JP7655482B2 - 耐食性炭化珪素発熱体および耐食性炭化珪素発熱体の製造方法 - Google Patents
耐食性炭化珪素発熱体および耐食性炭化珪素発熱体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
SiC+2H2O→SiO2+CH4 (1)
SiC+4H2O→SiO2+CO2+4H2 (2)
SiO2+2H2O→Si(OH)4 (3)
上記のとおり、炭化珪素は、特に高温の水蒸気含有雰囲気下において水蒸気と反応し、腐食溶解が進行することによりその劣化が促進されると考えられる。
しかしながら、Yb2SiO5やYb2Si2O7等の珪酸イッテルビウムはその融点が1800℃を超える一方で、炭化珪素の耐熱温度は1400℃程度であることから、炭化珪素製基材の表面においてYb2SiO5やYb2Si2O7等を溶融し、製膜することは困難である。
(1)炭化珪素製基材の少なくとも一部の表面に保護膜が設けられた耐食性炭化珪素発熱体であって、前記保護膜が、
Yb2O3 25~85質量%、
Yb2SiO5 10~50質量%、
Yb2Si2O7 0~20質量%、
SiO2 2~10質量%
を含有することを特徴とする耐食性炭化珪素発熱体、
(2)前記保護膜の厚みが30~200μmである上記(1)に記載の耐食性炭化珪素発熱体、
(3)前記炭化珪素製基材が、炭化珪素の含有割合が98質量%以上であり、表面に平均細孔径が1~30μmである複数の細孔を有し、開孔率が10%以上のものである上記(1)または(2)に記載の耐食性炭化珪素発熱体、
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の耐食性炭化珪素発熱体を製造する方法であって、
Yb2O3とSiO2とを含むスラリーを炭化珪素製基材の少なくとも一部に塗布した後、
1000~1350℃で加熱処理する
ことを特徴とする耐食性炭化珪素発熱体の製造方法
を提供するものである。
本発明に係る耐食性炭化珪素発熱体は、炭化珪素製基材の少なくとも一部の表面に保護膜が設けられた耐食性炭化珪素発熱体であって、前記保護膜が、
Yb2O3 25~85質量%、
Yb2SiO5 10~50質量%、
Yb2Si2O7 0~20質量%、
SiO2 2~10質量%
を含有することを特徴とするものである。
本発明に係る耐食性炭化珪素発熱体は、例えば図1に示す上記発熱部Mとして使用され、この場合、発熱部Mは、通常、同図に示すように中空円筒形状を有している。
(1)X線回折(XRD)スペクトルの測定
以下の条件により上記測定サンプルのX線回折(XRD)スペクトルを測定する。
X線回折装置 :(株)リガク製 全自動水平型多目的X線回折装置 SmartLab
ゴニオメーター :SmartLab
X線電圧 :40kV
X線電流 :30mA
測定角度範囲(2θ):10°~90°
測定ステップ :0.001°
走査速度 :5°/分間
(2)RIR(Reference Intensity Ratio)法による各成分の定量
(1)で得られたX線回折スペクトルデータを、(株)リガク製「統合粉末X線解析ソフトウェアPDXL2.2」を使用して解析し、ICDDカードを使用したRIR(Reference Instensity Ratio:参照強度比)法により、保護膜を構成する各成分量を特定する。
なお、Yb2O3、Yb2SiO5、Yb2Si2O7およびSiO2のICDDカード番号は以下のとおりである。
Yb2O3 :01-075-6636
Yb2SiO5 :00-040-0386
Yb2Si2O7:01-082-0734
SiO2 :01-083-1831
本発明に係る耐食性炭化珪素発熱体が中空円筒形状を有するものである場合、保護膜は、中空円筒状の炭化珪素製基材の外周面全体に設けられていることが好ましく、中空円筒状の炭化珪素製基材の外周面全体および内周面全体に設けられていることがより好ましい。
本発明に係る耐食性炭化珪素発熱体において、炭化珪素製基材を構成する炭化珪素の含有割合が上記規定を満たすものであることにより、被処理物を高い効率で加熱処理することができる。
図2(b)は、図2(a)における破線部分の拡大図であって、同図に示すように、炭化珪素基材bの表面および内部には複数の細孔hが形成されている。
図3(b)は、図3(a)における破線部分の拡大図であって、同図に示すように、中空円筒形状を有する炭化珪素製基材bにおいて、その外周面および内周面の表面に各々設けられた保護膜cの一部は、炭化珪素基材bの表面に形成された複数の細孔h内に侵入して密着していることが分かる。
本発明に係る耐食性炭化珪素発熱体の製造方法は、本発明に係る炭化珪素発熱体を製造する方法であって、
Yb2O3とSiO2とを含むスラリーを炭化珪素製基材の少なくとも一部に塗布した後、
1000~1350℃で加熱処理する
ことを特徴とするものである。
上記スラリー中の固形分濃度は、70~80質量%であることが好ましい。
また、上記スラリーの粘度は、100~800Pa・sであることが好ましい。
スラリーを塗布する位置や範囲は、得ようとする保護膜の形成位置や範囲に対応して決定すればよい。
(1)基材接合物の形成
炭化珪素製基材として、外径20mm×内径10mm×全長300mmの中空円筒形状を有する再結晶SiC質基材(炭化珪素の含有割合98質量%、表面に分布する複数の細孔の平均細孔径が20μm、気孔率(開孔率)23%)を用意した。
上記炭化珪素質基材の両端に、外径20mm×内径10mm×全長300mmの中空円筒形状を有するSiC/C質端部を各々接合することにより、塗布膜の形成対象となる基材接合体(外径20mm×内径10mm×全長900mm)を得た。
(2)コート液の調製
W.R.グレース社製コロイダルシリカ懸濁液(グレード:ルドックスHS-40)を17.5質量%、日本イットリウム(株)製Yb2O3粉末(グレード:3N)を65質量%およびイオン交換水を17.5質量%となるように各々量り取り、乳鉢内で5分間混合することにより、スラリー状の原料混合物を得た。
得られた原料混合物に対し、さらに、バインダーとして、信越化学工業(株)製メトローズ(グレード:SM-400)の1.5質量%水溶液を、上記原料混合物が90質量%、上記分散剤が10質量%となるように混合して、スラリー状のコート液を調製した。
(3)コート液の塗布
(1)で作製した基材接合体を、その全体が(2)で調製したコート液中に浸漬するように90分間静置することにより、基材接合体の外周面および内周面の全体に上記コート液を含浸させた。
(4)加熱処理
上記コート液から基材接合体を引き上げて充分乾燥させた後、熱処理炉中で、大気雰囲気下、1300℃で4分間加熱して焼き付け処理を行うことにより、耐食性炭化珪素発熱体の両端に端部が接合された接合物を得た。
上記接合物の外周面および内周面の全体には、保護膜が形成され剥離等を生じていないことが視認でき、この保護膜の一部を削りとって測定したところ、当該保護膜は、Yb2O326質量%、Yb2SiO5 48質量%、Yb2Si2O717質量%、SiO29質量%を含有するものであった。
また、上記接合物を構成する耐食性炭化珪素発熱体の一部を切り出して、図4左側に概略図で示すように、その断面における外周面近傍と中央部を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、得られた各観察画像を図4の右側に示す。
また、上記耐食性炭化珪素発熱体の外周面近傍および中央部におけるSEM観察画像(倍率:100倍、反射電子像)の拡大図を、各々図5および図6に示す。
図6より、炭化珪素質基材には、図中、濃い黒色で示される細孔が形成されていることが分かる。
また、図5より、灰色で示される炭化珪素質基材の外周面には白色で示される保護膜が層状に形成されていること、この保護膜はその一部が炭化珪素製基材表面に形成されている複数の細孔内に侵入して同基材に密着して形成されていることが分かる。
上記保護膜の厚さは35~190μmであった。
実施例1(4)において、1300℃で4分間加熱することにより焼き付け処理を行ったことに代えて1100℃で4分間加熱することにより焼き付け処理を行った以外は、実施例1と同様にして、耐食性炭化珪素発熱体の両端に端部が接合された接合物を得た。
上記接合物の外周面および内周面の全体には、保護膜が形成され剥離等を生じていないことが視認でき、この保護膜の一部を削りとって測定したところ、当該保護膜は、Yb2O3 80質量%、Yb2SiO5 13質量%、Yb2Si2O7 3質量%、SiO2 4質量%を含有するものであった。
また、上記耐食性炭化珪素発熱体の一部を切り出して、その断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面に厚さ50~120μmの保護膜が形成されており、この保護膜はその一部が炭化珪素製基材表面の細孔に侵入して炭化珪素製基材に密着して形成されていることを確認できた。
実施例1において、「(2)コート液の調製」工程および「(3)コート液の塗布」工程を行うことなく、「(1)基材接合物の形成」で作製した基材接合物を、そのまま「(4)加熱処理」工程に供した以外は、実施例1と同様に処理することにより、炭化珪素発熱体の両端に端部が接合された接合物を得た。
実施例1の「(2)コート液の調製」工程において、W.R.グレース社製コロイダルシリカ懸濁液(グレード:ルドックスHS-40)が38.9質量%、日本イットリウム(株)製Yb2O3粉末(グレード:3N)が48.1質量%、イオン交換水が13.0質量%となるように各々量り取った以外は、実施例1と同様に処理することにより、炭化珪素発熱体の両端に端部が接合された接合物を得た。
上記接合物の外周面および内周面には保護膜が形成されたが、部分的に定着しておらず、剥離を生じていることが視認された。保護膜のうち定着した部分を削りとって測定したところ、当該保護膜は、Yb2O3 0質量%(検出無し)、Yb2SiO5 79質量%、Yb2Si2O7 4質量%、SiO2 17質量%を含有するものであった。
また、上記耐食性炭化珪素発熱体のうち、保護膜が定着した箇所の一部を切り出して、その断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面に厚さ10~25μmの保護膜が形成されていた。
各実施例および比較例で得られた耐食性炭化珪素発熱体および炭化珪素発熱体の保護膜の特性を表1に示す。
表1中、「保護膜定着性」については、保護膜が炭化珪素質基材の外周面および内周面の全体に形成され剥離を生じていないことが視認される場合は「〇」、保護膜が炭化珪素質基材の外周面および内周面の一部において剥離を生じていることが視認される場合は「×」として評価した。
実施例1および比較例1に記載の方法で得られた接合物を各々2本づつ用意した(以後、実施例1記載の方法で得られた接合物を実施例1(a)および実施例1(b)に係る接合物と称し、比較例1記載の方法で得られた接合物を比較例1(a)および比較例1(b)に係る接合物と称する)。上記各接合物の端部に電極を設け、通電可能な状態とした。
上記通電可能な状態とした各接合物を、耐食性炭化珪素発熱体ないしは炭化珪素発熱体が函型試験炉(炉内幅180mm、炉内高さ180mm、炉内長300mm)内に収容されるように、各々配置した。
上記各接合物に通電し、上記各接合物の耐食性炭化珪素発熱体ないしは炭化珪素発熱体の表面負荷密度が2W/cm2になるように保持しつつ、函型試験炉の炉内温度が1050℃、電気炉内の水蒸気量が82.8g/m3(露点50℃)となるように制御しつつ、連続運転を行った。
上記連続運転において、通電開始時における接合物の抵抗値を100%としたときの抵抗値の増加割合(抵抗増加率)を測定した。
Claims (3)
- 炭化珪素製基材の少なくとも一部の表面に保護膜が設けられた耐食性炭化珪素発熱体であって、前記保護膜が、
Yb2O3 25~85質量%、
Yb2SiO5 10~50質量%、
Yb2Si2O7 0~20質量%、
SiO2 2~10質量%
を含有し、
前記保護膜の厚みが30~200μmである
ことを特徴とする耐食性炭化珪素発熱体。 - 前記炭化珪素製基材が、炭化珪素の含有割合が98質量%以上であり、表面に平均細孔径が1~30μmである複数の細孔を有し、開孔率が10~50%のものである請求項1に記載の耐食性炭化珪素発熱体。
- 請求項1または請求項2に記載の耐食性炭化珪素発熱体を製造する方法であって、
Yb2O3とSiO2とを含むスラリーを炭化珪素製基材の少なくとも一部に塗布した後、
1000~1350℃で加熱処理する
ことを特徴とする耐食性炭化珪素発熱体の製造方法。
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