JP7682014B2 - 糖尿病性神経障害の予防又は改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、糖尿病性神経障害の予防又は改善剤に関する。
わが国の糖尿病患者数は、生活習慣と社会環境の変化に伴って増加している。糖尿病はひとたび発症すると治癒することは難しく、放置すると網膜症、腎症、神経障害などの合併症を引き起こす。糖尿病性神経障害は、糖尿病の合併症の中で最も多く見られる症状であり、便秘と下痢のくり返し、勃起障害、立ちくらみ、発汗異常などの自律神経障害や感覚鈍麻や異常感覚を呈する感覚神経障害などを発現する。これらは、末梢神経線維の脱落や神経機能の低下によって、体の各部に異常をきたした結果と考えられている。多くの場合、足のしびれ、痛みなどの自覚症状に始まり徐々に中枢側の神経へと症状が拡大し、適切な治療を受けないと感覚神経線維の脱落により痛みや熱さを感じることができなくなる。その結果、足潰瘍の形成、さらに放置すると壊疽となり、最悪、下肢切断となり、患者のQuality of life(QOL)は著しく低下する。
糖尿病性神経障害の原因は、持続的な高血糖による末梢神経組織の代謝異常や細小血管の肥厚、狭窄に伴う血流低下とされる。糖尿病性神経障害の発症・進展に関与するリスク因子には、血糖コントロールの不良、糖尿病罹病期間、高血圧、脂質異常、喫煙、飲酒等があるが、これらのうち最も重要な因子は血糖コントロールの不良であり、血糖コントロールの不良な症例では高頻度に神経障害が出現すると言われている。しかしながら、血糖コントロール不良が発症・進展のリスク因子であるとしても、厳格な血糖コントロールを行えば、発症・進展が抑制されるかについては、必ずしも確立されていない。
現在までのところ、糖尿病性神経障害の根治的治療法は確立されておらず、痛みの症状を軽くする対症療法やアルドース還元酵素阻害剤(例えば、エパルレスタット(Epalrestat))等の神経障害の進行を抑える治療がメインとなっている。
一方、イチジク(Ficus carica L.)は、その果実が食用として広く用いられ、また果実や葉を乾燥したものは、それぞれ無花果、無花果葉と言われ生薬として用いられている。また、イチジクの抽出物には脂肪分解促進作用(特許文献1)や抗インフルエンザウイルス作用(特許文献2)があること、イチジク葉の抽出物に血糖値低下作用があること(特許文献3)が報告されている。
しかしながら、イチジクが糖尿病性神経障害の予防又は改善に有効であることは全く知られていない。
特開2009-242432号公報 特開2004-059463号公報 特開2009-108025号公報
本発明は、糖尿病性神経障害の症状を改善する、糖尿病性神経障害の予防又は改善剤を提供することに関する。
本発明者らは、天然素材を探索したところ、イチジクの果実の抽出物に糖尿病によって引き起こされる神経伝達速度の低下、感覚機能の低下、バランス機能の低下及びミエリン障害等の神経障害を抑制する効果があることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~2)に係るものである。
1)イチジク又はその抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善剤。
2)イチジク抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善用食品。
本発明によれば、糖尿病性神経障害を予防又は改善するための医薬品、医薬部外品、食品又はサプリメントを提供することができる。本発明によれば、糖尿病により障害を受けた神経機能の回復促進が可能になるので、QOL改善に資する新たな手段を提供することができる。
イチジク抽出物摂取による神経伝導速度低下に対する改善効果。 イチジク抽出物摂取による感覚機能低下に対する改善効果。 イチジク抽出物摂取によるバランス機能低下に対する改善効果。 イチジク抽出物摂取によるミエリン径の菲薄化に対する改善効果。 イチジク抽出物摂取による神経伝導速度低下に対する改善効果。 イチジク抽出物摂取によるバランス機能低下に対する改善効果。 試験参加者リクルート及び対象者選抜フロー イチジク摂取による血糖値への影響 イチジク摂取による神経機能への影響(神経伝導検査) イチジク摂取による感覚機能への影響(足底感覚検査) イチジク摂取による神経機能・感覚機能への影響(知覚閾値検査)
本発明において、「イチジク」は、クワ科イチジク属のFicus carica L.を指す。
抽出に用いられるイチジクの部位は、例えば茎、芽、蕾、木質部、樹皮、地衣体、根、根茎、球茎、塊茎、種子、果実等又はそれらの組み合わせであり得るが、果実を用いるのが好ましく、ドライフルーツを用いるのがより好ましい。
本発明に用いるイチジク抽出物の製造方法は、特に限定はなく上記植物部位を公知の方法で抽出することにより得ることができる。本発明では各種抽出溶媒による溶媒抽出法により製造した抽出物が好ましく用いられる。
抽出のための溶剤には、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができる。溶剤の具体例としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;及び超臨界二酸化炭素;ピリジン類;油脂、ワックス等その他オイル類等の有機溶剤;並びにこれらの混合物が挙げられる。好適には、水、アルコール類、アルコール類-水混合液が挙げられ、アルコール類-水混合液がより好ましい。アルコール類としては、エタノールが好ましい。
また、アルコール類-水混合液は、任意の割合で混合して使用することができるが、好ましくはアルコール類の割合が50~99.9%の混合液(20℃におけるv/v%)であり、より好ましくは75~99.8%の混合液であり、より更に好ましくは90~99.7%の混合液である。
抽出溶媒の使用量は、十分な抽出効率が得られる条件であれば特に限定されないが、例えば、イチジク乾燥物に対して2~60質量倍が好ましく、更に好ましくは3~30質量倍、最も好ましくは5~15質量倍である。
抽出条件は、十分な抽出効率が得られる条件であれば特に限定されない。抽出温度は、0℃以上、使用する溶媒の沸点以下で実施することが好ましく、より好ましくは室温であるが、抽出温度が高温になればより短時間で抽出が可能である。抽出期間(時間)は、例えば、40℃以上に加熱して抽出する場合には10分~1日が好ましく、例えば、40~50℃で12~24時間、50~60℃で2~12時間、60~70で10分~2時間が挙げられる。また、40℃以下で抽出する場合には1日~30日が好ましく、より好ましくは7日~21日である。例えば、40~30℃で1~7日、30~20℃で7~21日、20~10℃で21~30日が挙げられる。さらに好ましくは、室温で、7~14日である。
抽出手段は、特に限定されないが、例えば、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、加圧加熱抽出、蒸留、超臨界抽出等の通常の手段を用いることができる。
本発明のイチジク抽出物は、例えば食品や医薬品上許容し得る規格に適合し、本発明の効果を発揮するものであれば粗精製物であってもよい。また、必要に応じて、液液分配、固液分配、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、等の公知の技術によって不活性な夾雑物の除去、脱臭、脱色等の処理を施すことができる。
また、さらに公知の分離精製方法を適宜組み合わせて、ある特定成分(画分)の濃度・割合を高めてもよい(例えば、限外濾過膜分離により、分子量10kD以上の画分を除去する等)。精製手段としては、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜分離、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフ等が挙げられる。
本発明において、上記の抽出物はそのまま用いることもできるが、当該抽出物を希釈、濃縮若しくは凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製して用いることもできる。また、凍結乾燥し、用時に、通常抽出に用いられる溶剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、水-エタノール混液、水-プロピレングリコール混液、水-1,3-ブチレングリコール混液等の溶剤で溶解・希釈して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
後記実施例に示すように糖尿病性神経障害モデル動物にイチジク抽出物を添加して飼育した場合、血糖値を低下することなく、神経伝達速度の低下、感覚機能の低下、バランス機能の低下及びミエリン障害といった神経障害が抑制される。
したがって、イチジク又はその抽出物は、糖尿病性神経障害の予防又は改善剤となり得、また、糖尿病性神経障害の予防又は改善剤を製造するために使用することができる。すなわち、本発明のイチジク又はその抽出物は、糖尿病性神経障害の予防又は改善のために使用することができる。ここで、使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本発明において、「糖尿病性神経障害」とは、糖尿病発症後に出現する神経障害を指す。「糖尿病性神経障害」は、遠位性対称性の多発神経障害と局所性の単神経障害に分けられるが、本発明の糖尿病性神経障害には、その両者が含まれる。
遠位性対称性の多発神経障害は、感覚・運動神経障害と自律神経障害に分けられ、感覚・運動神経障害では、発症早期から神経伝導検査による神経伝導速度の低下が認められ、下肢末端に、自発痛・しびれ感・錯感覚・感覚鈍麻などの感覚異常や、筋力低下や筋萎縮、バランス機能の低下などの運動機能異常が出現し、症状が上行するとともに上肢末端にも症状が現れる。さらに、眼球運動や顔面の動きも障害される。
自律神経障害は、瞳孔機能異常、起立性低血圧、心臓神経の障害(突然死、無痛性心筋梗塞)、発汗異常、消化管の運動障害(便秘、下痢)、膀胱の機能障害、勃起障害など多彩な病態を呈する。
局所性の単神経障害には、脳神経障害(特に外眼筋麻痺)、体幹・四肢の神経障害、糖尿病筋萎縮(腰仙部根神経叢神経障害)などが含まれる。
本発明において、糖尿病性神経障害の「改善」とは、「治療」を含む意である。「治療」とは、糖尿病性神経障害の症状を軽減すること、或いは症状の進行(悪化)を防止又は遅延させることを意味する。
また、糖尿病性神経障害の「予防」とは、糖尿病発症後の神経障害の発症の防止、抑制又は遅延、或いは神経障害の発症の危険性を低下させることをいう。
本発明の糖尿病性神経障害の予防又は改善剤は、それ自体、糖尿病性神経障害の改善効果を発揮する医薬品、医薬部外品又は食品となり、或いはこれらへ配合するための素材又は製剤となり得る。
なお、上記の食品(「糖尿病性神経障害の予防又は改善用食品」とも称す)には、一般飲食品のほか、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメントが包含される。
本発明のイチジク又はその抽出物を含む上記医薬品(医薬部外品を含む)は、任意の投与形態で投与され得るが、経口投与が好ましい。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射等の投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬品製剤の形態で投与することができる。
このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥剤等が挙げられる。これらの製剤は、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を適宜添加し、製剤上の常套手段により調製することができる。
また、本発明のイチジク又はその抽出物を配合した上記食品の形態は、清涼飲料水、茶系飲料、コーヒー飲料、果汁飲料、炭酸飲料、ゼリー、ウエハース、ビスケット、パン、麺、ソーセージ等の飲食品や栄養食等の各種食品の他、さらには、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、トローチ剤等の固形製剤)の栄養補給用組成物が挙げられる。なかでも、錠剤が好ましい。
種々の形態の食品は、本発明のイチジク又はその抽出物を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて調製することができる。
上記の医薬品(医薬部外品を含む)や食品中のイチジク又はその抽出物の含有量は、その使用形態により異なるが、その乾燥物(例えば、天日で1週間~1.5週間乾燥させた乾燥物)換算で、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、且つ好ましくは10質量%以下、より好ましく5質量%以下であり、また好ましくは0.001~10質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
上記の医薬品(医薬部外品を含む)や食品の投与量又は摂取量は、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与又は摂取の場合、成人(体重60Kg)1人当たり、イチジクとして、1日あたり乾燥物換算で、好ましくは10g以上、より好ましくは30g以上で、且つ好ましくは50g以下、より好ましくは45g以下である、また、好ましくは10~50g、より好ましくは30~45gである。また、イチジク抽出物としては、1日あたり乾燥物換算で、好ましくは1g以上、より好ましくは4g以上で、且つ好ましくは30g以下、より好ましくは10g以下である、また、好ましくは1~30g、より好ましくは4~10gである。
本発明の糖尿病性神経障害の予防又は改善剤を摂取又は投与する対象者としては、上述した感覚・運動神経障害や自律神経障害又は局所性の単神経障害を発症した糖尿病患者、糖尿病患者或いは血糖値が高めのヒトであって、同神経障害の発症の防止、抑制又は遅延を望むヒトが挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
<1>イチジク又はその抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善剤。
<2>イチジク抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善用食品。
<3>糖尿病性神経障害の予防又は改善剤を製造するための、イチジク又はその抽出物の使用。
<4>糖尿病性神経障害改善の予防又は用食品を製造するための、イチジク抽出物の使用。
<5>糖尿病性神経障害を予防又は改善するための、イチジク又はその抽出物。
<6>糖尿病性神経障害を予防又は改善するための、イチジク又はその抽出物の非治療的使用。
<7>イチジク又はその抽出物を、必要な対象に摂取又は投与する、糖尿病性神経障害の予防又は改善方法。
<8><1>~<7>において、イチジクは好ましくはイチジクの果実である。
<9><1>~<7>において、抽出物は好ましくはアルコール-水混合液、好ましくは50~99.9V/V%のアルコール-水混合液抽出物である。
<10><1>~<7>において、糖尿病性神経障害が、下肢末端の自発痛、しびれ感、錯感覚、感覚鈍麻などの感覚異常;筋力低下や筋萎縮、バランス機能の低下などの運動機能異常;眼球運動や顔面の動き障害;瞳孔機能異常;起立性低血圧;心臓神経の障害(突然死、無痛性心筋梗塞);発汗異常;消化管の運動障害(便秘、下痢);膀胱の機能障害;勃起障害;脳神経障害(特に外眼筋麻痺);体幹・四肢の神経障害;及び糖尿病筋萎縮(腰仙部根神経叢神経障害)から選ばれる1種以上である。
<11><1>~<4>のいずれかの剤又は食品において、医薬品(医薬部外品を含む)又は食品中のイチジク又はその抽出物の含有量は、その乾燥物換算で、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、且つ好ましくは10質量%以下、より好ましく5質量%以下であるか、又は0.001~10質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
<12><1>~<11>において、イチジク又はその抽出物、又はこれを含有する医薬品(医薬部外品を含む)又は食品の投与又は摂取量は、経口投与又は摂取の場合、成人(体重60Kg)1人当たり、イチジクとして、1日あたり乾燥物換算で、好ましくは10g以上、より好ましくは30g以上で、且つ好ましくは50g以下、より好ましくは45g以下であり、また、好ましくは10~50g、より好ましくは30~45gである。また、イチジク抽出物としては、1日あたり乾燥物換算で、好ましくは1g以上、より好ましくは4g以上で、且つ好ましくは30g以下、より好ましくは10g以下であり、また、好ましくは1~30g、より好ましくは4~10gである。
製造例1 イチジク抽出物の調製
クワ科イチジク〔Ficus carica L.〕のドライフルーツ(天日乾燥果実)500gを、ハサミを用いて1/4大に裁断した後、99.5V/V%(20℃)エタノール5Lを加え、室温、静置下で、8日間浸漬した。その後、ろ過により抽出残渣と分離した後、抽出液を減圧にて濃縮した。さらに、本濃縮物にイオン交換水を加え希釈した後、凍結乾燥した。これにより、イチジク抽出物99gを得た。
実施例1 ストレプトゾトシン投与による糖尿病性神経障害モデルに対するイチジク抽出物の影響
1)3週齢のC57BL/6Jマウスにストレプトゾトシン(150mg/kg,クエン酸バッファー pH4.0で希釈)、もしくは、クエン酸バッファー(pH4.0)を腹腔内投与し、投与4日後に尾静脈から一部採血し、血糖値を測定した。血糖値が260mg/dL以上になった個体を選別し、血糖値に大きな差がでないように、群分けし(溶媒投与-対照食群、ストレプトゾトシン投与-対照食群、ストレプトゾトシン投与-イチジク抽出物食群、ストレプトゾトシン投与-エパルレスタット(0.04%)食群。各群n=8-10)、各食餌で飼育した。餌の組成を表1に示す。
「イチジク抽出物」は、製造例1で調製した抽出物を用いた。
2)食餌負荷1週及び3週後に、尾部より採血し、随時血糖値を測定した。
3)食餌負荷5週後にバランス機能をビームテストにより測定した。ビームテストは、地上100cmの高さに凸型の棒を地面と平行に設置し、マウスをスタート地点からゴール地点まで歩かせて、所要時間を記録した。通路部分の全長は50cmで、幅はスタート地点で11mm、ゴール地点で6mmになるように設計した。2回測定し、平均を算出した。なお、最大20秒とし、それまでに到達出来なかった場合は20秒と記録した。
4)食餌負荷6週後に感覚機能をVon Freyテストにより測定した。Von Freyテストは、1.4gのフィラメントをマウス後足に押し付け、逃避反応を観察した。10回試行し、逃避反応の頻度を記録した。
5)食餌負荷5週後に、麻酔下で脛骨神経の神経伝導速度(motor nerve conduction velocity:MNCV)を筋電図誘発電位検査装置(MEB-9402MB)で測定した。
6)神経のミエリン径はg-ratioを算出して評価した。食餌負荷7週後の腓骨神経を2.5%グルタールアルデヒドで前固定し、1%オスミウム酸で後固定した。エポン樹脂に包埋後、Semi-thin(1.5μm)切片を作製し、0.5%トルイジンブルー染色した。
統計は、Von Freyテストにおいては、Kruskal-Wallis testを用い、それ以外においては、Dunnett testを用いた。有意水準はP<0.05とした。
7)結果
a)食餌負荷1週後の血糖値を表2に示す。
ストレプトゾトシン投与により、血糖値の著明な増加が認められた。さらに、食餌負荷3週後では、ストレプトゾトシン投与を行った個体、すべてにおいて、血糖値が600mg/dL以上であった。しかしながら、エパルレスタット食やイチジク抽出物食を摂取することによる血糖値の変化は認められなかった。
b)ストレプトゾトシン投与により、運動神経である脛骨神経の神経伝導速度が有意に低下した。一方で、エパルレスタット食及びイチジク抽出物食を摂取することにより、ストレプトゾトシン投与による神経伝導速度の低下を有意に改善した(図1)。
c)Von Freyテストにおいて、ストレプトゾトシン投与による感覚機能の低下が認められた。一方で、エパルレスタット食及びイチジク抽出物食を摂取することで、ストレプトゾトシン投与による感覚機能の低下を有意に改善した(図2)。
d)ビームテストにおいて、ストレプトゾトシン投与によるバランス機能の低下が認められた。一方で、イチジク抽出物食を摂取することで、ストレプトゾトシン投与によるバランス機能の低下を有意に改善した(図3)。
e)組織学的解析において、ストレプトゾトシン投与によるミエリン径の菲薄化が認められた。一方で、エパルレスタット食及びイチジク抽出物食を摂取することで、ストレプトゾトシン投与によるミエリン径の菲薄化を有意に改善した(図4)。
実施例2 db/dbマウスによる糖尿病性神経障害モデルに対するイチジク抽出物の影響
1)5週齢のdb/db マウス(レプチン受容体の変異により、過食・高血糖を呈し、II型糖尿病モデルマウスとして利用される)を血糖値が等しくなるように、db/db-対照食群、db/db-エパルレスタット食群、db/db-イチジク抽出物食群の3群に群分けし(各群 n=10)、各食餌で飼育した(餌の組成は前記表1と同じ)。なお、対照群として、db/mマウス(db/db マウスのヘテロ接合体)を対照食で飼育した(db/m-対照食群)。
2)食餌負荷5週後に、尾部より採血し、随時血糖値を測定した。
3)食餌負荷4週後にバランス機能をビームテストにより測定した。ビームテストは、地上100cmの高さに凸型の棒を地面と平行に設置し、マウスをスタート地点からゴール地点まで歩かせて、所要時間を記録した。通路部分の全長は50cmで、幅はスタート地点で11mm、ゴール地点で6mmになるように設計した。2回測定し、平均を算出した。なお、最大100秒とし、それまでに到達出来なかった場合は、100秒と記録した。
4)食餌負荷4週後に、麻酔下で脛骨神経の神経伝導速度(motor nerve conduction velocity:MNCV)を筋電図誘発電位検査装置(MEB-9402MB)で測定した。統計は、Dunnett testを用い、有意水準はP<0.05とした。
5)結果
a)食餌負荷5週後の血糖値を表3に示す。
db/db-対照食群と比較して、エパルレスタット食やイチジク抽出物を摂取することによる血糖値の変化は認められなかった。
b)db/m-対照食群と比較して、db/db-対照食群では、神経伝導速度が有意に低下した。一方で、db/db-対照食群と比較して、イチジク抽出物食群では、神経伝導速度が有意に改善した(図5)。
c)また、ビームテストにおいて、db/m-対照食群と比較して、db/db-対照食群では、バランス機能の低下が認められた。一方で、db/db-対照食群と比較して、エパルレスタット食及びイチジク抽出物食群では、バランス機能が有意に改善した(図6)。
実施例3 糖尿病性神経障害患者に対するイチジクの影響
(1)試験概要
糖尿病性神経障害に対するイチジクの有効性を検討するために、糖尿病性神経障害を有する方を対象とし、ドライマンゴー(対照群)、もしくは、ドライイチジク(イチジク群)を2カ月間、毎日摂取させた。本試験の評価項目は、糖尿病性神経障害の診断に関わる神経機能及び感覚機能、自覚症状、そして、日常的に、糖尿病性神経障害を診療している医師による判定とした。
(2)対象者
糖尿病性神経障害に対するイチジクの有効性を検討するために、糖尿病性神経障害患者を対象とした。糖尿病性神経障害の判定基準としては、糖尿病診療ガイドライン2019年に記載の「糖尿病性神経障害を考える会の診断基準 2002年改訂」を参考にして設定した。具体的には、糖尿病の罹患歴を伺い、これまでに糖尿病と診断されており、なおかつ、HbA1c値が6.0以上である場合を“糖尿病が存在する”とし、必須項目とした。また、条件項目は、以下に示す診断基準の項目1-3のうち、2項目以上を満たす場合、もしくは、項目4に該当する場合を“神経障害あり”とした。なお、項目2の振動覚については、内踝、もしくは第一足趾のいずれかに低下が認められた場合に“該当する”とした。また、神経伝導検査は、両足を測定し、両側ともに伝導速度、もしくは振幅が異常値を示した場合に“神経障害あり”とした(異常値の基準については、各測定項目に記載した)。
また、除外基準として、以下の10項目を設定し、インフォームドコンセント時に確認した。
<糖尿病性神経障害の診断基準>
<除外基準>
(3)試験参加者リクルート及び対象者選抜フロー
試験参加者リクルート及び対象者選抜フローを図7に示した。リクルートにより、30-65歳の糖尿病かつ糖尿病性神経障害の疑いがあり、なおかつ、除外基準に当てはまらない方を80名募集した。候補者80名に対し、スクリーニング試験を行い、糖尿病性神経障害診断基準に該当する参加者40名を選抜した。なお、終了測定の直前において、自己都合により、対照群3名、イチジク群1名が辞退したため、終了測定まで行った参加者は、対照群17名、イチジク群19名となった。
(4)方法
試験は非盲検化で行った。ただし、参加者には、どちらの被験品に活性が期待されるかの情報を伝えずに行った。また、測定者は、それぞれの参加者がどちらの被験品を摂取しているか分からない状態で測定を行った。群分けは、スクリーニング試験時に行った項目のうち、特に、以下の項目に偏りが出ないように2群に分けた(神経伝導速度、振幅、アキレス腱反射、振動覚、HbA1c、空腹時血糖値、年齢、男女比)。試験期間は2カ月とし、試験期間中は、ドライマンゴー(富澤商店、フィリピン産)、あるいはドライイチジク(富澤商店、トルコ産、スミルナ種)を毎日、約50g摂取させた。試験開始時(初期測定)及び1か月後(中間測定)、2か月後(終了測定)にアンケート及び各種測定を行った。スクリーニング試験及び本試験(初期測定、中間測定、終了測定)では、それぞれ以下の項目を測定した。
<スクリーニング試験>
神経伝導検査、アキレス腱反射、振動覚、血液分析、問診
<本試験(初期測定、中間測定、終了測定)>
神経伝導検査、アキレス腱反射、振動覚、血液分析、問診、知覚閾値試験、足底感覚検査、歩容、アンケート(ただし、アキレス腱反射と振動覚、問診については初期測定では行わず、スクリーニング試験の値を初期測定の結果として使用した)
(a)アンケート調査
試験開始時にしびれの自覚症状の有無を下記のアンケートにより質問し、該当者に対して、試験終了時に、試験開始時と比べた症状の変化について質問した。なお、各群におけるしびれ症状保有の人数は以下であった。対照群13人、イチジク群13人。
<しびれの自覚症状に関するアンケート>
(b)神経機能・感覚機能評価
「神経伝導検査」
神経伝導測定装置(オムロン、HDN‐1000)を用い、うつぶせに寝た状態で測定した。専用のアルコールシート(プレップパッド)でセンサーが当たる部分を拭いた。装置の電極部位に専用ジェルを塗り、電極を踝とアキレス腱の中央に当て、センサー部を腓腹筋の正中線上に当てた。力を抜いた状態でパルス状に微弱電流を流し、神経伝導速度及び振幅を測定した。左右の足で実施した。
「アキレス腱反射」
看護師により、以下の測定を行った。
試験参加者を椅子の上に後ろ向きで膝立ちした状態にさせ、アキレス腱反射検査用ハンマーを用いて、アキレス腱を10回以上叩き、足が底屈するか否かを確認した。消失していた場合は、さらに、増強法による反射の測定を行った。左右の足で実施した。判定スコアは、1:正常(底屈する)、2:減弱(通常方法で消失し、増強法で底屈する)、3:消失(通常方法で消失し、増強法で消失する)とした。
なお、増強法とは、参加者が緊張していた場合や、検査部位に意識を集中していた場合には、腱反射が出現しにくくなるため、無関係な運動(自分の右手と左手を組んで互いに引っ張る)をさせることで、腱反射を出現させやすくした状態で腱反射を測定する方法である。
「振動覚検査」
看護師により、以下の測定を行った。
参加者は、椅子に腰かけ、足を延ばした状態にさせた。振動覚検査用音叉(C128)を振動させ、内踝、第一足趾の先端に当てた。振動が感じなくなった時点を、参加者に申告させ、その時間を計測値とした。左右の足で実施した。判定スコアは、1:正常(10秒以上感じる)、2:低下(10秒未満で消失)とした。
「知覚閾値検査」
Neurometer(CPT/C;Neurotron社)を用い、仰向けの状態で測定した。専用のアルコールシートでセンサーが当たる部分を拭き、測定部位(第一足趾)にセンサーを貼り付けた。知覚できない低強度の電気刺激から開始し、その後、電流刺激を徐々に増加させながら試験参加者が刺激を知覚できた時点の電流強度(知覚閾値)を記録した。測定は、2000Hz(Aβ線維:振動)、250Hz(Aδ線維:触覚)、5Hz(C線維:痛覚、温冷覚、自律神経)の順番に行った。左右の足で実施した。
「足底感覚検査」
座位にて足を足底感覚評価装置(株式会社飛鳥電機製作所)上に置き、足裏に対する接触子の振動等を感知できる最小閾値を測定した。左右の足の拇指球、小指球部分、計4箇所の最小閾値を測定した。
(c)その他
「血液分析」
絶食条件で、血液を常法により採取した。すなわち、参加者は、前日の夕食は21時までに摂取した上で、朝食は摂取せずに来院した。また、測定会参加日の朝は、低血糖を防ぐため、糖尿病薬は摂取せずに来院させた。それ以外の薬については、制限しなかった。
「問診及び医師による判定」
日常的に、糖尿病性神経障害を診療している医師が糖尿病の罹患歴、下肢に感覚異常の自覚症状の有無、両足(足首より下)の外観などを問診した。スクリーニング試験時、中間測定、終了測定の計3回行った。
問診及び検査値(神経伝導検査、アキレス腱反射、振動覚、知覚閾値検査)から、試験開始時との比較を参加者ごとに行った。判定は、“著明に改善した”、“改善した”、“やや改善した”、“変わらなかった”、“やや悪化した”、“悪化した”の6段階で行った。
(5)許容事項
本試験期間中、参加者がこれまで日常的に摂取していた内服薬を使用しても良いとした。
(6)統計
得られた数値は平均値±標準誤差で示した。アンケートや医師の判定、アキレス腱反射、振動覚検査はカイ二乗検定により、群間の比較を行った。詳細については、各項目に記載した。それ以外の項目については、線形混合モデルにより、固定効果に“群”、“時間”をおいて、変量効果に“参加者”をおいて、統計解析を行った。なお、本試験では、イチジクの効果の有無を検討することを目的としたため、“時間”は、初期測定と終了測定の2点とした。また、左右の足両方で行った場合や、複数の箇所で測定を行った場合は、部位も変量効果において解析した。詳細は、各項目に記載した。交互作用があった場合は、“終了測定”における“初期測定”からの変化量を算出し、unpaired t testにより群間の比較を行った。
最終測定を辞退した方の結果については、アンケートや医師の判定、アキレス腱反射、振動覚検査については、中間測定の結果を最終測定の結果として扱った。線形混合モデルで解析した項目については、欠損のまま統計を行った。
(7)結果
1)参加者背景
本試験の参加者背景を表4に示した。被験品摂取は、すべての参加者において90%以上の摂取率であった。また、糖尿病薬に関する服薬状況を表5に示した。
2)血糖値への影響
各被験品摂取による血糖値への影響を検討するために、血液分析を行った(図8)。
図8:HbA1cと血糖値の経時変化を示した。グラフは平均値 ± 標準誤差で示した。線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”とした。
両群を比較して、交互作用は認められなかった。また、各群それぞれにおいて、対応のあるt testにより、終了時におけるHbA1c及び空腹時血糖値を初期値と比較したが、有意な差は認められなかった。以上の結果から、各被験品摂取による血糖値への影響は認められなかった。
3)神経機能・感覚機能
「アキレス腱反射」
イチジクの神経機能への影響を検討するために、アキレス腱反射を測定した(表6)。終了測定において、初期から両足とも判定スコアが改善した場合を“効果あり”とし、“効果あり”の人数と割合を示した(表6)。
“効果あり”の人数について、対照群とイチジク群の間には、有意な差が認められたことから、イチジク摂取により、神経障害が改善することが示された。
「神経伝導検査」
イチジクの神経機能への影響を詳細に検討するために、神経伝導検査を行った(図9)。
図9:両足における神経伝導速度(A)、及び振幅(B)の平均値の推移を示した。また、右足における神経伝導速度(C)、及び振幅(D)の平均値の推移を示した。なお、右足の神経伝導速度は、交互作用が認められたため、終了時における初期値からの変化量を示した(E)。グラフは平均値 ± 標準誤差で示した。(A、B)線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”、“測定部位”とした。(C、D)線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”とした。(E)t検定により統計解析を行った。* p<0.05vs.対照
両足における振幅については、対照群とイチジク群の間に有意な変化は認められなかった(図9B)。一方で、両足における神経伝導速度は、対照群と比較して、イチジク群において改善傾向にあった(図9A)。そこで、参考として、右足における伝導速度及び振幅の結果を示した(図9C-E)。右足における振幅については、両群の間に有意な変化は認められなかったが(図9D)、伝導速度は“群”と“時間経過”の間に交互作用が認められた(図9C)。そこで、右足の伝導速度について、終了時における初期値からの変化量を算出し、群間の比較を行った(図9B)。その結果、対照群と比較して、イチジク群では、有意な変化が認められたことから、イチジク摂取により、神経障害が改善することが示された。
「振動覚検査」
イチジクの感覚機能への影響を検討するために、振動覚検査を行った。終了測定において、初期から両足とも判定スコアが改善した場合を“効果あり”とした時の“効果あり”の人数と割合を示した(表7)。“効果あり”の人数について、対照群とイチジク群の間には、有意な差は認められなかったが、イチジク摂取により改善方向に向かっていた。
「足底感覚検査」
イチジクの感覚機能への影響を詳細に検討するために、足底感覚検査を行った(図10)。
図10:(A)左右2か所ずつ(拇指球、小指球)、合計4カ所の足底感覚閾値を測定し、平均値の推移を示した。(B)“時間”と“群”に交互作用が認められたため、終了時における初期値からの変化量を示した。グラフは平均値±標準誤差で示した。(A)線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”、“測定部位”とした。(B)t検定により統計解析を行った。* p<0.05vs.対照
その結果、“群”と“時間経過”の間に交互作用が認められた(図10A)。さらに、終了時における初期値からの変化量においても、対照群と比較して、イチジク群では有意な差が認められたことから(図10B)、イチジク摂取により、糖尿病性神経障害による感覚機能低下を改善することが明らかとなった。
「知覚閾値検査」
イチジクの神経機能及び感覚機能への影響を詳細に検討するために、知覚閾値検査を行った。知覚閾値検査は、周波数の異なる電流を皮膚に流して知覚閾値を定量する検査で、神経伝導検査で捉えることのできない痛覚に関わるAδ線維やC線維の機能を評価できるとされている。具体的には、2000HzではAβ線維、250HzではAδ線維、5HzではC線維の知覚閾値を定量でき、正常値はそれぞれ、2000Hz:155-337μA、250Hz:58-144μA、5Hz:27-87μAとされている。本試験参加者の各周波数における平均値は、それぞれ2000Hz:286±20μA、250Hz:113±9μA、5Hz:80±5μAと正常値上限に近い値を示し、糖尿病性神経障害により、知覚閾値が上昇することを確認できた。そこで実際に、イチジクの知覚閾値を検討した(図11)。
図11:(A)各周波数において、左右それぞれ知覚感覚閾値を測定し、平均値の推移を示した。(B)各周波数において、“時間”と“群”に交互作用が認められたため、終了時における初期値からの変化量を示した。グラフは平均値±標準誤差で示した。(A)線形混合モデルにより統計解析を行い、固定効果を“群”、“時間”とし、変量効果を“参加者”、“測定部位”とした。(B)t検定により統計解析を行った。## p<0.01vs.“初期”by Bonferroni test、** p<0.01vs.対照
その結果、いずれの周波数においても、“群”と“時間経過”の間に交互作用が認められ、さらに、イチジク群においてのみ、初期値と比べて終了時において知覚閾値が有意に低下した(図11A)。また、終了時における初期値からの変化量においても、各周波数において、対照群と比較して、イチジク群では低下傾向にあり、250Hzにおいては、有意な差が認められた(図11B)。以上の結果から、イチジク摂取により、糖尿病性神経障害による神経機能及び感覚機能低下を改善することが明らかとなった。
4)総合判定・自覚症状
「医師判定」
日常的に、糖尿病性神経障害を診療している医師が問診(スクリーニング、中間、終了)し、問診及び検査値(神経伝導検査、アキレス腱反射、振動覚、知覚閾値検査)から、試験開始時との比較を参加者ごとに行った。判定は、“著明に改善した”、“改善した”、“やや改善した”、“変わらなかった”、“やや悪化した”、“悪化した”の6段階で行い、“やや改善した”以上の判定を“効果あり”とし、カイ二乗検定を行った。
イチジク摂取群では、参加者の80%が“やや改善”以上の判定となり、対照群と比較して、有意な差が認められたことから(表8)、イチジク摂取により、糖尿病性神経障害が改善することが明らかとなった。
「自覚症状」
試験開始時に、しびれの自覚症状があると回答した26名の参加者に対して、試験終了時に症状の変化について質問した。評価は、“著明に改善した”、“改善した”、“やや改善した”、“変わらなかった”、“やや悪化した”、“悪化した”の6段階で行い、“やや改善した”以上の評価を“効果あり”とし、カイ二乗検定を行った。
その結果、イチジク摂取群では、試験開始時にしびれを有していた参加者の85%が“やや改善”以上の評価となり、対照群と比較して、有意な差が認められた(表9)。以上の結果から、イチジク摂取により、糖尿病性神経障害によるしびれの自覚症状が改善することが明らかとなった。

Claims (3)

  1. イチジクの果実のエタノール抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善剤であって、神経障害が神経伝達速度の低下、感覚機能の低下、バランス機能の低下及びミエリン障害から選択される、剤。
  2. イチジクの果実のエタノール抽出物を有効成分とする糖尿病性神経障害の予防又は改善用食品であって、神経障害が神経伝達速度の低下、感覚機能の低下、バランス機能の低下及びミエリン障害から選択される、食品
  3. 血糖値を低下することなく神経障害を抑制する、請求項1記載の剤又は請求項2記載の食品。
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