以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
[1]全体構成
まず、本実施形態に係る散布機1の全体構成について、図1~図4を参照して説明する。本実施形態では、散布機1は、圃場F1で育成されている作物V1(図2参照)に対して、例えば、薬液、水又は肥料等の散布物を散布する散布作業を行う。この散布機1は、圃場F1等の作業対象領域内で各種の作業を行う「作業機械」の一例である。
つまり、散布機1は、作業として、例えば薬液、水又は肥料等の散布物を散布する散布作業を実行可能な作業機械である。本開示でいう「作業機械」には、散布機の他、例えば、トラクタ、田植機、噴霧機、播種機、移植機及びコンバイン等の作業車両が含まれる。つまり、作業機械は作業車両を含む。作業機械は「車両」に限らず、例えば、薬液、水又は肥料等の散布用のドローン又はマルチコプタ等の作業飛翔体等であってもよい。さらに、本開示でいう「作業機械」は農業機械(農機)に限らず、例えば、建設機械(建機)等であってもよい。
また、本開示でいう「圃場」は、作業機械である散布機1が移動しながら、例えば散布作業等の各種の作業を行う作業対象領域の一例であって、農産物を育成する果樹園、牧草地、田んぼ及び畑等を含む。この場合、圃場F1で育成される作物V1は農産物である。さらに、植木畑で植木を育成している場合には植木畑が圃場F1となり、林業のように森林にて木材となる樹木を育成する場合には森林が圃場F1となる。この場合、圃場F1で育成される作物V1は植木又は樹木等である。ただし、作業機械が作業を行う作業対象領域は、圃場F1に限らず、圃場F1以外であってもよい。例えば、作業機械が建設機械であれば、建設機械が作業を行う現場が、作業対象領域となる。
本実施形態では一例として、散布機1は、葡萄園又は林檎園等の果樹園である圃場F1を移動しつつ、圃場F1で育成されている作物V1に対して薬液を散布する車両であることとする。この場合、薬液は散布物の一例である。また、作物V1は、散布物(薬液)が散布される散布対象物の一例であって、例えば葡萄の果樹である。散布対象物である作物V1は、作業機械としての散布機1による作業の対象となる作業対象物の一例でもある。ここでいう散布物としての「薬液」は、農業の効率化又は農作物の保存等に使用される農薬であって、除草剤、殺菌剤、防黴剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤、作物V1の生長促進剤及び発芽抑制剤等を含む。
作物V1は、圃場F1において所定の間隔で複数列に配置されている。具体的には、図3に示すように、複数の作物V1は、平面視における縦方向A1に直線状に並べて植えられている。縦方向A1に直線状に並ぶ複数の作物V1は、作物列Vr1を構成する。図3には、それぞれ縦方向A1に並ぶ6つの作物V1を含む3つの作物列Vr1を例示している。各作物列Vr1は幅方向A2に所定ピッチW1で配置されている。これにより、隣り合う作物列Vr1間には、作物列Vr1間の間隔に相当する幅W2(<W1)を有し、縦方向A1に沿って延びる作業通路が形成される。散布機1は、この作業通路を通って縦方向A1に移動(走行)しつつ、作物V1に対して散布物(薬液)の散布を行う。
詳しくは後述するが、圃場F1を走行する散布機1は、門型の形状を有する機体10を備えている。つまり、機体10は、左右方向D2に並べて配置される第1ブロック10L及び第2ブロック10Rと、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rの上端部同士を連結する連結部10Cと、を有している。これにより、機体10は、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cにて、空間Sp1の左方、右方及び上方の三方を囲む門型の形状を構成する。つまり、機体10の内側には、前後方向D3に開放された空間Sp1が形成される。
さらに、散布機1は、左右方向D2に並ぶ一対のクローラ111L,111Rを含む走行部11を備えている。一対のクローラ111L,111Rは、それぞれ第1ブロック10L及び第2ブロック10Rの下部に設けられており、空間Sp1に対して左右方向D2の両側に位置する。
散布機1は、図2に示すように、門型に形成された機体10にて1つの作物列Vr1を跨いだ姿勢で走行しつつ、この作物列Vr1の作物V1、及びこの作物列Vr1に隣接する作物列Vr1の作物V1に対して散布物(薬液)を散布することが可能である。言い換えれば、散布機1は、門型に形成された機体10の内側の空間Sp1に、散布対象物(作業対象物)である作物V1を通過させるようにして走行可能である。つまり、図2に例示すように、左右方向D2に並ぶ3つの作物列Vr11,Vr12,Vr13がある場合、散布機1は、これら3つの作物列Vr11,Vr12,Vr13のうちの任意の作物列Vr1を機体10で跨いで走行可能である。
ここで、機体10が中央の作物列Vr12を跨ぐとすれば、第1ブロック10Lが左端の作物列Vr11と作物列Vr12との間の作業通路を走行し、第2ブロック10Rが右端の作物列Vr13と作物列Vr12との間の作業通路を走行する。そして、散布機1は、作物列Vr11の作物V11、作物列Vr12の作物V12、及び作物列Vr13の作物V13に対して、同時に散布物(薬液)を散布可能である。このように、本実施形態に係る散布機1は、走行中において、3列分の散布対象物(作物V1)に対して同時に散布物(薬液)を散布可能であるので、1列ずつ散布する構成に比べて、散布作業の効率がよい。
さらに、本実施形態では一例として、散布機1は、人(オペレータ)の操作(遠隔操作を含む)によらず、自動運転により動作する無人機である。そのため、散布機1は、図4に示すように、操作端末201、サーバ202、基地局203及び衛星204等と共に、自動走行システム200を構成する。言い換えれば、自動走行システム200は、散布機1と、操作端末201と、サーバ202と、基地局203と、衛星204とを含んでいる。ただし、操作端末201、サーバ202、基地局203及び衛星204のうちの少なくとも一つは、自動走行システム200の構成要素に含まれなくてもよく、例えば、自動走行システム200は衛星204を含まなくてもよい。
散布機1、操作端末201及びサーバ202は、相互に通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信(電波又は光を媒体とする通信)の適宜の通信方式により、直接的、又は通信網(ネットワーク)若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。例えば、散布機1及び操作端末201は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、公衆電話回線、携帯電話回線網、パケット回線網又は無線LAN等を介して通信可能である。また、散布機1及び操作端末201のそれぞれと、サーバ202ともまた、インターネット等を介して通信可能である。
衛星204は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の衛星測位システムを構成する測位衛星であり、GNSS信号(衛星信号)を送信する。基地局203は、衛星測位システムを構成する基準点(基準局)である。基地局203は、散布機1の現在位置等を算出するための補正情報を散布機1に送信する。
本実施形態に係る散布機1は、機体10の現在位置(緯度、経度及び高度等)、及び現在方位等を検出する測位装置2を備えている。測位装置2は、衛星204から送信されるGNSS信号を用いて、機体10の現在位置及び現在方位等を特定(算出)する測位処理を実行する。測位装置2は、例えば、2台の受信機(基地局203及びアンテナ21)が受信する測位情報(GNSS信号等)と、基地局203で生成される補正情報と、に基づいて測位を行うRTK(Real Time Kinematic)測位等の比較的高精度な測位方式を採用する。
操作端末201は、例えば、タブレット端末又はスマートフォン等の情報処理装置である。操作端末201は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス又はキーボードのような操作部と、を備える。オペレータは、表示部に表示される操作画面において、操作部を操作して各種情報を登録する操作を行うことが可能である。また、オペレータは、操作部を操作して散布機1に対する作業開始指示、走行停止指示などを行うことが可能である。
サーバ202は、サーバ装置等の情報処理装置である。サーバ202は、散布機1を自動走行させる目標経路等の情報を、散布機1に送信する。
そして、散布機1は、予め設定された目標経路に沿って自動走行(自律走行)することが可能である。例えば、散布機1は、作業開始位置から作業終了位置まで、複数の作業経路及び移動経路を含む目標経路に沿って自動走行する。複数の作業経路は、それぞれ散布機1が作業対象物(散布対象物)である作物V1に対して作業(散布作業)を行う直線状の経路であり、移動経路は、散布機1が散布作業を行わないで作物列Vr1間を移動する経路であって旋回経路及び直進経路を含み得る。
また、散布機1は、所定の列順序で自動走行を行う。図2の例であれば、散布機1は、作物列Vr11を跨いで走行し、次に作物列Vr12を跨いで走行し、次に作物列Vr13を跨いで走行する。このように、散布機1は、予め設定された作物列Vr1の順番に応じて自動走行を行う。散布機1は、作物列Vr1の配列順に1列ごとに走行してもよいし、複数列おきに走行してもよい。
また、本実施形態では、説明の便宜上、図1に示すように、散布機1が使用可能な状態での鉛直方向を上下方向D1と定義する。さらに、平面視において散布機1の中心点から見た方向を基準として、左右方向D2及び前後方向D3を定義する。つまり、散布機1の前進時における散布機1の進行方向が前後方向D3の前方となり、散布機1の後退時における散布機1の進行方向が前後方向D3の後方となる。ただし、これらの方向は、散布機1の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。
また、本開示でいう「平行」とは、一平面上の二直線であればどこまで延長しても交わらない場合、つまり二者間の角度が厳密に0度(又は180度)である場合に加えて、二者間の角度が0度に対して数度(例えば10度未満)程度の誤差範囲に収まる関係にあることをいう。同様に、本開示でいう「直交」とは、二者間の角度が厳密に90度で交わる場合に加えて、二者間の角度が90度に対して数度(例えば10度未満)程度の誤差範囲に収まる関係にあることをいう。
[2]散布機の詳細
次に、散布機1の構成について、図1、図2、図5~図10を参照してより詳細に説明する。図1は、散布機1を左前方側から見た外観図であり、図2は、散布機1を背面側(後方)から見た背面の外観図である。図5は、散布機1の主要な構成を示す概略ブロック図である。図6は、散布機1を左側から見た左側面の外観図であり、図7は、散布機1を右側から見た右側面の外観図であり、図8は、散布機1を上方から見た上面の外観図である。図9は、散布機1を背面側(後方)から見た背面の外観図である。図10は、散布機1を斜め後方から見た状態を示す概略図であって、吹出内には一部拡大図を示している。
散布機1は、機体10と、走行部11と、支持フレーム3と、散布装置4と、を備えている。本実施形態では、図5に示すように、散布機1は、測位装置2、制御装置7、気流発生部5、ユーザインタフェース61、障害物検出装置62、動力源63、タンク64(図7参照)及び表示器65等を更に備えている。また、散布機1は、通信端末、燃料タンク及びバッテリ等を更に備える。本実施形態では、機体10及び支持フレーム3等の散布機1の構造体は、基本的に金属製であって、必要な強度及び対候性等に応じて材質が選択される。ただし、散布機1の構造体は金属製に限らず、例えば、樹脂又は木材等が適宜用いられてもよい。
機体10は、散布機1の本体であって、測位装置2及び支持フレーム3等の散布機1の殆どの構成要素が支持される。機体10は、フレーム101(図2参照)と、カバー102と、を有している。フレーム101は、機体10の骨格を構成する部材であって、例えば動力源63及びタンク64等の重量物を支持する。カバー102は、機体10の外郭を構成する部材であって、フレーム101及びフレーム101に搭載された部材の少なくとも一部を覆うようにフレーム101に取り付けられている。機体10の後面(背面)及び右側面の一部では、フレーム101がカバー102に覆われておらずフレーム101が露出する。カバー102は、複数の部分に分割されており、これら複数の部分がフレーム101から個別に取外可能に構成されている。そのため、カバー102は、例えば、動力源63等の一部の装置(部材)に対応する部分のみ取り外すことが可能であって、これにより動力源63等の一部の装置(部材)を露出させることができる。
機体10は、上述したように、左右方向D2に並べて配置される第1ブロック10L及び第2ブロック10Rを有している。第1ブロック10Lと第2ブロック10Rとは、左右方向D2において、一定値以上の間隔をあけた状態で互いに対向する。本実施形態では一例として、第1ブロック10Lが左側に位置し、第2ブロック10Rが右側に位置している。そのため、機体10の左側部分は第1ブロック10Lによって構成され、機体10の右側部分は第2ブロック10Rによって構成される。さらに、機体10は、第1ブロック10Lと第2ブロック10Rとを連結する連結部10Cを有している。正面視において(前方から見て)、連結部10Cは左右方向D2に沿って長さを有しており、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rはそれぞれ上下方向D1に沿って長さを有している。
ここで、連結部10Cは、第1ブロック10Lと第2ブロック10Rとの上端部同士を連結しているので、言い換えれば、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rは、それぞれ連結部10Cの(左右方向D2の)両端部から下方に突出する。これにより、機体10は、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cにて、前後方向D3の両側に加えて下方に開放された門型の形状を構成する。そして、機体10の内側には、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cにて三方が囲まれ、かつ前後方向D3に開放された空間Sp1が形成される。
要するに、機体10は、図2に示すように、第1ブロック10Lと第2ブロック10Rとの間に、散布装置4(作業部)による作業(散布作業)の対象となる作物V1(作業対象物)を通過させる空間Sp1を形成する。具体的に、散布対象物である作物V1の標準的な大きさを基準に、それ以上の高さ及び幅の空間Sp1を形成するように、機体10の各部の寸法が設定される。そのため、標準的な大きさの作物V1であれば、機体10は、作物V1を跨いだ状態で、作物V1が機体10に接触しないように所定値以上の間隔を空けた状態で、空間Sp1にて作物V1の通過を許容することができる。空間Sp1を作物V1が通過中にあっては、第1ブロック10Lは作物V1の左方に位置し、第2ブロック10Rは作物V1の右方に位置し、連結部10Cは作物V1の上方に位置する。
より詳細には、本実施形態では、機体10は、左右方向D2において略対称に構成されている。第1ブロック10L及び第2ブロック10Rは、側面視において略同サイズかつ同形状の矩形状に形成されている。第1ブロック10L及び第2ブロック10Rは、それぞれ上下方向D1、左右方向D2及び前後方向D3のうちで左右方向D2の寸法が最小となる、左右方向D2に扁平な形状を有している。また、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rは、それぞれ上下方向D1において中央部より上方の部分が、上端側ほど左右方向D2の寸法が小さくなるテーパ状に形成されている。連結部10Cは、平面視において、左右方向D2よりも前後方向D3の寸法が大きくなるような矩形状に形成されている。連結部10Cは、上下方向D1、左右方向D2及び前後方向D3のうちで上下方向D1の寸法が最小となる、上下方向D1に扁平な形状を有している。
このように、機体10は、大まかには、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cの3つの部分(ブロック)に分けることができる。そして、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cの各々が、フレーム101及びカバー102を有している。言い換えれば、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rの各々が、フレーム101及びカバー102を有している。さらに、測位装置2及び支持フレーム3等の散布機1の殆どの構成要素は、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cに分散して設けられている。
走行部11は、散布機1を走行させる走行装置(車体)であって、機体10の下部に設けられている。走行部11により、機体10は地面を走行(旋回を含む)することで、圃場F1内を左右方向D2及び前後方向D3に移動可能となる。このような走行部11が機体10に設けられていることで、散布機1は、圃場F1内を移動しながら、作業(散布作業)を行うことが可能である。
走行部11は、左右方向D2に並ぶ一対のクローラ(履帯)111L,111Rを含んでいる。一対のクローラ111L,111Rは左右方向D2に一定の間隔を空けて配置されており、これら一対のクローラ111L,111R間には、散布対象物である作物V1を通過させるための空間Sp1が形成される。つまり、空間Sp1の左方に位置する左側のクローラ111Lと、空間Sp1の右方に位置する右側のクローラ111Rとは、空間Sp1を挟んで互いに対向する。左側のクローラ111Lと右側のクローラ111Rとを特に区別しない場合、各クローラ111L,111Rを単に「クローラ111」とも呼ぶ。また、走行部11は、クローラ111を駆動するモータ112を備えている。つまり、走行部11は、モータ112にて無端帯状のクローラ111を駆動することにより、散布機1を走行させるクローラ式(無限軌道式)の走行装置である。
ここで、モータ112は、一対のクローラ111L,111Rに対応して少なくとも2個設けられている。左側のクローラ111Lを駆動する左側のモータ112と、右側のクローラ111Rを駆動する右側のモータ112とは、個別にクローラ111を駆動可能である。本実施形態では一例として、モータ112は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)であって、油圧ポンプからの作動油が供給されることで、クローラ111を駆動する。この構成によれば、圃場F1の路面状況が荒れているような場合でも、機体10は比較的安定して走行することが可能である。
ここで、クローラ111及びモータ112は、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rのそれぞれの下部に設けられている。つまり、第1ブロック10Lは、左側のクローラ111L及び当該クローラ111Lを駆動するモータ112を有し、第2ブロック10Rは、右側のクローラ111R及び当該クローラ111Rを駆動するモータ112を有している。本実施形態では、一対のクローラ111L,111R及び一対のモータ112は、左右方向D2において略対称に構成されている。このように、一対の走行部11が空間Sp1の分だけ左右方向D2に離れて配置されていることで、散布機1は、左右方向D2のいずれかが低くなるような横傾斜の斜面等を含む様々な圃場F1の路面状況において、比較的安定した姿勢で走行することが可能である。
ここで、一対のクローラ111L,111Rは、静油圧式無段変速装置による独立変速が可能な状態で動力源63からの動力により駆動される。そのため、機体10は、一対のクローラ111L,111Rが前進方向に等速駆動されることにより前進方向に直進する前進状態になり、一対のクローラ111L,111Rが後進方向に等速駆動されることにより後進方向に直進する後進状態になる。また、機体10は、一対のクローラ111L,111Rが前進方向に不等速駆動されることにより前進しながら旋回する前進旋回状態になり、一対のクローラ111L,111Rが後進方向に不等速駆動されることで後進しながら旋回する後進旋回状態になる。また、機体10は、一対のクローラ111L,111Rのいずれか一方が駆動停止された状態で他方が駆動されることによりピボット旋回(信地旋回)状態になり、一対のクローラ111L,111Rが前進方向と後進方向とに等速駆動されることでスピン旋回(超信地旋回)状態になる。また、機体10は、一対のクローラ111L,111Rが駆動停止されることで走行停止状態になる。
また、第1ブロック10Lには、動力源63等が搭載され、第2ブロック10Rには、タンク64等が搭載される。このように、機体10の第1ブロック10L及び第2ブロック10Rに、散布機1の構成部品が振り分けて配置されることにより、散布機1は、左右方向D2のバランスの均衡化及び低重心化が図られている。その結果、散布機1は、圃場F1の斜面等を安定して走行することができる。
測位装置2は、上述したように、機体10の現在位置及び現在方位等を検出する装置である。測位装置2は、少なくともアンテナ21を有している。アンテナ21は、衛星204から送信されるGNSS信号等を受信する。つまり、アンテナ21は、機体10の位置を特定するための位置特定用アンテナを含む。ここで、アンテナ21は、衛星204からの信号(GNSS信号)を受信しやすくなるように、機体10の上面(天面)上に配置されている。言い換えれば、アンテナ21は、機体10のうち最も高い位置よりも更に高い位置に配置されている。さらに、測位装置2は、機体10の姿勢を検出する姿勢検出部等を含んでいる。
本実施形態では、測位装置2は、第1アンテナであるアンテナ21とは別に、第2アンテナであるアンテナ22を更に有している。測位装置2は、これら2つのアンテナ21,22のそれぞれでGNSS信号等を受信する。ここで、アンテナ22(第2アンテナ)は、アンテナ21(第1アンテナ)に対して前後方向D3に並ぶように配置される。これにより、測位装置2は、アンテナ21,22のそれぞれで信号(GNSS信号等)の送受信が可能である。特に、アンテナ21,22が位置特定用アンテナである場合には、機体10の前部と後部とのそれぞれにおいて、現在位置を特定できるので、機体10の向き(現在方位)も含めて特定することが可能となる。
支持フレーム3は、機体10の前後方向D3の一端部に取り付けられ、後述する散布装置4の散布ノズル41を支持する部材である。本実施形態では、支持フレーム3は、機体10の後端部に取り付けられている。支持フレーム3は、機体10と同様に、門型の形状を有し、背面視において(後方から見て)、機体10と重なる位置に配置されている。つまり、支持フレーム3は、左右方向D2に並べて配置される縦フレーム3L(第1縦フレーム)及び縦フレーム3R(第2縦フレーム)と、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rの上端部同士を連結する横フレーム3Cと、を有している。これにより、支持フレーム3は、縦フレーム3L、縦フレーム3R及び横フレーム3Cにて、空間Sp1の左方、右方及び上方の三方を囲む門型の形状を構成する。
具体的に、支持フレーム3は、左右方向D2に並べて配置される縦フレーム3L及び縦フレーム3Rを有している。縦フレーム3Lと縦フレーム3Rとは、左右方向D2において、一定値以上の間隔をあけた状態で互いに対向する。本実施形態では一例として、縦フレーム3Lが左側に位置し、縦フレーム3Rが右側に位置している。そのため、縦フレーム3Lは機体10の第1ブロック10Lの後方に位置し、縦フレーム3Rは機体10の第2ブロック10Rの後方に位置する。そして、背面視において(後方から見て)、横フレーム3Cは左右方向D2に沿って長さを有しており、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rはそれぞれ上下方向D1に沿って長さを有している。
ここで、横フレーム3Cは、縦フレーム3Lと縦フレーム3Rとの上端部同士を連結しているので、言い換えれば、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、それぞれ横フレーム3Cの(左右方向D2の)両端部から下方に突出する。このように、支持フレーム3は、左右方向D2に沿って長さを有する横フレーム3Cと、それぞれ上下方向D1に沿って長さを有し、横フレーム3Cの両端部から下方に突出する一対の縦フレーム3L,3Rを含んでいる。これにより、支持フレーム3は、縦フレーム3L、縦フレーム3R及び横フレーム3Cにて、前後方向D3の両側に加えて下方に開放された門型の形状を構成する。そして、支持フレーム3の内側には、縦フレーム3L、縦フレーム3R及び横フレーム3Cにて三方が囲まれ、かつ前後方向D3に開放された空間Sp1が形成される。
要するに、支持フレーム3は、図2に示すように、一対の縦フレーム3L,3Rの間に散布装置4(作業部)による作業(散布作業)の対象となる作物V1(作業対象物、散布対象物)を通過させる空間Sp1を形成する。具体的に、散布対象物である作物V1の標準的な大きさを基準に、それ以上の高さ及び幅の空間Sp1を形成するように、支持フレーム3の各部の寸法が設定される。そのため、標準的な大きさの作物V1であれば、支持フレーム3は、作物V1を跨いだ状態で、作物V1が支持フレーム3に接触しないように所定値以上の間隔を空けた状態で、空間Sp1にて作物V1の通過を許容することができる。空間Sp1を作物V1が通過中にあっては、縦フレーム3Lは作物V1の左方に位置し、縦フレーム3Rは作物V1の右方に位置し、横フレーム3Cは作物V1の上方に位置する。
より詳細には、本実施形態では、支持フレーム3は、左右方向D2において略対称に構成されている。縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、断面が円形状となる円筒状を有している。本実施形態では一例として、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、それぞれ円筒状の部材が2本ずつ並設されて構成されている。横フレーム3Cは、断面が矩形状となる角筒状を有している。ここで、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、それぞれ横フレーム3Cに対して、連結金具、筋交金具又は溶接等の適宜の固定手段によって強固に固定されている。そのため、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、それぞれ横フレーム3Cに対して直交した状態を維持する。言い換えれば、背面視において、縦フレーム3Lと横フレーム3Cとの間の角部、及び縦フレーム3Rと横フレーム3Cとの間の角部は、それぞれ直角となる。
また、本実施形態では、支持フレーム3は、一対の縦フレーム3L,3Rと横フレーム3Cとの相対的な位置関係を維持した状態で、回転軸Ax1を中心として回転可能に機体10に支持されている。回転軸Ax1は、横フレーム3Cに設けられた支点部31を通り前後方向D3に沿った軸である。つまり、作業部(散布ノズル41)を支持する支持フレーム3は、前後方向D3に沿った回転軸Ax1を中心として回転可能に機体10に支持されている。ここで、本開示でいう「回転軸」は、回転体の回転運動の中心となる仮想的な軸(直線)を意味する。つまり、回転軸Ax1は、実体を伴わない仮想軸である。ただし、回転軸Ax1は、例えば軸ピンのように実体を伴う部材であってもよい。
散布装置4は、散布ノズル41等を有している。散布装置4は、タンク64に貯留されている散布物としての薬液を、散布対象物である作物V1に散布する散布作業を実行する。散布ノズル41は、支持フレーム3に支持されており、散布物の散布を行う部位である。本実施形態では一例として、散布ノズル41は、実際に散布物(薬液)の出口となる吐出口(散布部)である。散布装置4は、散布ノズル41を複数(本実施形態では一例として12個)有している。
散布装置4は、散布ノズル41に加えて、散布管42、ポンプ43(図7参照)、バルブ44(図7参照)及び散布用配管等を有している。散布ノズル41は、作業(散布作業)を実行する作業部の一例であり、支持フレーム3に支持される。支持フレーム3は機体10に支持されるので、散布ノズル41(作業部)は機体10に間接的に支持されることになる。本実施形態では、散布ノズル41は、散布管42に取り付けられている。散布管42は、散布用配管により、バルブ44を介してポンプ43に接続されている。ポンプ43は、タンク64に貯留されている散布物(薬液)を散布管42に圧送する。バルブ44は、電磁バルブ等の電子制御式のバルブユニットであって、散布物を散布する際の圧力(噴霧圧)及び散布パターン等を変更する。これにより、タンク64内の薬液は、ポンプ43にてバルブ44及び散布管42を介して散布ノズル41へと供給され、散布ノズル41から散布される。ここで、散布ノズル41からは霧状の薬液が吐出(噴霧)される。
より詳細には、図9及び図10に示すように、散布管42は、上下方向D1に長さを有する配管であって、支持フレーム3の縦フレーム3L及び縦フレーム3Rの各々に対して2本ずつ取り付けられている。つまり、本実施形態では、散布装置4は計4本の散布管42を有している。縦フレーム3L及び縦フレーム3Rの各々に取り付けられる2本(一対)の散布管42は、左右方向D2に並べて配置されている。各散布管42は、その上端部から注入される散布物としての薬液を、菅内を通して下方に流しつつ、3つの散布ノズル41から吐出させる。各散布管42には、散布ノズル41が3つずつ取り付けられており、これにより散布装置4は計12個の散布ノズル41を有している。
各散布ノズル41は、対応する散布管42に、上下方向D1に位置変更可能に取り付けられている。これにより、各散布ノズル41は、隣り合う散布ノズル41との間隔及び散布管42に対する高さ位置を散布対象物(作物V1)に応じて変更することができる。また、各散布ノズル41は、機体10に対する上下方向D1及び左右方向D2の位置、並びに向き(角度)を散布対象物に応じて変更可能に取り付けられている。ただし、散布装置4において、各散布管42に設けられる散布ノズル41の個数等は、散布対象物(作物V1)の種類、又は各散布管42の長さ等に応じて適宜変更が可能である。
気流発生部5は、散布ノズル41から吐出される散布物(薬液)を搬送する気流を発生する。気流発生部5は、散布ノズル41と共に支持フレーム3に支持されている。すなわち、本実施形態に係る散布機1は、気流発生部5で発生する気流を利用して散布物(薬液)を散布する、エアアシスト方式の散布機である。これにより、散布機1は、散布ノズル41から比較的離れた位置にある散布対象物(作物V1)に対しても、効率的に散布物(薬液)を散布することが可能である。
気流発生部5は、ダクト51と、送風機52と、を有している。ダクト51は、上下方向D1に沿って空気を流す流路を形成する。送風機52は、ダクト51に空気を流す。気流発生部5は、ダクト51に形成された吹出孔511(図10参照)から吹き出す空気が気流を形成する。要するに、気流発生部5は、送風機52がダクト51に送り込む空気をダクト51内の流路を通して吹出孔511から吹き出すことにより、吹出孔511から外方へと流れる空気の流れ(気流)を発生する。この構成によれば、比較的広範囲にわたって安定した気流を発生させることができる。さらに、気流発生部5は、送風機52の制御によって気流の風量を調節可能である。そして、気流発生部5は、風量を調節することで散布物の搬送距離を調節することができ、風量が大きいほど散布物を遠方まで搬送することが可能である。したがって、本実施形態に係る散布機1では、散布装置4による散布物の散布範囲を調節することができる。
より詳細には、ダクト51は、上下方向D1に長さを有する配管であって、支持フレーム3の縦フレーム3L及び縦フレーム3Rの各々に対して1本ずつ取り付けられている。つまり、本実施形態では、気流発生部5は計2本のダクト51を有している。各ダクト51には、ダクト51の左側面及び左側面の各々に、上下方向D1に沿って一列に並ぶように複数の吹出孔511が形成されている。さらに、各ダクト51には、散布装置4の2本の散布管42が固定されている。
ここで、ダクト51、これに取り付けられる2本の散布管42、及びこれら2本の散布管42に取り付けられる計6つの散布ノズル41は、左右方向D2において対称に配置されている。そして、2本の散布管42のうち、左側の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、左前方に向けて散布物(薬液)を吐出し、右側の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、右前方に向けて散布物(薬液)を吐出する。そのため、左側の散布ノズル41から吐出される霧状の散布物は、ダクト51から左方に吹き出す気流に乗って左方へ搬送され、右側の散布ノズル41から吐出される霧状の散布物は、ダクト51から右方に吹き出す気流に乗って右方へ搬送される。
よって、複数(12個)の散布ノズル41のうち、最左端の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、機体10の左外方に位置する作物V1に向けて薬液を左向きに散布する。複数の散布ノズル41のうち、最左端の散布管42に隣接する左内側の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、機体10の内側の空間Sp1に位置する作物V1に向けて薬液を右向きに散布する。複数の散布ノズル41のうち、最右端の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、機体10の右外方に位置する作物V1に向けて薬液を右向きに散布する。複数の散布ノズル41のうち、最右端の散布管42に隣接する右内側の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、機体10の内側の空間Sp1に位置する作物V1に向けて薬液を左向きに散布する。
上記の構成により、散布装置4においては、支持フレーム3の縦フレーム3Lに設けられた2本の散布管42及び6つの散布ノズル41が左側の散布ユニットとして機能する。また、支持フレーム3の縦フレーム3Rに設けられた2本の散布管42及び6つの散布ノズル41が右側の散布ユニットとして機能する。そして、左右一対の散布ユニットは、機体10の後方において、左右方向D2への散布が可能な状態で、両者間に作物V1の通過を許容する間隔(空間Sp1)を空けて配置されている。
また、散布装置4は、複数(12個)の散布ノズル41が複数系統に分けれており、系統ごとに制御可能に構成されている。本実施形態では一例として、4本の散布管42のうち左右方向D2における内側の2本の散布管42に設けられた6つの散布ノズル41が第1系統、最左端の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41が第2系統、最右端の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41が第3系統に分類される。そのため、散布装置4による散布パターンには、全ての散布ノズル41から散布物(薬液)を散布する全散布パターンと、散布方向が限定された限定散布パターンとが含まれる。限定散布パターンには、第1系統の6つの散布ノズル41のみ散布を行う第1散布パターンと、第2系統の3つの散布ノズル41のみ散布を行う第2散布パターンと、第3系統の3つの散布ノズル41のみ散布を行う第3散布パターンと、が含まれる。さらに、限定散布パターンには、第1系統及び第2系統の9つの散布ノズル41のみ散布を行う第4散布パターンと、第1系統及び第3系統の9つの散布ノズル41のみ散布を行う第5散布パターンと、第2系統及び第3系統の6つの散布ノズル41のみ散布を行う第6散布パターンと、が含まれる。
散布装置4は、制御装置7によって制御され、上述した複数の散布パターン(全散布パターン及び6つの限定散布パターンの計6パターン)が適宜切り替えられる。少なくとも、散布装置4のバルブ44は、複数の散布ノズル41の系統ごとに設けられており、本実施形態では、3系統(第1系統、第2系統及び第3系統)に対応するべく3つのバルブ44が設けられている。これら複数(ここでは3つ)のバルブ44は、制御装置7によって個別に制御され散布パターンを変更する。また、散布装置4は、系統ごとに散布物を散布する際の圧力(噴霧圧)を変更することでも、散布物の散布範囲を変更可能である。さらに、本実施形態では、気流発生部5の風量を調節することでも散布物の散布範囲を調節できるので、散布対象物(作物V1)又は散布物(薬液)に応じて、より多様な散布範囲を実現可能である。散布装置4の構成についてより詳しくは「[3]散布装置の構成」の欄で説明する。
ところで、本実施形態では、上述したように支持フレーム3は、機体10に対して相対的に固定されるのではなく、回転軸Ax1を中心に回転可能に構成されている。支持フレーム3が回転することにより、支持フレーム3に支持されている複数の散布ノズル41についても回転軸Ax1を中心に回転することになる。
また、本実施形態に係る散布機1は、支持フレーム3を能動的に回転させるアクチュエータ等を備えていない。そのため、支持フレーム3は、支持フレーム3に対して外力が作用して初めて回転することになる。例えば、機体10が横傾斜の斜面を走行する際には、支持フレーム3の自重、つまり支持フレーム3に作用する重力によって、支持フレーム3が回転する。ここで、支持フレーム3、及び支持フレーム3に支持される部材(散布ノズル41、散布管42及び気流発生部5等)が、左右方向D2に対称となる重量バランスであれば、機体10が水平に保たれている限りは支持フレーム3が中立位置に維持されることになる。
以上説明したような回転可能な支持フレーム3によれば、例えば、機体10が横傾斜の斜面を走行中には、支持フレーム3が回転することによって、散布ノズル41による散布物(薬液)の散布量のムラ(散布ムラ)の発生が生じにくい。要するに、支持フレーム3が機体10に固定的に支持されているとすれば、横傾斜の斜面を走行する際、機体10が傾くことがある。そして、この場合、地面(圃場F1)から鉛直方向にまっすぐ延びる作物V1(散布対象物)においては、その上部と下部とで散布ノズル41からの距離が異なり、散布物の散布量にムラが生じる可能性がある。これに対して、本実施形態に係る散布機1では、支持フレーム3が回転することで、支持フレーム3、及び支持フレーム3に支持されている散布ノズル41等については、水平面を走行する際と同じ姿勢を維持することができる。そのため、地面(圃場F1)から鉛直方向にまっすぐ延びる作物V1(散布対象物)においても、その上部と下部とで散布ノズル41からの距離がばらつきにくくなり、散布物の散布量のムラの発生を抑制しやすい。
ユーザインタフェース61は、ユーザに対する情報の出力と操作の受け付けとの少なくとも一方を行う装置である。ここでは、ユーザインタフェース61は、図7に示すように、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部611と、操作を受け付けるタッチパネル、つまみ又は押釦スイッチのような操作部612と、を有する。ユーザの一例であるオペレータは、表示部611に表示される操作画面に従って、操作部612を操作して各種設定を行うことが可能である。具体的に、オペレータは、ユーザインタフェース61の操作部612を操作して、散布装置4の動作条件等の設定を行う。散布装置4の動作条件の一例としては、散布ノズル41から散布物を散布する際の圧力(噴射圧)及び流量等がある。
障害物検出装置62は、第1センサ621と、第2センサ622と、第3センサ623と、第4センサ624と、を備えている。第1センサ621~第4センサ624は、いずれも機体10の前方に向けて配置されている。第1センサ621は機体10の上面の左前端部、第2センサ622は機体10の上面の右前端部、第3センサ623は第1ブロック10Lの前面、第4センサ624は第2ブロック10Rの前面に、それぞれ配置される。また、障害物検出装置62は、第5センサ625(図6参照)と、第6センサ626(図7参照)と、を更に備えている。第5センサ625及び第6センサ626は、いずれも機体10の後方に向けて配置されている。第5センサ625は縦フレーム3L、第6センサ626は縦フレーム3Rに取り付けられている。
第1センサ621~第6センサ626の各々は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ又はLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、機体10の周辺状況を検知する。本実施形態では一例として、第1センサ621~第6センサ626の各々は、光又は音が測距点に到達して戻るまでの往復時間に基づいて測距点までの距離を測定するTOF(Time Of Flight)方式により、測定範囲の各測距点(測定対象物)までの距離を測定する3次元センサである。機体10の周辺状況には、例えば、機体10の進行方向の前方に存在する物体(障害物等)の有無、及び物体の位置(距離及び方位)等が含まれる。
また、障害物検出装置62は、前方接触センサ627と、後方接触センサ628と、を更に備えている。前方接触センサ627は、機体10の前方側に左右一対配置され、後方接触センサ628は、機体10の後方側に左右一対配置されている。前方接触センサ627及び後方接触センサ628の各々は、障害物が接触した場合に障害物を検出する。各センサは、障害物を検出した場合に検出信号を制御装置7に送信する。
動力源63は、少なくとも走行部11に動力を供給する駆動源である。動力源63は、例えばディーゼルエンジン等のエンジンを有する。動力源63は、油圧ポンプを駆動し、走行部11のモータ112等に油圧ポンプから作動油を供給させることで、走行部11等を駆動する。
タンク64は、薬液等の散布物を貯留する。タンク64に貯留されている散布物は、散布装置4に供給され、散布装置4の散布ノズル41から散布される。タンク64には、外部から散布物である薬液を補充可能である。タンク64の容量は、一例として200L程度である。
表示器65は、機体10の上面に配置されている。表示器65は、一例として上下方向D1に長さを有する円柱状に形成されている。表示器65は、散布機1の動作状態(走行状態及び散布作業の実行状態等)に応じて点灯状態が変化する。これにより、散布機1の周囲からでも散布機1の動作状態が視認可能となる。
制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムを主構成とし、種々の処理(情報処理)を実行する。本実施形態では、制御装置7は、散布機1全体の制御を行う統合コントローラであって、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)からなる。ただし、制御装置7は、統合コントローラと別に設けられていてもよいし、1つのプロセッサ、又は複数のプロセッサを主構成としてもよい。
制御装置7は、図5に示すように、取得処理部71と、判定処理部72と、出力処理部73と、閾値処理部74と、散布処理部75と、自動走行処理部76と、記憶部77と、を備えている。本実施形態では一例として、制御装置7は1以上のプロセッサを有するコンピュータシステムを主構成とするので、1以上のプロセッサが制御プログラムを実行することにより、これら複数の機能部(取得処理部71等)が実現される。制御装置7に含まれる、これら複数の機能部は、複数の筐体に分散して設けられていてもよいし、1つの筐体に設けられていてもよい。
制御装置7は、機体10の各部に設けられたデバイスと通信可能に構成されている。つまり、制御装置7には、少なくとも走行部11、測位装置2、散布装置4、気流発生部5、ユーザインタフェース61、障害物検出装置62、動力源63及び表示器65等が接続されている。これにより、制御装置7は、走行部11及び散布装置4等を制御したり、測位装置2及び障害物検出装置62等から電気信号を取得したりすることが可能である。制御装置7は、各種の情報(データ)の授受を、各デバイスと直接的に行ってもよいし、中継器等を介して間接的に行ってもよい。
制御装置7は、上記機能部に加えて、エンジン制御部、及び静油圧式無段変速装置に関する制御を行うHST(Hydro-Static Transmission)制御部等を更に含んでいる。エンジン制御部はエンジン(動力源63)に関する制御を行う。HST制御部は静油圧式無段変速装置に関する制御を行う。
取得処理部71は、各デバイスから電気信号(データを含む)を取得する取得処理を実行する。本実施形態では、取得処理部71は、少なくとも後述する散布装置4の圧力センサ47(図11参照)から検出信号を取得する。圧力センサ47は、複数の散布ノズル41への散布物(薬液)の供給経路401(図11参照)に設けられており、供給経路401の圧力(供給経路401中の散布物の圧力)を検出し、検出結果(圧力)を表す検出信号を出力する。また、取得処理部71は、タンク64に貯留されている散布物(薬液)の残量に関する残量情報を、タンク64に設けられたレベルセンサから取得する。さらに、取得処理部71は、機体10の現在位置に関する位置情報を、測位装置2から取得する。
判定処理部72は、複数の散布ノズル41のうちの少なくとも一部を監視対象として、監視対象に詰まりが発生しているか否かを判定する。つまり、散布装置4の複数(本実施形態では12個)の散布ノズル41のうちの少なくとも一部について、ノズル詰まりが発生することがある。ここでいう「詰まり」は、例えば、散布物(薬液)中の成分又はその他の異物が散布ノズル41に固着する等して、散布ノズル41における散布物の通りが悪くなることを意味する。散布ノズル41にフィルタが装着されている場合には、フィルタの目詰まりが起こることで、散布ノズル41に詰まりが発生することもある。つまり、散布ノズル41に詰まりが発生している場合には、当該散布ノズル41から散布物が全く散布されない場合と、当該散布ノズル41からの散布物の散布量が低下している場合とを含む。本実施形態では一例として、判定処理部72は、複数の散布ノズル41の全てを監視対象とし、これら監視対象としての複数(ここでは12個)の散布ノズル41のうちの1つでも詰まりが発生していれば、監視対象に詰まりが発生していると判定する。
本実施形態では、判定処理部72は、監視対象への散布物の供給経路401の圧力が判定条件を満たす場合に、監視対象に詰まりが発生していると判定する。つまり、散布ノズル41に詰まりが発生していると、散布ノズル41から吐出されるはずの散布物(薬液)の量が少なくなるため、基本的には供給経路401の圧力が高まることになる。そこで、判定処理部72は、取得処理部71が取得した圧力センサ47の検出信号に基づいて、供給経路401の圧力(供給経路401中の散布物の圧力)が判定条件を満たすか否かを判定し、判定条件を満たす場合には詰まりが発生していると判定する。ここでいう「判定条件」は、例えば、供給経路401の圧力が所定圧力以上であること、所定圧力以上の状態が所定時間継続すること、若しくは供給経路401の圧力の変動幅が所定幅以上であること、又はこれらの組み合わせ等である。本実施形態では一例として、供給経路401の圧力が所定圧力以上であることを判定条件とする。つまり、供給経路401の圧力が判定閾値としての所定圧力以上である場合に、判定処理部72は、監視対象に詰まりが発生していると判定する。
出力処理部73は、判定処理部72の判定結果に応じて、種々の情報を出力する出力処理を実行する。本実施形態では、出力処理部73は、少なくとも監視対象に詰まりが発生したときの機体10の位置に関する詰まり位置情報を出力する。つまり、圃場F1のある地点を機体10が走行中に散布ノズル41のうちのいずれかに詰まりが発生したと判定処理部72で判定された場合、出力処理部73は、当該地点に関する情報(詰まり位置情報)を出力する。ここで、出力処理部73における出力の態様は、記憶部77等の非一時的記録媒体への書き込み、表示器65等への表示、警報音の出力若しくは他端末への送信等の手段、又はこれらの組み合わせであってもよい。
閾値処理部74は、判定処理部72での判定に用いられる判定閾値を設定する閾値設定処理を実行する。本実施形態では、供給経路401の圧力が所定圧力以上であることを判定条件とするので、供給経路401の圧力と対比される「所定圧力」が判定閾値の一例である。ただし、この例に限らず、例えば、供給経路401の圧力が所定圧力以上の状態が所定時間継続することを判定条件とする場合には、「所定圧力」と「所定時間」との少なくとも一方が判定閾値となる。また、供給経路401の圧力の変動幅が所定幅以上であることを判定条件とする場合には、「所定幅」が判定閾値となる。
ここで、閾値処理部74は、例えば、ユーザインタフェース61等に対するユーザ(オペレータ)の操作に応じて判定閾値を設定することで、判定閾値の手動設定を可能とする。一例として、ユーザは、散布作業の工数(散布作業に要する時間)を優先する場合には、判定閾値を高く設定することで監視対象に詰まりが発生していると判定されにくくする。反対に、ユーザは、散布作業の信頼性(散布量)を優先する場合には、判定閾値を低く設定することで監視対象に詰まりが発生していると判定されやすくする。すなわち、閾値処理部74は、監視対象に詰まりが発生しているか否かを判定する際に用いられる判定閾値を、ユーザの操作に応じて設定する。これにより、どの程度の詰まり具合で詰まりが発生していると判定するか、その感度をユーザが任意に設定可能となる。
また、閾値処理部74は、例えば、散布機1の状況(動作状況)に応じて判定閾値を設定することで、判定閾値の自動設定を可能としてもよい。ここでいう、散布機1の状況は、散布機1の現在位置(目標経路上の位置を含む)又は散布物の残量等である。一例として、散布機1の現在位置から自動走行終了位置までの距離が短い場合、閾値処理部74は、判定閾値を高く設定することで監視対象に詰まりが発生していると判定されにくくする。反対に、散布機1の現在位置から自動走行終了位置までの距離が長い場合、閾値処理部74は、判定閾値を低く設定することで監視対象に詰まりが発生していると判定されやすくする。すなわち、閾値処理部74は、監視対象に詰まりが発生しているか否かを判定する際に用いられる判定閾値を、散布機1の状況に応じて設定する。これにより、散布機1の状況に応じて適切な判定閾値が自動的に設定可能となる。
散布処理部75は、散布装置4及び気流発生部5等の作業(散布作業)に関する散布制御処理を行う。具体的に、散布処理部75は、散布機1が作業開始位置において自動走行を開始すると、予め定められた目標経路に含まれる制御情報に基づいて散布パターンを切り替える切替信号を散布装置4に出力する。散布装置4は、切替信号を受信すると所定の散布パターンで散布作業を実行する。これにより、散布装置4における複数の散布ノズル41は、少なくとも機体10の自動走行中に散布物の散布を行うことになる。
ここで、本実施形態に係る散布機1では、散布処理部75は、判定処理部72の判定結果に応じて動作する。具体的には、散布装置4にて散布物(薬液)の散布作業中に、判定処理部72にて監視対象に詰まりが発生していると判定された場合、散布処理部75は、散布装置4に散布物の散布作業を中止させる。すなわち、散布処理部75は、監視対象に詰まりが発生している場合に散布物の散布を中止させる。
自動走行処理部76は、測位装置2から取得する測位情報などに基づいて機体10を圃場F1の目標経路に沿って自動走行させる。具体的に、自動走行処理部76は、測位装置2により測位される機体10の位置及び方位を含む測位情報に基づいて、目標経路に沿って走行部11を自動走行させる。例えば、測位情報がRTK測位可能な状態になって、操作端末201の操作画面においてオペレータがスタートボタンを押下(自動走行開始指示)すると、操作端末201は自動走行開始指示(作業開始指示)を散布機1に出力する。自動走行処理部76は、操作端末201から自動走行開始指示を取得すると、測位装置2により測位される機体10の測位情報に基づいて散布機1の自動走行を開始させる。これにより、散布機1は、目標経路に沿って自動走行を開始し、散布装置4による散布作業を開始する。
記憶部77は、例えば、RAM又は外部メモリ等からなる非一時的記録媒体であって、種々の情報を記憶する。本実施形態では、出力処理部73の出力の態様は、少なくとも記憶部77への(詰まり位置情報の)書き込みを含む。そのため、記憶部77には、少なくとも、監視対象としての散布ノズル41に詰まりが発生したときの機体10の現在位置に関する情報(詰まり位置情報)が記憶される。また、記憶部77には、散布ノズル41に詰まりが生じた時刻及び回数等、判定処理部72の判定結果に関連するログが記憶される。さらに、記憶部77には、散布機1の自動走行に用いられる目標経路等の情報も記憶される。
通信端末は、散布機1を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して操作端末201、サーバ202等の外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インタフェースである。測位装置2、制御装置7及び通信装置等の電子機器は、バッテリに接続されており、動力源63の停止中も動作可能である。
[3]散布装置の構成
次に、本実施形態に係る散布機1の散布装置4の構成について、図11を参照してより詳しく説明する。図11は、散布装置4の構成を模式的に示し、図11では、実線が散布物(薬液)の通る経路(流路)、一点鎖線の矢印が電気信号の経路を示す。
本実施形態に係る散布機1では、上述したように、散布装置4は、複数(12個)の散布ノズル41、4本の散布管42、ポンプ43、3つのバルブ44及び散布用配管等を有している。さらに、散布装置4は、止水排水弁45、吐出側流量計46、圧力センサ47及び圧力ゲージ403等を有している。図11では、散布用配管に設けられたフィルタ及びマニュアル調整弁等の図示を適宜省略している。
4本の散布管42は、最左端に位置する第1の散布管421(外側左)と、左内側に位置する第2の散布管422(内側左)と、右内側に位置する第3の散布管423(内側右)と、最右端に位置する第4の散布管424(外側右)と、を含む。そして、これら第1~4の散布管421~424の各々には、散布ノズル41が3つずつ設けられており、各散布管42に供給された散布物(薬液)は、当該散布管42に設けられた3つの散布ノズル41から散布(吐出)される。第2の散布管422及び第3の散布管423に設けられた6つの散布ノズル41が第1系統、第1の散布管421に設けられた3つの散布ノズル41が第2系統、第4の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41が第3系統に分類される。
ここで、散布用配管は、タンク64からポンプ43への散布物の経路(流路)となるタンク経路400と、ポンプ43から散布管42への散布物の経路(流路)となる供給経路401と、供給経路401からタンク64への散布物の経路(流路)となる戻り経路402と、を含む。つまり、本実施形態では、タンク64と散布管42との間には、散布物の吐出側の経路となる供給経路401と、散布物の戻り側の経路となる戻り経路402と、が並列的に設けられている。供給経路401は、1つのポンプ43から途中で3系統に分岐し、3系統の散布管42につながっている。一方、3系統の供給経路401につながる3系統の戻り経路402は、1つに合流して1つのタンク64へとつながる。
タンク経路400には、止水排水弁45が設けられている。止水排水弁45は、タンク64とポンプ43との間を遮断し、タンク64内の散布物を外部に排出(排水)することが可能である。ポンプ43は、制御装置7と電気的に接続されており、制御装置7(散布処理部75)にて制御される。一方、ポンプ43の吐出側となる供給経路401には吐出側流量計46が設けられている。吐出側流量計46は、ポンプ43から吐出される散布物(薬液)の流量を検出する。吐出側流量計46は、一例として電磁流量計であって、検出結果を表す流量信号を制御装置7(取得処理部71)に出力する。また、圧力ゲージ403は、一例としてアナログゲージであって、ポンプ43の吐出側となる供給経路401に設けられている。圧力ゲージ403は、ポンプ43と吐出側流量計46との間に配置され、ポンプ43から吐出される散布物の圧力(供給経路401の圧力)を表示する。
3つのバルブ44は、上述したように複数の散布ノズル41の系統ごとに設けられ、本実施形態では、3系統(第1系統、第2系統及び第3系統)に対応する。これら複数(3つ)のバルブ44は、制御装置7(散布処理部75)によって個別に制御され散布パターンを変更する。つまり、3つのバルブ44は、供給経路401における第1系統の散布管42(422,423)につながる分岐路に設けられた第1のバルブ441と、供給経路401における第2系統の散布管42(421)につながる分岐路に設けられた第2のバルブ442と、供給経路401における第3系統の散布管42(424)につながる分岐路に設けられた第3のバルブ443と、を含む。各バルブ44は、ポンプ43につながる供給経路401を、散布管42又は戻り経路402に択一的に接続する三方電磁弁である。そして、これら第1~3のバルブ441~443は、制御装置7と電気的に接続されており、制御装置7(散布処理部75)にて個別に制御される。
圧力センサ47は、ポンプ43から散布物(薬液)が吐出される供給経路401の圧力を検出する。圧力センサ47は、検出結果を表す圧力信号を制御装置7(取得処理部71)に出力する。圧力センサ47は、供給経路401における吐出側流量計46の下流側であって3つのバルブ44の上流側に設けられている。つまり、圧力センサ47は、供給経路401の3系統の分岐点に直結しており、当該分岐点における散布物の圧力を検出する。そのため、複数系統(本実施形態では3系統)に分岐される供給経路401の圧力を1つの圧力センサ47で検出することが可能である。
また、図11に示すように、タンク64内には、タンク64内の散布物(薬液)を攪拌させる攪拌装置641が設けられてもよい。攪拌装置641は、モータによって駆動され、散布物の撹拌作業を実行する。これにより、散布物の濃度が均一となりやすく、散布ノズル41の詰まり(目詰まり)が生じにくくなる。
上記構成によれば、散布装置4は、止水排水弁45が開いており、かつポンプ43が駆動されている状態において、第1~3のバルブ441~443の制御によって、散布パターンが変更される。例えば、第1~3のバルブ441~443の全てが、供給経路401を散布管42に接続する状態では、散布パターンは、全ての散布ノズル41から散布物(薬液)を散布する全散布パターンとなる。一方、第1~3のバルブ441~443のうち第1のバルブ441のみが、供給経路401を散布管42に接続する状態では、散布パターンは、第1系統の6つの散布ノズル41のみ散布を行う第1散布パターンとなる。また、第1~3のバルブ441~443の全てが、供給経路401を戻り経路402に接続する状態では、全ての散布ノズル41からの散布物(薬液)の散布が停止する。
ここで、ポンプ43から供給経路401に供給される散布物のうち、散布管42から散布されない分については、戻り経路402を通してタンク64へと戻される。例えば、第1~3のバルブ441~443の全てが、供給経路401を散布管42に接続する状態では、散布物のタンク64への戻り量は0(ゼロ)となる。一方、第1~3のバルブ441~443のうち第1のバルブ441のみが、供給経路401を散布管42に接続する状態では、第2,3のバルブ442,443を通る散布物が、戻り経路402を通してタンク64へと戻される。また、第1~3のバルブ441~443の全てが、供給経路401を戻り経路402に接続する状態では、ポンプ43から供給経路401に供給される散布物は、全て戻り経路402を通してタンク64へと戻される。そのため、正常時においては、圧力センサ47の検出結果、つまり供給経路401(の3系統の分岐点)の圧力は、散布パターンによらずに一定となる。
[4]散布機の制御方法
以下、図12及び図13を参照しつつ、主として制御装置7によって実行される作業機械(散布機1)の制御方法(以下、単に「制御方法」という)の一例について説明する。図12は、自動走行用の目標経路R0の一例を示す説明図である。図13は、本実施形態に係る制御方法のうち、特に散布ノズル41の詰まり判定に関する処理の一例を示すフローチャートである。ただし、図13に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
本実施形態に係る制御方法は、コンピュータシステムを主構成とする制御装置7にて実行されるので、言い換えれば、作業機械(散布機1)の制御プログラム(以下、単に「制御プログラム」という)にて具現化される。つまり、本実施形態に係る制御プログラムは、制御方法に係る各処理を1以上のプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムである。このような制御プログラムは、例えば、制御装置7及び操作端末201によって協働して実行されてもよい。
以下では、散布機1に自動走行を開始させつつ、散布物(薬液)の散布作業を実施させる状況を想定する。ただし、圃場F1における自動走行の開始位置(自動走行開始位置Ps1)までは、例えば、オペレータが散布機1を手動走行させることとする。例えば、オペレータは、散布機1を保管庫(納屋等)から運搬車を利用して圃場F1まで運搬し、圃場F1における自動走行開始位置Ps1まで散布機1を手動走行させた上で、散布機1に自動走行を開始させる。
[4.1]自動走行に関する処理全般
散布機1は、例えば図12に示すように、圃場F1に対して予め設定された目標経路R0に沿って自動走行(自律走行)することが可能である。すなわち、散布機1は、自動走行開始位置Ps1から自動走行終了位置Pg1まで、作業経路R1(作業経路R1a~R1f)及び移動経路R2を含む目標経路R0に沿って自動走行する。自動走行開始位置Ps1は、目標経路R0の始端であって、散布機1による散布作業の作業開始位置の一例である。自動走行終了位置Pg1は、目標経路R0の終端であって、散布機1による散布作業の作業終了位置の一例である。作業経路R1は、散布機1が作物V1に対して散布作業を行う直線状の経路であり、移動経路R2は、散布機1が散布作業を行わないで作物列Vr1間を移動する経路である。移動経路R2には、例えば旋回経路及び直進経路が含まれる。図12に示す例では、圃場F1において、作物列Vr101~Vr111を成す作物V1が配置されている。図12では、作物V1が植えられている位置(作物位置)を「Vp1」で表している。
また、散布機1は、所定の列順序で自動走行を行う。例えば、散布機1は、作物列Vr101を跨いで走行し、次に作物列Vr103を跨いで走行し、次に作物列Vr105を跨いで走行する。このように、散布機1は、予め設定された作物列Vr1の順番に応じて自動走行を行う。散布機1は、作物列Vr1の配列順に1列ごとに走行してもよいし、複数列おきに走行してもよい。
具体的に、制御装置7の自動走行処理部76は、散布機1が自動走行開始位置Ps1に位置する状態で、操作端末201から自動走行開始指示(作業開始指示)を取得することをもって、走行部11に自動走行を開始させる。例えば、オペレータによる手動操作用の操作装置等の走行指示操作に基づいて、散布機1を自動走行開始位置Ps1まで手動走行させた上で、オペレータが操作端末201においてスタートボタンを押下すると、操作端末201は自動走行開始指示を散布機1に出力する。
制御装置7の自動走行処理部76は、操作端末201から自動走行開始指示及び経路データを取得し、当該経路データに応じた目標経路R0に沿って自動走行を実行する。このとき、自動走行処理部76は、操作端末201から取得した経路データを記憶部77に記憶する。
そして、散布機1の自動走行中においては、散布処理部75は、散布装置4を制御して、少なくとも止水排水弁45を開き、かつポンプ43を駆動させることで、所望の散布パターンで散布ノズル41から散布物(薬液)を散布する散布作業を実行する。ここで、散布処理部75は、散布機1が作業経路R1(作業経路R1a~R1f)を走行中には散布を行い、散布機1が移動経路R2を走行中には散布を行わないように、散布機1の現在位置に基づいて散布装置4を制御する。さらに、散布対象物(作物V1)に向けて散布物(薬液)が散布されるように、散布処理部75は、散布機1が作業経路R1a~R1fのいずれを走行中かによって、散布装置4の散布パターンを切り替える。
基本的には、制御装置7の自動走行処理部76及び散布処理部75は、散布機1の位置が自動走行終了位置Pg1に一致するまでは、自動走行及び散布作業を実行する。散布機1が自動走行終了位置Pg1に到達すると、散布機1が作業を終了したと判定し、制御装置7は、自動走行及び散布作業を終了する。
ところで、本実施形態に係る制御方法は、目標経路R0に沿って自動走行可能な機体10と、機体10に支持されており、少なくとも機体10の自動走行中に散布物の散布を行う複数の散布ノズル41と、を備える散布機1の制御方法である。この制御方法は、複数の散布ノズル41のうちの少なくとも一部を監視対象として、監視対象に詰まりが発生しているか否かを判定することと、監視対象に詰まりが発生している場合に散布物の散布を中止させることと、を有する。このように、本実施形態に係る制御方法は、散布ノズル41の詰まりの判定(「ノズル詰まり判定」ともいう)に係る処理を含んでいる。ここで、本実施形態に係る制御方法は、少なくとも散布機1の自動走行中において、散布ノズル41に詰まりが発生しているか否かを判定する。ノズル詰まり判定に係る処理について詳しくは「[4.2]ノズル詰まり判定に関する処理」の欄で説明する。
これにより、例えば、散布ノズル41に詰まりが発生した場合には、少なくとも散布機1は散布物の散布を中止するので、散布ノズル41に詰まりが生じた状態で散布物の散布作業が継続されるにくくなる。その結果、計画通りに散布物の散布が行われないまま、散布機1の自動走行が終了(つまり散布機1が自動走行終了位置Pg1に到達)しにくくなり、計画通りに散布物の散布が行われやすくなる。
[4.2]ノズル詰まり判定に関する処理
図13に示すように、制御装置7は、自動走行中であることをトリガにして(S1:Yes)、ステップS2以降のノズル詰まり判定(散布ノズル41の詰まりの判定)に関する処理を開始する。ここで、制御装置7は、散布機1が自動走行開始位置Ps1に位置する状態で、操作端末201等から自動走行開始指示を受けると、自動走行中である(S1:Yes)と判断し、ステップS2に移行する。一方、操作端末201等から自動走行開始指示を受けていない、又は散布機1が自動走行終了位置Pg1に到達後には、制御装置7は、自動走行中でない(S1:No)と判断する。
ステップS2では、制御装置7の閾値処理部74は、判定処理部72でのノズル詰まり判定に用いられる判定閾値を設定する。本実施形態では、判定閾値は、供給経路401の圧力と対比される「所定圧力」が判定閾値の一例であるため、閾値処理部74は、「所定圧力」の値を設定する。ここで、閾値処理部74は、例えば、ユーザインタフェース61等に対するユーザ(オペレータ)の操作に応じて判定閾値を設定する。あるいは、閾値処理部74は、例えば、散布機1の状況(動作状況)に応じて、判定閾値を自動的に設定してもよい。一例として、散布機1の現在位置から自動走行終了位置Pg1までの距離が短い場合、閾値処理部74は、判定閾値を高く設定する。
ステップS3では、制御装置7の取得処理部71は、圧力センサ47からの圧力信号を取得する。ここで、圧力信号には、監視対象(複数の散布ノズル41)への散布物の供給経路401の圧力に関する情報が含まれている。つまり、供給経路401の圧力に応じて、圧力信号が変化する。
ステップS4では、制御装置7の判定処理部72は、複数の散布ノズル41のうちの少なくとも一部を監視対象として、監視対象に詰まりが発生しているか否かを判定する。このとき、判定処理部72は、監視対象への散布物の供給経路401の圧力が判定条件を満たす場合に、監視対象に詰まりが発生していると判定する。本実施形態では、散布ノズル41に詰まりが発生していると、散布ノズル41から吐出されるはずの散布物(薬液)の量が少なくなり、供給経路401の圧力が高まることを利用して、供給経路401の圧力が所定圧力以上であることを判定条件とする。そのため、判定処理部72は、圧力信号に基づいて、供給経路401の圧力が判定閾値(所定圧力)以上であると判定する場合(S4:Yes)、監視対象である散布ノズル41に詰まりが発生していると判定し、処理をステップS5に移行させる。一方、判定処理部72は、圧力信号に基づいて、供給経路401の圧力が判定閾値(所定圧力)未満であると判定する場合(S4:No)、監視対象である散布ノズル41に詰まりが発生していないと判定し、ノズル詰まり判定に係る一連の処理を終了する。
ステップS5では、制御装置7の出力処理部73は、表示器65等への表示、若しくは警報音の出力、又はこれらの組み合わせにより、散布ノズル41に詰まりが発生していることを報知する。これにより、オペレータ(ユーザ)は、散布ノズル41に詰まりが発生していることを知ることができ、然るべき対応をとることが可能となる。
ステップS6では、制御装置7の散布処理部75は、散布装置4に散布物の散布作業を中止させる。具体的には、散布処理部75は、判定処理部72にて監視対象に詰まりが発生していると判定されたこと(S4:Yes)を受けて、例えば、散布装置4のポンプ43を停止させることにより、散布ノズル41からの散布物の散布を停止する。すなわち、散布処理部75は、監視対象に詰まりが発生している場合に散布物の散布を中止させる。
ステップS7では、制御装置7の出力処理部73は、機体10の現在位置に関する情報を「詰まり位置情報」として記憶部77に記憶する。すなわち、出力処理部73は、少なくとも監視対象に詰まりが発生したときの機体10の位置(詰まり発生位置)に関する詰まり位置情報を、記憶部77に出力することで記憶部77への書き込みを行う。一例として、図12の作業経路R1c上の途中位置で、監視対象に詰まりが発生していると判定された場合(S4:Yes)、出力処理部73は、当該作業経路R1c上の途中位置を特定する情報を、詰まり位置情報として記憶部77に記憶する。このように本実施形態に係る制御方法は、監視対象に詰まりが発生したときの機体10の位置に関する詰まり位置情報を出力すること、を有している。そのため、詰まり位置情報を基に、どこで散布ノズル41の詰まりが発生したかを特定し得ることになる。
ステップS8では、制御装置7の自動走行処理部76は、走行部11を制御して、散布機1の機体10を退避位置に向けて移動させる。ステップS9では、自動走行処理部76は、機体10が退避位置に到達したか否かを判断する。このとき、自動走行処理部76は、機体10の現在位置が退避位置に一致していれば、機体10が退避位置に到達したと判断し(S9:Yes)、処理をステップS10に移行させて走行部11を停止させる。一方、機体10の現在位置が退避位置に一致していなければ、機体10が退避位置に到達していないと判断し(S9:No)、自動走行処理部76は、処理をステップS8に移行させる。
したがって、監視対象に詰まりが発生していると判定された場合(S4:Yes)、自動走行処理部76は、詰まり発生位置で機体10を停止させるのではなく、とりあえず散布装置4による散布作業を中止させた状態で、散布機1の機体10を退避位置まで自動走行させる。そして、機体10が退避位置に到達すれば走行部11を停止させる。このように、本実施形態に係る制御方法は、監視対象に詰まりが発生したときに、散布物の散布を中止させた状態で機体10を退避位置まで移動させて停止させること、を有している。これにより、散布ノズル41の詰まりが発生した際には、ユーザ(オペレータ)が散布ノズル41のメンテナンスをしやすい退避位置まで散布機1を移動させることができるので、散布ノズル41のメンテナンス性が向上する。
退避位置は、目標経路R0のうち散布機1が散布物の散布を行う作業経路R1の始端位置と、作業経路R1の終端位置と、目標経路R0における自動走行開始位置Ps1と、目標経路R0における自動走行終了位置Pg1と、の少なくとも一つを含むことが好ましい。ここでいう作業経路R1の始端位置は、各作業経路R1における直前に機体10が走行する移動経路R2との接続点であって、作業経路R1の終端位置は、各作業経路R1における直後に機体10が走行する移動経路R2との接続点である。このように、作業経路R1の途中位置を除く退避位置が設定されることで、ユーザ(オペレータ)がより散布ノズル41のメンテナンスをしやすい退避位置まで散布機1を移動させることが可能である。
退避位置は、複数の候補位置の中から、監視対象に詰まりが発生したときの機体10の位置との関係に基づいて選択されることが好ましい。ここでいう複数の候補位置は、例えば、作業経路R1の始端位置と、作業経路R1の終端位置と、目標経路R0における自動走行開始位置Ps1と、目標経路R0における自動走行終了位置Pg1と、を含む。一例として、これら複数の候補位置のうち、詰まり発生位置から(目標経路R0上を機体10が走行したときに)最も近い位置にある候補位置が、退避位置として選択される。これにより、詰まり発生位置から退避位置への機体10の移動に要する時間を短く抑えることができ、作業効率の向上が期待できる。
退避位置は、複数の候補位置の中から、ユーザの操作に応じて選択されてもよい。ここでいう複数の候補位置は、例えば、作業経路R1の始端位置と、作業経路R1の終端位置と、目標経路R0における自動走行開始位置Ps1と、目標経路R0における自動走行終了位置Pg1と、を含む。一例として、これら複数の候補位置のうちの任意の候補位置を、ユーザ(オペレータ)が例えば操作端末201を操作して予め選択しておくことで、当該候補位置が、退避位置として選択される。これにより、ユーザ(オペレータ)が所望する退避位置まで散布機1を移動させることが可能でき、散布ノズル41のメンテナンス性が向上する。
ステップS11では、制御装置7の判定処理部72は、散布ノズル41の詰まりが解消したか否かを判定する。このとき、判定処理部72は、例えば、ステップS4と同様に、供給経路401の圧力が所定圧力以上であることを判定条件として、散布ノズル41の詰まりが解消したか否かを判定する。そのため、判定処理部72は、圧力信号に基づいて、供給経路401の圧力が判定閾値(所定圧力)未満であると判定する場合、監視対象である散布ノズル41の詰まりが解消していると判定し(S11:Yes)、処理をステップS12に移行させる。一方、判定処理部72は、圧力信号に基づいて、供給経路401の圧力が判定閾値(所定圧力)以上であると判定する場合、監視対象である散布ノズル41の詰まりが解消していないと判定し(S11:No)、処理をステップS10に移行させる。ただし、ステップS11の判定方法はこの例に限らない。例えば、オペレータ(ユーザ)が散布ノズル41のメンテナンス(洗浄、清掃又はフィルタ交換等)を行った上で、操作端末201等に対してメンテナンス完了操作を行うことをトリガに、判定処理部72は、散布ノズル41の詰まりが解消していると(S11:Yes)と判定してもよい。
ステップS12では、制御装置7の自動走行処理部76は、走行部11を制御して、散布機1の機体10を詰まり発生位置に向けて移動させる。詰まり発生位置は、監視対象に詰まりが発生していると判定された(S4:Yes)ときの機体10の位置であって、ステップS7で記憶部77に記憶された「詰まり位置情報」にて特定される。ステップS13では、自動走行処理部76は、機体10が詰まり発生位置に到達したか否かを判断する。このとき、自動走行処理部76は、機体10の現在位置が詰まり発生位置に一致していれば、機体10が詰まり発生位置に到達したと判断し(S13:Yes)、処理をステップS14に移行させる。一方、機体10の現在位置が詰まり発生位置に一致していなければ、機体10が詰まり発生位置に到達していないと判断し(S13:No)、自動走行処理部76は、処理をステップS12に移行させる。
ステップS14では、制御装置7の散布処理部75は、散布装置4に散布物の散布作業を再開させる。具体的には、散布処理部75は、機体10が詰まり発生位置に到達したこと(S13:Yes)を受けて、例えば、散布装置4のポンプ43を駆動させることにより、散布ノズル41からの散布物の散布を再開する。一例として、図12の作業経路R1c上の途中位置で、監視対象に詰まりが発生していると判定された場合(S4:Yes)、散布処理部75は、当該作業経路R1c上の途中位置(詰まり発生位置)から、散布物の散布を再開させる。その後は、制御装置7は、目標経路R0に沿って機体10を自動走行させつつ、散布物の散布作業を実行する。
したがって、監視対象の詰まりが解消したと判定された場合(S11:Yes)、即座に散布作業を再開するのではなく、散布装置4による散布作業を中止させたままの状態で、散布機1の機体10を詰まり発生位置まで自動走行させる。そして、機体10が詰まり発生位置に到達すれば、散布作業を再開させる。このように、本実施形態に係る制御方法は、監視対象に詰まりが発生して散布物の散布を中止させた後において、監視対象に詰まりが発生したときの機体10の位置から散布物の散布を再開させること、を有している。これにより、目標経路R0の途中で散布ノズル41に詰まりが発生し、散布作業が中断された場合であっても、目標経路R0の途中から散布作業を再開できるので、目標経路R0の全体に沿って散布作業を実施することができる。
ステップS14をもって、ノズル詰まり判定に係る一連の処理が終了する。制御装置7は、上記ステップS1~S14の処理を繰り返し実行する。したがって、自動走行が継続中である限り(S1:Yes)、ノズル詰まり判定に係る上記の処理が実行される。
[5]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における制御装置7は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御装置7としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御装置7に含まれる一部又は全部の機能部は電子回路で構成されていてもよい。
また、制御装置7の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御装置7に必須の構成ではなく、制御装置7の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、制御装置7において、複数の装置(例えば制御装置7及び操作装置8)に分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。さらに、制御装置7の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
散布機1は、葡萄園又は林檎園等の果樹園に限らず、その他の圃場F1、又は圃場F1以外の作業対象領域での作業に用いられてもよい。さらに、散布機1が散布する散布物は薬液に限らず、例えば、水、肥料、消毒液若しくはその他の液体、又は粉体等であってもよい。散布物が散布される散布対象物も同様に、葡萄の果樹に限らず、その他の作物、又は作物以外の物体(無機物を含む)であってもよい。また、散布機1は、自動運転により動作する無人機に限らず、散布機1は、人(オペレータ)の操作(遠隔操作を含む)により動作する構成であってもよく、例えば、オペレータが搭乗可能な乗用タイプ(有人機)であってもよい。この場合でも、散布機1の現在位置を把握するために、散布機1にはアンテナ21等が設けられる。
また、判定閾値は複数種類設定されてもよい。例えば、第1判定閾値と第2判定閾値(>第2判定閾値)とが設定されている場合、供給経路401の圧力が、第1判定閾値以上、第2判定閾値未満であれば、制御装置7は、散布作業の中止までは行わずに、散布ノズル41の詰まりを示す報知のみを行ってもよい。この場合、供給経路401の圧力が、第2判定閾値以上になって初めて、制御装置7は、散布作業を中止させる。さらに、報知に加えて又は代えて、制御装置7は、走行部11の車速を低速する制御、又は散布パターンを変更する制御等を行ってもよい。
また、判定処理部72は、監視対象に詰まりが発生していると判定する場合に、複数の散布ノズル41のうちのいずれの散布ノズル41に詰まりが発生しているかを特定してもよい。例えば、判定処理部72は、監視対象に詰まりが発生していると判定した時点での散布パターンに基づいて、いずれの散布ノズル41に詰まりが発生しているかを特定する。一例として、第2系統の3つの散布ノズル41のみ散布を行う第2散布パターンでの散布作業中に、監視対象に詰まりが発生していると判定した場合、判定処理部72は、第2系統の3つの散布ノズル41のいずれかに詰まりが発生していると判定する。
また、支持フレーム3は、機体10の前後方向D3の一端部に取り付けられていればよく、機体10の前方に取り付けられていてもよい。この場合、支持フレーム3に支持されている作業部(散布ノズル41)についても、機体10の後方ではなく前方に配置されることになる。
また、散布機1は、前後方向D3に並ぶ一対の散布装置4を備えていてもよい。これにより、散布機1は、前後方向D3に並ぶ一対の散布装置4(作業装置)の各々において、作業(散布作業)を実行することができ、いずれか一方の散布装置4のみで作業を行う場合に比べて、作業効率の向上を図ることができる。また、散布機1は、回転軸Ax1を中心として支持フレーム3を機体10に対して回転させる回転力を発生する回転駆動装置を更に備えていてもよい。
また、機体10は、左右方向D2に並ぶ第1ブロック10L及び第2ブロック10Rを有していればよく、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rが左右逆転していてもよい。つまり、動力源63等が設けられた第1ブロック10Lが右側に位置し、ユーザインタフェース61等が設けられた第2ブロック10Rが左側に位置してもよい。
また、走行部11は、クローラ式の走行装置に限らず、例えば、1つ又は複数の車輪を有し、車輪の回転によって走行する構成であってもよい。また、走行部11は、油圧モータによって駆動される構成に限らず、例えば、電動モータによって駆動される構成であってもよい。
また、散布機1は、実施形態1のようにエアアシスト方式の散布機に限らず、例えば、静電散布方式、又はエアアシスト方式と静電散布方式とを組み合わせた方式等であってもよい。静電散布方式の散布機1であれば、気流発生部5は省略可能である。
また、動力源63は、エンジンに限らず、例えば、モータ(電動機)を有していてもよいし、エンジンとモータとを含むハイブリッド式の動力源であってもよい。
また、散布機1は、機体10が門型の形状ではなく、機体10全体が隣接する一対の作物列Vr1の間(作業通路)を走行する態様であってもよい。この場合、散布機1は、作物列Vr1を跨がずに各作業通路を走行する。この場合、散布装置4は、左右方向D2の両方に薬液を散布する散布パターンと、左方のみに薬液を散布する散布パターンと、右方のみに薬液を散布する散布パターンとを切り替えて散布作業を行う。
また、アンテナ21,22は、位置特定用アンテナに限らず、例えば、無線通信用のアンテナであってもよい。さらに、アンテナ21,22は、受信用に限らず、送信用、又は受信及び送信用であってもよい。
また、ユーザインタフェース61は、表示部611に加えて又は代えて、例えば、音声出力等によりユーザに情報を提示する手段を有してもよい。さらに、ユーザインタフェース61の操作部612を用いて調整項目(流量又は圧力等)の少なくとも一つは、制御装置によって自動的に調整されてもよい。この場合、操作部612は適宜省略可能であって、ユーザインタフェース61は、調整結果を表示部611に表示するだけでもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る散布機1は、図14に示すように、散布装置4が戻り側流量計48を有する点で、実施形態1に係る散布機1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
戻り側流量計48は、戻り経路402を通してタンク64に戻る散布物(薬液)の流量を検出する。戻り側流量計48は、一例として電磁流量計であって、検出結果を表す流量信号を制御装置7(取得処理部71)に出力する。
本実施形態に係る散布機1では、判定処理部72は、圧力センサ47の検出結果に代えて、吐出側流量計46及び戻り側流量計48の検出結果に基づいて、散布ノズル41に詰まりが発生しているか否かを判定する。一例として、第1~3のバルブ441~443のうち第1のバルブ441のみが、供給経路401を散布管42に接続する状態では、散布パターンは、第1系統の6つの散布ノズル41のみ散布を行う第1散布パターンとなる。この第1散布パターンにおいては、第2系統及び第3系統の6つの散布ノズル41は散布を行わないため、ポンプ43から吐出される散布物の流量の50%が戻り経路402を通してタンク64に戻ることになる。したがって、正常時であれば、吐出側流量計46の検出結果に対して戻り側流量計48の検出結果は50%となる。これに対して、第1系統の6つの散布ノズル41のいずれかに詰まりが発生すると、当該散布ノズル41から吐出されるはずの散布物は、第2バルブ442及び/又は第3バルブ443を通して戻り経路402に流れ込む。その結果、戻り経路402の流量が供給経路401の流量の50%を超えることになるため、吐出側流量計46及び戻り側流量計48の検出結果に基づいて、散布ノズル41に詰まりが発生していることを判定可能となる。
本実施形態においては、圧力センサ47は適宜省略されてもよい。また、判定処理部72は、更に別の手段にて、散布ノズル41に詰まりが発生しているか否かを判定してもよい。実施形態2に係る構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。