JP7718121B2 - 接着性樹脂組成物、該組成物を用いた積層シート及び蓋材 - Google Patents

接着性樹脂組成物、該組成物を用いた積層シート及び蓋材

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本発明は、開封時に凝集破壊することで易開封性を示す接着性樹脂組成物、及びその接着性樹脂組成物の被膜が積層されたシートに関するものである。さらに詳細には、特にポリエチレン、あるいはポリエチレンを被覆した容器に対し、ラミネートによる積層方法や下地材を制限することなく易開封性、かつ、糸曳きを生じない接着性樹脂組成物、及びその接着性樹脂組成物の被膜が積層された積層シートに関するものである。
食品包装の分野では、これまで、カップラーメンやヨーグルト、ゼリー等の内容物をポリエチレン系樹脂で被覆された紙容器に充填し、該容器の開口部にシール性の優れた接着性樹脂組成物の層を有する蓋材を接着する包装形態が盛んに利用されてきた。
近年では、蓋材をポリエチレン系樹脂で被覆された紙容器から開口する際、易開封性の機能を付与するために接着性樹脂組成物の層は凝集破壊タイプが主流となっている。凝集破壊タイプの剥離機構は、接着性樹脂組成物である2成分の熱可塑性樹脂が非相溶系あるいは部分相溶系のブレンドにより凝集破壊が引き起こされ、それがなめらかな剥離感となり易開封性を発現するが、このとき容器のフランジに接着性樹脂組成物が糸状に残る「糸曳き」が発生することがあった。
基材/下地材/接着性樹脂組成物で構成される蓋材の下地材と接着性樹脂組成物との接着が不十分であると、接着性樹脂組成物の一部が凝集破壊せず容器側に引っ張られ、最終的に伸びて切れることで糸曳きが生じる。
そこで、非相溶系又は部分相溶系の2成分の熱可塑性樹脂に相溶化剤となるエチレン-αオレフィン共重合体を添加した樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリエチレン系樹脂と結晶性ポリプロピレン系樹脂と低分子量ポリエチレンワックスからなるポリエチレン用易剥離性接着剤が提案されている(特許文献2参照)。
また、非相溶系の低密度ポリエチレンとポリブテンに加え、エチレン-酢酸ビニル共重合体やエチレン-メチルメタクリル共重合体やエチレン-メタクリル酸共重合体などのエチレン共重合体とワックスからなるシーラント接着剤が提案されている(特許文献3参照)。
特開2000-302990号公報 特開2007-112955号公報 特開2016-166304号公報
基材/下地材/接着性樹脂組成物の積層体を製造するために、接着性樹脂組成物を積層する主な手法はラミネート法であり、大きく分類すると3つの手法がある。溶融した接着性樹脂組成物を基材/下地材に積層する押出ラミネート、溶融した接着性樹脂組成物と下地材を基材に同時に2層積層する共押ラミネート、基材/下地材の下地材に溶剤型接着剤を塗布した後に溶融した接着性樹脂組成物を積層するドライラミネートが挙げられる。
共押ラミネートは2層を同時に押し出すため、接着性樹脂組成物の性状に合わせた下地材の選定や検討が必要である。また、ドライラミネートは溶剤型接着剤の溶剤除去のため、乾燥工程による作業性の低下などの問題がある。その点、押出ラミネートはこれら問題を解決できる。
一方、共押ラミネートは下地材と接着性樹脂組成を同時に溶融し積層することから、接着性樹脂組成物と下地材は一体化しており糸曳きを抑制できる。また、ドライラミネートは下地材と接着性樹脂組成物を接着剤で貼り合わせるため、十分に接着しており糸曳きを抑制できる。これに対し、押出ラミネートは下地材の上に溶融した接着性樹脂組成物を積層するため、接着性樹脂組成物の組成や下地材の種類により十分に接着しないという課題があった。
特に、押出ラミネートは、下地材のポリエチレン(以下PEとも言う)に対して十分に接着しない場合がある。これはポリエチレンの特徴である高い融点と結晶性の影響により引き起こされるためであり、その改善策として比較的融点や結晶性が低く、かつ、接着性を向上するエチレン-酢酸ビニル共重合体(以下EVAとも言う)、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-マレイン酸共重合体などのエチレン-酸変性共重合体を下地材として代用される。
特許文献1で提案されている樹脂組成物は、共押ラミネートにより製造した場合は糸曳き良好であるが、押出ラミネートにより製造した場合は糸曳きが発生する。
特許文献2で提案されているポリエチレン用易剥離性接着剤は、押出ラミネートによる積層で糸曳きを改善しているが、ポリエチレンテレフタレート(以下PETとも言う)/PE/EVAのEVA層にポリエチレン用易剥離性接着剤を積層しており、PET/PEのポリエチレン層に積層した場合は接着しない。
特許文献3で提案されているシーラント接着剤は、酸を含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体やエチレン-メチルメタクリル共重合体やエチレン-メタクリル酸共重合体などのエチレン共重合体を使用するため、臭気の厳しい食品用途において問題になる場合や、押出ラミネートにて積層する際、ゲル物が発生する場合など、新たな問題が懸念される。
以上のことから、食品への安全性が高く、かつ、積層方法や下地材に制限のない接着性樹脂組成物はなかった。
本発明が解決しようとする課題は、開封時に易開封性を示す接着性樹脂組成物、及びその接着性樹脂組成物の被膜が積層された積層シートに関するものである。さらに詳細には、特にポリエチレン、あるいはポリエチレンを被覆した容器に対し、ラミネートによる積層方法や下地材を制限することなく易開封性、かつ、糸曳きを生じない接着性樹脂組成物、及びその接着性樹脂組成物の被膜が積層された積層シートを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、190℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが0.1~10g/10分であるポリエチレン系樹脂(A)、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが0.1~10g/10分であるポリプロピレン系樹脂(B)、およびポリエチレンワックス(C)の合計100質量%中、ポリエチレン系樹脂(A)35~70質量%、ポリプロピレン系樹脂(B)15~40質量%、およびポリエチレンワックス(C)8~40質量%を含有することを特徴とする接着性樹脂組成物が上記課題を解決することを見出した。
ポリエチレンワックス(C)は、従来ポリエチレン系樹脂を軟化させ凝集力低下により糸曳きを改善していたが、本発明は、前述に加え、ポリエチレンワックス(C)を8質量%以上含むことで下地材への濡れ性の働きを付与させ接着性樹脂組成と密着し、下地材と接着性樹脂組成が十分に接着することで糸曳きを更に改善できる。
一方で、ポリエチレンワックス(C)を含むことで押出ラミネートの塗工性が大きく低下するため、190℃、荷重2.16kg条件下で測定したポリエチレン系樹脂(A)のメルトフローレートと、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したポリプロピレン系樹脂(B)のメルトフローレートを0.1~10g/10分に制限することで、塗工性の問題を解決できる。
上記により、ラミネートによる積層方法や下地材を制限することなく易開封性、かつ、糸曳きを生じない接着性樹脂組成物を提供することが可能となる。
すなわち本発明は下記発明〔1〕~〔5〕に関する。
〔1〕 190℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが0.1~10g/10分であるポリエチレン系樹脂(A)、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが0.1~10g/10分であるポリプロピレン系樹脂(B)、およびポリエチレンワックス(C)の合計100質量%中、ポリエチレン系樹脂(A)35~70質量%、ポリプロピレン系樹脂(B)15~40質量%、およびポリエチレンワックス(C)8~40質量%、を含有することを特徴とする接着性樹脂組成物に関する。
〔2〕 ポリエチレン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)の含有比率が、(A)>(B)且つ、ポリエチレン系樹脂(A)とポリエチレンワックス(C)の含有比率が(A)>(C)である、上記接着性樹脂組成物に関する。
〔3〕 接着性樹脂組成物の190℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが5~45g/10分である、上記接着性樹脂組成物に関する。
〔4〕 基材シート上に、上記接着性樹脂組成物の被膜が積層された積層シートに関する。
〔5〕 上記積層シートにより形成された蓋材に関する。
本発明の接着性樹脂組成により、ポリエチレンを被覆した容器に対し、ラミネートによる積層方法や下地材を制限することなく易開封性、かつ、糸曳きを生じない接着性樹脂組成物、及びその接着性樹脂組成物の被膜が積層された積層シートに関する容器を得ることができる。
本願発明の接着性樹脂組成物は、190℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレート(以下MFR)が0.1~10g/10分であるポリエチレン系樹脂(A)35~70質量%、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFRが0.1~10g/10分であるポリプロピレン系樹脂(B)15~40質量%、およびポリエチレンワックス(C)8~40質量%、を含有する。
以下に、本発明の接着性樹脂組成物、これを積層した積層シート、該積層シートから製造される容器用蓋材、この蓋材により密封された容器について、更に詳細に説明する。
<ポリエチレン系樹脂(A)>
ポリエチレン系樹脂(A)の190℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFRは、0.1~10g/10分であり、より好ましくは0.5~8g/10分である。上記の範囲内であると、押出ラミネートによる塗工を安定できる点で好ましい。
ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレン単独重合体でも、エチレンとオレフィンの共重合体でもよい。具体的には、非相溶系あるいは部分相溶系を維持できる範囲であれば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどの単独重合体、または任意の比率でプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、又は炭素数7以上の炭素鎖の長いオレフィンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種とエチレンとを重合した共重合体を用いることができる。その中でも押出ラミネート加工性の面から低密度ポリエチレンが好ましく、特に高圧法で製造される低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン系樹脂(A)は、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、およびポリエチレンワックス(C)の合計100質量%中、35~70質量%であり、好ましくは40~65質量%であり、より好ましくは45~60質量%である。ポリエチレン系樹脂(A)が35質量%以上であることにより、押出ラミネートによる塗工が安定させることができる。また、70質量%以下であることにより、凝集破壊による易開封性を損なうことなく十分に接着させることができる。
<ポリプロピレン系樹脂(B)>
ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFRは、0.1~10g/10分であり、より好ましくは0.5~8g/10分である。上記の範囲内であると、押出ラミネートによる塗工を安定できる点で好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン単独重合体でも、プロピレンとオレフィンの共重合体でもよい。具体的には、非相溶系あるいは部分相溶系を維持できる範囲であれば、プロピレンの単独重合、または任意の比率でエチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、又は炭素数7以上の炭素鎖の長いオレフィンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種とプロピレンとを重合した共重合体を用いることができる。その中でも押出ラミネートによる塗工性からポリプロピレン-エチレン共重合体が好ましい。
本明細書において、エチレンとプロピレンの共重合体は、DSC融点が130℃以下の場合をポリエチレン系樹脂(A)、DSC融点が130℃を超える場合をポリプロピレン系樹脂(B)に分類される。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、およびポリエチレンワックス(C)の合計100質量%中、15~40質量%であり、より好ましくは18~35質量%であり、特に好ましくは20~30質量%であることが好ましい。上記の範囲内であると易開封性の点で好ましい。
<ポリエチレンワックス(C)>
ポリエチレンワックス(C)は、特に下地材がポリエチレンに対して十分なラミネート強度が得られ、更に糸曳きを改善することができる。
ポリエチレンワックス(C)は、エチレン単独重合でも、共重合でも良い。具体的には、ポリエチレン系樹脂(A)と相溶し、下地材への濡れ性の働きを付与できる範囲であれば、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酸化エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体を用いることができる。その中でも臭気の面からポリエチレン単独重合が好ましい。ただし、ポリエチレンワックス(C)は、ポリエチレン系樹脂(A)を含まない。
本発明におけるポリエチレンワックス(C)は、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、およびポリエチレンワックス(C)の合計100質量%中、8~40質量%であり、より好ましくは12~30質量%であり、特に好ましくは15~25質量%であることが好ましい。上記の範囲内であると下地材のポリエチレンに対し密着し、かつ、糸曳きを改善する点で好ましい。
ポリエチレンワックス(C)の140℃における粘度は、50~10,000mPa・sが好ましく、より好ましくは60~8,000mPa・sである。上記範囲内であると、下地材のポリエチレンに対して十分に密着する点で好ましい。なお粘度は、B型粘度計(測定条件は、140℃、ローターNo.3、12rpm、30秒間)を使用し、測定した値である。詳細は実施例の欄に記載する。
ポリエチレンワックス(C)の融点は、90~145℃が好ましく、より好ましくは95~130℃である。上記範囲内であると、下地材のポリエチレンに対して十分に密着する点で好ましい。なお、本発明における融点とは、示差走査型熱量計により測定した温度である。詳細は実施例の欄に記載する。
<接着性樹脂組成物>
本発明の接着性樹脂組成物は、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、およびポリエチレンワックス(C)の合計100質量%中、
ポリエチレン系樹脂(A)35~70質量%、
ポリプロピレン系樹脂(B)15~40質量%、および
ポリエチレンワックス(C)8~40質量%で含有するものである。
さらに、ポリエチレン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)の含有比率(質量比)が、(A)>(B)且つ、ポリエチレン系樹脂(A)とポリエチレンワックス(C)の含有比率(質量比)が(A)>(C)であることが好ましい。
本発明の接着性樹脂組成物には、本発明の目的に反しない範囲、すなわち、易開封性、糸曳きを損なわない範囲で、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、及びポリエチレンワックス(C)以外の樹脂を配合してもよい。
このような樹脂としては、具体的には、エチレン、又は炭素数3以上の炭素鎖の長いオレフィンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種に無水マレインを付加したマレイン酸変性物、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン-不飽和モノカルボン酸共重合体及びその金属塩、スチレン-ブタジエン共重合エラストマー及びその水素付加物等の各種エラストマー、あるいは、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン類等、公知の粘着付与樹脂、あるいは、ポリプロピレンワックス、エチレン-酢酸ビニル共重合体ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、酸化ワックス、マレイン酸変性ワックス、スチレンモノマーのグラフトされたポリエチレンワックス等、公知のワックスが挙げられる。また、これらの樹脂は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
本発明の接着性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、熱劣化、熱分解、ブロッキング等を防止するため及びフィルム加工、押出ラミネート加工等の加工適正を確保するために、さらに添加剤等が使用されてもよい。添加剤の例としては、例えばエルカ酸アミド等の有機滑剤、炭酸カルシウム等の無機滑剤、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、その他ブロッキング防止剤、帯電防止剤、充填剤、顔料などが挙げられる。
添加剤の配合量は、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、及びポリエチレンワックス(C)の合計100質量%に対して、0質量%以上15質量%未満、好ましくは0以上10質量%未満、より好ましくは0質量%以上5質量%未満である。上記の範囲内であると易開封性や糸曳きが損なわれない点で好ましい。
これら添加剤は、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、及びポリエチレンワックス(C)の配合時に添加されてもよいし、予めポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、及びポリエチレンワックス(C)のいずれかに練りこまれた後、添加剤が練りこまれたポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、及びポリエチレンワックス(C)を他の成分と混練することにより配合されてもよい。
ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、及びポリエチレンワックス(C)及び必要に応じ用いられる添加剤の配合は、例えば、これら各成分をヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどの混合装置に投入し、ブレンド時間5~20分間で混合した後、押出機に入れ、加熱混練した後押し出すことにより行われる。押出物は通常ペレット形状とされて、後の工程で利用される。押出機としては、例えば二軸押出機などが好ましいものとして挙げられるが、これに限られるものではない。また、押出は、通常140~200℃で行われる。
接着性樹脂組成物は、190℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが5~45g/10分であることが好ましく、より好ましくは8~35g/10分であり、より好ましくは10~30g/10分である。上記範囲であると、押出ラミネートによる塗工が安定する点で好ましい。
<積層シート>
次に、本発明の接着性樹脂組成物の被膜が基材シートに積層された積層シートについて説明する。使用される基材シートとしては、紙、アルミニウム、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アルミ蒸着ポリエステル、アルミ蒸着ポリプロピレン、シリカ蒸着ポリエステルなどを挙げることができる。基材シートは、単層である必要はなく、二層以上の積層体であっても良い。本願においては、基材シートとしては、例えば5~20μmのPETと5~30μmのポリエチレンとの積層体を用いることが好ましい。なお、積層体において接着性樹脂組成物と接する面を下地材と呼ぶ。
本発明の接着性樹脂組成物の基材への積層方法としては、例えば、前記のごとくペレット化された樹脂組成物を用い、インフレーション法あるいはキャスト法などにより単層フィルム化し、このフィルムを基材シートと(必要であれば接着剤層を介して)、積層する方法が挙げられる。あるいは、混練された組成物を直接基材に被覆してもよいし、更に他の方法がとられてもよい。
積層面の接着性を改善するために、基材シート面に火炎処理、オゾン処理、コロナ放電処理、アンカーコート剤による処理が行われてもよい。ポリエチレン系樹脂を予めラミネートしてある基材シートに対しては、ダイレクトに押出しラミネートすることも可能である。また、ポリエチレンやポリプロピレン等との共押出しで多層フィルム化しておき、ドライラミネーション又はサンドラミネーションにより、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムと積層することにより、積層フィルムを得ることもできる。この場合にも、積層面の接着性を改善するために、必要であれば、基材シート面に対し、火炎処理、オゾン処理、コロナ放電処理、アンカーコート剤による処理などが行われてもよい。また、本発明の接着性樹脂組成物層の厚みは、5μm以上とされ、10μm以上が好ましい。
なお、本発明における積層シートは、長尺及びカットされた短尺のフィルム、シートを包含するものである。また、基材シートは単層のもの及び複数の層からなる積層物をも包含するものである。また、本発明の接着性樹脂組成物が積層された積層シートは、後述するように蓋材として使用できる他、これをシーラントフィルムとした製袋品(接着性樹脂組成物面を内面としてシール)にも好適に使用できる。
<蓋材>
本発明の積層シートは、密封対象である容器本体の開口形状に合わせて裁断され蓋材として好適に用いられる。
本発明の蓋材は、PETとポリエチレンとの積層体のポリエチレン面に、5~40μmの本発明の接着性樹脂組成物の被膜を積層したものが好ましい。
<容器本体>
容器本体としては、ポリエチレン系樹脂製の容器本体、内面がポリエチレン系樹脂で覆われた容器本体が好ましい。
<開封可能な密封容器>
開封可能な密封容器は、容器本体の開口形状に合わせて裁断された蓋材によって、容器本体の開口部の封緘がなされたものである。即ち、蓋材の一方の面に配設された本発明の接着性樹脂組成物と、密封容器の開口部の接着面(フランジとも言われる)とを接触させ加熱することによって、両者を接着する。接着条件は、130~170℃であることが好ましい。
容器本体がPET容器の場合、該容器本体と前記蓋材とを熱接着温度130~170℃で熱接着を行うことが好ましく、常温での開封強度が10~20Nの範囲であり、また剥離時に熱接着層が界面剥離することが好ましい。本発明の開封可能な密封には、例えばゼリー、プリン、ヨーグルトや冷菓、乾燥菓子、カップ麺等を包装することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
MFR、粘度、融点は次の方法で測定した。
[MFR]
JIS.K7210に準拠し、メルトインデクサーL244(宝工業株式会社製メルトインデクサー)を用いて、内径9.55mm、長さ162mmのシリンダにサンプルを充填し、190℃または230℃で溶融した後、重さ2・16kg、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ、シリンダの中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間あたりに押出された樹脂量(g/10分)を測定した。
[粘度]
VISCOMETER TVB-10(TOKI SANGYO社製B型粘度計)を用いて、温度140℃又は180℃にて、ローターNo.3、12rpm、時間30秒で測定した。
[DSC融点]
DSC―60A plus(島津製作所社製示差走査型熱量計)を用いて、アルミパン上に約5mg秤量した試料を窒素気流下で0℃~200℃の温度範囲を10℃/分の昇温速度で測定された吸熱曲線の最大値を求めた。
<接着性樹脂組成物の製造方法>
[実施例1]
表1に示した材料と配合量で、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、及びポリエチレンワックス(C)及び添加剤を、ヘンシェルミキサーで5分間プリブレンドした。ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダーを用いて下記押出機に供給し、実施例1の接着性樹脂組成物を得た。
≪押出機条件≫
押出機:アイ・ケー・ジー社製同方向回転二軸押出機PMT32-40.5
バレル温度:180℃(供給口160℃)
スクリュー回転速度:200rpm
供給速度:10kg/hr
[実施例2~14及び比較例1~9]
表1、2の組成にしたがって、実施例1と同様の方法で実施例2~14、比較例1~9の接着性樹脂組成物を得た。
<接着性樹脂組成物の評価>
得られた接着性樹脂組成物について、MFRを測定した。また、下記に従って積層シート(蓋材)を作製し、該積層シートを用いて、ラミ強度(下地材との密着性)、糸曳き(耐容器付着性)、開封強度(易開封性)を、以下の方法及び基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
(積層シート(蓋材)の作製方法)
得られた接着性樹脂組成物を、押出ラミネーターを用いて、PET20μm/PE12μmの基材シートのPE面(下地材)に厚さ20μmで積層して積層シートを作成した。以下に加工条件を示す。
押出ラミネーター:ムサシノキカイ製400M/MテストEXTラミネーター
ダイ直下樹脂温度:250℃~280℃
加工速度:30m/分
Tダイ幅:400mm
冷却ロール表面温度:20℃
<塗工性>
押出ラミネーターによる塗工性を下記基準で評価した。
〇:ダイ吐出幅-実際の塗工幅=50mm未満:良好
△:ダイ吐出幅-実際の塗工幅=50mm~100mm:使用可能
×:ダイ吐出幅-実際の塗工幅=100mmを超える:不良
<ラミ強度(下地材との密着性)>
得られた積層シート(蓋材)を50mm×70mmのサイズに断裁後、下地材の層と接着性樹脂組成の層を手で50mm×20mmを剥離した。温度23℃湿度65%の恒温恒湿室にてT剥離、引張速度200mm/分の条件で測定を行い、平均値をラミ強度とし、下地材との密着性を下記基準で評価した。
〇:接着性樹脂組成物の層と下地材の層の剥離が不可:良好
△:開封強度が、1.5N/50mm以上、又は、接着性樹脂組成物の層が破断:使用可能
×:開封強度が、1.5N/50mm以上未満:不良
-:塗工できなかったため測定不可
<糸曳き(耐容器付着性)>
上記開封強度測定時のPET容器フランジ部の接着性樹脂組成物の有無を目視で確認し、下記基準で評価した。
〇: フランジ部に接着性樹脂組成物がないもの:良好
△: フランジ部に接着性樹脂組成物が僅かにみられたもの:使用可能
×: フランジ部に接着性樹脂組成物がみられたもの:不良
-:ラミ強度が得られなかった(接着性樹脂組成物が下地材に接着しなかった)ため測定不可
<開封強度(易開封性)>
得られた積層シート(蓋材)を90mm×90mmのサイズに断裁後、ゲージ圧0.3MPa、150℃、1秒にて71ΦPET容器に、接着性樹脂組成物面を熱接着し、密封を行なった。温度23℃湿度65%の恒温恒湿室に24時間放置し、同恒温恒湿室にて45°角剥離、引張速度200mm/分の条件で測定を行い、最大値を開封強度とし、易開封性を下記基準で評価した。
〇:開封強度が、10N以上20N未満:良好
△:開封強度が、7N以上10N未満、又は、20N以上25N未満:使用可能
×:開封強度が、7N未満、又は、25N以上:不良
-:ラミ強度が得られなかった(接着性樹脂組成物が下地材に接着しなかった)ため測定不可
表1、2で用いた原料略称を以下に示す。
A1:HP0830NN(SABIC社製、低密度ポリエチレン、190℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFR0.8g/10分)
A2:HP7022(SABIC社製、エチレン-プロピレン共重合体、190℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFR7g/10分、DSC融点108℃)
A3:LDF260YZ(LOTTE CHEMICAL TITAN社製、低密度ポリエチレン、190℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFR5g/10分)
A4: XJ700(LOTTE社製、低密度ポリエチレン、190℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFR24g/10分)
B1:B-110(LOTTE社製、ポリプロピレン、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFR0.5g/10分)
B2:SB-520(LOTTE社製、プロピレン-エチレン共重合体、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFR2g/10分、DSC融点150℃)
B3:513A(SABIC社製、ポリプロピレン、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFR6g/10分)
B4:J-360(LOTTE社製、プロピレン-エチレン共重合体、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したMFR18g/10分、DSC融点148℃)
C1:L-C102N(LION CHMTECH社製、ポリエチレンワックス、粘度350mPa・s(140℃)、融点107℃)
C2:A-C735(Honeywell社製、ポリエチレンワックス、粘度6,000mPa・s(140℃)、融点110℃)
C3:200P(三井化学社製、ポリエチレンワックス、粘度80mPa・s(140℃)、融点130℃)
C4:4051E(三井化学社製、酸化ポリエチレンワックス、粘度500mPa・s(140℃)、融点120℃)
C5:Sasol H1(Sasol社製、パラフィンワックス、粘度8mPa・s(140℃)、融点70℃)
C6:NP055(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、粘度50mPa・s(180℃)、融点150℃)
ブロッキング防止剤:インクロスリップC(クローダ社製、エルカ酸アミド)0.1%外添
酸化防止剤:IRGANOX 1010(BASF社製、ヒンダードフェノール)0.1%外添
表1、2に示すように、比較例1~9に対して、特定の樹脂(A)~(C)を特定比率で含む実施例1~14は、下地材がポリエチレンに対して十分なラミ強度を発現により糸曳きを抑制し、かつ、優れた易開封性の両立を達成することが示された。

Claims (5)

  1. 190℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが0.1~10g/10分であるポリエチレン系樹脂(A)(但し、エチレン-酢酸ビニル共重合体を除く)、230℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが0.1~10g/10分であるポリプロピレン系樹脂(B)、およびポリエチレンワックス(C)の合計100質量%中、ポリエチレン系樹脂(A)35~70質量%、ポリプロピレン系樹脂(B)15~40質量%、およびポリエチレンワックス(C)8~40質量%、を含有することを特徴とする接着性樹脂組成物。
  2. ポリエチレン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)の含有比率が、(A)>(B)且つ、ポリエチレン系樹脂(A)とポリエチレンワックス(C)の含有比率が(A)>(C)である、請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
  3. 接着性樹脂組成物の190℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレートが5~45g/10分である、請求項1または2に記載の接着性樹脂組成物。
  4. 基材シート上に、請求項1~3いずれか1項に記載の接着性樹脂組成物の被膜が積層された積層シート。
  5. 請求項4に記載の積層シートからなる蓋材。
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