JP7699743B2 - 固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料、固体高分子型燃料電池用触媒層、及び燃料電池 - Google Patents
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Description
H2→2H++2e- (E0=0V)
O2+4H++4e-→2H2O (E0=1.23V)
非特許文献1では、多孔質カーボンブラックの内部に形成した細孔内に担持された触媒金属は触媒層中で共存するアイオノマーの被覆による反応阻害(被毒)を受けないので高活性であることが報告されている。
特許文献1では、平均粒子径が20~100nmであり、多孔質カーボンブラックの空孔直径4~20nmの空孔容積が0.23~0.78cm3/gの多孔質カーボンブラックが提案されている。
特許文献2では、カーボンブラックを多孔質化し、表面積を増加する方法として、流動床にてカーボンブラック出発材料と酸化剤とを接触させる方法が提案されている。
特許文献3では耐久性を付与するために300~700m2/gのBET比表面積を有し、かつ結晶子サイズLcが2.0nm以上である高結晶性カーボンブラックが提案されている。
特許文献4では、Lc(002)が2.0nm以上、ラマン分光法によるカーボン表面のスペクトルにおけるG-band(1590cm-1)のピーク面積に対するD1-band(1350cm-1)のピーク面積の比D/Gが0.5~2.5、メソ孔を含む細孔を有し、メソ孔容積が0.35~1.3cm3/gの多孔質カーボンが提案されている。
特に正極に用いられる多孔質カーボンブラックは、酸素が含まれる空気や水の中で高電位になるため炭素の酸化消耗が進む。これを抑制するために、特許文献3~4では、多孔質カーボンブラックを高温で熱処理して炭素の結晶性を高める。
特許文献2:特開2017-052967号公報
特許文献3:特許6478677号公報
特許文献4:国際公開第17/208742号
特許文献3では、多孔質カーボンブラックを熱処理することによって、多孔質化による高い発電性能と、高結晶化による高耐久化の両立が提案されている。しかし、本発明者らの追試験によると、提案されている構成要件だけでは高いレベルで耐久性と低加湿性能を両立することは難しかった。
<1>
下記要件(A)、(B)、(C)及び(D)を満たす多孔質賦活カーボンブラックからなる固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料。
(A)平均一次粒子径が30nm超え100nm以下である。
(B)BET比表面積が350m2/g以上800m2/g以下である。
(C)XRD(X‐ray diffraction)測定により得られるXRDスペクトルにおいて、回折角2θ=20°~26.5°の間のピークを解析して得られるLc(002)が1.7nm以上4.0nm以下である。
(D)XRD(X‐ray diffraction)測定により得られるXRDスペクトルにおいて、回折角2θ=70°~80°の間のピークを解析して得られるLa(110)が3.5nm以下である。
<2>
さらに、下記要件(E)を満たす<1>に記載の固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料。
(E)前記Lc(002)と前記La(110)との比(Lc(002)/La(110))が0.6以上1.2以下である。
<3>
前記平均一次粒子径が40nm以上100nm以下である<1>又は<2>に記載の固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料。
<4>
<1>~<3>のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料を含む固体高分子型燃料電池用触媒層。
<5>
<4>に記載の固体高分子型燃料電池用触媒層を含む燃料電池。
<6>
前記固体高分子型燃料電池用触媒層は、カソード側の触媒層である<5>に記載の燃料電池。
本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されるのであれば、本用語に含まれる。
本開示において、燃料電池の触媒層に用いられる「プロトン伝導性を有する電解質材料」は「アイオノマー」とも称する。
本開示の固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料は、後述する要件(A)、(B)、(C)及び(D)を満たす多孔質賦活カーボンブラックからなる。
ここで、多孔質賦活カーボンブラックとは、賦活により多孔質化したカーボンブラックである。なお、多孔質賦活カーボンブラックを「多孔質カーボンブラック」とも称する。
(1) 触媒金属が微分散できて高い発電性能が得られるように、比表面積が内部細孔を持つ程度に高いこと
(2) 高い耐久性が得られるように、Lc(002)が一定以上の大きさを持つこと。
(3) 高い低加湿性能を得るためには、一定以上のエッジ密度が必要であり、そのためにはLa(110)が一定以上に大きくならないようにすること
過程で複数個が融着して数珠つなぎになり、アグリゲートと呼ばれる立体構造をとる。
この立体構造は、カーボンブラックを燃料電池の触媒担体として使用したときに触媒層においてアグリゲート間に空隙のネットワークを生じる。この空隙のネットワークは、発電時にアノードであれば水素、カソードであれば空気中の酸素及び生成した水を拡散する役割を果たす。
比較的大きな平均一次粒子径(30nm超)を持つ原料カーボンブラックを、「第一賦活」、「黒鉛化」、「第二賦活」の順で処理し、「第一賦活」では加圧して流速を微変動しながら低温でゆっくり賦活すると、上記構造上の要件を満たすようになる。特に第一賦活において、加圧して流速を微変動することにより、大きな粒子であっても結晶子間に存在する「結晶性の低い部分」を酸化消耗でき、酸化消耗により生じた欠陥(孔)の中の雰囲気を賦活ガスに速やかに置換できるため、大きな粒子であっても効率的に多孔質化できたものと推定している。
また、このような方法で比較的大きな平均一次粒子径(30nm超)を、持つカーボンブラックに対して第一賦活を行うと、続いて行う黒鉛化で過度の熱処理を行わなくても、必要な耐久性を担保できる。比較的大きな平均一次粒子径(30nm超)を、持つカーボンブラックを用いることで過度の熱処理を行わなくてもLc(002)が大きくできるので耐久性を担保でき、比較的低温の黒鉛化によりLa(110)の成長を抑制できるので低加湿性能の低下を抑制できたものと推定している。
ここで、さらに高い耐久性と低加湿性能とを両立する観点から、本開示の触媒担体用炭素材料は、要件(A)、(B)、(C)及び(D)に加え、要件(E)を満たすことが好ましい。
(A)平均一次粒子径が30nm超え100nm以下である。
多孔質カーボンブラックの平均一次粒子径が30nm超え100nm以下であれば、総走行距離が比較的短いHDV用途で求められる耐久性を得ることができる。
多孔質カーボンブラックの平均一次粒子径が30nm以下になると耐久性が低く、ほとんどのHDV用途に適さなくなる。
多孔質カーボンブラックの平均一次粒子径が40nm以上100nm以下であれば、総走行距離が比較的長いHDV用途も含めて求められる耐久性を得ることができるのでより好ましい。
一方、多孔質カーボンブラックの平均一次粒子径が100nm超になると、実質的に要件(B)~(E)を満たす多孔質カーボンブラックの構造が得られにくくなることが想定され好ましくない。
(B)BET比表面積が350m2/g以上800m2/g以下である。
多孔質カーボンブラックのBET比表面積が350m2/g以上800m2/g以下であれば、担持される触媒金属を実用的な範囲で狙いの担持率と粒子径で分散性良く担持でき、多孔質カーボンブラックが燃料電池に求められる耐久性を得るために必要な結晶子構造をとることができるので好ましい。
多孔質カーボンブラックのBET比表面積が350m2/g未満であると、触媒金属の担持率を大きくすると触媒金属粒子径が大きくなったり、触媒金属粒子同士が凝集して、高い電池性能が得づらくなる。
多孔質カーボンブラックのBET比表面積が800m2/g以上であると高い発電性能は得られるものの、多孔質カーボンブラックが耐久性を保つために必要な結晶子構造が得られなくなる傾向にあり、高い耐久性と低加湿性能との両立が難しくなる。
多孔質カーボンブラックのBET比表面積は、好ましくは400m2/g以上700m2/g以下である。
(C)XRD(X‐ray diffraction)測定により得られるXRDスペ
クトルにおいて、回折角2θ=20°~26.5°の間のピークを解析して得られるLc(002)が1.7nm以上4.0nm以下である。
多孔質カーボンブラックのLc(002)が1.7nm以上4.0nm以下であると耐久性と低加湿性能を両立することが可能となる。
多孔質カーボンブラックのLc(002)が1.7nm未満であると、耐久性が不足する傾向にある。
多孔質カーボンブラックのLc(002)が4.0nm超であると多孔質カーボンブラックの比表面積が小さくなる傾向にあり発電性能が不足する傾向にある。
多孔質カーボンブラックのLc(002)は、より好ましくは1.7nm以上3.5nm以下である。
(D)XRD(X‐ray diffraction)測定により得られるXRDスペクトルにおいて、回折角2θ=70°~80°の間のピークを解析して得られるLa(110)が3.5nm以下である。
多孔質カーボンブラックのLa(110)が3.5nm以下であると、高い耐久性を担保しながら、発電性能、特に低加湿特性をHDVに必要なレベルを維持することができる。
多孔質カーボンブラックのLa(110)が3.5nm超になると、カーボンブラックを構成する結晶子のエッジ密度(比表面積あたりのエッジ量)が低くなり、相対湿度が下がった状態でカーボンブラック表面に吸着水を保ちにくくなるので低加湿性能が低くなる傾向にある。
多孔質カーボンブラックのLa(110)の下限は、必要な耐久性が得られれば特に限定しない。実質的に得られるデーターから判断すると、多孔質カーボンブラックのLa(110)の下限は、2.0nm以上である。多孔質カーボンブラックにおいて、La(110)が2.0nm未満でLc(002)が1.7nm以上になる可能性は低いと推定される。
多孔質カーボンブラックのLa(110)は、好ましくは3.0nm以下である。
(E)Lc(002)とLa(110)との比(Lc(002)/La(110))が0.6以上1.2以下である。
多孔質カーボンブラックの比(Lc(002)/La(110))が0.6以上1.2以下であると、高い耐久性と低加湿性能とが両立しやすい傾向にある。
多孔質カーボンブラックの比(Lc(002)/La(110))が0.6以上であると、多孔質カーボンブラック一次粒子の外殻の厚みが過度に薄くなることが抑制され、耐久性が向上する。それにより、触媒層にしたときの機械強度が十分足り、発電を続けたとき触媒層の空隙のつぶれが生じ難くなる。また、網面の大きさに対してエッジ密度も上がり、相対湿度が下がった時の低加湿性能が向上する。
多孔質カーボンブラックの比(Lc(002)/La(110))が1.2以下あると、網面の大きさに対してエッジ密度が適度となり、耐久性が向上する。それにより、燃料電池の使用時に酸化消耗し難くなり、耐久性がやすい傾向にある。
多孔質カーボンブラックの比(Lc(002)/La(110))は、好ましくは0.65以上1.1以下である。
以下、本開示の固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料の製造方法(以下、「炭素材料の製造方法」とも称する)の一例について説明する。
本開示の炭素材料の製造方法により、要件(A)~要件(D)を満たす炭素材料、好ましくは、要件(A)~要件(D)に加え、要件(E)を満たす炭素材料(つまり多孔質賦活カーボンブラック)が得られる。
W/Fの値が0.005未満であると反応器下流付近の原料カーボンブラックの賦活反応が上流と比較して進まず、局所的に比表面積が小さい部分が生じるため好ましくない。
W/Fの値が0.1超であると未反応の賦活ガスの割合が過剰になるため経済的ではなくなる。より好ましくは0.01以上、0.05以下である。この範囲にあると反応器の上流と下流で比表面積差が十分に小さくなり好ましい。
変動幅が2%未満であると目標の比表面積に到達できないことがある。
変動幅が50%超であると賦活ガスを加圧した場合、圧力制御が難しくなることがある。
変動の周期は、1分間に1回未満であると変動の効果が得られにくくなり目標の比表面積に到達できない場合が生じる可能性がある。30回超になると賦活ガスを加圧した場合、圧力制御が難しくなることがある。
黒鉛化の温度は、必要な耐久性が得られる程度の結晶成長を行うことのできる必要最低限の温度であることが好ましい。黒鉛化の温度を例示するならば、1400℃以上2000℃以下である。
黒鉛化の温度が1400℃未満であると必要な耐久性を得るためには長時間の処理が必要になったり、長時間保持しても十分な耐久性が得られる結晶成長が望めない可能性がある。
黒鉛化の温度が2000℃超であるとカーボンブラックの場合、過度の結晶成長が起こり、低加湿性能が低下する可能性が高くなる。より好ましくは1500℃以上、1900℃以下である。
本開示の固体高分子型燃料電池用触媒層とともに、固体高分子型燃料電池について説明する。
本開示の炭素材料は、例えば、図1に示す固体高分子型燃料電池100に設けられる触媒層150及び160に適用可能である。図1は、本開示の燃料電池の概略構成の一例を示す模式図である。
図1に示す固体高分子型燃料電池100は、セパレータ110及び120、ガス拡散層130及び140、触媒層150及び160、並びに電解質膜170を備える。
H2→2H++2e- (E0=0V)
O2+4H++4e-→2H2O (E0=1.23V)
(電位差)を利用して発電する。言い換えれば、酸化反応で生じた電子が外部回路で仕事を行う。
固体高分子型燃料電池100の製造方法は特に制限されず、従来と同様の製造方法であればよい。ただし、触媒担体には本開示の触媒担体用炭素材料を用いる。触媒層150及び160のうち、少なくとも、カソードとなる触媒層160における触媒担体には、本開示の触媒担体用炭素材料を用いることが好ましい。もちろん、アノードとなる触媒層150及びカソードとなる触媒層160における両触媒層の触媒担体に、本開示の触媒担体用炭素材料を用いてもよい。
(平均一次粒子径の測定)
平走査型電子顕微鏡(SEM)により、触媒担体用炭素材料を任意の10視野~20視野で観察し、観察画像を取得した。観察画像において、視野ごとに縦6本、横5本の直線を等間隔に配置したときに生じる、30個の交点に存在、又は最も隣接する粒子について、触媒担体用炭素材料の輪郭線上の2点間のうち最も長い距離を粒子径(直径)として、300個の粒子の平均値を平均一次粒子径とした。
触媒担体用炭素材料を試料とし、これを約30mg測り採り、200℃で2時間真空乾燥した後に、自動比表面積測定装置(アントンパール・ジャパン社製 AUTOSORB iQ)を用い、窒素ガスを吸着質に用いて窒素ガス吸着・脱離等温線を測定した。吸着等温線の相対圧が0.30以下の範囲においてBET解析を実施しBET比表面積を算出した。
触媒担体用炭素材料を試料とし、これを約3mg量り採り、シリコン無反射板に乗せ、X線回折装置(株式会社リガク製のRINT-TTRIII)にセットし、常温下、走査ステップ0.02°、角度掃引速度1°/分、線源にCu-Kαを用いて測定した。得られたXRDスペクトルの、2θが10°~40°の範囲、2θが70~90°の範囲において、それぞれバックグラウンドを除去しスムージング処理を行った。
2θが10°~40°の範囲のXRDスペクトルでは、バックグラウンド除去とスムージング処理後の波形についてScherrerの式(Lc=Kλ/βcosθ)を用いてLc(002)を求めた。
2θが70~90°の範囲に存在する回折ピークは(110)面、(112)面、(006)面が混合されたものである。2θが70~90°の範囲のXRDスペクトルでは、バックグラウンド除去とスムージング処理後の波形について最も小角側の回折ピーク角度より小角側の波形とVoigt関数(フォークト関数)を用いた波形が一致(差の2乗が最小化)するようにフォークト関数を用いた波形を設定し、得られたフォークト関数の波形をScherrerの式(La=Kλ/βcosθ)を用いてLa(110)求めた。
ここで、Scherrerの式において、形状因子Kは1、X線波長λは1.54184Å、βは回折ピークの半値幅である。
(実施例1)
(1)第一賦活
原料カーボンブラックとして日鉄カーボン製ニテロン#10(平均一次粒子径カタログ値39nm)5gを直径1インチの管型反応器に充填し、管型反応器上流に設定したマスフローコントローラーで400Nml/min.のCO2ガスを流通させた。この時、管型反応器の下流に圧力制御器(圧力センサー、背圧コントローラー、制御部の組み合わせにより設定圧力に自動制御)、ニードルバルブ、マスフローメーターの順で配置し、圧力制御器で0.3MPaGのゲージ圧になるように背圧を設定した。また、下流のマスフローメーターの指示値が400Nml/min.を中心にして約±100ml/min.の変動幅、約12回/min.の変動周期で変動が発生するようにニードルバルブの開度を
調節した。この状態で管型反応器を850℃に20℃/min.で昇温し、34時間850℃で保持し、第一賦活を行った。保持後、流通ガスをN2に切り替え、降温し、第一賦活サンプルを回収した。
回収した第一賦活サンプル全量を黒鉛坩堝に充填して、黒鉛化炉にてAr流通下、15℃/min.で昇温し、1600℃1時間で黒鉛化処理を行い、黒鉛化サンプルを回収した。
黒鉛化サンプル全量を再び直径1インチの管型反応器に充填し、管型反応器上流に設定したマスフローコントローラーで400Nml/min.のCO2ガスを流通させた。この時、圧力制御器とニードルバルブは全開放にして0.0MPaGのゲージ圧になるように設定した。この状態で管型反応器を850℃に20℃/min.で昇温し、3分間850℃で保持し、第二賦活を行った。保持後、流通ガスをN2に切り替え、降温し、第二賦活サンプルを実施例1の触媒担体用炭素材料(つまり多孔質賦活カーボンブラック)として回収した。
第二賦活の保持時間を30分とした以外は、実施例1と同様にして触媒担体用炭素材料(つまり多孔質賦活カーボンブラック)を得た。
第一賦活の変動幅と保持時間をそれぞれ約±50ml/min.と37時間とした以外は、実施例1と同様にして触媒担体用炭素材料(つまり多孔質賦活カーボンブラック)を得た。
原料カーボンブラックを日鉄カーボン株式会社製ニテロン#SH(平均一次粒子径カタログ値61nm)、第一賦活の保持時間を43時間、黒鉛化の保持温度を1700℃、第二賦活の保持温度と保持時間をそれぞれ930℃と30分間とした以外は、実施例1と同様にして触媒担体用炭素材料(つまり多孔質賦活カーボンブラック)を得た。
第一賦活の保持温度と保持時間をそれぞれ900℃と20時間、黒鉛化の保持温度を1800℃、第二賦活の保持温度と保持時間をそれぞれ950℃と30分間とした以外は、実施例1と同様にして触媒担体用炭素材料(つまり多孔質賦活カーボンブラック)を得た。
第一賦活の変動幅が約±5ml/min.になるようにニードルバルブを調整した以外は、実施例3と同様にして触媒担体用炭素材料(つまり多孔質賦活カーボンブラック)を得た。
第一賦活の変動幅が約±5ml/min.になるようにニードルバルブを調整した以外は、実施例5と同様にして触媒担体用炭素材料(つまり多孔質賦活カーボンブラック)を得た。
原料カーボンブラックとしてライオンスペシャリティケミカルズ株式会社のケッチェンブラックEC300J(平均一次粒子径カタログ値39.5nm)2gを黒鉛化炉でAr流通下1時間の黒鉛化し、触媒担体用炭素材料を得た。保持温度が1400℃のものを比較例3、1600℃のものを比較例4、1800℃のものを比較例5とした。
原料カーボンブラックとしてライオンスペシャリティケミカルズ株式会社のケッチェンブラックEC600JD(平均一次粒子径カタログ値34nm)2gを黒鉛化炉でAr流通下1時間の黒鉛化し、触媒担体用炭素材料を得た。保持温度が1400℃のものを比較例6、1600℃のものを比較例7、1800℃のものを比較例8とした。
比較例5と比較例8の触媒担体用炭素材料をそれぞれ直径1インチの管型反応器に2g充填し、管型反応器上流に設定したマスフローコントローラーで400Nml/min.のCO2ガスを流通させた。この時、圧力制御器とニードルバルブは全開放にして0.0MPaGのゲージ圧になるように設定した。この状態で管型反応器を950℃に20℃/min.で昇温し、30分間950℃で保持し、賦活を行った。保持後、流通ガスをN2に切り替え、降温し、回収したサンプルをそれぞれ比較例9と比較例10とした。
原料カーボンブラックを日鉄カーボン株式会社製ニテロン#300IH(平均一次粒子径カタログ値22nm)とし、第一賦活の保持時間を8時間、黒鉛化の保持温度を1600℃、第二賦活の保持時間を5分とした以外は、実施例5と同様にして触媒担体用炭素材料を得た。
各例の触媒担体用炭素材料を用い、以下のようにして触媒金属が担持された固体高分子型燃料電池用触媒を調製し、また、得られた触媒を用いて触媒層インク液を調製し、次いでこの触媒層インク液を用いて触媒層を形成し、更に形成された触媒層を用いて膜電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)を作製し、この作製されたMEAを燃料電池セルに組み込み、燃料電池測定装置を用いて発電試験を行った。以下、各部材の調製及び発電試験によるセル評価について詳細に説明する。
各例の触媒担体用炭素材料を、蒸留水中に分散させ、この分散液にホルムアルデヒドを加え、40℃に設定したウォーターバスにセットし、分散液の温度がバスと同じ40℃になってから、撹拌下のこの分散液中にジニトロジアミンPt錯体硝酸水溶液をゆっくりと注ぎ入れた。その後、約2時間撹拌を続けた後、濾過し、得られた固形物の洗浄を行った。このようにして得られた固形物を90℃で真空乾燥した後、乳鉢で粉砕し、次いで水素を5体積%含むアルゴン雰囲気中200℃で1時間熱処理をして白金担持炭素材料を作製した。なお、この白金担持炭素材料の白金担持量については、触媒担体用炭素材料と白金粒子の合計質量に対して35質量%となるように調整し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES: Inductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectrometry)により測定して確認した。
以上のようにして調製された白金担持炭素材料(Pt触媒)を用い、また、電解質樹脂として5質量%ナフィオン溶液(デュポン製DE2020CS、登録商標:Nafion)を用い、Ar雰囲気下でこれらPt触媒とナフィオンとを多孔質カーボンブラック分の質量(Pt触媒のうちPt分を除いた多孔質カーボンブラックのみの質量)に対してナフィオン固形分の質量が1.0倍の割合で配合し、軽く撹拌した後、超音波でPt触媒を解砕し、更にエタノールを加えてPt触媒と電解質樹脂とを合わせた合計の固形分濃度が0.5質量%となるように調整し、Pt触媒と電解質樹脂とが混合した触媒層インク液を調製した。
以上のようにして作製した触媒層を用い、以下の方法でMEA(膜電極複合体)を作製した。
ナフィオン膜(Dupont社製NR211)から一辺6cmの正方形状の電解質膜を切り出した。また、テフロン(登録商標)シート上に塗布されたアノード及びカソードの各触媒層については、それぞれカッターナイフで一辺2.5cmの正方形状に切り出した。
このようにして切り出されたアノード及びカソードの各触媒層の間に、各触媒層が電解質膜の中心部を挟んでそれぞれ接すると共に互いにずれが無いように、この電解質膜を挟み込み、120℃、100kg/cm2で10分間プレスし、次いで室温まで冷却した後、アノード及びカソード共にテフロン(登録商標)シートのみを注意深く剥ぎ取り、アノード及びカソードの各触媒層が電解質膜に定着した触媒層-電解質膜接合体を調製した。
なお、作製された各MEAにおける触媒金属成分、炭素材料、電解質材料の各成分の目付量については、プレス前の触媒層付テフロン(登録商標)シートの質量とプレス後に剥がしたテフロン(登録商標)シートの質量との差からナフィオン膜(電解質膜)に定着させた触媒層の質量を求め、触媒層の組成の質量比より算出した。
各例の触媒担体用炭素材料を用いて作製したMEAについて、それぞれセルに組み込み、燃料電池測定装置にセットして、次の手順で燃料電池の初期発電性能評価を行った。
カソード側には空気を、また、アノード側には純水素を、それぞれ利用率が40%と70%となるように、セル下流に設けられた背圧弁で圧力調整して背圧のゲージ圧がそれぞれ0.1MPaGになるように供給した。また、セル温度は80℃に設定し、燃料電池セルに供給する空気と純水素を加湿器中で80℃に保温された蒸留水にそれぞれ通す(すなわち、バブリングを行う)ことで、加湿した。これにより、アノード及びカソードの相対湿度を100%程度とした。
次に、セル下流に設けられた背圧弁で圧力調整して背圧のゲージ圧がそれぞれ0.05MPaGになるようにした。また、セル温度は80℃、燃料電池セルに供給する空気と純水素は加湿器中で保温された蒸留水にそれぞれ通し(すなわち、バブリングを行う)、アノード及びカソードの相対湿度を50%程度とした。
その後、電流密度を0.1A/cm2に固定して10分間保持したときのセル端子間電圧を記録し、下記の合格ランクA及びBと不合格ランクCの基準で低加湿性能評価を行った。結果を表1に示す。
〔合格ランク〕
A:電流密度0.1A/cm2におけるセル端子間電圧が0.84V以上であるもの。
B:電流密度0.1A/cm2におけるセル端子間電圧が0.82V以上であるもの。〔不合格ランク〕
C:合格ランクBに満たないもの。
上記の初期発電性能評価後、次の条件で耐久試験を行った。まず、セル温度は80℃、相対湿度は100%、セル背圧を0.0MPaGにしてカソードのガスをアルゴンガスに切り替えた。次にセル電圧を0.6Vにして4秒間保持する操作を行った後にセル電圧を1.2Vにして4秒間保持する操作を1サイクルとし、この矩形波的電圧変動の繰返し操作を1000サイクル実施した。その後、アノードとカソードのガス利用率をそれぞれ40%と70%、セル背圧のゲージ圧がそれぞれ0.1MPaG、セル温度は80℃それぞれ相対湿度100%とし、セル電圧0.6Vにしたときの電流密度を記録し、下記の合格ランクA及びBと不合格ランクCの基準で耐久性評価を行った。結果を表1に示す。
〔合格ランク〕
A:1000サイクル実施後の電流密度が初期発電性能評価時の電流密度の80%以上であるもの。
B:1000サイクル実施後の電流密度が初期発電性能評価時の電流密度の70%以上であるもの。
〔不合格ランク〕
C:合格ランクBに満たないもの。
比較例1,2は、それぞれ実施例3と実施例5に対して賦活ガスの変動が小さい例であるが、賦活不足であり比表面積が小さくなり、低加湿性能が不足する結果となった。
比較例3~8は、市販の多孔質カーボンブラックを種々の温度で熱処理した例であるが、本開示の要件(A)~(D)を同時に満たすものは得られず、低加湿性能と耐久性を両立する性能は得られなかった。
比較例9,10は、市販の多孔質カーボンブラックを熱処理した後、賦活した例であるが、本開示の要件(A)~(D)を同時に満たすものは得られず、低加湿性能と耐久性を両立する性能は得られなかった。
比較例11は、平均一次粒子径が30nm未満の例であるが、Lc(002)が小さく耐久性が不足する結果となった。
100 固体高分子型燃料電池
110、120 セパレータ
130、140 ガス拡散層
150、160 触媒層
170 電解質膜
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (6)
- 下記要件(A)、(B)、(C)及び(D)を満たす多孔質賦活カーボンブラックからなる固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料。
(A)平均一次粒子径が30nm超え100nm以下である。
(B)BET比表面積が350m2/g以上800m2/g以下である。
(C)XRD(X‐ray diffraction)測定により得られるXRDスペクトルにおいて、回折角2θ=20°~26.5°の間のピークを解析して得られるLc(002)が1.7nm以上4.0nm以下である。
(D)XRD(X‐ray diffraction)測定により得られるXRDスペクトルにおいて、回折角2θ=70°~80°の間のピークを解析して得られるLa(110)が3.5nm以下である。 - さらに、下記要件(E)を満たす請求項1に記載の固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料。
(E)前記Lc(002)と前記La(110)との比(Lc(002)/La(110))が0.6以上1.2以下である。 - 前記平均一次粒子径が40nm以上100nm以下である請求項1に記載の固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料。
- 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の触媒担体用炭素材料を含む固体高分子型燃料電池用触媒層。
- 請求項4に記載の固体高分子型燃料電池用触媒層を含む燃料電池。
- 前記固体高分子型燃料電池用触媒層は、カソード側の触媒層である請求項5に記載の燃料電池。
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