JP7724081B2 - 熱伝導性組成物 - Google Patents

熱伝導性組成物

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JP7724081B2 JP2021091247A JP2021091247A JP7724081B2 JP 7724081 B2 JP7724081 B2 JP 7724081B2 JP 2021091247 A JP2021091247 A JP 2021091247A JP 2021091247 A JP2021091247 A JP 2021091247A JP 7724081 B2 JP7724081 B2 JP 7724081B2
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Description

本発明は、電子機器等に用いることができる熱伝導性組成物に関する。
電子機器のCPU、ペルチェ素子、LED等の電源制御用パワー半導体、ハイブリッド自動車や電気自動車の高出力インバータ等、使用中に発熱を伴う部品がある。近年、これらの機器は小型化・高性能化に伴い、発熱密度及び発熱量が増大し、さらに、他の発熱部品に近接され組み込まれることが多くなっており、熱伝導性組成物はより高い放熱特性を求められている。
これらの発熱部品を熱から保護し、正常に機能させるためには、発生した熱をヒートスプレッダーやヒートシンク等の放熱部品へ伝導させ放熱する方法がある。熱伝導性組成物は、発熱部品と放熱部品を密着させるように両者の間に塗布され、発熱部品の熱を放熱部品に効率よく伝導させるために用いられる。
また、熱伝導性組成物は優れた流動性を有していることが望ましい。優れた流動性を持つことにより、部品の表面に容易に熱伝導性組成物を塗布することができ、微視的に粗い表面に適合することができる。
熱伝導性組成物は、(1)酸化亜鉛及び酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウム等の金属窒化物、並びにアルミニウム、銀、及び銅などの金属粉末等の無機充填剤、(2)炭化水素系合成油、エステル油、及びエーテル油等の基油、並びに(3)カップリング剤、分散剤、界面活性剤、及び安定剤等に分類される添加剤からなる半固体状の組成物である。
熱伝導性組成物としては、これまでに、基油と、表面をカップリング剤により処理した無機充填剤を特定の比率で配合した組成物が、熱伝導率、ちょう度、耐離油性、耐熱性に優れていることを見出したもの(特許文献1)、無機充填剤の分散性を向上するための特定のパーフルオロアルキル基含有化合物を特定量配合することで、無機充填剤を高充填しても高いちょう度が得られ、耐熱性、耐湿性を高めながら、熱伝導性組成物中の基油拡散防止性能を格段に向上させられることを見出したもの(特許文献2)、平均粒径の異なる3種類の無機粉末充填剤を適切に配合することで、熱伝導性と展性を両立できることを見出したもの(特許文献3)等が開示されている。
特許第5577553号 特許第6263042号 特開2020-2212号公報
電子部品に好適に用いられる絶縁性の放熱コンパウンドは、コスト面や安定性の面から無機充填剤として酸化アルミニウムが多用され、1~5W/mKの範囲の熱伝導率を有するものが多く市販されている。一般に、熱伝導率がより高いコンパウンドほど、無機充填剤の添加量がより多く必要とされる。一方で、大量の無機充填剤を用いると流動性を担保できなくなるという課題が生じる。流動性が低下すると放熱コンパウンドは変形しにくくなり、電子部品の微視的に粗い表面に適合できなくなる可能性がある。
したがって、本発明は、より高い熱伝導率を有する、優れた流動性を示す熱伝導性組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、ポリエーテルカルボン酸化合物を含ませることにより、高い熱伝導率を損なうことなく優れた流動性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示す、熱伝導性組成物を提供するものである。
1.(A)無機充填剤、(B)基油、及び(C)ポリエーテルカルボン酸化合物を含有する熱伝導性組成物。
2.(C)ポリエーテルカルボン酸化合物が、下記式(I)又は(II)で表わされる、前記1に記載の熱伝導性組成物。
1O(R2O)n-R3-COOH (I)
4O(R5O)m-C(=O)-R6-COOH (II)
(式中、R1及びR4は、それぞれ独立して炭素数1~36の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数2~36の直鎖又は分岐アルケニル基、炭素数3~36の環状構造を有する脂肪族炭化水素基、又は炭素数6~36のアリール基であり、R2O及びR5Oは、それぞれ独立してオキシエチレン又はオキシプロピレンであり、R3及びR6は、それぞれ独立して炭素数1~36の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数2~36の直鎖又は分岐アルケニル基、炭素数3~36の環状構造を有する脂肪族炭化水素基、又は炭素数6~36のアリール基であり、n及びmは重合度を表し、それぞれ独立して1以上の正数である。)
3.(C)ポリエーテルカルボン酸化合物が、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシエチレン)アルケニルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシエチレン)アリールエーテルカルボン酸、ポリ(オキシプロピレン)アルキルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシプロピレン)アルケニルエーテルカルボン酸、及びポリ(オキシプロピレン)アリールエーテルカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記1に記載の熱伝導性組成物。
4.(A)無機充填剤が、無機充填剤100質量%に対して質量比率10質量%以上40質量%以下の割合の第1の無機充填剤と、10質量%以上40質量%以下の割合の第2の無機充填剤と、40質量%以上80質量%以下の割合の第3の無機充填剤と、から構成されており、
前記第1の無機充填剤の平均粒子径が0.1~2μmであり、
前記第2の無機充填剤の平均粒子径が、前記第1の無機充填剤の平均粒子径の2倍以上であって500倍以下であり、
前記第3の無機充填剤の平均粒子径が、前記第1の無機充填剤の平均粒子径の4倍以上であって5000倍以下である、
前記1~3のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
5.シリコーン油を含まない、前記1~4のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
本発明の組成物は、より高い熱伝導率を有しつつ、優れた流動性を示す。
(A)無機充填剤
本発明に使用する無機充填剤は、基油より高い熱伝導率を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物、金属窒化物、無機窒化物、金属、ケイ素化合物、又はカーボン材料などの粉末が好適に用いられる。単独でも2種以上を併用することもできる。金属酸化物又は金属窒化物の粉末が好ましい。窒化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の粉末が特に好ましい。これらのうちの2種又は3種を組み合わせて用いる場合、窒化アルミニウムを含むのが好ましい。窒化アルミニウムを用いると、絶縁性が高く、熱伝導率が高いので好ましい。
無機充填剤としては、粒径の異なる3種類(以下、粒径の小さい順に、細粒、中粒、粗粒と称することがある)を併用するのが好ましい。細粒、中粒、及び粗粒としては、同種類の無機充填剤を用いてもよいし(例えば、細粒、中粒、及び粗粒とも、窒化アルミニウムを用いてもよい)、異なる種類の無機充填剤を用いてもよい(例えば、細粒及び中粒は窒化アルミニウムを用い、粗粒は酸化亜鉛を用いてもよい)。
無機充填剤が、無機充填剤100質量%に対して質量比率10質量%以上40質量%以下の割合の第1の無機充填剤(細粒)と、10質量%以上40質量%以下の割合の第2の無機充填剤(中粒)と、40質量%以上80質量%以下の割合の第3の無機充填剤(粗粒)と、から構成されており、
前記第1の無機充填剤の平均粒子径が0.1μm~2μmであり、
前記第2の無機充填剤の平均粒子径が、前記第1の無機充填剤の平均粒子径の2倍以上であって500倍以下であり、
前記第3の無機充填剤の平均粒子径が、前記第1の無機充填剤の平均粒子径の4倍以上であって5000倍以下であると、細粒、中粒、粗粒のバランスが充填に適しており、細粒、中粒及び粗粒のいずれか1種類のみを用いる場合よりも、熱伝導性組成物に対する無機充填剤の充填率を高めることができ、その結果、熱伝導率が高くなるので好ましい。
なお、本明細書において使用する用語「平均粒子径」は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(メディアン径,D50)を意味する。
この態様において、特に、
前記第1の無機充填剤の平均粒子径が0.1μm~1.5μmであり、
前記第2の無機充填剤の平均粒子径が、前記第1の無機充填剤の平均粒子径の3倍以上であって150倍以下であり、
前記第3の無機充填剤の平均粒子径が、前記第1の無機充填剤の平均粒子径の9倍以上であって1500倍以下であると、中粒同士の間隙に細粒が、粗粒同士の間隙に中粒や細粒が配置される充填構造を取ることができ、熱伝導性組成物に対する無機充填剤の充填率をより高めることができるので好ましい。
この態様において、第1から第3の無機充填剤が窒化アルミニウム及び/又は酸化亜鉛であるのがより好ましい。
上記態様において、更に特に、
前記第1の無機充填剤の平均粒子径が1.0μm~1.5μmであり、
前記第2の無機充填剤の平均粒子径が、前記第1の無機充填剤の平均粒子径の3倍以上であって15倍以下であり、
前記第3の無機充填剤の平均粒子径が、前記第1の無機充填剤の平均粒子径の30倍以上であって70倍以下であると、各粒子の粒径比のバランスが充填に適しており、熱伝導性組成物に対する無機充填剤の充填率をより一層高めることができるので好ましい。
これらの態様において、第1から第3の無機充填剤が窒化アルミニウムであるのがより好ましい。
また別の態様において、特に、
第1の無機充填剤の平均粒子径が0.1μm~2μmであり、
第2の無機充填剤の平均粒子径が2μm超~50μmであり、
第3の無機充填剤の平均粒子径が50μm超~500μmであるのが、熱伝導性組成物に対する無機充填剤の充填率向上の観点から良い。
上記態様において、更に特に、
第1の無機充填剤の平均粒子径が1.0μm~1.5μmであり、
第2の無機充填剤の平均粒子径が5μm~15μmであり、
第3の無機充填剤の平均粒子径が50μm超~150μmであるのが、より適当な組み合わせである。
上記態様において、とりわけ、
第1の無機充填剤の平均粒子径が1.0μm~1.5μmであり、
第2の無機充填剤の平均粒子径が5μm~10μmであり、
第3の無機充填剤の平均粒子径が50μm超~70μmであるのが、より適当な組み合わせである。
これらの態様において、第1から第3の無機充填剤が窒化アルミニウムであるのがより好ましい。
無機充填剤の含有量は、本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたとき、好ましくは80~97質量部、より好ましくは90~97質量部、特に好ましくは94~97質量部である。98質量部以上とすることで、十分な流動性を保てなくなるか、熱伝導性組成物を調製できなくなる可能性がある。80質量部以下とすることで、十分な熱伝導率を得られなくなるか、熱伝導性組成物が半固体状にならない可能性がある。
(B)基油
本発明の組成物に使用する基油としては、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油などの炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油及びフッ素油などが挙げられ、炭化水素油、エステル油、エーテル油が好ましい。基油は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。ただし、シリコーン油中の揮発成分が電子機器に不具合を発生させるおそれがあるため、本発明の組成物を電子機器に用いる場合、シリコーン油を基油に用いることは、好ましくない。
鉱油としては、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤抽出、溶剤脱ロウ、水素化精製、水素化分解、ワックス異性化などの精製手法を適宜組み合わせて精製したもので、150ニュートラル油、500ニュートラル油、ブライトストック、高粘度指数基油などが挙げられる。鉱油は、高度に水素化精製された高粘度指数基油が好ましい。
合成炭化水素油としては、例えば、エチレンやプロピレン、ブテン、及びこれらの誘導体などを原料として製造されたα-オレフィンを、単独または2種以上混合して重合したものが挙げられる。α-オレフィンとしては、炭素数6~14のものが好ましく挙げられる。具体的には、直鎖のα-オレフィンを重合して得られるポリα-オレフィン(PAO)や、イソブチレンの重合体であるポリイソブチレン、エチレンやプロピレンとα-オレフィンの共重合体等が挙げられる。また、アルキルベンゼンやアルキルナフタレン等を用いることもできる。
エステル油としては、ジエステルやポリオールエステルが挙げられる。
ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸としては、炭素数4~36の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4~26の一価アルコール残基が好ましい。
ポリオールエステルとしては、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4~26のモノカルボン酸残基が好ましい。
また、上記以外にも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、2,4-ジエチル-ペンタンジオール等の脂肪族二価アルコールと、直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸とのエステルも用いることができる。直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸としては、炭素数4~30の一価の直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸が好ましい。
さらに、炭酸エステルも用いることができる。
エーテル油としては、ポリグリコールや(ポリ)フェニルエーテルなどが挙げられる。
ポリグリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
(ポリ)フェニルエーテルとしては、アルキル化ジフェニルエーテルや、モノアルキル化テトラフェニルエーテル、ジアルキル化テトラフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテルなどが挙げられる。
本発明の熱伝導性組成物は発熱部に塗布されるため、長時間高温に曝される。このため、基油としては熱酸化安定性に優れることが望ましい。上記基油の中では、合成油が好ましく、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油が好ましい。これらの基油のうち、特に熱酸化安定性に優れるものとして、合成炭化水素油では、ポリα-オレフィン、エステル油では、ポリオールエステル、エーテル油ではアルキルジフェニルエーテルが好ましい基油として用いられる。さらにこれらの基油のうち、比較的粘度指数が高く、かつ軟らかく塗布性に優れる熱伝導性組成物が調製できるポリα-オレフィンやポリオールエステルが好ましい基油として用いられる。また、特に優れた塗布性を求めない場合は粘度の高いアルキルジフェニルエーテルや(ポリ)フェニルエーテルを用いることもできる。
特に好ましい基油は、炭化水素系合成油、エーテル系合成油、及びエステル系合成油からなる群から選ばれる少なくとも1種である。さらに具体的には、ポリα-オレフィン、エチレンとα-オレフィンの共重合体、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン等の炭化水素系合成油、アルキルジフェニルエーテル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、多価アルコールと脂肪酸を脱水縮合して得られる合成エステル等が挙げられる。
基油の40℃における動粘度は、10mm2/s~600mm2/sであることが好ましい。10mm2/s以上とすることで、高温下での基油の蒸発や離油等が抑制される傾向にあるため好ましい。600mm2/s以下とすることで適切な流動性を得やすくなるため好ましい。
本発明の基油としては、特に、40℃における動粘度が10~100mm2/sのポリαオレフィンが好ましい。この基油を用いることにより熱伝導性組成物の適切な流動性を得やすくなる。
基油の含有量は、本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたとき、好ましくは2~19質量部、より好ましくは2~9質量部、特に好ましくは2~5質量部である。20質量部以上とすることで、熱伝導性組成物が柔らかくなり過ぎ、半固体状にならない可能性がある。1質量部以下とすることで、十分な流動性を保てなくなるか、熱伝導性組成物を調製できなくなる可能性がある。
(C)ポリエーテルカルボン酸化合物
本発明において使用出来るポリエーテルカルボン酸化合物としては、下記式(I)又は(II)で表わされるものがあげられる。
1O(R2O)n-R3-COOH (I)
4O(R5O)m-C(=O)-R6-COOH (II)
式中、R1及びR4は、それぞれ独立して炭素数1~36の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数2~36の直鎖又は分岐アルケニル基、炭素数3~36の環状構造を有する脂肪族炭化水素基、又は炭素数6~36のアリール基であり、R2O及びR5Oは、それぞれ独立してオキシエチレン又はオキシプロピレンであり、R3及びR6は、それぞれ独立して炭素数1~36の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数2~36の直鎖又は分岐アルケニル基、炭素数3~36の環状構造を有する脂肪族炭化水素基、又は炭素数6~36のアリール基であり、n及びmは重合度を表し、それぞれ独立して1以上の正数、例えば、1~15である。
1としては、炭素数16~18の直鎖アルケニル基が好ましい。R2Oとしては、オキシエチレンが好ましい。R3としては、炭素数1のアルキル基が好ましい。nとしては、1~2であるのが好ましい。
4としては、炭素数12~14の直鎖アルキル基が好ましい。R5Oとしては、オキシエチレンが好ましい。R6としては、炭素数2のアルケニル基が好ましい。mとしては、5~7であるのが好ましい。
(C)ポリエーテルカルボン酸化合物が、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシエチレン)アルケニルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシエチレン)アリールエーテルカルボン酸、ポリ(オキシプロピレン)アルキルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシプロピレン)アルケニルエーテルカルボン酸、及びポリ(オキシプロピレン)アリールエーテルカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であるのが好ましい。
このうち、ポリ(オキシエチレン)アルケニルエーテルカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。例えば、下記式(i):
CH3(CH2xCH=CH(CH28O(CH2CH2O)yCH2COOH (i)(式中,x=5~7,y~2)
で表わされるポリエーテルカルボン酸化合物が好ましい。下記式(ii):
CH3(CH27CH=CH(CH28O(CH2CH2O)CH2COOH (ii)
で表わされるポリエーテルカルボン酸化合物もまた好ましい。
(C)ポリエーテルカルボン酸化合物が、式(i)又は(ii)で表わされる化合物を含むのがより好ましい。
ポリエーテルカルボン酸化合物の含有量は、本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたとき、好ましくは0.01~3質量部、より好ましくは0.1~2質量部、特に好ましくは0.5~1質量部である。含有量が0.01質量部より少ない場合、熱伝導性組成物を調整できなくなる可能性がある。一方、含有量が3質量部より多くても、熱伝導率と流動性を両立することは期待できない。
本発明の組成物の不混和ちょう度は、265以上であるのが好ましい。これにより、適度な流動性を有するといえる。280以上であるのがより好ましく、295以上であるのがさらに好ましい。不混和ちょう度は、440以下であるのが好ましい。これにより、組成物が半固体状であるといえる。420以下であるのがより好ましく、400以下であるのがさらに好ましい。本発明の組成物の不混和ちょう度は、JIS K 2220:2013により測定した1/4不混和ちょう度の値である。
本発明の組成物は、必要に応じて、グリースに用いられる公知の添加剤を含むことができる。例えば、金属不活性化剤、酸化防止剤があげられる。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ジメルカプトチアゾール誘導体、オキシキノリン誘導体、サリチリデン誘導体、チオカーバメート系化合物、ピペリジン系化合物、サリチル酸系化合物、及びチオホスフェート系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
金属不活性化剤の含有量は本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたとき、好ましくは0.01~2.0質量部、さらに好ましくは0.02~0.5質量部である。金属不活性化剤の含有量が0.01質量部未満では、組成物を塗布した材料を腐食させるおそれがあり、2.0質量部を超えて添加しても効果に顕著な差異は現れない。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤があげられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(3',5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン-3-(3',5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等が好適に用いられる。
アミン系酸化防止剤としては、フェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-β-ナフチルアミン等のナフチルアミン類、p,p’-ジアルキルジフェニルアミン等の(アルキル化)ジフェニルアミン類、ジフェニル-p-フェニレンジアミン、ジピリジルアミン類、フェノチアジン類等が好適に用いられる。これらのうち油溶性が高くスラッジを生成しにくいナフチルアミン類とアルキル化ジフェニルアミン類が好ましく、アルキル化ジフェニルアミン類が特に好ましい。ナフチルアミン類は、アルキル基を有しなくてもよいし、アルキル基を有してもよい。ナフチルアミン類がアルキル基を有する場合は、フェニル基にアルキル基を有するものが好ましい。この場合、アルキル基の炭素数は、4~20が好ましく、6~18がより好ましい。
アルキル化ジフェニルアミン類は、モノアルキル化ジフェニルアミン類、ジアルキル化ジフェニルアミン類、トリアルキル化ジフェニルアミン類、テトラアルキル化ジフェニルアミン類などが挙げられるが、ジアルキル化ジフェニルアミン類が好ましい。
また、アルキル化ジフェニルアミン類におけるアルキル基は、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数3~14のアルキル基がより好ましく、炭素数4~12のアルキル基が特に好ましい。
アミン系酸化防止剤は高温におけるラジカル連鎖反応を防止する効果を有し、それ自身の昇華性が低いため、他の酸化防止剤を使用した場合に比較して耐熱性を向上する効果がある。
これらの酸化防止剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても良い。酸化防止剤の含有量は本発明の組成物100質量部中、好ましくは0.05~2質量部、さらに好ましくは0.1~1質量部である。酸化防止剤の含有量が0.05質量部未満では効果が小さく、2質量部より大きくても効果の向上は期待できないばかりか、長期間高温に曝された場合には酸化防止剤自身の劣化物の影響により組成物が硬くなる傾向がある。
さらに、サルファイド、ジサルファイド、トリサルファイド、チオビスフェノールなどのイオウ系酸化防止剤;アルキルフォスファイト、ZnDTPなどのリン系酸化防止剤;スルホン酸塩、カルボン酸、カルボン酸塩、コハク酸エステル等のさび止め剤;ベンゾトリアゾールおよびその誘導体等の化合物、チアジアゾール系化合物等の腐食防止剤;ポリイソブチレン、ポリアルキルメタクリレート、オレフィン共重合体、高粘度のポリα-オレフィン等の増粘剤が挙げられる。これらの添加剤の配合量は、通常の配合量であればよい。
本発明の組成物は、成分(A)、(B)、及び(C)、必要により、任意成分を添加し、均一に混合することにより容易に製造することができる。このような方法としては、乳鉢、プラネタリーミキサーなどにより加熱しながら混練りを行い、さらに三本ロールにて均一に混練りする方法や、自転・公転ミキサーを用いて混練りする方法がある。
なお、一般的に、原料基油に増ちょう剤を分散させて半固体又は固体状にしたものをグリースと称するところ、増ちょう剤に代えて、本発明で規定するような無機充填剤や有機充填剤を基油に含ませてペースト状にした物質をグリースと称することもある。本発明の組成物はまた、コンパウンドと呼ばれることもある。
本発明の組成物は、電子機器のCPU、ペルチェ素子、LED等の電源制御用パワー半導体、ハイブリッド自動車や電気自動車の高出力インバータ等、使用中に発熱を伴う部品に用いることができる。
実施例及び比較例の熱伝導性組成物の調製は、以下のように行った。すなわち、表1に示す成分及び含有量になるように、基油、添加剤、及び無機充填剤を自転・公転ミキサー『あわとり練太郎 ARE-310』(シンキー社製)にセットし、25℃、公転速度1400rpmで混練りを実施して調製した。続いて、以下の方法により熱伝導率及び流動性を評価した。
<熱伝導率評価>
熱伝導率は、ホットディスク法熱物性装置『TPA-501』(京都電子工業社製)を用いて25℃にて測定した。
<流動性評価>
流動性の評価は、レオメータによるせん断粘度及びちょう度の測定により行った。
・せん断粘度の測定
レオメータ『MCR301』(アントンパール社製)を用いてせん断粘度を測定した。測定開始から3分経過した時のせん断粘度の値を表1に示した。
〔測定条件〕
プレートの種類:25mmのパラレルプレート
プレートとステージと間の距離:200μm
せん断速度:1/秒
温度:25℃
測定時間:3分
・ちょう度の測定
JIS K 2220に準拠し、不混和ちょう度を測定した。
結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2中、(A)無機充填剤の( )外の値は熱伝導性組成物100質量%に対する質量%を意味する。( )内の値は無機充填剤100質量%に対する質量%を意味する。
*0:(A)無機充填剤の平均粒径は、レーザー回折・散乱法を用いて測定したメディアン径である。
*1:ポリオキシエチレンオレイルエーテルカルボン酸(花王株式会社製『アキポLS-O90』)
*2:イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(味の素ファインテクノ株式会社製『プレンアクトTTS』)
*3:アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(味の素ファインテクノ株式会社製『プレンアクトAL-M』)
*4:オクチルトリエトキシシラン(Momentive社製『Silquest A-137』)
*5:エルカ酸(東京化成工業株式会社製)

Claims (3)

  1. (A)無機充填剤、(B)基油、及び(C)ポリエーテルカルボン酸化合物を含有する熱伝導性組成物であって、
    (C)ポリエーテルカルボン酸化合物が、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシエチレン)アルケニルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシエチレン)アリールエーテルカルボン酸、ポリ(オキシプロピレン)アルキルエーテルカルボン酸、ポリ(オキシプロピレン)アルケニルエーテルカルボン酸、及びポリ(オキシプロピレン)アリールエーテルカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記熱伝導性組成物
  2. (A)無機充填剤が、無機充填剤100質量%に対して質量比率10質量%以上40質量%以下の割合の第1の無機充填剤と、10質量%以上40質量%以下の割合の第2の無機充填剤と、40質量%以上80質量%以下の割合の第3の無機充填剤と、から構成されており、
    前記第1の無機充填剤の最頻度粒子径が0.1~2μmであり、
    前記第2の無機充填剤の最頻度粒子径が、前記第1の無機充填剤の最頻度粒子径の2倍以上であって500倍以下であり、
    前記第3の無機充填剤の最頻度粒子径が、前記第1の無機充填剤の最頻度粒子径の4倍以上であって5000倍以下である、
    請求項1記載の熱伝導性組成物。
  3. シリコーン油を含まない、請求項1又は2記載の熱伝導性組成物。
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