JP7655159B2 - クルパック紙及び紙加工品 - Google Patents
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Description
本開示は、伸張性が高く、複雑な立体形状への成形においても十分な追従性を有し、成形部にしわが発生しにくいクルパック紙及びクルパック紙を用いた紙加工品に関する。
<1> パルプを含有する紙基材を有するクルパック紙であって、
ISO/DIS 1924-3に準拠して測定される、該クルパック紙の縦方向の比引張りこわさが、2.0kN・m/g~3.9kN・m/gであり、該クルパック紙の横方向の比引張りこわさが、1.5kN・m/g~2.9kN・m/gであり、
JIS P 8113:2006に準拠して測定される、該クルパック紙の縦方向の破断伸度が、5.0%~10.0%であり、該クルパック紙の横方向の破断伸度が、5.0%~10.0%である
ことを特徴とするクルパック紙。
<2> 前記クルパック紙の前記縦方向の比引張りこわさが、3.0kN・m/g~3.9kN・m/gであり、
前記クルパック紙の前記横方向の比引張りこわさが、2.0kN・m/g~2.9kN・m/gである<1>に記載のクルパック紙。
<3> 前記クルパック紙を離解して得られた前記パルプに対しISO 16065-2:2007に準拠して測定される、前記パルプの長さ加重平均繊維長が、1.1mm~2.0mmである<1>又は<2>に記載のクルパック紙。
<4> 前記紙基材の坪量が、30g/m2~120g/m2である<1>~<3>のいずれかに記載のクルパック紙。
<5> 前記クルパック紙が、前記紙基材の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂層を有する<1>~<4>のいずれかに記載のクルパック紙。
<6> 前記クルパック紙の前記縦方向の破断伸度が、7.0%~9.7%であり、
前記クルパック紙の前記横方向の破断伸度が、6.5%~9.5%である<1>~<5>のいずれかに記載のクルパック紙。
<7> 前記パルプが、針葉樹クラフトパルプを含有し、
前記パルプにおける針葉樹クラフトパルプの含有量が、25質量%以上である<1>~<6>のいずれかに記載のクルパック紙。
<8><1>~<7>のいずれかに記載のクルパック紙の成形体である紙加工品。
縦方向とは紙基材における抄紙方向(MD)であり、繊維が配向する方向と同じである。また、横方向とは抄紙方向に対して垂直方向(CD)である。
比引張りこわさが上記下限未満であると、成形時に応力がかかりすぎてしまうため、しわや破れが発生しやすくなる。一方、比引張りこわさが上記上限を超えると、成形に必要な圧力が高くなりすぎるため、成形しにくくなり、無理に成形しようとするとしわや破れが発生しやすい。
めることで密度を大きくする、パルプの繊維長を大きくするなどの方法が挙げられる。一方、引張りこわさを小さくするには、クルパック処理前後の速度差を大きくする、カレンダー処理によりニップ圧を低くすることで密度を小さくする、パルプの繊維長を小さくするなどの方法が挙げられる。
クルパック紙の横方向の比引張りこわさは、好ましくは2.0kN・m/g~2.9kN・m/gであり、より好ましくは2.3kN・m/g~2.8kN・m/gである。
破断伸度が上記下限未満であると、成形の際の紙の伸びが足りず成形しにくくなる。また、無理に成形を試みると破れが発生する。一方、破断伸度が上記上限を超えると、伸びが大きいため成形は可能であるが、紙が動きやすくなり、しわが発生しやすく、さらにそこから破れが発生しやすくなる。
クルパック紙の横方向の破断伸度は、好ましくは6.5%以上であり、より好ましくは7.5%以上である。横方向の破断伸度の上限は、好ましくは9.5%以下であり、より好ましくは8.5%以下である。
紙基材を構成するパルプとしては、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の広葉樹クラフトパルプ;針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等の針葉樹クラフトパルプ;砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミグランドパルプ(CGP)等の機械パルプ;古紙パルプ;ケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材繊維パルプ;合成パルプ等が挙げられる。これらのパルプは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
ルケテンダイマー等)、濾水歩留り向上剤(ポリアクリルアミド樹脂)、消泡剤、填料(炭酸カルシウム、タルク等)、染料等が挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤の含有量は、とくに限定されず、通常用いられている範囲であればよい。
紙基材を製造する方法としては、パルプを含有する紙料を抄紙し、抄紙の際にクルパック処理を行う方法が挙げられる。なお、紙料は、必要に応じて添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、例えば前術した添加剤が挙げられる。紙料は、パルプスラリーに必要に応じて添加剤を添加することにより調製できる。パルプスラリーは、パルプを水の存在下で叩解することにより得られる。パルプの叩解方法、叩解装置はとくに限定されず、公知の叩解方法、叩解装置を採用しうる。
抄紙速度は特に制限されないが、例えば、好ましくは200~1000m/分、より好ましくは300~800m/分、さらに好ましくは400~700m/分の範囲で制御すればよい。クルパック処理時のニップロールとブランケット間のニップ圧も特に制限されない。例えば、好ましくは5kN/m~50kN/m、より好ましくは10kN/m~25kN/mの範囲で適宜制御すればよい。
クルパック処理の前後の速度差は、特に制限されず、坪量やパルプの材料に応じて、所望の比引張りこわさや破断伸度が得られるように制御すればよい。好ましくは-45.0%~-10.0%、より好ましくは-40.0%~-15.0%である。ここでのマイナス「-」はクルパック処理後の速度が遅いことを示す。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリアミド;ポリアクリロニトリル;ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記の材料の他、樹脂として、バイオマス樹脂や生分解性樹脂を用いてもよい。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレン(PE)は、大きくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)のように区分される。これらの中では、押し出しラミネート性および発泡性に優れることから、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。
<比引張りこわさ>
クルパック紙の縦方向及び横方向の比引張りこわさは、ISO/DIS 1924-3に準拠して測定する。具体的には、以下の通りである。試験片長さを150mm、試験片幅15mmのサンプルを、縦方向横方向それぞれ準備し、23±5℃、50±10%Rh
環境下に1日調湿する。その後、その環境下にて、引張試験機(型式RTC-1210A、株式会社エーアンドディ製)を用いて、チャック間距離100mmとなるようサンプルをセットし、100mm/minの速度にて試験を行う。
クルパック紙の縦方向及び横方向の破断伸度は、JIS P 8113:2006(紙および板紙引張特性の試験方法)に準拠して測定する。
具体的には、調温及び調湿処理として、23±5℃、50±10%の環境下に1日以上静置したクルパック紙を、幅15mm、長さ150mmに切り出したサンプルを準備する。引張試験機(型式RTC-1210A、株式会社エーアンドディ製)にて、チャック間距離を100mmとなるようサンプルを装着し、20mm/minの速度で引張試験を行い、MD(縦方向)、CD(横方向)それぞれの破断伸度を測定する。
クルパック紙におけるパルプの長さ加重平均繊維長は、ISO 16065-2:2007に準拠して測定する。具体的には以下の通りである。
クルパック紙を40cm角に切り出し、それをイオン交換水に浸し、固形分濃度2質量%に調整した上で、24時間浸漬する。24時間浸漬した後、標準型離解機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、30分間離解処理を行い、パルプを繊維状に離解する。クルパック紙が樹脂層を有する場合には、樹脂層を除いた離解後のスラリー(パルプ繊維の分散液)を分取する。
得られたパルプ繊維のサンプルを用いて、繊維長測定機(型式FS-5 UHDベースユニット付、バルメット社製)を使用して、「長さ加重平均繊維長(ISO)」を測定する。なお、「長さ加重平均繊維長(ISO)」は0.2mm以上7.6mm以下の繊維を選択して計算した長さ加重平均繊維長である。
紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定する。
なお、クルパック紙が紙基材に加えて樹脂層を有する場合には、公知の方法及び下記の手順で樹脂層の材料、厚さ及び密度などを特定したうえで、紙基材の坪量を算出しうる。
具体的には、所定の大きさにカットした、樹脂層が設けられた紙基材の重量を測定(全重量)し、その後、樹脂層付きの紙基材をセルラーゼなどの酵素につけ、紙基材を完全に溶解させたことを確認する。その後、樹脂層のみの重量(樹脂層重量)を測定し、全重量から樹脂層重量を差し引くことで紙基材のみの重量を算出し、紙基材の坪量を測定する。
紙基材の厚さ(紙厚)は、JIS P 8118:2014に準拠して測定する。なお、クルパック紙が紙基材に加えて樹脂層を有する場合には、クルパック紙の断面の電子顕微鏡(SEM)の観察像から、紙基材層、および熱可塑性樹脂層のそれぞれについて、厚みを測定する。
紙基材の密度は、上述した測定方法により得られた厚さ及び坪量から算出する。
、常湿(40~50%RH)の条件で行った。
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)をNUKP:LUKP=30:70の比率(質量比)で使用し、叩解時のスラリー濃度2質量%にて、CSF(カナダ標準ろ水度)が600mLとなるまで叩解して、パルプを調製した。
上記パルプを使用し、固形分換算でパルプ100部に対し、合成サイズ剤(荒川化学工業株式会社製、SPS400)0.15部、硫酸バンド1.2部、歩留まり剤としてポリアクリルアミド樹脂(星光PMC株式会社製、DS4433)0.65部、及び高分子凝集剤(歩留まり剤)として非イオン性ポリアクリルアミド(アライドコロイド製、パーコール47)0.035部を添加し、紙料を調製した。
上記の紙料を用いて伸縮装置(クルパック製)を備えた湿式抄紙機(ベルフォームIII型、三菱重工業株式会社製)にて、抄紙速度600m/分、リール水分6.5%、カレンダー処理によるニップ圧150kN/m、クルパック処理前後の速度差-37.5%、クルパック処理時のニップロールとブランケット間のニップ圧15kN/mにて抄紙し、紙の表面にクレープが付与された坪量50g/m2の紙基材を得た。なお、紙基材の作製は抄紙、カレンダー処理による脱水、クルパック処理(乾燥も含む)の順に実施した。得られた紙基材を実施例1のクルパック紙とした。
パルプの吐出量を調整することで坪量80g/m2に変えた以外は、実施例1と同様の条件でクルパック紙を得た。
パルプの吐出量を調整することで坪量100g/m2に変えた以外は、実施例1と同様の条件でクルパック紙を得た。
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)をNUKP:LUKP=45:55の質量比率に変えた以外は、実施例1と同様の条件でクルパック紙を得た。
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)をNUKP:LUKP=85:15の質量比率に変えた以外は、実施例1と同様の条件でクルパック紙を得た。
木材をパルプ化(蒸解)したNUKP(針葉樹未晒クラフトパルプ)とLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)をNUKP:LUKP=100:0の質量比率に変えた以外は、実施例1と同様の条件でクルパック紙を得た。
クルパック処理前後の速度差を-18.0%にて抄紙した以外は、実施例1と同様の条件でクルパック紙を得た。
乾燥後の塗工厚がそれぞれ10μmとなるようLDPEを、紙基材の片面に溶融押出コーティングした以外は、実施例1と同様の条件でクルパック紙を得た。
乾燥後の塗工厚がそれぞれ10μmとなるようLDPEを、紙基材の両面に溶融押出コーティングしとした以外は、実施例1と同様の条件でクルパック紙を得た。
カレンダーによるニップ圧を100kN/mに変えた以外は、実施例1と同様の条件で紙基材(クルパック紙)を得た。
カレンダーによるニップ圧を180kN/mに変えた以外は、実施例1と同様の条件で紙基材(クルパック紙)を得た。
カレンダーによるニップ圧を200kN/mに変えた以外は、実施例1と同様の条件で紙基材(クルパック紙)を得た。
クルパック処理を加えなかった点以外は、実施例1と同様の条件で紙基材を得た。
クルパック処理前後の速度差を-45.0%に変えた以外は、実施例1と同様の条件で紙基材(クルパック紙)を得た。
カレンダーによるニップ圧を100kN/mに変え、クルパック処理を加えなかった点以外は、実施例1と同様の条件で紙基材を得た。
得られたクルパック紙又は紙基材を切り出して、縦方向(MD)が長辺となるA4のブランクシート3を得た。ブランクシート3を、成形用金型(1及び2)とプレス成形機(FVT400、株式会社脇坂エンジニアリング製)を用いて、プレス圧力35kgf/cm2、プレス温度150℃、プレス時間5秒の条件で、図1のようにプレスし、図2のようなトレイ形状に成形した。得られたトレイについてしわや破れの有無を以下の基準で評価した。図1及び2に示すようにトレイの開口部のふちを成形部4として評価した。数値が大きいほど良好であることを示す。
5:成形部に、破れや皴は生じず、トレイに歪みが生じない。
4:成形部に、破れや皴は生じないが、トレイに歪みが生じる。
3:成形部に、破れは生じないが、成形部の4辺のうち1~3辺に皴が生じる。
2:成形部に、破れは生じないが、成形部の4辺全てに皴が生じる。
1:成形部に、破れが生じる。
Claims (8)
- パルプを含有する紙基材を有するクルパック紙であって、
ISO/DIS 1924-3に準拠して測定される、該クルパック紙の縦方向の比引張りこわさが、2.0kN・m/g~3.9kN・m/gであり、該クルパック紙の横方向の比引張りこわさが、1.5kN・m/g~2.8kN・m/gであり(ただし、横方向の比引張こわさが2.8kN・m/gである場合を除く)、
JIS P 8113:2006に準拠して測定される、該クルパック紙の縦方向の破断伸度が、5.0%~10.0%であり、該クルパック紙の横方向の破断伸度が、5.0%~10.0%である
ことを特徴とするクルパック紙。 - 前記クルパック紙の前記縦方向の比引張りこわさが、3.0kN・m/g~3.9kN・m/gであり、
前記クルパック紙の前記横方向の比引張りこわさが、2.0kN・m/g~2.8kN・m/gである(ただし、横方向の比引張こわさが2.8kN・m/gである場合を除く)
請求項1に記載のクルパック紙。 - 前記クルパック紙を離解して得られた前記パルプに対しISO 16065-2:2007に準拠して測定される、前記パルプの長さ加重平均繊維長が、1.1mm~2.0mmである請求項1又は2に記載のクルパック紙。
- 前記紙基材の坪量が、30g/m2~120g/m2である請求項1~3のいずれか一項に記載のクルパック紙。
- 前記クルパック紙が、前記紙基材の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂層を有する請求項1~4のいずれか一項に記載のクルパック紙。
- 前記クルパック紙の前記縦方向の破断伸度が、7.0%~9.7%であり、
前記クルパック紙の前記横方向の破断伸度が、6.5%~9.5%である
請求項1~5のいずれか一項に記載のクルパック紙。 - 前記パルプが、針葉樹クラフトパルプを含有し、
前記パルプにおける針葉樹クラフトパルプの含有量が、25質量%以上である請求項1~6のいずれか一項に記載のクルパック紙。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載のクルパック紙の成形体である紙加工品。
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