JP7679323B2 - レーザ加工装置およびチップ転写装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザビームを照射して被加工物を加工するレーザ加工装置に関する。例えば、チップ部品にレーザビームを照射して、所定ギャップを隔てて配向配置されたドナー基板からチップ転写対象となるターゲット基板にチップ部品を転写する装置に関する。
従来から、基板上に成膜された薄膜の除去等のために、スポット上に集光させたレーザビームを照射(いわゆる、レーザアブレーション)する装置(レーザ加工装置)が知られている。
そして、レーザビームとガルバノスキャナを使用したレーザーアブレーション技術により、転写元基板(ドナー基板)上に配列された素子(チップ)を剥離し、剥離した素子を対向配置させた転写先基板(ターゲット基板)に転写する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2006-41500号公報
レーザ発振器は、レーザビームを連続的に出射させると、ビーム強度が急上昇した後、所定時間が経過するまで下降し、その後安定状態となるものがある。そして、レーザビームの照射を止めた後、照射を再開すると、同様の現象が起きるものがある。この様なレーザ発振器は、レーザビームの照射直後から所定時間、レーザビームのビーム強度が過多となるため、プロセスマージンが狭い加工に適用することが困難であった。
一方、プロセスマージンが狭いレーザ加工については、所望の加工結果が得るためにビーム強度が安定してから加工を開始するという手法も考えられるが、ビーム強度が安定する迄レーザビームを遮光する必要性があったり、ビーム強度が安定するまで加工を開始できないという課題があった。
そこで本発明は、レーザ発振器からレーザビームを出射した直後から加工に適したビーム強度で加工ができる、レーザ加工装置を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明に係る一態様は、
レーザビームを照射して被加工物を加工するレーザ加工装置であって、
レーザビームを出射するレーザ発振器と、
レーザビームの光路中に配置されて、当該レーザビームの透過率を調節する減衰器と、
減衰器を制御して透過率を調節する制御部とを備え、
制御部は、
レーザ発振器から出射されたレーザビームのビーム強度が一定レベルを超える範囲に対して選択的に、減衰器を制御して当該減衰器から出射されるレーザビームのビーム強度を下げることを特徴とする。
レーザ発振器からレーザビームを出射した直後から加工に適したビーム強度で加工ができるので、ビーム強度が安定するのを待つことなく、速やかに加工を開始できる。
本発明を具現化する形態の一例の全体構成を示す概略図である。 本発明を具現化する形態の一例におけるレーザビームの経時的なビーム強度の変化特性を示すグラフである。 本発明を具現化する形態の一例におけるビーム強度の調整に関する各パラメータの経時特性を示した概念図である。 本発明を具現化する形態の一例におけるフロー図である。 本発明を具現化する形態の一例におけるビーム強度の調整に関する各パラメータの経時特性を示した概念図である。図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。
なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX方向、Y方向と表現し、XY平面に垂直な方向(つまり、重力方向)をZ方向と表現する。また、Z方向は、重力に逆らう方向を上、重力がはたらく方向を下と表現する。また、Z方向を中心軸として回転する方向をθ方向と呼ぶ。また、X方向を横、Y方向を縦、XY方向を縦横と表現することがある。
図1は、本発明を具現化する形態の一例の全体構成を示す概略図である。図1には、本発明に係るレーザ加工装置の一類型であるチップ転写装置1の概略図が示されている。
本発明に係るレーザ加工装置は、レーザビームLを照射して被加工物Wを加工するものである。ここでは被加工物Wとして、転写対象となるターゲット基板Wtに対して所定ギャップを隔てて配向配置されたドナー基板Wdの表面上(下面側)に所定ピッチで保持された複数のチップ部品Cを例示する。
チップ転写装置1は、前記所定ピッチで保持された複数のチップ部品Cに直接またはドナー基板Wdを通過させてレーザビームLを逐次照射することで当該複数のチップ部品Cを1チップずつターゲット基板Wtの表面上(上面側)に転写するものである。
具体的には、チップ転写装置1は、レーザ発振器2、減衰器3、基板保持部4、移動部5、補正データ登録部6、加工パターン登録部8、制御部9等を備えている。
なお本発明において、レーザ発振器2から出射されたレーザビームL1と、減衰器3から出射されたレーザビームL2とは、互いに区別して呼ぶこともあるし、総じてレーザビームLと呼ぶこともある。
レーザ発振器2は、レーザビームL1を出射するものである。
具体的には、レーザ発振器2は、制御部9から出力されるトリガ信号を受けて、パルス状のレーザビームL1を出射する構成をしている。
より具体的には、レーザ発振器2として、YAGレーザ(基本波長1064nm)の第二高調波をレーザビームL1として出射するグリーンレーザ(波長532nm)が例示できる。
減衰器3は、レーザビームLの光路中に配置されて、当該レーザビームLの透過率Qを調節するものである。なお透過率Qは、「レーザビームL2の強度/レーザビームL1の強度」で表すことができる。
具体的には、減衰器3は、レーザ発振器2から出射されたレーザビームL1のビーム強度Iを減衰させて出射するものである。そして、減衰器3から出射されたレーザビームL2が、ミラーM等を経由してチップ部品Cに照射されて転写加工が行われる。
より具体的には、減衰器3は、音響光学素子31が例示できる。
音響光学素子31は、レーザビームL1の光路中に配置されて、音響光学素子31を通過するレーザビームL1のビーム強度を選択的に下げるものである。
具体的には、音響光学素子31は、レーザビームL1が直進して出射する0次光と、当該0次光とは異なる方向に回折して出射するn次光(つまり、1次光や2次光等)に分岐しつつ、当該0次光および当該n次光の強度比率(ひいては、レーザビームLの透過率Q)を調節するものである。つまり、入射するレーザビームL1の一部がn次光として分岐され、残りのビーム強度が調節された0次光が、ビーム強度を選択的に下げたレーザビームL2として出射されて、チップ部品Cに照射される。なお、音響光学素子31は、制御部9から出力されたRF信号の電圧Vrfに応じて、レーザビームLの透過率Qが調節される。また、レーザ加工に不要なn次光は、不図示の消光器等によりエネルギーを吸収させる。
ミラーMは、レーザビームL2の方向を変更するものである。図1に示す構成では、X方向に出射されたレーザビームL2が下向きに方向を変えてチップ部品Cに照射されている。
基板保持部4は、ドナー基板Wdとターゲット基板Wtとを所定ギャップを隔てて配向配置しつつ保持するものである。具体的には、基板保持部4は、ターゲット基板Wtを下面側から水平状態を保ちつつ支え、その上方でドナー基板Wdの側面や外周下部を支え、これら基板Wt,Wdを保持するものである。より具体的には、基板保持部4は、負圧吸引手段や静電密着手段等を備えたドナー基板保持部4dと、クランプ機構や負圧吸引手段等を備えたターゲット基板保持部4tを備えている。
移動部5は、被加工物Wに対するレーザビームL2の照射位置を変更するものである。具体的には、レーザビームL2の照射方向(Z方向)と直交する方向(XY方向)に、ドナー基板Wdおよびターゲット基板WtとレーザビームL2との相対位置を移動させるものである。
より具体的には、移動部5は、X軸アクチュエータ5x、Y軸アクチュエータ5y、θ軸アクチュエータ5θ等を備えている。
X軸アクチュエータ5xは、基板保持部4をX方向(詳しくはX1方向)に所定の速度で移動させ、所定の位置で静止させるものである。Y軸アクチュエータ5yは、基板保持部4をY方向(詳しくはY1方向)に所定の速度で移動させ、所定の位置所で静止させるものである。θ軸アクチュエータ5θは、Z方向を回転軸とするθ方向に、基板保持部4を所定の角速度で回転させ、所定の角度で静止させるものである。具体的には、装置フレーム10fの上にX軸アクチュエータ5xが取り付けられており、X軸アクチュエータ5xの可動部50にY軸アクチュエータ5yが取り付けられており、Y軸アクチュエータ5yの可動部(不図示)にθ軸アクチュエータ5θが取り付けられており、θ軸アクチュエータ5θの可動部(不図示)に基板保持部4が取り付けられている。そして、X軸アクチュエータ5x、Y軸アクチュエータ5y、θ軸アクチュエータ5θは、制御部9から出力される制御信号に基づいて、各可動部が駆動制御される。
なお、ターゲット基板Wtとドナー基板Wdとのアライメントは、これら基板Wd,Wtの外周部を外側から内側に向かって狭持するメカニカルクランプ方式や、これら基板Wd,Wtに付与された基準マークをカメラで撮像したり、これら基板Wd,Wtに設けられたノッチやオリエンテーションフラットをカメラで撮像/センサで検出等したりして、位置ずれや角度ずれを把握し、ドナー基板WdをX方向(詳しくはX2方向)/Y方向(詳しくはY2方向)/θ方向それぞれ独立に微動や静止が可能なステージ機構52x,52y等により位置決め移動や角度補正をする方式等が例示できる。
補正データ登録部6は、レーザビームLのビーム強度Iが一定レベルを超える範囲に対して、当該レーザビームLの経時的な強度変化を補正する補正データKを登録するものである。なお、レーザビームLのビーム強度Iが一定レベルを超える「範囲」とは、時間的な「区間」(期間とも言う)を意味する。
補正データKは、減衰器3の透過率Qを経時的に変化させて、チップ部品Cに照射されるレーザビームLのビーム強度Iが一定レベルを超えないようにするためのものである。
具体的には、補正データKは、レーザビームLの照射直後(つまり、トリガ信号Vtの入力直後)からの経過時間tに対する特性値の変化が紐付けられたものである。
より具体的には、補正データKは、減衰器3である音響光学素子31に印加するRF信号の電圧Vrfの時系列データとして定義することができ、印加すべきRF信号の電圧値が時間tにより変化する関数(例えば、式:Vrf=f(t)等で表される)や、時間tと印加すべきRF信号の電圧Vrfとが紐付けられたルックアップテーブルなどが例示できる。
なお、減衰器3である音響光学素子31に印加するRF信号の電圧Vrfと透過率Qとの相関関係は予め把握しておき、レーザビームL1のビーム強度Iが所望の範囲に収まるように、印加すべきRF信号の電圧Vrfを設定しておく。
具体的には、レーザ発振器2から出射されるレーザビームL1について、透過率を調整する前の経時的なビーム強度Iの変化特性(いわゆる、パワー特性)を予め把握しておく。
より具体的には、レーザ発振器2に所定の繰り返し周波数でパルス状のトリガ信号を連続的に出力し、高速応答性の良い測定器を用いて、レーザビームL1を出射した直後から所定時間経過するまでビーム強度Iを逐次測定し記録しておく。
[ビーム強度の調節/補正データについて]
以下に、チップ転写中のレーザビームLのビーム強度Iの調節について詳細を述べる。
図2は、本発明を具現化する形態の一例におけるレーザビームの経時的なビーム強度の変化特性を示すグラフである。図2には、横軸を時間t、縦軸をビーム強度Iとして、実際のチップ転写と同様の加工条件でレーザビームL1を出射させたときのビーム強度Iの変化の様子(つまり、調整前のパワー特性Pb)が図示されている。
この加工条件では、所定時間(つまり、照射時間Ts)だけレーザビームL1を出射させ、その後、所定時間(つまり、休止時間Tq)は出射をやめ、再び所定の照射時間TsだけレーザビームL1を出射するというサイクルが繰り返されている。
なお時刻t0より前は、レーザ発振器2を励起状態(つまり、トリガ信号が入力されれば、即レーザビームL1を出射できる状態)で待機させておく。そして、時刻t0から照射時間Tsが経過する時刻t3まで、所定の繰り返し周波数でトリガ信号を入力する。
また、時刻t3でトリガ信号の入力を中断(つまり、トリガ信号をOFF)した後、休止時間Tqが経過する時刻t10で再びトリガ信号が入力され、照射時間Tsが経過する時刻t13でトリガ信号をOFFにする。
このとき、レーザビームL1のビーム強度Iは、時刻t0から時刻t1まで急増し、時刻t1から時刻t2まで弱まり、時刻t2以降は安定化する。そして、時刻t3から時刻t10まで休止時間Tqが経過した後、レーザビームL1の照射を再開すると、ビーム強度Iは、時刻t10から時刻t11まで急増し、時刻t11から時刻t12まで弱まり、時刻t12以降は安定化する。以下同様の現象が続く。なお、このようなビーム強度Iの経時的な変化(つまり、パワー特性Pb)は、レーザ発振器2の個体ならびにトリガ信号Vtの繰り返し周波数等の加工条件に依存し、再現性を伴う。
図3は、本発明を具現化する形態の一例におけるビーム強度の調整に関する各パラメータの経時特性を示した概念図である。図3(a)~(c)は、時刻t0から時刻t2の間に着目するため、図2より拡大した時間tを横軸に示している。
図3(a)は、本発明を適用する前のレーザビームLのパワー特性Pbと、本発明を適用した後のレーザビームL2のパワー特性Pcとを比較するグラフである。図3(a)には、ビーム強度Iを縦軸に示し、レーザビームL1の経時的なビーム強度Iの変化の様子(つまり、調整前のパワー特性Pb)と、レーザビームL2の経時的なビーム強度Iの変化の様子(つまり、調整後のパワー特性Pc)とが並べて示されている。
なお、チップ転写に適したビーム強度の上限値R1および下限値R2は、チップ部品Cの転写状態等に基づいて予め把握しておく。そして、レーザビームL1のビーム強度Iが一定レベル(つまり、上限値R1)を超えるタイミング(つまり、時刻t0から時刻taまでの時間Ta)と、再び上限値R1を下回るタイミング(つまり、時刻t0から時刻tbまでの時間Tc)とを、調整前のパワー特性Pbに基づいて把握しておく。
図3(b)は、レーザ発振器2に入力されるトリガ信号Vtの様子を示す図である。図3(b)には、トリガ信号Vtの電圧を縦軸に示されている。なお、トリガ信号Vtは、時刻t0以降、所定の繰り返し周波数で入力され、トリガ信号Vtの入力に応じてレーザビームL1が逐次出射される。
図3(c)には、減衰器3である音響光学素子31に印加するRF信号の電圧Vrfと、音響光学素子31の透過率Qとを縦軸に示し、電圧Vrfと透過率Qの経時的な変化の様子が図示されている。
レーザビームL1のビーム強度Iが一定レベル(つまり、上限値R1)を超える時間Taまでは、音響光学素子31に対してRF信号の電圧Vrfは印加しない。そして、時間Taが経過する直前でRF信号の電圧Vrfを印加し始め、時間Tbが経過するまでRF信号の電圧Vrfを上げてゆく。そして、時間Tbを経過した後は徐々にRF信号の電圧Vrfを下げながら印加し、時間Tcを経過した後は印加をやめる。
つまり、トリガ信号Vtの入力直後の時刻t0から時間Taを経過するまで、減衰器3の透過率Qは、最も高い状態にある。そして、時間Taを経過してから時間Tbを経過するまで、透過率Qは逐次下げられる。そして、時間Tbを経過してから時間Tcを経過するまで、透過率Qは徐々に上げられる。そして、時間Tcを経過した後、透過率Qは再び最も高い状態となる。
つまり、音響光学素子31に印加するRF信号の電圧Vrfを逐次変更することで、減衰器3の透過率Qが逐次変更され、出射されるレーザビームL2のビーム強度Iを選択的に下げることができる。
そのため、図3(a)に示す様なパワー特性Pcで、レーザビームL2をチップ部品Cに照射することができる。
加工パターン登録部8は、被加工物Wの加工に必要な加工パターン情報Jを登録するものである。
具体的には、加工パターン情報Jは、加工レシピとも呼ばれ、ドナー基板Wdに保持されているチップ転写Cの配置場所(座標やピッチ)、レーザビームLを照射する順序や移動速度(いわゆる、加工ルートや加工速度)、レーザ発振器2に出力するトリガ信号Vtの繰り返し周波数等が登録されている。
また、加工パターン情報Jには、補正データKが紐付けて登録されている。そのため、トリガ信号Vtの出力パターンに適した補正データKを設定することができる。
制御部9は、チップ転写装置1の各部を制御するものである。
さらに、制御部9は、レーザ発振器2から出射されたレーザビームL1のビーム強度Iが一定レベルを超える範囲(つまり、時間的な区間)に対して選択的に、減衰器3を制御して当該減衰器3から出射されるレーザビームL2のビーム強度を下げるものである。
具体的には、制御部9は、下記の機能を有している。
・レーザ発振器2に対してレーザビームLをパルス状に照射するためのトリガ信号を送信する。
・音響光学素子31に出力するRF信号の電圧Vrfを調節して(つまり、減衰器3を制御して)、レーザビームLが出射された直後から所定時間経過するまで、レーザビームLの透過率Qを調節する。
・ターゲット基板Wtに対してドナー基板Wdの位置ずれや角度ずれを補正(つまり、アライメント)する。
・X軸アクチュエータ5x、Y軸アクチュエータ5y、θ軸アクチュエータ5θ等の現在位置情報を把握しながら、X軸アクチュエータ5xやY軸アクチュエータ5yの位置や移動速度、θ軸アクチュエータ5θの角度等を制御する(つまり、基板Wd,WtとレーザビームL2とを相対移動させる)。
・加工パターン登録部8に登録された加工パターン情報Jに基づいて、ドナー基板Wd上に分布したチップ部品CにレーザビームB2を逐次照射し、チップ部品Cをドナー基板Wdからターゲット基板Wtに転写(つまり、レーザ加工の一態様)を行う。このとき、補正データKに基づいて、トリガ信号Vtの出力タイミング(つまり、レーザ照射直後からの経過時間t)に応じてRF信号の電圧Vrfを逐次制御する(すなわち、減衰器3の透過率Qを逐次調節する)。
より具体的には、制御部9は、コンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ、制御用コントローラなど(ハードウェア)と、その実行プログラム(ソフトウェア)で構成されており、信号入出力手段やデータ通信手段などを介して各部を制御することができる。
[加工フロー]
図4は、本発明を具現化する形態の一例におけるフロー図である。図4には、本発明に係るチップ転写装置1を用いて、チップ部品CにレーザビームLを照射し、チップ部品Cをドナー基板Wd側からターゲット基板Wt側に転写(つまり、レーザ加工の一類型)を行うフローが示されている。
先ず、転写加工を行う条件を決定する(ステップs10)。
具体的には、ドナー基板Wdに保持されているチップ転写Cの配置場所(座標やピッチ)、レーザビームL2を照射する順序や移動速度(いわゆる、加工ルートや加工速度)、レーザ発振器2に出力するトリガ信号の繰り返し周波数等を決定し、加工パターン情報Jとして加工パターン登録部8に登録する。
この加工パターン情報Jが新規の加工条件か既存の加工条件かを判別する(ステップs11)。
加工パターン情報Jが新規の加工条件であれば、レーザ発振器2から出射されるレーザビームL1のパワー特性を測定する(ステップs12)。具体的には、レーザビームL1の出射直後から、ビーム強度Iが十分に安定する時間が経過するまで、高速応答性に優れたパワー測定器を用いて1パルス毎ないし複数パルス毎に経時的なビーム強度Iの変化を測定する。そして、取得した経時的なビーム強度Iの変化(つまり、パワー特性)に基づいて、補正データKを作成・登録する(ステップs13)。
一方、加工パターン情報Jが既存の加工条件であれば、補正データKを読み出す(ステップs14)。
次に、ターゲット基板Wtを基板保持部4にて保持する(ステップs20)。
その後、ドナー基板Wdを基板保持部4にて保持する(ステップs21)。
そして、これら基板Wt,Wdが所定ギャップを隔てて対向配置しつつ、XYθ方向のアライメントを行う(ステップs22)。
次に、これら基板Wt,Wd同士の位置関係を維持したまま、移動部5を制御してレーザビームL2と相対移動させながら、選択的にビーム強度Iを下げて、チップ部品CにレーザビームL2を逐次照射する(ステップs23)。そうすることで、チップ部品Cが、ドナー基板Wd側からターゲット基板Wt側に逐次転写される。
チップ転写が1列終了した後、次の列を転写するか判別する(ステップs24)。
次の列を転写する場合は、上述のステップs23~s24を繰り返し、次の列が無ければ、ドナー基板Wdを払い出す(ステップs25)。
そして、チップ転写が終了したかどうかを判別し(ステップs26)、終了していなければ上述のステップs21~s26を繰り返す。
一方、チップ転写が終了していれば、ターゲット基板Wtを払い出し(ステップs27)、一連のフローを終了する。
この様な構成をしているため、チップ転写装置1は、移動部5を相対移動させながら、ドナー基板Wdに多数配列されたチップ部品Cに対して1チップずつ、逐次レーザビームL2を照射することができる。そして、レーザビームL2が照射されたチップ部品Cは、ドナー基板Wdとの界面でガスが発生し、ドナー基板Wdから分離してターゲット基板Wtに向かって勢いよく飛び出し、ターゲット基板Wtに付着する(つまり、転写される)。このとき、レー発振器2から出射されるレーザビームL1は、所定の期間(つまり、時刻ta~時刻tbの間)、ビームの強度Iが逐次減衰される。そして、レーザビームL1を連続的に出射させて、ビーム強度Iが急上昇し、所定時間が経過するまで下降し、その後安定状態となる場合でも、強すぎるビーム強度Iを選択的に下げることで、減衰器3から出射されるレーザビームL2は、加工に適したビーム強度に下げて、チップ部品C等の被加工物に照射することができる。
そのため、レーザ発振器2からレーザビームLを出射した直後から加工に適したビーム強度Iで加工ができるので、ビーム強度Iが安定するのを待つことなく、速やかに加工を開始できる。特に本発明は、チップ転写などのプロセスマージンが狭いレーザ加工を迅速に行いたい場合に好適である。
[変形例]
[補正データについて]
なお上述では、チップ転写装置1が補正データ登録部8を備え、制御部9が前記補正データKに基づいて減衰器3から出射されるレーザビームL2のビーム強度を下げる構成を示した。
しかし、本発明を具現化する上で、チップ転写装置1は、補正データKを補正データ登録部6に備える構成には限定されない。例えば、別の装置等を用いて(いわゆる、オフライン処理で)加工条件を生成し、その加工条件に従って音響光学素子31に印加するRF信号の電圧Vrfを制御し、減衰器3の透過率Qを調節する構成としても良い。この場合でも、減衰器3から出射されるレーザビームL2のビーム強度Iは選択的に下げられた状態になるので、プロセスマージンが狭いレーザ加工であっても、レーザビームを出射した直後から安定したビーム強度で加工ができる。
[照射直後から所定時間経過するまでの透過率Qの調節]
なお上述では、補正データKが、レーザビームLが出射された直後から所定時間Tc経過するまでの、レーザビームLをパルス状に連続的に出力した時間に対応している構成を例示した。
このような構成であれば、レーザ発振器2を励起状態で待機させておいても、トリガ信号Vtの入力直後から所定時間Tc経過するまで(つまり、チップ転写に適したビーム強度の上限値R1を超える期間に対して)、ビーム強度Iを選択的に下げることができるので、好ましい。また、休止時間Tqが長い場合や、休止時間Tqが短くてもレーザビームL1の照射を再開するときのパワー特性が同等の場合にも、このような構成とすることができる。
[休止時間の補正]
一方、休止時間Tqが短い場合や、休止時間Tqがやや長くてもレーザビームL1の照射を再開するときのパワー特性が同等と見なせず、チップ転写に適したビーム強度の上限値R1を超えてしまう場合には、補正データKは、レーザビームLが出射された直後から所定時間経過するまでの、レーザビームLをパルス状に連続的に出力した時間Tsおよび出力を休止した時間Tqに対応した構成としても良い。
図5は、本発明を具現化する形態の一例におけるビーム強度の調整に関する各パラメータの経時特性を示した概念図である。図5(a)~(c)には、時間tを横軸に示されており、連続的にレーザビームLを所定時間Ts出射した後、所定の休止時間Tqだけ出射を止め、その後再びレーザビームLを所定時間Ts出射したときの、各パラメータの経時特性を示している。
図5(a)には、本発明を適用する前のレーザビームLのパワー特性Pbと、本発明を適用した後のレーザビームL2のパワー特性Pcとを比較するグラフが示されている。
図5(b)には、レーザ発振器2に入力されるトリガ信号Vtの様子が図示されている。
図5(c)には、減衰器3である音響光学素子31に印加するRF信号の電圧Vrfと、音響光学素子31の透過率Qとを縦軸に示し、電圧Vrfと透過率Qの経時的な変化の様子が図示されている。
例えば、時刻t0からトリガ信号Vtが連続的に入力されて、レーザビームL1が逐次出射される。このとき、レーザビームLのビーム強度Iは、上限値R1と下限値R2の間(つまり、チップ部品Cの転写に適した範囲内)にある。そして、時刻t21を過ぎた頃から上限値R1を超え、時刻t22で最大となり、連続的な照射時間Tsが終わる時刻t23まで徐々に弱まってゆく。そして、時刻t23でトリガ信号Vtが止まり、レーザビームL1の照射が止まる。そして、時刻t23から所定時間(つまり休止時間Tq)経過した時刻t24から再びトリガ信号Vtの入力が始まり、レーザビームL1の照射が再開される。本例の場合、レーザビームL1の強度Iは、時刻t24から再び上昇し、時刻25で最大となり、連続的な照射時間Tsが終わる時刻t26まで徐々に弱まってゆく。そして、時刻t26でトリガ信号Vtが止まり、レーザビームL1の照射が止まる。
レーザビームL1のビーム強度Iが、この様なパワー特性Pbであることを把握した後、上述と同様にして補正データKを定義し、補正データ登録部6に登録しておく。
具体的には、補正データKは、レーザビームLの出力パターン(ビーム強度Iの経時的な変化(つまり、調整前のパワー特性Pb)を測定した後、時刻t0から時刻t26までの照射時間Tsと休止時間Tqに対応させて、ビーム強度Iが一定レベル(つまり、上限値R1)を超える期間、ビーム強度Iを選択的に下げるように、減衰器3に印加するRF信号の電圧Vrf(すなわち、減衰器3の透過率Q)を定義しておく。
より具体的には、レーザビームL1が照射された直後から時間Taが経過した時刻t21以降、ビーム強度Iが上限値R1を超えるので、ビーム強度Iの増加及び減少に合わせて、減衰器3に印加するRF信号の電圧Vrf(すなわち、減衰器3の透過率Q)を設定する。そうすることで、図5(a)に示す様なパワー特性Pcで、レーザビームL2をチップ部品Cに照射することができる。
なお、上述では説明を簡素にするために、連続的な照射時間Tsが2回で、その間に休止時間Tqが1回ある例を示した。しかし、実際の転写加工においては、連続的な照射時間Tsが複数繰り返され、その間に休止時間Tqが設定される場合、その加工パターンに合わせてパワー特性Pbを把握し、補正データKを定義すれば良い。
また、補正データKとして、印加すべきRF信号の電圧値が時間tにより変化する関数として定義する場合、照射時間Tsや休止時間Tqの経過時間に応じて電圧値Vrfが定まるような式としても良い。
[補正データKについて]
なお上述では、補正データKの一例として、減衰器3から出射されるレーザビームL2のビーム強度Iが、チップ転写に適したビーム強度の上限値R1より少し低い値で維持させる構成を例示した。この様な構成であれば、
レーザのエネルギーロスを少ないため、トリガ信号の繰り返し周波数を高く設定して、加工速度を速くすることができる。
しかし、補正データKは、この様な構成に限定されず、チップ転写に適したビーム強度の上限値R1と下限値R2の中央値を維持させるような構成であっても良いし、下限値R2より少し高い値で維持させる構成であっても良い。
[減衰器2について]
なお上述では、減衰器2の具体的な構成として、音響光学素子を例示した。
本発明を具現化する上で、レーザビームLのビーム強度Iを選択的に下げる手段として応答速度の速い音響光学素子を用いれば、短時間でビーム強度Iが変化する場合でも、ビーム強度Iの調整が容易にできるため好ましい。
しかし、ビーム強度Iの変化に追従できれば、光学ウェッジやフィルター等の光学素子を配置し、この光学素子の角度や位置を調節することで通過するレーザビームの透過率を変更できるアッテネータなどを減衰器2として用いても良い。
[転写加工について]
なお上述では、チップ転写装置1として、所定ピッチで保持された複数のチップ部品Cに直接またはドナー基板Wdを通過させてレーザビームLを逐次照射することで当該複数のチップ部品Cを1チップずつターゲット基板Wtに転写する構成を例示した。
しかし、本発明を具現化する上で、1チップずつ転写する構成に限定されず、複数のチップに向けて分岐したレーザビームLまたは複数のチップが含まれる範囲のレーザビームLをトリガ信号Vtに応じて逐次照射することで、複数のチップをひとまとめで転写させる構成であっても良い。
[レーザ加工装置について]
なお上述では、本発明の具体的な適用例としてチップ転写装置1を示した。しかし本発明は、チップ転写装置に限らず、露光やマーキング、トリミング等において、プロセスマージンが狭い被加工物を加工するレーザ加工装置に適用することができる。この場合、レーザビームを出射した直後から安定したビーム強度で加工ができるので好ましい。
1 チップ転写装置
2 レーザ発振器
3 減衰器
4 基板保持部
5 移動部
6 補正データ登録部
8 加工パターン登録部
9 制御部
31 音響光学素子
W 被加工物
Wd ドナー基板
Wt ターゲット基板
C チップ部品
L レーザビーム
L1 レーザ発振器から出射したレーザビーム
L2 減衰器を通過したレーザビーム
I ビーム強度
J 加工パターン情報
K 補正データ
t0~t3,t10~t13 時刻
Ts 照射時間
Tq 休止時間
Vt トリガ信号
Vrf RF信号の電圧
Q 透過率
R1 上限値
R2 下限値
Pb 調整前のパワー特性
Pc 調整後のパワー特性

Claims (6)

  1. レーザビームを照射して被加工物を加工するレーザ加工装置であって、
    前記レーザビームを出射するレーザ発振器と、
    前記レーザビームの光路中に配置されて、当該レーザビームの透過率を調節する減衰器と、
    前記減衰器を制御して前記透過率を調節する制御部とを備え、
    制御部は、
    前記レーザ発振器から出射された前記レーザビームのビーム強度が一定レベルを超える範囲に対して、前記減衰器を制御して当該減衰器から出射されるレーザビームのビーム強度を選択的に下げることを特徴とする、レーザ加工装置。
  2. 前記レーザビームのビーム強度が一定レベルを超える範囲に対して、当該レーザビームの経時的な強度変化を補正する補正データを登録する補正データ登録部を備え、
    前記制御部は、前記補正データに基づいて前記減衰器から出射される前記レーザビームのビーム強度を下げる
    ことを特徴とする、請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記補正データが、前記レーザビームが出射された直後から所定時間経過するまでの、当該レーザビームをパルス状に連続的に出力した時間に対応している
    ことを特徴とする、請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記補正データが、前記レーザビームが出射された直後から所定時間経過するまでの、当該レーザビームをパルス状に連続的に出力した時間および当該出力を休止した時間に対応している
    ことを特徴とする、請求項2に記載のレーザ加工装置。
  5. 前記減衰器が、音響光学素子である
    ことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  6. 前記被加工物が、転写対象となるターゲット基板に対して所定ギャップを隔てて配向配置されたドナー基板の表面上に所定ピッチで保持された複数のチップ部品であり、
    前記レーザ加工装置が、前記所定ピッチで保持された複数のチップ部品に直接または前記ドナー基板を通過させて前記レーザビームを逐次照射することで当該複数のチップ部品を1チップずつ前記ターゲット基板に転写する
    ことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のチップ転写装置。
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