JP7673445B2 - 化粧板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧板及び化粧板の製造方法に関するものである。
内外装用建材、例えば家具や台所製品のキャビネット、各種カウンター及び机等に用いられる天板、ドア等の住宅用建材には、耐傷性、耐衝撃性、耐熱性、耐汚染性等において優れた特性を有することから、高圧メラミン樹脂化粧板、低圧メラミン樹脂化粧板、ジアリルフタレート(DAP)樹脂化粧板、ポリエステル化粧板、グアナミン樹脂化粧板、フェノール樹脂化粧板等の熱硬化性樹脂化粧板が用いられる。
近年の消費者の高級品志向の高まりに伴い、これらの熱硬化性樹脂化粧板には、より本物の木材、石材、布地、皮革等の素材の表面凹凸形状、特に絵柄模様と位置同調した表面凹凸形状の視覚的外観に近いリアル感(以降、これ単に「リアル感」と記載する。)、高級感を有するものが望まれるようになっている。リアル感、高級感を向上させる手法としては、化粧板の少なくとも表面層に凹凸形状を付与する方法、例えばエンボス版、賦型シート、賦型シートの賦型面上に絵柄転写層を離型可能に積層してなる転写シート等を用いたエンボス加工によりリアル感の向上を図る方法が古くから実施されていた。但し、エンボス加工によるリアル感向上のためには、別途エンボス版の製版工程、及びエンボス加工により凹凸を形成する為の樹脂層を形成する工程が必要である。更にエンボス版製版とエンボス加工を行うため、製造工程が長くなる。また、表面に凹凸があるため、凹部に汚れがたまるなど、汚染の問題も生じ、更に木目等の絵柄にリアル感や高級感を付与するためにエンボス加工を行う場合、木目等の絵柄とエンボス加工の位置を調整即ち見当合せする必要もあるが、見当合せの難度は高く、良品の歩留まりも低下する。
斯かるエンボス加工の有する製造工程の長さ、及び見当合せの難度と歩留まり低下を解決して化粧板表面に凹凸形状を付与する方法として、例えば、特許文献1には、表面の一部の領域に絵柄模様状に離型層を有し、前記離型層を有しない表面の残部の領域に、熱硬化性樹脂層を有する化粧板の構成とすることにより、離型層の絵柄模様と正確に見当の合った鮮明な凹凸形状の意匠感を表現したリアル感に優れた化粧板及び其の製造方法が提案されている。
特開2016-182808号公報
但し、特許文献1に開示の化粧板及び其の製造方法に於いても、依然として、絵柄模様と位置同調した表面凹凸形状の発現と凹部への汚染物の滯留による防汚性の発現とが両立し無いことが課題として殘っていた。
本発明は、このような状況下になされたもので、防汚性に優れ、絵柄模様と位置同調した表面凹凸形状発現によるリアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を有する化粧板及び該化粧版の簡易な製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構成を有する化粧板に係る発明により前記課題を解決できることを見出した。
本発明は、[1]~[17]を提供することを目的とする。
[1] 下記(1)~(5)の工程を有する、化粧板の製造方法。
(1) 離型性支持体の一方の側の一部に剥離層を形成するとともに、離型性支持体の剥離層を形成した側であって、かつ少なくとも剥離層を有さない部分に、プライマー層を形成し、シート(1)を得る工程。
(2) 前記シート(1)の前記剥離層側に、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した基材(1)を重ねた、積層体(A)を得る工程。
(3) 前記積層体(A)の両面を鏡面板で挟んだ状態で熱プレスすることにより、前記未硬化の熱硬化性樹脂の一部を前記転写シートの前記プライマー層に染み込ませるとともに、前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化する工程。
(4)前記鏡面板間から前記積層体(A)を取り出す工程。
(5)前記積層体(A)から、前記離型性支持体を剥離除去し、面内に前記剥離層を有する第一領域と、面内に前記剥離層を有さない第二領域とを有する、化粧板を得る工程。
[2] 前記工程(1)において、前記シート(1)のプライマー層上に装飾層を形成する工程を更に含む、[1]に記載の化粧板の製造方法。
[3] 前記基材(1)が、コア層上に形成された基材である、[1]又は[2]に記載の化粧板の製造方法。
[4] 前記化粧板における、前記第一領域及び前記第二領域を有する表面において、前記第一領域の標高と前記第二領域の標高との差が、1μm以内である、[1]~[3]のいずれか1に記載の化粧板の製造方法。
[5] 前記第一領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n1)と、前記第二領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n2)が、n1<n2の関係を満たす、[1]~[4]のいずれか1に記載の化粧板の製造方法。
[6] 前記工程(1)において、前記離型性支持体として、離型性支持体上に離型層を有する離型性支持体を用い、前記離型層上に前記剥離層を形成する、[1]~[5]のいずれか1に記載の化粧板の製造方法。
[7] 前記工程(1)において、前記プライマー層を前記剥離層上にも形成する、[1]~[6]のいずれか1に記載の化粧板の製造方法。
[8] 前記剥離層が、反応性シリコーンを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、[1]~[8]のいずれか1に記載の化粧板の製造方法。
[9] 基材上に、樹脂層を有し、前記樹脂層は表面に第一領域及び第二領域を有し、第一領域の標高と第二領域の標高との差が1μm以下であり、前記第一領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n1)と、前記第二領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n2)が、n1<n2の関係を満たす、化粧板。
[10] 前記化粧板の少なくとも一方の最表面が、前記第一領域及び前記第二領域を含む、[9]に記載の化粧板。
[11] 前記第一領域に相当する樹脂層は、前記基材側から剥離層を有し、前記第二領域に相当する樹脂層は、前記基材側からプライマー層を有する、[9]又は[10]に記載の化粧板。
[12] 前記第一領域に相当する樹脂層は、前記基材側からプライマー層及び剥離層をこの順に有し、前記第二領域に相当する樹脂層は、前記基材側からプライマー層を有する、[9]~[11]のいずれか1に記載の化粧板。
[13] 前記基材と前記樹脂層との間に装飾層を有する、[9]~[12]のいずれか1に記載の化粧板。
[14] 前記基材の、前記樹脂層とは逆の側に、コア層を更に含む、[9]~[13]のいずれか1に記載の化粧板。
[15] 前記第一領域に相当する樹脂層の表面が、反応性シリコーンを含む電離放射線硬化性モノマーの硬化物を含む、[9]~[14]のいずれか1に記載の化粧板。
[16] 前記第一領域におけるトリアジン残基の含有量(TA1)と、第二領域におけるトリアジン残基の含有量(TA2)が、TA1<TA2の関係を満たす、[9]~[15]のいずれか1に記載の化粧板。
[17] 前記化粧板の少なくとも一方の最表面における、前記第一領域の水の接触角(θ1)及び前記第二領域の水の接触角(θ2)が、θ1>θ2の関係を満たす、[9]~[16]のいずれか1に記載の化粧板。
本発明によれば、防汚性に優れ、リアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を有する化粧板及び該化粧版の簡易な製造方法を提供することができる。
本発明の化粧板の一例の外観を示す模式斜視図である。 本発明の転写シートの一例の断面視の層構成を示す模式図である。 本発明の転写シートの一例の断面視の層構成を示す模式図である。 本発明の転写シートの一例の断面視の層構成を示す模式図である。 剥離性支持体を剥離除去の概念図である。 化粧板の模式図である。
〔化粧板〕
本発明の化粧板は、基材上に、樹脂層を有し、前記樹脂層は表面に第一領域及び第二領域を有し、第一領域の標高と第二領域の標高との差が1μm以下であり、前記第一領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n1)と、前記第二領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n2)が、n1<n2の関係を満たす、化粧板である。
本発明の化粧板の形状としては、特に制限はなく、所望に応じて適宜選択すればよく、例えば、平板状のものでもよいし、曲面を有するものでもよいし、また角を有するもの等の非平板状のものであってもよい。図1には、平板状の化粧板が示されているが、本発明の化粧板の形状は、これに限られるものではない。化粧板の製造のしやすさ、用途等を考慮すると、平板状であることが好ましい。
<樹脂層>
本発明の化粧板は、樹脂層を有し、前記樹脂層は表面に第一領域及び第二領域を有することを要する。
第一領域の標高と第二領域の標高は、後記するようにそれら領域が含む層により変わるが、化粧板表面に十分な防汚性を確保する為に、視覚的に、第一領域の標高と第二領域の標高が実質的に同一である(則ち、両領域間に実質的に標高差が無い)事に特徴が有る。ここで、「視覚的に第一領域の標高と第二領域の標高が実質的に同一」とは、第一領域の標高と第二領域のとの標高の差が1μm以下であることを要する。
本明細書において「標高」とは、化粧材の厚み方向を意味し、図6のz方向を意味している。なお、特定の箇所(特定の面、特定の位置等)の標高が高い(又は低い)とは、特定の箇所の厚み方向であるz座標の値が相対的に大きい(又は小さい)ことを意味する。図6においては、特定の箇所が同図の上方にあるほど標高が高く、特定の箇所が同図の下方にあるほど標高が低いことを意味する。
第一領域と第二領域との両領域間の標高との差は、表面の凹部に汚れがたまることを改善し、防汚性を向上するために、且つ両領域間の標高差に起因する物理的な立体感(あるいは凹凸感)が後述の両領域間の屈折率差に基づく立体感の発現を阻害することを防止するために、両領域間の標高の差は、可視光線の最大波長である0.8μm以下が好ましく、0.6μm以下とすることがより好ましく、可視光線の最小波長である0.4μm以下とすることが更に好ましく、下限値としては特に制限はなく0μmが最も好ましい。但し、両領域間の標高の差を完全に0μmとすることが難しい場合は、製造工程や材料選択を複雑にしたり、製造原価を高騰させることのない範囲で、視覚的に両領域間の標高差(即ち凹凸)が実質的に感じられない程度に収まり、且つ十分な防汚性が確保できていれば良い。両領域、裝飾層、或いは其の両者の平面視形状(絵柄パターン)にも依存はするが、一般的には、両領域間の標高差が0.3μmとされていれば十分である。ここで、実質的にとは、視覚的に判別可能な閾値以下であるということを意味する。
第一領域の標高と第二領域の標高との差は、例えば実施例記載の方法により決定することができる。
前記第一領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n1)と、前記第二領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n2)は異なる。n1及びn2は、前記第一領域の表面に含まれる樹脂及び前記第二領域の表面に含まれる樹脂により変わり、その絶対値は適宜調整することができる。表面の各領域間の光反射率差によって、後述の如き原理機構に基づき、物理的標高差が実質0であるにも拘らず、視覚的には凹凸形状と認識できることによる立体感を伴った高い意匠性を付与するために、n1<n2の関係を満たすことを要する。
即ち、第一領域の表面に含まれる樹脂の屈折率をn1、前記第二領域の表面に含まれる樹脂の屈折率をn2、空気の屈折率をn0としたとき、第一領域表面の光の反射率R1は、空気中から第一領域の表面への光の入射角をφとすると、
R1=tan{φ-sin-1(n0sinφ/n1)}/tan{φ+sin-1(n0sinφ/n1)} [式1’]
R1=sin(φ-sin-1(n0sinφ/n1))/sin(φ+sin-1(n0sinφ/n1)) [式1’’]
となる。ここで、R1、R1は、それぞれ、P偏光成分に対する反射率、S偏光成分に対する反射率である。
(これら式については、光学分野では周知であるが、例えば、「サイエンスライブラリ物理学=9 光学」昭和55年9月30日初版第2刷発行、発行所 株式会社サイエンス社の20~29頁を參照されたし。)
同樣に、空気中から第二領域表面への光の入射角をφとすると、第二領域の表面の光の反射率R2は、P偏光成分及びS偏光成分に対して、それぞれ、
R2=tan{φ-sin-1(n0sinφ/n2)}/tan{φ+sin-1(n0sinφ/n2)} [式2’]
R2=sin(φ-sin-1(n0sinφ/n2))/sin(φ+sin-1(n0sinφ/n2)) [式2’’]
となる。
因みに、原理の理解を容易化し且つ式を簡素化するため、各領域21、22への光の入射角がφ≒0度、即ち、ほぼ垂直入射(光が化粧板3表面の法線Nの方向から入射するという意味)の場合を考える。この場合は、P偏光とS偏光との区別も無くなり、[式1’]~[式2’’]は以下のように簡潔な形に近似できる。
第一領域表面の光の反射率R1=(n1-n0)/(n1+n0) [式1’’’]
第二領域表面の光の反射率R2=(n2-n0)/(n2+n0) [式2’’’]
空気の屈折率はほぼ1のため、n0=1と近似すると、[式1’’’]及び[式2’’’]は更に、
第一領域表面の光の反射率R1=(n1-1)/(n1+1) [式1]
第二領域表面の光の反射率R2=(n2-1)/(n2+1) [式2]
と、近似できる。
[式1’’’]及び[式2’’’]、又は[式1]及び[式2]から明らかなように、
n1<n2 ならば、 R1<R2 [式3]
となる。
[式3]から明らかなように、第一領域の表面に含まれる樹脂の屈折率n1を、(相対的に、)前記第二領域の表面に含まれる樹脂の屈折率n2よりも小にすると、同じ光入射角度で照明して同じ視線方向で観察した場合に、(相対的に、)第一領域表面の光の反射率R1は、第二領域表面の光の反射率R2より小さくなるため、第二領域は第一領域より相対的に明るくなり、明暗差及び光沢差が生じ、立体感が発現することとなる。
より強く立体感を発現し、リアル感や高級感を付与するためには、n1とn2の差を大きくすることが好ましく、n1とn2の差を0.02以上とすることが好ましく、0.03以上とすることがより好ましく、0.05以上とすることが更に好ましい。前記第一領域の表面に含まれる樹脂及び前記第二領域の表面に含まれる樹脂の入手が容易である点及び実用的な化粧材の強度を保つ点から、0.20以下とすることが好ましく、0.18以下とすることがより好ましく、0.16以下とすることが更に好ましい。
n1及びn2は、例えば実施例記載の方法により決定することができる。
本発明において「平面視」とは、本発明の化粧板を、第一領域及び第二領域を有する側(表面側)から平面方向に視認することを意味する。「平面視」の典型的な例は、図1及び2を参照して説明すると、視線方向を化粧板表面の法線方向Nに一致させて目視する場合であるが、本発明における「平面視」はこの形態に限定されず、本発明の化粧板をその第一領域21及び第二領域22からなる樹脂層を有する面の側(表面)から本来想定される視線方向で目視する任意の場合も含む。また、本発明において「断面視」とは、図1に示されるように、本発明の化粧板の表面の法線方向Nと平行な断面を法線方向N及び当該断面と垂直な方向から視認することを意味し、少なくとも本発明の化粧板の断面形状が視認できる程度の方向から目視する任意の場合も含む。
本発明の化粧板は、リアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を得るために、少なくとも一方の最表面が、前記第一領域及び前記第二領域を含むことが好ましく、化粧板の主面の視認者が視認する側の最表面が前記第一領域及び前記第二領域を含むことがより好ましい。
前記第一領域に相当する樹脂層は、リアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を得るために、後記する基材側から後記する剥離層を有していることが好ましく、前記基材側から後記するプライマー層及び剥離層をこの順に有していることが好ましい。
前記第二領域に相当する樹脂層は、リアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を得るために、後記する基材側から後記するプライマー層を有することが好ましい。
前記化粧板の少なくとも一方の最表面における、前記第一領域の面積(S1)及び前記第二領域の面積(S2)は、求める意匠性に応じて適宜調整可能である。リアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を得るために、前記最表面に対するS1及びS2の合計の割合は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、前記最表面は実質的に第一領域及び第二領域のみからなることが更に好ましい。
前記第一領域の面積(S1)及び前記第二領域の面積(S2)の面積比の値[(S1)/(S2)]は、求める意匠性に応じて適宜調整可能であるが、10/90以上、90/10以下であることが好ましく、20/80以上、80/20以下であることがより好ましく、30/70以上、70/30以下であることが更に好ましい。
(第一領域)
前記第一領域は、樹脂層の最表面に剥離層を有することが好ましい。該剥離層により、後記する離型性支持体の剥離除去が容易になり、更に後記する基材(1)に含浸させた未硬化の熱硬化性樹脂が第一領域に染み込みにくくなる。これにより第一領域は、後記する第二領域と、異なる樹脂組成となり、前記のn1<n2とすることができる。
(剥離層)
本発明の化粧板における剥離層は、反応性シリコーンを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。反応性シリコーンを含むことにより、基材(1)に含浸させた未硬化の熱硬化性樹脂が第一領域の剥離層に染み込みにくくなるため、簡易な製造方法により、リアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を有する化粧板が得られるため好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物のことである。電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物を含むものである。ここで、電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する官能基等が好ましく挙げられる。また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、反応性シリコーンを含む電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂としては、反応性シリコーンを含む電離放射線硬化性樹脂と、反応性シリコーンを含む電離放射線硬化性樹脂とを併用することがより好ましい。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、より質感の高い意匠性及びより優れた表面特性を得る観点から、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーが好ましい。
より質感の高い意匠性及びより優れた表面特性を得る観点から、官能基数は好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
このような重合性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等の二官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレート;が好ましく挙げられる。中でも、より質感の高い意匠性及びより優れた表面特性を得る観点から、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール系重合性モノマーが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがより好ましく、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとを併用することが特に好ましい。
重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカプロラクトンウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカプロラクトンジオールウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
より質感の高い意匠性及びより優れた表面特性を得る観点から、これらの重合性オリゴマーの官能基数は、好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、より質感の高い意匠性及びより優れた表面特性を得る観点、第二硬化物層の形成のしやすさ等を考慮すると、500以上が好ましく、より好ましくは1,000以上であり、上限として好ましくは80,000以下、より好ましくは50,000以下である。本明細書において、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
反応性シリコーンとしては、ポリシロキサン構造を基本構造とするものが挙げられ、更に少なくとも1つの反応性官能基を有する。反応性官能基としては電離性放射線硬化性官能基が好ましい。
反応性シリコーンは、その側鎖及び末端の少なくともいずれかに有機基が導入された変性シリコーンオイルが好ましく、両末端に有機基が導入された変性シリコーンオイルがより好ましい。有機基としては、より質感の高い意匠性を得る観点から、(メタ)アクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルビノール基、フェノール基、カルボキシル基等の反応性官能基、ポリエーテル基、アラルキル基、フロロアルキル基、アルキル基、脂肪酸アミド基、フェニル基等の非反応性基官能基等が好ましく挙げられる。中でも反応性官能基が好ましく、特に(メタ)アクリル基が好ましい、すなわち特に(メタ)アクリル変性シリコーンオイルが好ましい。また、これらの有機基は窒素原子、硫黄原子、水酸基、アルキル基等の置換基を有していてもよい。
反応性シリコーンの含有量は、剥離層を形成する樹脂成分全量に対し、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%、更に好ましくは0.8~2質量%である。反応性シリコーンの含有量が上記範囲内であると、効率的に反応性シリコーンの添加効果が得られる。
電離放射線硬化性樹脂組成物が紫外線硬化タイプの場合、電離放射線硬化性樹脂組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。
剥離層は、無機フィラーを含むことが好ましい。無機フィラーを含むことにより、視覚的に明暗差がつくため、より質感の高い意匠性が得られることとなる。
無機フィラーとしては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニア等の酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸等のケイ酸塩等の無機材料からなる粒子が挙げられる。中でも、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物が好ましく、特にシリカが好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、より質感の高い意匠性を得る観点から、好ましくは0.3μm以上、20μm以下、より好ましくは0.5μm以上、10μm以下である。本明細書において、フィラーの平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定される値である。
これらの無機フィラーは表面処理されたものであることが好ましい。無機フィラーを表面処理する表面処理剤としては、アルコキシシラン、また(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、ビニル基、スチリル基、アミノ基、イソシアネート基、ウレイド基、スルフィド基、メルカプト基等の反応性基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。より質感の高い意匠性を得る観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、ビニル基、アミノ基を有するシランカップリング剤、すなわち(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤が好ましい。これらの表面処理剤は、単独で、又は複数種を混合して用いてもよい。
アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシランが好ましく挙げられる。
また、(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤としては、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどが好ましく挙げられ、エポキシ系シランカップリング剤としては、ジエトキシ(グリシディルオキシプロピル)メチルシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが好ましく挙げられ、ビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが好ましく挙げられ、アミノ系シランカップリング剤としては、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が好ましく挙げられる。
上記の中でも、より質感の高い意匠性を得る観点から、無機フィラーとしては、シリカ粒子を、シランカップリング剤で表面処理した表面処理シリカ粒子が好ましい。剥離層に好ましく用いられるシリコーン系離型剤との親和性が高く、反応性シリコーンと無機フィラーとの相乗効果により、特に優れた質感の高い意匠性の向上効果が得られる。
無機フィラーの含有量は、剥離層を形成する樹脂成分100質量部に対して、好ましくは1~50質量部、より好ましくは10~40質量部、更に好ましくは20~35質量部である。無機フィラーの含有量が上記範囲内であると、効率的に無機フィラーの添加効果が得られる。
剥離層は、更に、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、その他所望に応じた各種添加剤、例えば、紫外線遮蔽剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、滑剤、溶剤等の各種添加物を含む未硬化樹脂組成物が挙げられる。これらの耐候剤、その他の添加物は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、化粧板に汎用される紫外線吸収剤を特に制限なく用いることができ、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としても、化粧板に汎用される紫外線吸収剤を特に制限なく用いることができ、例えばピペリジニルセバケート系光安定剤等のヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。これらの耐候剤は、第一硬化物層の強度の向上の観点から、分子中に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する反応性官能基を有するものであってもよい。
剥離層の厚さは、前記第一領域の標高と第二領域の標高との差が1μm以下とできれば特に制限
はなく、通常0.1~20μm程度であり、より容易に質感の高い意匠性を得る観点から、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは1~5μmである。
(第2領域)
前記第二領域は、樹脂層の最表面にプライマー層を有することが好ましい。該プライマー層により、後記する基材(1)に含浸させた未硬化の熱硬化性樹脂が第二領域に染み込みこととなる。これにより第二領域は、前記第一領域と、異なる樹脂組成となり、前記のn1<n2とすることができ好ましい。
(プライマー層)
本発明の化粧板において、プライマー層は、屈折率を調整する役割を有するが、後記するように各層の密着性を向上させるためにも好ましい。
プライマー層12は第一領域21において、図6の図示するように、後記する基材16側からプライマー層12及び剥離層11をこの順に有していてもよい。これにより、剥離層11により、後記する装飾層(1)13の密着性が増すため好ましい。
プライマー層を形成する樹脂材料としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。また、プライマー層の厚さは、優れた密着性を効率よく得る観点から、通常0.1μm~15μm程度、好ましくは0.3μm~10μmであり、更に好ましくは0.5μm~5μmである。
前記の如く、n1<n2の関係から、両領域間の物理的標高差が実質0であるにも拘らず、第一領域と比較して第二領域はより外光を反射することから、第一領域は相対的に暗く見えることによって、視覚的には凹部の外観を発現し、第二領域は相対的に明るく見えることによって、視覚的には凸部の外観を発現することとなる。前記した特許文献1のようにエンボス加工のように化粧板の表面に凹凸をつけることなく、本発明の化粧板は表面凹凸形状の視覚的外観の意匠を発現することができる
本発明の化粧板において、第一領域が呈する模様としては、特に制限はないが、例えば、木目導管模様、大理石板表面の凹部模様(例えば、トラバーチン大理石模様の凹陥部)、花崗岩板の劈開面等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様(テクスチュア)の凹条部、レザーのシボを表現したレザー模様の皺状凹部、タイル貼模様や煉瓦積模様、ヘアラインの凹条部、万線条溝の凹条部、梨地の凹部、砂目の凹部、また文字、記号、幾何学模様状の凹部等、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様が挙げられる。また、これらを複合した模様として、例えば大理石等の石材の砕石を白色セメントに混ぜて固め、磨いて大理石のように仕上げた人造石、いわゆる人造大理石のような模様における凹部も挙げられる。
第一領域の幅は、特に制限はなく、所望の意匠に応じて適宜決定すればよく、その平均値としては0.1~10mm程度であり、特に木目導管模様を採用する場合は、より質感の高い意匠性を得る観点から、好ましくは0.05~2mm、より好ましくは0.1~1mmである。第一領域の幅の平均値は、任意の10箇所の第一領域の最大幅の測定値の平均値とする。
また、第一領域の長さは、特に制限はなく、所望の意匠に応じて適宜決定すればよく、その平均値としては1~300mm程度であり、特に木目導管模様を採用する場合は、より質感の高い意匠性を得る観点から、好ましくは2~50mm、より好ましくは3~45mmである。第一領域の長さの平均値は、任意の10箇所の第一領域の長さの測定値の平均値とする。
第一領域及び第二領域の最表面の算術表面粗さRaは、特に制限はないが、視覚的により凹部形状と視認され、より質感の高い意匠性が得られやすくなることを考慮すると、好ましくは0.2~0.6μm、より好ましくは0.3~0.5μmである。本明細書において、算術表面粗さRaは、カットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:2013の算術平均粗さであり、最表面の任意の十箇所における算術表面粗さRaを測定し、その平均値とする。
<装飾層>
本発明の化粧板は、より質感の高い意匠性を表現し、また多様な意匠性に対応するため、装飾層を有することが好ましい。本発明の化粧板は、前記基材と前記樹脂層との間に装飾層を有することが好ましい。
装飾層は、例えば、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ着色層)であってもよいし、種々の模様により形成される模様層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。例えば、基材等の地色を着色隠蔽する場合には、ベタ着色層とすることで、着色隠蔽しつつ、より質感の高い意匠性が得られ、更に多様な意匠性に対応を表現する観点から、ベタ着色層と模様層とを組み合わせてもよいし、一方、被着材の地模様を生かす場合は、ベタ着色層とせずに模様層のみを設ければよい。
装飾層は、基材と樹脂層との間に有することが好ましい。
装飾層として模様層を有する場合、装飾層が呈する模様としては、前記第一領域が呈する模様として例示した模様、例えば、木目導管模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)、花崗岩板のへき開面等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、レザーのシボを表現したレザー模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、ヘアライン、万線条溝、梨地、砂目、文字、記号、幾何学模様、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様、その他、上記の人造大理石のような模様が挙げられる。
これらの模様の中でも、質感の高い意匠性を有する本発明の化粧板の特徴を考慮すると、模様としては木目導管模様が好ましい。木目導管模様を採用する場合、装飾層の模様に同調するように、より具体的には装飾層の木目導管模様においてより暗色となる導管溝部分に同調する領域を第二模様領域とし、その直上部に第一領域を設けると、該導管溝部分が第一領域と一致するので、該導管溝部分が視覚的により暗く視認されるため、物理的には両領域とも実質的には標高差は0で化粧板表面は実質平坦であるにも拘らず、視覚的には該導管溝部が凹部と視認される。其の結果、表面の防汚性と両立した状態で、より優れた木目導管模様のリアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性が得られる。
例えば、図6に示される化粧板3では、装飾層(1)13の模様に同調するように第一領域21があり、装飾層(1)13の直上にプライマー層12及び剥離層11がこの順で設けられている。また、装飾層(2)の模様に同調する方に第二領域22があり、装飾層(2)14の直上にプライマー層12が設けられている。
かかる構成により装飾層の模様が、第一領域と第二領域の屈折率の差から物理的標高差が実質0で防汚性に優れながら、且つ、視覚的には凹凸形状の意匠外観を発現することとなる。特に、装飾層と第一領域及び第二領域を同調させることにより、例えば本物の木板に近いリアル感とともに高級感も得られ、質感の高い意匠性を有する化粧板となる。
装飾層の厚さは、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよいが、基材等の地色を着色隠蔽し、かつより質感の高い意匠性を得る観点から、0.5~20μmが好ましく、1μm~10μmがより好ましく、2~5μmが更に好ましい。
<基材>
本発明の化粧板に用いられる基材は、後記するように未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させるものである。基材は、剥離層、プライマー層及び好ましく設けられる装飾層を保持する役割を有する。
基材としては、特に制限はなく、所望の性能に応じて適宜選択すればよく、取扱性の観点から紙基材、繊維基材、樹脂基材等が好ましく挙げられ、より優れた機械的物性等を有する化粧板を得る観点から、液体浸透性を有する紙基材、繊維基材がより好ましく、紙基材が更に好ましい。
紙基材としては、例えばクラフト紙、チタン紙、リンター紙、樹脂含浸紙、薄葉紙、和紙等が挙げられる。繊維基材としては、例えば不織布、織布が挙げられ、例えばガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機繊維で構成される繊維基材、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の各種合成樹脂の有機繊維で構成される繊維基材、またこれらの複合体等の基材が挙げられる。
基材の厚さは、特に制限はなく、所望の性能に応じて適宜選択すればよく、未硬化の熱硬化性樹脂を必要量保持することができ、機械的物性の確保、取扱性の観点から通常10~200μm程度、好ましくは20~150μm、更に好ましくは30~120μmである。また、基材として紙基材を用いる場合、これと同様の観点から、その坪量は、通常20~150g/m程度、好ましくは30~100g/mである。
本発明の化粧板の好ましい態様は、基材として熱硬化性樹脂の液体状の未硬化物を含浸させた紙基材又は繊維基材を用いて、加圧成形又は加熱加圧成形を施して得られる熱硬化性樹脂化粧板となる。
熱硬化性樹脂としては、前記のプライマー層に染み込ませることができることを要し、該プライマー層を形成する硬化性樹脂と一体化し得る樹脂が好ましい。かかる構成により、本発明の化粧板の第一領域と第二領域の屈折率差が生じ、高い意匠性が発現するとともに、機械的強度が向上する。
基材に含浸させる硬化性樹脂としては、本発明の化粧板のより質感の高い意匠性を得るとともに、機械的強度の向上を図る観点から、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、メラミン-尿素樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が好ましく挙げられ、メラミン樹脂、尿素樹脂、メラミン-尿素樹脂、グアナミン樹脂、スルホンアミド樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、中でもメラミン樹脂、メラミン-尿素樹脂、フェノール樹脂が好ましく、特にメラミン樹脂が好ましい。
硬化性樹脂としてメラミン樹脂を使用する場合、第一領域の最表面の剥離層にはメラミン樹脂の未硬化物が染み込みにくく、また第二領域の最表面のプライマー層にはメラミン樹脂の未硬化物が染み込みやすいため、第一領域及び第二領域ではメラミン樹脂の未硬化物に由来する成分の含有量に差が生じる。この含有量差により両領域の屈折率差が生じる。
このメラミン樹脂の未硬化物に由来する成分の含有量の差は、メラミン樹脂の骨格中に存在するトリアジン残基の含有量により、評価することが可能である。前記第一領域におけるトリアジン残基の含有量(TA1)と、第二領域におけるトリアジン残基の含有量(TA2)は、TA1<TA2の関係を満たすことが好ましい。
化粧板の少なくとも一方の最表面における、前記第一領域の水の接触角(θ1)及び前記第二領域の水の接触角(θ2)が、θ1>θ2の関係を満たすことが好ましい。第二領域はその最表面が剥離層であり、反応性シリコーンを含む硬化物であることが好ましいため、第一領域と比べ水との接触角が小さくなることが好ましく、θ1>θ2の関係を満たすことが好ましく、θ2-θ1は、意匠性を向上させるためには、10度以上70度以下が好ましい。
基材は、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化等のために、その片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化等のために、基材にプライマー層、裏面プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。
<コア層>
コア層は、本発明の化粧板を補強する層であり、前記基材の、前記樹脂層とは逆の側に、所望に応じて設けられる層である。コア層は、化粧板の種類、用途に応じて各種材料、各種層を構成する材料を用い得るが、特に化粧板が熱硬化性樹脂化粧板の場合は、コア層は、熱硬化性樹脂含浸シートにより形成されることが好ましい。基材として、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維基材又は紙基材を採用した場合、熱硬化性樹脂含浸シートにより形成されるコア層を組み合わせることで、より機械的物性に優れる熱硬化性樹脂化粧板が得られる。
コア層としては、熱硬化性樹脂の液体状の未硬化物を含む未硬化樹脂組成物を含浸した繊維基材、及び紙基材等が挙げられる。コア層に用いられる繊維基材、紙基材の種類としては基材の繊維基材、紙基材として例示したものであれば特に制限はなく、坪量は好ましくは100~300g/m、より好ましくは150~250g/mである。また、熱硬化性樹脂としては、液体状の未硬化樹脂組成物の状態で上記基材に含浸し得る熱硬化性樹脂として例示したものと同じものを好ましく例示することができ、上記の各種熱硬化性樹脂の液体状の未硬化樹脂組成物が好ましいことも同じである。これらの熱硬化性樹脂の中でも、フェノール樹脂が好ましく、コア層としては、メラミン樹脂化粧板等のコア紙として汎用される、フェノール樹脂含浸紙が好ましい。
フェノール樹脂含浸紙としては、例えば坪量150~250g/mのクラフト紙に、フェノール樹脂を含浸率20~60%程度となるように含浸させて、100~140℃程度で乾燥させることにより製造されるものが好ましく用いられる。
<層構成>
以下、本発明の化粧板の構成を、図1及び6を用いて説明する。図1は、本発明の化粧板3の外観を示す模式斜視図である。本発明の化粧板3は、その最表面に、第一領域21及び第二領域22を有する。
図6は、本発明の化粧板の一例の断面視の層構成を示す模式図である。
第一領域21は、最表面5から剥離層11、必要に応じてプライマー層12、必要に応じて装飾層(1)13、基材16及び必要に応じてコア層18をこの順で備える。
第二領域22は、最表面5からプライマー層12、必要に応じて装飾層(2)14、基材16及び必要に応じてコア層18をこの順で備える。
(化粧板の用途)
本発明の化粧板は、防汚性にも優れた上で、これと両立してリアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を有する化粧板である。よって、本発明の化粧板は、そのままで、又は所定の成形加工等を施して各種用途に用いることができる。例えば、各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(又はフィルム)等の基体に積層し、内外装用建材、例えば家具や台所製品のキャビネット、各種カウンター及び机等に用いられる天板、ドア等の住宅用建材に用いることが可能である。
基体としては、例えば、杉、檜、松、ラワン等の各種木材からなる木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
(化粧板の製造方法)
本発明の化粧板の製造方法について、図2~5を用いて説明する。
本発明の化粧板の製造方法は、下記(1)~(5)の工程を有することを要する。
(1) 離型性支持体の一方の側の一部に剥離層を形成するとともに、離型性支持体の剥離層を形成した側であって、かつ少なくとも剥離層を有さない部分に、プライマー層を形成し、シート(1)を得る工程。
(2) 前記シート(1)の前記剥離層側に、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した基材(1)を重ねた、積層体(A)を得る工程。
(3) 前記積層体(A)の両面を鏡面板で挟んだ状態で熱プレスすることにより、前記未硬化の熱硬化性樹脂の一部を前記転写シートの前記プライマー層に染み込ませるとともに、前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化する工程。
(4)前記鏡面板間から前記積層体(A)を取り出す工程。
(5)前記積層体(A)から、前記離型性支持体を剥離除去し、面内に前記剥離層を有する第一領域と、面内に前記剥離層を有さない第二領域とを有する、化粧板を得る工程。
<離型性支持体基材を含む離型性支持体>
図2に示す離型性支持体4としては、より質感の高い意匠性を得る観点から、離型性支持体2を含むことを要する。
離型性支持体2は、離型性支持体基材15を含むことが好ましい。離型性支持体基材15としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;アクリル樹脂;等の各種樹脂のシートが挙げられる。
離型性支持体4の厚さは、優れた機械強度を得るために、通常20~200μm程度、好ましくは30~100μmである。
前記離型性支持体基材15を含む離型性支持体2は、更に図4に示す離型層17を有していてもよい。
<離型層>
離型層は、硬化性樹脂とともに離型剤を含むことが好ましい。離型剤を含むことにより、離型性支持体を化粧板から剥離除去しやすくなるため好ましい。これにより剥離により形成される前記の樹脂層の最表面の凹凸が生じにくく、後記する第一領域及び第二領域の標高差を小さくすることができるため、より質感の高い意匠性が得られることとなる。
離型剤としては、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤等が挙げられ、より質感の高い意匠性を得る観点から、シリコーン系離型剤が好ましい。
シリコーン系離型剤としては、剥離層で用いる反応性シリコーンと同様のものを使用することができる。
離型剤の含有量は、離型層を形成する硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.5~3質量部、更に好ましくは1~2質量部である。離型剤の含有量が上記範囲内であると、効率的に離型剤の添加効果が得られる。
剥離層は、剥離層と同様に無機フィラー、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、その他所望に応じた各種添加剤、例えば、紫外線遮蔽剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、滑剤、溶剤等の各種添加物を含む未硬化樹脂組成物が挙げられる。これらの耐候剤、その他の添加物は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
離型層の厚さは、前記機能を発揮するような厚さであれば特に制限はなく、通常0.1~20μm程度であり、より容易に質感の高い意匠性を得る観点から、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは1~5μmである。
<(1)工程>
(1)の工程では、図2において、離型性支持体2に剥離層の形成に用いられるインキを塗布して所望の剥離層11を形成する。離型性支持体2が、前記離型性支持体基材15を含む場合には、前記離型性支持体基材15上に剥離層11を形成することが好ましい。
剥離層の形成に用いられるインキの塗布は、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式、好ましくはグラビア印刷法により行う。
剥離層の形成に用いられるインキは、反応性シリコーンを含む電離放射線硬化性樹脂組成物及び溶媒を含むことが好ましい。前記溶媒は溶質を溶解し、塗布に支障がなければ特に制限はない。
溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒を単独又は組み合わせて用いることができる。
前記インキの塗布により形成した未硬化樹脂層は、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化物とすればよい。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70~300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。照射線量は、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~50kGy(1~5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190~380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
更に、(1)工程は、離型性支持体の剥離層を形成した側であって、かつ少なくとも剥離層を有さない部分に、プライマー層を形成することを要する。図2に示すように、剥離層11上にプライマー層12を形成しなくてもよく、図3に示すように、剥離層11上にもプライマー層12を形成してもよい。後記する装飾層の形成工程において、剥離層に直接装飾層を形成するより、プライマー層に装飾層を形成し、プライマー層上に装飾層を形成する方が、装飾層の形成が容易になる。このため、剥離層上にもプライマー層を形成することが好ましい。
プライマー層は、剥離層の形成に用いられるインキに換えて、プライマー層を形成する樹脂材料を用いる以外は同様にして、形成することができる。これにより、図2及び3に示す、離型支持体に剥離層及びプライマー層を形成したシート(1)4を得ることができる。
<(2)工程>
(2)の工程では、図2に示すシート(1)4の剥離層側に、未硬化の前記した熱硬化性樹脂を含浸した基材16を重ねた、積層体(A)を得る。
液体浸透性を有する基材中に含浸するには、該熱硬化性樹脂の液体状の未硬化の前記した熱硬化性樹脂組成物を用意し、該未硬化の前記した熱硬化性樹脂組成物を該基材中に含浸させればよい。含浸した該未硬化の前記した熱硬化性樹脂組成物は、適宜の時点において、加熱して架橋反応、重合反応等の反応により硬化させることで、熱硬化性樹脂の硬化物となる。
前記基材(1)は、前記コア層上に形成された基材であってもよい。
<(3)工程>
(3)の工程では、前記積層体(A)の両面を鏡面板で挟んだ状態で熱プレスすることにより、前記未硬化の熱硬化性樹脂の一部を前記転写シートの前記プライマー層に染み込ませるとともに、前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化する。
熱プレスの圧力は、10kg/cm以上、300kg/cm以下であることが好ましく、50kg/cm以上、200kg/cm以下であることがより好ましく、80kg/cm以上、150kg/cm以下であることが更に好ましい。この範囲内で熱プレスすることにより、プライマー層に未硬化の熱硬化性樹脂が染み込み、剥離層には未硬化の熱硬化性樹脂の染み込みが抑えられるため、前記のn1<n2の関係を満たす化粧板が得られるため好ましい。
成形温度は、優れた機械強度を得るため、10℃以上、300℃以下であることが好ましく、80℃以上、200℃以下であることがより好ましく、100℃以上、180℃以下であることが更に好ましい。
熱プレスの時間は、前記積層体(A)の厚さや前記未硬化の熱硬化性樹脂の種類によって適宜調整することができるが、優れた機械強度を得るため、1分以上、60分以下であることが好ましく、5分以上、30分以下であることがより好ましく、8分以上、20分以下であることが更に好ましい。
<(4)工程>
(4)の工程では、前記鏡面板間から前記積層体(A)を取り出す。
<(5)工程>
(5)の工程では、前記積層体(A)から、前記離型性支持体を剥離除去し、面内に前記剥離層を有する第一領域と、面内に前記剥離層を有さない第二領域とを有する、化粧板を得る。
図5で示すように、シート(1)4の一部である離型性支持体2を、前記積層体(A)から剥離除去する(矢印で図示した。)ことにより、化粧板3を得る。これにより、第一領域及び第二領域の最表面が形成される。
<装飾層を形成する工程>
(1)工程においてプライマー層を形成した後に更に、装飾層を形成する工程を含んでいてもよい。
装飾層は、剥離層及びプライマー層上又はプライマー層上に装飾層の形成に用いられるインキを塗布して所望の着色層、絵柄層を設けることにより形成される。該インキの塗布は、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式、好ましくはグラビア印刷法により行う。
上記装飾層が木目導管模様である場合、該装飾層の模様の導管溝部分を第一領域とし、第一領域以外の領域を第二領域とすることで、該導管溝部分は、視覚的により暗く視認されることとなり、本発明の化粧板は、より本物の木板に近いリアル感とともに高級感を有するものとなり、質感の高い意匠性を有する化粧板となる。
前記装飾層のインキの塗布の方法として例示した公知の方式のいずれかを採用すればよい。
また、前記装飾層のインキの硬化方法は、該前記装飾層のインキに含まれる硬化性樹脂の種類に応じて選択すればよい。例えば、未硬化樹脂組成物が熱硬化性樹脂の液体状の未硬化物を含む樹脂組成物である場合、使用する熱硬化性樹脂に応じた熱処理を施して、硬化させればよい。
本発明の化粧板の製造方法で得られた化粧板は、前記第一領域及び前記第二領域を有する表面において、前記第一領域の標高と前記第二領域の標高が、実質的に同一であることが、防汚性が向上するため好ましい。ここで、「視覚的に第一領域の標高と第二領域の標高が実質的に同一」とは、第一領域の標高と第二領域のとの標高の差が1μm以下であることが好ましい。前記第一領域の標高と前記第二領域の標高については前記したとおりである。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価及び観察方法)
(1)立体感(意匠性)の評価
実施例及び比較例で得られた化粧材について、蛍光灯の照明下で、任意の成人20人に、立体感を有するか否かについて目視評価をさせた。結果を表1に示す。
A:立体感の高い意匠性を有すると答えた人が18人以上であった。
B:立体感の高い意匠性を有すると答えた人が11~17人であった。
C:立体感の高い意匠性を有すると答えた人が6~10人であった。
D:立体感の高い意匠性を有すると答えた人が5人以下であった。
(2)耐汚染性(マジック消去性)の評価
各例で得られた化粧板の表面に、油性マジック(黒)で直線を筆記し、5分間放置した後、乾拭きし、化粧板表面に残った筆記跡の程度について、以下の基準にて目視評価した。
A:筆記跡は確認されなかった。
B:筆記跡が若干確認されたものの、実用上問題のない程度であった。
C:筆記跡が確認された。
(3)第一領域の標高と前記第二領域の標高との差の測定
化粧板の第一領域及び第二領域を特定し、第一領域及び第二領域を含む断面の各領域10点の標高を測定し、その平均値を各領域の標高とした。第一領域及び第二領域の標高の差を求め、第一領域の標高と第二領域の標高との差とした。
(4)第一領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n1)と、第二領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n2)の測定
化粧板の第一領域及び第二領域を特定し、各領域について、JIS K 7142:2014のB法(液浸によるベッケ法)により、屈折率を測定した。
(実施例1)
(1)剥離層用インキの調製
電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックスM400)60質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X-22-164B)0.9質量部、及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社)40質量部を、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで1時間撹拌して、剥離層用インキを調整した。
(2)離型性支持体の調製
支持体(50μm厚のPETフィルム、東レ株式会社製のルミラー(登録商標)S34)の易接着面上の全面に、電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックス(登録商標)M350)100質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X-22-164B)2質量部、シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア450)8質量部、及び酢酸エチル50質量部を含む離型層形成用インキを、5g/m(乾燥時)となるように塗工し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行い、硬化することで、支持体上に離型層を有する離型性支持体を調整した。
(3)転写シートの調製
(2)で得られた離型性支持体上に、グラビア印刷法で、前記(1)で製造した剥離層用インキを用いて、幅が一定(30μm)であり、長さが(50mm)の絵柄を印刷し、165kVの加速電圧にて3Mradの電子線照射を行い、剥離層を形成しシート(1)を得た。なお剥離層の厚さは2μmであった。
次いでその上面にアクリルウレタン樹脂からなるプライマー層を乾燥時膜厚1μmとなるように印刷後、絵柄印刷インキ(DICグラフィックス株式会社製、オーデSPTI)を用いて、厚み3μmの木目柄の装飾層を形成した。剥離層上にもプライマー層を形成することにより、絵柄層の密着性が向上した。
(4)化粧版の製造
基材(建材用チタン紙原紙、KJ特殊紙株式会社製の商品名「PM-67P」、坪量:80g/m、厚さ:100μm)に対し、メラミンホルムアルデヒド樹脂60質量部、水35質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部からなる熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物を、含浸用の含浸装置を用いて該未硬化組成物が80g/m(乾燥時)の割合となるように含浸し、乾燥することにより未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した基材を得た。
この未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した基材に、クラフト紙にフェノール樹脂からなる樹脂液を含浸した、坪量245g/mのフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社、太田コア)2枚を積層し、コア層及び基材の積層体を作成した。前記積層体の、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した基材側に、(3)で得られたシート(1)を、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した基材と絵柄層が接するように積層し、積層体(A)を得た。
得られた積層体(A)を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cmで、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、該未硬化の熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させることによりメラミン樹脂を含有する積層体(A)を形成した。
最後に積層体(A)から離型性支持体を剥離除去することにより、化粧板を製造した。
第一領域及び第二領域について、n1<n2及びTA1<TA2の関係であることを確認した。
得られた化粧板について上記の評価を行い、その結果を1表に示す。
(比較例1)
特開2016-182808を参考に、化粧板を製造した。実施例1の(4)化粧版の製造で使用した建材用チタン紙原紙に絵柄印刷インキ(DICグラフィックス株式会社製、オーデSPTI)を用いて絵柄層を印刷した後、実施例1の(1)剥離層用インキの調製で、調整した剥離層用インキを用いてメラミン樹脂と離型性のある絵柄層を印刷して裝飾層を形成した後、実施例1と同様に電子線照射により、硬化させ積層体(C1)を得た。
次いで、(4)化粧版の製造で使用した熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物を、含浸用の含浸装置を用いて前記積層体(C1)に含浸し、乾燥することにより未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した積層体(C1)を得た。
この積層体(C1)の装飾層側の表面に実施例1で製造した離型性支持体を其の離型層と装飾層とが接するように積層すると共に、積層体(C1)の原紙側にクラフト紙にフェノール樹脂からなる樹脂液を含浸した、坪量245g/mのフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社、太田コア)2枚を積層し、積層体(C2)を得た。得られた積層体(C2)を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cmで、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、該未硬化の熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させることによりメラミン樹脂を含有する積層体(C3)を形成した。
最後に積層体(C3)から離型性支持体を装飾層のうちメラミン樹脂と離型性のある絵柄層と共に剥離除去することにより、メラミン樹脂と離型性のある絵柄層の直上のメラミン樹脂が除去されて凹部を構成した化粧板を製造した。
得られた化粧板について上記の評価を行い、その結果を1表に示す。
(比較例2)
実施例1の(3)転写シートの調製において、前記(1)で製造した剥離層用インキに換えて、
実施例1の(4)化粧版の製造に記載した熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物を使用した以外は実施例1と同様にして、化粧板を製造した。
得られた化粧板について上記の評価を行い、その結果を1表に示す。
実施例1の結果より、本願発明とは異なる製造方法により得られた化粧板である、比較例1及び2の化粧板よりも、本発明の化粧板はリアル感とともに高級感を有する、質感の高い意匠性を有する化粧板であると評価された。また第二硬化物層を木目導管模様の導管溝部分に同調させて設けると、実施例1の化粧板は意匠性に優れていると評価された。また、耐汚染性も優れた評価が得られた。
1.転写シート
2.離型性支持体
3.化粧板
4.シート(1)
5.最表面
11.剥離層
12.プライマー層
13.装飾層(1)
14.装飾層(2)
15.離型性支持体基材
16.含浸基材
17.離型層
18.コア層
21.第一領域
22.第二領域
N.法線方向

Claims (8)

  1. 下記(1)~(5)の工程を有する、化粧板の製造方法。
    (1) 離型性支持体の一方の側の一部に電離放射線硬化性樹脂及び反応性シリコーンを含むインキを用いて剥離層を形成するとともに、離型性支持体の剥離層を形成した側であって、かつ少なくとも剥離層を有さない部分に、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂のうちいずれかを用いてプライマー層を形成し、シートを得る工程。
    (2) 前記シートの前記剥離層側に、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した基材を重ねた、積層体(A)を得る工程。
    (3) 前記積層体(A)の両面を鏡面板で挟んだ状態で熱プレスすることにより、前記未硬化の熱硬化性樹脂の一部を前記プライマー層に染み込ませるとともに、前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化する工程。
    (4)前記鏡面板間から前記積層体(A)を取り出す工程。
    (5)前記積層体(A)から、前記離型性支持体を剥離除去し、面内に前記剥離層を有する第一領域と、面内に前記剥離層を有さない第二領域とを有する、化粧板を得る工程。
  2. 前記工程(1)において、前記プライマー層の前記離型性支持体が配置される面と反対側の面に装飾層を形成する工程を更に含む、請求項1に記載の化粧板の製造方法。
  3. 前記基材の一方の面側にコア層が形成され、前記工程(2)において、前記基材の前記コア層が形成された面と反対側の面が前記剥離層側を向くように重ねる、請求項1又は2に記載の化粧板の製造方法。
  4. 前記化粧板における、前記第一領域及び前記第二領域を有する表面において、前記第一領域の標高と前記第二領域の標高との差が、1μm以内である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧板の製造方法。
  5. 前記第一領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n1)と、前記第二領域の表面に含まれる樹脂の屈折率(n2)が、n1<n2の関係を満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧板の製造方法。
  6. 前記工程(1)において、前記離型性支持体として、離型性支持体基材の一方の面に離型層を有する離型性支持体を用い、前記離型層の前記離型性支持体基材と反対側の面に前記剥離層を形成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧板の製造方法。
  7. 前記工程(1)において、前記剥離層が形成された部分にも前記プライマー層を形成する、請求項1~6のいずれか1項に記載の化粧板の製造方法。
  8. 前記剥離層が、反応性シリコーンを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化粧板の製造方法。
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