[脚立1]
以下では図1から図9を用いて、本発明の一実施形態に係る脚立1について説明する。本実施形態においては、図1中に示す矢印の方向で、後述する開状態(脚立状態)における脚立1の方向を規定する。即ち、図1に示す回動軸A(図1中の一点鎖線を参照)の軸方向(踏桟4の架設方向)を脚立1の左右方向とする。また、水平方向において左右方向と直交する方向(梯子体2・2の開閉方向)を脚立1の前後方向とし、左右方向及び前後方向と直交する方向を脚立1の上下方向と規定する。
図1に示す如く本実施形態に係る脚立1は、互いに共通の構成を有する一対の梯子体2・2を備える。梯子体2・2は側面視で略ハ字状に下端部が互いに離間して広がるように配置され、それぞれの上端部が回転金具であるヒンジ6・6により回動可能に連結される。
図2に示す如く、ヒンジ6は第一ヒンジ部6aと第二ヒンジ部6bとが回動支持部6cで回動可能に連結されている。そして、第一ヒンジ部6aと第二ヒンジ部6bとが、左右方向について同じ側にある(対向して近接離間する)支柱3・3の上端部にそれぞれ固定部材である四個のリベットを介して固定される。これにより、ヒンジ6が対向する支柱3・3を相対的に回動可能に連結する。即ち、梯子体2・2が互いに近接離間する方向(図1においては脚立1の前後方向)に回動可能とされる。
それぞれの梯子体2は長尺体である一対の支柱3・3を備える。支柱3・3は互いの距離が上側より下側で大きくなるように(正面視で略ハ字状に)配置されている。本実施形態に係る脚立1は4本の支柱3を備えている。各支柱3は、強度の確保等を目的として、長手方向に沿った二箇所で折り曲げられる。そして、支柱3は長手方向と直交する断面の形状が略コ字状になるように、背板3bと背板3bに隣接して互いに対向する二枚の側板3s・3sとを備えて形成される(図8及び図9を参照)。また、それぞれの支柱3の下端部には端具3aが固定される。
梯子体2における一対の支柱3・3の間には、所定の間隔を隔てて中空の筒状部材である複数の踏桟4・4・・・が架け渡される。踏桟4は所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて形成される。それぞれの踏桟4はリベットにより支柱3において対向する内側面の間に固定されている。本実施形態に係る脚立1において、各支柱3、踏桟4及び天板5はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる軽金属製の部材である。なお、踏桟4をボルト・ナット等の他の締結部品を用いて支柱3に固定することも可能である。
それぞれの梯子体2は、上端部に中空の筒状部材である天板5・5が設けられる。天板5は所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて形成される。天板5はリベットにより支柱3・3の上端部において対向する内側面の間に固定されている。換言すれば、天板5はそれぞれの梯子体2において、二本の支柱3・3の上端部を連結するように設けられる。なお、天板5をボルト・ナット等の他の締結部品を用いて支柱3に固定することも可能である。図6に示す如く、天板5・5の間には使用者が手を挿入することのできる隙間が形成されている。
脚立1は、一対の梯子体2・2のなす角度(詳細には、梯子体2・2の相対的な回動によって近接離間する支柱3・3が側面視においてなす角度、以下同じ)に応じて、主に以下の開状態又は閉状態とすることができる。
開状態は、図1に示す如く梯子体2・2のなす角度を約30度として、4本の支柱3で脚立1を支える形態である。本明細書においては、以下、開状態を「脚立状態」と記載する。脚立状態における脚立1は、地面や床に自立させた状態で用いられる。閉状態は、梯子体2・2のなす角度を約0度に近接させる形態である。脚立1の閉状態は、主に収納時や搬送時に採用される。
脚立1は第三の形態として、梯子体2・2のなす角度を約180度として、一側の2本の支柱3で脚立1を支える梯子状態とすることも可能である。即ち、本実施形態に係る脚立1は梯子兼用脚立として構成されている。なお、本発明は梯子兼用脚立にのみ採用されるものではなく、専用脚立を含めた他の構成の脚立全般に採用することが可能である。
脚立1は、脚立状態において、梯子体2・2のなす角度を規定するとともに互いの相対変位(回転)を規制する、開き止め機構7を備える。開き止め機構7は、梯子体2・2の上端部における左右両側に、合計二組設けられている。開き止め機構7は、互いに連結される一対の梯子体2・2において、左右方向について同じ側に配置されて互いに近接離間する支柱3同士を連結する。
より詳細には、開き止め機構7は、梯子体2・2において対向して近接離間するそれぞれの支柱3・3の一方(図2における左側の支柱3)に回動可能に支持される。そして、開き止め機構7は、脚立1が脚立状態において支柱3・3の他方(図2における右側の支柱3)に係合可能とされる。それぞれの開き止め機構7は同じ構成であるため、本実施形態においては左側の開き止め機構7を中心に説明する。
図2に示す如く、開き止め機構7は、第一アーム体7aと第二アーム体7bとが連結されて構成されるアーム部材である。脚立1の左側に設けられた開き止め機構7において、第一アーム体7aは基端部(図2における左側端部)が後側の支柱3の上部において回動軸7cで回動可能に軸支されている。第二アーム体7bはその先端部が第一アーム体7aの先端部と回転連結部7dで回転可能に連結されている。なお、脚立1の右側に設けられた開き止め機構7において、第一アーム体7aは基端部が前側の支柱3の上部において回動軸7cで回動可能に軸支されている。
第二アーム体7bの基端部には、係合端部7eが形成されている。係合端部7eはねじりバネ7hにより付勢された係合部材7fと、係合部材7fの変位によって拡大・縮小が可能な係合孔7gと、を備えている。係合部材7fはねじりバネ7hによって、係合孔7gを縮小する方向(閉じる方向)に付勢されている。脚立1を脚立状態とする場合は図1に示す如く、梯子体2・2のなす角度を約30度に開いた状態で、係合端部7eを他方の支柱3に形成された第一ロックピンP1に係合させる。この際、係合孔7gに第一ロックピンP1が挿入され、係合部材7fがねじりバネ7hにより付勢されることにより、係合端部7eと第一ロックピンP1との係合状態が維持される。なお、第二アーム体7bに形成する係合端部の構成は、本実施形態に限定されるものではなく、他の構成で第一ロックピンP1(第二ロックピンP2も同様)と係合させることも可能である。
このように、脚立1において、第一アーム体7aの基端部は一方の支柱3に回動可能に支持され、第二アーム体7bの先端部は第一アーム体7aの先端部に回転可能に連結されるとともに基端部が他方の支柱3に係合可能とされる。換言すれば、開き止め機構7は、対向して近接離間するそれぞれの支柱3・3に第一アーム体7a及び第二アーム体7bの基端部が回動可能に支持されるとともに、第一アーム体7a及び第二アーム体7bの互いの先端部が相対回転可能に連結される。本実施形態において、一方の支柱3に形成された回動軸7cと、他方の支柱3に形成された第一ロックピンP1とは、同じ上下位置に形成されている。
第二アーム体7bは図示しないストッパにより第一アーム体7aに対する角度領域が規制されている。具体的には、第二アーム体7bは、回転連結部7dを中心として第一アーム体7aに近接した状態から反時計回り方向の角度が約185度に開く状態まで回動可能とされている。そして、脚立状態の脚立1において、第一アーム体7a及び第二アーム体7bは自然状態においては自重により回転連結部7dが下方に位置するため、図2に示す如く相対角度が約185度となる。これにより、回転連結部7dは第一アーム体7a及び第二アーム体7bの両端部(回動軸7c及び第一ロックピンP1)よりも下方に位置するとともに、当該位置よりも下方への変位が規制される。
このように、脚立1を脚立状態とする場合は、支柱3・3を開き止め機構7により連結することにより、梯子体2・2のなす角度を約30度で固定する。この際、梯子体2・2に対して、梯子体2・2を近接させる回動方向に力が加わった場合でも、回転連結部7dが第一アーム体7a及び第二アーム体7bの両端部よりも下方に位置するとともに、回転連結部7dの当該位置よりも下方への変位が規制されているため、梯子体2・2は相対回転しない。
また、梯子体2・2に対して、梯子体2・2を離間させる回動方向に力が加わった場合も、支柱3・3が開き止め機構7で連結されているため、梯子体2・2は相対回転しない。このため、梯子体2・2のなす角度は約30度のままであり、脚立1は脚立状態を維持する。なお、係合端部7eと第一ロックピンP1との係合状態を解除する際には、使用者が係合部材7fをねじりバネ7hの付勢力に抗して変位させることにより、第一ロックピンP1から係合端部7eを離脱させることができるようになる。
脚立1を閉状態とする場合は、開き止め機構7の係合端部7eを第一ロックピンP1に係合させた状態で、第一アーム体7a又は第二アーム体7bを、第一アーム体7aと第二アーム体7bとの下側に形成される角度が180度以下となるように回動させる。具体的には、回転連結部7dに対して下方から力を加え、回転連結部7dが上方に変位するように第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させる。これにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができる。そして、梯子体2・2のなす角度を約0度とすることにより、脚立1が閉状態となる。このように、脚立状態の際に回転連結部7dを上方に変位させて、第一アーム体7aと第二アーム体7bとからなるアーム部材を屈曲することにより、脚立1は梯子体2・2が近接した閉状態となる。
なお、脚立1を梯子状態とする場合は、開き止め機構7における係合端部7eの第一ロックピンP1への係合を解除し、梯子体2・2のなす角度を約180度に開いた状態で、係合端部7eを支柱3の上端部に形成された第二ロックピンP2に係合させる。このように、支柱3・3を開き止め機構7により連結することにより、梯子体2・2のなす角度を約180度で固定するのである。この際、梯子体2・2に対して、梯子体2・2のなす角度が変わる方向に力が加わった場合でも、回動軸7c、回転連結部7d、及び係合端部7eが一直線上に配置されているため、第一アーム体7aと第二アーム体7bとは相対回転しない。このため、梯子体2・2のなす角度は約180度のままであり、脚立1は梯子状態を維持する。
上記の如く、本実施形態に係る脚立1は梯子兼用脚立として構成されているため、開き止め機構7における第二アーム体7bの基端部に係合端部7eを設け、第二アーム体7bを支柱3の第一ロックピンP1及び第二ロックピンP2に対して着脱可能としている。但し、脚立1を専用脚立として構成した場合は、第二アーム体7bの基端部を支柱3における第一ロックピンP1の位置に回動可能かつ着脱不能に連結する構成とすることも可能である。
[規制解除部材9]
本実施形態に係る脚立1において、開き止め機構7は、脚立1が脚立状態の際に梯子体2・2における相対変位の規制を解除する、規制解除部材9を備える。図2から図6に示す如く、本実施形態において規制解除部材9は前側の梯子体2の上部における後面に設けられる。
図2、図4及び図7に示す如く、本実施形態における規制解除部材9は棒状の枠部材を台形状に組付けて構成される。規制解除部材9は、一対の摺動部91・91と、摺動部91・91のそれぞれに形成される係合部92・92と、本発明に係る操作部の各実施態様である天板操作部93及び踏桟操作部94と、を備える。本実施形態において、規制解除部材9を構成する各部材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる軽金属製の部材と樹脂製部材とを組み合わせて構成している。
図8及び図9に示す如く、摺動部91は中空の棒状部材として構成される。摺動部91の外面には長手方向に沿って溝部91aが形成される。また、摺動部91の両端部は他の部材を挿入可能な被挿入孔91bが形成される。また、摺動部91の中途部には係合部92を組付けるために複数の係止孔91cが開口されている。また、摺動部91の上下端部には、天板操作部93及び踏桟操作部94と連結するための円形孔91dが開口されている。
図2及び図3に示す如く、摺動部91・91は、前側の梯子体2を構成する二本の支柱3・3のそれぞれに対して、開き止め機構7を構成するアーム部材の近傍(より詳細には、天板5と最上段の踏桟4との間)に組付けられる。具体的には図8及び図9に示す如く、摺動部91に形成された溝部91aに、支柱3における後側の側板3sを挿入する。これにより、それぞれの摺動部91は支柱3に対して、アーム部材の近傍で長手方向にスライド変位可能に組付けられる。この際、図4に示す如く、摺動部91の前端部(溝部91aの前側)が踏桟4の上面に当接することにより、摺動部91の下側への変位が規制される。
図2から図4に示す如く、係合部92はそれぞれの摺動部91において開状態のアーム部材における第一アーム体7a又は第二アーム体7bの下側近傍の位置に突出して形成される。より詳細には、規制解除部材9の左側に形成される係合部92は、左側に設けられた開き止め機構7の第一アーム体7aの下方に配置される。一方、規制解除部材9の右側に形成される係合部92は、右側に設けられた開き止め機構7の第二アーム体7bの下方に配置される。
本実施形態においては図8及び図9に示す如く、係合部92を備える筒状部材の内面に係止爪92aが形成されている。そして、この係止爪92aを係止孔91cに嵌め込むことにより、摺動部91の周囲に係合部92が形成される。なお、係合部92を摺動部91と一体的に形成することも可能である。
図3に示す如く、操作部の一実施態様である天板操作部93は、一対の摺動部91・91の上端部を互いに連結する。具体的には図8及び図9に示す如く、天板操作部93には、両端部において下方に延出する挿入部93bが形成される。そして、挿入部93b・93bがそれぞれの摺動部91における上側の被挿入孔91bに挿入されることにより、天板操作部93が摺動部91・91を連結する。また、天板操作部93は、天板5に近接して天板5の長手方向(左右方向)に沿って配置される。
また、図3に示す如く、操作部の一実施態様である踏桟操作部94は、一対の摺動部91・91の下端部を互いに連結する。具体的には図8及び図9に示す如く、踏桟操作部94には、両端部において上方に延出する挿入部94cが形成される。そして、挿入部94c・94cがそれぞれの摺動部91における下側の被挿入孔91bに挿入されることにより、踏桟操作部94が摺動部91・91を連結する。また、踏桟操作部94は、最上段の踏桟4に近接して当該踏桟4の長手方向(左右方向)に沿って配置される。
本実施形態において、天板操作部93及び踏桟操作部94を摺動部91・91に組付ける際には、それぞれの挿入部93b・94cを弾性変形させた状態で摺動部91の被挿入孔91bに挿入する。そして、挿入部93b・94cに形成された円形突起93c・94dを円形孔91dに嵌め込むことにより、天板操作部93及び踏桟操作部94が摺動部91・91に対して一体的に組付けられる。
規制解除部材9を前側の梯子体2に対して組付ける際には、図8及び図9に示す如く、摺動部91・91に形成された溝部91a・91aに支柱3における一の側板3sを挿入した状態で、天板操作部93及び踏桟操作部94により一対の摺動部91・91を連結する。これにより、規制解除部材9は梯子体2から離脱しないように組付けられる。
上記の如く、本実施形態に係る脚立1において、規制解除部材9は別途ブラケット等の組付部材を用いることなく梯子体2に組付可能とされる。これにより、簡易な構成で規制解除部材9を梯子体2に組付けることができるため、部材コストの抑制及び製造工程の簡素化を図ることが可能となる。
本実施形態に係る脚立1においては、脚立状態において規制解除部材9を操作することにより、脚立1を閉状態とすることができる。具体的には図5中の上側の仮想線に示す如く、使用者が天板5の上側から手を差し入れて、規制解除部材9の天板操作部93を引き上げて上方に変位させる。これにより、係合部92・92が上方に変位するため、係合部92・92が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
本実施形態に係る脚立1においては、脚立状態において上記と異なる方法で規制解除部材9を操作することにより、脚立1を閉状態とすることができる。具体的には図5中の下側の仮想線に示す如く、使用者が踏桟4の上側から手を差し入れて、規制解除部材9の踏桟操作部94を引き上げて上方に変位させる。これにより、係合部92・92が上方に変位するため、係合部92・92が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
さらに、図6に示す如く、使用者が天板5の下側から手を差し入れて、規制解除部材9の天板操作部93を持ち上げて上方に変位させることもできる。この場合でも、係合部92・92が上方に変位するため、係合部92・92が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
上記の如く、係合部92を上方に変位させることにより、回転連結部7dが上方に変位するように第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させる。これにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができる。そして、使用者が天板5を持ち上げることにより、梯子体2・2は自重により互いに近接してその相対角度が約0度となり、脚立1が閉状態となる。
このように、本実施形態に係る脚立1においては、開状態の際に規制解除部材9における操作部(天板操作部93又は踏桟操作部94)を上方に変位させることにより、係合部92を上方に変位させてアーム部材を屈曲させ、脚立1を閉状態とすることができる。また、使用者は操作部を上方に操作する動作に連続して踏桟4又は天板5を持ち上げることができる。即ち、脚立1の使用者は脚立状態から閉状態にする動作と、閉状態の脚立1を持ち上げる動作とをほぼ同時にワンタッチで行うことが可能となる。
本実施形態において、天板操作部93及び踏桟操作部94と摺動部91・91との接合部分は、円形突起93c・94dを円形孔91dに嵌め込む構成としている。このため、挿入部93b・94cと被挿入孔91bには少しの相対回転が許容される遊び(間隙)が形成される。これにより、規制解除部材9を変位させる際に規制解除部材9が傾斜した場合でも、規制解除部材9が斜めに変形することができるため、規制解除部材9をスムーズに変位させることが可能となる。
また、本実施形態に係る脚立1は、従来の開き止め機構を備える脚立に対して規制解除部材9を後付けすることで構成できる。即ち、規制解除部材9を梯子体2に組付ける際に他の部材等を別途必要としないため、規制解除部材を備えない脚立に対して規制解除部材9を取付けることにより本実施形態に係る脚立1を構成することが可能となる。
なお、本実施形態に係る脚立1において、規制解除部材9が設けられた梯子体2が上側となる梯子状態とした場合に、規制解除部材9が自重で下方に位置する。このため、天板操作部93は近接する天板5の上端面よりも下側に位置し、踏桟操作部94は近接する踏桟4の上端面よりも下側に位置する(図5及び図6において天地を逆にした状態)。これにより、使用者が脚立1を梯子状態で使用する場合でも、天板操作部93又は踏桟操作部94が天板5及び踏桟4の上側で使用の障害とならないように構成している。
一方、脚立1を、規制解除部材9が設けられた梯子体2が下側となる梯子状態とした場合は、天板操作部93又は踏桟操作部94は図4に示す如く近接する天板5及び踏桟4よりも下側に位置する。即ち、この場合でも、天板操作部93又は踏桟操作部94が天板5及び踏桟4の使用の障害となることはない。
上記の如く、本実施形態に係る脚立1において、開き止め機構7が備える規制解除部材9は、脚立1が脚立状態の際に梯子体2・2における相対変位の規制を解除する。これにより、使用者が片手で規制解除部材9を操作するだけで、脚立1を脚立状態から閉状態に変形することが可能となる。即ち、使用者が道具を持っている等、両手を使用することが困難な状況でも、脚立1を容易に脚立状態から閉状態に変形することができる。
なお、規制解除部材9の係合部92は、第一アーム体7a又は第二アーム体7bの何れの下方に配置する構成とすることも可能である。即ち、係合部92が上方に変位してアーム部材を屈曲させる構成であれば、第一アーム体7a又は第二アーム体7bの何れの下方に係合部92を配置する構成でも差し支えない。
また、本実施形態に係る脚立1によれば、規制解除部材9は、摺動部91・91、係合部92・92、天板操作部93及び踏桟操作部94が台形状に一体的に組付けて構成される。これにより、脚立1の使用者は天板操作部93又は踏桟操作部94を一回操作するだけで、左右両側の開き止め機構7の規制を解除することができる。即ち、使用者が片手で規制解除部材9を操作するだけで脚立状態から閉状態とすることができるため、脚立1をより容易に脚立状態から閉状態とすることができる。
また、本実施形態に係る脚立1の規制解除部材9において、踏桟操作部94の中途部(本実施形態においては左右方向の中央部)には、開状態の際に近接する踏桟4の下面より下方に突出する突部94aが形成されている。これにより、使用者が規制解除部材9を引き上げる際に、踏桟操作部94の中央部近傍を持ち上げやすくなる。即ち、使用者が踏桟操作部94の端を持ち上げることによって規制解除部材9が傾斜し、規制解除部材9が円滑に変位できなくなることを抑制できる。
また、本実施形態に係る脚立1の規制解除部材9には、梯子体2に対する規制解除部材9の相対的な回転角度を規制する規制突起として、天板規制突起93a及び踏桟規制突起94bが形成される。具体的には図2から図4に示す如く、天板操作部93の両端部には、前方に突出する天板規制突起93a・93aが形成される。そして、図5及び図6に示す如く、使用者が規制解除部材9を引き上げる際に、天板規制突起93a・93aが天板5の下面に当接することにより、規制解除部材9の更なる上方への変位が規制される。
また、図2から図4に示す如く、踏桟操作部94の両端部には、前方に突出する踏桟規制突起94b・94bが形成される。そして、図5及び図6に示す如く、使用者が規制解除部材9を引き上げる際に、踏桟規制突起94b・94bが踏桟4の下面に当接することにより、規制解除部材9の更なる上方への変位が規制される。本実施形態においては、天板規制突起93a・93aと踏桟規制突起94b・94bとは、それぞれ同じタイミングで天板5及び踏桟4に当接するように形成されている。
また、使用者が規制解除部材9を引き上げる際に、規制解除部材9が梯子体2に対して相対的に回転(傾斜)した場合、天板規制突起93a・93a及び踏桟規制突起94b・94bの何れか一方側(例えば右側)が天板5及び踏桟4の下面に当接することにより、天板規制突起93a・93a及び踏桟規制突起94b・94bの他方側(同じく左側)が上方に変位する。即ち、天板規制突起93a・93a及び踏桟規制突起94b・94bは、何れか一方が天板5及び踏桟4の下面に当接することにより、梯子体2に対する規制解除部材9の相対的な回転角度を規制している。
本実施形態に係る脚立1によれば、一方の梯子体2にのみ規制解除部材9を設ける構成としたが、梯子体2・2の両方に規制解除部材9を設けることも可能である。この場合、前側と後側の何れの梯子体2においても規制解除部材9を操作することができる。
また、本実施形態に係る脚立1によれば、規制解除部材9を操作せずに、使用者が直接的に開き止め機構7を操作して、脚立1を脚立状態から閉状態とすることも可能である。具体的には、使用者が自らの手で回転連結部7dに対して下方から力を加え、回転連結部7dが上方に変位するように第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させる。これにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができ、脚立1が閉状態となる。このように、本実施形態に係る脚立1の使用者は、規制解除部材9と開き止め機構7との何れを操作した場合でも、脚立1を脚立状態から閉状態へと変形させることができる。
[規制解除部材9A(第一変形例)]
次に、図10及び図11を用いて、本実施形態に係る脚立1において規制解除部材9に代えて採用可能な、第一変形例に係る規制解除部材9Aについて説明する。なお、本変形例以降に記載する各変形例において、前記実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細な説明を省略する。
図10及び図11に示す如く、本変形例における規制解除部材9Aは棒状の枠部材を台形状に組付けて構成される。規制解除部材9Aは、一対の摺動部91・91と、摺動部91・91のそれぞれに形成される係合部92・92と、本発明に係る操作部の各実施態様である天板操作部95及び踏桟操作部94と、を備える。本変形例に係る規制解除部材9Aについて、天板操作部95以外については前記実施形態における規制解除部材9と同じ構成である。
図10に示す如く、本変形例における操作部の一実施態様である天板操作部95は、一対の摺動部91・91の上端部を互いに連結する。天板操作部95は摺動部91に連結される支持部95a・95aから後方に離間する位置に配置される。支持部95a・95aは、前記実施形態に係る天板操作部93と同様に、図示しない挿入部が形成される。そして、支持部95a・95aの挿入部がそれぞれの摺動部91における上側の被挿入孔91bに挿入されることにより、天板操作部95が摺動部91・91を連結する。
本変形例において、天板操作部95を摺動部91・91に組付ける際には、支持部95a・95aの挿入部を弾性変形させた状態で摺動部91の被挿入孔91bに挿入する。そして、挿入部に形成された円形突起95bを円形孔91dに嵌め込むことにより、天板操作部95が摺動部91・91に対して一体的に組付けられる。
本変形例に係る規制解除部材9Aを前側の梯子体2に対して組付ける際には、前記実施形態と同様に、摺動部91・91に形成された溝部91a・91aに支柱3における一の側板3sを挿入した状態で、天板操作部95及び踏桟操作部94により一対の摺動部91・91を連結する。これにより、規制解除部材9Aは梯子体2から離脱しないように組付けられる。
本変形例でも、脚立状態における規制解除部材9Aを操作することにより、脚立1を閉状態とすることができる。具体的には、使用者が天板5の上側から手を差し入れて、規制解除部材9Aの天板操作部95を引き上げて上方に変位させる。これにより、係合部92・92が上方に変位するため、係合部92・92が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
本変形例に係る規制解除部材9Aにおいて、天板操作部95は図11に示す如く、一対の梯子体2・2におけるそれぞれの天板5・5の間に、天板5・5の長手方向(左右方向)に沿って配置されている。このため、上記の如く使用者が規制解除部材9Aの天板操作部95を引き上げる際に、脚立1の前側の天板5の上側だけでなく、後側の天板5の上側からも手を差し入れて天板操作部95を引き上げることができる。即ち、本変形例に係る規制解除部材9Aによれば、使用者が前後どちらの側からでも操作できるため、脚立1を閉状態とする際の操作性を向上させることができる。
なお、本変形例に係る規制解除部材9A(後述する他の変形例に係る規制解除部材についても同様)においても前記実施形態と同様に、使用者が踏桟4の上側から手を差し入れて、規制解除部材9Aの踏桟操作部94を引き上げて上方に変位させることもできる。また、使用者が前側又は後側の天板5の下側から手を差し入れて、規制解除部材9Aの天板操作部93を持ち上げて上方に変位させることもできる。
[規制解除部材9B(第二変形例)]
次に、図12及び図13を用いて、第二変形例に係る規制解除部材9Bについて説明する。図12及び図13に示す如く、本変形例における規制解除部材9Bは棒状の枠部材を台形状に組付けて構成される。規制解除部材9Bは、一対の摺動部91・91と、摺動部91・91のそれぞれに形成される係合部92・92と、本発明に係る操作部の各実施態様である第一天板操作部96・第二天板操作部97及び踏桟操作部94と、を備える。本変形例に係る規制解除部材9Bについて、第一天板操作部96・第二天板操作部97以外については前記実施形態における規制解除部材9と同じ構成である。
図12に示す如く、本変形例における操作部の一実施態様である第一天板操作部96及び第二天板操作部97は、一対の摺動部91・91の上端部を互いに連結する。第一天板操作部96は摺動部91に連結される第一支持部98・98に支持される。第二天板操作部97は第一支持部98・98から後方に延出される第二支持部99・99に支持される。第一支持部98・98は、前記実施形態に係る天板操作部93と同様に、図示しない挿入部が形成される。そして、第一支持部98・98の挿入部がそれぞれの摺動部91における上側の被挿入孔91bに挿入されることにより、第一天板操作部96及び第二天板操作部97が摺動部91・91を連結する。
本変形例において、第一天板操作部96及び第二天板操作部97を摺動部91・91に組付ける際には、第一支持部98・98の挿入部を弾性変形させた状態で摺動部91の被挿入孔91bに挿入する。そして、挿入部に形成された円形突起98aを円形孔91dに嵌め込むことにより、第一天板操作部96及び第二天板操作部97が摺動部91・91に対して一体的に組付けられる。
本変形例に係る規制解除部材9Bを前側の梯子体2に対して組付ける際には、前記実施形態と同様に、摺動部91・91に形成された溝部91a・91aに支柱3における一の側板3sを挿入した状態で、第一天板操作部96・第二天板操作部97及び踏桟操作部94により一対の摺動部91・91を連結する。これにより、規制解除部材9Bは梯子体2から離脱しないように組付けられる。
本変形例でも、脚立状態における規制解除部材9Bを操作することにより、脚立1を閉状態とすることができる。具体的には、使用者が天板5の上側から手を差し入れて、規制解除部材9Bの第一天板操作部96又は第二天板操作部97を引き上げて上方に変位させる。これにより、係合部92・92が上方に変位するため、係合部92・92が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
上記の如く、本変形例に係る規制解除部材9Bにおいて、天板操作部(第一天板操作部96及び第二天板操作部97)は図13に示す如、一対の梯子体2・2におけるそれぞれの天板5・5に近接して、天板5・5の長手方向に沿って二本配置されている。このため、上記の如く使用者が規制解除部材9Bを引き上げる際に、脚立1の前側の天板5の上側からの第一天板操作部96の操作、及び、脚立1の後側の天板5の上側からの第二天板操作部97の操作のどちらも可能となる。即ち、本変形例に係る規制解除部材9Bによれば、使用者が前後どちらの側からでも操作できるため、脚立1を閉状態とする際の操作性を向上させることができる。
[規制解除部材19A~19C(第三~第五変形例)]
次に、図14から図17を用いて、第三~第五変形例に係る規制解除部材19A~19Cについて説明する。なお、以下の変形例に係る規制解除部材19A~19Cについて、構成、組付方法及び作用効果等、前記実施形態と同様の部分については詳細な説明を省略する。
図14及び図15に示す如く、第三変形例における規制解除部材19Aは棒状の枠部材を台形状に組付けて構成される。本変形例に係る規制解除部材19Aは、二個の摺動部191・191の間に係合部192を介挿したものを一対で構成し、この一対を本発明に係る操作部の各実施態様である天板操作部193及び踏桟操作部194で連結して構成される。
図15に示す如く、摺動部191は中空の棒状部材として構成される。摺動部191の外面には長手方向に沿って溝部191aが形成される。また、摺動部191の両端部は他の部材を挿入可能な被挿入孔191bが形成される。係合部192には上下両側に延出する挿入部192aが形成される。そして、挿入部192aがそれぞれの摺動部191における被挿入孔191bに挿入されることにより、二個の摺動部191の間に係合部192が介挿される。
それぞれの摺動部191は、前記実施形態に係る規制解除部材9と同様に、溝部191aに支柱3における後側の側板3sを挿入することにより、支柱3に対してアーム部材の近傍で長手方向にスライド変位可能に組付けられる。
図15に示す如く、操作部の一実施態様である天板操作部193は、上側の摺動部191・191の上端部を互いに連結する。天板操作部193には、両端部において下方に延出する挿入部193aが形成される。そして、挿入部193a・193aがそれぞれの摺動部191における上側の被挿入孔191bに挿入されることにより、天板操作部193が上側の摺動部191・191を連結する。
また、図15に示す如く、操作部の一実施態様である踏桟操作部194は、下側の摺動部191・191の下端部を互いに連結する。踏桟操作部194には、両端部において上方に延出する挿入部194bが形成される。そして、挿入部194b・194bがそれぞれの摺動部191における下側の被挿入孔91bに挿入されることにより、踏桟操作部194が下側の摺動部191・191を連結する。
本変形例でも、脚立状態における規制解除部材19Aを操作することにより、脚立1を閉状態とすることができる。具体的には、使用者が規制解除部材19Aを引き上げて上方に変位させる。これにより、係合部192・192が上方に変位するため、係合部192・192が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
本変形例に係る規制解除部材19Aによれば、二個の摺動部191・191の間に係合部192を介挿して構成している。このため、上下何れかの摺動部191を規制解除部材19Aから取り外すことにより、天板操作部193又は踏桟操作部194の何れかを設けない構成とすることができる。
具体的には図16(a)及び(b)に示す第四変形例の如く、規制解除部材19Bは棒状の枠部材をU字形状に組付けて構成される。本変形例に係る規制解除部材19Bは、摺動部191の上端部に係合部192設けたものを一対で構成し、この一対を本発明に係る操作部の実施態様である踏桟操作部194で連結して構成される。なお、本変形例において、係合部192の上側に形成される挿入部192aは図示を省略している。
また、図17(a)及び(b)に示す第五変形例の如く、規制解除部材19Cは棒状の枠部材を逆U字形状に組付けて構成される。本変形例に係る規制解除部材19Cは、摺動部191の下端部に係合部192設けたものを一対で構成し、この一対を本発明に係る操作部の実施態様である天板操作部193で連結して構成される。なお、本変形例において、係合部192の下側に形成される挿入部192aは図示を省略している。また、本変形例において、規制解除部材19Cは図示しない位置規制部によって、脚立1における所定の高さ位置から下方への変位が規制されるように構成されている。
上記の如く、第三変形例における規制解除部材19Aは、係合部192よりも上側又は下側を取り外すことができる。これにより、第四変形例に係る規制解除部材19B又は第五変形例に係る規制解除部材19Cの如く、操作部として天板操作部193と踏桟操作部194とのうち一方のみを備える構成とすることが可能となる。