JP7676834B2 - 非水電解質蓄電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質蓄電素子に関する。
近年、非水電解質二次電池等の非水電解質蓄電素子に用いられる正極活物質として、ポリアニオン構造を有する遷移金属化合物が注目を集めている。このポリアニオン構造を有する遷移金属化合物は、酸素が遷移金属以外の元素と共有結合することでポリアニオン構造を形成しているために、比較的高温においても酸素を放出することが無く、正極活物質として使用することで蓄電素子の熱安全性を高めることが知られている。
また、表面に炭素被覆(カーボンコート)をしたLiFePO4等のポリアニオン構造を有する遷移金属化合物を正極活物質とし、非水電解液と組み合わせて非水電解液二次電池とすることが公知である(特許文献1乃至3参照)。
特許文献1には、「この正極は、正極活物質層が導電助剤を添加していない電極ペーストにより形成され、かつ正極活物質層の空隙率が10~30%に調整される。また、本発明では、気相合成法による厚さ1~50nmのカーボンコート層で被覆されたリチウム遷移金属酸化物を正極活物質として使用している・・・」([0026])、「以下の表1に示すように、正極活物質の母体としてLi(Mn1/3Ni1/3Co1/3)O2(NMC)、LiFePO4(LFP)、LiNiO2(LNO)又はLiMn24(LMO)を用い、またカーボンコート層で被覆する際のガス流量又は処理時間を調整して、カーボンコート層の厚さを、以下の表1に示す厚さに調整し、カーボンコート層で被覆されたリチウム遷移金属酸化物粉末を得たこと以外は、実施例1-1と同様にして電極ペーストを調製し、正極を形成した。」(段落[0033])、「 先ず、対極(負極)として、上記形成した正極と同じ大きさに切り抜いた厚さ0.25mmのLi金属を用意し、またセパレータとして、上記形成した正極よりも大きめに切り抜いた多孔質のポリプロピレンシートを用意した。また、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1で混合した溶媒(宇部興産株式会社製)に、電解質としてLiPF6が1mol/Lの濃度で溶解する電解液を用意した。次に、正極と対極の間にセパレータを挟み込んで積層体を形成し、これに上記電解液を染み込ませた後、アルミラミネートフィルム内に収納して試験用のラミネートセルを作製した。」([0042])と記載されている。
特許文献2には、「以下の表1に示すリチウムニッケル複合酸化物及び表2に示す炭素で被覆されたリチウム金属リン酸化合物を準備した。」([0086])、「正極活物質として表1のNo.1のリチウムニッケル複合酸化物を67質量部、正極活物質として表2のNo.1のリチウム金属リン酸化合物を27質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを3質量部・・・を混合して、スラリーを製造した。・・・アルミニウム箔の表面に、ドクターブレードを用いて上記スラリーを膜状に塗布した。・・・正極活物質層が形成されたアルミニウム箔からなる実施例1の正極を製造した。」([0087])、「エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを3:3:4の体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを加えて溶解させて、LiPFを1mol/Lの濃度で含有する電解液を製造した。」([0089])、「実施例1の正極と負極とでセパレータを挟持し、極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに上記電解液を注入した。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉された実施例1のリチウムイオン二次電池を製造した。」([0090])と記載されている。
特許文献3には、「リン酸鉄リチウム、炭素、バインダがそれぞれ85重量%、8重量%、7重量%となるように配合するために、炭素被覆リン酸鉄リチウムを87重量%、被覆炭素以外の導電助剤としてアセチレンブラックを6重量%、PVdFバインダを7重量%使用した。・・・炭素被覆リン酸鉄リチウムとアセチレンブラックを混合し・・・塗料化させたものを、アルミ箔上に150g/m塗布し、120℃で乾燥させた。・・・所定のサイズに裁断し正極を作製した。」([0059]、[0060])、「電解液として、1M LiPF EC/DMC(1/3) 1重量%VC溶液中にHF抑制剤としてN,N-ジメチルアセトアミドを0.5重量%加えたものを検討した。・・・上記の構成で得られた18650円筒型評価電池を用いて・・・評価を行った。」([0063]、「0064」)と記載されている。
また、LiFePOを正極活物質として、LiPFの含有量を変えた非水電解液と組み合わせて非水電解液二次電池とすることが公知である(特許文献4参照)。
特許文献4には、「(実施例1)・・・正極の作製においても、正極活物質としてLiFePO(90質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(6質量%)、結着剤としてPVDF(4質量%)を混合し、NMP中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを集電体であるアルミニウム箔に塗布して乾燥させ、圧延を行い、正極を得た。・・・エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートを体積比3:7で混合した溶液中に、LiBFを0.05mol/L、LiPFを1.0mol/Lの割合で添加し非水電解液を得た。得られた負極及び正極の間にポリエチレンからなるセパレータを挟んで積層し積層体(素体)を得た。得られた積層体をアルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに非水電解液を注入した後に真空シールし、リチウムイオン二次電池・・・を作製した。」([0056]から[0058])、「正極活物質の種類と、非水電解液中の溶媒の組み合わせ、LiBFとLiPF含有量、非水電解液に添加する1,3,2-ジオキサチオラン-2,2-ジオキシドの添加量を表1~3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2~56及び比較例1~10のリチウムイオン二次電池を作製した。」([0059])と記載されている。
特開2014-143041号公報 特開2018-37380号公報 WO2012/049723 特開2016-85837号公報
本発明の目的は、高温保存後の低温放電特性に優れる非水電解質蓄電素子を提供することである。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、正極合剤中に、正極活物質として、カーボンコートされたポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含み、導電剤を実質的に含まない正極と、25℃環境下で粘度が4.2mPa・s以下である非水電解質とを備えたものである。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子によれば、高温保存後の低温放電特性に優れる非水電解質蓄電素子を提供することができる。
図1は、非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。
初めに、本明細書によって開示される非水電解質蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、正極合剤中に、正極活物質として、カーボンコートされたポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含み、導電剤を実質的に含まない正極と、25℃環境下で粘度が4.2mPa・s以下である非水電解質とを備えたものである。
上記非水電解質の粘度の測定は、測定装置としてアントンパール社製のLOVIS2000MEを用い、測定装置が置かれている部屋の環境温度を25℃に設定して実施する。
上記の非水電解質蓄電素子によれば、高温保存後の低温放電特性に優れる非水電解質蓄電素子を提供することができる。
ここで、前記導電剤の含有量は、正極合剤に対して1質量%未満(0質量%を含む)であってもよい。
本明細書において、「カーボンコート」は、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物の導電性を高めるためにリチウム遷移金属化合物の表面に被覆されたカーボンを意味し、「導電剤」は、正極の導電性を高めるために正極合剤中に含まれる、上記の被覆されたカーボン以外の導電性を有する材料を意味する。
また、正極合剤中に「導電剤を実質的に含まない」とは、本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子の課題である高温保存後の低温放電特性に悪影響を与える正極合剤中の導電剤の含有量が実質的に0質量%であることを意味するが、上記の高温保存後の低温放電特性の向上を阻害しない範囲で微量の導電剤が正極合剤に含まれることを排除するものではない。したがって、正極合剤中に「導電剤を実質的に含まない」とは、導電剤の含有量が正極合剤の1質量%未満であることを意味し、0.5質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
導電剤の含有量は、以下の方法で算出することにより、確認することができる。
非水電解質蓄電素子を放電状態で解体し、正極を取り出す。正極から正極合剤を取り出し、N-メチルピロリドン(NMP)等の溶媒中に分散させてバインダを除去する。溶媒を乾燥させた正極活物質と導電剤の混合粉末について、風力分級処理を行う。これにより取り出した導電剤と正極合剤の質量から、導電剤の含有量を算出する。
正極合剤中に、アセチレンブラック(カーボンブラック)等の一般的に使用されている導電剤(例えば、上記特許文献2から4の導電助剤参照)を実質的に含まないことで、正極合剤全体のBET比表面積が大きくなり過ぎることを抑制することができるため、高温等での保存時の正極表面での副反応を抑制することができ、保存特性向上につながる。また、そのような正極合剤を使用して正極を製造する場合に、より均一な状態のものを作製できるというメリットがある。
一方、正極合剤中に一般的な導電剤を実質的に含まないことで、正極合剤の保液性が減少し、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合へのリチウムイオンの供給不足につながるから、本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子においては、非水電解質を25℃環境下で粘度が4.2mPa・s以下とし、Li拡散に有利な低粘性とすることで、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物へリチウムイオンが十分に供給され、低温特性を向上させることができる。
本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という。)に係る非水電解質蓄電素子の構成、蓄電装置の構成、及び非水電解質蓄電素子の製造方法、並びにその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<非水電解質蓄電素子の構成>
本実施形態に係る非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、正極、負極及びセパレータを有する電極体と、非水電解質と、上記電極体及び非水電解質を収容する容器と、を備える。電極体は、通常、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された積層型、又は、正極及び負極がセパレータを介して積層された状態で巻回された巻回型である。非水電解質は、正極、負極及びセパレータに含まれた状態で存在する。非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極合剤層とを有する。
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材と正極合剤層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極合剤層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
正極合剤層は、正極活物質を含む。正極合剤層は、必要に応じて、導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。正極合剤層は、正極活物質と上記の任意成分を含めた正極合剤から構成される。
本実施形態において、正極活物質は、カーボンコートされたポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含む。ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物として、一般式Liαβ(POα(Mは1種以上の遷移金属、α及びβはMの価数に応じて化学量論的組成を満たす整数)が挙げられ、例えば、Mが具体的にFe、Mn、Ni、Co及びVから選択される1種の遷移金属であるLiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO,Li(PO等があり、Mが2種以上の遷移金属であるLiFeMn1-xPO(0<x<1)、LiFe1-yPO(Mは1種以上の遷移金属、0.5≦y<1)等があり、また、これ以外にLiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。
本実施形態においては、本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子の課題である高温保存後の低温放電特性を損なわない範囲で、ポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物以外の他の正極活物質を含んでもよい。
他の正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極合剤層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極合剤層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極合剤層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
上記のとおり、本実施形態においては、正極合剤中に導電剤を実質的に含まないものであるが、非水電解質蓄電素子の高温保存後の低温放電特性の向上を阻害しない範囲で微量の導電剤が正極合剤に含まれることを排除するものではない。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種が単独で含まれていてもよく、2種以上が混合して含まれていてもよい。また、これらの材料が複合化して含まれていてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料が含まれていてもよい。
正極合剤層における導電剤の含有量は、1質量%未満であり、0.5質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。導電剤の含有量を上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子の高温保存後の低温放電特性を向上させることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極合剤層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極合剤層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極合剤層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極合剤層は、負極活物質を含む。負極合剤層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極合剤層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極合剤層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた半電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態である。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極合剤層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。負極活物質が金属Li等の金属である場合、負極活物質は、箔状であってもよい。
負極合剤層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極合剤層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
(非水電解質)
本実施形態においては、非水電解質(以下、「非水電解液」ともいう。)は、25℃環境下で粘度が4.2mPa・s以下である。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、非水電解質が25℃環境下で粘度が4.2mPa・s以下となる範囲で公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
非水電解質を、25℃環境下で粘度が4.2mPa・s以下とするために、アセトニトリル等の粘度の低い非水溶媒を含有させることが好ましい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液におけるLiPF等の電解質塩の含有量は、非水電解質が25℃環境下で粘度が4.2mPa・s以下となる範囲で適宜選択でき、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上0.9mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上0.9mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上0.8mol/dm以下であるとさらに好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液の粘度を低くすることが容易にできる。
アセトニトリル等の粘度の低い非水溶媒を用いた場合には、LiPF等の電解質塩の含有量を0.9mol/dmより多くしてもよい。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての非水電解質蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
<蓄電装置の構成>
本実施形態の非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の非水電解質蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された二以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の非水電解質蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本実施形態の非水電解質蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することと、を備える。電極体を準備することは、正極及び負極を準備することと、セパレータを介して正極及び負極を積層又は巻回することにより電極体を形成することとを備える。
非水電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、容器に形成された注入口から非水電解質を注入した後、注入口を封止すればよい。
<その他の実施形態>
尚、本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
上記実施形態では、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極体について説明したが、電極体は、セパレータを備えなくてもよい。例えば、正極又は負極の合剤層上に導電性を有さない層が形成された状態で、正極及び負極が直接接してもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の実施例、比較例においては、非水電解質蓄電素子として、非水電解質二次電池を作製し、その低温特性と保存特性を評価した。
[実施例1]
(正極活物質の作製)
<LiFePOの作製>
始めにイオン交換水が入った反応容器に1mol/dmのFeSO水溶液を一定速度で滴下しつつ、その間のpHが一定値10.0±0.1を保つように4mol/dmのNaOH水溶液と、0.5mol/dmのNH水溶液と、0.5mol/dmのNHNH水溶液の混合溶液を滴下し、Fe(OH)前駆体を作製した。次に、作製されたFe(OH)前駆体を反応容器から取り出して、LiHPO及びスクロース粉と固相混合した。そして、窒素雰囲気下において焼成温度650℃で5時間焼成することにより、カーボンコートされたポリアニオン構造を有する正極活物質LiFePOを作製した。
(正極の作製)
正極活物質として上記のようにして作製したカーボンコートされたLiFePOを用い、分散媒としてN-メチルピロリドン(NMP)、バインダとしてPVDFを用いた。上記正極活物質、バインダ及び分散媒を混合した。その際、活物質:バインダの固形分質量比率は95:5となるように混合した。これら混合物に分散媒を適量加えて粘度を調整し、正極合剤ペーストを作製した。次に、上記正極合剤ペーストを、正極基材であるアルミニウム箔の両面に、未塗布部(正極合剤層非形成部)を残して塗布し、120℃で乾燥し、ロールプレスすることにより、正極基材上に正極合剤層を形成した。正極合剤ペーストの塗布量は、固形分で10mg/cmとした。このようにして、実施例1に係る正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質としてグラファイト、バインダとしてSBR、増粘剤としてCMCを用いた。負極活物質、バインダ、増粘剤及び分散剤としての水を混合した。その際、活物質:バインダ:増粘剤の固形分質量比率は97:2:1の質量比となるように混合した。これら混合物に水を適量加えて粘度を調整し、負極合剤ペーストを作製した。この負極合剤ペーストを、負極基材である銅箔の両面に、未塗布部(負極合剤層非形成部)を残して塗布し、乾燥し、ロールプレスすることにより、負極基材上に負極合剤層を作製した。このようにして、負極を作製した。
(非水電解質の調製)
ECとEMCとアセトニトリルを体積比2:3:5の割合で混合した混合溶媒に、LiPFを0.9mol/dmの濃度で溶解させ、非水電解質を調製した。
(非水電解質の粘度測定)
使用した非水電解質の粘度測定は、上記した測定装置を用い、25℃環境下で実施した。
(非水電解質二次電池の作製)
ポリエチレン製微多孔膜基材及び上記ポリエチレン製微多孔膜基材上に形成された耐熱層からなるセパレータを介して、上記の正極と負極とを積層し、電極体を作製した。なお、上記耐熱層は、正極と対向する面に配設されるようにした。この電極体をアルミニウム製の角形容器に収納し、正極端子及び負極端子を取り付けた。この角型容器内部に上記の非水電解質を注入した後、封口し、実施例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
(保存後 -30℃/25℃ 1C容量比)
上記の作製した非水電解質二次電池について、25℃環境下、0.1Cの電流で3.6Vまで定電流充電をおこない、その後電流が0.02Cとなるまで3.6Vで定電圧充電をおこなった。その電池を85℃環境下で10日間保存した。その後、25℃環境下で2.0Vになるまで0.1Cの電流で定電流放電をおこない、10分間休止した。その後、保存前と同様に定電流定電圧充電をおこない、10分の休止を経たのち、1Cの電流で2.0Vまで放電し、そのときの放電容量を「25℃ 1C容量」とした。次に、25℃環境下で保存前と同様に定電流定電圧充電をおこない、-30℃環境下で3時間の休止を経たのち、1Cの電流で2.0Vまで放電し、そのときの放電容量を「0℃ 1C容量」とした。得られた「25℃ 1C容量」に対する「0℃ 1C容量」の百分率を算出し、「保存後 -30℃/25℃ 1C容量比」とした。
[実施例2、3、4、及び比較例1]
非水電解質の調製において、ECとEMCを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒に、それぞれ、LiPFを0.6mol/dm、0.75mol/dm、0.9mol/dm、及び1.0mol/dmの濃度で溶解させ、非水電解質を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例2、3、4、及び比較例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
[比較例2から6]
正極活物質として上記のようにして作製したカーボンコートされたLiFePOを用い、分散媒としてN-メチルピロリドン(NMP)、導電剤としてアセチレンブラック(AB)、及びバインダとしてPVDFを用いた。上記正極活物質、導電剤、バインダ及び分散媒を混合した。その際、活物質:導電剤:バインダの固形分質量比率は90:5:5(導電剤の含有量は、正極合剤に対して5質量%)となるように混合した。これら混合物に分散媒を適量加えて粘度を調整し、正極合剤ペーストを作製した。次に、上記正極合剤ペーストを、正極基材であるアルミニウム箔の両面に、未塗布部(正極合剤層非形成部)を残して塗布し、120℃で乾燥し、ロールプレスすることにより、正極基材上に正極合剤層を形成した。正極合剤ペーストの塗布量は、固形分で10mg/cmとした。このようにして、比較例2から6に係る正極を作製した以外は、実施例1から4、及び比較例1と同様にして、それぞれ、比較例2から5、及び比較例6に係る非水電解質二次電池を作製した。
実施例1から実施例4、比較例1から比較例6に係る非水電解質二次電池について、上記した方法で、非水電解質の粘度、「保存後 -30℃/25℃ 1C容量比」を求めた。その結果を、表1に示す。
Figure 0007676834000001
表1より、正極合剤中に導電剤であるアセチレンブラック(AB)を含まない(表1では「なし」と表記)正極を用い、粘度が4.2mPa・s以下の非水電解質を用いた実施例1から実施例4に係る非水電解質電池は、「保存後 -30℃/25℃ 1C容量比」が高く、高温保存後の低温放電特性が優れているのがわかる。
これに対して、正極合剤中に導電剤であるアセチレンブラック(AB)を含まない正極を用い、粘度が4.2mPa・sを超える非水電解質を用いた比較例1に係る非水電解質電池は、「保存後 -30℃/25℃ 1C容量比」が低くなり、高温保存後の低温放電特性を向上させることができない。また、正極合剤中に導電剤であるアセチレンブラック(AB)を含む(表1では「あり」と表記)正極を用いた場合には、粘度が4.2mPa・s以下の非水電解質を用いた比較例2から5に係る非水電解質電池でも、粘度が4.2mPa・sを超える非水電解質を用いた比較例6に係る非水電解質電池でも、いずれも、「保存後 -30℃/25℃ 1C容量比」が低くなり、高温保存後の低温放電特性を向上させることができない。
本発明の一側面に係る正極及び非水電解質を用いることにより、低温特性と保存特性が両立した非水電解質蓄電素子を提供することができるので、この非水電解質蓄電素子は、ハイブリッド自動車用、プラグインハイブリッド自動車用、電気自動車用の非水電解質蓄電素子として有用である。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (1)

  1. 正極合剤中に、正極活物質として、カーボンコートされたポリアニオン構造を有するリチウム遷移金属化合物を含み、導電剤の含有量が、正極合剤に対して1質量%未満(0質量%を含む)である正極と、25℃環境下で粘度が4.2mPa・s以下である非水電解質とを備えた、非水電解質蓄電素子。
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