JP7725112B1 - 固形燃料の製造方法 - Google Patents

固形燃料の製造方法

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Abstract

【課題】外部加熱を用いることなく、攪拌翼のせん断熱によって脱塩素及び半炭化された固形燃料を製造できる固形燃料の製造方法を提供する。【解決手段】高速回転式ミキサー内で、廃プラスチック及び付着防止材を、攪拌すると共に、攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱し、脱塩素及び半炭化を伴う造粒を行う固形燃料の製造方法であって、付着防止材が、バイオマス粉粒体、固形燃料、並びに、造粒時の廃プラスチック及び付着防止材の最高温度よりも引火点の高い油から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする固形燃料の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、廃プラスチック(廃プラ)を原料とする固形燃料の製造方法に関する。
2015年G7サミットで「海洋ごみ・プラスチックごみが世界的課題である」と提起された。日本では、行き場を失う廃プラが、海洋廃プラに起因する不法投棄されないよう、2019年に廃プラ一時的保管量を2倍に引き上げ、同年5月に「プラスチック資源循環戦略」が策定された。「プラスチック資源循環戦略」では、一般家庭から排出される容器包装プラスチック(容リプラ)と非容リの廃プラを、低コストと低CO排出量で、熱回収含めた高資源化率に、リサイクルする等の方向性を示し、海洋プラスチックゼロエミッションを目指し、不法投棄撲滅を徹底する等が記載されている。令和2年度・3年度の不法投棄量(環境省発表)では、建設系以外廃棄物中の燃焼系廃棄物として、廃プラと汚泥と木くずが掲げられている。海洋廃プラに起因する不法投棄を焼却する際に発生する温暖化ガスにも批判の目が向けられている。
一方で、廃プラや古紙を、RPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)などの固形燃料としてリサイクルする技術が知られている。燃料に不適とされる、塩素を含有するポリ塩化ビニル(PVC)の混入率が多い廃プラは、産廃処理単価が上がり、不法投棄される実態を鑑み、これまで廃プラの塩素量は、JIS Z7311:2010「廃棄物由来の紙,プラスチックなど固形化燃料(RPF)」の基準である0.3%以下の廃プラでないと燃料に不適とされる現状について見直しがかかり、塩素量1%以下への燃料利用を可能とする旨、RPF業界では受け入れを緩和する動向にある。
高塩素量の廃プラを脱塩素処理する技術として、例えば、外部間接加熱で加熱する二軸スクリュ式の脱塩素処理装置が提案されている。このような脱塩素処理装置としては、例えば、二軸スクリュ方式の脱塩素装置が提案されている(特許文献1)。この特許文献1では、「混合・混錬する機能を積極的に有しない場合は、エネルギー効率が悪く、均一な脱塩素を行い得ない。発明の実施の形態は、ヒータの加熱により、脱塩素装置のシリンダを通して(外部間接加熱)溶融廃棄プラスチックは加熱を受けながら更に昇温し、混合・混練する機能を積極的に有する二軸の回転スクリュで、せん断作用を加えてせん断発熱を起こさせることができるため、溶融廃棄プラスチックを効率良く昇温・熱分解できる。」と記載されているが、せん断作用と処理能力の詳細なデータについては記載されていない。
また、二軸スクリュ方式の脱塩素装置による廃プラの脱塩素技術について報告されている(非特許文献1参照)。この報告の実施例を要約すると、「滞留時間10分以上では残留塩素濃度はほとんど変化しない。水洗浄後一般系廃プラ塩素量1.8wt%を、外径174mm外周速度0.37m/s程度の二軸回転スクリュせん断作用により、シリンダを通して外部間接加熱による加熱温度310℃滞留時間10分以上で横ばいする、残留塩素濃度0.8wt%強(投入塩素量の半分程度)に脱塩素する。」と記載されているが、処理能力の詳細なデータについては記載されていない。
特開2002-86447号公報
時久昌吉ら、「プラスチック脱塩素固形燃料化装置について」、紙パ技協誌、第55巻第5号、p.82-88、2001年5月
本発明の課題は、外部加熱を用いることなく、攪拌翼のせん断熱によって脱塩素及び半炭化された粒状の固形燃料を製造することが可能な方法を提供することにある。
本発明者らは、廃プラスチックから固形燃料を製造する方法を検討する中で、高速回転式ミキサー内で、廃プラスチック及び付着防止材を、攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱し、造粒を行うことで、脱塩素及び半炭化された粒状の固形燃料を製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]高速回転式ミキサー内で、廃プラスチック及び付着防止材を、攪拌すると共に、攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱し、脱塩素及び半炭化を伴う造粒を行う固形燃料の製造方法であって、
前記付着防止材が、バイオマス粉粒体、前記固形燃料、並びに、前記造粒時の廃プラスチック及び付着防止材の最高温度よりも引火点の高い油から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする固形燃料の製造方法。
[2]製造される固形燃料が、塩素量1.0質量%以下であることを特徴とする上記[1]記載の固形燃料の製造方法。
[3]前記付着防止材が少なくともバイオマス粉粒体を含み、該バイオマス粉粒体が、排水処理施設から発生する有機性汚泥の粉粒体であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の固形燃料の製造方法。
[4]前記造粒が、前記攪拌翼のせん断熱によって、廃プラスチックを溶融して脱塩素及び半炭化した後、加水して、前記廃プラスチックを固化して粒状化するものであることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
[5]前記高速回転式ミキサーの攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱する際に、エア又は不活性ガスのパージ処理を行うことを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
[6]前記加水に用いる水が、塩化化合物を中和する中和剤を含有していることを特徴とする上記[4]記載の固形燃料の製造方法。
[7]製造される固形燃料が、塩素量1.0質量%以下であり、RPF品質基準に準拠する、高位発熱量25MJ/kg以上、水分5質量%以下、灰分10質量%以下であることを特徴とする上記[1]~[6]のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
[8]製造される固形燃料が、塩素量1.0質量%以下であり、嵩密度0.4t/m以上、平均粒子径D5010.0mm以下、全粒の90%以上が粒度0.01mm以上、安息角50°以下であることを特徴とする上記[1]~[7]のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
[9]製造される固形燃料が、硫黄量1質量%以下であることを特徴とする上記[1]~[8]のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
[10]プラスチックを含有する粒状固形燃料であって、塩素量1.0質量%以下であり、RPF品質基準に準拠する、高位発熱量25MJ/kg以上、水分5質量%以下、灰分10質量%以下であることを特徴とする粒状固形燃料。
[11]プラスチックを含有する粒状固形燃料であって、塩素量1.0質量%以下であり、嵩密度0.4t/m以上、平均粒子径D5010.0mm以下、全粒の90%以上が粒度0.01mm以上、安息角50°以下であることを特徴とする粒状固形燃料。
本発明の固形燃料の製造方法によれば、外部加熱を用いることなく、攪拌翼のせん断熱によって脱塩素及び半炭化された粒状の固形燃料を製造することができる。
本発明の実施例に係る固形燃料の製造方法の説明図である。 実施例に用いた高速回転式ミキサーの説明図である。 実施例2及び実施例3で得られた固形燃料の篩下粒度積算分布を示す図である。
本発明の固形燃料の製造方法は、高速回転式ミキサー内で、廃プラスチック及び付着防止材を、攪拌すると共に、攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱し、脱塩素及び半炭化を伴う造粒を行う固形燃料の製造方法であって、付着防止材が、バイオマス粉粒体、固形燃料、並びに、造粒時の廃プラスチック及び付着防止材の最高温度よりも引火点の高い油から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の固形燃料の製造方法は、高速回転式ミキサー内で、廃プラスチック及び特定の付着防止材を、外部加熱を用いることなく、攪拌翼のせん断熱によって加熱し、脱塩素及び半炭化された粒状の固形燃料を製造できる。また、バイオマス粉粒体が硫黄含有化合物を含む場合には、熱分解によって硫黄成分を揮発させて除去(脱硫)することができる。
また、本発明の固形燃料の製造方法は、廃プラスチックを付着防止材と共に溶融混合することで、溶融した廃プラスチックの付着を防止し、脱塩素及び半炭化を伴う造粒を可能とするものである。
また、本発明の固形燃料の製造方法は、加水の有無に関わらず造粒が可能であり、従来の外部加熱を用いた二軸スクリュ方式の脱塩素装置を用いた固形燃料と同等又はそれ以上の品質を有する固形燃料を製造できる。
また、本発明の固形燃料の製造方法は、廃プラを、高速回転式ミキサーの攪拌翼の強力な局部せん断による直接加熱によって脱塩素・脱硫及び半炭化処理することから、低電力消費によるCO排出量の削減を実現し、低イニシャルコストと低ランニングコストで効率的に固形燃料を製造できる。すなわち、本発明の固形燃料の製造方法は、従来の外部加熱を用いた二軸スクリュ方式の脱塩素装置を用いた製造方法に比べて、処理能力量当たりの、イニシャルコスト及びランニングコスト(消費電力)が低く、消費電力とCO排出量も少ないため、低コストで効率的に固形燃料を製造することができる。
特許文献1及び非特許文献1には、スクリュ方式脱塩素技術の処理能力について記載がないが、非特許文献1には、「滞留時間10分以上では残留塩素濃度はほとんど変化しない。」と記載されている。スクリュの回転速度を下げるほど、滞留時間が長くなり、脱塩素性能が上がるが、処理能力は下がり、スクリュのせん断による直接加熱が下がり、前記外部間接加熱寄りの脱塩素になり、直接加熱の効率は下がる。
これに対して、本発明は、特許文献1の脱塩素技術に対し、低い樹脂温度で同等の脱塩素率で造粒処理する、実施例3の評価を得ている。同じ樹脂温度であれば、外部間接加熱をしない本発明の直接加熱分の消費電力は少ない。樹脂温度が上がるほど、溶融粘度が増して双方駆動分の消費電力は上がるので、特許文献1よりも樹脂温度が低い本発明の方が、駆動分の消費電力は低い。
また、特許文献1の外部間接加熱とスクリュ駆動にかかる消費電力と、本発明の攪拌翼のみの直接加熱と駆動にかかる消費電力を比較した場合、加熱分と駆動分の消費電力が低い方は、後者である。後述するが、同等の処理能力を有する場合のイニシャルコストは、特許文献1の二軸スクリュ方式よりも、本発明の高速回転式ミキサーの方が、2割程度安価である。
[廃プラスチック]
本発明の処理対象である廃プラスチック(廃プラ)としては、高速回転式ミキサーによる処理が可能なものであれば特に制限されるものではなく、例えば、容器包装リサイクルプラスチック(容リプラ)を挙げることができる。廃プラの態様としては、廃棄された状態のものであってもよいし、廃棄後加工処理されたものであってもよいが、加工処理されたものが好ましい。加工処理された廃プラとしては、粉砕されたものがより好ましい。廃プラの形状としては、例えば、フラフ状、ビーズ状、フレーク状、チップ状、粉粒状、ペレット状等の各種形状を挙げることができる。
廃プラの種類としては、例えば、一般系廃プラである、容リプラの主成分である、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等を挙げることができる。廃プラとしては、容リプラを湿式比重選別する際に沈降するリサイクルに適さないポリ塩化ビニル(PVC)を含有する廃プラが好ましい。本発明の固形燃料の製造方法は、このポリ塩化ビニル含有廃プラを、固形燃料にリサイクルすることができる。
[付着防止材]
本発明の付着防止材としては、バイオマス粉粒体、固形燃料、並びに、造粒時の廃プラスチック及び付着防止材の最高温度(樹脂温度ともいう)よりも引火点の高い油を挙げることができ、廃プラスチックに、これらを単独で混合してもよいし、これらを組み合わせて混合してもよい。これらの付着防止材を添加することにより、溶融した廃プラスチックの付着を防止し、脱塩素及び半炭化を伴う造粒が可能となる。
(バイオマス粉粒体)
本発明のバイオマス粉粒体としては、加熱により一酸化炭素や水素などのガスを発生する揮発性バイオマスや、燃焼性バイオマスであれば特に制限されるものではなく、例えば、食品工場、下水処理場、製紙工場、動物の飼育場等の有機物を多く含んだ排水処理施設から発生する有機性汚泥の粉粒体を挙げることができる。また、本発明のバイオマス粉粒体としては、塩素量や硫黄量が高く燃料に不適で処理が困難な、例えば、樹皮、竹、有機汚泥、家畜ふん尿等のバイオマスにも適用可能である。
例えば、前記容リプラを湿式比重選別する材料リサイクル加工工場から排出される排水処理有機汚泥と、前記湿式比重選別する際に沈降するポリ塩化ビニル(PVC)含有廃プラとを、前記高速回転式ミキサーで脱塩素・脱硫・半炭化の造粒を行うことで、化石燃料代替え固形燃料として有効活用が可能である。これにより、ポリ塩化ビニル(PVC)含有廃プラや排水処理有機汚泥の産廃処理をしない、低CO排出量に寄与する、ゼロエミッションの材料リサイクル工場を実現できる。
本発明のバイオマス粉粒体は、廃プラスチックの溶融付着を抑制し、脱塩素および脱硫の処理効率を向上させる役割を果たす。すなわち、樹脂温度が上昇して廃プラが溶融して、溶融粘着力でミキサー内に付着する溶融プラスチックは、攪拌翼による局部せん断熱で加熱できない。脱塩素及び脱硫を妨げる要因となる廃プラの溶融付着は、バイオマス粉粒体を混ぜる事で抑制される。バイオマス粉粒体と溶融する廃プラを混ぜて攪拌・混合すると、前記溶融粘着力が低下して、攪拌されるバイオマス粉粒体が溶融付着物を削ぎ落して、溶融付着を抑制でき、脱塩素及び半炭化を伴う造粒が可能となる。
(固形燃料)
本発明の付着防止材としては、バイオマス粉粒体の代わりに本発明の製造方法により製造される固形燃料(造粒品)を代用することができる。また、本発明による固形燃料とバイオマス粉粒体を混合して用いることもできる。本発明による固形燃料は、半炭化しているので加熱による溶融粘着性が低下しており、脱塩素と脱硫がされているので、バイオマス粉粒体の代用として有用である。すなわち、固形燃料を添加することにより、溶融した廃プラスチックの付着を防止し、脱塩素及び半炭化を伴う造粒が可能となる。
(油)
本発明の付着防止材としては、バイオマス粉粒体や固形燃料の代わりに、造粒時の廃プラスチック及び付着防止材の最高温度よりも引火点の高い油(以下、高引火点油という場合がある。)を代用することができる。また、この高引火点油と、バイオマス粉粒体や固形燃料とを混合して用いることもできる。
造粒時の廃プラスチック及び付着防止材の最高温度よりも引火点の高い油、例えば引火点330℃の大豆油の廃油等の油、を添加することで、フライパンに油を添加して付着や焦げ付きを防ぐと同様に、付着と焦げ付きを抑制することができる。この油の投入により、ミキサー内に油膜を形成し、潤滑効果と均一な熱伝導効果を発揮することができ、付着や焦げ付きを抑制することができ、脱塩素及び脱硫並びに半炭化を伴う造粒が可能となる。また、廃プラ及び高引火点油を混合することで、顆粒燃料の高位発熱量を向上させることができる。高引火点油としては、廃油が好ましい。具体的に、用いる高引火点油の引火点としては、脱塩素、脱硫する最高樹脂温度を超える引火点であることが好ましい。最高樹脂温度は歩留低下しない温度が好ましい。最高樹脂温度は、投入する廃プラの成分により変わるので限定されるものではないが、例えば容器包装廃プラでは300℃以下が好ましい。
脱塩素・脱硫・半炭化を伴う造粒を行う、バイオマス粉粒体及び/又は付着防止材の投入量としては、溶融して樹脂温度が高くなるほど、粘着力が増すので、多い方が好ましい。具体的に例えば、廃プラをミキサーに投入した嵩に対し、廃プラとバイオマス粉粒体を同時に投入する場合、攪拌して、後者が前者の隙間に入り込み、攪拌後の嵩が、前記嵩と変わらない量が好ましい。また、本発明による固形燃料や高引火点油を廃プラと同時に投入する場合についても、同様に攪拌後の嵩が前記嵩と変わらない量が好ましい。
廃プラと付着防止材(バイオマス粉粒体、固形燃料、高引火点油)の、粒度や嵩密度により、これらの投入比率が変わる。例えば、dry嵩密度0.1t/m、Φ20mmスクリーン粉砕する廃プラの質量に対し、前記嵩が変わらないdry嵩密度0.8t/m、平均粒子径D500.9mmの有機汚泥の投入可能な最大質量は100%程度である。
付着防止材の投入量を、攪拌後の嵩が増加しない量に調整することにより、最も減容する溶融状態の嵩をミキサー容量の6~7割以下に維持できる。これにより、廃プラの投入量と処理能力を確保すると共に、計画量を処理する時間内で脱塩素することができ、計画する脱塩素量と脱硫量を確保することができる。
計画する廃プラ処理能力に余裕があれば、付着防止材の投入量を増やすことについてはこの限りではない。付着防止材の投入量としては、廃プラに対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また、その上限については特に制限されるものではないが、廃プラに対して1000質量%以下であることが好ましく、600質量%以下であることがより好ましく、300質量%以下であることがさらに好ましく、200質量%以下であることがよりさらに好ましく、100質量%以下であることが最も好ましい。
付着防止材としてバイオマス粉粒体や固形燃料を用いる場合、ミキサーに投入する付着防止材の大きさ(粒度)と水分としては、特に限定されるものではなく、ミキサー内で高速回転する攪拌翼の強力なせん断により、粉砕、減容、混合、乾燥、混錬、溶融して、脱塩素、脱硫、半炭化するので、ミキサーに投入する原料の、粒度は小さく、水分は少ない方が好ましい。すなわち、付着防止材は、粒度が小さく、水分が少ないほど、粉砕、減容、乾燥時間が短縮され、計画量を処理する時間内で脱塩素する時間を長く確保でき、計画する脱塩素と脱硫量を達成できるので好ましい。
具体的にバイオマス粉粒体及び固形燃料の粒度としては、3.0mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、0.1~1.0mmであることがさらに好ましい。バイオマス粉粒体及び固形燃料の水分としては、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の固形燃料の製造方法は、攪拌翼の強力な局部せん断熱で溶融した廃プラにより、混錬しながら、バイオマス粉粒体の表面をコーティングしながら、溶融粘着力で微粉体の結合をしながら、脱塩素、脱硫、半炭化の造粒が進行し、顆粒状の粒度に造粒する。例えば、全体の質量15%を占める粒度0.09mm以下の排水処理有機汚泥と、全体の40質量%を占める粒度1.2mm以上の排水処理有機汚泥を、dry嵩密度0.15t/mのΦ20mmスクリーン粉砕する廃プラに対し、10質量%混ぜて、ミキサーで造粒する事により、図3の粒度積算分布のとおり、顆粒状の粒度に造粒できる(実施例2参照)。
[高速回転式ミキサー]
高速回転式ミキサーは、その内部に投入された廃プラ及び付着防止材を、攪拌翼の高速回転による強力なせん断熱によって、樹脂温度センサーで検知する樹脂温度が180℃超に、直接加熱し、脱塩素、脱硫、半炭化、及び顆粒化を伴う造粒を可能にする。ここで、本明細書における樹脂温度とは、高速回転式ミキサーの内部に投入される廃プラスチックに、付着防止材(バイオマス粉粒体、固形燃料、油)を組み合わせた混合物の温度をいう。
本発明の固形燃料の製造方法は、外気温と同等の常温の樹脂温度から、外部加熱や間接加熱を要することなく、攪拌翼の強力な局部せん断熱による直接加熱をしてプラスチックを溶融させる。このため、せん断局部の温度は、樹脂温度センサーで検知される樹脂温度より高温である事を意味し、廃プラに含まれる塩素化合物の熱分解を行う脱塩素を、外部間接加熱する特許文献1よりも、省電力で効率良く、実施することができる。
廃プラ、例えば容リプラに含まれる主成分であるPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などが熱分解を起こさない状態を保持できれば、これら主成分の歩留低下を防ぐことができる。PP、PE、PS、及びPETは、樹脂温度300℃以上で熱分解する事は公知であるので、樹脂温度300℃以下に保って造粒すれば、これら主成分の歩留低下を防ぐことができる。廃プラの成分により熱分解する樹脂温度は異なるので、上限樹脂温度は限定されるものではないが、樹脂温度の上限としては、500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。
また、ポリ塩化ビニル(PVC)は、樹脂温度200℃以上で熱分解して樹脂温度が上がるほど熱分解して揮発する量が増える事は公知である。しかしながら、本発明の廃プラと有機性汚泥の粉粒体を投入した造粒試験(実施例2)では、強力な局部せん断熱の直接加熱によって、樹脂温度160℃から揮発ガスを排気するガス中の塩化水素(HCl)が発生し始め、樹脂温度180℃以上で塩化水素濃度が急増して脱塩素することが確認された。したがって、ポリ塩化ビニル(PVC)を処理する場合、250℃以下であってもよく、200℃以下であってもよい。
すなわち、歩留低下を防ぐ状態で、樹脂温度が高いほど、熱分解による揮発量が増えて脱塩素量も増量し半炭化が進むため、樹脂温度は高い方が望ましいが、高過ぎると歩留まりが低下する。例えば、容リプラであれば、樹脂温度180℃~300℃のこれら主成分の歩留まりが低下しない樹脂温度範囲で、塩素量1%以下に脱塩素、半炭化することが好ましい。なお、歩留低下よりも脱塩素量を優先するのであれば、樹脂温度の上限温度を限定しなくてもよい。
高速回転式ミキサーとしては、容器底部に取り付けられる攪拌翼を高速回転させて混合する高速流動型混合機を挙げることができる。高速流動型混合機としては、具体的に、ヘンシェルミキサー、マイクロスピードミキサー等を挙げることができる。
脱塩素及び半炭化処理を行う際の攪拌翼の外周速度としては、攪拌翼のせん断熱により上記樹脂温度範囲まで加熱できればよく、攪拌翼の形状等にも依存するので一概にはいえないが、例えば、ヘンシェルミキサーであれば、高速回転する攪拌翼の最外周で、最大の速度が得られ、最大のせん断熱が発生する。ミキサーの容量の大小で最外周の最大速度は変わるが、軸受けの耐久性等から一般的には、10~100m/s程度であり、20~80m/sが好ましく、30~50m/sがより好ましい。
ミキサーの容量が小さくなるほど攪拌翼外周は小さくなるので、攪拌翼回転速度(rpm)は高くなる。外周速度が高いほど、より高いせん断熱が得られる。このような速度で攪拌することにより、縦型容器内の廃プラ(及び付着防止材)が、高速回転する攪拌翼の強力なせん断力を局部で受けて発生する強力な局部せん断熱により、廃プラ(及び付着防止材)を直接加熱することができる。
ヘンシェルミキサー等の高速流動型混合機は、電気ヒータ等によるミキサー壁を通して加熱する外部間接加熱よりも、高速回転する攪拌翼の強力な局部せん断による直接加熱をする方が、低消費電力で高効率に、脱塩素、脱硫、半炭化、顆粒化を伴う造粒を行うことができる。本発明の固形燃料の製造方法は、外部間接加熱を要しないが、脱塩素、脱硫、半炭化の造粒処理能力や、脱塩素量と脱硫量を増すために、外部間接加熱で、強力な局部せん断熱による直接加熱を補助することも可能である。
強力な局部せん断熱による直接加熱に、外部間接加熱で補助して造粒する脱塩素量が、特許文献1のような二軸スクリュ方式の脱塩素装置のシリンダを通して外部間接加熱と局部低せん断熱による直接加熱で造粒する脱塩素量と同じであれば、前者(本発明)の方が、低消費電力並びに高効率である。
本発明の固形燃料の製造方法は、高速回転する攪拌翼による強力なせん断熱による局部の直接加熱により、樹脂温度は180℃超であり、これにより、廃プラが溶融されると共に、廃プラに含有されるポリ塩化ビニル(PVC)などの塩素含有化合物を熱分解して、塩素成分を揮発させて除去することができる(脱塩素)。また、有機汚泥等のバイオマス粉粒体が硫黄含有化合物を含む場合には、含まれる硫黄含有化合物を熱分解して硫黄成分を揮発させて除去することができる(脱硫)。廃プラと有機性汚泥を投入した造粒試験(実施例2)では、高速回転する攪拌翼の強力な局部せん断熱の直接加熱によって樹脂温度180℃から、揮発ガスを排気するガス中の塩化水素(HCl)濃度と酸化硫黄(SO)濃度が急増して脱硫した。さらに、本発明の固形燃料の製造方法は、有機物であるバイオマス粉粒体を熱分解して揮発させて炭素成分が多い物質にすることができる(半炭化)。
ミキサー内に投入する廃プラの量(充填量)が多いほど、攪拌翼に接触する局部付近の廃プラが高密度になり、多くの廃プラをせん断することができる。同時に、攪拌翼でミキサー内を流動する高密度の廃プラがミキサー内壁と接触することで抵抗が増し、局部せん断力が増加する。その結果、直接加熱によるせん断熱が増加し、時間軸の樹脂温度上昇が速くなり、処理能力が向上する。
ミキサーは、高速回転する攪拌翼により粉砕・減容・混合すると共に強力な局部せん断熱によって乾燥・混錬・溶融する程度に直接加熱しながら実施するバッチ式の処理で、脱塩素・脱硫及び半炭化を行って造粒することができる。
ミキサーに投入できる量は、上記のように、最も減容する溶融状態の嵩が、ミキサー容量の6~7割以下であることが好ましい。1サイクルバッチ処理では、溶融状態の嵩が、1回投入でミキサー容量の6~7割に満たない場合、廃プラと付着防止材の投入回数は2回以上行い、前記6~7割でバッチ処理することが好ましい。
[効率的な脱塩素・脱硫・半炭化、粒状固形燃料の製造方法]
高速回転式ミキサーは、攪拌翼に接触する局部の強力なせん断によって、廃プラを攪拌しながら、粉砕・減容・混合すると共に、強力な局部せん断熱によって乾燥・混錬・溶融する程度に直接加熱し、脱塩素、脱硫及び半炭化を行う、バッチ処理方式であるが、連続処理方式であってもよい。本発明の製造方法においては、複数のバッチ処理方式高速回転式ミキサーを用いて、1バッチ処理で一番消費電力が高い脱塩素をするタイミングをずらすことで、最大消費電力量を抑えて効率的に処理することが好ましい。
高速回転式ミキサーは、インバータを介してモーターを駆動し、攪拌翼を回転させて、回転速度をコントロールすることができる。本発明の実施例2では、ミキサーの攪拌翼を回転させるモーターの電流値が高いほど、攪拌翼のせん断力が強くなり、樹脂温度が上昇し、脱塩素・脱硫性能が強化されることが確認された。また、本発明の実施例3では、このモーターの定格電流値に極力近づけて運転することで、高い処理能力と高い脱塩素・脱硫量の処理が可能となった。また、攪拌翼の回転速度が下降しても定格電流値に近ければ、効率的な処理能力を維持し、脱塩素処理と脱硫処理で半炭化顆粒状の造粒が実現できることが確認された。
さらに、攪拌翼の回転速度を遅くすることで、せん断力が弱まり、樹脂温度とモーターの電流値が低下する。したがって、回転速度を遅くすることで、モーターの電流値を下げ、モーターの過負荷を防止することができる。
樹脂温度が低すぎると回転速度を上げることで、樹脂温度とモーターの電流値を上昇できる。回転速度を調整することで樹脂温度のコントロールし、モーターの電流値のコントロールができ、定格電流値に極力近づけて運転することができる。これにより、最高の処理能力と脱塩素・脱硫処理を実現し、高効率な処理が可能となる。
(エア又は不活性ガスのパージ処理)
高速回転式ミキサーの攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱する際に、エア(空気)又は不活性ガスのパージ処理を行うことが好ましい。パージ処理は、排気温度の調整と同時に、ミキサー内に、脱塩素及び脱硫によって揮発し充満するHCl等の濃度調整も行う。ミキサー内でHCl等の濃度が高いと、設備の腐食トラブルを招くので、パージ量は極力高い方が好ましい。ミキサー容量と脱塩素・脱硫量によりパージ量は変動するため、一概に限定はできないが、1分間にミキサー容量の概ね1倍以上の換気量、例えばミキサー容量20Lであれば概ね20L/min以上の常温パージ量が好ましい。処理に用いるガスとしては、エアの代わりに、窒素等の不活性ガスを使用する事も可能であり、不活性ガスを使用する方が、樹脂温度等の高温トラブルでの火災を防止できるので安全である。
脱塩素と脱硫を強化する事で、HClやSO等の酸性ガスが多く発生し、ミキサー内や排気管内等の金属機械の腐食が発生し、故障等のトラブルが発生する。エア又は不活性ガスのパージは、酸性ガス濃度を希釈して腐食トラブルのリスク削減をすることができるが、ミキサー内で揮発して排気する排気温度を低下させる。脱塩素・脱硫する温度域は、腐食が加速するHClとSOの露点約120℃を超える為、脱塩素温度域での腐食性は抑制される。
エア又は不活性ガスのパージにより、腐食リスクを削減すべく、極力酸性ガス成分濃度を低くするだけでなく、排気温度がHClとSOの露点以下にならないよう、パージ量の調整を行うことが好ましい。ミキサー容量、投入樹脂量、攪拌翼回転速度、樹脂温度、モーター定格などにより、パージ量と排気温度の相関は変化するため、一概に限定できない。例えば、実施例3では、1分間にミキサー容量の、1.25倍の常温パージ量で脱塩素時最低排気温度160℃、2.75倍で脱塩素時最高排気温度234℃あった。
(加水処理)
高速回転式ミキサーによって脱塩素、脱硫、半炭化、及び顆粒化が進行して高温に熱せられた疎水性樹脂は、攪拌した状態で加水により、熱せられた油が激しく弾けるように一気に急冷されて、粉砕されながら固化して造粒されることが好ましい。すなわち、造粒は、攪拌翼のせん断熱によって、廃プラスチックを溶融して脱塩素及び半炭化した後、加水して廃プラスチックを固化して粒状化するものであることが好ましい。これにより、本発明の実施例2のように加水を行わずに顆粒状にする場合と比較して、造粒時間が短縮され、効率的に顆粒状の造粒が可能となる。
また、水が一気に1700倍に膨張して発生した水蒸気噴射と同時に、熱膨張した金属製ミキサーが一気に収縮され、焦げ付いたフライパンに水をかけると焦げ付きが一気に剥離するように、ミキサー内壁等に付着した付着物が剥離される。強力な局部せん断熱による直接加熱処理を行った廃プラ及び付着防止材に水溶性の塩素化合物や硫黄化合物が含まれる場合、これらを加水処理水に溶解させて、処理水と共に排出することができる。加水処理した後は、通常、固液分離処理及び乾燥処理を経て、水溶性の塩素化合物や硫黄化合物を脱塩素、脱硫した固形燃料が回収される。
加水に用いる処理水には、溶解した塩化水素や塩化ナトリウムなどの塩化化合物を中和する中和剤を含有する水を用いてもよい。中和剤としては、具体的に苛性ソーダを挙げることができる。
加水量としては、多いほど、造粒粒度が顆粒状に小さくなり、水溶性である無機塩素等や再付着HCl等の洗浄性能と溶融付着の剥離性能が上がるので、多い方が好ましいが、多すぎると後工程の洗浄・固液分離・乾燥処理と排水処理の負担が上がるので、洗浄・固液分離・乾燥処理及び排水処理可能な質量に、蒸発質量を加算した質量の加水が好ましい。
ミキサー容量と加水する樹脂温度等で蒸発量が変動するため、一概に限定はできないが、樹脂温度250℃程度で概ね投入する質量(樹脂質量とバイオマス粉粒等質量の合算)が蒸発質量の目安である。また、樹脂温度が異常な高温になった際には、緊急時の加水が可能であることから、加水装置は、火災防止等の安全装置にも適する。加水の量としては、促進効果やミキサー内の付着物除去の観点から、廃プラに対して50質量%以上が好ましく、100質量%以上がより好ましく、200質量%以上がさらに好ましい。また、上限としては800質量%以下が好ましい。
[低コストで効率的な脱塩素・脱硫・半炭化、粒状固形燃料の製造設備]
せん断熱による加熱処理を行った廃プラ及び付着防止材に含まれる水溶性の塩素化合物や硫黄化合物や再付着HClなどが少量の場合、加水量を減らすことで、造粒品の塩素量、硫黄量、粒度、水分に影響を与えずに処理が可能である。これにより、洗浄・固液分離・乾燥処理の性能を落としたり、これら設備を省略して固形燃料を直接回収することができる。その結果として、排水処理に係る、イニシャル・ランニングコストを削減し、低消費電力分の低CO化が図れる。
排水処理を不要とする加水量にした高速回転式ミキサーで、強力な局部せん断熱により直接加熱する脱塩素、脱硫、半炭化造粒する設備で、前記ゼロエミッションの材料リサイクル工場に形成した場合、特許文献1のシリンダを通して外部間接加熱する二軸低速回転スクリュ式の低せん断力による廃プラ脱塩素処理装置の造粒設備と前者の造粒設備を置き換えることができるが、前者(本発明)の造粒設備の方が、処理能力同等で、イニシャルコスト2割程度低く、低樹脂温度分の低消費電力で低ランニングコストと低CO排出量で、残留塩素量1%以下の同等の脱塩素が可能な固形燃料を製造できる。また、後者は排水処理有機汚泥を産廃処理するのでゼロエミッション工場を形成しない。
[高速回転式ミキサーによる脱塩素・脱硫処理に伴う予期せぬ半炭化顆粒状の造粒(実施例2)]
前記のとおりPP,PE,PS,PETは樹脂温度300℃以上でないと熱分解と揮発しないが、ポリ塩化ビニル(PVC)は樹脂温度200℃以上で熱分解が始まり揮発して炭化が始まる。容器包装廃プラ87.3質量%(PP・PE・PS・PET混合81.1%、灰分3.8質量%、PVC2.4%)と、有機汚泥8.0質量%(灰分4.0質量%)と、大豆油4.7%(発火点より低い引火点330℃)をミキサーに投入した。高速回転する攪拌翼の強力な局部せん断熱により、樹脂温度258℃以下であっても、脱塩素、脱硫が進行し、溶融粘着力が失われた。その結果、攪拌翼の駆動モーターの電流値が低下し、樹脂温度が脱塩素しない範囲まで下がったため、加水無しで造粒を実施した。その結果、図3に示すような顆粒状の黒い造粒品ができた。
得られた造粒品の揮発量を工業分析(JISM8812)に基づいて分析したところ、ミキサーdry投入質量の28.5%が揮発して半炭化造粒したことが明らかとなった。
前記記載のとおり、投入物の内、樹脂温度258℃以下で揮発するのは、ポリ塩化ビニル(PVC)と灰分以外有機汚泥の計6.4質量%程度と少ないはずが、約4倍強の揮発となる予期せぬ半炭化造粒ができた。また、この造粒試験では、同様のミキサーで樹脂が溶融する前の樹脂温度で半溶け状態で加水して平均粒子径D50が1~2cm程度のグラッシュ造粒を予期していたが、実際には、図3に示すような加水無しでの顆粒状の粒度の造粒ができた。
本発明の実施例2の結果が示すとおり、高速回転式ミキサーによる脱塩素・脱硫処理に伴う、予期せぬ半炭化顆粒状の造粒が確認できた。
[脱塩素・脱硫・半炭化、粒状固形燃料]
本発明の固形燃料の製造方法によれば、塩素量1.0%以下であり、嵩密度0.4t/m以上、平均粒子径D5010.0mm以下、全粒の90%以上が粒度0.01mm以上、安息角50°以下、である固形燃料を製造することができる。また、本発明の固形燃料の製造方法によれば、塩素量1.0質量%以下であり、RPF品質基準に準拠する、高位発熱量25MJ/kg以上、水分5質量%以下、灰分10質量%以下である固形燃料を製造することができる。さらに、本発明の固形燃料の製造方法によれば、硫黄量1%以下である固形燃料を製造することができる。
以下、本発明の粒状固形燃料について説明する。
本発明の粒状固形燃料は、プラスチックを含有する粒状固形燃料であって、塩素量1.0質量%以下であり、嵩密度0.4t/m以上、平均粒子径D5010.0mm以下、全粒の90%以上が粒度0.01mm以上、安息角50°以下であることを特徴とする。
本発明の粒状固形燃料の塩素量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.6質量%以下がさらに好ましい。本発明では、低コストで効率良く樹脂温度を上げることにより、固形燃料の塩素量を低減できる。また、嵩密度は、0.4t/m以上であり、0.5t/m以上が好ましく、0.6t/m以上がより好ましく、0.7t/m以上がさらに好ましい。嵩密度がこの範囲であることにより、運搬・搬送コストを抑えることができる。また、平均粒子径D5010.0mm以下であり、5.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.6mm以下がさらに好ましい。平均粒子径D50がこの範囲であることにより、燃焼性、石炭混焼性が向上する。また、粒度は、全粒の90%以上が0.01mm以上であり、0.05mm以上が好ましく、0.08mm以上がより好まく、0.1mm以上がさらに好ましい。粒度がこの範囲であることにより、飛散と粉塵爆発を抑制することができる。また、安息角は、50°以下が好ましく、40°以下がより好ましい。安息角がこの範囲であることにより、装置の流路が閉塞しにくく搬送し易い。また、硫黄量としては、RPF等固形燃料の硫黄含有率の基準の制定はされていないが、廃棄物固形化燃料の硫黄分試験方法がJIS Z 7302-7で制定されているのでこの測定方法により、出荷先との硫黄含有率規定に適合させられるよう管理が可能である。例えば、福岡市では、硫黄含有率基準1.0%以下の石油系燃料の使用に関する措置がある。本発明の粒状固形燃料の硫黄量は1.0%以下が可能である。
本発明の実施例で製造した固形燃料は、粒度がほぼ0.1mm以上であるため、飛散する微粉末がほとんどなくハンドリング性に優れて粉塵爆発のリスクも低減される。また、安息角が、流通するRPFペレット(粒度直径6~40mm×長さ直径の2~3倍程度、30~40°程度、嵩密度0.3~0.5t/m)と同等であるにもかかわらず粒度が小さいため、タンク排出口などでの粒子間の架橋(ブリッジ)が生じにくく機器での搬送が容易である。また、嵩密度が0.9t/mであることから、流通するRPFのペレットの嵩密度0.3~0.5t/mよりも大きく、運搬・搬送コストを抑えることができる。さらに、燃料としては、粒度が流通するRPFのペレットよりも小さいため、燃焼炉内に吹き込みやすく、燃焼が迅速に進む。また、石炭との混焼が容易であり、また、バイオマス粉粒体が半炭化処理されることにより、単位重量当たりのエネルギー密度が高くなり、石炭の熱量に近づき、耐水性が向上する。これにより、粉砕しやすくなり、石炭の微粉炭との混焼も容易となる。その結果、貯蔵、運搬、燃焼のハンドリング性が向上し、石炭混焼比率が高まり、低CO化と低コスト化に寄与する。
以上の特徴を有することから、本発明の固形燃料の製造方法は、流通するRPF固形燃料よりも同等以上の、品質等機能面にも優れた顆粒状の粒状固形燃料を製造することができ、重油・石炭などの代替え燃料として用いることができる。
[RPF等固形燃料の品質に対応可能]
本発明の固形燃料の製造方法は、RPF品質基準に定められた品質の粒状固形燃料を製造することができる。すなわち、JIS Z 7311:2010「廃棄物由来の紙,プラスチックなど固形化燃料(RPF)」で定められるRPF品質に準拠する廃プラとバイオマス粉粒体と油を配合する事で、定められるRPF品質の、高位発熱量25MJ/kg以上、水分5質量%以下、灰分10質量%以下に準拠する固形燃料の製造が可能である。RPF品質に準拠する配合については、高位発熱量に影響する灰分が極力少ない原料であることが好ましい。灰分が少ないほど、高位発熱量が高くなり、ミキサーの攪拌翼等の摩耗による寿命が長くなる。摩耗については、廃プラとバイオマス粉粒体が接触する攪拌翼やミキサー室内部の焼き入れ等をして、硬度を上げる事で寿命が増す事を補足する。
実施例では、バイオマス粉粒体として、流通して入手し易いコンポスト発酵処理をした排水処理有機汚泥(灰分50.4質量%、高位発熱量11.2MJ/kg)を使用したが、例えば、食品工場排水処理有機汚泥(灰分14.6質量%、17.0MJ/kg)を使用すると、RPF品質に準拠する汚泥量は倍増できる。さらに灰分が少なく高位発熱量の高い、木質系バイオマス粉粒体を使用すると、RPF品質に準拠するバイオマス粉粒体は、有機汚泥より増やすことができる。出荷先が要求する固形燃料の品質が、RPF品質準拠を問わなければこの限りではない。
本発明の実施例に係る固形燃料の製造方法の概要を図1に示す。
図2に示す高速流動型混合機を用いて、固形燃料を製造した。高速流動型混合機(高速回転式ミキサー)1の容器2上部には、原料の投入口3、排気口4、処理水を噴射する加水ノズル5、脱塩素時にエア・不活性ガスを噴射するエアパージノズル6が設けられている。また、容器2底部には、上羽根と下羽根の攪拌翼7、排出弁8が設けられている。また、容器2内には樹脂温度を検知するための樹脂温度センサー9が設けられている。さらに、排気口に設置された排気温度センサー10により排気されるガスの温度が検知される。なお、図中の黒矢印は、装置内の処理物の動きを示す。
表1に、試験条件の概要を示す。
具体的には、以下に示すように試験を行い評価した。
原料の廃プラ(樹脂)として、容リプラの沈降物(主にPP・PE・PS・PET混合92.8質量%、灰分4.4質量%D.B.、PVC2.8質量%(塩素量1.57質量%D.B.の換算値))を使用した。
原料のバイオマス粉粒体として、排水処理有機汚泥(灰分50.4質量%DB、塩素量1.13質量%D.B.、硫黄量0.61質量%D.B.)を使用した。
原料の油として、大豆油(塩素量<0.02質量%D.B.、硫黄量<0.02質量%D.B.、引火点330℃)を使用した。
容リプラの沈降物及び有機汚泥を、高速流動型混合機に投入し、攪拌翼の先端の最高速度が56m/sの高速回転攪拌翼で流動と攪拌しながら、粉砕・減容・混合すると共に、強力な局部せん断熱のみによって、乾燥・混錬・溶融する程度に直接加熱して、脱塩素、脱硫、半炭化して造粒した。ミキサーが運転中は、発生する水蒸気や塩素系ガスや硫黄系ガスは、湿式スクラバーなど排ガス洗浄装置により、塩素や硫黄が除去されて安全な排気ガスとして処理した。エアパージ処理は、この脱塩素中に行った。モーター駆動はインバータを介して行い、回転速度の調整を行った。
[実施例2評価:高速回転式ミキサーによる脱塩素・脱硫処理に伴う予期せぬ半炭化顆粒状の造粒]
ポリ塩化ビニル(PVC)含有する樹脂2kg-wetと塩素・硫黄含有する有機汚泥0.2kg-wet、大豆油0.1kgをミキサーに投入し、攪拌翼のせん断熱のみの直接加熱により、樹脂が溶融して樹脂温度約160℃超えてから樹脂に含有する塩素と、有機汚泥に含有する硫黄が熱分解され、塩化水素(HCl)・二酸化硫黄(SO)が発生し始めて排気され、樹脂温度180℃以上で塩化水素・二酸化硫黄濃度が急増して脱塩素、脱硫した。溶融樹脂が高温になるほど塩化水素・二酸化硫黄濃度が上昇し、樹脂最大温度258℃で脱塩素・脱硫し、樹脂の炭化が進んでせん断性が低下し、加水無しで樹脂温度が低下し、半炭化した黒い顆粒状の造粒品(dry嵩密度0.92t/m、dry安息角35°)を生成した。
脱塩素時に行うエアパージ60L/minで、ミキサー室内と排気の塩化水素・二酸化硫黄濃度を低減させ、脱塩素時の排気温度は露点腐食を抑制する150℃以上で推移した。モーター電流・樹脂温度・排気濃度(塩酸、二酸化硫黄)各々の曲線は、各々相関性が有る増減特性を示した。
図3に示すように、加水無し造粒した粒状固形燃料の篩下粒度積算分布により、粉末の粒度より大きい、粒度ほぼ0.1mm~1.2mm(篩下約90質量%)、平均粒子径0.57mm-D50の顆粒化造粒をした。
半炭化度の算出方法や基準値は定められていないが、指標炭化度(処理によるdry揮発量÷dry処理前揮発量)32.0質量%の半炭化をした。樹脂温度258℃以下で揮発するのは、dry投入量の6.4質量%(PVC、灰分以外の有機汚泥)程度と少ないはずが、dry投入量の28.5質量%が揮発した。処理前・後揮発量は、廃棄物固形化燃料試験法(JIS Z 7302)に有用な工業分析JIS M 8812に準じて分析した。
[実施例3評価:特許文献1及び非特許文献1に比べ、低い樹脂温度で同等の脱塩素率の、造粒・洗浄方法と造粒品性状]
ポリ塩化ビニル(PVC)含有する樹脂3kg(2kg+1kgの2回投入)と塩素・硫黄含有する有機汚泥1.2kgをミキサーに投入し、攪拌翼のせん断熱のみの直接加熱で脱塩素、脱硫、半炭化、顆粒化を行い、攪拌時の多めの加水6L(冷却固化、溶融付着剥離、塩素・硫黄洗浄)により、半炭化した黒い顆粒状の造粒品(dry嵩密度0.88t/m、dry安息角35°)を生成し、樹脂最大温度280℃で塩素量1.45%D.B.→0.68%D.B.(指標脱塩素率53%)、硫黄量0.16%D.B.→0.068%D.B.(指標脱硫率56%)に脱塩素と脱硫した。ミキサー室内と攪拌翼の付着はほぼ無かった。
指標脱塩素・脱硫率=(投入塩素・硫黄量-固形燃料塩素・硫黄量)÷投入塩素・硫黄量
脱塩素時に行うエアパージで、ミキサー室内と排気の塩化水素・二酸化硫黄濃度と、排気温度をコントロールし、脱塩素時の排気温度は露点腐食を抑制する150℃以上で推移した。攪拌翼モーター周波数を調整する事で、相関する樹脂温度とモーター電流値のコントロールができ、モーターの過負荷停止は無く、脱塩素、脱硫半炭化して、加水して造粒した。
多めの加水で攪拌造粒洗浄後、加水と造粒品が混ざった状態で排出し、固液分離で造粒品に含有する塩素等の洗浄除去を行い、固液分離した液体の水質測定をすると、HClと同様な酸性を示した。
加水洗浄固液分離後の液体は、pH5.0(酸性)、全塩素4.8mg/Lであった。
図3に示すように、顆粒状造粒品の、篩下粒度積算分布により、粉末の粒度より大きい、粒度ほぼ0.1mm~1.2mm(篩下約質量85%)、平均粒子径0.56mm-D50の顆粒化造粒を生成した。
[実施例1と実施例2との比較評価:投入量が多いとせん断熱が高くなる]
同じ投入物と配合比率と攪拌羽根回転数で、運転開始~樹脂温度MAXまでの処理(攪拌翼せん断熱のみの直接加熱処理)時間は、実施例1が1時間54分、実施例2が45分。試験22の投入量より1.33倍多い実施例2の方が、実施例1に対し69分(61%)短縮した事から、投入量が多いとせん断熱が高くなる。
[実施例2と、実施例4,5との比較評価:加水と有機汚泥増量による溶融付着防止効果]
実施例2と実施例4の造粒後の、ミキサー内と攪拌翼の溶融付着の状態から、有機汚泥の増量による溶融付着防止に寄与することを実証した。また、実施例2と実施例5の造粒後の、ミキサー内と攪拌翼の溶融付着の状態から、加水による付着物の剥離効果を実証した。
本発明の方法により製造された固形燃料は、重油や石炭に代わる燃料として用いることができるから、容器包装リサイクル法やプラスチック資源循環戦略に準ずるだけでなく、エネルギー基本計画や固定価格買取制度にも準じ、産業上有用である。
1 高速回転式ミキサー
2 容器
3 投入口
4 排気口
5 加水ノズル
6 エアパージノズル
7 攪拌翼
8 排出弁
9 樹脂温度センサー
10 排気温度センサー


Claims (11)

  1. 高速回転式ミキサー内で、廃プラスチック及び付着防止材を、攪拌すると共に、攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱し、脱塩素及び半炭化を伴う造粒を行う固形燃料の製造方法であって、
    前記付着防止材が、バイオマス粉粒体、前記固形燃料、並びに、前記造粒時の廃プラスチック及び付着防止材の最高温度よりも引火点の高い油から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする固形燃料の製造方法。
  2. 製造される固形燃料が、塩素量1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の固形燃料の製造方法。
  3. 前記付着防止材が少なくともバイオマス粉粒体を含み、該バイオマス粉粒体が、排水処理施設から発生する有機性汚泥の粉粒体であることを特徴とする請求項1記載の固形燃料の製造方法。
  4. 前記付着防止材が少なくともバイオマス粉粒体を含み、該バイオマス粉粒体が、排水処理施設から発生する有機性汚泥の粉粒体であることを特徴とする請求項2記載の固形燃料の製造方法。
  5. 前記造粒が、前記攪拌翼のせん断熱によって、廃プラスチックを溶融して脱塩素及び半炭化した後、加水して、前記廃プラスチックを固化して粒状化するものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
  6. 前記高速回転式ミキサーの攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱する際に、エア又は不活性ガスのパージ処理を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
  7. 前記高速回転式ミキサーの攪拌翼のせん断熱によって180℃超に加熱する際に、エア又は不活性ガスのパージ処理を行うことを特徴とする請求項5記載の固形燃料の製造方法。
  8. 前記加水に用いる水が、塩化化合物を中和する中和剤を含有していることを特徴とする請求項5記載の固形燃料の製造方法。
  9. 製造される固形燃料が、塩素量1.0質量%以下であり、RPF品質基準に準拠する、高位発熱量25MJ/kg以上、水分5質量%以下、灰分10質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
  10. 製造される固形燃料が、塩素量1.0質量%以下であり、嵩密度0.4t/m以上、平均粒子径D5010.0mm以下、全粒の90%以上が粒度0.01mm以上、安息角50°以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
  11. 製造される固形燃料が、硫黄量1質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の固形燃料の製造方法。
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