JP7710084B2 - カルシウム系炭酸化合物及び無機質成形体 - Google Patents
カルシウム系炭酸化合物及び無機質成形体Info
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Description
リン原子の含有量が1000ppm以下であり、
硫黄原子の含有量が100ppm以上である
立方体状のカルシウム系炭酸化合物に関する。
試料としてのカルシウム系炭酸化合物(105℃で2時間乾燥済)1gを量り取り、水50mLで懸濁させ、塩酸(濃塩酸と水とを1:1の体積比で混合した液)10mLを加えて、加熱、溶解させる。冷却後、250mLメスフラスコに移し、同量まで水を加えてメスアップする。ここから5.00mLを分取し、液の全量が約50mLとなるように水を加える。これに緩衝液(水酸化カリウム500gを水に溶解させて1,000mLとした溶液)5mL加え、さらに市販のドータイトNN希釈粉末を加えて、滴定試薬(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム約3.8gを水に溶解させて1,000mLとした溶液)にて滴定する。液の色が赤から青に変わった時点で滴定を終了する。下記式により、炭酸カルシウムの含有量(%)を算出する。
当該カルシウム系炭酸化合物を含む、無機質成形体に関する。
本実施形態に係るカルシウム系炭酸化合物は立方体状である。当該カルシウム系炭酸化合物において、リン原子の含有量は1000ppm以下であり、硫黄原子の含有量は100ppm以上である。
カルシウム系炭酸化合物の製造方法としては特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。代表的には、炭酸塩(炭酸イオン)と海水等のカルシウム(カルシウムイオン)とを接触させて塩交換を行うことでカルシウム系炭酸化合物を製造する溶液法を好適に採用することができる。
Ca2++CO3 2-→CaCO3 (A)
カルシウム系炭酸化合物の用途は特に限定されない。用途としては、例えば、建築材料や建築物に代表される無機質成形体用の高機能化材、樹脂用の充填剤等として好適である。以下、カルシウム系炭酸化合物を無機質成形体に用いる態様について説明する。
無機質成形体としては特に限定されず、代表的には、建築材料用の成形板やコンクリート建造物(コンクリート成形体)等が挙げられる。以下、適用し得る組成等を用途に応じて詳述する。
成形板は、好ましくは、水硬性材料、珪酸質材料、補強繊維材料、カルシウム系炭酸化合物を含む。
水硬性材料としては、セメント質材料、石膏、石灰、スラグ等が挙げられる。セメント質材料としては、一般的に使用されるセメント、例えば、普通ポルトランドセメント、早強セメント、中庸熱セメント、フライアッシュセメント、高炉スラグセメント及びアルミナセメントが挙げられる。石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏等が挙げられる。スラグとしては、高炉スラグ、転炉スラグ等が挙げられる。これらの水硬性材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
珪酸質材料としては、例えば、珪砂、珪石粉、シリカヒューム、フライアッシュ、珪藻土、層状ケイ酸塩(例えば、マイカ、タルク、カオリン、ベントナイト)、ワラストナイト、軽量骨材(例えばフライアッシュバルーン、パーライト、シラスバルーン、ガラス発泡体等)、等のSiO2を多く含む材料が挙げられる。これらの珪酸質材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。タルクやマイカ、ワラストナイトは後述の補強繊維材料としても用いることができる。
補強繊維材料としては、例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、これらをフィブリル化したパルプ、古紙を解繊したパルプ等のパルプ類、ビニロン繊維、アクリロニトリル繊維、ポリプロピレン繊維等の有機補強繊維材料、ロックウール、ガラス繊維等の無機補強繊維材料を使用することができる。これらの補強繊維材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
カルシウム系炭酸化合物としては、上述のカルシウム系炭酸化合物を好適に採用することができる。
成形板には、前記材料の他に、様々な機能を付与するために、樹脂中空体、木片、木粉、樹脂粉末、消泡剤、凝集剤、撥水剤、増粘剤(メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、分散剤等の材料を、目的に応じて種々配合することが可能である。また、成形板を加工する際に発生する端材等を粉砕したリサイクル材を適宜添加して使用することも可能である。
本実施形態に係る成形板の製造方法については特に限定はされず、一般的に用いられている抄造法、押出成形法、フローオン成形法、流し込み成形法、プレス(圧縮)成形等を用いることができる。成形板は、これらの方法で成形したグリーンシートをプレス脱水またはエンボス等による柄付け加工した後、常温養生、蒸気養生、オートクレーブ養生等で養生して得ることが可能である。さらに、乾燥を行い、必要に応じて形状加工や塗装を行ってもよい。
成形板の用途は特に限定されず、築壁材、床材、屋根材、各種ボード、外部装飾部材、建具等の内外装仕上げ材、シール材、断熱材、吸音材、防水用材等の性能維持材として好適に用いることができる。成形板は、セメント質材料を含むセメント系成形板であることが好ましく、けい酸カルシウム成形体がより好ましい。
コンクリート建造物は、水硬性組成物の硬化体で構成されている。水硬性組成物は、カルシウム系炭酸化合物に加えて、高炉スラグ、膨張材、消石灰、生石灰、フライアッシュおよびポルトランドセメントのうちの少なくとも1種類とを含む粉体からなる。カルシウム系炭酸化合物としては、上述のカルシウム系炭酸化合物を好適に採用することができる。
フライアッシュには、例えばJIS A6201「コンクリート用フライアッシュ」に適合するものを使用すればよい。
各製造例で得られたカルシウム系炭酸化合物等について、以下のような分析を行った。各分析結果を表1及び図1、2に示す。
8連式プリヒートユニット(MOUNTECH社製)を用いて窒素ガス雰囲気下、約130℃、約30分間で前処理した試料粉末を、BET比表面積測定装置としてMacsorb HM Model-1208(MOUNTECH社製)を用いて、窒素ガス吸着法で、BET比表面積(m2/g)を測定した。
エタノール50mLを100mL容量のビーカーに採り、試料粉末約0.2gを前述の100mL容量のビーカーに投入し、3分間の超音波処理(トミー精工社製 UD-201)を施して分散液を調製した。この分散液をレーザー回折法-粒度分布計(日機装株式会社製 Microtrac HRA Model 9320-X100)を用いて、体積基準のD50値を平均粒子径(μm)として、測定した。
試料粉末の見掛け比重は、JIS K6220に準拠して測定した。
<ICP-AES法>
試料としてのカルシウム系炭酸化合物0.2gを量り取り、水で湿らせ、分注器で塩酸(濃塩酸と水とを1:1の体積比で混合した液)10mLを加えて、加熱、溶解した。冷却後、250mLメスフラスコに移し、250mL同量まで水を加えてメスアップした。ここから20mLを50mLメスフラスコに分取し、50mL同量まで水を加えて測定用検体液とした。一方、前記した250mLメスアップした水溶液から20mLを50mLメスフラスコに分取し、各元素(リン原子、硫黄原子及びマグネシウム原子)の標準液をそれぞれ任意に追加添加して濃度の異なる検量線用標準液を調製した。なお、各元素の標準液は、1000ppm原子吸光用標準液(市販)を用いた。
<測定条件>
高周波出力:1.4kW
キャリアガス(加湿)流量:0.9L/min
プラズマガス流量:13.0L/min
補助ガス流量;1.0L/min
液性:水溶液
積分回数:3回
試料順序:試料毎
測定方法:標準添加法
検量線の重み付け:なし
測定波長:リン原子177.495nm、硫黄原子182.034nm、マグネシウム原子279.553nm
所定の試料台に試料粉末をスパチュラのヘラで圧粉固着させた後、XRD装置(リガク株式会社製MiniFlex600-C)を用いて測定を行い、結晶物質としての同定解析を行った。なお、測定角度2θにおいて、約29°に現れるピークはカルサイトの主ピークであり、約46°に現れるピークはアラゴナイトの主ピークである。これより、46°(アラゴナイト)ピーク強度Iaの29°(カルサイト)ピーク強度Icに対する比(Ia/Ic)を求めた。
アルミ試料台上に両面テープを貼り付け、その上から試料粉末をスパチュラのヘラでなぞるように塗布した。白金蒸着を行った後、試料粉末の粒子像を走査電子顕微鏡(FE-SEM:日立製作所株式会社製S-4700)を用いて2千倍の写真を撮った。図1~図2に実施例及び比較例のSEM写真を示す。
[実施例1-1]カルシウム系炭酸化合物(立方体状)
炭酸ナトリウムの試薬(和光純薬製:純度99.8%)8510gを、水100Lを予め張った邪魔板付き220L容量SUS容器内に撹拌下に投入して炭酸ナトリウムを調製した。一方、神島化学工業株式会社内で排出される海水から水酸化マグネシウムを除去した後の海水1000L(Ca2+含有量:0.25g/dL)を2000L容量のポリエチレン製容器内に入れ、25℃の撹拌下に前述の炭酸ナトリウム水溶液100Lを一気に添加後、約30分間の撹拌を継続することで反応させたその後、ろ過し、固形分に対して約5倍の水で洗浄し、110℃で24時間乾燥、粉砕し、カルシウム系炭酸化合物の試料粉末を得た。
海水から水酸化マグネシウムを除去した後の海水1000Lに対し、撹拌下に塩化マグネシウム六水和物を12.7kg加えた後、前述の炭酸ナトリウム水溶液100Lを一気に添加したこと以外は、実施例1-1と同様な操作を行ってカルシウム系炭酸化合物の試料粉末を得た。
海水から水酸化マグネシウムを除去した後の海水100Lに対し、撹拌下に前述の炭酸ナトリウム水溶液10Lを一気に添加後、約30分間の撹拌を継続させた。この反応後液を種として、さらに海水から水酸化マグネシウムを除去した後の海水100Lを加え、撹拌下に前述の炭酸ナトリウム水溶液10Lを一気に添加後、約30分間の撹拌を継続させた。この一連の操作を合計10回継続した。それらの操作以外は、実施例1-1と同様な操作を行ってカルシウム系炭酸化合物の試料粉末を得た。
市販の消石灰粉末(吉見石灰工業株式会社製、工業用最優良消石灰)をCaO換算で69
80g、アラゴナイトの種結晶粉末を630g、および、リン酸水素二ナトリウム・12水和物を3000gを準備し、それぞれ水180Lを予め張った邪魔板付き220L容量SUS容器内に撹拌下に投入して原料の混合スラリーを調製した。その後70℃まで昇温し、その温度下でタービン翼を1段備えた攪拌機を用いて回転速度150rpmで攪拌した。LNGを燃料とする水蒸気製造用ボイラーの排気出口に排ガス取り出し用配管を繋げ、試験用ブロアーを用いて排気ガスを引き込みながら、CO2濃度測定器(新コスモス電機株式会社製XP-3140)で測定したところ、CO2濃度は10体積%を示した。前述した220L容量SUS容器内に試験用ブロアーを用いて速度100L/minで排ガス導入して7時間反応させた。その後、ろ過し、固形分に対して約5倍の水で洗浄し、110℃で24時間乾燥、粉砕し、カルシウム系炭酸化合物の試料粉末を得た。
得られたカルシウム系炭酸化合物を用い、P漏斗流下時間の測定、並びにセメント成形体の製造及び圧縮強度試験を行った。結果を表3に示す。
(セメントミルク1の作製)
セメント(トクヤマ社製、「普通ポルトランドセメント(N)」)2kgを水1600mLに20秒程度で投入し、投入開始から3分間撹拌機(ヤマト科学株式会社製、「ラボスターラ(LR500B)」)で混合した。撹拌を停止し3分間静置した後、人手で攪拌棒(アズワン株式会社製、「攪拌棒(POM製)φ10×300mm」)により10回かき混ぜてセメントミルク1を作製した。
下記表2-1に示す種類及び量の実施例1-1及び比較例1-1のカルシウム系炭酸化合物を水1600mLに投入し、人手で前記攪拌棒により30秒程度撹拌した後、前記撹拌機を用いて400rpmで撹拌して混合物を得た。この混合物にセメント(トクヤマ社製、「普通ポルトランドセメント(N)」)2kgを20秒程度で投入し、投入開始から3分間前記撹拌機で混合した。撹拌を停止し3分間静置した後、人手で前記攪拌棒により10回かき混ぜてセメントミルク2~7を作製した。
下記表2-2に示す種類及び量の実施例1-2のカルシウム系炭酸化合物を用いたこと以外は、セメントミルク2~7の作製と同様な操作を行ってセメントミルク8~10を作製した。
下記表2-3に示す種類及び量の実施例1-3のカルシウム系炭酸化合物を用いたこと以外は、セメントミルク2~7の作製と同様な操作を行ってセメントミルク11~13を作製した。
「プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(P漏斗による方法)」(JSCE-F521-1999)に準拠して、P漏斗流下時間を測定した。P漏斗の排出口を指で押さえ、P漏斗の標線まで前記調製した各セメントミルクを注ぎ(1750ml)、タイムウォッチで指を離すと同時に測定を始め、P漏斗からセメントミルクが排出されるまでの時間を測定した。
[実施例2-1]
円柱状のポリエチレン袋(直径約50mm×長さ約550mm×厚さ約0.05mm)の標線まで前記調製したセメントミルク1を400mL注ぎ込んだ。空気を可能な限り注入して封をした後、22℃に設定した恒温機内に吊り下げた。恒温機内に吊り下げたまま28日間放置し、内容物を硬化させることでセメント成形体を計3個製造した。得られたセメント成形体は円柱状であり、直径約5cm、長さ約20cmであった。
下記表3-1~表3-3に示すセメントミルクを用いたこと以外は、実施例2-1と同様にしてセメント成形体を製造した。
JIS A 5430:2008(見掛け密度試験)に準拠して、密度を測定した。
JIS A 1108:2018(コンクリートの圧縮試験方法)に準拠して、得られたセメント成形体の圧縮強度を測定した。
Claims (8)
- リン原子の含有量が1000ppm以下であり、
硫黄原子の含有量が100ppm以上であり、
結晶構造が、カルサイト型、アラゴナイト型又はこれらの組み合わせであり、
見掛け比重が、1g/mL以上2g/mL以下である
立方体状のカルシウム系炭酸化合物。 - レーザー回折法による平均粒子径が、2μm以上25μm以下である、請求項1に記載のカルシウム系炭酸化合物。
- BET比表面積が、0.3m2/g以上3m2/g以下である、請求項1に記載のカルシウム系炭酸化合物。
- P漏斗流下時間が7秒以上10秒以下である、請求項1に記載のカルシウム系炭酸化合物。
- マグネシウムの含有量が、1000ppm以上である、請求項1に記載のカルシウム系炭酸化合物。
- 前記カルシウム系炭酸化合物は、合成カルシウム系炭酸化合物である、請求項1に記載のカルシウム系炭酸化合物。
- 無機質成形体用である、請求項1に記載のカルシウム系炭酸化合物。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のカルシウム系炭酸化合物を含む、無機質成形体。
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|---|---|---|---|
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Citations (5)
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| JP2010082526A (ja) | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Aisin Seiki Co Ltd | 炭酸ガスの処理方法 |
| JP2012116685A (ja) | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Ube Industries Ltd | セメント系無機質板 |
| CN103539187A (zh) | 2013-10-22 | 2014-01-29 | 山东大学 | 一种基于介质强化制备轻质碳酸钙的间接工艺 |
| JP2018509283A (ja) | 2015-01-29 | 2018-04-05 | オムヤ インターナショナル アーゲー | アルカリ土類金属炭酸水素塩溶液の製造方法 |
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