以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお、図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするため、図に反映しないことがある。また、図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接的に接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に開示されているものとする。
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネル形成領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネル形成領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネル形成領域における、チャネル長方向を基準として垂直方向のチャネル形成領域の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネル形成領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、本明細書等において、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体の欠陥準位密度が高くなることや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10度以上10度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5度以上5度以下の場合も含まれる。また、「概略平行」とは、二つの直線が-30度以上30度以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80度以上100度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85度以上95度以下の場合も含まれる。また、「概略垂直」とは、二つの直線が60度以上120度以下の角度で配置されている状態をいう。
なお、本明細書において、バリア膜とは、水、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する膜のことであり、当該バリア膜に導電性を有する場合は、導電性バリア膜と呼ぶことがある。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む。)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう。)などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OSトランジスタと記載する場合においては、酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
また、本明細書等において、ノーマリーオフとは、ゲートに電位を印加しない、またはゲートに接地電位を与えたときに、トランジスタに流れるチャネル幅1μmあたりの電流が、室温において1×10-20A以下、85℃において1×10-18A以下、または125℃において1×10-16A以下であることをいう。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である金属酸化物について説明する。なお、本発明の一態様である金属酸化物は、半導体として機能する場合がある。よって、本発明の一態様である金属酸化物を、酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特に、インジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫などが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫とする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
本発明の一態様である金属酸化物10は、領域11と、領域12と、を有し、領域11と、領域12との間に、領域13を有する。領域11の界面は、領域13に覆われている。または、本発明の一態様である金属酸化物10は、領域11と、領域11を覆うように存在する領域13と、領域13を覆うように存在する領域12と、を有する。
金属酸化物10が有する、領域11、領域12、および領域13は、互いに結晶性が異なる。領域11、領域12、および領域13の結晶性について、図1Bを用いて説明する。
図1Bは、金属酸化物10中の結晶化度の推移を示す模式図である。図1Bの縦軸は、ある領域における結晶化度である。ここで、ある領域における結晶化度とは、当該領域における結晶構造を有する領域が占める割合をいう。つまり、結晶化度の高い領域は、結晶性が高い領域であり、原子配列に周期性を有する領域である。また、結晶化度の低い領域は、結晶性が低い領域である。
図1Bでは、結晶化度の最も高い構造を、単結晶(single crystal)とする。また、結晶化度の最も低い構造を、非晶質(amorphous)または完全な非晶質(completely amorphous)とする。なお、図1Bの縦軸においては、下側ほど結晶化度が高く、上側ほど結晶化度が低い。
領域11(領域11_1乃至領域11_n(nは2以上の整数である。)の一または複数)は、例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域において、原子配列に周期性を有する領域である。また、領域11は、単結晶または単結晶に近い結晶を有する領域である。つまり、領域11は、結晶化度が高い領域である。なお、領域11のサイズが、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、領域11を微結晶(nc:nanocrystal)または微結晶領域と呼ぶ場合がある。
なお、複数の領域11が連結することで、原子配列に周期性を有する領域のサイズが、10nm以上となる場合がある。このとき、領域11同士の境界が明確に判別できない場合がある。よって、領域のサイズが10nm以上である領域11が観察される場合がある。
図1Bに示すように、領域11の結晶化度は、領域11の密度、原子配列などの影響により、単結晶よりも低い場合がある。また、領域13近傍の領域11の結晶化度は、領域13の影響を受けて、領域11の中心部よりも低い場合がある。また、領域11同士の間隔(領域11_1と領域11_2の間隔、領域11_2と領域11_3の間隔、など)は必ずしも一定とは限らない。
なお、図1Bでは、領域11と領域13との境界、および、領域13と領域12との境界を一点鎖線を用いて明確に示しているが、金属酸化物10中の結晶化度は連続的に変化することから、当該境界を明確に判別できない場合がある。
なお、領域11が有する単結晶または単結晶に近い結晶は、金属酸化物10の組成において形成される単結晶または単結晶に近い結晶に限られない。単結晶または単結晶に近い結晶は、金属酸化物10を構成する元素の一または複数において形成される単結晶または単結晶に近い結晶であってもよい。例えば、金属酸化物10がIn-M-Zn酸化物である場合、単結晶または単結晶に近い結晶は、In-M-Zn酸化物が形成する単結晶または単結晶に近い結晶、In-Zn酸化物が形成する単結晶または単結晶に近い結晶、酸化インジウムの単結晶または単結晶に近い結晶、酸化亜鉛の単結晶または単結晶に近い結晶などである。また、単結晶または単結晶に近い結晶は、領域11_1乃至領域11_nのそれぞれで異なってもよい。
In-M-Zn酸化物が形成する単結晶または単結晶に近い結晶として、例えば、組成式がIn(1+α)M(1-α)O3(ZnO)m(αは0以上1以下の実数であり、mは0以上の実数である。)で表される単結晶または単結晶に近い結晶がある。また、In-Zn酸化物の単結晶または単結晶に近い結晶として、例えば、組成式がIn2O3(ZnO)m(mは0以上の実数である。)で表される単結晶または単結晶に近い結晶、ウルツ鉱型結晶を有する酸化亜鉛の金属サイトにインジウムが存在する単結晶または単結晶に近い結晶、ビックスバイト構造を有する酸化インジウムの金属サイトに亜鉛が存在する単結晶または単結晶に近い結晶などがある。
また、領域11_1乃至領域11_nそれぞれの組成は、異なってもよい。また、領域11を構成する元素の組成は、金属酸化物10における組成と一致しなくてもよく、領域11、領域12、および領域13を合わせたときの組成が、金属酸化物10における組成と一致すればよい。
また、異なる領域11間(例えば、領域11_1と領域11_2)で結晶方位に規則性が見られなくてもよい。このとき、金属酸化物10の膜全体で配向性が見られない。なお、一部またはすべての領域11で、結晶方位に規則性が見られてもよい。
領域12(領域12_1乃至領域12_p(pは1以上の整数である。)の一または複数)は、非晶質領域、または完全な非晶質(completely amorphous)領域である。つまり、領域12は、結晶化度が低い領域である。
領域12は、領域11および領域13を覆うように存在する。よって、例えば、領域13_1、領域11_1、および領域13_2を覆うように存在する領域12_1と領域12_2とは、連続した領域を有する場合がある。または、領域12_1と領域12_2とは、1つの領域とみなすことができる場合がある。領域12_1および領域12_2以外の領域12(図1Bに示す領域12_3など)においても同様のことが言える。
なお、領域12の幅(広がり)は必ずしも同じとは限らない。領域12の幅(広がり)は、金属酸化物10となる金属酸化膜をスパッタリング法によって成膜する際の成膜条件、当該金属酸化膜を成膜した後の工程などに依存する。
領域13(領域13_1乃至領域13_q(qは2以上の整数である。)の一または複数)は、領域11よりも結晶化度が低く、領域12よりも結晶化度が高い領域である。なお、領域13は、領域11よりも結晶化度が低いことから、本明細書では、領域13を、低秩序領域と呼ぶ場合がある。また、領域13は、領域11と領域12との間に存在することから、本明細書では、領域13を、遷移領域または中間領域と呼ぶ場合がある。
領域13は、領域11の少なくとも一部を覆うように存在する。よって、例えば、領域11_1を覆うように存在する領域13_1と領域13_2とは、連続した領域を有する場合がある。または、領域13_1と領域13_2とは、1つの領域とみなすことができる場合がある。領域13_1および領域13_2以外の領域13(図1Bに示す領域13_3乃至領域13_5など)においても同様のことが言える。
なお、領域13の幅(広がり)は必ずしも同じとは限らない。領域13の幅(広がり)は、金属酸化物10となる金属酸化膜をスパッタリング法によって成膜する際の成膜条件、当該金属酸化膜を成膜した後の工程などに依存する。
領域13が存在することで、領域11と領域12との間に生じる原子配列の乱れが低減され、領域11と領域12との間の結晶化度の不連続性が緩和される。よって、領域11の界面、および領域11側の領域12に欠陥準位が形成されるのを抑制し、キャリアトラップやキャリア発生源を低減することができる。したがって、金属酸化物10をトランジスタに用いることで、電気特性の変動が抑制され、安定した電気特性を有し、信頼性が良好なトランジスタを提供することができる。
また、領域11と領域12との間において、結晶化度の不連続性が緩和されることで、金属酸化物10は、明確な結晶粒界を確認することが難しい。つまり、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。よって、金属酸化物10の電子移動度が保持されることで、金属酸化物10を用いたトランジスタのオン電流は大きく、当該トランジスタの電気特性を向上させることができる。
なお、上記では、領域11が、単結晶または単結晶に近い結晶を有する領域であり、領域12が、非晶質領域、または完全な非晶質(completely amorphous)領域である例を示したが、これに限られない。例えば、領域11は、短距離秩序および長距離秩序を有する領域であり、領域12は、短距離秩序を有するが、長距離秩序を有さない領域であり、領域13は、短距離秩序を有し、長距離における秩序性が領域11よりも低く、領域12よりも高い領域であってもよい。また、例えば、領域11は、最近接(第1近接)原子間距離および第2近接原子間距離に秩序性を有し、かつ長距離秩序を有する領域であり、領域12は、最近接原子間距離に秩序性を有するが、第2近接原子間距離に秩序性を有さず、長距離秩序を有さない領域であり、領域13は、最近接原子間距離および第2近接原子間距離に秩序性を有するが、長距離秩序性を有さない領域であってもよい。なお、上記長距離秩序は、第3近接原子間距離以上1.0nm以内の範囲、または、第3近接原子間距離以上0.5nm以内の範囲の秩序性を指す場合がある。
図1Aに、金属酸化物10のエネルギーの推移を示す。図1Aの縦軸は、ある領域におけるエネルギー(E)である。本実施の形態で示すエネルギーとは、例えば、凝集エネルギーの負(-1倍した凝集エネルギー)である。なお、凝集エネルギーとは、孤立原子のエネルギーから凝集状態のエネルギーを引いた値であり、正の値をとる。
上記のことから、ある領域におけるエネルギーが小さいほど、凝集エネルギーが高いため、当該領域はより安定な状態である。このことを、当該領域はエネルギー的に安定である、ともいう。なお、エネルギー的に安定な領域とは、例えば、熱、光などが与えられても、原子配列などの変化が小さい領域である。一方、ある領域におけるエネルギーが大きいほど、凝集エネルギーが小さいため、当該領域はより不安定な状態である。このことを、当該領域はエネルギー的に不安定である、ともいう。
図1Aでは、エネルギーの最も低い構造(エネルギー的に最も安定な構造)を、単結晶(single crystal)とする。また、エネルギーの最も高い構造(エネルギー的に最も不安定な構造)を、非晶質(amorhpous)または完全な非晶質(completely amorphous)とする。なお、図1Aの縦軸においては、下側ほどエネルギーが低く(エネルギー的に安定であり)、上側ほどエネルギーが高い(エネルギー的に不安定である)。
図1Aに示すように、原子配列に周期性を有する領域11は、エネルギー的に安定な領域(エネルギーの低い領域)である。また、原子配列が乱れている領域12は、エネルギー的に不安定な領域(エネルギーの高い領域)である。また、領域13は、結晶性が領域11よりも低く、領域12よりも高いことから、領域11よりもエネルギー的に不安定であり、領域12よりもエネルギー的に安定な領域である。
なお、上記エネルギーを、部分エネルギーとみなしてもよい。本明細書では、部分エネルギーを、1つの原子が凝集状態に寄与するエネルギーとする。部分エネルギーを、例えば、凝集状態のエネルギーから、1つの原子が取り除かれた凝集状態のエネルギーを引いた値とする。このとき、領域11は、部分エネルギーの値が小さい(負の大きな値となる)。また、領域12は、部分エネルギーの値が大きい(負の小さな値となる)。また、領域13は、部分エネルギーの値が領域11よりも大きく、領域12よりも小さい。つまり、領域13の部分エネルギーの値は、領域11と領域12の間の値となる。
領域12は、本来はエネルギー的に極めて不安定であり、領域12のみを有する金属酸化物は存在できない。しかしながら、領域12の近傍に領域11が存在することで、領域12は、エネルギー的に安定な領域11の影響を受けて、ΔEaの分だけエネルギー的に安定となる。よって、金属酸化物10が領域11を有することで、金属酸化物10中に領域12が存在しうる。したがって、領域11、領域12、および領域13を有する金属酸化物10は、物性の安定性が高い、といえる。また、図1Aに示すように、完全な非晶質(completely amorphous)領域からΔEa分だけエネルギー的に安定になることで、領域12を擬似非晶質(a-like:amorphous-like)領域と言い換えることができる。ただし、領域12と比較して、領域11および領域13は、エネルギー的に安定である。よって、領域11および領域13が金属酸化物10を占める割合は、領域12よりも多い方が好ましい。
上述のように、領域11は、領域12をΔEaの分だけエネルギー的に安定化させる。つまり、領域11は、領域12をエネルギー的に安定化させるためのスタビライザとして機能する。別言すると、領域11が、ある一定の分散で金属酸化物10中に存在しないと、領域12は、室温(R.T.)では原理的に存在できないと推測される。または、領域12のみで構成される金属酸化物を形成することはできないと推測される。
なお、領域12の幅(広がり)は必ずしも同じとは限らず、領域13の幅(広がり)は必ずしも同じとは限らないことから、領域12_1乃至領域12_pそれぞれのΔEaの値は、異なってもよい。
図1Aおよび図1Bでは、例えば、金属酸化物10は、領域11_1と領域11_2との間に、領域13_2、領域12_2、および領域13_3を有する構成を示しているが、これに限られず、例えば、領域11_1と領域11_2との間に、領域13_2または領域13_3を有する構成であってもよい。
[nc膜の安定性]
本項では、微小な結晶領域を有する金属酸化物膜(以下、nc膜ともいう)の安定性について、第一原理計算の結果を用いて説明する。
なお、nc膜の安定性を説明するため、2つの計算モデル(計算モデル1Aおよび計算モデル2A)を用意する。計算モデル1Aは、結晶領域を有する計算モデルであり、nc膜を模した計算モデルである。また、計算モデル2Aは、結晶領域を有さない計算モデルであり、非晶質膜を模した計算モデルである。なお、結晶領域については後述する。
〔計算モデル1Aの作成方法〕
以下では、計算モデル1Aの作成方法について説明する。
はじめに、In:Ga:Zn:O=1:1:1:4[原子数比]のIn-Ga-Zn酸化物の結晶構造から、六角柱状の領域(結晶領域と呼ぶ。)を切り出し、当該結晶領域を計算モデルの中心に配置する。なお、当該結晶領域に含まれる原子の数は87個である。以降では、結晶領域に位置する原子とは、結晶領域に配置される87個の原子のことを指す。また、結晶領域に位置する原子のいずれか一または複数は、以降に行う計算によって、結晶領域の外周部に移動する場合がある。
次に、上記結晶領域の外周部に、複数のIn原子、複数のGa原子、複数のZn原子、および複数のO原子をランダムに配置する。なお、当該外周部に配置する、In原子の数、Ga原子の数、Zn原子の数、およびO原子の数、ならびに、当該外周部のサイズは、上記結晶領域および当該外周部に配置する原子の原子数比がIn:Ga:Zn:O=1:1:1:4となり、かつ、計算モデルの密度が6.1g/cm3となるように、調整している。なお、当該外周部に配置した原子の数は291個である。よって、計算モデルに含まれる原子の数は378個である。また、当該外周部に配置した原子のいずれか一または複数は、以降に行う計算によって、結晶領域に移動する場合がある。
次に、上記結晶領域に位置する原子の座標を固定して、上記外周部を融解するための計算を行う。具体的には、温度を3500K、時間刻み幅を1fs、ステップ数を6000回に設定する。以降では、温度、時間刻み幅、およびステップ数を設定して行う計算を、第一原理分子動力学計算、または量子分子動力学計算と呼ぶ場合がある。
計算には、第一原理計算ソフトウェアVASP(The Vienna Ab initio simulation package)を用いる。上記した条件以外の計算条件を表1に示す。上記外周部を融解するための計算では、計算条件を表1に示す条件1に設定する。
電子状態擬ポテンシャルにはProjector Augmented Wave(PAW)法により生成されたポテンシャルを、汎関数にはGGA/PBE(Generalized-Gradient-Approximation/Perdew-Burke-Ernzerhof)を用いる。
なお、本実施の形態で行われる、第一原理分子動力学計算、および後述する、計算モデルの構造を最適化するための計算(最適化計算ともいう。)において、In、Ga、およびZnのポテンシャルでは、3d状態または4d状態は、価電子帯として考慮されていない。また、計算モデルの格子ベクトル(軸の長さ、および軸間の角度)は固定されている。つまり、第一原理分子動力学計算は、粒子数(N)、体積(V)、温度(T)が一定の条件(NVTアンサンブル)で行われる。また、第一原理分子動力学計算では、温度を制御するための手法として、Nose-Hooverthermostatが用いられる。
次に、融解した外周部を温度500Kまで冷却するための計算を行う。なお、冷却速度は、500K/psとする。具体的には、まず、結晶領域に位置する原子の座標を固定し、時間刻み幅を1fs、ステップ数を1000回、その他の計算条件を表1に示す条件1に設定する。そして、上記外周部を融解するための計算で得られる計算モデルに対して、温度を3500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を3000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を2500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を2000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を1500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を1000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。以上により、外周部を冷却するための計算が完了する。
次に、冷却した外周部の構造を緩和するための計算を行う。具体的には、外周部を冷却するための計算で得られる計算モデルに対して、結晶領域に位置する原子の座標を固定し、温度を300K、時間刻み幅を1fs、ステップ数を5000回、その他の計算条件を表1に示す条件1に設定し、第一原理分子動力学計算を行う。
次に、計算条件を表1に示す条件2に設定し、外周部の構造を緩和するための計算で得られる計算モデルに対して、結晶領域に位置する原子の座標を固定し、外周部の構造を最適化するための計算を行う。その後、当該計算後に得られる計算モデルに対して、外周部に位置する原子の座標と、結晶領域中心に存在する1つのIn原子の座標とを固定して、結晶領域の構造を最適化するための計算を行う。その後、当該計算後に得られる計算モデルに対して、当該In原子のみ座標を固定して、計算モデル全体(結晶領域および外周部)の構造を最適化するための計算を行う。その後、計算条件を表1に示す条件3に設定し、当該計算後に得られる計算モデルに対して、当該In原子のみ座標を固定して、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行う。
以上の方法により、計算モデル1Aを作成する。作成した計算モデル1Aを図2A乃至図2Dに示す。図2Aおよび図2Cは、計算モデル1Aの全体像を示す図である。また、図2Bおよび図2Dは、計算モデル1Aの結晶領域を示す図である。また、図2Aおよび図2Bはそれぞれ、計算モデル1Aの全体像および計算モデル1Aの結晶領域を、六角柱状の領域の側面から見た図である。また、図2Cおよび図2Dはそれぞれ、計算モデル1A全体像および計算モデル1Aの結晶領域を、六角柱状の領域の上面から見た図である。
〔計算モデル2Aの作成方法〕
以下では、計算モデル2Aの作成方法について説明する。なお、計算モデル2Aを作成するための計算は、表1に示す計算条件を用いる。
はじめに、計算モデル1Aの結晶領域および外周部を融解するための計算を行う。具体的には、計算モデル1Aを用意し、全原子の座標を固定せずに、温度を3500K、時間刻み幅を1fs、ステップ数を6000回、その他の計算条件を表1に示す条件1に設定して、第一原理分子動力学計算を行う。
次に、融解した計算モデル全体を温度500Kまで冷却するための計算を行う。なお、冷却速度は、500K/psとする。具体的には、まず、全原子の座標を固定せずに、時間刻み幅を1fs、ステップ数を1000回、その他の計算条件を表1に示す条件1に設定する。そして、結晶領域および外周部を融解するための計算で得られる計算モデルに対して、温度を3500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を3000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を2500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を2000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を1500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を1000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。以上により、計算モデル全体を冷却するための計算が完了する。
次に、冷却した計算モデル全体の構造を緩和するための計算を行う。具体的には、計算モデル全体を冷却するための計算で得られる計算モデルに対して、全原子の座標を固定せずに、温度を300K、時間刻み幅を1fs、ステップ数を5000回、その他の計算条件を表1に示す条件1に設定し、第一原理分子動力学計算を行う。
次に、計算条件を表1に示す条件2に設定し、計算モデル全体を緩和するための計算で得られる計算モデルに対して、全原子の座標を固定せずに、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行う。その後、計算条件を表1に示す条件3に設定し、当該計算後に得られる計算モデルに対して、全原子の座標を固定せずに、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行う。
以上の方法で、計算モデル2Aを作成する。計算モデル2Aの全体像を、図2Eに示す。
計算モデル1Aおよび計算モデル2Aのそれぞれに対して、全エネルギーを算出し、比較する。具体的には、計算条件を表1に示す条件3に設定して、計算モデル1Aに対しては、結晶領域中心に存在する1つのIn原子のみ座標を固定して1点計算を行い、計算モデル2Aに対しては、全原子の座標を固定せずに1点計算を行う。当該計算で算出される全エネルギーを比較する。
上記計算の結果、計算モデル1Aの全エネルギーの値は、計算モデル2Aの全エネルギーの値よりも小さく、具体的には、6.83eV小さい。したがって、結晶領域を有する計算モデル1Aは、結晶領域を有さない計算モデル2Aよりも安定であることが分かる。すなわち、nc膜は、結晶領域を有することで、安定化していることが示唆される。
次に、計算モデル1Aと比較するための、計算モデル3Aを用意する。なお、計算モデル3Aの構造は、単結晶構造である。
はじめに、InGaZnO4の単結晶構造(空間群は、R-3mである。)を有し、原子数比がIn:Ga:Zn:O=1:1:1:4であり、密度が6.36g/cm3であり、112原子を含む計算モデルを用意する。次に、k点のグリッドを2×2×3に設定し、その他の計算条件を表1に示す条件3に設定し、当該計算モデルの原子の座標を最適化するための計算を行う。以上により、計算モデル3Aを作成する。
上記方法で作成した計算モデル3Aに対して、全エネルギーを算出する。具体的には、k点のグリッドを2×2×3に設定し、その他の計算条件を表1に示す条件3に設定して、1点計算を行う。当該計算で算出される全エネルギーを3.375(=378/112)倍した値を、単結晶構造の計算モデルの全エネルギーの値とする。
上記計算の結果、単結晶構造の計算モデルの全エネルギーの値は、計算モデル1Aの全エネルギーの値よりも小さく、具体的には、54.88eV小さい。つまり、膜中の結晶性が向上することで、膜は、エネルギー的に安定になることがわかる。
以上より、計算モデル1Aは、計算モデル3Aよりもエネルギーは高いものの、計算モデル2Aよりも安定であることが分かる。よって、結晶領域の存在が、nc膜の安定化に寄与していることが示唆される。
以上が、nc膜の安定性についての説明である。
[nc膜の熱安定性]
本項では、nc膜の熱安定性について、第一原理計算の結果を用いて説明する。なお、nc膜の熱安定性は、内部エネルギーを用いて評価する。
ここで、内部エネルギーについて説明する。本明細書では、内部エネルギーUを、下式を用いて算出する。
ここで、MIはI番目(Iは自然数である。)の原子核の質量であり、mは電子の質量である。また、vIはI番目の原子核の速度である。つまり、上式の右辺の第1項は、原子核の運動エネルギーを表し、上式の右辺の第3項は、電子の運動エネルギーを表す。
また、ZIはI番目の原子核の電荷であり、eは電子の電荷である。また、rIJは、I番目の原子核とJ番目(Jは、Iよりも大きい整数である。)の原子核との距離であり、rijは、i番目(iは自然数である。)の電子とj番目(jは、iよりも大きい整数である。)の電子との距離である。つまり、上式の右辺の第2項は、原子核と原子核の相互作用に関するポテンシャルエネルギーであり、上式の右辺の第4項は、電子と電子の相互作用に関するポテンシャルエネルギーであり、上式の右辺の第5項は、原子核と電子の相互作用に関するポテンシャルエネルギーである。
以上より、内部エネルギーUは、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーとの和として算出される。
なお、平衡状態における相の安定性などは、ヘルムホルツの自由エネルギーFによって記述される。ここで、ヘルムホルツの自由エネルギーFは、内部エネルギーUから、温度TとエントロピーSの積を引いた値(F=U-TS)である。しかしながら、エントロピーSの評価は困難なため、本明細書では、内部エネルギーUを用いて、熱力学的な相安定性について検証を行う。
以上が、内部エネルギーの説明である。次に、nc膜の熱安定性を評価するための、具体的な方法を説明する。
上述の計算モデル1Aおよび計算モデル2Aのそれぞれに対して、温度を300K、673K、1000K、1500K、または2000Kに設定して、第一原理分子動力学計算を行う。なお、計算モデル1Aを用いる場合、結晶領域中心に存在する1つのIn原子の座標を固定して当該第一原理分子動力学計算を行う。また、計算モデル2Aを用いる場合、全原子の座標を固定せずに当該第一原理分子動力学計算を行う。また、当該第一原理分子動力学計算では、時間刻み幅を1fs、ステップ数を10000回、その他の計算条件を、表1に示す条件2に設定する。
ここで、温度を300K、673K、1000K、1500K、または2000Kに設定して第一原理分子動力学計算が行われる計算モデル1Aを、それぞれ、計算モデル1B、計算モデル1C、計算モデル1D、計算モデル1E、または計算モデル1Fとする。また、温度を300K、673K、1000K、1500K、または2000Kに設定して第一原理分子動力学計算が行われる計算モデル2Aを、それぞれ、計算モデル2B、計算モデル2C、計算モデル2D、計算モデル2E、または計算モデル2Fとする。
次に、計算モデル1B乃至計算モデル1F、ならびに計算モデル2B乃至計算モデル2Fそれぞれの、内部エネルギーを算出する。具体的には、各計算モデルに対して、ステップが9001回から10000回までの内部エネルギーの平均値を算出する。なお、計算モデル1Bの内部エネルギーの平均値を基準(0.0eV)としたときの、内部エネルギーの平均値を、平均エネルギーと呼ぶ。
温度と、上記方法で算出された平均エネルギーの関係を図3Aに示す。図3Aでは、横軸は温度[K]であり、縦軸は平均エネルギー[eV]である。また、図3Aの黒菱形で示すスポットは、計算モデル1Aを用いた場合の、平均エネルギーのプロットであり、計算モデル1B乃至計算モデル1Fの平均エネルギーのプロットである。また、白四角のプロットは、計算モデル2Aを用いた場合の、平均エネルギーのプロットであり、計算モデル2B乃至計算モデル2Fの平均エネルギーのプロットである。
次に、上記第一原理分子動力学計算が行われた後の計算モデル1B乃至計算モデル1Fのそれぞれに対して、計算条件を表1に示す条件2に設定して、計算モデルの構造を最適化するための計算を行う。なお、当該最適化計算を、結晶領域中心に存在する1つのIn原子の座標を固定して行う。その後、当該最適化計算が行われた後の計算モデル1B乃至計算モデル1Fのそれぞれに対して、計算条件を表1に示す条件3に設定して、計算モデルの構造を最適化するための計算を行う。
上記最適化計算が行われた後の計算モデル1B乃至計算モデル1Fの一部を、それぞれ図4A乃至図4Eに示す。なお、図4A乃至図4Eでは、計算モデルのうち、結晶領域の外周部に原子を配置する前に結晶領域へ配置された87個の原子の配列を示す。図4Aは、温度が300Kに設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1B)であり、図4Bは、温度が673Kに設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1C)であり、図4Cは、温度が1000Kに設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1D)であり、図4Dは、温度が1500Kに設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1E)であり、図4Eは、温度が2000Kに設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1F)である。
図4A乃至図4Eより、温度が1500K以下に設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1B乃至計算モデル1E)では、結晶領域の格子配列が保たれている。また、温度が2000Kに設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1F)では、結晶構造が壊れている。また、図4Dより、温度が1500Kに設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1E)では、結晶領域の格子配列は保たれているものの、温度が1000Kに設定された第一原理分子動力学計算、および最適化計算を行うことで得られる計算モデル(計算モデル1D)と比較すると原子配列の乱れが大きく、結晶構造が崩れ始める兆候が見えている。
ここで、計算モデル1Aの平均エネルギーと、計算モデル2Aの平均エネルギーとの差を、各温度で算出し、計算モデル1Aと計算モデル2Aの熱安定性を比較する。つまり、計算モデル1Bの平均エネルギーと計算モデル2Bの平均エネルギーとの差、計算モデル1Cの平均エネルギーと計算モデル2Cの平均エネルギーとの差、計算モデル1Dの平均エネルギーと計算モデル2Dの平均エネルギーとの差、計算モデル1Eの平均エネルギーと計算モデル2Eの平均エネルギーとの差、および、計算モデル1Fの平均エネルギーと計算モデル2Fの平均エネルギーとの差を算出する。なお、温度と、計算モデル1Aおよび計算モデル2Aの平均エネルギーの関係は、図3Aに示すとおりである。
温度と、計算モデル1Aの平均エネルギーから、計算モデル2Aの平均エネルギーを引いた値(平均エネルギーの差ともいう。)との関係を図3Bに示す。図3Bでは、横軸は温度[K]であり、縦軸は平均エネルギーの差[eV]である。
図3Bより、温度が2000Kに設定された場合、平均エネルギーの差はゼロに近く、計算モデル1Aを用いた場合の平均エネルギーと、計算モデル2Aを用いた場合の平均エネルギーとはほぼ等しいことがわかる。一方、温度が1500K以下に設定された場合、いずれの温度でも、平均エネルギーの差は負の値であり、計算モデル1Aを用いた場合の平均エネルギーは、計算モデル2Aを用いた場合の平均エネルギーよりも、小さいことがわかる。つまり、結晶領域の格子配列が保たれる温度では、結晶領域を有する計算モデルは、結晶領域を有さない計算モデルよりも熱に対して安定であると推定される。したがって、高温域を除き、結晶領域が存在することで、膜の熱安定性が向上することが示唆される。
以上が、nc膜の熱安定性についての説明である。
[nc膜における欠陥の生成しやすさ]
本項では、nc膜における欠陥の生成しやすさについて、第一原理計算の結果を用いて説明する。具体的には、酸素欠損(以下、VOと呼ぶ場合がある)、および酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VOHまたはHOと呼ぶ場合がある。)の生成エネルギーを、第一原理計算より算出する。
酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネル形成領域に酸素欠損が存在すると、トランジスタの電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸素欠損近傍の水素が、HOを形成する場合がある。HOは、キャリアとなる電子を生成する場合がある。このため、酸化物半導体中のチャネル形成領域にHOが生成されると、トランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。したがって、酸化物半導体中のチャネル形成領域では、水素、および酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。言い換えると、酸化物半導体中のチャネル形成領域は、キャリア濃度が低減され、i型化(真性化)または実質的にi型化されていることが好ましい。
ここで、欠陥の生成エネルギーについて説明する。本明細書では、欠陥の生成エネルギーを、下式を用いて算出する。欠陥の生成エネルギーが小さいほど、当該欠陥は生成しやすいといえる。
ここで、Eform(defect)は欠陥の生成エネルギーであり、E(defect)は欠陥を1つ含む計算モデルの全エネルギーであり、E(no defect)は欠陥を含まない計算モデルの全エネルギーであり、原子Xは欠陥を生成することで増減した原子であり、μ(X)は原子Xの化学ポテンシャルであり、nXは原子Xの増減数である。例えば、欠陥がVOである場合、Xは酸素原子(O)であり、nOは-1である。また、欠陥がHOである場合、Xは酸素原子(O)および水素原子(H)であり、nOは-1であり、nHは+1である。
また、酸素原子の化学ポテンシャルμ(O)および水素原子の化学ポテンシャルμ(H)は、下式を用いて算出する。
ここで、E(O2)は、酸素分子(O2)の全エネルギーであり、E(H2O)は、水分子(H2O)の全エネルギーである。
なお、E(O2)は、1つのO2を1nm3の格子内に配置した計算モデルに対して、計算条件を表1に示す条件2に設定して、O2の構造を最適化するための計算を行い、当該計算後に得られる計算モデルに対して1点計算を行うことで、算出される。また、E(H2O)は、1つのH2Oを1nm3の格子内に配置した計算モデルに対して、計算条件を表1に示す条件2に設定して、H2Oの構造を最適化するための計算を行い、当該計算後に得られる計算モデルに対して1点計算を行うことで、算出される。
以上が、欠陥の生成エネルギーに関する説明である。
欠陥の生成エネルギーを算出するために、計算モデル4Aを用意する。以下では、計算モデル4Aの作成方法について説明する。なお、計算モデル4Aを作成するための計算は、表1に示す計算条件を用いる。
はじめに、計算モデル1Aを用意し、計算モデル1Aの外周部の構造を緩和するための計算を行う。具体的には、計算モデル1Aの結晶領域に位置する原子の座標を固定して、温度を1000K、時間刻み幅を1fs、ステップ数を10000回、その他の計算条件を表1に示す条件2に設定して、第一原理分子動力学計算を行う。
次に、計算条件を表1に示す条件2に設定したまま、外周部の構造を緩和するための計算で得られる計算モデルに対して、結晶領域に位置する原子の座標を固定して、外周部の構造を最適化するための計算を行う。その後、当該計算後に得られる計算モデルに対して、外周部に位置する原子の座標と、結晶領域中心に存在する1つのIn原子の座標とを固定して、結晶領域の構造を最適化するための計算を行う。その後、当該計算後に得られる計算モデルに対して、結晶領域中心に存在する1つのIn原子の座標を固定して、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行う。その後、計算条件を表1に示す条件3に設定し、当該計算後に得られる計算モデルに対して、結晶領域中心に存在する1つのIn原子の座標を固定して、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行う。
以上の方法で、計算モデル4Aを作成する。
上記方法で作成した計算モデル4Aを用いて、VOおよびHOの生成エネルギーを算出する。具体的には、計算モデル4A中の1つの酸素原子を取り除くことで、VOを1つ含む計算モデルを用意する。また、計算モデル4A中の1つの酸素原子を1つの水素原子に置換することで、HOを1つ含む計算モデルを用意する。なお、計算モデル4A中の酸素原子の数は216個であるため、VOを1つ含む計算モデル、HOを1つ含む計算モデルのそれぞれは、216個用意される。なお、欠陥を含まない計算モデルは、計算モデル4Aそのものである。
VOを1つ含む計算モデル、HOを1つ含む計算モデル、および欠陥を含まない計算モデルのそれぞれに対して、計算条件を表1に示す条件3に設定して、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行う。当該計算後に得られる、VOを1つ含む計算モデルの全エネルギー、およびHOを1つ含む計算モデルの全エネルギーをE(defect)とし、当該計算後に得られる、欠陥を含まない計算モデルの全エネルギーをE(no defect)とする。なお、HOを1つ含む計算モデルに対して当該計算を行うことで、HOが別の欠陥(例えば、酸素欠損および水素、など)に変わる場合がある。
なお、ここでは説明を容易にするため、結晶領域中の、結晶領域中心に存在するIn原子を中心とし、InおよびOを有する層の一部およびその近傍の領域を、結晶のcore領域、または結晶内部領域と呼ぶ場合がある。また、結晶領域中の、結晶のcore領域以外領域を、結晶のshell領域、または結晶外部領域と呼ぶ場合がある。なお、結晶のcore領域に位置する酸素の数は12個であり、結晶のShell領域に位置する酸素の数は38個である。
上記の方法で算出した、E(defect)およびE(no defect)を用いて、欠陥の生成エネルギーを算出する。算出した欠陥(HO、およびVO)の生成エネルギーを図5Aおよび図5Bに示す。図5Aは、HOの生成エネルギーであり、図5Bは、VOの生成エネルギーである。図5A、および図5Bでは、縦軸は結晶領域中心に存在するIn原子から、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行う前の計算モデルに配置した欠陥までの距離(Distance)[nm]であり、縦軸は、欠陥の生成エネルギー(Formation energy)[eV]である。なお、図5A、および図5Bに示す黒四角のプロットは、結晶のcore領域に位置する欠陥の生成エネルギーであり、図5A、および図5Bに示す白四角のプロットは、結晶のshell領域に位置する欠陥の生成エネルギーであり、図5A、図5Bに示すバツ印のプロットは、外周部に位置する欠陥の生成エネルギーである。
図5Aより、結晶のcore領域に位置するHO、結晶のshell領域に位置するHO、外周部に位置するHOの生成エネルギーの平均値は、それぞれ、2.75eV、2.50eV、2.15eVとなる。また、結晶のcore領域と比較して、結晶のshell領域では、HOの生成エネルギーのバラツキが大きく、HOの生成エネルギーの値が小さいHOが存在する。これは、結晶領域においても、結晶領域と外周部との界面に近い領域では、構造が歪んでいるためと推測される。
また、結晶領域(結晶のcore領域、および結晶のshell領域)と比較して、外周部では、HOの生成エネルギーのバラツキが大きく、HOの生成エネルギーの値が小さいHOが多いことが分かる。これは、結晶領域と比較して、結晶性の低い外周部の方が結合長の揺らぎが大きく、金属原子との結合力が弱くなっている酸素原子が多いためと推測される。
図5A、図5Bより、結晶のcore領域、結晶のshell領域、外周部の順に、欠陥の生成エネルギーが低下する傾向がみられる。
図5Bより、外周部において、結晶領域から離れた領域に位置するVOほど、VOの生成エネルギーの値が低下する傾向がみられる。
したがって、結晶領域の存在により、結晶度の低い領域においても欠陥生成が抑制させることが示唆される。つまり、構造が安定化する過程で、構造が徐々に変化する中間領域が生成されると推測される。
以上より、結晶領域は欠陥(VO、およびHO)が生成されにくく、結晶性の低い領域(上記外周部)では、欠陥が生成されやすいことが示唆される。したがって、結晶領域が存在することにより、欠陥の生成が抑制される。よって、nc膜をトランジスタに用いることで、トランジスタの電気特性の変動を抑制することができる。
以上が、nc膜における欠陥の生成しやすさについての説明である。
上述した領域11のサイズは、領域11の形状が長方形または平行四辺形である場合、例えば、長方形または平行四辺形の、長辺の長さである。また、領域11の形状が多角形である場合、領域11のサイズは、例えば、多角形の対角線のうち、最長である対角線の長さである。また、金属酸化物10がIn-M-Zn酸化物である場合、領域11は、層状の結晶構造を有する傾向がある。このとき、領域11のサイズは、例えば、層の幅(長さ)である。なお、領域11のサイズは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像から測定することができる。
また、金属酸化物10は、例えば、TEM像では、領域11同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリー)を明確に確認できない場合がある。
金属酸化物10に対し、領域11よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない場合がある。
また、金属酸化物10に対し、領域11よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、金属酸化物10に対し、領域11のサイズに近い、または、領域11のサイズより小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(極微電子線回折ともいう。)を行うと、環状の領域内に複数のスポットが観測される。
図6に、金属酸化物10の極微電子線回折により観測される回折パターン(電子線回折パターンともいう。)の概略図を示す。図6に示すように、金属酸化物10の電子線回折パターンには、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポット20)と、ダイレクトスポット20に近い側にスポット21と、スポット21よりも遠い側にスポット22が観測される。
スポット21は、ダイレクトスポットからの動径方向の距離rが距離r1及びその近傍に位置する環状の領域31内に観測される。また、スポット22は、ダイレクトスポットからの動径方向の距離rが距離r2及びその近傍に位置する領域32内に観測される。領域32は、領域31よりも外側に位置する。すなわち距離r2は、距離r1よりも大きい。
電子線回折パターンでは、領域31内に複数のスポット21が観測される。スポット21は、動径方向の位置(具体的にはダイレクトスポット20からスポット21までの距離)に、ばらつきがある。また、ここでは示さないが、スポット21の検出強度にもばらつきがある。
また、電子線回折パターンでは、領域32内に一または複数のスポット22が観測される。スポット22は、動径方向のばらつきは、スポット21に比べて小さい。また、結晶性が低い領域であるため、多くの場合、スポット22の観測される数は、スポット21よりも少なくなる。また、検出強度も比較的小さくなる場合がある。
金属酸化物10がIn-M-Zn酸化物である場合、領域31は、例えば、ダイレクトスポットからの動径方向の距離rが、2.9nm-1から4.2nm-1の範囲にある領域(距離r1が、3.4nm-1およびその近傍に位置する環状の領域)をさす。また、領域32は、例えば、ダイレクトスポットからの動径方向の距離rが、5.0nm-1から6.7nm-1の範囲にある領域(距離r2が、6.0nm-1およびその近傍に位置する環状の領域)をさす。
また、金属酸化物10がIn-M-Zn酸化物である場合、距離r1に対する距離r2の比は、1.2以上2.3以下、好ましくは1.5以上1.8以下である。
トランジスタは、チャネル形成領域を含む半導体層に、半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物は、シリコンなどからなる半導体と比較して、トランジスタのスイッチング特性が良好で、極めて小さいオフ電流が得られるため、好ましい。
また、半導体として機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上のものを用いることが好ましく、2.5eV以上のものを用いることがより好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、金属酸化物は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、キャリア濃度が低い、i型化(真性化)または実質的にi型化された酸化物半導体を用いることが好ましい。キャリア濃度が低い酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、当該トランジスタのオフ電流を小さく抑えることができる、または、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
トランジスタのチャネル形成領域に、金属酸化物10を適用することができる。物性の安定性が高い金属酸化物10をトランジスタのチャネル形成領域に適用することで、信頼性の高いトランジスタを提供することができる。
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、および非晶質酸化物半導体などがある。
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、または電界効果移動度の低下を引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、In-Ga-Zn酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
また、非単結晶酸化物半導体として、CAC(Cloud-Aligned Composite)-OSを用いてもよい。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
[金属酸化物の構成]
CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。CAC-OSにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、CAC-OSは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC-OSにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC-OSは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC-OSは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
また、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、上記とは異なる分類となる場合がある。ここで、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、図7Aを用いて説明を行う。図7Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
図7Aに示すように、IGZOは、大きく分けてAmorphousと、Crystallineと、Crystalと、に分類される。また、Amorphousの中には、completely amorphousが含まれる。また、Crystallineの中には、CAAC、nc、及びCACが含まれる。また、Crystalの中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
なお、図7Aに示す太枠内の構造は、Amorphousと、Crystalとの間の境界領域にある。すなわち、エネルギー的に不安定なAmorphousと、Crystallineとは全く異なる構造と言い換えることができる。
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、石英ガラス、及びCrystallineに分類される結晶構造を有するIGZO(結晶性IGZOともいう。)のXRDスペクトルを図7Bおよび図7Cに示す。また、図7Bが石英ガラス、図7Cが結晶性IGZOのXRDスペクトルである。なお、図7Cに示す結晶性IGZOの組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]である。また、図7Cに示す結晶性IGZOの厚さは、500nmである。
図7Bの矢印に示すように、石英ガラスは、XRDスペクトルのピークがほぼ左右対称である。一方で、図7Cの矢印に示すように、結晶性IGZOは、XRDスペクトルのピークが左右非対称である。XRDスペクトルのピークが左右非対称であることは、結晶の存在を明示している。別言すると、XRDスペクトルのピークが左右対称でないと、Amorphousであるとは言えない。
[不純物]
ここで、金属酸化物中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体に不純物が混入すると、欠陥準位または酸素欠損が形成される場合がある。よって、酸化物半導体のチャネル形成領域に不純物が混入することで、酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、チャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。
金属酸化物を用いたトランジスタは、金属酸化物中の不純物及び酸素欠損によって、その電気特性が変動し、ノーマリーオン特性となりやすい。また、金属酸化物中に、適量値を超えた過剰な酸素を有した状態で、該トランジスタを駆動した場合、過剰な酸素原子の価数が変化し、該トランジスタの電気特性が変動することで、信頼性が悪くなる場合がある。
したがって、トランジスタには、キャリア濃度の低い金属酸化物をチャネル形成領域に用いることが好ましい。金属酸化物のキャリア濃度を低くする場合においては、金属酸化物中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。なお、本明細書等においては、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度が1×1016cm-3以下の場合を実質的に高純度真性として定義する。
また、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3以下であることがより好ましく、1×1016cm-3以下であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。
なお、金属酸化物中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。特に、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、金属酸化物中に酸素欠損を形成する場合がある。金属酸化物中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となる場合がある。さらに、金属酸化物中の酸素欠損に水素が入った場合、酸素欠損と水素とが結合しVOHを形成する場合がある。酸素欠損に水素が入った欠陥(VOH)はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、金属酸化物中の水素は、熱、電界などのストレスによって動きやすいため、金属酸化物に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。
本発明の一態様においては、金属酸化物中のVOHをできる限り低減し、高純度真性または実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VOHが十分低減された金属酸化物を得るには、金属酸化物中の水分、水素などの不純物を除去すること(脱水、脱水素化処理と記載する場合がある。)と、金属酸化物に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(加酸素化処理と記載する場合がある。)が重要である。VOHなどの不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
酸素欠損に水素が入った欠陥(VOH)は、金属酸化物のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、金属酸化物においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、金属酸化物のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。また、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「キャリア密度」と言い換えることができる。
金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。水素などの不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
また、上記欠陥準位には、トラップ準位が含まれる場合がある。金属酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い金属酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、酸化物半導体のチャネル形成領域に不純物が存在すると、チャネル形成領域の結晶性が低くなる場合がある、また、チャネル形成領域に接して設けられる酸化物の結晶性が低くなる場合がある。チャネル形成領域の結晶性が低いと、トランジスタの安定性または信頼性が悪化する傾向がある。また、チャネル形成領域に接して設けられる酸化物の結晶性が低いと、界面準位が形成され、トランジスタの安定性または信頼性が悪化する場合がある。
したがって、トランジスタの安定性または信頼性を向上させるには、酸化物半導体のチャネル形成領域およびその近傍の不純物濃度を低減することが有効である。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
具体的には、当該酸化物半導体のチャネル形成領域およびその近傍において、SIMSにより得られる上記不純物の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。または、当該酸化物半導体のチャネル形成領域およびその近傍において、EDXを用いた元素分析により得られる上記不純物の濃度を、1.0atomic%以下にする。なお、当該酸化物半導体として元素Mを含む酸化物を用いる場合、当該酸化物半導体のチャネル形成領域およびその近傍において、元素Mに対する上記不純物の濃度比を、0.10未満、好ましくは0.05未満にする。ここで、上記濃度比を算出する際に用いる元素Mの濃度は、上記不純物の濃度を算出した領域と同じ領域の濃度でもよいし、当該酸化物半導体中の濃度でもよい。
また、不純物濃度を低減した金属酸化物は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネル形成領域に不純物および酸素欠損が存在すると、当該酸化物半導体が低抵抗化する場合がある。また、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタにおいては、チャネル形成領域に低抵抗領域が形成されると、当該低抵抗領域にトランジスタのソース電極とドレイン電極との間のリーク電流(寄生チャネル)が発生しやすい。また、当該寄生チャネルによって、トランジスタのノーマリーオン化、リーク電流の増大、ストレス印加によるしきい値電圧の変動(シフト)など、トランジスタの特性不良が起こりやすくなる。また、トランジスタの加工精度が低いと、当該寄生チャネルがトランジスタ毎にばらつくことで、トランジスタ特性にばらつきが生じてしまう。
したがって、酸化物半導体のチャネル形成領域およびその近傍において、当該不純物および酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。
[金属酸化膜の成膜方法]
以下では、金属酸化物10となる金属酸化膜の成膜方法について説明する。
金属酸化物10となる金属酸化膜は、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。スパッタリング法で成膜することで、金属酸化膜の膜密度を高められるため、好適である。
金属酸化膜を成膜する際の温度としては、室温以上140℃未満とすることが好ましい。なお、室温とは、温度調節を行わない場合だけでなく、基板を冷却するなど温度調節を行う場合も含むものとする。
スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)もしくは酸素の単体ガス、または、希ガスおよび酸素の混合ガスを適宜用いる。混合ガスを用いる場合、混合ガス全体に占める酸素ガスの割合が、0%より大きく50%以下、好ましくは5%以上30%以下、さらに好ましくは7%以上20%以下とする。スパッタリングガスとして酸素を含むと、金属酸化膜中における酸素欠損を低減し、微結晶領域を含む膜とすることができる。また、金属酸化膜の成膜と同時に、下層の膜に、酸素を添加し、酸素過剰領域を設けることができる。
また、スパッタリングガスは高純度化することが好ましい。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が-40℃以下、好ましくは-80℃以下、より好ましくは-100℃以下、より好ましくは-120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで金属酸化膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
スパッタリング装置におけるチャンバーは、金属酸化膜にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空(5×10-7Paから1×10-4Pa程度まで)排気することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
また、スパッタリング装置の電源には、DC電源、AC電源、またはRF電源を用いればよい。
また、スパッタリング装置において、ターゲットを回転または移動させても構わない。例えば、金属酸化膜の成膜中にマグネットユニットを上下または/及び左右に揺動させることによって、本発明の金属酸化物を成膜することができる。例えば、ターゲットを、0.1Hz以上1kHz以下のビート(リズム、拍子、パルス、周波、周期、サイクルなどと言い換えてもよい。)で回転または揺動させればよい。または、マグネットユニットを、0.1Hz以上1kHz以下のビートで揺動させればよい。
スパッタリング用ターゲットとして、In-M-Zn金属酸化物ターゲット(Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫)を用いることができる。なお、スパッタリング用ターゲットとして、複数の結晶粒を有する多結晶酸化物を含むターゲットを用いることが好ましい。
例えば、スパッタリングガスとして、酸素ガスの割合が10%程度の、希ガスおよび酸素の混合ガスを用い、基板温度を130℃とし、In-Ga-Zn金属酸化物ターゲットを用いて成膜を行うことで、金属酸化膜を成膜することができる。
なお、金属酸化膜は、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法でも成膜することができる。このとき、上述した方法と同様に、金属酸化物ターゲットを用いて成膜することができる。金属酸化物ターゲットとしては、上記と同様の材料を用いることができる。
また、液状の材料を用いた液相法により、金属酸化膜を成膜することもできる。例えばスピンコート法や、スプレー法などにより、基板に材料を塗布した後に、加熱処理を行うことにより金属酸化物を成膜することができる。液相法では、加熱処理を行っても膜中に配向性を有する結晶部が形成されにくい特徴がある。
例えば、In-M-Zn金属酸化膜を成膜する場合、酸化インジウム、元素Mの酸化物、および酸化亜鉛を含むコート剤を基板に塗布した後、例えば300℃以上、または400℃以上、または450℃以上、且つ基板の耐熱温度以下の温度で加熱処理することにより、In-M-Zn金属酸化膜を成膜することができる。
ここで、コート剤としては、In、元素M、及びZnそれぞれの比が、Inの含有比率が高くなるように混合された材料を用いることができる。組成としては、上述の金属酸化物ターゲットに用いることのできる材料と同様の組成とすればよい。
なお、金属酸化膜の成膜方法としては、上記に限られない。そのほか、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、真空蒸着法などを用いてもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等が挙げられる。
特に、スパッタリング法やパルスレーザー堆積法などの物理堆積法を用いる場合、被形成面を構成する膜等に含まれ、金属酸化膜の結晶化を阻害する元素が金属酸化膜中に拡散する場合がある。その結果、膜厚方向に結晶性の分布を有する金属酸化膜が成膜される場合がある。
以上が、金属酸化物10となる金属酸化膜の成膜方法についての説明である。
以上より、新規の金属酸化物を提供することができる。また、信頼性の高いトランジスタを提供することができる。また、本発明の一態様により、低消費電力の半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の金属酸化物を適用した半導体装置の構成例について説明する。以下では、トランジスタを例に挙げて説明する。
[構成例1]
〔構成例1-1〕
図8Aは、トランジスタ300の上面図であり、図8Bは、図8Aに示す一点鎖線A1-A2における切断面の断面図に相当し、図8Cは、図8Aに示す一点鎖線B1-B2における切断面の断面図に相当する。一点鎖線A1-A2方向はチャネル長方向、一点鎖線B1-B2方向はチャネル幅方向に相当する。なお、図8Aにおいて、トランジスタ300の構成要素の一部(ゲート絶縁層等)を省略している。また、トランジスタの上面図については、以降の図面においても図8Aと同様に、構成要素の一部を省略している。
トランジスタ300は基板302上に設けられ、導電層304、絶縁層306、半導体層308、導電層312a、及び導電層312b等を有する。絶縁層306は導電層304を覆って設けられている。半導体層308は島状の形状を有し、絶縁層306上に設けられている。導電層312a及び導電層312bは、それぞれ半導体層308の上面に接し、且つ、半導体層308上で離間して設けられている。また、絶縁層306、導電層312a、導電層312b、及び半導体層308を覆って絶縁層314が設けられ、絶縁層314上に絶縁層316が設けられている。
半導体層308に、実施の形態1で例示した金属酸化物を適用することができる。
基板302の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板302として用いてもよい。また、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板302として用いてもよい。
また、基板302として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、半導体装置を形成してもよい。または、基板302と半導体装置の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板302より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、半導体装置は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
導電層304は、ゲート電極として機能する。絶縁層306の一部は、ゲート絶縁層として機能する。導電層312aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能し、導電層312bは他方として機能する。半導体層308の導電層304と重畳する領域はチャネル形成領域として機能する。トランジスタ300は、半導体層308よりも被形成面側にゲート電極が設けられた、いわゆるボトムゲート型のトランジスタである。ここで、半導体層308の導電層304側とは反対側の面をバックチャネル側の面と呼ぶことがある。トランジスタ300は、半導体層308のバックチャネル側と、ソース電極及びドレイン電極との間に保護層を有さない、いわゆるチャネルエッチ構造のトランジスタである。
半導体層308は、2層以上の積層構造を有していてもよい。このとき、半導体層308を構成する半導体膜は、金属酸化物を含むことが好ましい。半導体層308を2層構造とする場合、バックチャネル側に位置する半導体膜は、導電層304側に位置する半導体膜よりも結晶性の高い膜であることが好ましい。これにより、導電層312a及び導電層312bの加工時に、半導体層308の一部がエッチングされ、消失してしまうことを抑制することができる。
例えば半導体層308は、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有すると好ましい。特にMはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、またはスズとすることが好ましい。
特に、半導体層308として、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。
導電層312a及び導電層312bは、それぞれ被形成面側から順に、導電層313aと導電層313bとが積層された積層構造を有する。
導電層313bは、銅、銀、金、またはアルミニウム等を含む、低抵抗な導電性材料を用いることが好ましい。特に、導電層313bが銅またはアルミニウムを含むことが好ましい。これにより、導電層312a及び導電層312bを極めて低抵抗なものとすることができる。
また、導電層313aは、導電層313bとは異なる導電性材料を用いることができる。例えば、導電層313aは、チタン、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、亜鉛、インジウム、白金、ルテニウム等を含む導電性材料を用いることが好ましい。
このように、銅やアルミニウム等を含む導電層313bと半導体層308との間に、導電層313aを設けることにより、導電層313bに含まれる金属元素が半導体層308中に拡散することを防ぐことができ、信頼性の高いトランジスタ300を実現できる。また、導電層313aは、半導体層308中の酸素が導電層313bに拡散することを防ぐバリア層として機能することが好ましい。
なお、導電層312a及び導電層312bの構成は2層構造に限られず、銅、銀、金、またはアルミニウムを含む導電層を含む3層構造、または4層構造としてもよい。例えば、導電層312a及び導電層312bとして、導電層313b上に導電層313aと同様の導電性材料を含む導電層を積層した3層構造としてもよい。これにより、導電層313bの上面の酸化を抑制すること、及び導電層313bに含まれる金属元素が周囲に飛散することを防ぐことができ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
導電層304は、導電層313aまたは導電層313bに用いることのできる上述の導電性材料を適宜用いることができる。特に、銅を含む導電性材料を用いることが好ましい。
半導体層308と接する絶縁層306及び絶縁層314には、酸化物を含む絶縁性材料を用いることが好ましい。また、絶縁層306や絶縁層314を積層構造とする場合には、半導体層308と接する層に、酸化物を含む絶縁性材料を用いる。
また、絶縁層306には窒化シリコンや窒化アルミニウムなどの窒化絶縁膜を用いてもよい。酸化物を含まない絶縁性材料を用いる場合には、絶縁層306の上部に酸素を添加する処理を施し、酸素を含む領域を形成することが好ましい。酸素を添加する処理としては、例えば酸素を含む雰囲気下における加熱処理またはプラズマ処理や、イオンドーピング処理などがある。
絶縁層316は、トランジスタ300を保護する保護層として機能する。絶縁層316は、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることができる。特に、絶縁層316として、窒化シリコンや酸化アルミニウムなどの酸素を拡散しにくい材料を用いることで、作製工程中にかかる熱などにより半導体層308や絶縁層314から絶縁層316を介して外部に酸素が脱離してしまうことを防ぐことができるため好ましい。
また、絶縁層316として平坦化膜として機能する有機絶縁性材料を用いてもよい。または、絶縁層316として無機絶縁材料を含む膜と、有機絶縁材料を含む膜の積層膜を用いてもよい。
また、半導体層308は、導電層312a及び導電層312bと接する部分及びその近傍に位置し、ソース領域及びドレイン領域として機能する一対の低抵抗領域が形成されていてもよい。当該領域は、半導体層308の一部であり、チャネル形成領域よりも低抵抗な領域である。また低抵抗領域は、キャリア濃度が高い領域、またはn型である領域などと言い換えることができる。また半導体層308において、一対の低抵抗領域に挟まれ、且つ、導電層304と重なる領域が、チャネル形成領域として機能する。
〔構成例1-2〕
以下では、上記構成例1-1と一部の構成が異なるトランジスタの構成例について説明する。なお、以下では、上記構成例1-1と重複する部分は説明を省略する場合がある。
図9Aは、トランジスタ300Aのチャネル長方向の断面図であり、図9Bは、チャネル幅方向の断面図である。
トランジスタ300Aは、絶縁層314上に導電層320を有する点で、構成例1-1と主に相違している。
導電層320は、絶縁層314を介して半導体層308と重畳する領域を有する。
トランジスタ300Aにおいて、導電層304は、第1のゲート電極(ボトムゲート電極ともいう)としての機能を有し、導電層320は、第2のゲート電極(トップゲート電極ともいう)としての機能を有する。また、絶縁層314の一部は、第2のゲート絶縁層として機能する。
また、図9Bに示すように、導電層320は、絶縁層314、及び絶縁層306に設けられた開口部342を介して、導電層304と電気的に接続されていてもよい。これにより、導電層320と導電層304には同じ電位を与えることができ、オン電流の高いトランジスタを実現できる。
また図9Bに示すように、チャネル幅方向において、導電層304及び導電層320が、半導体層308の端部よりも外側に延在していることが好ましい。このとき、図9Bに示すように、半導体層308のチャネル幅方向の全体が、導電層304及び導電層320に覆われた構成となる。
このような構成とすることで、半導体層308を一対のゲート電極によって生じる電界で、電気的に取り囲むことができる。このとき特に、導電層304と導電層320に同じ電位を与えることが好ましい。これにより、半導体層308にチャネルを誘起させるための電界を効果的に印加できるため、トランジスタ300Aのオン電流を増大させることができる。そのため、トランジスタ300Aを微細化することもできる。
なお、導電層304と導電層320とを接続しない構成としてもよい。このとき、一対のゲート電極の一方には定電位を与え、他方にトランジスタ300Aを駆動するための信号を与えてもよい。このとき、一方の電極に与える電位により、トランジスタ300Aを他方の電極で駆動する際のしきい値電圧を制御することができる。
または、導電層320を導電層312a及び導電層312bのいずれか一方と電気的に接続する構成としてもよい。特に、導電層312a及び導電層312bのうち、定電位が供給される導電層(例えばソース電極)と、導電層320とを電気的に接続することが好ましい。
以上が構成例1についての説明である。
[構成例2]
以下では、上記構成例1とは異なるトランジスタの構成例について説明する。
〔構成例2-1〕
図10Aは、トランジスタ350の上面図であり、図10Bは、図10Aに示す一点鎖線A3-A4における切断面の断面図に相当し、図10Cは、図10Aに示す一点鎖線B3-B4における切断面の断面図に相当する。一点鎖線A3-A4方向はチャネル長方向、一点鎖線B3-B4方向はチャネル幅方向に相当する。
トランジスタ350は、基板352上に設けられ、絶縁層353、半導体層358、絶縁層360、金属酸化物層364、導電層362、絶縁層368等を有する。島状の半導体層358は、絶縁層353上に設けられる。絶縁層360は、絶縁層353の上面、半導体層358の上面及び側面に接して設けられる。金属酸化物層364及び導電層362は、絶縁層360上にこの順に積層して設けられ、半導体層358と重畳する部分を有する。絶縁層368は、絶縁層360の上面、金属酸化物層364の側面、ならびに導電層362の上面及び側面を覆って設けられている。
半導体層358に、実施の形態1で例示した金属酸化物を適用することができる。
また、図10A、図10Bに示すように、トランジスタ350は、絶縁層368上に導電層370a及び導電層370bを有していてもよい。導電層370a及び導電層370bは、ソース電極またはドレイン電極として機能する。導電層370a及び導電層370bは、それぞれ絶縁層368、及び絶縁層360に設けられた開口部391aまたは開口部391bを介して、低抵抗領域358nに電気的に接続される。
導電層362の一部は、ゲート電極として機能する。絶縁層360の一部は、ゲート絶縁層として機能する。トランジスタ350は、半導体層358上にゲート電極が設けられた、いわゆるトップゲート型のトランジスタである。
導電層362、及び金属酸化物層364は、上面形状が互いに概略一致するように加工されている。
なお、本明細書等において「上面形状が概略一致」とは、積層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパターンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重なり合わず、上層が下層の内側に位置することや、上層が下層の外側に位置することもあり、この場合も「上面形状が概略一致」という。
絶縁層360と導電層362との間に位置する金属酸化物層364は、絶縁層360に含まれる酸素が導電層362側に拡散することを防ぐバリア膜として機能する。さらに金属酸化物層364は、導電層362に含まれる水素や水が絶縁層360側に拡散することを防ぐバリア膜としても機能する。金属酸化物層364は、例えば少なくとも絶縁層360よりも酸素及び水素を透過しにくい材料を用いることが好ましい。
金属酸化物層364により、導電層362にアルミニウムや銅などの酸素を吸引しやすい金属材料を用いた場合であっても、絶縁層360から導電層362へ酸素が拡散することを防ぐことができる。また、導電層362が水素を含む場合であっても、導電層362から絶縁層360を介して半導体層358へ水素が拡散することを防ぐことができる。その結果、半導体層358のチャネル形成領域におけるキャリア濃度を極めて低いものとすることができる。
金属酸化物層364としては、絶縁性材料または導電性材料を用いることができる。金属酸化物層364が絶縁性を有する場合には、ゲート絶縁層の一部として機能する。一方、金属酸化物層364が導電性を有する場合には、ゲート電極の一部として機能する。
金属酸化物層364として、酸化シリコンよりも誘電率の高い絶縁性材料を用いることが好ましい。特に、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、またはハフニウムアルミネート膜等を用いると、駆動電圧を低減できるため好ましい。
金属酸化物層364として、例えば酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、シリコンを含有したインジウムスズ酸化物(ITSO)などの、導電性酸化物を用いることもできる。特にインジウムを含む導電性酸化物は、導電性が高いため好ましい。
また、金属酸化物層364として、半導体層358と同一の元素を一以上含む酸化物材料を用いることが好ましい。特に、上記半導体層358に適用可能な酸化物半導体材料を用いることが好ましい。このとき、金属酸化物層364として、半導体層358と同じスパッタリングターゲットを用いて形成した金属酸化物膜を適用することで、装置を共通化できるため好ましい。
また、金属酸化物層364は、スパッタリング装置を用いて形成すると好ましい。例えば、スパッタリング装置を用いて酸化物膜を形成する場合、酸素ガスを含む雰囲気で形成することで、絶縁層360や半導体層358中に好適に酸素を添加することができる。
半導体層358は、導電層362と重畳する領域と、当該領域を挟む一対の低抵抗領域358nを有する。半導体層358の、導電層362と重畳する領域は、トランジスタ350のチャネル形成領域として機能する。一方、低抵抗領域358nは、トランジスタ350のソース領域またはドレイン領域として機能する。
また低抵抗領域358nは、チャネル形成領域よりも低抵抗な領域、キャリア濃度が高い領域、酸素欠陥密度の高い領域、不純物濃度の高い領域、またはn型である領域ともいうことができる。
半導体層358の低抵抗領域358nは、不純物元素を含む領域である。当該不純物元素としては、例えば水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、ヒ素、アルミニウム、希ガスなどが挙げられる。なお、希ガスの代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等がある。特に、ホウ素またはリンを含むことが好ましい。またこれら元素を2以上含んでいてもよい。
低抵抗領域358nに不純物を添加する処理は、導電層362をマスクとして、絶縁層360を介して行うことができる。低抵抗領域358nに不純物を添加する処理としては、プラズマイオンドーピング法やイオン注入法を好適に用いることができる。
低抵抗領域358nは、不純物濃度が、1×1019atoms/cm3以上、1×1023atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以上、5×1022atoms/cm3以下、より好ましくは1×1020atoms/cm3以上、1×1022atoms/cm3以下である領域を含むことが好ましい。
低抵抗領域358nに含まれる不純物の濃度は、例えばSIMSや、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)等の分析法により分析することができる。XPS分析を用いる場合には、表面側または裏面側からのイオンスパッタリングとXPS分析を組み合わせることで、深さ方向の濃度分布を知ることができる。
また、低抵抗領域358nにおいて、不純物元素は酸化した状態で存在していることが好ましい。例えば不純物元素としてホウ素、リン、マグネシウム、アルミニウム、シリコンなどの酸化しやすい元素を用いることが好ましい。このような酸化しやすい元素は、半導体層358中の酸素と結合して酸化した状態で安定に存在しうるため、後の工程で高い温度(例えば400℃以上、600℃以上、または800℃以上)がかかった場合であっても、脱離することが抑制される。また、不純物元素が半導体層358中の酸素を奪うことで、低抵抗領域358n中に多くの酸素欠損が生成される。この酸素欠損と、膜中の水素とが結合することでキャリア供給源となるため、低抵抗領域358nは極めて低抵抗な状態となる。
例えば、不純物元素としてホウ素を用いた場合、低抵抗領域358nに含まれるホウ素は酸素と結合した状態で存在しうる。このことは、XPS分析において、B2O3結合に起因するスペクトルピークが観測されることで確認できる。また、XPS分析において、ホウ素元素が単体で存在する状態に起因するスペクトルピークが観測されない、または測定下限のバックグラウンドノイズに埋もれる程度にまでピーク強度が極めて小さくなる。
絶縁層360は、半導体層358のチャネル形成領域と接する領域、すなわち導電層362と重畳する領域を有する。また、絶縁層360は、半導体層358の低抵抗領域358nと接し、且つ導電層362と重畳しない領域を有する。
絶縁層360の、低抵抗領域358nと重畳する領域には、上述した不純物元素が含まれる場合がある。このとき、低抵抗領域358nと同様に、絶縁層360中の不純物元素も酸素と結合した状態で存在することが好ましい。このような酸化しやすい元素は、絶縁層360中の酸素と結合して酸化した状態で安定に存在しうるため、後の工程で高い温度がかかった場合でも脱離することが抑制される。また特に絶縁層360中に加熱により脱離しうる酸素(過剰酸素ともいう)が含まれる場合には、当該過剰酸素と不純物元素とが結合して安定化するため、絶縁層360から低抵抗領域358nへ酸素が供給されることを抑制することができる。また、酸化した状態の不純物元素が含まれる絶縁層360の一部は、酸素が拡散しにくい状態となるため、絶縁層360よりも上側から当該絶縁層360を介して低抵抗領域358nに酸素が供給されることで、高抵抗化することも防ぐことができる。
絶縁層368は、トランジスタ350を保護する保護層として機能する。絶縁層368としては、例えば酸化物または窒化物などの無機絶縁材料を用いることができる。より具体的な例としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、ハフニウムアルミネートなどの無機絶縁材料を用いることができる。
〔構成例2-2〕
図11Aは、トランジスタ350Aの上面図であり、図11Bは、トランジスタ350Aのチャネル長方向の断面図であり、図11Cは、トランジスタ350Aのチャネル幅方向の断面図である。
トランジスタ350Aは、構成例2-1で例示したトランジスタ350と比較して、絶縁層360の構成が異なる点、及び絶縁層366を有する点で、主に相違している。
絶縁層360は、導電層362及び金属酸化物層364と上面形状が概略一致するように加工されている。絶縁層360は、例えば導電層362及び金属酸化物層364を加工するためのレジストマスクを用いて加工することにより形成することができる。
絶縁層366は、半導体層358の導電層362、金属酸化物層364、及び絶縁層360に覆われていない上面及び側面に接して設けられている。また絶縁層366は、絶縁層353の上面、絶縁層360の側面、金属酸化物層364の側面、ならびに導電層362の上面及び側面を覆って設けられている。
絶縁層366は、低抵抗領域358nを低抵抗化させる機能を有する。このような絶縁層366としては、絶縁層366の成膜時、または成膜後に加熱することにより、低抵抗領域358n中に不純物を供給することのできる絶縁膜を用いることができる。または、絶縁層366の成膜時、または成膜後に加熱することにより、低抵抗領域358n中に酸素欠損を生じさせることのできる絶縁膜を用いることができる。
例えば、絶縁層366として、低抵抗領域358nに不純物を供給する供給源として機能する絶縁膜を用いることができる。このとき、絶縁層366は、加熱により水素を放出する膜であることが好ましい。このような絶縁層366を半導体層358に接して形成することで、低抵抗領域358nに水素などの不純物を供給し、低抵抗領域358nを低抵抗化させることができる。
絶縁層366は、成膜の際に用いる成膜ガスに、水素元素などの不純物元素を含むガスを用いて成膜される膜であることが好ましい。また絶縁層366の成膜温度を高めることで、半導体層358に効果的に多くの不純物を供給することができる。絶縁層366の成膜温度としては、例えば200℃以上500℃以下、好ましくは220℃以上450℃以下、より好ましくは250℃以上400℃以下とすることができる。
また、絶縁層366の成膜を減圧下で、且つ加熱して行うことで、半導体層358中の低抵抗領域358nとなる領域の酸素の脱離を促進することができる。酸素欠損が多く形成された半導体層358に、水素などの不純物を供給することで、低抵抗領域358n中のキャリア濃度が高まり、より効果的に低抵抗領域358nを低抵抗化させることができる。
絶縁層366としては、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの、窒化物を含む絶縁膜を好適に用いることができる。特に窒化シリコンは、水素や酸素に対するブロッキング性を有するため、外部から半導体層への水素の拡散と、半導体層から外部への酸素の脱離の両方を防ぐことができ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
また、絶縁層366は、半導体層358中の酸素を吸引し、酸素欠損を生成する機能を有する絶縁膜としてもよい。特に、絶縁層366には、金属窒化物を用いることが特に好ましい。
また、金属窒化物を用いる場合、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロム、またはルテニウムの窒化物を用いることが好ましい。特に、アルミニウムまたはチタンを含むことが特に好ましい。例えば、アルミニウムをスパッタリングターゲットに用い、成膜ガスとして窒素を含むガスを用いた反応スパッタリング法により形成した窒化アルミニウム膜は、成膜ガスの全流量に対する窒素ガスの流量を適切に制御することで、極めて高い絶縁性と、水素や酸素に対する極めて高いブロッキング性とを兼ね備えた膜とすることができる。そのため、このような金属窒化物を含む絶縁膜を、半導体層に接して設けることで、半導体層を低抵抗化できるだけでなく、半導体層から酸素が脱離すること、及び半導体層へ水素が拡散することを好適に防ぐことができる。
金属窒化物として、窒化アルミニウムを用いた場合、当該窒化アルミニウムを含む絶縁層の厚さを5nm以上とすることが好ましい。このように薄い膜であっても、水素及び酸素に対する高いブロッキング性と、半導体層の低抵抗化の機能とを両立できる。なお、当該絶縁層の厚さはどれだけ厚くてもよいが、生産性を考慮し、500nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは50nm以下とすることが好ましい。
絶縁層366に窒化アルミニウム膜を用いる場合、組成式がAlNx(xは0より大きく2以下の実数、好ましくは、xは0.5より大きく1.5以下の実数)を満たす膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁性に優れ、且つ熱伝導性に優れた膜とすることができるため、トランジスタ350Aを駆動したときに生じる熱の放熱性を高めることができる。
このような絶縁層366を低抵抗領域358nに接して設けることで、絶縁層366が低抵抗領域358n中の酸素を吸引し、低抵抗領域358n中に酸素欠損を形成させることができる。またこのような絶縁層366を形成した後に、加熱処理を行うことで、低抵抗領域358nにより多くの酸素欠損を形成することができ、低抵抗化を促進することができる。また、絶縁層366に金属酸化物を含む膜を用いた場合、絶縁層366が半導体層358中の酸素を吸引した結果、絶縁層366と低抵抗領域358nとの間に、絶縁層366に含まれる金属元素(例えばアルミニウム)の酸化物を含む層が形成される場合がある。
ここで、半導体層358として、インジウムを含む金属酸化物を用いた場合、低抵抗領域358nの絶縁層366側の界面近傍に、酸化インジウムが析出した領域、または、インジウム濃度の高い領域が形成されている場合がある。これにより、極めて低抵抗な低抵抗領域358nを形成することができる。このような領域の存在は、例えば、XPS等の分析法で観測できる場合がある。
〔構成例2-3〕
図12Aに、トランジスタ350Bの断面図を示している。図12Aでは、一点鎖線よりも左側にチャネル長方向の断面を、右側にチャネル幅方向の断面を、並べて明示している。
トランジスタ350Bは、基板352と絶縁層353との間に導電層356を有する点で、構成例2-1と主に相違している。導電層356は半導体層358及び導電層362と重なる領域を有する。
トランジスタ350Bにおいて、導電層362は、第2のゲート電極(トップゲート電極ともいう)としての機能を有し、導電層356は、第1のゲート電極(ボトムゲート電極ともいう)としての機能を有する。また、絶縁層360の一部は、第2のゲート絶縁層として機能し、絶縁層353の一部は、第1のゲート絶縁層として機能する。
半導体層358の、導電層362及び導電層356の少なくとも一方と重なる部分は、チャネル形成領域として機能する。なお以下では説明を容易にするため、半導体層358の導電層362と重なる部分をチャネル形成領域と呼ぶ場合があるが、実際には導電層362と重ならずに、導電層356と重なる部分(低抵抗領域358nを含む部分)にもチャネルが形成しうる。
また、図12Aに示すように、導電層356は、金属酸化物層364、絶縁層360、及び絶縁層353に設けられた開口部392を介して、導電層362と電気的に接続されていてもよい。これにより、導電層356と導電層362には、同じ電位を与えることができる。
導電層356と、導電層370a及び導電層370bのいずれか一方とを、電気的に接続する構成としてもよい。
導電層356は、導電層362、導電層370a、または導電層370bと同様の材料を用いることができる。特に導電層356に銅を含む材料を用いると、配線抵抗を低減できるためこのましい。
図12Aでは、絶縁層353が、導電層356側から、絶縁層353aと、絶縁層353bとが積層された積層構造を有する場合を示している。このとき、導電層356側に位置する絶縁層353aには、導電層356に含まれる金属元素を拡散しにくい絶縁膜を用いることが好ましい。例えば窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの無機絶縁膜を用いることが好ましい。また、半導体層358と接する絶縁層353bには、酸素を含む絶縁膜を用いることが好ましい。例えば酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などを用いることが好ましい。
また、図12Aに示すように、チャネル幅方向において、導電層362及び導電層356が、半導体層358の端部よりも外側に突出していることが好ましい。このとき、図12Aに示すように、半導体層358のチャネル幅方向の全体が、絶縁層360と絶縁層353を介して、導電層362と導電層356に覆われた構成となる。
このような構成とすることで、半導体層358を一対のゲート電極によって生じる電界で、電気的に取り囲むことができる。このとき特に、導電層356と導電層362に同じ電位を与えることが好ましい。これにより、半導体層358にチャネルを誘起させるための電界を効果的に印加できるため、トランジスタ350Bのオン電流を増大させることができる。そのため、トランジスタ350Bを微細化することも可能となる。
なお、導電層362と導電層356とを接続しない構成としてもよい。このとき、一対のゲート電極の一方に定電位を与え、他方にトランジスタ350Bを駆動するための信号を与えてもよい。このとき、一方の電極に与える電位により、トランジスタ350Bを他方の電極で駆動する際のしきい値電圧を制御することもできる。
〔構成例2-4〕
図12Bに、トランジスタ350Cの断面図を示している。図12Bでは、一点鎖線よりも左側にチャネル長方向の断面を、右側にチャネル幅方向の断面を、並べて明示している。
トランジスタ350Cは、構成例2-2で例示したトランジスタ350Aに、構成例2-3で例示した、第1のゲート電極として機能する導電層356を設けた場合の例である。
このような構成とすることで、オン電流の高いトランジスタとすることができる。または、しきい値電圧を制御することのできるトランジスタとすることができる。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の金属酸化物を有する半導体装置を用いて作製できる表示装置の構成例について説明する。
図13Aは、表示装置700の上面概略図である。表示装置700は、可撓性を有する基板762を有する。基板762には、表示部702、一対の回路部763、回路部764、配線704、接続端子703a、及び接続端子703bが設けられている。
回路部763及び回路部764は、表示部702を駆動する機能を有する。回路部763は、表示部702を挟んで2つ設けられている。回路部764は、表示部702と配線704との間に設けられている。回路部763は、例えばゲートドライバとしての機能を有し、回路部764は、例えばソースドライバ、またはその一部としての機能を有する。例えば回路部764は、バッファ回路、またはデマルチプレクサ回路を含んでいてもよい。
表示部702に設けられる表示素子としては、例えば液晶素子または発光素子など、上述した各種表示素子を適用できる。特に、表示素子として、有機EL素子を用いることが好ましい。
基板762は、配線704、接続端子703a及び接続端子703bが設けられる部分が、他の部分よりも突出した上面形状を有する。言い換えると、基板762の当該部分の幅が、表示部702が設けられる部分の幅よりも小さい形状を有する。
また基板762の突出部は、配線704と重なる領域において、湾曲させることができる領域(湾曲部761a)を有する。また、基板762は、表示部702が設けられる領域において、湾曲させることができる一対の領域(湾曲部761b)を有する。図13Aに示すように、基板762の一部が突出した形状を有することで、湾曲部761aの湾曲方向と、湾曲部761bの湾曲方向とは、交差した方向とすることができる。
接続端子703aはFPC(Flexible Printed Circuit)が接続される端子として機能し、接続端子703bはICが接続される端子として機能する。
図13B、図13Cには、湾曲部761aと湾曲部761bにおいて、表示面側とは反対側に基板762を湾曲させた場合の、表示装置700の斜視図を示している。図13Bは、表示面側を含む斜視図であり、図13Cは、表示面側とは反対側を含む斜視図である。また図13Cでは、接続端子703aに接続したFPC706と、接続端子703bに接続したIC707を明示している。
図13Bに示すように、表示部702の両側をそれぞれ湾曲させることにより、電子機器に表示装置700を組み込む際に、電子機器の両側部に湾曲した表示部を設けることができる。これにより、機能性の高い電子機器を実現できる。
また、図13B、図13Cに示すように、湾曲部761aにより、基板762の一部を表示面側とは反対側に折り返すことができる。具体的には、配線704が外側になるように、基板762の突出部を折り返すことができる。これにより、接続端子703a、および接続端子703bを、表示面側とは反対側に配置することができ、さらにはFPC706を表示面側とは反対側に配置することができる。これにより、表示装置700を電子機器に組み込む際に、非表示部の面積を縮小することが可能となる。
また、基板762には、切欠き部765が設けられている。切欠き部765は、例えば電子機器が有するカメラのレンズ、光学センサ等の各種センサ、照明装置、意匠などを配置することのできる部分である。表示部702の一部が切りかかれることにより、より意匠性の高い電子機器を実現できる。また、これにより、筐体表面に対する画面の占有率を高めることができる。
[断面構成例]
以下では、表示装置の断面構成例について説明する。
〔構成例1〕
図14に、表示装置700の断面概略図を示す。図14は、図13Aで示した表示装置700の表示部702と、回路部763と、湾曲部761aと、接続端子703aと、を含む断面を示している。表示部702には、トランジスタ750及び容量素子790が設けられている。回路部763には、トランジスタ752が設けられている。
トランジスタ750及びトランジスタ752は、チャネルが形成される半導体層に、酸化物半導体を適用したトランジスタである。なお、これに限られず、半導体層に、シリコン(アモルファスシリコン、多結晶シリコン、または単結晶シリコン)や、有機半導体を用いたトランジスタを適用することもできる。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体を有する。該トランジスタは、オフ電流を著しく小さくできる。そのため、このようなトランジスタが適用された画素は、画像信号等の電気信号の保持時間を長くでき、画像信号等の書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくできるため、消費電力を低減することができる。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置に用いることで、画素のスイッチングトランジスタと、回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、シリコンウェハ等により形成された駆動回路を適用しない構成も可能であり、表示装置の部品点数を削減することができる。また、画素においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
容量素子790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極と同一の膜を加工して形成される下部電極と、半導体層と同一の金属酸化物を加工して形成される上部電極と、を有する。上部電極は、トランジスタ750のソース領域及びドレイン領域と同様に低抵抗化されている。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750の第1のゲート絶縁層として機能する絶縁膜の一部が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造を有する。また、上部電極には、トランジスタ750のソース電極及びドレイン電極と同一の膜を加工して得られる配線が接続されている。
また、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790上には、平坦化膜として機能する絶縁層770が設けられている。
表示部702が有するトランジスタ750と、回路部763が有するトランジスタ752とは、異なる構造のトランジスタを用いてもよい。例えば、いずれか一方にトップゲート型のトランジスタを適用し、他方にボトムゲート型のトランジスタを適用した構成としてもよい。なお、上記回路部764についても、回路部763と同様である。
なお、トランジスタ750及びトランジスタ752の構成については、上記実施の形態2を援用できる。
接続端子703aは、配線704の一部を有する。また図14に示すように、接続端子703aが、複数の導電膜が積層された積層構造を有すると、接続端子703aの導電性や、機械的強度が高まるため好ましい。接続端子703aは、接続層780を介してFPC706と電気的に接続されている。接続層780としては、例えば異方性導電材料等を用いることができる。
表示装置700は、それぞれ支持基板として機能する基板762と、基板740と、を有する。基板762及び基板740としては、例えばガラス基板、プラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることができる。
トランジスタ750、トランジスタ752、容量素子790等は、絶縁層744上に設けられる。基板762と絶縁層744とは、接着層742によって貼り合されている。
また、表示装置700は、発光素子782、着色層736、遮光層738等を有する。
発光素子782は、導電層772、EL層786、及び導電層788を有する。導電層772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。導電層772は、絶縁層770上に設けられ、画素電極として機能する。また導電層772の端部を覆って絶縁層730が設けられ、絶縁層730及び導電層772上にEL層786と導電層788が積層して設けられている。
導電層772には、可視光に対して反射性を有する材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いることができる。また、導電層788には、可視光に対して透光性を有する材料を用いることができる。例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。そのため、発光素子782は、被形成面とは反対側(基板740側)に光を射出する、トップエミッション型の発光素子である。
EL層786は、有機化合物、量子ドットなどの無機化合物を有する。EL層786は、電流が流れた際に光を呈する発光材料を含む。
発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料、無機化合物(量子ドット材料など)などを用いることができる。量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。
遮光層738と、着色層736は、絶縁層746の一方の面に設けられている。着色層736は、発光素子782と重なる位置に設けられている。また、遮光層738は、表示部702において、発光素子782と重ならない領域に設けられている。また遮光層738は、回路部763等にも重ねて設けられていてもよい。
基板740は、絶縁層746の他方の面に、接着層747によって貼り合されている。また、基板740と基板762とは、封止層732によって貼り合されている。
ここでは、発光素子782が有するEL層786として、白色の発光を呈する発光材料が適用されている。発光素子782が発する白色の発光は、着色層736により着色されて外部に射出される。EL層786は、異なる色を呈する画素に亘って設けられる。画素部には、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかを透過する着色層736が設けられた画素をマトリクス状に配置することで、表示装置700は、フルカラーの表示を行うことができる。
また、導電層788として、半透過性、半反射性を有する導電膜を用いてもよい。このとき、導電層772と導電層788との間で微小共振器(マイクロキャビティ)構造を実現し、特定の波長の光を強めて射出する構成とすることができる。またこのとき、導電層772と導電層788との間に光学距離を調整するための光学調整層を配置し、当該光学調整層の厚さを異なる色の画素間で異ならせることで、それぞれの画素から射出される光の色純度を高める構成としてもよい。
なお、EL層786を画素毎に島状または画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色層736や、上述した光学調整層を設けない構成としてもよい。
ここで、絶縁層744と絶縁層746とは、それぞれ透湿性の低いバリア膜として機能する無機絶縁膜を用いることが好ましい。このような絶縁層744と絶縁層746との間に、発光素子782やトランジスタ750等が挟持された構成とすることで、これらの劣化が抑制され、信頼性の高い表示装置を実現できる。
〔構成例2〕
図15には、図14とは一部の構成が異なる表示装置700の断面図を示している。また、図15では、湾曲部761aにおいて表示装置700の一部が湾曲し、表示面側とは反対側に折り返された形態を明示している。
図15に示す表示装置700は、図14で示した接着層742と絶縁層744との間に、樹脂層743が設けられている。また、基板740に換えて、保護層749を有する。
樹脂層743は、ポリイミドやアクリルなどの有機樹脂を含む層である。絶縁層744は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン等の無機絶縁膜を含む。樹脂層743と基板762とは、接着層742によって貼りあわされている。樹脂層743は、基板762よりも薄いことが好ましい。
保護層749は、封止層732と貼りあわされている。保護層749としては、ガラス基板や樹脂フィルムなどを用いることができる。また、保護層749として、偏光板(円偏光板を含む)、散乱板などの光学部材や、タッチセンサパネルなどの入力装置、またはこれらを2つ以上積層した構成を適用してもよい。また、保護層749は、電子機器の筐体の一部(例えば画面となる部分)を構成する部材を含んでいてもよい。
また、発光素子782が有するEL層786は、絶縁層730及び導電層772上に島状に設けられている。EL層786を、副画素毎に発光色が異なるように作り分けることで、着色層736を用いずにカラー表示を実現することができる。
また、発光素子782を覆って、保護層741が設けられている。保護層741は発光素子782に水などの不純物が拡散することを防ぐ機能を有する。保護層741は、導電層788側から絶縁層741a、絶縁層741b、及び絶縁層741cがこの順で積層された積層構造を有している。このとき、絶縁層741aと絶縁層741cには、水などの不純物に対してバリア性の高い無機絶縁膜を、絶縁層741bには平坦化膜として機能する有機絶縁膜を、それぞれ用いることが好ましい。また、保護層741は、回路部763等にも延在して設けられていることが好ましい。
また、封止層732よりも内側において、トランジスタ750やトランジスタ752等を覆う有機絶縁膜が島状に形成されることが好ましい。言い換えると、当該有機絶縁膜の端部が、封止層732の内側、または封止層732の端部と重なる領域に位置することが好ましい。図15では、絶縁層770、絶縁層730、及び絶縁層741bが、島状に加工されている例を示している。例えば封止層732と重なる部分では、絶縁層741c及び絶縁層741aが接して設けられている。このように、トランジスタ750やトランジスタ752を覆う有機絶縁膜の表面が、封止層732よりも外側に露出しない構成とすることで、外部から当該有機絶縁膜を介してトランジスタ750やトランジスタ752に水や水素が拡散することを好適に防ぐことができる。これにより、トランジスタの電気特性の変動が抑えられ、極めて信頼性の高い表示装置を実現できる。
また、図15において、湾曲部761aは、基板762、接着層742の他、絶縁層744等の無機絶縁膜が設けられていない部分を有する。また湾曲部761aにおいて、配線704が露出することを防ぐために、有機材料を含む絶縁層770が配線704を覆う構成を有している。図15に示す構成では、湾曲部761aが、樹脂層743、配線704、及び絶縁層770が積層された積層構造を有している。
湾曲部761aに、無機絶縁膜をできるだけ設けず、且つ、金属または合金を含む導電層と、有機材料を含む層のみを積層した構成とすることで、曲げた際にクラックが生じることを防ぐことができる。また湾曲部761aに基板762を設けないことで、極めて小さい曲率半径で、表示装置700の一部を曲げることができる。
また、接続端子703aと重なる領域において、樹脂層743には、接着層748を介して支持体720が貼り合されている。支持体720は、基板762等よりも剛性の高い材料を用いることができる。または、支持体720は、電子機器の筐体の一部、または電子機器の内部に配置される部材の一部であってもよい。
また、図15において、保護層741上には導電層739が設けられている。導電層739は、配線や電極として用いることができる。
また、導電層739は、表示装置700に重ねてタッチセンサが設けられる場合に、画素を駆動する際の電気的なノイズが、当該タッチセンサに伝わることを防ぐための静電遮蔽膜として機能させることができる。このとき、導電層739には所定の定電位が与えられる構成とすればよい。
または、導電層739は、例えばタッチセンサの電極として用いることができる。これにより、表示装置700をタッチパネルとして機能させることができる。例えば、導電層739は、静電容量方式のタッチセンサの電極または配線として用いることができる。このとき、導電層739は、検知回路が接続される配線または電極や、センサ信号が入力される配線または電極として用いることができる。このように、発光素子782上にタッチセンサを作りこむことで、部品点数を削減でき、電子機器等の製造コストを削減することができる。
導電層739は、発光素子782と重ならない部分に設けられることが好ましい。例えば導電層739は、絶縁層730と重なる位置に設けることができる。これにより、導電層739として、比較的導電性の低い透明導電膜を用いる必要がなく、導電性の高い金属や合金などを用いることができるため、センサの感度を高めることができる。
なお、導電層739を用いて構成することのできるタッチセンサの方式としては、静電容量方式に限られず、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。または、これら2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
〔構成例3〕
図16には、表示素子として液晶素子を用いた場合の、表示装置700aの断面概略図を示している。図16では、回路部763、表示部702、及び接続端子703aを含む領域の断面図を示している。
図16に示す表示装置700aは、基板701と基板705との間に、トランジスタ721、トランジスタ722、液晶素子710等を有する。基板701と基板705とは、封止層732によって貼り合されている。
ここでは、トランジスタ721とトランジスタ722として、ボトムゲート型のトランジスタを適用した場合について示している。
液晶素子710は、導電層711、液晶712、及び導電層713を有する。導電層713は基板701上に設けられる。導電層713上に一以上の絶縁層が設けられ、当該絶縁層上に、導電層711が設けられている。また、液晶712は、導電層711と基板705の間に位置する。導電層713は、配線723と電気的に接続され、共通電極として機能する。導電層711は、トランジスタ721と電気的に接続され、画素電極として機能する。配線723には、共通電位が与えられる。
図16に示す液晶素子710は、横電界方式(例えば、FFSモード)が適用された液晶素子である。導電層711は、櫛歯状、またはスリットを有する上面形状を有する。液晶素子710は、導電層711と導電層713との間に生じる電界によって、液晶712の配向状態が制御される。
また、導電層711、導電層713、及びこれらに挟持された一以上の絶縁層の積層構造により、保持容量として機能する容量素子790が形成されている。そのため、別途容量素子を設ける必要がなく、開口率を高めることができる。
導電層711及び導電層713には、それぞれ可視光に対して透光性の材料、または反射性の材料を用いることができる。透光性の材料としては、例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。反射性の材料としては、例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いるとよい。
導電層711または導電層713のいずれか一方、または両方に反射性の材料を用いると、表示装置700aは反射型の液晶表示装置となる。一方、導電層711または導電層713の両方に透光性の材料を用いると、表示装置700aは透過型の液晶表示装置となる。反射型の液晶表示装置の場合、視認側に偏光板を設ける。一方、透過型の液晶表示装置の場合、液晶素子を挟むように、一対の偏光板を設ける。
図16では、透過型の液晶表示装置の例を示している。基板701よりも外側に、偏光板755と、光源757が設けられ、基板705よりも外側に、偏光板756が設けられている。光源757は、バックライトとして機能する。
基板705の、基板701側の面には、遮光層738及び着色層736が設けられている。また遮光層738及び着色層736を覆って、平坦化層として機能する絶縁層734が設けられている。絶縁層734の基板701側の面には、スペーサ727が設けられている。
また、液晶712は、導電層711を覆う配向膜725と、絶縁層734を覆う配向膜726との間に位置している。なお、配向膜725及び配向膜726は、不要であれば設けなくてもよい。
また、図16には図示しないが、基板705よりも外側に、位相差フィルム、反射防止フィルムなどの光学部材(光学フィルム)、保護フィルム、防汚フィルム等を適宜設けることができる。反射防止フィルムとしては、AG(Anti Glear)フィルム、AR(Anti Reflection)フィルムなどがある。
液晶712には、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。
また、液晶素子のモードとしては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、ゲストホストモードなどを用いることができる。
また、液晶712に高分子分散型液晶や、高分子ネットワーク型液晶などを用いた、散乱型の液晶を用いることもできる。このとき、着色層736を設けずに白黒表示を行う構成としてもよいし、着色層736を用いてカラー表示を行う構成としてもよい。
また、液晶素子の駆動方法として、継時加法混色法に基づいてカラー表示を行う、時間分割表示方式(フィールドシーケンシャル駆動方式ともいう)を適用してもよい。その場合、着色層736を設けない構成とすることができる。時間分割表示方式を用いた場合、例えばR(赤色)、G(緑色)、B(青色)のそれぞれの色を呈する副画素を設ける必要がないため、画素の開口率を向上させることや、精細度を高められるなどの利点がある。
図16に示す表示装置700aは、画素電極として機能する導電層711や、共通電極として機能する導電層713の被形成面側に、平坦化層として機能する有機絶縁膜を設けない構成を有する。また、表示装置700aが有するトランジスタ721等として、作製工程を比較的短くできる、ボトムゲート型のトランジスタが適用されている。また配線704、接続端子703a等は、特別な工程を増やすことなく、トランジスタや液晶素子等の製造工程と共通の工程で作製することができる。このような構成とすることで、製造コストを低減でき、且つ、製造歩留りを高めることができ、信頼性の高い表示装置を安価で提供することが可能となる。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図17A乃至図17Cを用いて説明を行う。
図17Aに示す表示装置は、画素部502と、駆動回路部504と、保護回路506と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
画素部502や駆動回路部504が有するトランジスタに、本発明の一態様のトランジスタを適用することができる。また保護回路506にも、本発明の一態様のトランジスタを適用してもよい。
画素部502は、X行Y列(X、Yはそれぞれ独立に2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動する複数の画素回路501を有する。
駆動回路部504は、走査線GL_1乃至走査線GL_Xに走査信号を出力するゲートドライバ504a、データ線DL_1乃至データ線DL_Yにデータ信号を供給するソースドライバ504bなどの駆動回路を有する。ゲートドライバ504aは、少なくともシフトレジスタを有する構成とすればよい。またソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
端子部507は、外部の回路から表示装置に電源、制御信号、画像信号等を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。図17Aに示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GL(走査線GL_1乃至走査線GL_X)、またはソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DL(データ線DL_1乃至データ線DL_Y)等の各種配線に接続される。
また、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bは、それぞれ画素部502と同じ基板上に設けられていてもよいし、ゲートドライバ回路またはソースドライバ回路が別途形成された基板(例えば、単結晶半導体膜または多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)をCOGやTAB(Tape Automated Bonding)によって基板に実装する構成としてもよい。
また、図17Aに示す複数の画素回路501は、例えば、図17B、図17Cに示す構成とすることができる。
図17Bに示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL等が接続されている。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
また、図17Cに示す画素回路501は、トランジスタ552と、トランジスタ554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL_a、電位供給線VL_b等が接続されている。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。トランジスタ554のゲートに与えられる電位に応じて、発光素子572に流れる電流が制御されることにより、発光素子572からの発光輝度が制御される。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
以下では、画素に表示される階調を補正するためのメモリを備える画素回路と、これを有する表示装置について説明する。実施の形態1で例示した金属酸化物を有するトランジスタは、以下で例示する画素回路に用いられるトランジスタに適用することができる。
[回路構成]
図18Aに、画素回路400の回路図を示す。画素回路400は、トランジスタM1、トランジスタM2、容量C1、及び回路401を有する。また画素回路400には、配線S1、配線S2、配線G1、及び配線G2が接続される。
トランジスタM1は、ゲートが配線G1と、ソース及びドレインの一方が配線S1と、他方が容量C1の一方の電極と、それぞれ接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線G2と、ソース及びドレインの一方が配線S2と、他方が容量C1の他方の電極、及び回路401と、それぞれ接続する。
回路401は、少なくとも一の表示素子を含む回路である。表示素子としては様々な素子を用いることができるが、代表的には有機EL素子やLED素子などの発光素子、液晶素子、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子等を適用することができる。
トランジスタM1と容量C1とを接続するノードをN1、トランジスタM2と容量C1と回路401とを接続するノードをN2とする。
画素回路400は、トランジスタM1をオフ状態とすることで、ノードN1の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とすることで、ノードN2の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とした状態で、トランジスタM1を介してノードN1に所定の電位を書き込むことで、容量C1を介した容量結合により、ノードN1の電位の変位に応じてノードN2の電位を変化させることができる。
ここで、トランジスタM1、トランジスタM2のうちの一方または両方に、実施の形態1で例示した、酸化物半導体が適用されたトランジスタを適用することができる。そのため極めて小さいオフ電流により、ノードN1及びノードN2の電位を長期間に亘って保持することができる。なお、各ノードの電位を保持する期間が短い場合(具体的には、フレーム周波数が30Hz以上である場合等)には、シリコン等の半導体を適用したトランジスタを用いてもよい。
[駆動方法例]
続いて、図18Bを用いて、画素回路400の動作方法の一例を説明する。図18Bは、画素回路400の動作に係るタイミングチャートである。なおここでは説明を容易にするため、配線抵抗などの各種抵抗や、トランジスタや配線などの寄生容量、及びトランジスタのしきい値電圧などの影響は考慮しない。
図18Bに示す動作では、1フレーム期間を期間T1と期間T2とに分ける。期間T1はノードN2に電位を書き込む期間であり、期間T2はノードN1に電位を書き込む期間である。
〔期間T1〕
期間T1では、配線G1と配線G2の両方に、トランジスタをオン状態にする電位を与える。また、配線S1には固定電位である電位Vrefを供給し、配線S2には第1データ電位Vwを供給する。
ノードN1には、トランジスタM1を介して配線S1から電位Vrefが与えられる。また、ノードN2には、トランジスタM2を介して第1データ電位Vwが与えられる。したがって、容量C1には電位差Vw-Vrefが保持された状態となる。
〔期間T2〕
続いて期間T2では、配線G1にはトランジスタM1をオン状態とする電位を与え、配線G2にはトランジスタM2をオフ状態とする電位を与える。また、配線S1には第2データ電位Vdataを供給する。配線S2には所定の定電位を与える、またはフローティングとしてもよい。
ノードN1には、トランジスタM1を介して第2データ電位Vdataが与えられる。このとき、容量C1による容量結合により、第2データ電位Vdataに応じてノードN2の電位が電位dVだけ変化する。すなわち、回路401には、第1データ電位Vwと電位dVを足した電位が入力されることとなる。なお、図18BではdVが正の値であるように示しているが、負の値であってもよい。すなわち、第2データ電位Vdataが電位Vrefより低くてもよい。
ここで、電位dVは、容量C1の容量値と、回路401の容量値によって概ね決定される。容量C1の容量値が回路401の容量値よりも十分に大きい場合、電位dVは第2データ電位Vdataに近い電位となる。
このように、画素回路400は、2種類のデータ信号を組み合わせて表示素子を含む回路401に供給する電位を生成することができるため、画素回路400内で階調の補正を行うことが可能となる。
また画素回路400は、配線S1及び配線S2に供給可能な最大電位を超える電位を生成することも可能となる。例えば発光素子を用いた場合では、ハイダイナミックレンジ(HDR)表示等を行うことができる。また、液晶素子を用いた場合では、オーバードライブ駆動等を実現できる。
[適用例]
〔液晶素子を用いた例〕
図18Cに示す画素回路400LCは、回路401LCを有する。回路401LCは、液晶素子LCと、容量C2とを有する。
液晶素子LCは、一方の電極がノードN2及び容量C2の一方の電極と、他方の電極が電位Vcom2が与えられる配線と、それぞれ接続する。容量C2は、他方の電極が電位Vcom1が与えられる配線と接続する。
容量C2は保持容量として機能する。なお、容量C2は不要であれば省略することができる。
画素回路400LCは、液晶素子LCに高い電圧を供給することができるため、例えばオーバードライブ駆動により高速な表示を実現すること、駆動電圧の高い液晶材料を適用することなどができる。また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、使用温度や液晶素子LCの劣化状態等に応じて階調を補正することもできる。
〔発光素子を用いた例〕
図18Dに示す画素回路400ELは、回路401ELを有する。回路401ELは、発光素子EL、トランジスタM3、及び容量C2を有する。
トランジスタM3は、ゲートがノードN2及び容量C2の一方の電極と、ソース及びドレインの一方が電位VHが与えられる配線と、他方が発光素子ELの一方の電極と、それぞれ接続する。容量C2は、他方の電極が電位Vcomが与えられる配線と接続する。発光素子ELは、他方の電極が電位VLが与えられる配線と接続する。
トランジスタM3は、発光素子ELに供給する電流を制御する機能を有する。容量C2は保持容量として機能する。容量C2は不要であれば省略することができる。
なお、ここでは発光素子ELのアノード側がトランジスタM3と接続する構成を示しているが、カソード側にトランジスタM3を接続してもよい。そのとき、電位VHと電位VLの値を適宜変更することができる。
画素回路400ELは、トランジスタM3のゲートに高い電位を与えることで、発光素子ELに大きな電流を流すことができるため、例えばHDR表示などを実現することができる。また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、トランジスタM3や発光素子ELの電気特性のばらつきの補正を行うこともできる。
なお、図18C、図18Dで例示した回路に限られず、別途トランジスタや容量などを追加した構成としてもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製することができる表示モジュールについて説明する。
図19Aに示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6005が接続された表示装置6006、フレーム6009、プリント基板6010、及びバッテリー6011を有する。
例えば、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示装置6006に用いることができる。表示装置6006により、極めて消費電力の低い表示モジュールを実現することができる。
上部カバー6001及び下部カバー6002は、表示装置6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
表示装置6006はタッチパネルとしての機能を有していてもよい。
フレーム6009は、表示装置6006の保護機能、プリント基板6010の動作により発生する電磁波を遮断する機能、放熱板としての機能等を有していてもよい。
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路、バッテリー制御回路等を有する。バッテリー6011による電源であってもよい。
図19Bは、光学式のタッチセンサを備える表示モジュール6000の断面概略図である。
表示モジュール6000は、プリント基板6010に設けられた発光部6015及び受光部6016を有する。また、上部カバー6001と下部カバー6002により囲まれた領域に一対の導光部(導光部6017a、導光部6017b)を有する。
表示装置6006は、フレーム6009を間に介してプリント基板6010やバッテリー6011と重ねて設けられている。表示装置6006とフレーム6009は、導光部6017a、導光部6017bに固定されている。
発光部6015から発せられた光6018は、導光部6017aにより表示装置6006の上部を経由し、導光部6017bを通って受光部6016に達する。例えば指やスタイラスなどの被検知体により、光6018が遮られることにより、タッチ操作を検出することができる。
発光部6015は、例えば表示装置6006の隣接する2辺に沿って複数設けられる。受光部6016は、発光部6015と対向する位置に複数設けられる。これにより、タッチ操作がなされた位置の情報を取得することができる。
発光部6015は、例えばLED素子などの光源を用いることができ、特に、赤外線を発する光源を用いることが好ましい。受光部6016は、発光部6015が発する光を受光し、電気信号に変換する光電素子を用いることができる。好適には、赤外線を受光可能なフォトダイオードを用いることができる。
光6018を透過する導光部6017a、導光部6017bにより、発光部6015と受光部6016とを表示装置6006の下側に配置することができ、外光が受光部6016に到達してタッチセンサが誤動作することを抑制できる。特に、可視光を吸収し、赤外線を透過する樹脂を用いると、タッチセンサの誤動作をより効果的に抑制できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な、電子機器の例について説明する。
図20Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
表示部6502は、切欠き部を有し、当該切欠き部に係合するように、カメラ6507及び光源6508が設けられている。このような構成とすることで、筐体6501に対する表示部6502の占有面積を大きくできる。
また、図20Bには、表示部6502が開口を有し、開口の内部に、カメラ6507と、カメラ6507を囲う、環状の光源6509が配置されている例を示している。また、表示部6502の切欠き部と係合するように、スピーカ6505が設けられている。また、表示部6502を、被写体を照明する光源として用いてもよい。このような構成とすることで、筐体6501に対する表示部6502の占有面積をより大きくできる。
図20Cは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリー6518等が配置されている。
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が図示しない接着層により固定されている。
また、表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されている。また、当該折り返された部分に、FPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。またFPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイパネルを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリー6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を備える電子機器について説明する。
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を備えるものである。したがって、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、ノート型のパーソナルコンピュータ、モニタ装置、デジタルサイネージ、パチンコ機、ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
本発明の一態様が適用された電子機器は、家屋やビルの内壁または外壁、自動車等の内装または外装等が有する平面または曲面に沿って組み込むことができる。
図21Aは、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
なおカメラ8000は、レンズ8006と筐体とが一体となっていてもよい。
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押す、またはタッチパネルとして機能する表示部8002をタッチすることにより撮像することができる。
筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントにより、カメラ8000に取り付けられている。ファインダー8100はカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
ボタン8103は、電源ボタン等としての機能を有する。
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。なお、ファインダーが内蔵されたカメラ8000であってもよい。
図21Bは、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリー8206が内蔵されている。
ケーブル8205は、バッテリー8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203はカメラを備え、使用者の眼球やまぶたの動きの情報を入力手段として用いることができる。
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に、使用者の眼球の動きに伴って流れる電流を検知可能な複数の電極が設けられ、視線を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流により、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能や、使用者の頭部の動きに合わせて表示部8204に表示する映像を変化させる機能を有していてもよい。
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図21C乃至図21Eは、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると、使用者が高い臨場感を感じることができるため好ましい。また、表示部8302の異なる領域に表示された別の画像を、レンズ8305を通して視認することで、視差を用いた3次元表示等を行うこともできる。なお、表示部8302を1つ設ける構成に限られず、表示部8302を2つ設け、使用者の片方の目につき1つの表示部を配置してもよい。
なお、表示部8302に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置は、極めて精細度が高いため、図21Eのようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示することができる。
図22A乃至図22Gに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
図22A乃至図22Gに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図22A乃至図22Gに示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図22Aは、テレビジョン装置9100を示す斜視図である。テレビジョン装置9100は、大画面、例えば、50インチ以上、または100インチ以上の表示部9001を組み込むことが可能である。
図22Bは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。図22Bでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリーの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
図22Cは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
図22Dは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
図22E乃至図22Gは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図22Eは携帯情報端末9201を展開した状態、図22Gは折り畳んだ状態、図22Fは図22Eと図22Gの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
図23Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7500が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
図23Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7500にタッチパネルを適用し、これに触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、操作ボタンの他に表示部を有していてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、テレビ放送の受信機や、ネットワーク接続のための通信装置を有していてもよい。
図23Bに、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7500が組み込まれている。
図23C、図23Dに、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
図23Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7500、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
また、図23Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7500を有する。
表示部7500が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができ、また人の目につきやすいため、例えば広告の宣伝効果を高める効果を奏する。
表示部7500にタッチパネルを適用し、使用者が操作できる構成とすると好ましい。これにより、広告用途だけでなく、路線情報や交通情報、商用施設の案内情報など、使用者が求める情報を提供するための用途にも用いることができる。
また、図23C、図23Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7500に表示される広告の情報を情報端末機7311の画面に表示させることや、情報端末機7311を操作することで、表示部7500の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
図23A乃至図23Dにおける表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
本実施の形態の電子機器は表示部を有する構成としたが、表示部を有さない電子機器にも本発明の一態様を適用することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の金属酸化物を適用した半導体装置の一例について説明する。
<半導体装置の構成例>
図24A乃至図24Cは、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図および断面図である。図24Aは、当該半導体装置の上面図である。また、図24Bおよび図24Cは、当該半導体装置の断面図である。ここで、図24Bは、図24AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図24Cは、図24AにA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。なお、図24Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
本発明の一態様の半導体装置は、基板(図示せず)上の絶縁体211と、絶縁体211上の絶縁体212と、絶縁体212上の絶縁体214と、絶縁体214上のトランジスタ200と、トランジスタ200上の絶縁体280と、絶縁体280上の絶縁体282と、絶縁体282上の絶縁体283と、絶縁体283上の絶縁体284と、を有する。絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284は層間膜として機能する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する、導電体240aおよび導電体240bを有する。なお、導電体240aの側面に接して絶縁体241aが設けられ、導電体240bの側面に接して絶縁体241bが設けられる。また、絶縁体284上、および導電体240a上には、導電体240aと電気的に接続し、配線として機能する導電体246aが設けられ、絶縁体284上、および導電体240b上には、導電体240bと電気的に接続し、配線として機能する導電体246bが設けられる。また、導電体246a上、導電体246b上、および絶縁体284上には、絶縁体286が設けられる。
絶縁体272、絶縁体273、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284の開口の内壁に接して絶縁体241aが設けられ、絶縁体241aの側面に接して導電体240aの第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240aの第2の導電体が設けられている。また、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284の開口の内壁に接して絶縁体241bが設けられ、絶縁体241bの側面に接して導電体240bの第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240bの第2の導電体が設けられている。ここで、導電体240aおよび導電体240bの上面の高さと、導電体246aおよび導電体246bと重なる領域の、絶縁体284の上面の高さと、は同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体240aの第1の導電体および導電体240aの第2の導電体を積層し、導電体240bの第1の導電体および導電体240bの第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体240aおよび導電体240bのそれぞれを単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
[トランジスタ200]
図24A乃至図24Cに示すように、トランジスタ200は、絶縁体214上の絶縁体216と、絶縁体214および/または絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205(導電体205a、および導電体205b)と、絶縁体216上、および導電体205上の絶縁体222と、絶縁体222上の絶縁体224と、絶縁体224上の酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の、酸化物243a、酸化物243b、および酸化物230cと、酸化物230c上の絶縁体250と、絶縁体250上の導電体260(導電体260a、および導電体260b)と、酸化物243a上の導電体242aと、酸化物243b上の導電体242bと、絶縁体224の上面の一部、酸化物230aの側面、酸化物230bの側面、酸化物243aの側面の一部、酸化物243bの側面の一部、導電体242aの側面の一部、導電体242aの上面、導電体242bの側面の一部、および導電体242bの上面と接する絶縁体272と、絶縁体272上の絶縁体273と、を有する。
ここで、図24Bおよび図24Cに示すように、酸化物230cは、導電体242aの側面および導電体242bの側面と接する。また、導電体260の上面は、絶縁体250の上面および酸化物230cの上面と略一致している。また、絶縁体282は、導電体260、絶縁体250、酸化物230c、および絶縁体280のそれぞれの上面と接する。
絶縁体280、絶縁体273、および絶縁体272には、酸化物230bに達する開口が設けられる。当該開口内に、酸化物230c、絶縁体250、および導電体260が配置されている。また、トランジスタ200のチャネル長方向において、導電体242aおよび導電体242bの間に導電体260、絶縁体250、および酸化物230cが設けられている。絶縁体250は、導電体260の側面と重なる領域と、導電体260の底面と重なる領域と、を有する。また、酸化物230cは、酸化物230bと接する領域と、絶縁体250を介して導電体260の側面と重なる領域と、絶縁体250を介して導電体260の底面と重なる領域と、を有する。
酸化物230は、絶縁体224の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された酸化物230bと、酸化物230bの上に配置され、少なくとも一部が酸化物230bに接する酸化物230cと、を有することが好ましい。酸化物230b下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物230b上に酸化物230cを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
なお、トランジスタ200では、酸化物230が、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、酸化物230aと酸化物230bの2層構造、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、または4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよいし、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのいずれか一または複数が積層構造を有していてもよい。
酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのいずれか一または複数は、チャネル形成領域として機能する。酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのいずれか一または複数に、実施の形態1で例示した金属酸化物を適用することができる。
トランジスタ200では、トランジスタ200のチャネル長方向の断面視において、酸化物230bに溝部を設け、当該溝部に、酸化物230cを埋め込むことが好ましい。このとき、酸化物230cは、当該溝部の内壁(側壁、および底面)を覆うように配置される。また、酸化物230cの膜厚は、当該溝部の深さと同程度であることが好ましい。
上記溝部の深さは、代表的には、0nmより大きく10nm以下、好ましくは1nm以上7nm以下、さらに好ましくは2nm以上5nm以下である。
また、上記溝部および導電体260と重なる領域の、酸化物230cの厚さ(膜厚)は、代表的には、0.5nm以上7nm以下、好ましくは1nm以上5nm以下、さらに好ましくは2nm以上4nm以下である。
なお、酸化物230bに設ける溝部の深さに合わせて、キャリアの主たる経路を、酸化物230bとしてもよいし、酸化物230cとしてもよいし、酸化物230bと酸化物230cとの界面およびその近傍としてもよい。
ここで、酸化物230bの伝導帯下端は、酸化物230aの伝導帯下端より真空準位から離れていることが好ましい。言い換えると、酸化物230bの電子親和力は、酸化物230aの電子親和力より大きいことが好ましい。また、酸化物230cの伝導帯下端は、酸化物230bの伝導帯下端より真空準位に近い、または酸化物230bの伝導帯下端と略一致していることが好ましい。言い換えると、酸化物230cの電子親和力は、酸化物230bの電子親和力より大きい、または略一致していることが好ましい。このとき、キャリアの主たる経路は、酸化物230b、酸化物230c、または酸化物230bと酸化物230cとの界面およびその近傍となる。
また、金属酸化物中のインジウムの比率を高めることで、トランジスタのオン電流、または電界効果移動度などを高めることができるため、酸化物230bに設ける溝部の深さ、トランジスタ200の構成などに合わせて、酸化物230の組成を適宜調整すればよい。例えば、酸化物230cをキャリアの主たる経路とするには、酸化物230cにおいて、主成分である金属元素に対するインジウムの原子数比が、酸化物230bにおける、主成分である金属元素に対するインジウムの原子数比より大きくするとよい。
上記構成にすることで、実効的なチャネル長を、トランジスタの平面視におけるチャネル長と同程度にすることができる。これにより、トランジスタのオン電流および電界効果移動度を大きくことができる。したがって、オン電流が大きい半導体装置を提供することができる。
また、上記構成にすることで、酸化物230bの表面近傍の不純物を除去し、酸化物230bの表面近傍の低抵抗領域を低減し、トランジスタのソース電極とドレイン電極との間のリーク電流(寄生チャネル)の発生を抑制することができる。したがって、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。また、トランジスタ特性のばらつきが少なく、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。
酸化物230bおよび酸化物230cは、結晶性を有することが好ましい。結晶性を有する酸化物は、不純物や欠陥(酸素欠損など)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極またはドレイン電極による、酸化物230からの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行っても、酸化物230から酸素が引き抜かれることを低減できるので、トランジスタ200は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
また、酸化物230cとして、CAAC-OSを用いてもよく、酸化物230cが有する結晶のc軸が、酸化物230cの被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていてもよい。CAAC-OSは、c軸と垂直方向に酸素を移動させやすい性質を有する。したがって、酸化物230cが有する酸素を、酸化物230bに効率的に供給することができる。
なお、酸化物230として、元素Mまたは亜鉛の含有量が少ないIn-M-Zn酸化物を用いる場合、酸化物230の結晶性は低くてもよい。元素Mまたは亜鉛の含有量が少ないIn-M-Zn酸化膜は、結晶性を高めることで、多結晶膜となる場合がある。多結晶膜は結晶粒界を有し、当該結晶粒界は、欠陥準位となり、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。よって、多結晶のIn-M-Zn酸化物を用いたトランジスタは、電気特性の変動が大きく、信頼性が低くなる場合がある。
また、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部において、伝導帯下端はなだらかに変化するとよい。換言すると、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部における伝導帯下端は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面に形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を主成分として有することで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-M-Zn酸化物の場合、酸化物230aおよび酸化物230cとして、In-M-Zn酸化物、M-Zn酸化物、元素Mの酸化物、In-Zn酸化物、インジウム酸化物などを用いてもよい。
また、酸化物230は、化学組成が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
より具体的には、酸化物230aとして、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=1:1:0.5[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230bとして、In:M:Zn=1:1:1[原子数比]もしくはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3[原子数比]もしくはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=10:1:3[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物、または、In-Zn酸化物を用いればよい。また、酸化物230cとして、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を用いればよい。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。また、元素Mとして、ガリウムを用いることが好ましい。
酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は大きいオン電流、および高い周波数特性を得ることができる。
酸化物230cは、2層以上の積層構造を有していてもよい。例えば、酸化物230cを2層の積層構造とする場合、絶縁体250側に位置する酸化物230c(酸化物230cの上層ともいう。)は、酸化物230b側に位置する酸化物230c(酸化物230cの下層ともいう。)に用いられる金属酸化物を構成する金属元素の少なくとも一つを含むことが好ましく、当該金属元素を全て含むことがより好ましい。例えば、酸化物230cの下層として、In-M-Zn酸化物、In-Zn酸化物、またはインジウム酸化物を用い、酸化物230cの上層として、In-M-Zn酸化物、M-Zn酸化物、または元素Mの酸化物を用いるとよい。これにより、酸化物230cの下層と酸化物230cの上層との界面における欠陥準位密度を低くすることができる。
また、酸化物230cの上層の伝導帯下端が、酸化物230cの下層の伝導帯下端より真空準位に近いことが好ましい。言い換えると、酸化物230cの上層の電子親和力は、酸化物230cの下層の電子親和力より小さいことが好ましい。この場合、酸化物230cの上層は、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を用いることが好ましい。このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230b、酸化物230cの下層、または酸化物230bと酸化物230cの下層との界面およびその近傍となる。
具体的には、酸化物230cの下層として、In:M:Zn=5:1:3[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=10:1:3[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物、または、In-Zn酸化物を用い、酸化物230cの上層として、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成、M:Zn=2:1[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはM:Zn=2:5[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物、または、元素Mの酸化物を用いればよい。
また、酸化物230cの上層は、酸化物230cの下層より、酸素の拡散または透過を抑制する金属酸化物であることが好ましい。絶縁体250と酸化物230cの下層との間に酸化物230cの上層を設けることで、絶縁体280に含まれる酸素が、絶縁体250に拡散するのを抑制することができる。したがって、当該酸素は、酸化物230cの下層を介して、酸化物230bに効率的に供給することができる。
また、酸化物230cの上層に用いる金属酸化物において、主成分である金属元素に対するInの原子数比が、酸化物230cの下層に用いる金属酸化物における、主成分である金属元素に対するInの原子数比より小さくすることで、Inが絶縁体250側に拡散するのを抑制することができる。絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能するため、Inが絶縁体250などに混入した場合、トランジスタの特性不良となる。したがって、酸化物230cの下層と絶縁体250との間に酸化物230cの上層を設けることで、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
なお、酸化物230cの下層と酸化物230cの上層とは、互いに結晶性の異なる層を用いてもよい。
酸化物230cは、トランジスタ200毎に設けてもよい。つまり、トランジスタ200の酸化物230cと、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cと、は、接しなくてもよい。また、トランジスタ200の酸化物230cと、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cと、を、離隔してもよい。別言すると、酸化物230cが、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に配置されない構成としてもよい。
複数のトランジスタ200がチャネル幅方向に配置されている半導体装置において、上記構成にすることで、トランジスタ200に酸化物230cがそれぞれ独立して設けられる。よって、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に、寄生トランジスタが生じるのを抑制し、リークパスが生じるのを抑制することができる。したがって、良好な電気特性を有し、かつ、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
なお、導電体260、絶縁体250のそれぞれは、隣接するトランジスタ200間で共通して用いられてもよい。つまり、トランジスタ200の導電体260は、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の導電体260と連続して設けられた領域を有する。また、トランジスタ200の絶縁体250は、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の絶縁体250と連続して設けられた領域を有する。また、絶縁体250は、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に、絶縁体224に接する領域を有する。
なお、酸化物230cを2層の積層構造とする場合、トランジスタ200の酸化物230cの下層および酸化物230cの上層は、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cの下層および酸化物230cの上層と、それぞれ離隔してもよいし、トランジスタ200の酸化物230cの下層と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cの下層と、を離隔し、トランジスタ200の酸化物230cの上層は、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cの上層と連続して設けられた領域を有してもよい。このとき、酸化物230cの上層は、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に、絶縁体224に接する領域を有する。
絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体282、絶縁体283、絶縁体284、および絶縁体286は、水、水素などの不純物が、基板側から、または、トランジスタ200の上方からトランジスタ200に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体282、絶縁体283、絶縁体284、および絶縁体286は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体211、絶縁体212、絶縁体283、および絶縁体284として、窒化シリコンなどを用い、絶縁体214、絶縁体272、絶縁体273、および絶縁体282として、酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。これにより、水、水素などの不純物が絶縁体211、絶縁体212、および絶縁体214を介して、基板側からトランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体211、絶縁体212、および絶縁体214を介して基板側に、拡散するのを抑制することができる。また、水、水素などの不純物が絶縁体273よりも上方に配置されている絶縁体280、導電体246a、導電体246bなどから絶縁体272および絶縁体273を介してトランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。このように、トランジスタ200を、水、水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284で取り囲む構造とすることが好ましい。
また、絶縁体211、絶縁体284、および絶縁体286の抵抗率を低くすることが好ましい場合がある。例えば、絶縁体211、絶縁体284、および絶縁体286の抵抗率を概略1×1013Ωcmとすることで、半導体装置作製工程のプラズマ等を用いる処理において、絶縁体211、絶縁体284、および絶縁体286が、導電体205、導電体242a、導電体242b、導電体260、導電体246a、または導電体246bのチャージアップを緩和することができる場合がある。絶縁体211、絶縁体284、および絶縁体286の抵抗率は、好ましくは、1×1010Ωcm以上1×1015Ωcm以下とする。
なお、絶縁体211または絶縁体212は、必ずしも設けなくてもよく、絶縁体283または絶縁体284は、必ずしも設けなくてもよい。例えば、絶縁体212、および絶縁体284を、水素原子を含まない、または水素原子の含有量が少ない、化合物ガスを用いて化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により成膜する場合である。
また、絶縁体216、および絶縁体280は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、および絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを適宜用いればよい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどの材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
また、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体280、および絶縁体282をパターニングし、絶縁体283、および絶縁体284で、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体280、および絶縁体282を覆う構造にしてもよい。つまり、絶縁体283は、絶縁体282の上面および側面と、絶縁体280の側面と、絶縁体273の側面と、絶縁体272の側面と、絶縁体224の側面と、絶縁体222の側面と、絶縁体216の側面と、絶縁体214の側面と、絶縁体212の側面と、絶縁体211の上面とに接し、絶縁体284は、絶縁体283の上面および側面に接する。これにより、酸化物230などを含む、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体280、および絶縁体282は、絶縁体283および絶縁体284と、絶縁体211とによって、外部から隔離される。別言すると、トランジスタ200は、絶縁体283および絶縁体284と絶縁体211とで封止された領域内に配置される。
例えば、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体282を、水素を捕獲および水素を固着する機能を有する材料を用いて形成し、絶縁体211、絶縁体283、および絶縁体284を水素および酸素に対する拡散を抑制する機能を有する材料を用いて形成すると好ましい。代表的には、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体282としては、酸化アルミニウムを用いることができる。また、代表的には、絶縁体211、絶縁体283、および絶縁体284としては、窒化シリコンを用いることができる。
上記構成にすることで、上記封止された領域外に含まれる水素が、上記封止された領域内に混入することを抑制することができる。
また、絶縁体211、絶縁体283、および絶縁体284を、単層として設ける構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、絶縁体211、絶縁体283、および絶縁体284のそれぞれを2層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。
なお、導電体205は、図24Aに示すように、酸化物230の導電体242aおよび導電体242bと重ならない領域の大きさよりも、大きく設けるとよい。特に、図24Cに示すように、導電体205は、酸化物230のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。当該構成を有することで、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能する導電体260の電界と、第2のゲート(バックゲートともいう。)電極として機能する導電体205の電界によって、酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート、および第2のゲートの電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
なお、本明細書等において、S-channel構造のトランジスタとは、一対のゲート電極の一方および他方の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を表す。また、本明細書等で開示するS-channel構造は、Fin型構造およびプレーナ型構造とは異なる。S-channel構造を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
また、導電体260が第1のゲート電極として機能し、導電体205が第2のゲート電極として機能する場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のしきい値電圧(Vth)を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のVthをより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
また、図24Cに示すように、導電体205は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体205の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。また、導電体205は、必ずしも各トランジスタに一個ずつ設ける必要はない。例えば、導電体205を複数のトランジスタで共有する構成にしてもよい。
なお、トランジスタ200では、導電体205は、導電体205aと導電体205bとを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205は、単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
ここで、導電体205aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
導電体205aに、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電体205bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205aとしては、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。例えば、導電体205aは、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムと、チタンまたは窒化チタンとの積層としてもよい。
また、導電体205bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタンまたは窒化チタンと、当該導電性材料との積層としてもよい。
絶縁体222、および絶縁体224は、第2のゲート絶縁体として機能する。
絶縁体222は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224よりも水素および酸素の一方または双方の拡散を抑制する機能が高いことが好ましい。
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230から基板側への酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の拡散を抑制する層として機能する。よって、絶縁体222を設けることで、水素等の不純物が、トランジスタ200の内側へ拡散することを抑制し、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。また、導電体205が、絶縁体224や、酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
または、上記絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。または、これらの絶縁体を窒化処理してもよい。また、絶縁体222は、これらの絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
酸化物230と接する絶縁体224は、加熱により酸素を脱離することが好ましい。例えば、絶縁体224は、酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどを適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
絶縁体224として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料、別言すると、過剰酸素領域を有する絶縁体材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化膜とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素分子の脱離量が1.0×1018molecules/cm3以上、好ましくは1.0×1019molecules/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019molecules/cm3以上、または3.0×1020molecules/cm3以上である酸化膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
なお、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
酸化物243aおよび酸化物243bは、酸素の透過を抑制する機能を有することが好ましい。ソース電極やドレイン電極として機能する導電体242aまたは導電体242bと酸化物230bとの間に、酸素の透過を抑制する機能を有する酸化物243aまたは酸化物243bを配置することで、導電体242aまたは導電体242bと、酸化物230bとの間の電気抵抗が低減されるので好ましい。このような構成とすることで、トランジスタ200の電気特性およびトランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
酸化物243aおよび酸化物243bとして、元素Mを有する金属酸化物を用いてもよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫を用いるとよい。酸化物243aおよび酸化物243bは、酸化物230bよりも元素Mの濃度が高いことが好ましい。また、酸化物243aおよび酸化物243bとして、酸化ガリウムを用いてもよい。また、酸化物243aおよび酸化物243bとして、In-M-Zn酸化物等の金属酸化物を用いてもよい。具体的には、酸化物243aおよび酸化物243bに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物243aおよび酸化物243bの膜厚は、0.5nm以上5nm以下が好ましく、より好ましくは1nm以上3nm以下、さらに好ましくは1nm以上2nm以下である。また、酸化物243aおよび酸化物243bは、結晶性を有すると好ましい。酸化物243aおよび酸化物243bが結晶性を有する場合、酸化物230中の酸素の放出を好適に抑制することが出来る。例えば、酸化物243aおよび酸化物243bとしては、六方晶などの結晶構造であれば、酸化物230中の酸素の放出を抑制できる場合がある。
導電体242a、および導電体242bは、それぞれ酸化物243a上、および酸化物243b上に設けられる。導電体242aおよび導電体242bは、それぞれトランジスタ200のソース電極またはドレイン電極として機能する。
導電体242a、および導電体242bとしては、例えば、タンタルを含む窒化物、チタンを含む窒化物、モリブデンを含む窒化物、タングステンを含む窒化物、タンタルおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物などを用いることが好ましく、タンタルを含む窒化物が特に好ましい。また、例えば、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いてもよい。これらの材料は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
なお、酸化物230b、酸化物230cなどに含まれる水素が、導電体242aまたは導電体242bに拡散する場合がある。特に、導電体242aおよび導電体242bに、タンタルを含む窒化物を用いることで、酸化物230b、酸化物230cなどに含まれる水素は、導電体242aまたは導電体242bに拡散しやすく、拡散した水素は、導電体242aまたは導電体242bが有する窒素と結合することがある。つまり、酸化物230b、酸化物230cなどに含まれる水素は、導電体242aまたは導電体242bに吸い取られる場合がある。
また、導電体242aの側面と導電体242aの上面との間、および、導電体242bの側面と導電体242bの上面との間に、湾曲面を有する場合がある。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲している場合がある。湾曲面は、例えば、導電体242aおよび導電体242bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とする。端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
絶縁体272は、導電体242aおよび導電体242bの上面に接して設けられており、バリア層として機能することが好ましい。当該構成にすることで、導電体242aおよび導電体242bによる、絶縁体280が有する過剰酸素の吸収を抑制することができる。また、導電体242aおよび導電体242bの酸化を抑制することで、トランジスタ200と配線とのコンタクト抵抗の増加を抑制することができる。よって、トランジスタ200に良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
したがって、絶縁体272は、酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体272は、絶縁体280よりも酸素の拡散を抑制する機能が高いことが好ましい。絶縁体272としては、例えば、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。また、絶縁体272としては、例えば、窒化アルミニウムを含む絶縁体を用いればよい。
また、絶縁体272形成時に絶縁体224に酸素を供給することができる場合がある。絶縁体224に供給された酸素は、絶縁体272および絶縁体273によって、絶縁体224が封止されるので、外方へ拡散することを抑制し、酸化物230へ効率良く供給することができる。また、絶縁体224中の水素が絶縁体272または絶縁体273に吸収される場合があり、好ましい。
絶縁体250は、第1のゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、酸化物230cの少なくとも一部に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
絶縁体250は、絶縁体224と同様に、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230cの少なくとも一部に接して設けることにより、酸化物230のチャネル形成領域に効果的に酸素を供給し、酸化物230のチャネル形成領域の酸素欠損を低減することができる。したがって、電気特性の変動が抑制され、安定した電気特性を有するとともに、信頼性を向上させたトランジスタを提供することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水、水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
なお、図24Bおよび図24Cでは、絶縁体250を単層で図示したが、2層以上の積層構造としてもよい。絶縁体250を2層の積層構造とする場合、絶縁体250の下層は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成し、絶縁体250の上層は、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体を用いて形成することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体250の下層に含まれる酸素が、導電体260へ拡散するのを抑制することができる。つまり、酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250の下層に含まれる酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。例えば、絶縁体250の下層は、上述した絶縁体250に用いることができる材料を用いて設け、絶縁体250の上層は、絶縁体222と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、絶縁体250の下層に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、絶縁体250の上層は、比誘電率が高いhigh-k材料である絶縁性材料を用いてもよい。ゲート絶縁体を、絶縁体250の下層と絶縁体250の上層との積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
絶縁体250の上層として、具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウムなどから選ばれた一種、もしくは二種以上が含まれた金属酸化物、または酸化物230として用いることができる金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いることが好ましい。
また、絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素の拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体250から導電体260への酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250の酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
なお、上記金属酸化物は、第1のゲート電極の一部としての機能を有することが好ましい。例えば、酸化物230として用いることができる金属酸化物を、上記金属酸化物として用いることができる。その場合、導電体260aをスパッタリング法で成膜することで、上記金属酸化物の電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
上記金属酸化物を有することで、導電体260からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ200のオン電流の向上を図ることができる。また、絶縁体250と、上記金属酸化物との物理的な厚みにより、導電体260と、酸化物230との間の距離を保つことで、導電体260と酸化物230との間のリーク電流を抑制することができる。また、絶縁体250、および上記金属酸化物との積層構造を設けることで、導電体260と酸化物230との間の物理的な距離、および導電体260から酸化物230へかかる電界強度を、容易に適宜調整することができる。
導電体260は、トランジスタ200の第1のゲート電極として機能する。導電体260は、導電体260aと、導電体260aの上に配置された導電体260bと、を有することが好ましい。例えば、導電体260aは、導電体260bの底面および側面を包むように配置されることが好ましい。なお、図24Bおよび図24Cでは、導電体260は、導電体260aと導電体260bの2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
導電体260aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、導電体260bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
また、トランジスタ200では、導電体260は、絶縁体280などに形成されている開口を埋めるように自己整合的に形成される。導電体260をこのように形成することにより、導電体242aと導電体242bとの間の領域に、導電体260を位置合わせすることなく確実に配置することができる。
また、図24Cに示すように、トランジスタ200のチャネル幅方向において、導電体260の、導電体260と酸化物230bとが重ならない領域の底面は、酸化物230bの底面より低いことが好ましい。ゲート電極として機能する導電体260が、絶縁体250などを介して、酸化物230のチャネル形成領域の側面および上面を覆う構成とすることで、導電体260の電界を酸化物230のチャネル形成領域全体に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。
絶縁体280は、絶縁体273上に設けられる。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。
絶縁体280中の水、水素などの不純物濃度は低減されていることが好ましい。また、絶縁体280は、水素濃度が低く、過剰酸素領域または過剰酸素を有することが好ましく、例えば、絶縁体216と同様の材料を用いて設けてもよい。また、絶縁体280は、上記の材料が積層された構造でもよく、例えば、スパッタリング法で成膜した酸化シリコンと、その上にCVD法で成膜した酸化窒化シリコンの積層構造とすればよい。また、さらに上に窒化シリコンを積層してもよい。
絶縁体282または絶縁体283は、水、水素などの不純物が、上方から絶縁体280に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。また、絶縁体282または絶縁体283は、酸素の透過を抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁体282および絶縁体283としては、例えば、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどの絶縁体を用いればよい。例えば、絶縁体282として、酸素に対してブロッキング性が高い酸化アルミニウムを用い、絶縁体283として、水素に対してブロッキング性が高い窒化シリコンを用いればよい。
導電体240aおよび導電体240bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240aおよび導電体240bは積層構造としてもよい。
また、導電体240aおよび導電体240bを積層構造とする場合、絶縁体284、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体273、および絶縁体272と接する導電体には、水、水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水、水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体280に添加された酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。また、絶縁体284より上層に含まれる水、水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
絶縁体241aおよび絶縁体241bとしては、例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化酸化シリコンなどの絶縁体を用いればよい。絶縁体241aおよび絶縁体241bは、絶縁体273および絶縁体272に接して設けられるので、絶縁体280などに含まれる水、水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
また、導電体240aの上面に接して配線として機能する導電体246aを配置し、導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体246bを配置してもよい。導電体246aおよび導電体246bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
絶縁体286は、導電体246a上、導電体246b上、および絶縁体284上に設けられる。これにより、導電体246aの上面、導電体246aの側面、導電体246bの上面、および導電体246bの側面は、絶縁体286と接し、導電体246aの下面および導電体246bの下面は、絶縁体284と接する。つまり、導電体246aおよび導電体246bは、絶縁体284、および絶縁体286で包まれる構成とすることができる。当該構成とすることで、外方からの酸素の透過を抑制し、導電体246aおよび導電体246bの酸化を防止することができる。また、導電体246aおよび導電体246bから、水、水素などの不純物が外部に拡散することを防ぐことができるので好ましい。
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
[基板]
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムからなる半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
[絶縁体]
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などがある。
また、金属酸化物を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、またはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコンなどの金属窒化物を用いることができる。
また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体は、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
[導電体]
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
本発明の一態様により、オン電流が大きい半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、トランジスタ特性のばらつきが少ない半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、図25A、図25Bおよび図26A乃至図26Hを用いて、本発明の一態様の金属酸化物を半導体に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ場合がある。)、および容量素子が適用されている記憶装置(以下、OSメモリ装置と呼ぶ場合がある。)について説明する。OSメモリ装置は、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有する記憶装置である。OSトランジスタのオフ電流は極めて小さいので、OSメモリ装置は優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
<記憶装置の構成例>
図25AにOSメモリ装置の構成の一例を示す。記憶装置1400は、周辺回路1411、およびメモリセルアレイ1470を有する。周辺回路1411は、行回路1420、列回路1430、出力回路1440、およびコントロールロジック回路1460を有する。
列回路1430は、例えば、列デコーダ、プリチャージ回路、センスアンプ、書き込み回路等を有する。プリチャージ回路は、配線をプリチャージする機能を有する。センスアンプは、メモリセルから読み出されたデータ信号を増幅する機能を有する。なお、上記配線は、メモリセルアレイ1470が有するメモリセルに接続されている配線であり、詳しくは後述する。増幅されたデータ信号は、出力回路1440を介して、データ信号RDATAとして記憶装置1400の外部に出力される。また、行回路1420は、例えば、行デコーダ、ワード線ドライバ回路等を有し、アクセスする行を選択することができる。
記憶装置1400には、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、周辺回路1411用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイ1470用の高電源電圧(VIL)が供給される。また、記憶装置1400には、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。アドレス信号ADDRは、行デコーダおよび列デコーダに入力され、データ信号WDATAは書き込み回路に入力される。
コントロールロジック回路1460は、外部から入力される制御信号(CE、WE、RE)を処理して、行デコーダ、列デコーダの制御信号を生成する。制御信号CEは、チップイネーブル信号であり、制御信号WEは、書き込みイネーブル信号であり、制御信号REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路1460が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
メモリセルアレイ1470は、行列状に配置された、複数個のメモリセルMCと、複数の配線を有する。なお、メモリセルアレイ1470と行回路1420とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一列に有するメモリセルMCの数などによって決まる。また、メモリセルアレイ1470と列回路1430とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一行に有するメモリセルMCの数などによって決まる。
なお、図25Aにおいて、周辺回路1411とメモリセルアレイ1470を同一平面上に形成する例について示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、図25Bに示すように、周辺回路1411の一部の上に、メモリセルアレイ1470が重なるように設けられてもよい。例えば、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にしてもよい。
図26A乃至図26Hに上述のメモリセルMCに適用できるメモリセルの構成例について説明する。
[DOSRAM]
図26A乃至図26Cに、DRAMのメモリセルの回路構成例を示す。本明細書等において、1OSトランジスタ1容量素子型のメモリセルを用いたDRAMを、DOSRAM(登録商標)(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶ場合がある。図26Aに示す、メモリセル1471は、トランジスタM1と、容量素子CAと、を有する。なお、トランジスタM1は、ゲート(トップゲートと呼ぶ場合がある。)、及びバックゲートを有する。
トランジスタM1の第1端子は、容量素子CAの第1端子と接続され、トランジスタM1の第2端子は、配線BILと接続され、トランジスタM1のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLと接続されている。容量素子CAの第2端子は、配線CALと接続されている。
配線BILは、ビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量素子CAの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、及び読み出し時において、配線CALには、低レベル電位を印加するのが好ましい。配線BGLは、トランジスタM1のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM1のしきい値電圧を増減することができる。
また、メモリセルMCは、メモリセル1471に限定されず、回路構成の変更を行うことができる。例えば、メモリセルMCは、図26Bに示すメモリセル1472のように、トランジスタM1のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図26Cに示すメモリセル1473ように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM1で構成されたメモリセルとしてもよい。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1471等に用いる場合、トランジスタM1としてトランジスタ200を用いることができる。トランジスタM1としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM1のリーク電流を非常に小さくすることができる。つまり、書き込んだデータをトランジスタM1によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。または、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に小さいため、メモリセル1471、メモリセル1472、メモリセル1473に対して多値データ、又はアナログデータを保持することができる。
また、DOSRAMにおいて、上記のように、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にすると、ビット線を短くすることができる。これにより、ビット線容量が小さくなり、メモリセルの保持容量を低減することができる。
[NOSRAM]
図26D乃至図26Gに、2トランジスタ1容量素子のゲインセル型のメモリセルの回路構成例を示す。図26Dに示す、メモリセル1474は、トランジスタM2と、トランジスタM3と、容量素子CBと、を有する。なお、トランジスタM2は、トップゲート、及びバックゲートを有する。本明細書等において、トランジスタM2にOSトランジスタを用いたゲインセル型のメモリセルを有する記憶装置を、NOSRAM(登録商標)(Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM)と呼ぶ場合がある。
トランジスタM2の第1端子は、容量素子CBの第1端子と接続され、トランジスタM2の第2端子は、配線WBLと接続され、トランジスタM2のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM2のバックゲートは、配線BGLと接続されている。容量素子CBの第2端子は、配線CALと接続されている。トランジスタM3の第1端子は、配線RBLと接続され、トランジスタM3の第2端子は、配線SLと接続され、トランジスタM3のゲートは、容量素子CBの第1端子と接続されている。
配線WBLは、書き込みビット線として機能し、配線RBLは、読み出しビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量素子CBの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、データ保持の最中、データの読み出し時において、配線CALには、低レベル電位を印加するのが好ましい。配線BGLは、トランジスタM2のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM2のしきい値電圧を増減することができる。
また、メモリセルMCは、メモリセル1474に限定されず、回路の構成を適宜変更することができる。例えば、メモリセルMCは、図26Eに示すメモリセル1475のように、トランジスタM2のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図26Fに示すメモリセル1476のように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM2で構成されたメモリセルとしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図26Gに示すメモリセル1477のように、配線WBLと配線RBLを一本の配線BILとしてまとめた構成であってもよい。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1474等に用いる場合、トランジスタM2としてトランジスタ200を用いることができる。トランジスタM2としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM2のリーク電流を非常に小さくすることができる。これにより、書き込んだデータをトランジスタM2によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。または、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に小さいため、メモリセル1474に多値データ、又はアナログデータを保持することができる。メモリセル1475乃至メモリセル1477も同様である。
なお、トランジスタM3は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタと呼ぶ場合がある)であってもよい。Siトランジスタの導電型は、nチャネル型としてもよいし、pチャネル型としてもよい。Siトランジスタは、OSトランジスタよりも電界効果移動度が高くなる場合がある。よって、読み出しトランジスタとして機能するトランジスタM3として、Siトランジスタを用いてもよい。また、トランジスタM3にSiトランジスタを用いることで、トランジスタM3の上に積層してトランジスタM2を設けることができるので、メモリセルの占有面積を低減し、記憶装置の高集積化を図ることができる。
また、トランジスタM3はOSトランジスタであってもよい。トランジスタM2およびトランジスタM3にOSトランジスタを用いた場合、メモリセルアレイ1470をn型トランジスタのみを用いて回路を構成することができる。
また、図26Hに3トランジスタ1容量素子のゲインセル型のメモリセルの一例を示す。図26Hに示すメモリセル1478は、トランジスタM4乃至トランジスタM6、および容量素子CCを有する。容量素子CCは適宜設けられる。メモリセル1478は、配線BIL、配線RWL、配線WWL、配線BGL、および配線GNDLに電気的に接続されている。配線GNDLは低レベル電位を与える配線である。なお、メモリセル1478を、配線BILに代えて、配線RBL、配線WBLに電気的に接続してもよい。
トランジスタM4は、バックゲートを有するOSトランジスタであり、バックゲートは配線BGLに電気的に接続されている。なお、トランジスタM4のバックゲートとゲートとを互いに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタM4はバックゲートを有さなくてもよい。
なお、トランジスタM5、トランジスタM6はそれぞれ、nチャネル型Siトランジスタまたはpチャネル型Siトランジスタでもよい。或いは、トランジスタM4乃至トランジスタM6がOSトランジスタでもよい、この場合、メモリセルアレイ1470をn型トランジスタのみを用いて回路を構成することができる。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1478に用いる場合、トランジスタM4としてトランジスタ200を用いることができる。トランジスタM4としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM4のリーク電流を非常に小さくすることができる。
なお、本実施の形態に示す、周辺回路1411、メモリセルアレイ1470等の構成は、上記に限定されるものではない。これらの回路、および当該回路に接続される配線、回路素子等の、配置または機能は、必要に応じて、変更、削除、または追加してもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の半導体装置が実装された記憶装置、チップ、および電子機器について説明する。
<記憶装置>
先の実施の形態に示す半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステムなど)の記憶装置に適用できる。ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。または、先の実施の形態に示す半導体装置は、メモリカード(例えば、SDカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置に適用される。
<チップ>
チップには、複数の回路(システム)が実装されている。このように、複数の回路(システム)を一つのチップに集積する技術を、システムオンチップ(System on Chip:SoC)と呼ぶ場合がある。
チップは、CPU、GPU、一または複数のアナログ演算部、一または複数のメモリコントローラ、一または複数のインターフェース、一または複数のネットワーク回路等を有する。
チップにはバンプが設けられ、プリント基板(Printed Circuit Board:PCB)の第1の面と接続する。また、PCBの第1の面の裏面には、複数のバンプが設けられており、マザーボードと接続する。
マザーボードには、DRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置が設けられていてもよい。例えば、DRAMに先の実施の形態に示すDOSRAMを用いることができる。また、例えば、フラッシュメモリに先の実施の形態に示すNOSRAMを用いることができる。
CPUは、複数のCPUコアを有することが好ましい。また、GPUは、複数のGPUコアを有することが好ましい。また、CPU、およびGPUは、それぞれ一時的にデータを格納するメモリを有していてもよい。または、CPU、およびGPUに共通のメモリが、チップに設けられていてもよい。該メモリには、前述したNOSRAMや、DOSRAMを用いることができる。また、GPUは、多数のデータの並列計算に適しており、画像処理や積和演算に用いることができる。GPUに、本発明の酸化物半導体を用いた画像処理回路や、積和演算回路を設けることで、画像処理、および積和演算を低消費電力で実行することが可能になる。
アナログ演算部はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、およびD/A(デジタル/アナログ)変換回路の一、または両方を有する。また、アナログ演算部に上記積和演算回路を設けてもよい。
メモリコントローラは、DRAMのコントローラとして機能する回路、およびフラッシュメモリのインターフェースとして機能する回路を有する。
インターフェースは、表示装置、スピーカ、マイクロフォン、カメラ、コントローラなどの外部接続機器とのインターフェース回路を有する。
ネットワーク回路は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク用の回路を有する。また、ネットワークセキュリティー用の回路を有してもよい。
GPUを有するチップが設けられたPCB、DRAM、およびフラッシュメモリが設けられたマザーボードは、GPUモジュールと呼ぶことができる。
GPUモジュールは、SoC技術を用いたチップを有しているため、そのサイズを小さくすることができる。また、画像処理に優れていることから、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップPC、携帯型(持ち出し可能な)ゲーム機などの携帯型電子機器に用いることが好適である。また、GPUを用いた積和演算回路により、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの手法を実行することができるため、チップをAIチップ、またはGPUモジュールをAIシステムモジュールとして用いることができる。
<電子機器>
上記GPUまたは上記チップは、様々な電子機器に搭載することができる。電子機器の例としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型またはノート型の情報端末用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機、大型コンピュータなどの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、電子ブックリーダー、携帯電話(スマートフォン)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、移動体、電化製品、などが挙げられる。移動体としては、例えば、自動車、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)などが挙げられる。また、電化製品としては、例えば、電気冷凍冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、電子オーブン、炊飯器、湯沸かし器、IH調理器、ウォーターサーバ、エアーコンディショナーを含む冷暖房器具、洗濯機、乾燥機、オーディオビジュアル機器などが挙げられる。また、上記GPUまたは上記チップを電子機器に設けることにより、電子機器に人工知能を搭載することができる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
本実施の形態で説明した電子機器、その電子機器の機能、人工知能の応用例、その効果などは、他の電子機器の記載と適宜組み合わせることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。