JP7699053B2 - 食品組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
一般的な加糖練乳の製造においては生乳の受入れ、貯乳、標準化、荒煮、均質化、殺菌、濃縮、冷却、シーディング等の多数の工程を有する。また、これらに対応する設備が各々必要であり、特に生乳の受入れ、貯乳、濃縮工程においては大規模な設備・機器が必要になることがある。
例えば、乳製品製造の副産物として得られた液状ホエイに水、ショ糖、デキストリン、ミルクタンパク質濃縮物、ヤシ硬化油を加え、濃縮した練乳様ホエイ組成物が提案されている。(特許文献1)
製造工程を簡略化する方法として、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、ショ糖を原料として、多機能タンク等で高濃度原料混合することで、濃縮工程を削減し、加糖練乳と同等の官能特性、物性特性を有する練乳様乳製品の製造方法が提案されている。(特許文献2、特許文献3)
シーディング工程を削減する方法として、原料乳を膜処理し、乳糖を除去した濃縮乳を用いた製造方法が提案されている。(特許文献4)
溶解性を向上させることを目的とし、溶解水の量を多くすると、固形濃度が低下し、従来の加糖練乳と比較して、風味、性状が薄く貧弱なものとなる。また、水分活性が上昇することにより、微生物の増殖が促進され、保存性を損なう。低水分活性を維持した状態で適正な固形濃度を維持しつつ且つ溶解水を増やすことにより、練乳様の風味を保持したまま粉末溶解が容易になる。
<1>糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳を含む練乳様組成物であって、乳糖の含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下である、前記練乳様組成物。
<2>前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質の18重量%以上が、濃縮乳タンパク質粉末由来である、<1>に記載の練乳様組成物。
<3>前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質において、濃縮乳タンパク質粉末に由来する乳タンパク質と粉乳に由来する乳タンパク質の比率が、1:4~4:1である、<1>又は<2>に記載の練乳様組成物。
<4>植物油脂及び/又は糖類をさらに含む、<1>~<3>のいずれかに記載の練乳様組成物。
<5>溶解水に糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳を添加して混合し、練乳様ミックスを得る工程と、前記練乳様ミックスを殺菌し、練乳様組成物を得る工程と、を含む練乳様組成物の製造方法であって、前記練乳様組成物の乳糖の含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下である、前記製造方法。
<6>前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質の18重量%以上が、濃縮乳タンパク質粉末由来である、<5>に記載の練乳様組成物の製造方法。
<7>前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質において、濃縮乳タンパク質粉末に由来する乳タンパク質と粉乳に由来する乳タンパク質の比率が、1:4~4:1である、<5>又は<6>に記載の練乳様組成物の製造方法。
<8>シーディング工程を含まない、<5>~<7>のいずれかに記載の練乳様組成物の製造方法。
<1>糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳を含む練乳様組成物であって、乳糖の含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下である、前記練乳様組成物。
<2>前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質の18重量%以上が、濃縮乳タンパク質粉末由来である、<1>に記載の練乳様組成物。
<3>前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質において、濃縮乳タンパク質粉末に由来する乳タンパク質と粉乳に由来する乳タンパク質の比率が、1:4~4:1である、<1>又は<2>に記載の練乳様組成物。
<4>植物油脂及び/又は糖類をさらに含む、<1>~<3>のいずれかに記載の練乳様組成物。
<5>練乳様組成物基準で、糖アルコール1~30重量%、濃縮乳タンパク質粉末1~20重量%、粉乳1~30重量%、及び水分20~60重量%を含む練乳様組成物であって、乳糖の含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下である、<1>~<4>のいずれかに記載の練乳様組成物。
<6>濃縮乳タンパク質粉末が、乳タンパク質50~99重量%、乳糖0.01~8重量%、及び水分0~8重量%を含む、<1>~<5>のいずれかに記載の練乳様組成物。
<7>粉乳が、乳タンパク質10~50重量%、乳糖10~80重量%、及び水分0~8重量%を含む、<1>~<6>のいずれかに記載の練乳様組成物。
<8>糖アルコールが、グリセリン、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、イノシトール、D-トレイトール、L-トレイトール、D-アラビニトール、及びL-アラビニトールから成る群から選択される1つ以上である、<1>~<3>のいずれかに記載の練乳様組成物。
<9>練乳の含量が、練乳様組成物基準で50重量%以下、好ましくは30重量%以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の練乳様組成物。
<10>濃縮乳タンパク質粉末が、乳タンパク質濃縮物、ホエイタンパク質濃縮物、分離ホエイタンパク質、及び分離乳タンパク質から成る群から選択される1つ以上である、<1>~<9>のいずれかに記載の練乳様組成物。
<11>溶解水に糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳を添加して混合し、練乳様ミックスを得る工程と、前記練乳様ミックスを殺菌し、練乳様組成物を得る工程と、を含む練乳様組成物の製造方法であって、前記練乳様組成物の乳糖の含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下である、前記製造方法。
<12>前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質の18重量%以上が、濃縮乳タンパク質粉末由来である、<11>に記載の練乳様組成物の製造方法。
<13>前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質において、濃縮乳タンパク質粉末に由来する乳タンパク質と粉乳に由来する乳タンパク質の比率が、1:4~4:1である、<11>又は<12>に記載の練乳様組成物の製造方法。
<14>シーディング工程を含まない、<11>~<13>のいずれかに記載の練乳様組成物の製造方法。
<15>前記練乳様組成物が、練乳様組成物基準で、糖アルコール1~30重量%、濃縮乳タンパク質粉末1~20重量%、粉乳1~30重量%、及び水分20~60重量%を含む、<11>~<14>のいずれかに記載の練乳様組成物の製造方法。
<16>濃縮乳タンパク質粉末が、乳タンパク質50~99重量%、乳糖0.01~8重量%、及び水分0~8重量%を含む、<11>~<15>のいずれかに記載の練乳様組成物の製造方法。
<17>粉乳が、乳タンパク質10~50重量%、乳糖10~80重量%、及び水分0~8重量%を含む、<11>~<16>のいずれかに記載の練乳様組成物の製造方法。
<18>糖アルコールが、グリセリン、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、イノシトール、D-トレイトール、L-トレイトール、D-アラビニトール、及びL-アラビニトールから成る群から選択される1つ以上である、<11>~<17>のいずれかに記載の練乳様組成物の製造方法。
<19>前記練乳様組成物における練乳の含量が、練乳様組成物基準で50重量%以下、好ましくは30重量%以下である、<11>~<18>のいずれかに記載の練乳様組成物の製造方法。
(糖アルコール)
本明細書において糖アルコールとは、糖類(例えば、単糖類、二糖類など)を還元することにより生成される、アルコール基(OH基)をもつ糖質を意味する。糖アルコールを練乳様組成物に添加することで、水分活性を減少させつつ水分値を上げることが可能となるため、粉末原料の溶解性を向上させることができる。また、糖アルコールを練乳様組成物に添加することで、水分活性を減少させつつ水分値を上げることが可能となるため、微生物の発生を防止することができ、したがって常温保存が可能となる。また、加糖練乳と同等の固形分濃度の場合、糖質濃度が高くなり、高カロリー食品となるが、糖アルコールを使用することで全体の固形分を減少させてカロリーの低下を図ることができる。
本明細書において濃縮乳タンパク質粉末とは、乳糖が除去された、乳タンパク質を主成分とする粉末原料である。濃縮乳タンパク質粉末においては、膜処理等の手段又は操作により、乳糖が除去されている。濃縮乳タンパク質粉末において、乳タンパク質含量は、例えば、50~99重量%、60~99重量%、70~99重量%、又は80~99重量%であることができる。濃縮乳タンパク質粉末において、乳糖含量は、例えば、0.01~8重量%、より好ましくは0.1~4重量%であることができる。濃縮乳タンパク質粉末の水分は、0~8重量%であることができる。濃縮乳タンパク質粉末は、灰分、脂質分等を含みうる。ただし、灰分や脂質分の含有量が少ない方が好ましい。この場合において、乳タンパク質含量は、好ましくは70~99重量%、より好ましくは80~99重量%であることができる。
WPCは、ホエイから乳糖、ミネラル、及びビタミンを分離してホエイタンパク質を回収・粉末化したものである。WPCは、チーズホエイや酸ホエイ等の、ホエイタンパク質を含む乳由来の液体を限外濾過膜や透析濾過膜(Dia-filtration)等の濾過膜で処理することにより、ホエイタンパク質を濃縮及び乾燥することで製造される。WPIはWPCと同様の工程で調製されるが、WPIは、イオン交換クロマトグラフィー等によってホエイ中のタンパク質のみを濃縮して分離したものであり、一般的にWPCよりもタンパク質含有量が高い。
濃縮乳タンパク質粉末は、以下に限定されるものではないが、練乳様組成物の風味及び物性を考慮して、練乳様組成物中の濃縮乳タンパク質粉末由来の乳タンパク質が、1.5~15重量%、好ましくは1.5~10重量%、より好ましくは1.5~8重量%となるように、練乳様組成物に添加することができる。
粉末乳原料を使用することにより、原料コストが比較的安価となり、原料調達、原料保管、及びハンドリング性も簡便となる。
本明細書において粉乳とは、乳糖除去処理をされていない、乳を原料とする粉末原料であり、全脂粉乳、脱脂粉乳、及びホエイパウダー等が挙げられる。
粉乳において、乳タンパク質含量は、例えば、10~50重量%、10~45重量%、10~40重量%、又は10~38重量%であることができる。粉乳において、乳糖含量は、例えば、10~80重量%、20~65重量%、30~65重量%、又は35~60重量%であることができる。粉乳の水分は、0~8重量%であることができる。粉乳は、灰分、脂質分等を含みうる。ただし、灰分や脂質分の含有量が少ない方が好ましい。この場合において、乳糖含量は、好ましくは35~80重量%、より好ましくは40~70重量%、さらに好ましくは50~60重量%であることができる。
粉乳の配合量は、以下に限定されるものではないが、練乳様組成物の風味及び物性並びに粉乳からの乳糖持ち込み量を考慮して、練乳様組成物基準で、1~30重量%、好ましくは2~20重量%、より好ましくは3~20重量%である。
粉乳は、以下に限定されるものではないが、練乳様組成物の風味及び物性並びに粉乳からの乳糖持ち込み量を考慮して、練乳様組成物中の粉乳由来の乳タンパク質が、3.0~20重量%、好ましくは3.0~18重量%、より好ましくは3.0~15重量%となるように、本発明の練乳様組成物に添加することができる。
本発明の練乳様組成物に含まれる乳タンパク質の量は、以下に限定されるものではないが、練乳様組成物基準で、例えば1~30重量%、好ましくは2~20重量%、より好ましくは3~15重量%、最も好ましくは5.0~10重量%である。練乳様組成物に含まれる乳タンパク質の量の測定には、ケルダール法を用いることができる。ケルダール法は窒素定量換算法の一つで、試料に含まれる窒素の量を化学的処理により求める分析方法である。
本発明の製造方法により製造される練乳様組成物では、練乳様組成物の風味及び物性並びに粉乳からの乳糖持ち込み量を考慮して、好ましくは含まれる乳タンパク質の18重量%以上、より好ましくは18重量%~80重量%、さらに好ましくは18重量%~60重量%、さらに一層好ましくは20重量%~50重量%が濃縮乳タンパク質粉末由来である。
本発明の練乳様組成物に含まれる乳タンパク質において、濃縮乳タンパク質粉末に由来する乳タンパク質と粉乳に由来する乳タンパク質の比率(濃縮乳タンパク質粉末に由来する乳タンパク質:粉乳に由来する乳タンパク質)は、練乳様組成物の風味、色調、及び物性並びに粉乳からの乳糖持ち込み量を考慮して、重量換算で、好ましくは1:4~4:1であり、より好ましくは1:3~3:1であり、さらに好ましくは1:3~2:1であり、最も好ましくは1:3~1:1である。
本発明の練乳様組成物は、必要に応じて、乳タンパク質以外のタンパク質源、例えば大豆等の植物由来タンパク質を含むことができるが、含まないことが好ましい。具体的には、乳タンパク質以外のタンパク質が、本発明の練乳様組成物中のタンパク質の量において10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
本発明の練乳様組成物には、液状乳(牛乳、脱脂乳、及び濃縮乳などの液状の乳)を原料として添加してもよいが、添加しない方が好ましい。
本明細書において乳糖とは、乳の中に含まれている二糖類であり、D-グルコース(ブドウ糖)とD-ガラクトースが結合した構造を有する。本発明の製造方法により製造される練乳様組成物では、水中乳糖濃度が21重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、最も好ましくは15重量%以下である。水中乳糖濃度の下限は、0.01重量%以上、又は0.1重量%以上であることができる。練乳様組成物中の水中乳糖濃度は、レイン-エイノン法により測定することができる。具体的な手順としては、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」の「(七)乳等の成分規格の試験法」の「7 乳製品の糖分の定量法」の「a 乳糖の定量法」に記載のレイン・エイノン法に従い行うことができる。
本発明の練乳様組成物では、乳糖含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下であることを特徴とする。練乳様組成物中で、乳糖は、練乳様組成物中の水分に溶解した状態で存在しており、乳糖の溶解度には水分量と乳糖量とが関係するため、水分を基準とした濃度で表している。なお、「水中乳糖濃度(重量%)」は、[組成物中の乳糖の重量/(組成物中の乳糖の重量+組成物中の水の重量)×100]により算出される。
練乳における脂肪分は練乳特有の濃厚感、物性付与に寄与しているが、生乳由来の乳脂肪は高価である。その代替として、安価な油脂原料、好ましくは植物油脂原料を使用することができる。乳脂を脂肪分を付与する原料として使用することもできる。比較的安価で、融点が低く、低温化でも結晶化しない、且つ、味や臭いにクセのないことを考慮して、菜種サラダ油及び大豆サラダ油などのサラダ油を使用することが好ましい。
上記油脂原料は、本発明の練乳様組成物に0~10重量%含まれることが好ましく、1~10重量%含まれることがより好ましく、2~8重量%含まれることがさらに好ましい。脂質量が少ないほどカロリーの低減につながるが、濃厚感の欠如、増粘現象の原因となりうることに留意する必要がある。
本発明の練乳様組成物は、糖類を、好ましくは練乳様組成物基準で5~60重量%含むことができる。本明細書において練乳様組成物に含まれる「糖類」とは、前述の乳糖を除く、単糖類、二糖類、及び多糖類を意味する。糖アルコールは、糖類には含まれない。単糖類としては、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、マンノース、又はフルクトースなどを使用することができる。二糖類としては、スクロース、マルトース、トレハロース、又はセロビオースなどを使用することができる。三糖類としては、ラフィノースおよびマルトトリオースなどを使用することができる。多糖類としてはデキストリン等を使用することができる。甘味付与及び粘度調整のためにデキストリンを配合することが好ましい。ショ糖と比較して甘味度の低い糖質(デキストリン等)を併用することで、甘さを抑えたすっきりとした風味を有することが可能となる。また、デキストリンは、デキストリンはDE10~25のものを1種あるいは2種以上選択することができる。DEとはデキストロース当量のことであり、デンプンの糖化率を指す。グルコースを100とした値であり、この値が小さいほど甘味度が小さく、粘度が高くなる傾向がある。デキストリンは1種あるいは2種以上配合することで、適正な甘味度、粘度、濃厚感を調整することが可能である。
本発明の練乳様組成物では、トレハロースなど種々の糖類を組み合わせることが好ましい。種々の糖類を組み合わせることで、すっきりとした甘みや適正な物性を付与することができる。
本発明の練乳様組成物では、油脂の乳化安定のために、1種あるいは2種以上の乳化剤を配合することができる。乳化剤としては食品に用いられるものを適宜採用できる。乳化剤の練乳様組成物における配合量は、油脂の乳化安定を考慮して適宜選択できる。
本発明の練乳様組成物には、ショ糖、デキストリン、及びトレハロースなどの糖類が、好ましくは10~60重量%、より好ましくは20~50重量%、さらに好ましくは30~50重量%、最も好ましくは35~45重量%含まれる。
本発明の練乳様組成物は、練乳様組成物基準で、水分を20~60重量%、好ましくは20~50重量%、より好ましくは25~45重量%、さらに好ましくは30~45重量%含むことができる。
練乳とは牛乳及び脱脂乳などを濃縮したものである。練乳は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(略して乳等省令)では無糖練乳、加糖練乳、無糖脱脂練乳、及び加糖脱脂練乳に分類される。
本発明の練乳様組成物は、原料として濃縮乳タンパク質粉末及び粉乳等を含んでいる。したがって、本発明の練乳様組成物は、乳等省令上の練乳には該当しないが、練乳と同様の風味、外観、及び物性を有する「練乳様組成物」である。
本発明の練乳様組成物は、原料として練乳を含むことができるが、風味及びカロリーの関係から、含まないあるいは実質的に含まないことが好ましい。具体的には、本発明の練乳様組成物における練乳の含量は、練乳様組成物基準で50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下であることができる。
本発明の練乳様組成物は、粘度が、20℃においてHAAKE VT550(HAAKE社製)、ローターVIIStを用い、せん断速度を0s-1→(2min)→200s-1→(2min)→0s-1とした時の最大値が、500mPa・s~5000mPa・sとなることが好ましい。
本発明の練乳様組成物は、好ましくは、加糖練乳様又は加糖脱脂練乳様組成物である。
本発明の練乳様組成物は、低温保存時においても乳糖の粗大結晶の発生を防止することができる。溶媒に溶解した乳糖の溶解度は、低温になるほど小さくなる。したがって、低温保存時の方が、乳糖の粗大結晶の生成により、食感が悪化しやすい。練乳及び練乳様組成物では、常温流通が可能であれば便利であるが、家庭や店舗において開封された後は、保存性向上のために冷蔵庫等において保存されることが多い。また、常温流通が可能ではあっても、店舗や配送車の事情により、冷蔵状態で流通することもある。したがって、練乳及び練乳様組成物では、常温保存時及び低温保存時の両方における保存性が要求される。
本明細書において、「常温」で保存するとは、25±1℃で保存することを意味する。
本明細書において、「低温」で保存するとは、5±1℃で保存することを意味する。
本発明の練乳様組成物は、常温及び低温のいずれにおいても良好な保存性を有することができる。「良好な保存性を有する」とは、例えば、25±1℃で7日間又は5±1℃で7日間のいずれの環境においても、乳糖の粗大結晶を検出しないことである。
(練乳様ミックスを得る工程)
本発明の練乳様組成物の製造方法は、溶解水に糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳を添加して混合し、練乳様ミックスを得る工程を含む。練乳様ミックスを得る工程では、練乳様ミックスの乳糖含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下となるように、溶解水、糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳を混合する。溶解温度は、製造量、製造設備、原料の種類等に応じて適宜調整することができる。糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳としては、前述のものを使用することができる。本発明の練乳様組成物の製造方法では、粉末の糖アルコールを用いてもよく、液体の糖アルコールを用いてもよい。
本発明の練乳様組成物の製造方法は、練乳様ミックスを殺菌し、練乳様組成物を得る工程を含む。本明細書において「殺菌」とは、加熱等により、練乳様ミックス中に存在する微生物を減少させる又は完全に死滅させることを意味する。乳化機では、混合粉末原料、植物油脂、糖アルコール、及び水等を投入し、予備混合・乳化することができる。殺菌前に、50~60℃の温度条件下で予備混合・乳化することが好ましい。
予備混合・乳化したミックスは85~95℃下で90~150秒殺菌することができる。殺菌処理は、混合・乳化後、プレート式熱交換器、チューブ式熱交換器、スチームインジェクション式殺菌機、スチームインフュージョン式殺菌機、通電加熱式殺菌機等で行うことができる。充填した後にレトルト殺菌を行うこともできる。なお、前記殺菌方法、殺菌時間、及び殺菌温度は一例であり、当業者であれば練乳様組成物の配合、容器等を考慮して、適宜殺菌方法、殺菌時間、及び殺菌温度を調整することができる。殺菌後、冷却して練乳用組成物を得ることができる。
本明細書においてシーディング工程とは、核となる乳糖を外部から添加することにより、微細な乳糖結晶をあらかじめ析出させ、保存中や流通過程において粗大結晶が生成しないようにする処理のことである。シーディング工程は、粉砕乳糖を所定の温度で練乳様組成物に添加して、乳糖析出温度(20~35℃)まで冷却することにより行うことができる。
本発明の練乳様組成物の製造方法では、シーディング工程を含んでもよいが、製造工程の簡略化の観点から、含まないことが好ましい。
本明細書において液状乳とは、液体の状態で練乳用組成物に添加するための乳原料であり、牛乳、脱脂乳、及び濃縮乳が含まれる。
液状乳は調達元に制約があり、比較的高価である。また、更には受入れや保管に冷蔵設備が必要であり、設備投資及び輸送に非常にコストがかかる。また、水分を多量に含むことから、濃縮工程が必須となる可能性もある。
本発明の練乳用組成物の製造方法では、液状乳を溶解水に添加する工程を含んでもよいが、コスト削減及び工程簡略化の観点から、含まないことが好ましい。
本発明の製造方法により製造されるものは、原料として濃縮乳タンパク質粉末及び粉乳等を含んでいる。したがって、本発明の製造方法により製造されるものは、乳等省令上の練乳には該当しないが、練乳と同様の風味、外観、及び物性を有する「練乳様組成物」である。
本発明の練乳用組成物の製造方法では、練乳を添加する工程を含んでもよいが、コスト削減及び工程簡略化の観点から、含まないことが好ましい。
一般的な加糖練乳の製造工程は複雑且つ、非常に多数の工程を有しており、大規模な製造ラインの設置が必要である。また、上記事由により製造コストが高くなる傾向にある。そのため、より工程を簡略化した製造方法が求められる。
脱脂粉乳420g、乳タンパク質濃縮物(MPC)158g、ショ糖385g、デキストリン595g、トレハロース350g、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステルおよびコハク酸脂肪酸モノグリセライド)8gを粉末状態で混合し、粉末原料を得た。粉末原料、菜種サラダ油140g、グリセリン280g、水760gを乳化機に投入し、スチームインジェクションにて加熱し、60℃到達後、10分間溶解した。溶解後、香料を添加し、更にスチームインジェクションによる加熱処理を行い、88~95℃で120秒間殺菌し、加糖練乳様組成物を得た。尚、トータル加水量は1150~1200gに調整し、撹拌機の回転数は1800rpmとした。
パネラー5人で官能検査を実施したところ、実施例1の方法で調製した加糖練乳様組成物は、比較例1の濃縮法で調製した加糖練乳様組成物と同等の風味、色沢及び粘度であった。また、常温(25℃)及び冷温(5℃)で7日間保存しても、乳糖の結晶は発生しておらず、風味と色沢に関しても、いずれも変化がなかった。
脱脂粉乳420g、乳タンパク質濃縮物(MPC)70g、ショ糖438g、デキストリン630g、トレハロース350g、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステルおよびコハク酸脂肪酸モノグリセライド)8gを粉末状態で混合し、粉末原料を得た。菜種サラダ油140g、グリセリン280g、水720gを乳化機に投入し、スチームインジェクションにて加熱し、60℃到達後、10分間溶解した。溶解後、香料を添加し、更にスチームインジェクションによる加熱処理を行い、88~95℃で120秒間殺菌し、加糖練乳様組成物を得た。尚、トータル加水量は1150~1200gに調整し、撹拌機の回転数は1800rpmとした。
パネラー5人で官能検査を実施したところ、実施例2の方法で調製した加糖練乳様組成物は、比較例1の濃縮法で調製した加糖練乳様組成物と比較して、食感は良好であった。許容可能な範囲であるが、風味は少しミルク感とコクに欠け、色沢は少し希薄であった。また、常温(25℃)及び冷温(5℃)で7日間保存しても、乳糖の結晶は発生しておらず、風味と色沢に関しても、いずれも変化がなかった。
脱脂粉乳420g、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)158g、ショ糖427g、デキストリン543g、トレハロース350g、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステルおよびコハク酸脂肪酸モノグリセライド)8gを粉末状態で混合し、粉末原料を得た。粉末原料、菜種サラダ油140g、グリセリン280g、水720gを乳化機に投入し、スチームインジェクションにて加熱し、60℃到達後、10分間溶解した。溶解後、香料添加し、更にスチームインジェクションによる加熱処理を行い、88~95℃で120秒間殺菌し、加糖練乳様組成物を得た。尚、トータル加水量は1150~1200gに調整し、撹拌機の回転数は1800rpmとした。
パネラー5人で官能検査を実施したところ、実施例3の方法で調製した加糖練乳様組成物は、比較例1の濃縮法で調製した加糖練乳様組成物と比較して、ややホエイ由来のグラッシーな風味を有していたが、加糖練乳様組成物として許容可能な風味であった。色沢、粘度は加糖練乳と同等のレベルであった。また、常温(25℃)及び冷温(5℃)で7日間保存しても、乳糖の結晶は発生しておらず、風味と色沢に関しても、いずれも変化がなかった。
脱脂粉乳167g、ショ糖41g、デキストリン80g、トレハロース67g、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよび大豆レシチン)1.3gを粉末状態で混合し、粉末原料を得た。粉末原料、菜種サラダ油33g、グリセリン53gを水1557gに60℃で溶解した。溶解後、均質処理(均質圧50kgf)を行い、80~90℃下で10分間殺菌処理を実施した。殺菌処理後、水冷し、減圧条件下で水分を蒸発させ、Brixが21.5から63.9になるまで濃縮した。濃縮後、香料添加とシーディング操作を実施し、加糖練乳様組成物を得た。
パネラー5人で官能検査を実施したところ、得られた加糖練乳様組成物はすっきりとした甘さと乳感を有した良好な風味であった。
色沢、粘度も加糖練乳と同等のレベルであった。
シーディング操作を実施することで、常温(25℃)及び冷温(5℃)で7日間保存しても、乳糖の粗大結晶は認められなかった。
脱脂粉乳770g、ショ糖1,330g、トレハロース350g、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステルおよびコハク酸脂肪酸モノグリセライド)8gを粉末状態で混合し、粉末原料を得た。菜種サラダ油140g、水500gを乳化機に投入し、スチームインジェクションにて加熱し、60℃到達後、10分間溶解した。溶解後、香料添加し、更にスチームインジェクションによる加熱処理を行い、88~95℃で120秒間殺菌し、加糖練乳様組成物を得た。尚、トータル加水量は900~950gになるように調整し、撹拌機の回転数は1800rpmとした。
パネラー5人で官能検査を実施したところ、得られた加糖練乳様乳製品は加糖練乳様の色沢を有していた。また、許容可能な範囲ではあるが、甘味が強く、濃厚な風味を有していた。粘度は19900mPa・sであり、加糖練乳と比較すると非常に高粘度であった。常温(25℃)及び冷温(5℃)で7日間保存すると、多量の乳糖の粗大結晶が発生しており、口中でのざらつきが強く、食感が損なわれていた。
脱脂粉乳770g、ショ糖385g、デキストリン385g、トレハロース350g、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステルおよびコハク酸脂肪酸モノグリセライド)8gを粉末状態で混合し、粉末原料を得た。菜種サラダ油140g、グリセリン280g、水720gを乳化機に投入し、スチームインジェクションにて加熱し、60℃到達後、10分間溶解した。溶解後、香料添加し、更にスチームインジェクションによる加熱処理を行い、88~95℃で120秒間殺菌し、加糖練乳様組成物を得た。尚、トータル加水量は1150~1200gに調整し、撹拌機の回転数は1800rpmとした。
パネラー5人で官能検査を実施したところ、得られた加糖練乳様組成物はすっきりとした甘さと乳感を有した良好な風味であった。色沢、粘度は加糖練乳と同等のレベルであった。
常温(25℃)及び冷温(5℃)で7日間保存すると、一部、乳糖の粗大結晶が認められ、食感不良が認められた。
脱脂粉乳648g、乳タンパク質濃縮物(MPC)56g、ショ糖420g、デキストリン434g、トレハロース350g、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステルおよびコハク酸脂肪酸モノグリセライド)8gを粉末状態で混合し、粉末原料を得た。菜種サラダ油140g、グリセリン280g、水720gを乳化機に投入し、スチームインジェクションにて加熱し、60℃到達後、10分間溶解した。溶解後、香料添加し、更にスチームインジェクションによる加熱処理を行い、88~95℃で120秒間殺菌し、加糖練乳様組成物を得た。尚、トータル加水量は1150~1200gに調整し、撹拌機の回転数は1800rpmとした。
パネラー5人で官能検査を実施したところ、得られた加糖練乳様組成物はすっきりとした甘さと乳感を有した良好な風味であった。色沢、粘度は加糖練乳と同等のレベルであった。
常温(25℃)及び冷温(5℃)で7日間保存すると、常温下での食感は良好であったが、冷蔵下では一部、乳糖の粗大結晶が認められ、食感不良が認められた。
なお、本願は、2019年9月11日付で出願された日本国特許出願(特願2019-165012)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
Claims (6)
- 糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳を含む練乳様組成物製造用の混合物であって、乳糖の含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下であり、
前記練乳様組成物製造用の混合物に含まれる乳タンパク質の量が、前記練乳様組成物製造用の混合物基準で5.0~30重量%であり、
前記練乳様組成物製造用の混合物に含まれる乳タンパク質において、濃縮乳タンパク質粉末に由来する乳タンパク質と粉乳に由来する乳タンパク質の比率が、1:4~4:1である、
前記練乳様組成物製造用の混合物。 - 前記練乳様組成物製造用の混合物に含まれる乳タンパク質の18重量%以上が、濃縮乳タンパク質粉末由来である、請求項1に記載の練乳様組成物製造用の混合物。
- 植物油脂及び/又は糖類をさらに含む、請求項1又は2に記載の練乳様組成物製造用の混合物。
- 溶解水に糖アルコール、濃縮乳タンパク質粉末、及び粉乳を添加して混合し、練乳様ミックスを得る工程と、前記練乳様ミックスを殺菌し、練乳様組成物を得る工程と、を含む練乳様組成物の製造方法であって、前記練乳様組成物の乳糖の含量が、水中乳糖濃度で21重量%以下であり、
前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質の量が、前記練乳様組成物基準で5.0~30重量%であり、
前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質において、濃縮乳タンパク質粉末に由来する乳タンパク質と粉乳に由来する乳タンパク質の比率が、1:4~4:1である、
前記製造方法。 - 前記練乳様組成物に含まれる乳タンパク質の18重量%以上が、濃縮乳タンパク質粉末由来である、請求項4に記載の練乳様組成物の製造方法。
- シーディング工程を含まない、請求項4又は5に記載の練乳様組成物の製造方法。
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