以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態で示す例に限られない。
本実施形態に係る金属担持触媒(以下、「本触媒」という。)は、炭素担体と、当該炭素担体に担持された、貴金属合金を含む触媒金属粒子とを含む。
本触媒に含まれる炭素担体は、主に炭素から構成される炭素材料である。炭素担体の炭素含有量は、例えば、70重量%以上であってもよく、75重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、85重量%以上であることが特に好ましい。
また、炭素担体の炭素含有量は、例えば、100重量%以下であってもよいし、95重量%以下であってもよいし、90重量%以下であってもよい。炭素担体の炭素含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。炭素担体の炭素含有量は、元素分析(燃焼法)により得られる。
炭素担体は、炭素化材料であることが好ましい。炭素化材料は、有機物を含む原料の炭素化により得られる。炭素化の原料における有機物の含有量は、例えば、5重量%以上、90重量%以下であってもよく、10重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。
原料に含まれる有機物は、炭素化できるものであれば特に限られない。有機物に含まれ
る有機化合物は、ポリマー(例えば、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂)であっても
よいし、及び/又は、より分子量が小さい有機化合物であってもよい。
炭素担体は、窒素を含むことが好ましい。すなわち、炭素担体は、その炭素構造に窒素原子を含むことが好ましい。窒素を含む炭素担体は、窒素を含む炭素化材料であることが好ましい。窒素含有炭素化材料は、例えば、窒素含有有機物を含む原料の炭素化により得られる。窒素含有有機物は、窒素含有有機化合物を含むことが好ましい。窒素含有有機化合物は、その分子内に窒素原子を含む有機化合物であれば特に限られない。また、炭素担体に含まれる窒素は、窒素ドープ処理により導入されたものであってもよい。
炭素担体の窒素含有量は、例えば、0.10重量%以上であってもよく、0.15重量%以上であることが好ましく、0.20重量%以上であることがより好ましく、0.25重量%以上であることがより一層好ましく、0.30重量%以上であることが特に好ましい。炭素担体の窒素含有量は、例えば、10.00重量%以下であってもよい。炭素担体の窒素含有量は、当該炭素担体の元素分析(燃焼法)により得られる。
炭素担体は、有機物及び金属を含む原料の炭素化により得られる炭素化材料であることが好ましい。この場合、炭素担体は、炭素化後に金属除去処理が施された炭素化材料であってもよい。金属除去処理は、炭素化材料に含まれる原料由来の金属の量を低減する処理である。具体的に、金属除去処理は、例えば、酸による洗浄処理及び/又は電解処理であることが好ましい。
炭素担体が有機物及び金属を含む原料の炭素化により得られる炭素化材料である場合、炭素担体は、当該炭素化の原料に由来する金属(以下、「原料金属」という。)を含むこととしてもよい。この場合、炭素担体は、その多孔質構造を構成する骨格の内部に原料金属を含む。炭素担体が上述のように金属除去処理を経て製造される炭素化材料であっても、炭素担体の骨格の内部には原料金属が残存する。炭素担体に含まれる原料金属のうち、炭素担体の骨格の内部に含まれる原料金属の重量は、炭素担体の骨格の表面に含まれる原料金属の重量より大きいこととしてもよい。
炭素担体の骨格の内部の原料金属は、例えば、当該骨格に表面エッチング処理を行い、当該エッチング処理により露出した断面を分析することで検出され得る。すなわち、この場合、炭素担体の1つの粒子をエッチング処理すると、エッチング処理により露出した当該粒子の断面に原料金属が検出される。炭素担体に含まれる原料金属は、例えば、炭素担体の誘導結合プラズマ発光分光分析によって検出することができる。
炭素担体の原料金属含有量(炭素担体の重量に対する、炭素担体に含まれる原料金属の重量の割合)は、例えば、0.001重量%以上であってもよく、0.005重量%以上であってもよく、0.01重量%以上であってもよく、0.02重量%以上であってもよい。また、炭素担体の原料金属含有量は、例えば、5重量%以下であってもよく、4重量%以下であってもよく、3重量%以下であってもよく、2重量%以下であってもよく、1重量%以下であってもよく、0.8重量%以下であってもよく、0.5重量%以下であってもよい。炭素担体の原料金属含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。炭素担体の原料金属含有量は、例えば、炭素担体の誘導結合プラズマ発光分光分析により得られる。
原料金属は、遷移金属であることが好ましい。すなわち、原料金属は、周期表の3族から12族に属する遷移金属であることが好ましく、周期表の3族から12族の第4周期に属する遷移金属であることが特に好ましい。
原料金属は、白金以外の遷移金属であってもよい。また、原料金属は、貴金属(例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、及び金(Au))以外の遷移金属であってもよい。
具体的に、原料金属は、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタノイド(例えば、ガドリニウム(Gd))及びアクチノイドからなる群からなる群より選択される1種以上であってもよく、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、Fe、Co、Ni、及びZnからなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、Co、Ni、及びZnからなる群より選択される1種以上であることが特に好ましい。
炭素化材料の製造における炭素化は、原料に含まれる有機物が炭素化される温度で当該原料を加熱することにより行う。炭素化温度は、原料が炭素化される温度であれば特に限られず、例えば、1200℃以上であることが好ましく、1300℃以上であることがより好ましく、1400℃以上であることがさらに好ましく、1500℃以上であることが特に好ましい。
また、炭素化温度は、例えば、3000℃以下であってもよく、2500℃以下であることが好ましく、2000℃以下であることが特に好ましい。炭素化温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。炭素化温度までの昇温速度は特に限られず、例えば、0.5℃/分以上、300℃/分以下であってもよい。炭素化は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
炭素化は、常圧(大気圧)下で行ってもよいが、加圧下(大気圧より大きい圧力下)で行うことが好ましい。加圧下で炭素化を行う場合、当該炭素化を行う雰囲気の圧力は、例えば、ゲージ圧で0.05MPa以上であってもよく、ゲージ圧で0.15MPa以上であることが好ましく、0.20MPa以上であることがより好ましく、0.40MPa以上であることがより一層好ましく、0.50MPa以上であることが特に好ましい。炭素化を行う雰囲気の圧力の上限値は特に限られないが、当該圧力は、例えば、ゲージ圧で10MPa以下であってもよい。
炭素担体は、炭素化後に黒鉛化処理が施された炭素化材料であることが好ましい。すなわち、炭素担体は、例えば、有機物を含む原料の炭素化により得られた炭素化材料に黒鉛化処理を施すことにより得られた炭素化材料であることが好ましい。
黒鉛化処理は、黒鉛化が進行する温度で炭素化材料を加熱することにより行う。黒鉛化処理において炭素化材料を加熱する加熱温度は、当該炭素化材料において黒鉛化が進行する温度であれば特に限られないが、当該炭素化材料を得るための炭素化温度より高い温度であることが好ましい。
具体的に、黒鉛化処理における加熱温度は、例えば、1300℃以上であってもよく、1400℃以上であることが好ましく、1500℃以上であることがより好ましく、1600℃以上であることがさらに好ましく、1700℃以上であることがさらに好ましく、1750℃以上であることがさらに好ましく、1800℃以上であることが特に好ましい。
また、黒鉛化処理における加熱温度は、例えば、3000℃以下であってもよく、2500℃以下であることが好ましく、2400℃以下であることがより好ましく、2300℃以下であることがさらに好ましく、2250℃以下であることがさらに好ましく、2200℃以下であることがさらに好ましく、2150℃以下であることがさらに好ましく、2100℃以下であることが特に好ましい。黒鉛化処理における加熱温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。黒鉛化処理における加熱温度までの昇温速度は特に限られず、例えば、0.5℃/分以上、300℃/分以下であってもよい。黒鉛化処理は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
炭素担体が炭素化後に黒鉛化処理が施された炭素化材料である場合、当該黒鉛化処理後の炭素化材料には粉砕処理を施さないことが好ましい。すなわち、炭素担体の製造においては、例えば、原料の炭素化により得られた炭素化材料に粉砕処理を施すことにより、そのメディアン径を調整し、その後、粉砕された炭素化材料に黒鉛化処理を施し、当該黒鉛化処理後の炭素化材料には粉砕処理を施さないことが好ましい。
炭素担体は、触媒活性を示す炭素材料であることが好ましい。すなわち、この場合、炭素担体は、それ自身が単独で触媒活性を示す炭素触媒である。炭素触媒である炭素担体は、上述のように有機物と金属とを含む原料を炭素化することにより得られる炭素化材料であることが好ましい。
炭素担体が示す触媒活性は、例えば、還元活性及び/又は酸化活性であることが好ましく、酸素還元活性及び/又は水素酸化活性であることがより好ましく、少なくとも酸素還元活性であることが特に好ましい。
本触媒において、炭素担体に担持される触媒金属粒子は、貴金属合金を含む。貴金属合金は、貴金属と、貴金属以外の金属(以下、「非貴金属」という。)との合金である。すなわち、貴金属合金は、1種以上の貴金属と、1種以上の非貴金属とを含む。なお、触媒金属粒子は、合金を形成していない貴金属(以下、「純貴金属」ということがある。)をさらに含んでもよい。
貴金属は、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、Ru、Pd、Rh、Ir及びPtからなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、Ptであることが特に好ましい。
すなわち、触媒金属粒子は、白金合金を含むことが好ましい。白金合金は、白金と非貴金属との合金である。すなわち、白金合金は、白金と、1種以上の非貴金属とを含む。また、白金合金は、1種以上の他の貴金属をさらに含んでもよいし、他の貴金属を含まないこととしてもよい。また、触媒金属粒子は、合金を形成していない白金(以下、「純白金」ということがある。)をさらに含んでもよい。
貴金属合金を構成する非貴金属は、貴金属と合金を形成する、貴金属以外の金属であれば特に限られないが、貴金属以外の遷移金属であることが好ましい。具体的に、貴金属合金に含まれる非貴金属は、例えば、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオビウム(Nb)及びセリウム(Ce)からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、Fe、Co及びNiからなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、Co及びNiからなる群より選択される1種以上であることが特に好ましい。
炭素担体が有機物及び原料金属を含む原料の炭素化材料である場合、炭素担体に担持される触媒金属粒子は、当該原料金属と同一種の金属を含むこととしてもよいし、当該原料金属と同一種の金属を含まないこととしてもよい。
触媒金属粒子が有する触媒活性は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、触媒金属粒子は、例えば、還元活性及び/又は酸化活性を示すことが好ましく、酸素還元活性及び/又は水素酸化活性を示すことがより好ましく、少なくとも酸素還元活性を示すことが特に好ましい。
本触媒は、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、ラマンシフト1600cm-1付近(具体的に、例えば、1550cm-1以上、1700cm-1以下の範囲内)にピークトップを有するGバンドの強度に対する、ラマンシフト2680cm-1付近(具体的に、例えば、2600cm-1以上、2800cm-1以下の範囲内)にピークトップを有する2Dバンドの強度の比(以下、「ラマン2D/G比」という。)が0.20以上、1.00以下を示す炭素構造を有することが好ましい。
本触媒のラマン2D/G比は、例えば、0.25以上であることがより好ましく、0.30以上であることがさらに好ましく、0.35以上であることがさらに好ましく、0.40以上であることがさらに好ましく、0.45以上であることがさらに好ましく、0.50以上であることがさらに好ましく、0.55以上であることが特に好ましい。
また、本触媒のラマン2D/G比は、例えば、0.95以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましく、0.85以下であることがさらに好ましく、0.80以下であることがさらに好ましく、0.75以下であることがさらに好ましく、0.70以下であることがさらに好ましく、0.65以下であることがさらに好ましく、0.60以下であることが特に好ましい。本触媒のラマン2D/G比は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
ここで、炭素材料のラマン2D/G比は、当該炭素材料の炭素構造に含まれるグラフェンの積層体を構成する層の数を示す。すなわち、2Dバンドの強度がGバンドの強度よりも大きい場合(ラマン2D/G比>1)は、グラフェンが単層である。2Dバンドの強度がGバンドの強度と同一である場合(ラマン2D/G比=1)は、グラフェンの積層体の層数がおおよそ2層である。2Dバンドの強度がGバンドの強度よりも小さい場合(ラマン2D/G比<1)は、グラフェンの積層体の層数が3層以上である。具体的な積層数は、2Dバンドの強度(ピークトップの高さ)とGバンドの強度(ピークトップの高さ)との比から求めることができる。
小さすぎるラマン2D/G比を示す炭素構造、すなわちグラフェンの積層体の層数が多すぎる炭素構造は、酸化劣化の起点となるエッジ部分のベーサル面に対する相対量が多すぎるため、耐久性に劣る。これに対し、上述した下限値以上のラマン2D/G比を示す炭素構造は、グラフェン積層体の層数が適切な範囲(例えば、2層から3層程度)に制御された少層グラフェン(Few Layer Graphene)を含み、露出しているベーサル面に対するエッジ部分の相対量が適切な範囲内に制御されているため、耐久性の向上に貢献する。
一方、エッジ部分は触媒金属粒子の担持サイトとしても機能する。このため、大きすぎるラマン2D/G比を示す炭素構造は、ベーサル面に対するエッジ部分の相対量が少なすぎるため、触媒金属粒子を担持するための適性に劣る。これに対し、上述した上限値以下のラマン2D/G比を示す炭素構造は、ベーサル面に対して適度な量のエッジ部分を含むため、触媒金属粒子を担持するための適性に優れ、その結果、金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒機能の向上に寄与する。
本触媒は、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、ラマンシフト1340cm-1付近(具体的に、例えば、1320cm-1以上、1360cm-1以下の範囲内)にピークトップを有するDバンドの半値半幅(以下、「ラマンD半値半幅」という。)が41.0cm-1以下を示す炭素構造を有することが好ましい。
本触媒のラマンD半値半幅は、例えば、40.0cm-1以下であることがより好ましく、38.0cm-1以下であることがさらに好ましく、36.0cm-1以下であることがさらに好ましく、34.0cm-1以下であることがさらに好ましく、32.0cm-1以下であることがさらに好ましく、30.0cm-1以下であることがさらに好ましく、28.0cm-1以下であることがさらに好ましく、27.0cm-1以下であることがさらに好ましく、26.5cm-1以下であることがさらに好ましく、26.0cm-1以下であることが特に好ましい。
また、本触媒のラマンD半値半幅は、例えば、20.0cm-1以上であってもよく、21.0cm-1以上であることが好ましく、22.0cm-1以上であることがより好ましく、22.5cm-1以上であることがさらに好ましく、23.0cm-1以上であることがさらに好ましく、23.5cm-1以上であることがさらに好ましく、24.0cm-1以上であることがさらに好ましく、24.5cm-1以上であることが特に好ましい。本触媒のラマンD半値半幅は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
ここで、参考文献 (A. Sadezky et al., Carbon 43 (2005) 1731-1742)によれば、炭素材料のラマンスペクトルにおいて、Dバンドは、グラフェン層のエッジ部分のような乱れた格子に近接した炭素原子由来の成分である。そして、Dバンドの半値半幅は、エッジ部周辺の炭素の結晶性を示す。すなわち、炭素構造におけるエッジ部周辺の炭素の結晶性が高くなるにしたがって、当該炭素構造のラマンD半値半幅は小さくなる。したがって、上述した上限値以下のラマンD半値半幅を示す炭素構造は、エッジ部周辺に結晶性が高い炭素を含むため、耐久性の向上に貢献する。
一方、小さすぎるラマンD半値半幅を示す炭素構造は、エッジ部周辺の炭素の結晶性が高すぎるため、触媒金属粒子を担持するための適性に劣る。これに対し、上述した下限値以上のラマンD半値半幅を示す炭素構造は、エッジ部周辺に適度な結晶性の炭素を含むため、触媒金属粒子を担持するための適性に優れ、その結果、金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒機能の向上に寄与する。
本触媒は、BET比表面積が350(m2/g‐炭素担体)以上であることが好ましい。なお、本明細書において、数値単位の「/g‐炭素担体」は、本触媒に含まれる炭素担体1gあたりの値であることを示す。一方、数値単位の「/g」は、本触媒1gあたりの値であることを示す。
本触媒のBET比表面積は、例えば、400(m2/g‐炭素担体)以上であることがより好ましく、450(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、500(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、550(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、600(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、650(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、700(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、750(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、800(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、850(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、900(m2/g‐炭素担体)以上であることがさらに好ましく、950(m2/g‐炭素担体)以上であることが特に好ましい。また、本触媒のBET比表面積は、例えば、3000(m2/g‐炭素担体)以下であってもよく、2500(m2/g‐炭素担体)以下であってもよく、2000(m2/g‐炭素担体)以下であってもよく、1800(m2/g‐炭素担体)以下であってもよく1600(m2/g‐炭素担体)以下であってもよく、1500(m2/g‐炭素担体)以下であってもよく、1400(m2/g‐炭素担体)以下であってもよく、1300(m2/g‐炭素担体)以下であってもよい。本触媒のBET比表面積は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
本触媒のBET比表面積(m2/g‐炭素担体)は、温度77Kにおける窒素吸着等温線からBET法により得られる本触媒のBET比表面積(m2/g)と、誘導結合プラズマ発光分光分析により得られる本触媒に含まれる炭素担体の重量比とから算出される。
本触媒は、平均細孔径が8.0nm以下であることが好ましい。本触媒の平均細孔径は、例えば、7.0nm以下であることがより好ましく、6.0nm以下であることがさらに好ましく、5.0nm以下であることがさらに好ましく、4.5nm以下であることがさらに好ましく、4.0nm以下であることがさらに好ましく、3.5nm以下であることがさらに好ましく、3.0nm以下であることがさら特に好ましい。また、本触媒の平均細孔径は、例えば、1.0nm以上であってもよく、1.5nm以上であることが好ましく、2.0nm以上であることが特に好ましい。本触媒の平均細孔径は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本触媒の平均細孔径は、温度77Kにおける窒素吸着等温線からBJH法により得られる。
金属担持触媒の平均細孔径が大きすぎると、例えば、当該金属担持触媒を燃料電池の電極触媒として使用する場合、当該金属担持触媒の細孔内にアイオノマーが入り込みやすくなり、その結果、当該細孔内に担持された触媒金属粒子がアイオノマーに被覆され、触媒活性の低下が起こりやすい。これに対し、上述した上限値以下の平均細孔径を有する多孔構造は、細孔内にアイオノマーが入り込みにくいため、耐久性及び/又は触媒機能の向上に寄与する。
また、金属担持触媒の平均細孔径が小さすぎると、触媒金属粒子は細孔内よりも炭素担体の外表面に担持されやすくなるため、耐久性が低くなる。これに対し、上述した下限値以上の平均細孔径を有する多孔構造は、細孔内に触媒金属粒子が効果的に担持されるため、耐久性の向上に寄与する。
本触媒は、本触媒の重量に対する、本触媒に含まれている貴金属(より具体的には、触媒金属粒子に含まれている貴金属)の重量の割合(以下、「貴金属含有量」という。)が35重量%以上であることが好ましい。本触媒の貴金属含有量は、例えば、37重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることがさらに好ましく、42重量%以上であることがさらに好ましく、45重量%以上であることがさらに好ましく、47重量%以上であることが特に好ましい。また、本触媒の貴金属含有量は、例えば、90重量%以下であってもよく、80重量%以下であってもよく、70重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよい。本触媒の貴金属含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本触媒の貴金属含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析により得られる。
本触媒は、本触媒に含まれる非貴金属に対する、本触媒に含まれる貴金属のモル比(以下、「貴金属/非貴金属モル比」という。)が1.0以上であることが好ましい。本触媒の貴金属/非貴金属モル比は、例えば、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましく、2.5以上であることがさらに好ましく、3.0以上であることが特に好ましい。
また、本触媒の貴金属/非貴金属モル比は、例えば、20.0以下であってもよく、15.0以下であることが好ましく、14.0以下であることがより好ましく、13.0以下であることがさらに好ましく、12.0以下であることがさらに好ましく、11.0以下であることがさらに好ましく、10.5以下であることが特に好ましい。本触媒の貴金属/非貴金属モル比は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本触媒の貴金属/非貴金属モル比は、誘導結合プラズマ発光分光分析により得られる、本触媒に含まれる貴金属及び非貴金属のそれぞれのモル分率から算出される。
本触媒は、下記式(I)で算出される合金組成不均一性が0.55以下であることが好ましい。
上記式(I)において、理論格子定数及び実測格子定数は、それぞれ本触媒に含まれる貴金属合金の理論格子定数及び実測格子定数である。本触媒に含まれる貴金属合金の理論格子定数は、本触媒の誘導結合プラズマ発光分光分析により得られる貴金属及び非貴金属のそれぞれのモル分率を用いて算出される。また、本触媒に含まれる貴金属合金の実測格子定数は、本触媒の粉末X線回折により得られるX線回折図形における貴金属合金の(111)面に相当する回折ピークのピークトップの位置(回折角2θ)を用いて算出される。なお、本触媒に含まれる貴金属合金が白金合金である場合、本触媒のX線回折図形における白金合金の(111)面に相当する回折ピークのピークトップの位置は、回折角2θが35°~44°の範囲内となる。
本触媒の合金組成不均一性は、例えば、0.50以下であることがより好ましく、0.48以下であることがさらに好ましく、0.45以下であることがさらに好ましく、0.42以下であることがさらに好ましく、0.40以下であることがさらに好ましく、0.38以下であることが特に好ましい。また、本触媒の合金組成不均一性は、例えば、0.01以上であってもよく、0.05以上であってもよい。本触媒の合金組成不均一性は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。上述の上限値以下の合金組成不均一性は、金属担持触媒に含まれる貴金属合金の組成の高い均一性を示し、耐久性及び/又は触媒機能の向上に寄与する。
本触媒は、下記式(II)及び式(III)でそれぞれ算出される半値非対称性及び1/4値非対称性がいずれも0.55以下であることが好ましい。
上記式(II)及び式(III)において、Dmは本触媒の粉末X線回折で得られるX線回折図形において貴金属合金の(111)面の回折ピークが現れる回折角2θの範囲(例えば、貴金属合金が白金合金である場合、当該白金合金の(111)面の回折ピークが現れる、回折角2θが35°~44°の範囲)において回折線が最大強度を示す回折角2θの値であり、DLhは当該範囲において回折線が最大強度の半分の強度を示す回折角2θのうち最も小さい回折角2θの値であり、DHhは当該範囲において回折線が最大強度の半分の強度を示す回折角2θのうち最も大きい回折角2θの値であり、DLqは当該範囲において回折線が最大強度の4分の1の強度を示す回折角2θのうち最も小さい回折角2θの値であり、DHqは当該範囲において回折線が最大強度の4分の1の強度を示す回折角2θのうち最も大きい回折角2θの値である。
本触媒の半値非対称性及び1/4値非対称性はいずれも、例えば、0.53以下であることがより好ましく、0.50以下であることがさらに好ましく、0.48以下であることがさらに好ましく、0.45以下であることがさらに好ましく、0.43以下であることが特に好ましい。また、本触媒の半値非対称性及び1/4値非対称性はいずれも、例えば、0.01以上であってもよく、0.05以上であってもよい。本触媒の半値非対称性及び1/4値非対称性はそれぞれ、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。上述の上限値以下の半値非対称性及び1/4値非対称性は、金属担持触媒に含まれる貴金属合金の組成の高い均一性を示し、耐久性及び/又は触媒機能の向上に寄与する。
本触媒に含まれる触媒金属粒子の個数平均粒子径は、8.0nm以下であることが好ましい。触媒金属粒子の個数平均粒子径は、例えば、7.5nm以下であることが好ましく、7.0nm以下であることがより好ましく、6.5nm以下であることがさらに好ましく、6.0nm以下であることがさらに好ましく、5.5nm以下であることがさらに好ましく、5.0nm以下であることがさらに好ましく、4.5nm以下であることがさらに好ましく、4.0nm以下であることがさらに好ましく、3.5nm以下であることが特に好ましい。また、触媒金属粒子の個数平均粒子径は、例えば、1.0nm以上であってもよく、1.5nm以上であってもよく、2.0nm以上であってもよい。本触媒に含まれる触媒金属粒子の個数平均粒子径は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本触媒に含まれる触媒金属粒子の個数平均粒子径は、本触媒の粉末X線回折により得られる。上述した上限値以下の個数平均粒子径を有する触媒金属粒子は、耐久性及び/又は触媒機能の向上に寄与する。触媒金属粒子の個数平均粒子径が大きすぎる場合、当該触媒金属粒子の単位金属質量あたりの金属表面積が小さすぎるために、出力特性が悪化してしまうことがある。これに対し、上述した上限値以下の個数平均粒子径は、触媒金属粒子の単位金属質量あたりの金属表面積を増加させ、出力特性の向上に寄与する。
本触媒に含まれる触媒金属粒子の体積平均粒子径は、8.0nm以下であることが好ましい。触媒金属粒子の体積平均粒子径は、例えば、7.5nm以下であることが好ましく、7.0nm以下であることがより好ましく、6.5nm以下であることがさらに好ましく、6.0nm以下であることがさらに好ましく、5.5nm以下であることがさらに好ましく、5.0nm以下であることがさらに好ましく、4.5nm以下であることがさらに好ましく、4.2nm以下であることが特に好ましい。また、触媒金属粒子の体積平均粒子径は、例えば、1.0nm以上であってもよく、1.5nm以上であってもよく、2.0nm以上であってもよい。本触媒に含まれる触媒金属粒子の体積平均粒子径は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本触媒に含まれる触媒金属粒子の体積平均粒子径は、本触媒の粉末X線回折により得られる。触媒金属粒子の体積平均粒子径が大きすぎる場合、当該触媒金属粒子の単位金属質量あたりの金属表面積が小さすぎるために、出力特性が悪化してしまうことがあり、また、粒子径の大きなバラつきにより当該触媒金属粒子の表面を構成する金属が金属イオンとして溶解しやすくなってしまう。これに対し、上述した上限値以下の体積平均粒子径は、触媒金属粒子の単位金属質量あたりの金属表面積を増加させ、出力特性の向上に寄与するとともに、当該触媒金属粒子の溶解を抑制し、耐久性及び/又は触媒機能の向上に寄与する。
本触媒は、下記式(IV)により算出される、本触媒に含まれる貴金属の電気化学的有効比表面積(ECSA)の掃引速度依存性(以下、「ECSA掃引速度依存性」という。)が60%以上であることが好ましい。
なお、数値単位の「/g‐貴金属」は、本触媒に含まれる貴金属1gあたりの値であることを示す。すなわち、例えば、数値単位の「/g‐Pt」は、本触媒に含まれる白金1gあたりの値であることを示す。
上記式(IV)において、「ECSA@1000mV」及び「ECSA@10mV」は、本触媒が担持された作用電極を有する回転リングディスク電極装置を用いて、掃引速度1000mV/secで電位掃引するサイクリックボルタンメトリー及び掃引速度10mV/secで電位掃引するサイクリックボルタンメトリーによりそれぞれ得られる、本触媒に含まれる貴金属1gあたりのECSA(m2/g‐貴金属)(すなわち、「ECSA@1000mV(m2/g‐貴金属)」及び「ECSA@10mV(m2/g‐貴金属)」)である。
本触媒のECSA掃引速度依存性は、例えば、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、75%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また、本触媒のECSA掃引速度依存性は、例えば、100%以下であってもよく、95%以下であってもよく、90%以下であってもよい。本触媒のECSA掃引速度依存性は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
なお、例えば、本触媒において炭素担体に担持される触媒金属粒子が貴金属として白金を含む場合、本触媒に含まれる白金のECSAの掃引速度依存性(%)は、上記式(IV)において、「ECSA@1000mV」及び「ECSA@10mV」として、本触媒が担持された作用電極を有する回転リングディスク電極装置を用いて、掃引速度1000mV/secで電位掃引するサイクリックボルタンメトリー及び掃引速度10mV/secで電位掃引するサイクリックボルタンメトリーによりそれぞれ得られる、本触媒に含まれる白金1gあたりのECSA(m2/g‐Pt)(すなわち、「ECSA@1000mV(m2/g‐Pt)」及び「ECSA@10mV(m2/g‐Pt)」)を用いて算出される。
炭素担体の細孔の内部に担持されている触媒金属粒子は、当該炭素担体の外表面に担持されている触媒金属粒子に比べて凝集しにくいため、触媒活性及び/又は耐久性に寄与する。この点、金属担持触媒において、触媒金属粒子の多くが炭素担体の外表面に担持されている場合、上述したサイクリックボルタンメトリーにおける電位の掃引速度の増加に伴うECSAの減少量は小さい。一方、金属担持触媒において、炭素担体の細孔の内部に担持されている触媒金属粒子の割合が大きい場合、上述したサイクリックボルタンメトリーにおける電位の掃引速度の増加に伴うECSAの減少量は大きい。したがって、金属担持触媒のECSA掃引速度依存性の大きさは、当該金属担持触媒の炭素担体の外表面に担持されている触媒金属粒子に対する、当該炭素担体の細孔の内部に担持されている触媒金属粒子の相対量の大きさを反映している。
本実施形態に係る金属担持触媒の製造方法(以下、「本方法」という。)は、炭素担体と、当該炭素担体に担持された、貴金属合金を含む触媒金属粒子とを含む金属担持触媒の製造方法であって、当該貴金属合金を構成する貴金属及び非貴金属の一方(以下、「第一金属」という。)の前駆体を当該炭素担体に含浸させる第一含浸工程と、当該第一金属の前駆体が含浸された当該炭素担体に気相還元処理を施して、当該第一金属を担持した第一金属担持触媒を得る第一気相還元工程と、当該第一金属担持触媒に当該貴金属及び非貴金属の他方(以下、「第二金属」という。)の前駆体を含浸させる第二含浸工程と、当該第二金属の前駆体が含浸された当該第一金属担持触媒に気相還元処理を施し、次いで合金化処理を施して、当該第一金属と当該第二金属との合金を含む触媒金属粒子が担持された金属担持触媒を得る第二気相還元工程とを含むことが好ましい。
第一含浸工程においては、触媒金属粒子に含まれる貴金属合金を構成すべき貴金属及び非貴金属のいずれの前駆体も未だ含浸されていない炭素担体に、第一金属の前駆体を含浸させる。第一金属は、触媒金属粒子に含まれる貴金属合金を構成すべき貴金属及び非貴金属のいずれであってもよいが、イオン化傾向が大きい非貴金属を第一金属に選択した場合、第二含浸工程において第二金属である貴金属を含浸する際に第一金属である非貴金属がイオン化してしまうため、よりイオン化傾向が小さい当該貴金属であることが好ましい。
本方法において、2種以上の貴金属及び/又は2種以上の非貴金属を含む貴金属合金を形成する場合、第一含浸工程においては、第一金属の前駆体として、1種のみの貴金属の前駆体又は1種のみの非貴金属の前駆体を炭素担体に含浸させてもよいし、又は、2種以上の貴金属の前駆体又は2種以上の非貴金属の前駆体を炭素担体に含浸させてもよい。また、2種以上の第一金属の前駆体を炭素担体に含浸させる場合、第一含浸工程は、例えば、まず当該2種以上のうち1種の第一金属の前駆体を炭素担体に含浸させ、その後、他の1種の第一金属の前駆体を当該炭素担体に含浸させることを含んでもよいし、又は、2種以上の第一金属の前駆体を同時に炭素担体に含浸させることを含んでもよい。
炭素担体に第一金属の前駆体を含浸させる方法は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、当該第一金属の前駆体を含む溶液に当該炭素担体を含浸することが好ましい。ここで、2種以上の第一金属の前駆体を炭素担体に含浸させる場合、第一含浸工程は、例えば、まず当該2種以上のうち1種の第一金属の前駆体を含む溶液に炭素担体を含浸し、その後、他の1種の第一金属の前駆体を含む溶液に当該炭素担体を含浸することを含んでもよいし、又は、2種以上の第一金属の前駆体を含む溶液に炭素担体を含浸することを含んでもよい。
第一含浸工程を実施する雰囲気の圧力(気圧)は、本発明の効果が得られれば特に限られず、常圧(大気圧)であってもよいが、第一含浸工程は、例えば、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持することを含むことが好ましい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持することにより、当該炭素担体の細孔の内部が効果的に脱気され、当該細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する減圧された雰囲気の圧力は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、ゲージ圧で-0.02MPa(マイナス0.02MPa)以下であってもよく、-0.04MPa以下であることが好ましく、-0.06MPa以下であることがより好ましく、-0.08MPa以下であることがさらに好ましく、-0.10MPa以下であることが特に好ましい。また、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する減圧された雰囲気の圧力は、例えば、ゲージ圧で-0.1013MPa以上であってもよい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する減圧された雰囲気の圧力は、上述した下限値と、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第一含浸工程において、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持する時間は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、10分以上であってもよく、20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、40分以上であることがさらに好ましく、50分以上であることがさらに好ましく、55分以上であることが特に好ましい。また、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持する時間は、例えば、24時間以下であってもよく、5時間以下であってもよく、3時間以下であってもよい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持する時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
また、第一含浸工程は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持することを含むことが好ましい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持することにより、当該炭素担体の細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する加圧された雰囲気の圧力は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、ゲージ圧で0.03MPa以上であってもよく、0.06MPa以上であることが好ましく、0.09MPa以上であることがより好ましく、0.12MPa以上であることがさらに好ましく、0.15MPa以上であることが特に好ましい。また、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する加圧された雰囲気の圧力は、例えば、ゲージ圧で10MPa以下であってもよく、5MPa以下であってもよい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する加圧された雰囲気の圧力は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第一含浸工程において、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持する時間は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、10分以上であってもよく、20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、40分以上であることがさらに好ましく、50分以上であることがさらに好ましく、55分以上であることが特に好ましい。また、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持する時間は、例えば、24時間以下であってもよく、5時間以下であってもよく、3時間以下であってもよい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持する時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第一含浸工程は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を、まず減圧下で保持し、その後、加圧下で保持することを含むことが好ましい。この場合、炭素担体の細孔の内部に、第一金属の前駆体が極めて効果的に含浸される。
第一含浸工程は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持する前、及び/又は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持する前に、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を撹拌しながら混合することを含むことが好ましい。減圧保持前、及び/又は、加圧保持前に、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を撹拌しながら混合することにより、当該炭素担体の細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
また、第一含浸工程は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持した後、及び/又は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持した後に、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を撹拌しながら混合することを含むことが好ましい。減圧保持後、及び/又は、加圧保持後に、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を撹拌しながら混合することにより、当該炭素担体の細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を撹拌しながら混合する時間は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、0.1時間以上であってもよく、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、5時間以上であることがさらに好ましく、10時間以上であることがさらに好ましく、18時間以上であることがさらに好ましく、24時間以上であることがさらに好ましく、35時間以上であることがさらに好ましく、50時間以上であることがさらに好ましく、65時間以上であることが特に好ましい。また、この撹拌混合時間は、例えば、120時間以下であってもよく、96時間以下であってもよく、72時間以下であってもよい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を撹拌しながら混合する時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第一含浸工程を実施する雰囲気の温度(気温)は、本発明の効果が得られれば特に限られず、常温(例えば、約25℃)であってもよいが、第一含浸工程は、例えば、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を低温で保持することを含むことが好ましい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を低温で保持することにより、平衡移動によって吸着が促進され、及び/又は、気体分子の溶解が促進されて、当該炭素担体の細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
すなわち、第一含浸工程は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下、低温で保持することを含むことが好ましい。また、第一含浸工程は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下、低温で保持することを含むことが好ましい。また、第一含浸工程は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持する前、及び/又は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持する前に、低温で第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を撹拌しながら混合することを含むことが好ましい。また、第一含浸工程は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を減圧下で保持した後、及び/又は、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を加圧下で保持した後に、低温で第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を撹拌しながら混合することを含むことが好ましい。
第一含浸工程において、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する低温は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、20℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましく、10℃以下であることがさらに好ましく、5℃以下であることが特に好ましい。また、第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する低温は、例えば、0℃超であってもよく、1℃以上であってもよい。第一金属の前駆体と炭素担体とを含む溶液を保持する低温は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第一気相還元工程においては、第一含浸工程において第一金属の前駆体が含浸された炭素担体に気相還元処理(以下、「第一気相還元処理」という。)を施して、当該炭素担体と、当該炭素担体に担持された当該第一金属とを含む第一金属担持触媒を得る。
第一気相還元工程においては、第一金属の前駆体が含浸された炭素担体を含む溶液を乾燥させて得られた固形物に対して第一気相還元処理を施すことが好ましい。この場合、第一金属の前駆体が含浸された炭素担体を含む溶液を乾燥させる温度は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、40℃以上であってもよく、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。また、この乾燥温度は、例えば、200℃以下であってもよく、190℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、170℃以下であることがさらに好ましく、160℃以下であることが特に好ましい。第一金属の前駆体が含浸された炭素担体を含む溶液を乾燥させる温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。第一金属の前駆体が含浸された炭素担体を含む溶液を乾燥させる温度が低すぎると、溶媒を十分に除去するために長時間を要する結果、当該炭素担体に吸着した当該第一金属の前駆体が脱離してしまうことがある。また、第一金属の前駆体が含浸された炭素担体を含む溶液を乾燥させる温度が高すぎると、炭素担体の酸化、及び/又は、溶液の突沸によって、当該炭素担体への第一金属の均一な担持が妨げられることがある。このため、第一金属の前駆体が含浸された炭素担体を含む溶液を乾燥させる温度としては、上述した範囲内の温度を採用することが好ましい。
第一気相還元処理は、第一金属の前駆体が含浸された炭素担体を還元雰囲気中で加熱することにより行う。第一気相還元処理を行う還元雰囲気は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、水素ガス、アンモニアガス及び一酸化炭素ガスからなる群より選択される1以上の還元性ガスを含む雰囲気であることが好ましい。
還元性雰囲気における還元性ガスの濃度は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、50体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、70体積%以上であることがさらに好ましく、80体積%以上であることがさらに好ましく、90体積%以上であることがさらに好ましく、95体積%以上であることがさらに好ましく、100体積%であることが特に好ましい。
第一気相還元処理において第一金属の前駆体が含浸された炭素担体を加熱する温度(以下、「第一還元加熱温度」という。)は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、250℃以上であることがさらに好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。また、第一還元加熱温度は、例えば、550℃以下であってもよく、500℃以下であることが好ましく、450℃以下であることがより好ましく、400℃以下であることが特に好ましい。第一還元加熱温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。第一還元加熱温度として上述した範囲内の温度を採用することにより、第一金属粒子の過剰な凝集を防ぎつつ、当該第一金属の前駆体を効率的に還元することができる。
第一気相還元処理において第一還元加熱温度で加熱する時間(以下、「第一還元加熱時間」という。)は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、10分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、60分以上であることがさらに好ましく、90分以上であることがさらに好ましく、100分以上であることが特に好ましい。また、第一還元加熱時間は、例えば、24時間以下であってもよく、12時間以下であることが好ましく、6時間以下であることがより好ましく、3時間以下であることが特に好ましい。第一還元加熱時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。第一還元加熱時間として上述した範囲内の時間を採用することにより、第一金属の前駆体の還元を十分に進行させながら、当該第一金属の粒子の過剰な凝集を効果的に防ぐことができる。
第二含浸工程においては、第一気相還元工程で得られた第一金属担持触媒に第二金属の前駆体を含浸させる。第二金属は、第一金属が貴金属の場合には非貴金属であり、第一金属が非貴金属の場合には貴金属である。
なお、上述の第一含浸工程において貴金属の前駆体を炭素担体に含浸させた場合、第二含浸工程は、当該第一含浸工程後に初めて非貴金属の前駆体を当該炭素担体に含浸させる工程であることが好ましい。また、上述の第一含浸工程において非貴金属の前駆体を炭素担体に含浸させた場合、第二含浸工程は、当該第一含浸工程後に初めて貴金属の前駆体を当該炭素担体に含浸させる工程であることが好ましい。
本方法において、2種以上の貴金属及び/又は2種以上の非貴金属を含む貴金属合金を形成する場合、第二含浸工程においては、第二金属の前駆体として、1種のみの貴金属の前駆体又は1種のみの非貴金属の前駆体を第一金属担持触媒に含浸させてもよいし、又は、2種以上の貴金属の前駆体又は2種以上の非貴金属の前駆体を第一金属担持触媒に含浸させてもよい。また、2種以上の第二金属の前駆体を第一金属担持触媒に含浸させる場合、第二含浸工程は、例えば、まず当該2種以上のうち1種の第二金属の前駆体を第一金属担持触媒に含浸させ、その後、他の1種の第二金属の前駆体を当該第一金属担持触媒に含浸させることを含んでもよいし、又は、2種以上の第二金属の前駆体を同時に第一金属担持触媒に含浸させることを含んでもよい。
第一金属担持触媒に第二金属の前駆体を含浸させる方法は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、当該第二金属の前駆体を含む溶液に当該第一金属担持触媒を含浸することが好ましい。ここで、2種以上の第二金属の前駆体を第一金属担持触媒に含浸させる場合、第二含浸工程は、例えば、まず当該2種以上のうち1種の第二金属の前駆体を含む溶液に第一金属担持触媒を含浸し、その後、他の1種の第二金属の前駆体を含む溶液に当該第一金属担持触媒を含浸することを含んでもよいし、又は、2種以上の第二金属の前駆体を含む溶液に第一金属担持触媒を含浸することを含んでもよい。
第二含浸工程を実施する雰囲気の圧力(気圧)は、本発明の効果が得られれば特に限られず、常圧(大気圧)であってもよいが、第二含浸工程は、例えば、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持することを含むことが好ましい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持することにより、当該第一金属担持触媒の細孔の内部が効果的に脱気され、当該細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する減圧された雰囲気の圧力は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、ゲージ圧で-0.02MPa(マイナス0.02MPa)以下であってもよく、-0.04MkPa以下であることが好ましく、-0.06MkPa以下であることがより好ましく、-0.08MPa以下であることがさらに好ましく、-0.10MPa以下であることが特に好ましい。また、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する減圧された雰囲気の圧力は、例えば、ゲージ圧で-0.1013MPa以上であってもよい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する減圧された雰囲気の圧力は、上述した下限値と、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第二含浸工程において、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持する時間は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、10分以上であってもよく、20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、40分以上であることがさらに好ましく、50分以上であることがさらに好ましく、55分以上であることが特に好ましい。また、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持する時間は、例えば、24時間以下であってもよく、5時間以下であってもよく、3時間以下であってもよい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持する時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
また、第二含浸工程は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持することを含むことが好ましい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持することにより、当該炭素担体の細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する加圧された雰囲気の圧力は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、ゲージ圧で0.03MPa以上であってもよく、0.06MPa以上であることが好ましく、0.09MPa以上であることがより好ましく、0.12MPa以上であることがさらに好ましく、0.15MPa以上であることが特に好ましい。また、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する加圧された雰囲気の圧力は、例えば、ゲージ圧で10MPa以下であってもよく、5MPa以下であってもよい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する加圧された雰囲気の圧力は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第二含浸工程において、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持する時間は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、10分以上であってもよく、20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、40分以上であることがさらに好ましく、50分以上であることがさらに好ましく、55分以上であることが特に好ましい。また、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持する時間は、例えば、24時間以下であってもよく、5時間以下であってもよく、3時間以下であってもよい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持する時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第二含浸工程は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を、まず減圧下で保持し、その後、加圧下で保持することを含むことが好ましい。この場合、第一金属担持触媒の細孔の内部に、第二金属の前駆体が極めて効果的に含浸される。
第二含浸工程は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持する前、及び/又は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持する前に、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を撹拌しながら混合することを含むことが好ましい。減圧保持前、及び/又は、加圧保持前に、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を撹拌しながら混合することにより、当該第一金属担持触媒の細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
また、第二含浸工程は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持した後、及び/又は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持した後に、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を撹拌しながら混合することを含むことが好ましい。減圧保持後、及び/又は、加圧保持後に、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を撹拌しながら混合することにより、当該第一金属担持触媒の細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を撹拌しながら混合する時間は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、0.1時間以上であってもよく、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、5時間以上であることがさらに好ましく、10時間以上であることがさらに好ましく、18時間以上であることがさらに好ましく、24時間以上であることがさらに好ましく、35時間以上であることがさらに好ましく、50時間以上であることがさらに好ましく、65時間以上であることが特に好ましい。また、この撹拌混合時間は、例えば、120時間以下であってもよく、96時間以下であってもよく、72時間以下であってもよい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を撹拌しながら混合する時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第二含浸工程を実施する雰囲気の温度(気温)は、本発明の効果が得られれば特に限られず、常温(例えば、約25℃)であってもよいが、第二含浸工程は、例えば、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を低温で保持することを含むことが好ましい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を低温で保持することにより、平衡移動によって吸着が促進され、及び/又は、気体分子の溶解が促進されて、当該第一金属担持触媒の細孔の内部に当該前駆体が効果的に含浸される。
すなわち、第二含浸工程は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下、低温で保持することを含むことが好ましい。また、第二含浸工程は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下、低温で保持することを含むことが好ましい。また、第二含浸工程は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持する前、及び/又は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持する前に、低温で第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を撹拌しながら混合することを含むことが好ましい。また、第二含浸工程は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を減圧下で保持した後、及び/又は、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を加圧下で保持した後に、低温で第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を撹拌しながら混合することを含むことが好ましい。
第二含浸工程において、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する低温は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、20℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましく、10℃以下であることがさらに好ましく、5℃以下であることが特に好ましい。また、第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する低温は、例えば、0℃超であってもよく、1℃以上であってもよい。第二金属の前駆体と第一金属担持触媒とを含む溶液を保持する低温は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
第二気相還元工程においては、第二含浸工程において第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒に気相還元処理(以下、「第二気相還元処理」という。)を施し、次いで合金化処理を施すことにより、第一金属と第二金属との合金(すなわち貴金属と非貴金属との合金である貴金属合金)を含む触媒金属粒子が担持された金属担持触媒を得る。
第二気相還元工程においては、第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を含む溶液を乾燥させて得られた固形物に対して第二気相還元処理を施すことが好ましい。この場合、第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を含む溶液を乾燥させる温度は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、40℃以上であってもよく、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。また、第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を含む溶液を乾燥させる温度は、例えば、200℃以下であってもよく、180℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましく、110℃以下であることが特に好ましい。第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を含む溶液を乾燥させる温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を含む溶液を乾燥させる温度が低すぎると、溶媒を十分に除去するために長時間を要する結果、当該第一金属担持触媒に吸着した当該第二金属の前駆体が脱離してしまうことがある。また、第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を含む溶液を乾燥させる温度が高すぎると、例えば、炭素担体の酸化、及び/又は、溶液の突沸によって、当該炭素担体への第二金属の均一な担持が妨げられることがある。このため、第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を含む溶液を乾燥させる温度としては、上述した範囲内の温度を採用することが好ましい。
第二気相還元処理は、第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を還元雰囲気中で加熱することにより行う。第二気相還元処理を行う還元雰囲気は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、水素ガス、アンモニアガス及び一酸化炭素ガス、からなる群より選択される1以上の還元性ガスを含む雰囲気であることが好ましい。
還元性雰囲気における還元性ガスの濃度は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、50体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、70体積%以上であることがさらに好ましく、80体積%以上であることがさらに好ましく、90体積%以上であることがさらに好ましく、95体積%以上であることがさらに好ましく、100体積%であることが特に好ましい。
第二気相還元処理において第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を加熱する温度(以下、「第二還元加熱温度」という。)は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、600℃以上であることがさらに好ましく、650℃以上であることが特に好ましい。また、第二還元加熱温度は、例えば、1300℃以下であってもよく、1100℃以下であることが好ましく、1000℃以下であることがより好ましく、900℃以下であることが特に好ましい。第二還元加熱温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。第二還元加熱温度として上述した範囲内の温度を採用することにより、第二金属粒子の過剰な凝集を防ぎつつ、当該第二金属の前駆体を効率的に還元することができる。
第二気相還元処理において第二還元加熱温度で加熱する時間(以下、「第二還元加熱時間」という。)は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、5分以上であることが好ましく、10分以上であることがより好ましく、30分以上であることがさらに好ましく、40分以上であることがさらに好ましく、50分以上であることが特に好ましい。また、第二還元加熱時間は、例えば、24時間以下であってもよく、12時間以下であることが好ましく、6時間以下であることがより好ましく、3時間以下であることが特に好ましい。第二還元加熱時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。第二還元加熱時間として上述した範囲内の時間を採用することにより、第二金属の前駆体の還元を十分に進行させながら、当該第二金属の粒子の過剰な凝集を効果的に防ぐことができる。
合金化処理は、第二気相還元処理の後、第一金属及び第二金属を担持した金属担持触媒を、当該第一金属と第二金属との合金が形成される温度(以下、「合金化加熱温度」という。)で加熱することにより行う。
合金化加熱温度は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、600℃以上であることがさらに好ましく、650℃以上であることが特に好ましい。また、合金化加熱温度は、例えば、1300℃以下であってもよく、1100℃以下であることが好ましく、1000℃以下であることがより好ましく、900℃以下であることが特に好ましい。合金化加熱温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。合金化加熱温度として上述した範囲内の温度を採用することにより、合金粒子の過剰な凝集を防ぎつつ、合金化を進行させることができる。
合金化処理において合金化加熱温度で加熱する時間(以下、「合金化加熱時間」という。)は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、5分以上であることが好ましく、10分以上であることがより好ましく、30分以上であることがさらに好ましく、40分以上であることがさらに好ましく、50分以上であることが特に好ましい。また、合金化加熱時間は、例えば、24時間以下であってもよく、12時間以下であることが好ましく、6時間以下であることがより好ましく、3時間以下であることが特に好ましい。合金化加熱時間は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。合金化加熱時間として上述した範囲内の時間を採用することにより、合金化を十分に進行させながら、合金粒子の過剰な凝集を効果的に防ぐことができる。
合金化処理を行う雰囲気は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、不活性ガス雰囲気又は真空中であることが好ましい。合金化処理を行う不活性ガス雰囲気は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスからなる群より選択される1以上の不活性ガスを含む雰囲気であることが好ましい。
不活性ガス雰囲気における不活性ガスの濃度は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、50体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、70体積%以上であることがさらに好ましく、80体積%以上であることがさらに好ましく、90体積%以上であることがさらに好ましく、95体積%以上であることがさらに好ましく、100体積%であることが特に好ましい。
第二気相還元工程において、第二還元加熱温度及び合金化加熱温度は、それぞれ独立に決定されてよいが、例えば、当該第二還元加熱温度は、第二金属の還元が進行する温度であって、且つ、当該第二金属と第一金属との合金化も進行する温度であることが好ましい。
すなわち、第二気相還元工程においては、例えば、第二金属の前駆体が含浸された第一金属担持触媒を還元雰囲気中、第一金属と第二金属との合金化が進行する第二還元加熱温度で加熱することが好ましい。この場合、第二気相還元処理において、第二金属の前駆体の還元と、当該第二金属と第一金属との合金化とを並行して進行させることができ、例えば、金属担持触媒の製造に要する時間及びコストが効果的に低減される。また、第二金属の前駆体の還元と、当該第二金属と第一金属との合金化とを並行して進行させると、当該前駆体が還元されてから合金化に至るまでの時間が短縮されることにより、合金化されていない状態の金属粒子の凝集が効果的に抑制され、その結果、均一な合金組成を有する合金粒子の担持が達成される。
合金化が進行する第二還元加熱温度は、例えば、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、600℃以上であることがさらに好ましく、650℃以上であることが特に好ましい。また、合金化が進行する第二還元加熱温度は、例えば、1300℃以下であってもよく、1100℃以下であることが好ましく、1000℃以下であることがより好ましく900℃以下であることが特に好ましい。合金化が進行する第二還元加熱温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
なお、還元雰囲気中での合金化は、炭素担体を劣化させ得る。この点、第二気相還元工程においては、まずは還元雰囲気中、合金化が進行する第二還元加熱温度で第二気相還元処理を行って第二金属を還元し、その後、さらに不活性ガス雰囲気中で合金化処理を行うことにより、炭素担体の劣化を抑制しつつ、当該炭素担体に担持された第一金属と第二金属との合金化を効果的に行うことができる。
第二気相還元工程において、合金化処理を行うタイミングは、第二気相還元処理後であれば特に限られないが、1つの容器内において、第二気相還元処理と合金化処理とを連続的に行うことが好ましい。すなわち、第二気相還元工程においては、例えば、まず容器内の還元雰囲気中で第二気相還元処理を行い、次いで、当該容器内の還元雰囲気を不活性ガス雰囲気に交換し、その後、当該容器内の不活性ガス雰囲気中で合金化処理を行うことが好ましい。
この場合、第二気相還元工程においては、まず容器内の還元雰囲気中、第二還元加熱温度で第二気相還元処理を行い、次いで、当該容器内の温度を、当該第二還元温度との差が200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは70℃以下、特に好ましくは50℃以下の温度に維持しながら、当該容器内の還元雰囲気を不活性ガス雰囲気に交換することが好ましい。
さらにこの場合、容器内の還元雰囲気を不活性ガス雰囲気に交換した後、当該容器内の不活性ガス雰囲気中、第二還元加熱温度との差が200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下、特に好ましくは10℃以下の合金化加熱温度で合金化処理を行うことが好ましい。
本方法は、第二気相還元工程後に、後処理工程をさらに含んでもよい。後処理工程においては、第二気相還元工程で得られた金属担持触媒に、余分な金属を除去するための処理、及び/又は、貴金属酸化物を除去するための処理を行う。余分な金属を除去するための処理は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、硝酸等の酸を用いた洗浄処理であることが好ましい。貴金属酸化物を除去するための処理は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気中における加熱処理であることが好ましい。後処理工程において、不活性ガス雰囲気中で金属担持触媒に加熱処理を施すことは、余分な金属を除去するための処理において生成する金属表面の酸化物の除去、及び/又は、金属の表面ラフネスの低減をもたらし、耐久性及び/又は触媒機能の向上に寄与する。
後処理工程において不活性ガス雰囲気中で金属担持触媒を加熱する温度(以下、「後処理加熱温度」という。)は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、600℃以上であることがさらに好ましく、650℃以上であることが特に好ましい。また、後処理加熱温度は、例えば、1300℃以下であってもよく、1100℃以下であることが好ましく、1000℃以下であることがより好ましく、900℃以下であることが特に好ましい。後処理加熱温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
本方法は、さらなる含浸工程及び/又は気相還元工程を含んでもよい。すなわち、本方法は、例えば、上述した第二気相還元工程後に、第一金属、第二金属、又は当該第一金属及び第二金属とは異なる種類の第三金属の前駆体をさらに含浸させる第三含浸工程と、当該第三含浸工程後にさらに気相還元処理及び合金化処理を行う第三気相還元工程とをさらに含んでもよい。この場合、第三含浸工程は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、上述した第一含浸工程又は第二含浸工程と同様に行うことが好ましい。また、第三気相還元工程は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、上述した第一気相還元工程又は第二気相還元工程と同様に行うことが好ましい。
本方法によれば、大きな貴金属含有量を有しながら、優れた耐久性と優れた触媒機能とを兼ね備えた金属担持触媒が製造される。すなわち、上述した本触媒は、本方法により好ましく製造される。
本実施形態に係る電極(以下、「本電極」という。)は、本触媒を含む。すなわち、本電極は、例えば、電極基材と、当該電極基材に担持された本触媒と、を含む電池電極である。本電極は、電池電極であることが好ましい。すなわち、本電極は、例えば、燃料電池(例えば、固体高分子形燃料電池)、空気電池、水電解槽(例えば、固体高分子形水電解槽)、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池の電極であることが好ましい。
本電極は、カソードであってもよいし、アノードであってもよいが、カソードであることが好ましい。すなわち、本電極は、燃料電池、空気電池、水電解槽、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池のカソード又はアノードであり、好ましくはカソードである。
本実施形態に係る電池(以下、「本電池」という。)は、本電極を含む。具体的に、本電池は、本電極を含む燃料電池(例えば、固体高分子形燃料電池)、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池であることが好ましい。本電池は、本電極を含む膜/電極接合体(MEA)を有することが好ましい。
本電池は、カソード又はアノードとして本電極を有する電池であり、好ましくはカソードとして本電極を有する電池である。すなわち、本電池は、カソード又はアノードとして本電極を有する燃料電池、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池であり、好ましくはカソードとして本電極を有する燃料電池、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池である。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
[炭素担体の製造]
1.0gのポリアクリロニトリル(PAN)と、1.0gの2-メチルイミダゾールと、6.0gの塩化亜鉛(ZnCl2)と、30gのジメチルホルムアミドとを混合した。得られた混合物から乾燥により溶媒を除去した。乾燥した混合物を大気雰囲気中で加熱して、250℃で不融化を行った。
不融化後の混合物を、窒素雰囲気中、0.90MPaのゲージ圧力下、1500℃で加熱することにより、炭素化を行った。炭素化により得られた炭素化材料に希塩酸を加え、撹拌した。その後、炭素化材料を含有する懸濁液を、ろ過膜を使用してろ過し、ろ液が中性になるまで蒸留水で炭素化材料を洗浄した。こうして酸洗浄による金属除去処理を行った。
微粉砕機によって、金属除去処理後の炭素化材料を、その粒子径の中央値が0.4μm以下になるまで粉砕した。粉砕後の炭素化材料の真空乾燥を行い、水分を除去した。その後、炭素化材料に窒素雰囲気中で300℃の加熱処理を施した。こうして得られた炭素化材料を炭素担体C1500として用いた。
また、炭素化温度として1500℃に代えて2000℃を採用した以外は上述の炭素担体C1500場合と同様にして得られた炭素化材料を炭素担体C2000として用いた。
また、炭素担体C1500を窒素雰囲気中、常圧下、1700℃、1800℃、1900℃、2000℃、2100℃、2200℃又は2400℃で加熱することにより、黒鉛化処理を行った。こうして1800℃、1900℃、2000℃、2100℃、2200℃及び2400℃の黒鉛化処理によって得られた炭素化材料をそれぞれ、炭素担体C1500-G1700、炭素担体C1500-G1800、炭素担体C1500-G1900、炭素担体C1500-G2000、炭素担体C1500-G2100、炭素担体C1500-G2200及び炭素担体C1500-G2400として用いた。
市販のケッチェンブラック(EC600JD、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を炭素担体KBとして用いた。また、炭素担体KBを窒素雰囲気中、常圧下、2000℃で加熱することにより、黒鉛化処理を行った。この黒鉛化処理によって得られた炭素材料を炭素担体KB-G2000として用いた。
[金属担持触媒の製造]
例1、例3~例6、例14、例C1、例C5、及び例C7~例C10においては、次のような気相還元法により、炭素担体に触媒金属粒子を担持した。まず第一含浸工程を実施した。すなわち、炭素担体1gと、白金濃度が5重量%(白金含有量1.11g)になる量の白金前駆体である塩化白金酸(H2PtCl6)を含む水溶液22.2gとを1時間撹拌し、混合した。その混合溶液を、まずゲージ圧力で-0.10MPa以下(具体的には、ゲージ圧で-0.10MPa~-0.1013MPa)の減圧下で1時間保持し、次いで、ゲージ圧力で0.15MPa以上(具体的には、ゲージ圧で0.15MPa~0.20MPa)の加圧下で1時間保持し、その後、66時間撹拌し、混合した。この第一含浸工程は、混合溶液の温度を5℃以下(具体的には、0℃~5℃)に保ちながら行った。
次に、第一気相還元工程を実施した。すなわち、第一含浸工程で得られた混合液を真空下100℃で乾燥させ、さらに窒素雰囲気中150℃で保持して溶媒成分を揮発させた。得られた固形物に水素雰囲気(水素ガス100体積%)中350℃で120分の加熱処理(第一気相還元処理)を施し、白金担持触媒を得た。
次に、第二含浸工程を実施した。すなわち、第一気相還元工程で得られた白金担持触媒2.1gと、コバルト濃度が0.56重量%(コバルト含有量0.112g)になる量のコバルト前駆体である塩化コバルト(CоCl2)を含む水溶液20gとを1時間撹拌し、混合した。その混合溶液を、まずゲージ圧力で-0.10MPa以下(具体的には、ゲージ圧で-0.10MPa~-0.1013MPa)の減圧下で1時間保持し、次いで、ゲージ圧力で0.15MPa以上(具体的には、ゲージ圧で0.15MPa~0.20MPa)の加圧下で1時間保持し、その後、18時間撹拌し、混合した。この第二含浸工程は、混合溶液の温度を5℃以下(具体的には、0℃~5℃)に保ちながら行った。
次に、第二気相還元工程を実施した。すなわち、第二含浸工程で得られた混合液を真空下100℃で乾燥させた。得られた固形物に、水素雰囲気(水素ガス100体積%)中700℃で60分の加熱処理(第二気相還元処理)を施し、続いて雰囲気の温度を650~750℃の範囲内に維持しながら、当該水素雰囲気を窒素雰囲気(窒素ガス100体積%)に交換し、当該窒素雰囲気中700℃で120分の加熱処理(合金化処理)を施し、白金合金担持触媒を得た。
次に、後処理工程を実施した。すなわち、第二気相還元工程で得られた白金合金担持触媒から余分な金属を除去するために、当該白金合金担持触媒と10%硝酸溶液とを2時間混合した。その後、ろ過により白金合金担持触媒と酸溶液とを分離し、さらに蒸留水でろ液が中性になるまで当該白金合金担持触媒を洗浄した。洗浄後の白金合金担持触媒を真空中60℃で乾燥し、水分を除去した。
その後、硝酸を除去するため、白金合金担持触媒に、窒素中300℃で加熱処理を施した。さらに、白金酸化物を還元除去するため、白金合金担持触媒に、窒素中700℃で加熱処理を施した。こうして炭素担体(例1では炭素担体C1500-G1700、例3では炭素担体C1500-G1800、例4では炭素担体C1500-G1900、例5では炭素担体C1500-G2000、例6では炭素担体C1500-G2100、例14では炭素担体C2000、例C1では炭素担体C1500-G2000、例C5では炭素担体C1500、例C7では炭素担体C1500-G2200、例C8では炭素担体C1500-G2400、例C9では炭素担体KB、及び例C10では炭素担体KB-G2000)と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例2においては、第一含浸工程において、白金濃度が5重量%(白金含有量0.71g)になる量の塩化白金酸を含む水溶液14.3gを用い、第二含浸工程において、コバルト濃度が0.36重量%(コバルト含有量0.072g)になる量の塩化コバルトを含む水溶液20gを用いたこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G1800と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例7においては、第二含浸工程において、コバルト濃度が0.32重量%(コバルト含有量0.064g)になる量の塩化コバルトを含む水溶液20gを用いたこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例8においては、混合溶液の温度を25℃に保ちながら第一含浸工程及び第二含浸工程を実施したこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例9においては、減圧下及び加圧下で混合液を1時間ずつ保持した後に、当該混合液を66時間に代えて、18時間撹拌し、混合したこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例10においては、第二含浸工程において、コバルト濃度が0.23重量%(コバルト含有量0.045g)になる量の塩化コバルトを含む水溶液20gを用いたこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例11においては、第二含浸工程において塩化コバルトを含む水溶液に代えて、ニッケル濃度が0.56重量%(ニッケル含有量0.111g)になる量の塩化ニッケル六水和物(NiCl2・6H2O)を含む水溶液20gを用いたこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びニッケルの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例12においては、第二含浸工程において塩化コバルトを含む水溶液に代えて、ニッケル濃度が0.278重量%(ニッケル含有量0.056g)になり且つマンガン濃度が260重量%(マンガン含有量0.052g)になる量の塩化ニッケル六水和物(NiCl2・6H2O)及び塩化マンガン四水和物(MnCl2・4H2O)を含む水溶液20gを用いたこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金、ニッケル及びマンガンの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例13においては、まず白金濃度が5重量%(白金含有量0.89g)になる量の塩化白金酸を含む水溶液17.8gを用いたこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、第一含浸工程を実施した。その後、上述の例1等の場合と同様にして、第一気相還元工程、第二含浸工程及び第二気相還元工程を実施した。
次いで、第三含浸工程を実施した。すなわち、第二気相還元工程で得られた白金合金担持触媒1.99gと、白金濃度が1重量%(白金含有量0.22g)になる量の塩化白金酸を含む水溶液22.2gとを1時間撹拌し、混合した。その混合溶液を、まずゲージ圧力で-0.10MPa以下(具体的には、ゲージ圧で-0.10MPa~-0.1013MPa)の減圧で1時間保持し、次いで、ゲージ圧力で0.15MPa以上(具体的には、ゲージ圧で0.15MPa~0.20MPa)の加圧下で1時間保持し、その後、66時間撹拌し、混合した。この第三含浸工程は、混合溶液の温度を5℃以下に保ちながら行った。
次いで、第三気相還元工程を実施した。すなわち、第三含浸工程で得られた混合液を真空中100℃で乾燥させ、さらに窒素中、150℃中で保持して、溶媒成分を揮発させた。得られた固形物に、水素雰囲気(水素ガス100体積%)中700℃で60分の加熱処理(気相還元処理)を施し、続いて雰囲気の温度を650~750℃の範囲内に維持しながら、当該水素雰囲気を窒素雰囲気(窒素ガス100体積%)に交換し、当該窒素雰囲気中700℃で120分の加熱処理(合金化処理)を施した。その後、上述の例1等の場合と同様にして後処理工程を実施して、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例15においては、第一含浸工程及び第二含浸工程において、混合溶液を減圧下で1時間及び加圧下で1時間保持することに代えて、当該混合溶液を大気圧下で2時間保持したこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例16においては、第二気相還元工程における水素雰囲気及び窒素雰囲気中における加熱温度として、700℃に代えて、1000℃を採用したこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例C1においては、第一含浸工程において白金濃度が5重量%(白金含有量0.45g)になる量の塩化白金酸を含む水溶液9.0gを用いたこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例C2においては、第一含浸工程において、塩化白金酸を含む水溶液に代えて、白金濃度が5重量%(白金含有量1.1g)になり且つコバルト濃度が0.56重量%(コバルト含有量0.112g)になる量の塩化白金酸及び塩化コバルトを含む水溶液42.2gを用いたこと、第一含浸工程及び第二含浸工程において、混合溶液を減圧下で1時間及び加圧下で1時間保持することに代えて、当該混合溶液を大気圧下で2時間保持したこと、及び第二含浸工程及び第二気相還元工程を実施しなかったこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例C3においては、第二気相還元工程における水素雰囲気中及び窒素雰囲気中における加熱温度として、700℃に代えて、500℃を採用したこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例C4においては、次のような液相還元法により、炭素担体に触媒金属粒子を担持した。まず第一含浸工程を実施した。すなわち、炭素担体1gと、白金濃度が5重量%(白金含有量1.11g)になる量の塩化白金酸を含む水溶液22.2gとを1時間撹拌し、混合した。その混合溶液を、まずゲージ圧力で-0.10MPa以下(具体的には、ゲージ圧で-0.10MPa~-0.1013MPa)の減圧下で1時間保持し、次いで、ゲージ圧力で0.15MPa以上(具体的には、ゲージ圧で0.15MPa~0.20MPa)の加圧下で1時間保持し、その後、66時間撹拌し、混合した。この第一含浸工程は、混合溶液の温度を5℃以下(具体的には、0℃~5℃)に保ちながら行った。
次に、第一液相還元工程を実施した。すなわち、第一含浸工程で得られた混合液に還元剤としてエチレングリコールを添加し、空気中80℃で4時間保持することにより、液相還元処理を行い、白金担持触媒を得た。
次に、第二含浸工程を実施した。すなわち、第一液相還元工程で得られた混合液を真空中100℃で乾燥させ、さらに窒素中、150℃中で保持して、溶媒成分を揮発させた。得られた白金担持触媒2.0gと、コバルト濃度が0.56重量%(コバルト含有量0.112g)になる量の塩化コバルトを含む水溶液20gとを1時間撹拌し、混合した。その混合溶液をゲージ圧力で-0.10MPa以下(具体的には、ゲージ圧で-0.10MPa~-0.1013MPa)の減圧下で1時間保持し、次いで、ゲージ圧力で0.15MPa以上(具体的には、ゲージ圧で0.15MPa~0.20MPa)の加圧下で1時間で保持し、その後、18時間撹拌して、混合した。この第二含浸工程は、混合溶液の温度を5℃以下(具体的には、0℃~5℃)に保ちながら行った。
次に、第二液相還元工程を実施した。すなわち、第二含浸工程で得られた混合液に還元剤としてエチレングリコールを添加し、空気中80℃で4時間保持することにより、液相還元処理を行った。
次に、合金化工程を実施した。すなわち、第二液相還元工程で得られた混合液を真空中100℃で乾燥させた。得られた固形物に、水素雰囲気(水素ガス100体積%)中700℃で60分の加熱処理(合金化処理)を施し、続いて雰囲気の温度を650~750℃の範囲内に維持しながら、当該水素雰囲気を窒素雰囲気(窒素ガス100体積%)に交換し、当該窒素雰囲気中700℃で120分の加熱処理を施して、白金合金担持触媒を得た。
次に、後処理工程を実施した。すなわち、合金化工程で得られた白金合金担持触媒から、余分な金属を除去するために、当該白金合金担持触媒と10%硝酸溶液とを2時間混合した。その後、ろ過により、白金合金担持触媒と酸溶液とを分離し、さらに、蒸留水でろ液が中性になるまで当該白金合金担持触媒を洗浄した。洗浄後の白金合金担持触媒を真空中60℃で乾燥し、水分を除去した。
その後、硝酸を除去するため、白金合金担持触媒に、窒素中300℃で加熱処理を施した。さらに、白金酸化物を還元除去するため、白金合金担持触媒に、窒素中700℃で加熱処理を施した。こうして、炭素担体C1500-G2000と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
例C6においては、第二気相還元工程における水素雰囲気中及び窒素雰囲気中における加熱温度として、700℃に代えて、500℃を採用したこと以外は上述の例1等の場合と同様にして、炭素担体C1500と、当該炭素担体に担持された白金及びコバルトの合金粒子とを含む金属担持触媒を得た。
[ラマン分光法]
金属担持触媒をラマン分光法により解析した。ラマンスペクトルは、HORIBA顕微レーザーラマン分光測定装置(LabRAM、HORIBA Jobin Yvon)を用いて測定した。測定に用いたレーザーは532nmの励起波長で、出力が50mW、減光フィルターD3を介し、露光90秒×積算2回の条件で測定することにより、ラマンスペクトルを得た。
得られたラマンスペクトルにおいて、ベースライン補正を施した。すなわち、ラマンシフト(cm-1)が600cm-1付近の散乱強度と、2000cm-1付近の散乱強度とを結ぶ直線をベースラインに決定し、散乱スペクトルの各強度から当該ベースラインを差し引くことでベースライン補正を行った。
次いでラマンシフト1340cm-1付近(具体的には、1320cm-1以上、1360cm-1以下の範囲内)にピークトップを有するDバンドを特定した。そして、Dバンドの強度Id(Dバンドのピークトップの強度)に対応するラマンシフト(cm-1)Adから、当該Dバンドの強度Idの半分の強度に対応するラマンシフト(cm-1)Bdを減じることにより、ラマンD半値半幅(cm-1)を算出した。すなわち、金属担持触媒のラマンD半値半幅は次の式により算出した:ラマンD半値半幅(cm-1)=Ad(cm-1)-Bd(cm-1)。
次いでラマンシフト1600cm-1付近(具体的には、1550cm-1以上、1700cm-1以下の範囲内)にピークトップを有するGバンドと、ラマンシフト2680cm-1付近(具体的には、2600cm-1以上、2800cm-1以下の範囲内)にピークトップを有する2Dバンドとを特定した。そして、2Dバンドの強度I2d(2Dバンドのピークトップの強度)をGバンドの強度Ig(Gバンドのピークトップの強度)で除することにより、当該Gバンドの強度Igに対する当該2Dバンドの強度I2dの比(ラマン2D/G比)を算出した。すなわち、炭素担体のラマン2D/G比は次の式により算出した:ラマン2D/G比=I2d/Ig。
ここで、図1には、ラマンスペクトルの一例として、例2の金属担持触媒のラマン分光法により得られたラマンスペクトルを解析した結果を示す。図1において、横軸はラマンシフト(cm-1)を示し、縦軸はベースライン補正後の散乱強度を示し、AdはDバンドのピークトップに対応するラマンシフト(cm-1)を示し、Bdは当該Adより低波数側でDバンド強度Id(Dバンドのピークトップの高さ)の半分の強度を示すラマンスペクトルに対応するラマンシフト(cm-1)を示す。また、図1には、Gバンドの強度Ig(Gバンドのピークトップの高さ)及び2Dバンドの強度I2d(2Dバンドのピークトップの高さ)もそれぞれ示す。
[金属含有量:誘導結合プラズマ発光分光分析]
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP‐OES)により、金属担持触媒の白金含有量及び非白金金属(白金以外の金属)含有量を測定した。すなわち、まず100mgの金属担持触媒を大気雰囲気下800℃で3時間加熱保持することにより、当該金属担持触媒中の非金属成分(金属以外の成分)を取り除いた。
次いで、金属担持触媒を王水5mL中に浸漬し、50℃で1時間加熱することにより、当該金属担持触媒に含まれている金属を溶解させた。さらに、体積が50mLとなるように蒸留水を加えて希釈し、金属溶液を得た。その後、得られた金属溶液の白金濃度及び非白金金属濃度を、シーケンシャル形プラズマ発光分析装置(ICPS-8100、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
そして、金属溶液の白金濃度(mg/mL)及び非白金金属濃度(mg/mL)に当該金属溶液の体積(50mL)を乗じることにより、金属担持触媒100mgあたりの白金重量(mg)及び非白金金属重量(mg)を得た。
さらに、金属担持触媒に含まれる白金重量(mg)及び非白金金属重量(mg)を当該金属担持触媒の重量である100mgで除して、さらに100を乗じることにより、ICP‐OESで得られた白金含有量(重量%)及び非白金金属含有量(重量%)を算出した。また、金属担持触媒の白金含有量(重量%)と非白金金属含有量(重量%)との合計を当該金属担持触媒の金属含有量(重量%)として得た。
[比表面積及び平均細孔径]
金属担持触媒の窒素吸着法による比表面積及び平均細孔径を、比表面積・細孔分布測定装置(TriStar II 3020、株式会社島津製作所製)及び付属の解析ソフトウェア(TriStar II 3020)を用いて測定した。
すなわち、まず0.1gの金属担持触媒を100℃、6.7×10-2Paで3時間保持することにより、当該金属担持触媒に吸着している水分を取り除いた。次いで、77Kの温度で、窒素ガスの圧力の変化に伴う金属担持触媒への窒素吸着量の変化を測定することにより、温度77Kにおける窒素吸着等温線を得た。
そして、温度77Kにおける窒素吸着等温線からBET法により、金属担持触媒の窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)を得た。さらに、金属担持触媒のBET比表面積(m2/g)と、上述のICP‐OESで得られた当該金属担持触媒の金属含有量(重量%)とに基づき、当該金属担持触媒に含まれる炭素担体1gあたりのBET比表面積(m2/g‐炭素担体)を算出した。すなわち、まず金属担持触媒に含まれる炭素担体の重量比を次の式により算出した:炭素担体の重量比=1-(ICP‐OESで得られた金属含有量(重量%))/100。次いで、得られた炭素担体の重量比で金属担持触媒のBET比表面積(m2/g)を除することにより、炭素担体1gあたりのBET比表面積(m2/g‐炭素担体)を算出した。また、温度77Kの窒素吸着等温線において相対圧力P/P0が0.98の点での吸着量より、金属担持触媒の全細孔容積(cm3/g)を得た。
そして、比表面積・細孔分布測定装置に付属の解析ソフトウェアを使用し、次の式により、金属担持触媒の平均細孔径(nm)を算出した:平均細孔径(nm)=4×{全細孔容積(cm3/g)×1021}/{比表面積(m2/g)×1018}。
[合金組成不均一性]
金属担持触媒の粉末X線回折(XRD)により求められる、当該金属担持触媒に含まれる白金合金の実測格子定数と、当該金属担持触媒のICP‐OESによって求められる、当該金属担持触媒に含まれる白金合金の理論格子定数とを用いて、下記式(I)により合金組成不均一性を算出した。すなわち、合金組成不均一性は、1から、理論格子定数を実測格子定数で除して得られる値を減じて、さらに100を乗じることにより算出された。
金属担持触媒に含まれる白金合金の実測格子定数は、当該金属担持触媒の粉末X線回折により得られたXRD図形からブラッグの式を用いて求めた。具体的には、X線回折装置(Rigaku RINT2100/PC、株式会社リガク)を用いてXRD測定を行った。X線管球への印加電圧及び電流はそれぞれ50kV及び300mAとした。サンプリング間隔は0.1°、走査速度は1°/分、測定角度範囲(2θ)は5~90°とした。入射X線としてはCuKαを用いた。試料厚みは0.5mmとし、発散スリット幅βは2/3°とした。
得られたXRD図形の回折角2θが39°~44°の範囲内の位置に現れる白金合金の(111)面に相当する回折ピークのピークトップの位置(回折角2θ)から、次のブラッグの式を用いて格子面間隔を算出した:2dsinθ=nλ。このブラッグの式において、dは格子面間隔であり、θはX線入射角であり、λはX線入射波長であり、nは整数である。
そして、次に示す格子面間隔と面指数との関係式を用いて格子定数(実測格子定数)aを算出した:d=a/(h2+k2+l2)0.5。この格子面間隔と面指数との関係式において、dは格子面間隔であり、aは格子定数(実測格子定数)であり、h、k及びlは面指数である。
金属担持触媒に含まれる白金合金の理論格子定数は、ICP‐OES測定を行って白金及び非白金金属のモル分率を求め、べガード則より算出した。べガード則とは、合金の組成とその格子定数との関係を示す経験則であり、合金の格子定数(理論格子定数)aは下記式(V)で算出される。
上記式(V)において、左辺のaは合金の格子定数(理論格子定数)であり、Nは各金属のモル分率(例えば、NA、NB及びNcはそれぞれ金属A、金属B及び金属Cのモル分率)であり、右辺のaは各金属の単体の格子定数(例えば、aA、aB及びacはそれぞれ金属A、金属B及び金属Cの単体の格子定数)である。具体的に、例えば、合金が2種類の金属、すなわち金属A及び金属Bから構成される場合、当該合金の理論格子定数aは、次の式で算出される:a=NAaA+NBaB。また、合金が3種類の金属、すなわち金属A、金属B及び金属Cから構成される場合、当該合金の理論格子定数aは、次の式で算出される:a=NAaA+NBaB+Ncac。なお、合金が4種類以上の金属から構成される場合、上記式(V)の右辺には、4種類目以降の金属の項「NXaX」(Xは金属種を示す。)が追加される。
各金属のモル分率はICP‐OESにより、金属担持触媒の金属含有量を測定することによって求めた。すなわち、上述のようにICP‐OESで得られた白金含有量(重量%)及び1以上の非白金金属の含有量(重量%)を、それぞれの金属種の原子量で除することにより、白金、及び1以上の非白金金属の各々のモル量を算出した。そして、各金属種のモル量を、全金属種のモル量の合計で除することにより、当該各金属種のモル分率を算出した。このようにして求めたモル分率を上記べガード則の式に代入することで、白金合金の理論格子定数を求めた。
[半値非対称性及び1/4値非対称性]
上述のようにして得られた金属担持触媒のXRD図形に基づき、半値非対称性及び1/4値非対称性をそれぞれ下記式(II)及び式(III)により求めた。
上記式(II)及び式(III)について、図2に示す典型的なXRD図形を参照しながら説明する。図2に示すように、Dmは、金属担持触媒のXRD図形の回折角2θが35°~44°の範囲(白金合金の(111)面の回折ピークが現れる回折角2θの範囲)において回折線が最大強度IMを示す回折角2θの値(ピークトップの位置)であり、DLhは、当該回折角2θが35°~44°の範囲において回折線が最大強度IMの半分の強度Ihを示す回折角2θのうち最も小さい回折角2θの値であり、DHhは、当該回折角2θが35°~44°の範囲において回折線が最大強度IMの半分の強度Ihを示す回折角2θのうち最も大きい回折角2θの値であり、DLqは、当該回折角2θが35°~44°の範囲において回折線が最大強度IMの4分の1の強度Iqを示す回折角2θのうち最も小さい回折角2θの値であり、DHqは、当該回折角2θが35°~44°の範囲において回折線が最大強度IMの4分の1の強度Iqを示す回折角2θのうち最も大きい回折角2θの値である。
図3A及び図3Bには、それぞれ例2及び例6の金属担持触媒について得られたXRD図形を示す。また、図4A及び図4Bには、それぞれ例C2及び例C4の金属担持触媒について得られたXRD図形を示す。
[白金/非白金金属モル比]
金属担持触媒に担持された白金合金粒子を構成する非白金金属のモル量に対する白金のモル量の比(Pt/Mモル比)は、上述のようにしてICP‐OESで求められた当該白金のモル分率を、当該非白金金属のモル分率で除することにより算出した。
[触媒金属粒子の個数平均粒子径及び体積平均粒子径:粉末X線回折]
粉末X線回折(XRD)法により、金属担持触媒において炭素担体に担持された触媒金属粒子の個数平均粒子径(nm)及び体積平均粒子径(nm)を測定した。すなわち、まず、粉末状の金属担持触媒の試料を、ガラス試料板の凹部(2cm×2cm×厚さ0.5mm)に入れるとともにスライドガラスで押さえ、当該試料をその表面と基準面とが一致するように当該凹部に均一に充填した。次いで、この充填された試料の形態が崩れないように、ガラス試料板を広角X線回折試料台に固定した。
そして、X線回折装置(Rigaku RINT2100/PC、株式会社リガク)を用いて粉末X線回折測定を行った。X線管球への印加電圧及び電流はそれぞれ50kV及び300mAとした。サンプリング間隔は0.1°、走査速度は1°/分、測定角度範囲(2θ)は5~90°とした。入射X線としてはCuKαを用いた。試料厚みは0.5mmとし、発散スリット幅βは2/3°とした。
得られたXRD図形について、後述のようにガウス関数を用いてピーク分離を行い、さらに当該ピーク分離で得られた各ピークに相当する結晶子径をシェラーの式を用いて求めた。得られた結晶子径に個数、すなわち「ピーク面積割合/結晶子径3」を重みとして用いた加重平均により、触媒金属粒子の個数平均粒子径を算出した。一方、得られた結晶子径に体積、すなわち「ピーク面積割合」を重みとして用いた加重平均により、触媒金属粒子の体積平均粒子径を算出した。
ここで、個数平均粒子径(nm)及び体積平均粒子径(nm)を求める方法について、より具体的に説明する。触媒金属粒子として白金合金粒子を担持した金属担持触媒については、そのCuKα線を用いた粉末X線回折により得られるXRD図形において、回折角(2θ)が40°付近(例えば、35°~44°の範囲内)の位置に白金合金の(111)回折線が現れる。そして、この回折線には、純白金に由来する回折線と、白金合金に由来する回折線と、炭素担体の炭素構造に由来する回折線とが含まれる。
純白金に由来する回折線は、回折角(2θ)が39.6°以上、39.8°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。白金合金に由来する回折線は、回折角(2θ)が39.9°以上、43.0°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。炭素担体の炭素構造に由来する回折線は、回折角(2θ)が43.3°以上43.7°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。
金属担持触媒が組成及び/又は結晶構造の異なる複数種類の白金合金を含む場合には、白金合金に由来する回折線が複数現れる。白金合金に由来する回折線のピークトップが位置する回折角は、その組成及び結晶構造によって決まる。
例えば、組成PtXCo(X=1~20)で表される白金コバルト合金に由来する回折線は、回折角が39.9°以上、41.8°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。組成PtXNi(X=1~20)で表される白金ニッケル合金に由来する回折線は、回折角が39.9°以上、42.0°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。組成PtXNi1Mn1(X=2~40)で表される白金ニッケルマンガン合金に由来する回折線は、回折角が39.9°以上、41.2°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。
具体的に例えば、組成PtCoで表される白金コバルト合金に由来する回折線は、回折角が41.4°以上、41.8°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。また、組成Pt3Coで表される白金コバルト合金に由来する回折線は、回折角が40.3°以上、41.2°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。さらに、組成Pt7Coで表される白金コバルト合金に由来する回折線は、回折角が39.9°以上、40.3°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。
また、例えば、組成PtNiで表される白金ニッケル合金に由来する回折線は、回折角が41.6°以上、42.0°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。また、組成Pt3Niで表される白金ニッケル合金に由来する回折線は、回折角が40.4°以上、41.2°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。また、組成Pt7Niで表される白金ニッケル合金に由来する回折線は、回折角が39.9°以上、40.3°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。組成Pt6Ni1Mn1で表される白金ニッケルマンガン合金に由来する回折線は、回折角が40.1°以上、40.8°未満の位置にピークトップを有する回折線として定義される。
また、金属担持触媒が、組成及び結晶構造が同一で結晶子径の異なる複数種類の白金粒子を含む場合、ほぼ同一の回折角の位置にピークトップを有し、且つ半値全幅が異なる複数の回折線が現れる。
実際に、金属担持触媒について得られたXRD図形においては、回折角(2θ)が40°付近の位置に白金合金の(111)回折線が現れた。そこで、まず、ベースライン補正を行った。すなわち、回折角(2θ)が35°~37°の回折強度と、50°~52°の回折強度とを結ぶ直線をベースラインに決定し、回折線の各強度から当該ベースラインを差し引くことでベースライン補正を行った。
次いで、ベースライン補正後の回折線を、1種以上の純白金由来のピーク及び/又は1種以上の白金合金由来のピーク、及び炭素由来のピークに分離した。回折線の分離は、当該分離により得られる複数のピークの各々がガウス関数で表されると仮定し、XRD図形の各回折角における、当該回折線の強度と当該複数のピークの各々の強度の合計との差(残差)の平方を、全ての回折角について足し合わせて得られる残差平方和が最も小さくなるように、当該複数のピークの各々のガウス関数の強度、ピークトップの回折角、及び半値全幅を最適化することにより行った。
ここで、例2の金属担持触媒の粉末XRD測定により得られたXRD図形を参照しながら、回折角(2θ)が40°付近(39°~44°の範囲内)の位置にピークトップを有する白金コバルト合金の(111)回折線のピーク分離について説明する。
例2の金属担持触媒のXRD図形においては、ベースライン補正後、図5Aに示すように、回折角(2θ)が40.5°の位置にピークトップを有する回折線が現れた。この回折線の中部の形状は、下部の形状に比べて幅が著しく小さく、上部の形状は、中部の形状に比べてさらに幅が小さかった。このため、回折角(2θ)が40.5°のピークにおいて、半値全幅が比較的大きい第一のPt3Coの回折線と、当該第一のPt3Coとは結晶子径が異なり半値全幅がより小さい第二のPt3Coの回折線とを含む少なくとも2つの回折線が重なり合っていると考えられた。また、金属担持触媒は、炭素担体を含むため、回折角(2θ)が43.5°付近に炭素由来の回折線も含まれていると考えられた。
そこで、上述したピーク分離法により、回折角(2θ)が40.5°の位置にピークトップを有する回折線を、第一のPt3Coに由来するピークと、第二のPt3Coに由来するピークと、炭素由来のピークとから構成される3つの成分に分離した。
この3成分へのピーク分離の結果を図5Bに示す。図5Bにおいて、「ベースライン補正後」の回折線は、XRD測定により得られた回折線にベースライン補正を施して得られた回折線を示し、「Pt3Co(1)」のピーク、「Pt3Co(2)」のピーク、及び「炭素」のピークはそれぞれ、当該「ベースライン補正後」の回折線のピーク分離により得られた、第一のPt3Co由来のピーク、第二のPt3Co由来のピーク、及び炭素由来のピークを示す。
しかしながら、図5Bに示されるように、回折角(2θ)が35°付近から39°付近の裾の広がりと、ピークの8合目までの強度が合うように、ベースライン補正後の回折線のピーク分離を行うと、40.5°付近のピークトップの鋭角さが再現できなかった。
この点、上述のとおり、Pt3Coで表される白金コバルト合金に由来する回折線は、回折角が40.3°以上、41.2°未満の位置にピークトップを有するため、40.5°付近の位置にピークトップを有する第三のPt3Coの回折線が混じっていると考えられた。
そこで、上述したピーク分離法により、回折角(2θ)が40.5°の位置にピークトップを有する回折線を、第一のPt3Coに由来するピークと、第二のPt3Coに由来するピークと、第三のPt3Coに由来するピークと、炭素由来のピークとから構成される4つの成分に分離した。
この4成分へのピーク分離の結果を図5Cに示す。また、図5Dには、図5Cの一部を拡大して示す。図5C及び図5Dにおいて、「ベースライン補正後」の回折線は、XRD測定により得られた回折線にベースライン補正を施して得られた回折線を示し、「Pt3Co(1)」のピーク、「Pt3Co(2)」のピーク、「Pt3Co(3)」のピーク、及び「炭素」のピークはそれぞれ、当該「ベースライン補正後」の回折線のピーク分離により得られた、第一のPt3Co由来のピーク、第二のPt3Co由来のピーク、第三のPt3Co由来のピーク、及び炭素由来のピークを示す。
なお、「Pt3Co(1)」のピーク、「Pt3Co(2)」のピーク、「Pt3Co(3)」のピーク、及び「炭素」のピークとを足し合わせて得られたピークは、「ベースライン補正後」の回折線とほぼ完全に一致したため、図5C及び図5Dには示していない。
このように、4成分にピーク分離した場合の残差平方和は、3成分にピーク分離した場合の残差平方和に比べて低減され、且つ極めて小さな値となった。したがって、例2の金属担持触媒には、白金コバルト合金粒子として、第一のPt3Co粒子、第二のPt3Co粒子、及び第三のPt3Co粒子が担持されていると結論された。
そして、第一のPt3Co粒子、第二のPt3Co粒子、及び第三のPt3Co粒子のそれぞれの結晶子径を、次のシェラーの式により算出した:結晶子径(nm)=Kλ/βcosθ。ここで、シェラーの式において、Kは、シェラー定数(0.94)であり、λは、CuKα線の波長(0.15418nm)であり、βは、半値全幅(radian)であり、θは、回折角(radian)である。
すなわち、例えば、第一のPt3Co粒子の結晶子径は、図5Cに示すXRD図形における「Pt3Co(1)」の分離ピークの回折角及び半値全幅を、上記シェラーの式に代入することにより算出した。その結果、第一のPt3Co粒子の結晶子径は2.3nmと算出され、第二のPt3Co粒子の結晶子径は5.6nmと算出され、第三のPt3Co粒子の結晶子径は18.8nmと算出された。
また、上述のピーク分離で得られた3つのPt3Co分離ピークの各々の面積(すなわち、「Pt3Co(1)」のピーク面積、「Pt3Co(2)」のピーク面積、及び「Pt3Co(3)」のピーク面積)を、それぞれ当該3つのPt3Co分離ピークの面積の合計で除して100を乗じることにより、当該各Pt3Co分離ピークのピーク面積割合(%)を算出した。その結果、第一のPt3Co粒子のピーク面積割合は56.4%と算出され、第二のPt3Co粒子のピーク面積割合は42.0%と算出され、第三のPt3Co粒子のピーク面積割合は1.6%と算出された。
そして、これらピーク面積割合を重みとして用いた加重平均により、触媒金属粒子の体積平均粒子径を算出した。具体的に、例2の金属担持触媒に担持された白金合金粒子の体積平均粒子径は、次の式により4.0nmと算出された:体積平均粒子径(nm)={(2.3×56.4)+(5.6×42.0)+(18.8×1.6)}/(56.4+42.0+1.6)。
さらに、「ピーク面積割合/結晶子径3」を重みとして用いた加重平均により、触媒金属粒子の個数平均粒子径を算出した。具体的に、例2の金属担持触媒に担持されたPt3Co粒子の個数平均粒子径は、次の式により2.5nmと算出された:数平均粒子径(nm)={(2.3×56.4/2.33)+(5.6×42.0/5.63)+(18.8×1.6/18.83)}/(56.4/2.33+42.0/5.63+1.6/18.83)。
図6Aには、例C2の金属担持触媒について得られたXRD図形においてピーク分離を行った結果を示す。また、図6Bには、図6Aに示すXRD図形の一部を拡大して示す。図6A及び図6Bに示すように、ベースライン補正後の回折線は、1種の純白金由来のピーク、1種の白金コバルト合金由来のピーク、及び炭素由来のピークに分離された。
例C2の金属担持触媒の粉末XRD測定により得られたXRD図形においては、ベースライン補正後、回折角(2θ)が39.7°と41.0°の位置にピークトップを有する回折線が現れた。それぞれのピークの回折線の中部の形状は、下部の形状に比べて幅が著しく小さく、上部の形状は、中部の形状に比べてさらに幅が小さかった。このため、39.7°のピークにおいて半値全幅が比較的大きい第一のPtの回折線と、当該第一のPtとは結晶子径が異なり半値全幅がより小さい第二のPtの回折線と、当該第一及び第二のPtとは結晶子径が異なり半値全幅がさらに小さい第三のPtの回折線の3つの回折線が重なり合っていると考えられた。また、41.0°のピークにおいて半値全幅が比較的大きい第一のPt3Coの回折線と、当該第一のPtCoとは結晶子径が異なり半値全幅がより小さい第二のPt3Coの回折線と、当該第一及び第二のPt3Coとは結晶子径が異なり半値全幅がさらに小さい第三のPt3Coの回折線の3つの回折線が重なり合っていると考えられた。また、金属担持触媒は、炭素担体を含むため、回折角(2θ)が43.5°付近に炭素由来の回折線を有すると考えられた。
そこで、図6A及び図6Bに示すように、上述したピーク分離法により、回折角(2θ)が39.7°の位置にピークトップを有する回折線及び回折角(2θ)が40.1°の位置にピークトップを有する回折線を、第一のPtに由来するピークと、第二のPtに由来するピークと、第三のPtに由来するピークと、第一のPt3Coに由来するピークと、第二のPt3Coに由来するピークと、第三のPt3Coに由来するピークと、炭素由来のピークとから構成される7つの成分に分離した。
図6A及び図6Bにおいて、「ベースライン補正後」の回折線は、XRD測定により得られた回折線にベースライン補正を施して得られた回折線を示し、「Pt(1)」のピーク、「Pt(2)」のピーク、「Pt(3)」のピーク、「Pt3Co(1)」のピーク、「Pt3Co(2)」のピーク、「Pt3Co(3)」のピーク、及び「炭素」のピークはそれぞれ、当該「ベースライン補正後」の回折線のピーク分離により得られた、第一のPt由来のピーク、第二のPt由来のピーク、第三のPt由来のピーク、第一のPt3Co由来のピーク、第二のPt3Co由来のピーク、第三のPt3Co由来のピーク、及び炭素由来のピークを示す。
そして、第一のPt粒子、第二のPt粒子、及び第三のPt粒子、第一のPt3Co粒子、第二のPt3Co粒子、及び第三のPt3Co粒子のそれぞれの結晶子径を、上記シェラーの式により算出した。すなわち、例えば、第一のPt粒子の結晶子径は、図6A及び図6Bに示すXRD図形における「Pt(1)」の分離ピークの回折角及び半値全幅を、上記シェラーの式に代入することにより算出した。その結果、第一のPt粒子の結晶子径は3.7nmと算出され、第二のPt粒子の結晶子径は8.1nmと算出され、第三のPt粒子の結晶子径は18.7nmと算出され第一のPt3Co粒子の結晶子径は5.7nmと算出され、第二のPt3Co粒子の結晶子径は18.6nmと算出され、第三のPt3Co粒子の結晶子径は29.5nmと算出された。
また、上述のピーク分離で得られた3つのPtおよび3つのPt3Co粒子の分離ピークの各々の面積(すなわち、「Pt(1)」のピーク面積、「Pt(2)」のピーク面積、及び「Pt(3)」のピーク面積、「Pt3Co(1)」のピーク面積、「Pt3Co(2)」のピーク面積、及び「Pt3Co(3)」のピーク面積)を、それぞれ当該3つのPtおよび3つのPt3Coの分離ピークの面積の合計で除して100を乗じることにより、当該各PtおよびPt3Coのピーク面積割合(%)を算出した。その結果、第一のPt粒子のピーク面積割合は17.3%と算出され、第二のPt粒子のピーク面積割合は44.4%と算出され、第三のPt粒子のピーク面積割合は17.7%と算出され第一のPt3Co粒子のピーク面積割合は8.7%と算出され、第二のPt3Co粒子のピーク面積割合は5.8%と算出され、第三のPt3Co粒子のピーク面積割合は6.1%と算出された。
そして、これらピーク面積割合を重みとして用いた加重平均により、触媒金属粒子の体積平均粒子径を算出した。具体的に、例C2の金属担持触媒に担持された白金合金粒子の体積平均粒子径は、次の式により11.0nmと算出された:体積平均粒子径(nm)={(3.7×17.3)+(8.1×44.4)+(18.7×17.7)+(5.7×8.7)+(18.6×5.8)+(29.5×6.1)}/(17.3+44.4+17.7+8.7+5.8+6.1)。
さらに、「ピーク面積割合/結晶子径3」を重みとして用いた加重平均により、触媒金属粒子の個数平均粒子径を算出した。具体的に、例C2の金属担持触媒に担持されたPt3Co粒子の個数平均粒子径は、次の式により4.9nmと算出された:数平均粒子径(nm)={(3.7×17.3/3.73)+(8.1×44.4/8.13)+(18.7×17.7/18.73)+(5.7×8.7/5.73)+(18.6×5.8/18.63)+(29.5×6.1/29.53)}/(17.3/3.73+44.4/8.13+17.7/18.73+8.7/5.73+5.8/18.63+6.1/29.53)。
[ECSA掃引速度依存性]
金属担持触媒に含まれる白金の電気化学的有効比表面積(ECSA)(m2/g‐Pt)を、回転リングディスク電極装置(RRDE-3A回転リングディスク電極装置ver.1.2、ビー・エー・エス株式会社製)と、デュアル電気化学アナライザー(CHI700C、株式会社ALS社製)とを用いた回転リングディスク電極法により評価した。
すなわち、まず金属担持触媒を含む作用電極を有する、三極式の回転リングディスク電極装置を作製した。具体的に、金属担持触媒5mgと、5%ナフィオン(登録商標)(シグマアルドリッチ社製、ナフィオン 過フッ素化イオン交換樹脂、5%溶液(製品番号:510211))50μLと、水400μLと、イソプロピルアルコール100μLとを混合してスラリーを調製した。次いで、このスラリーに超音波処理を10分行い、その後、ホモジナイザー処理を2分行った。そして、得られたスラリーを、金属担持触媒の塗布量が0.1mg/cm2となるように、作用電極(RRDE-3A用リングディスク電極 白金リング-金ディスク電極 ディスク直径4mm、ビー・エー・エス株式会社製)に塗布し、乾燥することにより、当該金属担持触媒が担持された作用電極を作製した。
また対極としては白金電極(Ptカウンター電極23cm、ビー・エー・エス株式会社製)を使用し、参照極としては可逆式水素電極(RHE)(溜め込み式可逆水素電極、株式会社イーシーフロンティア製)を使用した。こうして、金属担持触媒を含む作用電極、対極としての白金電極、及び参照極としての可逆式水素電極(RHE)を有する回転リングディスク電極装置を得た。また、電解液としては、0.1M過塩素酸水溶液を使用した。
そして、上記回転リングディスク電極装置を用いてECSAを測定した。すなわち、金属担持触媒を含む作用電極を有する、三極式の回転リングディスク電極装置を用いた窒素雰囲気中におけるサイクリックボルタンメトリー(CV)を実施した。
CVにおいては、まず窒素バブリングを10分行い、電解液内の酸素を除去した。その後、0.0V(vs.NHE)から0.94V(vs.NHE)の電位範囲で、掃引速度10mV/secで電位掃引した時の電流密度を電位の関数として記録した。
こうして得られたサイクリックボルタモグラムから、ECSA@10mV(m2/g‐Pt)を得た。具体的には、3サイクル目のサイクリックボルタモグラムにおいて、負走査時の0.0V(vs.NHE)から0.4V(vs.NHE)における水素吸着電気量(QHupd)(mC/cm2)から、面積換算電気量(210μC/cm2)及び白金塗布量(LPt)(mg‐Pt/cm2)を用い、下記式(VI)によりECSAを算出した。
同様にして、掃引速度1000mV/secにおけるECSA@1000mV(m2/g‐Pt)を算出した。こうして得られたECSA@10mV及びECSA@1000mVを使用し、下記式(IV)により、金属担持触媒のECSA掃引速度依存性(%)を算出した。すなわち、ECSA@1000mVをECSA@10mVで除した値を1から引き、その値に100を乗じて算出された値をECSA掃引速度依存性(%)として得た。
図7には、例5の金属担持触媒及び例C4の金属担持触媒を用いてECSA掃引速度依存性を評価した結果を示す。図7において、横軸は掃引速度(mV/sec)であり、縦軸はECSA維持率(%)である。ECSA維持率は、各掃引速度におけるECSAをECSA@10mVで除した値に100を乗じることによって算出した。すなわち、横軸の掃引速度が1000mV/secにおけるECSA維持率(%)を100から減じた値が、上述のECSA掃引速度依存性(%)に相当する。
図7に示すように、例C4の金属担持触媒を用いた場合は掃引速度が大きくなることによるECSAの低下が、例5の金属担持触媒を用いた場合に比べて小さかった。したがって、例C4の金属担持触媒においては、例5の金属担持触媒に比べて、炭素担体の細孔の外部に、より多くの触媒金属粒子が担持されていると考えられた。すなわち、例C4の金属担持触媒は、液相還元法によって炭素担体に触媒金属粒子を担持することにより製造されたため、当該触媒金属粒子が当該炭素担体の外表面に優先的に担持されていると考えられた。
[金属担持触媒を含む電極を有する電池の性能評価]
金属担持触媒を含むカソードを有する燃料電池の性能評価を行った。具体的に、まず金属担持触媒を含む触媒層が形成された電池カソードを製造した。すなわち、金属担持触媒0.25gに、炭素担体に対する重量比が1.1となる量の電解質(等価質量EW(Equivalent Weight)=820)を加え、さらに、蒸留水及び1-プロパノールをそれぞれ2g加えて電解質溶液を調製した。この電解質溶液と、ボール25gをポットに投入し、200rpm、50分間ボールミルで混合することにより、均一に分散された当該金属担持触媒を含むスラリー状の触媒層用組成物を得た。
得られたスラリー状の触媒層用組成物を、ガス拡散層(“29BC”、SGLカーボン社製)(2.3cm×2.3cm)の面積5cm2の領域上に、電池電極の単位面積あたりの白金含有量が0.2(mg‐Pt/cm2)になるように塗布して乾燥させることにより、当該ガス拡散層上に触媒層を形成した。こうして、金属担持触媒を含む触媒層が形成された電池電極を得た。
次に、金属担持触媒を含む触媒層が形成された電池電極を含む燃料電池を製造した。すなわち、正極としては、上述のようにして製造された、触媒層(正極触媒層)を含む電池電極を使用した。
一方、負極は以下のようにして作製した。炭素担体に担持された白金粒子を含む市販の白金担持触媒(Pt/C)(UNPC40-II、石福金属興業株式会社製)0.5gと、5%ナフィオン(登録商標)10gと、蒸留水2gと、ボール25gとをポットに投入し、200rpm、50分間ボールミルで混合することにより、スラリー状のPt/C組成物を調製した。このスラリー状のPt/C組成物を、ガス拡散層(5cm2)上に単位面積あたりの白金含有量が0.1(mg‐Pt/cm2)となるようにしたこと以外は、上記正極と同様にして、当該Pt/C組成物から形成された触媒層(負極触媒層)を含む負極を作製した。
そして、上記正極触媒層と上記負極触媒層との間に、固体高分子電解質膜(Dupont社製、“NAFION(登録商標)211”)を配置して、これらを150℃、1MPaの条件で3分間圧着することにより、MEAを作製した。このMEAに一対のガスケットを貼り付け、さらに一対のセパレーターで挟み、燃料電池単セルを作製した。その後、上述のようにして作製した単セルを燃料電池自動評価システム(株式会社東陽テクニカ製)に設置し、まず発電試験を行い、その後、耐久性試験を行った。
発電試験は、単セルに対して、背圧150kPaで正極側に飽和加湿空気(酸素)を2.5L/分で供給し(相対湿度100%)、負極側に飽和加湿水素を1.0L/分で供給し(相対湿度100%)、セル温度を75℃に設定して、開回路電圧を5分間測定した。その後、セル電流密度を4.0A/cm2から0A/cm2まで、各電流密度で3分間保持してセル電圧を測定した。
そして、出力特性として、電流密度2.5A/cm2における電圧(mV)を測定した。また、触媒活性として、電流密度0.2A/cm2における電圧(mV)を測定した。また、起動停止試験開始時の電圧として、電流密度1.0A/cm2における電圧(mV)を記録した。
次いで、起動停止試験を実施した。すなわち、セル温度を80℃に設定して、単セルの両側に背圧35kPaで飽和加湿窒素を1.0L/分で供給し(相対湿度100%)、アノード側に飽和加湿水素を1.0mL/分で供給し(相対湿度100%)、掃引速度500mV/秒にて、電位を1.0Vから1.5Vまで走査する三角波のサイクルを繰り返すことにより、起動停止試験を行った。
上記三角波のサイクルを1000回行った後、再び発電試験を行い、起動停止試験後の1.0A/cm2における電圧(mV)を記録した。そして、起動停止試験前の発電試験において初期性能として測定された1.0A/cm2における電圧(mV)から、当該起動停止試験後の発電試験において測定された1.0A/cm2における電圧(mV)(1000サイクル後の電圧(mV))を減じて得られた値である電圧ロス(mV)を、第一の起動停止試験における耐久性の指標として用いた。
また、負荷変動試験も実施した。すなわち、上述の起動停止試験と同様に、まず負荷変動試験開始時の電圧として、電流密度1.0A/cm2における電圧(mV)を記録した。その後、セル温度を75℃に設定して、単セルの両側に背圧150kPaで飽和加湿窒素を0.5L/分で供給し(相対湿度100%)、アノード側に飽和加湿水素を0.5mL/分で供給し(相対湿度100%)、まず電位を0.6Vで10秒保持し、次いで0.95Vで10秒保持する矩形波のサイクルを繰り返すことにより、負荷変動試験を行った。
上記矩形波のサイクルを10000回行った後、再び発電試験を行い、負荷変動試験後の電流密度1.0A/cm2における電圧(mV)を記録した。そして、負荷変動試験前の発電試験において初期性能として測定された1.0A/cm2における電圧(mV)から、当該負荷変動試験後の発電試験において測定された1.0A/cm2における電圧(mV)(10000サイクル後の電圧(mV))を減じて得られた値である電圧ロス(mV)を、負荷変動試験における耐久性の指標として用いた。
[イオン抵抗の評価]
インピーダンス測定は、セル温度を80℃に設定して、単セルの両側に背圧35kPaで飽和加湿窒素を0.5L/分で供給し(相対湿度100%)、アノード側に飽和加湿水素を0.5mL/分で供給し(相対湿度100%)、開回路電圧を10分間測定した。その後、電気化学測定システム(VSP-300、BioLogic社製)を用いて、印加電圧を450mV、測定周波数を20kHzから50mHz、振幅電圧を±10mVとし、測定を行った。
測定によって得られた実測値のナイキストプロットをZView等価回路解析ソフトウェア(Scribner Associates)を用いてフィッティングすることで、イオン抵抗Riを求めた。
上記測定条件における電極の状態は図8Aに示す等価回路によってモデル化できる。この等価回路においてLは配線等に由来するインダクタンスであり、Rcは電解質膜や電極部材の抵抗であり、Rshは短絡抵抗であり、W DeLevieはワールブルグインピーダンスである。このときワールブルグインピーダンスZwは下記式(VII)で表される。
ここで、上記式(VII)において、Tは時定数であり、RiとCdlとの積と定義される。Riはイオン抵抗(mΩ・cm2)であり、Cdlは電気二重層容量(F)である。ωは周波数(Hz)である。jは虚数単位である。
実測値のナイキストプロットに対して図8Aに示す等価回路を用いてフィッティングをすることで、Riを算出した(参考文献:Journal of The Electrochemical Society, 157 (3) B425-B436 (2010))。Riは主に触媒層のイオン抵抗に由来し、イオン抵抗は触媒層の厚み、触媒層の親水性、アイオノマーの劣化度合の影響を受けると考えられる。
図8Bに、例3について得られたナイキストプロットの実測値及びフィッティング結果を示す。フィッティングの結果、イオン抵抗Riは54mΩ・cm2であった。
[結果]
図9Aには、例1~16及び例C1~C10の金属担持触媒の製造条件と、当該金属担持触媒を含む燃料電池の特性を評価した結果とを示す。
起動停止試験においては、上述のとおり、1.0Vから1.5Vまでという比較的高い電位にて耐久性試験を行った。上記の電位範囲では、例えば、炭素担体の酸化による劣化が進行しやすい。したがって、起動停止試験における電圧ロスが小さいほど、金属担持触媒の耐久性が高いことを意味する。
この点、図9Aに示す起動停止試験における電圧ロスによれば、例1~16の金属担持触媒の耐久性は、例C5、C6及びC9のそれより優れており、例C1~C4、C7、C8及びC10のそれと同程度であった。また、起動停止試験において、例2~16の金属担持触媒の耐久性は、例1のそれより優れており、例4~16の金属担持触媒の耐久性は、例2及び3のそれより優れており、例4~8、10~13、15及び16の金属担持触媒の耐久性は、例9及び14のそれより優れていた。
負荷変動試験においては、上述のとおり、0.6V及び0.95Vという比較的低い電位にて耐久性試験を行った。上記の電位範囲では、例えば、炭素担体に担持された触媒金属粒子の劣化(例えば、凝集及び/又は溶解)が進行しやすい。したがって、負荷変動試験における電圧ロスが小さいほど、金属担持触媒の耐久性が高いことを意味する。
この点、図9Aに示す負荷変動試験における電圧ロスによれば、例1~16の金属担持触媒の耐久性は、例C3、C4、C8及びC9のそれより優れており、例C1、C2、C5~C7及びC10のそれと同程度であった。また、負荷変動試験において、例1~5、7、9~13、15及び16の金属担持触媒の耐久性は、例6、8及び14のそれより優れていた。
金属担持触媒の出力特性を示す電流密度2.5A/cm2における電圧(mV)は、値が大きいほど、当該金属担持触媒の出力特性が優れていることを示す。すなわち、2.0A/cm2以上の高電流密度領域では大量の水が生成されるため、炭素担体の細孔内部が生成水により満たされ、物質輸送が阻害される結果、電池の性能としての電圧が低下しやすい。
この点、図9Aによれば、例1~16の金属担持触媒の出力特性は、例C8~C10のそれより優れており、例C1~C7のそれと同程度であった。また、例1~8及び10~13の出力特性は、例9及び14~16のそれより優れており、例1~5、7及び10~13の出力特性は、例6及び8のそれより優れていた。
金属担持触媒の触媒活性を示す電流密度0.2A/cm2における電圧(mV)は、値が大きいほど、当該金属担持触媒の触媒活性が優れていることを示す。すなわち、燃料電池の過電圧は、活性化過電圧、抵抗過電圧及び拡散過電圧に分類されるが、低電流密度領域0.2A/cm2では、抵抗過電圧及び拡散過電圧の影響が小さいため、触媒活性の評価に適している。
この点、図9Aによれば、例1~16の金属担持触媒の触媒活性は、例C7~C10のそれより優れており、例C1~C6のそれと同程度であった。また、例1~7及び11~13の触媒活性は、例8~10及び14~16のそれより優れていた。
イオン抵抗は、値が小さいほど、触媒層のプロトン伝導性が高いことを示す。イオン抵抗は、例えば、触媒層の厚み、触媒層の親水性、アイオノマーの劣化度合の影響を受けると考えられる。金属担持触媒を含む触媒層においては、イオン抵抗が小さいことが好ましい。
この点、図9Aによれば、例1~16の金属担持触媒のイオン抵抗は、例C1~C3のそれより小さく、例C4~C10のそれと同程度であった。また、例1、2、5~13、15及び16のイオン抵抗は、例3、4及び14のそれより小さかった。
図9Bには、各例の金属担持触媒の特性を評価した結果を示す。ラマン2D/G比について、例1~16の金属担持触媒は、例C5及びC6のそれより大きく、例C1~C4及びC8のそれと同程度であり、例C8より小さいラマン2D/G比を有していた。また、例2~16の金属担持触媒は、例1のそれより大きいラマン2D/G比を有し、例4~13、15及び16の金属担持触媒は、例2及び3のそれより大きいラマン2D/G比を有していた。また、例1~13、15及び16の金属担持触媒は、例14のそれより小さいラマン2D/G比を有していた。
ラマンD半値半幅について、例1~16の金属担持触媒は、例C7、C8及びC10のそれより大きく、例C1~C4のそれと同程度であり、例C5、C6及びC9のそれより小さいラマンD半値半幅を有していた。また、例2~16の金属担持触媒は、例1のそれより小さいラマンD半値半幅を有し、例4~16の金属担持触媒は、例2及び3のそれより小さいラマンD半値半幅を有していた。また、例1~5、7~13、15及び16の金属担持触媒は、例6及び14のそれより大きいラマンD半値半幅を有していた。
平均細孔径について、例1~16の金属担持触媒は、例C5及びC6のそれより大きく、例C1~C4、C7及びC9のそれと同程度であり、例C8及びC10のそれより小さい平均細孔径を有していた。また、例1~13、15及び16の金属担持触媒は、例14のそれより小さい平均細孔径を有し、例1~5、7~13、15及び16の金属担持触媒は、例6のそれより小さい平均細孔径を有していた。
BET比表面積について、例1~16の金属担持触媒は、例C7、C8及びC10のそれより大きく、例C1~C4及びC9のそれと同程度であり、例C5及びC6のそれより小さいBET比表面積を有していた。また、例1~5、7~13、15及び16の金属担持触媒は、例6及び14のそれより大きいBET比表面積を有していた。
白金含有量について、例1~16の金属担持触媒は、例C1のそれより大きく、例C2~C10のそれと同程度の白金含有量を有していた。また、例1、3~16の金属担持触媒は、例2のそれより大きい白金含有量を有していた。
白金/非白金金属(Pt/M)モル比について、例1~16の金属担持触媒は、例C1~C10のそれと同程度の白金/非白金金属モル比を有していた。また、例1、3~9及び11~16の金属担持触媒は、例2及び10のそれより小さい白金含有量を有していた。
合金不均一性について、例1~16の金属担持触媒は、例C1、C5及びC7~C9のそれと同程度であり、例C2~C4、C6及びC10のそれより小さい合金不均一性を有していた。また、例1~8及び10~16の金属担持触媒は、例9のそれより小さい合金不均一性を有していた。
半値非対称性について、例1~16の金属担持触媒は、例C1~C3、C5、C7及びC9のそれと同程度であり、例C4、C6、C8及びC10のそれより小さい半値非対称性を有していた。また、例1~8及び10~16の金属担持触媒は、例9のそれより小さい半値非対称性を有し、例1~7、10~13及び16の金属担持触媒は、例8、14及び15のそれより小さい半値非対称性を有していた。
1/4値非対称性について、例1~16の金属担持触媒は、例C1、C5~C7、C9及びC10のそれと同程度であり、例C2~C4及びC8のそれより小さい1/4値非対称性を有していた。また、例1~5及び7~16の金属担持触媒は、例6のそれより小さい1/4値非対称性を有していた。
触媒金属粒子の個数平均粒子径について、例1~16の金属担持触媒は、例C1~C10のそれと同程度の個数平均粒子径を有していた。また、例1~14の金属担持触媒は、例15及び16のそれより小さい個数平均粒子径を有し、例1~7及び10~13の金属担持触媒は、例8、9及び14のそれより小さい個数平均粒子径を有していた。
触媒金属粒子の体積平均粒子径について、例1~16の金属担持触媒は、例C1~C3及びC5~C9のそれと同程度であり、例C4及びC10のそれより小さい体積平均粒子径を有していた。また、例1~14の金属担持触媒は、例15及び16のそれより小さい体積平均粒子径を有し、例1~7及び10~13の金属担持触媒は、例8、9及び14のそれより小さい体積平均粒子径を有していた。
ECSA掃引速度依存性について、例1~16の金属担持触媒は、例C8及び例C10のそれより大きく、例C1~C7及びC9のそれと同程度のECSA掃引速度依存性を有していた。また、例1~15の金属担持触媒は、例16のそれより大きいECSA掃引速度依存性を有し、例1、3~7及び10~13の金属担持触媒は、例2、8、9、14及び15のそれより大きいECSA掃引速度依存性を有していた。