JP7715599B2 - 熱間加工磁石用の押出し金型およびそれを用いた熱間加工磁石の製造方法 - Google Patents

熱間加工磁石用の押出し金型およびそれを用いた熱間加工磁石の製造方法

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Description

本発明は、熱間加工磁石用の押出し金型およびそれを用いた熱間加工磁石の製造方法に関する。
従来、永久磁石の一種として、磁気特性に優れたR-T-B系永久磁石が知られており、広く用いられている。R-T-B系永久磁石は大きく2つに分類され、一つは粉末冶金法により製造される焼結磁石であり、もう一つは熱間塑性加工法により製造される熱間加工磁石がある。
熱間加工磁石の製造方法には、ダイアップセット法、据込鍛造法、後方押出法、前方押出法等がある。これらのうち、前方押出法はIPMなどの高効率モータに用いられる熱間加工磁石の製造に適している。熱間加工磁石の特性は、熱間加工の際の塑性変形に大きく影響され、前方押出法では、塑性変形を担う押出し金型の形状に大きく影響され得る。
特開2008-258585号公報 特開2008-91867号公報 特表2018-522400号公報
従来技術に係る熱間加工磁石の製造方法では、製造される熱間加工磁石に生じるクラックについては検討がなされておらず、クラックを十分に抑制することができていなかった。熱間加工磁石にクラックが生じた場合には、主相体積率の低下に伴い残留磁束密度Brが低下し得る。また、クラックを起点として局所反磁界が増大し、反転核が発生しやすくなり、その結果、保磁力HcJが低下し得る。そこで、発明者らは、熱間加工磁石に生じるクラックについて研究を重ね、クラックを抑制することができる技術を新たに見出した。
本発明の一態様は、熱間加工磁石のクラックを抑制することができる熱間加工磁石用の押出し金型およびそれを用いた熱間加工磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型は、互いに対面する始端面および終端面を有し、かつ、始端面から終端面まで延びる塑性加工部を備える熱間加工磁石用の押出し金型であって、塑性加工部は、始端面と終端面との対面方向に対して直交する断面における断面積が、塑性加工部の始端面における始端部から終端面における終端部に向かって漸減している。
上記熱間加工磁石用の押出し金型においては、塑性加工部の断面積が始端部から終端部に向かって漸減しているため、熱間加工磁石の製造に用いた場合、熱間加工の際に成形体に対する加圧は徐々に強まる。すなわち、熱間加工の途中で成形体に対する加圧が緩むことがなく、加圧が緩むことに起因するクラックの発生が効果的に抑制される。
他の形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型は、塑性加工部の始端部の面積に対する終端部の面積の割合が60~90%である。熱間加工磁石の製造に用いた場合、高い磁気特性を有する熱間加工磁石を得ることができる。加えて、クラックの発生がより抑制され、それにより高い磁気特性を有する熱間加工磁石が得られる。
他の形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型は、塑性加工部の始端部が一方向に延びた端面形状を有し、かつ、塑性加工部の終端部も一方向に延びた端面形状を有する。
他の形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型は、押出し金型の始端面と終端面との対面方向から見て、塑性加工部の始端部の端面形状が延びる第1の方向と、塑性加工部の終端部の端面形状が延びる第2の方向とが交差している。この場合、成形体に対して大きな塑性変形を付与することができる。
他の形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型は、塑性加工部の始端部の端面形状および終端部の端面形状が長方形である。
他の形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型は、塑性加工部は、始端部の端面形状から終端部の端面形状まで、端面形状の長方形の各辺の長さが指数関数的に変化している。この場合、塑性加工部の始端面における始端部から終端面における終端部に向かって、塑性加工部の断面積を線形的に減らすことができる。そのため、塑性加工部の始端部から終端部に向かって成形体に対する加圧が一定の割合で強まり、クラックの発生をより一層抑制することができる。
他の形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型は、塑性加工部の終端部の端面形状が部分円環状である。
本発明の一形態に係る熱間加工磁石の製造方法は、上記熱間加工磁石用の押出し金型を用いた熱間加工磁石の製造方法であって、磁性粉を成形して得られた成形体を上記押出し金型で熱間加工して熱間加工磁石を得る熱間加工工程を含む。
上記熱間加工磁石の製造方法においては、熱間加工工程における熱間加工の途中で成形体に対する加圧が緩むことがなく、加圧が緩むことに起因するクラックの発生が効果的に抑制される。
本発明の一態様によれば、熱間加工磁石のクラックを抑制することができる熱間加工磁石用の押出し金型およびそれを用いた熱間加工磁石の製造方法が提供される。
第1実施形態に係る押出し金型を示した概略斜視図である。 図1に示した押出し金型の塑性加工部を示した図である。 図1に示した押出し金型の塑性加工部の概略断面図である。 第2実施形態に係る押出し金型を示した概略斜視図である。 図4に示した押出し金型の塑性加工部の(a)始端部の形状および(b)終端部の形状を示した図である。 図4に示した押出し金型の塑性加工部の輪郭寸法の変化を示したグラフである。 図4に示した押出し金型の塑性加工部の断面積の変化を示したグラフである。 熱間加工磁石の製造方法を示すフローチャートである。 実施例に係る試料1の輪郭寸法の変化を示したグラフである。 実施例に係る試料2の輪郭寸法の変化を示したグラフである。 実施例に係る試料1の断面積の変化を示したグラフである。 実施例に係る試料2の断面積の変化を示したグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型10について図1~3を参照しつつ説明する。押出し金型10は、互いに対面する始端面10aおよび終端面10bを有する。本実施形態では、押出し金型10は円柱状の外形を有し、始端面10aおよび終端面10bはいずれも円形状である。本実施形態では、始端面10aと終端面10bとは互いに平行である。押出し金型10は、高耐熱材料(たとえばニッケル基超合金(たとえばインコネル(登録商標))、モリブデン等)で構成されている。
押出し金型10は、始端面10aから終端面10bまで延びる塑性加工部12を備えている。塑性加工部12は、始端面10aにおける始端部12aと、終端面10bにおける終端部12bを有する。
塑性加工部12の始端部12aは、始端面10aと終端面10bとの対面方向から見て、一方向に延びた端面形状を有している。本実施形態における始端部12aの端面形状は長方形状である。
以下、説明の便宜上、始端面10aと終端面10bとの対面方向をZ方向とし、塑性加工部12の始端部12aの端面形状が延びる方向をX方向とし、Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。
押出し金型10では、塑性加工部12のX-Y断面における断面積が、始端部12aから終端部12bに向かって、ほぼ線形的に漸減している。
塑性加工部12の終端部12bは、始端面10aと終端面10bとの対面方向から見て、一方向に延びた端面形状を有している。本実施形態における終端部12bの端面形状は長方形状である。始端部12aの端面形状がX方向に延びている(すなわち、長辺がX軸に沿っている)のに対し、終端部12bの端面形状はY方向に延びている(すなわち、長辺がY軸に沿っている)。始端面10aと終端面10bとの対面方向から見ると、始端部12aの端面形状が延びるX方向(第1の方向)と、終端部12bの端面形状が延びるY方向(第2の方向)とは交差しており、よく詳しくは直交している。塑性加工部12は、始端部12aの長方形端面から終端部12bの長方形端面までの間で、長辺(または長軸)と短辺(または短軸)とが入れ替わると表現することもできる。始端部12aの端面と終端部12bの端面とは捻れの位置関係となっている。
押出し金型10は、図1に示すように、塑性加工部12の始端部12aの端面形状と同一寸法(または、ごくわずかだけ短い)断面形状を有するパンチ20を用いて、始端面10a上に配置された上述の成形体を終端面10bに向けて、Z方向に前方押出しする。それにより、塑性加工部12の終端部12bの端面形状と同一の断面形状を有する帯状の熱間加工磁石が得られる。帯状の熱間加工磁石は、所定幅に適宜切断される。
押出し金型10の内部では、塑性加工部12の輪郭は図2、3に示したように曲線によって構成されている。
図3(a)に示すY-Z断面(図2のI-I線断面)では、塑性加工部12の始端部12aの幅(すなわち、長方形端面の短辺長さ)は、終端部12bに向かうに従って指数関数的に徐々に拡がり、終端面10bにおいて終端部12bの幅(すなわち、長方形端面の長辺長さ)に一致する。つまり、Y-Z断面における塑性加工部12の輪郭線14A、14Bはいずれも指数関数で表現することができる曲線となっている。
図3(b)に示すX-Z断面(図2のII-II線断面)では、塑性加工部12の始端部12aの幅(すなわち、長方形端面の長辺長さ)は、終端部12bに向かうに従って指数関数的に徐々に狭まり、終端面10bにおいて終端部12bの幅(すなわち、長方形端面の短辺長さ)に一致する。つまり、X-Z断面における塑性加工部12の輪郭線16A、16Bはいずれも指数関数で表現することができる曲線となっている。
熱間加工磁石では、内部にクラックが生じるとその部分における磁化が目減りし、単位体積当たりの磁化が低下してしまい、その結果、残留磁束密度の低下が招かれる。上述した押出し金型10を熱間加工磁石の製造に用いることで、熱間加工磁石のクラックを抑制することができるため、残留磁束密度の低下が抑制され得る。
また、熱間加工磁石内においてクラックが生じている部分には、磁石表面と同様に、反磁界が生じ、磁化反転の起点となる。熱間加工磁石内のクラックの数が増すに従い、磁化反転の起点が増すため、熱間加工磁石の保磁力を低下させてしまう。上述した熱間加工磁石の製造方法によれば、磁化反転の起点となるクラックを抑制することができるため、保磁力の低下が抑制され得る。
なお、塑性加工部12の始端部12aの面積に対する終端部12bの面積の割合(減面率)を60~90%(一例として86.8%)とすることで、高い磁気特性(たとえば保磁力)を有する熱間加工磁石を得ることができる。加えて、クラックの発生がより抑制され、それにより高い磁気特性(たとえば、残留磁束密度Br、保磁力HcJ)を有する熱間加工磁石を得ることができる。
また、塑性加工部12の始端部12aの端面と終端部12bの端面とは、捻れの位置関係ではなく、平行な位置関係(たとえば、いずれもX方向に延びている)であってもよい。塑性加工部12の始端部12aの端面と終端部12bの端面とが捻れの位置関係にある場合には、成形体が塑性加工部12を通過するときに比較的大きな塑性変形を生じさせることができ、高い磁気特性(たとえば保磁力)を有する熱間加工磁石を得ることができる。
さらに、塑性加工部12の始端部12aの端面形状から終端部12bの端面形状まで、端面形状の長方形の各辺の長さが指数関数的に変化する場合、塑性加工部12の始端面10aにおける始端部12aから終端面10bにおける終端部12bに向かって、塑性加工部12の断面積を線形的に減らすことができる。そのため、塑性加工部12の始端部12aから終端部12bに向かって成形体に対する加圧が一定の割合で強まり、クラックの発生をより一層抑制することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る熱間加工磁石用の押出し金型10Aについて図4~7を参照しつつ説明する。押出し金型10Aは、その塑性加工部12Aの形状が第1実施形態に係る押出し金型10とは異なっており、それ以外については押出し金型10と同一または同様である。
塑性加工部12Aの始端部12aは、押出し金型10Aの始端面10aと終端面10bとの対面方向から見て、一方向に延びた端面形状を有しており、より詳しくは長方形状の端面形状を有している。塑性加工部12Aの始端部12aは、図5(a)に示すように、一方の短辺長さがL1、長辺長さがL2、他方の短辺長さがL3である。塑性加工部12Aの始端部12aでは、短辺長さL1とL3とは同じ長さであり、一例として1.0mmである。塑性加工部12Aの始端部12aでは、長辺長さL2は一例として2.0mmである。
塑性加工部12Aの終端部12bは、押出し金型10Aの始端面10aと終端面10bとの対面方向から見て、部分円環状の端面形状を有している。終端部12bの端面形状の部分円環状は、より詳しくは内弧の開き角θが180度である半円環状である。塑性加工部12Aの終端部12bは、図5(b)に示すように、外弧長さがL1、端辺長さがL2、内弧長さがL3である。内弧の曲率半径R1は、一例として0.65mmであり、この場合の内弧長さL3(=R1×π)は約2.0mmである。外弧の曲率半径R2は、一例として1.15mmであり、この場合の外弧長さL1(=R2×π)は約3.6mmである。端辺長さL2(=R2-R1)は、一例として0.5mmである。
塑性加工部12Aでは、始端部12aの長方形端面から終端部12bの半円環端面までの間で、輪郭の形状および寸法が徐々に変化している。より詳しくは、始端部12aの一方の短辺(長さL1)が終端部12bの外弧に徐々に変化し、始端部12aの一対の長辺が終端部12bの一対の端辺それぞれに徐々に変化し、始端部12aの他方の短辺(長さL3)が終端部12bの内弧に徐々に変化している。
図6は、塑性加工部12Aの輪郭寸法L1、L2、L3の変化を示したグラフであり、縦軸が輪郭寸法(mm)、横軸が始端面10aからの距離(深さ)を示している。図6のグラフのとおり、輪郭寸法L1およびL3は始端部12aから終端部12bまで単調増加しており、輪郭寸法L2は始端部12aから終端部12bまで単調減少している。
図7は、塑性加工部12Aの断面積の変化を示したグラフであり、縦軸が始端部12aの面積を100%としたときの面積割合、横軸が始端面10aからの距離(深さ)を示している。図7のグラフのとおり、塑性加工部12Aの断面積は、始端部12aから終端部12bに向かって漸減している。
このように、押出し金型10Aは、上述した押出し金型10同様、塑性加工部12Aの断面積が始端部12aから終端部12bに向かって漸減しているため、熱間加工工程で成形体に対する加圧が途中で緩むことがなく、それによりクラックの発生を効果的に抑制することができる。
なお、上述した押出し金型10Aでは、塑性加工部12Aの終端部12bの端面形状は、内弧の開き角θが180度である部分円環状(すなわち、半円環状)であったが、開き角θが180度より狭い部分円環状であってもよい。開き角θは、120度以下であってもよく、90度以下であってもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
たとえば、塑性加工部の始端部および終端部の端面形状は、長方形状に限らず、一方向に延びた楕円形状であってもよく、真円形状やU字状、V字状であってもよい。
(熱間加工磁石の製造方法)
上述した押出し金型10、10Aが用いられる熱間加工磁石の製造方法を、図8に示すフローチャートに沿って説明する。以下では、R-T-B系永久磁石の一種であるR14B結晶を主相とするネオジム磁石(ネオジム鉄ボロン系磁石)の製造方法について説明する。
R-T-B系永久磁石においてRは希土類元素を示している。永久磁石は、希土類元素として少なくともネオジム(Nd)を含有する。永久磁石は、Ndに加えて、他の希土類元素を含んでもよい。他の希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。R-T-B系永久磁石においてTは遷移金属元素を示している。永久磁石は、遷移金属元素として少なくとも鉄(Fe)を含有する。永久磁石は、遷移金属元素として、Feのみを含有していてもよい。永久磁石は、遷移金属元素として、Feおよびコバルト(Co)の両方を含有してもよい。R-T-B系永久磁石においてBはボロンである。
熱間加工磁石を製造する際は、まず、原料となる磁石材料を磁性粉に粉砕する(ステップS1)。粉砕は、たとえばカッターミルやプロペラミルによりおこなうことができ、たとえばアルゴンガス雰囲気中(または窒素ガス雰囲気中)でおこなうことができる。粉砕により得られた磁性粉の粒径はたとえば約100~300μmである。磁性粉は、ネオジム磁石結晶の寸法レベル(1μm以下、たとえば数十~数百nm)までは細かくは粉砕されておらず、複数のネオジム磁石結晶で構成された多結晶構造を有する。
ステップS1で得られた磁性粉は、圧縮成形機により成形されて、成形体が得られる(ステップS2)。成形は、窒素ガス雰囲気中(またはアルゴンガス雰囲気中)、800℃以下の高温下(一例として、750℃)、200MPa以下のプレス圧で、数十秒間おこなわれる。成形により、緻密な成形体が得られる。ただし、この成形体の状態では、磁石粒子はランダムに配向されており、磁化容易軸方向が揃っていない。
ステップS2で得られた成形体は、前方押出法により熱間加工されて、熱間加工磁石が得られる(ステップS3)。熱間加工は、窒素ガス雰囲気中(またはアルゴンガス雰囲気中、大気中)、800℃以下の高温下(一例として、750℃)、100MPa以下のプレス圧で、数十秒間おこなわれる。この熱間加工に、上述した押出し金型10、10Aを用いることができる。
(実施例)
ここで、押出し金型10、10Aの塑性加工部12、12Aの断面積に関し、発明者らがおこなった実験について説明する。
試料1、2として、上述した押出し金型10のように、塑性加工部の始端部の長方形端面が22mm×11mm、長辺と端辺とが入れ替わった終端部の長方形端面が7mm×30mm、厚さが20mmである押出し金型を準備した。試料1では図9に示すように塑性加工部の輪郭寸法(X方向長さおよびY方向長さ)を指数関数的に変化させ、試料2では図10に示すように塑性加工部の輪郭寸法を線形に変化させた。図9、10のグラフでは、縦軸が輪郭寸法を示し、横軸が始端面からの距離(深さ)を示している。
試料1では、図11に示すように塑性加工部の断面積が始端部から終端部に向かってほぼ線形的に漸減している。一方、試料2では、図12に示すように、塑性加工部の断面積は始端部から終端部に向かって一旦漸増し、始端部から終端部との中間付近で最大断面積となった後に漸減している。図11、12のグラフでは、縦軸が始端部の面積を100%としたときの面積割合、横軸が始端面からの距離(深さ)を示している。図11のグラフでは、塑性加工部の始端部の面積に対する終端部の面積の割合は86.8%となっている。
そして、試料1および試料2を用いて成形体の熱間加工をおこない、熱間加工磁石を得た。その結果、試料1を用いて得られた熱間加工磁石ではクラックが確認されなかったが、試料2を用いて得られた熱間加工磁石ではクラックが散見された。
試料3として、上述した押出し金型10Aのように、塑性加工部の始端部の長方形端面が20mm×10mm、終端部の半円環状端面が、内径13mm、厚さ5mm、内弧の開き角180度である押出金型を準備した。試料3では図6に示すように塑性加工部の輪郭寸法を変化させた。図6のグラフでは、縦軸が輪郭寸法を示し、横軸が始端面からの距離(深さ)を示している。
試料3では、図7に示すように塑性加工部の断面積が始端部から終端部に向かって漸減している。図7のグラフでは、縦軸が始端部の面積を100%としたときの面積割合、横軸が始端面からの距離(深さ)を示している。図7のグラフでは、塑性加工部の始端部の面積に対する終端部の面積の割合は70.6%となっている。
そして、試料3を用いて成形体の熱間加工をおこない、熱間加工磁石を得た。その結果、試料3を用いて得られた熱間加工磁石にはクラックが確認されなかった。
これは、試料1、3のように塑性加工部の断面積が始端部から終端部に向かって一度も増加することなく漸減する場合には、熱間加工の際に成形体に対する加圧は徐々に強まっていくため途中で加圧が緩むことはないが、試料2のように塑性加工部の断面積が少しでも増加してしまうと加圧が緩んで、加圧が緩むことに起因するクラックが発生したものと考えられる。
10、10A…押出し金型、10a…始端面、10b…終端面、12、12A…塑性加工部、12a…始端部、12b…終端部。

Claims (4)

  1. 互いに対面する始端面および終端面を有し、かつ、前記始端面から前記終端面まで延びる塑性加工部を備える熱間加工磁石用の押出し金型であって、
    前記塑性加工部は、前記始端面と前記終端面との対面方向に対して直交する断面における断面積が、前記塑性加工部の前記始端面における始端部から前記終端面における終端部に向かって漸減しており、
    前記塑性加工部の前記始端部が一方向に延びた端面形状を有し、かつ、前記塑性加工部の前記終端部も一方向に延びた端面形状を有し、
    前記押出し金型の前記始端面と前記終端面との対面方向から見て、前記塑性加工部の前記始端部の端面形状が延びる第1の方向と、前記塑性加工部の前記終端部の端面形状が延びる第2の方向とが交差しており、
    前記塑性加工部の前記始端部の端面形状および前記終端部の端面形状が長方形であり、
    前記塑性加工部は、前記始端部の端面形状から前記終端部の端面形状まで、前記端面形状の長方形の各辺の長さが指数関数的に変化しており、
    前記塑性加工部は、前記始端部の端面形状における長方形の長辺から前記終端部の端面形状における長方形の短辺まで長さが指数関数的に短くなり、かつ、前記始端部の端面形状における長方形の短辺から前記終端部の端面形状における長方形の長辺まで長さが指数関数的に長くなる、熱間加工磁石用の押出し金型。
  2. 前記塑性加工部の前記断面積が、前記始端部から前記終端部に向かって線形的に漸減している、請求項1に記載の熱間加工磁石用の押出し金型。
  3. 前記塑性加工部の前記始端部の面積に対する前記終端部の面積の割合が60~90%である、請求項1または2に記載の熱間加工磁石用の押出し金型。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の熱間加工磁石用の押出し金型を用いた熱間加工磁石の製造方法であって、
    磁性粉を成形して得られた成形体を前記押出し金型で熱間加工して熱間加工磁石を得る熱間加工工程を含む、熱間加工磁石の製造方法。
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