JP7706736B2 - ペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、ペプチド等に関する。
生体内でのコレステロールは、胆汁酸ミセルに取り込まれたのち、腸管壁から吸収される。高コレステロール血症などの脂質代謝異常を予防するためには、コレステロール吸収を抑制することが望ましい。
本発明者は、以前、500種類のスクリーニングアレイライブラリーの胆汁酸結合活性を調べ、その結果を主成分分析解析でPCプロットしたところ、特定の領域に高活性(胆汁酸高結合)のペプチドが集中していることを明らかにし、さらに500個の新規4残基ペプチド、および新規6残基ペプチドで、高機能領域に存在するペプチドは平均的に高活性になることを明らかにしている(非特許文献1)。
国際公開第2018/207744号
Ito et al., Journal of Bioscience and Bioengineering, 127(3), 336-371 (2019) Scientific REPORTS | (2018) 8:10971.
本発明者はコレステロール吸収抑制作用を有するペプチドについて研究を進める中で、このようなペプチドは、安全性の観点から、可食性タンパク質内の配列を有することが望ましいと考えた。しかしながら、非特許文献1等の従来技術では、可食性タンパク質中にコレステロール吸収抑制作用を有する配列のペプチドが存在するのか否かまでは、分からなかった。
また、特許文献1及び非特許文献2では、特定のシリカゲルにペプチドを吸着させることにより、酸性pH下(胃等)ではペプチドを放出させずに、中性pH下(腸等)でペプチドを放出させる技術が報告されている。経口摂取での利用を考慮した場合、シリカゲルを利用した場合の腸デリバリー性も重要である。
本発明は、コレステロール吸収抑制作用を有するペプチドを提供することを課題とする。好ましくは、本発明は、タンパク質(好ましくは可食性タンパク質)内の配列を有する、且つ/或いはシリカゲルを利用した場合の腸デリバリー性を有する、コレステロール吸収抑制作用を有するペプチドを提供することを課題とする。
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、(a)配列番号1~5のいずれかに示されるアミノ酸配列a、又は(b)前記アミノ酸配列aに対して1又は複数個のアミノ酸が変異してなるアミノ酸配列bからなる、ペプチド、であれば、上記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. (a)配列番号1~5のいずれかに示されるアミノ酸配列a、又は
(b)前記アミノ酸配列aに対して1又は複数個のアミノ酸が変異してなるアミノ酸配列b
からなる、ペプチド。
項2. 前記アミノ酸配列bが、前記アミノ酸配列aに対して1又は2個のアミノ酸が変異してなるアミノ酸配列である、項1に記載のペプチド。
項3. 前記アミノ酸配列bが、前記アミノ酸配列aの末端に1又は2個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列である、項1又は2に記載のペプチド。
項4. 前記アミノ酸配列aが配列番号1に示されるアミノ酸配列である、項1~3のいずれかに記載のペプチド。
項5. 前記アミノ酸配列bが配列番号6に示されるアミノ酸配列である、項4に記載のペプチド。
項6. 項1~5のいずれかに記載のペプチドとシリカゲルとの複合体。
項7. 前記シリカゲルがアルカリ性である、項6に記載の複合体。
項8. 項1~5のいずれかに記載のペプチド及び項6又は7に記載の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、コレステロール吸収抑制剤。
項9. コレステロール含有ミセル崩壊促進及び/又はコレステロール含有ミセル形成抑制に用いるための、項8に記載のコレステロール吸収抑制剤。
項10. 食品添加剤、食品組成物、又は医薬である、項8又は9に記載のコレステロール吸収抑制剤。
項11. 項1~5のいずれかに記載のペプチド及び項6又は7に記載の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、食品添加剤。
項12. 項1~5のいずれかに記載のペプチド及び項6又は7に記載の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、食品組成物。
項13. 項1~5のいずれかに記載のペプチド及び項6又は7に記載の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、医薬。
本発明によれば、コレステロール吸収抑制作用を有するペプチド、該ペプチドを含有するコレステロール吸収抑制剤等を提供することができる。
試験例3のミセル崩壊試験の結果を示す。縦軸はミセル崩壊活性を示し、横軸は被検ペプチドを示す。 試験例4の腸デリバリー性試験の結果を示す。縦軸はpH7においてシリカゲルから放出されたペプチド量を示し、横軸は被検ペプチドを示す。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.ペプチド
本発明は、その一態様において、(a)配列番号1~5のいずれかに示されるアミノ酸配列a、又は(b)前記アミノ酸配列aに対して1又は複数個のアミノ酸が変異してなるアミノ酸配列bからなる、ペプチド(本明細書において、「本発明のペプチド」と示すこともある。)、に関する。以下に、これについて説明する。
アミノ酸配列aは、配列番号1:VEEFYC、配列番号2:IFIYDE、配列番号3:WEFIDF、配列番号4:VYVFDE、又は配列番号5:ELYEFCで示されるアミノ酸配列である。アミノ酸配列aは、ミセル崩壊活性の観点から、好ましくは配列番号1~3のいずれかに示されるアミノ酸配列が挙げられる。また、可食性タンパク質からの切り出しにより適しているという観点から、好ましくは配列番号1に示されるアミノ酸配列が挙げられる。
アミノ酸配列bにおいて、「複数個」とは、特に制限されず、例えば2~4、好ましくは2~3、より好ましくは2である。
アミノ酸配列bにおいて、「変異」としては、アミノ酸の付加、置換、欠失、挿入等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは付加、置換等が挙げられ、より好ましくは付加、保存的置換等が挙げられ、特に好ましくは付加が挙げられる。この特に好ましい一態様において、アミノ酸配列bは、アミノ酸配列aの末端に1又は複数個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列である。
アミノ酸配列bにおいて、置換後のアミノ酸は、ペプチドを構成できるアミノ酸である限り特に制限されず、天然アミノ酸及び人工アミノ酸のいずれも。置換後のアミノ酸としては、例えば疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、分岐鎖アミノ酸、芳香族アミノ酸、含硫アミノ酸等が挙げられる。置換後のアミノ酸として、より具体的には、例えばバリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リシン(リジン)、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、トレオニン(スレオニン)、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、セリン等が挙げられる。
本明細書中において、保存的置換とは、アミノ酸残基が類似の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換されることを意味する。例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基同士で置換されることが、保存的な置換技術にあたる。その他、アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった非帯電性極性側鎖を有するアミノ酸残基;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;スレオニン、バリン、イソロイシンといったβ-分枝側鎖を有するアミノ酸残基、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換にあたる。
アミノ酸配列bとしては、例えば配列番号6(VEEFYCS)に示されるアミノ酸配列が挙げられる。
アミノ酸配列bは、コレステロール含有ミセル崩壊促進活性を有する限り、特に制限されない。コレステロール含有ミセル崩壊促進活性は、後述の試験例3に記載の方法で測定される。
アミノ酸配列bは、タンパク質(好ましくは可食性タンパク質)内の配列を有することが好ましい。ある配列aがタンパク質内の配列であるか否かは、タンパク質のアミノ酸配列(例えば、可食性タンパク質データベース(URL:http://www.uwm.edu.pl/biochemia/index.php/en/biopep)の710種のタンパク質)のアミノ酸配列の中から、残基を1残基ずつずらしながら、配列aの残基数のアミノ酸配列を抽出し、その中に配列aに該当する配列が存在するか否か調べることにより、容易に決定することができる。
可食性タンパク質としては、食品素材に豊富に含まれるタンパク質である限り特に制限されず、具体的には、例えば乳タンパク質(例えばカゼイン、カゼインナトリウム、MPC(Milk Protein Concentrate)、α-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼイン、ラクトアルブミン等、これらの分解物等)、豆タンパク質(例えばグリシニン、βコングリシニン、コンビシリン、ヒストン等)、穀類(例えば、米、小麦等)タンパク質(例えばグルテン、グルアジン、グルテリン、グルテニン貯蔵タンパク質等)、畜肉タンパク質(例えば筋肉構造タンパク、ミオシン、アクチン等)、魚肉タンパク質(例えば筋繊維タンパク、アクトミオシン、ミオシン、アクチン等)、鶏卵タンパク質(例えば卵白アルブミン、卵黄リポタンパク等)、豚皮タンパク質(例えばゼラチン等)等が挙げられる。
アミノ酸配列bは、シリカゲルを利用した場合の腸デリバリー性を有することが好ましい。当該腸デリバリー性を有するとは、例えば、試験例2に記載の方法で算出されるスコアが、例えば40以上、好ましくは45以上、より好ましくは50以上であることである。
本発明の一態様において、アミノ酸配列bを使用した場合のコレステロール含有ミセルの50%崩壊濃度が、対応するアミノ酸配列aを使用した場合の濃度の、例えば3倍以下、2倍以下、1.5倍以下、1.3倍以下、1.2倍以下、又は1.1倍以下であることが好ましい。当該濃度の下限は、特に制限されず、対応するアミノ酸配列aを使用した場合の濃度の、例えば0.1倍、0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍、0.9倍、又は0.95倍である。
本明細書において、コレステロール含有ミセルの50%崩壊濃度は、後述の試験例2に記載の方法で測定される。該方法で得られた結果から、常法に従って、上清のコレステロール量が50%となる場合のペプチド濃度を算出し、得られた値を50%崩壊濃度とする。
本発明のペプチドは、好ましくはアミノ酸配列aからなるペプチドである。
本発明のペプチドは、好ましくは、単離、濃縮、又は精製されたペプチドである。
本発明のペプチドは、コレステロール含有ミセル崩壊促進活性が著しく低下しない限りにおいて、末端のアミノ酸残基が化学修飾されたものも包含する。
本発明のペプチドは、C末端がカルボキシル基(-COOH)、カルボキシレート(-COO)、アミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)であるもの、等も包含する。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルなどのC1-6アルキル基;例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基;例えば、フェニル、α-ナフチルなどのC6-12アリール基;例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル-C1-2アルキル基;α-ナフチルメチルなどのα-ナフチル-C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基;ピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
さらに、本発明のペプチドは、N末端のアミノ酸残基の主鎖上のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、ミリストイル化 、ピログルタミル化、メチル化等も包含する。
本発明のペプチドは、コレステロール含有ミセル崩壊促進活性が著しく低下しない限りにおいて、末端以外のアミノ酸残基が、化学修飾されたものも包含するが、好ましくは、本発明のペプチドは末端以外のアミノ酸残基(特に、塩基性アミノ酸残基)が化学修飾されたものを包含しない。この場合の化学修飾としては、例えばカルボキシル基のアミド化、エステル化等; 保護基によるアミノ基の保護等が挙げられる。エステル化、保護基については、上記した末端の化学修飾と同様である。
本発明のペプチドは、酸または塩基との塩の形態も包含する。塩は、特に限定されず、酸性塩、塩基性塩のいずれも採用することができる。例えば酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩; アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
本発明のペプチドは、溶媒和物の形態も包含する。溶媒は、特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
本発明のペプチドとしては、1種単独を採用することもできるし、2種以上を組合わせて採用することもできる。
本発明のペプチドは、様々な方法で製造することができる。本発明のペプチドは、例えば固相合成法により製造することができる。また、本発明のペプチドが可食性タンパク質中の部分アミノ酸配列からなるペプチドである場合は、タンパク質の酵素分解により得ることができる。
酵素は、タンパク質分解活性を有するものである限り特に限定されないが、例えばアスパラギン酸プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ等が挙げられる。
アスパラギン酸プロテアーゼとしては、例えばペプシン、レニン、カテプシンD、カテプシンE、ナプシン、βセクレターゼ、γセクレターゼ、シグナルペプチドペプチダーゼ、HIVプロテアーゼ、HTLVプロテアーゼ、NS3Aプロテアーゼ、プラスメプシン、サスパーゼ、キモシン等が挙げられる。
セリンプロテアーゼとしては、例えばジペプチジルペプチダーゼ4、トリプシン、キモトリプシン、プラスミン、トロンビン、Xa因子などの血液凝固・線溶系および補体系やその制御系の各因子、好中球エラスターゼ、スブチリシン、フューリン、PACE4、PC2、PC7、ケキシン、ククミシン、ランチビオティックペプチダーゼ、テルミターゼ、アクロシン、カリクレイン、ウロキナーゼ、グランチーム、トリプターゼ、キマーゼ、カテプシンA、プロリルアミノペプチダーゼ、P型シグナルペプチダーゼ、前立腺特異抗原、HCMVプロテアーゼ、V8プロテアーゼ、プロテアーゼK等が挙げられる。
システインプロテアーゼとしては、例えばカテプシンB、カテプシンH、カテプシンL、カテプシンS、カテプシンKなどのカテプシン類、レグメイン、アンジオテンシン変換酵素、ブレオマイシン加水分解酵素、カルパイン、カスパーゼ、ER-60、パパイン、コロナウイルス3CLプロテアーゼ、ファルシパイン、TEVプロテアーゼ、HRV3Cプロテアーゼ等が挙げられる。
メタロプロテアーゼとしては、例えばADAM、マトリックスメタロプロテアーゼ、サーモリシン、ネプリライシン、カルボキシペプチダーゼ、エンドセリン変換酵素、KELL抗原、骨形成因子-1、メプリン、セラリシン、PAPP、ミトコンドリアプロセッシングプロテアーゼ、インスリン分解酵素、アミノペプチダーゼ、プレニルプロテアーゼ等が挙げられる。
スレオニンプロテアーゼとしては、例えばプロテアソーム、γグルタミルトランスフェラーゼ等が挙げられる。
酵素としては、1種単独を採用することもできるし、2種以上を組合わせて採用することもできる。
可食性タンパク質及び酵素の組合せは、例えば、次のようにして決定することができる。すなわち、可食性タンパク質のアミノ酸配列から、酵素で分解した場合に生成される、本発明のペプチドのアミノ酸配列を探索する方法により、決定することができる。これにより、本発明のペプチドのアミノ酸配列が得られる可食性タンパク質/酵素の組合せを得ることが可能である。可食性タンパク質のアミノ酸配列及び酵素の切断特異性は、公知の情報に従って容易に決定することが可能である。
酵素でタンパク質を分解する工程を含む方法により、タンパク質の酵素分解物を得ることができる。分解は、具体的には、例えばタンパク質及び酵素を含有する反応液をインキュベートすることにより、行うことができる。反応液の組成、反応温度、反応時間、タンパク質濃度、酵素濃度、添加剤の有無及びその種類等は、タンパク質及び酵素の種類に応じて、適宜設定することができる。
酵素でタンパク質を分解する工程の後は、さらに、本発明のペプチドを精製する工程を行うことが好ましい。
精製方法は、本発明のペプチドを濃縮できる(すなわち、ペプチド全体における本発明のペプチドの濃度を高めることができる)方法である限り、特に制限されない。精製方法としては、例えば、シリカゲルによる精製、合成吸着樹脂による精製、順相分配クロマトグラフィー、逆相分配クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、電気透析等による脱塩、限外ろ過膜等による分子量分画、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を用いて精製することができる。また、本発明のペプチドを、胆汁酸結合性を利用して(例えば、胆汁酸を担持させた担体を利用して)、精製することもできる。精製方法として、1種単独を採用することもできるし、2種以上を組み合わせて採用することもできる。
2.複合体
本発明は、その一態様において、本発明のペプチドとシリカゲルとの複合体(本明細書において、「本発明の複合体」と示すこともある。)、に関する。以下に、これについて説明する。
本実施形態において、シリカゲルはアルカリ性であることが好ましい。シリカゲルの「アルカリ性」とは、シリカゲルを水に混ぜたときに示す液性をいう。アルカリ性のシリカゲルは、酸性溶液において本発明のペプチドの吸着性能を高くする。
シリカゲルのpHは、7以上10以下であることが好ましい。シリカゲルのpHは、シリカゲルと水とを質量比でシリカゲル:水=5:100の割合で混合して得たスラリーのpHをいう。シリカゲルのpHが7未満の場合には、腸への本発明のペプチドの到達効率が低下するおそれがある。シリカゲルのpHが10を超える場合には、シリカゲルが溶解し、シリカゲルの構造を保てなくなるおそれがある。
更に、シリカゲルのpHは7.5~10であることが好ましく、さらに7.8~9.3であることが望ましい。この場合には、本発明のペプチドを効果的に腸に運ぶことができる。
一般のシリカゲルは、酸性ないし中性(たとえば3~7.5)である。これらのシリカゲルはアルカリ性に調整するとよい。酸性ないし中性のシリカゲルをアルカリ性に調整するためには、シリカゲルをアルカリに接触させるとよい。例えば、シリカゲルをアルカリ溶液に接触させるとよい。アルカリ溶液は、例えば、NaOH、KOH、アンモニアなどのアルカリ成分を水に溶解したアルカリ溶液である。アルカリ溶液のpHは、8~10がよい。アルカリ溶液のpHが10を超えると、シリカゲルが溶解するおそれがある。アルカリ溶液のpHが8未満の場合には、シリカゲルをアルカリ性に調整しにくい。
シリカゲル表面のシラノール基(Si-OH)は、等電点より低いpHではSiOH2 、等電点より高いpHではSi-Oと変化する。このように、シラノール基は、溶液のpHにより表面状態が変化する。
シリカゲルにおける表面積当たりのシラノール基数は、シリカゲルの親水度に影響を与える。シラノール基の数が少なれば、シリカゲルの親水度は小さくなり、シラノール基の数が多ければ、シリカゲルの親水度は大きくなる傾向がある。
シリカゲルの表面積1nm2当たりのシラノール基の数は、1~6個/nm2であるとよい。この場合には、シリカゲルの本発明のペプチドへの吸着性能がよい。更に、シリカゲルの表面積1nm2当たりのシラノール基の数は、1~5個/nm2が好ましく、1.5~4個/nm2であることが望ましい。この場合、酸性溶液中でシリカゲルは本発明のペプチドを吸着しやすく、かつ中性溶液中でシリカゲルは本発明のペプチドを脱離させやすくなる。このため、表面積1nm2当たりのシラノール基の数が1~5個/nm2のシリカゲルを用いた場合には、腸への本発明のペプチドの到達効率が更に高くなる。
シリカゲルの表面積1nm2当たりのシラノール基の数を上記の範囲にするためには、シリカゲルを焼成するとよい。
焼成温度は、250~900℃が良く、更には400~800℃であることが好ましく、550~750℃であることがより好ましい。焼成温度が低すぎる場合には、シラノール基を減少できない。焼成温度が高すぎる場合には、シリカゲルが溶融するおそれがある。
シリカゲルは、例えば、粒子状である。粒子状のシリカゲルとしては、例えば、球状または破砕状のものがある。
シリカゲルの平均粒子径は問わないが、2~2000μmであることが好ましい。平均粒子径はレーザ回折式粒度分布測定装置又は篩い分け重量法により測定した値である。
シリカゲルの平均細孔径は、2~40nmがよく、更には2~20nmが好ましく、2~15nmが望ましい。この場合には、シリカゲルの細孔に、本発明のペプチドは進入させつつ、且つ胃液中のペプシンの進入を抑制できる。シリカゲルにより、ペプシンからペプチドを保護できる。シリカゲルの平均細孔径が40nmを超える場合には、シリカゲルの細孔にペプシンが進入し、細孔内の本発明のペプチドを分解するおそれがある。
シリカゲルの比表面積は、50~1000m2/gであることが好ましく、更には50~800m2/gであることが望ましい。比表面積は、JIS K1150“シリカゲル試験方法”に準拠する方法により測定した値である。
本発明の複合体は、本発明のペプチドとシリカゲルとを有する。複合体は、シリカゲルに本発明のペプチドが吸着している状態をいう。
複合体を製造するためには、シリカゲルと本発明のペプチドとを液体中で混合する。液体のpHは、1~10であるとよい。液体のpHが1未満の場合には、本発明のペプチドが吸着しなくなるおそれがある。液体のpHが10を超える場合には、シリカゲルが溶解するおそれがある。
また、液体の温度は、本発明のペプチドの温度耐性にもよるが、4~40℃であることがよい。この場合には、シリカゲルと本発明のペプチドとが効率よく吸着する。
シリカゲルと本発明のペプチドとを混合する液体は、例えば、水を含むとよい。液体はリン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS」という。)、生理食塩水などが好ましい。
3.用途
本発明の一態様において、本発明は、本発明のペプチド及び本発明の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物(本発明の組成物)、に関する。本発明のペプチドは、コレステロール吸収抑制作用を有する。このため、本発明のペプチド及び本発明の複合体からなる群より選択される少なくとも1種は、コレステロール吸収抑制剤(本発明の剤)の有効成分として利用することができる。コレステロール吸収抑制とは、腸管内におけるコレステロールの吸収抑制を意味する。コレステロール吸収抑制は、好ましくはコレステロール含有ミセル崩壊促進及び/又はコレステロール含有ミセル形成抑制を介して行われる。これにより、例えば遺伝子発現調節を介してコレステロール吸収抑制を行う場合よりも、より早く効果を発現させ得るので、摂取のタイミングを柔軟に設定することができる。また、本発明のペプチドを腸管壁に吸収させる必要が無いので、摂取形式等も柔軟に設定することができる。これらの観点から、本発明の剤は、好ましくは、コレステロール含有ミセル崩壊促進及び/又はコレステロール含有ミセル形成抑制に用いるためのものである。
本発明の剤、本発明の組成物は、ペプチドとして、本発明のペプチド以外のペプチドを含む場合も包含する。本発明の剤、本発明の組成物における本発明のペプチドの含有量は、ペプチド100質量%に対して、例えば10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、とりわけさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
本発明の剤、本発明の組成物は、各種分野において、例えば食品添加剤、食品組成物(健康増進剤、栄養補助剤(サプリメントなど)を包含する)、医薬などとして用いることができる。
本発明の剤、本発明の組成物は、通常は経口摂取されるが、これに限定されるものではない。
本発明の剤、本発明の組成物の形態は、特に限定されず、用途に応じて、各用途において通常使用される形態をとることができる。
本発明の剤、本発明の組成物の形態としては、用途が食品添加剤、医薬、健康増進剤、栄養補助剤(サプリメントなど)などである場合は、例えば錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などが挙げられる。
本発明の剤、本発明の組成物の形態としては、用途が食品組成物の場合は、液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばラーメン、ハンバーガー、揚げ物、ジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳などの飲料、サラダ油、バターなどの食用油脂、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、粉末状または液状の乳製品、パン、クッキーなどが挙げられる。
本発明の剤、本発明の組成物は、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、食品添加剤、食品組成物、医薬、健康増進剤、栄養補助剤(サプリメントなど)などに配合され得る成分である限り特に限定されるものではないが、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、着色料、香料、キレート剤などが挙げられる。
本発明の剤、本発明の組成物における有効成分の含有量は、用途、使用態様、適用対象の状態などに左右されるものであり、限定はされないが、例えば0.0001~100質量%、好ましくは0.001~50質量%とすることができる。当該含有量の下限は、例えば0.01質量%、0.1質量%、1質量%、5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、又は90質量%である。
本発明の剤、本発明の組成物の適用(例えば、投与、摂取、接種など)量は、その効果を発現する有効量であれば特に限定されず、通常は、本発明のペプチドの乾燥重量として、一般に一日あたり0.01~1000mg/kg体重である。適用量の下限は、例えば0.1 mg/kg体重、1 mg/kg体重、5 mg/kg体重、10 mg/kg体重、20 mg/kg体重、50 mg/kg体重、100 mg/kg体重、200 mg/kg体重、又は500 mg/kg体重である。上記適用量は1日1回以上(例えば1~3回)適用するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減することもできる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
試験例1.胆汁酸結合ペプチド予測モデルの構築
<試験例1-1.ペプチドデータベースの取得>
可食性タンパク質データベース(URL:http://www.uwm.edu.pl/biochemia/index.php/en/biopep)の710種のタンパク質のアミノ酸配列の中から、残基を1残基ずつずらしながら4~7merのアミノ酸配列を抽出し、ペプチドデータベースを作成した。4~7merそれぞれについて、抽出された配列の数(Number of fragments)と、重複配列を除いた配列の数(Number of unique fragments)を表1に示す。
Figure 0007706736000001
<試験例1-2.学習データの取得>
得られたペプチドデータベースの中から4~7merそれぞれについて460種(計1840種)のペプチドを選択し、Fmoc固相合成法にてペプチドをセルロースメンブレン上に合成した (spot volume; linker 0.3 μL, amino acid 0.5 μL)。最終脱保護した後PBSで1日メンブレンを洗浄した。
ペプチドアレイをブロッキングするために1 %のBSA (019-15123, 和光純薬工業, 大阪) in PBS溶液を用い、メンブレン1枚ずつを角型シャーレ (AW2000, 栄研化学, 東京) に入れ、一枚につき30 mlの溶液を加えて4℃で12 h、50 rpmで振盪した。ブロッキングしたメンブレンはPBSで1 回洗浄した (30 ml, 5 min, 室温)。
洗浄ののち10 μg/mLのタウロコール酸溶液 (T-4009, Sigma, USA) を30 mlメンブレンに注ぎ37℃で1 h、50 rpmで振盪しペプチドとタウロコール酸を結合させた。その後PBSで1 回洗浄した (30 ml, 5 min, 室温)。
タウロコール酸検出のため、一次抗体であるタウロコール酸抗体 (FKA502, コスモバイオ, 東京) を滅菌水1 mlに溶解し抗体溶液を得た。コール酸抗体 : 0.25 % BSA溶液が1 : 200になるように溶解し、これを角型シャーレに注ぎ、37℃で1h、50 rpmで振盪し、メンブレンと抗体と反応させた。その後0.05 % -Tween 20 TBSで1 回洗浄した (30 ml, 5 min, 室温)。
蛍光観察するためAlexa Fluor 488 goat anti-rabbit IgG (H+L) (A11008,invitrogen,USA) : PBS = 1 : 500の割合で二次抗体溶液を調製し、これを新しい滅菌2号角シャーレに30 mlずつ注いだ。そこに洗浄後のペプチドアレイを静かに浸し、アルミホイルでカバーした後、37℃で1 h、50 rpmで振盪し二次抗体と反応させた。その後0.05% -Tween 20 TBSで1 回洗浄した (30 ml, 5 min, 室温)。
反応を終えたペプチドアレイのスポットは、フルオロ-イメージアナライザー(Typhoon FLA 9500,富士フィルム株式会社,東京)により検出した(励起波長 495 nm,蛍光波長519 nm)。得られた画像データはImage Quantソフト(富士フイルム株式会社)を用いて解析し、それぞれのスポットの蛍光強度を数値化した。なお,2次抗体の非特異吸着の値を差し引くために、1次抗体を添加せず2次抗体のみの反応条件で同じロットのペプチドアレイを用意し、同様に蛍光強度値を取得した。
4~7merそれぞれについて、蛍光強度値の上位150種をPositiveとして設定し、蛍光強度値の下位150種をNegativeとして設定し、これを学習データとした。学習データの平均蛍光強度値とsdを表2に示す。
Figure 0007706736000002
<試験例1-3.予測モデルの構築>
得られた学習データを用いて予測モデルを構築するために、サポートベクターマシン(SVM)、ランダムフォレスト(RF)、ロジスティック回帰(LR)の3つのアルゴリズムをPythonで検討した。pythonでは、scikit-learnライブラリを採用し、leave one out cross validation (LOOCV)をインポートした。アルゴリズムのパラメータは以下のように設定した。SVM(線形)モデルでは、パラメータコストのデフォルト値(C = 1)を使用した。RFモデルでは、パラメータ(成長させる木(ntree)=100または500、各分割時に候補としてランダムにサンプリングする変数の数(mtry)="auto")を使用した。LRモデルでは、パラメータ(ペナルティ="lasso"、C=10または50、ソルバーが収束するまでの最大反復回数(max_iter)=100)を使用した。確率は全ペプチドについて計算し、スコア=0.5を基準に分類した。
評価項目は、Accuracy((TP+TN)/全数)、Precision(TP/(TP+FP))、及びRecall(TP/(TP+FN))とした。各残基の結果を表3~6に示す。
Figure 0007706736000003
Figure 0007706736000004
Figure 0007706736000005
Figure 0007706736000006
7残基のPrecision以外すべてのスコアでランダムフォレストが最も良いスコアであった。そこで、ランダムフォレストで得られた予測モデルを使用することとした。
<試験例1-4.予測モデルによる分類>
得られた予測モデルを用いて、ペプチドデータベース(試験例1-1)を分類した。結果を表7に示す。
Figure 0007706736000007
<試験例1-5.予測モデルの検証>
得られた分類結果に基づいて、4~7merそれぞれについてPositiveの上位50種(計200種:配列番号7~206;HWMW, YWTN, WMYN, WMFN, HMWF, LYNW, LWYH, LYIW, WFTQ, IWYL, HWLY, CYWL, WFFT, VFFW, LFFW, YMFK, HWIY, MFYL, WFYN, LFYF, VFWM, HWVY, MKWW, WFFL, YFTK, VWQF, HWYV, YYLQ, LFWN, LFWI, LYFL, WLYN, LFYM, LYLW, NWFM, LFYL, LFYW, WWKW, LYYN, QWYC, WFNK, YWMD, WWNF, VYMF, LHWY, VYFL, CYQW, WNFN, YYIL, WQWN, LWRLW, LWYRP, LYYRP, QYFSR, LWRFT, LSWYK, YVRLY, RIFQW, RWFTQ, RLYSW, FIRSY, LRYWM, RAFYY, KSYVW, RAYWV, PWRLW, LQWYR, WMKLY, LIWKY, RWWTW, RVWVQ, QRIFW, FVFPR, WIRSL, WYLSK, PLYRI, QRILW, YVRYL, WIYRY, AVRWP, GWRSY, QRWFT, YLWSK, WVLSR, WFFTK, GYYLR, NIRWW, LLYRY, NLRYW, WVKLY, LYRTT, RWFFT, YLRQW, GLYYR, WYRPL, LIRYT, WRWWT, KFWKL, AYYRV, WIIRQ, RLLVYM, QYRLIP, KAFLHW, IWRLLH, GISWRW, QKLVYS, KKYLLF, VYLRKT, GLRFKY, RWVSFK, QKFPQY, KYHVVV, KIKVYL, KYKIVL, KYILQV, LYLVTK, VLRYLL, KLFTKT, LIRYTK, RTVQFV, RYLTTL, KIHLPW, TKYMVI, RMFLSF, LIRWVY, VYKSFA, WYRPLY, RQWSLV, IYRLKL, KWVTFI, RYYPSV, LIRLFT, KYKVVL, RQLIYL, VIYRLK, WIYRYL, RLFTKV, RILQYM, HKLVYI, KKLTFV, PWRTVY, KFYTVI, KFVMKV, RWMLPS, RPFLSW, PTRYTL, IYRYLT, LKFWVF, SYKFIP, WIKYSV, LYYRPLT, LILRWLG, LWYRPLY, RWVSFKT, LTLRYPI, KLWRFTG, IYQQRPT, TFLRLMS, PWIRNLL, LPFQRLV, PILRPLF, GTYRQLF, SFLRPHI, HYIPRAL, YWVTRSL, GYYLRMV, IYLNRQL, IWIQRNT, LKIRYSS, KFMYRSG, RFFMPLY, QFTRLHS, PFLRSQI, PTFTRKL, QPRQYFI, RLFNYGN, KFVFRSS, WMVIRIN, TALRYNI, FIQQRLT, KISQRYQ, FYQKRTL, ILLRNSW, IFSRFSI, PALRQFQ, RQLIYLS, RIFQWQN, FRQTYGI, SWIYRYL, LLYRNGI, TQYRFGH, YYQQRPV, LPVLRWL, PLFRLST, LLVPRYS, QILRPLF, QIMRPLF, WIVKNRL, RQFMKSL, WIIRQQN)及びNegativeの下位50種のペプチドを合成し、試験例1-2と同様にして胆汁酸結合性を示す蛍光強度値を得た。その結果、Positive-Negative間で蛍光強度値に有意差があることが分かった(表8)。このことから、予測モデルは使用できることが分かった。
Figure 0007706736000008
試験例2.ペプチドスクリーニング
試験例1-4でPositiveと分類されたペプチドの中から、シリカゲルを利用した腸へのデリバリーに適したペプチドをスクリーニングした。具体的には、腸デリバリーに関するスコア(酸性pHではアルカリ性シリカゲルに吸着し且つ中性pHでは放出される性質に関するスコア)と等電点及び疎水度との関係を示すヒートマップ(非特許文献2)上で、非特許文献2に基づいて算出したペプチドの等電点及び疎水度をプロットし、ペプチドの上記スコアを算出し、当該スコアが50以上であるペプチドをスクリーニングした。
その結果、5種(配列番号1:VEEFYC、配列番号2:IFIYDE、配列番号3:WEFIDF、配列番号4:VYVFDE、配列番号5:ELYEFC)のペプチドが選択された。
試験例3.ミセル崩壊試験
試験例2で選択したペプチドを合成し、コレステロールを含有するミセルに対する崩壊活性を測定した。具体的には以下のようにして行った。
試験溶液(組成:6.6mMタウロコール酸Na、0.5mMコレステロール(193.3mg/L)、1mMオレイン酸、5mMモノオレイン、0.6mMホスファチジルコリン、PBS(pH7.4))を調製した。試験溶液を超音波で30分間処理した後、37℃で24時間インキュベートして、ミセルを形成させた。被検ペプチドを所定の濃度になるように試験溶液に添加し(終濃度:10、5、3.75、2.5、又は1.25mg/mL)、37℃で1時間インキュベートした。遠心分離(10,000g、20分間)後、0.45μmのフィルター(ADVANTEC製、13HP045AN)でろ過し、ろ液のコレステロール量を、コレステロールオキシダーゼを用いるコレステロールキット(富士フィルム和光純薬製、コレステロールE-テストワコー)を使って測定した。上清のコレステロール量は、上清にミセルとして存在するコレステロール量を示す。すなわち、被検ペプチドがミセル崩壊活性を有する場合は、被検ペプチドを添加しない場合に比べて、上清のコレステロール量が減少する。測定値を使用し、次の式:ミセル崩壊活性(%)={(ペプチド添加前の上清の吸光度)-(ペプチド添加後の上清の吸光度)} / ペプチド添加前の上清の吸光度×100 に基づいてミセル崩壊活性(%)を算出した。
結果を図1に示す。また、コレステロール含有ミセルの50%崩壊濃度を表9に示す。
Figure 0007706736000009
試験例4.腸デリバリー性試験
試験例2で選択したペプチドを合成し、腸へのデリバリー性を試験した。具体的には、以下の方法に従って行った。シリカゲルとして、特許文献1に記載の方法で調製した焼成シリカゲルを使用した。25 mg/mLに調製したシリカゲル分散液と、樹脂合成で得られたペプチドを0.5 mM (溶媒はpH 2.1リン酸バッファー)に調製しそれぞれ150 μLずつ低接着マイクロチューブに加えた。30秒ボルテックスしたのち、遠心分離 (10000g, 1 min) を行い、上清とシリカゲルとを分離した。シリカゲル側にpH 2.1のリン酸バッファー溶液300μLを加え、酸性リリースを行った。再びボルテックスしたのち、遠心分離 (10000g, 1 min) を行い、上清とシリカゲルとを再度分離した。次に再びシリカゲル側にpH 7.4のバッファー溶液300μLを加え中性リリースを行った。再び遠心分離 (10000g, 1 min)を行い、上清側から150μL分取し96 well plateに入れ、そこに5 mg/mLのフルオレスカミン / アセトンを10μL加え、蛍光プレートリーダーで蛍光測定した。
結果を図2に示す。
試験例5.自然界での分布
試験例2で選択したペプチド配列についてUniprotで探索した。結果を以下に示す。括弧内の数字は収録数を示す。
WEFIDF (3088種): ニワトリに限らず魚、ウシ、ブタなど動物のミオシンに存在。
VEEFYC (83種): 銀杏の11Sグロブリン特異的に存在。
ELYEFC (693種):種々の作物の中のG10タンパクに保存された配列。
IFIYDE (1776種): Na/Kチャネルに広く保存。
VYVFDE (1676種):トウモロコシのレグミン特異的に存在。
試験例6.酵素による切り出し
VEEFYCについて、Peptide Cutter(Swiss Institute of Bioinformatics)にて切り出し予測を行った。その結果、可食性タンパク質(銀杏の11Sグロブリン)からサーモリシンにより1アミノ酸付加の形態(VEEFYCS:配列番号6)で切り出し可能であることが分かった。

Claims (13)

  1. (a)配列番号1~5のいずれかに示されるアミノ酸配列a、又は
    (b)前記アミノ酸配列aの末端に1又は2個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列であって、コレステロール含有ミセル崩壊促進活性を有する、アミノ酸配列b
    からなる、ペプチド。
  2. 前記アミノ酸配列bが、前記アミノ酸配列aの末端に1個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列である、請求項1に記載のペプチド。
  3. 前記ペプチドが前記アミノ酸配列aからなる、請求項に記載のペプチド。
  4. 前記アミノ酸配列aが配列番号1に示されるアミノ酸配列である、請求項1~3のいずれかに記載のペプチド。
  5. 前記アミノ酸配列bが配列番号6に示されるアミノ酸配列である、請求項1又は2に記載のペプチド。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のペプチドとシリカゲルとの複合体。
  7. 前記シリカゲルがアルカリ性である、請求項6に記載の複合体。
  8. 請求項1~5のいずれかに記載のペプチド及び請求項6又は7に記載の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、コレステロール吸収抑制剤。
  9. コレステロール含有ミセル崩壊促進及び/又はコレステロール含有ミセル形成抑制に用いるための、請求項8に記載のコレステロール吸収抑制剤。
  10. 食品添加剤、食品組成物、又は医薬である、請求項8又は9に記載のコレステロール吸収抑制剤。
  11. 請求項1~5のいずれかに記載のペプチド及び請求項6又は7に記載の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、食品添加剤。
  12. 請求項1~5のいずれかに記載のペプチド及び請求項6又は7に記載の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、食品組成物。
  13. 請求項1~5のいずれかに記載のペプチド及び請求項6又は7に記載の複合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、医薬。
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