JP7682014B2 - 糖尿病性神経障害の予防又は改善剤 - Google Patents
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Description
1)イチジク又はその抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善剤。
2)イチジク抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善用食品。
抽出に用いられるイチジクの部位は、例えば茎、芽、蕾、木質部、樹皮、地衣体、根、根茎、球茎、塊茎、種子、果実等又はそれらの組み合わせであり得るが、果実を用いるのが好ましく、ドライフルーツを用いるのがより好ましい。
また、アルコール類-水混合液は、任意の割合で混合して使用することができるが、好ましくはアルコール類の割合が50~99.9%の混合液(20℃におけるv/v%)であり、より好ましくは75~99.8%の混合液であり、より更に好ましくは90~99.7%の混合液である。
抽出条件は、十分な抽出効率が得られる条件であれば特に限定されない。抽出温度は、0℃以上、使用する溶媒の沸点以下で実施することが好ましく、より好ましくは室温であるが、抽出温度が高温になればより短時間で抽出が可能である。抽出期間(時間)は、例えば、40℃以上に加熱して抽出する場合には10分~1日が好ましく、例えば、40~50℃で12~24時間、50~60℃で2~12時間、60~70で10分~2時間が挙げられる。また、40℃以下で抽出する場合には1日~30日が好ましく、より好ましくは7日~21日である。例えば、40~30℃で1~7日、30~20℃で7~21日、20~10℃で21~30日が挙げられる。さらに好ましくは、室温で、7~14日である。
また、さらに公知の分離精製方法を適宜組み合わせて、ある特定成分(画分)の濃度・割合を高めてもよい(例えば、限外濾過膜分離により、分子量10kD以上の画分を除去する等)。精製手段としては、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜分離、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフ等が挙げられる。
したがって、イチジク又はその抽出物は、糖尿病性神経障害の予防又は改善剤となり得、また、糖尿病性神経障害の予防又は改善剤を製造するために使用することができる。すなわち、本発明のイチジク又はその抽出物は、糖尿病性神経障害の予防又は改善のために使用することができる。ここで、使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
遠位性対称性の多発神経障害は、感覚・運動神経障害と自律神経障害に分けられ、感覚・運動神経障害では、発症早期から神経伝導検査による神経伝導速度の低下が認められ、下肢末端に、自発痛・しびれ感・錯感覚・感覚鈍麻などの感覚異常や、筋力低下や筋萎縮、バランス機能の低下などの運動機能異常が出現し、症状が上行するとともに上肢末端にも症状が現れる。さらに、眼球運動や顔面の動きも障害される。
自律神経障害は、瞳孔機能異常、起立性低血圧、心臓神経の障害(突然死、無痛性心筋梗塞)、発汗異常、消化管の運動障害(便秘、下痢)、膀胱の機能障害、勃起障害など多彩な病態を呈する。
局所性の単神経障害には、脳神経障害(特に外眼筋麻痺)、体幹・四肢の神経障害、糖尿病筋萎縮(腰仙部根神経叢神経障害)などが含まれる。
また、糖尿病性神経障害の「予防」とは、糖尿病発症後の神経障害の発症の防止、抑制又は遅延、或いは神経障害の発症の危険性を低下させることをいう。
なお、上記の食品(「糖尿病性神経障害の予防又は改善用食品」とも称す)には、一般飲食品のほか、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメントが包含される。
種々の形態の食品は、本発明のイチジク又はその抽出物を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて調製することができる。
<1>イチジク又はその抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善剤。
<2>イチジク抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善用食品。
<4>糖尿病性神経障害改善の予防又は用食品を製造するための、イチジク抽出物の使用。
<6>糖尿病性神経障害を予防又は改善するための、イチジク又はその抽出物の非治療的使用。
<9><1>~<7>において、抽出物は好ましくはアルコール-水混合液、好ましくは50~99.9V/V%のアルコール-水混合液抽出物である。
<10><1>~<7>において、糖尿病性神経障害が、下肢末端の自発痛、しびれ感、錯感覚、感覚鈍麻などの感覚異常;筋力低下や筋萎縮、バランス機能の低下などの運動機能異常;眼球運動や顔面の動き障害;瞳孔機能異常;起立性低血圧;心臓神経の障害(突然死、無痛性心筋梗塞);発汗異常;消化管の運動障害(便秘、下痢);膀胱の機能障害;勃起障害;脳神経障害(特に外眼筋麻痺);体幹・四肢の神経障害;及び糖尿病筋萎縮(腰仙部根神経叢神経障害)から選ばれる1種以上である。
<11><1>~<4>のいずれかの剤又は食品において、医薬品(医薬部外品を含む)又は食品中のイチジク又はその抽出物の含有量は、その乾燥物換算で、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、且つ好ましくは10質量%以下、より好ましく5質量%以下であるか、又は0.001~10質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
<12><1>~<11>において、イチジク又はその抽出物、又はこれを含有する医薬品(医薬部外品を含む)又は食品の投与又は摂取量は、経口投与又は摂取の場合、成人(体重60Kg)1人当たり、イチジクとして、1日あたり乾燥物換算で、好ましくは10g以上、より好ましくは30g以上で、且つ好ましくは50g以下、より好ましくは45g以下であり、また、好ましくは10~50g、より好ましくは30~45gである。また、イチジク抽出物としては、1日あたり乾燥物換算で、好ましくは1g以上、より好ましくは4g以上で、且つ好ましくは30g以下、より好ましくは10g以下であり、また、好ましくは1~30g、より好ましくは4~10gである。
クワ科イチジク〔Ficus carica L.〕のドライフルーツ(天日乾燥果実)500gを、ハサミを用いて1/4大に裁断した後、99.5V/V%(20℃)エタノール5Lを加え、室温、静置下で、8日間浸漬した。その後、ろ過により抽出残渣と分離した後、抽出液を減圧にて濃縮した。さらに、本濃縮物にイオン交換水を加え希釈した後、凍結乾燥した。これにより、イチジク抽出物99gを得た。
1)3週齢のC57BL/6Jマウスにストレプトゾトシン(150mg/kg,クエン酸バッファー pH4.0で希釈)、もしくは、クエン酸バッファー(pH4.0)を腹腔内投与し、投与4日後に尾静脈から一部採血し、血糖値を測定した。血糖値が260mg/dL以上になった個体を選別し、血糖値に大きな差がでないように、群分けし(溶媒投与-対照食群、ストレプトゾトシン投与-対照食群、ストレプトゾトシン投与-イチジク抽出物食群、ストレプトゾトシン投与-エパルレスタット(0.04%)食群。各群n=8-10)、各食餌で飼育した。餌の組成を表1に示す。
「イチジク抽出物」は、製造例1で調製した抽出物を用いた。
統計は、Von Freyテストにおいては、Kruskal-Wallis testを用い、それ以外においては、Dunnett testを用いた。有意水準はP<0.05とした。
a)食餌負荷1週後の血糖値を表2に示す。
ストレプトゾトシン投与により、血糖値の著明な増加が認められた。さらに、食餌負荷3週後では、ストレプトゾトシン投与を行った個体、すべてにおいて、血糖値が600mg/dL以上であった。しかしながら、エパルレスタット食やイチジク抽出物食を摂取することによる血糖値の変化は認められなかった。
c)Von Freyテストにおいて、ストレプトゾトシン投与による感覚機能の低下が認められた。一方で、エパルレスタット食及びイチジク抽出物食を摂取することで、ストレプトゾトシン投与による感覚機能の低下を有意に改善した(図2)。
d)ビームテストにおいて、ストレプトゾトシン投与によるバランス機能の低下が認められた。一方で、イチジク抽出物食を摂取することで、ストレプトゾトシン投与によるバランス機能の低下を有意に改善した(図3)。
e)組織学的解析において、ストレプトゾトシン投与によるミエリン径の菲薄化が認められた。一方で、エパルレスタット食及びイチジク抽出物食を摂取することで、ストレプトゾトシン投与によるミエリン径の菲薄化を有意に改善した(図4)。
1)5週齢のdb/db マウス(レプチン受容体の変異により、過食・高血糖を呈し、II型糖尿病モデルマウスとして利用される)を血糖値が等しくなるように、db/db-対照食群、db/db-エパルレスタット食群、db/db-イチジク抽出物食群の3群に群分けし(各群 n=10)、各食餌で飼育した(餌の組成は前記表1と同じ)。なお、対照群として、db/mマウス(db/db マウスのヘテロ接合体)を対照食で飼育した(db/m-対照食群)。
a)食餌負荷5週後の血糖値を表3に示す。
db/db-対照食群と比較して、エパルレスタット食やイチジク抽出物を摂取することによる血糖値の変化は認められなかった。
c)また、ビームテストにおいて、db/m-対照食群と比較して、db/db-対照食群では、バランス機能の低下が認められた。一方で、db/db-対照食群と比較して、エパルレスタット食及びイチジク抽出物食群では、バランス機能が有意に改善した(図6)。
(1)試験概要
糖尿病性神経障害に対するイチジクの有効性を検討するために、糖尿病性神経障害を有する方を対象とし、ドライマンゴー(対照群)、もしくは、ドライイチジク(イチジク群)を2カ月間、毎日摂取させた。本試験の評価項目は、糖尿病性神経障害の診断に関わる神経機能及び感覚機能、自覚症状、そして、日常的に、糖尿病性神経障害を診療している医師による判定とした。
糖尿病性神経障害に対するイチジクの有効性を検討するために、糖尿病性神経障害患者を対象とした。糖尿病性神経障害の判定基準としては、糖尿病診療ガイドライン2019年に記載の「糖尿病性神経障害を考える会の診断基準 2002年改訂」を参考にして設定した。具体的には、糖尿病の罹患歴を伺い、これまでに糖尿病と診断されており、なおかつ、HbA1c値が6.0以上である場合を“糖尿病が存在する”とし、必須項目とした。また、条件項目は、以下に示す診断基準の項目1-3のうち、2項目以上を満たす場合、もしくは、項目4に該当する場合を“神経障害あり”とした。なお、項目2の振動覚については、内踝、もしくは第一足趾のいずれかに低下が認められた場合に“該当する”とした。また、神経伝導検査は、両足を測定し、両側ともに伝導速度、もしくは振幅が異常値を示した場合に“神経障害あり”とした(異常値の基準については、各測定項目に記載した)。
また、除外基準として、以下の10項目を設定し、インフォームドコンセント時に確認した。
試験参加者リクルート及び対象者選抜フローを図7に示した。リクルートにより、30-65歳の糖尿病かつ糖尿病性神経障害の疑いがあり、なおかつ、除外基準に当てはまらない方を80名募集した。候補者80名に対し、スクリーニング試験を行い、糖尿病性神経障害診断基準に該当する参加者40名を選抜した。なお、終了測定の直前において、自己都合により、対照群3名、イチジク群1名が辞退したため、終了測定まで行った参加者は、対照群17名、イチジク群19名となった。
試験は非盲検化で行った。ただし、参加者には、どちらの被験品に活性が期待されるかの情報を伝えずに行った。また、測定者は、それぞれの参加者がどちらの被験品を摂取しているか分からない状態で測定を行った。群分けは、スクリーニング試験時に行った項目のうち、特に、以下の項目に偏りが出ないように2群に分けた(神経伝導速度、振幅、アキレス腱反射、振動覚、HbA1c、空腹時血糖値、年齢、男女比)。試験期間は2カ月とし、試験期間中は、ドライマンゴー(富澤商店、フィリピン産)、あるいはドライイチジク(富澤商店、トルコ産、スミルナ種)を毎日、約50g摂取させた。試験開始時(初期測定)及び1か月後(中間測定)、2か月後(終了測定)にアンケート及び各種測定を行った。スクリーニング試験及び本試験(初期測定、中間測定、終了測定)では、それぞれ以下の項目を測定した。
神経伝導検査、アキレス腱反射、振動覚、血液分析、問診
<本試験(初期測定、中間測定、終了測定)>
神経伝導検査、アキレス腱反射、振動覚、血液分析、問診、知覚閾値試験、足底感覚検査、歩容、アンケート(ただし、アキレス腱反射と振動覚、問診については初期測定では行わず、スクリーニング試験の値を初期測定の結果として使用した)
試験開始時にしびれの自覚症状の有無を下記のアンケートにより質問し、該当者に対して、試験終了時に、試験開始時と比べた症状の変化について質問した。なお、各群におけるしびれ症状保有の人数は以下であった。対照群13人、イチジク群13人。
「神経伝導検査」
神経伝導測定装置(オムロン、HDN‐1000)を用い、うつぶせに寝た状態で測定した。専用のアルコールシート(プレップパッド)でセンサーが当たる部分を拭いた。装置の電極部位に専用ジェルを塗り、電極を踝とアキレス腱の中央に当て、センサー部を腓腹筋の正中線上に当てた。力を抜いた状態でパルス状に微弱電流を流し、神経伝導速度及び振幅を測定した。左右の足で実施した。
看護師により、以下の測定を行った。
試験参加者を椅子の上に後ろ向きで膝立ちした状態にさせ、アキレス腱反射検査用ハンマーを用いて、アキレス腱を10回以上叩き、足が底屈するか否かを確認した。消失していた場合は、さらに、増強法による反射の測定を行った。左右の足で実施した。判定スコアは、1:正常(底屈する)、2:減弱(通常方法で消失し、増強法で底屈する)、3:消失(通常方法で消失し、増強法で消失する)とした。
なお、増強法とは、参加者が緊張していた場合や、検査部位に意識を集中していた場合には、腱反射が出現しにくくなるため、無関係な運動(自分の右手と左手を組んで互いに引っ張る)をさせることで、腱反射を出現させやすくした状態で腱反射を測定する方法である。
看護師により、以下の測定を行った。
参加者は、椅子に腰かけ、足を延ばした状態にさせた。振動覚検査用音叉(C128)を振動させ、内踝、第一足趾の先端に当てた。振動が感じなくなった時点を、参加者に申告させ、その時間を計測値とした。左右の足で実施した。判定スコアは、1:正常(10秒以上感じる)、2:低下(10秒未満で消失)とした。
Neurometer(CPT/C;Neurotron社)を用い、仰向けの状態で測定した。専用のアルコールシートでセンサーが当たる部分を拭き、測定部位(第一足趾)にセンサーを貼り付けた。知覚できない低強度の電気刺激から開始し、その後、電流刺激を徐々に増加させながら試験参加者が刺激を知覚できた時点の電流強度(知覚閾値)を記録した。測定は、2000Hz(Aβ線維:振動)、250Hz(Aδ線維:触覚)、5Hz(C線維:痛覚、温冷覚、自律神経)の順番に行った。左右の足で実施した。
座位にて足を足底感覚評価装置(株式会社飛鳥電機製作所)上に置き、足裏に対する接触子の振動等を感知できる最小閾値を測定した。左右の足の拇指球、小指球部分、計4箇所の最小閾値を測定した。
「血液分析」
絶食条件で、血液を常法により採取した。すなわち、参加者は、前日の夕食は21時までに摂取した上で、朝食は摂取せずに来院した。また、測定会参加日の朝は、低血糖を防ぐため、糖尿病薬は摂取せずに来院させた。それ以外の薬については、制限しなかった。
日常的に、糖尿病性神経障害を診療している医師が糖尿病の罹患歴、下肢に感覚異常の自覚症状の有無、両足(足首より下)の外観などを問診した。スクリーニング試験時、中間測定、終了測定の計3回行った。
問診及び検査値(神経伝導検査、アキレス腱反射、振動覚、知覚閾値検査)から、試験開始時との比較を参加者ごとに行った。判定は、“著明に改善した”、“改善した”、“やや改善した”、“変わらなかった”、“やや悪化した”、“悪化した”の6段階で行った。
本試験期間中、参加者がこれまで日常的に摂取していた内服薬を使用しても良いとした。
得られた数値は平均値±標準誤差で示した。アンケートや医師の判定、アキレス腱反射、振動覚検査はカイ二乗検定により、群間の比較を行った。詳細については、各項目に記載した。それ以外の項目については、線形混合モデルにより、固定効果に“群”、“時間”をおいて、変量効果に“参加者”をおいて、統計解析を行った。なお、本試験では、イチジクの効果の有無を検討することを目的としたため、“時間”は、初期測定と終了測定の2点とした。また、左右の足両方で行った場合や、複数の箇所で測定を行った場合は、部位も変量効果において解析した。詳細は、各項目に記載した。交互作用があった場合は、“終了測定”における“初期測定”からの変化量を算出し、unpaired t testにより群間の比較を行った。
最終測定を辞退した方の結果については、アンケートや医師の判定、アキレス腱反射、振動覚検査については、中間測定の結果を最終測定の結果として扱った。線形混合モデルで解析した項目については、欠損のまま統計を行った。
1)参加者背景
本試験の参加者背景を表4に示した。被験品摂取は、すべての参加者において90%以上の摂取率であった。また、糖尿病薬に関する服薬状況を表5に示した。
各被験品摂取による血糖値への影響を検討するために、血液分析を行った(図8)。
図8:HbA1cと血糖値の経時変化を示した。グラフは平均値 ± 標準誤差で示した。線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”とした。
「アキレス腱反射」
イチジクの神経機能への影響を検討するために、アキレス腱反射を測定した(表6)。終了測定において、初期から両足とも判定スコアが改善した場合を“効果あり”とし、“効果あり”の人数と割合を示した(表6)。
“効果あり”の人数について、対照群とイチジク群の間には、有意な差が認められたことから、イチジク摂取により、神経障害が改善することが示された。
イチジクの神経機能への影響を詳細に検討するために、神経伝導検査を行った(図9)。
図9:両足における神経伝導速度(A)、及び振幅(B)の平均値の推移を示した。また、右足における神経伝導速度(C)、及び振幅(D)の平均値の推移を示した。なお、右足の神経伝導速度は、交互作用が認められたため、終了時における初期値からの変化量を示した(E)。グラフは平均値 ± 標準誤差で示した。(A、B)線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”、“測定部位”とした。(C、D)線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”とした。(E)t検定により統計解析を行った。* p<0.05vs.対照
イチジクの感覚機能への影響を検討するために、振動覚検査を行った。終了測定において、初期から両足とも判定スコアが改善した場合を“効果あり”とした時の“効果あり”の人数と割合を示した(表7)。“効果あり”の人数について、対照群とイチジク群の間には、有意な差は認められなかったが、イチジク摂取により改善方向に向かっていた。
イチジクの感覚機能への影響を詳細に検討するために、足底感覚検査を行った(図10)。
図10:(A)左右2か所ずつ(拇指球、小指球)、合計4カ所の足底感覚閾値を測定し、平均値の推移を示した。(B)“時間”と“群”に交互作用が認められたため、終了時における初期値からの変化量を示した。グラフは平均値±標準誤差で示した。(A)線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”、“測定部位”とした。(B)t検定により統計解析を行った。* p<0.05vs.対照
イチジクの神経機能及び感覚機能への影響を詳細に検討するために、知覚閾値検査を行った。知覚閾値検査は、周波数の異なる電流を皮膚に流して知覚閾値を定量する検査で、神経伝導検査で捉えることのできない痛覚に関わるAδ線維やC線維の機能を評価できるとされている。具体的には、2000HzではAβ線維、250HzではAδ線維、5HzではC線維の知覚閾値を定量でき、正常値はそれぞれ、2000Hz:155-337μA、250Hz:58-144μA、5Hz:27-87μAとされている。本試験参加者の各周波数における平均値は、それぞれ2000Hz:286±20μA、250Hz:113±9μA、5Hz:80±5μAと正常値上限に近い値を示し、糖尿病性神経障害により、知覚閾値が上昇することを確認できた。そこで実際に、イチジクの知覚閾値を検討した(図11)。
図11:(A)各周波数において、左右それぞれ知覚感覚閾値を測定し、平均値の推移を示した。(B)各周波数において、“時間”と“群”に交互作用が認められたため、終了時における初期値からの変化量を示した。グラフは平均値±標準誤差で示した。(A)線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”、“測定部位”とした。(B)t検定により統計解析を行った。## p<0.01vs.“初期”by Bonferroni test、** p<0.01vs.対照
「医師判定」
日常的に、糖尿病性神経障害を診療している医師が問診(スクリーニング、中間、終了)し、問診及び検査値(神経伝導検査、アキレス腱反射、振動覚、知覚閾値検査)から、試験開始時との比較を参加者ごとに行った。判定は、“著明に改善した”、“改善した”、“やや改善した”、“変わらなかった”、“やや悪化した”、“悪化した”の6段階で行い、“やや改善した”以上の判定を“効果あり”とし、カイ二乗検定を行った。
イチジク摂取群では、参加者の80%が“やや改善”以上の判定となり、対照群と比較して、有意な差が認められたことから(表8)、イチジク摂取により、糖尿病性神経障害が改善することが明らかとなった。
試験開始時に、しびれの自覚症状があると回答した26名の参加者に対して、試験終了時に症状の変化について質問した。評価は、“著明に改善した”、“改善した”、“やや改善した”、“変わらなかった”、“やや悪化した”、“悪化した”の6段階で行い、“やや改善した”以上の評価を“効果あり”とし、カイ二乗検定を行った。
その結果、イチジク摂取群では、試験開始時にしびれを有していた参加者の85%が“やや改善”以上の評価となり、対照群と比較して、有意な差が認められた(表9)。以上の結果から、イチジク摂取により、糖尿病性神経障害によるしびれの自覚症状が改善することが明らかとなった。
Claims (3)
- イチジクの果実のエタノール抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善剤であって、神経障害が神経伝達速度の低下、感覚機能の低下、バランス機能の低下及びミエリン障害から選択される、剤。
- イチジクの果実のエタノール抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善用食品であって、神経障害が神経伝達速度の低下、感覚機能の低下、バランス機能の低下及びミエリン障害から選択される、食品。
- 血糖値を低下することなく神経障害を抑制する、請求項1記載の剤又は請求項2記載の食品。
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