JP7703307B2 - 検出器および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、検出器および画像形成装置に関する。
特定の波長の電磁波を検出可能な電磁波センサを配列することで検出器を形成し、その前に適当な焦点を有するレンズを配置することで、測定対象の画像を取得する画像形成装置を構築することができる。一例として、テラヘルツ波を利用した検出器、画像形成装置が知られている。ここでのテラヘルツ波とは、ミリ波からテラヘルツ波領域(0.03THz乃至30THz)のうちの任意の周波数帯域を有する電磁波である。
テラヘルツ波を検出可能な電磁波センサの一例として、ループアンテナやダイポールアンテナ等の共振アンテナを利用した電磁波センサが挙げられる。これらの電磁波センサでは、共振アンテナでテラヘルツ波を受信し、共振アンテナに接続した整流素子の作用により、受信したテラヘルツ波に応じた電気信号を検出することでテラヘルツ波の検出を行っている。整流素子としては、ショットキーバリアダイオード(SBD)やプラズモン型の電界効果トランジスタ等が提案されている。
特許文献1には、複数の光源を有するテラヘルツ波システムについて開示がある。各光源は複数の発振素子を有する。特許文献2には、1画素で複数の周波数を受信可能なアンテナが開示されている。
特開2018-87725号公報 特開2015-95813号公報
一般的に共振アンテナを利用した電磁波センサは、受信する電磁波の周波数とアンテナの共振周波数との間にずれが生じると感度が低下してしまう。特許文献1のように複数の発振素子を使用して照射パワーを確保する構成においては、製造上のばらつきがあるため個々の発振素子の発振周波数を完全に一致させることは困難であるため、光源から照射される電磁波の周波数ばらつきが生じる場合がある。
本発明は、所望の検出周波数を選択可能な検出器を提供することを目的とする。
本開示の一態様は、電磁波を検出する検出器であって、
整流素子を有する複数のアンテナが配列されており、
前記複数アンテナは、少なくとも、第1共振周波数を有する第1アンテナと、前記第1共振周波数とは異なる第2共振周波数を有する第2アンテナと、を含み、
前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナであり、
前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナを構成する導電体の下に配された基板残存部の幅が異なっている、
ことを特徴とする検出器である。
本発明によれば、所望の検出周波数を選択可能な検出器を提供することができる。
実施形態に係る検出器の一例を簡略的に示した図 実施形態に係る検出器の一例を簡略的に示した図 実施形態に係る検出器の一例を簡略的に示した図 実施形態に係る検出器の一例を簡略的に示した図 ループアンテナの複素インピーダンスの計算結果 ループアンテナに照射される電磁波のスペクトルの一例を示した図 実施形態に係る検出器の画素構成と感度の周波数依存性一例を示した図 ループアンテナの配列の一例を示した図 実施形態に係る検出器の画素の構成例を示した図 ループアンテナの配列の一例を示した図 ループアンテナの半径に対する共振周波数の計算結果 アンテナ基板残存部の幅に対する共振周波数の計算結果 実施例1に係る検出器のループアンテナの配列を示した図 実施例2に係る検出器のループアンテナの配列を示した図
本実施形態に係るテラヘルツ波検出器は、整流素子を有する複数のアンテナが電磁波の入射面に複数配列されており、これら複数のアンテナは、第1共振周波数を有する第1アンテナと第2共振周波数を有する第2アンテナを有する。第1共振周波数と第2共振周波数とは異なる周波数であり、第1共振周波数から第2共振周波数までの範囲は、検出すべき周波数の範囲と同じであるかまたはそれよりも広い。アンテナは例えばループアンテナであるが、ダイポールアンテナなどその他の形式のアンテナであってもよい。
以下では、本発明の実施形態を、ループアンテナを利用した電磁波センサを複数含む検出器を例に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張している場合がある。
図1Aは検出器上面の一部を簡略的に示した図であり、図1Bは図1A中のAで示される電磁波センサの拡大図、図1Cは電磁波センサ2のB-B’の断面を簡略的に示した図である。図1Aではテラヘルツ波(0.03THz以上30THz以下の電磁波)が照射されるアンテナ基板10上に二種類の電磁波センサ2a,2bが正方状に交互に配列されている。ここで、それぞれ電磁波センサ2a,2bのそれぞれをアンテナセットや単位セルとも称することができる。その場合には、検出器1は複数のアンテナセットが2次元に配された構成、あるいは検出器1は複数の単位セルが2次元に配された構成ともいえる。電磁波センサ2a,2bはそれぞれループアンテナ11a,11bを有しており、ループアンテナ11aとループアンテナ11bの共振周波数は互いに異なる。尚、アンテナ基板10とループアンテナ11a,11bが電気的に接続しない様に、ループアンテナ11a,11bはアンテナ基板10上の絶縁膜101上に配置されている。電磁波センサ2aおよび電磁波センサ2bは、ループアンテナの半径が異なり、それに応じてその他の部材の大きさも異なるが、基本的な構造は同じである。よって、図1B,図1Cでは、電磁波センサ2a,2bを区別せずに、添字a,bの記載を省略して説明する。
図1B,図1Cに示すように、電磁波センサ2は、ループアンテナ11、整流素子12、引き出し線14、貫通電極15を備える。ループアンテナ11には整流素子12が接続されている。また、ループアンテナ11には整流素子12を駆動するために切れ込み13が設けられ、引き出し線14を介して整流素子12の両端に駆動用の電圧もしくは電流が印加できるようになっている。ループアンテナ11は離間して配された2つの端子を有する。2つの端子が対向して配された部分が切れ込み13である。引き出し線14は貫通電極15を介して、駆動回路基板16と電気的に接続されている。駆動回路基板16とアン
テナ基板10は接着剤17によって接合されているが、ハンダによる接合や直接接合であっても良い。駆動回路基板16には、ループアンテナ11による検出信号を読み出すための読み出し回路が形成される。
また、アンテナ基板10の厚さが厚くなるとテラヘルツ波が伝搬するモードの数が増加し、受信できるテラヘルツ波のパワーロスにつながる。よって、ループアンテナ11の周囲のアンテナ基板10を除去して、アンテナ基板10の厚さを部分的に薄くしている。アンテナ基板10のうち薄化処理が施され薄くなっている領域を基板除去領域18と称し、アンテナ基板10のうち薄化処理が施されず残存した部分を基板残存部(あるいは省略して、残存部)と称する。基板除去領域18はループアンテナ11の内側と外側にそれぞれ設けられ、ループアンテナ11はこれら2つの残存部の上に配置されている。言い換えると、残存部はループアンテナ11を構成する導電体の下に配される。
また、ループアンテナ11に指向性を持たせて受信効率を向上させるために、アンテナ基板10と駆動回路基板16の間に金属から成る反射板19を配置しても良い。なお、反射板19は設けなくてもよい。
ここで、図1Dを参照して、ループアンテナ11の径および残存部の幅について説明する。ループアンテナ11は導電体を円形状に配置することにより形成される。ループアンテナ11の径rは、ループアンテナ11の中心Cから、ループアンテナ11を構成する導体の中心軸までの距離である。残存部は、内側の基板除去領域18と外側の基板除去領域18の間の領域である。本実施形態において、残存部の外縁および内縁はループアンテナ11の中心Cを中心とする同心円である。残存部の幅wは、残存部の外縁の径と残存部の内縁の径の差分として定義できる。なお、外側の基板除去領域18の外縁は、ループアンテナ11の中心Cから、ループアンテナ11の径rの2倍の位置にある。ループアンテナ11の形状によっては、中心Cは重心の場合もありうる。例えば、ループアンテナの外縁と内縁からループアンテナの重心の位置を求めることができる。
図2は公知の電磁界シミュレータ(Ansys HFSS)を使用して、図1B,図1Cで示されるようなループアンテナについて複素インピーダンスを計算した結果を示す。横軸が周波数(単位THz)であり、縦軸はインピーダンスZ(Re,Im)(単位Ω)である。ここでは、ループアンテナの半径が64μmの場合と71μmの場合について計算している。アンテナ基板はシリコンから成り、ループアンテナはアルミ配線から成るとした。また、基板残存部幅102は14μmとし、アンテナ基板とループアンテナ間には絶縁膜101として酸化シリコン(SiOx)が2.6μm配置されているとして計算を行った。
図2より半径64μmのループアンテナでは0.51THzにおいて、半径71μmのループアンテナでは0.48THzにおいてインピーダンス実部のピークを有していることが確認できる。これらの周波数におけるインピーダンスと整流素子のインピーダンスが整合した時、ループアンテナは最大の感度を有することになるため、インピーダンス実部がピークをとるこれらの周波数をループアンテナの共振周波数と定義する。図2の結果においては、ループアンテナに接続された整流素子のインピーダンス実部が800Ω程度であると、何れの半径のループアンテナともインピーダンスが大きくずれていない状態にすることができる。
ここで、半径71μmのループアンテナに0.48THz以外の周波数の電磁波が照射された場合について考える。図2のように、ループアンテナのインピーダンスは周波数によって変化するため、0.48THz以外の周波数では整流素子とのインピーダンス不整合が発生して感度が大幅に低下してしまう。半径64μmのループアンテナに0.51T
Hz以外の周波数の電磁波が照射された場合も、同様の理由から感度が大幅に低下してしまう。
このため、図3のように周波数スペクトルのピークがアンテナの共振周波数fからずれている電磁波(点線)がループアンテナに照射された場合、整流素子とのインピーダンスが整合しない周波数の電磁波成分が含まれるため感度が低下してしまう。即ちループアンテナを複数配列した検出器において、各ループアンテナの共振周波数が同一であると、光源の周波数帯域のずれに対して検出器の感度が大きく変化してしまうため、光源の周波数ばらつきに対する許容幅が狭い検出器となってしまう。ここで、図3は横軸が周波数で縦軸がアンテナ感度あるいは光源のパワーを規格化した値である。実線が周波数スペクトルのうち、実線はアンテナの感度を示し、点線は光源のスペクトルを示す。
これに対して、本実施形態のように図4A,図4Bのように異なる共振周波数fとfをもった二つのループアンテナ11a、11bで一つの画素40を構成する場合を考える。言い換えると、1つのループアンテナ11aと1つのループアンテナ11bからなるアンテナセットによって、一つの画素40を構成する。そして、本実施形態の検出器は、一つの画素40(アンテナセット)に含まれる複数のループアンテナから得られる信号を合成した信号を、当該画素の画素信号として出力する。
ループアンテナ11aが検出可能な電磁波の帯域は、図4BのS(f)で示されるように、第1共振周波数fを含む第1帯域である。ループアンテナ11bが検出可能な電磁波の帯域は、図4BのS(f)で示されるように、第2共振周波数fを含む第2帯域である。なお、電磁波を検出可能な帯域とは、アンテナ感度が閾値(例えば最大感度の半分)以上となる帯域である。ここで、ループアンテナ11aとループアンテナ11bの検出可能な帯域は一部が重複している。
この場合、共振周波数fとfの2つのループアンテナ11a,11bがあることで共振周波数fのループアンテナ11aのみで一つの画素を構成する場合よりも感度の低下が抑制できる。これは、光源の周波数スペクトルが設計値からずれた場合であっても、整流素子とのインピーダンスが整合しない周波数帯域を二つのループアンテナでお互い補完して検出できるためである。このように本実施形態によれば、光源の周波数ばらつきに対する許容幅が広い検出器を提供できる。すなわち、本実施形態に係る検出器は、複数の光源から照射される周波数スペクトルのピークが製造上のばらつきによりf~fの範囲でばらついている場合においても、高い感度を確保することができる。
また、共振周波数fとfのループアンテナの感度S(f)と感度S(f)を足し合わせた感度をS(f)としたとき、S(f)とS(f)の形状によっては、S(f)は様々な形状を取り得る。例えば、S(f)は、図4Cに示すように、f<f<fにおいて、S(f)>S(f)かつS(f)>S(f)となる場合がある。あるいは、S(f)は、図4Dのようにf<f<fにおいてS(f)およびS(f)よりも小さな極小値41を有する形状となる場合もある。また、S(f)は図4Cおよび図4D以外の形状となる場合もある。
図4Cのようにf~fの周波数帯域で感度ピークがほぼ一定の値となることが望ましいが、図4Dに示すように感度に差が生じても構わない。ただし、このような場合f~fの範囲で高い感度を確保するために、極小値41が最大感度の3/4以上であることが好ましい。言い換えると、f~fの間の全ての周波数帯域において、S(f)の値が、当該範囲におけるS(f)の最大感度の3/4以上であることが好ましい。
また、図4Aでは共振周波数の異なる二種類のループアンテナからなるアンテナセット
で一つの画素を形成しているが、三種類以上のループアンテナからなるアンテナセットで一つの画素を形成しても良い。
また、ループアンテナの配置は図1Aに示す正方状配列以外であってもよい。例えば、図5のように共振周波数の異なる三種類のループアンテナを三角格子状に周期的に配列して、三種類のループアンテナからなるアンテナセットで一つの画素50を形成しても構わない。
また、一つの画素内における共振周波数の異なるループアンテナの配置についても、特に限定はない。例えば四つのループアンテナで一つの画素60を形成し、図6Aのように共振周波数の異なる三種類のループアンテナを配置しても、図6Bのように四種類のループアンテナを配置しても構わない。
また、図7のように共振周波数の異なるループアンテナをライン状に配列して検出器を形成しても構わない。図7は、共振周波数の異なる二種類のループアンテナを、一行おきに配置する構成例を示す。この場合、列方向(スキャン方向70)に隣接する共振周波数の異なる二つのループアンテナによって一つの画素71が構成される。被写体や検出器をスキャン方向70にスキャンさせながら撮像することで、共振周波数の異なるループアンテナを一つの画素71としたラインセンサとして使用することも可能となる。
これらのループアンテナの配置において、複数のアンテナはループアンテナの中心Cの間隔が一定になるように設けられているが、それに限定されない。また、各画素に含まれる複数のアンテナにおいて、それぞれのループアンテナの中心Cが等距離に配置されていてもよい。また、行ごとに大きさの異なるループアンテナを交互に設ける場合には、行ごとに中心Cの間隔が異なってもよい。
図8は図2で用いた手法を用いて計算した、ループアンテナの半径と共振周波数の関係を示すグラフである。ただし図2の計算とは異なり、ここではアンテナ基板とループアンテナ間には絶縁膜としてSiOxが1.8μm配置されているとして計算を行っている。
一例として、複数の光源から照射されるテラヘルツ波を受信する検出器において、個々の光源の周波数スペクトルのピークが0.45THzを中心に±0.02THzのばらつきを有している場合について考える。図8によると、概ね64μm以上80μm以下、より好適には69μm以上77μm以下の範囲からループアンテナの半径を複数選択し、それらで一つの画素を形成すると、光源の周波数ばらつきに対応した検出器とすることができる。
また、ループアンテナの半径以外にも、共振周波数を決定するパラメータの一つとして、図1Cで示すループアンテナ11が配置されているアンテナ基板残存部幅102が挙げられる。図9は図8で用いた手法を用いて計算した、アンテナ基板残存部幅102と共振周波数の関係を示すグラフである。ここではループアンテナの半径は64μmとし、図8の計算とは異なり、アンテナ基板とループアンテナ間には絶縁膜101としてSiOxが1.5μm配置されているとして計算を行っている。
一例として、複数の光源から照射されるテラヘルツ波を受信する検出器において、個々の光源の周波数スペクトルのピークが0.45THzを中心に±0.02THzのばらつきを有している場合について考える。図9によると、概ね10μm以上34μm以下、より好適には12μm以上23μm以下の範囲からアンテナ基板残存部幅を複数選択し、それらで一つの画素を形成すると光源の周波数ばらつきに対応した検出器とすることができる。
また、図8よりループアンテナ半径64μm、アンテナ基板残存部幅14μm、アンテナ基板とループアンテナ間の絶縁膜1.8μmにおける共振周波数は0.50THzであることが確認できる。一方、図9よりループアンテナ半径64μm、アンテナ基板残存部幅14μm、アンテナ基板とループアンテナ間の絶縁膜1.5μmにおける共振周波数は0.46THzであることが確認できる。両者の共振周波数に差異があることから、アンテナ基板とループアンテナ間の絶縁膜の厚みも共振周波数を変化させるパラメータと言える。したがって、アンテナ基板とループアンテナ間の絶縁膜の厚みを個々のループアンテナで変化させることで、共振周波数の異なるループアンテナを準備し、それらで一つの画素を形成しても良い。絶縁膜の厚さは、例えば、1.5μm以上2.6μm以下の範囲から複数選択することができる。
以上のように、本発明によればループアンテナ半径、基板残存部幅、アンテナ基板とループアンテナ間の絶縁膜の厚みといったパラメータを組み合わせることで、検出周波数を高い自由度で変化させられる。したがって、光源の周波数ばらつきに対応したブロードな検出周波数帯域を有する検出器を提供することができる。検出器の感度ピーク付近がブロードであるため、光源の周波数がばらついていても、高い感度を確保できる。
上記で説明した検出器は、テラヘルツ波カメラ(画像形成装置)に用いることができる。テラヘルツ波カメラは、テラヘルツ波(電磁波)を照射する光源と、上述の検出器と、当該検出器によって検出された信号から画像を生成する信号処理部とを含んで構成される。
<実施例1>
本実施例では、異なる半径を持ったループアンテナによって一つの画素を形成した、図1で示すような本発明による検出器の一例について述べる。
本実施例ではアンテナ基板10としてシリコン基板を用い、整流素子12としてショットキーバリアダイオードを利用する。詳細は省略するが、シリコンから成るアンテナ基板10上にショットキー接触を作製するためには、シリコン表面の不純物濃度を約1×1018[個/cm]以下にする必要がある。本実施例では(100)面を有する厚み725μmのシリコン基板上に、不純物濃度2×1016[個/cm]を有するn型シリコンを200nmの厚みでエピタキシャル成長させたものを使用する。ショットキーバリアダイオードの特性は、シリコンと金属の仕事関数により決定されるため、電極として使用する金属材料の種類によって特性が大きく変化する。本実施例では、電極に厚さ50nmのコバルトを使用する。
次に、ループアンテナ11とアンテナ基板10を絶縁している絶縁膜101に開けられたコンタクトホールを介して、整流素子12と金属膜から成るループアンテナ11を電気的に接続する。絶縁膜はプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)で成膜した厚み2.6μmのSiOxを用いる。ループアンテナ11は絶縁膜上に金属膜を配置し、フォトリソグラフィにより金属膜をパターニングすることで形成される。本実施例では図10のように、半径64μmのループアンテナ1001、半径71μmのループアンテナ1002周期的に配列させ、金属膜としてはアルミニウムを利用する。
次に、アンテナ基板10を60μmの厚みに薄化し、図1Cのように駆動回路基板16と接合する。アンテナ基板10を薄化するには、ループアンテナを形成した面にサポート基板を仮固定用接着材で接合し、反対側の面をバックグラインド装置で研削することで60μmの厚みにする。その後、研削面と駆動回路基板16を接着剤17で接合する。本実
施例では接着剤17としてBCB(Benzocyclobutene ダウケミカル社CYCLOTENE 3022-35)を使用する。アンテナ基板10と駆動回路基板16の接合が終了した後、サポート基板を除去することで図1Cの状態となる。本実施例ではサポート基板として厚さ500μmのガラス基板、仮固定用接着材として3M社のLC-5320を利用する。ここで、LC-5320を塗布する前に、ガラス基板に3M社のLTHC(Light-To-Heat Conversion)を剥離層として塗布しておくことで、レーザー照射によりサポート基板を除去することが可能となる。
ここで、本実施例ではアンテナ基板10と駆動回路基板16を接合する前に、アンテナ基板10の研削面に金属から成る反射板19を配置する。本実施例では金属としてアルミニウムを用い、フォトリソグラフィにより後述の工程で形成する基板除去領域18と同じ半径を有する円形状にパターニングすることで反射板19を形成する。また、反射板19の位置が、基板除去領域18の直下になるように反射板19は配置されており、図示はしていないが反射板19とアンテナ基板10が電気的に接触しないように、絶縁膜を介して配置されている。本実施例では絶縁膜として厚さ100nmのSiOxを利用する。
次に、ループアンテナ11に繋がった引き出し線14と駆動回路基板16を貫通電極15で電気的に接続する。本実施例における貫通電極15の形成は、アンテナ基板10のシリコン、及び接着剤17のBCBをドライエッチングして、駆動回路基板16の配線層までの貫通孔を形成し、貫通孔内に銅を電解めっきで配置することで行う。ここで、アンテナ基板11と銅が電気的に接触しないように、絶縁膜であるTEOS(Tetraethoxysilane)を介して銅は配置される。
次に、ループアンテナ11周囲のアンテナ基板10をドライエッチングで除去して、基板除去領域18を設ける。本実施例ではBoschプロセスによるエッチングを行うことで、深さ40μmの基板除去領域18とする。ここで、ループアンテナ11が14μmの幅を有するアンテナ基板10残存部の上に配置されるようにエッチングを行う。
駆動回路基板16は、図10で示すように半径64μmのループアンテナ1101二個と、半径71μmのループアンテナ1102二個から成る、合計四個のループアンテナからの信号を合成した信号を、画素1103の画素信号として処理あるいは出力する。ここで、合成信号は、各ループアンテナからの信号を合算した信号であってもよいし、平均した信号であってもよい。
以上のよう作製された本実施例による検出器は、共振周波数が異なる二種類のループアンテナの信号を使用して一つの画素を形成するので、光源の周波数がはらついていても、高い感度を確保できる、光源の周波数ばらつきに対応した検出器となる。図2の計算結果に示すように、従って半径64μmのループアンテナが0.51THz、半径71μmが0.48THzの共振周波数を有する。したがって、本実施例による検出器は、光源のスペクトルが0.48~0.51THzのいずれの周波数であっても、あるいはこの範囲で広がっている場合でも、好感度にテラヘルツ波を検出することができる。
<実施例2>
本実施例では、異なるアンテナ基板残存部の幅を持ったループアンテナによって一つの画素を形成した、本発明による検出器の一例について述べる。
実施例1と同様に、アンテナ基板10と駆動回路基板16を接合した検出器を作製する。本実施例では実施例1とは異なり、ループアンテナの半径は64μmのみとし、図1Cで示すループアンテナ周囲のアンテナ基板残存部幅102(w)を14μm,18μm,22μmの三種類とし、これらを図11のように三角格子状に配列させている。また、ア
ンテナ基板10とループアンテナ11間の絶縁膜101の厚みを1.5μmとしている。
駆動回路基板16は、図12で示すようにアンテナ基板残存部幅14μm, 18μm, 22μmのループアンテナ三個からの信号の合算値或いは平均値を一つの画素1101として処理するように設計されている。
以上のよう作製された本実施例による検出器では、共振周波数が異なる三種類のループアンテナの信号を使用して一つの画素を形成するので、光源の周波数がはらついていても、高い感度を確保できる、光源の周波数ばらつきに対応した検出器となる。
つまり、図9の計算結果に従って、アンテナ基板残存部幅14μmのループアンテナが0.46THz、18μmが0.45THz、22μmが0.43THzの共振周波数を有している。このため、光源のスペクトルが0.43~0.46THzの範囲で広がっているような光源に対しても感度を保つことが可能な検出器となる。
1 検出器 11a,11b ループアンテナ

Claims (19)

  1. 電磁波を検出する検出器であって、
    整流素子を有する複数のアンテナが配列されており、
    前記複数のアンテナは、少なくとも、第1共振周波数を有する第1アンテナと、前記第1共振周波数とは異なる第2共振周波数を有する第2アンテナと、を含み、
    前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナであり、
    前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナを構成する導電体の下に配された基板残存部の幅が異なっている、
    ことを特徴とする検出器。
  2. 前記第1アンテナが検出可能な電磁波の帯域は、前記第1共振周波数を含む第1帯域であり、
    前記第2アンテナが検出可能な電磁波の帯域は、前記第2共振周波数を含む第2帯域であり、
    前記第1帯域の一部と前記第2帯域の一部が重複する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の検出器。
  3. 電磁波の周波数fに対する前記第1アンテナの感度S1(f)と、前記第2アンテナの感度S2(f)を足し合わせた感度S(f)=S1(f)+S2(f)が、前記第1共振周波数と前記第2共振周波数の間の周波数帯域においてS(f)の最大感度の3/4以上である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の検出器。
  4. 前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナの半径が異なっている、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出器。
  5. 前記第1アンテナと前記第2アンテナの前記半径は、64μm以上80μm以下である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の検出器。
  6. 前記第1アンテナと前記第2アンテナの前記基板残存部の幅は、10μm以上34μm
    以下である、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検出器。
  7. 前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナを構成する導電体が絶縁膜を介して基板の上に配置されて構成されており、
    前記第1アンテナと前記第2アンテナの前記絶縁膜の厚さが異なっている、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検出器。
  8. 前記第1アンテナと前記第2アンテナの前記絶縁膜の厚さは1.5μm以上2.6μm以下である、
    ことを特徴とする請求項7に記載の検出器。
  9. 電磁波を検出する検出器であって、
    整流素子を有する複数のアンテナが配列されており、
    前記複数のアンテナは、少なくとも、第1共振周波数を有する第1アンテナと、前記第1共振周波数とは異なる第2共振周波数を有する第2アンテナと、を含み、
    前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナであり、
    前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナを構成する導電体が絶縁膜を介して基板の上に配置されて構成されており、
    前記第1アンテナと前記第2アンテナの前記絶縁膜の厚さが異なっている、
    ことを特徴とする検出器。
  10. 前記第1アンテナと前記第2アンテナの前記絶縁膜の厚さは1.5μm以上2.6μm以下である、
    ことを特徴とする請求項9に記載の検出器。
  11. 電磁波を検出する検出器であって、
    整流素子を有する複数のアンテナが配列されており、
    前記複数のアンテナは、少なくとも、第1共振周波数を有する第1アンテナと、前記第1共振周波数とは異なる第2共振周波数を有する第2アンテナと、を含み、
    前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナであり
    記第2アンテナループアンテナの半径は、前記第1アンテナのループアンテナの半径よりも大きく
    前記第1アンテナと前記第2アンテナは、並べて配置されており
    前記第1アンテナは前記第2アンテナの内側に重ならないように配置される、
    ことを特徴とする検出器。
  12. 前記第1アンテナと前記第2アンテナは、基板残存部の上に配された導電体により構成され、
    前記基板残存部の内側と外側には、基板残存部よりも厚さの薄い基板除去部が配される、
    ことを特徴とする請求項11に記載の検出器。
  13. 電磁波を検出する検出器であって、
    整流素子を有する複数のアンテナが配列されており、
    前記複数のアンテナは、少なくとも、第1共振周波数を有する第1アンテナと、前記第1共振周波数とは異なる第2共振周波数を有する第2アンテナと、を含み、
    前記第1アンテナと前記第2アンテナは、ループアンテナであり、
    前記第1アンテナおよび前記第2アンテナを構成する導電体は、周囲よりも厚さが厚い基板残存部の上に配置される、
    ことを特徴とする検出器。
  14. 記第1アンテナが検出可能な電磁波の帯域は、前記第1共振周波数を含む第1帯域であり、
    前記第2アンテナが検出可能な電磁波の帯域は、前記第2共振周波数を含む第2帯域であり、
    前記第1帯域の一部と前記第2帯域の一部が重複し、
    電磁波の周波数fに対する前記第1アンテナの感度S1(f)と、前記第2アンテナの感度S2(f)を足し合わせた感度S(f)=S1(f)+S2(f)が、前記第1共振周波数と前記第2共振周波数の間の周波数帯域においてS(f)の最大感度の3/4以上である、
    ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の検出器。
  15. 前記第1アンテナと前記第2アンテナが周期的に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の検出器。
  16. 前記第1アンテナと前記第2アンテナを含むアンテナセットによって1画素が構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の検出器。
  17. 前記1画素を構成する前記第1アンテナと前記第2アンテナから得られる信号を合成した信号を、画素信号として出力する、
    請求項16に記載の検出器。
  18. 前記第1共振周波数および前記第2共振周波数は、0.03THz以上30THz以下である、
    請求項1乃至17のいずれか1項に記載の検出器。
  19. 電磁波を照射する光源と、
    請求項1乃至18のいずれか1項に記載の検出器と、
    前記検出器によって検出された信号から画像を生成する信号処理部と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
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