JP7721063B2 - 制振構造体及び該制振構造体を備える自動車 - Google Patents

制振構造体及び該制振構造体を備える自動車

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Description

本発明は、制振構造体及び該制振構造体を備える自動車に係り、更に詳細には、音響ブラックホール効果を利用した制振構造体及び該制振構造体を備える自動車に関する。
振動や騒音の対策として、音響ブラックホール効果を利用した制振構造体を用いることが知られている。
この制振構造体は、板厚が先端に向けて減少する楔形の構造を有し、この制振構造体を伝搬する振動(波)は、先端に向かうにつれて振幅が大きくなって伝搬速度が遅くなるので、板厚が0(零)になる楔形の先端では、伝搬速度が0になり、振動が反射されないことを利用している。
しかしながら、先端の厚さが0になる楔形の制振構造体を実際に製造することはできず、振動の反射を完全になくすことはできないので、その反射を低減するために楔形の先端に減衰材が設けられる。
特許文献1には、振動エネルギーが集中する楔形の先端にポリマー膜から成る減衰材を貼り付け、振動エネルギーを減衰する弾性くさびダンパが開示されている。
特開2010-144868号公報
しかしながら、特許文献1に記載の制振構造体は、減衰材や該減衰材を貼り付ける接着剤などに樹脂が使用されており、経時劣化し易く長期に亘る耐久性が低いので、外部環境に曝され、環境変化が大きい自動車などに適用することはできない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、経時劣化し難く長期に亘る耐久性が高い制振構造体を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、制振構造体を金属製の部材のみで作製することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の制振構造体は、少なくとも楔形部を有する金属制振板と、上記金属制振板の先端部に当接した金属板と、を備える。
そして、上記楔形部の板厚が下記式(1)を満たして変化し、上記金属板が、上記金属制振板と摩擦可能に設けられたことを特徴とする;
h(x) = ε・x + h・・・式(1)

但し、式(1)中、
x : 楔形部の薄肉端からの距離(mm)
h(x): 楔形部の薄肉端からの距離xにおける板厚(mm)
: 楔形部の薄肉端の板厚(mm)
ε : 正の定数
n : 1以上の実数
また、本発明の自動車は、上記制振構造体を備えることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂材料を用いずに、金属製の部材のみで制振構造体を作製することしたため、経時劣化し難く長期に亘り耐久性が高い制振構造体を提供することができる。
本発明の制振構造体による制振メカニズムを説明する図である。 実施例及び比較例で用いたくさび形金属制振板及び金属板の形状を説明する図である。 比較例1の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 比較例2制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 比較例3制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 実施例1の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 実施例2の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 比較例4の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 実施例3の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 実施例4の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例で用いた円盤形金属制振板及び金属板の形状を説明する図である。 比較例5の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 比較例6の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 実施例5の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例で用いたすり鉢形金属制振板及び金属板の形状を説明する図である。 比較例7の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 比較例8の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。 実施例6の制振構造体のイナータンス測定結果を示すグラフである。
本発明の制振構造体について詳細に説明する。
本発明の制振構造体は、金属制振板と金属板とを備える。
上記金属制振板は、板厚が自由端方向に漸減する楔形部を有し、上記金属板は、上記金属制振板の自由端先端部に金属制振板と摩擦可能に当接して設けられる。
上記金属制振板は、楔形部が下記式(1)を満たして板厚が変化することで、音響ブラックホール効果が得られる。
h(x) = ε・x + h・・・式(1)

但し、式(1)中、
x : 楔形部の薄肉端からの距離(mm)
h(x): 楔形部の薄肉端からの距離xにおける板厚(mm)
: 楔形部の薄肉端の板厚(mm)
ε : 正の定数
n : 1以上の実数
式(1)を満たす楔形部を有する金属制振板は、図1に示すように、入射した振動(波)が、金属制振板の厚さが減少する方向の自由端に向かって伝搬し、先端に向かうにつれて振幅が大きくなって伝搬速度が遅くなる。
本発明の金属制振板は、振幅が大きく伝搬速度が遅い自由端先端部に、金属板が摩擦可能に当接して設けられているので、上記自由端先端部に伝搬した振動エネルギーが摩擦熱に変換されて減衰する。
したがって、制振構造体は、金属制振板の自由端の板厚(h)が0でなくても、自由端の振動を抑えることができる。
また、本発明においては、上記減衰材として金属板を用いているので、樹脂製の減衰材に比して耐候性に優れ、経時劣化し難く耐久性が高いので、長期に亘る制振が可能である。
本発明において「自由端先端部」とは、金属制振板の主面の自由端と該自由端から金属制振板の厚さが増加する方向に連続する先端部分をいい、金属制振板の自由端の端面や側面部分を言わない。
また、「摩擦可能」とは、振動の入力によって金属制振板が波打って生じる微視的な金属制振板の伸縮により、金属制振板と金属板とが部分的に摩擦すれば足り、金属制振板と金属板とが相対的に移動し、金属制振板と金属板との全体的な位置関係が変わることまでを意味するものではない。
上記制振構造体は、金属板の縁と金属制振板の自由端とがぴったりと重なっていることで、自由端での振動を効率よく抑えることができる。また、金属板の主面の全面が金属制振板の主面に当接していることで、金属板と金属制振板との接触面積が大きくなって、金属制振板の振動エネルギーを摩擦熱に効率よく変換することができる。
上記金属板の大きさとしては、自由端の振動を摩擦により減衰できればよく、入力される振動のエネルギーや振動数にもよるが、自由端の板厚(h)に応じてその大きさを調整する。
具体的には、金属板の種類にもよるが、金属板の厚さは、自由端の厚さと同程度であることが好ましく0.1~0.3mmであることが好ましい。また、自由端からの長さは5~30mmであることが好ましい。
上記自由端の板厚(h)は、金属制振板自体の重さや金属板の重さによって金属制振板が変形せず、その形状を維持できればできるだけ薄いことが好ましく、0.1~0.3mmであることが好ましい。
また、金属制振板の楔形部の長さ、すなわち、金属制振板の板厚が減少し始める箇所から自由端までの長さは、入力された振動を先端部に集中させることができればよく、金属制振板の厚肉部の厚さにもよるが、20~2000mmであることが好ましい。
また、上記金属制振板の厚肉部の厚さは、0.5~50mmであることが好ましい。
上記金属制振板の楔形部は、自由端側に向けて板厚が徐々に減少していればよく、一方の主面と他方の主面の両方が、平面で形成されていても曲面で形成されていてもよく、また、一方の主面が平面で形成され、他方の主面が曲面で形成されていてもよい。
上記金属制振板の全体形状としては、楔形部を有していれば特に制限はなく、正方形や長方形などの多角形状の他、円形や楕円形などを挙げることができ、楔形部の自由端が金属制振板の外側に向いていても、金属制振板の内側(中心側や中央部側)に向いてすり鉢形をしていてもよい。
また、上記金属制振板は、必要に応じて、楔形部の薄肉側(自由端側)に、楔形部の薄肉端の板厚と同じで板厚が一定の薄肉部を有することができる。
金属制振板が、薄肉部を有する場合は、薄肉部の自由端先端部に上記金属板が設けられる。
上記金属制振板は、さらに、楔形部の厚肉側に板厚が、楔形部の厚肉端の板厚と同じで板厚が一定の厚肉部を有していてもよい。
上記金属板を、上記金属制振板と摩擦可能に当接させる方法としては、重ね合わせた金属板と金属制振板を金属製弾性部材で挟持する方法や、金属製締結部材で締結する方法を挙げることができる。
上記金属製弾性部材としては、クリップや板バネなどを挙げることができ、金属製締結部材としてはボルトとナットなどを挙げることができる。
上記金属制振板や金属板としては、従来から制振板として使用されている金属材を使用することができ、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、錫 鉛、銅、及びこれらを含む合金などを挙げることができる。
金属制振板と金属板とは、同種の金属材であることが好ましいが、異種の金属材を用いる場合は、金属板の自然電位が、上記金属制振板の自然電位よりも低いことが好ましい。
金属板が金属制振板よりも卑な金属材であることで、金属制振板の腐食を防止することができ、振動減衰効果の変化を抑制でき耐久性が向上する。
上記制振構造体は、自動車のサスペンションとボディとの間に設けてタイヤからの振動の減衰や、自動車のパネルなどの振動防止に好適に使用できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[比較例1]
熱間圧延鋼板(SS400)を用いて、図2に示す形状をした、長さ(L)300mm、幅(W)50mmで、楔形部の厚肉端から自由端までの長さ(L’)が200mm、板厚が一定の薄肉部の長さ(L”)が10mm、自由端(薄肉部)の板厚(T)が0.2mm、厚肉部の板厚(T’)が5mmであり、楔形部(厚肉端から薄肉端(L’-L”))の板厚の変化h(x)が、(4.8/190)x+0.2であるくさび形金属制振板を作製し、制振構造体とした。
<評価>
上記比較例及び実施例の制振構造体を楔形部の先端を下方に向け、ゴム紐で支柱に吊り下げて自由支持とし、制振構造体の上端から30mm、側端から10mmの位置に加速度センサ(PCB社製 356A01)を取り付けた。
加速度センサ付近を、インパルスハンマ(PCB社製 086C03(ハードチップ))で打撃し、インパルスハンマ(入力)の力と加速度センサ(応答)の加速度をFFTアナライザ(シーメンス株式会社製 SCADAS III)に取り込んでフーリエ変換を行い、加速度/力の伝達関数(イナータンス)を取得した。打撃を5回繰り返し平均してイナータンスを測定した。評価結果を図3に示す。
[比較例2]
比較例1のくさび形金属制振板の楔形部の先端部に、長さ(L’’’)10mm、幅(W)50mm、厚さ0.8mm、質量3.1gのマグネットシート(酸化鉄、塩素化ポリエチレンの減衰板)を、その縁が自由端と重なるようにぴったりと重ね、全面を両面テープで貼り付けて制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図4に示す。
[比較例3]
長さ(L’’’)10mm、幅(W)50mm、厚さ0.2mm、質量1.6gの冷間圧延鋼板(SPCC)板の全面をハンダで接合する他は、比較例2と同様にして制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図5に示す。
[実施例1]
比較例3の冷間圧延鋼板(SPCC)板をターンクリップで2箇所挟持し留める他は比較例3と同様にして制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図6に示す。
[実施例2]
比較例3の冷間圧延鋼板(SPCC)板をゼムクリップ(登録商標)で2箇所挟持し留める他は比較例3と同様にして制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図7に示す。
[比較例4]
比較例1のくさび形金属制振板の楔形部の先端部に金属板を設けずに、合計質量が5.0gのボルトとナットを締結して制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図8に示す。
[実施例3]
比較例3の冷間圧延鋼板(SPCC)板と金属制振板との自由端を、比較例4と同じボルトとナットで締結する他は実施例1と同様にして制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図9に示す。
[実施例4]
冷間圧延鋼板(SPCC)板を、長さ(L’’’)10mm、幅(W)50mm、厚さ0.12mm、質量3.4gのアルミニウム板に変える他は実施例2と同様にして制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図10に示す。
[比較例5]
ステンレスを用いて、直径(L)が64mmの円盤の中心に、直径が17mmの円形の貫通孔を有し、この円盤の外縁を自由端とする楔形部の長さ(L’)が32mm、自由端の板厚(T)が0.2mm、厚肉部の板厚(T’)が2mmであり、楔形部の板厚の変化h(x)が、(1.8/32)x+0.2である円盤型金属制振板を作製し、制振構造体とした。比較例1と同様に評価した結果を図12に示す。
[比較例6]
比較例5の円盤型金属制振板の楔形部の外周先端部に、天然ゴム製の内径44mm、外径64mm、厚さ0.8mm、質量4.0gの減衰板を、その外縁が円盤型金属制振板の自由端と重なるようにぴったりと重ね、ゼムクリップ(登録商標)で2箇所挟持し制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図13に示す。
[実施例5]
比較例5の円盤型金属制振板の楔形部の外周先端部に、冷間圧延鋼板(SPCC)製の内径44mm、外径64mm、厚さ0.2mm、質量2.6gの減衰板を、その外縁が円盤型金属制振板の自由端と重なるようにぴったりと重ね、ゼムクリップ(登録商標)で2箇所挟持し制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図14に示す。
[比較例7]
熱間圧延鋼板(SS400)を用いて、一辺が130mmの正方形の中心に直径が14mmの円形の貫通孔を有し、この貫通孔を自由端とする外径が97mmである楔形部を有し、上記自由端の板厚が0.23mm、厚肉部の板厚が4.5mmであり、楔形部の板厚の変化h(x)が、(4.27/41.5)x+0.14であるすり鉢状金属制振板を作製し、制振構造体とした。比較例1と同様に評価した結果を図17に示す。
[比較例8]
比較例7のすり鉢状金属制振板の楔形部の先端部に、天然ゴム製の内径14mm、外径34mm、厚さ0.8mm、質量1.3gの減衰板を、その内縁がすり鉢状金属制振板の自由端と重なるようにぴったりと重ね、ゼムクリップ(登録商標)で2箇所挟持し制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図17に示す。
[実施例6]
比較例7のすり鉢状金属制振板の楔形部の先端部に、冷間圧延鋼板(SPCC)製の内径14mm、外径34mm、厚さ0.2mm、質量1.16gの減衰板を、その内縁がすり鉢状金属制振板の自由端と重なるようにぴったりと重ね、ゼムクリップ(登録商標)で2箇所挟持し制振構造体を作製した。比較例1と同様に評価した結果を図18に示す。
比較例1と比較例2との結果から、マグネットシートを貼付することで振動を減衰できることが分かる。
実施例1,2と比較例3との結果から、金属板が金属制振板と摩擦することで振動を減衰できることが分かり、比較例2との差から、金属板を摩擦可能に設けることで弾性材であるマグネットシートよりも軽量であるにも拘らず、同等かそれ以上の制振効果を奏することが分かる。
実施例3は、実施例1,2よりも制振効果が低下したが、ボルト締結によって実施例1,2よりも金属板の摩擦が制限されたためであると考えられる。
また、実施例4は、実施例1よりも制振効果が低下したが、アルミニウム板の質量が冷間圧延鋼板よりも軽量であることによると考えられる。
実施例5と比較例5,6の結果から、円盤状の金属制振板も金属板を摩擦可能に設けることで制振効果を奏することが分かる。
実施例6と比較例7、8の結果から、すり鉢状の金属制振板も金属板を摩擦可能に設けることで制振効果を奏することが分かる。
1 金属制振板
11 楔形部
12 自由端
13 厚肉部
2 金属板

Claims (6)

  1. 少なくとも楔形部を有する金属制振板と、上記金属制振板の自由端先端部に当接した金属板と、を備える制振構造体であって、
    上記楔形部の板厚が下記式(1)を満たして変化し、
    上記金属板が、上記金属制振板と摩擦可能に設けられたことを特徴とする制振構造体。
    h(x) = ε・x + h・・・式(1)

    但し、式(1)中、
    x : 楔形部の薄肉端からの距離(mm)
    h(x): 楔形部の薄肉端からの距離xにおける板厚(mm)
    : 楔形部の薄肉端の板厚(mm)
    ε : 正の定数
    n : 1以上の実数
  2. 上記金属制振板と上記金属板とが、金属製弾性部材で挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の制振構造体。
  3. 上記金属制振板と上記金属板とが、金属製締結部材で締結されていることを特徴とする請求項1に記載の制振構造体。
  4. 上記金属制振板が、その楔形部の薄肉端に板厚が一定の薄肉部をさらに備え、
    上記薄肉部の板厚が、楔形部の薄肉端の板厚と同じであり、
    上記金属板が、上記薄肉部に設けられたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つの項に記載の制振構造体。
  5. 上記金属板の自然電位が、上記金属制振板の自然電位以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つの項に記載の制振構造体。
  6. 制振構造体を備える自動車であって、
    上記制振構造体が請求項1~5のいずれか1つの項に記載の制振構造体であることを特徴とする自動車。
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