JP7674838B2 - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、汚染土壌の浄化方法に関する。
汚染土壌に埋設された複数の電極間に電流を流し、汚染土壌を例えば50℃以上に加熱する電気加温法を利用した土壌浄化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、栄養塩や有機物、酸素等の栄養剤が添加され、又は汚染物質を分解可能な微生物及び栄養剤が添加され、かつ、例えば30℃に加熱された温水を汚染土壌に注入する汚染土壌の浄化方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2014-231050号公報 特開2014-205086号公報
特許文献1に開示された技術では、汚染土壌を50℃以上に加熱することにより、汚染土壌中の土粒子に付着したVOC(揮発性有機化合物)等の汚染物質を効率的に剥離可能にしている。
ここで、汚染土壌中の土粒子から剥離した汚染物質は、地下水等に溶出する。この場合、地下水等に溶出した汚染物質を微生物によって分解し、浄化することが考えられる。
しかしながら、土壌を50℃以上に加熱すると、汚染物質を分解可能な微生物が死滅し易く、汚染物質の浄化に時間がかかる可能性がある。
本発明は、上記の事実を考慮し、汚染土壌中の土粒子から剥離した汚染物質の浄化効率を高めることを目的とする。
第1態様に係る汚染土壌の浄化方法は、汚染土壌の温度を常温から第一温度に昇温する昇温工程と、前記汚染土壌の温度を、前記第一温度よりも低く、かつ、前記常温よりも高い第二温度に調温する調温工程と、前記第二温度に調温された前記汚染土壌に、汚染物質を分解可能な微生物を注入する微生物注入工程と、を備える。
第1態様に係る汚染土壌の浄化方法によれば、先ず、昇温工程において、汚染土壌の温度を常温から第一温度に昇温する。この第一温度は、例えば、汚染土壌中の土粒子に付着した汚染物質が剥離し易い温度(例えば、40℃以上)に設定される。これにより、汚染土壌中の土粒子から汚染物質を地下水等に効率的に溶出させることができる。
ここで、昇温工程において、汚染土壌を第一温度に昇温すると、地下水等に溶出された汚染物質を分解可能な汚染土壌中の微生物が死滅し易くなる。
この対策として本発明では、調温工程において、汚染土壌の温度を、第一温度よりも低く、かつ、常温よりも高い第二温度に調温する。この第二温度は、例えば、汚染物質を分解可能な微生物が生息可能で、かつ、微生物による汚染物質の分解が活性化される温度に設定される。
次に、微生物注入工程において、第二温度に調温された汚染土壌に、汚染物質を分解可能な微生物を注入する。これにより、昇温工程において地下水等に溶出された汚染物質を、微生物によって効率的に分解し、浄化することができる。
このように本発明では、汚染土壌中の土粒子から剥離した汚染物質の浄化効率を高めることができる。
第2態様に係る汚染土壌の浄化方法は、汚染土壌の粘性土層の温度を常温から第一温度に昇温する昇温工程と、前記粘性土層よりも上層の砂質土層の温度を、前記第一温度よりも低く、かつ、前記常温よりも高い第二温度に調温する調温工程と、前記第二温度に調温された前記砂質土層に、汚染物質を分解可能な微生物を注入する微生物注入工程と、を備える。
第2態様に係る汚染土壌の浄化方法によれば、先ず、昇温工程において、汚染された粘性土層の温度を常温から第一温度に昇温する。この第一温度は、例えば、粘性土層中の土粒子に付着した汚染物質が剥離し易い温度(例えば、40℃以上)に設定される。これにより、粘性土層中の土粒子に付着した汚染物質を地下水等に効率的に溶出させることができる。この際、VOC(揮発性有機化合物)等の汚染物質は、粘性土層、及び粘性土層よりも上層の砂質土層に溶出される。
ここで、昇温工程において、粘性土層を第一温度に昇温すると、砂質土層も所定温度に昇温される。これにより、汚染物質を分解可能な砂質土層中の微生物が死滅し易くなる。
この対策として本発明では、調温工程において、砂質土層の温度を、第一温度よりも低く、かつ、常温よりも高い第二温度に調温する。この第二温度は、例えば、汚染物質を分解可能な微生物が生息可能で、かつ、微生物による汚染物質の分解が活性化される温度に設定される。
次に、微生物注入工程において、第二温度に調温された砂質土層に、汚染物質を分解可能な微生物を注入する。これにより、昇温工程において砂質土層に溶出された汚染物質を、微生物によって効率的に分解し、浄化することができる。
したがって、本発明では、粘性土層中の土粒子から剥離した汚染物質の浄化効率を高めることができる。
第3態様に係る汚染土壌の浄化方法は、第2態様に係る汚染土壌の浄化方法において、前記昇温工程では、前記砂質土層の温度を前記常温から前記第一温度よりも低い第三温度に昇温する。
第3態様に係る汚染土壌の浄化方法によれば、昇温工程では、砂質土層の温度を常温から第一温度よりも低い第三温度に昇温する。これにより、砂質土層の土着の微生物が死滅し難くなる。そのため、昇温工程において、砂質土層に溶出された汚染物質を、砂質土層の土着の微生物によって早期に分解することができる。したがって、砂質土層の浄化期間が短縮される。
さらに、微生物注入工程において、砂質土層に添加する微生物の量が低減される。したがって、コスト削減を図ることができる。
第4態様に係る汚染土壌の浄化方法は、第2態様又は第3態様に係る汚染土壌の浄化方法において、前記調温工程では、前記粘性土層及び前記砂質土層の温度を前記第二温度に調温し、前記微生物注入工程では、前記粘性土層及び前記砂質土層に前記微生物を注入する。
第4態様に係る汚染土壌の浄化方法によれば、調温工程では、粘性土層及び砂質土層の温度を第二温度に調温する。次に、微生物注入工程では、粘性土層及び砂質土層に微生物を注入する。これにより、昇温工程において、粘性土層及び砂質土層に溶出された汚染物質を、微生物によって効率的に分解し、浄化することができる。
したがって、本発明では、粘性土層中の土粒子から剥離した汚染物質の浄化効率をさらに高めることができる。
以上説明したように、本発明によれば、汚染土壌中の土粒子から剥離した汚染物質の浄化効率を高めることができる。
一実施形態に係る汚染土壌浄化システムが適用された地盤を示す立断面図である。 図1に示される加温用井戸、観測井戸、及び注入井戸を示す平面図である。 実施例に係る汚染土壌の浄化方法の実験結果を示すグラフである。 比較例に係る汚染土壌の浄化方法の実験結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る汚染土壌の浄化方法について説明する。
(地盤)
図1には、本実施形態に係る土壌浄化システム20が適用された地盤10が示されている。地盤10は、一例として、地表から順に、埋土層10A、粘性土層10B、砂質土層10C、及び粘性土層10Dを有している。なお、図1に示される符号Sは、地下水の水位の一例を示している。
砂質土層10C及び粘性土層10Dは、VOC(揮発性有機化合物)等の汚染物質を含む汚染土壌Pを有している。汚染物質としては、例えば、有機化合物(塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナー等に含まれるトルエンや、ベンゼン、キシレン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)等の揮発性有機化合物)、重金属化合物、無機化合物、油類等が挙げられる。
(土壌浄化システム)
土壌浄化システム20は、加温装置30と、観測井戸40と、制御装置38と、注入井戸50と、注入槽60と、活性剤調整槽80と、微生物調整槽70とを備えている。
(加温装置)
加温装置30は、電気加温法(電気発熱法)によって地盤10の加温(昇温)する装置とされる。この加温装置30は、複数の加温用電極32と、電源36とを有している。
複数の加温用電極32は、地盤10に埋設されている。また、複数の加温用電極32は、地表から埋土層10A、粘性土層10B、及び砂質土層10Cを貫通し、粘性土層10Dに達している。これらの加温用電極32には、地上に設けられた電源36が電気的に接続されている。
図1に示されるように、電源36は、交流(三相交流)電源装置とされている。この電源36から各加温用電極32に交流電圧が印加される。また、電源36には、後述する制御装置38が電気的に接続されている。
図2に示されるように、複数(本実施形態では、3本)の加温用電極32は、平面視にて、三角形(略正三角形)の頂点に配置されている。これらの加温用電極32に電源36(図1参照)から交流電圧を印加すると、図1に示されるように、複数の加温用電極32間にある粘性土層10B、砂質土層10C、及び粘性土層10Dに交流電流が流れる。この結果、粘性土層10B、砂質土層10C、及び粘性土層10Dが有する電気抵抗によってジュール熱が発生し、粘性土層10B、砂質土層10C、及び粘性土層10Dが加温される。
ここで、粘性土層10Dの電気抵抗値(比抵抗値)は、一般に、砂質土層10Cの電気抵抗値(比抵抗値)よりも低い。そのため、粘性土層10Dに流れる交流電流が、砂質土層10Cに流れる交流電流よりも大きくなる。これにより、粘性土層10Dに発生するジュール熱が、砂質土層10Cに発生するジュール熱よりも大きくなり、粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度が、砂質土層10Cの汚染土壌Pよりも早期に高温に達する。
また、本実施形態では、加温用電極32の表面を部分的に絶縁することにより、粘性土層10Dと電気的に接触する加温用電極32の表面積(露出面積)が、砂質土層10Cと電気的に接触する表面積(露出面積)よりも広くなっている。これにより、粘性土層10Dに流れる交流電流が、砂質土層10Cに流れる交流電流よりも大きくなる。つまり、粘性土層10Dに発生するジュール熱が、砂質土層10Cに発生するジュール熱よりも大きくなり、粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度が、砂質土層10Cの汚染土壌Pよりも早期に高温に達すようになっている。
また、本実施形態では、加温装置30によって、砂質土層10Cの上方の粘性土層10Bも加温される。これにより、粘性土層10Bを介して砂質土層10Cの上部が加温される。しかし、砂質土層10Cの上方の粘性土層10Bは、必要に応じて加温すれば良く、加温しなくても良い。
(観測井戸)
複数の加温用電極32の中央には、観測井戸40が設けられている。観測井戸40は、汚染土壌P(地下水)中の温度、汚染物質の濃度、及び後述する活性剤及び微生物の濃度等を観測(検出)するための井戸である。この観測井戸40は、例えば、開口を有する円筒管を地盤10に埋設することにより形成されている。また、観測井戸40は、地表から埋土層10A、粘性土層10B、及び砂質土層10Cを貫通し、粘性土層10Dに達している。
観測井戸40内には、第一温度センサ42及び第二温度センサ44が設けられている。第一温度センサ42は、粘性土層10Dの汚染土壌Pに配置され、当該汚染土壌Pの地下水の温度を検出する。一方、第二温度センサ44は、砂質土層10Cの汚染土壌Pに配置され、当該の汚染土壌Pの地下水の温度を検出する。これらの第一温度センサ42及び第二温度センサ44には、後述する制御装置38が電気的に接続されている。
なお、観測井戸40内に、第一温度センサ42及び第二温度センサ44を設けずに、観測井戸40から揚水した汚染土壌Pの地下水の温度を、温度センサによって検出することも可能である。また、第一温度センサ42は、第一温度検出部の一例であり、第二温度センサ44は、第二温度検出部の一例である。
観測井戸40内には、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pの地下水をそれぞれ揚水する2本の揚水管が設けられている。2本の揚水管には、図示しない揚水ポンプがそれぞれ接続されている。これらの揚水管によって、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pの地下水がそれぞれ汲み上げられる。そして、汲み上げられた地下水中の活性剤及び微生物の濃度は、例えば、濃度測定装置等によって測定される。
なお、観測井戸40から汚染土壌Pの地下水を揚水せずに、観測井戸40内に設けられた濃度測定装置等によって、汚染土壌P中の活性剤及び微生物の濃度をそれぞれ測定することも可能である。また、観測井戸40の数や配置は、適宜変更可能である。
(制御装置)
制御装置38は、例えば、コンピュータで実現される。コンピュータは、CPU、一時記憶領域としてのメモリ、及び不揮発性の記憶部を備えている。また、制御装置38には、第一温度センサ42及び第二温度センサ44で検出された汚染土壌の温度情報が入力される。この制御装置38は、第一温度センサ42及び第二温度センサ44で検出された汚染土壌の温度情報に基づいて、加温装置30の電源36の動作を制御する。
(注入井戸)
汚染土壌Pの周囲には、複数の注入井戸50が設けられている。複数の注入井戸50は、後述する注入槽60から供給された注入液を、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに注入する井戸とされている。各注入井戸50は、例えば、円筒管を地盤に埋設することにより形成されている。
注入井戸50は、地表から埋土層10A、粘性土層10B、及び砂質土層10Cを貫通し、粘性土層10Dに達している。各注入井戸50の円筒管には、当該円筒管の周壁部を貫通する複数の開口50Hが形成されている。複数の開口50Hは、砂質土層10C及び粘性土層10Dにそれぞれ配置されている。
図2に示されるように、複数の注入井戸50は、平面視にて、三角形(正三角形)の頂点に配置されている。これらの注入井戸50から、加温装置30によって昇温された汚染土壌Pに注入液が注入される。なお、本実施形態では、複数の注入井戸50から、複数の加温用電極32で囲まれた汚染土壌Pに注入液が注入される。
(注入槽)
図1に示されるように、注入槽60は、地上に設けられており、複数の注入井戸50から砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに注入する注入液を貯留する。この注入槽60には、例えば、図示しない水道等の水源から注入液としての水が供給される。
注入槽60は、配管62を介して複数の注入井戸50と接続されている。そして、配管62に設けられた図示しない注入ポンプを作動することにより、注入槽60に貯留された注入液が、配管62、及び複数の注入井戸50を介して砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに注入される。ここで、注入槽60に貯留された注入液には、微生物調整槽70から微生物が添加されるとともに、活性剤調整槽80から活性剤が添加される。
(微生物調整槽)
微生物調整槽70は、地上に設けられており、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに添加される微生物の種類や濃度を調整する槽とされる。この微生物調整槽70には、例えば、図示しない水道等の水源から水等の溶媒が供給される。また、微生物調整槽70に貯留された溶媒には、汚染物質を分解可能な所定の微生物が添加される。これにより、微生物を含む添加液(微生物添加液)が生成される。
微生物調整槽70は、配管72を介して注入槽60に接続されている。そして、配管72に設けられた図示しないポンプを作動することにより、微生物調整槽70に貯留された微生物添加液が注入槽60内の注入液に添加される。なお、微生物の種類や量は、観測井戸40で観測された汚染土壌P中の汚染物質の種類や濃度に基づいて適宜調整される。
(活性剤調整槽)
活性剤調整槽80は、地上に設けられており、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに添加される活性剤の種類や濃度を調整する槽とされる。この活性剤調整槽80には、例えば、図示しない水道等の水源から水等の溶媒が供給される。また、活性剤調整槽80に貯留された溶媒には、微生物調整槽70から注入槽60に添加される微生物を活性化させる活性剤が添加される。これにより、活性剤を含む添加液(活性剤添加液)が生成される。活性剤としては、例えば、栄養塩や有機物、酸素等が使用される。
活性剤調整槽80は、配管82を介して注入槽60に接続されている。そして、配管82に設けられた図示しないポンプを作動することにより、活性剤調整槽80に貯留された活性剤添加液が注入槽60内の注入液に添加される。なお、活性剤の種類や量は、微生物調整槽70から注入槽60に添加される微生物の種類や濃度に基づいて調整される。
(汚染土壌の浄化方法)
次に、汚染土壌の浄化方法の一例について説明する。
(昇温工程)
先ず、昇温工程について説明する。昇温工程では、加温装置30によって、粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を常温から第一温度に昇温するとともに、砂質土層10Cの汚染土壌Pの温度を常温から第三温度に昇温する。なお、砂質土層10C及び粘性土層10Dの常温は、例えば、10℃~20℃である。
具体的には、電源36から複数の加温用電極32に交流電圧を印加すると、複数の加温用電極32間に交流電流が流れる。これにより、複数の加温用電極32間にある粘性土層10B、砂質土層10C、及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに交流電流が流れる。この結果、粘性土層10B、砂質土層10C、及び粘性土層10Dの汚染土壌Pが有する電気抵抗によってジュール熱が発生し、汚染土壌Pが加温される。
この際、観測井戸40内の第一温度センサ42によって、粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度が検出され、検出された温度情報が制御装置38に出力される。制御装置38は、第一温度センサ42から入力された粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度情報が第一温度以上の場合に、電源36を停止する。
一方、制御装置38は、第一温度センサ42から入力された粘性土層10Dの汚染土の温度情報が第一温度未満の場合、電源36を作動し、粘性土層10Dの汚染土壌Pを加温する。これにより、粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度が、第一温度に維持される。
また、加温工程では、例えば、観測井戸40で観測された粘性土層10Dの汚染土壌P中の汚染物質の濃度が所定値(目標値)以下になるまで、加温装置30によって粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を第一温度に維持する。
ここで、第一温度は、例えば、粘性土層10Dの土粒子に付着した汚染物質を剥離可能な温度に設定される。これにより、粘性土層10Dの温度が第一温度に達すると、粘性土層10Dの汚染土壌P中の土粒子から汚染物質が効率的に剥離され、地下水等に溶出される。この際、図1に矢印Fで示されるように、VOC等の汚染物質が揮発して上昇すると、粘性土層10Bの上方の砂質土層10Cに溶出される。
なお、第一温度は、40℃以上、かつ、80℃以下(40℃~80℃)が好ましく、50℃以上、かつ、70℃以下(50℃~70℃)がより好ましい。
ところで、粘性土層10Dの電気抵抗値(比抵抗値)は、一般に、砂質土層10Cの電気抵抗値(比抵抗値)よりも低い。また、前述したように、本実施形態では、粘性土層10Dと電気的に接触する加温用電極32の表面積(露出面積)が、粘性土層10B及び砂質土層10Cと電気的に接触する加温用電極32の表面積(露出面積)よりも広くなっている。
これにより、粘性土層10Dに流れる交流電流が、粘性土層10B及び砂質土層10Cに流れる交流電流よりも大きくなる。つまり、粘性土層10Dに発生するジュール熱が、粘性土層10B及び砂質土層10Cに発生するジュール熱よりも大きくなる。この結果、粘性土層10Dの温度が、粘性土層10B及び砂質土層10Cよりも早期に第一温度に達する。
以上のことから、粘性土層10Dの温度が第一温度に達した状態では、砂質土層10Cが、常温よりも高く、かつ、第一温度よりも低い第三温度に昇温される。そして、粘性土層10Dの温度が第三温度に達すると、粘性土層10Dの汚染土壌P中の土粒子から汚染物質が剥離され、粘性土層10Dの地下水や、粘性土層10Dの上層の砂質土層10C等に溶出される。
(調温工程)
次に、調温工程について説明する。昇温工程において、粘性土層10Bの汚染土壌Pの温度が第一温度に昇温されると、汚染土壌Pに土着した微生物が死滅し易くなる。これと同様に、砂質土層10Cの汚染土壌Pが第三温度に昇温されると、汚染土壌Pに土着した微生物が死滅し易くなる。この結果、汚染土壌Pの浄化に時間がかかる可能性がある。
そこで、本実施形態では、調温工程において、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を、常温よりも高く、かつ、第一温度よりも低い第二温度に調温する。具体的には、加温装置30を停止し、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を低下させる。なお、本実施形態の第三温度は、第二温度よりも高く、かつ、第一温度よりも低い。
この際、観測井戸40内の第一温度センサ42及び第二温度センサ44によって、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を監視する。そして、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度が第二温度に達したら、調温工程を終了する。
ここで、第二温度は、汚染物質を分解する微生物を増殖、活性化させる温度に設定される。この第二温度は、汚染土壌Pの常温よりも高く、かつ、40℃よりも低いことが好ましく、25℃以上、かつ、30℃以下(25℃~30℃)がより好ましい。
(微生物注入工程)
次に、微生物注入工程について説明する。微生物注入工程では、第二温度に調温された砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに、複数の注入井戸50から微生物及び活性剤を注入する。
具体的には、先ず、観測井戸40で観測した汚染土壌P中の汚染物質及び微生物の濃度等に基づいて、微生物調整槽70内の微生物の種類や濃度を調整するとともに、活性剤調整槽80内の活性剤の種類や濃度を調整する。
次に、微生物調整槽70の配管72に設けられた図示しないポンプを作動し、微生物調整槽70に貯留された微生物添加液を注入槽60に供給する。これと同様に、活性剤調整槽80の配管82に設けられた図示しないポンプを作動し、活性剤調整槽80に貯留された活性剤添加液を注入槽60に供給する。
次に、注入槽60の配管62に設けられた図示しない注入ポンプを作動し、注入槽60に貯留された注入液を複数の注入井戸50から砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに注入する。これにより、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに注入された微生物によって、汚染土壌P中の汚染物質が分解、浄化される。
この際、観測井戸40内に設けられた第一温度センサ42及び第二温度センサ44によって、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を監視する。そして、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度が第二温度よりも低下した場合は、加温装置30によって砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pを再加温し、第二温度を維持する。これにより、汚染土壌P中の微生物が増殖、活性化されるため、微生物による汚染物質の分解効率が高められる。
また、観測井戸40において、汚染土壌P中の汚染物質及び微生物の濃度等を定期的に観測する。そして、観測した汚染土壌P中の汚染物質及び微生物の濃度等に基づいて、微生物調整槽70内の微生物の濃度を増減するとともに、活性剤調整槽80内の活性剤の濃度を増減し、注入槽60から複数の注入井戸50を介して汚染土壌Pに注入する微生物及び活性剤の濃度を調整する。これにより、微生物による汚染物質の分解効率がさらに高められる。
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
汚染土壌をバイオ浄化する浄化方法としては、汚染土壌に、土着の微生物を活性化させる活性剤を注入するバイオスティミュレーションや、培養された微生物を活性剤と共に注入するバイオオーグメンテーションが知られている。これらのバイオスティミュレーション、及びバイオオーグメンテーションは、例えば、透水性が高い砂質土層10Cの汚染物質の浄化に適しているが、透水性が低い粘性土層10Dの汚染物質の浄化には適用が難しい。
そこで、本実施形態では、先ず、昇温工程において、粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を常温から第一温度に昇温する。この第一温度は、例えば、粘性土層中の土粒子に付着した汚染物質が剥離し易い温度(例えば、40℃~80℃)に設定される。これにより、粘性土層10Dの汚染土壌P中の土粒子に付着した汚染物質を地下水等に効率的に溶出させることができる。この際、VOC(揮発性有機化合物)等の汚染物質が揮発すると、図1に矢印Fで示されるように、粘性土層10Dよりも上層の砂質土層10Cに汚染物質が溶出される。
また、昇温工程では、砂質土層10Cの汚染土壌Pの温度を常温から、第二温度よりも高く、かつ、第一温度よりも低い第三温度に昇温する。これにより、砂質土層10Cの汚染土壌P中の土粒子に付着した汚染物質も地下水等に溶出させることができる。
また、粘性土層10Dは、一般に、砂質土層10Cよりも電気抵抗値(比抵抗値)が低いため、砂質土層10Cよりもジュール熱による発熱量が大きい。したがって、電気加温法によって粘性土層10Dを加温することにより、粘性土層10Dの温度を効率的に、かつ、早期に第一温度の昇温させることができる。
ここで、昇温工程において、粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を第一温度に昇温すると、当該汚染土壌P中の微生物が死滅する可能性がある。また、本実施形態では、砂質土層10Cの汚染土壌Pの温度を、第三温度に昇温する。この第三温度は、第一温度よりも低いものの、第二温度よりも高いため、砂質土層10Cの汚染土壌P中の微生物も死滅し易くなる。
この対策として本実施形態では、調温工程において、砂質土層10C及び粘性土層10Dの温度を、第一温度よりも低く、かつ、常温よりも高い第二温度に調温した後に、微生物注入工程において、砂質土層10C及び粘性土層10Dに微生物を注入する。
第二温度は、例えば、汚染物質を分解可能な微生物が生息可能で、かつ、微生物による汚染物質の分解が活性化される温度に設定される。これにより、昇温工程において、砂質土層10C及び粘性土層10Dに溶出されたVOC等の汚染物質を、微生物によって効率的に分解し、浄化することができる。
また、本実施形態では、微生物注入工程において、第二温度に調温された砂質土層10C及び粘性土層10Dに、微生物を活性化させる活性剤を注入する。これにより、砂質土層10C及び粘性土層10Dに溶出された汚染物質を、微生物によってさらに効率的に分解し、浄化することができる。
このように本実施形態では、砂質土層10C及び粘性土層10D中の土粒子から剥離した汚染物質の浄化効率を高めることができる。
また、本実施形態では、前述したように、加温工程において、砂質土層10Cの汚染土壌Pの温度を、第一温度よりも低い第三温度に昇温する。これにより、砂質土層10Cの汚染土壌Pに土着した微生物が、粘性土層10Dの汚染土壌Pに土着した微生物よりも死滅し難くなる。そのため、昇温工程において、砂質土層10Cに溶出された汚染物質を、砂質土層10Cの土着の微生物によって早期に分解することができる。したがって、砂質土層10Cの浄化期間が短縮される。
また、微生物注入工程において、砂質土層10Cに添加する微生物の量が低減される。したがって、コスト削減を図ることができる。
さらに、本実施形態では、粘性土層10Dと電気的に接触する加温用電極32の表面積(露出面積)が、砂質土層10Cと電気的に接触する表面積(露出面積)よりも広くなっている。これにより、加温工程において、砂質土層10Cの汚染土壌Pに流れる交流電流が、粘性土層10Dの汚染土壌Pに流れる交流電流よりも小さくなる。つまり、砂質土層10Cの汚染土壌Pに発生するジュール熱が、粘性土層10Dの汚染土壌Pに発生するジュール熱よりも小さくなる。
したがって、砂質土層10Cの温度を、第一温度よりも低い第三温度に調温しつつ、粘性土層10Dの汚染土壌Pの温度を第一温度に効率的に昇温することができる。
(比較実験)
次に、比較実験について説明する。
図3には比較例に係る汚染土壌の浄化方法の実験結果が示され、図4には、実施例に係る汚染土壌の浄化方法の実験結果が示されている。
比較例に係る汚染土壌の浄化方法では、汚染土壌を17℃から50℃に加温した後、汚染土壌の温度を50℃から30℃に下げた。この状態で、汚染土壌に活性剤を添加し、汚染土壌中の汚染物質の濃度を測定した。
また、実施例に係る汚染土壌の浄化方法では、汚染土壌を17℃から50℃に加温した後、汚染土壌の温度を50℃から30℃に下げた。この状態で、汚染土壌に微生物(c-DCE分解菌)及び活性剤を添加した。
なお、図3に示されるグラフの縦軸は、汚染物質の濃度を示し、当該グラフの横軸は、汚染土壌に活性剤を添加した後の経過日数を示している。また、図4に示されるグラフの縦軸は、汚染物質の濃度を示し、当該グラフの横軸は、汚染土壌に微生物及び活性剤を添加した後の経過日数を示している。さらに、図3及び図4における汚染物質は、VC(クロロエチレン(塩化ビニルモノマー))、c-DCE(ジクロロエチレン)、TCE(トリクロロエチレン)、及びPCE(テトラクロロエチレン)である。
図3に示されるように、比較例に係る汚染土壌の浄化方法では、汚染土壌に活性剤を添加した後、VC、TCE、及びPCEの濃度が低下したものの、c-DCEの濃度は低下しなかった。これは、汚染土壌を17℃から50℃に加温したことにより、c-DCEを分解する微生物(c-DCE分解菌)が死滅したためと考えられる。
一方、図4に示されるように、実施例に係る汚染土壌の浄化方法では、汚染土壌に微生物及び活性剤を添加した後、VC、TCE、及びPCEだけでなく、c-DCEの濃度も低下した。これは、汚染土壌を50℃から30℃に下げた状態で、汚染土壌に微生物(c-DCE分解菌)及び活性剤を添加したことにより、c-DCEの分解が促進されたためと考えられる。
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、地盤10に揚水井戸が設けられていない。しかし、地盤10に揚水井戸を設け、例えば、上記実施形態の加温工程や微生物注入工程において、汚染土壌Pから地下水等に溶出した汚染物質を揚水井戸で回収することも可能である。
また、上記実施形態では、加温工程において、砂質土層10Cと電気的に接触する表面積(露出面積)を、粘性土層10Dと電気的に接触する加温用電極32の表面積(露出面積)よりも狭くすることにより、砂質土層10Cの加温量を粘性土層10Dの加温量よりも小さくした。しかし、例えば、砂質土層10Cに配置される電極の量を、粘性土層10Dに配置される電極の量よりも小さくすることにより、砂質土層10Cの加温量を粘性土層10Dの加温量よりも小さくしても良い。
また、例えば、砂質土層10C及び粘性土層10Dを別々の加温用井戸で加温することにより、砂質土層10Cの加温量を粘性土層10Dの加温量よりも小さくしても良い。
また、上記実施形態では、加温工程において、砂質土層10C及び粘性土層10Dを加温した。しかし、加温工程では、少なくとも粘性土層10Dを第一温度に昇温すれば良く、砂質土層10Cは加温しなくても良い。
また、上記実施形態では、微生物注入工程において、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに、微生物及び活性剤の両方を注入した。しかし、微生物注入工程では、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pに、少なくも微生物を注入すれば良い。
また、例えば、加温工程において、粘性土層10Dの汚染土壌P中の汚染物質の濃度が所定値(規定値又は基準値)未満になった場合は、微生物注入工程において、砂質土層10Cの汚染土壌Pにのみ微生物及び活性剤を注入しても良い。
また、上記実施形態では、加温工程において、電気加温法によって、砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pを加温した。しかし、加温工程では、電気加温法に限らず、例えば、地盤10に形成した井戸に挿入された潜水ヒータによって砂質土層10C及び粘性土層10Dの汚染土壌Pを加温しても良い。また、地上においてヒータ等で加温された温水を砂質土層10C及び粘性土層10Dに注入することにより、汚染土壌Pを加温しても良い。
また、上記実施形態では、複数の加温用電極32及び複数の注入井戸50を三角形の頂点に配置した。しかし、加温用電極32及び注入井戸50の本数や配置は、適宜変更可能であり、例えば、平面視にて、複数の加温用電極32を多角形状や円形状に配置しても良い。これと同様に、例えば、平面視にて、複数の注入井戸50を多角形状や円形状に配置しても良い。
また、上記実施形態では、加温用電極32を地盤10に埋設した。しかし、加温用電極32は、地盤10に形成した井戸内に貯留された地下水等の貯留水に浸しても良い。この場合、井戸内の加温用電極32に電源36から交流電圧を印加すると、井戸内の貯留水に交流電流が流れる。この結果、貯留水が有する電気抵抗によってジュール熱が発生し、井戸の周囲の地盤10を加温される。
また、上記のように、井戸内の貯留水に加温用電極32を浸した場合は、例えば、粘性土層10Dに配置される井戸に形成する開口の開口率を、砂質土層10Cに配置される井戸に形成する開口の開口率よりも大きくすることにより、粘性土層10Dに流れる交流電流を、砂質土層10Cに流れる交流電流よりも大きくしても良い。
また、上記実施形態では、汚染土壌Pが砂質土層10C及び粘性土層10Dに亘っている。しかし、汚染土壌Pは、例えば、砂質土層10Cのみにあっても良いし、粘性土層10Dのみにあっても良い。
また、上記実施形態は、種々の地盤に適用可能である。したがって、地盤の浄化領域は、粘性土層のみにあっても良いし、砂質土層のみにあっても良い。さらに、地盤の浄化領域は、粘性土層及び砂質土層以外の他の地層にあっても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10C 砂質土層
10D 粘性土層
P 汚染土壌

Claims (2)

  1. 汚染土壌の粘性土層の温度を常温から第一温度に昇温するとともに、前記粘性土層中の汚染物質の濃度が所定値以下になるまで前記粘性土層の温度を前記第一温度に維持する昇温工程と、
    前記粘性土層よりも上層の砂質土層の温度を、前記第一温度よりも低く、かつ、前記常温よりも高い第二温度に調温する調温工程と、
    前記第二温度に調温された前記砂質土層に、汚染物質を分解可能な微生物を注入する微生物注入工程と、
    を備え、
    前記昇温工程では、前記砂質土層の温度を前記常温から前記第一温度よりも低く、かつ、前記第二温度よりも高い第三温度に昇温する、
    汚染土壌の浄化方法。
  2. 前記調温工程では、前記粘性土層及び前記砂質土層の温度を前記第二温度に調温し、
    前記微生物注入工程では、前記粘性土層及び前記砂質土層に前記微生物を注入する、
    請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
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