JP7672068B2 - シリカ吸着剤の再生方法 - Google Patents
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Description
スケールの主な原因の一つに水中のシリカ(二酸化ケイ素)のイオンがあり、その効率的な除去が求められている(特許文献1等)。
従来、溶液からシリカを除去する方法としては、イオン交換樹脂、逆浸透膜、凝集沈殿、電気透析(EDI)、電解等が用いられている。
また、逆浸透膜でシリカを除去する場合、シリカによるファウリングを防止する観点から濃縮倍率を高めることが難しい。そのため、対象の溶液中のシリカ濃度が高い場合は、原水に対して得られる処理水の割合が小さくなるため、効率的ではない。
かかる状況に鑑み、本発明は、使用済みのシリカ除去剤、すなわちシリカが吸着した水酸カリウムを、再生して再度シリカ除去のために利用可能にする技術を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の一の態様は、シリカが吸着した水酸化セリウムを、pH9以上の水溶液、pH1以下の水溶液、又は塩化ナトリウム水溶液に接触させる工程を含む、前記シ
リカを脱離させる方法である。
本態様において好ましくは、前記pH9以上の水溶液は水酸化ナトリウム水溶液である。
本態様において好ましくは、前記pH1以下の水溶液は塩酸水溶液である。
本態様において好ましくは、前記水酸化セリウムは基材に固定化されている。
本発明の別の態様は、前記態様の方法によりシリカを脱離することを含む、水酸化セリウムの再生方法である。
なお、本明細書におけるpH値は25℃における値とする。
水酸化セリウム(Ce(OH)4)は、シリカを吸着する性質を有し、シリカ吸着剤の有効成分となる。
通常、水酸化セリウムは粉末で入手でき、その粒径は0.05μm~100μm程度に分布し、累積中位径(Median径)は0.5μm~20μmであることが好ましい。
通常、シリカ吸着剤における、水酸化セリウムの含有量は、特に限定されず、0.001~99.9重量%の範囲で任意に調整することができる。
シリカ吸着のために用いられる水酸化セリウムの純度は、85重量%以上が好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。
また、水酸化セリウムは、他のイオン、例えばナトリウムイオン、マグネシウムイオン等を吸着しにくく、具体的には水酸化セリウム1g当たり0.001mg以下の吸着量である。また、水酸化セリウムは、カルシウムイオンをやや吸着するが、吸着と脱離を繰り返すと吸着能が低下しほぼなくなる。
すなわち水酸化セリウムは、シリカを選択的に吸着し、溶液から除去することができる
。
水酸化セリウムをシリカ吸着剤として用いる場合は、基材に固定化した態様でシリカ吸着濾材に含めることができる。
水酸化セリウムは通常粉末の形態で流通しているため、基材に固定化する態様とすると取扱いや、シリカ除去処理、水酸化セリウムの再利用が容易となる。
濾材の形態は特に限定されるものではないが、後述するシリカを溶液から除去する方法及びシリカを水酸化セリウムから脱離させる方法の効率の観点から、通常は溶液を通液するのに適した、また流路に設置するのに適した形態とする。
そのような形態としては例えば、カラム充填剤や、フィルタなど、シリカを含有する溶液及びシリカを脱離させる溶液との接触面積を大きくできるものが、吸着反応及び脱離反応の効率の観点から好ましい。
例えば、基材としてすでに知られている吸着濾材やクロマトグラフィーの担体、ろ紙、膜、フィルタ、中空糸、繊維、ナノファイバー等に加工できる高分子、無機材料が挙げられる。より具体的には、例えば、セルロース、アガロース、デンプン、アミロース、デキストラン、プルラン、グルコマンナンなどの多糖類;ポリアクリル酸またはその誘導体、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリスルホン、ポリアクリル二トリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの合成高分子;ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、ヒドロキシアパタイトなどの無機材料;活性炭やゼオライト等の細孔を有する多孔質体片;シリカゾルやアルミナゾル等の無機バインダ;などが挙げられる。なお、基材としては、1種の基材を用いてもよく、2種またはそれ以上の基材を組み合わせて用いてもよい。
基材の比表面積は、シリカを含有する溶液との接触及び通液の観点から、100~300m2/gであることが好ましい。
例えば、セリウム水溶液中で、酸化剤の添加により基材上に水酸化セリウムを析出させる方法が挙げられる。
また、バインダ等と水酸化セリウム粉末を混合して粒状ペレットに固める方法も挙げら
れる。この場合、ペレットの比表面積は、シリカを含有する溶液及びシリカを脱離させる溶液との接触及び通液の観点から、100~300m2/gであることが好ましい。また、ペレット形状は球体、円盤状、破砕状など、特に問わない。
また、ろ紙、膜、フィルタ、中空糸、繊維、ナノファイバー等への水酸化セリウムの固定化は、これらを水酸化セリウム溶液を適当な時間含浸させることにより可能である。
本発明の吸着濾材は、シリカ除去装置に備えることができる。本装置は、後述するシリカ除去方法を実施するのに好ましく用いることができる。また、後述する本発明のシリカを脱離させる方法を実施することにより繰り返し使用することができる。
装置はシリカ吸着濾材の他に、通常は溶液の流路などを含む。流路は、例えばシリカを含有する溶液(原水)を通す流路、シリカが除去された処理液を通す流路、後述するシリカを脱離させる溶液を通す流路、水酸化セリウムから脱離したシリカを含有する溶液(廃液)を通す流路、等が含まれる。
装置の利用態様としては、溶液中のシリカを除去する要請があるものに適用されれば特に限定されないが、例えば空調設備の冷水系や冷却水系、ボイラーの給水器系、プラントの冷却水系、金型の冷却水、逆浸透膜やイオン交換設備、温泉設備など水の循環系統に設置される装置が挙げられる。
前述したシリカ吸着剤又はシリカ吸着濾材に含まれる水酸化セリウムに、シリカ含有溶液を接触させる工程を行うことにより、前記溶液からシリカを除去することができる。
前記溶液は通常水溶液であり、シリカは通常はケイ酸イオンとして含有されている。
また、シリカ吸着剤又はシリカ吸着濾材にシリカ含有溶液を接触させる工程を行うときのシリカ含有溶液の温度は、特に限定されず、任意の温度で行うことができる。
シリカが吸着した水酸化セリウムを、脱離溶液に接触させる工程を行うことにより、前記シリカを水酸化セリウムから脱離させることができる。
かかる脱離溶液は、pH9以上の水溶液、pH1以下の水溶液、又は塩化ナトリウム水溶液である。
そのため、本方法は水酸化セリウムを再生する方法に好ましく適用でき、再生された水酸化セリウムを再度シリカ吸着用途に供することができる。
また、好ましい態様としては、シリカを水酸化セリウムに吸着させるシリカ除去工程と、シリカが吸着した水酸化セリウムからシリカを脱離させる工程とを、前述したようなシリカ除去装置に組み込むことにより、シリカ吸着剤を再生しながら繰り返し使うことができるため、連続的にかつ効率的にシリカ除去プロセスを行うことができる。
また、水酸化セリウムを脱離溶液に接触させる時間は、特に限定されないが、好ましくは1分間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは12時間以上である。
以下に本発明の利用形態をいくつか説明するが、本発明はこれらに限定されない。
ここで流路とは、特に限定されないが、通常は、空調設備の冷水系や冷却水系、ボイラーの給水器系、プラントの冷却水系、温泉設備など水の循環系統において水が流通する配管をいう。また、水の循環系統において水が接触する装置、設備、部品なども流路に含まれてもよい。
ここで、シリカスケールの発生の防止とは、シリカスケールが全く生じないことの他に、シリカ除去を施さない場合に比べてシリカスケールの量が低減すること及び該発生が遅延することをも含むものとする。
図1に示されるように補給水から直接シリカを除去してもよいし、系統内の一部を分岐してシリカを除去してもよい。シリカ吸着濾材が多孔質の形態の場合は、系統内から分岐した流路をシリカ除去濾材に配すると、溶液中のゴミ取り装置としても機能し得る。シリカを吸着した水酸化セリウムは、別系統で塩化ナトリウム水溶液、強酸、又は強塩基に接触させることにより、シリカを脱離させることができ、再度シリカ除去系統の流路に供す
ることができる。
生産冷却水系統においても同様の利用形態とすることができる。
イオン交換樹脂にシリカが飽和するとシリカリークが生じてしまう。そのため、イオン交換樹脂に適用する前の水溶液からシリカを除去することが好ましい。これによりイオン交換樹脂の寿命を延ばすことができる。シリカを吸着した水酸化セリウムは、別の流路で塩化ナトリウム水溶液、強酸、又は強塩基に接触させることにより、シリカを脱離させることができ、再度シリカ除去系統の流路に供することができる。
逆浸透膜では、濃縮に伴いシリカが析出しつまりが生じる場合がある。つまりを防止するために濃縮倍率を低く運転する必要があるため、濃縮水を多く排出しなくてはならず、非効率となってしまう。そのため、逆浸透膜に適用する前の水溶液からシリカを除去することが好ましい。これにより膜のつまりは生じにくくなり、濃縮倍率を上げられるため、処理効率が向上する。
水酸化セリウムを含むシリカ除去装置は図示した場所のほか、濃縮系統内に設置してもよい。シリカを吸着した水酸化セリウムは、別系統で塩化ナトリウム水溶液、強酸、又は強塩基に接触させることにより、シリカを脱離させることができ、再度シリカ除去系統の流路に供することができる。
水道水(新潟県長岡市内で採取、pH6)100mLに、試料1gを添加し、25℃の水浴中で24時間振盪した。試料として、水酸化セリウム粉末(平均粒径50μm、比表面積80m2/g)、酸化水酸化鉄III粉末(平均粒径1μm、比表面積50m2/g)
、又は活性アルミナ繊維(直径4mm・比表面積150m2/g、又は6mm・比表面積150m2/g)を用いた。
ICP発光分光分析装置(ICPS-7510;島津製作所製)を用いて、処理後の水道水中の残存シリカ濃度を測定した。
(実施例1)
水道水(新潟県長岡市内で採取、pH6)1Lに、水酸化セリウム粉末(平均粒径50μm、比表面積80m2/g)0.1gを添加し、25℃で48時間浸漬した。浸漬後の水道水中の残存シリカ濃度は10mg/Lであった。浸漬後の水酸化セリウム粉末を回収し、5重量%塩酸水溶液、4重量%水酸化ナトリウム水溶液、又は飽和塩化ナトリウム水溶液に添加し、25℃で48時間浸漬した。浸漬後の水酸化セリウム粉末を回収し、超純水で1分間×5回洗浄した。新たな水道水1Lに、洗浄後の水酸化セリウム粉末0.1g(乾燥重量)を添加し、25℃で48時間浸漬した。浸漬後の水道水中の残存シリカ濃度は10mg/Lであった。
なお、水溶液中のシリカ濃度は、ICP発光分光分析装置(ICPS-7510;島津製作所製)を用いて測定した。
水道水1Lに、水酸化セリウム粉末0.1gを添加し、25℃で48時間浸漬した。浸漬後の水道水中の残存シリカ濃度は10mg/Lであった。浸漬後の水酸化セリウム粉末を回収し、新たな水道水1Lに添加し、25℃で48時間浸漬した。浸漬後の水道水中の残存シリカ濃度は16.9mg/Lであった。
水道水1Lに、水酸化セリウム粉末0.1gを添加し、25℃で48時間浸漬した。浸漬後の水道水中の残存シリカ濃度は10mg/Lであった。浸漬後の水酸化セリウム粉末を回収し、5重量%塩酸水溶液、4重量%水酸化ナトリウム水溶液、及び飽和塩化ナトリウム水溶液に浸漬した。シリカの脱離量と脱離に要する時間との間には、負の相関関係が認められた。
Claims (6)
- シリカが吸着した水酸化セリウムを、4重量%以上の水酸化ナトリウム水溶液に接触させる工程を含む、前記シリカを脱離させる方法。
- 前記pH9以上の水溶液が、水酸化ナトリウム水溶液である、請求項1に記載の方法。
- シリカが吸着した水酸化セリウムを、飽和塩化ナトリウム水溶液に接触させる工程を含む、前記シリカを脱離させる方法。
- 前記水酸化セリウムが基材に固定化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の方法によりシリカを脱離することを含む、水酸化セリウムの再生方法。
- 水酸化セリウムを含むシリカ吸着濾材を備えるシリカ除去装置であって、
前記水酸化セリウムにシリカを吸着させる工程、及び請求項1~4のいずれか一項に記載の方法によりシリカが吸着した水酸化セリウムからシリカを脱離させる工程を実施するための、装置。
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