以下、本開示の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
[システムの全体構成]
図1は、本開示の実施形態に係るレーザ照射システムの全体構成を概略的に示す図である。本実施形態に係るレーザ照射システムは、レーザ照射装置1から目標に対して高出力のレーザを照射することによって当該目標を無力化もしくは当該目標にエネルギーを伝送するためのレーザシステムである。目標は、例えば、推進装置及び固定翼を有する航空機、単一あるいは複数の回転翼を持つ航空機等の飛行体あるいは飛翔体であっても良い。目標である飛行体あるいは飛翔体は、無人航空機を含む航空機であって良い。
本実施形態に係るレーザ照射システムは、移動体としての車両101に搭載されている。車両101は、動力源であるエンジン102と、エンジン102により回転駆動される車輪103と、運転席を内蔵したキャビン104と、キャビン104に連結されたフレーム105と、フレーム105に支持されたコンテナ106とを備える。レーザ照射装置1は、コンテナ106に配置されている。また、コンテナ106には、レーダを用いて目標を探知するレーダ探知機110が配置されている。
レーザ照射装置1は、レーザ発振器11と、レーザ照射部12と、支持機構13とを備える。レーザ発振器11は、レーザLbを生成する光源である。レーザ照射部12は、レーザ発振器11によって生成されたレーザLbを所望の方向に導光しつつ照射する照射器である。支持機構13は、レーザ照射部12を旋回可能及び傾動可能に支持する機構である。
レーザ発振器11はコンテナ106の内部に配置され、レーザ照射部12及び支持機構13はコンテナ106上に配置されている。なお、コンテナ106は、レーザ発振器11を収容する収容室としてだけでなく、例えばオペレータが駐在するオペレータ室として構成されても良い。
レーザ発振器11によって生成されるレーザLbは、高出力レーザであれば特にその種類を問わないが、例えばファイバーレーザが好適である。ファイバーレーザは、レーザ活性元素を添加した光ファイバーによりレーザを発振させる電気駆動型レーザの一種であり、高効率発振及び高ビーム品質等の利点がある。ファイバーレーザを用いる場合、レーザ発振器11は、例えば、励起光源となる半導体レーザと、半導体レーザの光を媒体となる活性元素を添加した光ファイバーに結合する結合器と、半導体レーザにより励起された状態の光ファイバーからレーザ光を取り出すレーザ共振器とを備えたものとすることができる。
図2及び図3は、レーザ照射部12及び支持機構13の構成を具体的に示す側面図及び斜視図である。なお、本実施形態においては、便宜上、図2等に示す支持機構13の回転軸である後述のZ軸の延在方向を上下方向、Y軸の延在方向を左右方向とし、レーザ照射装置1から見て車両101のコンテナ106が存在する方向をZ軸の下方向、レーザ照射部12がレーザを照射する方向を前方向とする。但し、この方向定義はレーザ照射装置1の車両101への搭載姿勢によって適宜変更が可能である。レーザ照射部12は、筐体21と、光学モジュール22と、照射ウィンドウ23と、追尾カメラ24と、撮影ウィンドウ25とを備える。筐体21は、光学モジュール22及び追尾カメラ24を内部に収容する略角筒状のハウジングである。光学モジュール22は、レーザ発振器11から出力されたレーザLbを集光しつつ所望の方向に指向させる光学部品群であり、透過光学素子又は反射光学素子等を含む光学素子から構成される。透過光学素子の一例としては集光レンズあるいは屈折レンズがあり、反射光学素子の一例としては凹面鏡あるいは凸面鏡がある。照射ウィンドウ23は、光学モジュール22から出力されたレーザLbを透過可能なガラス板等からなる透明部材であり、レーザLbの出口となる筐体21の前端面21aに取り付けられている。追尾カメラ24は、目標を捕捉及び追尾するために目標を撮影する撮影装置である。撮影ウィンドウ25は、追尾カメラ24に映像を取り込むために筐体21の前端面21aに取り付けられたガラス板等からなる透明部材である。
レーザ照射部12は、追尾カメラ24により捕捉された目標を指向するように姿勢制御された状態で、光学モジュール22から照射ウィンドウ23を通じてレーザLbを照射する。
照射ウィンドウ23及び撮影ウィンドウ25は、筐体21の前端面21aに気密に取り付けられている。つまり、筐体21の内部は密閉されている。この密閉された筐体21の内部には、乾燥ガスが封入されている。乾燥ガスは、筐体21の内部を満たして空気を排除することで、筐体21の内部に残存する水蒸気又は不純物の量を低減する役割を果たす。これにより、筐体21内を通過するレーザLbを水蒸気が吸収すること、ひいては当該レーザの吸収に伴う温度上昇によりレーザLbの屈折率が変化することが防止される。
支持機構13は、いわゆる2軸のジンバル機構である。この支持機構13に支持されることによって、レーザ照射部12は、図2に矢印A1で示すように、Z軸回りの回転である旋回が可能であり、また、図2に矢印A2で示すように、Z軸と直交するY軸回りの回転である傾動が可能である。
具体的に、支持機構13は、ベース31と、旋回体32と、左右一対の支持脚33と、図4に示すZ軸モータ34及びY軸モータ35とを備える。本実施形態におけるベース31は、コンテナ106に固定された円板状の台である。旋回体32は、ベース31上に同軸に配置された円板状の回転体であり、Z軸方向に延びる旋回軸31aを介してベース31に軸支されている。一対の支持脚33は、旋回体32から上方に突出する部材であり、レーザ照射部12をY軸方向の両側から挟むように配置されている。各支持脚33は、Y軸方向に延びる傾動軸33aを介してレーザ照射部12を軸支している。Z軸モータ34は、旋回体32を矢印A1のようにZ軸回りに回転させる電動モータである。Y軸モータ35は、レーザ照射部12を矢印A2のようにY軸回りに回転させる電動モータである。
Z軸モータ34による旋回体32の回転駆動に応じて、レーザ照射部12が支持脚33と共にZ軸回りに旋回する。また、Y軸モータ35の駆動に応じて、支持脚33に対しレーザ照射部12がY軸回りに傾動する。レーザ照射部12は、このような旋回及び傾動が可能な状態で支持機構13に支持されることにより、照射ウィンドウ23及び撮影ウィンドウ25のある前端面21aを全方位に向けることが可能とされている。
レーザ照射部12とレーザ発振器11とは、図3に簡易的に示す導光路18を介して接続されている。導光路18は、レーザ発振器11から出力されたレーザLbを、レーザ照射部12の内部の光学モジュール22に導入するための経路である。目標にレーザLbを照射する際には、レーザ発振器11から導光路18を通じて光学モジュール22にレーザLbが導入される。光学モジュール22に導入されたレーザLbは、照射ウィンドウ23を通じて外部に導出される。
図4は、本実施形態に係るレーザ照射システムの機能構成を示すブロック図である。レーザ照射システムは、制御装置としてのコントローラ70を備えている。また、レーザ照射システムは、いずれもコントローラ70に電気的に接続された、レーザ照射装置1、レーダ探知機110、入力装置51、表示装置52、距離測定装置61、及び視程測定装置62を備えている。但し、入力装置51、表示装置52、距離測定装置61、及び視程測定装置62は、必ずしもその全てが必要というわけではなく、後述する第1~第4の生成手法のいずれが採用されるかによって、不要なものは省略可能である。入力装置51は、オペレータによって操作可能な操作ボタン、キーボード、マウス、又はタッチパネル等を含む。また、入力装置51は、外部の通信装置から受信したデータをコントローラ70に入力するための通信モジュール、又は、外部の記憶媒体から読み出したデータをコントローラ70に入力するためのデータ読み出し装置等を含む。表示装置52は、LCD又は有機ELディスプレイ等を含む。入力装置51及び表示装置52は、例えばコンテナ106の内部のオペレータ室に配置されている。距離測定装置61は、レーザ照射装置1から測定対象物までの距離を測定するための任意の測距計を用いて構成される。視程測定装置62は、レーザ照射装置1の周辺環境の視程を測定するための任意の視程計を用いて構成される。距離測定装置61及び視程測定装置62は、レーザ照射装置1に実装されても良い。コントローラ70は、特定部41、取得部42、設定部43、及び算出部44を備えている。各処理部の機能の詳細については後述する。コントローラ70は、レーザ照射装置1のレーザ発振器11、追尾カメラ24、Z軸モータ34、及びY軸モータ35の駆動を制御する。
[動作例]
図5は、コントローラ70によって実行される、レーザ照射装置1による目標へのレーザ照射の制御動作の一例を示すフローチャートである。まずステップS1においてコントローラ70は、レーダ探知機110を作動する。例えば、目標が接近する可能性を示す警戒情報等を受けたオペレータが、レーダ探知機110の作動命令を入力装置51からコントローラ70に入力する。これにより、コントローラ70はレーダ探知機110を作動する。
レーダ探知機110が作動すると、次にステップS2においてコントローラ70は、レーダ探知機110によって目標が探知されたか否かを判定する。目標が探知されない場合(ステップS2:NO)、コントローラ70は、ステップS2の処理を繰り返し実行する。
目標が探知された場合(ステップS2:YES)、次にステップS3においてコントローラ70は、追尾カメラ24によって目標の追尾を実行する。すなわち、コントローラ70は、レーダ探知機110によって探知された目標が追尾カメラ24の撮影画角内に入るように、Z軸モータ34及びY軸モータ35を用いてレーザ照射部12の姿勢を制御するとともに、追尾カメラ24に継続的な目標の撮影を行わせる。なお、レーダ探知機110が目標を探知した際、レーダ探知機110はこれと同時に、目標とレーザ照射装置1との距離情報、及び、レーザ照射装置1から見た目標の方向情報を入手してコントローラ70に送信しても良い。本実施形態では、コントローラ70は、目標の位置を、レーダ探知機110及び追尾カメラ24から得られる情報に基づいて推定している。
次にステップS4においてコントローラ70は、目標の追尾が収束したか否かを判定する。
図6A及び図6Bは、目標の追尾を説明するための図であり、追尾カメラ24による撮影画像を示している。図6Aにおいて、点X1は追尾点を示し、点X2はレーザ照準を示している。追尾点X1は、目標の画像に含まれる基準点であり、レーザ照準X2は、レーザ照射部12から照射されたレーザLbの到達点である。コントローラ70は、追尾点X1がレーザ照準X2に一致するように、すなわち図6Aの状態から図6Bの状態となるようにレーザ照射部12の姿勢を制御する。そして、追尾点X1がレーザ照準X2に略一致する状態が安定して得られた時点で、追尾が収束したと判定する。
追尾が収束したと判定した場合(ステップS4:YES)、次にステップS5においてコントローラ70は、目標に対してレーザLbを照射する。すなわち、コントローラ70は、レーザ発振器11からレーザ照射部12にレーザLbが入力されるようにレーザ発振器11を制御する。これにより、光学モジュール22にレーザLbが導入されるとともに、光学モジュール22から照射ウィンドウ23を通じてレーザLbが照射される。
追尾が収束していないと判定した場合(ステップS4:NO)、コントローラ70は、ステップS3,S4の処理を繰り返し実行する。
次にステップS6においてコントローラ70は、目標への対処が完了したか否かを判定する。具体的な判定はレーザ照射の目的によって異なるが、飛行又は飛翔する目標の無力化を目的とする場合、コントローラ70は、レーザ照射部12から照射されたレーザLbが目標に命中し、その状態が一定時間以上継続したことにより、目標が無力化されたか否かを判定する。無力化の例としては、目標の一部あるいは全部に損傷が発生して墜落したこと、又は目標の安定飛行が不能となったこと等である。この場合、コントローラ70は、追尾カメラ24による撮影画像を解析すること等によって、目標に損傷が発生したか否か、もしくは目標が安定飛行できているか否か等を判定しても良い。飛行又は飛翔する目標へのエネルギー伝送を目的とする場合、コントローラ70は、レーザ照射部12から照射されたレーザLbが目標に命中し、その状態が予め定められた一定時間以上継続したことにより、目標へのエネルギー伝送が完了したか否かを判定する。予め目標側に充電量を判定するセンサと充電が十分か否かを判定する制御装置とこれを無線発信する無線装置を搭載し、レーザ照射装置1に目標の充電状況を送信することで、目標へのエネルギー伝送が完了したか否かを判定しても良い。目標への対処が完了していないと判定した場合(ステップS6:NO)、コントローラ70は、ステップS5,S6の処理を繰り返し実行する。
目標への対処が完了したと判定した場合(ステップS6:YES)、次にステップS7においてコントローラ70は、他の目標が存在するか否かを判定する。すなわち、コントローラ70は、既に対処が完了した目標の他に、レーダ探知機110によって探知されている目標が存在するか否かを判定する。
他の目標が存在すると判定した場合(ステップS7:YES)、コントローラ70は、ステップS3以降の処理を繰り返し実行することにより、当該他の目標に対して追尾及び対処を行う。
他の目標が存在しないと判定した場合(ステップS7:NO)、コントローラ70は、処理を終了する。
上記のように、本実施形態に係るレーザ照射システムは、目標に対してレーザLbを照射することによって目標を無力化、もしくは目標にエネルギーを伝送するものであるが、レーザLbは強い指向性を有するため、レーザLbが目標から外れた場合、目標の周辺に存在する物体にレーザLbが照射される可能性がある。目標の周辺が空あるいは海などレーザLbが生物に照射される確率が極めて低い領域又は可燃物が存在しない領域である場合には、目標の周辺にレーザLbが照射されたとしても、住民や動物等の生物が負傷し又は火災等が発生する心配はほとんど無い。しかし、目標の周辺に建造物、特に住宅、公共施設、商業施設、あるいは動物園等の生物が存在する可能性がある建造物、又は、プラスチック、山、あるいは木等の可燃物、又は、生物(以下「建造物等」と称す)が存在している場合には、目標の周辺にレーザLbが照射されると、生物が負傷し又は火災等が発生する可能性がある。このため、目標の周辺に建造物等が存在する場合には、安全性を考慮してレーザLbの照射を禁止することが好ましい。
そこで本実施形態に係るレーザ照射システムでは、所定位置への車両101の配備が完了した後、目標に対するレーザ照射を開始するより前に、コントローラ70は、レーザLbの照射を禁止する禁止領域が設定されたマスクデータを生成する。図4を参照して、特定部41は、レーザ照射装置1の周辺に存在する建造物等を特定し、取得部42は、入力装置51、距離測定装置61、視程測定装置62、追尾カメラ24又は他のカメラを用いて外部から入力された、建造物等に関する付加情報を取得し、設定部43は、特定部41によって特定された建造物等の外形情報と、取得部42によって取得された付加情報とに基づいて、禁止領域を設定する。以下、マスクデータの様々な生成手法について詳細に説明する。以下に述べる複数の生成手法は、任意に組み合わせて適用することが可能である。
[第1の生成手法]
図7は、コントローラ70によるマスクデータの第1の生成手法を説明するためのフローチャートである。
まずステップS11において取得部42は、レーザ照射装置1の周辺の状況を示す周辺画像の画像データを取得する。当該画像データは、追尾カメラ24又は他のカメラによってレーザ照射装置1の周囲を撮影した撮影画像のデータであり、当該画像データは、追尾カメラ24又は他のカメラからコントローラ70に入力される。当該画像データは、レーザ照射装置1の周囲の全方向を撮像した撮影画像のデータであっても良いし、追尾カメラ24で撮影している範囲の撮影画像のデータであっても良い。あるいは、当該画像データは、予め作成された三次元マップの地図データであっても良く、当該画像データは、GPS座標等の車両101の位置情報とともに、入力装置51からコントローラ70に入力される。
次にステップS12において特定部41は、ステップS11で入力された周辺画像に含まれている建造物等を1つ特定し、さらに、その特定した建造物等が建造物であるか可燃物であるか生物であるかを特定する。建造物等の特定、および建造物であるか可燃物であるか生物であるかの特定は、一般的に知られている画像認識技術であればどのような方法を用いても良いが、例えばテンプレートマッチング技術、又は機械学習による学習済みの予測モデルを用いた画像認識技術がある。
次にステップS13において取得部42は、ステップS12で特定した建造物等が建造物である場合、当該建造物内に生物が存在しているか否かを示す存在情報を、上記付加情報として取得する。例えば、閉鎖され利用されていない建造物内又は未完成の建造物内には人物が存在していないため、閉鎖され利用されていない建造物又は未完成の建造物等を示す地図情報が、存在情報として予め作成されてデータベース化されている。携帯電話またはペットの首輪等、GPSが搭載されたものの位置情報を入手して存在情報を取得しても良い。当該存在情報を示すデータは、入力装置51からコントローラ70に入力される。
次にステップS14において設定部43は、ステップS12で特定した建造物内に生物が存在しているか否かを、ステップS13で取得した存在情報に基づいて判定する。なお、設定部43は、GPS座標等の車両101の位置情報を用いることにより、ステップS12で特定した建造物と、ステップS13で取得した存在情報で示される建造物とを対応付けることができる。
建造物内に生物が存在していると判定した場合(ステップS14:YES)は、次にステップS15において設定部43は、ステップS12で特定した建造物を禁止領域として設定する。当該禁止領域は仮想的な三次元空間上に設定されても良いし、二次元平面上に設定されても良い。
建造物内に生物が存在していないと判定した場合(ステップS14:NO)は、次にステップS16において設定部43は、ステップS12で特定した建造物を禁止領域として設定しない。
次にステップS17において設定部43は、ステップS11で入力された周辺画像に他の建造物等が含まれているか否かを判定する。
他の建造物等が含まれていると判定した場合(ステップS17:YES)は、コントローラ70は、当該他の建造物等に対してステップS12以降の処理を繰り返し実行する。
他の建造物等が含まれていないと判定した場合(ステップS17:NO)は、次にステップS18において設定部43は、ステップS15で設定された禁止領域を含むマスクデータを生成し、処理を終了する。
第1の生成方法では、建造物等を特定した後に存在情報の取得を行っているが、存在情報の取得を行った後に建造物等を特定しても良い。存在情報の取得はステップS14より前であるならばどのタイミングでも良い。
ステップS12で特定した建造物等が建造物ではなく可燃物又は生物である場合、ステップ14は実施しなくても良い。この場合、設定部43は、ステップS12で特定した建造物等を禁止領域として設定する。
第1の生成方法では、ステップS12において特定部41は、ステップS11で入力された周辺画像に含まれている建造物等を1つ特定しているが、画像データに含まれる建造物等を全て特定しても良い。この場合、ステップS17において、設定部43はステップS11で入力された周辺画像に他の建造物等が含まれているか否かを判定し、他の建造物等が含まれていると判定した場合(ステップS17:YES)は、コントローラ70は、当該他の建造物等に対してステップS14以降の処理を繰り返し実行する。
[第2の生成手法]
図8は、コントローラ70によるマスクデータの第2の生成手法を説明するためのフローチャートである。
まずステップS21において取得部42は、レーザ照射装置1の周辺環境の視程を示す視程情報を、上記付加情報として視程測定装置62から取得する。
次にステップS22において算出部44は、ステップS21で取得した視程情報に基づいて、レーザ照射装置1から照射されたレーザLbの到達距離を算出する。パワー密度等のレーザ強度が安全基準から定まるしきい値以下となるまでの距離がレーザLbの到達距離である。視程が長いと大気中でのエアロゾル濃度などが低くレーザLbの散乱が少ないため、視程が長いほど到達距離も長くなる。
次にステップS23において取得部42は、上記のステップS11と同様に、レーザ照射装置1の周辺画像の画像データを取得する。
次にステップS24において特定部41は、上記のステップS12と同様に、ステップS23で入力された周辺画像に含まれている建造物等を1つ特定する。
次にステップS25において取得部42は、レーザ照射装置1からステップS24で特定した建造物等までの距離を示す距離情報を、上記付加情報として取得する。レーザ照射装置1から当該建造物等までの距離は距離測定装置61によって測定され、当該距離情報は距離測定装置61からコントローラ70に入力される。
次にステップS26において設定部43は、ステップS25で取得された距離情報で示される建造物等までの距離が、ステップS22で算出されたレーザLbの到達距離以下であるか否かを判定する。
建造物等までの距離が到達距離以下であると判定した場合(ステップS26:YES)は、次にステップS27において設定部43は、ステップS24で特定した建造物等を禁止領域として設定する。当該禁止領域は仮想的な三次元空間上に設定されても良いし、二次元平面上に設定されても良い。
建造物等までの距離が到達距離より大きいと判定した場合(ステップS26:NO)は、次にステップS28において設定部43は、ステップS24で特定した建造物等を禁止領域として設定しない。
次にステップS29において設定部43は、ステップS23で入力された周辺画像に他の建造物等が含まれているか否かを判定する。
他の建造物等が含まれていると判定した場合(ステップS29:YES)は、コントローラ70は、当該他の建造物等に対してステップS24以降の処理を繰り返し実行する。
他の建造物等が含まれていないと判定した場合(ステップS29:NO)は、次にステップS30において設定部43は、ステップS27で設定された禁止領域を含むマスクデータを生成し、処理を終了する。
第2の生成方法では、視程情報の取得及びレーザの到達距離の算出の後に画像データの入力、建造物等の特定、及び距離情報の取得を行っているが、画像データの入力、建造物等の特定、及び距離情報の取得の後に視程情報の取得及びレーザの到達距離の算出を行っても良い。また、距離情報の取得は建造物等の特定の後に行っているが、ステップS26より前であるならばどのタイミングでも良い。
第2の生成方法では、ステップS24において、特定部41はステップS23で入力された周辺画像に含まれている建造物等を1つ特定しているが、画像データに含まれる建造物等を全て特定しても良い。この場合、ステップS29において、設定部43はステップS23で入力された周辺画像に他の建造物等が含まれているか否かを判定し、他の建造物等が含まれていると判定した場合(ステップS29:YES)は、コントローラ70は、当該他の建造物等に対してステップS25以降の処理を繰り返し実行する。
[第3の生成手法]
図9は、コントローラ70によるマスクデータの第3の生成手法を説明するためのフローチャートである。
まずステップS31において取得部42は、上記のステップS11と同様に、レーザ照射装置1の周辺画像の画像データを取得する。
次にステップS32において特定部41は、上記のステップS12と同様に、ステップS31で入力された周辺画像に含まれている建造物等を全て特定する。また、特定部41は、目標の背景に建造物等が存在している場合、その建造物等を特定する。目標の背景に建造物等が存在していない場合、設定部43は禁止領域を設定せずにマスクデータを生成し、処理を終了する。
次にステップS33において取得部42は、レーザ照射装置1から目標までの距離である第1距離を示す第1距離情報を、上記付加情報として取得する。レーザ照射装置1から目標までの第1距離は距離測定装置61によって測定され、当該第1距離情報は距離測定装置61からコントローラ70に入力される。
次にステップS34において取得部42は、レーザ照射装置1から目標の背景に存在する建造物等までの距離である第2距離を示す第2距離情報を、上記付加情報として取得する。レーザ照射装置1から当該建造物等までの第2距離は距離測定装置61によって測定され、当該第2距離情報は距離測定装置61からコントローラ70に入力される。
次にステップS35において算出部44は、ステップS34で取得された第1距離情報で示される第1距離と、ステップS35で取得された第2距離情報で示される第2距離とに基づいて、レーザ照射装置1から目標に向けて照射されたレーザLbが目標に命中しない場合において、目標の背景の建造物等に照射されるレーザLbのレーザ強度を算出する。レーザ照射装置1から照射されるレーザLbは、目標までの第1距離でレーザ強度が最大となるよう、レーザ照射部12によって焦点距離が制御されている。従って、第1距離と第2距離との差が大きいほど、レーザLbが目標に命中しない場合に目標の背景の建造物等に照射されるレーザLbのレーザ強度は小さくなる。
次にステップS36において設定部43は、ステップS35で算出されたレーザ強度が、安全基準から定まるしきい値以上であるか否かを判定する。
レーザ強度がしきい値以上であると判定した場合(ステップS36:YES)は、次にステップS37において設定部43は、目標の背景に存在する建造物等を禁止領域として設定する。当該禁止領域は仮想的な三次元空間上に設定されても良いし、二次元平面上に設定されても良い。
レーザ強度がしきい値未満であると判定した場合(ステップS36:NO)は、次にステップS38において設定部43は、目標の背景に存在する建造物等を禁止領域として設定しない。
次にステップS39において設定部43は、ステップS37で設定された禁止領域を含むマスクデータを生成し、処理を終了する。コントローラ70は、目標の移動に伴って背景の建造物等が変更される毎に、上記と同様の処理を実行することによって新たなマスクデータを生成する。
第3の生成方法では、第1距離情報を取得した後に第2距離情報を取得したが、第2距離情報を取得した後に第1距離情報を取得しても良い。
[第4の生成手法]
図10は、コントローラ70によるマスクデータの第4の生成手法を説明するためのフローチャートである。
まずステップS41においてコントローラ70は、上記のステップS12と同様に、追尾カメラ24又は他のカメラによってレーザ照射装置1の周囲を撮影した周辺画像を取得する。
次にステップS42においてコントローラ70は、ステップS41で取得した周辺画像に含まれている建造物等を、テンプレートマッチング技術等の周知の画像処理技術又は機械学習による学習済みの予測モデル等を用いた画像認識技術によって特定する。
次にステップS43においてコントローラ70は、二値化処理及びエッジ抽出処理等によって建造物等の外形を検出することにより、建造物等の外形に沿った境界線を示すエッジ画像を作成する。二値化処理及びエッジ抽出処理等はパラメータを変更しつつ複数回行われ、建造物等の外形に沿った境界線を示すエッジ画像を複数枚作成する。エッジ画像は、確定した境界線と、境界線の端点Pに繋がる複数の境界候補とを含む。コントローラ70は、この複数枚のエッジ画像を比較し、建造物等の外形のうちエッジ抽出処理によって明確な境界線として特定できなかった箇所に対して、複数の境界候補を設定する。
次にステップS44においてコントローラ70は、作成したエッジ画像の画像データを出力する。当該画像データは表示装置52に入力され、表示装置52はエッジ画像を表示する。
図11は、表示装置52に表示されたエッジ画像の一部を簡略化して示す図である。エッジ画像は、確定した境界線K1と、境界線K1の端点Pに繋がる複数の境界候補K2A,K2Bとを含む。コントローラ70は、それが確定した境界線ではなく曖昧境界線としての境界候補であることをオペレータが容易に認識可能な表示態様で、境界候補K2A,K2Bを表示する。図11に示した例では、確定した境界線K1は実線で表示され、境界候補K2A,K2Bは破線又は一点鎖線で表示されている。確定した境界線K1及び境界候補K2A,K2Bは仮想的な三次元空間上に表示されても良いし、図11に示した例のように二次元平面として表示されても良い。
オペレータは、マウス操作又はタッチパネルへのタッチ操作等によって、複数の境界候補K2A,K2Bの中から一の境界候補を選択する。オペレータによる境界候補の選択情報は、曖昧境界線を補正するための補正情報として、入力装置51からコントローラ70に入力される。
次にステップS45において取得部42は、入力装置51から入力された選択情報を上記付加情報として取得する。
次にステップS46において設定部43は、取得された選択情報に基づいて建造物等の境界線を確定し、それによって外形が確定した建造物等を禁止領域として設定する。また、設定部43は、当該禁止領域を含むマスクデータを生成し、処理を終了する。
第4の生成方法では、曖昧境界線として複数の境界候補K2A,K2Bを表示してオペレータがそのうちの一つを選択したが、未確定の境界線であることをオペレータが容易に認識可能な表示態様で曖昧境界線を表示し、オペレータがマウス又はタッチペン等を用いた操作によって曖昧境界線を引き直しても良い。
上記実施形態では、レーザ照射システムが車両101に搭載された例について説明したが、レーザ照射システムは、船舶又は航空機等、車両以外の移動体に搭載されても良い。また、レーザ照射システムは、移動体に限らず、建築物等の施設に固定的に据え付けられても良い。
上記実施形態では、レーダ探知機110が備えられている例について説明したが、備えられていなくても良い。
上記実施形態では、特定部41によって特定された建造物等の外形情報と、取得部42によって取得された付加情報とに基づいて、禁止領域を設定する例について説明したが、特定部41によって特定された建造物等の外形情報に基づき禁止領域を一度設定した後に、取得部42によって取得された付加情報に基づき当該禁止領域の設定を修正しても良い。
なお、本開示にて開示するコントローラ70をはじめとする各要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
[作用効果]
本実施形態に係るレーザ照射システムによれば、特定部41は、レーザ照射装置1の周辺に存在する建造物、可燃物又は生物を特定し、取得部42は、入力装置51を用いて外部から入力された、建造物、可燃物又は生物に関する付加情報を取得し、設定部43は、特定部41によって特定された建造物、可燃物又は生物の外形情報と、取得部42によって取得された付加情報とに基づいて、禁止領域を設定する。このように、レーザ照射装置1の周辺に存在する建造物、可燃物又は生物の外形情報及び付加情報に基づいて禁止領域を設定することにより、禁止領域を適切に設定でき、その結果、適切なマスクデータを生成することが可能となる。
[本開示のまとめ]
以上説明した本開示の実施形態をまとめると、以下のとおりである。
本開示の一態様に係るレーザ照射システムは、目標にレーザを照射するレーザ照射システムであって、レーザを照射する照射装置と、前記照射装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記照射装置の周辺に存在する建造物、可燃物又は生物を特定する特定部と、外部から入力された、前記建造物、前記可燃物又は前記生物に関する付加情報を取得する取得部と、前記特定部によって特定された前記建造物、前記可燃物又は前記生物の外形情報と、前記取得部によって取得された前記付加情報とに基づいて、レーザの照射を禁止する禁止領域を設定する設定部と、を有する。
本態様によれば、建造物、可燃物又は生物の外形情報及び建造物、可燃物又は生物に関する付加情報に基づいて禁止領域を設定することにより、レーザの照射を禁止する禁止領域を適切に設定でき、その結果、適切なマスクデータを生成することが可能となる。
上記態様において、前記付加情報は、前記建造物内に生物が存在しているか否かを示す存在情報を含み、前記設定部は、前記建造物内に生物が存在している場合、当該建造物を前記禁止領域として設定し、前記建造物内に生物が存在していない場合、当該建造物を前記禁止領域から除外する。
本態様によれば、内部に生物が存在している建造物を禁止領域として設定することにより、禁止領域を適切に設定することが可能となる。
上記態様において、前記照射装置から測定対象物までの距離を測定する距離測定装置と、前記照射装置の周辺環境の視程を測定する視程測定装置と、をさらに備え、前記付加情報は、前記距離測定装置によって測定された、前記照射装置から前記建造物、前記可燃物又は前記生物までの距離を示す距離情報と、前記視程測定装置によって測定された、前記照射装置の周辺環境の視程を示す視程情報とを含み、前記制御装置は、前記視程情報に基づいてレーザの到達距離を算出する算出部をさらに有し、前記設定部は、前記照射装置から前記建造物、前記可燃物又は前記生物までの距離が前記到達距離以下である場合、当該建造物、当該可燃物又は当該生物を前記禁止領域として設定し、前記照射装置から前記建造物、前記可燃物又は前記生物までの距離が前記到達距離より大きい場合、当該建造物、当該可燃物又は当該生物を前記禁止領域から除外する。
本態様によれば、照射装置からの距離が視程に基づくレーザの到達距離以下である建造物、可燃物又は生物を禁止領域として設定することにより、禁止領域を適切に設定することが可能となる。
上記態様において、前記照射装置から測定対象物までの距離を測定する距離測定装置をさらに備え、前記付加情報は、前記距離測定装置によって測定された、前記照射装置から前記目標までの距離を示す第1距離情報と、前記照射装置から前記建造物、前記可燃物又は前記生物までの距離を示す第2距離情報と、を含み、前記制御装置は、前記第1距離情報と前記第2距離情報とに基づいて、前記建造物、前記可燃物又は前記生物に到達した位置でのレーザ強度を算出する算出部をさらに有し、前記設定部は、前記レーザ強度がしきい値以上となる場合、当該建造物、当該可燃物又は当該生物を前記禁止領域として設定し、前記レーザ強度が前記しきい値未満となる場合、当該建造物、当該可燃物又は当該生物を前記禁止領域から除外する。
本態様によれば、照射されるレーザのレーザ強度がしきい値以上となる建造物、可燃物又は生物を禁止領域として設定することにより、禁止領域を適切に設定することが可能となる。
上記態様において、オペレータによって操作可能な入力装置をさらに備え、前記外形情報は、前記建造物、前記可燃物又は前記生物の外形が確定されていない曖昧境界線を含み、前記付加情報は、前記入力装置から入力された、前記曖昧境界線を補正するための補正情報を含む。
本態様によれば、曖昧境界線を補正するための補正情報に基づいて建造物の外形を確定することにより、禁止領域を適切に設定することが可能となる。
上記態様において、レーザ照射システムは移動体に搭載される。
本態様によれば、レーザ照射システムが移動体に搭載されることにより、移動体が移動配備される場所毎に適切なマスクデータを生成することが可能となる。