JP7717480B2 - 制振ダンパー用シリコーン組成物、制振ダンパー用粘性流体、およびそれらを用いた制振ダンパー - Google Patents
制振ダンパー用シリコーン組成物、制振ダンパー用粘性流体、およびそれらを用いた制振ダンパーInfo
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Description
大地震のエネルギーを吸収するためには、高ひずみの高減衰化は必須であるが、大地震後には中小地震も多く発生しており、高層ビルで観測される長周期地震のように、上記中小地震による何回も連続した繰り返し変形に対しても、特性安定化のニーズが高くなってきている。
このような用途に用いられる制振ダンパーの機構としては、粘弾性ダンパー、粘性ダンパー、オイルダンパー、鋼材ダンパーなどが主な機構としてあげられるが、なかでも粘性ダンパーは、減衰力が大きく繰り返し性に優れており、しかも粘性項しか存在しないことから設計が簡単であり、高層ビル等の大型施設で広く導入されている。
そして、上記粘性材料として、分子鎖の両末端にビニル基を有するビニル基変性シリコーン(A)を主成分とし、白金触媒(B)、遅延剤(C)、および鎖延長剤(D)を含有するものを用い、上記ビニル基変性シリコーン(A)のビニル基と鎖延長剤(D)のヒドロシリル基のモル比を特定の割合にし、かつ上記白金触媒(B)の含有量を特定の範囲に抑えるようにした。このようにしたところ、温度依存性を抑えつつ、その(A)成分と(D)成分の重合反応(二次元架橋反応)がばらつきなく進んで高分子量化することにより、従来の粘性ダンパーに使用されるポリブテン系材料の2倍以上の粘度を示すようになる等といったことに起因し、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
[1] 下記の(A)成分を主成分とし下記の(B)~(D)成分を含有する制振ダンパー用シリコーン組成物であって、下記の(A)成分100重量部に対する下記の(B)成分の含有割合が0.00003~0.003重量部であり、かつ上記シリコーン組成物中における下記の(A)成分のビニル基のモル数(M1)と下記の(D)成分のヒドロシリル基のモル数(M2)との比(M1:M2)が1:0.5~1:4であることを特徴とする制振ダンパー用シリコーン組成物。
(A)分子鎖の両末端にビニル基を有する、ビニル基変性シリコーン。
(B)白金触媒。
(C)遅延剤。
(D)鎖延長剤。
[2] 上記(C)成分の含有割合が、上記(A)成分100重量部に対し0.01~1重量部である、[1]に記載の制振ダンパー用シリコーン組成物。
[3] [1]または[2]に記載の制振ダンパー用シリコーン組成物が重合されてなることを特徴とする制振ダンパー用粘性流体。
[4] 30℃での粘度が6000~100000Pa・sである、[3]に記載の制振ダンパー用粘性流体。
[5] [1]または[2]に記載の制振ダンパー用シリコーン組成物、[3]または[4]に記載の制振ダンパー用粘性流体のいずれかが充填されてなることを特徴とする制振ダンパー。
[6] 制震壁である、[5]に記載の制振ダンパー。
また、本発明の制震ダンパー用シリコーン組成物は、常温でも反応するため、粘度の低い状態で制震壁等の制振ダンパーに充填し、制振ダンパー内で常温にて高分子量化させることが可能である。しかも、上記充填する際に、一旦温めて粘度を下げてから充填するといった手間が不要であることから、施工の際に有利である。
そして、本発明の制振ダンパーは、上記シリコーン組成物または上記粘性流体が充填されてなるものであり、その充填量が少量であっても高減衰を発現できることから、従来のポリブテン系材料を使用した粘性ダンパーと比較して小型化が可能である。また、温度変化による減衰性の変動が少ない(特に、高温環境下での減衰性の低下が抑えられる)ことから、制振ダンパーとして優れた性能を発揮することができる。
(A)分子鎖の両末端にビニル基を有する、ビニル基変性シリコーン。
(B)白金触媒。
(C)遅延剤。
(D)鎖延長剤。
本発明のシリコーン組成物の主成分である、分子鎖の両末端にビニル基を有するビニル基変性シリコーン(A)としては、例えば、下記の一般式(1)で示されるビニル基変性シリコーンが用いられる。
上記白金触媒(B)としては、例えば、白金-オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの、白金-ビニルシロキサン錯体、白金-ホスフィン錯体、白金-ホスファイト錯体等が、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
そして、先に述べたように、上記特定のビニル基変性シリコーン(A)100重量部に対し、上記白金触媒(B)の含有割合は、0.00003~0.003重量部とする必要があり、好ましくは0.00006~0.0027重量部、より好ましくは0.00009~0.0024重量部の範囲である。すなわち、このような範囲内に白金触媒(B)の含有割合を抑えることにより、本発明のシリコーン組成物の重合反応((A)成分と(D)成分の重合反応)が急激に進行するのを抑制しつつ、その重合反応を充分に行うことができ、重合体の粘度のばらつきが生じるのを抑え、所望の粘度(所望の高減衰性)を得ることができるようになるからである。
また、上記白金触媒(B)は、キシレン,トルエン等の溶媒に溶解させたものを使用してもよい。このようなものは、市販品では、Gelest社製のSIP6830等があげられる。
なお、上記白金触媒(B)の含有割合は、上記のような溶媒を含まない、白金触媒そのものの量を規定したものである。
上記遅延剤(C)としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記鎖延長剤(D)としては、例えば、下記の一般式(2)で示されるような、分子鎖の両末端にヒドロシリル基(Si-H基)を有する、低分子量の化合物があげられる。
すなわち、上記のような割合で、上記特定のビニル基変性シリコーン(A)と鎖延長剤(D)を配合することにより、所望の粘性を得ることができるようになるからである。
このようにして得られた本発明のシリコーン組成物は、常温(5~35℃)でも反応(高分子量化)が進み、粘性流体となるため、上記調製直後の粘度の低い状態で制震壁等の制振ダンパーに充填し、制振ダンパー内で常温にて高分子量化させることが可能である。しかも、上記充填を行う際に、従来のような一旦温めて粘度を下げてから充填するといった手間が不要であることから、施工の際に有利である。
また、上記のようにして調製された本発明のシリコーン組成物は、上記調製直後から、気温によっては12時間程度は高分子量化が進まない(粘性流体とならない)ため、予め調製された上記シリコーン組成物を施工現場に運んで使用するといったことも可能となる。
なお、上記シリコーン組成物は、5~35℃雰囲気下で1~24時間静置することにより、(A)成分と(D)成分の重合反応(二次元架橋反応)が完了し高分子量化がなされ、粘性流体(制振ダンパー用粘性流体)となる。
また、上記重合反応物の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、本発明の効果をより効果的に発揮する観点から、1.5~40が好ましく、2~30がより好ましい。
なお、上記重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本を直列にして用いることにより測定される。また、数平均分子量(Mn)も同様の方法で測定され、上記数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)より、上記重合反応物の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が求められる。
なお、図1に示す構造の制震壁1の場合、上記垂下壁2と立上り壁3との隙間に、本発明のシリコーン組成物を充填した後に重合反応させることにより粘性流体とすることが、上記制震壁1の製造工程の観点から、好ましい。
これらの方法により、図2に示すように、立上り壁3内に本発明のシリコーン組成物(シリコーン組成物4)の充填を完了した後、垂下壁2を立上り壁3内に建て入れ、上記シリコーン組成物4の重合反応がなさせる(粘性流体となる)ことにより、上記制震壁1は完成される。
なお、充填の時期については、あらかじめシリコーン組成物4を充填して施工現場に搬入したり、または施工現場において配合し充填したりするなど、任意の時期に行うことができる。
また、垂下壁2を立上り壁3に建て入れた後にシリコーン組成物4を充填する場合には、立上り壁3の下部に注入口を設けて注入する方法を適用することが好ましい。
そして、本発明の制振ダンパーは、土木用,建築用の制震ダンパー、家電用や電子機器用の制振ダンパー等として、優れた機能を発揮することができる。
なかでも、橋梁やビルといった大型建造物に使用される制震ダンパーとして、とりわけ高層ビル用制震ダンパーとして、より優れた機能を発揮することができる。
下記の一般式(1)で示される、n=400~600の、両末端ビニル基変性シリコーン(Polymer VS 10000(25℃での粘度:10000mPa・s)、エボニック社製)
下記の一般式(1)で示される、n=100~300の、両末端ビニル基変性シリコーン(Polymer VS 2000(25℃での粘度:2000mPa・s)、エボニック社製)
下記の一般式(2)で示される、n=1~18の、鎖延長剤(DMS-H11、エボニック社製)
下記の一般式(2)で示される、n=20~40の、鎖延長剤(DMS-H21、エボニック社製)
SIP6830、Gelest社製
1-エチニル-1-シクロヘキサノール(東京化成社製)
後記の表1および表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、25℃の雰囲気下で、羽根撹拌機によって撹拌することにより、目的とするシリコーン組成物を調製した。
なお、後記の表1および表2に示す「M1:M2」は、シリコーン組成物中における、両末端ビニル基変性シリコーンのビニル基のモル数(M1)と鎖延長剤のヒドロシリル基のモル数(M2)との比を示す。また、後記の表1および表2に示す白金触媒の含有割合は、薬剤(SIP6830)中に含まれる溶媒等を除いた白金触媒そのものの含有割合を示したものである。
上記調製のシリコーン組成物を、25℃で1日間重合反応させた後、回転式レオメーター(TAインスツルメント社製、AR2000ex)により、測定温度30℃にて粘度を測定した。
上記調製のシリコーン組成物を、25℃で1日間重合反応させた後、回転式レオメーター(TAインスツルメント社製、AR2000ex)により、測定温度10℃にて粘度を測定した。そして、上記測定を、測定温度30℃でも行い、「測定温度10℃での粘度/測定温度30℃での粘度」を算出した。
上記調製のシリコーン組成物の粘度を、ロータレス・レオメーター(東洋精機社製)にて100℃で600秒間測定し、反応完了時のトルク値の10%のトルク値になる時間(t10[秒])を測定し、この値を反応速度(t10)とした。
上記各測定の結果、粘度が6000~100000Pa・s、温度依存性が2以下、反応速度(t10)が250~400秒、といった要件を全て満たすものを「○」と評価し、これらの要件の一つでも満たさなかったものを「×」と評価した。
また、本発明の制振ダンパー用シリコーン組成物や制振ダンパー用粘性流体を用いた、建築用の制震壁等の制震装置や免震装置、家電用や電子機器用の制振材や衝撃吸収材、自動車用の制振材や衝撃吸収材等も、本発明の制振ダンパーとして利用することが可能である。
2 垂下壁
3 立上り壁
4 シリコーン組成物
Claims (6)
- 下記の(A)成分を主成分とし下記の(B)~(D)成分を含有する、制振ダンパー用粘性流体を得るための制振ダンパー用シリコーン組成物であって、下記の(A)成分100重量部に対する下記の(B)成分の含有割合が0.00003~0.003重量部であり、かつ上記シリコーン組成物中における下記の(A)成分のビニル基のモル数(M1)と下記の(D)成分のヒドロシリル基のモル数(M2)との比(M1:M2)が1:0.5~1:4であることを特徴とする制振ダンパー用シリコーン組成物。
(A)分子鎖の両末端にビニル基を有する、ビニル基変性シリコーン。
(B)白金触媒。
(C)遅延剤。
(D)鎖延長剤。 - 上記(C)成分の含有割合が、上記(A)成分100重量部に対し0.01~1重量部である、請求項1記載の制振ダンパー用シリコーン組成物。
- 請求項1または2記載の制振ダンパー用シリコーン組成物が重合されてなることを特徴とする制振ダンパー用粘性流体。
- 30℃での粘度が6000~100000Pa・sである、請求項3記載の制振ダンパー用粘性流体。
- 請求項1または2記載の制振ダンパー用シリコーン組成物、請求項3または4記載の制振ダンパー用粘性流体のいずれかが充填されてなることを特徴とする制振ダンパー。
- 制震壁である、請求項5記載の制振ダンパー。
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