JP7683473B2 - 金属皮膜の成膜装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基材の表面に金属皮膜を成膜する成膜装置に関する。
従来から、基材の表面に金属を析出させて金属皮膜を成膜することが行われている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、陽極と、陽極と陰極となる基材との間に配置される固体電解質膜と、陽極と基材との間に電圧を印加する電源部と、陽極と固体電解質膜との間に、金属イオンを含む電解液を収容する液収容部と、を備える金属皮膜の成膜装置が記載されている。
この成膜装置では、固体電解質膜を基材に接触させた状態で、電源部を用いて、陽極と基材との間に電圧が印加される。これにより、固体電解質膜に含有された金属イオンは、固体電解質膜に接触した基材の表面に移動し、この基材の表面で還元され、基材の表面に金属が析出する。これにより、基材の表面には、析出した金属からなる金属皮膜が成膜される。
特開2016-169399号公報
ところで、上記成膜装置を用いて金属皮膜を成膜する場合、成膜品質の向上を目的に、電解液に添加剤を添加することが一般的である。しかしながら、この添加剤は、基材に金属皮膜が成膜される際に消費されるため、金属皮膜の成膜が継続して行われた場合、電解液に含まれる添加剤の量が減少する。このように、添加剤の量が減少した状態で成膜を実施すると、成膜品質が低下するおそれがあった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、添加剤を電解液に補給することにより、成膜品質の向上を図る金属皮膜の成膜装置を提供することである。
前記課題を鑑みて、本発明に係る金属皮膜の成膜装置は、陽極と、前記陽極と基材との間に配置された固体電解質膜と、前記基材を陰極として前記陽極と前記基材との間に電圧を印加する電源部と、前記陽極と金属イオンを含む電解液とを収容し、前記基材の側に開口した開口部を前記固体電解質膜で覆った収容体と、前記収容体に接続され、前記電解液を前記収容体へ供給する液タンクと、を備え、前記固体電解質膜を前記基材に接触させた状態で前記陽極と前記基材との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された前記金属イオンを還元することで、前記金属イオンに由来した金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜装置であって、前記電解液は、添加剤をさらに含み、前記成膜装置は、前記液タンクに収容された前記電解液に前記添加剤を補給する添加剤補給装置と、前記添加剤補給装置による前記添加剤の補給を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記電源部による電圧の印加により、前記陽極から前記基材に通電された電流値を時間経過に応じて積算した積算電流値を算出し、前記積算電流値に基づいて、前記添加剤の消費量を推定し、推定した前記消費量に応じた前記添加剤が、前記電解液に補給されるように、前記添加剤補給装置を制御する、ことを特徴する。
上記成膜装置では、金属皮膜を基材の表面に成膜する際に、金属イオンとともに添加剤が消費される。この点で、本発明の成膜装置によれば、制御装置が、陽極から基材に通電された電流値を時間経過に応じて積算した積算電流値を算出する。積算電流値とは、陽極から基材に通電された電流値に、その電流値での通電時間を乗じた値の総和である。基材の表面に金属皮膜を成膜するに従って、積算電流値が増加し、電解液に含まれる金属イオンとともに添加剤の消費量が増加する。このように、積算電流値と添加剤の消費量との間には相関関係がある。このため、制御装置は、例えば予め実験等で求めた当該相関関係に基づいて、積算電流値から、金属皮膜の成膜に使用された添加剤の消費量を推定することができる。制御装置は、この添加剤の消費量を、電解液に補給されるべき添加剤の量と判断することができる。制御装置は、推定した消費量に応じた量の添加剤を、電解液に補給すべく、添加剤補給装置を制御する。したがって、添加剤の量が低下した状態での金属皮膜の成膜を回避することができるので、成膜品質を向上させることができる。
好ましい態様としては、前記成膜装置は、前記収容体に収容された前記電解液を大気と入替えることにより、前記収容体に収容された前記電解液を前記液タンクに回収する回収機構を備えている。前記制御装置は、前記金属皮膜の成膜後、前記液タンクに前記電解液が回収されるように、前記回収機構を制御する。前記制御装置は、前記電解液の回収後、前記液タンクの電解液に対して、前記添加剤が補給されるように前記添加剤補給装置を制御する。
この態様によれば、収容体に収容された電解液を全て液タンクに戻した状態で、この液タンクの電解液に添加剤を補給することができる。このため、収容体に収容された電解液に添加剤を補給する場合に比べて、電解液に均一に拡散する前の補給した添加剤が、固体電解質膜に付着することがない。よって、液タンク内において、補給した添加剤を電解液に均一に混合することができる。特に、補給された添加剤とともに電解液を液タンク内で攪拌すれば、添加剤を電解液に均一に分散させることができる。よって、添加剤の濃度ムラを抑え、成膜品質を向上させることができる。
好ましい態様としては、前記成膜装置は、前記電解液に含まれる前記添加剤の濃度を測定する添加剤濃度測定装置を備える。前記制御装置は、前記電解液の回収後、前記固体電解質膜を交換したか否かを判定する。前記制御装置は、前記固体電解質膜を交換したと判定した場合には、前記添加剤濃度測定装置により測定された前記添加剤の濃度に基づいて、前記添加剤の消費量を推定する。前記制御装置は、前記固体電解質膜を交換していないと判定した場合には、前記積算電流値に基づいて、前記添加剤の消費量を推定する。前記制御装置は、推定した前記消費量に応じた前記添加剤が、前記電解液に補給されるように、前記添加剤補給装置を制御する。
発明者らの実験によれば、固体電解質膜には、添加剤が付着しやすく、当該膜を交換することにより、電解液の添加剤が成膜装置から持ち出され易い。このため、固体電解質膜を交換するときの添加剤の持ち出しにより、積算電流値に基づいて推定した添加剤の消費量に比べて、実際の添加剤の消費量は多くなる傾向にある。このような場合を想定して、この態様では、固体電解質膜を交換したと判定した場合に、測定した添加剤の濃度に基づいて添加剤の消費量を正確に推定することができるので、より適切な量の添加剤を電解液に補給することができる。なお、固体電解質膜の交換時間を利用して、液タンク内の添加剤の濃度を測定することができるので、測定時間を改めて確保しなくてもよい。他方、当該膜が交換されていない場合、積算電流値に基づいて添加剤の消費量を推定するため、迅速に添加剤の消費量を推定することができる。このため、効率的に適切な量の添加剤を電解液に補給することができる。
好ましい態様としては、前記金属イオンは、銅イオンであり、前記電解液は、硫酸銅水溶液に、前記添加剤の他に塩素イオンを含む溶液であり、前記添加剤は、ブライトナーである。前記成膜装置は、前記電解液に含まれる前記塩素イオンの濃度を測定する塩素イオン濃度測定装置と、前記液タンクに収容された前記電解液に前記塩素イオンを補給する塩素イオン補給装置と、を備える。前記制御装置は、前記塩素イオン濃度測定装置により測定された前記塩素イオンの濃度に基づいて、前記塩素イオンの消費量を推定する。前記制御装置は、推定した前記消費量に応じた前記塩素イオンが、前記電解液に補給されるように、前記塩素イオン補給装置を制御する。
ここで、電解液に含まれる塩素イオンは、ブライトナーの機能(結晶核の成長点に吸着して結晶成長を抑制する機能)を助け、安定した緻密な銅皮膜の形成に有効なイオンである。この塩素イオンは、他の添加剤に比べて、電解液に微量に含まれている。このように、電解液における塩素イオンの含有量は微量であるため、塩素イオンは積算電流値に比例して消費されないことがある。また、塩素イオンは、成膜装置の構成要素への付着などにより減少することがある。このため、塩素イオンの消費量を積算電流値から推定することは難しい。この点で、本態様によれば、電解液に含まれる塩素イオンの濃度を測定し、測定した塩素イオン濃度に基づいて、塩素イオンの消費量を正確に推定することができるため、適切な量の塩素イオンを電解液に補給することができる。
好ましい態様としては、前記電解液は、少なくとも二種類の添加剤を含む。前記成膜装置は、前記添加剤補給装置を、前記添加剤の種類に応じた個数有している。前記制御装置は、前記積算電流値に基づいて前記添加剤のそれぞれの消費量を推定する。前記制御装置は、推定した前記消費量に応じた前記添加剤が、それぞれ前記電解液に補給されるように、前記添加剤補給装置のそれぞれを制御する。
このように、制御装置は、添加剤の種類に応じ、各添加剤の消費量を独立して推定することができる。制御装置は、各々の添加剤の消費量に応じ、各添加剤を適切な量で電解液に補給することができる。よって、電解液に複数の添加剤が含まれている場合であっても、添加剤の量が低下した状態での金属皮膜の成膜を回避することができるので、成膜品質を向上させることができる。
好ましい態様としては、前記陽極は、前記電解液に対して可溶性を有する。本態様によれば、陽極が電解液に溶解するため、金属皮膜の成膜に伴い金属イオンが消費された場合であっても、陽極の溶解により金属イオンが補充される。このため、電解液に含まれる金属イオンの濃度を安定させつつ、添加剤が消費されるので、電解液に補給する添加剤の量をより正確に管理することができる。
本発明によれば、添加剤を電解液に補充することにより、成膜品質を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の模式的断面図である。 図1の成膜装置において、電解液が注入された状態を示すものである。 図1の成膜装置の制御を説明するフローチャートである。 図3のフローチャートにおける積算電流値に基づいて添加剤を補給するステップの一例を説明するグラフである。 本発明の第2実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の模式的断面図である。 図5の成膜装置の制御を説明するフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の模式的断面図である。 図7の成膜装置の制御を説明するフローチャートである。 本発明の実施例におけるピール試験を説明する模式図である。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る金属皮膜の成膜装置について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1Aの模式的断面図である。図2は、図1の成膜装置1Aにおいて、電解液Lが注入された状態を示すものである。図3は、図1の成膜装置1Aの制御を説明するフローチャートである。図4は、図3のフローチャートにおける積算電流値に基づいて添加剤を補給するステップの一例を説明するグラフである。
図1、図2に示すように、成膜装置1Aは、陽極11と、陽極11と基材Bとの間に配置された固体電解質膜13と、基材Bを陰極として陽極11と基材Bとの間に電圧を印加する電源部14と、陽極11と金属イオンを含む電解液Lとを収容し、開口部15aを固体電解質膜13で覆った収容体15と、を備える。
図2に示すように、成膜装置1Aは、固体電解質膜13を基材Bに接触させた状態で陽極11と基材Bとの間に電圧を印加して、固体電解質膜13の内部に含有された金属イオンを還元することで、金属イオンに由来した金属皮膜Fを基材Bの表面B1に成膜する装置である。なお、本実施形態では、説明の便宜上、陽極11の下方に固体電解質膜13を配置し、さらにその下方に基材Bを配置することを前提として、成膜装置1Aの構成部材の位置関係を特定する。しかしながら、基材Bの表面B1に金属皮膜Fを成膜することができるのであれば、この位置関係に限定されるものではなく、たとえば、図1の成膜装置1Aの上下が反転していてもよい。
基材Bは、陰極(すなわち導電性を有した表面)として機能するものであればよい。基材Bは、アルミニウム、鉄等の金属材料からなってもよく、樹脂、セラミックス等の表面に、銅などの金属層が被覆されてもよい。基材Bは、電源部14の負極に電気的に接続されている。基台20は、収容体15の下方において基材Bを保持する。
陽極11は、基材Bの成膜領域に応じた形状となっている。基材Bの成膜領域とは、陽極11と対向する基材Bの表面B1の部分を意味する。陽極11は、金属皮膜Fと同じ金属からなる非多孔質(たとえば無孔質)の陽極であり、ブロック状または平板状の陽極である。陽極11の材料としては、例えば、銅、ニッケル、金、銀、白金、または、二酸化イリジウムなどを挙げることができる。本実施形態では、陽極11は、電解液Lに対して可溶性を有する。つまり、電源部14を用いて電圧を印加することにより陽極11は溶解する。しかし、金属イオンを含む電解液Lのみで成膜するのであれば、陽極11は溶解しなくてもよい。陽極11は、電源部14の正極に電気的に接続されている。
電解液Lは、成膜すべき金属皮膜Fの金属をイオンの状態で含有している液であり、その金属としては、銅、ニッケル、金、または、銀などを挙げることができる。電解液Lは、これらの金属を、硝酸、リン酸、コハク酸、硫酸ニッケル、またはピロリン酸などの酸で溶解(イオン化)した水溶液である。たとえば金属が銅の場合には、電解液Lとしては、硫酸銅、ピロリン酸銅などを含む水溶液を挙げることができる。
電解液Lは、添加剤をさらに含む。電解液Lは、少なくとも二種類の添加剤を含んでよい。添加剤の種類としては、抑制剤、促進剤、レベリング剤を挙げることができる。抑制剤は、たとえば、めっき析出の抵抗として働き、局部的な電流の集中を緩和する機能を有する。促進剤(ブライトナー)は、結晶核の成長点に吸着して結晶成長を抑制する。このため、金属皮膜の表面には新たな核が無数に発生し、金属皮膜は微結晶で緻密なものとなり、光沢皮膜が得られる。また、ブライトナーは、一定の粒子サイズで金属皮膜Fを成膜する働きをするため、金属皮膜Fと基材Bとの密着力を向上させる。レベリング剤(レベラー)は、高電流部へ優先的に吸着し、そこでの電析反応を抑制する作用がある。このため、低電流部であるホール部分(凹部)に、金属皮膜Fが優先的に成膜されることになり、金属皮膜Fを平滑にすることが可能となる。添加剤は、電解液Lに適量添加されており、その消耗量を適切に管理する必要がある。
固体電解質膜13は、上述した電解液Lに接触させることにより、金属イオンを内部に含浸(含有)することが可能となる膜であり、可撓性を有した膜である。固体電解質膜13は、電源部14により電圧を印加したときに、基材B側に金属イオンが透過できれば、特に限定されるものではない。固体電解質膜13の材質としては、たとえばデュポン社製のナフィオン(登録商標)などのフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸樹脂、旭硝子社製のセレミオン(CMV、CMD、CMFシリーズ)などのイオン交換機能を有した樹脂を挙げることができる。図1及び図2に示すように、固体電解質膜13は、収容体15に取付けられた状態で、基材Bの表面B1と対向する対向面13aを有する。
図1に示すように、収容体15には陽極11及び固体電解質膜13が取付けられており、収容体15の内壁面、陽極11、及び固体電解質膜13によって、電解液Lを収容する収容空間15dが形成される。収容体15は、基材Bの側に開口した開口部15aを有する。開口部15aは下方に向かって開口しており、この開口部15aを覆うように、収容体15には、固体電解質膜13が取付けられている。陽極11と固体電解質膜13とは、互いに離間して配置され、これらの間の収容空間15dには電解液Lが充填される。図2に示すように、収容体15は、収容空間15dに収容された電解液Lが陽極11および固体電解質膜13に直接接触する構造となっている。収容体15は、電解液Lに対して不溶性の材料からなる。
さらに、収容体15には、電解液Lを収容空間15dに供給する供給流路15bと、電解液Lを収容空間15dから排出する排出流路15cとが形成されている。供給流路15bは、後述する液供給管50に流体的に接続されており、排出流路15cは、後述する液排出管52に流体的に接続されている。なお、成膜装置1Aは、液タンクTに攪拌装置(図示せず)を有してもよく、この攪拌装置により攪拌された電解液Lが、液供給管50及び供給流路15bを介して収容空間15dに供給されてもよい。
成膜装置1Aの直動アクチュエータ70は、固体電解質膜13と基材Bが接離自在となるように、収容体15及び基台20の少なくともいずれか一方を昇降させる。本実施形態では、その一例として、基台20が固定されており、収容体15が直動アクチュエータ70により昇降する。直動アクチュエータ70は、電動式のアクチェータであり、たとえば、モータ(図示せず)が取付けられたガイド71と、このガイド71に対して直動するロッド72と、を含む。ロッド72は、たとえばボールねじ等(図示せず)によって、モータの回転運動が直動運動に変換されるものである。この直動アクチュエータ70により、基台20に対して収容体15を昇降させて、固体電解質膜13を基材Bに接離させることが可能になる。なお、直動アクチュエータ70は基台20の下部に設けられてもよい。この場合、基材Bを昇降させて、固体電解質膜13を基材Bに接離させることが可能になる。
次いで、成膜装置1Aに電解液Lを循環させるための機構について説明する。
図1に示すように、成膜装置1Aの液タンクTには、電解液Lが収容されている。液タンクTは、ポンプPを介して、収容体15に接続されている。具体的には、液タンクTの電解液Lは、ポンプPにより吸引され、液供給管50を介して収容体15に供給される。成膜時に使用された電解液Lは、液排出管52を介して収容体15から液タンクTに排出される。
液供給管50には、電解液Lの流れ方向を切り換える三方弁60が設けられている。具体的には、三方弁60は、液供給管50を通って液タンクTから収容体15へ向かう電解液Lの流れ方向と、後述する液戻り管56を通って収容体15から液タンクTへ向かう電解液Lの流れ方向と、を切り換える。また、三方弁60を閉鎖することにより、液供給管50を通る電解液Lの流れ、液戻り管56を通る電解液Lの流れを止めることができる。液供給管50には、液タンクTから収容体15へ電解液Lを供給するポンプPが設けられている。ポンプPが正回転することにより、液タンクTから液供給管50内に電解液Lが吸引される。その電解液Lが、三方弁60を介して、収容体15の収容空間15dに圧送される。なお、ポンプPは、正回転および逆回転が可能な構造である。ポンプPが正回転するとき、上述したように、液タンクTから収容体15に電解液Lが供給される。他方、ポンプPが逆回転するとき、液戻り管56を通じて収容体15から液タンクTに電解液Lが回収される。
液排出管52には圧力調整弁58が介在されており、これにより、収容空間15dに収容された電解液Lの圧力(液圧)が所定の圧力を超えることが防止される。また、圧力調整弁58は、三方弁60を閉鎖することにより、収容空間15dの内部を密閉状態にすることができ、この結果、収容空間15dにおける電解液Lの液圧を、所定の圧力以下に維持することができる。また、液排出管52において収容体15と圧力調整弁58との間には、リリーフ弁62が介在されている。リリーフ弁62は、例えば液排出管52の内部が負圧(大気圧よりも低い圧力)になった場合に開放され、外部の大気を収容体15の収容空間15dに導入するものである。
また、成膜装置1Aは、収容体15に収容された電解液Lを大気と入替えることにより、収容体15に収容された電解液Lを液タンクTに回収する回収機構80を備えている。回収機構80は、液戻り管56を通じて、電解液Lを収容体15から液タンクTに戻す。本実施形態では、液戻り管56は、その一部を液供給管50の一部と共有する。なお、液戻り管56は、液供給管50と別個の配管であってもよい。
回収機構80は、ポンプPと、三方弁60と、リリーフ弁62と、を含んでよい。本実施形態では、ポンプPが回収機構80の構成要素である場合を説明する。電解液Lが収容体15から液タンクTへ向かうように三方弁60が切り換えられているとき、ポンプPを逆回転させることにより、電解液Lは、液戻り管56を介して収容体15から液タンクTに流れる。つまり、ポンプPが逆回転することにより、収容体15から液戻り管56内に電解液Lが吸引され、その電解液Lが液タンクTに圧送される。ポンプPが逆回転を続けると、リリーフ弁62は開放され、収容体15の収容空間15dに大気が導入される。このように、回収機構80は、ポンプPの逆回転、三方弁60の切り換え、及びリリーフ弁62の開放により、収容空間15dに収容された電解液Lを大気に入替える。なお、本実施形態では、回収機構80の一例を説明した。たとえば、回収機構80は、収容体15の供給流路15bから圧縮空気を圧送することにより、収容空間15dに収容された電解液Lを液タンクTに回収するものでもよい。この場合、圧縮空気が収容空間15dに残ることにより、電解液Lと大気の入れ替えが完了する。
次いで、電解液Lに添加剤を補給する機構について説明する。
図1、図2に示すように、成膜装置1Aは、添加剤補給装置30と制御装置90とを備える。添加剤補給装置30は、添加剤補給菅32を介して、液タンクTに収容された電解液Lに添加剤を補給する。たとえば、添加剤補給装置30は、添加剤を収容する添加剤タンク(図示せず)と、当該添加剤タンクに収容された添加剤を液タンクTへ圧送する添加剤ポンプ(図示せず)と、を含んでよい。電解液Lに二種類以上の添加剤が含まれる場合、成膜装置1Aは、添加剤補給装置30及び添加剤補給菅32を、添加剤の種類に応じた個数有している。図1及び図2には、一例として、添加剤補給装置30及び添加剤補給菅32が2個設けられた場合が示されている。
制御装置90は、成膜装置1Aの動作を総合的に制御するものである。制御装置90は、その一機能として、添加剤補給装置30による添加剤の補給を制御する機能を有する。制御装置90は、電流計Aにより測定された電流値を受信する。制御装置90は、成膜装置1Aが稼働している間、上述した電流値を常時受信する。電流計Aは、電源部14による電圧の印加により、陽極11から基材Bに通電された電流値を測定する。制御装置90は、有線又は無線により、成膜装置1Aの各構成要素との間で情報の送受信を実施することができる。
図1から図4を参照しながら、制御装置90による成膜装置1Aの制御について説明する。図3に示すように、制御装置90は、図示しない搬送装置等を制御し、これにより基台20に基材Bが設置される(S100)。次いで、制御装置90は、直動アクチュエータ70のロッド72を所定のストローク量だけ伸長させる。この結果、図2に示すように、ガイド71に対しロッド72が下方へ移動し、収容体15が下降し、固体電解質膜13の対向面13aが基材Bの表面B1に接触する(S110)。
次いで、制御装置90は、液供給管50を通って液タンクTから収容体15へ電解液Lが流れるように、三方弁60を切り換える(S120)。次いで、制御装置90は、ポンプPを正回転させる(S130)。これにより、電解液Lが、液供給管50及び三方弁60を介して、収容体15に供給される。制御装置90は、収容空間15dの電解液Lが所定の液圧になるまで、ポンプPを正回転に駆動する。
収容空間15dの電解液Lが所定の液圧に到達すると、制御装置90は、ポンプPの駆動を停止する(S140)。これにより、液タンクTから収容体15への電解液Lの供給が停止される。次いで、制御装置90は、三方弁60を閉鎖する(S150)。この結果、収容体15が密閉状態となり、電解液Lの液圧が所定の圧力以下に維持される。
このように、基材Bが電解液Lの液圧により固体電解質膜13で押圧された状態で、制御装置90は、陽極11と基材Bとの間に電圧を一定時間印加するように、電源部14を制御する(S160)。これにより、固体電解質膜13に含有された金属イオンは、基材Bに移動して、その表面B1で還元される。この結果、基材Bの表面B1に金属が析出し、基材Bの表面B1に一定の膜厚の金属皮膜Fが成膜される。
制御装置90は、積算電流値を算出する(S170)。積算電流値(Ah)とは、電流計Aから受信した電流値(A)を、時間経過に応じて積算したものである。より具体的には、積算電流値(Ah)は、上記電流値(A)に、その電流値での通電時間(h)を乗じた値の総和である。ここで、積算電流値がゼロであるとは、成膜装置1に、所定の添加剤が添加された電解液Lを投入した初期状態、または、電解液Lに添加剤が供給されて、積算電流値がリセットされた状態を意味する。制御装置90は、この状態(電圧が印加されていない状態)を起点として、陽極11から基材Bに通電された通電時間に応じて、積算電流値を算出する。積算電流値は、所定の閾値Sに到達するまでリセットされず、積算電流値が所定の閾値Sに到達する(この場合、後述するように添加剤が電解液Lに補給される)と、積算電流値はゼロにリセットされる(図4参照)。その後、制御装置90は、再度、積算電流値の算出を行う。閾値Sは、積算電流値と添加剤の消費量との間の相関関係(積算電流値が増加するに従って、添加剤の消費量が増加するという関係)に基づいて、実験等で予め算出されるものである。たとえば、積算電流値が閾値S以上となった場合、金属皮膜Fの成膜に必要な添加剤が不足すると判定される。閾値Sは、金属皮膜Fの成膜に必要な添加剤が不足しないように、算出されたものである。
次いで、制御装置90は、回収機構80を制御することにより収容体15から電解液Lを回収する(S180、S190)。具体的には、制御装置90は、液戻り管56を通って収容体15から液タンクTへ電解液Lが流れるように、三方弁60を切り換える(S180)。次いで、制御装置90は、収容体15からの液タンクTへの電解液Lの回収が完了するまで、ポンプPを所定の時間逆回転させる(S190)。このとき、リリーフ弁62が開放され、収容体15の収容空間15dに大気が導入される。
次いで、制御装置90は、上記積算電流値が、所定の閾値S(図4)以上であるか否かを判定する(S200)。積算電流値が閾値S以上であると判定された場合(S200のYES)、制御装置90は、上記積算電流値に基づいて、成膜に消費された添加剤の消費量を推定する(S210)。次に、制御装置90は、この添加剤の消費量を、電解液Lに補給されるべき添加剤の量と判断し、添加剤の補給を実施する(S220)。具体的には、制御装置90は、推定した消費量に応じた添加剤が、液タンクTの電解液Lに補給されるように、添加剤補給装置30を制御する。その後、制御装置90は、積算電流値をゼロにリセットする(図4)。他方、積算電流値が閾値Sより小さいと判定された場合(S200のNO)、制御装置90は、添加剤の補給を実施せず、本制御は後述するS230へ進む。
なお、本実施形態では、積算電流値が閾値S以上であると判定した際に、添加剤を供給したが、たとえば、閾値を用いずに(S200を省略し)、金属皮膜Fの1回の成膜ごとの積算電流値(電流値(A)にその通電時間を乗じた値)から添加剤の消費量を推定し、この消費量に応じた量の添加剤を補給してもよい。
ここで、電解液Lに二種類以上の添加剤が含まれている場合、制御装置90は、積算電流値に基づいて添加剤のそれぞれの消費量を推定し、推定した消費量に応じた添加剤が、それぞれ電解液Lに補給されるように、添加剤補給装置30のそれぞれを制御する。具体的には、二種類以上の添加剤それぞれに対し、積算電流値に関する所定の閾値Sが算出される。制御装置90は、積算電流値が閾値S以上となった種類の添加剤を、その消費量に応じて電解液Lに補給すべく、添加剤補給装置30を制御する。つまり、図3に示すS200、S210、S220が、添加剤ごとに実施される。なお、電解液Lに二種類以上の添加剤が含まれる場合であっても、S200のステップは省略されてもよい。このため制御装置90は、各々の添加剤の消費量に応じ、各添加剤を適切な量で電解液Lに補給することができる。よって、電解液Lに複数の添加剤が含まれている場合であっても、添加剤の量が低下した状態での金属皮膜Fの成膜を回避することができる。
このように、制御装置90は、金属皮膜Fの成膜後(S160)、液タンクTに電解液Lが回収されるように回収機構80を制御し(S180、S190)、電解液Lの回収後、液タンクTの電解液Lに対して、添加剤が補給されるように添加剤補給装置30を制御する(S200~S220)。このように、収容体15に収容された電解液Lを全て液タンクTに戻した状態で、この液タンクTの電解液Lに添加剤を補給することができる。このため、電解液Lに均一に拡散する前の補給した添加剤が、固体電解質膜13に付着することがない。よって、液タンクT内において、補給した添加剤を電解液Lに均一に混合することができる。よって、添加剤の濃度ムラを抑え、成膜品質を向上させることができる。
次いで、制御装置90は、直動アクチュエータ70の動作を制御することにより固体電解質膜13を基材Bから離間させる(S230)。最後に、制御装置90は、図示しない搬送装置等を制御し、基台20から基材Bを取り外す(S240)。以上のようにして、制御装置90を用いた成膜装置1Aの一連の制御が終了し、本制御はスタートに戻る。
上述したように、本実施形態に係る成膜装置1Aでは、制御装置90が、陽極11から基材Bに通電された電流値を時間経過に応じて積算した積算電流値を算出する。このため、制御装置90は、例えば予め実験等で求めた相関関係(即ち、基材Bの表面B1に金属皮膜Fを成膜するに従って、積算電流値が増加し、電解液Lに含まれる金属イオンとともに添加剤の消費量が増加するという関係)に基づいて、積算電流値から、金属皮膜Fの成膜に使用された添加剤の消費量を推定することができる。制御装置90は、この添加剤の消費量を、電解液Lに補給されるべき添加剤の量と判断することができる。制御装置90は、推定した消費量に応じた量の添加剤を、電解液Lに補給すべく、添加剤補給装置30を制御する。したがって、添加剤の量が低下した状態での金属皮膜Fの成膜を回避することができるので、成膜品質を向上させることができる。
また、成膜装置1Aにおいて、陽極11が電解液Lに対して可溶性を有する場合、電解液Lに含まれる金属イオンの濃度を安定させつつ、添加剤が消費されるので、電解液Lに補給する添加剤の量をより正確に管理することができる。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1Bの模式的断面図である。図6は、図5の成膜装置1Bの制御を説明するフローチャートである。第2実施形態に係る成膜装置1Bは、第1実施形態に係る成膜装置1Aに対して、添加剤濃度測定装置40が設けられている点で異なる。以下、第1実施形態に係る成膜装置1Aと同じ又は類似する機能を有する構成については、第1実施形態に係る成膜装置1Aと同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
図5に示すように、成膜装置1Bは、電解液Lに含まれる添加剤の濃度を測定する添加剤濃度測定装置40を備える。添加剤濃度測定装置40は、例えばポンプ(図示せず)を用いて、サンプル取得管41から液タンクTの電解液Lを取得する。添加剤濃度測定装置40は、例えばCVS(Cyclic Voltammetry Stripping)分析装置であってよい。添加剤濃度測定装置40は、電解液Lに含まれる添加剤(抑制剤、促進剤、レベリング剤など)の濃度を、個別に測定することができる。添加剤濃度測定装置40は、測定した各添加剤の濃度を、制御装置90へ送信する。
次いで、制御装置90を用いた成膜装置1Bの制御について説明する。図6に示すように、固体電解質膜13が基材Bから離間した後(S230)、制御装置90は、固体電解質膜13を交換したか否かを判定する(S400)。つまり、制御装置90は、電解液Lの回収後、固体電解質膜13を交換したか否かを判定する。制御装置90は、金属皮膜Fの成膜が例えば10回行われた場合、固体電解質膜13を交換すると判断してもよい。成膜回数と固体電解質膜13の交換時期との関係は一例であり、これに限定されるものではない。制御装置90は、図示しない膜交換装置を制御し、固体電解質膜13の交換を実施する。
制御装置90が固体電解質膜13を交換したと判定した場合(S400のYES)、制御装置90は、添加剤濃度測定装置40により測定された添加剤の濃度が、所定の添加剤濃度閾値以下であるか否かを判定する(S430)。添加剤の濃度とは、電解液Lに対する添加剤の比率である。ここで、基材Bの表面B1に金属皮膜を成膜するに従って、電解液Lに含まれる金属イオンとともに添加剤の消費量が増加する。このため、添加剤の消費量が増加するに従って、添加剤濃度測定装置40で取得した電解液Lにおける添加剤の濃度は減少する。このように、添加剤の消費量と添加剤の濃度との間には相関関係がある。また、添加剤濃度閾値は、添加剤の消費量と添加剤の濃度との間の上記相関関係(添加剤の消費量が増加するに従って、添加剤の濃度が減少するという関係)に基づいて、たとえば実験等で予め算出されてよい。電解液Lに対する添加剤の濃度(複数の添加剤の場合は各添加剤の濃度)がこの添加剤濃度閾値以下となった場合、金属皮膜Fの成膜に必要な添加剤が不足すると判定されるものである。この添加剤濃度閾値は、金属皮膜Fの成膜に必要な添加剤が不足しないように、算出されたものである。
制御装置90は、電解液Lに対する添加剤の濃度が上記添加剤濃度閾値以下であると判定した場合(S430のYES)、添加剤濃度測定装置40により測定された添加剤の濃度に基づいて、添加剤の消費量を推定する(S440)。具体的には、制御装置90は、例えば予め実験等で求めた上記相関関係(添加剤の消費量が増加するに従って、添加剤の濃度が減少するという関係)に基づいて、添加剤の濃度から、金属皮膜Fの成膜に使用された添加剤の消費量を推定することができる。
次に、制御装置90は、推定した添加剤の消費量を、電解液Lに補給されるべき添加剤の量と判断し、添加剤の補給を実施する(S450)。具体的には、制御装置90は、推定した消費量に応じた添加剤が、電解液Lに補給されるように、添加剤補給装置30を制御する。その後、本制御は、S240へ進む。
他方、電解液Lに対する添加剤の濃度が上記添加剤濃度閾値以下でないと判定した場合(S430のNO)、制御装置90は、添加剤の補給を行わず、本制御はS240へ進む。なお、本実施形態では、固体電解質膜13を交換したと判定した場合(S400のYES)、添加剤濃度閾値を用いずに(S430を省略し)、固体電解質膜13を交換するたびに、添加剤の濃度に基づいて添加剤の消費量を推定し(S440)、推定した消費量に基づいて、添加剤補給装置30による添加剤の補給を実施してもよい(S450)。
また、制御装置90は、固体電解質膜13を交換していないと判定した場合(S400のNO)、積算電流値に基づいて添加剤の消費量を推定し、推定した消費量に応じた添加剤が、電解液Lに補給されるように、添加剤補給装置30を制御する(S200、S210、S220)。
上述したように、本実施形態に係る成膜装置1Bでは、固体電解質膜13を交換したと判定した場合に、測定した添加剤の濃度に基づいて添加剤の消費量を推定するので、交換時に添加剤が成膜装置1Bから持ち出されたとしても、適切な量の添加剤を電解液Lに補給することができる。他方、当該膜が交換されていない場合、積算電流値に基づいて添加剤の消費量を推定するため、迅速に添加剤の消費量を推定することができる。このため、効率的に適切な量の添加剤を電解液に補給することができる。
<変形例>
変形例に係る成膜装置は、第2実施形態に係る成膜装置1Bに対して、銅イオン濃度測定装置、銅イオン補給装置、硫酸イオン濃度測定装置、及び硫酸イオン濃度調整装置(いずれも図示せず)が設けられている点で異なる。以下、本変形例に係る成膜装置を、第2実施形態に係る成膜装置1Bと同じ符号を付して説明する。
変形例に係る成膜装置において、陽極11は、電解液Lに対し不溶性を有し、金属イオンは銅イオンであり、電解液Lは、硫酸イオンを含有する硫酸銅水溶液である。本変形例に係る成膜装置は、電解液Lに含まれる銅イオンの濃度を測定する銅イオン濃度測定装置と、電解液Lに含まれる硫酸イオンの濃度を測定する硫酸イオン濃度測定装置と、を備える。また、当該成膜装置は、液タンクTに収容された電解液Lに銅イオンを補給する銅イオン補給装置と、液タンクTに収容された電解液Lの硫酸イオンの濃度を調整する硫酸イオン濃度調整装置と、を備える。銅イオン濃度測定装置及び硫酸イオン濃度測定装置は、例えばサンプル取得管41から電解液Lを取得する。銅イオン濃度測定装置及び硫酸イオン濃度測定装置はそれぞれ、電解液Lに含まれる銅イオンの濃度及び硫酸イオンの濃度を測定し、測定した銅イオンの濃度及び硫酸イオンの濃度を、制御装置90へ送信する。
本変形例に係る成膜装置において、制御装置90は、添加剤補給装置30を用いて電解液Lに添加剤を補給する前に、銅イオン補給装置及び硫酸イオン濃度調整装置を制御する。具体的には、制御装置90は、固体電解質膜13を交換したと判定した場合(図6のS400のYES)、銅イオン濃度測定装置により測定された銅イオンの濃度に基づいて、銅イオンの消費量を推定する。また、制御装置90は、硫酸イオン濃度測定装置により測定された硫酸イオンの濃度に基づいて、たとえば水の消費量(蒸発量)を推定する。制御装置90は、推定した消費量に応じた銅イオンが電解液Lに補給されるように、銅イオン補給装置を制御する。また、制御装置90は、推定した消費量に応じた水が電解液Lに補給されるように、硫酸イオン濃度調整装置を制御する。硫酸イオン濃度調整装置は、例えば硫酸銅水溶液から水成分が蒸発することにより硫酸イオンの濃度が高くなった場合、電解液Lに水を補給する。他方、硫酸イオン濃度調整装置は、電解液Lに対する硫酸イオンの濃度が低くなった場合、硫酸イオンを補給してもよい。このように、変形例に係る成膜装置では、電解液Lに対する、銅イオンの濃度及び硫酸イオンの濃度の調整が終了した後、添加剤補給装置30を用いて電解液Lに添加剤を補給する工程を実施する(図6のS430~S450)。
上述したように、本変形例に係る成膜装置によれば、電解液Lに対する、銅イオンの濃度及び硫酸イオンの濃度の調整が終了した後、添加剤補給装置30を用いて電解液Lに添加剤を補給する。このため、電解液Lにおける銅イオン及び硫酸イオンの濃度が適正に調整された後で、電解液Lに対し添加剤が補給される。よって、より正確な量の添加剤を補給することができる。
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1Cの模式的断面図である。図8は、図7の成膜装置1Cの制御を説明するフローチャートである。第3実施形態に係る成膜装置1Cは、第2実施形態に係る成膜装置1Bに対して、塩素イオン濃度測定装置42が設けられている点で異なる。以下、先に説明した成膜装置1A、1Bと同じ又は類似する機能を有する構成については、これらの成膜装置1A、1Bと同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
本実施形態における成膜装置1Cにおいて、電解液Lに含まれる金属イオンは、銅イオンであり、電解液Lは、硫酸銅水溶液に、塩素イオンを含む溶液であり、添加剤は、促進剤(ブライトナー)である。図7に示すように、成膜装置1Cは、電解液Lに含まれる塩素イオンの濃度を測定する塩素イオン濃度測定装置42と、液タンクTに収容された電解液Lに塩素イオンを補給する塩素イオン補給装置43と、を備える。
塩素イオン濃度測定装置42は、例えばポンプ(図示せず)を用いて、サンプル取得管41から電解液Lを取得する。塩素イオン濃度測定装置42は、電解液Lに微量に含まれる塩素イオンの濃度を測定する。塩素イオン濃度測定装置42は、測定した塩素イオンの濃度を、制御装置90へ送信する。
塩素イオン補給装置43は、塩素イオン補給菅43aを介して液タンクTの電解液Lに塩素イオンを補給する。たとえば、塩素イオン補給装置43は、塩素イオンを収容する塩素イオンタンク(図示せず)と、当該塩素イオンタンクから液タンクTへ塩素イオンを補給する塩素イオンポンプ(図示せず)と、を含んでよい。
次いで、制御装置90を用いた成膜装置1Cの制御について説明する。図8に示すように、制御装置90は、固体電解質膜13を交換したと判定した場合(S400のYES)、塩素イオン濃度測定装置42により測定された塩素イオンの濃度が、所定の塩素イオン濃度閾値以下であるか否かを判定する(S500)。塩素イオンの濃度とは、電解液Lに対する塩素イオンの比率である。電解液Lに含まれる塩素イオンは、ブライトナーの機能を助ける働きをするため、電解液Lに含まれるブライトナーの消費量が増加するに伴って、塩素イオンの消費量が増加する。このため、塩素イオンの消費量が増加するに従って、塩素イオン濃度測定装置42で取得した電解液Lにおける塩素イオンの濃度は減少する。このように、塩素イオンの消費量と塩素イオンの濃度との間には相関関係がある。また、塩素イオン濃度閾値は、塩素イオンの消費量と塩素イオンの濃度との間の上記相関関係(塩素イオンの消費量が増加するに従って、塩素イオンの濃度が減少するという関係)に基づいて、たとえば実験等で予め算出されてよい。電解液Lに対する塩素イオンの濃度がこの塩素イオン濃度閾値以下となった場合、促進剤(ブライトナー)の効果が発現しないと判定される。この塩素イオン濃度閾値は、ブライトナーの効果を発現し続けることができるように、算出されたものである。
制御装置90は、電解液Lに対する塩素イオンの濃度が上記塩素イオン濃度閾値以下であると判定した場合(S500のYES)、塩素イオン濃度測定装置42により測定された塩素イオンの濃度に基づいて、塩素イオンの消費量を推定する(S510)。具体的には、制御装置90は、例えば予め実験等で求めた上記相関関係(塩素イオンの消費量が増加するに従って、塩素イオンの濃度が減少するという関係)に基づいて、塩素イオンの濃度から、金属皮膜Fの成膜に使用された塩素イオンの消費量を推定することができる。
次いで、制御装置90は、推定した消費量に応じた塩素イオンが、電解液Lに補給されるように、塩素イオン補給装置43を制御する(S520)。次いで、本制御はS430へ進む。このように、本実施形態に係る成膜装置1Cによれば、電解液Lに含まれる塩素イオンの濃度を測定するので、電解液Lに微量に含まれる塩素イオンの濃度を正確に測定することができる。この測定された塩素イオン濃度に基づいて、塩素イオンの消費量を推定するので、塩素イオンの消費量を正確に把握することができる。よって、適切な量の塩素イオンを電解液Lに補給することができる。
他方、電解液Lに対する塩素イオンの濃度が上記塩素イオン濃度閾値以下でないと判定した場合(S500のNO)、制御装置90は、塩素イオンの補給を行わず、本制御はS430へ進む。なお、本実施形態では、固体電解質膜13を交換したと判定した場合(S400のYES)、塩素イオン濃度閾値を用いずに(S500を省略し)、固体電解質膜13を交換するたびに、塩素イオンの濃度に基づいて塩素イオンの消費量を推定し(S510)、推定した消費量に基づいて、塩素イオン補給装置43による塩素イオンの補給を実施してもよい(S520)。
本発明を以下の実施例により説明する。
[実施例1]
表面に成膜する基材として、ガラス繊維製の布を重ねたものにエポキシ樹脂を含侵させて成るガラスエポキシ基板(FR-4)を準備した。このガラスエポキシ基板の表面には銅箔が形成されている。
次に、第1実施形態に係る成膜装置1A(図1及び図2)を用いて銅皮膜を成膜した。電解液には、株式会社JCU製の硫酸銅水溶液(Cu-BRITE-SED)を用い、陽極にはCu板を使用した。成膜条件としては、電解液の温度を42℃として、厚さ8μmの固体電解質膜(ナフィオン(デュポン社製))を基材に密着させ、電解液の液圧0.6MPa、電流密度7A/dm2、成膜面積100cm2、累積成膜時間1162秒で、銅皮膜を成膜した。また、本実施例1では、2回目の成膜が終了した後、積算電流値が所定の閾値を超えたと判定された。このため、2回目の成膜が終了した後、且つ3回目の成膜を開始する前に、積算電流値に基づいて推定された添加剤の消費量に応じ、添加剤補給装置により添加剤の補給を行った。
[実施例2]
実施例1と同じ成膜条件により、第2実施形態に係る成膜装置1B(図5)を用いて銅皮膜を成膜した。実施例1と異なる点は、1回の成膜が終了する毎に、添加剤濃度測定装置により測定された添加剤の濃度に応じ、添加剤補給装置により添加剤の補給を行った点である。
[実施例3]
実施例2と同じ成膜条件により、第3実施形態に係る成膜装置1C(図7)を用いて銅皮膜を成膜した。実施例2と異なる点は、1回の成膜が終了する毎に、塩素イオン濃度測定装置により測定された塩素イオンの濃度に応じ、塩素イオン補給装置により塩素イオンの補給を行った点である。
[比較例1]
実施例1と同じように銅皮膜を成膜した。実施例1と異なる点は、添加剤補給装置により添加剤の補給を行っていない点である。
[比較例2]
実施例3と同じように銅皮膜を成膜した。実施例3と異なる点は、塩素イオン補給装置により塩素イオンの補給を行っていない点である。
<成膜状態の確認>
上述のようにして成膜された基材に対し、10mm×50mmのサンプル片を準備し、基材に対する銅皮膜の密着力をピール試験(島津製作所製 EZ test)により測定した。図9は、本発明の実施例におけるピール試験を説明する模式図である。図9に示すように、サンプル片の基材B’を固定板Xに取付け、装置によりチャックした当該サンプル片の銅皮膜F’を、基材B’に対し90°方向へ剥離した。具体的には、固定板Xを矢印H方向へスライドさせながら、銅皮膜F’を矢印V方向へ引張った。この結果を表1(実施例1、実施例2、比較例1)、表2(実施例3、比較例2)に示す。
Figure 0007683473000001
Figure 0007683473000002
(結果および考察)
ここで、サンプル片の基材B’に対する銅皮膜F’の密着力が0.5kN/m以下である場合、密着強度が不足している(不良である)と判断し、密着強度が0.5kN/mより大きい場合、良好であると判断した。上記0.5kN/mは、配線基板の密着強度の閾値として一般的に用いられる値である。表1から明らかなように、実施例1、2では、1回目の成膜から5回目の成膜まで、全てのサンプルにおいて基材B’に対する銅皮膜F’の密着強度が良好であることが確認された。実施例1では、2回目の成膜が終了した後、3回目の成膜が開始される前に、添加剤補給装置により添加剤の補給が実施され、電解液に適切な量の添加剤(特にブライトナー)が補給されたためと考えられる。また、実施例2では、1回の成膜が終了する毎に添加剤補給装置により添加剤の補給が実施され、電解液に適切な量の添加剤(特にブライトナー)が補給されたためと考えられる。
実施例3では、1回目の成膜から55回目の成膜まで、全てのサンプルにおいて基材B’に対する銅皮膜F’の密着力が良好であることが確認された。実施例3では、1回の成膜が終了する毎に添加剤補給装置により添加剤の補給が実施され、且つ、その添加剤(ブライトナー)の効果を発現させる塩素イオンの補給も実施されているため、ブライトナーの効果が発現し続けているためと考えられる。
これに対し、比較例1では、3回目の成膜から、サンプル片の基材B’に対する銅皮膜F’の密着強度が0.5kN/m以下を下回り、成膜回数が増加するにつれて、密着強度が低下している。比較例1では、電解液への添加剤の補給が実施されていないため、金属皮膜を基材の表面に成膜する際に、金属イオンとともに添加剤が消費され、電解液に対する添加剤(特にブライトナー)の濃度が減少したためと考えられる。
また、比較例2では、51回目の成膜から、サンプル片の基材B’に対する銅皮膜F’の密着強度が0.5kN/m以下を下回っていることが確認された。比較例2では、1回の成膜が終了する毎に、添加剤補給装置により添加剤(ブライトナー)の補給が実施されているものの、塩素イオンの補給が行われないため、ブライトナーの効果を発現させる塩素イオンが不足していると考えられる。つまり、比較例2では、ブライトナーの効果が発現されていないため、上記表のような結果が得られたと考えられる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る成膜装置1A、1B、1Cに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
例えば上記実施形態では、三方弁60を閉鎖することにより電解液Lの循環を停止した状態で、電源部14により陽極11及び基材Bの間に電圧を印加する場合について説明した(図3のS140~S160参照)。しかし、電源部14による電圧印加を行うとき、三方弁60は閉鎖されていなくてもよい。この場合、ポンプPの正回転を持続することにより、電解液Lの液圧を所定の圧力に維持することができる。
1A、1B、1C:成膜装置、11:陽極、13:固体電解質膜、14:電源部、15:収容体、15a:開口部、30:添加剤補給装置、40:添加剤濃度測定装置、42:塩素イオン濃度測定装置、43:塩素イオン補給装置、80:回収機構、90:制御装置、B:基材、B1:表面、F:金属皮膜、L:電解液、T:液タンク

Claims (4)

  1. 陽極と、
    前記陽極と基材との間に配置された固体電解質膜と、
    前記基材を陰極として前記陽極と前記基材との間に電圧を印加する電源部と、
    前記陽極と金属イオンを含む電解液とを収容し、前記基材の側に開口した開口部を前記固体電解質膜で覆った収容体と、
    前記収容体に接続され、前記電解液を前記収容体へ供給する液タンクと、を備え、
    前記固体電解質膜を前記基材に接触させた状態で前記陽極と前記基材との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された前記金属イオンを還元することで、前記金属イオンに由来した金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜装置であって、
    前記電解液は、添加剤をさらに含み、
    前記成膜装置は、
    前記液タンクに収容された前記電解液に前記添加剤を補給する添加剤補給装置と、
    前記収容体に収容された前記電解液を大気と入替えることにより、前記収容体に収容された前記電解液を前記液タンクに回収する回収機構と、
    前記電解液に含まれる前記添加剤の濃度を測定する添加剤濃度測定装置と、
    前記添加剤補給装置による前記添加剤の補給を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記金属皮膜の成膜後、前記液タンクに前記電解液が回収されるように、前記回収機構を制御し、
    前記電解液の回収後、前記液タンクの電解液に対して、前記添加剤が補給されるように前記添加剤補給装置を制御するものであり、
    前記制御装置は、
    前記電源部による電圧の印加により、前記陽極から前記基材に通電された電流値を時間経過に応じて積算した積算電流値を算出し、
    前記電解液の回収後、前記固体電解質膜を交換したか否かを判定し、
    前記固体電解質膜を交換したと判定した場合には、前記添加剤濃度測定装置により測定された前記添加剤の濃度に基づいて、前記添加剤の消費量を推定し、
    前記固体電解質膜を交換していないと判定した場合には、前記積算電流値に基づいて、前記添加剤の消費量を推定し、
    推定した前記消費量に応じた前記添加剤が、前記電解液に補給されるように、前記添加剤補給装置を制御する、ことを特徴する金属皮膜の成膜装置。
  2. 前記金属イオンは、銅イオンであり、
    前記電解液は、硫酸銅水溶液に、前記添加剤の他に塩素イオンを含む溶液であり、
    前記添加剤は、ブライトナーであり、
    前記成膜装置は、
    前記電解液に含まれる前記塩素イオンの濃度を測定する塩素イオン濃度測定装置と、
    前記液タンクに収容された前記電解液に前記塩素イオンを補給する塩素イオン補給装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記塩素イオン濃度測定装置により測定された前記塩素イオンの濃度に基づいて、前記塩素イオンの消費量を推定し、
    推定した前記消費量に応じた前記塩素イオンが、前記電解液に補給されるように、前記塩素イオン補給装置を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の金属皮膜の成膜装置。
  3. 前記電解液は、少なくとも二種類の添加剤を含み、
    前記成膜装置は、前記添加剤補給装置を、前記添加剤の種類に応じた個数有しており、
    前記制御装置は、
    前記積算電流値に基づいて前記添加剤のそれぞれの消費量を推定し、
    推定した前記消費量に応じた前記添加剤が、それぞれ前記電解液に補給されるように、前記添加剤補給装置のそれぞれを制御する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の金属皮膜の成膜装置。
  4. 前記陽極は、前記電解液に対して可溶性を有する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の金属皮膜の成膜装置。
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