドレス等のような、送信された通信経路21~23が識別可能な情報を有していても良い。
データ統合部312は、室内機12aから機器データを受信する受信タイミングを過去の受信タイミングから推定し、統合データSを生成又は更新するタイミングを、推定した受信タイミングに合わせても良い。一般的なパブリッククラウドでは、プログラムの実行時間で課金が生じる。そのため、統合データSを生成又は更新する処理が、機器データを受信する時間間隔よりも短い時間間隔で実行されると、オーバーヘッドが大きくなり、課金が多くなる。そこで、統合データSを生成又は更新する処理のタイミングを機器データの受信タイミングに最適化することで、コストを抑えることができる。
上記実施の形態では、データ統合部312は、通信経路21~23を経由して受信された機器データA~Cに基づいて、物理プロパティ名とデータフォーマットと更新時刻とのそれぞれが統一された統合データSを生成した。しかしながら、データ統合部312は、統合データSを生成する際に、名称とデータフォーマットと更新時刻との全てを統一することに限らず、これらのうちの少なくとも1つのみ又は2つのみを統一しても良い。名称とデータフォーマットと更新時刻とのうちのいずれかのみを統一することによっても、同一の設備機器から送信されたデータが、別の設備機器から送信されたデータとして扱われることを回避することができる。そのため、室内機12aから異なる通信経路21~23を経由して送信された機器データA~Cを管理し易くすることができる。
上記実施の形態では、データ統合装置30に対して機器データを送信する設備機器は、室内機12aであった。しかしながら、設備機器は、室内機12aに限らず、データ統合装置30に対して2以上の異なる通信経路で機器データを送信する機器であれば、どのような機器であっても良い。例えば、設備機器は、給湯機、照明機器、冷蔵庫、炊飯器等であっても良い。
上記実施の形態では、機器通信部33aは、システムコントローラ13及びゲートウェイ14を通る第1の通信経路21と、アダプタ15を通る第2の通信経路22と、リモコン16及び操作端末17を通る第3の通信経路23と、を経由して、設備機器の一例である室内機12aから機器データを受信した。しかしながら、これら3つの通信経路21~23は例示であって、機器通信部33aは、これら3つの通信経路21~23以外の通信経路を経由して設備機器から機器データを受信しても良い。また、通信経路は3つであることに限らず、機器通信部33aが機器データを受信する通信経路は、異なる2以上の通信経路であれば良い。
上記実施の形態では、制御部31,51において、CPUがROM又は記憶部32,52に記憶されたプログラムを実行することによって、図4に示した各部として機能した。しかしながら、制御部31,51は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部31,51が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部31,51は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
制御部31,51の動作を規定するプログラムを、パーソナルコンピュータ、情報端末装置等の既存のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、データ統合装置30として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。