JP7700645B2 - 内燃機関のチェーンケース - Google Patents

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本発明は、内燃機関のチェーンケースに関する。
例えば、特許文献1には、エンジン本体の外側面に配置されたタイミングベルトを覆うとともに、クランクシャフトが貫通する貫通孔を有する樹脂材料製のタイミングベルトカバーが開示されている。
この特許文献1のタイミングベルトカバーは、貫通孔に取り付けられた円板状のシール部材によってクランクシャフトとの間に生じる隙間を塞ぎ、当該隙間を通じて外部へ放散されるベルト騒音を遮断している。
実開平3-54251号公報
しかしながら、この特許文献1においては、タイミングベルトカバーが樹脂材料からなるため、タイミングベルトカバーの成形精度や熱による変形によりシール部材の中心位置とクランクシャフト中心位置との位置ずれが生じ、シール部材とクランクシャフトの外周面との間のシール性が悪化する虞がある。
つまり、特許文献1のような樹脂性のタイミングベルトカバー(チェーンケース)にあっては、クランクシャフトの外周面とのシール性を向上させる上で更なる改善の余地がある。
本発明に係る内燃機関のチェーンケースは、内燃機関の前面又は側面を覆い、内燃機関のクランクシャフトが貫通するクランクシャフト貫通孔を有する樹脂製の本体部と、上記クランクシャフト貫通孔の周囲に取り付けられたリング部材と、上記リング部材に取り付けられ上記クランクシャフトの外周面をシールするオイルシールと、を備え、上記本体部は、上記クランクシャフト貫通孔の外周縁に、内燃機関との位置決めを行う位置決め部材が挿入される円筒状のボス部を有することを特徴としている。
本発明によれば、本体部の温度変化による寸法変化が及ぼすオイルシール中心のクランクシャフト中心に対する位置ずれの影響が小さくなり、クランクシャフトに対するオイルシールのシール性を容易に確保できる。
本発明に係るチェーンケースの正面図。 本発明に係るチェーンケースが適用された内燃機関の要部断面図。 本発明に係るチェーンケースが適用された内燃機関の要部断面図。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図中におけるX軸は内燃機関20の前後方向(クランクシャフト軸線方向)、Y軸は内燃機関20の左右方向(幅方向)、Z軸は内燃機関20の上下方向(シリンダ軸線方向)、をそれぞれ示している。
図1は、本発明に係るチェーンケース1の正面図である。図2は、本発明に係るチェーンケース1が適用された内燃機関20の要部断面図であって、XY平面に平行でクランクシャフト中心軸を含む平面に沿った内燃機関20の要部断面図である。図3は、本発明に係るチェーンケース1が適用された内燃機関20の要部断面図であって、YZ平面に平行な平面に沿った内燃機関20の要部断面図である。本発明に係るチェーンケース1は、例えば車両に搭載される内燃機関20に取り付けられる。
チェーンケース1は、内燃機関20の前面(換言すれば側面)を覆うように内燃機関20に取り付けられている。
詳述すると、チェーンケース1は、内燃機関20の前面を構成するシリンダヘッド(図示せず)、シリンダブロック21及びオイルパン22に対して固定されている。つまり、チェーンケース1は、シリンダヘッド、シリンダブロック21及びオイルパン22に跨って配置される。
シリンダヘッドは、シリンダブロック21のアッパデッキに固定されている。オイルパン22は、図2に示すように、シリンダブロック21のロアデッキ21aに固定されている。
チェーンケース1は、図1、図2に示すように、内燃機関20のクランクシャフト2が貫通するクランクシャフト貫通孔3を有する本体部4と、クランクシャフト貫通孔3の周囲に取り付けられた環状(円筒状)のリング部材5と、クランクシャフト2の外周面をシールする環状(円筒状)のオイルシール6と、オイルシール6の外周面に取り付けられた環状のスプリング7と、を有している。
クランクシャフト2の前端部には、図2に示すように、クランクプーリ8が取り付けられている。クランクプーリ8には、補機駆動用ベルト(図示せず)が巻き掛けられている。クランクプーリ8は、チェーンケース1の外側に位置し、補機駆動用ベルト(図示せず)を介してウォータポンプ等の補機類(図示せず)を駆動する。補機駆動用ベルト(図示せず)は、図示せぬテンショナーによってたるみが調整され、所定の張力が付与される。
チェーンケース1の本体部4は、例えばポリアミド等の合成樹脂材料からなる樹脂製であり、型成形されたものである。
本体部4は、浅皿形状を呈し、図2に示すように、内燃機関20の前面との間に空間23を形成する。当該空間23には、図3に示すように、クランクシャフト2に固定されたクランクスプロケット24、クランクスプロケット24に巻き掛けられた回転動力伝達用のチェーンであるタイミングチェーン25が収容される。タイミングチェーン25は、図示せぬテンショナーによってたるみが調整され、所定の張力が付与される。なお、空間23には、カムシャフト(図示せず)の前端に固定されたカムスプロケット(図示せず)も収容されており、タイミングチェーン25が巻き掛けられている。
図2に示すように、本体部4は、クランクシャフト貫通孔3の周囲が階段状に形成されている。また、本体部4は、クランクシャフト貫通孔3周囲の階段状となった部分に、クランクシャフト軸方向に沿って突出する環状の突起9を有している。
突起9は、クランクシャフト貫通孔3の外周縁に位置し、クランクシャフト軸方向に沿って突出している。本実施例において、突起9は、内燃機関20と対向しない側に向かって突出している。なお、突起9は、内燃機関20と対向する側に向かって突出するようにしてもよい。
図2に示すように、リング部材5は、円筒形状の円筒部10と、円筒部10の内周面から当該円筒部10の内側に向かって突出する内周側突出部11と、円筒部10の外周面から当該円筒部10の外側に向かって突出する外周側突出部12と、を有している。
円筒部10は、オイルシール6を収容可能な大きさのものであって、軸方向に沿った長さ(X軸方向に沿った長さ)が、オイルシール6の軸方向に沿った長さ(X軸方向に沿った長さ)よりも長くなるよう形成されている。
内周側突出部11は、環状に連続する断面矩形の突起であり、円筒部10の内周面から当該円筒部10の内側に向かって突出している。内周側突出部11は、先端にオイルシール6の外周面が加硫接着されている。
外周側突出部12は、環状に連続する階段状の突起であり、円筒部10の外周面から当該円筒部10の外側に向かって突出する断面矩形の第1突出壁13と、第1突出壁13の先端から円筒部10軸方向(X軸方向)に沿って延びる断面矩形の第2突出壁14と、第2突出壁14の先端から当該円筒部10の外側に向かって突出する断面矩形の第3突出壁15と、を有している。第2突出壁14は、一端が第1突出壁13に接続され、他端が第3突出壁15に接続されている。
リング部材5は、外周側突出部12の内周側の部分となる第1突出壁13が本体部4の突起9の先端に対して接合されている。リング部材5は、例えば、レーザー溶接により本体部4の突起9の先端に接合される。リング部材5は、接着剤を用いて本体部4の突起9の先端に接合してもよい。
図2に示すように、オイルシール6は、円筒形状を呈している。オイルシール6は、例えばフッ素ゴム等のゴム材料からなり、本体部4に接合される前のリング部材5に対して加硫接着される。
オイルシール6は、リング部材5の円筒部10内に収容された状態で、外周面がリング部材5の内周側突出部11の先端に加硫接着されている。詳述すると、オイルシール6は、軸方向(X軸方向)に沿ってリング部材5の円筒部10の外側に突出しない状態で、リング部材5に加硫接着されている。
オイルシール6の一端部6aには、外周にスプリング7が取り付けられている。オイルシール6は、スプリング7が取り付けられた一端部6aの内周面が全周に亙って連続してクランクシャフト2の外周面(より正確には、クランクプーリ8の軸のクランクシャフト2と組付けられている部位の外周面)に密着することで、チェーンケース1と内燃機関20の前面とのに形成される空間23内から外部にオイルが漏れ出ることを抑制している。
本実施例において、オイルシール6は、他端部6bの内径がクランクシャフト2の外径よりも小さくなるよう形成されているが、他端部6bの内径がクランクシャフト2(より正確には、クランクプーリ8の軸のクランクシャフト2と組付けられている部位の外径)の外径以上となるように形成してもよい。
このようなチェーンケース1は、図2及び図3に示すように、本体部4に円筒状のボス部26が形成されている。ボス部26には、内燃機関20との位置決めを行う金属製のダウエルピン27が挿入される。
チェーンケース1は、位置決め部材としてのダウエルピン27により内燃機関20に対する位置決めがなされた状態で内燃機関20に対してボルト(図示せず)等により固定される。
図2に示すように、ダウエルピン27は、一端側がボス部26に挿入され、他端側が内燃機関20のシリンダブロック21に形成された位置決め用穴部28に圧入され固定される。
ボス部26は、図1~図3に示すように、クランクシャフト貫通孔3の外周縁に形成されている。つまり、本体部4は、クランクシャフト貫通孔3の外周縁にボス部26を有している。ボス部26は、オイルパン22の上方に位置するシリンダブロック21と対向する位置に形成されている。
図3に示すように、本実施例の本体部4は、クランクシャフト軸方向視で、クランクシャフト2を挟んで位置し、かつタイミングチェーン25の外側に位置する一対のボス部26a、26aと、クランクシャフト軸方向視で、タイミングチェーン25の内側に位置するボス部26bと、を有している。
これらのボス部26は、クランクシャフト貫通孔3の中心位置からの距離が互いに等しくなるように形成されている。換言すれば、これら複数のボス部26は、YZ平面上で、クランクシャフト貫通孔3と同心円となる円の円周上に位置するよう形成される。そのため、チェーンケース1は、ボス部26の寸法管理が容易となる。
図2及び図3に示すように、ボス部26は、本体部4から突出する肉厚が略均一の円筒である。
図2に示すように、チェーンケース1は、ボス部26を内燃機関20との間の空間23内に突出させることで、チェーンケース外周縁から離れた位置になるクランクシャフト貫通孔3の外周縁でダウエルピン27による位置決めが可能となっている。
また、ボス部26の底部となる位置の本体部4の厚さは、ボス部26が設けられていない位置の本体部4の厚さと同一となっている。
チェーンケース1は、本体部4が樹脂材料からなっているので、成形精度や熱による変形によりオイルシール6の中心位置とクランクシャフト2の中心位置との位置ずれが生じ、オイルシール6とクランクシャフト2の外周面との間のシール性が悪化する虞がある。
しかしながら、上述した実施例におけるチェーンケース1の本体部4は、クランクシャフト貫通孔3の外周縁に、内燃機関20との位置決めを行うボス部26を有している。
チェーンケース1は、ダウエルピン27の位置とオイルシール6の中心位置を近づけることで、本体部4の成形精度や樹脂性の本体部4の内燃機関20運転中の温度変化による寸法変化が及ぼすクランクシャフト2の中心(軸心)位置に対するオイルシール6の中心位置の位置ずれの影響が小さくなり、クランクシャフト2に対するオイルシール6のシール性を容易に確保できる。
また、ボス部26は、シリンダブロック21と対向し、上下方向で内燃機関20側に形成されているので、オイルパン22内のオイルに油没しにくくなっている。そのため、ダウエルピン27は、オイルパン22内のオイルに接しにくく、オイルパン22内のオイルの油温の影響を受けにくい。つまり、チェーンケース1は、オイルパン22内のオイルの油温が高くなってもダウエルピン27の寸法変化(伸び量)を少なくでき、クランクシャフト2の中心位置に対するオイルシール6の中心位置の精度がよい(ずれ量が少ない)。
チェーンケース1は、本体部4から円筒状のボス部26を突出させた構造となっており、ボス部26の底部となる位置の本体部4の厚さがボス部26が設けられていない位置の本体部4の厚さと同一となっている。チェーンケース1は、ボス部26の本体部4側の部分を中実にすると、ボス部26の底部となる位置の本体部4の厚さとボス部26が設けられていない位置の厚さとが不均一となり、ボス部26の底部となる位置にひけが生じる虞がある。
つまり、チェーンケース1は、ボス部26の底部となる位置の本体部4の厚さがボス部26が設けられていない位置の本体部4の厚さと同一となっていることで、成形時にボス部26の底部となる位置の本体部4にひけが生じることを抑制できる。また、ボス部26の底部となる位置の本体部4にひけが生じることを抑制できるため、突起9の成形精度の悪化を抑制できる。
さらに、チェーンケース1は、ボス部26の底部となる位置の本体部4の厚さがボス部26が設けられていない位置の本体部4の厚さと同一となっていることで、内燃機関20に組み付けられた後の自身の寸法変化が及ぼすクランクシャフト2の中心(軸心)位置に対するオイルシール6の中心位置の位置ずれの影響を抑制できる。
また、チェーンケース1は、ボス部26を全長に亙って円筒状に形成することで、肉抜きによる軽量化が促進される。
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、ボス部26は、クランクシャフト貫通孔3の外周縁に少なくとも2つ以上設けるようにしてもよい。つまり、例えば、上述した実施例において、ボス部26bは、省略してもよい。また、上述した実施例において、ボス部26は、例えば4つ設定してもよい。
ボス部26は、ダウエルピン27と干渉しない本体部4側の内周に、ボス部26の内周面に接続される例えば断面X字状のリブを有するように形成してもよい。
1…チェーンケース
2…クランクシャフト
3…クランクシャフト貫通孔
4…本体部
5…リング部材
6…オイルシール
7…スプリング
8…クランクプーリ
20…内燃機関
21…シリンダブロック
22…オイルパン
23…空間
24…クランクスプロケット
25…タイミングチェーン
26…ボス部
26a…ボス部
26b…ボス部
27…ダウエルピン
28…位置決め用穴部

Claims (4)

  1. 内燃機関の前面又は側面を覆い、内燃機関のクランクシャフトが貫通するクランクシャフト貫通孔を有する樹脂製の本体部と、上記クランクシャフト貫通孔の周囲に取り付けられたリング部材と、上記リング部材に取り付けられ上記クランクシャフトの外周面をシールするオイルシールと、を備え、
    上記本体部は、上記クランクシャフト貫通孔の外周縁に、内燃機関との位置決めを行う位置決め部材が挿入される円筒状のボス部を有することを特徴とする内燃機関のチェーンケース。
  2. 上記ボス部は、上記クランクシャフト貫通孔の外周縁に少なくとも2つ以上設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のチェーンケース。
  3. 上記ボス部は、内燃機関のシリンダブロックと対向し、クランクシャフト軸方向視で、上記クランクシャフトを挟んで位置し、かつ上記クランクシャフトに取り付けられたクランクプーリに巻き掛けられたチェーンの外側に位置する一対のボス部であることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のチェーンケース。
  4. 上記ボス部は、上記本体部から突出する円筒であり、
    上記ボス部の底部となる位置の上記本体部の厚さは、上記ボス部が形成されていない位置の上記本体部の厚さと同一となっていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の内燃機関のチェーンケース。
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