JP7707934B2 - スラリー - Google Patents

スラリー

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Description

本願はスラリーに関する。
電池の活物質層を形成するために、活物質層を構成する材料を含有するスラリーを用いる場合がある。スラリーを用いる場合、所定の基材にスラリーを塗布して乾燥することにより活物質層が得られる。
特許文献1は、硫化物固体電解質と2種の溶媒とを含むスラリーを開示している。また、同文献には、当該スラリーに活物質を含有してもよいことが記載されている。特許文献2は、酸化物活物質と、固体電解質と、分散媒と、導電助材および結着材の少なくとも一方を含有するスラリーの製造方法を開示している。特許文献3は、シリコンナノ粒子と、有機溶媒と、分散剤とを含有する懸濁液を開示している。
特開2021-68673号公報 特開2020-177755号公報 特開2021-114483号公報
溶媒と、シリコン粒子と、固体電解質と、分散剤とを含有するスラリーを作製する場合、分散剤は固体電解質に優先的に吸着し、シリコン粒子が凝集してしまう問題がある。これは、一般的に硫化物固体電解質に含まれる酸点(Li)、塩基点(S)の数が、シリコン粒子の表面に存在する酸点、塩基点の数よりも多いためである(酸点、塩基点に分散剤が吸着する)。また、シリコン粒子が凝集するとその凝集体を核として、分散していた固体電解質やシリコン粒子が凝集し、凝集体が生じる問題がある。特に100μm以上の凝集物が存在すると、塗工不良が生じる虞がある。
そこで、本開示の主な目的は、上記実情を鑑み、分散性を向上することができるスラリーを提供することである。
本開示は、上記課題を解決するための一つの態様として、溶媒と、非晶質シリコン粒子、固体電解質と、分散剤と、を含有し、溶媒はハンセン溶解度パラメータの極性項δPが4以下である低極性溶媒を含み、分散剤は分子量が1000未満である界面活性剤を含有し、溶媒と非晶質シリコン粒子とを混合した分散媒のパルスNMRによって測定される相対緩和速度Rspとし、溶媒と非晶質シリコン粒子と分散剤とを混合した分散媒のパルスNMRによって測定される相対緩和速度Rsp´としたとき、相対緩和速度比Rsp´/Rspが1.3以上であるスラリーを提供する。
本開示のスラリーによれば、分散性を向上することができる。
実施例における非晶質シリコン粒子及び結晶質シリコン粒子のXRDスペクトルである。 実施例1及び比較例3の塗膜の断面SEM画像である。
[スラリー]
本開示のスラリーは、溶媒と、非晶質シリコン粒子、固体電解質と、分散剤と、を含有し、溶媒はハンセン溶解度パラメータの極性項δPが4以下である低極性溶媒を含み、分散剤は分子量が1000未満である界面活性剤を含有し、溶媒と非晶質シリコン粒子とを混合した分散媒のパルスNMRによって測定される相対緩和速度をRspとし、溶媒と非晶質シリコン粒子と分散剤とを混合した分散媒のパルスNMRによって測定される相対緩和速度をRsp´としたとき、相対緩和速度比Rsp´/Rspが1.3以上である。
非晶質シリコン粒子を使用することにより、結晶質シリコン粒子に比べて表面欠陥や結晶粒界が低減し、表面エネルギーを低下させることができるため、凝集を抑制することができる。また、溶媒がハンセン溶解度パラメータの極性項δPが4以下である低極性溶媒を含むことで、溶媒とスラリー中の固形分、特に固体電解質との反応を抑制することができる。さらに、分散剤が分子量1000未満である界面活性剤を含有し、かつ相対緩和速度比Rsp´/Rspが1.3以上であることにより、分散媒を介して溶媒和される非晶質シリコン粒子の割合を高め、スラリーに含有される材料を適切に分散することができる。従って、本開示のスラリーによれば、分散性を向上することができる。
また、分散性が低いスラリーから得られる活物質層は剥離強度が低い問題があったが、本開示のスラリーによればこの問題も解決することができる。すなわち、本開示のスラリーは分散性が高いため、当該スラリーから得られる活物質層は電池製造に適用可能な剥離強度を有する。
以下、本開示のスラリーについてさらに説明する。
<溶媒>
本開示における溶媒はハンセン溶解度パラメータの極性項δPが4以下の低極性溶媒を含む。溶媒は低極性溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。低極性溶媒以外の溶媒は特に限定されず、通常スラリーに用いられる公知の溶媒でよい。
(低極性溶媒)
低極性溶媒はハンセン溶解度パラメータの極性項δPが4以下である。ハンセン溶解度パラメータの極性項δPは、Hansen Solubility Parameters: A user's handbook, Second Edition. Boca Raton, Fla: CRC Press.(Hansen, Charles (2007))から求めることができる。なお、溶解度の単位はMPa0.5である。
低極性溶媒は、テトラリン(δP=2)、酪酸ブチル(δP=2.9)、ジイソブチルケトン(δP=3.7)、メシチレン(δP=0.6)、ヘプタン(δP=0)、ジブチルエーテル(δP=3.4)、デカン(δP=0)、トルエン(δP=1.4)等が挙げられる。これらは単一で用いられていてもよく、複数を混合して用いられてもよい。
溶媒における低極性溶媒の含有量は特に限定されないが、例えば50重量%以上としてもよく、80重量%以上としてもよく、90重量%以上としてもよく、95重量%以上としてもよく、100重量%としてもよい。
溶媒が低極性溶媒を含有することにより、溶媒とスラリー中の固形分、特に固体電解質との反応を抑制することができる。
<非晶質シリコン粒子>
本開示のスラリーは非晶質シリコン粒子を含有する。非晶質シリコン粒子は、上述した通り、結晶質シリコン粒子に比べて表面欠陥や結晶粒界を低減し、表面エネルギーを低下させることができるため、凝集を抑制することができる。
非晶質シリコン粒子の形状は特に限定されず、例えば球状、楕円球状、柱状、鱗片状が挙げられる。また、非晶質シリコン粒子は多孔質(ポーラス)であってもよい。
非晶質シリコン粒子の粒径は特に限定されないが、0.1μm以上としてもよく、1μm以上としてもよく、20μm以下としてもよく、10μm以下としてもよく、5μm以下としてもよい。
本明細書における「粒径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で粒子を観察し、各粒子に外接する矩形の長辺を直径として集計し、粒子数で除算して平均した値として求めることができる。測定する粒子数は少なくとも10個以上とする。好ましくは100個以上である。
スラリーに含有される全固形分に対する非晶質シリコン粒子の含有量は特に限定されないが、例えば30重量%以上としてもよく、50重量%以上としてもよく、80重量%以下としてもよく、60重量%以下としてもよい。
<固体電解質>
本開示の固体電解質はLiイオン電導性を有し、全固体リチウムイオン電池に適用可能な固体電解質であれば特に限定されない。固体電解質は、ガラス質(非結晶質)であってもよく、結晶化ガラス質であってもよく、結晶質であってもよい。固体電解質としては、例えば硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、窒化物固体電解質、及びハロゲン化物固体電解質が挙げられる。好ましくは硫化物固体電解質である。
硫化物固体電解質は、Li元素と、M元素(Mは、P、Ge、Si、Sn、BおよびAlの少なくとも一種であることが好ましい)と、S元素とを含有することが好ましい。硫化物固体電解質は、ハロゲン元素をさらに含有していてもよい。ハロゲン元素としては、例えば、F元素、Cl元素、Br元素、I元素が挙げられる。また、非晶質硫化物固体電解質は、O元素をさらに含有していてもよい。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-GeS、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-P-LiI-LiBr、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)が挙げられる。
酸化物固体電解質としては、例えば、リチウムランタンジルコニウム含有複合酸化物(LLZO)、Alドープ-LLZO、リチウムランタンチタン含有複合酸化物(LLTO)、Alドープ-LLTO、リン酸リチウムオキシナイトライド(LIPON)等が挙げられる。窒化物固体電解質としては、例えば、LiN、LiN-LiI-LiOHが挙げられる。ハロゲン化物固体電解質としては、例えば、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiI-Alが挙げられる。
固体電解質の形状は特に限定されず、例えば球状、楕円球状、柱状、鱗片状が挙げられる。
固体電解質の粒径は特に限定されないが、0.1μm以上としてもよく、1μm以上としてもよく、20μm以下としてもよく、10μm以下としてもよく、5μm以下としてもよい。
スラリーに含有される全固形分に対する固体電解質の割合は特に限定されないが、例えば20重量%以上でもよく、30重量%以上でもよく、40重量%以上でもよく、60重量%以下でもよく、50重量%以下でもよい。
<分散剤>
本開示における分散剤は分子量が1000未満である界面活性剤を含有する。分散剤はこの界面活性剤以外の分散剤を含んでもよい。界面活性剤以外の分散剤は特に限定されず、通常スラリーに用いられる公知の分散剤でよい。
スラリーに含有される全固形分に対する分散剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1重量%以上でもよく、0.5重量%以上でもよく、0.8重量%以上でもよく、5重量%以下でもよく、2重量%以下でもよく、1重量%以下でもよい。
(界面活性剤)
界面活性剤は分子量が1000以下である。界面活性剤の分子量が1000以下であることにより、低極性溶媒への溶解性を向上でき、かつ、粘度の増加を抑制できる。例えば、分子量が1000を超える界面活性剤を用いると、界面活性自体による増粘や、架橋してしまうことによる増粘が懸念されるが、分子量が1000以下である界面活性剤を用いることによりこのような懸念が抑制される。
界面活性剤は親水性官能基(吸着基)と疎水性官能基を有している。親水性官能基としては、3級アミノ基やピリジル基、イミダゾール基等の反応性を有する水素を有さない窒素含有官能基が挙げられる。疎水性官能基としては、アルキル基等の炭化水素基(例えば、炭素数5~30)が挙げられる。界面活性剤としては上記溶媒に可溶であれば特に限定されないが、例えばアルキルイミダゾリンが挙げられる。アルキルイミダゾリンのアルキル基の炭素数は特に限定されないが、例えば5~30の範囲である。
界面活性剤は親水性基及び疎水性基を有するため、固体電解質にも、非晶質シリコン粒子にも吸着することができる。従って、スラリーが界面活性剤を含有することにより凝集を抑制し、スラリーの分散性を向上することができる。
界面活性剤の分子量は1000以下であり、800以下であってもよく、600以下であってもよい。界面活性剤の分子量の下限は特に限定されないが、例えば界面活性剤の分子量は100以上であってもよく、300以上であってもよく、400以上であってもよい。界面活性剤の分子量は各種NMR(例えば、1H-NMR、13C-NMR)や各種MS(例えば、ESI-MS)等を用いて測定することができる。
分散剤における界面活性剤の含有量は特に限定されないが、例えば50重量%以上としてもよく、80重量%以上としてもよく、90重量%以上としてもよく、95重量%以上としてもよく、100重量%としてもよい。
<バインダ>
本開示のスラリーは任意の成分としてバインダが含有されていてもよい。バインダとしては、リチウムイオン電池に適用可能なバインダであれば特に限定されない。例えば、ブタジエンゴム(BR)、ブチレンゴム(IIR)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)等が挙げられる。これらは単一で用いられていてもよく、複数種類が用いられてもよい。好ましくはPVdF-HFPである。PVdFが分極しており、活物質や固体電解質に吸着しやすく、結着力が高くなり易いためである。
スラリーに含有される全固形分に対するバインダの含有量は特に限定されないが、例えば0.1重量%以上でもよく、0.3重量%以上でもよく、0.6重量%以上でもよく、0.8重量%以上でもよく、5重量%以下でもよく、2重量%以下でもよく、1.1重量%以下でもよく、1重量%以下でもよい。
<導電助剤>
本開示のスラリーは任意の成分として導電助剤が含有されていてもよい。導電助剤としては、リチウムイオン電池に適用可能なバインダであれば特に限定されない。例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック、気相法炭素繊維(VGCF)等の炭素材料やニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。
スラリーに含有される全固形分に対する導電助剤の含有量は特に限定されないが、例えば1重量%以上でもよく、2重量%以上でもよく、4重量%以上でもよく、10重量%以下でもよく、8重量%以下でもよく、6重量%以下でもよい。
<その他の成分>
スラリーは必要に応じてその他成分、例えば各種添加剤等を含んでもよい。
<スラリー>
本開示のスラリーは、溶媒と非晶質シリコン粒子とを混合した分散媒のパルスNMRによって測定される相対緩和速度をRspとし、溶媒と非晶質シリコン粒子と分散剤とを混合した分散媒のパルスNMRによって測定される相対緩和速度をRsp´としたとき、相対緩和速度比Rsp´/Rspが1.3以上である。
相対緩和速度比Rsp´/Rspは次のように算出する。まず、溶媒のみのブランク、溶媒と非晶質Si粒子とを重量割合80:20で混合したサンプル1、及び、溶媒と非晶質シリコン粒子と分散剤とを重量割合80:19.7:0.3で混合したサンプル2を作製する。次に、ブランク、及びサンプル1、2を用いて、パルスNMRを用いたCPMG法によるT2緩和時間をそれぞれ測定する。そして、(ブランク緩和時間)/(サンプル緩和時間)-1から相対緩和速度Rsp、Rsp´を算出する。そして、相対緩和速度比Rsp´/Rspを算出する。
相対緩和速度比Rsp´/Rspが1.3以上であることにより、非晶質シリコン粒子に分散剤が吸着しやすくなる。従って、非晶質シリコン粒子が溶媒和されやすくなり、スラリーの分散性が向上する。
相対緩和速度比Rsp´/Rspは1.3以上であれば特に限定されないが、例えば1.5以下でもよく、1.45以下でもよく、1.31以上でもよい。
本開示のスラリーの粒度は特に限定されないが、100μm未満としてもよく、50μm以下としてもよく、20μm以下としてもよく、20μm未満としてもよく、0.1μm以上としてもよく、1μm以上としてもよい。スラリーの粒度はJIS K 5600-2-5:1999に従って測定することができる。
本開示のスラリーは各成分と溶媒とを混合することにより得ることができる。混合方法は特に限定されず、公知の方法により実施することができる。例えば、溶媒に各成分を添加しながら、混合することにより本開示のスラリーが得られる。混合方法は特に限定されず、ブレンダーを用いてもよく、超音波を用いてもよい。
本開示のスラリーはリチウムイオン電池用、特に全固体リチウムイオン電池用の活物質層を形成するために用いられる。活物質層は正極活物質層であっても負極層であってもよいが、好ましくは負極活物質層である。
[負極活物質層の製造方法]
本開示の負極活物質層の製造方法は、本開示のスラリーを基材に塗工する工程(塗工工程)と、塗工されたスラリーを乾燥する工程(乾燥工程)とを備える。本開示のスラリーは分散性が高いため、当該スラリーから得られる負極活物質層は、電池製造に適用可能な剥離強度を有する。従って、本開示の負極活物質層の製造方法によれば、スラリーの塗工不良の発生が抑制された負極活物質層が得られる。
塗工工程は公知の方法により実施することができる。例えばドクターブレード法、ダイコート法、グラビアコート法、スプレー塗工法、静電塗工法、バー塗工法等の一般的な方法が挙げられる。また、スラリーを塗工する基材は特に限定されず、金属箔でもよく、集電体でもよく、固体電解質層でもよい。
乾燥工程は公知の方法により実施することができる。例えば、スラリーを50℃~200℃以下の範囲に加熱してもよい。また、雰囲気を不活性雰囲気や減圧雰囲気に設定してもよい。
得られた負極活物質層の形状は特に限定されないが、シート状であることが好ましい。負極活物質層の厚みは特に限定されず、所望の電池性能に応じて適宜設定すればよい。例えば、0.1μm以上1mm以下の範囲である。
[全固体電池の製造方法]
本開示の全固体電池の製造方法は、本開示の負極活物質層の製造方法により負極活物質層を作製する工程(負極活物質層作製工程)と、正極活物質層を作製する工程(正極活物質層作製工程)と、固体電解質層を作製する工程(固体電解質層作製工程)とを、負極活物質層、固体電解質層、及び正極活物質層をこの順で積層する工程(積層工程)と、を備えている。本開示の全固体電池の製造方法によれば、スラリーの塗工不良の発生が抑制された負極活物質層を含む全固体電池が得られる。
<負極活物質層作製工程>
負極活物質層作製工程は、本開示の負極活物質層の製造方法により実施される。負極活物質作製工程において、スラリーを塗布する基材に負極集電体を用いてもよい。これにより、負極を作製することができる。
負極集電体の材料は、公知の材料から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。負極集電体の厚みは特に限定されず、所望の電池性能に応じて適宜設定すればよい。例えば、0.1μm以上1mm以下の範囲である。
<正極活物質層作製工程>
正極活物質層作製工程は、公知の方法により実施することができる。例えば、正極活物質層を構成する材料を乾式で混合し、プレスすることにより正極活物質層が得られる。あるいは、正極活物質層を構成する材料を溶媒に分散してスラリーを形成し、得られたスラリーを基材に塗布して、乾燥することにより正極活物質層を得ることができる。基材には正極集電体を用いてもよい。これにより、正極を作製することができる。以下に、正極集電体及び正極活物質層について説明する。
正極集電体の材料は特に限定されず、公知の材料から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。正極集電体の厚みは特に限定されず、所望の電池性能に応じて適宜設定すればよい。例えば、0.1μm以上1mm以下の範囲である。
正極活物質層は少なくとも正極活物質を含む。正極活物質としては、全固体リチウムイオン電池に使用される公知の正極活物質の中から適宜選択することができる。例えば、コバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(NCA)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(NCM)、マンガン酸リチウム等が挙げられる。正極活物質の粒径は特に限定されないが、例えば1μm~100μmの範囲である。正極活物質層における正極活物質の含有量は特に限定されないが、例えば50重量%~99重量%の範囲である。また、正極活物質の表面はニオブ酸リチウム層やチタン酸リチウム層、リン酸リチウム等の酸化物層で被覆されていてもよい。
正極活物質層は任意に固体電解質を備えていてもよい。固体電解質としては、全固体リチウムイオン電池に使用される公知の固体電解質の中から適宜選択することができる。例えば、上述したスラリーに含有することができる固体電解質が挙げられる。正極活物質層における固体電解質の含有量は特に限定されないが、例えば1重量%~50重量%の範囲である。
正極活物質層は任意に導電助剤を備えていてもよい。導電助剤としては、全固体リチウムイオン電池に使用される公知の導電助材の中から適宜選択することができる。例えば、上述したスラリーに含有することができる導電助剤が挙げられる。正極活物質層における導電助剤の含有量は特に限定されないが、例えば0.1重量%~10重量%の範囲である。
正極活物質層は任意にバインダを備えていてもよい。バインダとしては、全固体リチウムイオン電池に使用される公知のバインダの中から適宜選択することができる。例えば、述したスラリーに含有することができるバインダが挙げられる。正極活物質層におけるバインダの含有量は特に限定されないが、例えば0.1重量%~10重量%の範囲である。
正極活物質層の形状は特に限定されないが、シート状であることが好ましい。正極活物質層の厚みは特に限定されず、所望の電池性能に応じて適宜設定すればよい。例えば、0.1μm以上1mm以下の範囲である。
<固体電解質層作製工程>
固体電解質層作製工程は、公知の方法により実施することができる。例えば、固体電解質層を構成する材料を乾式で混合し、プレスすることにより固体電解質層が得られる。あるいは、固体電解質層を構成する材料を溶媒に分散してスラリーを形成し、得られたスラリーを基材に塗布して、乾燥することにより固体電解質層を得ることができる。以下に、固体電解質層について説明する。
固体電解質層は少なくとも固体電解質を含む。固体電解質としては、全固体リチウムイオン電池に使用される公知の固体電解質の中から適宜選択することができる。例えば、上述したスラリーに含有することができる固体電解質が挙げられる。固体電解質層における固体電解質の含有量は特に限定されないが、例えば50重量%~99重量%の範囲である。
また、固体電解質層は任意にバインダを備えていてもよい。バインダとしては、全固体リチウムイオン電池に使用される公知のバインダの中から適宜選択することができる。例えば、述したスラリーに含有することができるバインダが挙げられる。固体電解質層におけるバインダの含有量は特に限定されないが、例えば0.1重量%~10重量%の範囲である。
固体電解質層の形状は特に限定されないが、シート状であることが好ましい。固体電解質層の厚みは特に限定されず、所望の電池性能に応じて適宜設定すればよい。例えば、0.1μm以上1mm以下の範囲である。
<積層工程>
積層工程は負極活物質層、固体電解質層、及び正極活物質層をこの順で積層する工程である。これらの層を積層した後、プレスすることにより積層体を得ることができる。プレス方法は特に限定されないが、例えばロールプレスや平板プレスが挙げられる。ロールプレスの際に印加する線圧は、例えば1t/cm以上でもよく、10t/cm以下でもよい。平板プレスの際に印加する面圧は、例えば800MPa以上でもよく、3000MPa以下でもよい。
積層工程後、負極集電体を負極活物質層の表面に、正極集電体を正極活物質層の表面に配置してもよい。
なお、負極活物質層作製工程及び正極活物質層作製工程において、基材に負極集電体及び正極集電体を用いた場合は、積層工程において、負極、固体電解質層、及び正極をこの順で積層する。
本開示の全固体電の製造方法により得られた全固体電池は、単電池であってもよく、積層電池であってもよい。積層電池は、モノポーラ型積層電池(並列接続型の積層電池)であってもよく、バイポーラ型積層電池(直列接続型の積層電池)であってもよい。全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型が挙げられる。
本開示のスラリーについて、実施例を用いてさらに説明する。
<スラリーの作製>
表1に記載の材料及び含有量を用いて実施例1~2及び比較例1~12のスラリーを作製した。まず、合計の容積が3.5mLとなるように材料を一度に5mLの容器に投入してスラリーを作製した。次に、得られた混合物を10℃に冷却しながら、φ3.5mmの超音波ホーンを使用して、振幅40μm、20kHzの超音波を40分間照射して、を分散した。これにより、実施例1~2及び比較例1~12のスラリーを作製した。
表1中の材料について説明する。シリコン活物質(Si活物質)として、非晶質シリコン活物質及び結晶質シリコン活物質を用いた。固体電解質として硫化物固体電解質を用いた。バインダとして、PVdF-HFP又はSBRを用いた。分散剤として、低分子型界面活性剤又は両親媒性ポリマーを用いた。低分子型界面活性剤としてはアルキルイミダゾリン(分子量:約500)を用いた。両親媒性ポリマーとしてはポリアルキレンアミン(分子量:約5000)を用いた。導電助剤として、VGCFを用いた。溶媒として、ジイソブチルケトン(DIBK)、テトラリン、又は酪酸ブチルを用いた。なお、溶媒の欄に記載した(δP)はハンセン溶解度パラメータの極性項の数値である。
また、表1では、全固形分に対するバインダ及び分散剤の含有量を示している。
<XRD測定>
スラリーに用いた非晶質シリコン粒子及び結晶質シリコン粒子について、2θ=10~80℃の範囲の解説強度を測定した。XRD装置にリガクSmartLabを用いた。結果を図1に示した。
図1のとおり、結晶質シリコン粒子のピークは鋭く、結晶質であることが確認できた。一方で非晶質シリコン粒子のピークはブロードとなっており、非晶質であることが確認できた。
<パルスNMR測定>
まず、溶媒のみを含むブランク、溶媒とSi活物質とを重量割合80:20で混合したサンプル1、及び溶媒とSi活物質と分散剤とを重量割合80:19.7:0.3で混合したサンプル2を作製した。
次に、各試料について、パルスNMRを用いたCPMG法によるT2緩和時間を測定した。測定装置としてBruker minispec mq20を用いた。そして、(ブランク緩和時間)/(サンプル緩和時間)-1から相対緩和速度を測定した。ここで、ブランク及びサンプル1から求めた相対緩和速度をRsp、ブランク及びサンプル2から求めた相対緩和速度をRsp´とした。また相対緩和速度比Rsp´/Rspを算出した。結果を表2に示した。
なお、表2中に「-」で示した箇所は、測定していないことを意味している。
<粒度測定>
各スラリーの粒度を測定した。粒度の測定方法はJIS K 5600-2-5:1999に従って実施した。結果を表2に示した。
なお、表2中に「-」で示した箇所は、凝集物が沈降しており測定できなかったことを意味している。
<分散性評価>
目視でスラリーの状態を評価し、凝集物が存在していない場合を「〇」、凝集物が存在している場合を「×」として評価した。また、凝集物が存在している場合、凝集物の状態を評価した。凝集物が存在し、かつ、凝集物が沈殿していない場合を「凝集」、凝集物が沈降している場合を「沈降」と評価した。結果を表2に示した。
<剥離強度評価>
基材にスラリーを塗工し、乾燥して、塗膜を得た。得られた塗膜をハンドパンチで打ち抜いたときに剥離や崩れが生じているか否かを目視で確認した。また、塗膜に対しロールプレスを行い剥離や崩れが生じているか否かを目視で確認した。ハンドパンチ及びロールプレスの両方において、剥離が生じていない場合を「〇」、いずれか一方又は両方において、剥離が生じた場合を「×」として評価した。結果を表2に示した。
<断面観察>
実施例1及び比較例3のスラリーから形成された塗膜の断面を評価した。結果を図2に示した。図2から分かるように、実施例1では各材料が分散されていたが、比較例3では凝集体が確認できた。
<結果>
表1、表2より、実施例1、2は分散評価及び剥離評価が良好な結果であった。一方で、比較例1~12は分散評価及び剥離強度評価の少なくとも一方が「×」であった。
比較例1は実施例1の条件に比べて全固形分に対するバインダ量が多く、粒度が100μm以上となり、スラリー中に凝集が生じた。比較例2は実施例1の条件に比べて全固形分に対するバインダ量が少なく、塗膜に剥離が生じた。比較例3は比較例2の条件に比べて粒子との親和性が低いSBRを採用したため、さらに粒度が100μm以上となり、スラリー中に凝集が生じた。比較例4、5は比較例3の条件から溶媒の種類を変更し、よりδPが低い溶媒を採用したが、結果は改善しなかった。比較例6、7は比較例4の条件から分散剤の含有量を低減したが、結果は改善しなかった。比較例8、9は比較例3の条件から分散剤の含有量を低減したが、結果は改善しなかった。比較例10は比較例3の条件からSi活物質の種類を変更し、結晶質シリコン粒子を採用したが、結果は改善しなかった。比較例11は比較例4の条件からSi活物質の種類を変更し、結晶質シリコン粒子を採用したが、結果は改善しなかった。比較例12は比較例4の条件から分散剤の種類を変更し、両親媒性ポリマーを採用したが、結果は改善しなかった。

Claims (1)

  1. 溶媒と、非晶質シリコン粒子と、固体電解質と、分散剤と、バインダと、を含有するスラリーであって、
    前記溶媒はハンセン溶解度パラメータの極性項δPが4以下である低極性溶媒を含み、
    前記分散剤は分子量が1000未満である界面活性剤を含有し、
    前記スラリーに含有される全固形分に対する前記バインダの含有量が、0.重量%以上1.0重量%以下であり、
    前記界面活性剤がアルキルイミダゾリンであり、
    前記溶媒と前記非晶質シリコン粒子とを混合した分散媒のパルスNMRによって測定される相対緩和速度をRspとし、
    前記溶媒と前記非晶質シリコン粒子と前記分散剤とを混合した分散媒のパルスNMRによって測定される相対緩和速度をRsp´としたとき、
    相対緩和速度比Rsp´/Rspが1.3以上である、
    スラリー。
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