本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。
<実施例1>
図1~図3を参照しつつ実施例1のパワーステアリング装置20を説明する。
図1に示されるように、車両10にはパワーステアリング装置20が搭載されている。このパワーステアリング装置20は、ステアリングホイール21の操舵入力(操舵力または操舵トルクともいう)が生じる操舵部22と、左右の転舵車輪23,23(車輪23,23。タイヤを含む)を転舵する転舵部24とを含む。左右の転舵車輪23,23は、転舵部24によって転舵されるものであればよく、前輪、後輪、又は両方を含む。
パワーステアリング装置20は、ステアリングホイール21と転舵部24との間が、機械的に分離または分離可能な構成の、いわゆるステアバイワイヤ式(steer-by-wire)パワーステアリング装置であって、ステアリングホイール21の操舵量に応じて転舵用アクチュエータ44を作動させることにより、左右の転舵車輪23,23を転舵することが可能である。
操舵部22は、運転者が操舵するステアリングホイール21と、このステアリングホイール21に連結されているステアリング軸31と、ステアリングホイール21に対して操舵反力を付加する反力付加アクチュエータ32と、を含む。この操舵反力は、左右の転舵車輪23,23が路面Rdから受ける転舵抵抗(路面反力)に応じて、反力付加アクチュエータ32(第1アクチュエータ32)からステアリングホイール21へ付加されるものであって、反力トルク(操舵トルクに抵抗するトルク)と言い換えることができる。
ここで、運転者がステアリングホイール21を操舵角θsの増大方向へ操舵することを、「切り増し操作」という。運転者が、切り増し操作の後に、ステアリングホイール21を操舵角θsの減少方向(中立方向)へ操舵することを、「切り戻し操作」という。
反力付加アクチュエータ32は、運転者が操舵するステアリングホイール21の操舵入力(操舵トルク)に抵抗する操舵反力(反力トルク)を発生して、ステアリングホイール21に付加することによって、運転者に操舵感を与える。この反力付加アクチュエータ32は、操舵反力を発生する反力付加モータ33(第1モータ33)と、操舵反力をステアリング軸31に伝達する反力伝達機構34と、を含む。反力付加モータ33は、電動モータによって構成される。以下、反力付加モータ33のことを、適宜「反力モータ33」と略称する。
転舵部24は、車幅方向へ延びている転舵軸41と、この転舵軸41の両端にタイロッド42,42及びナックル43,43を介して連結されている左右の転舵車輪23,23と、転舵軸41に転舵用動力を付加する転舵用アクチュエータ44と、を含む。
転舵用アクチュエータ44(第2アクチュエータ44)は、転舵用動力を発生する転舵用モータ45と、転舵用動力を転舵軸41に伝達する転舵動力伝達機構46とからなる。転舵用モータ45(第2モータ45)は、例えば電動モータによって構成される。転舵用モータ45が発生した転舵用動力は、転舵動力伝達機構46によって転舵軸36に伝達される。この結果、転舵軸41は車幅方向にスライドする。
さらに、パワーステアリング装置20は、ステアリングホイール21の操舵角θsを検出する操舵角検出部51と、ステアリング軸31に発生する操舵トルクを検出する操舵トルク検出部52と、反力モータ33の回転角を検出する反力モータ回転角検出部53と、反力モータ33の電流値を検出する反力モータ電流検出部54とを備えている。反力モータ回転角検出部53は、例えば、反力モータ33に備えたレゾルバによって構成される。
さらに、パワーステアリング装置20は、転舵用モータ45の回転角を検出する転舵用モータ回転角検出部55と、転舵用モータ45の電流値を検出する転舵用モータ電流検出部56と、転舵軸41の中立位置からのストローク量を検出するストローク検出部57と、転舵軸41の軸力frを検出する軸力検出部58とを備えている。転舵用モータ回転角検出部55は、例えば、転舵用モータ45に備えたレゾルバによって構成される。
転舵軸41のストローク量と、転舵車輪23,23の転舵角とは、相関関係を有する。検出されたストローク量に基づいて、転舵車輪23,23の転舵角を間接的に求めることができる。なお、この転舵角は、転舵用モータ回転角検出部55によって検出された転舵用モータ45の回転角により、間接的に求めることができる。
また、軸力frは、操舵角検出部51によって検出されたステアリングホイール21の操舵角θsと、転舵用モータ回転角検出部55によって検出された転舵用モータ45の回転角と、転舵用モータ電流検出部56によって検出された転舵用モータ45の電流値とにより、間接的に求める(推定する)ことができる。
さらに、パワーステアリング装置20は、車両10の走行速度Vs(車速Vs)を検出する車速検出部61と、車両10の加速度(前後G)を検出する加速度検出部62と、車両10に発生したヨーレートYrを検出するヨーレート検出部63と、その他の各種検出部64と、車両10を運転している運転者に警告を発する警告発生部65と、制御部66とを備えている。
制御部66は、上記の検出部51~58,61~64からそれぞれ検出信号を受けて、反力付加アクチュエータ32及び転舵用アクチュエータ44に電流を付与するとともに、警告発生部65に作動信号を発する。この制御部66は、反力付加アクチュエータ32を駆動制御する反力付加アクチュエータ制御部71と、転舵用アクチュエータ44を駆動制御する転舵用アクチュエータ制御部72と、警告発生部65を駆動制御する警告駆動制御部73と、を備えている。
実施例1では、操舵角検出部51と軸力検出部58とヨーレート検出部63と制御部66とによって、路面状態検出装置80が構成されている。この路面状態検出装置80において、制御部66は、前記警告駆動制御部73と、第1の路面状況を判断する第1の路面状況判断部81と、第2の路面状況を判断する第2の路面状況判断部82と、を備えていることを特徴とする。
第1の路面状況判断部81は、操舵角検出部51によって検出された操舵角θsに対する、軸力検出部58によって検出された軸力frの値に基づいて、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第1の路面状況を判断する。
第2の路面状況判断部82は、操舵角検出部51によって検出された操舵角θsに対する、ヨーレート検出部63によって検出されたヨーレートYrの値に基づいて、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第2の路面状況を判断する。
次に、図1を参照しつつ、図2及び図3に基づいて、制御部66による制御を説明する。制御部66は、例えばマイクロコンピュータによって構成される。マイクロコンピュータによって構成した制御部66の、具体的な制御の一例を説明すると、次の通りである。
図2は、制御部66の制御フローチャートであって、制御部66の一連の制御のなかの、第1の路面状況及び第2の路面状況の判断及び警告発生部65の作動制御の処理を実行するサブルーチンを示している。このサブルーチンは、例えば所定の条件による割込処理や、時分割処置によって実行する。
制御部66は制御を開始すると、先ずステップS01では、操舵角検出部51によって実際に検出された操舵角θs(実操舵角θs)を取得する。次に、ステップS11~S13の一連の第1の処理と、ステップS21~S23の一連の第2の処理とを、並列処理を実行する。
第1の処理において、先ずステップS11では、操舵角θsの値から軸力frに関する閾値である軸力閾値fsを設定する。この軸力閾値fsは、例えば転舵車輪23,23が接している路面Rdが、低摩擦状況であるか否かを判断する第1の基準値である。この軸力閾値fsは、予め設定されている所定の、第1マップ(図3(a)参照)や演算によって求められる。なお、図1の制御部66は、操舵角θsから軸力閾値fsを設定する軸力閾値設定部69を備えている。
図3(a)は、横軸を操舵角θsとし、縦軸を軸力閾値fsとして、操舵角θsに対する軸力閾値fsを求める第1マップを示している。この第1マップによれば、操舵角θsの増大に従って軸力閾値fsが増大することが判る。
前記ステップS11の次の、ステップS12では、軸力検出部58によって実際に検出された軸力fr(実軸力fr)を取得する。なお、この軸力frは、操舵角検出部51によって検出されたステアリングホイール21の操舵角θsと、転舵用モータ回転角検出部55によって検出された転舵用モータ45の回転角と、転舵用モータ電流検出部56によって検出された転舵用モータ45の電流値とにより、間接的に求めた(推定した)値であってもよい。
次に、ステップS13では、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第1の路面状況を判断、つまり、実軸力frが軸力閾値fsを下回っているか否かを判断する。このステップS13は、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第1の路面状況を判断する第1の路面状況判断部81を構成している。
一方、前記第2の処理において、先ずステップS21では、操舵角θsの値からヨーレートYrに関する閾値であるヨーレート閾値Ysを設定する。このヨーレート閾値Ysは、例えば転舵車輪23,23が接している路面Rdが、低摩擦状況であるか否かを判断する第2の基準値である。このヨーレート閾値Ysは、予め設定されている所定の、第2マップ(図3(b)参照)や演算によって求められる。なお、図1の制御部66は、操舵角θsからヨーレート閾値Ysを設定するヨーレート閾値設定部70を備えている。
図3(b)は、横軸を操舵角θsとし、縦軸をヨーレート閾値Ysとして、操舵角θsに対するヨーレート閾値Ysを求める第2マップを示している。この第2マップによれば、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysが増大することが判る。
前記ステップS21の次の、ステップS22では、ヨーレート検出部63によって実際に検出されたヨーレートYr(実ヨーレートYr)を取得する。
次に、ステップS23では、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第2の路面状況を判断、つまり、実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っているか否かを判断する。このステップS04は、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第2の路面状況を判断する第2の路面状況判断部82を構成している。
前記ステップS13において実軸力frが軸力閾値fsを下回っていると判断、及び/又は、前記ステップS23において実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っていると判断をした場合、つまり、路面Rdが低摩擦状況であるという判断をした場合には、次のステップS31において警告駆動制御部73により警告発生部65を作動させた後に、このサブルーチンを終了する。この結果、警告発生部65は車両10を運転している運転者に警告を発する。
一方、前記ステップS13において実軸力frが軸力閾値fsを下回っていないと判断をするとともに、前記ステップS23において実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っていないと判断をした場合には、警告発生部65を作動させることなく、このサブルーチンを終了する。
以上の説明から明らかなように、パワーステアリング装置20は路面状態検出装置80を備えている。この路面状態検出装置80は、第1の路面状況判断部81(ステップS13)と、第2の路面状況判断部82(ステップS23)と、警告駆動制御部73(ステップS31)と、を備えている。
以上の実施例1の説明をまとめると、次の通りである。
路面状態検出装置80は、ステアリングホイール21の操舵角θsを検出する操舵角検出部51と、車輪23,23(転舵車輪23,23)を転舵する転舵部24の転舵軸41の軸力frを検出する軸力検出部58と、車両10に発生したヨーレートYrを検出するヨーレート検出部63と、前記操舵角θsに対する前記軸力frの値に基づいて、前記車輪23,23が接している路面Rdの路面状況(第1の路面状況)を判断する第1の路面状況判断部81と、前記操舵角θsに対する前記ヨーレートYrの値に基づいて、前記車輪23,23が接している前記路面Rdの路面状況(第2の路面状況)を判断する第2の路面状況判断部82と、を備えている。
このため、操舵角θsに対する転舵軸41の軸力frの値に基づいて、第1の路面状況を判断することができる。操舵角θsに対する車両10のヨーレートYrの値に基づいて、第2の路面状況を判断することができる。2種類の路面状況判断部を有することによって、多様な操作や運転状況に対応した路面状況を、より高精度に判断することができる。
しかも、路面Rdが摩擦低下の状況にあることを、運転者が認知することが可能な程度の状態量を定義して、運転者の認知に基づく低摩擦路面を判断することが可能なので、実際に路面Rdの状況を計測する必要がない。
さらに、前記第1の路面状況判断部81は、前記軸力frに関する閾値である軸力閾値fsによって、前記第1の路面状況を判断している。前記第2の路面状況判断部82は、前記ヨーレートYrに関する閾値であるヨーレート閾値Ysによって、前記第2の路面状況を判断している。
このように、路面が摩擦低下の状況にあることを、運転者が認知することが可能な程度の軸力閾値fsやヨーレート閾値Ysを設定することによって、運転者の認知に基づく低摩擦路面を、より明確に且つ確実に判断することが可能である。
さらに、前記軸力閾値fsと前記ヨーレート閾値Ysの少なくとも一方は、前記路面Rdが低摩擦状況であるか否かを判断するための値である。
このため、例えば次の3つの状態の場合に、路面状態検出装置80は、路面Rdと転舵車輪23,23との間の摩擦力(路面摩擦)が低下したと判断することができる。
第1に、路面状態検出装置80は、ステアリングホイール21を切り増し操作している(操舵角θsが増大している)ときには、軸力frが軸力閾値fsよりも低下した場合に、路面Rdが低摩擦状況であると判断する。軸力は、車両の低速走行中(例えば、車速が約20km/h以下)において、運転者が、路面の摩擦力が低下したと判断し修正操舵を行う契機となる状態量であり、当該車速域において特に効果を奏する。
第2に、路面状態検出装置80は、操舵角θsが増大しているときには、ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを超えた場合に、路面Rdが低摩擦状況であると判断する。ヨーレートは、車両の高速走行中(例えば、車速が約50km/h以上)において、運転者が、路面の摩擦力が低下したと判断し修正操舵を行う契機となる状態量であり、当該車速域において特に効果を奏する。
第3に、路面状態検出装置80は、操舵角θsが増大しているときには、運転者は、軸力frが軸力閾値fsよりも低下するとともに、ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを超えた場合に、前記路面Rdが低摩擦状況であると判断する。軸力及びヨーレートの2つの指標は、車両の加速走行時において、運転手が、路面の摩擦力が低下したと判断し修正操舵を行う契機となる状態量であり、加速走行時において特に効果を奏する。
さらに、前記第1の路面状況判断部81及び/又は前記第2の路面状況判断部82によって、前記路面Rdが前記低摩擦状況であるという判断がなされた場合に、前記車両10を運転している運転者に警告を発する警告発生部65を備えている。
このため、警告発生部65は、第1の路面状況判断部81と第2の路面状況判断部82との、少なくともいずれか一方が、路面Rdが摩擦低下の状況にあるとの判断結果に従って、警告を発することができる。従って、運転者は、運転の習熟度の大小にかかわらず、路面が摩擦低下の状況にあることを明確に且つ速やかに判断することができる。
パワーステアリング装置20は、前記ステアリングホイール21と前記転舵部24との間が、機械的に分離または分離可能な構成である、いわゆるステアバイワイヤ式のパワーステアリング装置であって、路面状態検出装置80を備える。
このように、ステアバイワイヤ式のパワーステアリング装置20は、ステアリングホイール21と転舵車輪23,23との間が機械的に分離している。そのため、転舵軸41の軸力frの変化による前記第1の路面状況を運転者が認知することはできない。これに対し、ステアバイワイヤ式のパワーステアリング装置20に路面状態検出装置80を備えたことによって、ステアリングホイール21と転舵車輪23,23との間が機械的に分離しているにもかかわらず、運転者は前記第1の路面状況を確実に認知することができる。
<実施例2>
次に、図4~図6を参照しつつ実施例2の路面状態検出装置80A、及びこの路面状態検出装置80Aを備えたパワーステアリング装置20Aを説明する。実施例2は、実施例1と比較して、運転者の認知に基づく低摩擦路面を、より一層、明確に且つ確実に判断することが可能である。
図4は、実施例2のパワーステアリング装置20Aの模式図であり、実施例1のパワーステアリング装置20を説明する図1に対応させて表している。図5は、実施例2の制御部66Aの制御フローチャートであり、実施例1の制御部66の制御フローチャートを説明する図2に対応させて表している。図6(a)は、実施例2の第1マップの説明図であり、実施例1の第1マップを説明する図3(a)に対応させて表している。図6(b)は、実施例2の第2マップの説明図であり、実施例1の第2マップを説明する図3(b)に対応させて表している。
実施例2のパワーステアリング装置20Aの路面状態検出装置80Aは、軸力閾値fsとヨーレート閾値Ysの少なくともいずれか一方が、車速検出部61によって検出された走行速度Vsに基づいて変化することを特徴とする。その他の基本的な構成については、実施例1のパワーステアリング装置20と共通する。実施例1のパワーステアリング装置20と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
実施例2の制御部66Aは、実施例1の制御部66に対して、前記走行速度Vsに基づいて軸力閾値fsとヨーレート閾値Ysの少なくともいずれか一方を変化させるという、路面状態検出装置80Aの機能を有している。言い換えれば、軸力閾値fsとヨーレート閾値Ysの両者が、車速検出部61によって検出された走行速度Vsに基づいて変化する場合、制御部66Aは、操舵角θsから軸力閾値fsを設定する軸力閾値設定部69Aと、操舵角θs及び走行速度Vsからヨーレート閾値Ysを設定するヨーレート閾値設定部70Aと、を備えることができる。
実施例2の制御部66Aは制御を開始すると、先ずステップS01では、検出された操舵角θs(実操舵角θs)を取得する。次に、ステップS02では、車速検出部61によって実際に検出された車速Vs(実車速Vs)を取得する。次に、ステップS11A~S13Aの一連の第1の処理と、ステップS21A~S23Aの一連の第2の処理とを、並列処理を実行する。
第1の処理において、先ずステップS11Aでは、操舵角θsと車速Vsとの値から軸力frに関する閾値である軸力閾値fsを設定する。この軸力閾値fsは、路面Rdが低摩擦状況であるか否かを判断する第1の基準値である。この軸力閾値fsは、予め設定されている所定の、第1マップ(図6(a)参照)や演算によって求められる。
図6(a)は、横軸を操舵角θsとし、縦軸を軸力閾値fsとして、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsn毎に、操舵角θsに対する軸力閾値fsを求める第1マップを示している。ここで、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsnは、車速検出部61によって検出された車速Vsのうち、値Vs1が最も低速であり、値Vsnが最も高速である。この第1マップによれば、操舵角θsの増大に従って軸力閾値fsが増大するとともに、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsnが高速であるほど、操舵角θsの増大に従って軸力閾値fsの増大する割合が大きくなることが判る。
前記ステップS11Aの次のステップS12Aでは、上記実施例1と同様に、軸力検出部58によって実際に検出された軸力fr(実軸力fr)を取得する。
次に、ステップS13Aでは、上記実施例1と同様に、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第1の路面状況を判断、つまり、実軸力frが軸力閾値fsを下回っているか否かを判断する。このステップS13Aは、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第1の路面状況を判断する第1の路面状況判断部81Aを構成している。
一方、前記第2の処理において、先ずステップS21Aでは、操舵角θsと車速Vsとの値からからヨーレートYrに関する閾値であるヨーレート閾値Ysを設定する。このヨーレート閾値Ysは、路面Rdが低摩擦状況であるか否かを判断する第2の基準値である。このヨーレート閾値Ysは、予め設定されている所定の、第2マップ(図6(b)参照)や演算によって求められる。
図6(b)は、横軸を操舵角θsとし、縦軸をヨーレート閾値Ysとして、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsn毎に、操舵角θsに対するヨーレート閾値Ysを求める第2マップを示している。ここで、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsnの配列は、上記図6(a)に示される第1マップに対して逆順である。この第2マップによれば、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysが増大するとともに、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsnが高速であるほど、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysの増大する割合が小さくなることが判る。
前記ステップS21Aの次の、ステップS22Aでは、上記実施例1と同様に、ヨーレート検出部63によって実際に検出されたヨーレートYr(実ヨーレートYr)を取得する。
次に、ステップS23Aでは、上記実施例1と同様に、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第2の路面状況を判断、つまり、実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っているか否かを判断する。このステップS23Aは、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第2の路面状況を判断する第2の路面状況判断部82Aを構成している。
前記ステップS13Aにおいて実軸力frが軸力閾値fsを下回っていると判断、及び/又は、前記ステップS23Aにおいて実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っていると判断をした場合、つまり、路面Rdが低摩擦状況であるという判断をした場合には、次のステップS31において警告駆動制御部73により警告発生部65を作動させた後に、このサブルーチンを終了する。この結果、警告発生部65は車両10を運転している運転者に警告を発する。
一方、前記ステップS13Aにおいて実軸力frが軸力閾値fsを下回っていないと判断をするとともに、前記ステップS23Aにおいて実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っていないと判断をした場合には、警告発生部65を作動させることなく、このサブルーチンを終了する。
以上の説明から明らかなように、パワーステアリング装置20Aは路面状態検出装置80Aを備えている。この路面状態検出装置80Aは、第1の路面状況判断部81A(ステップS13A)と、第2の路面状況判断部82A(ステップS23A)と、警告駆動制御部73(ステップS31)と、を備えている。
以上の実施例2の説明をまとめると、次の通りである。
路面状態検出装置80Aは、前記車両10の走行速度Vs(車速Vs)を検出する車速検出部61を備える。前記軸力閾値fsと前記ヨーレート閾値Ysの少なくともいずれか一方(好ましくは、前記軸力閾値fsと前記ヨーレート閾値Ysの両者)は、前記走行速度Vsに基づいて変化する。
一般に、運転者が路面摩擦低下であるとの認知は、走行速度Vs(車速Vs)に従って変化し得る。これに対し、実施例2では、走行速度Vs(車速Vs)に基づいて軸力閾値fsやヨーレート閾値Ysを変化させている。例えば、車速が高速であるほど、軸力閾値fsを高く設定するとともに、ヨーレート閾値Ysを低く設定することができる。このため、多様な操作や運転状況に対応した路面状況を、より一層高精度に判断することができる。その他の作用、効果は、上記実施例1の作用、効果と同じである。
<実施例3>
次に、図7及び図8を参照しつつ実施例3の路面状態検出装置80B、及びこの路面状態検出装置80Bを備えたパワーステアリング装置20Bを説明する。実施例3は、実施例1及び実施例2と比較して、運転者は、速やかに且つ容易に路面状況の危険度合いを認知することができる。
図7は、実施例3のパワーステアリング装置20Bの模式図であり、実施例2のパワーステアリング装置20Aを説明する図4に対応させて表している。図7の実施例3の制御部66Bは、図4の実施例2の制御部66Bと同様に、軸力閾値設定部69A及びヨーレート閾値設定部70Aを備えることができる。なお、軸力閾値設定部69A及びヨーレート閾値設定部70Aの一方は、図1の軸力閾値設定部69及びヨーレート閾値設定部70の一方であってもよく、すなわち、実施例3の制御部66Bは、実施例1の制御部66に対して、走行速度Vsに基づいて軸力閾値fsとヨーレート閾値Ysの少なくともいずれか一方を変化させるという、路面状態検出装置80Bの機能を有していればよい。
図8は、実施例3の制御部66Bの制御フローチャートであり、実施例2の制御部66Aの制御フローチャートを説明する図5に対応させて表している。
実施例3のパワーステアリング装置20Bの路面状態検出装置80Bは、(1)警告発生部65Bが、第1の路面状況と第2の路面状況とで互いに異なる警告を発するとともに、(2)第2の路面状況が低摩擦状況であるときには転舵車輪23,23のスリップを修正する方向の操舵反力をステアリングホイール21に付与することを特徴とする。その他の基本的な構成については、実施例1のパワーステアリング装置20と共通する。実施例2のパワーステアリング装置20Aと共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
実施例2の警告発生部65に対して、実施例3の警告発生部65Bは、第1警告部101と第2警告部102という2つの警告部を有していることを特徴とする。第1警告部101は、第1の路面状況の場合に報知するものであって、例えば運転者が視覚によって認識することが可能な構成(点滅する警告灯など)であり、車室内において運転者が認知しやすい位置、例えばインストルメントパネルに配置される。第2警告部102は、第2の路面状況の場合に報知するものであって、例えば運転者が聴覚によって認識することが可能な構成(ブザー等の警音器など)あり、車室内に配置される。
実施例3の警告駆動制御部73Bは、第1警告部101を駆動制御する第1警告駆動制御部103と、第2警告部102を駆動制御する第2警告駆動制御部104とによって構成されている。
実施例2の制御部66Aに対して、実施例3の制御部66Bは、(1)第1の路面状況と第2の路面状況とで互いに異なる警告を警告発生部65Bに発生させるとともに、(2)第2の路面状況が低摩擦状況であるときには転舵車輪23,23のスリップを修正する方向の操舵反力を反力付加アクチュエータ32に発生させるという、路面状態検出装置80Bの機能を有している。
図8に示される実施例3の制御部66Bの制御フローチャートにおいて、ステップS01,S02,S11A~S13A,S21A~S23Aの制御内容は、上記図5に示される実施例2の制御部66Aの制御フローチャートの制御内容と同じであり、説明を省略する。
前記ステップS13Aにおいて実軸力frが軸力閾値fsを下回っていると判断、つまり、路面Rdが低摩擦状況であるという判断をした場合には、次のステップS31Aにおいて第1警告駆動制御部103により第1警告部101を作動させた後に、このサブルーチンを終了する。この結果、第1警告部101は車両10を運転している運転者に、第1の路面状況であるという警告を発する。一方、前記ステップS13Aにおいて実軸力frが軸力閾値fsを下回っていないと判断をした場合には、第1警告部101を作動させることなく、このサブルーチンを終了する。
前記ステップS23Aにおいて実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っていると判断、つまり、路面Rdが低摩擦状況であるという判断をした場合には、次のステップS31Bにおいて第2警告駆動制御部104により第2警告部102を作動させた後に、ステップS32に進む。この結果、第2警告部102は車両10を運転している運転者に、第2の路面状況であるという警告を発する。一方、前記ステップS23Aにおいて実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っていないと判断をした場合には、第2警告部102を作動させることなく、このサブルーチンを終了する。
前記ステップS31Bの次の、ステップS32では、反力付加アクチュエータ制御部71により反力付加アクチュエータ32を駆動制御しすることによって、路面Rdに対する転舵車輪23,23のスリップを修正する方向の操舵反力を、反力付加アクチュエータ32から発生させる。
以上の説明から明らかなように、パワーステアリング装置20Bは路面状態検出装置80Bを備えている。この路面状態検出装置80Bは、第1の路面状況判断部81A(ステップS13A)と、第2の路面状況判断部82A(ステップS23A)と、第1警告駆動制御部103(ステップS31A)と、第2警告駆動制御部104(ステップS31B)と、反力付加アクチュエータ制御部71と、を備えている。
以上の実施例3の説明をまとめると、次の通りである。
前記警告発生部65Bは、前記第1の路面状況判断部81によって、前記路面Rdが前記低摩擦状況であるという判断がなされた場合と、前記第2の路面状況判断部82によって、前記路面Rdが前記低摩擦状況であるという判断がなされた場合とで、互いに種類の異なる警告を発する。
一般に、車両の走行している路面が、(1)滑りやすい路面であることと、(2)実際に滑っている状態であることとは、運転者の危険度合いが異なるので、警告発生部65Bが発する警告も異なることが好ましい。
第1の路面状況は、運転者が、ステアリングホイール21の操舵トルクが過小な状態になったと感じることによって、路面摩擦が低下したことを認知する、滑りやすい路面状況である。また、第2の路面状況は、運転者が、車両10に発生したヨーレートYrが過大な状態になったと感じることによって、路面摩擦が低下したことを認知する、車両運動に影響を与えている路面状況である。
これに対し、警告発生部65Bは、軸力frの変化から第1の路面状況であると判断した場合には、第1警告部101を駆動する(例えば警告灯を点滅させる)。また、警告発生部65Bは、ヨーレートYrの変化から、低摩擦の第2の路面状況であると判断した場合には、第2警告部102を駆動する(例えばブザー等の警音器を鳴らす)。このように、警告発生部65Bから発せられる警告が異なることによって、運転者は速やかに且つ容易に路面状況の危険度合いを認知することができる。
さらに、前記ステアバイワイヤ式のパワーステアリング装置20は、前記ステアリングホイール21の操舵入力に抵抗する操舵反力を発生して前記ステアリングホイール21に付加する反力付加アクチュエータ32と、この反力付加アクチュエータ32を駆動制御する反力付加アクチュエータ制御部71とを備える。前記第2の路面状況判断部82Aが前記低摩擦状況であるという判断をした場合には、前記反力付加アクチュエータ制御部71は、前記路面Rd対する前記転舵車輪23,23のスリップを修正する方向の前記操舵反力を前記ステアリングホイール21に付与して前記操舵角θsを補正するように、前記反力付加アクチュエータ82を制御する。
このように、操舵角θsに対するヨーレートYrの変化から、低摩擦の第2の路面状況であると第2の路面状況判断部82が判断した場合には、転舵車輪23,23のスリップを修正する方向の操舵反力をステアリングホイール21に付与することによって、操舵角θsや、操舵トルクに基づいて変化する転舵用アクチュエータ44の制御量が変化することとなるため、速やかに修正操舵をおこなうことができ、路面Rdに対する転舵車輪23,23のスリップ状態を迅速に解消することができる。
その他の作用、効果は、上記実施例1及び実施例2の作用、効果と同じである。
<実施例4>
次に、図9~図11(及び図6、図3)を参照しつつ実施例4の路面状態検出装置80C、及びこの路面状態検出装置80Cを備えたパワーステアリング装置20Cを説明する。実施例4は、実施例2と比較して、運転者が路面摩擦の低下を感じる状態量の誤検知を防止して、運転者は、路面状況を、より一層高精度に判断することが可能である。
図9は、実施例4のパワーステアリング装置20Cの模式図であり、実施例2のパワーステアリング装置20Aを説明する図4に対応させて表している。図10は、実施例4の制御部66Cの制御フローチャートであり、実施例2の制御部66Aの制御フローチャートを説明する図5に対応させて表している。
図6(a)は、実施例2の第1マップの説明図であり、実施例1の第1マップを説明する図3(a)に対応させて表している。実施例4の第1マップは、実施例第2の第1マップと同じであり、図6(a)を参照して、実施例4の第1マップを説明することができる。
図6(b)は、実施例2の第2マップの説明図であり、実施例1の第2マップを説明する図3(b)に対応させて表している。図6(b)は、横軸を操舵角θsとし、縦軸をヨーレート閾値Ysとして、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsn毎に、操舵角θsに対するヨーレート閾値Ysを求める第2マップを示している。この第2マップによれば、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysが増大するとともに、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsnが高速であるほど、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysの増大する割合が小さくなることが判る。
図11(a)は、基本のヨーレート閾値Ysが車速Vsによって増減する第1ゲインga(第1係数)を示す。操舵角θsに対応する基本のヨーレート閾値Ysを図3(b)で求め、車速Vsに対応する第1ゲインgaを図11(a)で求め、求めた基本のヨーレート閾値Ysと求めた第1ゲインgaとを乗算することで、図6(b)のマップで求めるヨーレート閾値Ysと同じヨーレート閾値Ysを求めることができる。言い換えれば、図3(b)の第2マップと図11(a)の第1ゲインgaとを用いることで、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysが増大するとともに、各車速Vs1,Vs2,・・・Vsnが高速であるほど、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysの増大する割合が小さくなることが判る。
図11(b)は、基本のヨーレート閾値Ysが第1閾値TH以上の操舵速度dθs/dtの絶対値によって増加する第2ゲインgb(第2係数)を示す。図3(b)の第2マップと図11(b)の第2ゲインgbとを用いることで、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysが増大するとともに、第1閾値TH1以上の|dθs/dt|が大きいほど、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysの増大する割合が小さいことが判る。
図11(c)は、基本のヨーレート閾値Ysが第2閾値TH以下の左右方向加速度(横G)によって減少する第3ゲインgc(第3係数)を示す。図3(b)の第2マップと図11(c)の第3ゲインgcとを用いることで、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysが増大するとともに、第2閾値TH2以下の|横G|が大きいほど、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysの増大する割合が小さいことが判る。
図11(d)は、基本のヨーレート閾値Ysが前後方向加速度(前後G)によって減増する第4ゲインgd(第4係数)を示す。図3(b)の第2マップと図11(d)の第4ゲインgdとを用いることで、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysが増大するとともに、前方向加速度の前G(加速度)が大きいほど、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysの増大する割合が小さくなる一方、後方向加速度の後G(減速度)が大きいほど、操舵角θsの増大に従ってヨーレート閾値Ysの増大する割合が大きくなることが判る。
実施例4のパワーステアリング装置20Cの路面状態検出装置80Cは、例えば図3(b)の基本のヨーレート閾値Ysが、車速検出部61によって検出された走行速度Vs、操舵速検出部51Aによって検出された操舵速度dθs/dt、G検出部62Aによって検出された横G、G検出部62Aによって検出された前後Gに基づいて変化することを特徴とする。その他の基本的な構成については、実施例2のパワーステアリング装置20Aと共通する。実施例2のパワーステアリング装置20Aと共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
実施例4の制御部66Cは、実施例2の制御部66Aに対して、操舵速度dθs/dt、横G、前後Gに基づいてヨーレート閾値Ysを変化させるという、路面状態検出装置80Cの機能を有している。
実施例4の制御部66Cは制御を開始すると、先ずステップS01では、検出された操舵角θs(実操舵角θs)を取得する。次に、ステップS02では、車速検出部61によって実際に検出された車速Vs(実車速Vs)を取得する。次に、ステップS11A~S13Aの一連の第1の処理と、ステップS21B~S23Bの一連の第2の処理とを、並列処理を実行する。
第1の処理において、先ずステップS21Aでは、操舵角θsと車速Vsとの値から軸力frに関する閾値である軸力閾値fsを設定する。この軸力閾値fsは、路面Rdが低摩擦状況であるか否かを判断する第1の基準値である。この軸力閾値fsは、予め設定されている所定の、第1マップ(図6(a)参照)や演算によって求められる。ここで、図6(a)の第1マップの代わりに、図3(a)の第1マップと車速Vsに応じたゲイン(係数)とを用いてもよい。
前記ステップS11Aの次のステップS12Aでは、上記実施例2と同様に、軸力検出部58によって実際に検出された軸力fr(実軸力fr)を取得する。
次に、ステップS13Aでは、上記実施例2と同様に、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第1の路面状況を判断、つまり、実軸力frが軸力閾値fsを下回っているか否かを判断する。このステップS13Aは、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第1の路面状況を判断する第1の路面状況判断部81Aを構成している。
一方、前記第2の処理において、先ずステップS21Bでは、操舵角θsと車速Vsと操舵速度dθs/dtと横Gと前後Gとの値からからヨーレートYrに関する閾値であるヨーレート閾値Ysを設定する。このヨーレート閾値Ysは、路面Rdが低摩擦状況であるか否かを判断する第2の基準値である。このヨーレート閾値Ysは、予め設定されている所定の、第2マップ(図3(b)参照)及びゲイン(図11(a)~図11(d)参照)や演算によって求められる。
例えば図3(b)の第2マップによって求められる基本のヨーレート閾値Ysと、図11(a)~図11(d)のゲインによって求められる係数と、を乗算することで、操舵角θsと車速Vsと操舵速度dθs/dtと横Gと前後Gとに基づくヨーレート閾値Ysを求めることができる。ここで、図3(b)の第2マップ(2次元マップ)及び図11(a)の第1ゲインgaの代わりに、図6(b)の第2マップ(3次元マップ)を用いてもよい。代替的に、図3(b)の第2マップ(2次元マップ)及び図11(a)の第1ゲインga~図11(d)の第4ゲインgdの代わりに、図示されない第2マップ(6次元マップ)を用いてもよい。
前記ステップS21Bの次の、ステップS22Bでは、上記実施例2と同様に、ヨーレート検出部63によって実際に検出されたヨーレートYr(実ヨーレートYr)を取得する。
次に、ステップS23Bでは、上記実施例2と同様に、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第2の路面状況を判断、つまり、実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っているか否かを判断する。このステップS23Aは、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第2の路面状況を判断する第2の路面状況判断部82Bを構成している。
前記ステップS13Aにおいて実軸力frが軸力閾値fsを下回っていると判断、及び/又は、前記ステップS23Bにおいて実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っていると判断をした場合、つまり、路面Rdが低摩擦状況であるという判断をした場合には、次のステップS31において警告駆動制御部73により警告発生部65を作動させた後に、このサブルーチンを終了する。この結果、警告発生部65は車両10を運転している運転者に警告を発する。
以上の実施例4の説明をまとめると、次の通りである。
路面状態検出装置80Cは、ステアリングホイールの操舵角θsの操舵速度dθs/dtを検出する操舵速検出部51Aを備え、ヨーレート閾値Ysは、dθs/dtにも基づく。図9の操舵速検出部51Aは、操舵角検出部51によって検出された操舵角θsを時間微分することによって操舵速度dθs/dtを検出する。なお、操舵角検出部51それ自身が操舵角θs及び操舵速度dθs/dtを検出して制御部66Cに出力してもよく、言い換えれば、操舵角検出部51は、操舵角及び操舵速度検出部51,51Aとして構成されてもよい。
また、路面状態検出装置80Cは、車両10に発生した横G及び前後Gを検出するG検出部62Aを備え、ヨーレート閾値Ysは、横G及び前後Gにも基づく。図9のG検出部62Aは、少なくとも2軸方向(左右方向及び前後方向)の加速度を検出可能である1つの加速度センサで構成することができる。なお、図9のG検出部62Aは、少なくとも1軸方向(左右方向)の加速度(横G)を検出可能である1つの加速度センサと、少なくとも1軸方向(前後方向)の車両10の加速度(前後G)を検出可能である1つの加速度センサと、で構成してもよい。
一般に、運転者がステアリングホイールを早切りする場合、車両10は、操舵速度に応答できない。この場合、ヨーレート検出部63によって検出される、車両10に発生したヨーレートYrは、小さくなる。したがって、操舵速度dθs/dtの絶対値が第1閾値TH以上である場合、ヨーレート閾値Ysを小さくしないと、第2の路面状況判断部82Bは、誤検知してしまう。ヨーレート閾値Ysが操舵速度dθs/dtに基づく第4実施例では、運転者が路面摩擦の低下を感じる状態量の誤検知を防止することができる。
また、一般に、横Gが高い場合、ヨーレート閾値YsはヨーレートYrよりも大きくなる。したがって、横Gの絶対値が第2閾値TH以上である場合、ヨーレート閾値Ysを小さくしないと、第2の路面状況判断部82Bは、誤検知してしまう。ヨーレート閾値Ysが横Gに基づく第4実施例では、運転者が路面摩擦の低下を感じる状態量の誤検知を防止することができる。
さらに、一般に、車両10が運転者によってブレーキングされる場合、前輪荷重及び後輪荷重が変化する。前G(加速度)が大きいほど、ヨーレート閾値Ysを小さくしないと、また、後G(減速度)が大きいほど、ヨーレート閾値Ysを大きくしないと、第2の路面状況判断部82Bは、誤検知してしまう。ヨーレート閾値Ysが前後Gに基づく第4実施例では、運転者が路面摩擦の低下を感じる状態量の誤検知を防止することができる。その他の作用、効果は、上記実施例2の作用、効果と同じである。
<実施例5>
図示は省略するが、実施例5は、実施例4と比較して、実施例1と同様に、軸力閾値fsとヨーレート閾値Ysの少なくともいずれか一方が、車速検出部61によって検出された走行速度Vsに基づいて変化しないことを特徴とする。
実施例5では、実施例4のステップS11A~S13Aの一連の第1の処理は、実施例1のステップS11~S13の一連の第1の処理であってもよい。
実施例5では、実施例4のステップS21B~S23Bの一連の第2の処理は、以下のような第2の処理であってもよい。先ずステップS21Bの代わりに、操舵角θsと操舵速度dθs/dtと横Gと前後Gとの値からからヨーレートYrに関する閾値であるヨーレート閾値Ysを設定する。このヨーレート閾値Ysは、路面Rdが低摩擦状況であるか否かを判断する第2の基準値である。このヨーレート閾値Ysは、予め設定されている所定の、第2マップ(図3(b)参照)及びゲイン(図11(b)~図11(d)参照)や演算によって求められる。
次に、実施例5では、上記実施例4と同様に、ステップS22Bを実行し、ヨーレート検出部63によって実際に検出されたヨーレートYr(実ヨーレートYr)を取得する。次に、実施例5では、上記実施例4と同様に、ステップS23Bを実行し、転舵車輪23,23が接している路面Rdの、第2の路面状況を判断、つまり、実ヨーレートYrがヨーレート閾値Ysを上回っているか否かを判断する。
ヨーレート閾値Ysが、操舵速度dθs/dt、横G及び前後Gにも基づく実施例5では、実施例1と比較して、運転者が路面摩擦の低下を感じる状態量の誤検知を防止して、運転者は、路面状況を、より一層高精度に判断することが可能である。
<実施例6>
図示及び説明は省略するが、実施例6は、実施例4と比較して、実施例3と同様に、警告駆動制御部73の代わりに、警告駆動制御部73Bを備えることを特徴とする。言い換えれば、実施例6では、ステップS31の代わりに、ステップS31A及びステップS31Bを実行してもよい。また、実施例6では、ステップS32を実行してもよい。
なお、本発明による緩衝器は、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記実施例1~6のパワーステアリング装置20,20A,20B,20Cは、いずれか2つ、または全てを組み合わせることが可能である。