JP7709540B2 - リチウムアルミノシリケートガラス、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス、並びに、その製造方法及び使用 - Google Patents

リチウムアルミノシリケートガラス、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス、並びに、その製造方法及び使用

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Description

本開示は、2021年02月09日に中国特許庁に提出した、出願番号が202110177598.1であり、発明の名称が「リチウムアルミノシリケートガラス、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス、並びに、その製造方法及び使用」である中国特許出願の優先権を請求し、その全ての内容が引用により本開示に組み込まれる。
本発明は、ガラス技術分野に関し、具体的には、リチウムアルミノシリケートガラス、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス、並びに、その製造方法及び使用に関する。
リチウムアルミノシリケートガラスは、二回の化学強化が可能であり、すなわち、まずNaでガラス表面のLiを交換し、次にKでガラス表面のNaを交換し、大イオンで小イオンを2回置換できるため、ガラス表面に対してより大きな圧縮応力を付与し、表面の「グリフィスクラック」をより良好に封止し、ガラスの強度を20倍近く向上させる。これにより、タッチスマート表示端末のスクリーンの保護ガラス(カバーガラスとも呼ばれ、Cover Glass)として用いられる。
また、リチウムアルミノシリケートガラスは、強化前の加工過程において傷、曇りを回避するために高いヤング率と耐腐食性を必要とする。したがって、従来の製品は、高い酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物を導入してこの問題を対応することが多いが、これらの酸化物が過剰に導入されると、ガラスの溶融温度が高くなり、量産の生産方式及び条件が過酷になるとともに、エネルギ消費が高い。
本開示の実施例の目的の一つは、リチウムアルミノシリケートガラス、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス並びにその製造方法及び使用を提供し、従来技術におけるリチウムアルミノシリケートガラスの強度が低く、膜剥がし静電が高く、エネルギ消費が高いという課題を解決するにある。
上記課題を解決するために、本開示の実施例は以下の手段を採用する。
第1態様は、リチウムアルミノシリケートガラスを提供し、
前記リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で、
62~68mol%のSiO
9~14mol%のAl
6~10mol%のNaO、
0.2~0.7mol%のKO、
8.0~14.0mol%のLiO、
2.0~5.5mol%のMgO、を含み、
ただし、(LiO+NaO+MgO)/Alは1.7~2.5である。
また、前記リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で0.5~1.5mol%のZrOをさらに含む。
また、前記リチウムアルミノシリケートガラスの厚さは、0.25mm~2.5mmである。
また、前記LiOのモル百分率は、8.0~13.0mol%である。
また、前記SiOのモル百分率は、63~67mol%である。
また、前記リチウムアルミノシリケートガラスは、応力層深さ(DOL)が30μmである場合の圧縮応力(CS―30)が100MPaより大きい。
また、前記リチウムアルミノシリケートガラスは、荷重180gで、自由落下速度で面が着地するように180メッシュの炭化ケイ素研磨紙に落下した場合、破裂高さが1.6メートル以上に達する。
また、前記リチウムアルミノシリケートガラスの溶融温度は、1590℃より低い。
第2態様は、リチウムアルミノシリケートガラスの製造方法を提供し、当該リチウムアルミノシリケートガラスの製造方法は、
リチウムアルミノシリケートガラスの成分の原料を割合で混合、溶融、成形、アニール処理して、前記リチウムアルミノシリケートガラスを製造するステップを含む。
また、溶融する温度は1510℃~1578℃である。
第3態様は、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスを提供し、
前記リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、前記リチウムアルミノシリケートガラス又は前記リチウムアルミノシリケートガラスの製造方法によって製造されたリチウムアルミノシリケートガラスから、化学強化処理を経て形成される。
また、前記リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、応力層深さ(DOL)が30μmである場合の圧縮応力値(CS―30)が100MPaより大きい。
また、前記リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、粘度10dPa・sにおける溶融温度が1590℃より小さい。
また、前記リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、保護膜が被覆された場合、モジュールに貼り合わせた貼り合われた後に、前記保護膜を剥がす瞬間に発生する「膜剥がし静電」が300Vより小さい。
第4態様は、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの製造方法を提供し、
前記リチウムアルミノシリケートガラスを1価金属硝酸塩溶融塩において強化処理して、前記リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスを得るステップを含む。
また、前記1価金属硝酸塩溶融塩は、硝酸ナトリウム溶融塩、硝酸カリウム溶融塩から順次に選択され、或いは、前記1価金属硝酸塩溶融塩は、硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの混合溶融塩から選択され、
前記強化処理のステップにおいて、強化処理の期間は1~3時間であり、強化処理の温度は380~450℃である。
また、前記1価金属硝酸塩溶融塩が硝酸ナトリウム溶融塩、硝酸カリウム溶融塩から順次に選択される場合、まず前記リチウムアルミノシリケートガラスを純硝酸ナトリウム溶融塩において1回目の強化処理を行い、次に純硝酸カリウム溶融塩において2回目の強化処理を行う。
また、前記リチウムアルミノシリケートガラスの厚さが0.70mmである場合、まず純硝酸ナトリウム溶融塩において440℃で2時間浸漬して前記1回目の化学強化を行い、次に純硝酸カリウム溶融塩において420℃で1.5時間浸漬して前記2回目の化学強化を行う。
第5態様は、表示スクリーン保護ガラスにおける、前記リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス又は前記リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの製造方法によるリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの使用を提供する。
従来技術と比較して、本開示は以下の技術的効果を有する。
本開示に係るリチウムアルミノシリケートガラスによれば、SiO、Al、NaO、KO、LiOのモル百分率及び(LiO+NaO+MgO)/Alの比の範囲を制御し、得られたリチウムアルミノシリケートガラスが化学強化された後の高い強度を保証するとともに、「膜剥がし静電」に対するユーザ要求を満たし、さらに溶融温度が低く、省エネルギであるという優れた効果を兼ね備える。
本開示に係るリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法によれば、簡単で便利であり、各成分を混合、溶融、成形、アニール処理をするプロセスにより、リチウムアルミノシリケートガラスを得ることができ、操作が簡単で、大規模な工業応用に適する。
本開示に係るリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスによれば、前記リチウムアルミノシリケートガラスから化学強化処理を経て形成され、得られたリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、応力層深さ(DOL)が30μmである場合の圧縮応力値(CS―30)が100MPaより大きい。ガラス粘度10dPa・sにおける溶融温度が1590℃より小さい。TP(リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス)は、保護膜が被覆されている場合、LCM(LCD液晶表示モジュール)に貼り合わせた後に、当該保護膜を剥がす瞬間に発生する「膜剥がし静電」が300Vより小さい。得られたリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、強度が高く、「膜剥がし静電」が低く、溶融温度が低く、且つ省エネルギであるという優れた性質を有する。
本開示に係るリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの製造方法によれば、リチウムアルミノシリケートガラスを1価金属硝酸塩溶融塩において強化処理すればよく、プロセスが簡単であり、広い適用に有利である。
本開示に係るリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの表示スクリーン保護ガラスにおける使用によれば、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、強度が高く、「膜剥がし静電」が低く、溶融温度が低く、且つ省エネルギであるという優れた性質を有するため、得られた応用製品も、強度が高く、「膜剥がし静電」が低いという優れたメリットを有する。
本開示の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は例示的技術説明において使用必要がある図面を簡単に紹介し、言うまでもないが、以下の説明における図面は、本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
本開示の実施例によるガラスのKOの含有量と膜剥がし静電との関係図である。 本開示の実施例によるガラスの応力層深さDOLとCSとの関係図である。
本開示が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び技術的効果をより明確にするために、以下、実施例に関連して本開示をさらに詳しく説明する。ここで説明された具体的実施例は、本開示を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではなく、当業者は、本開示における実施例に基づいて、創造的な労力を払わずに得られるすべての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に該当することを理解されたい。
本開示に係る技術的解決手段を説明するために、以下、具体的な図面及び実施例に関連して詳しく説明する。
本開示の実施例の第1態様は、リチウムアルミノシリケートガラスを提供し、
リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で、
62~68mol%のSiO
9~14mol%のAl
6~10mol%のNaO、
0.2~0.7mol%のKO、
8.0~14.0mol%のLiO、
2.0~5.5mol%のMgO、を含み、
ただし、(LiO+NaO+MgO)/Alは1.7~2.5である。
本開示の実施例の第1態様によるリチウムアルミノシリケートガラスは、SiO、Al、NaO、KO、LiOのモル百分率及び(LiO+NaO+MgO)/Alの比の範囲を制御し、得られたリチウムアルミノシリケートガラスが化学強化された後の高い強度を保証するとともに、「膜剥がし静電」に対するユーザの要求を満たし、さらに溶融温度が低く、省エネルギであるという優れた効果を兼ね備える。
具体的には、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で、62~68mol%のSiOを含む。ここで、SiOは、リチウムアルミノシリケートガラスの主成分であり、SiOを添加することでガラスに十分なヤング率及び耐腐食性を付与でき、これにより加工時に傷付けし難く、曇らないというユーザ要求を満たす。
ここで、SiOのモル百分率は62~68mol%である。SiOの添加量が62mol%未満であると、得られるリチウムアルミノシリケートガラスの耐腐食性が悪くなり、SiOの添加量が68mol%を超えると、得られるリチウムアルミノシリケートガラスの溶融温度が高くなり、量産が困難になり、エネルギ消費が増加し、広い製造に不利である。
いくつかの実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスは、SiOのモル百分率が63~67mol%である。具体的実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスにおけるSiOのモル百分率は、62mol%、62.5mol%、63mol%、63.5mol%、64mol%、64.5mol%、65mol%、65.5mol%、66mol%、66.5mol%、67mol%、67.5mol%、68mol%から選択される。
具体的には、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で9~14mol%のAlを含む。ここで、AlはSiOと好ましく配合され、ガラスの耐腐食性を向上できるだけでなく、化学強化時にアルカリ金属イオンチャンネルを増大させることで強化の進行を促進し、より大きな圧縮応力及び応力層深さを得ることができる。
ここで、Alのモル百分率は9~14mol%である。Alの添加量が9mol%未満であると、得られるリチウムアルミノシリケートガラスの耐腐食性及び強度が理想的ではなく、Alの添加量が14mol%を超えると、得られるリチウムアルミノシリケートガラスの溶融温度が高くなり、量産が困難になり、エネルギ消費が増加し、量産に不利である。
いくつかの実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスは、Alのモル百分率が9~14mol%である。具体的実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスにおけるAlのモル百分率は、9mol%、9.5mol%、10mol%、10.5mol%、11mol%、11.5mol%、12mol%、12.5mol%、13mol%、13.5mol%、14mol%から選択される。
具体的には、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で、6~10mol%のNaOを含む。ここで、NaOの添加は、ガラスが化学強化された場合に強度を高く向上するとともに、溶融に寄与し且つ粘度を低下させる作用を果たし、すなわち溶融温度が低下し、それに応じて成形、アニール温度が低下し、省エネルギの目的を達成する。また、NaOは、強化処理を行う過程においてイオン交換を行うための必須物質であり、後続の強化処理が順調に行われることを保証するためにNaOを提供する。
ここで、NaOのモル百分率は6~10mol%である。NaOの添加量が6mol%未満であると、得られるリチウムアルミノシリケートガラスのイオン交換による圧縮応力が低く、対応するCS―30が100MPaに達せず、「グリフィスクラック」に対する封止が理想的でなく、クラックの伸展によるガラス割れが依然として発生する。NaOの添加量が10mol%を超えると、得られるリチウムアルミノシリケートガラスの化学的安定性及びヤング率が低下し、ユーザの加工過程において、曇り及び傷が発生しやすく、使用に不利である。
いくつかの実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスは、NaOのモル百分率が6~10mol%である。具体的実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスにおけるNaOのモル百分率は、6mol%、6.5mol%、7mol%、7.5mol%、8mol%、8.5mol%、9mol%、9.5mol%、10mol%から選択される。
具体的には、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で0.2~0.7mol%のKOを含む。ここで、KOの添加は、ガラスが化学強化される場合に強度を高く向上するとともに、溶融に寄与し且つ粘度を低下させる作用を果たし、すなわち溶融温度が低下し、それに応じて成形、アニール温度が低下し、省エネルギの目的を達成する。また、KOは、強化処理を行う過程においてイオン交換を行うための必須物質であり、カリウムイオンは強化プロセスのイオンを加速し、イオン交換時間を短縮し、強化効率を向上できる。
ここで、KOのモル百分率は0.2~0.7mol%である。図1に示すように、KOのモル百分率を0.2mol%より大きく且つ0.7mol%より小さく制御することで、強化プロセスを加速でき、イオン交換時間を短縮し、強化効率を向上でき、また、ユーザが一定の清浄性を有する場所で作業するときに「膜剥がし静電」が500Vより大きいため、塵を吸着して製品が廃棄されることを回避できる。KOの添加量が0.2mol%未満であると、得られるリチウムアルミノシリケートガラスの強化プロセスにおけるイオン交換時間が長くなり、強化効率が低くなる。KOの添加量が0.7mol%を超えると、酸化カリウムと酸化ナトリウムがともに存在するため、「混合アルカリ効果」が実現され、ガラスの表面抵抗が向上し、ユーザに適用されるとき、ガラス製品を化学強化し、AF膜(指紋防止膜)をメッキした後に、LCM(LCD液晶表示モジュール)に貼り合わせた場合、製品の最外層の保護膜を引き剥がす瞬間に発生する「膜剥がし静電」が500Vより大きくなり、過度の塵粒子が吸着され、製品が廃棄され、使用に不利である。
いくつかの実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスは、KOのモル百分率が0.2~0.7mol%である。具体的実施例におけるリチウムアルミノシリケートガラスにおいて、KOのモル百分率は、0.2mol%、0.25mol%、0.3mol%、0.35mol%、0.4mol%、0.45mol%、0.5mol%、0.55mol%、0.6mol%、0.65mol%、0.7mol%から選択される。
具体的には、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で、8.0~14.0mol%のLiOを含み、ここで、LiOの添加は、ガラスが化学強化される場合に強度を高く向上するとともに、溶融に寄与し且つ粘度を低下させる作用を果たし、すなわち、溶融温度が低下し、それに応じて成形、アニール温度が低下し、省エネルギの目的を達成する。また、LiOは、強化処理を行う過程においてイオン交換を行うための必須物質であり、後続の強化処理が順調に行われることを保証するために提供する。
ここで、LiOのモル百分率が8.0~14.0mol%である。LiOの添加量が8.0mol%未満であると、イオン交換が到達する圧縮応力層深さが低すぎて、「グリフィスクラック」に対する封止が理想的でなく、クラックの伸展によるガラスの割れ及び失効の発生する可能性が依然として高い。LiOの添加量が14.0mol%を超えると、ガラスの結晶化傾向が増加し、プロセスにおいて結晶化して欠陥が発生し、ひいては失透する。
いくつかの実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスにおいて、LiOのモル百分率は8.0~13.0mol%である。さらに、リチウムアルミノシリケートガラスにおいて、LiOのモル百分率が8.0~12.0mol%である。
具体的実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスにおいて、LiOのモル百分率は、8mol%、8.5mol%、9mol%、9.5mol%、10mol%、10.5mol%、11mol%、11.5mol%、12mol%から選択される。
具体的には、リチウムアルミノシリケートガラスにおいて、(LiO+NaO+MgO)/Alは1.7~2.5である。(LiO+NaO+MgO)/Alの比を制御することで、得られたリチウムアルミノシリケートガラスは、強化処理された後に、応力層深さDOLが30μmである場合に対応する圧縮応力CS―30が100MPaより大きい。このような強度は、「グリフィスクラック」に対する封止を良好に実現できる。模擬携帯電話を用い、荷重180gで、自由落下速度で面が着地するように180メッシュの炭化ケイ素研磨紙に落下させると、その破裂高さが1.6メートル以上に達する。また、ガラスの溶融温度が1590℃未満であり、それに応じて成形、アニール温度も低く、量産が容易であり、且つ省エネルギである。得られたリチウムアルミノシリケートガラスは、化学強化前に耐傷であり且つ強化後に耐腐食であるという目的を達成するとともに、溶融温度が低く、イオン交換レートが高く、強度が高いというメリットを得る。
いくつかの実施例において、いくつかのリチウムアルミノシリケートガラスには、アルカリ土類金属酸化物が添加され、溶融温度の低下に寄与し、ガラス成形材料性能を調整し、添加後の成形温度の制御に有利であるとともに、結晶化を抑制する作用がある。しかし、Ca、Sr、Baは、イオン半径が大きく、それぞれ1.00Å、1.18Å、及び1.35Åであるので、ガラス構造格子が「渋滞」になり、イオン交換パスによる通過を阻害し、イオン交換効率が低くなる。したがって、本開示によるリチウムアルミノシリケートガラスは、Ca、Sr、Baイオンが導入された材料を使用せず、イオン半径の小さい酸化マグネシウム原料が導入された材料を使用する。
さらに、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で2.0~5.5mol%のMgOを含む。MgOの導入は、溶融温度の低下に寄与し、ガラス成形材料性能を調整し、添加後の成形温度の制御に有利であるとともに、結晶化を抑制する作用を果たす。また、酸化マグネシウムイオンにおいて、マグネシウムのイオン半径は比較的小さい0.72Åであり、熔解溶融を低下させ、結晶化を抑制し、成形材料性能を調整できるとともに、よりスムーズなイオン交換パスを提供できる。
いくつかの実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスは、MgOのモル百分率が2.0~5.5mol%である。具体的実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスにおいて、MgOのモル百分率は、2mol%、2.5mol%、3mol%、3.5mol%、4mol%、4.5mol%、5mol%から選択される。
さらに、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物のモル百分率で0.5~1.5mol%のZrOを含む。ZrOの導入は、ガラスの固有強度を向上させ、すなわち弾性率を向上させるとともに、化学強化前のユーザ加工時の耐傷性、耐腐食性を増加させることに有利である。ZrOの添加量が高すぎると、ガラス粘度を増加させて溶融難度を増加させるとともにエネルギ消費を増加させる。
いくつかの実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスにおけるZrOのモル百分率は0.5~1.5mol%である。具体的実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスにおけるZrOのモル百分率は0.5mol%、1mol%、1.5mol%から選ばれる。
さらに、リチウムアルミノシリケートガラスの厚さは0.25mm~2.5mmである。
本開示の実施例の第2態様はリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法を提供し、
S01 リチウムアルミノシリケートガラスの成分を決定するステップと、
S02 リチウムアルミノシリケートガラスの成分の原料を割合で混合、溶融、成形、アニール処理をして、リチウムアルミノシリケートガラスを製造するステップと、を含む。
本開示の実施例の第2態様によるリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法は、リチウムアルミノシリケートガラスの各成分原料に応じて混合、溶融、成形、アニール処理を順次に行うプロセスにより、得られたリチウムアルミノシリケートガラスは、強化された後に高い強度を有するとともに、「膜剥がし静電」に対するユーザ要求を満たし、低い溶融温度を有し、エネルギ消費を低減するという優れた効果を有する。また、当該製造方法は簡単且つ便利であり、操作しやすく、大規模な工業応用に適する。
ステップS01において、上記したリチウムアルミノシリケートガラスに基づいて各成分の含有量を提供して原料の配合比を決定し、ここでは説明を省略する。
ステップS02において、成分の原料を割合で混合、溶融、成形、アニール処理をして、リチウムアルミノシリケートガラスを製造する。ここで、溶融する温度は1510℃~1578℃である。当該温度で溶融処理を行う。さらに、良品検出、切断、選別、積み重ね、抜き取り、入庫を含む。
本開示の第3態様によるリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、リチウムアルミノシリケートガラス又はリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法により製造されたリチウムアルミノシリケートガラスから化学強化処理を経て形成される。
本開示の第3態様に係るリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、リチウムアルミノシリケートガラスから化学強化処理を経て形成される。得られたリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、応力層深さ(DOL)が30μmである場合の圧縮応力値CS―30が100MPaより大きい。ガラス粘度10dPa・sである場合の溶融温度が1590℃より小さい。リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、保護膜が被覆された場合に、モジュールに貼り合わせた後、当該保護膜を剥がす瞬間に発生する「膜剥がし静電」が300Vより小さい。得られたリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、強度が高く、「膜剥がし静電」が低く、溶融温度が低く、且つ省エネルギであるという優れた性質を有する。
本開示の第4態様に係るリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの製造方法は、
G01 リチウムアルミノシリケートガラスを1価金属硝酸塩溶融塩において強化処理して、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスを得るステップを含む。
本開示の第4態様によるリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの製造方法は、リチウムアルミノシリケートガラスを1価金属硝酸塩溶融塩において強化処理して、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスを得る。当該リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、応力層深さ(DOL)30μmである場合の圧縮応力値CS―30が100MPaより大きい。ガラス粘度10dPa・sにおける溶融温度が1590℃より小さい。TP(リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス)は、保護膜がある場合に、LCM(LCD液晶表示モジュール)に貼り合せ後、当該保護膜を剥がす瞬間に発生する「膜剥がし静電」が300Vより小さい。したがって、得られたリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、強度が高く、「膜剥がし静電」が低く、溶融温度が低く、且つ省エネルギであるという優れた性質を有する。また、当該製造方法は、プロセスが簡単であり、広い適用に有利である。
ステップG01において、1価金属硝酸塩溶融塩は、硝酸ナトリウム溶融塩、硝酸カリウム溶融塩から順次に選択される。或いは、1価金属硝酸塩溶融塩は、硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの混合溶融塩から選択される。
いくつかの実施例において、1価金属硝酸塩溶融塩は、硝酸ナトリウム溶融塩、硝酸カリウム溶融塩から順次に選択される場合、リチウムアルミノシリケートガラスを純硝酸ナトリウム溶融塩において1回目の強化処理を行い、さらに純硝酸カリウム溶融塩において2回目の強化処理を行う。
他のいくつかの実施例において、リチウムアルミノシリケートガラスを硝酸ナトリウムと、硝酸ナトリウムカリウムの混合溶融塩とにおいて2回強化処理する。
ここで、強化処理のステップにおいて、強化処理の時間は1~3時間であり、強化処理の温度は380~450℃である。
具体的実施例において、0.70mmのガラス板を例として、純硝酸ナトリウム溶融塩において440℃で2時間浸漬して1回目の化学強化を行い、その後、純硝酸カリウム溶融塩において420℃で1.5時間浸漬して2回目の化学強化を行う。
本開示の実施例の第5態様は、表示スクリーン保護ガラスにおける、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラス又はリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの製造方法によるリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの使用を提供する。
さらに、当該リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、電子製品の表示画面保護、自動車ウィンドウ、自動車カバーガラスに用いられるが、これらに限定されない。
本開示の実施例の第5態様によるスクリーン保護ガラスにおける、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスの使用によれば、リチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは強度が高く、「膜剥がし静電」が低く、溶融温度が低く、且つ省エネルギであるという優れた性質を有するため、得られた製品も強度が高く、「膜剥がし静電」が低いという優れたメリットを有する。
以下、具体的実施例に関連して説明する。
<実施例及び比較例>
簡潔に説明するために、実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケートガラスの成分を表1に示す。表1に示すガラス成分に基づいて、以下のように調製した。
リチウムアルミノシリケートガラス成分に基づいて、必要な原料を計算し、原料を均一に混合して、フロート法、オーバーフロー法又は坩堝溶融法により0.70mmのガラス板に調製した。その後、ガラス板を切断し、品質検査を行い、リチウムアルミノシリケートガラスを得た。
得られた実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケートガラスを、純硝酸ナトリウム溶融塩において440℃で2時間浸漬して1回目の化学強化を行い、その後、純硝酸カリウム溶融塩において420℃で1.5時間浸漬して2回目の化学強化処理を行い、実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスをそれぞれ得た。
<性能試験>
実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケートガラスと、実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスについて、以下の性能試験を行った。
(1)実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケートガラスに対して、ASTMC965ガラス粘度測定方法に準拠して溶融温度、すなわち粘度値が10dPa・sである場合の温度を検出した。
(2)実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスに対して、日本折原株式会社製SLP-200散乱光光弾性応力計を用いて、CS―30を検出した。
(3)実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケート学強化ガラスに対して、全体落下高さを検出する。検出方法は、東莞市豪恩自動化設備有限公司製の落下試験機(型番HE-DL-315D)を使用し、地面に180メッシュの炭化ケイ素研磨紙を被覆し、重量180gの模擬携帯電話モデルを用い、面を下にして、自由落下速度で、90CMを起点とし、ガラスが割れるまで(割れが発生するまで)、5CMずつ高くして落下する。
(4)実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスに対して、片面にAF膜を蒸着した後、OCA接着剤を用いて未蒸着面をLCM(LCD液晶表示モジュール)に貼り合せ、このようなガラス板はカバーガラス被覆モジュールと呼ばれる。モジュールのカバーガラスに保護膜を被覆し、「膜剥がし静電」を検出する。検出方法は、膜剥がし静電測定装置(型番TREK-520(米国))を使用し、測定範囲が0~±1999V、テスト環境要求湿度が40%~60%、温度が18~28℃である。膜剥がし静電測定装置のプローブが被測定サンプルの表面に垂直であることを保証し、試験者が静電気防止手袋、静電気防止リングを着用し、テストプローブがガラス表面から5~15mm離れ、膜剥がし速度が0.5sであり、サンプルを卓上に置かずに宙に浮かして、膜を剥がす瞬間の静電の電圧値を検出する。
<結果分析>
上記実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケートガラス及び実施例1~5及び比較例1~3のリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスに対して性能試験を行った結果を表2に示す。実施例1~5で得られたリチウムアルミノシリケートガラスは、溶融温度が1590℃以下であり、得られたリチウムアルミノシリケート化学強化ガラスは、CS―30が100MPaより大きく、膜剥離帯電(V)が300Vより小さい。落下高さ(荷重180g、180メッシュの炭化ケイ素研磨紙)が160CMより大きい。よって、実施例1~5で得られたリチウムアルミノシリケートガラスは、化学強化された後に高い強度を有するとともに、「膜剥がし静電」に対するユーザ要求を満たし、また低い溶融温度を有し、省エネルギであるという優れた効果を有する。
一方、比較例1~3のリチウムアルミノシリケートガラスにおいて、比較例1は、「膜剥がし静電」が300V未満であったが、他の項目がいずれも本発明の予期効果を達成していない。比較例2~3は、溶融温度が1610℃より大きい、CS―30が95MPa未満であり、膜剥がし静電(V)が300Vより大きく、落下高さ(荷重180g、180メッシュの炭化ケイ素研磨紙)が90CMより小さく、いずれも本発明の予期効果を達成していない。当該予期効果は、溶融温度<1590℃、CS―30>100MPa、膜剥がし静電(V)<300V、落下高さ(荷重180g、180メッシュの炭化ケイ素研磨紙)>160CMである。
ここで、図2に示すように、実施例1~5で得られたリチウムアルミノシリケートガラスは、強化処理後の応力層深さDOLが30μmである場合の圧縮応力CS―30が100MPaより大きい。このような強度は、「グリフィスクラック」に対する封止を良好に実現できる。模擬携帯電話を用い、荷重180gで、自由落下速度で面が着地するように180メッシュの炭化ケイ素研磨紙に落下させると、破裂高さが1.6メートル以上に達する。
以上のように、本開示に係るリチウムアルミノシリケートガラスは、SiO2、Al、NaO、KO、LiOのモル百分率及び(LiO+NaO+MgO)/Alの比の範囲を制御することにより、得られたリチウムアルミノシリケートガラスは、化学強化された後に高い強度を有するとともに、「膜剥がし静電」に対するユーザ要求を満たし、溶融温度が低く、省エネルギであるという優れた効果を兼ね備える。
上記内容は、本開示の実施例に過ぎず、本開示を限定するものではない。当業者にとって、本開示に基づいて様々な変更及び変化が可能である。本開示の精神及び原則内で行われた如何なる修正、同等置換、改良などは、いずれも本開示の特許請求の範囲内に含まれるべきである。

Claims (7)

  1. 酸化物のモル百分率で、
    62~68mol%のSiO
    9~14mol%のAl
    6~10mol%のNaO、
    0.2~0.7mol%のKO、
    8.0~14.0mol%のLiO、
    2.0~5.5mol%のMgO、
    0.5~1.5mol%のZrO、を含み、
    (LiO+NaO+MgO)/Alは1.7~2.5であるリチウムアルミノシリケートガラスであって、
    前記リチウムアルミノシリケートガラスは、応力層深さ(DOL)が30μmである場合の圧縮応力(CS―30)が100MPaより大きく、及び/又は、
    前記リチウムアルミノシリケートガラスは、荷重180gで、自由落下速度で面が着地するように180メッシュの炭化ケイ素研磨紙に落下した場合、破裂高さが1.6メートル以上に達する、
    リチウムアルミノシリケートガラス。
  2. 前記リチウムアルミノシリケートガラスの厚さは、0.25mm~2.5mmである、
    請求項1に記載のリチウムアルミノシリケートガラス。
  3. 前記LiOのモル百分率は、8.0~13.0mol%であり、及び/又は、
    前記SiOのモル百分率は、63~67mol%である、
    請求項1に記載のリチウムアルミノシリケートガラス。
  4. 前記リチウムアルミノシリケートガラスは、粘度10dPa・sである場合の溶融温度が、1590℃より低い、
    請求項1に記載のリチウムアルミノシリケートガラス。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムアルミノシリケートガラスの成分の原料を割合で混合、溶融、成形、アニール処理して、リチウムアルミノシリケートガラスを製造するステップを含む、
    リチウムアルミノシリケートガラスの製造方法。
  6. 前記溶融において、溶融処理を行う温度は、1510℃~1578℃である、
    請求項5に記載のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法。
  7. 表示スクリーン保護ガラスにおける、請求項1に記載のリチウムアルミノシリケートガラスの使用。
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