JP7719610B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池

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Description

本発明の実施形態は、リチウムイオン二次電池に関する。
液体の電解液に代えて固体の電解質を用いたリチウムイオン二次電池の開発が活発に行われている。薄いフィルム形状のリチウムイオン二次電池を得るために、液体電解質に代わって固体電解質膜を使用する試みがなされている。固体電解質の中でも高分子固体電解質は形状の自由度を得やすく、フィルム形状の電池の固体電解質膜に適していると考えられるが、多くの高分子固体電解質膜は常温で有効なイオン伝導性が得られない。そのため、イオン液体を高分子マトリクス内に閉じ込める検討(特許文献1、特許文献2参照)や高分子電解質をゲル化する試み(特許文献3参照)がなされている。
一方、固体電解質の中で酸化物系の無機固体電解質は大気安定性が高く、常温常圧での連続塗工が可能であるため、正極活物質や負極活物質上に薄膜塗工することで十μm以下の薄いセパレータ層が形成できる。そして、それら正極活物質、無機固体電解質、負極活物質の無機固体粒子界面を高分子固体電解質で充填接合することで、薄いフィルム形状のリチウムイオン二次電池を実現する方法が特許文献4に開示されている。
特開2000-149920号公報 特開2001-035250号公報 特開2019-057425号公報 国際公開第WO2018/180768号パンフレット
特許文献1~3に記載の方法で得られる高分子固体電解質膜で液体電解質に匹敵するイオン伝導性を得ようとすると、高分子固体電解質の強度が低下し、膜自身の孤立性と自立性が損なわれる。従って、可撓性を有する薄膜として単独で用いることはできず、多くの場合従来電池と同様に多孔性の高分子フィルムをセパレータとする絶縁膜に高分子固体電解質を含浸して自立強度を確保する検討がなされる。その結果、そのような薄膜リチウムイオン二次電池は、正極活物質を塗工した正極電極と負極活物質を塗工した負極電極の間に、高分子固体電解質を含浸した高分子フィルムからなるセパレータを有する構造になり、フレキシブルに可撓性を有するフィルム形状のリチウムイオン二次電池を実現することは困難であった。
特許文献4に記載のリチウムイオン二次電池について、酸化物系の無機固体電解質はイオン伝導性に優れたものが近年種々開発されているが、高分子固体電解質に関しては上述の通り常温で高いイオン伝導性を示す良質なものがなく、これまで、そのような無機固体電解質粒子間を高分子固体電解質で充填接合したリチウムイオン二次電池でも、高分子固体電解質自体のイオン伝導性が低いため電池の内部抵抗が大きくなり、高出力の充放電では良好な出力特性が得られないという問題があった。
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、可撓性を有するとともに高出力の充放電でも良好な出力特性が得られるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、外装フィルムに一体化された集電体層と、前記集電体層上に形成され活物質粒子と該活物質粒子の隙間を埋める高分子固体電解質とを含む電極層と、前記電極層上に形成され無機酸化物粒子と該無機酸化物粒子の隙間を埋める前記高分子固体電解質とを含むセパレータ層と、を有する電極シートを備える。前記高分子固体電解質はリチウム塩とイオン液体と高分子ポリマーとを含む。
上記リチウムイオン二次電池において、前記イオン液体は、カチオン成分、およびアニオン成分としてビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含むことが望ましい。
上記リチウムイオン二次電池において、前記高分子ポリマーは、架橋可能な反応基を有する反応性化合物を架橋反応させて得られる架橋ポリマーを含むことが望ましい。
上記リチウムイオン二次電池において、前記反応性化合物は、3官能以上のポリエーテル(メタ)アクリレートを含むことが望ましい。
上記リチウムイオン二次電池において、前記リチウム塩の含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下であることが望ましい。
上記リチウムイオン二次電池において、前記電極層と前記セパレータ層の合計厚みは0.02mm以上0.3mm以下であることが望ましい。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池であると、可撓性を有するとともに、高出力の充放電でも良好な出力特性が得られる。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池のための電極シートの断面模式図 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面模式図 実施例で作製したリチウムイオン二次電池の平面図 図3のIV-IV線断面図
実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、電極シートを備えるものであり、該電極シートは、外装フィルムに一体化された集電体層と、前記集電体層上に形成されて活物質粒子と該活物質粒子の隙間を埋める高分子固体電解質とを含む電極層と、前記電極層上に形成されて無機酸化物粒子と該無機酸化物粒子の隙間を埋める前記高分子固体電解質とを含むセパレータ層と、を有する。そして、前記高分子固体電解質がリチウム塩とイオン液体と高分子ポリマーとを含むことを特徴とする。ここで、上記電極層は正極と負極のいずれか一方または双方をいい、好ましくは正極と負極の双方が上記のように構成されていることである。
本実施形態によれば、外装フィルムに一体化された集電体層上に電極層を形成し、さらに該電極層上に無機酸化物粒子と高分子固体電解質を用いてセパレータ層を形成したことにより、電極層とセパレータ層の合計厚みを抑えて柔軟で可撓性のあるフィルム形状の薄膜構造を形成することができ、薄膜リチウムイオン二次電池が得られる。
また、リチウム塩とイオン液体と高分子ポリマーとを含む高分子固体電解質を用いたことにより、高分子固体電解質中のリチウムイオンのスムーズな移動を実現することができる。そのため、リチウムイオン伝導度を高いレベルに保持し、高い充放電レートにおいても充分な電池性能が得られ、かつ高い安全性を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
また、電極層中の各粒子界面が高分子固体電解質で充填接合されることにより、高出力の充放電においても、一般的な液体電解液を用いた従来電池と遜色のない良好な出力特性を有するリチウムイオン二次電池を実現することができる。
[電極シート]
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池のための電極シートについて、図1に基づいて説明する。
図1に示す電極シート10は、外装フィルム12に一体化された集電体層14と、集電体層14上に形成された電極層16と、電極層16上に形成されたセパレータ層18と、を備える薄膜電極シートである。
電極シート10は、リチウムイオン二次電池において、正極を構成する正極シートとして用いてもよく、負極を構成する負極シートとして用いてもよく、正極シートと負極シートの双方に用いてもよい。正極シートの場合、集電体層14が正極集電体層、電極層16が正極層となる。負極シートの場合、集電体層14が負極集電体層、電極層16が負極層となる。セパレータ層18は、正極シートと負極シートがそれぞれ有して両者のセパレータ層同士を接合することで一体のセパレータ層を構成してもよく、あるいはまた、正極シートと負極シートのいずれか一方にセパレータ層を設けておいて当該セパレータ層に他方のシートの電極層を接合することにより両シートが1つのセパレータ層を共有するようにしてもよい。
集電体層14には電子伝導性を有する各種材料を用いることができる。正極集電体層としては、例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル等の箔が挙げられる。また、接着性、導電性、及び耐酸化性の向上を目的として、アルミニウム等の表面を、カーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を、正極集電体層として用いてもよい。負極集電体層としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン等の箔が挙げられる。また、接着性、導電性、及び耐酸化性の向上を目的として、銅等の表面を、カーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を、負極集電体層として用いてもよい。
本実施形態では、外装フィルム12に一体化された集電体層14を用いる。詳細には、集電体層14の一方面に外装フィルム12が貼り合わされたラミネート体を用いてもよい。外装フィルム12は、リチウムイオン二次電池の外装を構成するフィルムであり、電気絶縁性の高分子フィルムが用いられる。外装フィルム12としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムなどのポリエステルフィルム、ナイロン6フィルム、ナイロン66フィルムなどのポリアミドフィルムなどが挙げられる。
集電体層14の厚みは特に限定されず、例えば1~50μmでもよく、10~35μmでもよい。外装フィルム12の厚みは特に限定されず、例えば5~50μmでもよく、10~20μmでもよい。外装フィルム12と集電体層14とが積層されたものの厚みは特に限定されず、例えば6~100μmでもよく、20~50μmでもよい。
電極層16は、活物質粒子20と、活物質粒子20の隙間を埋める高分子固体電解質22とを含む。電極層16には、更に導電剤、バインダー等の添加剤が含まれてもよい。高分子固体電解質22は、集電体層14の表面からセパレータ層18との界面にいたるまで、電極層16の全域で活物質粒子20の隙間を埋めるように設けられていることが好ましい。
電極層16が正極層の場合、活物質粒子20は正極活物質粒子である。正極活物質粒子としては、リチウムイオンの挿入、脱離が可能であるものであればよく、例えば、金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、金属カルコゲン化物、導電性高分子化合物等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、CuO、CuO、MnO、MoO、V、CrO、MoO、Fe、Ni、CoO等が挙げられる。金属カルコゲン化物としては、例えば、TiS、MoS、NbSe等が挙げられる。導電性高分子化合物としては、例えば、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリアニリン等が挙げられる。
正極活物質粒子としては、高電圧を得られやすいため、リチウムと遷移金属との複合酸化物が好ましい。リチウムと遷移金属との複合酸化物としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiFePO、LiNiCo(1-x)、LiMnNiCo(a+b+c=1)等が挙げられる。また、リチウムと遷移金属との複合酸化物に、フッ素、ホウ素、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、モリブデン、鉄等の元素を少量ドープしたものや、リチウム複合酸化物の粒子表面を、炭素、MgO、Al、SiO等で表面処理したものを、正極活物質粒子として用いてもよい。
上記列挙の正極活物質粒子は、いずれか一種用いても二種以上を併用してもよい。正極活物質粒子の量は、特に限定されず、例えば、正極層の単位面積当たりの質量として、3mg/cm以上10mg/cm以下としてもよい。
電極層16が負極層の場合、活物質粒子20は負極活物質粒子である。負極活物質粒子としては、金属リチウム又はリチウムイオンの挿入、脱離が可能であるものであればよく、例えば、炭素材料、金属材料、リチウム遷移金属窒化物、結晶性金属酸化物、非晶質金属酸化物、ケイ素化合物、導電性ポリマー等が挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素等が挙げられる。金属材料としては、例えば、金属リチウムや合金、スズ化合物等が挙げられる。負極活物質粒子の具体例としては、LiTi12、NiSi等が挙げられる。負極活物質粒子は、上記列挙のものをいずれか一種用いても2種以上併用してもよい。負極活物質粒子の量は、特に限定されず、例えば、負極層の単位面積当たりの質量として、1mg/cm以上5mg/cm以下としてもよい。
電極層16に用いる導電剤としては、特に限定されず、例えば、アセチレンブラックやケッチンブラック等のカーボンブラック、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉末、金属繊維、導電性セラミックス材料等が挙げられる。これらの導電剤はいずれか一種用いても二種以上を併用してもよい。導電剤の添加量は、特に限定されず、例えば、活物質粒子20の質量に対して、1質量%以上20質量%以下でもよく、1.5質量%以上10質量%以下でもよい。
電極層16に用いるバインダーとしては、特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDF共重合体樹脂、フッ素系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPDM)、スチレン-アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。バインダーの添加量は、特に限定されず、例えば、活物質粒子20の質量に対して、1質量%以上20質量%以下でもよく、1.5質量%以上10質量%以下でもよい。
電極層16において活物質粒子20間に充填される高分子固体電解質22は、リチウム塩と、イオン液体と、高分子ポリマーを含む。
リチウム塩は、イオン液体に溶解しており、一般に非水電解液用電解質として使用されているリチウム塩を使用することができる。リチウム塩の具体例としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO(即ち、LiTFSI)、LiN(FSO(即ち、LiFSI)、LiBCなどが挙げられる。これらのリチウム塩は、いずれか一種用いても二種以上を併用してもよい。リチウム塩としては、LiFSI、LiTFSIが好ましい。
イオン液体は、リチウムイオンを伝達させるための溶媒であって、リチウム塩を溶解させることにより、リチウム塩とともに非水電解液を構成する。イオン液体は、カチオン成分およびアニオン成分により構成され、常温(25℃)で液体であり、揮発性を有さず、分解温度が比較的高いという特徴を有する。高分子固体電解質を構成する電解液にイオン液体を用いることにより、一般的に可燃性の有機溶媒(例えば、環状カーボネートや、鎖状カーボネート等)を用いた場合と比較して、電解質の耐熱性や安全性に優れる。また、本実施形態に係る高分子固体電解質であると、高出力の充放電時においても高い性能を持ち、高エネルギー密度、高電圧の電池が得られる。
イオン液体に含まれるアニオン成分としては、例えば、BF 、PF 、SbF 、NO 、CFSO 、(FSO(即ち、FSIアニオン)、(CFSO(即ち、TFSIアニオン)、(CSO、(CFSO、CFCO 、CCO 、CHCO 、(CN)などが挙げられる。これらは、いずれか一種用いても二種以上併用してもよい。
アニオン成分としては、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(FSIアニオン)を用いることが好ましい。イオン液体がFSIアニオンをアニオン成分として含むことにより、高出力充放電時における電池性能をより高めることができる。アニオン成分としてFSIアニオンを用いる場合、FSIアニオン以外のアニオンを併用してもよい。FSIアニオンの調製方法としては、特に限定されないが、例えば、フルオロスルホン酸と尿素との反応させる方法が挙げられる。なお、不純物の確認は、プラズマ発光分析装置(ICP)を用いて分析することができる。
イオン液体に含まれるカチオン成分としては、特に限定されず、例えば、N、P、S、O、C、Si等の元素を含む化合物であって、鎖状または5員環、6員環などの環状構造を骨格とするカチオンが挙げられる。5員環、6員環などの環状構造としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、インドール環、イソインドール環、インドリジン環、カルバゾール環等の複素環構造が挙げられる。
これらのカチオンの中でも、特に窒素元素を含む鎖状または環状の化合物が工業的に安価であるとともに、化学的、電気化学的に安定である点で好ましい。窒素元素を含むカチオンとしては、例えば、トリエチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-メチル-1-プロピル-ピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウムなどが挙げられる。これらのカチオンはいずれか一種用いても二種以上併用してもよい。
高分子固体電解質22に含まれる高分子ポリマーは、架橋可能な反応基を有する反応性化合物を架橋反応させて得られる架橋ポリマーを含むことが好ましい。架橋ポリマーであることにより、膜強度を向上して、薄くしたときの耐久性を向上することができ、また、高分子固体電解質22中にイオン液体を閉じ込める効果を高めることができる。
架橋可能な反応基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基などの二重結合性官能基、エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基などが挙げられる。かかる反応基を有する反応性化合物としては、例えば、2官能以上の(メタ)アクリレート系化合物、2官能以上のオキセタン系化合物などが挙げられる。高分子固体電解質22には、上記反応基を架橋反応させるための開始剤が含まれてもよい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基のいずれか一方または双方を含む概念である。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートのいずれか一方または双方を含む概念である。
2官能以上の(メタ)アクリレート系化合物とは、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物であり、例えば、4官能ポリエーテルアクリレート、4官能ポリエーテルメタクリレート、3官能ポリエーテルアクリレート、3官能ポリエーテルメタクリレート、2官能ポリエーテルアクリレート、2官能ポリエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。これらはいずれか一種用いても二種以上併用してもよい。これらの中でも2官能以上のポリエーテル(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは膜強度を更に向上して薄くしたときの耐久性を高めることができることから3官能以上のポリエーテル(メタ)アクリレートである。また、これらのポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエチレンオキサイド骨格を持つことが好ましい。
2官能以上のオキセタン系化合物とは、一分子中に2つ以上のオキセタン基を有する化合物であり、例えば、オキセタン基を持つ(メタ)アクリレートを含むモノマー成分を重合してなる重合体が挙げられる。具体的には、メチルメタクリレートとオキセタニルメタクリレートとの共重合体、メチルメタクリレートと(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレートとの共重合体などが挙げられる。
高分子固体電解質22において、リチウム塩の含有量は、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下であることが好ましい。このように、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられるリチウム塩の含有量よりも多くすることにより、移動できるリチウムイオンを多くしてイオン伝導性を高めることができる。また、リチウム塩の含有量が6mol/kg以下であることにより、イオン液体にリチウム塩を溶解させてなる非水電解液の粘度上昇を抑えて、イオン伝導性の低下を抑えることができる。リチウム塩の含有量は、1C放電における比容量に優れる観点から、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、5mol/kg以下であることが好ましく、4mol/kg以下であることがより好ましい。
高分子固体電解質22において、高分子ポリマーの含有量は、特に限定されないが、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは25質量%以上35質量%以下である。これにより、高分子固体電解質22は高い強度を維持したまま、高いリチウムイオン伝導度を保持できる。また、イオン液体の含有量は、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、60質量%以上75質量%以下であることが好ましく、より好ましくは65質量%以上75質量%以下である。
電極層16の厚みは特に限定されないが、正極層および負極層ともに、それぞれ10~50μmであることが好ましく、より好ましくは15~30μmである。
セパレータ層18は、無機酸化物粒子24と、無機酸化物粒子24の隙間を埋める高分子固体電解質22とを含む。セパレータ層18には、更にバインダー等の添加剤が含まれてもよい。高分子固体電解質22は、セパレータ層18の厚み方向の全体にわたって設けられている。セパレータ層18は、その厚み方向の全体にわたって無機酸化物粒子24が存在してもよいが、好ましくは、図1に示すように、無機酸化物粒子24が存在しない高分子固体電解質22の層を有することである。すなわち、図1に示す例では、セパレータ層18は、電極層16上に形成された無機酸化物粒子24が存在する無機層26と、無機層26上に形成された無機酸化物粒子24が存在しない高分子固体電解質層28と、を備える。
無機酸化物粒子24としては、高いリチウムイオン伝導度を持つLa2/3-xLi3xTiO(即ち、LLT)、Li1+xAlTi2-y(PO(即ち、LATP)、Li1+xAlGe2-y(PO(即ち、LAGP)などの無機固体電解質粒子でもよく、アルミナ、シリカなどの固体電解質でない酸化物粒子でもよい。無機酸化物粒子24の平均粒径は特に限定されず、粒子体積の累積分布が50%となるメジアン径(D50)が、例えば0.1μm~10μmでもよく、0.2μm~5μmでもよい。
セパレータ層18に用いるバインダーとしては、特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDF共重合体樹脂、フッ素系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPDM)、スチレン-アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。バインダーの添加量は、特に限定されず、例えば、無機酸化物粒子24の質量に対して、1質量%以上20質量%以下でもよく、1.5質量%以上10質量%以下でもよい。
セパレータ層18に含まれる高分子固体電解質22は、電極層16に含まれる高分子固体電解質22と同じものである。好ましくは、電極層16内の高分子固体電解質22とセパレータ層18内の高分子固体電解質22とが一体に形成されることである。ここで、一体に形成されるとは、一つの高分子固体電解質溶液から同時に硬化して形成されることをいう。
セパレータ層18の厚みは特に限定されないが、電池に製造する前の電極シート10での厚みとして、3~150μmであることが好ましく、より好ましくは3~40μmである。セパレータ層18を構成する無機層26および高分子固体電解質層28の厚みについても特に限定されないが、電池に製造する前の電極シート10での厚みとして、無機層26の厚みが2~20μmであることが好ましく、より好ましくは2~10μmであり、高分子固体電解質層28の厚みが1~130μmであることが好ましく、より好ましくは1~30μmである。
一実施形態に係る電極シート10の製造方法としては、例えば、(S1)外装フィルム12に一体化された集電体層14上に活物質層を形成する工程と、(S2)活物質層上に無機酸化物層を形成する工程と、(S3)活物質層および無機酸化物層に高分子固体電解質溶液を充填して硬化させる工程と、を含んでもよい。
工程(S1)では、活物質粒子20を導電剤やバインダーなどの添加剤とともに分散媒に混合してスラリー状の活物質塗料を調製した後、集電体層14に活物質塗料を塗布し、その後、分散媒を乾燥除去する。分散媒としてはN-メチル-2-ピロリドンなどの有機溶媒や水などを用いることができる。活物質塗料をスラリー状にするために、カルボキシメチルセルロール(CMC)などの水溶性高分子を粘度調整剤として添加してもよい。塗布方法としては、特に限定されず、周知の塗工機による塗布の他、スプレー印刷やスクリーン印刷などが例示される。
工程(S2)では、無機酸化物粒子24をバインダーなどの添加剤とともに分散媒に混合してスラリー状の無機酸化物塗料を調製した後、活物質層上に無機酸化物塗料を塗布し、その後、分散媒を乾燥除去する。分散媒としてはN-メチル-2-ピロリドンなどの有機溶媒や水などを用いることができる。塗布方法としては、特に限定されず、スプレー印刷やスクリーン印刷などが例示される。
工程(S3)では、無機酸化物層の表面に高分子固体電解質溶液を供給して、活物質層および無機酸化物層に浸透させる。高分子固体電解質溶液は、リチウム塩およびイオン液体とともに、高分子ポリマーとして架橋反応により架橋ポリマーを形成する反応性化合物と、架橋反応させるための開始剤を含むことが好ましい。高分子固体電解質溶液には、希釈溶媒として有機溶媒を含んでもよい。高分子固体電解質溶液の供給方法は、無機酸化物層の表面から供給した高分子固体電解質溶液が活物質層および無機酸化物層の全体に浸透できれば特に限定されず、公知の塗布方法を利用することができる。高分子固体電解質溶液を供給後、希釈溶媒を揮発させた後、加熱処理することにより架橋硬化して高分子固体電解質が得られる。このとき、高分子固体電解質の表面がタック性を有することが好ましく、タック性を有することにより、セパレータ層18同士またはセパレータ層18と電極層16を貼り合わせる際の界面接合性を向上することができる。
[リチウムイオン二次電池]
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、上述した図1に示す電極シート10を備えたフィルム形状の電池である。図2に示すリチウムイオン二次電池30では、正極シート10Aおよび負極シート10Bとして該電極シート10を用いて、これら正極シート10Aと負極シート10Bを貼り合わせることにより形成されている。
図2において、リチウムイオン二次電池30は、第1外装フィルム12Aと、正極集電体層14Aと、正極層16Aと、セパレータ層32と、負極層16Bと、負極集電体層14Bと、第2外装フィルム12Bとが、この順に積層されている。正極と負極を隔てるセパレータ層32は、正極層16Aと接する第1無機層26Aと、負極層16Bに接する第2無機層26Bと、第1無機層26Aと第2無機層26Bに挟まれた高分子固体電解質層28Aからなる。
正極シート10Aは、第1外装フィルム12Aと、正極集電体層14Aと、正極層16Aと、第1無機層26Aと、高分子固体電解質層28Aの一部を有し、これら各部材の詳細は電極シート10で説明したとおりである。すなわち、正極集電体層14Aは第1外装フィルム12Aに一体化されたものである。正極層16Aは、正極活物質粒子20Aと、該正極活物質粒子20Aの隙間を埋める高分子固体電解質22Aとを含む。第1無機層26Aと高分子固体電解質層28Aの一部で上記セパレータ層18が構成されており、該セパレータ層18は、無機酸化物粒子24Aと、該無機酸化物粒子24Aの隙間を埋める高分子固体電解質22Aとを含む。
負極シート10Bは、第2外装フィルム12Bと、負極集電体層14Bと、負極層16Bと、第2無機層26Bと、高分子固体電解質層28Aの一部を有し、これら各部材の詳細は電極シート10で説明したとおりである。すなわち、負極集電体層14Bは第2外装フィルム12Bに一体化されたものである。負極層16Bは、負極活物質粒子20Bと、該負極活物質粒子20Bの隙間を埋める高分子固体電解質22Bとを含む。第2無機層26Bと高分子固体電解質層28Aの一部で上記セパレータ層18が構成されており、該セパレータ層18は、無機酸化物粒子24Bと、該無機酸化物粒子24Bの隙間を埋める高分子固体電解質22Bとを含む。正極シート10Aの高分子固体電解質22Aと負極シート10Bの高分子固体電解質22Bとは同じ材料を用いることが好ましい。
リチウムイオン二次電池30において、電極層とセパレータ層の合計厚みは0.02mm以上0.3mm以下であることが好ましい。該合計厚みが0.02mm以上であることにより、製造を容易にすることができる。該合計厚みが0.3mm以下であることにより、リチウムイオン二次電池30のフレキシブル性を向上し、電池に曲げ変形を加えたときの内部構造の損傷を抑えて、曲げ試験における容量保持率を高めることができる。該合計厚みは、より好ましくは0.2mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以下である。ここで、電極層とセパレータ層の合計厚みとは、リチウムイオン二次電池30に含まれる全ての電極層とセパレータ層の厚みの合計であり、図2の例では、正極層16Aとセパレータ層32と負極層16Bの合計厚みである。
リチウムイオン二次電池30の厚みは、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.3mm以下である。リチウムイオン二次電池30の各層の厚みは、特に限定されず、電極シート10で説明したとおりである。リチウムイオン二次電池におけるセパレータ層32の厚みは、特に限定されないが、6~200μmであることが好ましく、より好ましくは6~140μmである。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池30の製造方法としては、例えば、(S11)正極シート10Aを作製する工程と、(S12)負極シート10Bを作製する工程と、(S13)正極シート10Aと負極シート10Bを貼り合わせる工程とを含んでもよい。
工程(S11)および工程(S12)では、上記の電極シート10の製造方法に従って、それぞれ正極シート10Aおよび負極シート10Bを作製する。
工程(S13)では、正極シート10Aと負極シート10Bのセパレータ層同士を重ね合わせて、正極シート10Aと負極シート10Bを貼り合わせる。これにより、両者のセパレータ層同士が接合されて一体のセパレータ層32が形成される。
なお、このように正極シート10Aと負極シート10Bの両者にセパレータ層を設けておく代わりに、正極シートと負極シートのいずれか一方にセパレータ層を設けておいて当該セパレータ層に他方のシートの電極層を接合することにより両シートが1つのセパレータ層を共有するようにしてもよい。すなわち、正極シートと負極シートのいずれか一方のシートは外装フィルムに一体化された集電体層に電極層とセパレータ層を積層しておき、他方のシートは外装フィルムに一体化された集電体層に電極層を積層しておく。そして、一方のシートのセパレータ層と他方のシートの電極層を重ね合わせるようにして、両シートを貼り合わせることにより、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を製造してもよい。
このように正極シートと負極シートを貼り合わせる際、本実施形態であると高分子固体電解質にイオン液体を含有させたことにより、高分子固体電解質を含むセパレータ層および/または電極層の表面のタック性を向上することができる。そのため、正極シートと負極シートのセパレータ層同士を貼り合わせる際、あるいは、正極シートと負極シートのいずれか一方のシートのセパレータ層と他方のシートの電極層とを貼り合わせる際に、両者の接合界面での一体化効果を高めることができ、その結果、接触抵抗を低減することができる。
以上説明した本実施形態によれば、高出力の充放電においても、安全でフレキシブルで、かつ良好な出力特性を有する、フィルム形状の薄膜リチウムイオン二次電池を得ることができる。また、大面積または多様な形状の薄膜リチウムイオン二次電池が得られる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、モバイル機器電源のみならず、ウェアラブル機器、電動工具、電動自転車、電動車椅子、ロボット、電気自動車、非常用電源および大容量定置電源として搭載される中型もしくは大型リチウムイオン二次電池にも有用である。
以下、実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[外装材兼集電体の作製]
集電体層を構成する厚さ35μmの金属箔(アルミニウム箔)の片面全体に接着剤を塗布して、外装フィルムを構成する耐熱性樹脂からなる二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り合わせた。PETフィルムの厚みは15μmとした。次に、アルミニウム箔のもう一方の片面において、金属露出部以外に接着剤を塗布して、熱可塑性樹脂からなる熱融着性フィルム(ポリプロピレンフィルム)を貼り合わせた後、金属露出部周縁に沿って該熱融着性フィルムを切り離すことにより金属露出部を有する外装材兼集電体を作製した。熱融着性フィルムの厚みは40μmとした。金属露出部としては、35mm×35mmの電極形成部と、35mm×5mmの端子形成部を形成した。
図3は実施例で作製したリチウムイオン二次電池の平面図であり、図4はそのIV-IV線断面図である。図示されるように、外装材兼集電体40は、外装フィルムとなるPETフィルム42に、集電体層をなすアルミニウム箔44が一体化されている。また、アルミニウム箔44のPETフィルム42とは反対側の面には、熱融着性フィルムからなる熱融着性樹脂層46が設けられており、熱融着性樹脂層46を切除した金属露出部として、電極形成部48および端子形成部50が設けられている。
[正極活物質層の作製]
正極活物質粒子としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3を92g、導電剤としてアセチレンブラック(デンカ社製、Li-400)2g及び合成黒鉛(Timcal社製、KS6)4gと、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(クレハ社製)4g、分散媒としてN-メチル-2-ピロリドン67g、を遊星式ミキサーで混合することにより、固形分60質量%の正極活物質塗料を得た。塗工機を用いて、外装材兼集電体の電極形成部に正極活物質塗料を印刷塗布した後、130℃で減圧乾燥を行うことにより正極活物質層を形成した。
[負極活物質層の作製]
負極活物質粒子としてLiTi12を92g、導電剤としてアセチレンブラック(デンカ社製、Li-400)を5g、増粘剤としてCMC(第一工業製薬社製)を1.5g、バインダーとしてSBR(JSR社製)を1.5g(固形分換算)、分散媒として純水75g、を遊星式ミキサーで混合することにより、固形分40質量%の負極活物質塗料を得た。塗工機を用いて、外装材兼集電体の電極形成部に負極活物質塗料を印刷塗布した後、130℃で減圧乾燥を行うことにより負極活物質層を形成した。
[無機酸化物層の作製]
無機酸化物粒子としてLAGP(Li1.5Al0.5Ge1.512、D50=1.2μm)を97g、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(クレハ社製)を3g、及び分散媒としてN-メチル-2-ピロリドン40g、を遊星式ミキサーで混合することにより、固形分60質量%の無機酸化物塗料を得た。スプレー印刷機を用いて、上記の正極活物質層および負極活物質層の各表面に乾燥後厚みが8μmとなるようにそれぞれ塗布した後、130℃で減圧乾燥を行うことにより、表面に無機酸化物層をそれぞれ備えた正極シートおよび負極シートを得た。
[高分子固体電解質溶液の作製]
リチウム塩であるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)(キシダ化学社製、リチウムバッテリーグレード(LBG))を56質量部、イオン液体の電解液溶媒である1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMImFSI)(第一工業製薬社製、エレクセルIL-110)を70質量部、高分子ポリマーとなる反応性化合物として4官能ポリエーテルアクリレート(第一工業製薬社製、エレクセルTA-210)を30質量部、アゾ系の開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、V-65)を0.9質量部、及び希釈溶剤であるジメトキシエタン(キシダ化学社製、1,2-Dimethoxyethane)(DME)144質量部を混合することにより、高分子固体電解質の溶液を調製した。リチウム塩の含有量が、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、3.0mol/kgとなるように調製した。
[リチウムイオン二次電池の作製]
無機酸化物層を設けた上記正極シートの当該無機酸化物層上に上記の高分子固体電解質溶液を200g/m塗布した後、真空条件下において常温でジメトキシエタンを留去し、次いで、真空条件下において80℃で12時間以上加熱処理することにより高分子固体電解質を硬化させてセパレータ層を備える正極シートを作製した。また、無機酸化物層を設けた上記負極シートについても、同様の方法により、高分子固体電解質を硬化させてセパレータ層を備える負極シートを作製した。
得られた正極シートと負極シートを用いてセパレータ層同士を重ねて貼り合わせた後、上記外装材兼集電体の熱融着性樹脂層にてヒートシールした。詳細には、図3および図4に示すように、正極シート10Aと負極シート10Bとを、それぞれの端子形成部50,50が重なり合わずに露出し、かつ正極シート10Aのセパレータ層18Aと負極シート10Bのセパレータ層18Bとを重ね合わせるようにして貼り合わせて、一体化されたセパレータ層32を形成した。その際、本実施例によれば、高分子固体電解質が硬化したセパレータ層18A,18B同士を重ね合わせる際に、両者の表面のタック性により接合界面が良好に接着し、セパレータ層18A,18Bが境界なく接合一体化されていた。その後、正極シート10Aと負極シート10Bの熱融着性樹脂層46同士の重ね合わせ部に熱をかけて融着させた。これにより、正極面積が10.2[cm]、負極面積が9.0[cm]であるフィルム形状のリチウムイオン二次電池を得た。
得られた実施例1のリチウムイオン二次電池について、正極層16A、負極層16Bおよびセパレータ層32の各厚み、ならびにこれらの合計厚みを下記表1に示すとともに、下記評価方法により、1C放電特性およびR10曲げ試験の評価を行った。
<実施例2~6、比較例2>
実施例2~6および比較例2について、下記表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、1C放電特性およびR10曲げ試験の評価を行った。
詳細には、実施例2~6では無機酸化物粒子としてLAGPに代えてアルミナ(Al、D50=0.5μm)を用いた。そして、実施例3,4では正極層16Aと負極層16Bとセパレータ層32の厚みを表1に示すように変更し、実施例5,6では高分子固体電解質におけるリチウム塩濃度を表1に示すように変更した。
一方、比較例2では、高分子固体電解質溶液の組成を、LiFSIが56質量部、4官能ポリエーテルアクリレートが100質量部、アゾ系開始剤が3質量部、及びジメトキシエタンが144質量部として、イオン液体を含まない組成とした。
<比較例1>
実施例1における「正極活物質層の作製」で得られた正極シートと「負極活物質層の作製」で得られた負極シートとの間に、セパレータとしてポリオレフィン系単層セパレータ(セルガード社製#2500;厚さ25μm、空孔率55%、ガーレ透気度200秒)を挟んで積層し、各正負極に正極端子と負極端子を超音波溶接した。この積層体をアルミラミネート包材に入れ、注液用の開口部を残してヒートシールして、正極面積10.2[cm]、負極面積9.0[cm]である注液前電池を作製した。次にエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを混合した溶媒にLiPFを溶解させた電解液を注液し、開口部をヒートシールし、比較例1のリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、1C放電特性およびR10曲げ試験の評価を行った。
<比較例3>
実施例1において、無機酸化物層を設けない以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、1C放電特性およびR10曲げ試験の評価を行った。
[リチウムイオン二次電池の充放電試験]
容量確認試験として、0.1C電流値にてCC(定電流)充電した後、0.1C電流値にてCC放電を行って、0.1C放電容量を求めた。充電および放電はいずれも約10時間行った。充放電の電圧範囲は1.7V~2.8Vに設定した。なお、0.1C電流値とは、セル容量を1時間で放電できる電流値1Cの0.1倍の電流値である。
1C放電特性試験として0.1C電流値にてCC充電した後、1C電流値にてCC放電を行ったときの比容量および容量保持率を算出した。充放電の電圧範囲は1.7V~2.8Vに設定した。ここで、比容量[mAh/g]は、セルに含まれる正極活物質粒子の質量[g]当りの充放電容量を示す。また、容量保持率[%]は、容量確認試験で得られた0.1C放電容量に対する1C放電容量の比率から算出した。
R10曲げ試験として試験電池を曲率半径約10mmの棒に巻付けて曲げた状態にて、0.1C電流値にてCC充電した後、0.1C電流値にてCC放電を行ったときの0.1C放電容量を求めた。充放電の電圧範囲は1.7V~2.8Vに設定した。R10曲げ試験の容量保持率[%]は、容量確認試験で得られた0.1C放電容量に対する、R10曲げ試験で得られた0.1C放電容量の比率から算出した。
結果は表1に示すとおりである。汎用の液体電解液を用いたリチウムイオン二次電池である比較例1では、1C放電特性には優れているものの、可撓性に劣るため、R10曲げ試験において電池を棒に巻き付けることができず、R10曲げ試験評価は実施できなかった。そのため、表1において「×」と表示した。
これに対し、実施例1~6であると、1C充放電レートにおける容量保持率が比較例1とほぼ同等であり、放電特性に優れていた。また、R10曲げ試験での容量保持率が高く、柔軟で可撓性を持つものであった。セパレータ層としては、無機酸化物粒子として固体電解質LAGPを用いた実施例1だけでなく、アルミナを用いた実施例2でも1C放電特性における比容量および容量保持率ともに同等であり、優れた放電特性が得られた。なお、実施例4ではR10曲げ試験での容量保持率が他の実施例に比べてわずかに低下していた。このことからフレキシブル性の観点からは電池の厚みが薄い方が好ましいといえる。
一方、比較例2では、高分子固体電解質にイオン液体を含めていないので、十分な1C放電特性が得られなかった。そのため、R10曲げ試験は実施しておらず、表1において「×」と表示した。比較例3では、無機酸化物粒子と高分子固体電解質からなるセパレータ層を有していないため、R10曲げ試験における容量保持率が低下していた。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (4)

  1. 外装フィルムに一体化された集電体層と、
    前記集電体層上に形成され、活物質粒子と該活物質粒子の隙間を埋める高分子固体電解質とを含む電極層と、
    前記電極層上に形成され、無機酸化物粒子と該無機酸化物粒子の隙間を埋める前記高分子固体電解質とを含むセパレータ層と、
    を有する電極シートを備え、
    前記電極層内の前記高分子固体電解質と前記セパレータ層内の前記高分子固体電解質とが一体に形成され、
    前記高分子固体電解質はリチウム塩とイオン液体と高分子ポリマーとを含み、
    前記イオン液体は、カチオン成分、およびアニオン成分としてビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含み、
    前記高分子ポリマーは、架橋可能な反応基を有する反応性化合物を架橋反応させて得られる架橋ポリマーを含み、前記反応性化合物が、2官能以上の(メタ)アクリレート系化合物および2官能以上のオキセタン系化合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    前記イオン液体の含有量が、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して60質量%以上75質量%以下である、
    リチウムイオン二次電池。
  2. 前記反応性化合物が3官能以上のポリエーテル(メタ)アクリレートを含む、請求項に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記リチウム塩の含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記電極層と前記セパレータ層の合計厚みが0.02mm以上0.3mm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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