JP7719665B2 - ハードコート組成物、ならびにハードコートフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
ハードコート組成物、ならびにハードコートフィルムおよびその製造方法Info
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Description
二重結合を有するフッ素化合物を含有するハードコート組成物であり、
シルセスキオキサン化合物が一般式(3)で表されるT3構造と、一般式(4)で表されるT2構造を含み、
ハードコート組成物。
(一般式(1)において、Xは脂環式エポキシ基を含む1価の有機基であり、
一般式(2)において、Yは(メタ)アクリロイル基を含む1価の有機基であり、
一般式(1)および一般式(2)において、R1は水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、R2は水素原子、または炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~25のアリール基および炭素数7~12のアラルキル基からなる群から選択される1価の有機基であり、xは2または3であり、
一般式(3)および一般式(4)において、Qは任意の1価の有機基であり、
一般式(4)において、Zは水素原子、または炭素数1~10のアルキル基を有するアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~25のアリール基および炭素数7~12のアラルキル基からなる群から選択される1価の有機基である。)
前記第2のハードコート層は、一般式(1)で表されるシラン化合物を含むシラン化合物の縮合物であるシルセスキオキサン化合物を含有するハードコート組成物の硬化物であり、シルセスキオキサン化合物の重量平均分子量が500~20000であり、シルセスキオキサン化合物が一般式(3)で表されるT3構造と、一般式(4)で表されるT2構造を含み、T3構造とT2構造の含有量の比T3/T2が5未満であり、
第1のハードコート層の厚みが0.5~100μmであり、第2のハードコート層の厚みが、0.5~100μmであることを特徴とする[2]に記載のハードコートフィルム。
そのハードコートフィルム上に、[1]に記載のハードコート組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して、前記ハードコート組成物を硬化する、ハードコートフィルムの製造方法。(一般式(1)において、Xは脂環式エポキシ基を含む1価の有機基であり、R1は水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、R2は水素原子、または炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~25のアリール基および炭素数7~12のアラルキル基からなる群から選択される1価の有機基であり、xは2または3である。)
下記一般式(1)で表されるシラン化合物(シラン化合物(1)とも表す)と一般式(2)で表されるシラン化合物(シラン化合物(2)とも表す)とを含むシラン化合物の縮合物であり、
シルセスキオキサン化合物の重量平均分子量が500~20000であり、
シルセスキオキサン化合物が一般式(3)で表されるT3構造と、一般式(4)で表されるT2構造を含み、
T3構造とT2構造の含有量の比T3/T2が5未満である、
るシルセスキオキサン化合物。
(一般式(1)において、Xは脂環式エポキシ基を含む1価の有機基であり、
一般式(2)において、Yは(メタ)アクリロイル基を含む1価の有機基であり、
一般式(1)および一般式(2)において、R1は水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、R2は水素原子、または炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~25のアリール基および炭素数7~12のアラルキル基からなる群から選択される1価の有機基であり、xは2または3であり、
一般式(3)および一般式(4)において、Qは任意の1価の有機基であり、
一般式(4)において、Zは水素原子、または炭素数1~10のアルキル基を有するアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~25のアリール基および炭素数7~12のアラルキル基からなる群から選択される1価の有機基である。)
このような(メタ)アクリロイル基置換アルキル基の具体例としては例えば、1-(メタ)アクリロイルオキシメチル基、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル基、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル基、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシル基、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチル基、等が挙げられる。
架橋点密度を高めて、硬化物の硬度を向上させるとの観点から、一般式(1)及び一般式(2)で表されるシラン化合物の加水分解および縮合により得られるシルセスキオキサン化合物におけるエポキシ構造の残存率は、高い方が好ましい。
本発明のハードコート組成物は、二重結合を有するフッ素化合物を含む。二重結合を有するフッ素化合物を含むことで、硬化性組成物の表面張力を低下させたり、表面平滑性を向上させたり、滑り性を向上させたり、防指紋性を向上させたり、耐擦傷性を向上させたりすることができる。レベリング剤は、エポキシ基と反応性を有する基及びまたは加水分解縮合性基を有することが好ましい。エポキシ基と反応性を有する基及びまたは加水分解縮合性基を有することで、より耐擦傷性に優れたハードコート層を得ることができる。
好ましい二重結合を有する官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、シンナモイル基が挙げられるが、その中でもラジカル重合性基が好ましく、中でもアクリロイル基、メタクリロイル基が特に好ましい。
重合性不飽和基を有する二重結合を有するフッ素化合物の重量平均分子量(Mw)は、分子排斥クロマトグラフィー、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。本発明で用いられる二重結合を有するフッ素化合物のMwは400以上50000未満が好ましく、400以上30000未満がより好ましく、400以上25000未満が更に好ましい。
二重結合を有するフッ素化合物の添加量は、シルセスキオキサン化合物100重量部に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.3~8質量%がより好ましく、0.5~5質量%が特に好ましい。
本発明のハードコート組成物は、一般式(1)で表されるシラン化合物と一般式(2)で表されるシラン化合物とを含むシラン化合物の縮合物であるシルセスキオキサン化合物と、二重結合を有するフッ素化合物を含有するハードコート組成物である。本発明のハードコート組成物は、さらに、光カチオン重合開始剤や光ラジカル重合開始剤、表面調整剤、表面改質剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
機械強度に優れるハードコート硬化膜を形成する観点から、ハードコート組成物中の上記シルセスキオキサン化合物の含有量は、固形分の合計100重量部に対して40重量部以上が好ましく、50重量部以上がより好ましく、60重量部以上がさらに好ましい。
ハードコート組成物は、硬化触媒として、熱カチオン重合開始剤または光カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。熱カチオン重合開始剤は、加熱により酸を発生する化合物(熱酸発生剤)であり、光カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)である。熱及び光酸発生剤から生成した酸により、上記のシルセスキオキサン化合物が含有するエポキシ基の開環反応および重合反応が進行し、分子間架橋が形成されハードコート材料が硬化する。
ハードコート組成物は、硬化触媒として、光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。光ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によりラジカル種を発生する化合物である。光ラジカル重合開始剤から生成したラジカル種により、上記のシルセスキオキサン化合物が有する(メタ)アクリロイル基と上記の二重結合を有するフッ素化合物の反応が進行し、二重結合を有するフッ素化合物がハードコート表面に固定される。
ハードコート組成物は、さらに、反応性添加剤として、上記のシルセスキオキサン化合物以外のカチオン重合性化合物、または、ラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。光カチオン重合の反応性添加剤としては、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基、アルコキシシリル基等のカチオン重合性官能基を有する化合物が用いられる。中でも、シルセスキオキサン化合物のエポキシ基との反応性が高いことから、反応性添加剤としてはエポキシ基を有するものが好ましい。また、光ラジカル重合の反応性添加剤としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、シンナモイル基等のラジカル重合性官能基を有する化合物が用いられる。中でも、シルセスキオキサン化合物の(メタ)アクリロイル基との反応性が高いことから、反応性添加剤としては(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
本発明のハードコート組成物において、光重合開始剤の感光性を向上させる目的で、光増感剤を使用してもよい。光増感剤としては、使用する光重合開始剤では吸収できない波長域の光を吸収することで光重合開始剤の感光性を向上させるタイプと、光重合開始剤と吸収する波長域に大きな差異はないものの光重合開始剤の感光性を向上させるタイプのいずれを用いても良い。使用する光重合開始剤では吸収できない波長域の光を吸収するタイプを用いる場合には、光重合開始剤の吸収波長域とは異なる波長域に強い吸収を持つものが好ましい。
本発明のハードコート組成物は、膜特性(表面硬度や耐屈曲性)の調整や、硬化収縮の抑制等を目的として粒子を含んでいてもよい。粒子としては、有機粒子、無機粒子、有機無機複合粒子等を適宜選択して用いればよい。有機粒子の材料としては、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、架橋ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、架橋スチレン、ナイロン、シリコーン、架橋シリコーン、架橋ウレタン、架橋ブタジエン等が挙げられる。無機粒子の材料としては、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化スズ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化アンチモン等の金属酸化物;窒化珪素、窒化ホウ素等の金属窒素化物、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム等の金属塩等が挙げられる。有機無機複合フィラーとしては、有機粒子の表面に無機物層を形成したものや、無機粒子の表面に有機物層または有機微粒子を形成したものが挙げられる。
本発明のハードコート組成物は、溶媒を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。溶媒を含む場合には、樹脂基材を溶解させないものが好ましい。溶媒の含有量としては、本発明のシルセスキオキサン化合物100重量部に対して500重量部以下が好ましく、300重量部以下がより好ましく、100重量部以下がさらに好ましい。
本発明のハードコート組成物は、無機顔料や有機顔料、表面調整剤、表面改質剤、可塑剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、ハードコート組成物は、上記のシルセスキオキサン化合物以外の熱可塑性または熱硬化性の樹脂材料を含んでいてもよい。
透明樹脂基材上にハードコート組成物を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去した後、活性エネルギー線を照射してハードコート組成物を硬化することにより、透明樹脂基材上に第1のハードコート層が形成されたハードコートフィルムが得られる。第1のハードコート層は、透明樹脂基材の一方の面のみに形成してもよく、透明樹脂基材の両方の面に形成してもよい。
透明樹脂基材は、ハードコート層形成の土台となるフィルム基材である。透明樹脂基材の全光線透過率は80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。透明樹脂基材のヘイズは、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。
前述のハードコート層(第1のハードコート層)と透明樹脂基材との間に、更に別のハードコート層(第2のハードコート層)を設けることができる。第2のハードコート層を設けることで、ハードコートフィルムの反りを小さくすることができる。
第2のハードコート層に含まれるシルセスキオキサン化合物中のSi原子の総数に対する一般式(1)で表されるシラン化合物の割合は、反りを抑制する観点から0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましく、1であってもよい。
上記ハードコート組成物は、硬化触媒として、熱カチオン重合開始剤または光カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。熱カチオン重合開始剤は、加熱により酸を発生する化合物(熱酸発生剤)であり、光カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)である。熱及び光酸発生剤から生成した酸により、上記のシルセスキオキサン化合物が含有するエポキシ基の開環反応および重合反応が進行し、分子間架橋が形成されハードコート材料が硬化する。
透明樹脂基材上に、一般式(1)で表されるシラン化合物を含むシラン化合物の縮合物であるシルセスキオキサン化合物を含有するハードコート組成物を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去した後、活性エネルギー線を照射してハードコート組成物を硬化したのちに、一般式(1)で表されるシラン化合物と一般式(2)で表されるシラン化合物とを含むシラン化合物の縮合物であるシルセスキオキサン化合物と二重結合を有するフッ素化合物を含有するハードコート組成物を含有するハードコート組成物を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去した後、活性エネルギー線を照射してハードコート組成物を硬化することにより、第2のハードコート層と第1のハードコート層とを有するハードコートフィルムが得られる。
本発明のハードコート組成物の硬化により形成されるハードコート層は、樹脂基材との密着性に優れる。また、ハードコート組成物は、シルセスキオキサン化合物がエポキシ基の開環および重合反応により架橋されたポリマーマトリクスを有するため、ガラスに匹敵する表面硬度を実現し得る。本発明のハードコートフィルムの本発明のハードコート層形成面の鉛筆硬度はHB以上が好ましく、H以上がより好ましく、2H以上がさらに好ましく、3H以上が特に好ましい。
本発明のハードコート組成物が粒子を含む場合、光硬化後のハードコート層にも粒子が含まれる。ハードコート組成物が、エポキシ基と反応可能な重合性官能基を有する粒子を含む場合、光硬化後のハードコート層は、シルセスキオキサン化合物と粒子との間に化学架橋が形成されていることが好ましい。
ハードコートフィルムは、ハードコート層上、または樹脂基材のハードコート層非形成面には、各種の機能層を設けてもよい。機能層としては、反射防止層、防眩層、帯電防止層、透明電極等が挙げられる。また、ハードコートフィルムには、透明粘着剤層が付設されてもよい。
重量平均分子量は、GPCにより測定した。東ソー社製GPC装置HLC-8220GPC(カラム:TSKgel GMHXL×2本、TSKgel G3000HXL,TSKgel G2000HXL)を用い、溶媒としてTHFを用い、ポリスチレン換算で算出した。
アジレント社製600MHz-NMRを用いて、29Si-NMR測定を実施することにより、T3体とT2体の含有量およびその割合[T3体]/[T2体]をそれぞれ算出した。
ブルカー社製400MHz-NMRを用いて、重アセトンを溶媒として1H-NMR測定を実施することにより、反応後に得られた縮合物のエポキシ基およびアクリロイル基の残存量を算出した。
(合成例1)
温度計、撹拌装置、還流冷却管を取り付けた反応容器に、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-303)(44.4g;180mmol)、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製、A1597)(14.1g;60mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(14.7g)およびメタノール(5.15g)を順に仕込み、均一に撹拌した。この混合液に、水(8.65g;480mmol)に溶解した塩化マグネシウム(34.3mg;0.36mmol)溶液をゆっくりと滴下し、均一になるまで撹拌した。その後、80℃に昇温し、撹拌しながら6時間重縮合反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧脱揮および濃縮を行い、縮合物中のメタノールおよび水を除去して、シルセスキオキサン化合物1を得た。
得られたシルセスキオキサン化合物を分析したところ、重量平均分子量Mwは3200、1H-NMR測定により算出されるメトキシ基の残存率は4.9%、エポキシ基の残存率は95%以上、アクリロイル基の残存率は99%以上、29Si-NMR測定により算出される[T3体]/[T2体]は2.1であった。また、上記仕込み重量に基づいて算出した塩化マグネシウム(中性塩触媒)の含有量は807ppmであった。
温度計、撹拌装置、還流冷却管を取り付けた反応容器に、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-303)(18.5g;75mmol)、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製、A1597)(17.6g;75mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(9.19g)およびメタノール(3.22g)を順に仕込み、均一に撹拌した。この混合液に、水(5.41g;300mmol)に溶解した塩化マグネシウム(21.4mg;0.225mmol)溶液をゆっくりと滴下し、均一になるまで撹拌した。その後、80℃に昇温し、撹拌しながら6時間重縮合反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧脱揮および濃縮を行い、縮合物中のメタノールおよび水を除去して、シルセスキオキサン化合物2を得た。
得られたシルセスキオキサン化合物を分析したところ、重量平均分子量Mwは3100、1H-NMR測定により算出されるメトキシ基の残存率は4.2%、エポキシ基の残存率は95%以上、アクリロイル基の残存率は99%以上、29Si-NMR測定により算出される[T3体]/[T2体]は2.1であった。また、上記仕込み重量に基づいて算出した塩化マグネシウム(中性塩触媒)の含有量は819ppmであった。
温度計、撹拌装置、還流冷却管を取り付けた反応容器に、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-303)(9.24g;37.5mmol)、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製、A1597)(26.4g;112.5mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(9.19g)およびメタノール(3.22g)を順に仕込み、均一に撹拌した。この混合液に、水(5.41g;300mmol)に溶解した塩化マグネシウム(21.4mg;0.225mmol)溶液をゆっくりと滴下し、均一になるまで撹拌した。その後、80℃に昇温し、撹拌しながら6時間重縮合反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧脱揮および濃縮を行い、縮合物中のメタノールおよび水を除去して、シルセスキオキサン化合物3を得た。
得られたシルセスキオキサン化合物を分析したところ、重量平均分子量Mwは3000、1H-NMR測定により算出されるメトキシ基の残存率は3.8%、エポキシ基の残存率は95%以上、アクリロイル基の残存率は99%以上、29Si-NMR測定により算出される[T3体]/[T2体]は2.1であった。また、上記仕込み重量に基づいて算出した塩化マグネシウム(中性塩触媒)の含有量は835ppmであった。
温度計、撹拌装置、還流冷却管を取り付けた反応容器に、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-303)(1.97g;8mmol)、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製、A1597)(16.87g;72mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4.90g)およびメタノール(1.72g)を順に仕込み、均一に撹拌した。この混合液に、水(2.88g;160mmol)に溶解した塩化マグネシウム(11.4mg;0.12mmol)溶液をゆっくりと滴下し、均一になるまで撹拌した。その後、80℃に昇温し、撹拌しながら6時間重縮合反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧脱揮および濃縮を行い、縮合物中のメタノールおよび水を除去して、シルセスキオキサン化合物4を得た。
得られたシルセスキオキサン化合物を分析したところ、重量平均分子量Mwは3000、1H-NMR測定により算出されるメトキシ基の残存率は3.6%、エポキシ基の残存率は95%以上、アクリロイル基の残存率は99%以上、29Si-NMR測定により算出される[T3体]/[T2体]は2.1であった。また、上記仕込み重量に基づいて算出した塩化マグネシウム(中性塩触媒)の含有量は843ppmであった。
温度計、撹拌装置、還流冷却管を取り付けた反応容器に、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業製「KBM-303」)(61.6g;250mmol)、および1-メトキシ-2-プロパノール(PGME)(15.3g)を仕込み、均一に撹拌した。この混合液に、水(9.0g;499mmol)に溶解した塩化マグネシウム(35.7mg;0.375mmol)溶液を、5分かけて滴下し、均一になるまで撹拌した。その後、80℃に昇温し、撹拌しながら6時間重縮合反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターにより溶媒および水を留去して、シルセスキオキサン化合物4を得た。
得られたシルセスキオキサン化合物を分析したところ、重量平均分子量Mwは3300、1H-NMR測定により算出されるメトキシ基の残存率は4.6%、エポキシ基の残存率は95%以上、29Si-NMR測定により算出される[T3体]/[T2体]は2.3であった。また、上記仕込み重量に基づいて算出した塩化マグネシウム(中性塩触媒)の含有量は800ppmであった。
温度計、撹拌装置、還流冷却管を取り付けた反応容器に、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-303)(44.4g;180mmol)、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製、A1597)(14.1g;60mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(14.7g)およびメタノール(5.15g)を順に仕込み、均一に撹拌した。この混合液に、水(8.65g;480mmol)に溶解した炭酸カリウム(49.8mg;0.36mmol)溶液をゆっくりと滴下し、均一になるまで撹拌した。その後、80℃に昇温し、撹拌しながら6時間重縮合反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧脱揮および濃縮を行い、縮合物中のメタノールおよび水を除去して、シルセスキオキサン化合物6を得た。
(実施例1:ハードコートフィルム1の作製)
合成例1にて得られたシルセスキオキサン化合物1をプロピレングリコールモノメチルエーテルで50%に希釈した。シルセスキオキサン化合物100重量部に対して、光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製:CPI-101A)のプロピレンカーボネート50%溶液を固形分にして2重量部配合し、光ラジカル重合開始剤(富士フイルム和光純薬社製:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure184))を固形分にして1重量部配合し、二重結合を有するフッ素化合物(DIC社製:RS-90)を固形分にして0.5重量部配合して、ハードコート組成物1を得た。
合成例2~6にて得られたシルセスキオキサン化合物2~6を使用し、配合量と厚みを表1に記載したように変更する以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルム2~6を得た。
合成例1にて得られたシルセスキオキサン化合物1をプロピレングリコールモノメチルエーテルで50%に希釈した。シルセスキオキサン化合物100重量部に対して、光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製:CPI-101A)のプロピレンカーボネート50%溶液を固形分にして2重量部配合し、光ラジカル重合開始剤(富士フイルム和光純薬社製:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure184))を固形分にして1重量部配合し、二重結合を有するフッ素化合物(DIC社製:RS-90)を固形分にして0.5重量部配合して、ハードコート組成物1を得た。
次に、合成例5にて得られたシルセスキオキサン化合物5をプロピレングリコールモノメチルエーテルで50%に希釈した。シルセスキオキサン化合物100重量部に対して、光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製:CPI-101A)のプロピレンカーボネート50%溶液を固形分にして0.5重量部配合し、レベリング剤(ビックケミー社製:BYK-300)を固形分にして0.25重量部配合して、ハードコート組成物7を得た。
硬化させたハードコート層表面を、コロナスキャナーを用いて放電出力が600W・min/m2となるようにコロナ処理した後、ハードコート層上に、ハードコート組成物1を乾燥膜厚が15μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃で10分間加熱した。その後、室温、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて、波長365nmの積算光量が600mJ/cm2となるように紫外線を照射することで、ハードコート組成物を硬化させて、ハードコートフィルム7を得た。
ハードコート組成物1の代わりに、合成例2~4にて得られたシルセスキオキサン化合物2~4を使用したハードコート組成物2~4を使用し、配合量と厚みを表2に記載したように変更する以外は実施例5と同様にして、ハードコートフィルム8~10を得た。
JIS K5600-5-1:1999に従い、樹脂基材上に形成されたハードコート層を外側として、タイプ1の試験機を用いて円筒型マンドレル試験を行った。マンドレル試験の結果は、ハードコート層の厚みに大きく依存するため、ハードコート層厚みが近しいもの同士で比較することが好ましい。ハードコート層の厚みが同じであれば、マンドレルの径が小さいほど、耐屈曲性に優れることを示す。また、マンドレル径が同じであれば、ハードコート層の厚みが厚いほど、耐屈曲性に優れることを示す。
JIS K5600-5-4:1999に従い、750gの荷重にてハードコート層形成面の鉛筆硬度を測定し、表面硬度の評価を行った。
樹脂基材上に形成されたハードコート層を上面として、液滴として水を用いる液滴法により、接触角測定を行った。
新東科学社製往復摩耗試験機TYPE30を用いて、ハードコートフィルムの表面の摩擦試験を以下の条件で行い、耐擦傷性を評価した。
摩擦子:日本スチールウール社製スチールウール #0000番手
摩擦子接触面積:Φ2.5cm、円形
摩擦距離(片道):5cm
摩擦速度:10cm/s(1往復/s)
荷重:500g
所定の往復回数摩擦試験後のハードコートフィルムの表面を目視で観察し、傷が発生した摩擦回数を計測し、以下のように評価した。
〇:1500回摩擦しても傷付かない
×:1500回摩擦するまでに傷付く
スチールウール試験後に、前記接触角を測定することで、スチールウール試験後接触角を測定した。スチールウール試験前後の接触角変化が小さいほど、ハードコートの耐擦傷性が高く、防汚性に優れる。
スチールウール試験後に、試験部分を、アセトンを含ませたクリーニングクロス(東レ社製;トレシーPW)でこすった後、水接触角を測定することで、スチールウール試験後に溶剤払拭後接触角を測定した。溶剤払拭前後の接触角変化が小さいほど、ハードコートの耐擦傷性が高く、防汚性に優れる。
スガ試験機製ヘイズメーターHZ-V3を用いて、JIS K7361-1:1999およびJIS K7136:2000に記載の方法により測定した。なお、測定にはD65光源を用い、全光線透過率は、ハードコートフィルムへの平行入射光束に対する全透過光束(平行光線成分および拡散光線成分)の割合として算出した。
スチールウール試験後に、前述の方法で全光線透過率およびヘイズを測定した。また、スチールウール試験前後のヘイズの変化も計算した。スチールウール試験前後でのヘイズの変化が小さいほど、ハードコートの耐擦傷性が高く、防汚性に優れる。
Claims (7)
- 一般式(1)で表されるシラン化合物と一般式(2)で表されるシラン化合物とを含むシラン化合物の縮合物であるシルセスキオキサン化合物と、
二重結合を有するフッ素化合物を含有するハードコート組成物であり、
シルセスキオキサン化合物の重量平均分子量が500~20000であり、
シルセスキオキサン化合物が一般式(3)で表されるT3構造と、一般式(4)で表されるT2構造を含み、
T3構造とT2構造の含有量の比T3/T2が5未満であり、
前記シルセスキオキサン化合物におけるエポキシ構造の残存率が、60%以上であり、
前記二重結合を有するフッ素化合物が、下記一般式(6)で表されるフッ素系化合物であり、
組成物中の固形分合計100質量部に対して60重量部以上のシルセスキオキサン化合物と、シルセスキオキサン化合物100重量部に対して0.1~10質量%の二重結合を有するフッ素化合物を含む、
ハードコート組成物。
(一般式(1)において、Xは脂環式エポキシ基を含む1価の有機基であり、
一般式(2)において、Yは(メタ)アクリロイル基を含む1価の有機基であり、
一般式(1)および一般式(2)において、R1は水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、
R2は水素原子、または炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~25のアリール基および炭素数7~12のアラルキル基からなる群から選択される1価の有機基であり、
xは2または3であり、
一般式(3)および一般式(4)において、Qは任意の1価の有機基であり、
一般式(4)において、Zは水素原子、または炭素数1~10のアルキル基を有するアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~25のアリール基および炭素数7~12のアラルキル基からなる群から選択される1価の有機基であり、
一般式(6)において、式中、R f は(パー)フルオロアルキル基又は(パー)フルオロポリエーテル基、R 3 は単結合又は連結基、R 4 は重合性不飽和基を表し、nは1~3の整数を表し、mは1~3の整数を表す。)
- 透明樹脂基材の少なくとも一方の面上に、請求項1に記載のハードコート組成物を含む硬化物からなる第1ハードコート層を備える、ハードコートフィルム。
- 前記第1ハードコート層の厚みが、0.5~100μmである、請求項2に記載のハードコートフィルム。
- 前記透明樹脂基材と前記第1ハードコート層の間に、第2ハードコート層をさらに有し、
前記第2のハードコート層は、一般式(1)で表されるシラン化合物を含むシラン化合物の縮合物であるシルセスキオキサン化合物を含有するハードコート組成物の硬化物であり、
シルセスキオキサン化合物の重量平均分子量が500~20000であり、
シルセスキオキサン化合物が一般式(3)で表されるT3構造と、一般式(4)で表されるT2構造を含み、
T3構造とT2構造の含有量の比T3/T2が5未満であり、
第1のハードコート層の厚みが0.5~100μmであり、第2のハードコート層の厚みが、0.5~100μmであることを特徴とする請求項2に記載のハードコートフィルム。
- 上記透明樹脂基材が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、環状ポリオレフィン、アクリル樹脂、およびセルロース系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂材料を含む、請求項2~4に記載のハードコートフィルム。
- 透明樹脂基材上に、請求項1に記載のハードコート組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して、前記ハードコート組成物を硬化する、ハードコートフィルムの製造方法。
- 透明樹脂基材上に、一般式(1)で表されるシラン化合物を含むシラン化合物の縮合物、光カチオン重合開始剤、および、中性塩を1ppm~10000ppm含有する組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して、前記ハードコート組成物を硬化し、
そのハードコートフィルム上に、請求項1に記載のハードコート組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して、前記ハードコート組成物を硬化する、ハードコートフィルムの製造方法。(一般式(1)において、Xは脂環式エポキシ基を含む1価の有機基であり、R1は水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、R2は水素原子、または炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~25のアリール基および炭素数7~12のアラルキル基からなる群から選択される1価の有機基であり、xは2または3である。)
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