本明細書において、百分率の値は、別途特に示されていない限り、重量基準である(w/w)。数値範囲が記載される場合、当該範囲は、いずれも、上限及び下限値も含む。オープンな用語「含む(comprise)」はまた、クローズな用語「からなる(consisting of)」を一つの選択肢として含む。
本出願は、医療製品及び医療製品を作製する方法を提供する。「医療製品」、「コーティングされた製品」、「含浸された製品」、「コーティング及び含浸された製品」若しくは「含浸された医療製品」などの用語、又は、より詳細には、「ナノフィブリルセルロースによってコーティング及び含浸された医療製品」などの用語は、互換的に使用することができ、本明細書に記載されているナノフィブリルセルロースによって処理される不織物又は不織物の層を含む製品を指す。医療製品はまた、医療構造体とも呼ばれ得る。前記含浸された製品は、本明細書に記載されている作製方法によって得られ得る。
浸漬及び/又は含浸プロセスによって得られる前記医療製品は、塗布又は積層方法によって得られる製品、例えばブレードコーティング又はラミネートによって得られる製品とは異なる。係る積層製品は独立した複数の層を含むが、これらの層は、例えば、乾燥によって及び/又は微視的方法を使用することによって、最終製品から検出され得、当該独立した層は、剥離によって分離さえし得る。本明細書に記載されているプロセスによって得られる製品において、ナノフィブリルセルロースは、コーティングとして、不織物上に、また、不織物の繊維上にも分布しており、また、不織物内にも少なくとも部分的に浸透している。さらに、浸漬及び/又は含浸によって得られる前記製品は、高い透気度及び透液度を有するより開放的な構造を有する。所望の濃度、密度、厚さ、及び表面特性を有するコーティング層を、不織物上に得ることができる。浸漬及び/又は含浸プロセスを使用するときは、実質的に少量のナノフィブリルセルロースを使用してもよい。前記製品のナノフィブリル部分は、実質的に、不織物から分離不可能である。浸漬は、含浸物として不織物中へと連続するコーティングを製造することを可能にする。一方で、真空、又は圧力を利用する方法によって得られる製品も本製品とは異なる;なぜなら、製品におけるナノフィブリルセルロースの分布が異なっており、同様のコーティング層を維持することができないためである。本方法は、本明細書に記載される所望の厚さ、密度、濃度、並びに平滑性及び透過度などの表面特性を有し、また、不織布に不均一又は部分的に含浸した、別個のコーティング層を維持することを可能にし、これらは、脱水において固定される。真空又は圧力の使用は、これらの構造を破壊することになる。
「医療」の用語は、医療目的に使用され又は医療目的に好適である、製品又は使用を指す。医療製品は滅菌されていてもよく、又は滅菌可能であってもよく、滅菌は、例えば、温度、圧力、水分、化学物質、放射線又はこれらの組み合わせを使用することによって行うことができる。前記製品は、例えば、オートクレーブしてもよく、又は、高温を使用する他の方法を適用してもよく、これらの場合、前記製品は、100℃超の高温、例えば121℃以上又は134℃以上に耐えられるべきである。一例においては、前記製品は、121℃で15分間オートクレーブされる。UV又はガンマ線滅菌を使用してもよい。医療製品はまた、例えば、美容目的にも好適なものであってもよい。
前記医療製品は、特に湿った状態において、向上した機械的強度及び他の特性、例えば高い引裂強度(耐引裂性)を与える。ガーゼなどの被覆(ドレッシング)布などの支持及び補強不織物構造をナノフィブリルセルロースと組み合わせることにより、含浸された製品が形成される。前記布は、連続的な支持網目構造を作り出し、当該網目構造の強度は、湿潤状態に大きくは影響されない。
前記医療製品の有利な特性として、可撓性、弾性及び再成形性が挙げられる。前記ナノフィブリルセルロースは、水分を含むとき、好適な透過性も示し得る。これらの特性は、例えば、前記含浸された製品が、創傷を治癒するための被覆材として使用されるとき、又は治療剤若しくは美容剤を送達するためなどの他の医療用途において使用されるとき、有用である。
可撓性は、医療用途などの多くの用途において望まれる特徴である。ナノフィブリルセルロースを含む可撓性のパッチ及び被覆材は皮膚上に適用するのに、例えば、創傷、及び火傷などの他の損傷又は負傷を被覆するために、皮膚上に適用するのに有用である。
前記製品においてナノフィブリルセルロースが比較的少量であり、特定の分布を有することは、可撓性、弾性、再成形性及び剛性に影響する。前記含浸された製品の剛性は比較的低く、前記製品は、好適な透気度及び/又は透液度を示す開放的な構造を有する。
前記製品の可撓性又は弾性(伸び)もまた、不織物の選択に影響され得る。前記ナノフィブリルセルロース自体は、特に、乾燥しているとき、可撓性及び弾性が小さい。このため、不織物とナノフィブリルセルロースの網目構造とを適合させて、不織物の弾性と、ナノフィブリルセルロース網目構造との間のバランスを得ることが重要である。これは、前記吸収層及び支持層を機能的なバランスをとって設けることが可能な本件において得ることができた。
本方法は、ナノフィブリルセルロースの水分散物を提供することを含む。前記ナノフィブリルセルロースは、本開示中に開示された又は定義されたナノフィルリルセルロースであってもよい。化学的に改変されていない及び化学的にアニオン修飾されたナノフィブリルセルロースは、大抵の用途において好ましい。前記ナノフィブリルセルロースは、所望の特性及び効果が得られるように適切なフィブリル化度を有するべきである。
前記分散物中の前記ナノフィブリルセルロースの含量は、2%(w/w)以下、又は1.5%(w/w)以下、又は1.2%(w/w)以下、例えば、0.5~1.5%(w/w)の範囲内、好ましくは0.7~1.2%(w/w)の範囲内、又は最も好ましくは0.8~1.0%(w/w)の範囲内であってもよい。1.2%(w/w)より高い濃度を使用するとき、コーティングさえ得ることが困難であるが、材料が凝塊する傾向にあり、これが、低品質のコーティング及び低品質なコーティング表面を生み出すことが見出された。これはまた、所望の含浸度及び/又はコーティング度に依り得る。上記範囲内では、前記ナノフィブリルセルロースは、非ニュートン性流体に特徴的な特定の性質を有し且つ非常に親水性である特性も示す、粘性ヒドロゲルとして存在する。ゆえに、加工性及び得られる構造に影響するヒドロゲルの特性、例えば、浸透度又は含浸度、不織物への付着、粘度などは、前記分散物の濃度によっても影響される。例えば、より高いNFC濃度を使用すると、前記ヒドロゲルは、より低濃度のヒドロゲルと比してより強くなり得、より良好に機械的操作に耐え得る。一方で、より低濃度のヒドロゲルは、不織物により深く及び/又はより速く浸透し得、浸漬ステップにおいてより薄いコーティングを形成し得る。前記分散物は、水又は1若しくは複数の添加剤を含む水に対して形成されたものであり得、ナノフィブリルセルロースを唯一若しくは実質的に唯一の固形物として含んでもよく、任意に、任意の好適な添加剤及び/又は助剤も含み、又は、前記ナノフィブリルセルロースは、前記分散物における唯一の繊維状若しくはフィブリル状の材料であってもよい。
一実施形態においては、前記ナノフィブリルセルロースは、フィブリルの平均径が1~200nmの範囲内、例えば1~50nm、であり、及び/又は、水中に分散されているとき、25℃、周波数10rad/秒、及び歪み2%にて、剪断応力を0.001~100Paの範囲内で徐々に増加させながら回転レオメータによって求めた貯蔵弾性率が、350Pa以上、例えば350~5000Pa、若しくは好ましくは350~1000Paの範囲内であり、降伏応力が、25Pa以上、例えば25~300Pa、好ましくは25~75Paの範囲内である。
一実施形態においては、前記ナノフィブリルセルロースは、フィブリルの平均径が50nm以下、例えば1~50nmの範囲内、である化学的にアニオン修飾されたナノフィブリルセルロースを含む、又は該ナノフィブリルセルロースである。係る高度にフィブリル化され化学的に修飾されたナノフィブリルセルロースは、前記医療製品における生理活性剤の吸収及び保持、並びにバリア特性及び機械的特性を向上させることが分かった。特に、係るナノフィブリルセルロースは、液体に曝露されたとき、吸収層のための良好な低膨潤特性を示す。
前記方法は、不織布を提供することも含む。不織物又は不織布は互換的に使用することができ、本明細書においては任意の好適な不織物を指し、該不織布は、例えば、布地、クロス、又はそれらに類する繊維を含む材料であり、例えばガーゼである。不織物は、無菌でも非無菌でもよく、無処理(plain)でも含浸されていてもよく、又は穴あき(fenestrated)(穿孔されている若しくはスリットを有する)であってもよく、或いはこれらの組み合わせであってもよい。不織物は、不織シート又は不織布などとして提供されてよい。
不織布などの不織物は、平坦なシートとして提供されてよい。不織物は、2つの面、つまり第1の面と、当該第1の面とは反対の第2の面とを有する。これらの面は、最も大きい面積を有する面である。本明細書に開示されている操作は、不織物の一方面若しくは両面を対象として又は不織物の一方面若しくは両面に行ってもよく、コーティングなどの本明細書に記載の得られる構造は、不織物の一方面に存在してもよく又は両面に存在してもよい。
不織物は、天然繊維、半合成繊維又は合成繊維、例えば、ビスコース、レーヨン、ポリプロピレン、ポリエステルなど、又はこれらの組み合わせ、例えばビスコース-ポリエステル混合物、又はセルロース(パルプ)とポリプロピレン及び/又はポリエステルとの混合物を含んでいてもよい。医療被覆材として使用されるとき、不織物は、綿からなるものでもよい。不織物は、パッチのパッドとしても作用し得る。一実施形態においては、不織物は、ビスコース-ポリエステル不織布、例えばガーゼである。係る不織布は、非常に多孔質かつ透過性であり一方向に不可逆性の伸びを示すよう適度に弾性である。
一実施形態においては、不織物は、ガーゼである。不織物ガーゼは、織り(weave)に似るよう一緒にプレスされた繊維を含み、これにより、改良されたウィッキング及びより大きな吸収容量がもたらされる。織物ガーゼと比較して、このタイプのガーゼは、糸くずをあまり生じず、除去されるときに創傷に繊維を殆ど残さないという利点を有する。不織物ガーゼ被覆材の例として、ポリエステル、ビスコース、又はこれらの繊維のブレンドからなり、織物パッドよりも強く、嵩高で、且つ柔軟なガーゼが挙げられる。
不織物は、物質を吸収するのにも役割を果たし得、これにより、例えば、前記医療製品が、滲出物を吸収し、創傷から滲出される血液、血漿、及びその他の液体を吸収し、一箇所にこれらを格納しておくことが可能となる。不織物はまた、出血も止め得、また、創傷を密閉する助けにもなり得る。不織物はまた、治療剤又は他の剤を含有又は吸収してもよい。
一実施形態においては、不織物は、綿、セルロース、リネン、シルクなどの天然繊維又は天然繊維系材料を含む。天然繊維は、不織物を、水素結合を介して、ナノフィブリルセルロースを含む1つ又は複数の層に付着させることを促進する遊離ヒドロキシル基を提供する。ビスコースなどの半合成繊維もまた、遊離ヒドロキシル基を提供し得る。
一実施形態においては、不織物は、セルロース若しくは綿の不織物などの天然不織物、合成不織物若しくは半合成不織物、又はこれらの混合物を含む。一例においては、不織物は、ポリプロピレン及びセルロースの混合物を含む。一例においては、不織物は、ポリプロピレン、ポリエステル及びセルロースの混合物を含む。一例においては、不織物は、ビスコース及びポリプロピレンの混合物を含む。一例においては、不織物は、ビスコース及びポリエステルの混合物を含む。セルロース繊維は、これらの材料と混合されてよい。これらの不織物は、ガーゼを含んでいてよく、又はガーゼであってもよい。
不織物は、液体の通過を可能にするよう高度な透過性を有するべきである。不織物は、フィルタではなく、多くの高分子の透過(flow through)を制限しない。不織物は、ナノフィブリルセルロースを含む分散物を脱水するフィルタとして使用されるものであってはならない(may not)。不織物は、多孔質であってもよく、及び/又は、穿孔若しくはスリットなどを有する穴あき(fenestrated)であってもよい。紙又は厚紙は、不織物ではない。より詳細には、紙は、本製品に好適となる坪量又は厚さにおいては十分に高い引裂強度を与えないため、好適ではない。同じことが、厚紙(cardboard)又は他の類似のセルロース製品にも当てはまる。不織布と紙及び厚紙との違いは、通常、不織物がより長い繊維を含む点に見られ、例えば、前記より長い繊維の平均長さは4mm以上、例えば5mm以上である。不織物は、無機充填剤、サイジング剤、保持剤などの、紙及び厚紙において使用される充填剤を通常は含まない。一例においては、不織物は、非セルロース性である。
一例においては、不織物は、弾力性を有する。多くの天然、半合成又は合成繊維は弾力性を有する。しかし、一例においては、不織物は、剛性であって、非弾力性を与える;これは例えば不織布が綿を含むときである。不織物は補強性を与えるものであってもよく、これにより、例えば、前記医療製品の引裂強度が向上する。
引裂強度(耐引裂性)は、材料が、いかに良好に、引裂の効果に耐え得るかの尺度である。より具体的には、引裂強度は、材料が、張力下において任意の切断部の成長にいかに良好に抵抗するかの尺度となる。耐引裂性は、ASTM D 412の方法によって測定し得る(同方法は、引張強度、弾性率及び伸びを測定するのに使用し得る)。また、引裂指数=引裂強度/坪量である引裂指数も提示してもよく、通常、mNm2/gで測定される。
不織物は、引裂強度が800~2000mNの範囲内であってもよい。引裂指数は、ISO1974によって測定し得る。不織物の引張強度は、例えば0.6~1.5kN/mの範囲内、例えば0.7~1.2kN/mであってもよい。引張強度は、ISO1924-3によって測定し得る。不織物は、坪量が20~60g/m2の範囲内、例えば30~55g/m2又は40~50g/m2の範囲内であってもよい。坪量は、ISO536によって測定し得る。不織物は、密度が、例えば100~400g/cm3の範囲内であってもよく、160~330g/cm3の範囲内であってもよい。また、嵩(bulk)はISO534によって測定され、cm3/gで表し得る。
乾燥不織物などの不織物は、厚さが、100~1000μmの範囲内であってもよく、例えば、100~200μm、150~200μm、150~300μm、200~300μm、300~400μm、400~500μm、500~600μm、600~700μm、700~800μm、800~900μm又は900~1000μmでもよい。しかし、例えば最大で2000μm又は3000μmの、より厚い不織物が使用されてもよい。一実施形態においては、不織物の厚さは、100~200μmの範囲内であってもよく、例えば、100~120μm、120~140μm、又は140~160μm、又は160~190μmであってもよい。これらの厚さは、本方法による処理の前の不織物の厚さを指す。しかし、当該処理後の厚さは、同じ若しくは実質的に同じであってよく、又は、不織物の一面又は二面上のコーティングによるさらなる厚さを含んでいてもよい。
ガーゼは、セルロース若しくは綿ガーゼなどの天然ガーゼ、ビスコース若しくはポリエステルなどの合成ガーゼ若しくは半合成ガーゼ、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、ガーゼは、ポリプロピレン及びセルロースの混合物、又はポリプロピレン、ポリエステル及びセルロースの混合物を含む。
セルロース又はセルロース繊維の含量は、不織物の60%(w/w)以上、又は70%(w/w)以上であってよく、例えば不織物の約80%(w/w)でもよく、残部は合成繊維であってもよい。一例においては、不織物は、約2/3を占めるセルロース繊維及び約1/3を占める合成繊維、例えばポリプロピレン繊維、を含む。一例においては、不織物は、約4/5を占めるセルロース繊維及び約1/5を占める合成繊維を含む。係るセルロース及び合成繊維の組み合わせは、剛性など、合成繊維によってもたらされる構造的及び機械的特性と共に、セルロース繊維へのナノフィブリルセルロースの良好な付着をもたらす。
前記方法は、ナノフィブリルセルロースを水分散物(aqueous dispersion)中に浸漬することによって不織物を含浸することを含む。浸漬とは、浸す(soaking)、ディップする(dipping)、又はその他の様式で不織物をナノフィブリルセルロースの分散物で完全に覆う及び/又は該分散物に曝露するプロセスを指す。シート、層、又はそれに類する平坦又は積層の製品の形態で存在する不織物全体がナノフィブリルセルロース分散物に浸漬され得るにつれて、不織物の両面が前記分散物と接触し、それによりナノフィブリルセルロースが実質的に同時に両面から不織物に浸透し始める。これにより、ナノフィブリルセルロースの分散物による不織物の少なくとも部分的な含浸が行われる。
不織物がナノフィブリルセルロースの水分散物によって浸漬される時間、前記分散物の濃度、並びに他のプロセス条件及び処理ステップによるが、不織物は、まず、主に不織物の表面及び表面直下の領域においてナノフィブリルセルロースにより被覆され得る。不織物の表面と表面との間の中央(middle)領域又は中心(centre)領域は、より少ない部分量のナノフィブリルセルロースを受容する。不織物は、不織物内部におけるナノフィブリルセルロースの所望の濃度及び分布などの所望の含浸結果を得るのに十分な時間、浸漬されてもよい。
何年もかけてNFC被覆材を開発する間に、NFCと不織物の様々な組み合わせ及び様々な種類が試験され、例えば、NFC分散物を(例えば真空を使用することによって)濾過することにより処理した不織物又は含浸及びプレスによって処理した不織物などが試験され、NFCが均一に分布する不織布が得られた。しかし、得られた製品及びその特性は互いに異なることが分かり、この差異は、前記製品を使用することによって達成される処置の有効性及び種類にも影響する。表面又は表面付近により高濃度のNFCの層又は部分(特にコーティング層)を有し、かつ、部分的な含浸を有する不織物を得ることは困難であった。製造条件の綿密な管理が必要とされた。異なる作製方法により、有意に異なる特性を有する異なる製品が得られるということも見出された。例えば、塗布方法を使用することでは不織物は含浸されず、絞り(プレス)を含む含浸方法を使用することでは、ナノフィブリルセルロースは不織物中で均一に分布してしまい、好適な厚さ、構造及び所望の特性を有する機能性コーティング層は得られなかった。本開示の方法によれば、コーティング層が得られ、また、ナノフィブリルセルロースが不織物の表面から中央に向かって減少して、例えば徐々に減少して、不織物中へ部分的に含浸される。図26は、両面においてナノフィブリルセルロース層30及び31によってコーティングされている不織布32の例を示す。不織物は、不織物32の中心に向かって濃度が徐々に減少(横線によって示される)するように、ナノフィブリルセルロースによって含浸されている。ナノフィブリルセルロースは、前記コーティング層から前記含浸部まで連続しており、すなわち、ナノフィブリルセルロースが途切れている箇所がない。
この場合、不織布は、不織布の表面付近のナノフィブリルセルロースの含量が、不織布の表面と表面との間における中央におけるナノフィブリルセルロースの含量よりも高くなるように、不均一に含浸されることが望ましい。これを容易にするために、ある特定のプロセスステップを行ってもよい。
本開示は、支持層及び吸収層を含む医療製品であって、前記支持層が不織布であり又は不織布を含み、前記吸収層がナノフィブリルセルロースであり又はナノフィブリルセルロースを含む、医療製品を提供する。前記吸収層が前記支持層をコーティングしているか、前記支持層が吸収層コーティングを含むか、又は前記吸収層が前記支持層上のコーティングとして存在する。より具体的には、本開示は、不織物(不織物は、支持体又は支持層として作用してもよい)及び不織物上にナノフィブリルセルロースコーティングを含む医療製品であって、このナノフィブリルセルロースが吸収剤として又は吸収剤/吸収層として作用し得る、医療製品を提供する。不織物は、少なくとも部分的に、ナノフィブリルセルロースによって含浸されていてもよい。前記医療製品、前記不織物、及び/又は前記吸収層若しくは前記コーティングにおけるナノフィブリルセルロースは、好ましくはプレスされておらず、また、真空引きされておらず、すなわち、好ましくはプレス及び真空を用いずに得られる。
不織布が、制御された時間にわたって前記分散物によって浸漬されたとき、その表面は、表面と表面との間の領域、すなわち不織物の内側、における含量よりも高い含量のNFCを受容することが見出された。「表面」とは、断面方向における不織物の部分であって、不織物の各表面又は該表面近傍に位置する部分を指す。NFCはまた、不織物の表面上にも蓄積している。蓄積されたNFCは、不織布上にコーティングを形成し、又は、コーティング層などの、不織布上におけるコーティングとして存在し得る。ナノフィブリルセルロース、特に前記コーティング層中のナノフィブリルセルロースは、吸収剤/吸収部分又は吸収剤/吸収層を形成し、これは、本明細書に開示されている機能性を与え得る。
ナノフィブリルセルロースの分散物(本明細書に開示されている濃度とし得る)を提供する。前記分散物は、ボウル(basin)又は他の好適な容器の中で又は中へ提供され得る。前記容器は、不織物を前記容器内に供給してそこから出すことが可能であるように開放されている。前記容器は、不織物を前記分散物中に浸漬することを可能にするような量のNFC分散物を含む。前記容器には、前記分散物を連続式又は回分(バッチ)式で充填してもよい。
不織布又はウェブを、コーティングの所望のレベルの坪量及び/又は厚さ、及び/又は不織物の所望のレベルの含浸(例えば、本明細書に記載されている不均一な含浸)を得るのに十分な時間、ナノフィブリルセルロースの水分散物に浸漬してもよい。ウェブ速度は、例えば、約0.3~1m/分であってもよい。前記ボウル又は浸漬槽における不織物の休止時間は、15~90秒の範囲内であってもよい。ただし、浸漬時間は、必要性及び材料の用途に応じて調整してもよい。前記方法は、不織布をナノフィブリルセルロースの水分散物に、例えば、15~90秒間浸漬することを含んでいてもよい。不織物の隅々まで含浸するのを回避するために、浸漬時間を長くしすぎないことが好ましくあり得る。しかし、短過ぎる浸漬時間は、不完全又は不均一なコーティング及び不織物の不十分な含浸又は未含浸を生じさせ得る。
浸漬ステップにおいて、ゆえに、コーティングが不織物上、例えば不織物の一方の面上に又は両面上に、得られ、形成され、又は設けられ(laid)、より詳細には、湿潤分散物又はヒドロゲルから得られる。この初期コーティングは、初期厚さ又は第1の厚さを有し、これは、所望の厚さ及び/又は脱水後に得られる中間製品の厚さ及び/又は最終製品の厚さではなくてもよい。初期コーティングはまた、最終製品としては最良ではなく改変される必要がある表面を有するものであってもよい。しかし、浸漬によって形成されるコーティングの密度及び構造を維持することが通常は望まれるため、プレス、真空、及び/又はコーティングの密度及び構造を改変することになる他の操作を含むいかなる方法ステップも、回避することが好ましい。不織物の一方のみの面又は両方の面に、係る改変されていないコーティングを維持することが望まれることがある。
浸漬された不織物をしばらくの間乾燥するに任せる又は静置すると、浸漬された不織物の表面は、さらに含浸に対して透過性が低下するが、これは、例えばナノフィブリルセルロースの特徴であるいわゆる皮膜(skin)形成に起因するものである。しかし、ナノフィブリルセルロースの水分散物がヒドロゲルの形態であり、比較的粘性且つ濃厚であるため、浸漬された不織物は、多量のゲル状分散物を含み、その一部は除去される必要があり得る。不織布の隅々まで含浸するのを回避するために、前記分散物を不織物内へとプレス又は押し込む(squeeze)ことを行わないことも望まれる。係るプレス又は押し込みもまた、不織物の上のNFC層、すなわち、コーティング層を破壊することになる。さらに、NFCは、表面上に粘性ヒドロゲルとして存在するため、係るプレスステップにおいて押圧物の側面へと圧力から逃げることができ、NFCは少なくとも部分的に失われることになる。
浸漬された不織物は、所定のギャップ間、例えば、一対のロール間、プレート間又はブレード間を通されるが、前記ギャップは、不織物に実質的な圧力をかけないが、不織物上に蓄積された過剰のNFCヒドロゲルを除去する。初期コーティングは前記ギャップで実質的に低減(cut)されて過剰の材料が除去され、すなわち、初期コーティングのうち外側部分は剥離される。浸漬された不織物は、ゆえに、浸漬された不織物の、ナノフィブリルセルロースを含むコーティングの厚さを規定するために、予め設定されたギャップを通過させられる。浸漬された不織物の厚さもまた、規定され得る。予め設定されたギャップは、本明細書で説明されている圧力など、浸漬された不織物への圧力又は少なくとも一方の面上の初期コーティングへの圧力を生じさせないように設計されている。このため、前記ギャップの通過、及び前記中間製品の取り扱うことを伴う他の方法ステップは、プレスを伴わずに、好ましくはまた真空も使用することなしに、実施される。予め設定されたギャップは、不織物の厚さ以上の幅、例えば、伸長された状態及び/又は浸漬された状態の不織物の厚さ以上の幅を有してもよい。前記ギャップの後、中間厚さ又は第2の厚さを有する中間コーティングが形成される。
ナノフィブリルセルロースは、不織物の表面に粘性ヒドロゲルとして存在し、そのため、前記ギャップを通過することは、主として、過剰のヒドロゲルを除去し、前記製品及び/又はコーティングの厚さを規定する。NFCヒドロゲルは、本明細書に開示されている手法においてプレスされることがない又は絞られることがない、粘性物質である。結果として、未プレスのコーティング層が不織物の上に残存し、係るコーティング層は、脱水ステップにおいて最終的に脱水されて、最終製品において必要な厚さを有する機能性コーティング層を結果として生じさせる。もしコーティングが処理の間にプレスされると、独立した(separate)コーティング層、特に、本発明における未プレスのコーティング層と同様の吸収特性を示し得るような層は、実質存在しなくなる。
結果として、不織物上に、ナノフィブリルセルロースの未プレスの層が形成され、規定され、又は改変され、該層は好ましくは所望の厚さを有する。前記未プレスの層は、不織物の一方の面に形成しても、両方の面に形成してもよい。前記未プレスの層は、レイド層と呼ばれることもある。所望の厚さ及び/又は密度の、浸漬され、且つ通過した不織物が得られる。前記ギャップを通過した後のコーティングの表面は平滑であり、後の脱水後であっても平滑なままである。このことは、前記製品の使用及び前記製品の機能において利点を有する。平滑な表面は、皮膚又は創傷などの標的上に完全になじみ(set perfectly)、当該標的との密着(good contact)を可能にする。前記ギャップを通過することによって処理された表面はまた、気体及び分子又は他の物質の所望の透過性も有する。これは、組織と前記医療製品のNFCコーティングとの間における状態の形成を容易にし、また、これらの間での剤又は物質の移動も容易にし、且つ向上させる。
未プレスの(Unpressed)とは、医療製品におけるナノフィブリルセルロースの形態、及び/又は医療製品全体の形態を指し得、また、ナノフィブリルセルロース分散物及び/又はヒドロゲル、及び/又は不織物を、これが圧縮されるであろう又は不織物内へ押し込まれる(pressed into)であろう程度までプレスすることになるステップを含まない作製方法も指し得る。また、未プレスの(non-pressed)という用語が使用されてもよい。上記の望ましくない方法ステップには真空も含まれる。前記作製においては、浸漬された不織布及び/又はコーティングの厚さをギャップで規定することを含むが、ナノフィブリルセルロースヒドロゲルを不織物内へ押し込まず、及び/又は不織物の表面上のコーティングをプレスしない、絞りも真空引きもしない方法(non-squeezing and non-vacuuming methods)が一般的に使用される。ゆえに、コーティング層は、布地の表面に残存し、好ましくは圧縮されない。未プレスの形態は、プレス又は圧力によって成型又は獲得されるものではない。
「未プレスの(unpressed)」とは、不織物に押し込まれていないことを含んでいてもよい。「未プレスの(unpressed)」とは、絞られていないことも指し得る。未プレスのコーティングは、浸漬により得られたコーティングを指してもよく、該コーティングは好ましくは浸漬ステップにおいて形成された構造を攪乱しない方法によって改変されている。好ましくは、不織物の最上部上に、ほぼ(mostly)又は実質的に位置する構造が得られる。特に、ナノフィブリルセルロースの未プレスの層は、真空、圧力を印加することによって、又は絞ることによって、不織物内へと強制されてはいない。しかし、ナノフィブリルセルロース分散物のいくらかは浸漬の際に不織物に進入してしまっている。ナノフィブリルセルロースの含量は、好ましくは、不織物の表面(surfaces)から該表面間に位置する不織物の中央に向かって徐々に減少する(図26)。このことは、顕微鏡的方法を使用することによって最終製品から検出することができ、該方法は好ましくは前記製品の染色と組み合わせられる。ゆえに、最終製品は、ナノフィブリルセルロースコーティング、及び、不織物内に含浸されたナノフィブリルセルロースを含む。しかし、コーティング部分は、不織物の内側部分と比較してより高い濃度のNFCを含む。コーティングは、ナノフィブリルセルロースを唯一の若しくは実質的に唯一の固形物として含んでいてもよく、このときさらに、任意の好適な添加剤及び/又は助剤を任意に含み、又は、(特に前記製品が製造プロセスから直接得られるとき)ナノフィブリルセルロースは、コーティングにおける唯一の繊維状又はフィブリル状材料であってもよい。しかし、使用中及び/又は使用に先だって、吸収剤として働くコーティングは、生理活性分子、医薬品、添加剤、及び/又は類似の剤などの他の剤も含んでもよい。係る剤は、さらなる方法ステップにおいて医療製品に添加し得る。不織物の表面の直下などの表面付近の領域もまた、不織物の中心又は中央におけるNFC濃度と比較してより高いNFC濃度、例えば2倍以上高い、5倍以上高い、又は10倍以上高い濃度を有していてもよい。
浸漬は、所望の程度の含浸、坪量、分布、及び/又は不織物上へのNFC分散物の所望の蓄積を得るのに好適な時間行ってもよい。前記方法は、浸漬後0~60秒間、不織物が乾燥するに任せる又は不織物を静置させることを含んでいてよく、前記時間は、例えば、1~60秒、5~60秒、1~30秒、1~10秒、1~5秒、又は含浸の程度を制限することが望ましいならば0~1秒ともなりうる。「浸漬後」は、不織物が、依然として、液浸(soaking)、浴洗い(bathing)若しくは他の浸漬プロセスにある状況を指してもよく、又は、浸漬された不織物が浸漬ステップから除去された状況、すなわち、不織物が浸漬分散物ともはや接触していない状況を指してもよい。この後、浸漬された不織物は、次のステップに供給されてもよく、該ステップは、例えば、1つ又は複数のロール、例えば一対のロール、を使用することによって過剰のヒドロゲルを除去するものであり、これはまた前記不織物の表面を処理して、得られた表面を固定及び平滑化してもよい。しかし、連続プロセスにおいては、係る別個のステップが存在しなくてもよい。
ギャップgは、規制パーツなどの2つの平行物体間に形成され、該物体は、例えば、ローラ、プレート、ブレードなど、又はこれらの組み合わせであってもよい。前記物体は、ギャップの形成に関与する、直線状の縁部又は表面を通常有する。一実施形態においては、前記方法は、浸漬された不織布を、一対のローラ間、ローラとブレードとの間、ローラとプレートとの間、ブレードとプレートとの間、一対のプレート間、又は一対のブレード間の、予め設定されたギャップに通過させて、浸漬された不織布上のコーティングの厚さを規定することを含む。ローラは、可動であっても固定されていてもよく、一対のローラが、1つの可動ローラ及び1つの固定ローラを含んでいてよく、又は両方のローラが同じタイプであってもよい。ギャップの幅とは、図19A及びBに示すように、2つのブレード11、13、又は2つのローラ12、14などの規制パーツの表面同士の最短距離を指す。ギャップgは、コーティング及び/又は不均一な含浸が妨害されるような態様で浸漬された不織物がプレスされることがないような幅を有する。プレート及び/又はブレードなどの規制パーツは、浸漬された不織物に向かう圧力を最小にするように配置してもよく、例えば、これら規制パーツは、互いに又は他の1つ又は複数の規制パーツに対して垂直に又はある角度をつけて設けられていてもよい。平坦な又はブレード様構造を有する2つの規制パーツは、互いに対して45~180°の範囲内の角度をつけて設けられていてもよく、例えば、60~180°、45~90°又は90~180°の角度をつけて設けられていてもよい。これにより、浸漬された不織物がギャップを通過するとき、表面層の一部を特異的に切除(cut away)する又は剥離することが可能になる。ギャップは、不織物上に存在するNFC分散物又はヒドロゲルの一部を切除するように配置されていてもよく、特に、浸漬された不織物及び/又はコーティング層の厚さを所望の厚さとするために上記のように配置してもよい。
ギャップ幅は、不織物の厚さに依存するものであってもよく、特に、不織物が上記のプロセスにおいて伸長される場合、そのようであってよい。ギャップ幅は、調整可能であってよく、前記方法は、ギャップ幅を調整することを含んでいてよく、ギャップ幅の調整は、好ましくは、選択された不織物に応じて、浸漬程度及び/又は使用される浸漬分散物に応じて、及び/又は所望の最終製品に応じて行われてもよく、例えばコーティング層の所望の厚さに応じて行われてもよい。一例においては、前記規制パーツは、ローラを含まない。
浸漬された不織布の厚さ又は不織布上のコーティングの厚さを規定することとは、所望の厚さの浸漬された不織布を得るために、過剰のナノフィブリルセルロース分散物又はヒドロゲルを除去することを指してもよく、特に、浸漬された不織布の表面から過剰のナノフィブリルセルロース分散物又はヒドロゲルを除去することを指してもよい。厚さを規定することは、浸漬された不織布の表面上のコーティング層の厚さを規定することを含んでいてもよく、好ましくは、これにより、ナノフィブリルセルロース分散物若しくはヒドロゲルを含む又はナノフィブリルセルロース分散物若しくはヒドロゲルからなる、所望の厚さのコーティング層を得る。
ギャップによって規定される浸漬された不織布の厚さは、ギャップを通過する前の浸漬された不織布の厚さ未満の厚さであってもよい。前記規定された厚さは、不織物の厚さ以上であってもよく、例えば、伸長された状態及び/又は浸漬された状態の不織物の厚さ以上であってもよい。
予め設定されたギャップは、不織物の厚さ以上の幅を有してもよく、例えば伸長された状態及び/又は浸漬された状態の不織物の厚さ以上の幅を有してもよい。ギャップは、不織物の前記厚さよりも0~0.5mm厚い幅を有してもよく、例えば、不織物の厚さよりも0.05~0.1mm厚い、0.05~0.05mm厚い、又は0.05~0.01mm厚い幅を有してもよい。いくつかの例においては、ギャップは、0.01~1.0mmの範囲内の幅を有し、例えば、0.1~0.5mm、0.15~0.5mm、又は0.2~0.3mmの幅を有する。しかし、当該幅は、不織布の厚さ、NFC分散物及び/又はヒドロゲルの特性、並びに方法の他の特徴に依存する。残存するコーティング層の厚さ並びに坪量及び/又は他の特性は、適切なギャップを選択することによって、及び/又はギャップの幅を調整することによって、制御することができる。前記方法は、ギャップの幅を付与すること及び/又はギャップの幅を調整することを含んでいてもよいが、これは、例えば、浸漬された不織物をギャップに挿入する前に行ってもよく、及び/又は浸漬ラン若しくは浸漬パス同士の間に行ってもよい。
ギャップを通過した後のコーティング層の厚さは、少なくとも5μm又は少なくとも10μmであってもよく、例えば、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、又は少なくとも50μmであってもよい。当該厚さは、脱水前又は脱水後の医療製品を指し得る。しかし、コーティングの厚さは、浸漬ランを通すパスの回数に依り得、コーティング層の厚さは、ゆえに、プロセスの間に変動し得る。
前記方法は、浸漬された不織物に、ロールとも呼ばれることがある一対のローラ12、14の間のギャップgを通過させることを含んでいてもよい。このステップは、ロール処理(rolling)と呼ばれ得る。例えば、ローラ12、14のうちの1つ又は両方が他方のローラに対して可動であり、その結果、一方のローラが、他方のローラから所望の距離となるよう動かされてその位置又は距離に固定され、ギャップの所望の距離及び幅を得ることができるように、ギャップ幅を調整してもよい。同様のギャップは、別の構造同士の間、例えば1つのロールとブレードなどとの間、又は2つのブレードの間、2つのプレートの間などに配置されていてもよい。同様に、ブレード又は他の規制パーツは、他の規制パーツに対して可動であってもよい。
前記ローラは、ニップローラを含んでいてもよい。ニップは、概して2つの対向するロールが接する接触領域を指し、例えばカレンダにおけるそのような接触領域を指す。ニップロール又はピンチロールは、動力付き(powered)ロールであってよく、2枚以上のシートを共にプレスして積層製品を形成するのに通常使用される。一例においては、1つのロールが動力付きで、他方のロールが自由に可動である。ニップロールは、ピンチロール又は絞り器(wringer)と呼ばれることがある。ニップロール(nip rolls)は、重なり合っていてよく、1つのロールが自由に可動であってもよい。ニップロール(nip rolls)は、例えば、スチールロール(steel rolls)であってもよく、該スチールロールは微細な溝を有していてもよい。ニップロールの使用は、不織物から過剰の分散物を除去するのに非常に有効であることが分かった。長尺の不織物シートが、浸漬からニップロールへ直ちに供給され、さらに脱水ステップなどの次のステップへ供給される工業規模のプロセスにおいて、ニップロールは非常に有用である。図20Aは、不織物10が2つのブレード11、13間をどのように通過するかを示し、図20Bは、不織物が前進する方向16に追随する方向18、19に回転(roll)する2つのローラ12、14を通過する状態を示す。本方法において、前記ローラが、浸漬された布地の絞りを引き起こさない、すなわち、前記ローラが、浸漬された布地を実質的にプレスしないことが望ましい。このことは、厚さを規定することを可能にするが、ナノフィブリルセルロースを圧縮しない又はこれを不織物内へとプレスしない若しくは押し込まないような、ギャップの幅を選択することによって得られる。同じことが、ギャップを形成するのに使用し得るいずれの規制パーツにも当てはまる。
前記方法ステップにおいて、不織物は、浸漬ステップ、ギャップ、及び/又は脱水などのステップを通して動かされるが、これは、好ましくは駆動ロール又は不織物を駆動する若しくは動かすように配置された他の手段を使用することにより行われる。係る手段は、当該手段を動かすためのアクチュエータに接続されていてもよく、その速度は調整可能であってもよい。
前記方法は、含浸された不織物を脱水することを含み、特に、先の作製ステップ(又は複数の作製ステップ)において得られた、ギャップを通過し、ゆえに規定された厚さ及び/又はコーティングの規定された厚さ及び/又は規定された構造を有する、含浸された不織物を脱水することを含む。脱水は、先の方法ステップにおいて得られ且つ保存された構造を固定する。本製品については蒸発による脱水だけで十分であり得ることが分かった。蒸発による脱水、例えば熱源を使用することによる蒸発による脱水は、(特に、不織物の両面において)コーティング及び不織物の不均一に含浸された構造を保存及び維持することを助け、効率的且つ適切な脱水を生じさせる。対照的に、形成された構造を変形する脱水方法、例えば真空を用いる方法(特に、不織物を通しての、真空を形成する吸引)及び/又は高圧を用いる方法は、前記構造を破壊し得る。ゆえに、好ましくは、前記脱水は、不織物又はコーティングを変形し得る、真空及び/又はプレス(例えばフィルタを通してのプレス又は非常に高圧でのプレス)を含まない。係る保存脱水方法を使用すると、空気及び液体並びに生理活性分子及びその他の分子などについての所望の透過度をもたらす、ナノフィブリルセルロースの緻密ながらも多孔質の網目構造を含む、不織物上のコーティングを得ることが可能であった。
一実施形態においては、前記脱水は、蒸発によって行われる。前記脱水は、非接触乾燥を用いて行ってもよく、例えば、赤外線ドライヤ、フローティングドライヤ、又はインピンジメントドライヤによる非接触乾燥を用いて行ってもよい。エアインピンジメント乾燥は、湿潤シートに対して高速でガスバーナの高温空気(例えば300℃)を吹き付けることを含む。
いくつかの場合において、脱水は、接触乾燥、例えば、プレスドライヤ、シリンダドライヤ(乾燥シリンダ)又はベルトドライヤによる接触乾燥を用いて行ってもよい。これは、蒸発ステップなどの別の脱水ステップの後に、又は唯一の脱水ステップとして、行われ得る。乾燥シリンダが使用される場合、製品の表面は平滑となり、乾燥は費用効率が高い。ベルト乾燥において、製品は、水蒸気又は熱ガスによって加熱される連続的なホットスチールバンドとの接触により、乾燥チャンバで乾燥される。前記バンドからの水は、前記バンドからの熱により蒸発する。係る接触乾燥では、一方の面上のコーティングが影響され得るが、反対面上のコーティングはプレスされないままであり得る。ゆえに、接触乾燥方法は、不織物の一方の面にのみ未プレスのNFCコーティングを有する製品を作製するのに有用であり得る。
脱水後、不織布上にコーティングを含み、好ましくは、布地の表面から中心に向かって濃度減少するNFCによる不織布の含浸を有する、最終製品が得られ得る。あるいは、中間製品を得てもよく、この中間製品を、本明細書に記載の浸漬処理に再び供し、ギャップを通過させてもよい。これを、所望の製品が得られるまで繰り返してもよい。
前記中間製品又は最終製品において、不織物の上、すなわち、不織物の外側に設けられたコーティング層の厚さは、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、又は少なくとも50μm、例えば、5~200μm、5~100μm、5~50μm、10~200μm、10~100μm、又は10~50μmなどであってもよい。ただし、当該厚さは、不織布の厚さに依り得る。
脱水において、不織物の乾燥分含量は、例えば少なくとも50%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、又は少なくとも90%(w/w)まで増加し、例えば90~100%(w/w)の範囲、例えば90~99%(w/w)の範囲にまで増加する。コーティングの乾燥分含量もまた、上記の範囲へと増加してもよい。
脱水後であっても未プレス且つ真空引きされていないNFCコーティングの厚さ、密度及び/又は構造は、本明細書に記載の所望の特性、例えば、吸収容量、液体保持、水蒸気透過率、透過度などの特性、及び機能性が得られるようなレベルで維持される。しかし、コーティング層の厚さ、及びおそらくは浸漬された不織物全体の厚さは、脱水の際に減少し得る。得られるNFCコーティングはまた、高い創傷治癒特性を与えることも分かったが、このことは本明細書に記載され、実施例において実証されているとおりである。脱水において、中間コーティングは最終コーティングとなり、これは、最終厚さ若しくは第3の厚さ、又は他の最終特性を有する。
脱水後、前記製品は、所望のサイズに切断され、包装されてもよく、好ましくは無菌パッケージに包装される。包装はシールされてもよく、好ましくはガス及び/又は水を通さない1つ又は複数のシールによってシールされる。前記製品又は前記切断片は、包装前及び/又は包装をシールする前に滅菌されてもよい。前記製品の水分含量は、包装前及び/又は包装をシールする前に所望のレベルに調整されてもよい。この点において、いずれの添加剤(又は複数の添加剤)が添加されてもよい。
前記方法は、回分式プロセスとして実施しても、連続プロセスとして実施してもよい。浸漬する手段、コーティングの厚さを規定する手段、及び脱水する手段(特に蒸発によって脱水する手段)を、順に設けることができ、不織物をこれらの手段を含むシステムセットアップにおいて比較的高速で走らせ得るため、本方法は、連続プロセスとして実行されるのに非常に好適であることが分かった。これにより、前記方法の生産性が向上し、時間及びお金を節約することができる。また、係るプロセスから、均一な製品を得ることができる。一例においては、浸漬、ギャップの通過、及び好ましくは脱水も、連続プロセスとして実施される。しかし、プロセス全体は、連続部分を回分式及び/又は手動操作として含んでいてもよく、例えば、不織物をある特定の操作に繰り返し供しようとするとき、例えば浸漬及び/又はギャップの通過を繰り返すときに、そのようにしてもよい。前記方法は、製品の1つ又は複数の特徴、例えば、コーティング若しくは不織物の厚さ、及び/又はコーティング若しくは不織物の厚さを間接的に特徴付ける任意の特徴、或いは本明細書に記載の他の特徴を、検出及び/又は測定することを含んでいてもよい。係る特徴を検出するための、例えば、視覚的手段、測光的手段、音響的手段、機械的手段及び/又は他の手段を用いてもよく、例えば、1つまたは複数のセンサ、1つ又は複数のプローブ、音又は光の1つ又は複数のソースなどを用いてもよい。
前記方法は、ナノフィブリルセルロースのソース(例えば容器、特に、不織物シートの取り扱いを可能にする開放容器)、前記ナノフィブリルセルロースのソースに及び/又は処理された不織物の経路に設けられてもよい1つ又は複数のガイド手段(例えば1つ又は複数のローラ)、ギャップgを規定するために規制パーツを調整するための手段と共に設けられてもよい、ギャップを与える手段(例えば規制パーツ)、並びに処理された不織物を脱水するための1つ又は複数の手段、を含む、好適なデバイスセットアップによって実施し得る。前記ガイド手段は、前記デバイスセットアップにおいて不織布を動かすための1つ又は複数の移動手段(例えば、前記手段を動かすためのアクチュエータに連結された手段、例えばローラ)を含んでいてもよい。例えば、1つ又は複数のローラは、ローラを回転させるための電気モーターに連結され得る。デバイスセットアップは、完全に又は部分的に自動化されていてもよい。
図21は、連続プロセスの例を示し、不織物10が、まず、NFC分散物20を含む容器22において浸漬される。不織物10は、1つ又は複数のロール処理ロール24、26を使用することによって動かされ又はガイドされ、不織物は、ギャップgを規定する一対のローラ12、14につながる方向16へ前進する。一方のローラ14は、静的、すなわち、固定又は非可動ロールであってよく、及び他方のローラは、回転ロールであってもよい。この後、不織物が、ガイドロール27を通して、ターニングロールであってもよいシリンダドライヤ28上に移動し、ここで、水が不織物から蒸発し、及び/又は赤外線源などの熱源であってもよい非接触ドライヤ29を通して移動し、最終的に脱水された製品が得られる。不織物の少なくとも一方の面は、未プレスのコーティングを有することになる。脱水された不織物について、又は前記ローラは通過したものの脱水されていない不織物について、前記処理を繰り返すことも可能である。別の例においては、ローラ14は、ブレード11に置き換えることができる。図21のセットアップは、パーツ又はデバイスなどの本明細書に記載されている1つ又は複数の特徴によって改変されてもよく、例えば、提示されている任意の特徴を削除及び/又は置換することによって、及び/又は1つ若しくは複数の任意の他の特徴を付加することによってそのように改変されてもよい。
浸漬、ギャップの通過及び脱水、若しくは浸漬及びギャップの通過、を1回実施してもよく、又は、必要なら、飽和を最大化し、及び/又は不織物上及び不織物中における分散物の所望の分布を得るためにこれらのステップを繰り返してもよい。形成された製品の坪量及び/又は他の好適な特性、特に、製品のNFCコーティング及び/又は含浸を調整することも可能である。浸漬、ギャップの通過、及び任意に脱水のステップは、まとめて、例えば、「パス(pass)」、浸漬ラン、又はコーティングランと呼んでもよい。特定の性質、例えば製品の坪量又はコーティングの厚さ若しくは坪量、が望まれ得る。係る場合において、浸漬ランは、医療製品が所望の坪量又はコーティングに達するまで繰り返される。ゆえに、一例においては、前記ステップ、パス又はランが少なくとも1回反復され、すなわち、浸漬、ギャップの通過、及び任意に脱水、が少なくとも2回実施される。一実施形態においては、前記ステップ又はパスは1~10回実施され、例えば、1~6回、2~8回、又は2~4回、例えば1、2、3、4、5又は6回、又はそれ以上実施される。一例においては、前記ステップは、医療製品が30~70g/m2の範囲内の坪量、例えば50~60g/m2の坪量、に達するまで、又はNFCコーティング層が0.1~60g/m2の範囲内の坪量、例えば3~40g/m2若しくは5~20g/m2の坪量を有するまで、又は本明細書に開示されている他の任意の坪量及び/又は他の特徴が得られるまで、繰り返される。コーティングの坪量は、不織物の坪量が既知であるとき、製品から決定することができる。これらのステップが繰り返されると、第1の、第2の及び任意に第3の初期又は中間コーティングなどの、異なる初期及び/又は中間コーティングが得られる。概して、坪量によって特徴付け得るNFCの量は、ギャップ、NFCヒドロゲル濃度及びパス数によって制御される。当業者は、過度の実験を行うことなくこれらの特徴を決定することができる。
一実施形態においては、前記医療製品は、ナノフィブリルセルロースによって含浸された不織物を含む。好ましくは、ナノフィブリルセルロースの含量は、不織物の表面から、表面と表面との間に位置する不織物の中央に向かって減少する。係る製品は、本明細書に開示されている方法によって得てもよい。
一例においては、前記医療製品は、坪量が30~70g/m2の範囲内であり、例えば35~65g/m2の範囲内、例えば45~65g/m2の範囲内である。試験において特に好ましいことが見出された一実施形態においては、前記医療製品は、坪量が50~60g/m2の範囲内である。一例においては、前記医療製品は、特に滅菌されているとき、坪量が50~55g/m2の範囲内である。
前記医療製品におけるナノフィブリルセルロースの、製品の乾燥重量として測定される坪量は、1~60g/m2の範囲内であってもよく、例えば1~40g/m2であり、例えば3~40g/m2、2~20g/m2、2~12g/m2、5~20g/m2又は5~15g/m2である。
一実施形態においては、前記医療製品は、200~260μmの範囲内の厚さ、例えばバルク厚さを有し、特にアニオン性NFCが使用されるとき、例えば200~230の範囲内厚さ、例えばバルク厚さを有する。
一例においては、前記医療製品は、密度が200~700g/cm3の範囲内であり、例えば200~530kg/m3である。前記密度は、ISO534により見かけのバルク密度(apparent bulk density)として測定し得る。一実施形態においては、前記医療製品の見かけのバルク密度は、200~260kg/m3の範囲内である。一実施形態においては、前記医療製品の見かけのバルク密度は、220~260kg/m3の範囲内である。
一例においては、前記医療製品は、嵩(bulk)が、3.9~4.6cm3/gの範囲内であり、例えば3.9~4.3cm3/gである。
一実施形態においては、前記医療製品は、吸収容量が1.5~2.1g/100cm2の範囲内であり、例えば1.8~2.1g/100cm2の範囲内又は1.5~1.8g/100cm2の範囲内である。
一例においては、前記医療製品は、湿潤されたときの面積変化が、1.9~2.5%の範囲内であり、例えば2~2.4%又は2.0~2.2%の範囲内である。
一例においては、前記医療製品は、乾燥されたときの面積変化が、-3~0%の範囲内であり、例えば-2.8~0%の範囲内であり、例えば-2.8~-0.4%の範囲内である。アニオン性NFCが使用された場合、乾燥されたときの面積変化は、非常に低いか又はゼロであったが、例えば-0.2~0の範囲内又は約0であった。
一実施形態においては、前記医療製品は、液体保持が14.5~40%の範囲内であり、例えば14.5~30%、20~30%、又は22~30%である。アニオン性NFCを含む医療製品は、より高いレベルでの液体保持を有し、例えば22~30%又は25~30%の範囲内の液体保持を有する。高い液体保持により、生体分子が被覆材の表面上及び被覆材内で動くことを可能にするのに十分に長い時間、被覆材が湿潤に保たれる。
一実施形態においては、前記医療製品は、SFS-EN-13726-2によって測定される水蒸気透過率(MVTR)が4000~5500g/m2*24時間の範囲内であり、例えば4000~5000g/m2*24時間、又は4400~5000g/m2*24時間の範囲内である。
前記医療製品の透気度は、好ましくはオートクレーブされた状態で、120ml/分未満、又は650ml/分未満であってもよく、例えば1000ml/分未満又は2100ml/分未満である。しかし、ある例においては、前記透気度は、より高くてもよく、例えば5100ml/分未満でもよい。前記透気度は、概して、ナノフィブリルセルロースの量と相関する。ナノフィブリルセルロースの量が多いほど、透気度が低くなる。600ml/分未満、又は500ml/分未満という例示的な透気度では、ナノセルロースの量は、多くの用途に好適なレベルにある。
一実施形態においては、前記医療製品は、1種類又は複数種類の生理活性剤及び/又は1種類又は複数種類の治療剤を含む。本明細書に開示されている治療剤又は他の活性剤などの、1種類又は複数種類の生理活性剤及び/又は1種類又は複数種類の治療剤を前記医療製品に添加してもよく、又は、前記生理活性剤が、使用の際、すなわち前記医療製品が皮膚、創傷若しくは他の標的上に適用されるときに、前記医療製品へ拡散するようにしてもよい。
本明細書において使用されている語「生理活性剤」は、生理活性分子及び生理活性化合物とも呼ばれることがあり、生物学的反応若しくはプロセスに関与し得る若しくはこれに影響し得る分子若しくは他の物質、又は生理活性を示し得る剤を指す。係る剤として、タンパク質、脂質、核酸、酵素、ホルモン、成長因子及び他の因子、シグナル伝達分子、抗体、活性化剤、阻害剤、細胞小器官などの生体分子が挙げられ、それらは生物起源であってもよく、例えば組織由来若しくは組織から得られたものでもよく、すなわち、それらは天然(非合成)分子であってもよい。生理活性剤には、医薬品又はその他の分子などの合成分子も含まれ得る。治療剤は、医薬品(pharmaceutical agent)、すなわち、薬(drug)であってもよいが、生理活性剤であってもよい。治療剤は、疾患又は障害に対して治療効果を与えることを目的とする。治療剤は、特に合成されたものであるとき、単離されてもよく、ゆえに、純物質として提供されてもよい。本明細書に記載の生理活性剤は、一方で、組織から直接得られたものであってもよく、係る生理活性物質の正確な含量は、常に既知というわけではない場合がある。とはいえ、単離及び/又は精製形態で生理活性剤を提供することは可能である。
一実施形態においては、前記医療製品は、水分含量が0~10%の範囲内である。しかし、恐らくは、完全に乾燥した製品を得ることは容易でなく又はその必要すら無いため、前記製品は、少なくとも少量の水を含有してよい。前記水分含量は、1~10%(w/w)の範囲内であってもよく、例えば5~10%(w/w)の範囲内であるが、このような水分含量は、例えば前記製品の特定構造を維持する点で、前記製品を使用し、取り扱い、及び/又は貯蔵するのに好適であり得る。多くの場合において、前記水分含量は、環境水分含量に対応するものでもよく、これは5~7%の範囲内であってもよい。
一実施形態においては、前記医療製品は、好ましくは医療被覆材又はパッチの形態で、シールされたパッケージ内に包装されている。前記医療製品は、個別包装(separate packing)で包装されていてもよい。個別包装は、一連の包装として提供してもよい。通常、係る包装された製品は、滅菌された状態で提供される。シールされた包装は、シールされたバッグ又はこれに類する包装を含んでいてもよく、例えばプラスチック、紙、複合材料及び/又はこれらの組み合わせで作製されており、引裂可能な部分を含んでいてもよい。使用の前に、前記引裂可能な部分が引き裂かれて前記医療製品を露出し、これは、好ましくは無菌形態であり所望の含水量を有し得る。
一実施形態は、本明細書に記載の医療製品又は美容製品、例えば包装された製品を含むキットを提供し、ここでキットは1つ又は複数の前記包装された製品を含んでもよい。キットはまた、使用前に1つ又は複数の前記製品を前処理するための生理食塩水などを含む容器などの、他の物質又は機器も含んでいてもよい。
ナノフィブリルセルロース
前記医療製品を作製するための出発物質は、ナノセルロースとも呼ばれるナノフィブリルセルロースであり、セルロース原料由来の単離されたセルロースフィブリル又はフィブリル束を指す。ナノフィブリルセルロースは、天然に豊富にある天然ポリマーをベースとする。ナノフィブリルセルロースは、水中で粘性ヒドロゲルを形成する能力を有する。ナノフィブリルセルロース生成技術は、ナノフィブリル化セルロースを得るためにパルプ繊維の水分散物を粉砕することなど、繊維状原料を解砕することに基づき得る。粉砕又は均質化プロセスの後、得られたナノフィブリルセルロース材料は、希薄な粘弾性ヒドロゲルである。
得られた材料は、解砕条件に起因して、通常、比較的低濃度で水中に均質に分布して存在する。出発物質は、0.2~10%(w/w)、例えば0.2~5%(w/w)の濃度での水性ゲルであり得る。ナノフィブリルセルロースは、繊維状原料の解砕から直接得られたものであってもよい。市販のナノフィブリルセルロースヒドロゲルの例は、UPMによるGrowDex(登録商標)である。
ナノフィブリルセルロースは、そのナノスケール構造に起因して、従来のセルロースによっては提供され得ない機能性を可能にする固有の特性を有する。しかし、ナノフィブリルセルロースはまた、そのナノスケール構造に起因して、難しい材料でもある。例えば、ナノフィブリルセルロースの脱水又は取り扱いが難しい場合がある。
ナノフィブリルセルロースは、植物起源のセルロース原料から作製されてもよく、又は、ある特定の細菌発酵プロセス由来であってもよい。ナノフィブリルセルロースは、好ましくは植物材料からなる。前記原料は、セルロースを含むいずれの植物材料をベースとしていてもよい。一例においては、フィブリルは、非実質性植物材料から得られる。係る場合において、フィブリルは、二次細胞壁から得られ得る。係るセルロースフィブリルの豊富な供給源の一つは、木質繊維である。ナノフィブリルセルロースは、化学パルプ及び/又は晒パルプであってもよい、木材由来の繊維状原料を均質化することによって製造し得る。セルロース繊維は、解砕されて、平均径がたったナノメートルオーダー(some nanometers)である(殆どの場合において200nm以下であり得る)フィブリルを生成し、そしてフィブリルの水分散物を与える。二次細胞壁に由来するフィブリルは、結晶化度が少なくとも55%であって本質的に結晶性である。係るフィブリルは、初代細胞壁に由来するフィブリルとは異なる特性を有し得、例えば、二次細胞壁に由来するフィブリルの脱水は、より困難であり得る。概して、テンサイ、ジャガイモ塊茎及びバナナ穂軸などの初代細胞壁からのセルロース源において、ミクロフィブリルは、木材からのフィブリルよりも、繊維マトリクスから遊離するのが容易で、その解砕に必要なエネルギーがより少ない。しかし、これらの材料は、依然としていくぶん不均質であり、大きいフィブリル束からなる。
非木質材料は、農業残渣、草又は他の植物物質、例えば、綿、トウモロコシ、小麦、オート麦、ライ麦、大麦、米、亜麻、麻、マニラ麻、サイザル麻、ジュート、ラミー、ケナフ、バガス、竹又はアシからの、わら、葉、樹皮、種子、外皮、花、野菜又は果実からのものであってもよい。セルロース原料は、セルロース産生微生物に由来するものであってもよい。当該微生物は、Acetobacter属、Agrobacterium属、Rhizobium属、Pseudomonas属又はAlcaligenes属、好ましくはAcetobacter属のもの、より好ましくはAcetobacter xylinumor種又はAcetobacter pasteurianus種のものであってもよい。
木材セルロースから得られるナノフィブリルセルロースは、本明細書に記載されている医療製品又は科学製品に好ましいことが見出された。木材セルロースは、多量に入手可能であり、木材セルロースのために開発されている作製方法は、前記製品に好適なナノフィブリル材料の生成を可能にする。植物繊維、特に、木質繊維をフィブリル化することによって得られるナノフィブリルセルロースは、微生物から得られるナノフィブリルセルロースとは構造的に異なり、異なる特性を有する。例えば、バクテリアセルロースと比較して、ナノフィブリル化された木材セルロースは、均質で、より多孔質且つ緩い(loose)材料であり、該材料は、生存組織が関与する用途において有利である。バクテリアセルロースは、通常、植物セルロースの場合と同様のフィブリル化を伴うことなくそのまま使用され、そのため、前記材料はこの点においても異なる。バクテリアセルロースは、小さい球(spheroid)を形成し易い緻密な材料であり、ゆえに、該材料の構造は非連続的である:生存組織に関する用途において係る材料を使用することは望ましくなく、このことは、材料の均質性が必要とされるときに特にそうである。
木材は、トウヒ(spruce)、マツ(pine)、モミ(fir)、カラマツ(larch)、ベイマツ(douglas-fir)若しくはアメリカツガ(hemlock)などの針葉樹からの木材でも、又はカバノキ(birch)、アスペン、ポプラ、ハンノキ(alder)、ユーカリ、オーク、ブナノキ(beech)若しくはアカシアなどの広葉樹からの木材でも、或いは針葉樹及び広葉樹の混合物からの木材でもよい。一例においては、ナノフィブリルセルロースは、木材パルプから得られる。木材パルプは、晒パルプであってもよい。ナノフィブリルセルロースは、広葉樹パルプから得られたものでもよい。一例においては、広葉樹は、カバノキである。ナノフィブリルセルロースは、針葉樹パルプから得られたものでもよい。一例においては、上記木材パルプは、化学パルプである。化学パルプは、本明細書に開示されている製品にとって望まれ得る。化学パルプは、純粋な材料であり、広範な用途において使用し得る。例えば、化学パルプは、機械パルプに存在するピッチ及び樹脂酸を欠き、より無菌であり又は容易に滅菌可能である。さらに、化学パルプは、より可撓性であり、例えば医療材料及び科学材料において、有利な特性を示す。例えば、非常に均質なナノフィブリルセルロース材料を、過剰な加工をすることなく又は特定の機器若しくは面倒なプロセスステップを必要とすることなく作製し得る。一例においては、パルプは、晒カバノキパルプである。
セルロースフィブリル及び/又はフィブリル束を含むナノフィブリルセルロースは、高いアスペクト比(長さ/径)によって特徴付けられる。ナノフィブリルセルロースの平均長さ(フィブリル又はフィブリル束などの粒子のメジアン長さ)は、1μm超であってもよく、殆どの場合において、50μm以下である。エレメンタリーフィブリルが互いに完全には分離されないとき、絡まったフィブリルは、平均合計長さが、例えば、1~100μm、1~50μm、又は1~20μmの範囲内であってもよい。しかし、ナノフィブリル状の材料が高度にフィブリル化されているとき、エレメンタリーフィブリルは完全又はほぼ完全に分離され得、平均フィブリル長さは、より短く、例えば1~10μm又は1~5μmの範囲内である。このことは、特に、例えば化学的に、酵素的に又は機械的に、短くされていない又は消化されていないネイティブグレードのフィブリルに当てはまる。しかし、強く誘導体化されたナノフィブリルセルロースは、平均フィブリル長さがより短いものであり得、例えば0.3~50μmの範囲内であり、例えば0.3~20μmであり、例えば0.5~10μm又は1~10μmである。酵素的に若しくは化学的に消化されたフィブリル、又は機械的に処理された材料などの、特に短くされたフィブリルは、平均フィブリル長さが1μm未満、例えば、0.1~1μm、0.2~0.8μm、又は0.4~0.6μmであり得る。前記フィブリル長さ及び/又は径は、例えばCRYO-TEM、SEM又はAFM画像を使用して顕微鏡的に見積もり得る。
ナノフィブリルセルロースの平均径(幅)は、1μm未満、又は500nm以下であり、例えば1~500nmの範囲内であるが、好ましくは200nm以下であり、さらには100nm以下又は50nm以下であってもよく、例えば1~200nm、2~200nm、2~100nm、又は2~50nmの範囲内であり、高度にフィブリル化された材料については2~20ですらある。本明細書に開示されている径は、フィブリル及び/又はフィブリル束を指し得る。最小フィブリルは、エレメンタリーフィブリルのスケールにあり、平均径は、典型的には、2~12nmの範囲内である。フィブリルの寸法及びサイズ分布は、精製方法及び効率に依存する。高度に精製されたネイティブナノフィブリルセルロースの場合、フィブリル束を含めた平均フィブリル径は、1~200nm、又は1~100nmの範囲内であってもよく、例えば2~100nm、1~50nm、又は10~50nmの範囲内であってもよい。ナノフィブリルセルロースは、大きな比表面積及び強い水素結合形成能によって特徴付けられる。水分散物において、ナノフィブリルセルロースは、典型的には、明るい(light)又は濁ったゲル状材料となる。繊維原料に依って、植物、特に木材から得られるナノフィブリルセルロースはまた、少量の他の植物成分、特に、木材成分、例えばヘミセルロース又はリグニンを含んでいてもよい。その量は、植物源に依存する。
概して、セルロースナノ材料は、セルロースナノ材料についての標準用語を提供する、TAPPI W13021に拠るカテゴリーに分類し得る。これらの材料の全てがナノフィブリルセルロースということではない。2つの主なカテゴリーは、「ナノオブジェクト」及び「ナノ構造化材料」である。ナノ構造化材料には、径が10~12μmであり長さ:径比(L/D)<2である「セルロース微結晶」(CMCと呼ばれることがある)、及び径が10~100nmであり長さが0.5~50μmである「セルロースミクロフィブリル」が含まれる。ナノオブジェクトには、「セルロースナノ繊維」が含まれ、これは、径が3~10nmでありL/D>5である「セルロースナノ結晶」(CNC)、及び径が5~30nmでありL/D>50である「セルロースナノフィブリル」(CNF又はNFC)に分類し得る。
様々なグレードのナノフィブリルセルロースは、3つの主な特性:(i)サイズ分布、長さ及び径、(ii)化学組成、並びに(iii)レオロジー特性、に基づいて分類し得る。これらの特性は、互いに完全に従属するものではないものとし得る。グレードを十分に説明するために、前記特性は並行して使用されてよい。様々なグレードの例として、ネイティブ(又は化学的に改変されていない)NFC、酸化NFC(高粘度)、酸化NFC(低粘度)、カルボキシメチル化NFC及びカチオン化NFCが挙げられる。これらの主要グレード内にサブグレードも存在し、例えば:非常に高度なフィブリル化 対 適度なフィブリル化、高置換度 対 低置換度、低粘度 対 高粘度、などがある。フィブリル化技術及び化学的前改変(chemical pre-modification)は、フィブリルサイズ分布に影響を及ぼす。典型的には、非イオン性グレードは、より幅広の平均フィブリル径(例えば、10~100nm、又は10~50nmの範囲内)を有し、一方、化学的に改変されたグレードは、はるかにより細い(例えば、2~20nmの範囲内)。分布もまた、前記改変されたグレードでは、より狭い。ある特定の改変、特にTEMPO酸化では、より短いフィブリルを産生する。
原料源に依って、例えば、広葉樹パルプ対針葉樹パルプに依って、異なる多糖組成物が最終ナノフィブリルセルロース製品に存在することになる。一般に、非イオン性グレードは、高いキシレン含量(25重量%)を与える、晒カバノキパルプから作製される。改変されたグレードは、広葉樹パルプ又は針葉樹パルプのどちらからでも作製される。これらの改変されたグレードにおいて、ヘミセルロースもまた、セルロースドメインと共に改変される。ほぼ確実に前記改変は均質ではなく、すなわち、いくつかの部分(some parts)が、他の部分よりも改変されている。そのため、前記改変された製品は異なる多糖構造の複雑な混合物であるため、通常、詳細な化学分析が可能ではない。
水性環境において、セルロースナノ繊維の分散物は、粘弾性ヒドロゲル網目構造を形成する。前記ゲルは、分散及び水和された、絡まったフィブリルによって比較的低濃度、例えば、0.05~0.2%(w/w)で既に形成されている。NFCヒドロゲルの粘弾性は、例えば、動的振動レオロジー測定によって特性決定し得る。
ナノフィブリルセルロースヒドロゲルは、特徴的なレオロジー特性を示す。ナノフィブリルセルロースの分散物は、ニュートンの粘度法則、すなわち応力から独立して一定の粘度である法則、には従わない非ニュートン性流体である。ナノフィブリルセルロースの分散物は、剪断減粘性を示し、これは、粘度が、材料を変形させる速度(又は力)に依存することを意味する。これは、時間依存性の剪断減粘性であるチキソトロピー挙動の特別なケースであり、剪断速度の急な変化に導入されたときに、平衡粘度を達成するために有限時間を要する。より詳細には、ナノフィブリルセルロースの分散物は、剪断応力が無くなるとほぼすぐにゲル状態に戻る、偽塑性流体である。従来のセルロースなどの従来のニュートン材料は係る挙動を示さず、そのため、係るニュートン材料に関する教示を、ナノフィブリルセルロースに適用することは通常できない。
回転レオメータにおいて粘度を測定するとき、剪断減粘性挙動は、剪断速度の増加に伴う粘度の減少として見られる。前記ヒドロゲルは、塑性的挙動を示し、これは、材料が容易に流れ始める前にある特定の剪断応力(力)が必要とされることを意味している。この臨界剪断応力は、多くの場合、降伏応力と呼ばれる。降伏応力は、応力制御レオメータによって測定される定常状態流動曲線から求めることができる。粘度が印加剪断応力の関数としてプロットされる場合、臨界剪断応力を超えた後、急激な粘度減少が見られる。ゼロ剪断粘度及び降伏応力は、材料の懸濁力を説明するために最も重要なレオロジーパラメータである。これらの2つのパラメータは、異なるグレードを非常に明確に隔て、ゆえにグレードの分類を可能にする。
フィブリル又はフィブリル束の寸法は、例えば、原料、解砕方法、及び解砕ランの回数に依存する。セルロース原料の機械的解砕は、リファイナー、粉砕機、分散機、ホモジナイザ、コロイダ、摩擦粉砕機、ピンミル、ロータ-ロータディスパゲータ、超音波ソニケータ、マイクロフルイダイザ、マクロフルイダイザ又はフルイダイザ型ホモジナイザなどのフルイダイザなどの、任意の好適な機器によって行い得る。解砕処理は、水が繊維間の結合の形成を防止するのに十分に存在する状態で行われる。
一例においては、前記解砕は、少なくとも1つのロータ、ブレード又は類似の可動式機械部材を有する分散機を使用することによって行われ、例えば少なくとも2つのロータを有するロータ-ロータディスパゲータを使用することによって行われる。分散機において、分散物中の繊維材料は、複数のブレードが反対方向に、回転速度において、及び半径(回転軸までの距離)によって決定される周速において回転するとき、反対方向から前記繊維材料を打ちつけるロータのブレード又はリブによって繰り返し衝突を受ける。前記繊維材料は、半径方向の外側方向へと移動するので、反対方向から速い周速で次々に到来するブレード、すなわちリブの、幅広の表面上に衝突する;換言すると、前記繊維材料は、反対方向から複数の次々に起こる衝突を受ける。また、次のロータブレードの対向する縁部とともにブレードの間隙を形成する、ブレード、すなわちリブの、幅広の表面の縁部において剪断応力が生じ、この剪断応力が前記繊維の解砕及びフィブリルの脱離に寄与する。衝突頻度は、前記ロータの回転速度、前記ロータの数、各ロータにおけるブレードの数、及び前記デバイスを通る前記分散物の流量によって決定される。
ロータ-ロータディスパゲータにおいて、前記繊維材料が互いに逆向きに回転するロータの効果によって剪断力及び衝突力に繰り返し供され、これにより同時にフィブリル化されるように、前記繊維材料は互いに逆向きに回転するロータを通してロータの回転軸に対し半径方向外側へと、導入される。ロータ-ロータディスパゲータの一例は、Atrexデバイスである。
解砕に好適なデバイスの別の例は、マルチペリフェラルピンミルなどのピンミルである。係るデバイスの一例は、ハウジング、及びハウジング内部に設けられた、衝突表面を備えた第1のロータ;第1のロータと同心であり且つ衝突表面を備えた第2のロータであって、第1のロータとは反対の方向に回転するように配置されている第2のロータ;又は第1のロータと同心であり且つ衝突表面を備えたステータ、を含む。前記デバイスは、前記ハウジング内に設けられ、かつ複数ロータの中心又はロータ及びステータの中心へと開口した供給オリフィス、並びに、ハウジング壁上に設けられ、かつ最も外側のロータ又はステータの周囲へと開口した排出オリフィスを含む。
一例においては、前記解砕は、ホモジナイザを使用することによって行われる。ホモジナイザにおいて、繊維材料が圧力の効果により均質化に供される。繊維材料分散物の強制貫流によって、繊維材料分散物がナノフィブリルセルロースへと均質化されるが、前記強制貫流は材料をフィブリルへと解砕する。前記繊維材料分散物は、狭い貫流間隙を通って所与の圧力で通過し、ここで、前記分散物の線速度の増加が前記分散物に対する剪断力及び衝突力を生じさせ、その結果、繊維材料からフィブリルが除去される。繊維断片は、フィブリル化ステップにおいてフィブリルに解砕される。
本明細書において使用される用語「フィブリル化」は、概して、粒子に適用される処理によって繊維材料を機械的に解砕することを指し、セルロースフィブリルが繊維又は繊維断片から分離される。前記処理は、粉砕(grinding)、破砕(crushing)若しくは剪断、又はこれらの組み合わせ、或いは粒子サイズを低減する別の対応する作用のような、種々の効果に基づき得る。「解砕」又は「解砕処理」の表現は、「フィブリル化」と互換的に使用し得る。
フィブリル化に供される繊維材料分散物は、本明細書において「パルプ」とも呼ばれる、繊維材料と水との混合物である。繊維材料分散物は、一般的に、繊維全体、そこから分離された部分(断片)、フィブリル束、又は水と混合されたフィブリルを指し得るが、典型的には、水性繊維材料分散物は、上記要素の混合物であり、前記成分同士の比は、加工の程度又は処理段階に依存し、例えば同じバッチの線維材料の処理全体におけるラン又は「パス」の回数に依存する。
ナノフィブリルセルロースを特性決定する1つの方法は、ナノフィブリルセルロースを含む水溶液の粘度を使用することである。前記粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度又はゼロ剪断粘度であってもよい。本明細書に記載されている比粘度は、ナノフィブリルセルロースを非ナノフィブリルセルロースと区別する。
一例においては、ナノフィブリルセルロースの見かけ粘度は、ブルックフィールド粘度計(ブルックフィールド粘度)又は別の対応する装置によって測定される。好適には、ベーンスピンドル(73番)が使用される。見かけ粘度を測定するために利用可能ないくつかの市販のブルックフィールド粘度計があり、これらは全て同じ原理に基づいている。好適には、RVDVスプリング(ブルックフィールドRVDV-III)が前記装置において使用される。ナノフィブリルセルロースのサンプルを水中0.8重量%の濃度に希釈し、10分間混合する。前記希釈されたサンプル(sample mass)を250mlビーカーに添加し、温度を20℃±1℃に調整し、必要なら加熱し、混合する。低い回転速度10rpmを使用する。概して、ブルックフィールド粘度は、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定し得る。
ナノフィブリルセルロース、例えば前記方法において出発物質として提供されるナノフィブリルセルロースは、それが水溶液中で与える粘度によって特徴付け得る。前記粘度は、例えば、ナノフィブリルセルロースのフィブリル化度を説明するものである。一例においては、ナノフィブリルセルロースは、水中に分散され、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したときに、少なくとも2000mPa・sのブルックフィールド粘度を与え、例えば少なくとも3000mPa・sのブルックフィールド粘度を与える。一例においては、ナノフィブリルセルロースは、水中に分散され、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したときに、少なくとも10000mPa・sブルックフィールド粘度を与える。一例においては、ナノフィブリルセルロースは、水中に分散され、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したときに、少なくとも15000mPa・sのブルックフィールド粘度を与える。0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定した、水中に分散されているときの上記ナノフィブリルセルロースのブルックフィールド粘度範囲の例として、2000~20000mPa・s、3000~20000mPa・s、10000~20000mPa・s、15000~20000mPa・s、2000~25000mPa・s、3000~25000mPa・s、10000~25000mPa・s、15000~25000mPa・s、2000~30000mPa・s、3000~30000mPa・s、10000~30000mPa・s、及び15000~30000mPa・sが挙げられる。
ナノフィブリルセルロースはまた、平均径(若しくは幅)によって、又は、ブルックフィールド粘度若しくはゼロ剪断粘度などの粘度と共に平均径によって、特徴付け得る。一例においては、本明細書に記載されている製品での使用に好適なナノフィブリルセルロースは、平均フィブリル径が1~200nm、又は1~100nmの範囲内である。一例においては、上記ナノフィブリルセルロースは、平均フィブリル径が1~50nmの範囲内であり、例えば2~20nm又は5~30nmである。一例においては、上記ナノフィブリルセルロースは、例えばTEMPO酸化ナノフィブリルセルロースの場合、平均フィブリル径が2~15nmの範囲内である。
フィブリル径は、顕微鏡法によるものなどいくつかの技術によって求め得る。フィブリル厚さ及び幅の分布は、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)、低温透過電子顕微鏡(cryo-TEM)などの透過電子顕微鏡(TEM)、又は原子間力顕微鏡(AFM)からの画像の画像分析によって測定し得る。概して、AFM及びTEMは、狭いフィブリル径分布を有するナノフィブリルセルロースグレードに最も良好に適している。
ナノフィブリルセルロース分散物のレオメータ粘度は、一例によれば、30mm径を有する円筒状サンプルカップにおいて狭いギャップベーン形状(径28mm、長さ42mm)を備える応力制御回転レオメータ(AR-G2、TA Instruments、UK)によって22℃で測定し得る。サンプルを前記レオメータに投入した後、測定を開始する前に5分間静置する。定常状態粘度を徐々に増加する剪断応力(印加トルクと比例)で測定し、剪断速度(角速度と比例)を測定する。ある特定の剪断応力において示された粘度(=剪断応力/剪断速度)は、一定の剪断速度に達した後又は最大時間である2分経過後に記録される。前記測定は、剪断速度が1000s-1を超えたときに停止する。この方法は、ゼロ剪断粘度を求めるのに使用し得る。
別の例においては、ヒドロゲルサンプルのレオロジー的測定を、20mmのプレート形状を備える応力制御回転レオメータ(AR-G2、TA instruments、UK)によって行った。希釈無しで、前記サンプルを1mmギャップで前記レオメータに投入した後、測定を開始する前に5分間静置した。応力掃引粘度は、25℃において、周波数10rad/秒、歪み2%で、剪断応力を0,001~100Paの範囲内で徐々に増加させながら測定した。貯蔵弾性率、損失弾性率及び降伏応力/破壊強度を求めることができる。
一例においては、ナノフィブリルセルロース、例えば前記方法において出発物質として提供されるナノフィブリルセルロースは、水中に分散され、22℃±1℃で水性媒体において0.5重量%(w/w)の濃度で回転レオメータによって求められたとき、1000~100000Pa・sの範囲内、例えば5000~50000Pa・sの範囲内のゼロ剪断粘度(小さい剪断応力における一定の粘度の「プラトー」)を提供し、1~50Paの範囲内、例えば3~15Paの範囲内の降伏応力(剪断減粘性が始まる剪断応力)を提供する。係るナノフィブリルセルロースはまた、平均フィブリル径が200nm以下、例えば1~200nmの範囲内であってもよい。
濁度は、概して裸眼では見ることができない個々の粒子(懸濁又は溶解した固体の全体)によって引き起こされる、流体の不透明度又は曇りである。濁度を測定するいくつかの実用的な方法があり、最も直接的なものは、光が水のサンプルカラムを通過するのに伴う光の減衰(すなわち、強度の減少)をなんらか測定することである。代替的に使用されるジャクソンキャンドル法(単位:ジャクソン濁度ユニット又はJTU)は、本質的に、水のカラムを通して見えるロウソクの炎を完全に不明瞭なものにするために必要な水のカラムの長さの反転測定である。
濁度は、光学濁度測定機器を使用して定量的に測定し得る。濁度を定量的に測定するためのいくつかの市販の濁度計がある。本ケースにおいては、比濁法に基づく方法が使用される。較正された比濁計に由来する濁度の単位は、ネフェロメ濁度単位(NTU)と呼ばれる。測定装置(濁度計)が標準較正サンプルによって較正及び制御され、続いて、希釈されたNFCサンプルの濁度を測定する。
1つの濁度測定方法では、ナノフィブリルセルロースサンプルが、上記ナノフィブリルセルロースのゲル化点未満の濃度まで、水中で希釈され、希釈されたサンプルの濁度が測定される。ナノフィブリルセルロースサンプルの濁度が測定される上述の濃度は0.1%である。50mlの測定容器を有するHACH P2100濁度計が濁度測定に使用される。ナノフィブリルセルロースサンプルの乾燥分が求められ、乾燥分としての算出で0.5gのサンプルが、測定容器に投入されて、該容器が500gまで水道水で満たされて、約30秒間の振とうにより激しく混合される。すぐさま、この水性混合物が、濁度計に挿入されている5つの測定容器中に分けられる。各容器について3回測定が行われる。得られた結果から平均値及び標準偏差が算出され、最終結果がNTU単位で与えられる。
ナノフィブリルセルロースを特性決定する1つの方法は、粘度及び濁度の両方を規定することである。小さなフィブリルは光の散乱が小さいため、濁度が低いことは、径が小さいなど、フィブリルのサイズが小さいことを指す。概して、フィブリル化度が増加するにつれて、粘度が増加すると同時に濁度が減少する。これは、しかし、ある点まで起こる。フィブリル化がさらに継続されると、フィブリルが最終的に壊れ始め、強い網目構造をこれ以上形成できなくなる。ゆえに、この点の後、濁度及び粘度の両方が減少し始める。
一例においては、アニオン性ナノフィブリルセルロースの濁度は、水性媒体において0.1%(w/w)の濃度で測定され、且つ比濁法によって測定されたとき、90NTU未満、例えば3~90NTU、例えば5~60、例えば8~40である。一例においては、ネイティブナノフィブリル状の濁度は、水性媒体において0.1%(w/w)の濃度で20℃±1℃で測定され、且つ比濁法によって測定されたとき、200NTUさえも超え、例えば10~220NTU、例えば20~200、例えば50~200でもあり得る。ナノフィブリルセルロースを特性決定するために、これらの範囲は、ナノフィブリルセルロースの粘度範囲、例えばゼロ剪断粘度、貯蔵弾性率、及び/又は降伏応力と組み合わされてもよい。
ナノフィブリルセルロースは、非改変ナノフィブリルセルロースであってよく、又は非改変ナノフィブリルセルロースを含んでいてもよい。改変は、化学的、酵素的及び/又は物理的改変を指し得る。非改変ナノフィブリルセルロースの排出は、例えばアニオングレードよりも有意に速い。非改変ナノフィブリルセルロースは、概して、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定されるブルックフィールド粘度が、2000~10000mPa・sの範囲内である。ナノフィブリルセルロースは適切なカルボン酸含量を有していることが好ましく、そのようなカルボン酸含量は、例えば、伝導度滴定によって求められるカルボン酸含量として、0.6~1.4mmol COOH/gの範囲内、例えば0.7~1.2mmol COOH/gの範囲内、又は0.7~1.0mmol COOH/g若しくは0.8~1.2mmol COOH/gの範囲内である。
解砕された繊維状セルロース原料は、改変された繊維状原料であってもよい。改変された繊維状原料は、セルロースナノフィブリルが繊維からより容易に分離可能であるように繊維が処理によって影響を受けた原料である。前記改変は、通常、液体中の懸濁物として存在する繊維状セルロース原料、すなわちパルプ、に対して行われる。
繊維に対する改変処理は、化学的、酵素的又は物理的であってもよい。化学的改変において、セルロース分子の化学的構造は、化学反応(セルロースの「誘導体化」)によって変化し、好ましくは、その結果、セルロース分子の長さは影響されないが、ポリマーのβ-D-グルコピラノース単位に官能基が付加される。セルロースの化学的改変は、反応物質の適用量及び反応条件に依存する、ある特定の変換度で起こり、通例では化学的改変は完全ではないためセルロースはフィブリルとして固体形態のままであり、水に溶解はしない。物理的改変において、アニオン性、カチオン性若しくは非イオン性物質又はこれらの任意の組み合わせが、セルロース表面に物理的に吸着される。
繊維中のセルロースは、前記改変後、特に、イオン帯電してもよい。セルロースのイオン電荷は、繊維の内部結合を弱め、後に、ナノフィブリルセルロースへの解砕を容易にする。イオン電荷は、セルロースの化学的又は物理的改変によって達成し得る。前記繊維は、出発原料と比較して、前記改変後に、より高いアニオン又はカチオン電荷を有し得る。アニオン電荷を形成するために最も一般に使用されている化学的改変方法は、ヒドロキシル基がアルデヒド及びカルボキシル基に酸化される酸化、スルホン化、及びカルボキシメチル化である。ナノフィブリルセルロースと生理活性分子との間の共有結合の形成に関与し得る、カルボキシル基などの化学的改変導入基が望まれ得る。一方、カチオン電荷は、第4級アンモニウム基などのカチオン基をセルロースに結合させることによるカチオン化により化学的に形成し得る。
ナノフィブリルセルロースは、化学的に改変されたナノフィブリルセルロースであってもよく、又は化学的に改変されたナノフィブリルセルロースを含んでいてもよいが、ここで、化学的に改変されたナノフィブリルセルロースは、例えばアニオン修飾されたナノフィブリルセルロース又はカチオン修飾されたナノフィブリルセルロースである。一例においては、ナノフィブリルセルロースは、アニオン修飾されたナノフィブリルセルロースである。一例においては、前記アニオン修飾されたナノフィブリルセルロースは、酸化ナノフィブリルセルロースである。一例においては、前記アニオン修飾されたナノフィブリルセルロースは、スルホン化されたナノフィブリルセルロースである。一例においては、前記アニオン修飾されたナノフィブリルセルロースは、カルボキシメチル化ナノフィブリルセルロースである。セルロースのアニオン修飾によって得られる材料は、アニオン性セルロースと呼ばれてもよく、アニオン性セルロースは、カルボン酸基などのアニオン基の量又は割合が、非修飾材料と比較して、修飾によって増加した材料を指す。カルボン酸基の代わりに又はこれに加えて、セルロースに、リン酸基又は硫酸基などの他のアニオン基を導入することも可能である。これらの基の含量は、本明細書においてカルボン酸に関して開示されているものと同じ範囲内にあってもよい。
セルロースは酸化されていてもよい。セルロースの酸化において、セルロースの第1級ヒドロキシル基は、複素環式ニトロキシル化合物、例えば、概して「TEMPO」と呼ばれる2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシ遊離ラジカルによって、N-オキシル媒介触媒酸化等により触媒的に酸化されてよい。セルロース性β-D-グルコピラノース単位の第1級ヒドロキシル基(C6-ヒドロキシル基)は、カルボン酸基へ選択的に酸化される。前記第1級ヒドロキシル基から、いくつかのアルデヒド基も形成される。酸化度が低いと十分に効率的なフィブリル化が可能とならず、酸化度がより高いと機械的破壊的処理の後にセルロースの分解が生じるという知見に関連して、前記セルロースは、伝導度滴定によって求められる酸化セルロース中のカルボン酸含量が0.5~2.0mmol COOH/gパルプ、0.6~1.4mmol COOH/gパルプ、又は0.8~1.2mmol COOH/gパルプ、好ましくは1.0~1.2mmol COOH/gパルプの範囲内のレベルとなるまで酸化されてよい。こうして得られた酸化セルロースの繊維が水中で解砕されると、個別化されたセルロースフィブリルの安定で透明な分散物を与え、個別化されたセルロースフィブリルの幅は、例えば、3~5nmであってもよい。出発媒体として酸化されたパルプを用いて、0.8%(w/w)の濃度で測定されるブルックフィールド粘度が少なくとも10000mPa・s、例えば10000~30000mPa・sの範囲内であるナノフィブリルセルロースを得ることが可能である。
触媒「TEMPO」の用語が本開示において言及されるときはいつでも、「TEMPO」が関係する全ての測定及び操作が、TEMPOの任意の誘導体、又はセルロース中のC6炭素のヒドロキシル基の酸化を選択的に触媒することが可能である任意の複素環ニトロキシルラジカルに対して、等しく且つ同様に当てはまることが明らかである。
一例においては、係る化学的に改変されたナノフィブリルセルロースは、水中に分散され、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したとき、少なくとも10000mPa・sのブルックフィールド粘度を与える。一例においては、係る化学的に改変されたナノフィブリルセルロースは、水中に分散され、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したとき、少なくとも15000mPa・sのブルックフィールド粘度を与える。一例においては、係る化学的に改変されたナノフィブリルセルロースは、水中に分散され、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したとき、少なくとも18000mPa・sのブルックフィールド粘度を与える。使用されるアニオン性ナノフィブリルセルロースの例は、フィブリル化度に応じて、13000~15000mPa・s若しくは18000~20000mPa・sの範囲内のブルックフィールド粘度を有し、又は最大で25000mPa・sのブルックフィールド粘度さえ有する。
一例においては、ナノフィブリルセルロースは、TEMPO酸化ナノフィブリルセルロースである。該セルロースは、低濃度で高い粘度を与え、例えば、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したときに少なくとも20000mPa・sのブルックフィールド粘度を与え、少なくとも25000mPa・sのブルックフィールド粘度さえ与える。一例においては、TEMPO酸化ナノフィブリルセルロースのブルックフィールド粘度は、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したときに、20000~30000mPa・sの範囲内、例えば25000~30000mPa・sである。
一例においては、ナノフィブリルセルロースは、化学的に改変されていないナノフィブリルセルロースであり、又は化学的に改変されていないナノフィブリルセルロースを含む。一例においては、係る化学的に改変されていないナノフィブリルセルロースは、水中に分散され、0.8%(w/w)の濃度及び10rpmにおいて20℃±1℃で測定したときに、少なくとも2000mPa・sのブルックフィールド粘度を与え、又は少なくとも3000mPa・sのブルックフィールド粘度を与える。
一例においては、ナノフィブリルセルロースは、酵素的に改変されていないナノフィブリルセルロースであり、又は酵素的に改変されていないナノフィブリルセルロースを含む。酵素的に改変されていないナノフィブリルセルロースは、化学的に改変された又は化学的に改変されていないナノフィブリルセルロースであってもよい。
製造プロセスを向上させる又は前記製品の特性を改良若しくは調整するための、例えば添加剤などの助剤が、ナノフィブリルセルロース分散物に含まれてもよい。係る助剤は、前記分散物の液相に可溶であってもよく、エマルジョンを形成してもよく、又は固体であってもよい。助剤は、ナノフィブリルセルロース分散物の製造の際に既に原料に添加してもよく、又は、形成されたナノフィブリルセルロース分散物若しくはゲルに添加してよい。前記助剤は、例えば含浸する、噴霧する、ディップする、浸す(soaking)などの方法によって、最終製品に添加してもよい。前記助剤は、通常、ナノフィブリルセルロースに共有結合していないため、ナノセルロースマトリクスから放出可能であり得る。係る剤の制御放出及び/又は徐放は、NFCをマトリクスとして使用するときに得られ得る。助剤の例としては、治療(医薬)剤、及び、緩衝剤、界面活性剤、可塑剤、乳化剤など、製品の特性若しくは活性剤の特性に影響する他の剤が挙げられる。一例においては、前記分散物は、1種類又は複数種類の塩を含有し、該塩は、最終製品の特性を向上するため、又は、製造プロセスにおける前記製品からの水の除去を容易にするために添加してもよい。塩の例として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び塩化カリウムなどの塩化物塩が挙げられる。前記塩は、前記分散物中の乾燥分に対して0.01~1.0%(w/w)の範囲内の量で含まれてもよい。最終製品はまた、約0.9%の塩化ナトリウム水溶液などの、塩化ナトリウムの溶液にディップされ又は浸されて(soaked)もよい。最終製品中の所望の塩含量は、湿潤製品の体積の0.5~1%の範囲内、例えば約0.9%、であってもよい。生理的条件を得るために、前記塩、緩衝剤などの剤を与えてもよい。
多価カチオンが、ナノフィブリルセルロースの非共有結合性架橋を得るために含まれていてもよい。一例では、ナノフィブリルセルロース(特にアニオン修飾されたナノフィブリルセルロースを含む)及び多価カチオン(例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、金、プラチナ及びチタンのカチオンから選択される多価金属カチオン)を含む、ナノフィブリルセルロース製品であって、ナノフィブリルセルロースが前記多価カチオンによって架橋されている、ナノフィブリルセルロース製品が提供される。前記多価カチオンの量は、ヒドロゲルの乾燥含量から算出した場合、0.1~3%(w/w)の範囲内、例えば0.1~2%(w/w)であってもよい。
一例では、係るヒドロゲルを作製する方法が提供され、該方法は、パルプを提供すること、前記パルプをナノフィブリルセルロースが得られるまで解砕すること、前記ナノフィブリルセルロースをヒドロゲルへと形成することを含む。
ナノフィブリルセルロースが本明細書に記載されている所望の特性を有するゲルを形成するよう、ナノフィブリルセルロースを所望のフィブリル化度までフィブリル化して所望の含水量に調整してもよく、あるいはその他のやり方で改変してもよい。一例においては、ヒドロゲル中のナノフィブリルセルロースは、アニオン修飾されたナノフィブリルセルロースである。
本出願は、本明細書に記載されている医療製品を作製するためのナノフィブリルセルロースの使用を提供する。
医療用又は科学用ヒドロゲルとして使用されるヒドロゲルは、均質であることが必要である。ゆえに、ヒドロゲルを作製する方法は、ナノフィブリルセルロースを含むヒドロゲルを均質化することを含んでいてもよく、均質化は、好ましくは、本明細書に記載されているものなどの均質化デバイスによって行う。この、好ましくはフィブリル形成的でない均質化ステップにより、非連続的な領域(areas of discontinuity)をゲルから除去することが可能である。用途のための、より良好な特性を有する均質なゲルが得られる。ヒドロゲルはさらに滅菌してもよく、滅菌は、例えば、熱及び/又は放射線を使用することによって、及び/又は抗菌剤(antimicrobials)などの滅菌剤を添加することによって行う。
浸漬ステップにおいて不織物を処理するために与えられるナノフィブリルセルロース分散物(通常は水分散物)の出発濃度は、0.1~10%の範囲内であってもよい。濃縮された分散物を、使用の前に希釈してよい。しかし、前記濃度は、通常、5%以下、例えば0.3~5.0%の範囲内、例えば0.8~1.2%の範囲内である。これは、通常、ナノフィブリルセルロースが繊維状原料を解砕することによって製造される製造プロセスの出口における、ナノフィブリルセルロースの初期濃度である。しかし、ナノフィブリルセルロース分散物を、初期濃度(製造プロセスからの製品濃度)から好適な出発濃度へと液体で希釈して、ナノフィブリルセルロース分散物が不織物中に均一に分布又は含浸することを確実とすることも可能である。ナノフィブリルセルロースグレードの特徴的な粘度に応じて、前記出発濃度は、より低くても、より高くてもよく、0.1~10%の範囲内であってもよい。低粘度グレードの場合はより高い濃度を用いてもよく、高濃度にかかわらずフィルタ布地上に均一に広がり得る。ナノフィブリルセルロースは、水中に懸濁された繊維状出発物質が解砕される製造プロセスから水性ナノフィブリルセルロースとして生じる。ナノフィブリルセルロース分散物からの液体の排出は、水又は水溶液の場合には「脱水」と呼ぶこともできる。
製造プロセスを向上させる又は前記製品の特性を改良若しくは調整するための助剤が、ナノフィブリルセルロース分散物に含まれてもよい。係る助剤は、前記分散物の液相に可溶であってもよく、エマルジョンを形成してもよく、又は固体であってもよい。助剤は、ナノフィブリルセルロース分散物の製造の際に既に原料に添加してもよく、又は、浸漬の前にナノフィブリルセルロース分散物に添加してもよい。前記助剤は、例えば含浸によって最終製品に添加されてもよい。助剤の例としては、治療剤及び美容剤、並びに、界面活性剤、可塑剤、若しくは乳化剤など、製品の特性又は活性剤の特性に影響する他の剤が挙げられる。一例においては、前記分散物は、1種類又は複数種類の塩を含有し、該塩は、最終製品の特性を向上させるため、又は、製造プロセスにおける前記製品からの水の除去を容易にするために添加してもよい。上記の塩の一例は塩化ナトリウムである。前記塩は、前記分散物中の乾燥分に対して0.01~1.0%(w/w)の範囲内の量で含まれていてもてよい。最終製品はまた、約0.9%の塩化ナトリウム水溶液などの、塩化ナトリウムの溶液にディップされ又は浸されて(soaked)もよい。最終製品中の所望の塩化ナトリウム含量は、湿潤製品の体積の0.5~1%の範囲内,例えば約0.9%、であってもよい。
本明細書に記載されているNFC創傷被覆材の細胞毒性を、マウス細胞を使用したXTT試験を利用することによって評価した。NFC創傷被覆材を撹拌下で抽出し、その後、細胞を様々な最終濃度の抽出物と共にインキュベートした。最も高い抽出物濃度は、ISO10993-5及び10993-12に記載されている、0.2g/mlの重量/体積比に相当する。前記抽出手順において、抽出媒体又は試験項目における異常は何も見られなかった。前記抽出媒体において、透明さ、色、及び異物の有無に関する変化は生じなかった。試験抽出物のpH値は7.5(溶媒対照pH7.5)であった。
結果は、細胞増殖及び/又は細胞生存率において、関連する減少を示さなかった。最も高い抽出物濃度(100%)では、脱水素酵素活性は減少しなかった。顕微鏡的には、使用した全ての抽出物濃度において、細胞成長の阻害及び細胞溶解は観察されなかった。対照により、研究の有効性を確認した。溶媒対照及びネガティブ対照間では、関連する差は観察され得なかった。ポジティブ対照は、脱水素酵素活性を1%に減少させたため、細胞生存率及び細胞増殖の明白な減少を示した。
医療製品の使用
前記医療製品は、いくつかの用途において使用し得る。1つの具体的な分野は医療用途であり、前記材料が皮膚などの生存組織上に適用される。パッチ、被覆材、包帯、フィルタなどの構造を、医療製品において使用し得る。前記医療製品は、医薬を含有する治療パッチなどの治療製品であってもよい。概して、ナノフィブリルセルロースを含む前記製品の表面は、使用の際に皮膚と接触することとなる。ナノフィブリルセルロースの表面は、皮膚と直接接触するとき有利な効果を示し得、例えば、皮膚上の創傷若しくは他の損傷の治癒を促進し得、あるいは皮膚から前記医療製品への及び/又は前記医療製品から皮膚への、物質の移動若しくは送達を促進し得る。
本明細書において使用される用語「創傷」は、皮膚などの組織におけるあらゆる損傷(damage)、負傷(injury)、疾患、障害などを指し、開放性又は非開放性創傷を包含し、ここで、創傷の治癒が望まれ且つ本明細書に記載されている製品によって促進され得る。創傷は、清潔であってもよく、汚染、感染、又はコロニー化していてもよく、特に、後者の場合、抗菌薬などの治療剤が投与されてよい。開放性創傷の例として、擦過創、剥離創、切創、挫創、刺創、及び穿通創が挙げられる。非開放性創傷の例として、火傷、血腫、圧挫損傷、縫合傷、移植片、及び任意の適用可能な皮膚状態、疾患又は障害が挙げられる。皮膚の状態、疾患又は障害の例として、座瘡、感染、小水泡性疾患、単純ヘルペス(cold sore)、皮膚カンジダ症、蜂巣炎、皮膚炎及び湿疹、疱疹、蕁麻疹(hives)、狼瘡、丘疹鱗屑性疾患、蕁麻疹(urticaria)及び紅斑症、乾癬、酒さ、放射線関連障害、色素沈着、ムチン沈着症、圧迫潰瘍、委縮症、及び類壊死などの潰瘍、血管炎、白斑症、疣贅、好中球疾患及び好酸球疾患、表皮若しくは真皮のメラノーマ及び腫瘍などの先天性の新生物及びがん、又は、完全若しくは部分的に破壊された真皮などの表皮及び真皮の他の疾患若しくは障害が挙げられる。
一例により、皮膚創傷又は他の損傷を処置及び/又は被覆するための使用のための前記医療製品が提供される。一例により、皮膚創傷又は他の損傷を処置及び/又は被覆するための、被覆材若しくはパッチとしての使用のための、又は被覆材若しくはパッチにおける使用のための係る医療製品が提供される。
一例により、皮膚移植片などの移植片によって被覆されている皮膚創傷を処置及び/又は被覆するための使用のための係る医療製品が提供される。一例により、皮膚移植片などの移植片によって被覆されている皮膚創傷を処置及び/又は被覆するための、被覆材若しくはパッチとしての使用のための、又は被覆材若しくはパッチにおける使用のための係る医療製品が提供される。
前記医療製品は、前記医療製品を提供すること、及び前記医療製品によって対象を処置すること、例えば前記医療製品を前記対象上に適用すること、を含む、様々な処置方法において使用し得る。前記対象は、ヒト患者又は動物患者などの患者であってもよい。一例においては、前記方法は、
-創傷の治癒を必要とする治療の必要性がある対象を認識すること、
-前記医療製品を提供すること、及び
-前記対象の前記創傷上に前記医療製品を適用すること
を含む。
同様に、前記医療製品は、対象における皮膚又はその下の組織、例えば表皮、の任意の他の適切な疾患又は障害を処置するために使用し得る。一例においては、前記方法は、
-皮膚の治癒を必要とする治療の必要性がある対象を認識すること、
-前記医療製品を提供すること、及び
-前記医療製品を前記対象の皮膚上に適用すること
を含む。
前記医療製品は、真皮損傷を含む深部皮膚創傷など、皮膚創傷又は他の損傷若しくは負傷を処置及び/又は被覆するための使用のために提供し得る。
本開示は、皮膚創傷又は他の損傷若しくは負傷を処置する方法であって、本明細書に記載の医療製品を該創傷、損傷、又は負傷上に適用することを含む方法を提示する。一具体例では、皮膚移植片などの移植片(例えば網状移植片又は全層皮膚移植片)によって被覆されている皮膚創傷を処置する方法であって、本明細書に記載の医療製品を前記移植片上に適用することを含む方法が提供される。
移植は、体の1つの部位から別の部位へ組織を移動させる、又は別の人から組織を移動させる外科手術であって、それに伴って自身の血液供給を持ち込まない外科手術を指す。代わりに、当該組織が据えられた後に新しい血液供給が成長する。自家移植片及び同系移植片は、通常、異物とされず、ゆえに、拒絶を引き起こさない。同種移植片及び異種移植片は、レシピエントによって異物と認識され、拒絶される。
皮膚移植は、創傷、火傷、感染、又は手術に起因する皮膚喪失を処置するのにしばしば使用される。損傷皮膚の場合、当該皮膚は除去され、新しい皮膚がその箇所に移植される。皮膚移植は、必要とされる処置及び入院の過程(course)を減少させることができ、機能及び外観も改善し得る。2つのタイプの皮膚移植片:分層皮膚移植片(表皮+真皮の一部)及び全層皮膚移植片(表皮+真皮の全厚さ)がある。
網状移植片は、排出及び拡大を可能にするように有窓である、全層皮膚又は分層皮膚シートである。網状移植片は非平滑表面に追従するため、体における多くの箇所において有用である。網状移植片は下部の創傷床に縫合することができるため、過度に動く箇所に配置することができる。加えて、これらの有窓は、移植片の下方に蓄積し得る体液のための出口を提供し、このことは、張力及び感染リスクの低減、並びに前記移植片の血管新生の改善を助ける。
臨床試験において、前記医療製品が移植片領域に付着して保護層として作用することが見出された。前記移植片が治癒するにつれて、前記製品は、前記移植片と共にかさぶた様の構造を形成する。ナノフィブリルセルロースを含む前記製品の特性は、治癒を促進し、前記医療製品は、形成された乾燥したかさぶたと共に、通常のかさぶたが正常な創傷治癒プロセスにおいて挙動するのと同じように緩む。これにより、創傷の瘢痕が減少し、及び/又は、良質な傷痕を生じる。
皮膚移植ドナー部位の管理は、特に、高齢の患者及び創傷治癒能力が乏しい患者にとって関心事であり、ドナー部位は疼痛及び不快の原因ともなるから、処置は、皮膚移植ドナー部位の管理を必要とし得る。NFC被覆材は、その単回使用のため、ドナー部位のケアにおいて有効な創傷被覆材として機能するが、これは、NFC被覆材が被覆材の交換を必要とせず、これにより、患者が経験する自覚疼痛も低減し得るからである。同じことが、他の状態の処置にも当てはまる。
前記医療製品は、生理活性の又は治療用の剤又は物質を投与するための使用のために提供されてもよい。
前記医療製品は、前記製品を創傷上に適用して創傷から生理活性剤を吸収すること、ある期間の間、前記製品に前記生理活性剤を貯えること、及び創傷又は損傷の治癒プロセスの後期フェーズにおいて前記生理活性剤を創傷又は他の損傷へと戻り拡散(diffuse back)させることを含む方法によって、皮膚創傷又は他の損傷を処置するための使用のために提供されてもよい。
一実施形態は、本明細書に記載されている医療製品を含む、被覆材、パッチ又はフィルタなどの医療製品を提供する。
被覆材は、創傷に適用されて治癒を促進する及び/又はさらなる損傷を防止する無菌パッド又は湿布である。被覆材は、包帯とは違って創傷と直接接触するように設計されており、包帯は殆どの場合被覆材を適所に保持するために使用される。いくつかの組織ではそれらを同じものとして分類しており(例えば英国薬局方)、係る用語は、一部の人々によっては互換的に使用されている。被覆材は、応急手当及び看護において頻繁に使用される。
一例は、治療剤を投与するための使用のための前記医療製品を提供する。係る場合において、前記医療製品は、そのまま、又は、例えば、パッチ形態で提供されてもよい。本明細書に記載されている前記製品には、1種類又は複数種類の治療剤が含まれ、例えば含浸されていてよく、患者への投与は皮膚(dermal)投与又は経皮(transdermal)投与でなされ得る。
治療剤を含む医療製品であって、不織物及び/又はナノフィブリルセルロースを含むコーティング層が医薬(medicament)又は薬(drug)などの1種類又は複数種類の治療剤を含む、医療製品が提供され得る。また、医薬品(pharmaceutical agent)という用語は、治療剤という用語の代わりに互換的に使用され得る。係る剤は、活性又は有効な剤であり、通常は有効量で存在する。係る剤は、所定の量で、例えば、ある特定の期間の間、所望の用量の前記剤を付与するように構成されている量、及び/又は創傷、皮膚若しくは他の組織などの標的に所望の効果を与えるように構成されている量で、付与されてもよい。前記製品における前記治療剤の含量は、例えば、0.1~5%の範囲内であってもよい。特に、前記治療剤が含まれるとき、前記剤の徐放又は長期(prolonged)放出を与えるようにしてもよい。係る場合において、ナノフィブリルセルロースは、前記剤の透過性を可能にするように水分部分を含有し得る。治療剤を含む前記製品の水分含量は、0~10%の範囲内であってもよく、例えば5~7%の範囲内である。前記治療剤は、水溶性形態、脂溶性形態、若しくはエマルジョンで、又は別の好適な形態で存在していてもよい。
本明細書に記載されている前記医療製品を使用することによって投与し得る治療剤の例として、抗菌薬、リドカインなどの鎮痛剤;ニコチン;フェンタニル若しくはブプレノルフィンなどのオピオイド;エストロゲン、避妊薬、若しくはテストステロンなどのホルモン;ニトログリセリン;スコポラミン;クロニジン;セレギリンなどの抗うつ剤;メチルフェニデートなどのADHD薬;B12若しくはシアノコバラミンなどのビタミン;5-ヒドロキシトリプトファン;リバスチグミンなどのアルツハイマー薬;座瘡薬;乾癬治療薬、ヒドロコルチゾンなどのグルココルチコイド;又は皮膚の疾患若しくは障害を処置するための他の任意の薬剤が挙げられる。治療剤は、例えば、医療パッチにおいて使用してもよく、該パッチは、パッチからの前記治療剤の長期、持続又は継続(extended)された放出を提供するために、健常な皮膚又は損傷皮膚において使用してもよく、前記放出は、例えば、数時間(several hours)の期間にわたり、6時間以下、12時間以下、24時間以下又はさらには48時間以下にわたる。
一例により、抗菌薬を含む前記医療製品が提供される。係る製品は、創傷を処置するのに特に好適であり、該製品では、創傷処置特性は、創傷における有害な微生物によって引き起こされる感染を防止する抗菌特性と組み合わされる。好適な抗菌薬の例として、特に、局所的抗菌薬、例えば、バシトラシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、ムピロシン、テトラサイクリン、メクロサイクリン、スルファセタミド(ナトリウム)、過酸化ベンゾイル、及びアゼライン酸、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。また、全身抗菌薬などの他のタイプの抗菌薬、例えば、フェノキシメチルペニシリン、フルクロキサシリン、及びアモキシシリンなどのペニシリン系;セファクロル、セファドロキシル、及びセファレキシンなどのセファロスポリン系;テトラサイクリン、ドキシサイクリン及びリメサイクリンなどのテトラサイクリン系;ゲンタマイシン及びトブラマイシンなどのアミノグリコシド系;エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンなどのマクロライド系;クリンダマイシン;スルホンアミド及びトリメトプリム;メトロニダゾール及びチニダゾール;シプロフロキサン、レボフロキサン、及びノルフロキサンなどのキノロン系などが提供されてよい。
抗菌薬は、座瘡を処置するために使用されてもよく、前記抗菌薬は、例えば、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ドキシサイクリン、テトラサイクリンなどである。また、他の剤、例えば、過酸化ベンゾイル、サリチル酸、トレチノイン、アダパレン若しくはタザロテンなどの局所的レチノイド薬、アゼライン酸、又はスピロラクトンなどのアンドロゲン阻害剤が使用されてもよい。乾癬は、例えば、コルチコステロイドなどのステロイド、保湿剤、カルシポトリエン、コールタール、ビタミンD、レチノイド、タザロテン、アントラリン、サリチル酸、メトトレキサート、又はシクロスポリンによって処置し得る。虫刺され又はツタウルシ暴露(poison ivy exposure)は、ヒドロコルチゾン、エミューオイル、アーモンドオイル、アンモニア、ビサボロール、パパイン、ジフェニルヒドラミン、ツリフネソウ抽出物又はカラミンなどの剤で処置し得る。これらの処置剤又は他の処置剤のうちいくつかは、美容剤にも分類し得る。
一例により、前記医療製品を含む被覆材、マスク又はパッチなどの美容製品が提供される。係る製品は、美容製品とも呼ばれ得る。前記製品は、種々の形状で提供され得、例えばマスクは、顔に、例えば、目の下、又は、下顎、鼻若しくは額にフィットするように設計してもよい。一例として、美容製品としての使用のための前記医療製品が提供される。前記製品は、ユーザに、例えばユーザの皮膚に、1種類又は複数種類の美容剤を放出するために使用してもよい。係る美容製品は、1種類又は複数種類の美容剤を含んでいてもよい。1種類又は複数種類の美容剤は、そこから該美容剤が放出又は送達される製品に含まれていてもよく、例えば該製品に含浸されてもよい。前記製品における美容剤の含量は、例えば、0.1~5%の範囲内であってもよい。治療剤について上記で説明されているのと同様の様式で、前記美容剤は前記製品に存在又は提供されてもよく、その逆の場合も同じである。前記美容的使用は、本明細書に記載されている医療的使用、特に、治療剤の投与と同様とすることができる。美容剤は、本明細書において言及されているものなどの皮膚疾患又は障害を美容的に処置するために使用されてもよい。係る美容製品は、例えば、吹き出物、座瘡皮膚、しみ、しわ、脂性肌、乾燥肌、加齢肌、クモ状静脈、日焼け後紅斑、クマなどを処置するために使用してもよい。美容パッチの例として、毛穴清拭剤などの皮膚清拭剤、黒ずみ除去剤、ストレッチストライプ、短期パッチ様マスク、短期処置パッチ及び夜用処置パッチが挙げられる。
美容剤の例として、ビタミンAなどの、ビタミンの種々の形態及びそれらの前駆体;例えば、レチンアルデヒド(レチナール)、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル及びレチノイン酸レチニルなどのレチノイド、アスコルビン酸、グリコール酸及び乳酸などのアルファ-ヒドロキシ酸;グリコール;バイオテクノロジー製品;角質溶解薬;アミノ酸;抗微生物剤;保湿剤;顔料;抗酸化剤;植物抽出物;クレンジング剤又はメーキャップ除去剤;カフェイン、カルニチン、イチョウ及びトチノキなどの抗セルライト剤;コンディショナー;アロマセラピー薬及び香水などの芳香剤;尿素、ヒアルロン酸、乳酸及びグリセリンなどの保湿剤;ラノリン、トリグリセリド及び脂肪酸エステルなどのエモリエント;アスコルビン酸(ビタミンC)、グルタチオン、トコフェロール(ビタミンE)、カロテノイド、コエンザイムQ10、ビリルビン、リポ酸、尿酸、酵素擬態薬、イデベノン、ポリフェノール、セレニウム、フェニルブチルニトロン(PBN)などのスピントラップ剤、タンパク質メチオニン基、スーパーオキシドディスムターゼ、カタラーゼ、セレニウムペルオキシダーゼ、ヘムオキシゲナーゼなどの、FR捕捉剤、一重項酸素捕捉剤、スーパーオキシド捕捉剤若しくは過酸化水素捕捉剤、又はこれらの組み合わせが挙げられる。前記美容剤は、水溶性形態、脂溶性形態、若しくはエマルジョン、又はその他の好適な形態で存在していてもよい。
一例においては、皮膚を美容的に処置する方法であって、本明細書に記載されている前記医療製品を皮膚上に適用することを含む方法が提供される。
本明細書において使用される用語「パッチ」は、皮膚上に適用し得る、医療製品又は美容製品を指す。パッチの例として、皮膚(dermal)パッチ及び経皮パッチが挙げられる。皮膚パッチ又は皮膚パッチは、薬剤を皮膚に送達するために皮膚に配置される薬剤含有接着パッチである。経皮パッチは、特定の用量の薬剤を、皮膚を通って血流に送達するために皮膚に適用される薬剤含有接着パッチである。一例においては、これにより、体の負傷領域の治癒を促進する。パッチは、保存の間前記パッチを保護して使用の前に除去される剥離ライナー、及び/又は前記パッチを皮膚に接着させるための接着剤、及び/又は前記パッチを外部環境から保護するための裏打ち材を含んでもよい。剥離ライナーの例として、グラシン紙、高密度クラフトスーパーカレンダー紙、クレイコート紙、シリコンコート紙、及びポリオレフィンコート紙などの紙系ライナー;ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、及びポリ塩化ビニルなどのプラスチック系ライナー;並びにいくつかの(several)フィルムの組み合わせに基づく複合材ライナーが挙げられる。接着剤層は、例えば、感圧接着剤(PSA)を含有し得る。
前記医療製品を皮膚上に適用する前に、前記製品は、概して、水溶液によって前処理されてよく、すなわち、保湿(moisture)又は湿潤されてよい。保湿又は湿潤は、例えば、水又は生理食塩水(通常は約0.90%w/wのNaCl溶液であり、オスモル濃度が約308mOsm/lである)を使用することによって行われ得る。異なる濃度を有する食塩水など他のタイプの水溶液が使用されてもよい。材料を保湿又は湿潤させることは、皮膚との接触、及び材料のシートの成形性を向上させる。
実施例1 18051
エクスビボ(ex vivo)モデルにおけるNFC含浸不織物を含む創傷被覆材の効果
背景
エクスビボ皮膚微小透析
細胞外コンパートメントからサイトカインなどの高分子量バイオマーカーをサンプリングすることによって、ヒト皮膚における炎症反応を特性決定するために、エクスビボヒト皮膚微小透析方法を開発した。
健常なヒト皮膚を、美容上の理由での腹部皮膚の外科的除去後に得た。
バイオマーカーパネル
測定したバイオマーカーは、全て、創傷治癒プロセスとの関連性により選択された:
インターロイキン(IL)-1α:
IL-1αは、好中球、単球、マクロファージ及び角化細胞によって産生されるサイトカインである。表皮バリアの破壊による皮膚損傷は、周囲の細胞に警告するために放出される最初の損傷シグナルの1つである、角化細胞からの予め貯えられたIL-1αの即時放出を引き起こす(mediate)。このことは、好中球を創傷部位に誘引して細菌を除去させ、自己分泌的に角化細胞の遊走及び増殖を増加させる。
IL-1αは、創傷治癒の炎症期の間に他の炎症誘発性サイトカインと一緒に上方制御され、また、(TNF-αと共に)創傷後数時間以内におけるケモカインの主な誘導因子の1つであることが知られているため、炎症性メディエータを増幅する働きをする。
IL-1αは、細胞の機械的付着に影響することによって表皮バリアを強化するため、保護機能を有する可能性がある。しかし、あらゆる他のメディエータと同様に、無制御な発現は、例えば炎症細胞を誘引することによって、炎症皮膚表現型を促進すると思われるため、厳格な制御を必要とする。
IL-6:
サイトカインIL-6は、単球、マクロファージ、線維芽細胞、内皮細胞、T細胞、角化細胞(皮膚における主要源)及び好中球によって産生されるサイトカインである。IL-6は、多数の細胞型の分化及び成長に関与するため、治癒プロセスの開始に重要であり、創傷治癒の増殖期において重要な機能を発揮する。このバイオマーカーは古い創傷においても持続することが見出されている。IL-6は、好中球及びマクロファージに対して化学誘引効果を及ぼし、TGF-β1、IL-1及びVEGF産生(後者は血管形成を促進する)を誘導することによって間接的に、コラーゲン沈着、血管形成、表皮細胞増殖を誘導する。さらに、IL-6は、角化細胞の移動及び増殖を引き起こす(mediate)。IL-6を欠失したマウスは、肉芽組織の形成不良、並びに、再上皮形成、血管形成、マクロファージ/好中球の浸潤及びマトリクス再構成の減少に起因して、遅延性の治癒を示す。破壊された皮膚バリアの閉塞は、IL-6発現の正常な誘導を妨げることが記載されている。
IL-17:
皮膚創傷において、サイトカインIL-17は、Th17細胞よりもむしろ皮膚のγδT細胞、樹状表皮T細胞及びマクロファージによって主として産生される。前記IL-17受容体は、線維芽細胞、角化細胞、及び皮膚において見られる他の炎症細胞を含めた多くの細胞型上に発現される。IL-17は、多くの自己免疫疾患に関与し、乾癬における重要なメディエータとして知られており、炎症細胞の浸潤を引き起こすIL-23によってγδT細胞が刺激されるとき、多量に産生される。矛盾する結果が、創傷治癒におけるIL-17の役割について報告されている。密封被覆材によって被覆されている清潔な創傷を有するIL-17ノックアウトマウスが、野生型マウスと比較したとき、創傷閉鎖の促進、好中球の蓄積の減少、筋線維芽細胞分化及びコラーゲン沈着の増加を示した。また、初期の炎症期の間の抗体をブロックすることによるIL-17の阻害もまた、創傷治癒を加速させることが見出された。このことは、治癒プロセスに対するIL-17の負の影響と、このサイトカインによって引き起こされる(mediated)過剰な好中球性炎症が、創傷治癒の低下に関連していることを示している。しかし、IL-17ノックアウトマウスにおいて創傷を開放したまま保持すると、創傷は遅延性の治癒を示すが、これは、微生物が創傷に進入することができ、ノックアウトマウスにおけるIL-17の欠失のために、微生物は創傷でより高度に治癒プロセスと対抗することを示している可能性がある。
腫瘍壊死因子(TNF)-α:
TNF-αは、好中球、マクロファージ、角化細胞、肥満細胞及びT細胞などの種々の細胞型によって産生される炎症誘発性サイトカインである。低いTNF-αレベルは間接的に炎症を引き起こし(mediate)、また成長因子を産生するようマクロファージを刺激することにより、創傷治癒を促進することが示されているため、創傷治癒に対するTNF-αの効果は、高度に持続期間依存性及び用量依存性である。しかし、高い濃度は、TNF-αがより長い期間にわたって存在するときに特に、治癒プロセスに非常に負の影響を与える。TNF-αは、創傷後最初の数時間以内に主に好中球によって発現され、ケモカインの主な誘導因子として働く。後期フェーズの間に、TNF-αはマクロファージによっても発現される。TNF-αは、他の炎症性メディエータと相乗して作用するが、TNF-α単独又は高濃度のTNF-αでは、再上皮形成を低下させ、それにより皮膚バリアの復元を妨げることが示されている。対照的に、皮膚バリア破壊後のマウスへのTNF-αの適用は、修復を増進させることが示されており、TNF-α受容体を欠失したマウスは、遅延性の透過障壁修復を示す。TNF-αは、TGF-βによって誘導される細胞外マトリクスの産生を抑制することが示されており、慢性の非治癒創傷においては高いレベルのTNF-αが観察されている。
上皮成長因子(EGF):
EGFは、血小板、線維芽細胞及びマクロファージによって分泌される成長因子である。皮膚損傷後、EGFは、止血の際に脱顆粒血小板からPDGF及びTGF-βなどの他のメディエータと一緒に放出される。EGFの創傷におけるレベルは、タンパク質分解環境によって調節される。EGFは、角化細胞に対して傍分泌様に作用して重要なマイトジェンとして働き、また、角化細胞移動を促進及びこれにより再上皮形成も促進する。EGFのプラスの効果が臨床試験において見られたが、そこでは、慢性の創傷に対するEGFの局所適用が、治癒時間を短縮して上皮形成を増進させることが見出された。
インターフェロン(IFN)-y:
サイトカインIFN-γは、IL-4受容体及びIL-31受容体を調節することによって、皮膚バリアの維持に関与しているようであり、IL-4受容体及びIL-31受容体は、サイトカインシグナル伝達に影響することによって皮膚のバリアの形成において極めて重要な役割をする。IFN-γはまた、基底膜からの角化細胞の脱離にも影響し、該脱離は、基底から初代分化基底層上細胞への分化プロセスの一部であるため、創傷治癒において必須のステップである。脂質エンベロープは、その主な機能が経表皮水分蒸散(TEWL)及び溶質の損失を防止することであるが、脂質エンベロープもIFN-γによっても影響される、なぜなら、このサイトカインがセラミドの合成に関与し、これによりIFN-γはTEWLの調節に関与するからである。
マクロファージ遊走阻止因子(MIF):
MIFは、炎症サイトカインであり、皮膚において広範に発現するが、内皮細胞、表皮、メラニン細胞、並びに皮脂腺及びエクリン汗腺の細胞に局在化しており、角化細胞において高く発現する。MIFは、いくつかの他のサイトカインの産生を刺激し、皮膚の創傷治癒の間に強く誘導されるが、該誘導は初期フェーズの間に炎症細胞によってなされるものが主である。より後のフェーズでは、線維芽細胞が、MIF発現を上方制御することが示されている。創傷治癒に対するMIFの効果は、いくつかの研究が負の効果を主張しているため、議論を呼ぶものである。とはいえ、Mif遺伝子の破壊はマウスにおける切開創傷の治癒を促進も阻害もしないが、Mifヌルマウスを組み換え型MIFで共処置したところ、切開創傷の治癒を実際損なった。MIFは、様々な皮膚疾患に関与し、発現の増加につながるMif遺伝子における多型は、より炎症性の疾患における疾患の重篤度の増加に関連する。そのため、皮膚の創傷治癒におけるその役割に関しての一致した意見はないが、種々の研究は、MIFが正常な修復を損なう可能性があることを示している。
好中球活性化ペプチド(NAP)-2:
NAP-2(CXCL7としても知られている)は、ケモカイン結合性組織活性化ペプチド-III(CTAP-III)として活性化血小板によって放出されるCXCケモカインであり、CTAP-IIIは好中球によって好中球活性化ペプチド-2(NAP-2)へタンパク質分解的に変換される。NAP-2は、負傷後数分以内に一次(first-line)メディエータとして作用し、内皮細胞の増殖及び血管形成を誘導するのに加えて、CXCR2受容体を通しての好中球に対する走化性効果を引き起こす(mediate)。
材料、方法及び実験設計
試験項目
NFC被覆材
創傷被覆材の形態の医療製品を、晒カバノキパルプ及びポリエステル-ビスコース系不織物から得られるナノフィブリルセルロースから作製した。実施形態に係る医療製品は、以下においてNFC被覆材と呼ばれる。
NFC被覆材
参照製品
名称:Suprathel(登録商標)創傷被覆材
製品:主にDL-ラクチド(>70%)、トリメチレンカーボネート、及びe-カプロラクトンからなる合成コポリマーからなる創傷被覆材製品
意図する治療用途:皮膚移植後の浅い創傷
バッチ番号:P-2014-X/P-2016-X-X
外観:9×10cm白色被覆材
有効期限:2017-7/2019-12
供給元:Polymedics lnnovations GmbH、ドイツ
実験研究設計
プロトコルに従って、研究を2つのフェーズ:1)プレ試験フェーズ及び2)主要試験フェーズ:に分けた。
プレ試験フェーズ:
最初に、パネルにおける各バイオマーカーについて、相対バイオマーカー回収率を確立した。さらに、プレフェーズを使用して、皮膚バリア破壊によって誘導された標準化エクスビボ皮膚創傷モデルを確立した。これは、初期皮膚外傷の後の3つの異なる時点において微小透析サンプリングを使用してバイオマーカープロファイルを分析することによって達成した。一般的な炎症バイオマーカー及び細胞特異的な炎症バイオマーカーの両方を調査した。
主要試験フェーズ:
この研究パートは、プレフェーズで確立したエクスビボ皮膚モデルにおいて、NFCが創傷治癒プロセスとどのように相互作用するかを調査することを目的とした。これを以下のように3つの別個の研究において行うこととした:
M1.NFC創傷被覆材対マーケットリーダー(Suprathel(登録商標))の創傷被覆材材料による、皮膚バリア破壊あり/なしでのエクスビボ皮膚の微小透析。リードアウト(read-out):創傷床におけるバイオマーカープロファイル。
M2.テープストリッピングしたエクスビボ皮膚への適用後のNFC被覆材の分析。ヒドロゲル層への起こり得る細胞移動及びセルロース層のサイトカイン含量を分析する。リードアウト:細胞数及びバイオマーカープロファイル。
M3.***テープストリッピング及びNFC適用後にサンプリングした微小透析の透析液によって角化細胞株を成長させ、角化細胞増殖及び再上皮形成に対するNFCの潜在的な効果を調査した。リードアウト:5日間にわたる毎日の角化細胞成長率。
ドナー皮膚
腹部皮膚試料を、(例えば、妊娠後又は体重減少後の過剰な皮膚の存在に起因して)美容外科手術を受けた患者から得た。前記皮膚を、外科的除去直後、無菌食塩水(saline)が供給されたボックス中で、室温でRefLabに輸送した。
研究目的での非特定化されたヒト材料の使用に関する委員会の規定§14、セクション3による、デンマーク国内の健康研究倫理に関する委員会(National Committee on Health Research Ethics)からの倫理的承認を得て、前記皮膚は、完全に非特定化され、ゆえに本研究において前記皮膚を得て使用した。
相対バイオマーカー回収率の推定
自社開発の「皮膚リザーバモデル」を使用して、プレフェーズ研究の一部として、相対バイオマーカー回収率を求めた。ここでは、解凍された皮膚にそれぞれのバイオマーカーを既知量注入し、これらが参照溶液リザーバとして機能する。前記バイオマーカーを、次いで、挿入した微小透析プローブ(カットオフ値3000kDa分子量)を通して、0.8μL/分の流量で2時間サンプリングした(セクション「4.7微小透析技術」における微小透析サンプリングのプローブ挿入についての手順及び詳細な説明を参照されたい)。その後に、相対回収率を推定するために、バイオマーカー濃度を、市販のELISAキットを使用して透析液中で測定した(セクション「4.8微小透析液におけるバイオマーカープロファイルの分析」を参照されたい)。
相対回収率は、透析液において見られたバイオマーカー濃度を注入された濃度で除した値、として定義されるため、膜を横断するバイオマーカーの割合である:濃度透析液/濃度注入×100%。
皮膚の準備及び外傷の誘発
(プレフェーズ実験用の)およそ4×6cm又は(メインフェーズ実験用の)およそ4×3cmの片を、それぞれのセットアップ(以下参照)に従って腹部皮膚から切除した。皮下脂肪を切り取った後、皮膚試料を無菌で取り扱えるようにエタノール及び抗真菌剤中で短時間洗浄した。LAFベンチ中で、無菌ニードルを使用して、発泡スチロールと皮膚試料との間に湿った薄葉紙が存在するように皮膚試料を発泡スチロールに取り付けた。前記皮膚試料を下記のセットアップに従って処置し、これにより外傷を受けさせ、又は外傷なし対照として保持し、また、被覆材を適用した又は適用しなかった。
サインされたプロトコルからの逸脱:前記プロトコルにおいて「分層皮膚移植片を刺激するために、3Mセロファンテープを使用して皮膚スライスに対し10~15回剥がし操作を行う」と記述されている。エクスビボ皮膚モデルにおいては、テープストリッピング方法による外傷の誘発は可能ではなかった。なぜなら、全手順の間、皮膚の湿潤を保つ必要があるところ、テープは湿潤した皮膚に接着しないためである。実験により、サンドペーパー(砂粒サイズ150)によって皮膚を15回擦ることによって外傷を誘発できることが分かったため、研究全体を通してこの手順に従った。
プレフェーズ実験セットアップ
図1に示すセットアップを3ドナーからの皮膚において繰り返し、各ドナーから、6つの皮膚試料を作製した(6時間、24時間、及び48時間という、3つの異なる時点のそれぞれについて2つずつ)。
リードアウト:IL-1α、IL-6、IL-17、TNF-α、EGF、IFN-γ、MIF及びNAP-2の透析液濃度。
メインフェーズ1+2実験セットアップ
図2に示すセットアップを5ドナーからの皮膚において繰り返し、各ドナーから、12の皮膚試料を作製した(6時間及び24時間という2つの異なる時点のそれぞれについて6つずつ)。
微小透析を6時間及び24時間のインキュベーション後に行った(M1、時点はプレフェーズ実験に基づいて選択した)。
皮膚試料B6/B24及びE6/E24の上においてインキュベーションしたNFC被覆材片を、GrowDase(商標)を使用して2時間酵素分解し、次いで、ヒドロゲル層に結合している可能性があるバイオマーカーを放出するためにPBSによってフラッシングした。GrowDase(商標)画分及びPBSフラッシュの両方をバイオマーカー含量について分析した(M2)。
ドナー1からの、GrowDase混合体からのペレット及びNFC被覆材片におけるPBS画分においては、生じている可能性がある細胞浸潤を調査したが、細胞浸潤が見られなかった。このため、細胞浸潤の調査は以降の実験では行わなかった。
リードアウト:IL-1α、IL-6、MIF、及びNAP-2の透析液濃度(M1、バイオマーカーはプレフェーズ実験に基づいて選択した)並びにGrowDaseにより分解されたNFC被覆材におけるIL-1α、IL-6、IL-17、TNF-α、EGF、IFN-γ、MIF及びNAP-2のレベル(M2)。
微小透析技術
微小透析プローブを、21Gガイドカニューレを使用して皮膚試料において皮内に設置した。前記微小透析プローブは、EP Medical(デンマーク、コペンハーゲン)から購入したものであり、分子量のカットオフ値が3000kDa、合計膜長さが40mmであり、これを入口管に取り付けた。
プレフェーズ実験においては、4つのプローブを、1cm離し、20mmの皮内長さで、各皮膚試料に挿入した。メインフェーズ実験においては、2つのプローブを各皮膚試料に挿入した(上記の実験セットアップの概略図を参照されたい)。
挿入したカニューレを有する前記作製した皮膚試料を、ペトリ皿に設置されたステンレス鋼グリッド上で、5%CO2を含む加湿空気中37℃で48時間まで(それぞれのセットアップに従う)インキュベーションしたが、ここで前記グリッドの下方には、栄養素及び抗菌薬を含有するRefLab開発の皮膚培地(5%FCS、2mM GlutaMAX、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/アンフォテリシン及び5μg/ml組み換え型ヒトインスリンを補充したDMEM)を存在させ、空気-液体界面を模倣した。
インキュベーション後、前記皮膚を前記金属グリッドからはがし、室温にて、発泡スチロールに取り付けられた湿った薄葉紙上に置いた。前記微小透析プローブを、前記ガイドカニューレを通して挿入し、ガイドカニューレを引き出し、これにより、皮膚の内側にプローブを残して、微小潅流ポンプを使用した潅流の準備が整った状態にした(NE-1200-EM,Harvard Apparatus,World Precision Instruments,Hertfordshire,UK)。前記潅流液は、1%ヒトアルブミン及び4mM乳酸を補充した乳酸リンガーからなるものであった。潅流速度を研究全体にわたって0.8μL/分に設定し、蒸発を低減するようにパラフィルムによって被覆したPCRチューブに、透析液を連続して2時間サンプリングした。前記透析液の体積を、サンプリング前後の前記PCRチューブの秤量によって求めた。秤量直後に、前記チューブを-80℃で保存して分析まで保存し、起こり得る不安定なバイオマーカーの分解を最小限にした。
微小透析液におけるバイオマーカープロファイルの分析
透析液(プレフェーズ及びM1から)及びGrowDaseにより分解されたNFC被覆材からのサンプル(M2から)を、R&Dから市販されているDuoSet ELISAキットによって、製造者の指示に従って、バイオマーカー濃度について分析した。バイオマーカーパネルは:IL-1α、IL-6、IL-17、TNF-α、IFN-γ、EGF、NAP-2及びMIFからなるものであった。同じ皮膚試料からの透析液をELISA分析の前にプールした。
統計解析
全ての統計解析を、GraphPad Prismバージョン7.0.3(GraphPad Software Inc.,La Jolla,CA,USA)を使用して行った。使用した統計試験を図の凡例に記載し、アスタリスクは、統計試験から得られるp値に基づいた有意水準を表記する:*=p<0.05、**=p<0.01。
結果
プレフェーズ結果
皮膚リザーバモデルにおいて測定される相対回収率
前記相対回収率は、サンプリング実行可能性の尺度であり、前記RefLab「皮膚リザーバモデル」を使用して、前記バイオマーカーパネル(IL-1α、IL-6、IL-17、TNF-α、EGF、IFN-γ、MIF及びNAP-2)中のバイオマーカーそれぞれについて推定した。結果を以下に列挙し、表1にまとめる:
1.IL-1α、IL-6、IL-17、TNF-α、EGF及びNAP-2は、通常5%に設定されている、下限許容レベルを超える相対回収率を示した。
2.MIFの相対回収率は、解凍した皮膚におけるバックグラウンドレベルが注入した濃度を超え、前記透析液濃度が定量上限値(ULOQ)を超えたため、定量化できなかった。しかし、この所見は、MIFを前記微小透析プローブによって実際にサンプリングすることができることを示している。
3.IFN-γの相対回収率は0.0%であり、前記透析液中のIFN-γを測定することができなかった。
相対バイオマーカー回収率
エクスビボ創傷モデルの確立
プレフェーズの一部として(図1)、対照試料及び外傷を受けた皮膚試料からの透析液において8つのバイオマーカーを全て定量化した。我々は、調べた8つのバイオマーカーのうち4つが定量下限(LLOQ)を超える濃度で検出可能であることを見出した:
IL-1αは、3ドナー全てにおいて外傷により高度に上方制御され、6時間後に最大の上方制御であった。ベースレベルは、48時間まで変化しないようであった(図3)。IL-6は、6時間後に3ドナー全てにおいて外傷により高度に上方制御された。24時間後及び48時間後、上方制御には、増加するベースレベルが伴っていた(図4)。MIFは、3ドナーの皮膚試料全てにおいて外傷に起因して上方制御されたが、主に、6時間後及び24時間後であった。ベースレベルは24及び48時間後に上方制御された(図5)。800~1300pg/mLの範囲のNAP-2の高いベースレベルが3ドナー全てにおいて観察されたが、外傷を受けた皮膚においてさらに上方制御されることはなかった(図6)。
対照的に、EGF(図7)、IFN-γ(図8)、IL-17(図9)及びTNF-α(図10)は、透析液中に存在しないか、又は、LLOQ未満かのいずれかであった。前記微小透析プローブを使用してIFN-γをサンプリングすることができなかったという事実(表1)は、前記透析液中でのこのサイトカインの非存在を説明するものである(図8)。
メインフェーズ1
ヒトエクスビボ皮膚創傷モデルを確立した前記プレフェーズからの結果に基づいて、IL-1α、IL-6、MIF及びNAP-2をNFC被覆材及びSuprathel(登録商標)による処置後の透析液中で定量化した。8つのバイオマーカー全てを、GrowDase(商標)により分解されたNFC被覆材からのサンプルにおいて定量化した。
透析液中のIL-1αレベル
IL-1αの透析液レベルは、外傷に応答して増加することが観察された(図11A;被覆材なしでの6時間時点を、外傷ありと外傷なしとで比較)。被覆材処置なしでは、IL-1αのレベルは、外傷ありの皮膚サンプルにおいて経時的に自発的に低下することが観察された(図11A、6時間時点及び24時間時点における被覆材なしサンプルを比較)。Suprathel(登録商標)は、被覆材なし対照と比較しての相対的なIL-1α増加を引き起こし(mediate)、両時点において上昇したIL-1α応答を生じさせる(図11B及び11D、24時間時点のみ有意)。外傷なしのサンプルにおいてもIL-1αレベルの僅かな上昇があったが、統計的に有意ではなかった(図11C)。NFC被覆材は、一方で、早期の時点でのIL-1α応答の僅かな低下を引き起こす(mediate)ようである(ドナー間で大きなばらつきがあり、有意ではなかった)が、より後の時点では僅かな上方制御を生じさせる(ただし、有意ではない)(図11D)。
透析液中のIL-6レベル
IL-6の透析液レベルは、外傷に応答して増加することが観察された(図12A;6時間時点の被覆材なしを、外傷ありと外傷なしとで比較)。IL-6のバックグラウンドレベル(被覆材なし対照サンプル)は、全てのドナーにわたって6時間から24時間へと増加した(図12A、6時間時点及び24時間時点における外傷なし対照を比較)。Suprathel(登録商標)は、外傷を受けた皮膚試料におけるIL-6レベルの低下を誘導し、これは全てのドナーにわたって両時点で観察されたが、6時間後のみ有意であった(図12B及び12D、被覆材なし対照をSuprathel(登録商標)処置皮膚試料と比較)。さらに、Suprathel(登録商標)は、外傷なし対照試料において観察されるIL-6の上方制御を遮断したが、これは、統計的に有意ではなかった(図12B及び12C)。NFC被覆材処置は、(外傷を受けた皮膚試料において)被覆材なし対照と比較したときIL-6の減少を引き起こし(mediate)たようであったが、Suprathel(登録商標)と同程度ではなく、この傾向は、統計的有意ではなかった(図12B及び12D)。
透析液中のMIFレベル
MIFの透析液レベルは、外傷に応答して強く上方制御される(図13A;6時間及び24時間それぞれにおける被覆材なし対照試料を外傷ありと外傷なしとで比較)。NFC被覆材は、早期時点及び後期時点の両方においてMIFの減少を引き起こす(mediate)(図13B及び13D、6時間及び24時間において被覆材なし対照と比較)。Suprathel(登録商標)はまた、MIFのレベルも低下させ得るが、NFC被覆材よりも程度は低く、これは、被覆材なし対照と比較したとき有意ではない(図13B及び13D)。
透析液中のNAP-2レベル
NAP-2のバックグラウンドレベルは、経時的に減少するようである(図14A、被覆材なし対照)。NAP-2レベルは、ドナー間で大きな変動を示す。Suprathel(登録商標)による6時間のインキュベーションは、NAP-2レベルの有意な低下を引き起こし(mediate)た(図14B及び14D、Suprathel(登録商標)処置を被覆材なし対照と比較)。平均して、NFC被覆材によるインキュベーションは、被覆材なし対照と比較してNAP-2のレベルを減少させることが観察されたが、これは、ドナー間のより大きなばらつきのため、有意ではなかった。
5.3:メインフェーズ2
NFC被覆材サンプルにおけるIL-1αレベル
GrowDase(商標)により容易となったNFC被覆材の分解は、6時間インキュベーション後及び24時間インキュベーション後の両方において、外傷を受けた皮膚試料上でインキュベーションしたNFC被覆材からのIL-1αの放出を引き起こし(mediate)た(図15A)。外傷なし対照試料上でインキュベーションしたいくつかのNFC被覆材片において、低いレベルのIL-1αが検出された(図15A)。IL-1αレベルは、透析液及びNFC被覆材の両方において経時的に低下した(図15A及び15B)。6時間のインキュベーション後及び24時間のインキュベーション後の両方について、外傷を受けた皮膚試料からの、透析液中のIL-1αレベルと、NFC被覆材サンプル中のIL-1αレベルとの間で統計的有意な相関が見られた(図15C)。
NFC被覆材サンプルにおけるIL-6レベル
NFC被覆材のGrowDase(商標)処理は、6時間のインキュベーション後及び24時間のインキュベーション後の両方について、外傷を受けた皮膚試料上でインキュベーションした片からのIL-6の放出を引き起こし(mediate)た(図16A)。外傷なし対照試料上で24時間インキュベーションしたNFC被覆材においても低いレベルのIL-6が観察された。IL-6レベルは、NFC被覆材において経時的に増加することが観察されたが、この傾向は、外傷なし対照試料から得られる透析液においてのみ見られ、外傷を受けた皮膚試料からの透析液においては見られなかった(図16A及び16B)。NFC被覆材サンプルでのIL-6レベルと透析液サンプルでのIL-6レベルとの間にはポジティブな直線関係の傾向があるようだが、これは、ピアソン相関によると統計的有意ではなかった(図16C)。
NFC被覆材サンプルにおけるMIFレベル
MIFは、外傷を受けた皮膚試料上でインキュベーションしたNFC被覆材からは回収された(図17A)が、外傷なし対照試料上でインキュベーションしたNFC被覆材からは回収されなかった。これは、外傷なし対照と比較して外傷あり皮膚試料からの透析液のMIFレベルの増加と相関する(図17B)。MIFの透析液レベルは、外傷ありでは6時間から24時間へと低下し(図B)、これはまた、5ドナーのうち4ドナーからのNFC被覆材サンプルにおいても見られる(図17A)。MIFは、外傷なし対照の皮膚試料からの透析液に存在したが、対応するNFC被覆材サンプルにおいてはMIFが検出されなかった(図17A及び17B)。我々は、NFC被覆材サンプルでのMIFレベルと透析液サンプルでのMIFレベルとの間にポジティブな直線関係を見出したが、これは、両方の時点について行ったピアソン相関によると有意ではなかった(図17C)。
NFC被覆材サンプルにおけるNAP-2レベル
NAP-2は、両時点における外傷ありの皮膚サンプル上及び外傷なしの皮膚サンプル上でインキュベーションしたNFC被覆材から回収された(図18A)。NFC被覆材におけるNAP-2のレベルは、外傷を受けた皮膚サンプル上でインキュベーションしたときの方が、概して、より高かった(図18A、ドナー1の場合の6時間のインキュベーション後を除く)。NAP-2の透析液レベルが経時的に減少する傾向がある(図18B)が、NFC被覆材サンプルにおけるNAP-2レベルは、ドナー1を除いて経時的に変化しないままであるか増加するかのいずれかであるようだった(図18A)。6時間のインキュベーション後、NFC被覆材レベルと対応する透析液レベルとの間ではネガティブな直線関係が見られたが、24時間後にはポジティブな直線関係が見られた。これらの相関は、いずれも、統計的に有意ではなかった。
考察
前記プレフェーズにおいて、我々は、パネル中の8つのバイオマーカーのうちの7つが、微小透析プローブによって成功裏に回収されたことを見出した。解凍した皮膚におけるサイトカインの高いバックグラウンドレベルのためにMIFの相対回収率を定量化できないにもかかわらず、我々は、MIFが微小透析膜を容易に通過したと結論づけることができた。IFN-γは、前記皮膚リザーバモデルにおいて回収されなかった唯一のバイオマーカーであった。しかし、この所見は、文献(Ao and Stenken 2006)に記載されているIFN-γの非常に低いインビトロ回収率と一貫性がある。
前記プレフェーズ結果から見られるように、IL-1α、IL-6、MIF及びNAP-2のみが、生存可能な皮膚において検出可能なバイオマーカーであり、このことは、これらが後の実験の主な焦点となる理由である。
メインフェーズにおいて、我々は、IL-1αが、Suprathel(登録商標)処置に応答して24時間後に有意に上方制御されることを見出したが、一方で、IL-6は、Suprathel(登録商標)を用いた6時間インキュベーション後に有意に減少した。NFC被覆材は、IL-6についても同様の傾向を引き起こし(mediate)たが、あまり顕著ではなく、統計的有意ではなかった。MIFのみが、NFC被覆材処置に応答して有意に変化し、6時間後及び24時間後の両方で統計的有意に減少した。NAP-2レベルは、Suprathel(登録商標)による6時間のインキュベーション後、有意により低かった。
驚くべきことに、我々は、透析液において測定したバイオマーカーもまた、GrowDaseによる分解後のNFC被覆材において検出可能であることを見出した。これにより、我々は、NFC被覆材が、バイオマーカーリザーバとして作用することによって創傷治癒プロセスに対してその効果を発揮し得ると推測する。前記リザーバは、組織から体液及びメディエータを除去するのみである受動的なリザーバであってもよく、時間経過と共に組織からの活性メディエータの取り込み及び組織への活性メディエータの送達という2方向の拡散を容易にし得るという点で機能的/能動的なリザーバであってもよい。NFC被覆材により取り込まれるバイオマーカーは、ヒドロゲル層においていくぶん安定化されて、これにより、組織環境と比べて異なるターンオーバーを有し得る可能性がある。
前記バイオマーカーは、NFC被覆材のヒドロゲル層内と比較して組織内では異なる拡散特性及び/又は安定性を有するようであるため、個々の分子は、異なる生理化学特性を有することがよく知られており、結果にも支持されている:IL-1αは、外傷なしの対照皮膚試料においてインキュベーションしたNFC被覆材に存在することが観察されたが、このサイトカインは対応する透析液においては検出されなかった。対照的に、MIFは、外傷なしの皮膚においてインキュベーションしたNFC被覆材に存在しなかった一方で、対応する透析液においては観察された。
対応するNFC被覆材サンプルには測定可能な量存在するにも関わらず、外傷なしの皮膚試料からの透析液にIL-1αが非存在であることは、被覆材中でのIL-1αとは対照的に、組織のIL-1αは迅速に分解されることを示しているのかもしれない。また、IL-1αは、被覆材内への1方向拡散を通じて組織から単に除去され、被覆材内に保持される可能性もある。
MIFに関して、このサイトカインは、組織でのレベルが経時的に低下する一方でNFC被覆材でのレベルは低下しないため、最初の24時間内では、組織中と比較してNFC被覆材中においてより安定である可能性がある。NFC被覆材が6時間後にMIFによって飽和されると仮定することができ、このような仮定は、NFC被覆材レベルが測定された両方の時点でなぜ同程度であるかを説明するであろう。透析液中に測定可能なMIFが存在するのに、外傷なしの試料においてインキュベーションしたNFC被覆材中にMIFが非存在であることは、NFC被覆材へのMIFの拡散が皮膚バリアの破壊を必要とすることを示しているのかもしれない。
NFC被覆材におけるIL-6レベルは経時的に増加する一方、透析液においてはIL-6レベルは一定であるようでそのような増加は見られないが、このことは時間と共にNFC被覆材中へIL-6が蓄積することを指している。可能性のある別の説明は、NFC被覆材中へのIL-6の拡散は遅延性であるため、早期時点では組織濃度を反映しないというものである。被覆材と比較して皮膚においては前記ターンオーバーも異なる可能性があり、組織と比較して被覆材においてより低い分解程度である可能性がある。
NFC被覆材におけるNAP-2レベルに関しての明らかな傾向は観察されなかった。
NFC被覆材の主な特徴のうちの1つが、被覆材におけるNFC含有分に起因するヒドロゲル層の形成である。これは、湿った創傷環境の保持を助け、過剰な滲出物を除去する。さらに、被覆材自体が、周囲に対しての物理的バリアとして機能するため、感染を防止する。この意味で、閉塞は、効率的な創傷治癒に有益且つ必要であるが、先に言及しているように、過剰な閉塞は、例えばIL-6誘導に、負の影響を及ぼし得る。巨視的に見て、前記2つの被覆材を前記実験セットアップにおいて調べ取り扱ったときに、NFC被覆材は、Suprathel(登録商標)と比較して、閉塞性がより低いように見える。この観察を、Suprathel(登録商標)及びNFC被覆材の両方が被覆材なし対照と比較してIL-6を減少させたという事実、及びSuprathel(登録商標)がより顕著な効果を有するという事実と組み合わせると、NFC被覆材は閉塞性がより低いという仮説が裏付けられる。NFC被覆材は、有益な湿った環境を容易にしながらもより効率的なガス交換を可能にするようであり、これは、創傷治癒に対するNFC被覆材のポジティブな効果のいくらかを説明するかもしれない。
結論
この研究は、どのようにして、微小透析技術と組み合わせたヒトエクスビボ皮膚を、早期における皮膚の創傷治癒、並びに、異なる創傷被覆材、この場合にはNFC被覆材及びSuprathel(登録商標)の影響、を調査する臨床前モデルとして使用することができるかを実証するものである。
バイオマーカーパネルにおける8つのバイオマーカーのうち4つが、外傷を受けた皮膚試料から効率的にサンプリングされ、これらのバイオマーカーのうちのいくつかが、被覆材による皮膚のインキュベーションによって有意に影響されたことが分かった。
NFC被覆材を用いた6時間のインキュベーション及び24時間のインキュベーション後にMIFレベルが低下していることに見られるように、NFC被覆材が統計的有意に影響したのは、MIFレベルのみであった。一方、Suprathel(登録商標)は、6時間後におけるIL-6及びNAP-2レベルの統計的有意な低下を引き起こす(mediate)ことが観察され、また、IL-1αは、Suprathel(登録商標)処置に反応して24時間後に有意に上方制御された。
全体的に見れば、NFC被覆材から回収したサイトカインのレベルと、透析液において測定したレベルとの間にはポジティブな関係があるようであるが、この点はIL-1αについてのみ統計的有意であった。とはいえ、NFC被覆材がサイトカインを含有する能力は、重要な知見であり得る。
実施例2
NFC被覆材が、創傷治癒プロセスに関連し、創傷体液において見られる、種々の可溶性因子を結合することができることが分かった。ゆえに、培地及びNFCクロス(NFC含有なし)と比較した、NFC被覆材マトリクスへのTNFα、IL-10及びTGFβ1の保持レベルを調査した。培養において最大4時間まで安定性を有することが実証された精製された成長因子を、RPMI培地、NFC被覆材クロス、及びNFC被覆材と共に1時間及び4時間インキュベーションした。遊離サイトカインをELISAによって測定し、1時間培地対照と比較した。4時間のインキュベーション時間にわたって、培地対照においてサイトカインの有意な分解及び損失は見られなかった。NFC被覆材は、4時間において前記クロスと比較して遊離TNFαレベルを有意に低減させ、これは、NFC成分が、ゲル内にサイトカインを保持することが可能であり得ることを示している。IL-10のレベルは、1時間及び4時間の両方において、前記クロス及びNFC被覆材へさらされることよって有意に減少した。同じ効果が、4時間時点でのTGFβ1についても見られ、最も高い効果がクロス単独又は培地と比較してNFC被覆材マトリクスにおいて常に見られた。これらのデータを合わせると、NFC被覆材が創傷環境からの活性生体分子を吸収することができることを実証している。
実施例3
この研究結果は、NFC被覆材が創傷ケアに好適な製品であることを示す。データは、NFCが、生来の創傷修復応答の向上に活発に関与する特性を有して、本明細書に記載されている創傷治癒被覆材において利用される特有の材料であることを実証している。NFC被覆材は、創傷治癒プロセスに積極的に貢献する周囲の免疫細胞における酸化ストレスの可能性を低減する潜在力があることが示された。
全血から末梢血単核細胞(PBMC)を単離して、複数の時点において活性酸素種(ROS)の生成を測定しつつ、NFC被覆材+/-LPSによって24時間インキュベーションした。これらの調査の目的は、(a)NFC被覆材マトリクスが異物として認識されて酸化ストレス反応を誘発させるか否か、及び(b)NFC被覆材がLPSに結合して、PBMCによるROS生成の任意のベースラインレベルを上げるか否かを立証することであった。ROSの生成を、蛍光法を使用して、H2DCFDAから蛍光化合物DCF(ROSによってその蛍光形態に開裂される)への変換を評価することによって評定した。データは、1時間時点において、RPMI対照における酸化ストレスのベースレベルが、NFC被覆材サンプル中よりも有意に高かったことを示している。統計的有意ではなかったが、複数の時点において、NFC被覆材及びNFC被覆材+LPSの両方が、それぞれの対照よりも低いROSのリードアウトを示した。これらのデータは、恐らくは、PBMCによって放出される可溶性因子の結合を通じて、NFC被覆材が、酸化ストレスから細胞を保護することを示し得る。NFC被覆材は、PBMCにおいて異物としてストレス応答を発揮しないということが結論づけられ得る。
実施例4
この例においては、本NFC創傷被覆材の物性を特性決定し、他の開発バージョンにおいて測定された特性と比較する。合計で9つの異なる標準試験方法及び社内の(internal)方法を使用してサンプルを特性決定した。
材料及び方法
サンプル
サンプルの選択を導く主な動機は、異なる方法によって、又は僅かに異なる原料組成を使用して作製されたサンプルを評価するという意図であった。これらの基準に従って、6つの創傷被覆材及び1つの未処理の不織物を選択した。これらのサンプルは、異なるNFC創傷被覆材開発バージョン、及び、製造に使用される個々の原料を表す。全てのサンプルを、分析の前に典型的な滅菌手順(121.6℃;20分)に従って水蒸気滅菌した。医療製品において使用される不織物の公称坪量は、約45g/m2であった。基本的なサンプル情報を表2に提示する。
研究の際に分析したサンプル
分析方法
この研究のために選択した全ての方法を表3に提示する。
サンプルの物性を特性決定するために使用した分析方法
前記サンプルの自由膨潤の吸収容量を求めるときには、EN13726-1標準:「Test methods for primary wound dressings. Part 1: Aspects of absorbency」によって記載されている方法に従った。要するに、当該方法は、37℃の温度で過剰の生理学的試験溶液に30分間浸される前後のサンプルを秤量することに基づいている。前記吸収容量は、次いで、g/100cm2として算出される。142mmolの塩化ナトリウム及び2.5mmolの塩化カルシウムを含有する生理学的試験溶液を使用して、標準試験方法EN13726-1によって規定される条件下で測定を行った。
前記被覆材の液体保持を、Mennini,N.,et al.「Quality of wound dressings:a first step in establishing shared criteria and objective procedures to evaluate their performance.」Journal of wound care 25.8(2016):428-437に提示されている原法に基づいて社内の(internal)方法を使用して測定した。この方法では、自由膨潤の吸収可能サンプルを2つのワイヤクロス間に挟み、1枚の吸収紙上に置いた。次いで、プレキシガラス平板を前記サンプルの上に置いて40mmHgの圧力を印加した。30分後、重しを除去し、前記サンプルを秤量した。観察された重量差に基づいて液体保持を算出し、残存する液体のパーセントとして報告した。
湿潤及び乾燥したときの創傷被覆材の面積変化を、自由膨潤及び液体保持試験と同時に求めた。これらの社内の(internal)方法は、自由膨潤試験の前後で、及び、サンプルを実験室オーブンにおいて60℃で一晩乾燥させた後にもう1度、前記創傷被覆材の寸法を測定するという簡単な原理を使用する。前記面積変化を、元の乾燥サンプルと比較したパーセント変化として報告する(例えば、-4%=4%の面積収縮)。観察された面積変化が小さいときには、正確さが限られた定規を使用して寸法(x及びy)を測定しているとして、結果は近似値であると考えるべきである。また、創傷被覆材の寸法の変化が不均一であるゆえに正確に測定することが難しいこともあり得る。
水蒸気透過率(MVTR)は、SFS-EN-13726-2の標準方法で、フィルム様創傷被覆材を透過する水蒸気の割合を測定する。この方法では、前記サンプルを、精製水を充填したフランジ付きサンプルカップ上に置き、蓋により適所に固定する。前記蓋は、水蒸気が創傷被覆材を通して蒸発し得る唯一の経路である10cm2の穴を有する。前記サンプルカップ(+前記水及び前記サンプル)を秤量し、人工気候室(37℃、RH%<20)に18~24時間置く。最後に、前記カップを再秤量し、MVTRを重量減少に基づいてg・m2/24として算出する。
標準方法からの逸脱
自由膨潤の吸収容量の決定では、サンプル材料が限られているため、10連の代わりに5連のみで測定した。標準試験方法EN13726-1からの他の逸脱はなかった。
結果
この比較試験での平均化した結果を表4にまとめる。以下の節において、いくつかの選択した特性及び対応する結果を、より詳細に考察する。
研究したサンプルについての、まとめられ、平均化された結果
透気度及び坪量
標準の品質管理指標としても使用される坪量及び透気度についての結果は、大部分が予測していた結果を示した。機械生産したNFC創傷被覆材及び手作業で生産したNFC創傷被覆材(タイプ4)の両方が、滅菌された製品について設定した規格を満たした(<1000ml/分及び50~55g/m2)。しかし、手作業で生産したNFC創傷被覆材は、機械生産したNFC創傷被覆材よりも僅かに高い坪量及び透気度を有した。透気度の結果を、典型的には、NFCコーティングの分布及び特に均一性をモニタリングするのに間接的に用いる。ここで、機械生産したNFC創傷被覆材のより低い透気度の結果(67ml/分)は、NFCの均一性が、手作業で生産したNFC創傷被覆材(624ml/分)と同レベルであるか又はより良好であることを示唆している。
他のサンプルは、より高い坪量値が、ほとんどにおいて、より低い透気度を示唆したため、極めて理論的な値を与えた。2つの極限値は、個々の原料であるNFC及び不織物をそれぞれ表したサンプルであった。NFC-フィルムは実際的には非透気性であったが、一方で、市販の不織物は、前記方法の測定範囲の最大を超えて、8820ml/分の値を示した。LW-NFC被覆材(12-2018-AA)の53.3g/m2という高い坪量の結果は、2018年12月における以前の測定では50.8g/m2の平均坪量値を示したため、いくぶん予想外であった。
図22は、表2にまとめたデータを使用した、坪量及び透気度の関係の簡単な視覚的表現を示す。横線は、透気度の上側規格限界を提示しており、曲線は、データへの大まかな多項式フィッティングである。測定したサンプルは、多くの点で互いに異なるものであるが、この多項式フィッティングは、坪量が増加するとき、透気度の目標に達する確率に関するある程度の指標を示す。LW-NFC被覆材のデータポイントは、誤って高い坪量値であるため、×印のマークをしているが、ここではデータからこれを除外していない。
物理的寸法
バルク厚さ及びバルク密度のような基本的な寸法は、予期された通りの値を主に示したが、いくつかの驚くべき挙動も示した。測定したサンプル厚さを図23において比較する。NFCフィルムは、最も薄いことが分かり、全てのサンプルの中で明らかに最も高い密度(924kg/m3)を有した。厚さについては、機械生産したNFC被覆材サンプル(NFC被覆材、HW-NFC被覆材及びLW-NFC被覆材)は各サンプルのNFC量に従って論理的に分布しており、全て、市販の不織物よりも厚かった。しかし、手作業で生産したサンプル(NFC被覆材タイプ4及びアニオン性NFC被覆材)は、コーティングされていない市販の不織物よりも薄かった。手作業による加工が、サンプルをいくぶん平坦化させたようである。これは、手作業による生産方法の間に適用したニップ圧力と5つの薄い被覆に起因し得る。
湿潤させた状態及び湿潤後に乾燥させた状態で、創傷被覆材の面積の変化を全てのサンプルについて測定した。測定の間、被覆材の挙動において大きな差は観察されなかった。湿潤状態で、大部分のサンプルは幅がおよそ1mm膨潤したが、これは約+2%の面積変化に相当する。しかし、NFC-フィルムは、面積が+5.7%変化したため、他のサンプルから突出していた。サンプルを乾燥させたとき、全てのサンプルが、少なくとも元の寸法まで又はそれより少し小さくなるまで収縮した。2%未満の面積変化は小さいため、前記方法は、面積変化を信頼性よく定量化するには十分に正確でないということに注意すべきである。そのため、これらの結果の大部分は、近似値に過ぎない。
液体取り扱い特性
液体保持は、サンプルが、吸収された液体を外部荷重下で保持する能力を説明するものである。液体保持の棒グラフを図24に示す。前記棒グラフは、市販の不織物が有する、より高い吸収容量は、比較的小さい液体保持により相殺されることを示す。一方で、NFCコートサンプルは、全体的により良好な液体保持を有し、アニオン性NFC被覆材は、28.3%と最も高い値を示す。NFC被覆材、NFC被覆材タイプ4及びHW-NFC被覆材は、全て、非常に類似する液体保持を有する。
NFC量(g/m2)及び水蒸気透過率の相関に関する簡単なグラフを図25に示す。さらに同じく、LW-NFC被覆材のデータポイントのx軸の位置は歪められていると予想され、実際には、7g/m2の印の近くにある。
表5は、実施形態に係る非無菌医療製品の別の試験ロットからの結果を示す。当該表はまた、測定される特性を決定するのに好適な標準方法も提示する。
本開示の実施の形態は、以下の態様も含む。
<1> -ナノフィブリルセルロースの水分散物を提供すること、
-不織布を提供すること、
-前記不織布を前記ナノフィブリルセルロースの水分散物に浸漬して、前記不織布上にコーティングを形成すること、
-前記浸漬された不織布を予め設定されたギャップに通過させて、プレスすることなく、前記浸漬された不織布上の前記コーティングの厚さを規定すること、及び
-前記浸漬された不織布を脱水すること、
-任意に、前記浸漬及び前記ギャップの通過を少なくとも1回繰り返すこと、
により医療製品を得ることを含む、好ましくは連続方法である、医療製品を作製する方法。
<2> 前記浸漬された不織布を、一対のローラ間、ローラとブレードとの間、ローラとプレートとの、一対のプレート間、又は一対のブレード間などの、2つの規制パーツ間に形成された予め設定されたギャップに通過させて、前記浸漬された不織布の厚さを規定することを含む、<1>に記載の方法。
<3> 前記脱水が、蒸発によって(例えば非接触乾燥(例えば赤外線ドライヤ、フローティングドライヤ、若しくはインピンジメントドライヤを用いた非接触乾燥)、又は接触乾燥(例えばプレスドライヤ、シリンダドライヤ(乾燥シリンダ)、若しくはベルトドライヤを用いた接触乾燥)を用いて)行われる、<1>又は<2>に記載の方法。
<4> 前記ナノフィブリルセルロースは、水中に分散されているとき、22℃±1℃で水性媒体において0.5重量%(w/w)の濃度で回転レオメータによって求めたときに、1000~100000Pa・sの範囲内(例えば5000~50000Pa・sの範囲内)のゼロ剪断粘度、及び1~50Paの範囲内(例えば3~15Paの範囲内)の降伏応力を与え、及び/又は、前記ナノフィブリルセルロースは、平均フィブリル径が200nm以下(例えば1~200nmの範囲内)である、<1>~<3>のいずれか一つに記載の方法。
<5> 支持層及び前記支持層上のコーティングとしての吸収層を含み、前記支持層が不織布を含み、前記吸収層が、平均フィブリル径が200nm以下である未プレスのナノフィブリルセルロースを含む、医療製品(例えば、<1>~<4>のいずれか一つに記載の方法によって得られる前記医療製品)。
<6> 前記不織布が、ナノフィブリルセルロースによって含浸されており、好ましくは前記ナノフィブリルセルロースの含量が、前記不織布の表面から表面と表面との間にある前記不織布の中央に向かって減少する、<5>に記載の医療製品。
<7> 前記不織布が、天然布(例えばガーゼ(例えばセルロース若しくは木綿布))、合成布若しくは半合成布(例えばビスコース若しくはポリエステル)、又はこれらの混合物(好ましくは、ポリプロピレン及びセルロースの混合物、若しくはポリプロピレン、ポリエステル及びセルロースの混合物)を含む、<5>又は<6>に記載の医療製品。
<8> 前記ナノフィブリルセルロースが、化学的に改変されていないナノフィブリルセルロース、好ましくはまた酵素的にも改変されていないナノフィブリルセルロースを含む、<5>~<7>のいずれか一つに記載の医療製品。
<9> 前記ナノフィブリルセルロースが、フィブリルの平均径が50nm以下(例えば1~50nmの範囲内)である化学的にアニオン修飾されたナノフィブリルセルロースを含む、<5>~<8>のいずれか一つに記載の医療製品。
<10> 液体保持が、14.5~40%の範囲内(例えば20~30%(例えば22~30%))である、<5>~<9>のいずれか一つに記載の医療製品。
<11> SFS-EN-13726-2によって測定される水蒸気透過率(MVTR)が、4000-5500g/m2*24時間の範囲内(例えば4000-5000g/m2*24時間又は4400-5000g/m2*24時間の範囲内)である、<5>~<10>のいずれか一つに記載の医療製品。
<12> 1種類または複数種類の生理活性剤及び/又は1種類又は複数種類の治療剤を含む、<5>~<11>のいずれか一つに記載の医療製品。
<13> 水分含量が、0~10%の範囲内(例えば1~10%の範囲内)である、<5>~<12>のいずれか一つに記載の医療製品。
<14> 皮膚創傷又は他の損傷(例えば、真皮損傷を含む深い皮膚創傷)を処置及び/又は被覆するための使用のための、<5>~<13>のいずれか一つに記載の医療製品。
<15> (好ましくは、前記製品を創傷上に適用して該創傷から生理活性剤を吸収すること、ある期間の間、前記医療製品に前記生理活性剤を貯えること、及び前記創傷の治癒プロセスの後期フェーズにおいて前記生理活性剤を前記創傷へと戻り拡散(diffuse back)させることを含む方法によって)皮膚創傷を処置するための使用のための、<5>~<13>のいずれか一つに記載の医療製品。
<16> 生理活性剤及び/又は治療剤を投与するための使用のための、<5>~<13>のいずれか一つに記載の医療製品。