以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
<分析観察装置Aの全体構成>
図1は、本開示の実施形態に係る分析観察装置Aの全体構成を例示する模式図である。図1に例示される分析観察装置Aは、観察対象物および分析対象物としてのサンプルSPの拡大観察を行うとともに、該サンプルSPの成分分析を行うことができる。
詳しくは、本実施形態に係る分析観察装置Aは、例えば微少物体等の試料、電子部品、被加工物等からなるサンプルSPを拡大して撮像することで、そのサンプルSPにおいて成分分析が行われるべき部位を探索したり、その外観の検査、計測等を行ったりすることができる。分析観察装置Aは、その観察機能に着目した場合、拡大観察装置と呼称したり、単に顕微鏡と呼称したり、あるいは、デジタルマイクロスコープと呼称したりすることができる。
分析観察装置Aはまた、サンプルSPの成分分析に際し、レーザ誘起ブレークダウン法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:LIBS)、レーザ誘起プラズマ分光法(Laser Induced Plasma Spectroscopy:LIPS)等と呼称される手法を実施することができる。分析観察装置Aは、その分析機能に着目した場合、成分分析装置と呼称したり、単に分析装置と呼称したり、あるいは、分光装置と呼称したりすることもできる。
図1に示すように、本実施形態に係る分析観察装置Aは、主要な構成要素として、光学系アセンブリ(光学系本体)1と、コントローラ本体2と、操作部3と、を備える。
このうち、光学系アセンブリ1は、サンプルSPの撮像および分析を行うとともに、その撮像結果および分析結果に対応した電気信号を外部に出力することができる。
コントローラ本体2は、第1カメラ81等、光学系アセンブリ1を構成する種々の部品を制御するための制御部21を有する。コントローラ本体2は、制御部21を介して、光学系アセンブリ1にサンプルSPの観察および分析を行わせることができる。コントローラ本体2はまた、種々の情報を表示可能な表示部22を有する。この表示部22には、光学系アセンブリ1において撮像された画像、サンプルSPの分析結果を示すデータ等を表示することができる。
操作部3は、ユーザによる操作入力を受け付けるマウス31、コンソール32およびキーボード33を有する(キーボード33は、図12にのみ図示)。コンソール32は、ボタン、調整ツマミ等を操作することで、コントローラ本体2に画像データの取込、明るさ調整、第1カメラ81のピント合わせ等を指示することができる。
なお、操作部3は、マウス31、コンソール32およびキーボード33を3つとも有する必要はなく、任意の1つまたは2つを有していてもよい。また、マウス31、コンソール32およびキーボード33に加えてまたは代えて、タッチパネル式の入力装置、音声式の入力装置等を用いてもよい。タッチパネル式の入力装置の場合、表示部22に表示されている画面上の任意の位置を検出可能に構成することができる。
<光学系アセンブリ1の詳細>
図2~図4は、それぞれ、光学系アセンブリ1を例示する斜視図、側面図および正面図である。また、図5は光学系アセンブリ1の分解斜視図であり、図6は光学系アセンブリ1の構成を模式化して示す側面図である。また、図7は、俯瞰カメラ48のレイアウトについて説明するための斜視図である。
図1~図6に示すように、光学系アセンブリ1は、各種機器を支持するとともにサンプルSPが載置されるステージ4と、このステージ4に取り付けられるヘッド部6と、を備える。ここで、ヘッド部6は、分析光学系7が収容された分析筐体70に、観察光学系9が収容された観察筐体90を装着してなる。ここで、分析光学系7はサンプルSPの成分分析を行うための光学系である。観察光学系9はサンプルSPの拡大観察を行うための光学系である。ヘッド部6は、サンプルSPの分析機能と拡大観察機能とを兼ね備えた装置群として構成されている。
なお、以下の説明では、図1~図4に示すように光学系アセンブリ1の前後方向および左右方向が定義される。すなわち、ユーザと対面する一側が光学系アセンブリ1の前側であり、これと反対側が光学系アセンブリ1の後側であり、ユーザと光学系アセンブリ1とが対面したときに、そのユーザから見て右側が光学系アセンブリ1の右側であり、ユーザから見て左側が光学系アセンブリ1の左側である。なお、前後方向および左右方向の定義は、説明の理解を助けるためのものであり、実際の使用状態を限定するものではない。いずれの方向が前となるように使用してもよい。
また、以下の説明では、光学系アセンブリ1の左右方向を「X方向」とし、光学系アセンブリ1の前後方向を「Y方向」とし、光学系アセンブリ1の上下方向を「Z方向」とし、このZ軸に平行な軸を中心に回転する方向を「φ方向」と定義する。X方向とY方向とは同一水平面上で互いに直交しており、その水平面に沿った方向を「水平方向」と定義する。Z軸は、その水平面に対して直交する法線の方向である。これらの定義についても、適宜変更することが可能である。Z方向(上下方向)は、鉛直方向に沿って延びる方向であり、本実施形態における「第1方向」の例示である。
また詳細は後述するが、ヘッド部6は、図2~図6に示す中心軸Acに沿って移動したり、この中心軸Acまわりに揺動したりすることができる。この中心軸Acは、図6等に示すように、前述の水平方向、特に前後方向に沿って延びるように構成される。
(ステージ4)
ステージ4は、作業台等に設置されるベース41と、ベース41に接続されたスタンド42と、ベース41またはスタンド42によって支持された載置台5と、を有する。このステージ4は、載置台5およびヘッド部6の相対的な位置関係を規定するための部材であり、少なくとも、ヘッド部6の観察光学系9および分析光学系7を取付可能に構成される。
ベース41は、ステージ4の略下半部を構成しており、図2に示すように、左右方向の寸法に比して、前後方向の寸法が長い台座状に形成される。ベース41は、作業台等に設置される底面を有する。ベース41の前側部分には、載置台5が取り付けられる。
また、図6等に示すように、ベース41の後側部分(特に、載置台5よりも後側に位置する部分)には、第1支持部41aと第2支持部41bが、前側から順番に並んだ状態で設けられる。第1および第2支持部41a,41bは、双方ともベース41から上方へ突出するように設けられる。第1および第2支持部41a,41bには、前記中心軸Acと同心になるように配置される円形の軸受孔(不図示)が形成される。
スタンド42は、ステージ4の上半部を構成しており、図2~図3、図6等に示すように、ベース41(特にベース41の底面)に対して垂直な上下方向に延びる柱状に形成される。スタンド42における上側部分の前面には、別体の装着具43を介してヘッド部6が取り付けられる。
また、図6等に示すように、スタンド42の下側部分には、第1取付部42aと第2取付部42bが、前側から順番に並んだ状態で設けられる。第1および第2取付部42a,42bは、前述の第1および第2支持部41a,41bに対応した構成とされている。具体的に、第1および第2支持部41a,41bならびに第1および第2取付部42a,42bは、第1取付部42aと第2取付部42bによって第1支持部41aを挟み込むとともに、第1支持部41aと第2支持部41bによって第2取付部42bを挟み込むようにレイアウトされる。
また、第1および第2取付部42a,42bには、第1および第2支持部41a,41bに形成された軸受孔と同心かつ同径に構成された円形の軸受孔(不図示)が形成される。これら軸受孔に対し、クロスローラベアリング等のベアリング(不図示)を介して軸部材44が挿入される。この軸部材44は、その軸心が前述の中心軸Acと同心になるように配置される。軸部材44を挿入することで、ベース41とスタンド42は、相対的に揺動可能に連結される。軸部材44は、第1および第2支持部41a,41bならびに第1および第2取付部42a,42bとともに、本実施形態における傾斜機構45を構成する。
傾斜機構45を介してベース41とスタンド42を連結することで、スタンド42は、中心軸Acまわりに揺動可能な状態で、ベース41によって支持されることになる。スタンド42は、中心軸Acまわりに揺動することで、所定の基準軸Asに対して左右方向に傾斜することになる(図10Aおよび図10Bを参照)。この基準軸Asは、図4等に示す非傾斜状態においては、載置台5の上面(載置面51a)に垂直に延びる軸とすることができる。また、中心軸Acは、傾斜機構45による揺動の中心軸(回転中心)として機能することになる。
具体的に、本実施形態に係る傾斜機構45は、スタンド42を基準軸Asに対して右側に90°程度傾斜させたり、基準軸Asに対して左側に60°程度傾斜させたりすることができるようになっている。前述のように、スタンド42にはヘッド部6が取り付けられることになるため、このヘッド部6もまた、基準軸Asに対して左右方向に傾斜させることができる。ヘッド部6を傾斜させることは、分析光学系7および観察光学系9を傾斜させること、ひいては、後述の分析光軸Aaおよび観察光軸Aoを傾斜させることに等しい。
また、図6に示すように、傾斜機構45を構成する軸部材44には、俯瞰カメラ48が内蔵されている。この俯瞰カメラ48は、サンプルSPで反射された可視光を、軸部材44の前面に設けられた貫通孔44aを介して受光する(図7参照)。俯瞰カメラ48は、受光した反射光の受光量を検出することで、サンプルSPを撮像する。
俯瞰カメラ48の撮像視野は、後述の第1カメラ81および第2カメラ93の撮像視野よりも広い。言い換えると、俯瞰カメラ48の拡大倍率は、第1カメラ81および第2カメラ93の拡大倍率よりも小さい。そのため、俯瞰カメラ48は、第1カメラ81および第2カメラ93よりも広い範囲にわたってサンプルSPを撮像することができる。
ここで、俯瞰カメラ48の撮像光軸は、傾斜機構45による揺動の中心軸Acと平行になるように配置されている。本実施形態では、俯瞰カメラ48の撮像光軸は、軸部材44から前方に向かって延びており、第1カメラ81の撮像光軸である分析光軸Aaと、第2カメラ93の撮像光軸である観察光軸Aoとの双方に直交する。そのため、俯瞰カメラ48は、第1カメラ81および第2カメラ93とは異なる角度からサンプルSPを撮像することができる。
また、俯瞰カメラ48の撮像光軸は、傾斜機構45の動作に伴って変動しない。そのため、基準軸Asに対するスタンド42の傾斜角度にかかわらず、俯瞰カメラ48の撮像視野は一定に保持される。
具体的に、本実施形態に係る俯瞰カメラ48は、その受光面に配置された複数の画素によって、貫通孔44aを通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
俯瞰カメラ48は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。具体的に、本実施形態に係る俯瞰カメラ48は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)からなるイメージセンサによって構成されているが、この構成には限定されない。俯瞰カメラ48としては、例えばCCD(Charged-Coupled Device)からなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、俯瞰カメラ48は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号をコントローラ本体2の制御部21に入力する。制御部21は、入力された電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成する。制御部21は、そうして生成された画像データを、被写体を撮像してなる画像として表示部22等に表示させることができる。
なお、前述した俯瞰カメラ48の構成は例示に過ぎない。俯瞰カメラ48は、少なくとも第1カメラ81および第2カメラ93よりも撮像視野の広いものとすればよく、俯瞰カメラ48のレイアウト、その撮像光軸の向き等については自由に変更することができる。例えば、光学系アセンブリ1またはコントローラ本体2に有線また無線で接続されたUSBカメラによって俯瞰カメラ48を構成してもよい。
装着具43は、スタンド42の長手方向に沿ってヘッド部6を案内するレール部43aと、レール部43aに対するヘッド部6の相対位置をロックするためのロックレバー43bと、を有する。ここで、スタンド42の長手方向は、非傾斜状態では上下方向(第1方向)に一致するとともに、分析光軸Aa、観察光軸Aoおよび基準軸Asに沿って延びる方向に一致する。スタンド42の長手方向は、傾斜状態では上下方向および基準軸Asに沿って延びる方向とは不一致になるものの、分析光軸Aaおよび観察光軸Aoに沿って延びる方向とは依然として一致する。スタンド42の長手方向は、以下の記載では「略上下方向」とも呼称される。
レール部43aにはヘッド部6の後面部分(具体的にはヘッド取付部材61)が挿入される。レール部43aは、その後面部分を略上下方向に沿って移動させることができる。そして、ヘッド部6を所望位置に設定した状態でロックレバー43bを操作することで、ヘッド部6を所望位置に固定することができる。また、図2~図3に示される第1操作ダイヤル46を操作することで、ヘッド部6の位置調整を行うこともできる。
さらに、ステージ4またはヘッド部6には、該ヘッド部6を略上下方向に移動させるためのヘッド駆動部47が内蔵される。このヘッド駆動部47は、コントローラ本体2によって制御される不図示のアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と、そのステッピングモータの出力軸の回転を略上下方向の直線運動に変換する運動変換機構とを含んでおり、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいてヘッド部6を移動させる。ヘッド駆動部47がヘッド部6を移動させることで、このヘッド部6、ひいては分析光軸Aaおよび観察光軸Aoを略上下方向に沿って移動させることができる。ヘッド駆動部47は、後述の載置台駆動部53とともに、本実施形態における「電動駆動部」を構成している。
載置台5は、ベース41の前後方向中央部よりも前側に配置されており、このベース41の上面に取り付けられている。載置台5は、電動式の載置台として構成されており、その載置面51a上に載置されたサンプルSPを水平方向に沿って移動させたり、上下方向に沿って昇降させたり、φ方向に沿って回動させたりすることができる。
具体的に、本実施形態に係る載置台5は、図2~図4に示すように、サンプルSPを載置するための載置面51aを有する載置台本体51と、ベース41および載置台本体51の間に配置されかつ載置台本体51を変位させる載置台支持部52と、後述の図12に示す載置台駆動部53と、を有する。
載置台本体51は、いわゆるXYステージとして構成されている。載置台本体51の上面は、サンプルSPが載置される載置面51aを構成している。この載置面51aは、略水平方向に沿って延びるように形成される。載置面51aには、大気開放状態、すなわち真空室等に収容されない状態でサンプルSPが載置される。
載置台支持部52は、ベース41と載置台本体51とを連結する部材であり、上下方向に沿って延びる略円柱状に形成される。載置台支持部52には、載置台駆動部53を収容することができる。
載置台駆動部53は、コントローラ本体2によって制御される不図示かつ複数のアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と、そのステッピングモータの出力軸の回転を直線運動に変換する運動変換機構とを含んでおり、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいて載置台本体51を移動させる。載置台駆動部53が載置台本体51を移動させることで、この載置台本体51、ひいては、その載置面51aに載置されたサンプルSPを、水平方向および上下方向に沿って移動させることができる。載置台駆動部53は、前述のヘッド駆動部47とともに、本実施形態における「電動駆動部」を構成している。
同様に、載置台駆動部53は、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいて、載置台本体51を所定の回転軸まわりにφ方向に沿って回転させることもできる。載置台駆動部53が載置台本体51を回転させることで、載置面51aに載置されたサンプルSPを、φ方向に回動させることもできる。なお、載置台駆動部53を備えた構成は必須ではない。載置台本体51を手動で回転させるように構成してもよい。
特に、本実施形態に係る載置面51aは、前記回転軸として、図6等に示した基準軸Asまわりに回転可能に構成されている。つまり、本実施形態では、傾斜の基準となる基準軸Asと、載置面51aの回転軸とが同軸化されている。
また、図2に例示される第2操作ダイヤル54等を操作することで、載置台本体51を手動で移動および回転させることもできる。第2操作ダイヤル54の詳細は省略する。
なお、ベース41およびスタンド42の説明に戻ると、前述したベース41には、第1傾斜センサSw3が内蔵されている。この第1傾斜センサSw3は、重力方向に対する、載置面51aに垂直な基準軸Asの傾きを検出することができる。一方、スタンド42には、第2傾斜センサSw4が取り付けられている。この第2傾斜センサSw4は、重力方向に対する分析光学系7の傾き(より詳細には、重力方向に対する分析光軸Aaの傾き)を検出することができる。第1傾斜センサSw3と第2傾斜センサSw4の検出信号は、双方とも制御部21に入力される。
(ヘッド部6)
ヘッド部6は、ヘッド取付部材61と、分析筐体70に分析光学系7を収容してなる分析ユニット62と、観察筐体90に観察光学系9を収容してなる観察ユニット63と、筐体連結具64と、スライド機構(水平駆動機構)65と、を有する(分析ユニット62および観察ユニット63は、図5にのみ図示)。ヘッド取付部材61は、分析筐体70をスタンド42に接続するための部材である。分析ユニット62は、分析光学系7によってサンプルSPの成分分析を行うための装置である。観察ユニット63は、観察光学系9によってサンプルSPの観察を行うための装置である。筐体連結具64は、観察筐体90を分析筐体70に接続するための部材である。スライド機構65は、スタンド42に対して分析筐体70をスライド移動させるための機構である。
詳しくは、本実施形態に係るヘッド取付部材61は、ヘッド部6の後側に配置されており、スタンド42にヘッド部6を取り付けるための板状部材として構成される。前述のように、ヘッド取付部材61は、スタンド42の装着具43に固定される。
ヘッド取付部材61は、ヘッド部6の後面と略平行に延びるプレート本体61aと、プレート本体61aの下端部から前方に突出するカバー部材61bと、を有する。プレート本体61aは、サンプルSPに反射型対物レンズ74を向かい合わせた後述の第1モードにおいては、ヘッド部6の後面と密着または近接する。プレート本体61aは、サンプルSPに対物レンズ92を向かい合わせた後述の第2モードにおいては、前後方向においてヘッド部6の後面から離間する。
また、図9に示すように、ヘッド取付部材61の左端部には、スライド機構65を構成するガイドレール65aが取り付けられている。ガイドレール65aは、ヘッド取付部材61と、ヘッド部6における他の要素(具体的には、分析光学系7、観察光学系9および筐体連結具64)と、を水平方向に相対変位可能に連結する。
以下、分析ユニット62、観察ユニット63、筐体連結具64、および、スライド機構65の構成について順番に説明する。
-分析ユニット62-
図8は、分析光学系7の構成を例示する模式図である。
分析ユニット62は、分析光学系7と、分析光学系7が収容された分析筐体70と、を有する。分析光学系7は、分析対象物としてのサンプルSPの分析を行うための部品の集合であり、各部品が分析筐体70に収容されるようになっている。分析筐体70は、第2撮像部としての第1カメラ81および検出器としての第1および第2検出器77A、77Bを収容する。また、サンプルSPの分析を行うための要素には、コントローラ本体2の制御部21も含まれる。
分析光学系7は、例えばLIBS法を用いた分析を行うことができる。この分析光学系7には、コントローラ本体2との間で電気信号を送受するための通信ケーブルC1が接続される。この通信ケーブルC1は必須ではなく、分析光学系7とコントローラ本体2とを無線通信によって接続してもよい。
なお、ここでいう「光学系」の語は、広義で用いる。すなわち、分析光学系7は、レンズ等の光学素子に加え、光源、撮像素子等を包括したシステムとして定義される。観察光学系9についても同様である。
図8に示すように、本実施形態に係る分析光学系7は、電磁波出射部71と、出力調整手段72と、偏向素子73と、収集ヘッドとしての反射型対物レンズ74と、分光素子75と、第1パラボリックミラー76Aと、第1検出器77Aと、第1ビームスプリッター78Aと、第2パラボリックミラー76Bと、第2検出器77Bと、第2ビームスプリッター78Bと、同軸照明79と、結像レンズ80と、第1カメラ81と、側射照明84と、を含んでなる。分析光学系7の構成要素のうちの一部は、図6にも示す。また、側射照明84は、図11のみに示す。
電磁波出射部71は、サンプルSPに1次電磁波を出射する。特に、本実施形態に係る電磁波出射部71は、1次電磁波としてのレーザ光をサンプルSPに出射するレーザ光源によって構成される。電磁波出射部71は、本実施形態における「レーザ光出射部」の例示である。
詳細な図示は省略するが、本実施形態に係る電磁波出射部71は、レーザダイオード(Laser Diode:LD)等で構成される励起光源と、その励起光源から出力されたレーザを集光してレーザ励起光として出射するフォーカシングレンズと、そのレーザ励起光に基づいて基本波を生成するレーザ媒質と、基本波をパルス発振するためのQスイッチと、基本波を共振させるためのリアミラーおよび出力ミラーと、出力ミラーから出力されたレーザ光の波長を変換する波長変換素子と、を有する。
ここで、レーザ媒質としては、1パルスあたりのエネルギーを高くとるべく、例えばロッド状のNd:YAGを用いることが好ましい。なお、本実施形態では、誘導放出によってレーザ媒質から放出される光子の波長(いわゆる基本波長)は、本実施形態では赤外域の1064nmに設定されている。
また、Qスイッチとしては、基本波の強度が所定の閾値を超えると透過率が増大するパッシブQスイッチを用いることができる。パッシブQスイッチは、例えばCr:YAG等の過飽和吸収体によって構成される。パッシブQスイッチを用いることで、レーザ媒質に所定以上のエネルギーが蓄積されたタイミングで自動的にパルス発振することが可能になる。また、減衰率を外部から制御可能ないわゆるアクティブQスイッチを用いることもできる。
また、波長変換素子としては、LBO(LiB3O3)等の非線形光学結晶を2つ用いた構成とされている。2つの結晶を用いることで、基本波から3次高調波を生成することができる。3次高調波の波長は、本実施形態では紫外域の355nmに設定されている。
すなわち、本実施形態に係る電磁波出射部71は、1次電磁波として、紫外線からなるレーザ光を出力することができる。これにより、ガラスの様に光学的に透明なサンプルSPに対してもLIBS法による分析を行うことができる。加えて、紫外域にあるレーザ光は、人間の網膜に到達する割合が非常に少ない。網膜上でレーザ光が結像しないように構成することで、装置の安全性を高めることができる。
出力調整手段72は、電磁波出射部71と偏向素子73を結ぶ光路上に配置されており、レーザ光(1次電磁波)の出力を調整することができる。具体的に、本実施形態に係る出力調整手段72は、1/2波長板72aと、偏光ビームスプリッター72bと、を有する。1/2波長板72aは、偏光ビームスプリッター72bに対して相対的に回転するように構成されており、その回転角度を制御することで、偏光ビームスプリッター72bを通過する光量を調整することができる。
出力調整手段72によってその出力が調整されたレーザ光(1次電磁波)は、不図示のミラーによって反射されて偏向素子73に入射する。
詳しくは、偏向素子73は、電磁波出射部71から出力されて出力調整手段72を通過したレーザ光を反射させ、反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに導く一方、このレーザ光に対応してサンプルSPにおいて発生した光(サンプルSPの表面で生じるプラズマ化に伴って発せられる光であり、以下、「プラズマ光」と呼称する)を通過させ、これを第1検出器77A、第2検出器77Bに導くようにレイアウトされている。偏向素子73はまた、撮像用に集光した可視光を通過させ、その大部分を第1カメラ81に導くようにレイアウトされている。
偏向素子73によって反射された紫外レーザ光は、平行光として分析光軸Aaに沿って伝搬し、反射型対物レンズ74に至る。
収集ヘッドとしての反射型対物レンズ74は、電磁波出射部71から出射された1次電磁波がサンプルSPに照射されることによって該サンプルSPにおいて生じた2次電磁波を収集するように構成されている。特に、本実施形態に係る反射型対物レンズ74は、1次電磁波としてのレーザ光を集光してサンプルSPに照射するとともに、サンプルSPに照射されたレーザ光(1次電磁波)に対応してサンプルSPにおいて発生したプラズマ光(2次電磁波)を収集するように構成されている。この場合、2次電磁波は、サンプルSPの表面で生じるプラズマ化に伴って発せられるプラズマ光に相当する。
反射型対物レンズ74は、電磁波出射部71からの1次電磁波の出射に係る光学系と、第1カメラ81での反射光の受光ならびに第1および第2検出器77A,77Bでの2次電磁波の受光に係る光学系と、を同軸化するように構成されている。言い換えると、反射型対物レンズ74は、2種類の光学系で共有化されている。
反射型対物レンズ74は、前述の略上下方向に沿って延びる分析光軸Aaを有する。分析光軸Aaは、観察光学系9の対物レンズ92が有する観察光軸Aoと平行になるように設けられる。
詳しくは、本実施形態に係る反射型対物レンズ74は、2枚のミラーからなるシュヴァルツシルト型の対物レンズである。この反射型対物レンズ74は、図8に示すように、分円環状かつ相対的に大径の1次ミラー74aと、円板状かつ相対的に小径の2次ミラー74bと、を有する。
1次ミラー74aは、その中央部に設けた開口によってレーザ光(1次電磁波)を通過させる一方、その周囲に設けられた鏡面によってサンプルSPにて発生したプラズマ光(2次電磁波)を反射させる。後者のプラズマ光は、2次ミラー74bの鏡面によって再び反射され、レーザ光と同軸化された状態で1次ミラー74aの開口を通過する。
2次ミラー74bは、1次ミラー74aの開口を通過したレーザ光を透過させる一方、1次ミラー74aによって反射されたプラズマ光を集光して反射するように構成される。前者のレーザ光はサンプルSPに照射される一方、後者のプラズマ光は、前述のように1次ミラー74aの開口を通過して偏向素子73に至る。
したがって、反射型対物レンズ74にレーザ光を入力すると、そのレーザ光は、反射型対物レンズ74の中央部に配置された2次ミラー74bを透過してサンプルSPの表面に到達する。サンプルSPに到達したレーザ光によってサンプルSPが局所的にプラズマ化し、それに伴ってプラズマ光が発せられると、そのプラズマ光は2次ミラー74bの周囲に設けた開口を通過して1次ミラー74aに到達する。1次ミラー74aに到達したプラズマ光は、その鏡面によって反射されて2次ミラー74bに到達し、2次ミラー74bによって再び反射されて反射型対物レンズ74から偏向素子73に至る。偏向素子73に到達した反射光は、該偏向素子73を通過して分光素子75に至る。
分光素子75は、反射型対物レンズ74の光軸方向(分析光軸Aaに沿った方向)において偏向素子73と第1ビームスプリッター78Aとの間に配置されており、サンプルSPで発生したプラズマ光のうちの一部を第1検出器77Aに導く一方、他部を第2検出器77B等へ導く。後者のプラズマ光は、その大部分が第2検出器77Bに導かれるものの、その残りは第1カメラ81に至る。
詳しくは、サンプルSPから戻るプラズマ光(2次電磁波)には、1次電磁波としてのレーザ光に対応した波長以外にも種々の波長成分が含まれる。そこで、本実施形態に係る分光素子75は、サンプルSPから戻る2次電磁波のうち短い波長帯域の電磁波を反射させ、それを第1検出器77Aに導く。分光素子75はまた、それ以外の帯域の電磁波を透過させ、それを第2検出器77B等に導く。
第1パラボリックミラー76Aは、いわゆる放物面鏡であり、分光素子75と第1検出器77Aとの間に配置される。第1パラボリックミラー76Aは、分光素子75によって反射された2次電磁波を集光し、集光された2次電磁波を第1検出器77Aに入射させる。
第1検出器77Aは、サンプルSPにおいて発生しかつ反射型対物レンズ74によって収集されたプラズマ光(2次電磁波)を受光し、該プラズマ光の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。
特に、レーザ光源によって電磁波出射部71を構成するとともに、1次電磁波としてのレーザ光の照射に対応して発生した2次電磁波としてのプラズマ光を集光するように反射型対物レンズ74を構成した場合、第1検出器77Aは、波長毎に異なる角度に光を反射させることで光を分離し、分離させた各々を複数の画素を有する撮像素子に入射させる。これにより、各画素によって受光される光の波長を相違させるとともに、波長毎に受光強度を取得することができる。この場合、強度分布スペクトルは、光の波長毎の強度分布に相当する。
なお、強度分布スペクトルは、波数毎に取得された受光強度によって構成してもよい。波長と波数とは一意に対応しているため、波数毎に取得された受光強度を用いた場合であっても、強度分布スペクトルを波長毎の強度分布とみなすことができる。後述の第2検出器77Bにおいても同様である。
第1検出器77Aとしては、例えばツェルニターナー型の検出器をベースしたものを用いることができる。第1検出器77Aの入射スリットは、第1パラボリックミラー76Aの焦点位置にアライメントされている。第1検出器77Aによって生成された強度分布スペクトルは、コントローラ本体2の制御部21に入力される。
第1ビームスプリッター78Aは、分光素子75を透過した光のうちの一部(可視光帯域を含む赤外側の2次電磁波)を反射して第2検出器77Bに導く一方、他部(可視光帯域の一部)を透過して第2ビームスプリッター78Bに導く。可視光帯域に属するプラズマ光のうち、相対的に多量のプラズマ光が第2検出器77Bに導かれ、相対的に少量のプラズマ光が、第2ビームスプリッター78Bを介して第1カメラ81に導かれる。
第2パラボリックミラー76Bは、第1パラボリックミラー76Aと同様にいわゆる放物面鏡であり、第1ビームスプリッター78Aと第2検出器77Bとの間に配置される。第2パラボリックミラー76Bは、第1ビームスプリッター78Aによって反射された2次電磁波を集光し、集光された2次電磁波を第2検出器77Bに入射させる。
第2検出器77Bは、第1検出器77Aと同様に、電磁波出射部71から出射された1次電磁波がサンプルSPに照射されることによってサンプルSPで生じた2次電磁波を受光し、該2次電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。
特に、レーザ光源によって電磁波出射部71を構成するとともに、1次電磁波としてのレーザ光の照射に対応して発生した2次電磁波としてのプラズマ光を集光するように反射型対物レンズ74を構成した場合、第2検出器77Bは、波長毎に異なる角度に光を反射させることで光を分離し、分離させた各々を複数の画素を有する撮像素子に入射させる。これにより、各画素によって受光される光の波長を相違させるとともに、波長毎に受光強度を取得することができる。この場合、強度分布スペクトルは、光の波長毎の強度分布に相当する。
第2検出器77Bとしては、例えばツェルニターナー型の検出器をベースしたものを用いることができる。第2検出器77Bの入射スリットは、第1パラボリックミラー76Aの焦点位置にアライメントされている。第2検出器77Bによって生成された強度分布スペクトルは、第1検出器77Aによって生成された強度分布スペクトルと同様に、コントローラ本体2の制御部21に入力される。
制御部21には、第1検出器77Aによって生成された紫外側の強度分布スペクトルと、第2検出器77Bによって生成された赤外側の強度分布スペクトルと、が入力される。制御部21は、それらの強度分布スペクトルに基づいて、後述の基本原理を用いてサンプルSPの成分分析を行う。制御部21は、紫外側の強度分布スペクトルと、赤外側の強度分布スペクトルとを組合わせて用いることで、より広い周波数域を利用した成分分析を行うことができる。
第2ビームスプリッター78Bは、LED光源79aから発せられて光学素子79bを通過した照明光(可視光)を反射して、これを第1ビームスプリッター78A、分光素子75、偏向素子73および反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに照射する。サンプルSPで反射された反射光(可視光)は、反射型対物レンズ74を介して分析光学系7に戻る。
同軸照明79は、照明光を発するLED光源79aと、LED光源79aから発せられた照明光が通過する光学素子79bと、を有する。同軸照明79は、いわゆる「同軸落射照明」として機能する。LED光源79aから照射される照明光は、電磁波出射部71から出力されてサンプルSPに照射されるレーザ光(1次電磁波)、および、サンプルSPから戻る光(2次電磁波)と同軸に伝搬する。
詳しくは、同軸照明79は、電磁波出射部71から出射される1次電磁波と同軸化された光路を介して照明光を照射する。具体的に、照明光の光路のうち偏向素子73と反射型対物レンズ74とを結ぶ部分が、1次電磁波の光路と同軸化されている。また、照明光の光路のうち第1ビームスプリッター78Aと反射型対物レンズ74とを結ぶ部分が、2次電磁波の光路と同軸化されている。
第2ビームスプリッター78Bはまた、分析光学系7に戻った反射光のうち、第1ビームスプリッター78Aを透過した反射光と、第1および第2検出器77A,77Bに到達せずに第1ビームスプリッター78Aを透過したプラズマ光とをさらに透過させ、結像レンズ80を介して第1カメラ81に入射させる。
同軸照明79は、図8に示す例では分析筐体70に内蔵されているが、本開示は、そうした構成には限定されない。例えば、分析筐体70の外部に光源をレイアウトし、その光源と分析光学系7とを光ファイバーケーブルを介して光学系に結合してもよい。
側射照明84は、反射型対物レンズ74を取り囲むように配置される。図示は省略するが、側射照明84は、サンプルSPの側方(言い換えると、分析光軸Aaに対して傾斜した方向)から照明光を照射する。
第1カメラ81は、サンプルSPで反射された反射光を、反射型対物レンズ74を介して受光する。第1カメラ81は、受光した反射光の受光量を検出することで、サンプルSPを撮像する。第1カメラ81は、本実施形態における「第2撮像部」の例示である。
具体的に、本実施形態に係る第1カメラ81は、その受光面に配置された複数の画素によって結像レンズ80を通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
第1カメラ81は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。具体的に、本実施形態に係る第1カメラ81は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)からなるイメージセンサによって構成されているが、この構成には限定されない。第1カメラ81としては、例えばCCD(Charged-Coupled Device)からなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、第1カメラ81は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号をコントローラ本体2の制御部21に入力する。制御部21は、入力された電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成する。制御部21は、そうして生成された画像データを、被写体を撮像してなる画像として表示部22等に表示させることができる。
ここまでに説明した光学部品は、前述の分析筐体70に収容される。分析筐体70の下面には、貫通孔70aが設けられている。反射型対物レンズ74は、この貫通孔70aを介して載置面51aと対峙する。
分析筐体70内には、図8に示す遮蔽部材83が配置されていてもよい。この遮蔽部材83は、貫通孔70aと反射型対物レンズ74の間に配置されており、コントローラ本体2から入力される電気信号に基づいて、レーザ光の光路上に挿入することができる(図8の点線部を参照)。遮蔽部材83は、少なくともレーザ光を透過不能に構成されている。
光路上に遮蔽部材83を挿入することで、分析筐体70からのレーザ光の出射を制限することができる。遮蔽部材83は、電磁波出射部71と出力調整手段72との間に配置してもよい。
図9に示すように、分析筐体70は、分析光学系7の収容スペースに加え、スライド機構65の収容スペースも区画している。その意味では、分析筐体70をスライド機構65の一要素とみなすこともできる。
具体的に、本実施形態に係る分析筐体70は、左右方向の寸法に比して前後方向の寸法が短い箱状に形成されている。そして、分析筐体70の前面70bの左側部分は、前後方向におけるガイドレール65aの移動代を確保するべく、前方に向かって突出している。以下、この突出した部分を「突出部」と呼称し、これに符号70cを付す。この突出部70cは、上下方向においては、前記前面70bの下半部に配置される(言い換えると、前面70bの左側部分の下半部のみが突出するようになっている)。
-分析光学系7による分析の基本原理-
制御部21は、検出器としての第1検出器77Aおよび第2検出器77Bから入力された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPの成分分析を実行する。具体的な分析手法としては、前述のようにLIBS法を用いることができる。LIBS法は、サンプルSPに含まれる成分を元素レベルで分析する手法(いわゆる元素分析法)である。
一般に、物質に高いエネルギーを付与すると、原子核から電子が分離することで、その物質はプラズマ状態となる。原子核から分離した電子は、一時的に高エネルギーかつ不安定な状態となるものの、その状態からエネルギーを失うことで、再び原子核によって捕捉されて低エネルギーかつ安定な状態に遷移する(換言すれば、プラズマ状態から非プラズマ状態に戻る)ことになる。
ここで、電子から失われるエネルギーは、電磁波として電子から放出されるものの、その電磁波のエネルギーの大きさは、各元素に固有の殻構造に基づいたエネルギー準位によって規定されることになる。つまり、プラズマから非プラズマ状態に電子が戻る際に放出される電磁波のエネルギーは、元素(より正確には、原子核に束縛された電子の軌道)毎に固有の値を持つ。電磁波のエネルギーの大きさは、その電磁波の波長によって規定される。ゆえに、電子から放出される電磁波の波長分布、すなわちプラズマ化に際して物質から放出される光の波長分布を解析することで、その物質に含まれる成分を元素レベルで解析することができるようになる。このような手法は、一般に原子発光分光(Atomic Emission Spectroscopy:AES)法と呼称される。
LIBS法は、このAES法に属する分析手法である。具体的に、LIBS法では、物質(サンプルSP)に対してレーザ(1次電磁波)を照射することで、その物質にエネルギーを付与することになる。ここで、レーザの照射部位が局所的にプラズマ化されるため、そのプラズマ化に伴い発せられるプラズマ光(2次電磁波)の強度分布スペクトルを解析することで、物質の成分分析を行うことができるようになっている。
すなわち、上記のように、各プラズマ光(2次電磁波)の波長は、元素毎に固有の値を持つため、強度分布スペクトルが特定の波長においてピークを形成する場合、そのピークに対応した元素がサンプルSPの成分となる。そして、強度分布スペクトルに複数のピークが含まれる場合、各ピークの強度(受光量)を比較することで、各元素の成分比を算出することができる。
LIBS法によれば、真空引きが不要であり、大気開放状態で成分分析を行うことができる。また、サンプルSPの破壊試験ではあるものの、サンプルSP全体を溶解させるなどの処理は不要であり、サンプルSPの位置情報が残存する(局所的な破壊試験にすぎない)。
-観察ユニット63-
観察ユニット63は、観察光学系9と、観察光学系9が収容された観察筐体90と、を有する。観察光学系9は、観察対象物としてのサンプルSPの観察を行うための部品の集合であり、各部品が観察筐体90に収容されるようになっている。観察筐体90は、前述した分析筐体70とは別体に構成されており、撮像部としての第2カメラ93を収容する。また、サンプルSPの観察を行うための要素には、コントローラ本体2の制御部21も含まれる。
観察光学系9は、対物レンズ92を有するレンズユニット9aを備える。このレンズユニット9aは、図3等に示すように、観察筐体90の下端側に配置された筒状のレンズ鏡筒に相当する。レンズユニット9aは、分析筐体70によって保持される。レンズユニット9aは、観察筐体90から単体で取り外すことができる。
観察筐体90には、コントローラ本体2との間で電気信号を送受するための通信ケーブルC2と、外部から照明光を導光するための光ファイバーケーブルC3と、が接続される。なお、通信ケーブルC2は必須ではなく、観察光学系9とコントローラ本体2とを無線通信によって接続してもよい。
具体的に、観察光学系9は、図6に示すように、ミラー群91と、対物レンズ92と、撮像部としての第2カメラ93と、第2の同軸照明94と、第2の側射照明95と、倍率変更部としての拡大光学系96と、を含んでなる。
対物レンズ92は、略上下方向に沿って延びる観察光軸Aoを有し、照明光を集光して載置台本体51に載置されたサンプルSPに照射するとともに、そのサンプルSPからの光(反射光)を集光する。観察光軸Aoは、分析光学系7の反射型対物レンズ74が有する分析光軸Aaと平行になるように設けられる。対物レンズ92によって収集された反射光は、第2カメラ93によって受光される。
ミラー群91は、対物レンズ92によって収集された反射光を透過させ、これを第2カメラ93に導く。本実施形態に係るミラー群91は、図6に例示されるように全反射ミラーとビームスプリッター等を用いて構成することができる。ミラー群91はまた、第2の同軸照明94から照射された照明光を反射して、これを対物レンズ92に導く。
第2カメラ93は、サンプルSPで反射された反射光を、対物レンズ92を介して受光する。第2カメラ93は、受光した反射光の受光量を検出することで、サンプルSPを撮像する。第2カメラ93は、本実施形態における「撮像部」の例示である。
一方、前述のように、第1カメラ81は、本実施形態における「第2撮像部」の例示である。本明細書では、第2カメラ93を撮像部とみなし、第1カメラ81を第2撮像部とみなした構成を中心に説明するが、後述のように、第1カメラ81を撮像部とみなし、第2カメラ93を第2撮像部とみなしてもよい。
具体的に、本実施形態に係る第2カメラ93は、その受光面に配置された複数の画素によってサンプルSPから対物レンズ92を通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
第2カメラ93は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。本実施形態に係る第2カメラ93は、第1カメラ81と同様にCMOSからなるイメージセンサによって構成されているが、CCDからなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、第2カメラ93は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号をコントローラ本体2の制御部21に入力する。制御部21は、入力された電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成する。制御部21は、そうして生成された画像データを、被写体を撮像してなる画像として表示部22等に表示させることができる。
第2の同軸照明94は、光ファイバーケーブルC3から導光された照明光を出射する。第2の同軸照明94は、対物レンズ92を介して集光される反射光と共通の光路を介して照明光を照射する。つまり、第2の同軸照明94は、対物レンズ92の観察光軸Aoと同軸化された「同軸落射照明」として機能することになる。なお、光ファイバーケーブルC3を介して外部から照明光を導光する代わりに、レンズユニット9aの内部に光源を内蔵してもよい。その場合、光ファイバーケーブルC3は不要となる。
第2の側射照明95は、図6に模式的に例示したように、対物レンズ92を取り囲むように配置されたリング照明によって構成される。第2の側射照明95は、分析光学系7における側射照明84と同様に、サンプルSPの斜め上方から照明光を照射する。
拡大光学系96は、ミラー群91と第2カメラ93との間に配置されており、第2カメラ93によるサンプルSPの拡大倍率を変更可能に構成されている。本実施形態に係る拡大光学系96は、変倍レンズと、その変倍レンズを第2カメラ93の光軸に沿って移動させるように構成されたアクチュエータと、を有している。アクチュエータは、制御部21から入力される制御信号に基づいて変倍レンズを移動させることで、サンプルSPの拡大倍率を変更することができる。
なお、拡大光学系96の具体的な構成は、アクチュエータによって変倍レンズを移動させる構成には限定されない。例えば、変倍レンズを移動させるための操作部を拡大光学系に設けてもよい。この場合、ユーザによって操作部が操作されることにより、サンプルSPの拡大倍率を変更することができる。
また、拡大倍率の切替を検知するセンサを拡大光学系に設けてもよい。そして、低倍から高倍へと拡大倍率が切り替わったことが検知された場合に、自動的に切替前の画像(後述の低倍画像)を第2カメラ93によって撮像し、撮像された画像をコントローラ本体2に保存してもよい。このようにすることで、低倍画像に対する後述の高倍画像の相対的な位置関係をユーザに把握させることができる。
このような拡大光学系96は、第2カメラ93によるサンプルSPの拡大倍率を変更可能に構成されるだけでなく、第1カメラ81によるサンプルSPの拡大倍率を変更可能に構成されてもよい。その場合、拡大光学系96は、分光素子75と第1カメラ81との間に設けられることになる。
-筐体連結具64-
筐体連結具64は、分析筐体70に観察筐体90を連結するための部材である。筐体連結具64が両筐体70,90を連結することで、分析ユニット62と観察ユニット63とが一体化され、ひいては、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に移動するようになる。
筐体連結具64は、分析筐体70の内外、すなわち分析筐体70の内部もしくは外部、または、スタンド42に取り付けることができる。特に本実施形態では、筐体連結具64は、分析筐体70の外面に取り付けられるようになっている。
具体的に、本実施形態に係る筐体連結具64は、分析筐体70における前述の突出部70cに取付可能に構成されており、突出部70cよりも右側にレンズユニット9aを保持するようになっている。
また、図3に示すように、筐体連結具64によって分析筐体70に観察筐体90が連結された状態では、突出部70cの前面が、筐体連結具64および観察筐体90の前側部分よりも前方に突出するようになっている。このように、本実施形態では、筐体連結具64が観察筐体90を保持した状態では、側方視したとき(スライド機構65による観察光学系9および分析光学系7の移動方向に対して直交する方向から見たとき)に、観察筐体90と、分析筐体70のうちの少なくとも一部(本実施形態では突出部70c)と、が重なり合うようにレイアウトされている。
本実施形態に係る筐体連結具64は、分析筐体70に対して観察筐体90を固定することで、観察光軸Aoに対する分析光軸Aaの相対位置を固定することができる。
具体的には、後述の図9に示すように、筐体連結具64が観察筐体90を保持することで、観察光軸Aoと分析光軸Aaは、スライド機構65によって載置台5に対して観察光学系9および分析光学系7が相対的に移動する方向(本実施形態では前後方向)に沿って並ぶように配置される。特に本実施形態では、観察光軸Aoは、分析光軸Aaに比して前側に配置されるようになっている。
また、図9に示すように、筐体連結具64が観察筐体90を保持することで、観察光軸Aoと分析光軸Aaは、水平方向に沿った方向でありかつ前述の移動方向(本実施形態では前後方向)に直交する非移動方向(本実施形態では左右方向)における位置が一致するように配置される。
-スライド機構65-
図9は、スライド機構65の構成について説明する模式図である。また、図10Aおよび図10Bは、ヘッド部6の水平移動について説明するための図である。
スライド機構65は、観察光学系9によるサンプルSPの撮像と、分析光学系7によって強度分布スペクトルを生成する場合における電磁波(レーザ光)の照射(換言すれば、分析光学系7の出射部71による電磁波の照射)と、を観察対象物としてのサンプルSPにおける同一箇所に対して実行可能となるように、載置台本体51に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を水平方向に沿って移動させるよう構成されている。
スライド機構65による相対位置の移動方向は、観察光軸Aoおよび分析光軸Aaの並び方向とすることができる。図9に示すように、本実施形態に係るスライド機構65は、載置台本体51に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を前後方向に沿って移動させる。
本実施形態に係るスライド機構65は、スタンド42およびヘッド取付部材61に対し、分析筐体70を相対的に変位させるものである。分析筐体70とレンズユニット9aとは筐体連結具64によって連結されているため、分析筐体70を変位させることで、レンズユニット9aも一体的に変位することになる。
具体的に、本実施形態に係るスライド機構65は、ガイドレール65aと、アクチュエータ65bと、を有する、このうち、ガイドレール65aは、ヘッド取付部材61の前面から前方に突出するように構成されている。
詳しくは、ガイドレール65aの基端部は、ヘッド取付部材61に固定されている。一方、ガイドレール65aの先端側部分は、分析筐体70内に区画された収容スペースに挿入されており、分析筐体70に対して挿抜可能な状態で取り付けられている。ガイドレール65aに対する分析筐体70の挿抜方向は、ヘッド取付部材61と分析筐体70とを離間または接近させる方向(本実施形態では前後方向)に等しい。
アクチュエータ65bは、例えば制御部21からの電気信号に基づいて作動するリニアモータまたはステッピングモータとすることができる。このアクチュエータ65bを駆動させることで、スタンド42およびヘッド取付部材61に対し、分析筐体70ひいては観察光学系9および分析光学系7を相対的に変位させることができる。アクチュエータ65bとしてステッピングモータを用いる場合、そのステッピングモータにおける出力軸の回転運動を、前後方向の直線運動に変換する運動変換機構がさらに設けられることになる。
スライド機構65はさらに、観察光学系9および分析光学系7の移動量を検出するための移動量センサSw2を有する。移動量センサSw2は、例えばリニアスケール(リニアエンコーダ)やフォトインタラプタ等で構成することができる。
移動量センサSw2は、分析筐体70とヘッド取付部材61との間の相対距離を検出し、その相対距離に対応した電気信号をコントローラ本体2に入力する。コントローラ本体2は、移動量センサSw2から入力された相対距離の変化量を算出することで、観察光学系9および分析光学系7の変位量を決定するようになっている。
図10Aおよび図10Bに示すように、スライド機構65が作動することで、ヘッド部6が水平方向に沿ってスライドし、載置台5に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置が移動(水平移動)することになる。この水平移動によって、ヘッド部6は、反射型対物レンズ74をサンプルSPに対峙させた第1モードと、対物レンズ92をサンプルSPに対峙させた第2モードと、の間で切り替わるようになっている。スライド機構65は、第1モードと第2モードとの間で、分析筐体70および観察筐体90をスライドさせることができる。
図10Aおよび図10Bに示すように、スライド機構65が作動することで、ヘッド部6が水平方向に沿ってスライドし、載置台5に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置が移動(水平移動)することになる。この水平移動によって、ヘッド部6は、反射型対物レンズ74をサンプルSPに対峙させた第1モードと、対物レンズ92をサンプルSPに対峙させた第2モードと、の間で切り替わるようになっている。スライド機構65は、第1モードと第2モードとの間で、分析筐体70および観察筐体90をスライドさせることができる。
そうした構成を実現するために、スライド機構65が作動したときのヘッド部6の移動量D2は、観察光軸Aoと分析光軸Aaとの間の距離D1と同一となるように設定されている(図9を参照)。加えて、観察光軸Aoと分析光軸Aaとの並び方向は、図9に示すように、ヘッド部6の移動方向と平行になるように設定されている。
また、本実施形態では、略上下方向における筐体連結具64の寸法を調整することで、第1モードにおけるサンプルSPと反射型対物レンズ74の中央部(より詳細には、分析光軸Aaと反射型対物レンズ74とが交わる部位)との距離は、第2モード(第2の状態)におけるサンプルSPと対物レンズ92の中央部(より詳細には、観察光軸Aoと対物レンズ92とが交わる部位)との距離と一致するように設定されている。この設定は、オートフォーカスにより合焦位置を求めることで行うこともできる。このように設定することで、サンプルSPの分析時である第1モードと、サンプルSPの観察時である第2モードとでワーキングディスタンス(Working Distance:WD)を一致させることができる。両モードでWDを一致させることで、モードの切替前後でピントが合った状態を維持することができるようになる。
以上のように構成することで、第1モードと第2モードとの切替を行う前後のタイミングにおいて、観察光学系9によるサンプルSPの画像生成と、分析光学系7による強度分布スペクトルの生成(具体的には、分析光学系7によって強度分布スペクトルが生成される場合における、分析光学系7による1次電磁波の照射)と、をサンプルSP中の同一箇所に対して同一方向から実行することができるようになる。
また、ヘッド取付部材61における前述のカバー部材61bは、図10Bに示すように、ヘッド部6を相対的に後退させた状態である第1モードにおいては、分析光学系7をなす反射型対物レンズ74を覆う(遮蔽状態)ように配置され、ヘッド部6を相対的に前進させた状態である第2モードにおいては、反射型対物レンズ74から離間する(非遮蔽状態)ように配置される。
前者の遮蔽状態では、レーザ光が意図せずして出射されたとしても、該レーザ光をカバー部材61bによって遮蔽することが可能となる。そのことで、装置の安全性を向上させることができる。
(傾斜機構45の詳細)
図11Aおよび図11Bは、傾斜機構45の動作について説明するための図である。以下、図10Aおよび図10Bを参照しつつ、筐体連結具64との関係等、傾斜機構45について詳細に説明する。
傾斜機構45は、前述の軸部材44等によって構成される機構であり、載置面51aに垂直な基準軸Asに対し、分析光学系7および観察光学系9のうち少なくとも観察光学系9を傾斜させることができる。
前述のように、本実施形態では、筐体連結具64が分析筐体70と観察筐体90とを一体的に連結することで、分析光軸Aaに対する観察光軸Aoの相対位置が保持されるようになっている。したがって、観察光軸Aoを有する観察光学系9を傾斜させると、分析光軸Aaを有する分析光学系7は、図11Aおよび図11Bに示すように、観察光学系9と一体的に傾斜することになる。
このように、本実施形態に係る傾斜機構45は、分析光軸Aaに対する観察光軸Aoの相対位置を保持した状態で、分析光学系7および観察光学系9を一体的に傾斜させるようになっている。
また、スライド機構65の動作と、傾斜機構45の動作と、は互いに独立しており、両動作の組み合わせが許容されている。したがって、スライド機構65は、傾斜機構45によって少なくとも観察光学系9を傾斜させた姿勢を保持した状態で、観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させることができる。すなわち、本実施形態に係る分析観察装置Aは、図11Bの両矢印A1に示すように、観察光学系9を傾斜させたままの状態で、ヘッド部6を前後にスライド可能とされている。
特に本実施形態では、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成さされているため、スライド機構65は、傾斜機構45によって観察光学系9および分析光学系7を双方とも傾斜させた状態を保持しつつ、観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させるようになっている。
また、分析観察装置Aは、ユーセントリック観察が行えるように構成されている。すなわち、分析観察装置Aにおいては、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ平行な3つの軸で形成される装置固有の三次元座標系が定義されている。制御部21の2次記憶装置21cには、分析観察装置Aの三次元座標系における後述する交差位置の座標がさらに記憶されている。交差位置の座標情報は、分析観察装置Aの工場出荷時に予め2次記憶装置21cに記憶されていてもよい。また、2次記憶装置21cに記憶される交差位置の座標情報は、拡大分析装置Aの使用者により更新可能としてもよい。
図11Aおよび図11Bに示すように、基準軸Asに対する分析光軸Aaの角度を「傾きθ」と呼称すると、分析観察装置Aは、傾きθが例えば所定の第1閾値θmaxを下回る場合に、レーザ光の出射を許容するように構成されている。傾きθを第1閾値θmax未満に収めるために、傾斜機構45にハード的な制約を課すことができる。例えば傾斜機構45に不図示のブレーキ機構を設けることで、傾斜機構45の動作範囲を物理的に制限してもよい。
対物レンズ92の光軸である観察光軸Aoは、中心軸Acに交差している。対物レンズ92が中心軸Acを中心として揺動する場合、観察光軸Aoと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されつつ、基準軸Asに対する観察光軸Aoの角度(傾きθ)が変化する。このように、ユーザは、対物レンズ92を傾斜機構45によって中心軸Acを中心として揺動させた際、例えば、サンプルSPの観察対象部分が上記の交差位置にある場合には、対物レンズ92が傾斜した状態になったとしても、第2カメラ93の視野中心が同じ観察対象部分から移動しないユーセントリック関係が維持される。したがって、サンプルSPの観察対象部分が第2カメラ93の視野(対物レンズ92の視野)から外れることを防止することができる。
特に本実施形態では、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成さされているため、反射型対物レンズ74の光軸である分析光軸Aaは、観察光軸Aoと同様に中心軸Acに交差している。反射型対物レンズ74が中心軸Acを中心として揺動する場合、分析光軸Aaと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されつつ、基準軸Asに対する分析光軸Aaの角度(傾きθ)が変化する。
また前述のように、傾斜機構45は、スタンド42を基準軸Asに対して右側に90°程度傾斜させたり、基準軸Asに対して左側に60°程度傾斜させたりすることができるようになっている。ところが、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成した場合、スタンド42を過度に傾けてしまっては、分析光学系7から出射されるレーザ光が、ユーザに向かって照射されてしまう可能性がある。
そこで、基準軸Asに対する観察光軸Aoおよび分析光軸Aaの傾きをθとすると、傾きθは、少なくともレーザ光が出射され得る状況下においては、所定の安全基準を満足する範囲内に収めることが望ましい。具体的には、本実施形態に係る傾きθは、前述のように、所定の第1閾値θmaxを下回る範囲内で調整可能とされている。
<コントローラ本体の詳細>
図12は、コントローラ本体2の構成を例示するブロック図である。また、図13は、制御部21の構成を例示するブロック図である。なお、本実施形態では、コントローラ本体2と光学系アセンブリ1とが別体に構成されているが、本開示は、そうした構成には限定されない。コントローラ本体2の少なくとも一部を光学系アセンブリ1に設けてもよい。例えば、制御部21を構成する処理部21aの少なくとも一部を光学系アセンブリ1に内蔵させることができる。
前述のように、本実施形態に係るコントローラ本体2は、種々の処理を行う制御部21と、制御部21が行う処理に係る情報を表示する表示部22と、を備える。制御部21には、少なくとも、マウス31、コンソール32、キーボード33、ヘッド駆動部47、俯瞰カメラ48、載置台駆動部53、アクチュエータ65b、電磁波出射部71、出力調整手段72、LED光源79a、第1カメラ81、遮蔽部材83、側射照明84、第2カメラ93、第2の同軸照明(第2同軸照明)94、第2の側射照明(第2側射照明)95、拡大光学系96、レンズセンサSw1、移動量センサSw2、第1傾斜センサSw3および第2傾斜センサSw4が電気的に接続されている。
制御部21によって、ヘッド駆動部47、俯瞰カメラ48、載置台駆動部53、アクチュエータ65b、電磁波出射部71、出力調整手段72、LED光源79a、第1カメラ81、遮蔽部材83、側射照明84、第2カメラ93、第2同軸照明94、第2側射照明95および拡大光学系96が電気的に制御される。
また、俯瞰カメラ48、第1カメラ81、第2カメラ93、レンズセンサSw1、移動量センサSw2、第1傾斜センサSw3および第2傾斜センサSwの出力信号は、制御部21に入力される。制御部21は、入力された出力信号に基づいた演算等を実行し、その演算結果に基づいた処理を実行する。そうした処理を行うためのハードウェアとして、本実施形態に係る制御部21は、種々の処理を実行する処理部21aと、処理部21aが行う処理に関連したデータを記憶する1次記憶装置21bおよび2次記憶装置21cと、入出力バス21dと、を有する。
処理部21aは、CPU、システムLSI、DSP等からなる。処理部21aは種々のプログラムを実行することで、サンプルSPの分析を実行したり、表示部22等、分析観察装置Aの各部を制御したりする。特に、本実施形態に係る処理部21aは、サンプルSPの分析結果を示す情報、ならびに、第1カメラ81、第2カメラ93および俯瞰カメラ48から入力される画像データに基づいて、表示部22上の表示画面を制御することができる。
なお、処理部21aによる制御対象としての表示部は、コントローラ本体2が有する表示部22には限定されない。本開示に係る「表示部」には、分析観察装置Aが非具備とした表示部も含まれる。例えば、分析観察装置Aと有線または無線で接続されたコンピュータ、タブレット端末等のディスプレイを表示部とみなし、その表示部上にサンプルSPの分析結果を示す情報、および、種々の画像データを表示してもよい。このように、本開示は、分析観察装置Aと、該分析観察装置Aと有線または無線で接続された表示部と、を備える分析システムに適用することもできる。
また、本実施形態に係る処理部21aは、機能的な要素として、モード切替部211と、成分分析部としてのスペクトル取得部212およびスペクトル解析部213と、撮像制御部214と、ユーザインターフェース制御部(以下、単に「UI制御部」という)215と、照明設定部216と、照明制御部217と、レポート出力部218と、を有する。これらの要素は、論理回路によって実現されてもよいし、ソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。また、これらの要素のうちの少なくとも一部を、ヘッド部6等、光学系アセンブリ1に設けることもできる。
なお、スペクトル取得部212、スペクトル解析部213等の分類は、便宜的なものに過ぎず、自由に変更することができる。例えば、スペクトル取得部212がスペクトル解析部213を兼用してもよいし、撮像制御部214を機能別に細分化してもよい。
1次記憶装置21bは、揮発性メモリによって構成される。本実施形態に係る1次記憶装置21bは、2次記憶装置21c等から各種データを読み出して、これを1次的に格納することができる。
2次記憶装置21cは、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の不揮発性メモリによって構成される。2次記憶装置21cは、各種データを継続的に記憶することができる。なお、2次記憶装置21cに各種データを記憶させる代わりに、光学ディスク等の記憶媒体から各種データを読み込んでもよいし、分析観察装置Aと有線または無線で接続されたコンピュータ、タブレット端末等から各種データを読み込んでもよい。
-モード切替部211-
モード切替部211は、水平方向(本実施形態では前後方向)に沿って分析光学系7および観察光学系9を進退させることで、第1モードから第2モードへと切り替えたり、第2モードから第1モードに切り替えたりする。例えば、本実施形態に係るモード切替部211は、載置台5に対して観察筐体90および分析筐体70を相対的に移動させることで、第2カメラ93および第1カメラ81のうちの一方に切り替えることができる。
モード切替部211は、サンプルSPを撮像するための撮像部として、第1カメラ81および第2カメラ93のうちの一方に切り替えることができる。例えば本実施形態では、モード切替部211は、第1モードでは撮像部として第1カメラ81に設定し、第2モードでは撮像部として第2カメラ93に設定する。
具体的に、本実施形態に係るモード切替部211は、予め2次記憶装置21cに記憶されている観察光軸Aoと分析光軸Aaとの間の距離を事前に読み込む。次いで、モード切替部211は、スライド機構65のアクチュエータ65bを作動させることで、分析光学系7および観察光学系9を進退させる。
ここで、モード切替部211は、移動量センサSw2によって検出された観察光学系9および分析光学系7の変位量と、事前に読み込んだ距離とを比較して、前者の変位量が後者の距離に達したか否かを判定する。そして、変位量が所定距離に達したタイミングで、分析光学系7および観察光学系9の進退を停止する。なお、所定距離は予め定められていてもよく、また所定距離とアクチュエータ65bによる最大可動範囲とが一致するように構成されていてもよい。
なお、モード切替部211によって第1モードへと切り替えた後にヘッド部6を傾斜させてもよいし、切替前の第2モードにおいてヘッド部6を傾斜させることもできる。傾斜機構45を動作させるタイミングは、第1モードおよび第2モードのいずれであってもよい。
-スペクトル取得部212-
スペクトル取得部212は、分析対象物としてのサンプルSPに対し、1次電磁波を出射するように電磁波出射部71を制御するとともに、検出器としての第1および第2検出器77A,77Bにより生成された強度分布スペクトルを取得する。
具体的に、本実施形態に係るスペクトル取得部212は、第1モードにおいて電磁波出射部71から1次電磁波(例えばレーザ光)を出射させる。1次電磁波を出射させることによって生じた2次電磁波(例えばプラズマ光)は、第1検出器77Aおよび第2検出器77Bに到達する。
検出器としての第1および第2検出器77A,77Bは、各々に到達した2次電磁波に基づいて強度分布スペクトルを生成する。そうして生成された強度分布スペクトルは、スペクトル取得部212によって取得される。
また、スペクトル取得部212によるレーザ光の出射位置は、表示部22上に表示される画像Pに対する操作入力によって指定される。出射位置の指定は、複数箇所にわたって受け付けることができる。複数の出射位置が指定された場合、スペクトル取得部212は、各出射位置に対して順番にレーザ光を出射させ、出射位置毎に成分分析を行うことになる。その場合に行われる特徴的な処理については、撮像制御部214およびUI制御部215の構成に係る記載において説明する。
-スペクトル解析部213-
スペクトル解析部213は、スペクトル取得部212によって生成された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPの成分分析を実行する。既に説明したように、LIBS法を用いた場合、サンプルSPの表面が局所的にプラズマ化され、プラズマ状態から気体等に戻るときに放出される光のピーク波長は、元素(より正確には、原子核に束縛された電子の電子軌道)毎に固有の値を持つ。したがって、強度分布スペクトルのピーク位置を特定することで、そのピーク位置に対応した元素がサンプルSPに含まれている成分であると判定することができ、また、ピーク同士の大きさ(ピークの高さ)を比較することで、各元素の成分比を決定するとともに、決定された成分比に基づいて、サンプルSPの組成を推定することもできる。スペクトル解析部213は、前述したスペクトル取得部212とともに、本実施形態における「成分分析部」を例示している。
スペクトル解析部213による分析結果は、表示部22上に表示したり、所定のフォーマットで2次記憶装置21cに記憶させたりすることができる。
-撮像制御部214およびUI制御部215-
以下、撮像制御部214が行う処理について説明する。以下に例示される処理は、UI制御部215が行う処理と密接に関連しているため、以下の説明には、UI制御部215に係る説明も含まれる。
1.高倍画像と低倍画像
高倍画像は、サンプルSPの拡大倍率が相対的に高い画像Pである。この高倍画像は、観察光学系9の第2カメラ93からの受光信号に基づいて生成してもよいし、分析光学系7の第1カメラ81からの受光信号に基づいて生成してもよい。また、第2カメラ93で撮影された高倍画像を観察系高倍画像とし、分析光学系7の第1カメラ81で撮影された高倍画像を分析系高倍画像とし、観察系高倍画像と分析系高倍画像の双方を生成することもできる。
低倍画像は、上述の高倍画像よりも相対的に撮像視野が広い画像Pである。この低倍画像は、サンプルSPの拡大倍率が、高倍画像の撮影に際して利用された拡大倍率よりも相対的に低い観察画像であってもよいし。そうした低倍画像を用いる代わりに、高倍画像を複数貼り合わせることで、個々の高倍画像よりも視野の広い画像(いわば広域画像)Pを作成してもよい。
さらに、分析光学系7の第1カメラ81と、観察光学系9の第2カメラ93の双方を用いて高倍画像と低倍画像とを生成してもよい。具体的には、観察光学系9の第2カメラ93の拡大倍率を相対的に低く設定し、分析光学系7の第1カメラ81の拡大倍率を相対的に高く設定しておく。この場合、観察光学系9の第2カメラ93により撮影された画像Pを低倍画像とし、低倍画像を取得した後にモード切替部211により第2モードから第1モードへ切り替え、その後、分析光学系7の第1カメラ81により撮影された画像Pを高倍画像としてもよい。
また、後述の説明において、低倍画像は、高倍画像の撮像視野をユーザに知らせたり、高倍画像の視野範囲の変更を受け付けるためのナビゲーション画像Pnとして利用したりすることができる。そのような用途の場合、低倍画像をナビゲーション画像Pnと称する場合がある。
さらに、高倍画像は、サンプルSPの動的変化を示す画像Pとして利用することができる。そのような用途の場合、高倍画像をライブ画像Plと称する場合がある。
2.ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnに関連した処理
撮像制御部214は、第2撮像部としての第1カメラ81または第2カメラ93により検出された反射光の受光量に基づいて、サンプルSPの画像Pを生成する。そうして生成された画像Pは、UI制御部215によって表示部22に表示される。撮像制御部214によって生成される画像Pは、主に2つの観点から分類することができる。ここでは、第1の観点として、画像Pの用途および撮像視野の大きさという観点に基づいた分類と、その分類に関連した処理について説明する。
なお、以下の説明は、第2モードにおけるケース、すなわち撮像部として第2カメラ93を用いるケースに相当するが、適宜、第2カメラ93を第1カメラ81に読み替えることができる。例えば、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの生成は、第2カメラ93に代えて、または、第2カメラ93に加えて、第1カメラ81が行ってもよい。
図14は、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの表示画面を例示する図である。図17は、開始トリガ信号を出力するためのユーザインターフェースを例示する図である。
図14において、アイコンIc11は、第1モードから第2モードへと、あるいは、第2モードから第1モードへと切り替えるための指示を受け付けるユーザインターフェースであり、アイコンIc12は、第1モードにおいて成分分析の実行指示を受け付けるユーザインターフェースである。アイコンIc12が前記実行指示を受け付けると、図17に例示されるようなダイアログW1が表示部22に表示される。ダイアログW1については後述する。
図14に例示するように、本実施形態に係る撮像制御部214は、前記画像Pとして、第2カメラ93によって受光された前記反射光の受光量に基づいて、サンプルSPの画像(特に、前述の高倍画像)Pとして、一定期間毎に更新されかつサンプルSPの動的変化を示すライブ画像Plと、該ライブ画像Plよりも撮像範囲が広くかつ該ライブ画像Plの位置を示す、前述の低倍画像としてのナビゲーション画像Pnと、を生成することができる。
ここで、ライブ画像Plは、第2カメラ93によるサンプルSPの拡大倍率が相対的に高い高倍画像として生成される。一方、ナビゲーション画像Pnは、第2カメラ93によるサンプルSPの拡大倍率が相対的に低い低倍画像として生成される。前述したように、複数の高倍画像を貼り合わせることでナビゲーション画像Pnを生成してもよい。ここで、拡大倍率の変更は、撮像制御部214により拡大光学系96が調整されることで行ってもよいし、ユーザにより拡大光学系96が調整されることで行ってもよい。なお、拡大倍率の変更は、いわゆるデジタルズームによって行ってもよい。
なお、上述の通り、観察光学系9の第2カメラ93からの受光信号に基づいて生成された画像をナビゲーション画像Pnとし、分析光学系7の第1カメラ81からの受光信号に基づいて生成された画像をライブ画像Plとしてもよい。これに代えて、例えば、第1カメラ81によってナビゲーション画像Pnを生成してもよい。その場合、第1カメラ81による低倍画像を用いてナビゲーション画像Pnを生成してもよいし、第1カメラ81を介して生成された複数の高倍画像を貼り合わせることでナビゲーション画像Pnを生成してもよい。
すなわち、まず第1に、拡大倍率が相対的に低い第2カメラ93によりサンプルSPの低倍画像を取得し、これをナビゲーション画像Pnとして使用する。その後、モード切替部211により観察光学系9から分析光学系7へと光学系を切り替える。そして、分析光学系7の第1カメラ81でサンプルSPの高倍画像を取得し、これをライブ画像Plとして用いてもよい。なお、第1カメラ81で撮影された画像は、その撮像タイミングに応じて、照射前画像Pb、照射後画像Paと呼称されることもあり、照射前画像Pbとは、サンプルSPに対してレーザ光が照射される前の画像を指し、照射後画像Paとは、サンプルSPに対してレーザ光が照射された後の画像を指す。
なお、図14に示した状態においてアイコンIc11を操作すると、第2モードから第1モードへと切り替わる。第1モードでは、第1カメラ81によって生成された高倍画像が、ライブ画像Plとして表示部22に表示される。その場合、ナビゲーション画像Pnについては、第1カメラ81によって撮像された低倍画像に切り替えてもよいし、第2カメラ93によって撮像された低倍画像をそのまま使用してもよい。
ライブ画像Plの更新間隔(ライブ画像Plが生成される時間間隔)は、例えば、数10FPS程度に設定してもよいし、数秒おきに更新するように設定してもよい。この更新間隔は、観察ユニット63に固有の設定としてもよいし、外部から変更可能な設定としてもよい。
また、ナビゲーション画像Pnの生成は、撮像制御部214が載置台駆動部53および第2カメラ93を制御することで、載置面51aの各XY位置(前後方向および左右方向に沿った平面上の各位置)で画像Pを生成させるとともに、各XY位置で生成された画像Pを合成することで行ってもよい。
そして、UI制御部215は、図14に例示するように、撮像制御部214によって生成されたライブ画像Plとナビゲーション画像Pnとを表示部22に表示させる。その際、UI制御部215は、ナビゲーション画像Pn中でのライブ画像Plの現在位置を示す位置情報Icを重畳した状態で、ナビゲーション画像Pnを表示部22に表示させる。
ここで、位置情報Icは、図14に例示するような十字線としてもよい。この場合、十字線の交差点Cpは、後述の第1分析箇所Lo1が未指定の状態では、ライブ画像Plの視野中心を示してもよい。また、位置情報Icとしては、十字線に加えて、または、十字線に代えて、ライブ画像Plの視野範囲を示す矩形状の枠を重畳表示してもよいし、ポイント状またはサークル状の図形を重畳表示してもよい。
そして、UI制御部215は、1次電磁波(例えばレーザ光)の照射位置として、ライブ画像Pl上で第1分析箇所Lo1の指定を受け付けるとともに、ナビゲーション画像Pn中での第1分析箇所Lo1の位置を示す情報(以下、「広域側分析位置」ともいう)を重畳した状態で、ナビゲーション画像Pnを表示部22に表示させる。
ここで、第1分析箇所Lo1の指定は、例えば、マウス操作を通じて行ってもよいし、ライブ画像Pl上での座標をキーボード等によって入力することで行ってもよい。
また、図14に示す例では、指定された第1分析箇所Lo1を示す情報として、ライブ画像Pl上に略十字状のマーカが重畳表示される。一方、ナビゲーション画像Pn上では、広域側分析位置として交点Xが重畳表示される。この交点Xは、ナビゲーション画像Pn上での1次電磁波の照射位置を示す。交点Xを重畳表示する代わりに、前記十字線が広域側分析位置を兼用してもよい。その場合、十字線の交差点Cpが、ナビゲーション画像Pn上での1次電磁波の照射位置を示すことになる。
第1分析箇所Lo1の指定は、複数箇所にわたって行うことができる。その場合、第1分析箇所Lo1に対応した各位置に、交点Xをナビゲーション画像Pn上に表示させることができる。
また、UI制御部215は、ライブ画像Pl上での1次電磁波の照射位置(第1分析箇所Lo1)の指定に加えて、ナビゲーション画像Pn上で1次電磁波の照射位置の指定を受け付けることもできる。
詳しくは、UI制御部215は、1次電磁波の照射位置に対応した位置情報として、ナビゲーション画像Pn上で第2分析箇所Lo2を受け付けることができる。図15の上部に例示したように、撮像制御部214は、UI制御部215が第2分析箇所Lo2の指定を受け付けた場合、該第2分析箇所Lo2に基づいて載置台駆動部53を制御することで、第2分析箇所Lo2がライブ画像Plの視野範囲に収まるように、第2カメラ93に対する載置台5の相対的な位置(撮像位置)を移動させる。図15の下部に示す例では、位置情報(十字線)Icの交点Cpが第2分析箇所Loに一致するように撮像位置の移動が実行される。
図15の下部に示すように、撮像制御部214は、載置台駆動部53によって第2分析箇所Lo2をライブ画像Plの視野範囲に収めた状態(図例では、位置情報の交点Cpを第2分析箇所Lo2に一致させた状態)で、該ライブ画像Plの再生成を実行する。これにより、第2分析箇所Lo2が写り込んだライブ画像Plを新たに生成し、これを表示部22に表示させることができる。
UI制御部215は、新たに生成されたライブ画像Pl上で、第1分析箇所Lo1の指定をさらに受け付けることもできる。図16の上部に例示したように、撮像制御部214は、UI制御部215が第1分析箇所Lo1’の指定を新たに受け付けた場合、新たに受け付けた第1分析箇所Lo1’に基づいて載置台駆動部53を制御することで、その第1分析箇所Lo1’がライブ画像Plの視野中心に近づくように撮像位置を移動させる。図16の下部に示す例では、第1分析箇所Lo1’がライブ画像Plの視野中心に一致するように撮像位置の移動が実行される。
そして、撮像制御部214は、載置台駆動部53によって第1分析箇所Lo1’をライブ画像Plの視野中心に近づけた状態で、該ライブ画像Plの再生成を実行する。これにより、第1分析箇所Lo1を視野中心に近づけたライブ画像Plを新たに生成し、これを表示部22に表示させることができる。
UI制御部215は、再生成されたライブ画像Pl上で、第1分析箇所Lo1の指定を繰り返し受け付けたり、複数箇所にわたって受け付けたりすることができる。撮像制御部214は、再生成されたライブ画像Pl上でUI制御部215が第1分析箇所Lo1の指定を受け付けるたびに、その第1分析箇所Lo1に基づいて載置台駆動部53を制御することで、第1分析箇所Lo1が再生成されたライブ画像Plの視野中心に近づくように撮像位置を移動させる。
そして、撮像制御部214は、載置台駆動部53によって第1分析箇所Lo1を再生成されたライブ画像Plの視野中心に近づけた状態で、ライブ画像Plのさらなる再生成を実行する。ライブ画像Plの再生成を繰り返し実行することで、ユーザが所望するライブ画像Plを取得することができるようになる。
その後、所望のライブ画像Plが取得され、そのライブ画像Pl上で1つ以上の第1分析箇所Lo1が指定されると、前述のアイコンIc11がユーザによって操作され、モード切替部211によって第2モードから第1モードへと切り替わる。第1モードでは、第2カメラ93によって生成されたライブ画像Plから第1カメラ81によって生成されたライブ画像Plに切り替わるものの、ライブ画像Pl上での第1分析箇所Lo1の位置、および、ナビゲーション画像Pn上での交点Xの位置は保持される。
その後、必要に応じて第1分析箇所Lo1の再指定等が行われた後、前述のアイコンIc12がユーザによって操作されると、UI制御部215は、図17に例示されるダイアログW1を表示部22に表示させる。図17に例示されるように、ダイアログW1は、レーザパワーを3段階で指定するためのチェックボックスIc21と、照射時に深度合成を実行させるか否かを設定するためのチェックボックスIc22と、照射時にオートフォーカス(AF)を実行させるか否かを設定するためのチェックボックスIc23と、開始トリガ信号を出力するためのアイコンIc24と、平均化の設定を行うためのアイコンIc25と、ダイアログW1を閉じるためのアイコンIc26と、によって構成される。
ダイアログW1においてアイコンIc24がクリック操作されると、UI制御部215は、開始トリガ信号をスペクトル取得部212に出力する。スペクトル取得部212は、開始トリガ信号が入力されることで、載置台駆動部53によって第1分析箇所Lo1をライブ画像Plの視野中心(例えば、ライブ画像Plの中で固定された1点)に近づけた状態で、その第1分析箇所Lo1に1次電磁波を照射させる。これにより、第1分析箇所Lo1における成分分析が実行される。
なお、成分分析を実行する直前には、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの少なくとも一方によって構成される照射前画像Pbが生成されるとともに、成分分析を実行した直後には、同じくライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの少なくとも一方によって構成される照射後画像Paが生成されるようになっている。
また、撮像制御部214は、第1モードおよび第2モードの双方において、ライブ画像(高倍画像)Plとして全焦点画像Pcを表示させることもできる。具体的に、本実施形態に係る撮像制御部214は、図18に例示されるように、載置台駆動部53によって撮像位置を第1方向(Z方向)に沿った複数の第1位置に移動させるとともに、該複数の第1位置の各々で画像Pを生成する。
図例では、複数の第1位置として、n個の高さ位置z1,z2,…,znと、各高さ位置において撮像されたn個の画像P1,P2,…,Pnと、が例示されている。画像P1,2,…,Pnのマス目は画素を概念的に示したものであり、各画素に付された「OK」は、ピントが合っていることを概念的に示したものである。図18に例示されるように、高さ位置毎に、ピントが合っている画素と、ピントが合っていない画素は相異する。
そこで、撮像制御部214は、複数の第1位置の各々で生成された高倍画像(画像P)を合成することで、サンプルの全焦点画像Pcを生成する。図例に示すように、撮像制御部214は、n個のライブ画像P1,P2,…,Pnの各々からピントが合っている画素を抽出し、それらの画素を組み合わせることで、1枚の全焦点画像Pcを生成することができる。生成された全焦点画像Pcは、ナビゲーション画像Pnとして表示部22に表示され、照射前画像Pbとして記憶部に記憶される。これにより、ライブ画像Plの全体にピントを合わせた状態となり、第1分析箇所Lo1をより適切に指定することができるようになる。
なお、全焦点画像Pcの生成は、観察ユニット63の第2カメラ93による観察時(つまり、第2モード時)に行ってもよいし、分析ユニット62の第1カメラ81による観察時(つまり、第1モード時)に行ってもよいし、両モードで行ってもよい。全焦点画像Pcを生成するか否かについても、ユーザによる操作入力に基づいて、適宜、設定変更することができる。
ところで、第2カメラ93によって生成される画像Pの拡大倍率は、拡大光学系96によって調整することができる。例えば、図26に示すように、拡大倍率が低倍側の所定倍率(第1倍率)に設定された低倍画像Pj中に写り込む基準マーカMaのサイズは、拡大倍率がその所定倍率よりも相対的に高い基準倍率(第2倍率)に設定された高倍画像Piに写り込む基準マーカMaのサイズよりも小さくなる。
その際、拡大光学系96の物理的な歪み等に起因して、基準倍率において観察光軸Aoと載置面51aとが交差する位置と、所定倍率において観察光軸Aoと載置面51aとが交差する位置にズレ(以下、これを「光軸ズレ」と呼称する)が生じる可能性がある。そうした光軸ズレが発生すると、図26に示すように、例えば基準倍率では基準マーカMaの頂点と位置情報(十字線)Icの交点Cpとが一致していたにもかかわらず、所定倍率では不一致となる可能性がある。
そうした光軸ズレの影響を解消すべく、本実施形態に係る撮像制御部214は、拡大光学系96を制御することで、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnのうちの一方に属する画像Pとして、前記低倍画像Pjと前記高倍画像Piと、をまずは生成し、低倍画像Pjおよび高倍画像Piの双方に含まれる基準マーカMaを検出する。ここで、基準マーカMaとしては、載置面51aに載置可能なスケールを用いてもよいし、載置面51aに表示された模様等を用いてもよい。次いで、撮像制御部214は、低倍画像Pjにおいて検出された基準マーカMaの位置と、高倍画像Piにおいて検出された基準マーカMaの位置との差分を示す第1の位置差分ΔD1を取得するとともに、低倍画像Pjの生成に際して用いられた拡大倍率と、高倍画像Piの生成に際して用いられた前記拡大倍率との差分を示す倍率差分を取得する。
なお、位置差分ΔD1の取得方法は、この方法に限定されない。例えば、任意の測定対象物の高倍画像と低倍画像を取得し、高倍画像における任意の測定対象物の所定点の位置と、低倍画像における所定点の位置の差分を検出してもよい。また、予め撮影された低倍画像と高倍画像に基づき、位置差分が既知の場合は、ΔD1として当該位置差分の入力を受け付けるような構成であってもよい。
そして、撮像制御部214は、第1の位置差分ΔD1と倍率差分とに基づいて、拡大倍率が所定の第3倍率に設定された場合における画像Pの視野中心の位置変動を算出する。ここで、第3倍率が所定倍率と基準倍率の中間に位置する場合、位置変動の大きさは、第1の位置差分ΔD1よりも小さな値となる。また、第3倍率が所定倍率よりもさらに低倍側の拡大倍率の場合、位置変動の大きさは、第1の位置差分ΔD1よりも大きな値となる。
一方、UI制御部215は、ライブ画像Plにおいて拡大倍率が変化したことを、例えばレンズセンサSw1の検出信号に基づいて検知する。そして、UI制御部215は、ライブ画像Plにおける拡大倍率の変化を検知した場合、撮像制御部214によって算出された位置変動に基づいて、ナビゲーション画像Pnにおける位置情報Icの重畳位置を更新する。ここで、位置情報Icの更新は、位置変動を相殺するような光軸ズレの補正量を算出し、その補正量に応じて位置情報Icの交点Cpを移動させることで、その交点Cpと基準マーカMaの位置が一致するように行われる。
なお、光軸ズレの影響を解消する方法は、ここに述べた方法に限られない。例えば、制御部21は、ライブ画像Plにおいて拡大倍率が変化したことを、レンズセンサSw1の検出信号に基づいて検知する。そして撮像制御部214によって算出された位置変動に基づいて、制御部21がヘッド駆動部47と載置台駆動部53の少なくとも一方を駆動し、拡大倍率の変化前後において、視野中心を一致させるように制御してもよい。また、上述の交点Cpの移動と、ヘッド駆動部47と載置台駆動部53の少なくとも一方の駆動、とを組み合わせ、ライブ画像Plの視野中心と、交点Cpとが一致するように制御してもよい。
本実施形態に係る処理部21aは、例えば拡大光学系96による拡大倍率の変更に際し、光軸ズレの補正を自動的に行うことができる。
また、第2モードから第1モードへの切替に際し、分析ユニット62に対する観察ユニット63の組み付けのズレ等に起因して、第2モードおいて観察光軸Aoと載置面51aとが交差する位置と、第1モードにおいて分析光軸Aaと載置面51aとが交差する位置にズレ(以下、これを「視野ズレ」と呼称する)が生じる可能性がある。そうした視野ズレが発生すると、図27に示すように、例えば第2モード(特に基準倍率)では基準マーカMaの頂点と位置情報(十字線)Icの交点Cpとが一致していたにもかかわらず、第1モードでは不一致となる可能性がある。
そうした視野ズレの影響を解消すべく、本実施形態に係る撮像制御部214は、拡大光学系96を制御することで、基準倍率に調整された第2カメラ93によって生成される画像Piと、第1カメラ81によって生成される画像Pkと、をまずは準備して、2つの画像Pi,画像Pkの双方に含まれる基準マーカMaを検出する。次いで、撮像制御部214は、第2カメラ93によって生成された画像Piにおいて検出された基準マーカMaの位置と、第1カメラ81によって生成された画像Pkにおいて検出された基準マーカMaの位置との差分を示す第2の位置差分ΔD2を取得する。
そして、撮像制御部214は、第2の位置差分ΔD2を、第2モードから第1モードに切り替えた際に生じる画像Pの視野中心の位置変動(特に、基準倍率から切り替えた場合における位置変動)とみなす。
一方、処理部21aは、第2モードから第1モードへ切り替わった際に用いられた第2カメラ93の拡大倍率を、例えばレンズセンサSw1の検出信号に基づいて検出する。そして、処理部21aは、検出された拡大倍率を前記第3倍率とみなした場合の位置変動(例えば、第1の位置差分ΔD1)を取得し、その位置変動と、前記第2の位置差分ΔD2を合算することで、第2カメラ93を任意の拡大倍率に設定した状態から、第1モードへと切り替わった際に生じる視野ズレの補正量を決定する。そして、その視野ズレの補正量に応じて、位置情報Icの交点Cpを移動させたり、載置台5またはヘッド部6を移動させたりすることで、その交点Cpと基準マーカMaの位置が一致するように、視野ズレの補正が実行される。
すなわち、図28に示すように、観察光学系9において拡大倍率が20倍から200倍まで複数通りに変更可能だったとすると、そのうちのいずれかの拡大倍率に設定された状態から第1モードに切り替わった際に生じる視野ズレを補正するためには、通常、全ての拡大倍率について第2の位置差分ΔD2を算出する必要があるように思われる。
しかしながら、観察光学系9において、事前に設定した基準倍率(例えば200倍)と、所定倍率(例えば30倍)との間に生じる第1の位置差分ΔD1と、その基準倍率に設定した状態から第1モードに切り替えた場合に生じる第2の位置差分ΔD2とさえ求めておけば、第1の位置差分ΔD1と前記倍率差分とに基づいて算出される前記位置変動の大きさと、第2の位置差分ΔD2と、を組み合わせることで、全拡大倍率における視野ズレの補正量を求めることができる。
本実施形態に係る処理部21aは、例えばモード切替部211による第2モードから第1モードへの切替に際し、視野ズレの補正を自動的に行うことができる。
3.照射前画像Pbおよび照射後画像Paに関連した処理
ここでは、第2の観点として、画像Pの生成タイミングという観点に基づいた分類と、その分類に関連した処理について説明する。
なお、以下の説明は、第1モードにおけるケース、すなわち撮像部として第1カメラ81を用いるケースに相当するが、適宜、第1カメラ81を第2カメラ93に読み替えることができる。例えば、照射前画像Pbおよび照射後画像Paの生成は、第1カメラ81に代えて、または、第1カメラ81に加えて、第2カメラ93が行ってもよい。
すなわち、第1カメラ81による受光信号に基づいて照射前画像Pbを生成した後にサンプルSPの分析を行って、その分析後に、第1カメラ81による受光信号に基づいて照射後画像Paを生成してもよい。また、第2カメラ93による受光信号に基づいて照射前画像Pbを生成した後、モード切替部211により観察光学系9から分析光学系7への切り替えを行った上でサンプルSPの分析を行い、その分析後に、第1カメラ81によりサンプルSPの照射後画像Paを生成してもよい。
さらに、第2カメラ93による受光信号に基づいて照射前画像Pbを生成した後、モード切替部211により観察光学系9から分析光学系7への切り替えを行ったうえで、サンプルSPの分析を行い、サンプルSPの分析後に再びモード切替部211により観察光学系9に切り替えた上で、第2カメラ93からの受光信号に基づいて照射後画像Paを生成してもよい。
本実施形態に係るUI制御部215は、サンプルSPの成分分析を開始させる開始トリガ信号を受け付けるとともに、画像Pと、成分分析部としてのスペクトル解析部213による分析結果(図19のダイアログWrを参照)Vd1と、を表示部22に表示させることができる。
その際、画像Pおよび分析結果は、それぞれ別々のウインドウに表示してもよいし、共通のウインドウに表示してもよい。また、画像Pおよび分析結果は、所定のウインドウに対して行われるクリック操作等を通じて、1つずつ順番に表示してもよい(画像Pから分析結果へと表示画面を遷移させたり、分析結果から画像Pへと表示画面を遷移させたりしてもよい)。図19に示すように、UI制御部215は、照射前画像Pbに分析結果(例えば、図19のテキストデータVd100に示すように、成分分析によって推定された物質名)を重畳した画像Pを生成し、これを表示部22上に表示させることができる。
ここで、UI制御部215は、例えば、図17に例示されるようなダイアログW1中のアイコンIc24に対してクリック操作が入力された場合に、開始トリガ信号を受け付ける。
本実施形態に係る処理部21aは、UI制御部215による開始トリガ信号の受け付けに応じて、撮像制御部214が第2カメラ93を制御することにより、サンプルSPに1次電磁波としてのレーザ光が照射される前の画像Pである照射前画像Pbを生成する。生成された照射前画像Pbは、図14に例示されるように表示部22に表示したり、1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに格納したりすることができる。
なお、開始トリガ信号の受け付けに応じて、撮像制御部214が第1カメラ81を制御することにより、サンプルSPに1次電磁波としてのレーザ光が照射される前の画像である照射前画像Pbを生成することもできる。さらに、開始トリガ信号の受付に応じて、ユーザに対して「照射前画像を撮影しますか?」のようなダイアログを表示し、それに対するユーザの入力操作を受け付けることで、照射前画像Pbを生成するような構成であってもよい。この場合、ユーザが希望するタイミングでのみ照射前画像Pbを残すことができる。
その後、処理部21aは、撮像制御部214が第2カメラ93を制御した後にスペクトル取得部212が電磁波出射部71を制御することにより、サンプルSPにレーザ光を出射する。
ここで、照射前画像Pbとして利用可能な画像Pには、前述した開始トリガ信号の受け付けに応じて、サンプルSPの分析前に第1カメラ81または第2カメラ93により取得された画像が含まれる。なお、照射前画像Pbとして、開始トリガ信号を受け付ける前に取得したライブ画像Plとナビゲーション画像Pnの少なくとも一方が用いられてもよい。
図14に示す例では、処理部21aは、第1分析箇所Lo1が指定された状態にあるライブ画像Plとナビゲーション画像Pnとを両方とも照射前画像Pbとして格納するように構成されている。
サンプルSPにレーザ光が照射されると、図19に例示されるように、照射位置としての第1分析箇所Lo1において、レーザパワー、レーザ出射回数等に応じた破壊が生じる。
その際、本実施形態に係る処理部21aは、スペクトル取得部212が電磁波出射部71を制御することによってサンプルSPにレーザ光を出射した後に撮像制御部214が第1カメラ81または第2カメラ93を制御することで、サンプルSPにレーザ光が照射された後の画像Pである照射後画像Paを生成する。生成された照射後画像Paは、図19に示されるように表示部22に表示されたり、1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに格納されたりする。
ここで、照射後画像Paとして利用可能な画像Pには、サンプルSPにレーザ光を出射した後に、撮像制御部214が第1カメラ81または第2カメラ93を制御することで得られた画像が含まれる。具体的には、サンプルSPに対してレーザ光を出射した後に、分析光学系7の位置を変化させずに、当該分析光学系7の第1カメラ81を制御することで取得したサンプルSPの画像が含まれてもよい。また、サンプルSPに対してレーザ光を出射した後に、モード切替部により分析光学系7から観察光学系9へと切り替えを行い、当該観察光学系9の第2カメラ93を制御することで取得したサンプルSPの画像が含まれてもよい。
本実施形態に係る処理部21aは、照射前画像Pbと照射後画像Paの生成及び格納と、を自動的に実行するように構成されている。なお、照射後画像Paには、照射前画像Pbと同様に、ライブ画像Plとナビゲーション画像Pnの少なくとも一方が含まれてもよい。照射後画像Paとして含まれるナビゲーション画像としては、サンプルSPに対してレーザ光を出射した後に、撮像制御部214により再取得された低倍画像を用いることができる。本実施形態に係る処理部21aは、照射前画像Pbとしてのライブ画像Plとナビゲーション画像Pnの生成および格納と、照射後画像Paとしてのライブ画像Plとナビゲーション画像Pnの生成および格納と、をそれぞれ自動的に実行するように構成されている。
照射前画像Pbおよび照射後画像Paは、スペクトル解析部213による分析結果と紐付けて管理される。そのため、後述のように表示部22に分析結果を表示させる際には、適宜、その分析結果に対応した照射前画像Pbおよび照射後画像Paを切り替えて表示させることができる。
なお、分析結果と、照射前画像Pb、照射後画像Paの紐づけに加えて、取得した画像Pのスケールや、取得した画像Pに対するコメントを関連付けて保存することができるように構成されていてもよい。
その際に用いられるスケールは、ユーザの選択を受け付けることで切り替えることができる。その際に切替可能な設定項目には、例えば、スケールを非表示とする「なし」に加え、メッシュ状のスケールを表示する「メッシュ」、クロス上のスケールを表示する「クロス」、所定方向に沿ったバー状のスケールを表示する「バー」、および、XY方向に沿ったL字状の2本のスケールを表示する「XYバー」が含まれる。また、スケールの種類に加えて、スケールの幅を設定することもできる。このように、種類と幅が設定されたスケールが、表示部22に表示された画像P上に重畳表示された状態で、分析結果と画P像との保存が実行されると、分析結果とスケールとが重畳表示された画像Pを保存することができる。
また、表示部22上の特定のアイコンを選択すると、表示部22上にウインドウが表示され、そのウインドウを操作することで、画像P上に図形を重畳表示させたり、日付、時刻等を画像P上に重畳表示させたり、ユーザ任意のコメントを画像P上に重畳表示させたりすることができる。そうした重畳表示された図形、コメント等の情報は、分析結果および画像Pの保存が実行される際に、分析結果および画像Pと関連付けて保存することができる。スケールと、図形、コメント等の情報と、の双方を保存してもよいし、一方を保存してもよい。
図14および図19に示す例では、アイコンIc13を操作することで、表示部22に表示させるべき画像として、照射前画像Pbおよび照射後画像Paのうちの少なくとも一方に切り替えることができる。
また、前述したように、照射前画像Pbとして用いられるライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnは、それぞれ、UI制御部215が、レーザ光の照射位置に対応した第1分析箇所Lo1および第2分析箇所Lo2の指定を受け付けることで、各画像Pの撮像位置を変更することができる。処理部21aは、撮像位置が変更された状態で、スペクトル取得部212によるレーザ光の出射を行うことができる。
これらの指定は、前述のように、複数箇所について行うことができる。複数箇所への指定方法としては、1枚のライブ画像Plを用いた同一視野内での指定と、複数枚のライブ画像Plまたは1枚以上のナビゲーション画像Pnを用いた複数視野内での指定と、が考えられる。本実施形態に係るUI制御部215は、2種類の指定を両方とも受け付けることができる。
そして、本実施形態に係る処理部21aは、複数箇所にわたってレーザ光の照射位置が指定された場合、各照射位置について順番に照射前画像Pbの生成を実行するように構成されている。
詳しくは、UI制御部215は、ライブ画像Pl上で第1分析箇所Lo1の指定を複数箇所にわたって受付可能に構成されている。処理部21aは、UI制御部215が第1分析箇所Lo1の指定を複数箇所にわたって受け付けた場合、複数箇所にわたって受け付けられた第1分析箇所Lo1の各々について、複数箇所にわたって受け付けられた第1分析箇所Lo1のうちの一の第1分析箇所Lo1がライブ画像Plの視野中心に近づくように、載置台駆動部53によって撮像位置を移動させる。
そして、処理部21aは、一の第1分析箇所Lo1をライブ画像Plの視野範囲に近づけた状態で撮像制御部214によって照射前画像Pbを生成し、撮像制御部214によって照射前画像Pbを生成した後に電磁波出射部71によってサンプルSPにレーザ光を出射させることで、スペクトル解析部213によって一の第1分析箇所Lo1における成分分析を実行させる。
このように、1枚のライブ画像Plに収まる同一視野内で複数の第1分析箇所Lo1を指定した場合、各第1分析箇所Lo1においてライブ画像Plから照射前画像Pbを生成するとともに、各第1分析箇所Lo1にレーザ光を照射して、成分分析を行うことができる。
同様の処理は、ナビゲーション画像Pn上での第2分析箇所Lo2の指定においても行うことができる。詳しくは、UI制御部215は、ナビゲーション画像Pn上で第2分析箇所Lo2の指定を複数箇所にわたって受付可能に構成されている。処理部21aは、UI制御部215が第2分析箇所Lo2の指定を複数箇所にわたって受け付けた場合、複数箇所にわたって受け付けられた第2分析箇所Lo2の各々について、複数箇所にわたって受け付けられた第2分析箇所Lo2のうちの一の第2分析箇所Lo2がライブ画像Plの視野範囲に収まるように、載置台駆動部53によって撮像位置を移動させる。
そして、処理部21aは、一の第2分析箇所Lo2をライブ画像Plの視野範囲に収めた状態で撮像制御部214によって照射前画像Pbを生成し、撮像制御部214によって照射前画像Pbを生成した後に電磁波出射部71によってサンプルSPにレーザ光を出射させることで、スペクトル取得部212によって前記一の第2分析箇所における成分分析を実行させる。
例えば図20に示すように、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの少なくとも一方の画像P上に、第1分析箇所Lo1および第2分析箇所Lo2の少なくとも一方が複数箇所にわたって指定された場合を考える。この場合、第1分析箇所Lo1および第2分析箇所Lo2の少なくとも一方を単に「分析箇所」と総称するとともに、2つの分析箇所X1,X2がサンプルSPの表面上に指定されたものとすると、撮像制御部214は、最初に、撮像位置を初期位置(分析箇所X1,X2が指定されたタイミングにおける撮像位置)から移動させずに、その初期位置で照射前画像Pbの生成を実行する(図20の左部の上図を参照)。
その後、撮像制御部214は、2つの分析箇所X1,X2のうちの一の分析箇所(第1の分析位置)X1を視野中心に接近させるように載置台5を移動させ、載置台5を移動させた状態で、第1の分析位置X1に対応した照射前画像Pbの生成を実行する(図20の左部の中央図を参照)。
その後、撮像制御部214は、スペクトル取得部212が第1の分析位置X1にレーザ光を照射させた後に、第1の分析位置X1に対応した照射後画像Paの生成を実行する(図20の左部の下図を参照)。照射後画像Paの生成と前後して、または、照射後画像Paの生成と同時に、スペクトル解析部213が第1の分析位置X1における成分分析を実行する。
その後、撮像制御部214は、2つの分析箇所X1,X2のうちの他の分析箇所(第2の分析位置)X2を視野中心に接近させるように載置台5を移動させ、載置台5を移動させた状態で、第2の分析位置X2に対応した照射前画像Pbの生成を実行する(図20の右部の上図を参照)。
その後、撮像制御部214は、スペクトル取得部212が第2の分析位置X2にレーザ光を照射させた後に、第2の分析位置X2に対応した照射後画像Paの生成を実行する(図20の左部の中央図を参照)。照射後画像Paの生成と前後して、または、照射後画像Paの生成と同時に、スペクトル解析部213が第1の分析位置X1における成分分析を実行する。
その後、撮像制御部214は、撮像位置を前記初期位置まで移動させるとともに、その初期位置で照射後画像Paの生成を実行する(図20の右部の下図を参照)。
このように、本実施形態に係る撮像制御部214は、複数の分析箇所X1,X2の各々において照射前画像Pbおよび照射後画像Paの生成を実行するとともに、分析を開始する前のタイミング(複数の分析箇所X1,X2の各々にレーザ光を照射する前のタイミング)においてサンプルSP全体の照射前画像Pbを生成し、分析を完了した後のタイミング(複数の分析箇所X1,X2の全てにレーザ光を照射した後のタイミング)においてサンプルSP全体の照射後画像Paを生成するように構成されている。また、複数の分析箇所X1,X2の各々についてスペクトル解析部213が成分分析を行うことで、サンプルSPの表面上の各所で成分分析を行うことができる。
なお、複数の分析箇所X1、X2の各々において、分析を開始する前のタイミングにおける照射前画像Pbの生成は必ずしも必要ではない。例えば、複数の分析箇所X1、X2が、それぞれ、互いに異なるサンプルSP上に設定されている場合は、分析箇所X1へレーザ光を照射する前の照射前画像Pbと、分析箇所X2へレーザ光を照射する前の照射前画像Pbと、を両方とも生成することができる。一方、複数の分析箇所X1、X2が同じサンプルSP上にある場合は、初期位置である分析箇所X1へレーザ光を照射する前の照射前画像Pbのみを生成してもよい。
さらに、照射前画像Pbおよび照射後画像Paのうちの少なくとも一方の画像P上に、分析結果を重畳表示させることもできる。その際、分析箇所が複数設定されている場合は、分析箇所毎に、図19のテキストデータVd100のような分析結果を重畳表示してもよい。例えば、レーザ光をサンプルSPに照射することでサンプルSPの成分分析を行う場合、レーザ光の照射に伴ってサンプルSPに変化が生じる。照射前画像Pbに分析結果を重畳した場合、サンプルSPに変化が生じる前の状態と、そのサンプルSPを分析した結果を表示することができ、ユーザにとって好都合である。
また、前述のように、撮像制御部214は、互いに異なるZ位置で生成された画像Pを合成することで、全焦点画像Pcを生成することができる。その際、処理部21aは、各Z位置でピントの良否が異なることを利用して、サンプルSP表面の高さデータを取得するとともに、その高さデータを利用して、複数の分析箇所X1,X2の各々に適したフォーカシングを行うことができる。
すなわち、電動駆動部としてのヘッド駆動部47が、反射型対物レンズ74に対する載置台5の相対的な位置を示す収集位置をZ方向に沿って移動させるように構成されていることを利用して、本実施形態に係る撮像制御部214は、複数の高さ位置の各々で画像Pを生成する。スペクトル取得部213は、生成された各画像Pに基づいて、UI制御部215によって受け付けられた第1分析箇所Lo1でのZ方向に沿った高さを特定し、それを高さデータとして1次記憶装置21b等に格納する。スペクトル取得部213はまた、特定された高さに基づいてヘッド駆動部47または載置台駆動部53を制御することで、電磁波出射部71から出射されるレーザ光が第1分析箇所Lo1上で焦点を結ぶように収集位置を前記第1方向に沿って移動させる。
なお、図20に示した例では、複数の分析箇所は互いに異なる位置となるように設定されていたが、例えば図21に示すように、複数の分析箇所を同一位置に設定してもよい。この場合、分析観察装置Aは、特定の分析箇所X3に対し、複数回(図例ではn回)にわたってレーザ光を照射させることになる。
図21に示す例の場合、撮像制御部214は、最初に、撮像位置を初期位置(分析箇所X3が指定されたタイミングにおける撮像位置)から移動させずに、その初期位置で照射前画像Pbの生成を実行する(図21の上図を参照)。
その後、撮像制御部214は、スペクトル取得部212が分析箇所X3にレーザ光を照射させた後に、分析位置X3に対応した照射後画像Paの生成を実行する(図21の中央図を参照)。照射後画像Paの生成と前後して、または、照射後画像Paの生成と同時に、スペクトル解析部213が分析箇所X3における成分分析を実行する。
その後、撮像制御部214は、スペクトル取得部212が分析箇所X3にレーザ光を照射させる度に、分析位置X3に対応した照射後画像Paの生成を実行する。スペクトル解析部213は、レーザ光が照射される度に、照射後画像Paの生成と前後して、または、照射後画像Paの生成と同時に、分析箇所X3における成分分析を実行する。
全n回のレーザ光の照射が完了した後には、1枚の照射前画像Paと、n枚の照射後画像Pbと、が生成されると同時に、n回にわたって実行された成分分析の結果が得られることになる。
このように、本実施形態に係る撮像制御部214は、特定の分析箇所X3にレーザ光を照射する度に、照射後画像Paの生成を実行する。そうして生成された複数枚の照射後画像Paと、事前に生成された照射前画像Paとを照らし合わせることで、1次電磁波としてのレーザ光の照射によって生じたサンプルSPの変化をユーザに把握させることができるようになる。また、特定の分析箇所X3においてスペクトル解析部213が繰り返し成分分析を行うことで、サンプルSPの表面を掘削し、サンプルSP内部の成分情報を取得することができるようになる。
また、特定の分析箇所X3にレーザ光を繰り返し照射する場合、レーザ光を照射するたびに成分分析を実行させるとともに、その分析結果を表示部22上に重畳表示することもできる。この場合、サンプルSPの掘削の深度と、その深度における分析結果との関係をユーザに直感的に把握させることができるようになる。
4.俯瞰カメラ48に関連した処理
撮像制御部214はまた、俯瞰カメラ48により検出された反射光の受光量に基づいて、サンプルSPの俯瞰画像Pfを生成する。そうして生成された俯瞰画像Pfは、UI制御部215によって表示部22に表示される。
図22および図23は、俯瞰画像Pfの表示画面を例示する図である。図22に例示するように、撮像制御部214は、俯瞰画像Pfを示すウインドウW2を表示部22上に表示させる。俯瞰画像Pfは、サンプルSPを側方から見た画像に相当する。
なお、図6に例示されるように、俯瞰カメラ48と、観察ユニット63の対物レンズ92との間には、分析ユニット62の分析筐体70が介在することになる。そのため、分析筐体70の寸法次第では、分析筐体70によって対物レンズ92が隠れてしまう可能性がある。このことは、俯瞰画像Pfを通じて対物レンズ92とサンプルSPとの間の相対的な位置関係を把握させるには不都合である。
そこで、本実施形態に係るUI制御部215は、対物レンズ92の輪郭を示す概略形状Stを生成し、該概略形状Stを俯瞰画像Pfに重畳表示する。これにより、対物レンズ92とサンプルSPとの間の相対的な位置関係を、俯瞰画像Pfを通じてユーザに把握させることができるようになる。
また、図23に例示されるように、UI制御部215は、傾斜機構45による観察ユニット63の傾斜に伴って、俯瞰画像Pfに重畳表示された概略形状Stを傾斜させるように構成されている。これにより、基準軸Asに対する観察光軸Aoの傾きθをユーザに直感的に把握させることができるようになる。
また、図22および図23に例示されるように、俯瞰画像Pfには、対物レンズ92から照射される可視光に対応した図形Diも重畳表示される。この図形Diは、その頂点Veを下方に向けた二等辺三角形として表示されている。図形Diの頂点Veは、対物レンズ92によって結ばれる焦点位置を示している。したがって、サンプルSPの表面上に頂点Veが位置する状態は、サンプルSPの表面上で可視光が焦点を結ぶ状態(可視光のピントが合った状態)に相当する。図形Diは、対物レンズ92をZ方向に移動させる際の目安として機能する。
また、俯瞰画像Pfが表示されたウインドウW2には、対物レンズ92の高さ位置に対する可視光のフォーカス値の大きさを示すグラフ(より正確には、縦軸が対物レンズ92の高さ位置を示し、横軸がフォーカス値の大きさを示すグラフ)G1が表示される。ここで、「高さ位置」とは、Z方向(第1方向)における載置面51aに対する対物レンズ92の相対位置を示す。対物レンズ92以外の部品についても、同様に載置面51aに対するZ方向の相対位置を示すものとする。
このグラフG1には、対物レンズ92の現在の高さ位置を示すバーBaが重畳表示されており、フォーカス値のピーク位置にバーBaが位置するように対物レンズ92の高さ位置を調整した状態で、アイコンIc31が操作入力を受け付けることで、可視光のピントを合わせることができる。
また、対物レンズ92とサンプルSPとを接近させた状態でアイコンIc32が操作入力を受け付けることで、対物レンズ92の高さ位置の下限を設定することができる。そうして設定された下限は、前述した全焦点画像の生成等に際して用いられるようになっている。
ここで、傾斜機構45および載置台駆動部53はユーセントリック関係を維持するように構成されているため、傾斜機構45によって観察光軸Aoを傾斜させたり、載置台駆動部53によって載置台5を回転させたりしても、図形Diの頂点Veは、サンプルSPの表面上に位置する状態を保つことができる。例えば図23に示すように、観察光軸Aoを基準軸Asに対して傾斜させた場合、図形Diの頂点Veは、サンプルSPの表面から移動せずに、傾斜前の位置を保持することになる。
撮像制御部214によって生成される俯瞰画像Pfは、レポート出力部218によって出力されるレポートReに表示させることができる。そうした用途に利用すべく、撮像制御部214は、スペクトル取得部212およびスペクトル解析部213によるサンプルSPの成分分析が完了した後に、または、サンプルSPの成分分析を行う前に、サンプルSPを撮像して俯瞰画像Pfを生成することができる。俯瞰画像Pfを生成するか否かの設定、および、俯瞰画像Pfを生成するタイミングの設定は、例えば操作部3に対する操作入力に基づいて、適宜、変更することができる。
また、サンプルSPの成分分析が完了した後、または、サンプルSPの成分分析を行う前に俯瞰画像Pfを生成する場合、撮像制御部214は、俯瞰画像Pfの生成を行う前に、載置台5およびヘッド部6の少なくとも一方を退避させる。具体的に、撮像制御部214は、Z方向に沿ってヘッド部6と載置台5とが離間するように載置台5およびヘッド部6の少なくとも一方を動作させることで、載置台5とヘッド部6を退避させることができる。載置台5を退避させることで、分析筐体70、対物レンズ92等の俯瞰画像Pfへの映り込みを抑制することが出来る。
また、サンプルSPの形状によっては、俯瞰カメラ48によりサンプルSPを撮像しただけでは、サンプルSP全体を俯瞰できない場合がある。そのため、例えば載置台5が部分的に傾斜することで、俯瞰カメラ48と正対する向きにサンプルSPを向けられるような構成となっていてもよい。
具体的には、載置面51aの左右方向に設けられた回転軸と、該回転軸を中心に回転する略半円形状のステージ部材とが載置台5上に設けられ、俯瞰カメラ48によるサンプルSPの撮像が必要な場合にのみ、ステージ部材が俯瞰カメラ48側を向くように傾斜されるような構成となっていてもよい。なお、載置台5に傾斜機構が設けられる構成に代えて、載置台5に傾斜プレートと嵌合する嵌合溝が設けられ、当該嵌合溝に係合した傾斜プレートにより、載置台5に対して傾斜する傾斜面が構成されてもよい。
撮像制御部214によって生成された俯瞰画像Pf、ならびに、俯瞰画像Pfに重畳された概略形状Stおよび図形Diは、後述のレポート出力部218に入力され、レポート生成に用いられる。
5.各画像Pと分析結果との関連付け
UI制御部215は、低倍画像としてのナビゲーション画像Pn、高倍画像としてのライブ画像Pl、俯瞰画像Pf、および、分析結果Vd1を示すダイアログWrを表示部22に表示させるのに加えて、ナビゲーション画像Pnおよびライブ画像Plのうちの少なくとも一方の画像Pを分析結果に関連付けて保存する操作入力を受け付ける第1インターフェースW3を表示部22に表示させることができる。
この第1インターフェースW3は、例えば、図24に示すようなダイアログによって構成することができる。この第1インターフェースW3は、高倍画像であるライブ画像Plを分析結果に関連付けて保存する操作入力を受け付けるチェックボックスIc44と、概略画像であるナビゲーション画像Pnを分析結果に関連付けて保存する操作入力を受け付けるチェックボックスIc45と、俯瞰画像Pfを分析結果に関連付けて保存する操作入力を受け付けるチェックボックスIc46と、が表示されてなる。例えばチェックボックスIc44にチェックを入れると、ライブ画像Plと分析結果とが関連付けて保存され、そのチェックを外すと、分析結果と関連付けてライブ画像Plは保存されない。分析結果に関連付けられたライブ画像Plは、レポート出力部218によってレポートReに出力される。
他のチェックボックスIc45~Ic47についても同様である。例えばチェックボックスIc47からチェックを外すと、ライブ画像Plと、ナビゲーション画像Pnと、俯瞰画像Pfとが関連付けて保存されるものの、分析結果は保存されない。第1インターフェースW3は、レポート出力部218によるレポートRepの出力に際し、低倍画像としてのナビゲーション画像Pn、高倍画像としてのライブ画像Plおよび分析結果の各々をレポートRep上に表示させるか否かを個別に選択するための選択画面として機能する。
また、第1インターフェースW3上のアイコンIc41は、低倍画像として用いられたナビゲーション画像Pn、および、高倍画像ひいては照射前画像Pbの生成に用いられたライブ画像Plのうちの少なくとも一方の画像Pを更新するためのボタンである。すなわち、分析結果を記憶部としての1次記憶装置21bおよび2次記憶装置21cの少なくとも一方に保存させる際に保存する画像を、第1インターフェースW3に表示された画像に代えて、新たに取得した画像もしくはすでに取得された他の画像から選択された一の画像へ変更するためのボタンである。UI制御部215は、その変更指示の受け付けに応じて、前記少なくとも一方の画像Pを更新するための表示画面W4を表示部22に表示させる。
Ic42は第1インターフェースW3の表示を閉じるためのボタンである。アイコンIc42に対応する操作入力を受け付けると、画像更新のための第1インターフェースW3を閉じ、図14等に示す画面に戻る。一方、第1インターフェースW1上でアイコンIc43に対応する操作入力を受け付けると、後述のように、表示領域に表示されている画像Pが保存される。なお、アイコンIc43を第1インターフェースW1上に表示する構成は必須ではなく、図14等に示す画面上に表示してもよい。
図25に例示されるように、表示画面W4は、前記少なくとも一方の画像(図例では、ナビゲーション画像Pnおよびライブ画像Plの両方)Pと、その画像Pを更新するための第2インターフェースとしてのアイコンIc51,Ic52と、によって更新される。UI制御部215は、例えばアイコンIc51に対する操作入力を受け付けると、その受付時点で表示部22に表示されている画像Pによって、前記分析結果と関連付けられるべきライブ画像Plを更新する。その際、受付時点で表示部22に表示されている照射後画像Paによってライブ画像Plを更新してもよいし、分析結果の取得以前に生成された照射前画像Pbによってライブ画像Plと差し替えてもよい。ナビゲーション画像Pnについても同様である。また、「OK」と表示されたアイコンIc53に対する操作入力を受け付けると、UI制御部215は、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの更新を完了する。また、「キャンセル」と表示されたアイコンIc54に対する操作入力を受け付けると、UI制御部215は、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの更新をキャンセルする。
また、第1インターフェースW3上のアイコンIc43が操作入力を受け付けると、UI制御部215は、ライブ画像Pl、ナビゲーション画像Pn、俯瞰画像Pf、分析結果等の関連付けを完了し、2次記憶装置21cに格納することができる。
-照明設定部216-
照明設定部216は、第1モードから第2モードへの切替、または、第2モードから第1モードへの切替に際し、モード切替前の照明条件を記憶して、そうして記憶された照明条件に基づいて、モード切替後の照明条件を設定する。
詳しくは、本実施形態に係る照明設定部216は、第1モードと第2モードとの間の切替前後で、第1モードにおける同軸照明79に係る照明条件および側射照明84に係る照明条件と、第2モードにおける第2同軸照明94に係る照明条件および第2側射照明95に係る照明条件と、のうち、切替前に参照された照明条件を再現するように、切替後の照明条件を設定する。
ここで照明条件とは、第1カメラ81、同軸照明79および側射照明84に係る制御パラメータと、第2カメラ93、第2同軸照明94および第2側射照明95に係る制御パラメータと、を指す。照明条件には、各照明の光量、各照明の点灯状態等を含む。照明条件は、設定変更可能な複数の項目からなる。
各照明の光量に関連した制御パラメータには、LED光源79aに流れる電流の大きさ、電流を通電するタイミング、通電時間等が含まれる。例えば、LED光源79aに流れる電流の大きさを通じて、同軸照明79の光量を制御すことができる。この制御パラメータには、第1カメラ81、第2カメラ93等の露光時間も含まれる。
照明設定部216は、複数の設定項目からなる照明条件のうち、現在の照明条件、すなわちモード切替前に参照されていた項目と、モード切替後に設定可能な項目と、を比較して、共通の項目を抽出する。
照明設定部216は、抽出された共通の項目については、モード切替前の設定内容が流用されるように照明条件を設定し、それを1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに記憶させる。例えば、第2モードから第1モードへの切替に際し、切替前の第2モードにおいては第2側射照明95が使用されていて、切替後の第1モードにおいて側射照明84が使用される場合を考える。この場合、照明設定部216は、例えば、第2側射照明95の光量を記憶する。照明設定部216は、光量を含めた照明条件を設定し、それを1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに記憶させる。
なお、仮に、切替前後の照明条件の一方に固有の項目が存在する場合、照明設定部216は、照明条件の初期設定を読み込んだり、前回使用時に用いられた照明条件を読み込んだりすることで、今回の照明条件を設定することができる。すなわち、1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cには、過去の使用時に参照された照明条件が、その使用順で記憶されており、照明設定部216は、その記憶内容に基づいて、照明条件のうち流用不可能な項目を設定することができる。
また、モード切替後に、操作部3を通じて照明条件を手動で変更することもできる。
また、照明条件の初期設定および調整に際しては、分光素子75、結像レンズ80等、サンプルSPで反射した光が第1カメラ81へ戻る際に通過する分析光学系7の光学素子の可視光透過率、および第1カメラ81を構成する撮像素子の受光感度と、ミラー群91等、観察光学系9を構成する光学素子の可視光透過率、および第2カメラ93を構成する撮像素子の受光感度と、を考慮してもよい。
また、第1モードから第2モード、または、第2モードから第1モードへの切替時に、表示部22上に表示される画像データの明るさを一定にすることで、第1カメラ81および第2カメラ93の露光時間を共通にすることができる。
これにより、第1カメラ81と第2カメラ93のフレームレートを共通にすることができる。なお、前記画像データの明るさは、例えば、第1カメラ81および第2カメラ93の各々に関連した前記可視光透過率と受光感度の積が一定になるように制御することで、一定にすることができる。
-照明制御部217-
照明制御部217は、照明設定部216が設定した照明条件を1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cから読み込むとともに、読み込んだ照明条件を反映するように、同軸照明79、側射照明84、第2同軸照明94または第2側射照明95を制御する。この制御によって、同軸照明79および側射照明84の一方または双方を点灯させたり、第2同軸照明94および第2側射照明95の一方または双方を点灯させたりすることができる。
照明制御部217はまた、第1モードにおけるレーザ光の出射に際しては、照明条件の内容にかかわらず、同軸照明79および側射照明84を全て一時的に消灯する。
照明制御部217はまた、同軸照明79または側射照明84の消灯を行う前に、消灯の実行時点で参照されていた照明条件を1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに記憶させる。
照明制御部217は、レーザ光の出射が完了した後のタイミング(例えば、スペクトル解析部213による解析と前後したタイミング)で、同軸照明79およびは側射照明84の消灯を解除する。その際、照明制御部217は、消灯を行う前に1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに記憶させた照明条件を読み込んで、それを同軸照明79または側射照明84の点灯に反映させる。
-レポート出力部218-
図29は、レポートRepのテンプレートDsを例示する図であり、図30は、レポートRepの出力例を示す図である。レポート出力部218は、スペクトル解析部213によるサンプルSPの分析完了後に、ライブ画像Pl、ナビゲーション画像Pn、分析結果を示す情報(第1情報Vd1)をまとめたレポートRepを出力するように構成されている。
詳しくは、本実施形態に係るレポート出力部218は、低倍画像としてのナビゲーション画像Pn、照射前画像Pbおよび照射後画像Paの生成に用いられた、高倍画像としてのライブ画像Plおよび、分析結果の出力される位置を割り当ててなるテンプレートDs上の各位置に、ナビゲーション画像Pnおよびライブ画像Pl(より詳細には、ライブ画像Plを用いて生成された照射前画像Pb、または、照射前画像Pbおよび照射後画像Pa)および分析結果の少なくとも1つを表示してなるレポートRepを出力することができる。
なお、照射前画像Pbは、観察光学系9の第2カメラ93で取得された照射前画像Pbと、分析光学系7の第1カメラ81で取得された照射前画像Pbと、のうちの少なくとも一方とすればよい。UI制御部215は、レポート出力部218によるレポートRepの出力に際し、第1インターフェースW2によって関連付けられた画像P、例えば、チェックボックスIc44にチェックが付されたライブ画像Pl(より詳細には、照射前画像Pb、または、照射前画像Pbおよび照射後画像Pa)、チェックボックスIc45にチェックが付されたナビゲーション画像Pn等をレポートRep上に表示させることができる。
その際、照射前画像Pb生成に用いられたライブ画像Plとしては、第2モードにおいて第2カメラ(観察カメラ)93によって生成されたライブ画像Plと、第1モードにおいて第1カメラ(分析カメラ)81によって生成されたライブ画像Plと、の少なくとも一方を用いることができる。
また、ライブ画像Pl等の出力位置が割り当てられるテンプレートDsとしては、例えば、図29に例示されるようなスプレッドシートを用いることができる。スプレッドシートとしては、いわゆるオフィススイート(Office suite)としてコンピュータにインストールされたソフト用のデータシートを用いることができる。そうしたスプレッドシートに代えて、ワープロソフト用のテキストファイルを用いてもよい。
図29に例示されるように、テンプレートDsには、[俯瞰画像]と表示された第1タグTg1、[ナビゲーション画像]と表示された第2タグTg2、[ライブ画像(観察カメラ)]と表示された第3タグTg3、[ライブ画像(分析カメラ)]と表示された第4タグTg4、[推定結果]と表示された第5タグTg5、[傾き]と表示された第6タグTg6、[照明条件]と表示された第7タグTg7、[レンズ]と表示された第8タグTg8、および、[検出元素]と表示された第9タグTg9を配置することができる。
そして、レポート出力部218は、図30に例示されるように、テンプレートDs上に配置された第1タグTg1~第9タグTg9の各位置に、各タグに対応した情報を出力する。例えば、第1タグTg1には俯瞰画像Pfが出力され、第2タグTg2にはナビゲーション画像Pnが出力され、第3タグTg3には、第2モードにおいて第2カメラ93によって生成されたライブ画像Plが出力され、第4タグTg4には、第1モードにおいて第1カメラ81によって生成されたライブ画像Plが出力され、第5タグTg5には、スペクトル解析部213によって取得されたサンプルSPの推定結果を示す情報Vd9(後述の第5情報Vd5に相当)が出力され、第6タグTg6には、第1傾斜センサSw3および第2傾斜センサSw4によって検出された傾きθを示す情報Vd10が出力され、第7タグTg7には、照明設定部216により設定された照明条件を示す情報Vd11が出力され、第8タグTg8には、レンズセンサSw1によって検出されたレンズユニット9aに係る情報Vd12が出力され、第9タグTg9には、スペクトル解析部213によって取得されたサンプルSPの検出元素を示す情報(後述の第1情報Vd1および第4情報Vdに相当)が出力され得る。
第1タグTg1~第9タグTg9の配置を変更することで、各情報の出力位置を変更することができる。また、テンプレートDsからいずれかのタグを削除することで、そのタグに対応した情報をレポートRepから取り除くことができる。例えば、第6タグTgをテンプレートDsから削除すると、レポートRepから傾きθを示す情報Vd10がレポートRepから取り除かれることになる。
<制御フローの具体例>
図31は、分析観察装置Aの基本動作を例示するフローチャートである。図32は、光軸ズレの補正量D1の算出手順を例示するフローチャートであり、図33は、視野ズレの補正量D2の算出手順を例示するフローチャートである。図34は、光軸ズレおよび視野ズレの補正手順を例示するフローチャートである。図35は、照明設定部216による照明条件の設定手順を例示するフローチャートである。図36A~図36Cは、分析観察装置Aによる種々の処理を例示するフローチャートである。図37は、深度合成の実行手順を例示するフローチャートである。
まず、図31のステップS1では、第2モードにおいて、観察光学系9による分析対象の探索が実行される。このステップS1では、ユーザによる操作入力に基づいて、制御部21が、第2カメラ93の露光時間、光ファイバーケーブルC3によって導光される照明光など、第2カメラ93によって生成されるライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの明るさ等の条件を調整しながら、サンプルSPの各部のうち、分析光学系7によって分析されるべき部分(分析対象)を探索する。
なお、第2カメラ93の露光時間の調整および照明光の明るさの調整は、ユーザによる操作入力を伴わずとも、レンズセンサSw1の検出信号に基づいて制御部21が自動的に実行するように構成することもできる。
ステップS1では、表示部22上に、図14に例示したような画面が表示される。画面中のライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnを参照することで、分析対象の探索をスムースに行うことができる。その際、ライブ画像Pl上に第1分析箇所Lo1が指定されたり、ナビゲーション画像Pn上に第2分析箇所Lo2が指定されたりすることで、ライブ画像Plは、動的に更新されることになる。
また、観察光学系9による分析対象の探索に際しては、適宜、拡大光学系96による拡大倍率の変更が実行される。拡大倍率の変更は、前述したように光軸ズレを招く、そこで、制御部21は、拡大倍率が変更される度に、第1補正量D1に基づいた光学ズレの補正を実行する。これにより、ユーザに光軸ズレの影響を感じさせることなく、拡大倍率の変更を行うことができるようになる。
なお、第1補正量D1の算出は、分析観察装置Aのセットアップ等のタイミングで事前に行うことができる。第1補正量D1の算出手順の具体例と、その補正手順の詳細は後述する。
続くステップS2では、制御部21は、ユーザによる操作入力に基づいて、第2モードから第1モードへの切替指示を受け付ける。この切替指示は、例えば、図14に示すアイコンIc11に対してクリック操作が施されることで、UI制御部215によって受け付けられるようになっている。なお、ステップS2が実行された時点では、モード切替部211によるスライド機構65の動作は未実行である。
続くステップS3では、第2カメラ93によるサンプルSPの撮像が実行される。ステップS3で生成された画像Pは、第2カメラ93によって生成された照射前画像Pbとして、レポートRepに出力することができる。
続いて、ステップS4では、モード切替を実行する前に、照明設定部216による照明条件の設定が実行される。ステップS4で行われる処理は、図35に示す通りである。すなわち、図31のステップS4は、図35のステップS401~ステップS410によって構成されている。
まず、図35のステップS401において、照明設定部216は、現在の照明条件(第2モードにおいて参照中の照明条件)を構成する各項目を取得する。
続くステップS402において、照明設定部216は、第1モードで参照されるべき照明条件を構成する各項目のうち、第1モードで使用可能な項目を取得する。
続くステップS403において、照明設定部216は、ステップS401で取得した現在の照明条件の各項目と、ステップS402で取得された使用可能な項目と、を比較して、双方で共通の項目を抽出する。
続くステップS404において、照明設定部216は、ステップS403において共通の項目が抽出されたか否か(共通の項目が存在するか否か)を判定し、この判定がYESの場合はステップS405へ進む一方、NOの場合はステップS406へ進む。
ステップS405において、照明設定部216は、複数の項目からなる照明条件のうち、ステップS403で抽出された共通の項目(側射照明84および第2側射照明95の照射態様等、第1モードと第2モードで流用可能な項目)については、現在の照明条件を流用する。一方、ステップS403で抽出されなかった項目(例えば、分析光学系7の構成に関連した第1モード固有の設定項目)については、前回使用した設定、初期設定等を読み込む。照明設定部216は、各項目の設定が完了すると、制御プロセスをステップS39へ進め、第1モード用の照明条件として1次記憶装置21bおよび2次記憶装置21cの少なくとも一方に記憶させる。
一方、ステップS406において、照明設定部216は、前回使用した設定が存在するか否かを判定し、この判定がYESの場合はステップS407へ進む一方、NOの場合はステップS408へ進む。ステップS407において、照明設定部216は、照明条件として前回使用した設定を読み込んでステップS409へ進み、読み込んだ照明条件を、第1モード用の照明条件として1次記憶装置21bおよび2次記憶装置21cの少なくとも一方に記憶させる。また、ステップS408において、照明設定部216は、照明条件として初期設定を読み込んでステップS409へ進み、読み込んだ照明条件を、第1モード用の照明条件として1次記憶装置21bおよび2次記憶装置21cの少なくとも一方に記憶させる。
ステップS409から続くステップS410において、照明制御部217は、観察用の照明(第2同軸照明94または第2側射照明95)を消灯して図35に示すフローを終了する。その後、制御プロセスは、図31のステップS4からステップS5に進む。
ステップS5では、モード切替部211がスライド機構65を作動させて観察光学系9と分析光学系7とを一体的にスライド移動させることで、第2モードから第1モードへの切替が実行される。
第1モードへの切替が完了すると、表示部22には、第2カメラ93によって生成された画像Pの代わりに、第1カメラ81によって生成された画像Pがライブ画像Plとして表示部22に表示される。ナビゲーション画像Pnについても、ライブ画像Plと同様に第1カメラ81によって生成された画像Pに置き換えることができる。第1モードにおいても、図14に例示されたような第2モードと同様の表示画面がユーザに提供される。
第1モードでは、ユーザは、第1カメラ81によって生成されたライブ画像Plを参照し、レーザ光の照射位置が指定される。この指定は、UI制御部215によって受け付けられるとともに、スペクトル取得部212による処理に用いられる。
また、第2モードから第1モードへの切替は、前述したように視野ズレを招く、そこで、制御部21は、第2モードから第1モードに切り替えられる度に、第2補正量D2に基づいた視野ズレの補正を実行する。これにより、ユーザに視野ズレの影響を感じさせることなく、第2カメラ93による観察から第1カメラ81による観察へと切り替えることができるようになる。
なお、第2補正量D2の算出は、分析観察装置Aのセットアップ等のタイミングで事前に行うことができる。第2補正量D2の算出手順の具体例と、その補正手順の詳細は後述する。
続くステップS6では、モード切替が完了した後に、照明制御部217による照明制御、ならびに、スペクトル取得部212およびスペクトル解析部213によるサンプルSPの成分分析が実行される。ステップS6で行われる処理は、図36A、図36Bおよび図36Cに示す通りである。すなわち、図31のステップS6は、図36AのステップS601~ステップS607と、図36BのステップS608~ステップS615と、によって構成されている。
まず、ステップS601において、照明制御部217は、照明設定部216によって設定された照明条件を、1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cから読み込む。続くステップS602において、照明制御部217は、ステップS601で読み込んだ照明条件を反映するように、分析用の照明(同軸照明79または側射照明84)を点灯させる。これにより、第1カメラ81の露光時間、LED光源79aから発せられる照明光の光量等、分析用の照明に係る各制御パラメータは、第2モードにおける制御パラメータを可能な限り再現することになる。
本実施形態では、成分分析用の反射型対物レンズ74は、観察用の対物レンズ92に比して、観察時の被写体深度が浅い。そのため、ステップS602から続くステップS603において、照明制御部217は、第2画像データI2中の各所においてオートフォーカスを実行し、全焦点画像の生成を実行してもよい。具体的に、このステップS603では、例えば図37に示す処理が実行される。なお、ステップS603において、全焦点画像の生成を実行するか否かを処理部21aが受け付け、全焦点画像を生成するとの指示を受け付けた場合のみ、全焦点画像の生成を実行するように構成してもよい。ユーザが必要とする場合のみ全焦点画像の生成を実行するように構成することで、処理の効率化を図ることができる。
具体的に、図37のステップS651では、処理部21aが、全焦点画像の合成指示を受け付ける。この合成指示は、制御ステップが前述のステップS602に進み次第、自動的に出力されるように構成してもよい。
続くステップS652では、処理部21aが、載置台5またはヘッド部6の上限位置(図18の高さ位置znを参照)と下限位置(図18の高さ位置z1を参照)を設定する。上限位置および下限位置は、処理部21aが自動的に設定してもよいし、ユーザが事前に入力した値を読み込んでもよい。
続くステップS653では、処理部21aが、前述した上限位置と下限位置の間に収まる範囲内で、載置台5またはヘッド部6をZ方向に移動させつつ、各Z位置(Z座標)で第1カメラ81による画像Pの生成を実行する。
続くステップS654では、処理部21aが、各Z位置で生成された画像Pに基づいて、図18に示すような全焦点画像Pcを生成する。生成された全焦点画像Pcは、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの少なくとも一方として、表示部22上に表示される。ここで、サンプルSPの3次元形状を取得するように事前に設定されていた場合、制御ステップは、ステップS654からステップS655に進む。ステップS655では、各Z位置で生成された画像Pに基づいて、サンプルSP表面の高さデータを算出する。算出された高さデータは、サンプルSPの3次元形状として、表示部22に表示させることができる。
ステップS654に示す処理が終了したり、事前設定に応じてステップS654から続くステップS655に示す処理が終了したりした場合、制御ステップは、図37に示すフローから図36Aに示すフローに戻り、ステップS603からステップS604へ進む。
ステップS604において、UI制御部215は、ライブ画像Pl上で、分析位置としての第1分析箇所Lo1の指定を受け付ける。その際、図14に例示されるように、UI制御部215は、各第1分析箇所Lo1の位置を示す情報(交点X)をナビゲーション画像Pn上に重畳表示する。
続くステップS605において、UI制御部215は、分析位置の受付が完了したか否かを判定し、この判定がYESの場合は制御プロセスをステップS606へ進める一方、NOの場合は制御プロセスをステップS604へ戻す。この判定は、例えば、図14中のアイコンIc12がクリック操作を受け付けたか否かに基づいて行うことができる。
続くステップS606において、UI制御部215は、開始トリガ信号を受け付けたか否かを判定し、この判定がYESの場合は制御プロセスをステップS607へ進める一方、NOの場合はステップS606の判定を繰り返す。この判定は、例えば、図17中のアイコンIc24がクリック操作を受け付けたか否かに基づいて行うことができる。
続くステップS607において、撮像制御部214は、分析開始時(詳細には、開始トリガ信号を受け付けた時点)における座標(例えば、載置台5に対する反射型対物レンズ73の相対座標)を1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに格納し、これを一時的に保存する。
続いて、図36Bに示すステップS608において、撮像制御部214は、図20の左部の上図を用いて説明したように、全体の照射前画像Pbを生成する。第1分析箇所Lo1が1つの場合は、ステップS608を省略してもよい。
続くステップS609において、撮像制御部214は、一の第1分析箇所Lo1に対応した座標を取得し、その座標へとヘッド部6を移動させる。ヘッド部6を移動させる代わりに、載置台5を移動させてもよい。ヘッド部6または載置台5の移動が完了すると、前記座標と分析光軸Aaとが交差することになる。
続くステップS610において、撮像制御部214は、図20の左部の中央図を用いて説明したように、前記一の第1分析箇所Lo1に対応した照射前画像Pbを生成する。
続くステップS611において、照明制御部217は、その時点(ステップS610において照射前画像Pbを生成した時点)における照明の点灯状態(レーザ光の出射直前のタイミングにおける照明条件)を1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに記憶させる。続くステップS612では、照明制御部217は、分析用の照明(同軸照明79または側射照明84)を消灯する。
そして、ステップS613において、スペクトル取得部212は、分析位置としての前記一の第1分析箇所Lo1に対してレーザ光を照射する。このステップS613では、第1および第2検出器77A,77Bによって、サンプルSPのプラズマ化に起因して発せられる光(2次電磁波)が受光される。その際、第1および第2検出器77A,77Bによる受光タイミングは、レーザ光の出射タイミングと同期するように設定される。
続くステップS614において、スペクトル取得部212は、レーザ光の出射タイミングに合わせて強度分布スペクトルを取得する。ステップS614から後述のステップS618までの期間内に、スペクトル解析部213が、前記一の第1分析箇所Lo1におけるサンプルSPの成分分析を実行する。その成分分析の結果は、前記一の第1分析箇所Lo1の座標と関連付いた状態で、1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに格納される。
続くステップS615において、照明制御部217は、分析用の照明(同軸照明79または側射照明84)を点灯させる。続いて、図36CのステップS616において、照明制御部217は、1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21cに格納された照明条件を読み込むとともに、その照明条件を反映するように分析用の照明を制御する。これにより、レーザ光の出射直前の点灯状態が再現される。
続くステップS617において、撮像制御部214は、図20の左部の下図を用いて説明したように、前記一の第1分析箇所Lo1に対応した照射後画像Paを生成する。
続くステップS618において、スペクトル取得部212は、全ての第1分析箇所Lo1における成分分析(言い換えると、全ての第1分析箇所Lo1に対するレーザ光の出射)が完了したか否かを判定し、この判定がYESの場合は制御プロセスをステップS619へ進める一方、NOの場合は、図36BのステップS609まで制御プロセスを戻す。この判定は、第1分析箇所Lo1の位置が互いに異なる場合ばかりでなく、第1分析箇所Lo1の位置が同一の場合も同様に行うことができる。
また、サンプルSPの高さデータが取得されている場合は、載置台5に対する分析ユニット62の相対的な高さ位置を第1分析箇所Lo1毎に調整し、各第1分析箇所Lo1において焦点位置を最適化した状態でレーザ光を照射してもよい。
続くステップS619において、撮像制御部214は、前記ステップS607で保存された座標へとヘッド部6を移動させる。ヘッド部6を移動させる代わりに、載置台5を移動させてもよい。ヘッド部6または載置台5の移動が完了すると、前記保存された座標と分析光軸Aaとが交差することになる。
続くステップS620において、撮像制御部214は、図20の右部の下図を用いて説明したように、全体の照射後画像Paを生成する。第1分析箇所Lo1が1つの場合は、ステップS620を省略してもよい。
続くステップS621において、撮像制御部214は、ヘッド部6特に分析筐体70から離間するように、Z方向に沿って載置台5とヘッド部6の少なくとも一方を退避させる。
続くステップS622において、撮像制御部214は、俯瞰カメラ48を作動させて俯瞰画像Pfを生成する。なお、ステップS622において、俯瞰画像Pfの生成を実行するか否かを処理部21aが受け付け、俯瞰画像Pfを生成するとの指示を受け付けた場合のみ、俯瞰画像Pfの生成を実行するように構成してもよい。ユーザが必要とする場合のみ俯瞰画像Pfの生成を実行するように構成することで、処理の効率化を図ることができる。
なお、ステップS614からステップS622までの期間内に、UI制御部215は、ダイアログW3,W4に対する各種指示を受け付けることで、照射前画像Pa、照射後画像Pb、俯瞰画像Pfと、成分分析の結果との関連付けを実行する。この関連付けは、第1分析箇所Lo1毎に行ってもよいし、複数の第1分析箇所Lo1についてまとめて行ってもよい。
その後、処理部21aは、図36A~図36Cに示すフローを終了し、制御プロセスを図31のステップS6からステップS7へ進める。そして、ステップS7において、レポート出力部218がテンプレートDs上に設定された各位置にライブ画像Pl等を出力することで、レポートRepが電子データとして出力される。
-光軸ズレおよび視野ズレの補正について-
図32は、光軸ズレの補正量の算出手順を例示するフローチャートであり、図33は、視野ズレの補正量の算出手順を例示するフローチャートである。また、図34は、光軸ズレおよび視野ズレの補正手順を例示するフローチャートである。
まず、図32のステップS11では、UI制御部215が、光軸ズレの補正量の算出指示を受け付ける。続くステップS12では、拡大光学系96が拡大倍率を基準倍率に設定する。
続くステップS13では、例えば、前述の図26の上図に示すように、基準マーカMaが第2カメラ93の視野範囲に収まるように、載置台5またはヘッド部6の移動が実行される。
続くステップS14では、観察光学系9のピント調整が実行される。
続くステップS15では、第2カメラ93による基準マーカMaの検出が実行される。この検出は、基準マーカMaにおける特定の部位(例えば基準マーカMaが三角形の場合は頂点としたり、基準マーカMaが矢印状の図形の場合は、その先端部としたりすることができる)が、第2カメラ93によって生成された画像P中に含まれるか否かに基づいて行うことができる。検出された特定の部位の座標は、1次記憶装置21b等に格納される。
続くステップS16では、拡大光学系96が拡大倍率を低倍側の所定倍率に設定する。
続くステップS17では、第2カメラ93による基準マーカMaの検出が再び実行される。ステップS15と同じく、検出された特定の部位の座標は、1次記憶装置21b等に格納される。
続くステップS18では、ステップS15で検出された基準マーカMaの検出位置(特定の部位の座標)と、ステップS17で検出された基準マーカMaの検出位置と、の差分が検出される。この差分は、前述した第1の位置差分ΔD1として、1次記憶装置21b等に格納される。
続くステップS19では、ステップS18で得られた第1の位置差分ΔD1と、その算出に用いられた基準倍率と所定倍率との差分(倍率差分)と、に基づいて、拡大光学系96によって実現可能な各拡大倍率における光軸ズレの補正量が算出される。そうして算出された補正量は、1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21c等に継続的に記憶され、拡大光学系96による拡大倍率の調整をレンズセンサSw1等が検出する度に読み出してもよい。撮像制御部214は、そうして読み出された補正量に基づいて、光軸ズレの補正をその都度行ってもよい。
一方、図33のステップS31では、UI制御部215が、視野ズレの補正量の算出指示を受け付ける。続くステップS32では、モード切替部211が第2モードに設定し、拡大光学系96が第2カメラ93の拡大倍率を基準倍率に変更する。
続くステップS33では、基準マーカMaが第2カメラ93の視野範囲に収まるように、載置台5またはヘッド部6の移動が実行される。
続くステップS34では、観察光学系9のピント調整が実行される。
続くステップS35では、第2カメラ93による基準マーカMaの検出が実行される。この検出は、基準マーカMaにおける特定の部位が、第2カメラ93によって生成された画像P中に含まれるか否かに基づいて行うことができる。検出された特定の部位の座標は、1次記憶装置21b等に格納される。
続くステップS36では、モード切替部211が第2モードから第1モードに変更し、第1カメラ81での撮像(画像Pの生成)を実行させる。
続くステップS37では、基準マーカMaが第1カメラ81の視野範囲に収まるように、載置台5またはヘッド部6の移動が実行される。
続くステップS38では、分析光学系7、特に第1カメラ81のピント調整が実行される。
続くステップS39では、第1カメラ81による基準マーカMaの検出が実行される。ステップS35と同じく、検出された特定の部位の座標は、1次記憶装置21b等に格納される。
続くステップS40では、ステップS35で検出された基準マーカMaの検出位置(特定の部位の座標)と、ステップS39で検出された基準マーカMaの検出位置と、の差分が検出される。この差分は、前述した第2の位置差分ΔD2として、1次記憶装置21b等に格納される。それと同時に、基準マーカMaを視野範囲に収めるために実行されたX方向およびY方向に沿った載置台5の移動量と、第1カメラ81等のピント調整に際して実行されたZ方向に沿った載置台5の移動量と、が、第2の位置差分ΔD2と紐付いた状態で、1次記憶装置21bまたは2次記憶装置21c等に継続的に記憶される。
そして、第2モードから第1モードへの切替に際して生じる視野ズレを補正する際には、例えば、図34に例示される制御プロセスを実行することができる。この制御プロセスは、第1モードへの切替に際して自動的にまたは手動で実行させることができる。
まず、図34のステップS51では、第2モードでの第2カメラ93による画像Pの生成(取得)が実行される。
続くステップS52では、例えばレンズセンサSw1の検出信号に基づいて、拡大光学系96によって設定された観察光学系9の拡大倍率(前述の第3倍率)が取得される。
続くステップS53では、画像P内での位置指定を受け付ける。ここで指定される位置としては、例えば、図14を用いて説明した分析位置Xとすることができる。あるいは、位置指定を受け付ける代わりに、交点Cpの位置を格納するように構成することもできる。
続くステップS54では、モード切替部211のよる第2モードから第1モードへの切替が実行され、第1カメラ81による画像Pの生成(取得)が実行される。この切り替えによって、ステップS53で指定された位置が画像P内で変動することになる。
続くステップS55では、第3倍率に対応した光軸ズレの補正量が読み出される。光軸ズレの補正量としては、図32に例示される制御プロセスによって事前に算出されたものを用いることができる。
続くステップS56では、視野ズレの補正量として、前述した第2の位置差分ΔD2が取得される。視野ズレの補正量としては、図33に例示される制御プロセスによって事前に算出されたものを用いることができる。
続くステップS57では、ステップS55で読み出された補正量と、ステップS56で読み出された補正量と、を合算することで、載置台5のX方向、Y方向およびZ方向の移動量が決定される。
続くステップS58では、ステップS57で決定された各方向への移動量に基づいて、載置台5のX方向、Y方向、Z方向へ移動が実行される。これにより、ステップS53で指定された位置の変動が解消される。
-ユーザインターフェースの具体例-
図38~図44は、表示部22の表示画面を例示する図である。図36BのステップS614から図36CのステップS618にかけてのいずれかのタイミングにおいて、UI制御部215は、図38に示すように、サンプルSPに含まれると考えられる物質の特徴Chを示す第1情報Vd1と、その物質の種類を示す第2情報Vd2と、その物質の階層構造を示す第3情報Vd3と、を表示部22に表示させる。第1情報Vd1、第2情報Vd2および第3情報Vd3は、いずれもスペクトル解析部213によって取得されるように構成されている。例えば、分析方法としてLIBS法を用いる場合、物質の特徴Chには、サンプルSPの構成元素と、その構成元素の含有量(または含有率)と、を1セットにまとめた情報が含まれる。
なお、以下の説明において「上位分類」とは、サンプルSPに含有されると考えられる物質の総称を表す。また、以下の説明に登場する「下位分類」とは、上位分類に属する物質の種類を表す。上位分類は、少なくとも、1つ以上の下位分類が属するように構成することができる。また、上位分類と下位分類の間に1つ以上の中位分類を設けてもよい。この中位分類は、上位分類に属する複数の系統を表す。
図38に示す例では、第1情報Vd1として、サンプルSPに鉄とクロムとニッケルとが含有されていることと、鉄の含有率が74%であり、クロムの含有率が17%であり、ニッケルの含有率が9%であることを示す数値データと、が表示される。ここで、第1情報Vd1の下方には、マウス31によるクリック操作等を受け付ける第1アイコンIc1が表示されている。詳細は後述するが、「検出設定…」と表記された第1アイコンIc1がクリック操作されることで、スペクトル解析部213が行う処理に係る設定を変更することができる。
また、第1アイコンIc1のさらに下方には、マウス31によるクリック操作等を受け付ける第2アイコンIc2が表示されている。「スペクトル」と表記された第2アイコンIc2を操作することで、図40に例示するように、スペクトル取得部212が取得した強度分布スペクトルと、その強度分布スペクトルから抽出された特徴Chと、を示す第4情報Vd4を表示部22に表示させることができる。図例では、鉄に対応した波長λ1と、クロムに対応した波長λ2と、ニッケルに対応した波長λ3と、のピーク位置を示す鎖線が、強度分布スペクトル上に重畳表示されている。各波長において、強度分布スペクトルがピークをなしていることが見て取れる。
図38に戻ると、第1情報Vd1の左方には、第2情報Vd2として、物質の上位分類が「ステンレス鋼」であることが表示されている。また、第2情報Vd2の下方には、第3情報Vd3として、上位分類に属する中位分類が、「オーステナイト系」、「析出硬化系」および「オーステナイト系」の順番で表示されている。この順番は、各中位分類に属する下位分類の確度の順番に等しい。この例では、オーステナイト系に、析出硬化系に属する下位分類よりも確度が高い下位分類と、析出硬化系に属する下位分類よりも確度が低い下位分類と、が両方とも含まれていることを示唆している。図例では、相対的に確度が高い下位分類にはSUS302等が含まれ、中位分類にはSUS631等が含まれ、相対的に確度が低い下位分類にはSUS304、SUS321、SUS305等が含まれることになる(図示省略)。
ここで、下位分類の詳細を知るためには、「オーステナイト系」等の中位分類の左方に表示された第5アイコンIc5をクリックすればよい。詳細な図示は省略するが、第5アイコンIc5は、中位分類に属し、かつ、下位分類が属する“第2の中位分類”の表示および非表示を切り替えるためのアイコンであり、UI制御部215によって表示部22、特に第3情報Vd3の表示欄に表示される。
第2の中位分類は、中位分類を細分化してなる分類である。この第2の中位分類をさらに細分化することで、この例における下位分類を得ることができる。なお、第2の中位分類は必須ではない。また、第2の中位分類に属する第3の中位分類を設定してもよいし、その第3の中位分類に属するさらなる中位分類を設定してもよい。そうして設定される中位分類の最下層に下位分類を対応づければよい。
ここで、図38において一番上に配置された「オーステナイト系」の左方に位置する第5アイコンIc5を操作すると、その「オーステナイト系」に属する第2の中位分類を表示部22、特に第3情報Vd3の表示欄に表示させることができる。図示は省略するが、第2の中位分類として、例えば「SUS300番台」と表示することができる。
また、第3情報Vd3の下方には、マウス31によるクリック操作等を受け付ける第3アイコンIc3が表示されている。「説明文表示」と表記された第3アイコンIc3を操作することで、サンプルSPに含まれる物質を説明したテキストデータを表示部22に表示させることができる。
ここで、図39は、図38に例示した状態から第3アイコンIc3を操作した場合の表示画面を例示している。この表示画面には、サンプルSPに含まれる物質の上位分類を説明したテキストデータと、その中位分類を説明したテキストデータと、その下位分類を説明したテキストデータと、のうちの1つ以上を結合してなるテキストデータを示す第5情報Vd5が示されている。
また、第3アイコンIc3の右方には、マウス31によるクリック操作等を受け付ける第4アイコンIc4が表示されている。第4アイコンIc4の操作を受け付けると、UI制御部215は、上位分類~下位分類の分類規格を選択するためのインターフェースを表示部22に表示させることができる。このインターフェースを介して選択可能な分類規格には、例えば、日本産業規格(Japanese Industrial Standards:JIS)と、国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)に基づいた規格と、欧州標準化委員会が定めたEN規格と、米国国家規格協会(American National Standards Institute:ANSI)が定めた規格と、ユーザが独自に設定した規格と、の1つ以上を含めることができる。その他、商用規格、または、それに類するデータベースを用いることもできる。
例えば、「JIS」という規格が選択された場合、図38等に示したように、第4アイコンIc4に、「JIS」が選択されていることを示す識別情報を重畳表示することができる。
また、図40に例示した表示画面に戻ると、本実施形態に係るUI制御部215は、強度分布スペクトル付近に配置された第9アイコンIc9に対する操作入力を受け付けることで、図41に示すように、各元素のピーク付近のスペクトルを抽出して表示させることができる。図例では、鉄に対応したスペクトルVd5と、ニッケルに対応したスペクトルVd6のみが表示されているが、同じくサンプルSPに含有される元素として検出されたクロムに対応したスペクトルを表示してもよい。また、それらの元素に加え、サンプルSPに含有される元素として検出されなかった元素(鉄、ニッケル、クロム以外の元素)を示すスペクトルを表示してもよい。また、各元素に対応したピークは一般に複数存在するため、それら複数のピークを示すスペクトルを並べて表示してもよい。
また、UI制御部215は、図41に例示した表示画面において「戻る」と表記された第6アイコンIc6に対する操作入力を受け付けると、図41に例示した表示画面から、図40に例示した表示画面に戻すことができる。
また、UI制御部215は、元素毎に抽出されたスペクトルを選択する操作を受け付けることで、前記第4情報Vd4において、選択されたスペクトルに対応した箇所を拡大表示することができる。例えば図42に示したように、鉄に対応したスペクトルVd5が選択されると、UI制御部215は、第4情報Vd4に代えて、鉄付近の強度分布を拡大した第7情報Vd7を表示することができる。
また、図38に戻ると、UI制御部215は、「検出設定…」と表記された第1アイコンIc1に対する操作入力を受け付けると、図43に例示されるようなダイアログW5を表示部22に表示させる。図例のように、このダイアログW5には、周期表(図例では、周期表の一部のみを示す)を表示してなる第8情報Vd8と、「リストから選択」と表記された第7アイコンIc7と、「再計算」と表記された第8アイコンIc8と、を表示することができる。
ここで、UI制御部215は、第8情報Vdとして表示された周期表中の各元素に対する操作入力を受け付けるように構成されている。図43に例示されるように、元素毎になされた操作入力に基づいて、元素名を黒字で表示した「標準」と、元素名を白字で表示した「必須」と、元素名に水玉模様を重ねて表示した「除外」と、に各元素を分類することができる。各元素に対する分類を設定した状態で第8アイコンIc8に操作入力が施されると、その操作入力を受け付けたUI制御部215は、スペクトル解析部213とともに、前記第1情報Vd1情報の再計算と、強度分布スペクトル上に鎖線で重畳表示されるピーク位置(波長λ1~波長λ3に対応した鎖線)の再設定と、を実行する。
このうち、「標準」と分類された元素は、強度分布スペクトル中にピークが見つかった場合に限り、スペクトル解析部213によって検出元素として抽出されることになる。検出元素として抽出された元素は、図39における鉄、ニッケルおよびクロムのように、前記第1情報Vd1等に表示される。
また、「必須」と分類された元素は、強度分布スペクトル中にピークが存在するか否かに関わらず、検出元素として抽出されることになる。図44に示す例では、マンガンが「必須」と分類されている。この場合、UI制御部215は、マンガンに対応した波長λ4の位置を、第4情報Vd4に重畳表示することができる。例えば、サンプルSPにマンガンが含まれていない場合、図44の情報Vd4’に示すように、強度分布スペクトル中のピークが現れない位置に、前記波長λ4を示す鎖線が重畳表示されることになる。
また、「除外」と分類された元素は、強度分布スペクトル中にピークが存在するか否かに関わらず、検出元素から除外されることになる。図44に示す例では、ニッケルが「除外」と分類されている。この場合、図40に例示される第4情報Vd4とは異なり、ニッケルに対応するピーク位置には、強度分布スペクトルの大きさにかかわらず、波長λ3を示す鎖線が非表示となる。また、図示は省略するが、ニッケルを「除外」と分類した場合、図39等に示す第1情報Vd1においても、ニッケルは非表示となる。
また、第8情報Vd8中の一元素にマウスカーソルを重ねた場合、UI制御部215は、その一元素に対応したピーク位置を強度分布スペクトルに重畳表示することもできる。
また、第7アイコンIc7に対する操作入力を受け付けた場合、UI制御部215は、表示部22上に、各元素を箇条書きにしたリストを表示する(図示省略)。その場合、リスト中の各元素に対して個別に、前述の「標準」、「必須」および「除外」なる分類を付すことができる。
<ユーザビリティの向上に資する特徴部>
以上説明したように、本実施形態に係る処理部21aは、例えば、図14および図20、ならびに、図36BのステップS608およびステップS610に例示されるように、サンプルSPにレーザ光が照射される直前のタイミングで、第1カメラ81を介して照射前画像Pbを生成する。その際、第1カメラ81および第2カメラ93等のサンプルSPを観察するための要素と、電磁波出射部71等のサンプルSPを分析するための要素とが、共通の処理部21aによって制御されることで、サンプルSPの観察と分析をシームレスに実行し、分析箇所Xの画像化に要する手間を省くことができる。その結果、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させることができる。
また、図19および図21、ならびに、図36CのステップS617およびステップS620に例示されるように、処理部21aは、サンプルSPにレーザ光が照射された後のタイミングで、第1カメラ81を介して照射後画像Paを生成する。例えば、照射前画像Pbと照射後画像Paを比較することで、レーザ誘起ブレークダウン分光法によってサンプルSPに生じた変化をユーザに把握させることができる。このことは、分析観察装置Aのユーザビリティを高める上で好適に作用する。さらに、照射前画像Pbの生成と同様に、照射後画像Paの生成もシームレスに行うことができるため、その生成に要する手間を省くことができる。その結果、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有利になる。
また、図14および図19に例示されるように、処理部21aは、拡大倍率の異なる2種類の画像Pを生成する。例えば、2種類の画像Pのうち、低倍画像をユーザのナビゲーションに用いる一方、高倍画像を分析箇所Xの指定に用いることで、分析観察装置Aのユーザビリティをさらに向上させることができる。
また、図24に例示されるように、UI制御部215は、2種類の画像のうちの少なくとも一方を分析結果に関連付けるための第1ユーザインターフェースW3をユーザに提供する。これにより、例えば、低倍画像の格納は所望するものの、高倍画像の格納は不要といった、細かなニーズに応えることができるようになる。このことは、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有効である。
また、図24に例示されるように、UI制御部215は、画像を更新するためのアイコンIc51,Ic52をユーザに提供する。これにより、例えば、照射前画像Pbから照射後画像Paへの低倍画像の差替等、細かなニーズに応えることができるようになる。このことは、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有効である。
また、図29および図30に例示されるように、UI制御部215は、レポート出力部218を介して、成分分析に際して得られた照射前画像Pbおよび照射後画像Pa等を表示してなるレポートRepを出力する。これにより、レーザ光の照射位置、レーザ光の照射によって生じた破壊等をユーザに把握させることができるようになる。このことは、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有効である。
また、図15および図16に例示されるように、分析観察装置Aは、低倍画像としてのナビゲーション画像Pn上で指定された第2分析箇所Lo2を撮像するように載置台5を移動させたり、高倍画像としてのライブ画像Pl上で指定された第1分析箇所Lo1を視野中心に近づけるように載置台5を移動させたりすることができる。これにより、レーザ光の照射位置を容易かつ細かに指定することができるようになり、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有利になる。
また、図15および図16に例示されるように、分析観察装置Aは、第1分析箇所Lo1または第2分析箇所Lo2の指定に応じて載置台5を移動させる度に、ライブ画像Plの再生成を実行する。これにより、レーザ光の照射位置をより適切に指定することができ、ひいては分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有利になる。
また、図16に例示されるように、分析観察装置Aは、第1分析箇所Lo1,Lo1’の指定を繰り返し受け付けるとともに、その指定を受け付ける度に、載置台5の移動、および高倍画像の再生成を実行する。これにより、レーザ光の照射位置をより細かに指定することができ、ひいては分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有利になる。
また、図18を用いて説明したように、撮像制御部214がサンプルSPの全焦点画像Pcを生成することで、視野範囲の略全域にピントを合わせたライブ画像Plを生成することができる。このことは、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有効である。
また、図20を用いて説明したように、複数の分析箇所X1,X2の各々にレーザ光を出射させるとともに、各分析箇所X1,X2において成分分析を行うことができる。このことは、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有効である。
さらに、図14に例示したように、ナビゲーション画像Pn中に位置情報Icを重畳させることで、該位置情報Icを介して、ライブ画像Plとナビゲーション画像Pnとの相対的な位置関係をユーザに把握させることができる。それに加え、ライブ画像Pl上における第1分析箇所Lo1の位置を示す情報Xをナビゲーション画像Pn上に重畳させることで、その情報Xを通じて、1次電磁波としてのレーザ光の照射位置をユーザに把握させることができるようになる。これにより、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させることが可能になる。
また、図26および図31を用いて説明したように、第1の位置差分D1と倍率差分とを用いることで、拡大倍率の変化に伴う視野中心の位置変動を算出することができる。これにより、視野中心の位置変動を補正するように載置台5を移動させたり、その位置変動に応じた位置情報Icの更新等を行ったりすることができるようになる。このことは、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させる上で有効である。
《他の実施形態》
前記実施形態では、撮像部として、観察光学系9における第2カメラ93を例示するとともに、第2撮像部として、分析光学系7における第1カメラ81を例示したが、本開示は、そうした構成には限定されない。撮像部として第1カメラ81を用いるとともに、第2撮像部として第2カメラ93を用いてもよい。
例えば、第1カメラ81を撮像部とみなした場合、照射前画像Pb、照射後画像Pa、ライブ画像Plおよびナビゲーション画像Pnの生成は、既に説明したように、撮像部としての第1カメラ81によって行われることになる。
また、第1カメラ81を撮像部とみなした場合、本開示に係る倍率変更部は、第1カメラ81による拡大倍率を変更することになる。つまり、本開示に係る倍率変更部は、第1カメラ81および第2カメラ93の少なくとも一方によるサンプルSPの拡大倍率を変更可能とすればよい。