JP7714246B2 - 汎用型吸水試験装置 - Google Patents

汎用型吸水試験装置

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Description

本発明は測定対象のコンクリート面の向きに拘らず測定が可能な汎用型吸水試験装置に関するものである。
コンクリート表層品質の評価方法のひとつとして、コンクリート表面の吸水試験方法(SWAT: Surface Water Absorption Test)が知られている。
その一例として特許文献1には次のような吸水試験装置が開示されている。
図4を参照して従来の吸水試験装置について説明すると、従来の吸水試験装置は、一面を開放した短円筒状の吸水カップaと、吸水カップaをコンクリート面cに取り付けるための負圧式の一対の吸引カップと固定フレームとの組み合わせからなる付勢手段(図示省略)とを具備する。
吸水カップaはその開放側に吸水チャンバを形成していると共に、カップの頂部に吸水チャンバに連通させて細管状のシリンダ―bを立設している。
吸水カップaの吸水チャンバの開放面を測定対象であるコンクリートc表面に密着させてから吸水チャンバの内部を水で満たし、コンクリート面cにシリンダーbの水頭差に基づく所定の水圧を作用させる。
その直後からシリンダーb内の水位の変化を時々刻々読み取ることで、コンクリート面cへの吸水速度を算出して評価する方法である。
シリンダーb内の水位変化の読み取りは、目視でも可能であるが、さらにカップaに取り付けた水圧センサによって検出して変化量を算出することができる。
特許第5880981号公報
特許文献1に示した従来の吸水試験装置にあっては、次のような問題点が存在している。
<1>図4に示すように、測定対象のコンクリート面cが床面や壁面の場合には測定が可能であるが、測定対象がトンネル天井面、橋梁床版の裏面等の上向きの構造物では測定が不能である。
なぜなら、そのような構造物ではシリンダーbを縦向きに配置できずに所定の水頭差を確保できないからである。
<2>さらに、床面の測定の場合には、シリンダーbを吸水カップaの端面に取り付け、壁面の測定の場合には、シリンダーbを吸水カップaの側面に取り付けしなければならず、測定のたびにシリンダーbを取り付け直す必要がある。
本発明は以上の問題点を解決できる吸水試験装置を提供することを目的とする。
上記のような課題を解決するために、本発明は、コンクリート面に接する側を開放した有底構造の吸水カップと、吸水カップの開放面をコンクリート面に付勢する付勢手段とを具備した吸水試験装置であって、前記吸水カップはその内部を、測定対象のコンクリート面と平行に配置した弾性膜で仕切って、コンクリート面に接する側の水室と、反対側の空気室とに区分し、前記吸水カップの水室の開放面に透水性の板体を設け、試験に際しては前記水室に水を充填し、前記空気室への給気によって調整した空気圧を、弾性膜を通じて水室内の水へ伝えて水室の水圧調整を可能に構成したものである。
さらに本発明の他の形態において、前記空気室内に空気圧センサを配置して空気室内の空気圧を空気圧センサで検知し得るように構成したものである。
さらに本発明の他の形態において、前記水室内に水圧センサを配置して水室内の水圧を水圧センサで検知し得るように構成したものである。
さらに本発明の他の形態において、前記吸水カップの開放面を被覆した透水性の板体として、水室側に配置した有孔板と、開放面側に配置した通水性のメッシュとを積層して構成したものである。
本発明の汎用型吸水試験装置は次の効果を得ることができる。
<1>天井面、橋梁の下面などのコンクリート面の吸水量の測定が可能であり、コンクリート面の向きの影響を受けずに測定をすることができる。
<2>従来のようにシリンダーを立てることがないから、コンクリートの水平面、垂直面の吸水量の測定ごとにシリンダーの取り付け、取り外しの作業が不要であって、迅速な測定が可能である。
<3>吸水カップの水室内の水の圧力管理を簡単、かつ正確に行うことができる。
本発明の汎用型吸水試験装置の実施例の説明図 図1の要部の説明図 取り付け状態の説明図 従来の吸水試験装置の実施例の説明図
以下図面を参照にしながら本発明の汎用型吸水試験装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
<1>汎用型吸水試験装置の全体構成。
本願発明の汎用型吸水試験装置は、吸水カップ1と、吸水カップ1を対象面に押し付けるための付勢手段と、吸水カップ1に水を供給する手段と、吸水カップ1に圧気を供給する手段とを具備する。
吸水カップ1の付勢手段は、吸水カップ1に取り付ける支持枠と、支持枠をコンクリート面に取り付ける一対の吸盤カップや、コンクリートの打設面に残るセパレータの転用等の公知の取付け機構を採用できる。
<2>吸水カップ。
吸水カップ1は、鍋のような、上面を開放した有底構造の円筒体である(以下、説明の分かりやすさのために天井面に固定した状態を想定して、上面、底、側面などと表現をするが、使用時の姿勢を限定するものではない)。
吸水カップ1の上端の縁、すなわち開放側の端縁には環状シール材11を有している。
この環状シール材11は、弾力的に圧縮変形が可能な素材で構成する。
そのために、表面が平滑でないコンクリート面に吸水カップ1を押し付ける場合、このシール材11が変形してコンクリート面に密着させることができる。
<3>水室と空気室の仕切り。
吸水カップ1の内部空間は、中間に水平に仕切り板としての機能を有する弾性膜12を配置して、コンクリートと接する弾性膜12の開放側に水室2を形成し、弾性膜12の反対の奥側に空気室3を形成する。
弾性膜12は遮水性と可撓性を併有して自由な変形が可能なゴム等のシート素材で構成する。
仕切り板としての弾性膜12の姿勢を維持するために、弾性膜12の下面には、穴の空いた有孔支持板13を配置する。
この有孔支持板13は、例えばアクリル板によって構成することができる。
有孔支持板13に形成する穴の径や形成数は適宜選択が可能である。
なお、有孔支持板13は必須の部材ではなく、省略することも可能である。
<4>水室。
吸水カップ1の上側に配置した水室2は、その上部の開放面を、有孔板21とメッシュ22の積層物で閉塞する。
積層して配置したこの有孔板21とメッシュ22は通水が可能である。
メッシュ22としては、線材を交差して製網した公知の織網を使用できる。
有孔板21とメッシュ22を重ねて使用するのは、両者が協働して水の表面張力をカットして、有孔支持板13とコンクリート面の間に気泡を残さずに素早く水を流出させるためである。
メッシュ22は有孔支持板13とコンクリート面の間に隙間を形成する間隔保持部材であり、この隙間を通じて水を素早く通水させることで水室2内に気泡が滞留するのを効果的に回避することができる。
水室2には、水圧センサ23を設置して水室2内部の水圧を外部から検知できるように構成する。
水室2内の圧力水は蓋状に設置した有孔板21の上面のメッシュ22を通ってコンクリートの表面に浸透してゆくものであるが、その際には以下のような理由から圧力水にエアが溜まらないようにしなければならない。
<5>水室に気泡を発生させない理由。
水室2の蓋となっている有孔板21とメッシュ22がなければ、水室2内の残留水を回収する際に、水室2とコンクリート面の間に気泡が残り易い。
水室2内に気泡が残ると測定対象のコンクリートの表面に気泡が溜まり、水が行き渡らず、気泡が溜まっている箇所においてコンクリートの吸水が阻害される。
その結果、正確な表面吸水試験を行うことができない。
そこで、本発明では、有孔板21とメッシュ22の組み合わせを採用することで、水の回収と同時に気泡の除去を行えるように構成したものである。
<6>給排水路と給水手段。
水室2への給水と排水のために、水室2に給水路P1と排水路P2を設ける。
水室2と外部の給水タンクT1をバルブ付きの給水路P1で連通し、水室2と外部の水回収タンクT2との間をバルブ付きの排水路P2で連通して、給水路P1から排水路P2へ向けた給排水を可能に構成する。
本例では、加圧ポンプUからの圧気を給水タンクT1へ供給することで水室2へ給水する給水手段について示すが、それ以外にも注射器のような簡単な手動式の注入手段を採用することもでき、電源がない屋外での使用に有効である。
なお、水室2内へ向けた給排水は、排水路P2から給水路P1へ向けて行うように構成してもよい。
<7>空気室。
前記したように吸水カップ1内の下半には空気室3を形成する。
空気室3には空気圧センサ31を配置する。
<8>給気路と圧気供給手段。
さらに空気室3には給気路P3を連結する。
図1では、給気路P3を通じて加圧ポンプUの圧気を空気室3へ供給する形態について示す。
要は、外部の加圧ポンプUまたは手動式ポンプ(図示省略)等を通じて圧力調整をした圧気を空気室3内に供給できる構成であればよい。
[試験方法]
次に汎用型吸水試験装置を使用したコンクリート面の吸水試験方法について説明する。
本例では特に従来の吸水試験装置では測定が不可能であった天井面を対象にして説明するが、本願発明では天井面に限らず、床面、壁面、傾斜面での吸水試験も可能である。
<1>吸水カップの取付け。
上記した吸水カップ1を天井面に取り付けるには、例えば図3に示した長尺の棒状体である支持枠4を使用する。
この支持枠4は、その両端の2点を固定点41として天井面に取り付け、両固定点41の中間に吸水カップ1をコンクリート面に密着させて上向きにセットする。
固定点41は、支持枠4に対して軸方向にスライド自在であると、固定点の位置を自由に選択することができる。
固定点41をコンクリート面に固定するには、例えばコンクリート打設時のセパレータのコーンのあと詰めモルタルを除去してセパレータの端部のネジを露出させて利用する方法、特許文献1に記載のあるような、カップ状の吸着盤に負圧を与えて固定する方法など、公知の方法を採用することができる。
吸水カップ1を強くコンクリート面に押し付けることで、吸水カップ1の上縁の環状シール材11が変形して密着状態を形成することができる。
なお、前記したように吸水カップ1を取付ける面の方向は、上向き、横向き、下向き、傾斜面などを問わないので、図のような配置は実施例に過ぎない。
<2>水室内への給水。
水室2内の残留水を排水しつつ、同時に給水タンクT1からの給水路P1を開いて、加圧状態の水を水室2内に充填して満水状態にする。
すると水室2内の水がコンクリート面に加圧状態で接することになる。
<3>空気室への給気。
次に給気路P3を通じて空気室3内に加圧状態の空気を供給する。
すると、空気室3内の圧力が上昇して弾性膜12が水室2へ向けて変位する。弾性膜12の変位に伴い、水室2の水圧が上昇してコンクリート面に浸透してゆく。
この水室2内の水圧の変化を水圧センサ23によって検知し、その水圧が正確な初期水圧(3kPa)に達するように空気圧を調整する。
このようにして、空気室3への圧気の供給による圧力管理を通じて水室2内の水圧管理を正確に行うことができる。
特に水は非圧縮性の流体であるため、直接、水の圧力を低水圧(3kPa)での調整と管理を行うことが技術的に難しいが、空気は圧縮性の流体であるため、圧力の微調整と管理が容易であるという効果がある。
<4>コンクリート面の吸水量の計測。
初期に付与した水圧(3kPa)をゼロ点として初期設定をする。
その状態で所定の検査時間における空気室3内の圧力変化を空気センサ31または水室2内の水圧センサ23の何れか一方のセンサか、或いは両方のセンサで計測する。
水圧センサ23を省略し、空気センサ31のみで計測することも可能である。
この場合には、水室2内の水圧変化を空気室3の空気圧の変化として捉えることになり、水室2内の水圧変化を、空気室3を通じて間接的に計測することになる。
また、空気センサ31の計測データを水圧センサ23による計測データと照合して補完的に活用してもよい。
計測したデータはBluetooth(登録商標)を介してスマートホン等に送信して表示することも可能である。
なお、本願発明はコンクリート表面の吸水量を測定する汎用型給水試験装置の発明であって、測定方法は広く知られているので、これ以上の詳しい説明を省略する。
[実施例の効果]
<1>従来の吸水試験装置のようにシリンダーを用いないので、下向き、横向きはもちろん、上向きでのコンクリート面の測定が可能である。
したがって、従来できなかった例えばトンネル天井面、橋梁床版裏面等の上向き面を対象とした吸水試験を行うことができる。
<2>従来の試験装置のようにシリンダーを用いないので、コンクレートの測定面が水平か鉛直かによってシリンダーの取り付けを変更する必要がないから迅速な計測が可能である。
<3>水圧を直接調整することは技術的に難しいが、本願発明では水圧変化を空気圧の変化として捉える構成なので、水室の圧力管理を正確に行うことができる。
そのため、コンクリート面への吸水量を正確に求めることができる。
<4>有孔板とメッシュの組み合わせを採用することで、計測の開始時に水の表面張力を効果的にカットし、気泡を素早く外部へ排出することができる。
1:吸水カップ
2:水室
3:空気室
23:水圧センサ
31:空気圧センサ

Claims (4)

  1. コンクリート面に接する側を開放した有底構造の吸水カップと、吸水カップの開放面をコンクリート面に付勢する付勢手段とを具備した汎用型吸水試験装置であって、
    前記吸水カップはその内部を弾性膜で仕切って、コンクリート面に接する側の水室と、反対側の空気室とに区分し、
    前記吸水カップの水室の開放面に透水性の板体を設け、
    試験に際しては前記水室に水を充填し、
    前記空気室への給気によって調整した空気圧を、弾性膜を通じて水室内の水へ伝えて水室の水圧調整を可能に構成したことを特徴とする、
    汎用型吸水試験装置。
  2. 前記空気室内に空気圧センサを配置して空気室内の空気圧を空気圧センサで検知し得るように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の汎用型吸水試験装置。
  3. 前記水室内に水圧センサを配置して水室内の水圧を水圧センサで検知し得るように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の汎用型吸水試験装置。
  4. 前記吸水カップの開放面を被覆した透水性の板体として、水室側に配置した有孔板と、開放面側に配置した通水性のメッシュとを積層して構成したことを特徴とする、請求項1に記載の汎用型吸水試験装置。
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