JP7664170B2 - 水電解用の触媒担持多孔質基体、水電解用電極、気体拡散層、水電解用スタックセル、及び、水電解用セルモジュール - Google Patents

水電解用の触媒担持多孔質基体、水電解用電極、気体拡散層、水電解用スタックセル、及び、水電解用セルモジュール Download PDF

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Description

本発明は、水電解用の触媒担持多孔質基体、及び、水電解用電極に関するものであり、更に詳しくは、高分子電解質膜(PEM)を用いて水電解をする際に用いられ、触媒の担持形態、及び、該触媒に接触しているアイオノマーとその存在形態(充填形態)に特徴のある水電解用の触媒担持多孔質基体、水電解用電極、気体拡散層、水電解用スタックセル、及び、水電解用セルモジュールに関するものである。
燃料電池や「水素発生装置用の水電解セル」に用いられる膜電極接合体(membrane electrode assembly(MEA))は、触媒層が形成された電極、及び、陽極と陰極に挟まれた高分子電解質膜(PEM膜)を有している。
そして、従来の膜電極接合体(MEA)では、一例を図1(b)、図2(b)及び図2(c)に示したように、触媒が層を形成して存在し、すなわち触媒層として膜電極接合体(MEA)中に存在する。そして、該触媒層に気体拡散層が接触していて、発生する気体を取り出せるようになっている。
特許文献1に記載の発明は、電極触媒層に含まれる硫酸イオンの量が規定値以下であるときに良品とする膜電極接合体(MEA)の製造方法に関するものであるが、特許文献1には、高分子電解質膜の面上に電極触媒層が形成された膜電極接合体と、その製造方法が開示されている。
そして、この製造方法における製造工程については、以下のように記されている。電解質膜を用意し、電極触媒層を用意し、用意した電解質膜及び電極触媒層を用いて触媒層形成膜を作製し、ガス拡散層を用意し、作製した触媒層形成膜及び用意したガス拡散層を用いて膜電極接合体(MEA)を作製する。
しかしながら、特許文献1の膜電極接合体(MEA)は燃料電池用のものであることに加え、該膜電極接合体(MEA)が有する電極触媒層は、アイオノマーと触媒とを含有するインクを、基材あるいは電解質膜の面上に連続的に塗工し乾燥して作製する(ことによって硫酸イオンの量を低減させる)と言うものであった。
特許文献2には、「触媒層が堆積された拡散媒体」が、膜に加熱プレスされていない耐久性のある膜電極組立体の作製方法が開示されている。この特許文献2では、拡散媒体層上に触媒層を堆積し、次いで、該触媒層の表面にアイオノマー層を設け、燃料電池用の膜電極組立体(MEA)を製作している。
しかしながら、特許文献2の膜電極組立体(MEA)は燃料電池用のものであることに加え、該触媒は触媒層の形で拡散媒体の上に形成されており、アイオノマーも該触媒層上の全面に噴霧によって設けられているものであった。また、該膜電極組立体(MEA)が有する触媒層の製造方法に関しては、触媒層を拡散媒体層上に連続的にスラリーとして転造するか塗布して形成されたものであり、触媒を一旦転写基板に被覆して、それを加熱プレスによって膜に転写すると言うものであった。
近年、水素の需要が拡大してきていることに伴い、優れた水の電気分解の技術が要求されているが、従来技術では十分ではなく、水電解セルの性能や耐久性等に関して優れた技術が望まれていた。
特許第6128099号公報 特許第4738350号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その課題は、水電解用セル(水電解用単セル、水電解用スタックセル等を含む)の水電解性能やその耐久性に優れた、従来とは異なる新たな構成(形態)を有する触媒担持多孔質基体を提供することにある。
言い換えれば、水電解性能やその耐久性に優れた水電解用電極と、該水電解用電極に用いられる触媒担持多孔質基体を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、「触媒層」と言った概念から離れ、(多孔質)基体上に触媒層を設ける態様・形態でない方が、水電解性能やその耐久性に優れることを見出した。
そして、多孔質基体を構成している孔や、多孔質基体を形成している繊維に触媒を担持させれば、水電解性能やその耐久性に優れるようになることを見出した。
また、上記のように触媒を担持させ、得られた触媒担持多孔質基体で高分子電解質膜(PEM(Polymer Electrolyte Membrane))を挟めば、ガスリフトによる触媒の脱離が起こり難くなり、性能劣化が発生しなくなることを見出した。
更には、高分子電解質膜に触れる電極面、すなわち触媒担持多孔質基体の表面から内部にかけて、特定の態様(状態)でアイオノマーを充填することで、セル電圧(電解電圧)の低減がなされ、水電解性能やその耐久性に優れた水電解用の触媒担持多孔質基体が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水電解用単セルにおいて、高分子電解質膜(PEM)を挟んで存在しており、該高分子電解質膜(PEM)に接触して陰極又は陽極を構成し、気体拡散層としても機能する構造を有している、触媒が担持された多孔質基体であって、
該触媒が、該多孔質基体が有している孔の側面、又は、該多孔質基体を形成している繊維の側面に担持されて、該多孔質基体自体の表面から内部にかけて存在し、
かつ、アイオノマーが、該触媒に接触しつつ、該多孔質基体の表面から内部に向かって、該多孔質基体の厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されていることを特徴とする触媒担持多孔質基体を提供するものである。
また、本発明は、焼成前の多孔質基体が有している孔の側面、又は、焼成前の多孔質基体を形成している繊維の側面に、金属触媒又は金属触媒前駆体を付着させて焼成する工程を有して得られる上記の触媒担持多孔質基体を提供するものである。
また、本発明は、上記触媒の膜厚又は粒径が、「上記孔及び/又は『上記繊維の間の隙間』よりなる空隙」の平均差し渡し長さより小さい上記の触媒担持多孔質基体を提供するものである。
言い換えれば、上記触媒が膜で担持されている場合はその膜厚が、又は、上記触媒が粒子で担持されている場合はその粒径が、「『上記孔』及び/又は『上記繊維の間の隙間』である空隙」のサイズより小さい上記の触媒担持多孔質基体を提供するものである。
また、本発明は、上記多孔質基体の材質が、チタン(Ti)若しくはチタン(Ti)合金、又は、炭素(C)である上記の触媒担持多孔質基体を提供するものである。
また、本発明は、上記の触媒担持多孔質基体であることを特徴とする水電解用電極を提供するものである。
また、本発明は、上記の触媒担持多孔質基体であることを特徴とする気体拡散層を提供するものである。
また、本発明は、高分子電解質膜(PEM)を、上記の触媒担持多孔質基体で挟んでなる構造を有することを特徴とする水電解用単セルを提供するものである。
また、本発明は、高分子電解質膜(PEM)を触媒担持多孔質基体で挟んだ構造を1個の水電解用単セルとしたときに、上記の水電解用単セルを2個以上積層してなることを特徴とする水電解用スタックセルを提供するものである。
また、本発明は、上記の水電解用スタックセルを、2次元又は3次元に配列させてなることを特徴とする水電解用セルモジュールを提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と上記課題を解決し、例えば、セル電圧が一定の(低い)値で安定である等と言った優れた水電解性能を有し、また、触媒の担持が強固であること、接触が良好であること等のために、耐久性に優れた水電解用電極を提供することができる。また、該水電解用電極を用いた水電解用単セルや水電解用スタックセルを提供することができる。
具体的には、特定の態様・形態で触媒を多孔質基体に担持させることで、触媒と該多孔質基体とを一体化させることができる。具体的には、該触媒を「多孔質炭素基体を構成する孔や繊維の表面」に触媒粒子又は触媒膜で担持させることで、触媒層の形で(多孔質)基体の上面(又は下面)に堆積させる態様に比べ、より優れた水電解性能とその耐久性を持たせることができる。
具体的には、例えば、従来の触媒を層の形態で基体上に堆積する方法では、潜在的に該触媒層がガスリフトによって基体から剥離してしまうおそれがあったが、本発明によれば、多孔質基体からの触媒の剥離や、該多孔質基体を構成する素材からの触媒の脱離が防止された、水電解用の触媒担持多孔質基体や水電解用電極を提供できる。
そして、該触媒担持多孔質基体(水電解用電極)を用いた水電解単セルや水電解用スタックセルを提供することができる。
更に、触媒担持多孔質基体にアイオノマーを、厚み方向に濃度勾配を有しつつ存在(若しくは充填)させることで、セル電圧(印加電圧)の安定した低値をもたらし、また、ガスリフトによる触媒の剥離や触媒の脱離がより発生し難い水電解用電極を提供することができる。
このような「触媒(膜若しくは粒子)の脱離」は、特に、前記した「特定の形態での触媒の多孔質基体への担持」と、上記した「特定の形態でのアイオノマー層の存在」とが相乗的に作用して効果的に防止・抑制される。
本発明の触媒担持多孔質基体を水電解用電極として用い、水電解用陰極、高分子電解質膜(PEM)、水電解用陽極をこの順に有してなる水電解単セルは、低い電解電圧での水電解が可能で、触媒膜や触媒粒子の剥離・脱離がないので、極めて耐久性が高い。
また、該単セルはセル電圧(印加電圧)が低くても作動するので、「該触媒担持多孔質基体を用いた水電解用単セル」を2個以上積層してなる水電解用スタックセルも、印加電圧が低くても作動する。すなわち、水電解用単セルが2個以上積層されている場合には、かかる「低電圧作動」の効果がより奏されると共に、多くの水素(及び酸素)を少電力で獲得できる。
水電解用単セルを有する水電解用セルの概略展開斜視図である。 (a)本発明の触媒担持多孔質基体(水電解用電極、気体拡散層)を使用した概略展開斜視図 (b)従来の水電解用セルの概略展開斜視図 触媒の存在形態を示す水電解用単セルの概略断面図である。 (a)本発明の触媒担持多孔質基体における「触媒の多孔質基体への担持形態」を示す概略断面図 (b)及び(c)従来の触媒の存在形態を示す概略断面図 本発明の触媒担持多孔質基体の概略拡大断面図である。 本発明の触媒担持多孔質基体において、アイオノマーが触媒に接触しつつ、多孔質基体の表面から内部に向かって濃度勾配を有しながら充填されていることを示す拡大断面図である。 (a)図3に対応した概略拡大断面図 (b)実際の触媒担持多孔質基体の断面を示すSEM写真 本発明の触媒担持多孔質基体(水電解用電極でもあり気体拡散層でもある)が、高分子電解質膜(PEM)を挟んでなる本発明の水電解用単セルの概略拡大断面図である。 水電解用電極(触媒担持多孔質基体)の表面から内部に向かって、厚み方向に濃度勾配を有しながらアイオノマーが充填されている態様の一例を示す概略拡大断面図である。 (a)高分子電解質膜(PEM)と給電体に接触する側の表面から(すなわち両面から)内部に向かって濃度勾配を有しながらアイオノマーが充填されている態様 (b)高分子電解質膜(PEM)に接触する側の表面から内部に向かって濃度勾配を有しながらアイオノマーが充填されている態様 本発明の水電解用単セルを2個積層してなる本発明の水電解用スタックセルの概略展開斜視図である。 本発明の水電解用スタックセルの概略図である。 (a)配線と配管が接続されているスタックセルの斜視図 (b)陰極側の「水素出口」と、陽極側の「水入口」と「水出口兼酸素出口」を示す概略断面図 (c)配線と配管を省略したスタックセルの斜視図 本発明の水電解用スタックセルを3次元に配列させてなる水電解用セルモジュールの概略斜視図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
<触媒担持多孔質基体>
本発明の触媒担持多孔質基体は、水電解用単セルにおいて、高分子電解質膜(PEM(Polymer Electrolyte Membrane))を挟んで存在しており、該高分子電解質膜(PEM)に接触して陰極又は陽極を構成し、気体拡散層としても機能する構造を有している、触媒が担持された多孔質基体であって、
該触媒が、該多孔質基体が有している孔の側面、又は、該多孔質基体を形成している繊維の側面に担持されて、該多孔質基体自体の表面から内部にかけて存在し、
かつ、アイオノマーが、該触媒に接触しつつ、該多孔質基体の表面から内部に向かって、該多孔質基体の厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されていることを特徴とする。
本発明の触媒担持多孔質基体は、「水電解用単セル」や「該水電解用単セルを2個以上積層してなる水電解用スタックセル」(以下、両者を総称して、「水電解用セル」と言うことがある)に用いられる。
本発明の触媒担持多孔質基体3は、図1(a)、図2(a)、図5等に記載の通り、水電解用単セル1において、高分子電解質膜(PEM)5を挟んで存在しており、該高分子電解質膜(PEM)5に接触して、水電解用電極2(陰極又は陽極)を構成している。
本発明においては、水電解用単セル1の陰極又は陽極が、本発明の触媒担持多孔質基体3で構成されていることが必須であるが、陰極と陽極が共に本発明の触媒担持多孔質基体3で構成されていることが好ましい。
ただし、陰極と陽極における、実際の触媒3c、多孔質基体3p、等の種類や形態、更には、その製造方法等は、陰極と陽極とでは、それぞれの極性に合わせて異なっていてもよい。
本発明の触媒担持多孔質基体3は、水電解用電極2として機能するが、気体拡散層としても機能する構造を有している。そのため、本発明の触媒担持多孔質基体3は気体拡散層でもある。
図3、図4(a)(b)及び図5に断面図を示したが、本発明の触媒担持多孔質基体3は、気体の拡散が可能な多孔質担持体に触媒が担持されている。すなわち、触媒担持多孔質基体3の触媒近傍で発生した気体は、該触媒担持多孔質基体自体が、気体拡散層としても機能して、気体を移動(拡散)させて外部に取り出せるようになっている。
<<多孔質基体>>
本発明において、「多孔質」とは、内部にまで触媒が担持できるような構造(を有する性質)のことを言うが、平面(上面)に単に孔が開いているような形態には限定されず、化学的・物理的なエッチング、スパッタリング等で粗面化された状態;多孔状態;有空間状態等になっている形態;繊維状のものの集合体;編物、織物、不織布の状態;等の全てのことを言う。上記した「孔」や「繊維状のものが集合体を成してできた空隙」は、厚み方向に不規則な空隙を形成していてもよい。また、「多孔質」とは、通気性を有する状態・性質のことを言う。
図3は、アイオノマー4を付与する前の概略断面図であり、左図は触媒を付与する前、右図は触媒を付与した後であるが、本発明における多孔質基体3pは、触媒を外部のみならず内部にまで担持できるだけの空間を有していればよく、所謂貫通孔を有するものであってもよいし(ただし独立孔の存在を排除するものではない)、繊維を織ったり編んだりしたものでもよく、また不織布等であってもよい。例えば、不織布等の繊維の集合体も、該繊維間の隙間に孔が存在するので、本発明においては、広義に捉えて「多孔質基体」と言う。
本発明は、図3~5に示した通り、触媒(触媒粒子又は触媒膜)が、多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて存在していることが特徴であるので、更には、アイオノマー4が多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて存在していることが特徴であるので、本発明における多孔質基体3pは、その内部にまで触媒やアイオノマー4が入り込める(付与できる)だけの空隙があることが必要である。
本発明における多孔質基体3pの材質は、導電性があれば特に限定はないが、電子伝導性がある、腐食(酸化等)し難い、種々の化学反応や電気化学反応を受け難い、強度が高い等の性質を有するものが好ましく、具体的には、チタン族の金属、チタン族の金属の合金、若しくは、チタン族の金属の化合物、又は、炭素(C)であることが好ましい。
ここで、「チタン族の金属」とは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのことを言う。すなわち、チタン族の基体としては、チタン基体、ジルコニウム基体、ハフニウム基体、チタン合金基体、ジルコニウム合金基体、又は、ハフニウム合金基体が挙げられる。
また、「チタン族の金属の化合物」としては、例えば、窒化チタン(チタンナイトライド(TiN))、炭化チタン(チタンカーバイド(TiC))、ホウ化チタン(チタンジボライド(TiB))等が挙げられる。
セル電圧が低く、触媒粒子が電極基材から脱離することが好適に防止されることから、チタン族の金属又は合金としては、チタン又はチタン合金がより好ましく、チタンが特に好ましい。
また、炭素(C)としては、グラファイト構造(グラフェン構造)を有するものが好ましい。
本発明における多孔質基体3pは、チタン繊維若しくはチタン合金繊維の集合体、又は、炭素繊維の集合体であることが特に好ましい。
<<触媒>>
本発明においては、前記した通り、触媒は多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて存在しているが、具体的には、該触媒は、該多孔質基体3pが有している孔の側面、又は、該多孔質基体3pを形成している繊維3qの側面に担持されて、該多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて存在している(図3~5)。
図5は、本発明の触媒担持多孔質基体3の概略断面図であるが、炭素繊維、チタン繊維等の繊維3qが多孔質基体3pを構成し、該多孔質基体3p自体の表面の繊維3qの表面のみならず、該多孔質基体3p自体の内部の繊維3qの表面にまで、触媒粒子が担持されている。
なお、上記「多孔質基体自体の表面」とは、「該多孔質基体自体の内部」に対する語であり、従って、上記「多孔質基体自体の表面」は、多孔質基体3pが有する孔の側面や多孔質基体3pを構成する材料(繊維等)の表面を意味しない。
本発明においては、上記触媒は、多孔質基体3p自体の表面のみに触媒層として堆積されているものではなく、上記多孔質基体3pが有している孔の側面、又は、上記多孔質基体3pを形成している繊維3qの側面に担持されて、上記多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて存在していることが好ましい(図3~5参照)。
触媒が、触媒層の形態で、言い換えれば、触媒が層の形態で、図2(b)のように高分子電解質膜(PEM)5の表面のみに、又は、図2(c)のように多孔質基体3p自体の表面のみに存在していると(形成又は堆積されていると)、触媒と多孔質基体3pとの接触面積が小さくなり、また、触媒と高分子電解質膜(PEM)5との接触面積が小さくなり、そのため、前記した本発明の優れた効果が得られない。
本発明の触媒担持多孔質基体3は、焼成前の多孔質基体3pが有している孔の側面、又は、焼成前の多孔質基体3pを形成している繊維3qの側面に、金属触媒又は金属触媒前駆体を付着させて焼成する工程で得られるような構成を有していることが好ましい。
なお、本発明の上記好ましい態様においては、多孔質基体3pにどのような形態・組成で触媒が形成されているか、どのような形態で触媒粒子が担持されているか等は、直接特定することもパラメーター等で特定することも、不可能であるかおよそ実際的でない。そのため、上記好ましい構成(態様)は、その製造方法で特定するしかない。
本発明の触媒は、具体的には、多孔質基体3pに対して、「金属触媒又は金属触媒前駆体」が溶解又は微分散した塗布液を塗布し、次いで、それを焼成することによって触媒を形成させて得られるようなものであることが好ましい。
すなわち、本発明における触媒は、塗布液の塗布・乾燥によって、「金属触媒又は金属触媒前駆体」を、多孔質基体3pの孔の側面又は繊維3qの側面に付着させて、次いで焼成してなるものであることが特に好ましい。
ここで、塗布の方法は、特に限定はされず、スプレーによる噴霧塗布、浸漬塗布、筆塗り塗布、刷毛塗り塗布、スクリーン印刷による塗布等が挙げられる。塗布の後には、要すれば、常法に従って乾燥して塗布溶媒を留去する。
付着の後に行われる「焼成」は、広く一般的な熱処理のことを言う。焼成温度は、触媒(前駆体)の種類に依存し、特に限定はないが、160℃以上800℃以下が好ましく、230℃以上750℃以下がより好ましく、300℃以上700℃以下が特に好ましい。
焼成時間(熱処理時間)は、触媒効果を奏すれば特に限定はないが、10分以上8時間以下が好ましく、30分以上5時間以下がより好ましく、1時間以上3時間以下が特に好ましい。
焼成時間が上記下限以上であると、上記焼成温度が前記下限以上のときと同様の効果が得られ、焼成時間が上記上限以下であると、上記焼成温度が前記上限以下のときと同様の効果が得られ、好適に触媒の担持が可能である。
図2(b)に示したように、触媒が高分子電解質膜(PEM)5上に存在するような形態の場合、焼成によって触媒を担持させようとすると、高分子電解質膜(PEM)5は、熱に弱いので、上記した焼成温度では融解若しくは変質してしまう。従って、図2(b)に示したような形態の場合は、焼成によって触媒を生成させることはできない。
本発明によれば、(一般には熱に強い傾向のある)多孔質基体3pに、金属触媒又は金属触媒前駆体を付着させて焼成して、(そこに担持された)触媒を得ることができるので、単に塗布・乾燥して付着させている場合と比較して、多孔質基体3pへの密着性が高まり、優れた態様・組成の触媒が利用可能であり、また使用できる触媒の幅が広がる。
本発明においては、焼成によって、多孔質基体3pの孔を構成する部分の体積が変化したり、孔が大きくなったり、多孔質基体3pを構成する繊維3qの太さが細ったりすることがある。むしろ、そのような現象が起こることで、触媒が、「多孔質基体が有している孔の側面又は該多孔質基体を形成している繊維3qの側面」に担持され易くなり、触媒が粒子の場合はサイズ的に余裕ができ、触媒が多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて、徐々に(均一に)存在(担持)し易くなる。
更に、後記するアイオノマー4が、多孔質基体3pの表面から内部に向かって、該多孔質基体3pの厚み方向に濃度勾配を有しながら充填され易くなる場合がある。
本発明における触媒担持多孔質基体3は、多孔質基体3pに金属触媒又は金属触媒前駆体を付着させて焼成して得られるようなものが好ましいが、該金属触媒又は金属触媒前駆体における金属は、それを焼成してなる触媒粒子や触媒膜が触媒として作用するものであれば特に限定はない。中でも、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、及び、ニッケル(Ni)よりなる群から選ばれた金属であることが、触媒効果が高い点から好ましい。上記金属は、1種であってもよく、2種以上の併用も可能である。また、上記以外の金属との併用も可能である。
言い換えれば、本発明における触媒は、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、及び、ニッケル(Ni)よりなる群から選ばれる1種以上の金属又は金属含有化合物であることが好ましい。
触媒の原料である金属触媒・金属触媒前駆体における金属化合物としては、以下に限定はされないが、具体的には、例えば、塩化白金(IV)酸n水和物、塩化白金(IV)酸アンモニウム、ジニトロジアンミン白金(II)、塩化第一白金(II)、塩化第二白金(IV)、テトラアンミン白金(II)ジクロライドn水和物、テトラアンミン白金(II)水酸化物、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸等の白金含有化合物;塩化ルテニウム(III)水和物、硝酸ルテニウム(III)、酸化ルテニウム(IV)水和物等のルテニウム含有化合物;塩化イリジウム(IV)酸n水和物、塩化イリジウム(III)n水和物、塩化イリジウム(III)無水和物、硝酸イリジウム(IV)、塩化イリジウム(IV)酸アンモニウム、ヘキサアンミンイリジウム(III)水酸化物等のイリジウム含有化合物;塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、ジニトロジアンミンパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)ジクロライド等のパラジウム含有化合物;塩化ニッケル(II)無水和物、塩化ニッケル(II)六水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物等のニッケル含有化合物;5塩化タンタル、タンタルアルコキシド等が挙げられる。
金属触媒前駆体としては、限定はされないが、具体的には、例えば、上記金属化合物にアルコールが配位したもの等が挙げられる。上記金属化合物をアルコール溶媒等に溶解させて金属触媒前駆体を調製し、該金属触媒前駆体を含有する塗布液を多孔質基体3pに塗布し乾燥し、次いで焼成することで触媒に転換して担持させて、触媒担持多孔質基体3を調製することが特に好ましい。
金属触媒又は金属触媒前駆体の多孔質基体3pへの付着を塗布によって行う場合には、「該塗布に用いる塗布液の溶媒(分散媒)」、及び/又は、上記「金属化合物に配位させるアルコール」としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等が好ましいものとして挙げられる。
多孔質炭素基体への付着を塗布によって行う場合、塗布液の塗布方法としては、限定はないが、刷毛塗り法、噴霧法、スプレー塗布法、浸漬法等が好ましい方法として挙げられる。
また、触媒は、例えば図3、4に示したように、膜の形態で、孔の側面又は繊維3qの側面に担持されていてもよいし、例えば図5に示したように、粒子の状態で、孔の側面又は繊維3qの側面に担持されていてもよい。
通常、イリジウム(Ir)、タンタル(Ta)等は、膜の形で、孔又は繊維3qの側面等に担持され、白金(Pt)等は、粒子の形で、孔又は繊維3qの側面等に担持される。
触媒粒子の平均粒子径は、触媒の種類にもより、特に限定はないが、数平均粒子径として、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下が特に好ましい。本発明における該数平均粒子径は、焼成後に得られる触媒担持多孔質の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、触媒粒子を20個無作為に選択し、その直径の相加平均として得ることができ、そのようにして得られた直径の相加平均値と定義する。
触媒粒子の平均粒子径が大き過ぎると、触媒効果が落ち、セル電圧が上昇したり、電極基材から脱離したりする場合等がある。
更に、それに加えて、本発明の場合は、後述するように、特に、多孔質基体3pの内部にまで触媒粒子が入り込み難く、多孔質基体3pの内部に担持され難い場合がある。
一方、小さ過ぎると、多孔質基体3pの孔の側面や繊維3qの側面からミクロな深部に潜り込んでしまう場合等がある。ただし、複数の微小粒子が隣接・結合することで、触媒表面積を大きくすることができれば、必ずしも上記粒径範囲にとらわれない。
なお、「セル電圧」とは、水の電気分解のために水電解セルの陰極と陽極の間に印加する電解電圧のことを言う。
触媒が膜の形態で、多孔質基体3pの孔の側面や繊維3qの側面に担持されている場合は、該膜の平均膜厚は、触媒の種類にもより、特に限定はないが、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が特に好ましい。該平均膜厚は、焼成後に得られる触媒担持多孔質の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得ることができ、そのようにして得られたものとして定義する。
<<アイオノマー>>
本発明の触媒担持多孔質基体3は、少なくとも高分子電解質膜(PEM)5に隣接する側に、アイオノマー4が存在することが好ましい。
ここで「アイオノマー」は、陽イオン交換ポリマー、側鎖に強酸基を有するポリマー、プロトン伝導性ポリマー、イオン伝導性ポリマー等とも言われており、「アイオノマー」とは、上記のような化学構造や物性を有するポリマーを言う。
例えば、炭素繊維、チタン繊維等の集合体である多孔質基体3pの上面は、そもそも平坦ではないので(図2(a)、図3~5)、高分子電解質膜(PEM)5との接触が十分ではない場合があり、そのため触媒と高分子電解質膜(PEM)との接触も十分ではない場合がある。
また、本発明においては、触媒は多孔質基体3pの内部にも存在するので、更には、多くの触媒は多孔質基体3pの内部にも存在するので、アイオノマー4がなければ、触媒と高分子電解質膜(PEM)との接触が、ますます十分でなくなる。
本発明によれば、図2(a)、図3~6に示したような態様で、アイオノマー4が存在するので、多孔質基体3p自体の内部、多孔質基体3pと高分子電解質膜(PEM)との間に存在する空隙が埋められて、それらの間の接触が良好になると共に、アイオノマー4と触媒との接触、更には、高分子電解質膜(PEM)5と触媒との接触が良好となる。
本発明の触媒担持多孔質体において、アイオノマー4は、担持された触媒に接触しつつ、該多孔質基体3pの表面から内部に向かって、該多孔質基体3pの厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されている(図2(a)、図4~6参照)。
アイオノマーの濃度が高い方向は、触媒担持多孔質体における高分子電解質膜(PEM)5と接触する側であるが(図6(b))、更にそれに加えて、その反対側、すなわち給電体6と接触する側も濃度が高く、その表面から内部に向かって、該多孔質基体3pの厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されていることも好ましい(図6(a))。
アイオノマー4で触媒膜又は触媒粒子を取り囲むことは、接触の必要性から本発明においては重要である。更に、該アイオノマー4は、多孔質基体3pの厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されている。
図6(b)に示したように、多孔質基体3pの深部(すなわち、高分子電解質膜(PEM)5と接触する側とは反対側)(に担持された触媒の)近傍には、アイオノマー4がなくてもよく又は少なくてもよく、更には、透過性の点から、アイオノマー4がない部分がある方が又は少ない部分がある方が好ましい。
また、図6(a)に示したように、多孔質基体3pの深部(すなわち、PEM5及び給電体6との接触面から離れた部分)(に担持された触媒)近傍には、アイオノマー4がなくてもよく又は少なくてもよく、更には、透過性の点から、アイオノマー4がない部分がある方が又は少ない部分がある方が好ましい。
前記したように、触媒を調製するために焼成することで、多孔質基体3pを構成する繊維3qが細くなった場合等は、より接触に難が出るところ、例えば図5に示したように、アイオノマー4が、触媒3cに接触しつつ多孔質基体3pの表面から内部に向かって濃度勾配を有しながら存在していると、触媒担持多孔質基体(の触媒3c)と高分子電解質膜(PEM)5との接触が、極めて良好となる。
すなわち、該アイオノマー4は、「陰極側に水素イオン(プロトン)」を伝導する機能を有しており、触媒担持多孔質基体3の高分子電解質膜(PEM)5に隣接する側に存在させることによって、高分子電解質膜(PEM)5から触媒表面へとプロトンを伝導させる際の抵抗を大幅に削減させることができる。
従って、該アイオノマー4は、触媒担持多孔質基体3の内部に向かって充填されることで、「高分子電解質膜(PEM)とは直接接触することができない『給電体及び/又は樹脂槽体側の触媒』」で発生したプロトンを陰極側へ伝導することができ、触媒の利用効率を上げることができる。
その結果、本発明の上記態様でアイオノマー4が充填されることで、電流値一定の条件で運転をしたときに、セル電圧(電解電圧)が低くても水電解セルを作動させられ、また、発生する気体による触媒粒子の脱離も抑えられる。
該アイオノマー4の存在量は、触媒担持多孔質基体3の厚みや空隙度、また、水電解用セルの使用条件、例えば単位時間あたりの発生水素量に伴い変化することから、必ずしも限定はされないが、水電解に伴いガスが発生し、そのガスをセル外部に取り出す必要があることから、微視的には、アイオノマー4により触媒表面を全部厚くは覆わず、触媒表面が微視的・部分的に露出していることが望ましく、巨視的には、触媒担持多孔質基体3が有する空隙を全てアイオノマー4で充填せず、該触媒担持多孔質基体3の厚み方向に濃度勾配を有しながら充填され、発生ガスが抜け出せるようになっていることが望ましい。
発生したガスを、給電体6及び/又は樹脂槽体7側から取り出す必要からも、より効率よくガスが取り出せるよう、「高分子電解質膜(PEM)」と、「給電体6及び/又は樹脂槽体7」との間で、アイオノマー4の存在量に傾斜を持たせることが好ましい。
従って、必ずしも限定はされないが、該触媒担持多孔質基体3が有する空隙体積のうち、アイオノマー4により該空隙が充填される体積量の割合(以下、「充填率」と言う場合がある)は、10体積%以上90体積%以下であることが好ましく、20体積%以上80体積%以下であることがより好ましく、30体積%以上70体積%以下であることが特に好ましい。
すなわち、本発明は、上記アイオノマー4が、上記触媒担持多孔質基体3の空隙内にも貫入され、かつ、該触媒担持多孔質基体3が有する空隙体積のうち、該アイオノマー4により空隙が充填されている割合が10体積%以上90体積%以下である上記の触媒担持多孔質基体3でもある。
該アイオノマー4の上記効果は、水電解用陰極であっても、水電解用陽極であっても、何れの電極に対しても好適に奏される(図5参照)。
アイオノマー4の充填は、例えば、触媒が担持された多孔質基体3pに、アイオノマー分散液又はアイオノマー溶液を塗布して形成することができる。
本発明は、上記アイオノマー4が、上記触媒を上記多孔質基体3pに担持させた後に、該アイオノマー4の溶液を塗布し乾燥させて、該多孔質基体3pの表面から内部に向かって濃度勾配を持たせて充填して得られる上記の触媒担持多孔質基体3でもある。
高分子電解質膜(PEM)5と接触することになる側から塗布して、図6(b)のような濃度勾配のある触媒担持多孔質基体3を得てもよいし、更にそのようにした上で、給電体6と接触することになる側からも塗布して、図6(a)のような両側に濃度勾配のある触媒担持多孔質基体3を得てもよい。
なお、本発明の好ましい態様において、多孔質基体3pにどのような質量・形態でアイオノマー4が充填されているか、どのような態様で触媒に接触しているか等は、直接特定することもパラメーター等で特定することも、不可能であるかおよそ実際的でない。そのため、上記した好ましい態様(構成)は、その製造方法で特定するしかない。
塗布方法としては、刷毛塗り法、噴霧法、スプレー塗布法等が挙げられる。
アイオノマー分散液(アイオノマー溶液)を塗布後、60℃前後で溶媒(分散媒)を揮発させ、その後、好ましくは120℃以上250℃以下で、特に好ましくは140℃以上200℃以下で、また、好ましくは1分以上1時間以下で、特に好ましくは3分以上30分以下で熱処理を行うことが好ましい。
<<<アイオノマーの化学構造>>>
上記アイオノマー4は、イオン伝導性、特にプロトン伝導性を有し、水電解用単セル1において使用可能のものならば特に限定はない。すなわち、本発明の「アイオノマー」とは、プロトン伝導性ポリマーのことを言う。
該アイオノマー4は、特に限定はなく、分子内にフッ素原子を有するフッ素系アイオノマー4であってもよく、分子内にフッ素原子を有さない非フッ素系アイオノマー4であってもよい。
限定はされないが、中でもフッ素系アイオノマーが好ましく、主鎖としてポリフルオロエチレン骨格を有し、側鎖として末端にスルホン酸基を有するパーフルオロエチレンエーテル骨格を有するイオン伝導性ポリマー(プロトン伝導性ポリマー)であることがより好ましい。
特に限定はされないが、本発明に用いられるより好ましいアイオノマー4の例を以下に示す。
Figure 0007664170000001
[式(1)中、mは自然数]
Figure 0007664170000002
[式(2)中、pは自然数]
Figure 0007664170000003
[式(3)中、nは自然数]
式(1)で表されるアイオノマーは、主鎖としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)骨格と、末端にスルホン酸基を有するパーフルオロエーテルペンダント側鎖からなるポリマーである。側鎖が比較的長いので、長側鎖(LSC:long-side-chain)アイオノマーと言われているものである。
式(1)で表されるアイオノマーの等価質量(EW:equivalent weight)(1モルのプロトンを供給するのに必要なポリマーの質量)は、限定はされないが、900g/mol~1200g/molであることが特に好ましい。式(1)のmの好ましい範囲は、該等価質量から計算できる範囲である。
式(1)で表される長側鎖(LSC)アイオノマーとしては、限定はされないが市販品が好適に使用され、DuPont社製のナフィオン(Nafion(登録商標))等が挙げられる。
式(1)で表される長側鎖(LSC)アイオノマーとしては、ナフィオン(Nafion(登録商標))(EW=1100g/mol、式(1)のm=6.6)等が好ましい。
式(2)又は式(3)で表されるアイオノマーは、主鎖としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)骨格と、末端にスルホン酸基を有するパーフルオロペンダント側鎖からなるポリマーである。側鎖が比較的短いので、短側鎖(SSC:short-side-chain)アイオノマーと言われているものである。
式(2)又は式(3)で表されるアイオノマーの等価質量(EW)は、限定はされないが、700g/mol~950g/molであることが特に好ましい。式(2)のpの好ましい範囲と、式(3)のnの好ましい範囲は、該等価質量からそれぞれ計算できる範囲である。
式(2)又は式(3)で表される短側鎖(SSC)アイオノマーは、限定はされないが市販品も使用され、例えば、3M Corporation社製の3Mアイオノマー等が挙げられる。
<「触媒の膜厚又は粒径」と「多孔質基体の空隙」との関係>
本発明の触媒担持多孔質基体3は、多孔質基体3pに担持された触媒の膜厚又は粒径が、多孔質基体3pの「孔及び/又は繊維の間の隙間よりなる空隙」の平均差し渡し長さより小さいことが好ましい。大きい場合には、触媒が多孔質基体3pを構成する材料に好適に担持され難い場合がある。
また、上記空隙は、焼成等によって触媒を担持した後の多孔質基体3pの有する空隙のことであるが、焼成等によって触媒を担持する前の多孔質基体3pの有する空隙も、担持して得られる触媒のサイズ(膜厚又は粒径)より大きいことが好ましい。小さい場合には、触媒塗布液中に溶解又は微分散した「金属触媒又は金属触媒前駆体」が、該多孔質内部にまで入り込み難い場合があり、その結果、触媒を多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて存在させられない場合がある。
また、本発明の触媒担持多孔質基体3は、アイオノマー4を除いた触媒担持多孔質基体3の下記定義式(1)で表される空隙率が、3体積%以上80体積%以下であることが好ましい。
空隙率(体積%)
=100×[触媒担持多孔質基体の空隙の体積]/[触媒担持多孔質基体の体積] (1)
「触媒担持多孔質基体」とは、既に触媒が担持されているものを言うので、触媒の担持を焼成によって行う場合には、上記「空隙率」の「空隙」とは、焼成後の多孔質基体3pの空隙のことを言う。
触媒粒子(触媒膜)の体積は、上記空隙の体積に比べれば十分小さいので、「多孔質基体の空隙」は「触媒担持多孔質基体の空隙」とほぼ等しい。
上記定義式(1)の分子は、触媒担持多孔質基体3の重さと体積を測定し、材質(Ti、C等)の真比重を用いれば計算でき、分母も容易に測定できるので、上記空隙率は、そのようにして求め、そのようにして求めたものとして定義される。
該空隙率はアイオノマー4を付与(充填)させる前に測定することが好ましい。
該空隙率は、5体積%以上70体積%以下であることがより好ましく、10体積%以上60体積%以下であることが特に好ましい。
空隙率が小さ過ぎると、触媒を担持させ難く、多孔質基体3pの内部にまで担持させられない場合がある。また、アイオノマー溶液・分散液が、多孔質基体3pの内部にまで行き渡り難く、アイオノマー4を多孔質基体3pの内部にまで充填させられない場合や、多孔質基体3pの厚み方向に濃度勾配を有しながら充填させられない場合等がある。また、気体の拡散性が悪くなり、気体拡散層としての機能が劣る場合がある。
一方、空隙率が大き過ぎると、触媒担持多孔質基体3の強度が落ちる場合や、電導度が低下する場合がある。
本発明の触媒担持多孔質基体3は、「『多孔質基体自体の表面から内部にかけて存在する触媒』が上記アイオノマーに接触しているミクロ面積」の総和が、「触媒担持多孔質基体3の上記高分子電解質膜(PEM)5に接している面のマクロ面積」の2倍以上であることが好ましい。上記倍率を「接触面積倍率」と言う。
上記ミクロ面積は、アイオノマー充填後の触媒担持多孔質基体3の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、その中の触媒の断面から触媒の表面積を算出できる(算出する)。アイオノマー4が充填されていない触媒担持多孔質基体3の内部の触媒の表面(積)は、該ミクロ面積から除外される。
上記マクロ面積は、例えば、触媒担持多孔質基体3が長方形の場合には、その縦と横をかけて求められる。
上記「接触面積倍率」は、上記ミクロ面積を上記マクロ面積で割ることで求められるので、そのようにして求めた値として定義される。
該接触面積倍率は、3倍以上であることがより好ましく、4倍以上300倍以下であることが更に好ましく、5倍以上100倍以下であることが特に好ましい。
該接触面積倍率が小さ過ぎると、前記した種々の「アイオノマー4の(充填されている)効果」が得られない場合があり、大き過ぎると、触媒担持多孔質基体3の製造が困難な場合がある。
<水電解用電極>
前記した通り、本発明は、本発明の上記触媒担持多孔質基体3であることを特徴とする水電解用電極2でもある。
また、前記した通り、本発明は、本発明の上記の触媒担持多孔質基体3であることを特徴とする気体拡散層でもある。
すなわち、前記した通り、本発明の触媒担持多孔質基体3の有する形態と機能から、本発明の触媒担持多孔質基体3は、水電解用電極2としても機能し使用されるし、また、本発明の触媒担持多孔質基体3は、気体拡散層としても機能し使用される。
<水電解用単セル>
本発明は、高分子電解質膜(PEM)5を、本発明の上記触媒担持多孔質基体3で挟んでなる構造を有することを特徴とする水電解用単セル1でもある。
本発明の水電解用単セル1は、一例を図1(a)に示したように、高分子電解質膜(PEM)5を、本発明の触媒担持多孔質基体3で挟んでなる構造を有し、更にそれを、具体的には、ガスケット、給電体6、樹脂槽体7等で挟んでなる。また、本発明の水電解用単セル1は、図5のような触媒担持多孔質基体3(水電解用電極)を、上記構造体で挟んでなる。
該給電体6、該樹脂槽体7等の構造体としては、特に限定はなく、公知のものが用いられ得る。
図7は、本発明の水電解用単セルを2個連結した水電解用スタックセル9を示すものであるが、その右側と左側が、それぞれ水電解用単セル1である。
なお、本発明の水電解用単セル1の発明は、上記したものや図示したものの他に、他の層や他の部材・構造体等の使用(併用)を排除するものではない。
<水電解用スタックセル>
本発明は、高分子電解質膜(PEM)5を触媒担持多孔質基体3で挟んだ構造を1個の水電解用単セル1としたときに、上記の水電解用単セルを2個以上積層してなることを特徴とする水電解用スタックセル9でもある。
本発明の水電解用スタックセル9の概略を図7に示す。本発明の水電解用スタックセル9は、図7に示したように、上記本発明の水電解用単セル1で双極板8を挟んで構成される。
本発明の水電解用スタックセル9は、本発明の水電解用単セルを2個以上積層してなるが、好ましくは3個以上10個以下積層してなり、特に好ましくは4個以上6個以下積層してなる。
積層個数が少な過ぎると、水電解効率(水素発生効率)が悪くなる場合等があり、一方、積層個数が多過ぎると、水電解に要する電圧が大きくなる場合等がある。
本発明の触媒担持多孔質基体3を用いた水電解用単セル1は、前記した通り、セル電圧が小さいことが特徴であるので、水電解用単セル1を複数個直列に連結しても、水電解用スタックセル9の陰極と陽極の間の電解電圧を低く抑えることができる。
なお、本発明の水電解用スタックセル9の発明は、上記したものや図示したものの他に、他の層や他の部材・構造体等の使用(併用)を排除するものではない。
図8(a)(b)に、本発明の水電解用スタックセル9に、更に、陰極配線、陽極配線、水入口、水出口、水素排出配管(水素出口)、酸素排出配管(酸素出口)等が設置された概念図を示す。水出口と酸素排出配管(酸素出口)は同一(共用)でもよい。
<水電解用セルモジュール>
本発明は、上記水電解用スタックセル9を、2次元又は3次元に配列させてなることを特徴とする水電解用セルモジュール10でもある。
図9に、本発明の水電解用スタックセル9を3次元に配列させてなる水電解用セルモジュール10の概略斜視図を示す。
水電解用セルモジュール10の形態とすることで、多くの水を効率的に電解させ、多くの水素や酸素を得ることが可能となる。
また、図9に示したように、設置ボードを設け、一部の水電解用スタックセル9だけを抜き出して、交換したり、メンテナンスしたり、通電を止めたり(休電期間を設けたり)でき、運転の効率を上げることもできる。
なお、本発明の水電解用セルモジュール10の発明は、上記したものや図示したものの他に、それらに加えて他の部材等の使用(併用)を排除するものではない。
以下に、実施例及び比較例等を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、特に断りのない限り、比や%に関する値は、質量比や質量%である。
実施例1
<触媒担持多孔質基体、水電解用電極の製造>
繊維径50μmのチタン繊維を平板のようにして集合体化した多孔質基体3pに、触媒として、金属触媒(金属前駆体)として、塩化イリジウム(IV)酸六水和物を含有したアルコール系の塗布液を、スプレーを用いて、ムラのないように塗布した。
その際、塗布液が多孔質基体3p自体の表面から内部へ浸み込んでいく様子を確認した。
次いで、塗布液の溶媒を揮発させるために、多孔質基体を70℃で30分間加熱して乾燥させた。その後、金属触媒3cと多孔質基体の材質の面(繊維の側面)との密着性を向上させるために、上記乾燥の際の温度よりも高い温度である600℃で2時間をかけて熱処理を行った。
得られた「アイオノマー充填前の触媒担持多孔質基体」を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図2~4に示したように、イリジウム触媒が、多孔質基体3pを形成しているチタン繊維の側面に担持されて、該多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて、チタン繊維を被覆するようにコート状で存在していた。該触媒の膜厚は、0.3μm~10μmであった。
上記の金属触媒3cを担持した多孔質基体3pに、PEMと接触する側から、アイオノマー(DuPont社製のナフィオン(Nafion(登録商標)))の分散液を、スプレーを用いて塗布した。
その際、この分散液が触媒担持多孔質基体3の表面から内部へ染み込んでいく様子を確認した。
次いで、アイオノマー分散液の分散媒を揮発させるために、触媒担持多孔質基体3を100℃で30分間加熱して乾燥させた。
得られた「アイオノマー充填後の触媒担持多孔質基体」を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図4、図5に示したように、アイオノマー4が、触媒であるイリジウムに接触しつつ、多孔質基体3pの表面から内部に向かって、厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されていることを確認した(特に、図4(b)、図6(b)参照)。
得られた「アイオノマー充填後の触媒担持多孔質基体」の、空隙率は40体積%であり、接触面積率は10倍であり、「多孔質基体を構成する繊維の間の隙間よりなる空隙」の平均差し渡し長さは25μm~50μmであった。
実施例2
実施例1において、チタン繊維よりなる多孔質基体3pに代えて、カーボン繊維よりなる多孔質基体3pを用いた以外は、実施例1と同様にして、触媒担持多孔質基体3(水電解用電極2)を得た。
途中、触媒の塗布液が、多孔質基体3p自体の表面から内部へ浸み込んでいく様子を確認した。
また、途中、アイオノマー分散液が、触媒担持多孔質基体3の表面から内部へ染み込んでいく様子を確認した。
得られた触媒担持多孔質基体3を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、イリジウム触媒が、多孔質基体3pを形成しているカーボン繊維の側面に担持されて、該多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて存在していた。
また、アイオノマー4が、触媒に接触しつつ、多孔質基体3pの表面から内部に向かって、厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されていた(特に、図4(b)、図6(b)参照)。
実施例3
実施例1において、イリジウム触媒に代えて、白金触媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、触媒担持多孔質基体3(水電解用電極2)を得た。
途中、触媒の塗布液が、多孔質基体3p自体の表面から内部へ浸み込んでいく様子を確認した。
また、途中、アイオノマー分散液が、触媒担持多孔質基体3の表面から内部へ染み込んでいく様子を確認した。
得られた触媒担持多孔質基体3を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、白金触媒が、多孔質基体3pを形成しているチタン繊維の側面に担持されて、該多孔質基体3p自体の表面から内部にかけて存在していた(図5)。
また、アイオノマー4が、触媒に接触しつつ、多孔質基体3pの表面から内部に向かって、厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されていた(特に、図5、図6(b))。
比較例1
実施例1において、(多孔質)基体として、空隙率が1体積%であるチタン繊維からなる基体を用いた以外は、実施例1と同様にして、水電解用電極2(触媒層形成基体)を得た。
(多孔質)基体として用いた空隙率が1体積%のチタン繊維からなる基体は、その孔(空隙)が金属触媒粒子より小さいために、触媒の塗布液が、多孔質基体3p自体の表面から内部へ浸み込んでいき難かった。
得られた水電解用電極2を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、触媒が多孔質基体3p自体の内部に存在しておらず、(多孔質)基体上に触媒層を形成してしまっていた。すなわち、「多孔質基体\金属触媒層\アイオノマー層」と言う層構成になっていた。
比較例2
実施例1において、アイオノマー4を充填しない、すなわち、アイオノマー4の分散液を塗布しない以外は、実施例1と同様にして、触媒担持多孔質基体3を得た。
得られた触媒担持多孔質基体3を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、触媒は多孔質基体3p自体の内部にまで存在していたが、アイオノマー4が充填されていないため、触媒は孤立していた。
比較例3
従来の膜電極接合体(MEA)を水電解用電極とした。
用いた膜電極接合体(MEA)は、PEMの片面に、カーボン粒子と「触媒となる白金粒子」が、もう片面に、「触媒となる酸化イリジウム粒子」がそれぞれ塗布された後、乾燥されて固着したものであった。
評価例1
<水電解用単セルの組み立て>
図1(a)に示す構成で水電解用単セル1を組み立てた。
具体的には、高分子固体電解質膜(PEM)を中央に配し、その両外側に、上記実施例で得た「金属触媒3cとアイオノマー4を有する触媒担持多孔質基体3(水電解用電極2)」、又は、比較例で得た水電解用電極を配した。
更にその両外側に給電体6を配し、更にその両外側に樹脂槽体7を配した後、その両端をボルトで締めつけることで各構成物を挟み込み、水電解用単セル1を組み立てた。
<水電解試験による初期性能評価>
上記実施例・比較例で得られた水電解用単セル1に、温度20℃の純水をポンプで循環させ、該水電解用セルの陽極側に電解用の純水を供給し、直流電源を用いて所定の電流密度における水電解時のセル電圧の値を記録した。
100A/dmの電流密度における初期セル電圧(V)を、以下の表1に示す。
<水電解試験による水電解用単セルの耐久性評価>
上記した初期性能評価と同様に、純水を循環させて水電解用単セル1に供給し、直流電源を用いて電流密度が100A/dmとなるように電流値を設定し、連続的に電解を行い、セル電圧を記録した。
500時間経過時のセル電圧[V]を、以下の表2に示す。
評価例2
<水電解用スタックセルの組み立て>
図7に示す構成で、水電解用単セル1をスタックして、水電解用スタックセル9を組み立てた。
具体的には、「触媒担持多孔質基体(陽極)/高分子電解質膜(PEM)/触媒担持多孔質基体(陰極)」を、1個の水電解用単セル1として、該単セル同士を、双極板8を介して5個積み重ねて(スタックして)、1個の水電解用スタックセル9とした。なお、図7では、単セルを2個積み重ねているが、評価例2では5個積み重ねた。
<水電解用スタックセルの初期性能評価>
「前記実施例・比較例で得られた水電解用単セル」を、上記したように5個積み重ねた水電解用スタックセル9に、温度20℃の純水をポンプで循環させ、水電解用セルの陽極側に電解用の純水を供給し(図8参照)、直流電源を用いて所定の電流密度における水電解時のスタックセル電圧の値を記録した。
100A/dmの電流密度における初期のスタックセル電圧を表3に示す。
<水電解用スタックセルの耐久性評価>
実施例1で得られた触媒担持多孔質基体3(水電解用電極2)を評価例2のように積み重ねて得た水電解用スタックセル9を用い、水の電気分解を電流値一定の条件で連続的に行い、スタックセル電圧の変化を記録した。
500時間経過時のスタックセル電圧は、初期のスタックセル電圧に比べて若干上昇したが、単セルにおける表2に対応したレベルであり問題がなかった。
水電解用単セルの初期性能評価(初期セル電圧)
Figure 0007664170000004
水電解用単セルの耐久性評価(500時間経過時のセル電圧)
Figure 0007664170000005
水電解用スタックセル9の初期性能評価(初期スタックセル電圧)
Figure 0007664170000006
表1~3から分かる通り、本発明の触媒担持多孔質基体3を用いた水電解用電極2、水電解用単セル1、及び、水電解用スタックセル9は、水電解開始時にセル電圧(必要印加電圧)は安定して低い値であった。
また、耐久試験後も、その値を維持した。
一方、比較例の水電解用電極2、水電解用単セル1、及び、水電解用スタックセル9は、水電解開始時にセル電圧(必要印加電圧)が高く、耐久試験後も高い値であった。
実施例2、3で得られた触媒担持多孔質基体3を用いた場合も、実施例1の場合と同様に、セル電圧は安定して低かった。すなわち、初期セル電圧、500時間経過時のセル電圧、初期スタックセル電圧、及び、500時間経過時のスタックセル電圧は、実施例1の表1~3の結果とほぼ同様であり、電圧は低いものであった。
本発明の触媒担持多孔質基体3は、水電解用電極や気体拡散層として優れており、それを用いた水電解単セルや該単セルを積層した水分解用スタックセル9は、セル電圧が低く、触媒が電極基材から脱離することが防止されていて、製造性や耐久性に優れているので、水素や酸素を必要とするあらゆる分野に広く利用されるものである。
1 水電解用単セル
2 水電解用電極
3 触媒担持多孔質基体
3p 多孔質基体
3q 多孔質基体を形成する繊維
3c 金属触媒又は金属酸化物触媒
4 アイオノマー
5 高分子電解質膜(PEM)
6 給電体
7 樹脂槽体
8 双極板
9 水電解用スタックセル
10 水電解用セルモジュール

Claims (18)

  1. 水電解用単セルにおいて、高分子電解質膜(PEM)を挟んで存在しており、該高分子電解質膜(PEM)に接触して陰極又は陽極を構成し、気体拡散層としても機能する構造を有している、触媒が担持された多孔質基体であって、
    該触媒が、該多孔質基体が有している孔の側面、又は、該多孔質基体を形成している繊維の側面に担持されて、該多孔質基体自体の表面から内部にかけて存在し、
    かつ、アイオノマーが、該触媒に接触しつつ、該多孔質基体の表面から内部に向かって、該多孔質基体の厚み方向に濃度勾配を有しながら充填されており、
    該アイオノマーが、該触媒を該多孔質基体に担持させた後に、該アイオノマーの溶液又 は分散液を塗布し乾燥させて、該多孔質基体の表面から内部に向かって濃度勾配を持たせ て充填して得られるものであることを特徴とする触媒担持多孔質基体。
  2. 焼成前の多孔質基体が有している孔の側面、又は、焼成前の多孔質基体を形成している繊維の側面に、金属触媒又は金属触媒前駆体を付着させて焼成する工程を有して得られる請求項1に記載の触媒担持多孔質基体。
  3. 上記触媒の膜厚又は粒径が、「上記孔及び/又は上記繊維の間の隙間よりなる空隙」の平均差し渡し長さより小さい請求項1又は請求項2に記載の触媒担持多孔質基体。
  4. 上記触媒が、多孔質基体自体の表面のみに触媒層として堆積されているものではなく、上記多孔質基体が有している孔の側面、又は、上記多孔質基体を形成している繊維の側面に担持されて、上記多孔質基体自体の表面から内部にかけて存在している請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体。
  5. アイオノマーを除いた触媒担持多孔質基体の下記定義式(1)で表される空隙率が、3体積%以上80体積%以下である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体。
    空隙率(体積%)
    =100×[触媒担持多孔質基体の空隙の体積]/[触媒担持多孔質基体の体積] (1)
  6. 上記アイオノマーが、上記触媒担持多孔質基体の有する空隙内に充填されており、該触媒担持多孔質基体が有する空隙の体積全体に対して、該アイオノマーにより該空隙が充填されている体積の割合が10体積%以上90体積%以下である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体。
  7. 「上記多孔質基体自体の表面から内部にかけて存在する上記触媒」が上記アイオノマーに接触しているミクロ面積の総和が、触媒担持多孔質基体の上記高分子電解質膜(PEM)に接している面のマクロ面積の2倍以上である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体。
  8. 上記触媒が、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、及び、ニッケル(Ni)よりなる群から選ばれる、1種以上の金属又は金属含有化合物である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体。
  9. 上記多孔質基体の材質が、チタン(Ti)若しくはチタン(Ti)合金、又は、炭素(C)である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体。
  10. 上記多孔質基体が、チタン繊維若しくはチタン合金繊維、又は、炭素繊維の集合体である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体。
  11. 上記アイオノマーが、プロトン伝導性ポリマーである請求項1ないし請求項10の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体。
  12. 請求項1ないし請求項11の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体であることを特徴とする水電解用電極。
  13. 請求項1ないし請求項11の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体であることを特徴とする気体拡散層。
  14. 高分子電解質膜(PEM)を、請求項1ないし請求項11の何れかの請求項に記載の触媒担持多孔質基体で挟んでなる構造を有することを特徴とする水電解用単セル。
  15. 高分子電解質膜(PEM)を触媒担持多孔質基体で挟んだ構造を1個の水電解用単セルとしたときに、請求項14に記載の水電解用単セルを2個以上積層してなることを特徴とする水電解用スタックセル。
  16. 請求項15に記載の水電解用スタックセルを、2次元又は3次元に配列させてなることを特徴とする水電解用セルモジュール。
  17. 水電解用単セルにおいて、高分子電解質膜(PEM)を挟んで存在しており、該高分子電解質膜(PEM)に接触して陰極又は陽極を構成し、気体拡散層としても機能する構造を有している、触媒が担持された多孔質基体の製造方法であって、
    該触媒が、該多孔質基体が有している孔の側面、又は、該多孔質基体を形成している繊維の側面に担持されて、該多孔質基体自体の表面から内部にかけて存在しており
    アイオノマーを、該触媒を該多孔質基体に担持させた後に、該アイオノマーの溶液又は 分散液を塗布し乾燥させて、該アイオノマー該触媒に接触させつつ、該多孔質基体の表 面から内部に向かって濃度勾配を持たせて充填することを特徴とする触媒担持多孔質基体の製造方法
  18. 焼成前の多孔質基体が有している孔の側面、又は、焼成前の多孔質基体を形成している繊維の側面に、金属触媒又は金属触媒前駆体を付着させて焼成する工程を有する請求項1 に記載の触媒担持多孔質基体の製造方法
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