以下、図を参照しながら、本願発明に係る蓄電デバイス用電極の実施形態を説明する。なお、本明細書において、「蓄電デバイス」とは、例えば、二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電体、および、その蓄電体を備える装置を意味する。
1.実施形態:
1-1.二次電池の構成:
図1は、本実施形態の二次電池10の構成を示す概略図である。本実施形態の二次電池10は、充放電にリチウムイオンが関与するリチウムイオン二次電池である。二次電池10は、容器11と、電解液12と、セパレータ15と、第1電極20と、第2電極30と、を備える。図1では、便宜上、容器11を一点鎖線で図示し、セパレータ15を破線で図示してある。
容器11は、電解液12が満たされた内部空間を有している。容器11は、電解液12に対して反応しにくい材質の材料によって液密に構成されている。電解液12は、第1電極20と第2電極30との間で、充放電に関与する金属イオンを伝達可能な性質を有する。本実施形態では、電解液12は、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた溶液によって構成され、第1電極20と第2電極30との間でリチウムイオンを伝達可能である。電解液12のリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用いることができる。また、有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)や、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を用いることができる。
セパレータ15は、容器11の内部空間を、第1電極20が収容される第1電極室16と、第2電極30が収容される第2電極室17と、に区画する。セパレータ15は、電気絶縁性とイオン伝導性とを有し、第1電極20と第2電極30とを電気的に絶縁するとともに、電解液12を介して伝達されるリチウムイオンを透過する。セパレータ15は、例えば、多孔質構造を有する樹脂フィルムや不織布などによって構成される。
第1電極20は、本実施形態の蓄電デバイス用電極に相当する。本実施形態の二次電池10では、第1電極20は負極を構成する。第1電極20は、金属基板21と、活物質層22と、を備える。
金属基板21は、集電体を構成する。本実施形態では、金属基板21は、銅(Cu)の金属箔によって構成される。金属基板21は、Cu以外の金属によって構成されてもよい。他の実施形態では、金属基板21は、例えば、Cu合金や、アルミニウム(Al)、Al合金のうちのいずれか1つによって構成されてもよい。金属基板21は、金属箔によって構成されていなくてもよく、例えば、金属薄板によって構成されてもよい。金属基板21は、平板状に構成されていなくてもよく、例えば、筒状や波状など、様々な形状に曲げ加工されていてもよい。
活物質層22は、金属基板21の第1面21aと第2面21bの両方に設けられている。活物質層22は、活物質としてカーボン(C)を含んでいる。第1電極20の金属基板21や活物質層22の構成の詳細、および、製造方法については後述する。なお、以下の説明においては、第1電極20を、単に「電極20」とも呼ぶ。
第2電極30は、二次電池10の正極を構成する。第2電極30は、正極集電体31と、正極活物質層32と、を有する。正極集電体31は、例えば、Alやチタン(Ti)等の金属箔によって構成される。正極集電体31は、他の金属によって構成されてもよいし、金属箔以外の形態を有していてもよい。正極集電体31は、平坦な形状で構成されていなくてもよく、筒状や波状など、様々な形状に曲げ加工されていてもよい。
正極活物質層32は、正極集電体31の第1面31aと第2面31bのそれぞれに形成されている。正極活物質層32は、Li原子を含む正極活物質と、導電助剤と、結着剤とを含有する。正極活物質層32は、増粘剤を含んでいてもよい。正極活物質としては、例えば、三元系の物質を用いることができ、コバルト酸リチウム(LiCoO2)や、マンガン酸リチウム(LMO)、ニッケル酸リチウム(NCA)を用いることができる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラックやカーボンブラックを用いることができる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いることができる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いることができる。
図2、および、図3を順に参照して、本実施形態の電極20の構成を説明する。
図2は、厚み方向に沿った任意の切断面における電極20の断面構造を模式的に例示する概略断面図である。図2には、金属基板21の第1面21a側の電極20の構成を抜き出して図示してある。金属基板21の第2面21b側の電極20の構成は図2に示す第1面21a側の構成と同様である。
上述したように、金属基板21の表面には、活物質層22が設けられている。活物質層22は、金属基板21の表面を覆うアモルファスカーボン層23と、アモルファスカーボン層23の上に形成されたカーボンナノ構造体25と、を有する。
アモルファスカーボン層23は、カーボンで構成された薄膜層であり、カーボンナノ構造体25の成長の起点である。アモルファスカーボン層23が良好に形成されていることにより、カーボンナノ構造体25の形成状態が改善される。アモルファスカーボン層23の膜厚は、例えば、10nm以上300nm以下であることが好ましい。アモルファスカーボン層23の膜厚は、10nm以上100nm以下であることがより好ましく、12nm以上30nm以下であることがさらに好ましい。
カーボンナノ構造体25は、全体がカーボンで構成された微小な構造体であり、アモルファスカーボン層23の表面全体にわたって分布するように形成されている。カーボンナノ構造体25は、金属基板21の厚み方向に細長く延びている基部26と、基部26から延び出ている複数の延出部27と、を有する。複数の延出部27の多くは、基部26の上端側において枝状に分岐するように形成されている。カーボンナノ構造体25は、グラファイト様の物質であるため、活性炭等の炭素材料に比べて高い電気伝導率を有する。
図3は、単体のカーボンナノ構造体25の構成を模式的に示す概略図である。図3では、便宜上、基部26を構成するグラフェンGSを略長方形のシート状に図示してある。また、図3では、便宜上、複数の延出部27を破線で図示してある。
基部26は、複数のグラフェンGSがその厚み方向に積層された多層構造を有する。グラフェンGSは、グラフェンシートとも呼ばれ、炭素の六員環構造、つまり、炭素原子を頂点とする六角形格子構造によって構成された、炭素原子1つ分の厚みを有するシート状の物質である。
基部26におけるグラフェンGSの積層数は様々であり、基部26は、針状や、板片状、ひだ状に形成される。基部26は、カーボンナノウォールや、それに類するカーボンナノフレーク、カーボンナノフラワーと同種の構造体であると解釈することもできる。基部26は、後に撮影画像で示すように、金属基板21の表面上にランダムな網目状に配置される。
基部26は、炭素の六員環の全面単結晶によって構成されていなくてもよい。基部26を構成するグラフェンGSは、完全なグラフェン構造でなく、六員環構造の炭素を主成分とする薄膜であってもよい。グラフェンGSは、六員環構造の炭素を主成分とするモザイク構造を有していてもよい。モザイク構造とは、炭素の六員環構造によって構成された複数の領域が離散的に配置された構成を意味する。
基部26の高さHaは、基部26の金属基板21側の下端から頂点までの長さ、つまり、アモルファスカーボン層23の表面からグラフェンGSの上端までの高さに相当する。基部26の平均高さHaは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。基部26の平均高さHaは、0.8μm以上であることがさらに好ましい。また、基部26の平均高さHaは、50.0μm以下でよい。基部26の平均高さHaは、25.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましい。基部26の平均高さHaは、5.0μm以下であることがさらに好ましい。基部26の平均高さHaは、2.5μm以下であることがさらに好ましく、2.0μm以下であることが、より一層、好ましい。
基部26の平均厚みWは、例えば、0.5nm以上100.0nm以下であることが好ましい。平均厚みWは、1.0nm以上50.0nm以下であることがより好ましく、1.5nm以上30.0nm以下であることがさらに好ましい。
各延出部27は、カーボンによって構成されており、針状や、柱状、板片状、ひだ状に形成される。各延出部27の多くは、基部26の上端部の表面上にランダムに分布する。各延出部27が基部26に形成されることにより、活物質層22の表層近くにおいてカーボンナノ構造体25同士の間の隙間が低減されている。
カーボンナノ構造体25の高さHbは、基部26の金属基板21側の下端から延出部27の上端まで高さに相当する。カーボンナノ構造体25の高さHbは、0.5μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましい。また、カーボンナノ構造体25の高さHbは、1.0μm以上であることがさらに好ましく、1.2μm以上であることがより一層、好ましい。
ただし、より高いカーボンナノ構造体25を形成しようとすると、それだけ、カーボンナノ構造体25を形成するためにかかる時間が長くなる。そのため、電極20の生産性を高める観点からは、カーボンナノ構造体25の平均高さHbは10.0μm以下とすることが好ましい。カーボンナノ構造体25の平均高さHbは8.0μm以下とすることがより好ましく、5.0μm以下とすることがさらに好ましい。カーボンナノ構造体25の平均高さHbは、3.0μm以下とすることが、より一層、好ましい。
ここで、活物質層22におけるカーボンナノ構造体25の密度は大きい方が、二次電池10の電池性能を高めることができる。本明細書では、活物質層22におけるカーボンナノ構造体25の密度は、以下のようにして求めた値である。各カーボンナノ構造体25を、所定の体積ごとに複数の単位ユニットに分割する。活物質層22の表面に正対して撮影した撮影画像において単位面積あたりに存在するその単位ユニットの個数を密度として計測する。
活物質層22において、カーボンナノ構造体25の密度は、1μm2あたり50個以上であることが好ましく、1μm2あたり60個以上であることがより好ましい。カーボンナノ構造体25の密度は、70個以上であることがさらに好ましい。
ただし、活物質層22におけるカーボンナノ構造体25の密度を過度に大きくしようとすると、カーボンナノ構造体25の形成に時間と手間がかかり、電極20の生産性が低下する可能性がある。活物質層22におけるカーボンナノ構造体25の密度は、1μm2あたり200個以下であることが好ましく、100個以下であることがより好ましい。
活物質層22におけるカーボンナノ構造体25の密度は、活物質層22において隣り合うカーボンナノ構造体25同士の間の平均間隔が小さいほど大きくなり、平均間隔が大きいほど小さくなる。ここでの平均間隔は、カーボンナノ構造体25を高さ方向に射影した撮影画像上において所定の複数の箇所で一定方向に直線を引き、それぞれの直線において隣り合うカーボンナノ構造体25によって区画される線分の長さの測定値の平均値として算出される値である。
活物質層22におけるカーボンナノ構造体25の平均間隔は、40nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。カーボンナノ構造体25の平均間隔は、20nm以下であることがさらに好ましい。ただし、平均間隔は、10nm以上であることが好ましい。
1-2.二次電池での電池反応:
二次電池10での充放電の際の化学反応は、例えば、以下のような反応式により表すことができる。正極物質がLiCoO2である場合、正極である第2電極30での反応式は、下記の式(1)で表される。xは、反応する原子の割合を表し、0より大きく1未満の実数である。
Li1-xCoO2 + xLi+ + xe- ⇔ LiCoO2 …(1)
これに対して、負極である電極20での反応式は、下記の式(2)で表される。式(2)が示しているように、二次電池10での充電の際には、電極20の表層にリチウムが析出する。
Li+ + e- ⇔ Li …(2)
ここで、平坦な金属基板の表面に活物質としてグラファイトを配置した従来の負極の構成の場合、充電の際には、原理的に、炭素原子6個に対してリチウムイオン1個が吸蔵され、炭化リチウム(LiC6)が形成される。そのため、比較例としてのその従来構成での反応式は、下記の式(3)のように表される。
従来構成での反応式: xLi+ + C6 + xe- ⇔ LixC6 …(3)
上記の式(3)が示すように、負極活物質としてグラファイトを用いている従来構成の電極の場合には、充電によって吸蔵できるリチウムイオンの数が、活物質層に含まれる炭素原子の数によって定まってくる。
これに対して、本実施形態の二次電池10に用いられている電極20の場合には、上記の式(2)で示されているように、理論的には、活物質層22での炭素原子の数の制限を受けることなく、リチウムを析出させることができる限り、充電が可能である。つまり、本実施形態の電極20によれば、1度の充電または放電において、炭素原子1個あたり2個以上のリチウムイオンを充放電反応に関与させることができる。よって、本実施形態の二次電池10は、電極20を負極として備えていることにより、充電容量が高められている。
さらに、本実施形態の二次電池10では、電極20の活物質層22のカーボンナノ構造体25が延出部27を有していることにより、カーボンナノ構造体25が延出部27を有していない場合よりも、電池性能が向上する。本願発明の発明者は、その理由を、以下のように推察した。
図4(a)は、本実施形態の二次電池10において、充電により電極20の活物質層22に金属原子28が析出している様子を示す模式図である。金属原子28は、上述の通り、リチウム原子である。
図4(b)は、比較例の二次電池10aにおいて、充電により、電極20aの活物質層22aに金属原子28が析出している様子を示す模式図である。比較例の二次電池10aは、電極20aの活物質層22aが、延出部27を有しておらず、基部26に相当する部位のみで構成されたカーボンナノ構造体25aによって構成されている点以外は、本実施形態の二次電池10の構成とほぼ同じである。
核生成理論によれば、本実施形態の二次電池10の活物質層22では、カーボンナノ構造体25が有する複数の延出部27が、金属原子28の析出を促進させる起点となる凸部として機能し得る。よって、多数の微小な凸部が存在する本実施形態の活物質層22によれば、充電の際に、金属原子28が効率よく析出する。
これに対して、図4(b)に示すように、比較例の二次電池10aの活物質層22aを構成するカーボンナノ構造体25aは、平坦な表面が多く、本実施形態のカーボンナノ構造体25よりも金属原子28が析出する効率が低くなる。よって、本実施形態の二次電池10によれば、比較例の二次電池10aよりも、充電時に金属原子28を、効率よく、短時間で析出させることが可能になる。
また、本実施形態の二次電池10の活物質層22では、複数の延出部27が存在することによって、各カーボンナノ構造体25の間に存在する空隙が低減されている。そのため、二次電池10の充電時には、より緻密で、より平滑な表面を有する金属原子28の層の形成が促進され、金属原子28の層の厚みが増大し、金属原子28の析出量を増大させることができる。
これに対して、比較例の二次電池10aの活物質層22aでは、延出部27を有していない分だけ、カーボンナノ構造体25aの間の隙間が多くなる。そのため、カーボンナノ構造体25aの間に十分に金属原子28が析出せず、金属原子28の層の内部に空隙VSが生じる可能性がある。
このように、本実施形態の二次電池10によれば、同じ充電条件で充電を実施したときに、比較例の二次電池10aよりも、電極20での金属原子28の析出量を増大させることができる。そのため、本実施形態の二次電池10によれば、比較例の二次電池10aよりも、充電容量を増大させることができる。
さらに、本実施形態の二次電池10によれば、上記のように、電極20での金属原子28の析出が促進されるため、金属原子28の層を一様に形成させやすく、安定した円滑な充放電反応が可能になる。加えて、本実施形態の二次電池10によれば、金属原子28の層がより平坦に形成されるため、金属原子28の析出量が局所的に多くなることが抑制されるため、デンドライトの発生を抑制することができる。
1-3.二次電池の製造方法:
図5は、二次電池10の製造工程を示す工程フロー図である。工程P1,P2は、電極20の製造工程である。工程P1,P2では、2種類のCVD(checmical vapor desposition)法によって、電極20の活物質層22を構成するカーボンナノ構造体25が形成される。本実施形態の2種類のCVD法は、ラジカル注入型プラズマ(Radical-Injection Plasma-Enhanced;RI-PE)CVD法と、容量結合型プラズマ(Capacitivery Coupled Plasma;CPP)CVD法である。
工程P1は、RI-PECVD装置によって、金属基板21の表面に、カーボンナノ構造体25の基部26を成長させる工程に相当する。
図6は、工程P1で用いられるRI-PECVD装置である第1処理装置40の構成を示す概略図である。第1処理装置40は、上段に、プラズマ生成室41と、導波路42と、石英窓43と、スロットアンテナ44と、マイクロ波発生部45と、ラジカル源供給部46と、を備える。
プラズマ生成室41は、マイクロ波により表面波プラズマ(Surface Wave Plasma;SWP)が生成される空間である。導波路42は、プラズマ生成室41にマイクロ波を伝達するための空間である。導波路42は、プラズマ生成室41の上段に石英窓43によって区画されている。石英窓43には、スロットアンテナ44が配列されている。
マイクロ波発生部45は、導波路42にマイクロ波MWを導入する。マイクロ波発生部45は、例えば、300~500Wの電力で、2.00~3.00GHzの周波数のマイクロ波を発生可能である。導波路42に導入されたマイクロ波MWは、スロットアンテナ44によってプラズマ生成室41へと導入される。
プラズマ生成室41にマイクロ波MWが導入されると、石英窓43に高密度プラズマ(High Density Plasma;HDP)が発生する。高密度プラズマHDPは、プラズマ生成室41内に拡散し、表面波プラズマSWPとなる。
ラジカル源供給部46は、プラズマ生成室41にラジカル源となるガスを供給する。ラジカル源としては、例えば、水素を用いることができる。なお、ラジカル源となるガスは、水素には限定されず、例えば、酸素や窒素、その他の気体であってもよい。プラズマ生成室41の表面波プラズマSWPには、ラジカル源のガスのイオンが混入する。
第1処理装置40は、さらに、プラズマ生成室41の下段に、反応室50と、隔壁51と、原料ガス供給部54と、電源部55と、支持基台56と、ヒーター57と、排気部58と、を備える。
反応室50は、金属製の隔壁51によってプラズマ生成室41の下段に区画されている。隔壁51には、プラズマ生成室41で生成された表面波プラズマSWPを反応室50に流入させるための複数の貫通孔52が設けられている。
上述した通り、プラズマ生成室41では、表面波プラズマSWPにラジカル源のイオンが混入する。ラジカル源のイオンの多くは、反応室50との間に設けられた隔壁51に衝突して中性化することによってラジカルとなり、表面波プラズマSWPとともに反応室50に導入される。
隔壁51の内部には、反応室50に原料ガスを供給するためのガス流路53が設けられている。原料ガス供給部54は、ガス流路53に接続されており、ガス流路53を通じて、反応室50内に原料ガスを供給する。
原料ガスは、カーボンナノ構造体25を構成するカーボンを含む炭素系ガスと、カーボンナノ構造体25の成長に寄与する反応寄与ガスと、を含む。図6では便宜上、詳細な図示を省略しているが、原料ガス供給部54は、図7に図示されている第2処理装置60の原料ガス供給部65と同様な構成を有しており、炭素系ガスと反応寄与ガスのそれぞれの流量を調整可能である。
炭素系ガスとしては、例えば、メタン(CH4)や、六フッ化エタン(C2F6)を用いることができる。反応寄与ガスとしては、例えば、水素(H2)や、アルゴン(Ar)を用いることができる。反応寄与ガスは、プラズマ処理において、ぺニング効果により、炭素系ガスのプラズマ化を促進する。また、反応寄与ガスは、プラズマ処理において、イオン化して処理対象である金属基板21に衝突することにより、カーボンナノ構造体25の成長起点となる核を形成する。
電源部55は、隔壁51に接続されており、隔壁51にプラズマ処理のための高周波電圧を印加する。電源部55は、300~400Wの電力、かつ、80~120MHzの周波数の高周波電圧を印加可能である。隔壁51は、プラズマ処理のための電極として機能する。
支持基台56は、隔壁51の下方に設けられており、隔壁51と面する載置面56sを有する。載置面56sには、金属基板21が配置される。支持基台56は、アースされており、プラズマ処理のための電極として機能する。ヒーター57は、支持基台56の内部に設けられており、支持基台56の載置面56s上に配置された金属基板21を所定の温度で加熱する。
排気部58は、反応室50に接続されている。排気部58は、真空ポンプを備えており、真空ポンプによって、プラズマ処理中の反応室50内を所定の圧力に制御する。なお、第1処理装置40は、上述した各構成部の他に、図7に示す第2処理装置60の真空計81や熱電対82に相当する計測部を備えているものとしてもよい。
工程P1では、まず、第1処理装置40の反応室50に金属基板21が配置される。金属基板21は、支持基台56の載置面56s上に配置される。ヒーター57は、例えば、600~800℃程度の温度で、金属基板21を加熱する。
また、工程P1では、マイクロ波発生部45は、例えば、300~500Wの電力で、2.00~3.00GHzの周波数のマイクロ波を発生させる。マイクロ波は、導波路42及びスロットアンテナ44を通じてプラズマ生成室41に導入される。プラズマ生成室41には、ラジカル源供給部46からプラズマ生成室41にラジカル源となるガスも供給される。これにより、上記のように、プラズマ生成室41において、ラジカルを含む表面波プラズマSWPが生成され、隔壁51の貫通孔52を介して反応室50に導入される。
さらに、工程P1では、原料ガス供給部54が、反応室50に、原料ガスを供給する。原料ガス供給部54は、原料ガスとして、例えば、炭素系ガスを、80~120sccmの流量で供給するとともに、反応寄与ガスを、40~60sccmの流量で供給する。反応室50内の圧力は、排気部58によって、例えば、0.5~1.5Pa程度に制御される。
反応室50に原料ガスを供給されている間に、電源部55は、隔壁51に高周波電圧を印加する。電源部55は、例えば、300~500Wの電力で、80~120MHzの周波数の高周波電圧を印加する。第1処理装置40でのプラズマ処理は、例えば、5~15分程度継続される。
プラズマ処理では、隔壁51と、支持基台56上の金属基板21との間に、容量結合型プラズマCCPが発生する。容量結合型プラズマCCPが発生すると、まず、金属基板21の表面全体を覆うようにアモルファスカーボン層23が形成される。その後、カーボンナノ構造体25の基部26が、金属基板21の表面全体にわたって分布するように生成される。各基部26は、アモルファスカーボン層23から上方に延びるように成長する。
図5に戻る。工程P2は、CCP-CVD装置によって、工程P1で生成した基部26に複数の延出部27を形成する工程に相当する。
図7は、工程P2で用いられるCCP-CVD装置である第2処理装置60の構成を示す概略図である。第2処理装置60は、反応室61と、排気部62と、原料ガス供給部65と、支持基台70と、上部電極75と、電源部76と、を備える。第2処理装置60は、さらに、計測部として、真空計81と、熱電対82と、を備える。
反応室61は、真空に保持可能な気密構造を有する。反応室61には、排気部62と原料ガス供給部65とが接続されている。排気部62は、真空ポンプを備えており、プラズマ処理中に、反応室61を所定の圧力(真空度)に制御する。反応室61の真空度は、真空計81により測定される。
原料ガス供給部65は、反応室61に、原料ガスを供給する。原料ガス供給部65は、貯留部66と、流量制御部67と、導入配管68と、を備える。貯留部66は、原料ガスを構成する複数種類のガスが、種類ごとに貯留されている。第2処理装置60で用いられる原料ガスは、第2処理装置60で説明したものと同じである。
貯留部66では、それら複数種類のガスがそれぞれ個別に、図示しないタンクに貯留されている。流量制御部67は、ガス送出装置67aと、流量調整弁67bと、を備える。ガス送出装置67aと流量調整弁67bとは、貯留部66に接続された複数種類のガスごとの配管にそれぞれ設けられている。ガス送出装置67aは、例えば、エジェクタやポンプによって構成され、貯留部66からガスを所定の圧力で送り出す。ガス送出装置67aにより送り出されたガスは、流量調整弁67bによってその流量が制御される。流量調整弁67bで流量が調整された各種のガスは、導入配管68において合流する。導入配管68は、それら複数種類のガスが所定の割合で混合された原料ガスを反応室61内に導入する。
反応室61内には、支持基台70が設けられている。支持基台70は、サセプター71と、石英カバー72と、ヒーター73と、を備える。サセプター71は、金属基板21の載置面を構成する。金属基板21は、サセプター71の上に配置される。サセプター71は、アースされている。サセプター71はフローティングされていてもよい。
サセプター71は、石英カバー72の上に配置されており、石英カバー72の下には、ヒーター73が設けられている。石英カバー72は、ヒーター73を保護する。また、石英カバー72は、サセプター71を支持するとともにヒーター73がサセプター71に直接接触することを防止する。
プラズマ処理中には、金属基板21は、サセプター71を介してヒーター73の輻射熱を受けて加熱される。熱電対82は、ヒーター73の加熱温度を測定する。プラズマ処理中には、熱電対82によって測定される温度に基づいてヒーター73による金属基板21の加熱が制御される。
反応室61の上部には、上部電極75が設置されている。上部電極75は、処理対象となる金属基板21と面するように、サセプター71の上に設置されている。上部電極75は、金属基板21に対してほぼ平行になるように設置されていることが好ましい。上部電極75とサセプター71との間の距離は、例えば、1~5cm程度である。上部電極75は、反応室61の外部に設けられた電源部76に接続されている。
電源部76は、高周波電源装置である。電源部76は、例えば、2000~3000Wの電力で、12~15MHzの周波数の高周波電圧を上部電極75に印加可能である。電源部76は、貯留部66によって反応室61に原料ガスが供給されているときに、上部電極75に対して高周波電圧を印加し、反応室61内に高密度の容量結合型プラズマを発生させる。
工程P2では、まず、反応室61内の支持基台70は、工程P1でカーボンナノ構造体25の基部26が生成された金属基板21が配置される。ヒーター73は、例えば、600~800℃の温度で、金属基板21を加熱する。
また、工程P2では、原料ガス供給部65が、反応室50に、原料ガスを供給する。原料ガス供給部65は、原料ガスとして、例えば、炭素系ガスを、80~120sccmの流量で供給するとともに、反応寄与ガスを、40~60sccmの流量で供給する。排気部62は、反応室50内の圧力を、例えば、5~15Paに制御する。
反応室61に原料ガスが供給されている間に、電源部76は、上部電極75に高周波電圧を印加する。電源部76は、例えば、2000~3000Wの電力で、12~15MHzの周波数の高周波電圧を印加する。電源部76は、数十秒~数分程度で、目標電力まで徐々に電力を上昇させる。
第2処理装置60でのプラズマ処理は、例えば、5~15分程度継続される。第2処理装置60でのプラズマ処理により、工程P1で金属基板21に形成された各基部26の表面に複数の延出部27が形成される。
図8は、工程P2でのプラズマ処理による複数の延出部27の形成過程を示す模式図である。図8では、工程P2のプラズマ処理実行中の経過時刻t1,t2,t3,t4ごとに金属基板21上の様子が模式的に示されている。
時刻t1において、工程P2のプラズマ処理が開始される際には、上述したように、金属基板21上には、アモルファスカーボン層23から延び出ている基部26が形成されている。時刻t2では、基部26の表面に、カーボンによって構成された中間カーボンナノ構造物CMが形成される。中間カーボンナノ構造物CMの多くは、基部26の上端部側に形成される。時刻t3~t4では、中間カーボンナノ構造物CMから突起部PMが次第に延び出してきて延出部27となる。このようにして、金属基板21上に、本実施形態のカーボンナノ構造体25が形成される。
図5に戻る。工程P3では、正極となる第2電極30が製造される。工程P4では、図1に示すように、第1電極20と第2電極30とが、電解液12が満たされた容器11に組付けられる。以上の工程により、二次電池10が完成する。
上記の工程によれば、基部26に複数の延出部27が形成されたカーボンナノ構造体25を形成することができ、そのカーボンナノ構造体25を電極20の活物質層22として備える二次電池10を得ることができる。上述したように、カーボンナノ構造体25が活物質層22として適用されている二次電池10であれば、その充電容量や充電速度を高めることができ、その電池性能が向上される。
図9は、上述した活物質層22の実施例E1の撮影画像を示す説明図である。図9(a1),(b1)には、工程P1によって形成されたカーボンナノ構造体25の基部26を示す撮影画像が示されている。図9(a2),(b2)には、工程P2によって延出部27が形成されたカーボンナノ構造体25を示す撮影画像が示されている。図9(a1),(a2)の撮影画像はそれぞれ、走査電子顕微鏡によって金属基板21の厚み方向に撮影したものであり、図9(a1),(a2)の撮影画像はそれぞれ、走査電子顕微鏡によって金属基板21の厚み方向に直交する方向から撮影したものである。
実施例E1では、金属基板21として銅箔を用いた。また、実施例E1は、下記の表1に示す条件で工程P1および工程P2のプラズマ処理を行うことによって製造した。なお、工程P2では、電源部76に、約1分間で0Wから2000Wまで徐々に電力を上昇させた。
図9(b1)の撮影画像が示すように、工程P1で形成された基部26の高さHaの平均値は、約1.0μmであった。また、図9(b2)の撮影画像が示すように、工程P2で延出部27が形成されたカーボンナノ構造体25の高さHbの平均値は、約1.3μmであった。このように、カーボンナノ構造体25の高さは、延出部27が形成された分だけ、基部26に対して30%程度高くなった。
工程P1で形成された基部26同士の平均間隔は約73nmであり、基部26の密度は、1μm2あたり約17個であった。工程P2で延出部27が形成されたことにより、カーボンナノ構造体25同士の平均間隔は、約20nmとなり、カーボンナノ構造体25の密度は、1μm2あたり約74個となった。このように、基部26の平均間隔に対して、カーボンナノ構造体25同士の平均間隔は約30%程度低減され、基部26の密度に対して、カーボンナノ構造体25の密度は約50%増加した。
なお、実施例E1では、カーボンナノ構造体25の下に、アモルファスカーボン層23が形成されていた。アモルファスカーボン層23の膜厚は、概ね、10nm以上300nm以下の範囲内であった。
図10は、工程P2での延出部27の成長過程を示す撮影画像である。図10の各撮影画像は、工程P2の処理時間を変えた複数のサンプルS1~S4を撮影したものである。上段の撮影画像が、走査電子顕微鏡によって金属基板21の厚み方向に撮影したものであり、下段の撮影画像が、走査電子顕微鏡によって金属基板21の厚み方向に直交する方向から撮影したものである。工程P1,P2の処理条件は、上記の実施例E1と同じであった。
サンプルS1は、工程P2を実行する前の基部26のみが形成されたものに相当する。サンプルS2は、工程P2の実行開始後、1分が経過したときの様子を示している。サンプルS2の撮影画像では、基部26の表面に図8で説明した中間カーボンナノ構造物CMが形成され始めていることが確認された。
サンプルS3は、工程P2の実行開始後、5分が経過したときの様子を示している。サンプルS3の撮影画像では、中間カーボンナノ構造物CMから図8で説明した突起部PMが形成され始めていることが確認された。サンプルS4は、工程P2の実行開始後、10分が経過したときの様子を示している。サンプルS4の撮影画像では、突起部PMが成長して延出部27となっていることが確認された。
図11~図15を参照して、実施例E1と比較例C1,C2の電極を用いた二次電池の電池性能の評価結果を説明する。
図11は、実施例E1と比較例C1,C2の活物質層の撮影画像を示す説明図である。図11の撮影画像は、走査電子顕微鏡により、活物質層の表面に正対して撮影したものである。
実施例E1は、図9で説明したものと同じである。比較例C1,C2では、金属基板として実施例E1と同様な銅箔を用いた。比較例C1は、延出部27を形成するための工程P2を実施していない点以外は、実施例E1と同じ条件で作製した。比較例C1の活物質層は、カーボンナノウォールによって構成されていた。比較例C2では、グラファイトを用いて一様な厚みの活物質層を設けた。
図12~図14はそれぞれ、上記の実施例E1および比較例C1,C2の電極を負極とする二次電池の充放電によって得られたグラフが示されている。図12~図14では、二次電池の電圧と充電容量との関係が、充電時については実線のグラフで、放電時については一点鎖線のグラフで示されている。図15には、実施例E1と比較例C1,C2を用いた二次電池の充電容量および比容量がそれぞれ棒グラフで示されている。本評価試験では、充電電流および放電電流はいずれも0.5mAとした。
実施例E1と比較例C1,C2を用いた二次電池は、リチウムイオン二次電池であり、下記の表2に示す構成で作製した。
実施例E1を用いた二次電池によれば、充電容量が16.8[mAh]であり、比容量が12.7[mAh/cm2]であった。これに対して、比較例C1を用いた二次電池によれば、充電容量が12.6[mAh]であり、比容量が9.4[mAh/cm2]であった。また、比較例C2を用いた二次電池によれば、充電容量が4.0[mAh]であり、比容量が2.0[mAh/cm2]であった。
カーボンナノウォールによって活物質層が構成された比較例C1を用いた二次電池であれば、グラファイトによって活物質層が構成された比較例C2よりも、3倍以上の充電容量、および、比容量が得られた。基部26に延出部27が形成されたカーボンナノ構造体25によって活物質層が構成された実施例E1であれば、その比較例C1に対して、充電容量、および、比容量が30%以上、向上していた。このことから、上記実施形態で説明した、延出部27を有するカーボンナノ構造体25を活物質層として用いることにより、二次電池の電池性能を飛躍的に向上することがわかる。
図16は、上記の実施例E1および比較例C1の電極の二次電池での充電を完了した後の様子を、走査電子顕微鏡によって金属基板の厚み方向に直交する方向から撮影した撮影画像である。実施例E1と比較例C1のいずれにおいても、充電反応により活物質層に析出したLiの層が確認された。ただし、これらの撮影画像からもわかる通り、実施例E1のLiの層の方が、比較例C1のLiの層よりも緻密であった。また、実施例E1のLiの層の厚みTaは約50μmであったのに対して、比較例C1のLiの層の厚みTbは約32μmであり、実施例E1の方が、比較例C1よりもLiの層の厚みが著しく大きくなった。このことからも、実施例E1の電極を用いた二次電池の方が、比較例C1の電極を用いた二次電池よりも飛躍的に充電容量が向上することがわかる。
以上のように、本願発明に係る蓄電デバイス用電極によれば、蓄電デバイスの電池性能を著しく向上させることができる。
図17を参照して、実施例E1と比較例C3、C4の活物質層の表面についての静滴法による評価結果を説明する。比較例C3は、CCP-CVD法によってカーボンナノウォールの活物質層を形成したものに相当し、比較例C4は、RI-PECVD法によってカーボンナノウォールの活物質層を形成したものに相当する。比較例C3,C4のCVD法の条件は、表1に示されたものとほぼ同じである。
図17(a)は、静滴法による接触角の計測方法を説明するための説明図である。静滴法では、評価対象面SPに水滴LQを落とし、水滴LQの表面と評価対象面SPとの交点を通る、水滴LQの表面の接線Lと評価対象面SPとの間の水滴LQ側の角度を接触角θとして求められる。接触角θが大きいほど、評価対象面SPの撥水性が高いことを示す。
図17(b),(c),(d)はそれぞれ、実施例E1、比較例C3、比較例C4について、活物質層の表面上に水滴LQを落としたときの様子を撮影した画像である。実施例E1での接触角θは約150°であり、比較例C3での接触角θは約138°であり、比較例C4での接触角θは約134°であった。このように、実施例E1での接触角θが最も大きく、超撥水性を示した。このような超撥水性を示すカーボンナノ構造体25であれば、例えば、油分離や防食技術等、コーティング技術への応用が可能である。
図18は、実施例と異なる製造方法で作製された活物質層の比較例C5~C9を示す撮影画像である。比較例C5~C9の活物質層のカーボンナノ構造体は、金属基板としての銅箔の表面に、RI-PECVD法、または、CCP-CVD法によるプラズマ処理を1回、または、2回、行うことによって形成された。CVD法の処理条件は、表1に示されたものと同じである。
比較例C5のカーボンナノ構造体は、CCP-CVD装置での1回のプラズマ処理によって形成された。比較例C5では、厚みや高さ、長さが小さく、より細かく、よりランダムな構成のカーボンナノウォールが形成された。
比較例C6のカーボンナノ構造体は、CCP-CVD装置によって、プラズマ処理を2回行うことによって形成された。比較例C6では、2回目のプラズマ処理によって、1回目で得られたようなカーボンナノウォールの量が増えたものの、上記実施形態で説明した延出部27に相当する構成は得られなかった。
比較例C7のカーボンナノ構造体は、RI-PECVD装置での1回のプラズマ処理によって形成された。比較例C7のカーボンナノ構造体は、上記の実施形態で説明した基部26に相当する構成であった。
比較例C8のカーボンナノ構造体は、RI-PECVD装置によって、プラズマ処理を2回行うことによって形成された。比較例C8では、2回目のプラズマ処理により、1回目のプラズマ処理で形成されたカーボンナノウォールの高さが増大したが、上記実施形態で説明した延出部27に相当する構成は得られなかった。
比較例C9のカーボンナノ構造体は、CCP-CVD装置による1回目のプラズマ処理の後に、RI-PECVD装置によって2回目のプラズマ処理を行うことによって形成された。比較例C9では、比較例C8と同様に、2回目のプラズマ処理により、カーボンナノウォールの高さが増大したが、上記実施形態で説明した延出部27に相当する構成は得られなかった。
比較例C5~C9の結果から、上記実施形態で説明したカーボンナノ構造体25を得るためには、RI-PECVD装置によって1回目のプラズマ処理を行った後に、CPC-CVD装置によって2回目のプラズマ処理を行うことが好ましいことがわかる。
以上のように、本願発明に係る製造方法によれば、蓄電デバイスの電池性能を著しく向上させることができる蓄電デバイス用電極を得ることができる。
2.他の実施形態:
本願発明は、上述の実施形態や実施例の構成に限定されることはなく、例えば、以下のような形態で実現することもできる。以下において、他の実施形態として説明する構成はいずれも、上記の実施形態や実施例と同様に、本願発明を実施するための一形態例として位置づけられる。
2-1.他の実施形態1:
上記実施形態の電極20を用いた二次電池は、リチウムイオン以外の金属イオンを充放電に関与させる構成であってもよい。上記実施形態の電極20を用いた二次電池は、例えば、ナトリウム(Na)イオンや、カリウム(K)イオン、マグネシウム(Mg)イオン等を充放電に関与させる構成であってもよい。
2-2.他の実施形態2:
上記実施形態の電極20は、二次電池以外の蓄電デバイスに用いられてもよい。上記実施形態の電極20は、例えば、電気二重層キャパシタに用いられてもよい。この場合には、電極20は、電気二重層キャパシタの正極と負極の両方に用いられてもよい。
3.形態例:
本願発明は、以下のような形態によって実現することが可能である。
[第1形態]第1形態は、蓄電デバイス用電極として提供される。第1実施形態の蓄電デバイス用電極は、集電体を構成する金属基板と、前記金属基板の表面に形成され、活物質としてカーボンを含む活物質層と、を備え、前記活物質層は、前記金属基板の厚み方向に細長く延びているグラフェンが積層された基部と、前記カーボンによって構成され、前記基部から延び出ている複数の延出部と、を有するカーボンナノ構造体によって構成されている。
第1形態の蓄電用デバイス用電極によれば、活物質層が新規な構造のカーボンナノ構造体によって構成される。この活物質層であれば、蓄電デバイスでの充電の際に、その充電反応に関与する金属イオンが金属として析出する量を増大させることができる。よって、蓄電デバイスの充電容量を高めることができる。
[第2形態]上記第1形態の蓄電デバイス用電極において、前記カーボンナノ構造体の高さは、0.5μm以上であってよい。
第2形態の蓄電デバイス用電極によれば、適用された蓄電デバイスの電池性能をさらに向上させることができる。
[第3形態]上記第1形態、または、第2形態の蓄電デバイス用電極において、前記活物質層における前記カーボンナノ構造体の平均間隔は、40nm以下でよい。
第3形態の蓄電デバイス用電極によれば、活物質層におけるカーボンナノ構造体の密度が大きくなるため、適用された蓄電デバイスの電池性能をさらに向上させることができる。
[第4形態]第4形態は、二次電池として提供される。第4形態の二次電池は、上記第1形態、第2形態、および、第3形態のいずれか一つに記載の蓄電デバイス用電極によって構成された第1電極と、イオン化して前記第1電極に移動する金属原子を含む第2電極と、を備える。
第4形態の二次電池によれば、新規な構造のカーボンナノ構造体によって構成された活物質層の適用により、高い電池性能を得ることができる。
[第5形態]第5形態は、電デバイス用電極の製造方法として提供される。第5形態の製造方法は、ラジカル注入型プラズマCVD装置によって、金属基板の表面に、前記金属基板の厚み方向に細長く延びているグラフェンが積層された基部を成長させる工程と、容量結合型プラズマCVD装置によって、前記カーボンによって構成され、前記金属基板の前記基部の表層から延び出ている複数の延出部を形成する工程と、を備える。
第5形態の製造方法によれば、新規な構造のカーボンナノ構造体によって構成された活物質層を有する電極を得ることができる。このカーボンナノ構造体によれば、延出部を有することにより、蓄電デバイスの電池性能を飛躍的に向上させることができる。