JP7725023B2 - アルジネート印象材の調製方法 - Google Patents

アルジネート印象材の調製方法

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Description

本発明は、基材ペーストパックと硬化材ペーストパックをセットして、これらパック内の基材ペーストと硬化材ペーストとを混練する練和装置を用いてアルジネート印象材を調製する方法関する。

歯牙の修復のための歯牙の型取りに、一般にアルジネート印象材が使用されている。アルジネート印象材は、基材であるアルギン酸塩と硬化剤である硫酸カルシウムを水と混練するとゲル状硬化体が得られることを利用したものであり、別々のパックに封入された基材ペーストと硬化材ペーストとを混練してアルジネート印象材を調製するための練和装置も実用化されている(特許文献1及び2参照。)。このようなアルジネート印象材調製用練和装置(以下、「練和装置」ともいう。)は、一般に、図1及び図2(夫々特許文献1における図1及び図3に相当する。)に示されるような構造を有し、いずれも「スパウト付パウチ包装」形態である硬化材パック及び基材パックをホルダーにセットし、各パックに封入された各ペーストを夫々第1ポンプ及び第2ポンプにより定量的に吸引、吐出して撹拌部で混練し、混練により調製されたアルジネート印象材を吐出ノズルより、専用トレー上に吐出される構造となっている。
基材ペーストとしては、アルギン酸塩を主成分とし、これに、ケイソウ土と水を添加したものが一般に使用されるが、硬化材ペーストには、硫酸カルシウム等の硬化剤;及びペースト化に必要な流動パラフィン等の難水溶性液状化合物;の他に、硬化時間を調整したり保存安定性を高めたりするための成分を配合したものが使用される。すなわち、硬化時間を短くするための硫酸カルシウム、酸化マグネシウムなどからなる硬化促進剤;硬化時間を微調整するための弗化チタン酸カリウム、りん酸塩、酸化亜鉛等;及び硬化時間を一定に保持するための界面活性剤等;珪藻土、シリカ、チタニア、アルミナのような不活性な、平均粒子径が0.5μm以上である無機粉体からなる増量剤;及び長期保存中における粉体の粒子の沈降を防止するための、平均一次粒子径が0.1μm以下である超微粒子のシリカ、チタニア、ジルコニア等の無機粉体からなる沈降防止剤;を配合したものが好適に使用されている(特許文献3:特開平9-315924号参照)。
特許第6054610号明細書 国際公開第2013/187415号パンフレット 特開平9-315924号公報
上記特許文献2に開示される硬化材ペーストは、長期保存しても、基材であるアルギン酸塩と練和したときに硬化時間が遅延しないという保存安定性の優れたものである。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、硬化材パックの長期保存や保存条件、例えば高温化などで(1)未使用の状態で硬化材パックを長期間保管した後に使用しようとする場合や、(2)そのような保存をされたパックを開封して前記練和装置にセットして使用開始した後に一旦使用を停止し、例えば1週間を超えるような長いインターバルを空けて再度使用しようとする場合には硬化材ペーストが吸引され難くなり、混練がうまくいかなくなるというケースが発生することがあることが明らかとなった(後述の比較例参照。)。
そこで、本発明は、上記(1)及び(2)のような場合であっても、前記練和装置を用いて良好にアルジネート印象材を調製できるようにする技術を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明の態は、アルギン酸の一価陽イオンとの塩及び水を含む基材ペーストが注ぎ口を有する可撓性袋体の内部に封入されたスパウト付パウチ包装体からなる基材パックを保持するための「第1のホルダー」と;硫酸カルシウムからなる硬化剤及び難水溶性液状化合物を含む硬化材ペーストが注ぎ口を有する可撓性袋体の内部に封入されたスパウト付パウチ包装体からなる硬化材パックを保持するための「第2のホルダー」と;「撹拌機本体」と該撹拌機本体の上流側に設けられた「第1及び第2の流入口」と前記撹拌機本体の下流側に設けられた「吐出口」を有する「撹拌部」と;前記撹拌部の吐出口に連結する「吐出ノズル」と;前記第1のホルダーに保持された前記基材パックの前記注ぎ口と前記撹拌部の前記第1の流入口とを連結する「第1の配管」と;前記第2のホルダーに保持された前記硬化材パックの前記注ぎ口と前記撹拌部の前記第2の流入口とを連結する「第2の配管」と;前記第1の配管に配設され、前記基材パック内の基材ペーストを吸引し吐出する「第1ポンプ」と;前記第2の配管に配設され、前記硬化材パック内の硬化材ペーストを吸引して吐出する「第2ポンプ」と;を有する「練和装置」を用い、
前記第1のホルダー及び前記第2のホルダーに、前記基材パック及び前記硬化材パックが夫々セットされた状態で前記第1ポンプ、前記第2ポンプ及び前記撹拌機本体を駆動させることにより、前記基材ック内の基材ペースト及び前記硬化材パック内の硬化材ペーストを前記撹拌部に供給し、供給されたこれらペーストを前記攪拌機本体で混錬してアルジネート印象材を調製し、更に調製された前記アルジネート印象材を前記吐出ノズルより吐出する、アルジネート印象材の調製方法において、
前記第1ポンプ、前記第2ポンプ及び前記撹拌機本体を駆動させる前に、片手で握持可能な筐体と、該筐体内部に収容される振動モーターとを有し、前記筐体の一部を、凸状曲面を有する振動板で構成した振動付与器具を用い、前記振動モーターを駆動させることにより前記振動板を振動させ、振動した状態の前記振動板を前記硬化材パックの前記可撓性袋体に当接することにより該可撓性袋体及びその内部の硬化材ペーストに振動を伝えて、記硬化材ペーストに振動を加える振動付与処理を行う、ことを特徴とするアルジネート印象材の調製方法である。

上記形態のアルジネート印象材の調製方法(以下、「本発明の調製方法」ともいう。)においては、前記基材ペースト更に珪藻土及び水を含み、前記硬化材ペーストが、酸化マグネシウム;弗化チタン酸カリウム、りん酸、りん酸塩及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種;界面活性剤;珪藻土、シリカ、チタニア及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる、平均粒子径が0.5μm以上の無機粉体;並びに平均一次粒子径が0.1μm以下であるシリカ粉体を含む、ことが好ましい。
さらに、前記振動付与器具を用いる態様においては、前記振動付与器具の振動している前記振動板を前記硬化材パックの前記可撓性袋体に押し当てながら該可撓性袋体の表面上を、その全領域又は略全領域に亘って移動させて前記硬化材ペースト全体又は略全体に振動を加える第一の振動付与処理と、前記第一の振動付与処理後に、前記振動付与器具の振動している前記振動板を前記可撓性袋体表面における前記注ぎ口から遠い位置に当接させてこれを押し当てながら前記振動板を前記注ぎ口の方向に移動させることにより、前記硬化材パック内の硬化材ペーストに振動を与えながら該硬化材ペーストを前記注ぎ口の方向に移動させる、第二の振動付与処理と、により、前記振動付与処理を行う、ことが好ましい。
なお、注ぎ口を有する可撓性袋体の内部にペーストが封入されたスパウト付パウチ包装体内部の前記ペーストに振動を加えるための振動付与器具であって、片手で握持可能な筐体と、該筐体内部に収容される振動モーターとを有し、前記筐体の一部を、凸状曲面を有する振動板で構成し、前記振動モーターを駆動させることにより前記振動板を振動させ、振動した状態の前記振動板を前記可撓性袋体に当接することにより前記可撓性袋体及びその内部のペーストに振動を伝えるようにした、ことを特徴とする前記振動付与器具以下、「本発明の振動付与器具」ともいう

本発明の調製方法によれば、前記した(1)及び(2)の場合であっても、アルジネート印象材調製用練和装置を用いて容易かつ確実に所期の硬化時間を有するアルジネート印象材を調製することができる。また、本発明の振動付与器具によれば、本発明の調製方法における前記振動付与処理を簡便に行うことが可能となる。
本図は、本発明の調製方法で好適に使用される練和装置の前方斜視図である。 本図は、図1に示す練和装置の要部の模式図である。 本発明の振動付与器具の一実施形態を示す前方斜視図である。 本図は、図3に示す振動付与器具の組立図(の概略図)である。 本図は、図3に示す振動付与器具の使用方法を説明するための第1の図である。 本図は、図3に示す振動付与器具の使用方法を説明するための第2の図である。
本発明者等前記課題を解決すべく検討を行ったところ、前記した(1)及び(2)で硬化材ペーストが吸引され難くなった場合には、硬化材パック(その中身のペースト)が若干硬く感じられること、硬化材パックを一旦混練装置から取り外してから十分に手で揉み解し(以下、手による揉み解しを単に「手揉み」ともいう。)、再装着して使用した場合には、アルジネート印象材の調製が可能となること、及びこのように手揉みしたパックを装着してから更に使用を続けようとすると、翌日には(インターバル:1日で)、また吸引し難くなり、これを解消するためには再度手揉みを行う必要があるという知見を得た(後述の参考例参照。)。
そして、上記効果の持続期間を長くする方法について更に検討を行った結果、手揉みに代えて振動モーターにより発生した振動を硬化材パック(延いてはその中身のペースト)に付与した場合には、短時間の処理でアルジネート印象材の調製が可能となるばかりでなく、その効果持続期間が長期化することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、次のような理由によるものと推定している。すなわち、前記のような吸引不良が起こる原因に関しては、硬化材パックを長期間保管した場合であっても、その内部の硬化材ペーストは、外力を加えて一旦流動化すると、その粘度は保管前の粘度と同等であったことから、長期間保管中に沈降防止剤として添加した(平均一次粒子径が0.1μm以下である)超微粒子無機粉体粒子が凝集することによりその機能を失って、粉体成分の分散状態が変化することでペーストの流動性が低下することにより硬化材ペーストの吸引が困難となったものと考えられる。そして、前記手揉みや振動モーターにより発生した振動付与によりペーストの粉体成分の均一化が起こり、硬化材ペーストの流動性が回復し吸引可能な状態になったものと考えている。また、手揉みでは効果の持続性が乏しいのに対し振動モーターを用いた場合には効果の持続性が向上することに関しては、前者(手もみ)では、一旦凝集した超微細粒子の凝集体を解砕するには至らず、粉体成分の分散回復効果が十分に発揮されないため短時間で粉体成分が不均一化してしまうのに対し、後者(振動モーター使用)では、超微細粒子凝集体を(完全にではないにしても部分的に)解砕して超微細粒子として再分散させることができ粉体成分の不均一化が一定時間に抑制できるようになったことにより効果持続期間が長期化したものと推定している。
本発明の調製方法は、従来から行われている練和装置を用いたアルジネート印象材の調製方法において、練和装置を起動させる前に、振動付与器具を用いて、前記硬化材パックの前記可撓性袋体の外部から該可撓性袋体内部の前記硬化材ペーストに振動を加える振動付与処理を行う、ことを特徴とする。このため、使用する練和装置、基材ペースト及びそのパック、並びに硬化材ペースト及びそのパックについては、従来使用されているものが特に制限なく使用できる。
そこで、先ず、これらを簡単に説明した上で、上記振動付与処理で使用する振動付与器具(本発明の振動付与器具を含む。)及びこれを用いた振動付与方法について、以下に詳しく説明する。なお、本明細書においては特に断らない限り、数値x及びyを用いた「x~y」という表記は「x以上y以下」を意味するものとする。かかる表記において数値yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値xにも適用されるものとする。
1.練和装置
本発明の調製方法で好適に使用される練和装置1を図1及び図2に示す。図1に示す練和装置1は、上面が前上向きに傾斜する側面視概ね三角形をなす基台1aと、この基台1aの上面の中央部に、斜め後上方を向くように傾斜させて立設され、硬化材ペーストを封入した硬化材パック2と、基材ペーストを封入した基材パック3と、が前面に装着されるパック装着部4とを備え、基台1の上面を除いた外周面は、着脱可能なカバー5により覆われている。図2の模式図に示すように、前面が開口する基台1の内部には、硬化材ペースト吐出用の第1ポンプ6と、この第1ポンプ6を駆動する第1モーター7と、基材ペースト吐出用の第2ポンプ8と、この第2ポンプ8を駆動する第2モーター9と、第1及び第2ポンプ6、8により送給された基材ペーストと硬化材ペーストとを混練する撹拌部10と、この撹拌部10内に収容された羽根付き撹拌棒(図示略)を駆動する撹拌モーター11とが設けられている(該羽根付き撹拌棒と撹拌モーター11とによって攪拌機本体が構成される。)。なお、図に示す練和装置では、第1(2)ポンプ6(8)は、その駆動軸13が、第1(2)モーター7(9)の回転軸22とベルト23により連携することにより、モーターにより駆動される構造となっているが、駆動方式はこれに限定されるものではない。
第1ポンプ6と第2ポンプ8は、例えばトロコイドポンプ(登録商標)等のギヤポンプよりなり、両ポンプ6、8は、基台1aにおける左右の側板の内側面の前上部に、互いに左右方向の軸線上に並ぶように、かつ撹拌部10を挟んで対向するようにして取付けられている。そして、第1ポンプ6と第2ポンプ8に夫々形成されている吸入孔14は、基台1の上面の前部に取付けられた、硬化材パック2と基材パック3の夫々の下端の注出口(注ぎ口)15が差し込まれるペースト注入管16の下端にそれぞれ接続されている。
第1モーター7と第2モーター9は、左右の側板1bにおける後下部の内側面に、第1、第2ポンプ6、8に対して平面視において前後に並列をなすように、かつ互いに左右方向の軸線上に並ぶようにして、左右対称的に取り付けられている。
このような練和装置によりアルジネート印象材を生成するには、まず、パック装着部4の前面に設けられた左右2個ずつの上部ホルダー24と下部ホルダー25とにより、硬化材パック2と基材パック3とのそれぞれの上下の端部を保持してセットしたのち、各パック2、3の下端の注出口(注ぎ口)15を、基台1の上面前部に取付けたペースト注入管16に差し込む。ついで、図示しない起動スイッチを操作して練和装置の作動を開始させると、第1モーター7第2モーター9が作動するとともに、両モーター7、9によって駆動される第1ポンプ6と第2ポンプ8が同時に作動させられる。すると、硬化材パック2と基材パック3とに封入された硬化材ペーストと基材ペーストとが、それぞれ、第1ポンプ6と第2ポンプ8により吸入孔14から吸引されるとともに、吐出孔19から左右の配管ブロック17におけるペースト送給路18に吐出され、撹拌部10の撹拌室20に送給されて合流する。なお、硬化材ペーストと基材ペーストの送給量、すなわちそれらの混合比は、第1モーター7と第2モーター9の回転数または作動時間を、制御手段をもって電気的に制御することにより、予め適宜に設定されている。
撹拌部10に送給された硬化材ペーストと基材ペーストは、撹拌室20内において羽根付き撹拌棒を撹拌モーター11により回転させることにより混練される。この混練によって生成された印象材は、下方に押し出されて、撹拌部10の下部の吐出ノズル10aより吐出し、歯科用アルジネート印象材として使用に供される。
2.基材ペースト及びそのパック、並びに硬化材ペースト及びそのパック
前記したように、基材ペーストとしては、アルギン酸塩を主成分とし、これに、ケイソウ土と水を添加したものが一般に使用されている。また、硬化材ペーストとしては、硫酸カルシウム等の硬化剤;及びペースト化に必要な流動パラフィン等の難水溶性液状化合物;の他に、更に硬化時間を調整したり保存安定性を高めたりするための成分を配合したものが一般的に使用されている。本発明の調製方法においてもこのような基材ペースト及び硬化材ペーストが特に制限なく使用できる。
これらの中でも、入手の容易さ及び取り扱い易さの観点から、基材ペーストとしては、水:100質量部に対して、アルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カリウム:3.0~9.5質量部、珪藻土:13~20質量部を含むものが好適に使用され、硬化材ペーストとしては、流動パラフィン:100質量部に対して、硫酸カルシウム(石膏):180~250質量部、酸化マグネシウム:20~40質量部、弗化チタン酸カリウム、りん酸、りん酸塩及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種:2~30質量部、界面活性剤:13~20質量部、珪藻土、シリカ、チタニア及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる、平均粒子径が0.5μm以上の無機粉体:25~45質量部、並びに平均一次粒子径が0.1μm以下であるシリカ粉体:8~15質量部を含むものが好適に使用される。
なお、弗化チタン酸カリウム、りん酸、りん酸塩及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種としては、りん酸又はリン酸塩を含むことが好ましく、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、オレイン酸デカグリセリル等を含むものが好ましい。
これら基材ペースト及び硬化材ペーストは、混錬装置用として、注ぎ口を有する可撓性袋体の内部に封入されたスパウト付パウチ包装体として市販されており、本発明でもこのような包装体からなるパックが好適に使用される。
3.振動付与器具(本発明の振動付与器具)
本発明の調製方法における前記振動処理を行うための振動付与器具としては、本発明の振動付与器具、すなわち、注ぎ口を有する可撓性袋体の内部にペーストが封入されたスパウト付パウチ包装体内部の前記ペーストに振動を加えるための振動付与器具であって、片手で握持可能な筐体と、該筐体内部に収容される振動モーターとを有し、前記筐体の一部を、凸状曲面を有する振動板で構成し、前記振動モーターを駆動させることにより前記振動板を振動させ、振動した状態の前記振動板を前記可撓性袋体に当接することにより前記可撓性袋体及びその内部のペーストに振動を伝えるようにした、ことを特徴とする前記振動付与器具、が好適に使用される。
以下、図面を参照して本発明の振動付与器具について説明する。好適に使用される本発明の振動付与器具100の斜視図を図3に、(模式的な)組立図を図4に、使用態様を示す模式図を図5に示す。これら図に示される振動付与器具100は、片手で握持可能な筐体110と、その本体内部空間120内に支持されて収容される振動モーター130を有している。上記筐体110は、表側カバー111と、裏側カバー113とによって構成され、両者を螺子止めすることにより筐体を構成するようになっている。そして、上記表側カバー111は、主表面が凸状曲面を有する振動板111aで構成されると共に、側部に、手で握持する際に指で挟持するための2つの指抑え部111bが、適度な曲率を有する凹状窪み(正面に滑り止め機構を有している)として対向するように設けられ(図5左側写真参照。)、更にその一方の近傍にはスイッチ140を取り付けるための打欠であるスイッチ取付部112が設けられている。一方、裏側カバー113は、開口部を有する平板上の本体と、上方が開口した電池ボックス121とが(上記開口部が電池ボックスの開口となるように)一体化した構造を有し、前記開口部は、スライド移動して着脱可能な平板上の電池ボックスカバー114によって蓋される構造となっている。そして、電池ボックス121内に装着された電池(図示せず)は、内部配線により、スイッチ140を介して振動モーター130に駆動用の電力を供給できるようになっている。
上記表側カバー111の主表面を構成する振動板111aの凸状曲面の形状は、特に限定されないが、半球卵型形状(卵を縦長に半分に切ったときの曲面形状)のような形状であることが好ましい。図に示す振動付与器具100の筐体110の形状は、全体として、側面に対抗する2つの指抑え部を有するコンピューター操作用の所謂「マウス」を裏返して外観形状を呈しており、「マウス」を裏返して、擦動平面が掌と対向するように上記2つの指抑え部(指抑え部111bに相当する)に指を添えて片手で握持したときに(掌と反対側に向かって)露出する(マウスにおいて本来、掌と当接する)半球卵型形状の凸状曲面が振動板111aに相当するものとなっている。なお、筐体110を構成する上記各部材の材質としては、成形加工の容易性からポリカーボネート、ABS、ポリアセタール等の樹脂が好適に用いられる。
振動モーター130は、モーター本体と、該モーター本体の出力軸に固定された振動片と、を備えており、振動片が偏心回転することにより発生する振動が振動板111aを振動させる。振動モーター130は、モーター本体が筒状の防振カバー131に収容されて、振動板111aの裏面(本体内部空間120側の面)に一体成形により設けられた支持部材115に固定されることにより、振動片の回転による振動を振動板111aに対して確実に伝達するようになっている。
振動モーター130としては、上記構造を有するものであれば商業的に入手可能なもの、例えば2500回/分程度以上の振動を発生できるものが特に制限なく使用できるが、効果の観点からは4500~9000回/分程度、特に6000~8000回/分程度の振動を発生させることができるものが好適に使用される。
4.振動処理(振動付与)方法
本発明の調製方法における振動処理は、振動付与器具の前記振動モーターを駆動させることにより前記振動板を振動させ、振動した状態の前記振動板を前記硬化材パックの前記可撓性袋体に当接することにより該可撓性袋体及びその内部の硬化材ペーストに振動を伝えることにより行うことが好ましい。
このとき、より確実に効果を得ることができるという理由から、(1)前記振動付与器具の振動している前記振動板を前記硬化材パックの前記可撓性袋体に押し付けながら該可撓性袋体の表面上を、その全領域又は略全領域に亘って移動させて、前記硬化材ペースト全体又は略全体に振動を加える第一の振動付与処理(図5参照。)と、(2)前記第一の振動付与処理後に、前記振動付与器具の振動している前記振動板を前記可撓性袋体表面における前記注ぎ口から遠い位置に当接させてこれを押し付けながら前記振動板を前記注ぎ口の方向に移動させることにより、前記硬化材パック内の硬化材ペーストに振動を与えながら該硬化材ペーストを前記注ぎ口の方向に移動させる、第二の振動付与処理(図6参照。)と、により前記振動付与処理を行うことが好ましい。上記各振動付与処理における処理時間は適宜設定すればよいが、夫々5~10秒程度行うことにより良好な効果を得ることができる。
なお、上記第一及び第二の振動付与処理を含む振動処理は、硬くなった硬化材パックからの硬化材ペーストの吸引吐出を可能とするだけでなく、残量が少なくなった硬化材パック内から硬化材ペーストを絞り出す(スクイーズ)作業を兼ねることもできる。例えば、使用頻度が低く残量が1/3程度で長期間放置されてペーストが硬くなった場合に、スクイーズを行う場合には、従来は、一旦装置から取り外し、栓をしてから、手揉みを行い更に可撓性袋体表面の表面にヘラ等を当てて注ぎ口方向に掻き落として集める必要があったため、手間がかかり、時間も数分程度要していた。これに対し、上記振動処理によれば、装置に取り付けたまま数十秒程度で行うことも可能となる。処理時間が短縮できる点については、残り少なくなった基材パック(基材ペースト)のスクイーズに対しても基本的には同様である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
比較例1
図1に示すのと同様の構造を有する練和装置(株式会社トクヤマデンタル社製 APミキサーIII)と、等が装置用の基材パック及び硬化材パック(株式会社トクヤマデンタル社製 トクヤマAP-1)を用いてアルジネート印象材の調製を試みた。このとき、硬化材パックとして、同一日に製造し、製造後300日間倉庫内に置換保管した硬化材パックを4つ準備した。そのうちの2つについて、順次、練和装置に装着して調製を試みたとところ、硬化材パックから硬化材ペーストが吸引吐出されず、アルジネート印象材の調製を調整することができなかった。このとき、用いた2つ(No.1及び2)の硬化材パックについては、調製状態確認後装置から取り外し、参考例1及び2に用いた。その後、残りの2つ(No.3及び4)の硬化材パックについて、2台用意した練和装置の各1台に装着して調製を試みたとところ、何れについてもやはり硬化材ペーストが吸引吐出されなかったので、練和装置を停止し、引続き後述の実施例1及び2を行った。
実施例1
No.3の硬化材パックについて、比較例1で調製を試みた後、練和装置を一旦停止し、図3に示す振動付与器具を用い、7500回/分の振動で図5に示す第一の振動付与処理及び図6に示す第二の振動付与処理を夫々15秒間行ってから練和装置を起動してアルジネート印象材の調製(処理当日の調製)を試みたところ、問題なく調整することができた。また、調製後、装置を停止してからそのまま1日放置し、再度練和装置を起動してアルジネート印象材の調製する、というサイクルを繰り返したところ、処理3日後までは問題なく調整することができたが処理4日後では、吐出状態に脈動が見られ安定した調製を行うことができなかった。
実施例2
No.4の硬化材パックについて、比較例1で調製を試みた後、練和装置を一旦停止し、図3に示す振動付与器具を用い、2500回/分の振動で第一の振動付与処理及び第二の振動付与処理を夫々5秒間行ってから練和装置を起動してアルジネート印象材の調製(処理当日の調製)を試みたとこと、問題なく調整することができた。また、調製後、装置を停止してからそのまま1日放置し、再度練和装置を起動してアルジネート印象材の調製する、というサイクルを繰り返したところ、処理1日後までは問題なく調整することができたが処理2日後では、吐出状態に脈動が見られ安定した調製を行うことができなかった。
参考例1
比較例1で使用し、練和装置から取り外したNo.1の硬化材パックについて、蓋をしてから30秒間手で揉み解しを行ってから再度練和装置に取り付けてアルジネート印象材の調製(処理当日の調製)を試みたところ、吐出状態に脈動が見られ、調製自体は可能であったものの、安定した調製を行うことができなかった。その後、装置を停止して翌日に再起動してアルジネート印象材の調製(処理後1日の調製)を試みたところ、硬化材ペーストが吸引吐出されず、調製を行うことができなかった。
参考例2
比較例1で使用し、練和装置から取り外したNo.2の硬化材パックについて、蓋をしてから90秒間手で揉み解しを行ってから再度練和装置に取り付けてアルジネート印象材の調製(処理当日の調製)を試みたところ、問題なく調製可能であった。その後、装置を停止して翌日に再起動してアルジネート印象材の調製(処理後1日の調製)を試みたところ、吐出状態に脈動が見られ、安定した調製を行うことができなかった。
1:練和装置、1a:基台、2:硬化材パック、3:基材パック、4:パック装着部、5:カバー、6:第1ポンプ、7:第1モーター、8:第2ポンプ、9:第2モーター、10:撹拌部、10a:吐出ノズル、11:撹拌モーター、13:駆動軸、14:吸入孔、15:注出口、16:ペースト注入管、17:配管ブロック、18:ペースト送給路、19:吐出孔、20:撹拌室、22:回転軸、23:ベルト、24:上部ホルダー、25:下部ホルダー100:振動付与器具、110:筐体、111:表側カバー、111a振動板、111b:指抑え部、112:スイッチ取付部、113:裏側カバー、114:電池ボックスカバー、115:支持部材、120:本体内部空間、121:電池ボックス、130:振動モーター、131:防振カバー、140:スイッチ

Claims (4)

  1. アルギン酸の一価陽イオンとの塩及び水を含む基材ペーストが注ぎ口を有する可撓性袋体の内部に封入されたスパウト付パウチ包装体からなる基材パックを保持するための第1のホルダーと、
    硫酸カルシウムからなる硬化剤及び難水溶性液状化合物を含む硬化材ペーストが注ぎ口を有する可撓性袋体の内部に封入されたスパウト付パウチ包装体からなる硬化材パックを保持するための第2のホルダーと、
    撹拌機本体と該撹拌機本体の上流側に設けられた第1及び第2の流入口と前記撹拌機本体の下流側に設けられた吐出口を有する撹拌部と、
    前記撹拌部の吐出口に連結する吐出ノズルと、
    前記第1のホルダーに保持された前記基材パックの前記注ぎ口と前記撹拌部の前記第1の流入口とを連結する第1の配管と、
    前記第2のホルダーに保持された前記硬化材パックの前記注ぎ口と前記撹拌部の前記第2の流入口とを連結する第2の配管と、
    前記第1の配管に配設され、前記基材パック内の基材ペーストを吸引し吐出する第1ポンプと、
    前記第2の配管に配設され、前記硬化材パック内の硬化材ペーストを吸引して吐出する第2ポンプと、を有する練和装置を用い、
    前記第1のホルダー及び前記第2のホルダーに、前記基材パック及び前記硬化材パックが夫々セットされた状態で前記第1ポンプ、前記第2ポンプ及び前記撹拌機本体を駆動させることにより、前記基パック内の基材ペースト及び前記硬化材パック内の硬化材ペーストを前記撹拌部に供給し、供給されたこれらペーストを前記攪拌機本体で混錬してアルジネート印象材を調製し、更に調製された前記アルジネート印象材を前記吐出ノズルより吐出する、アルジネート印象材の調製方法において、
    前記第1ポンプ、前記第2ポンプ及び前記撹拌機本体を駆動させる前に、片手で握持可能な筐体と、該筐体内部に収容される振動モーターとを有し、前記筐体の一部を、凸状曲面を有する振動板で構成した振動付与器具を用い、前記振動モーターを駆動させることにより前記振動板を振動させ、振動した状態の前記振動板を前記硬化材パックの前記可撓性袋体に当接することにより該可撓性袋体及びその内部の硬化材ペーストに振動を伝えて、記硬化材ペーストに振動を加える振動付与処理を行う、
    ことを特徴とするアルジネート印象材の調製方法。
  2. 前記基材ペースト更に珪藻土及び水を含み、前記硬化材ペーストが、酸化マグネシウム;弗化チタン酸カリウム、りん酸、りん酸塩及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種;界面活性剤;珪藻土、シリカ、チタニア及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる、平均粒子径が0.5μm以上の無機粉体;並びに平均一次粒子径が0.1μm以下であるシリカ粉体;を含む、請求項1に記載のアルジネート印象材の調製方法。
  3. 前記硬化材パックを前記第1のホルダーにセットした状態で前記振動付与処理を行う、請求項に記載のアルジネート印象材の調製方法。
  4. 前記振動付与器具の振動している前記振動板を前記硬化材パックの前記可撓性袋体に押し当てながら該可撓性袋体の表面上を、その全領域又は略全領域に亘って移動させて前記硬化材ペースト全体又は略全体に振動を加える第一の振動付与処理と、
    前記第一の振動付与処理後に、前記振動付与器具の振動している前記振動板を前記可撓性袋体表面における前記注ぎ口から遠い位置に当接させてこれを押し当てながら前記振動板を前記注ぎ口の方向に移動させることにより、前記硬化材パック内の硬化材ペーストに振動を与えながら該硬化材ペーストを前記注ぎ口の方向に移動させる、第二の振動付与処理と、
    により、前記振動付与処理を行う、請求項に記載のアルジネート印象材の調製方法。
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