JP7729581B2 - 肝機能向上剤および肝機能向上用経口組成物 - Google Patents

肝機能向上剤および肝機能向上用経口組成物

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Description

本発明は、天然物由来の化合物を有効成分とする、肝機能向上剤に関するものである。さらに本発明は、当該化合物を配合した肝機能向上用経口組成物にも関する。
肝臓は、代謝の中心的な役割を担う生命維持に不可欠の臓器であり、その主な機能だけでも、糖・たんぱく質・脂質・ホルモンの代謝、有害物質の解毒、胆汁の生成、血液の貯蔵などが挙げられる。肝臓は障害を受けても症状が現れにくい臓器であるが、それでも飲酒、栄養過多、薬剤の乱用、肝炎ウイルス等により肝機能が障害を受けると、疲労感、倦怠感、食欲不振等を示し、さらには黄胆等を呈する場合がある。そして、肝機能障害が進行すると、肝炎、肝硬変等の生活習慣病につながるおそれがあり、肝機能を向上させること、障害から保護することは、健康な生活を維持するうえで極めて重要である。
肝臓を保護する生体内成分として、グルタチオンが知られている。グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、細胞内の主要なシステイン残基を有する化合物である。グルタチオンは、主に肝臓で産生されて全身に供給され、細胞内においてラジカルの捕捉、酸化還元による細胞機能の調節、各種酵素のSH供与体等としての役割のほか、特に肝臓においては解毒機構に関与し、肝機能を保護することが知られている。肝臓のグルタチオンは、飲酒によりエタノールを代謝する過程、あるいは薬剤を代謝・解毒する過程等において大量に消費され、肝臓グルタチオン量が低下すると、急性または慢性アルコール性肝炎、薬剤性肝炎等の肝機能障害の原因となるほか、全身のグルタチオン量が減少し、白内障、パーキンソン病、皮膚におけるシミの生成等、多様な症状の原因となることが知られている。
したがって、肝臓(肝細胞)におけるグルタチオンの産生を促進することができれば、肝機能を向上させ、またグルタチオン減少に起因した各種障害の予防、治療または改善が期待できると考えられる。肝細胞においてグルタチオン産生促進作用を有するものとして、リクイリチン(特許文献1参照)等が知られている。
肝機能を向上させる成分として、アデノシン三リン酸(ATP)が知られている。ATPは、ブドウ糖や脂肪の代謝により産生され、エネルギー源として利用される。肝臓においては、エタノールや薬剤の代謝・解毒等、肝臓で行われる多くの化学反応におけるエネルギー源としてATPが利用されており、ATPの産生量が低下すると、これらの代謝・解毒等の効率が低下するほか、労働や運動等の活動に必要なエネルギーが不足し、その結果として疲労を招くと考えられている。
そのため、肝臓においてATPの産生を促進することができれば、エタノール摂取に起因した諸症状(例えば、二日酔い等)の予防または改善、薬剤に起因した肝障害の予防、治療または改善のほか、疲労回復を促進することができると考えられる。肝細胞においてATP産生促進作用を有するものとして、ヒハツ抽出物(特許文献2参照)等が知られている。
また、肝機能を向上させる方法として、肝細胞の増殖を促進する方法が挙げられる。肝臓は再生能力が高い臓器ではあるが、脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変等、肝機能障害が持続している状態においては、十分な肝再生が期待できない。そのため、肝細胞の増殖を効率的に促進することができれば、肝機能障害の治療・改善につながるものと考えられる。肝細胞増殖促進作用を有するものとして、ピログルタミン酸ならびにアスパラギン酸およびグルタミン酸との組み合わせ(特許文献3参照)等が知られている。
特開2009-269889号公報 特開2011-184381号公報 国際公開第2014/208381号
本発明は、天然物由来の化合物の中から、肝機能向上作用において優れた作用を有するものを見出し、それらを有効成分とする肝機能向上剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、肝機能向上作用において優れた作用を有する天然物由来化合物を配合した、肝機能向上用途に用いられる経口組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の肝機能向上剤は、下記式(I)で表される化合物を有効成分とすることを特徴とする。また、本発明の肝機能向上用経口組成物は、下記式(I)で表される化合物を配合することを特徴とする。
本発明によれば、上記式(I)で表される化合物を有効成分とすることにより、作用効果を有する肝機能向上剤を提供することができる。さらに、上記式(I)で表される化合物を配合することにより、肝機能向上用途に好適な経口組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
〔化合物(I)〕
本実施形態に係る肝機能向上剤は、下記式(I)で表される化合物を有効成分とするものである。また、本実施形態に係る肝機能向上用経口組成物は、下記式(I)で表される化合物が配合されるものである。
上記式(I)で表される化合物は、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸(3-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)propionic Acid)とも呼ばれるケイ皮酸誘導体である。以下、本明細書において、上記式(I)で表される化合物を化合物(I)ということがある。
化合物(I)は、例えば、化合物(I)を含有する植物抽出物から単離・精製することにより製造することができる。この場合、このような化合物(I)を含有する植物抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法によって得ることができる。化合物(I)を含有する植物としては、例えば、米、大麦、小麦、大豆、小豆、とうもろこし等が挙げられる。
化合物(I)は、例えば、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロペン酸(3-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)propenoic Acid)もしくはその誘導体、またはこれらを含有する組成物(例えば、植物の破砕物または抽出物等)を、フェノール酸還元酵素を有する微生物により醗酵させ、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロペン酸を化合物(I)に変換した後、得られた醗酵物を抽出・単離・精製することにより製造することもできる。3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロペン酸を含有する組成物としては、例えば、コーヒー、コムギ、トウモロコシ、トマト、マテ、ヨモギ、ゴボウ等の植物の破砕物及び抽出物などが挙げられる。また、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロペン酸は木本植物及び草本植物におけるリグニンの構成成分であるため、リグニンまたはこれを含有する組成物を醗酵原料として利用してもよい。一方、フェノール酸還元酵素を有する微生物としては、例えば、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus amylovorus、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus buchneri、Lactobacillus kefiranofaciens、Lactobacillus gallinarum、Enterococus faecalis等の乳酸菌などが挙げられる。
上記植物または醗酵物などから化合物(I)を抽出・単離・精製する方法は特に限定されず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出処理は、抽出原料としての上記植物または醗酵物を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供すればよい。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて、室温または溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は任意であり、適宜調整することができる。例えば、水と親水性有機溶媒との混合液を抽出溶媒として使用する場合には、任意の比率、すなわち0:100超、100:0未満(容量比,以下同様に表記)の間で混和して用いることができ、適宜調整することができる。
例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を抽出溶媒として使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比(容量比)を9:1以上とすることができ、さらには7:3以上とすることができ、あるいは水と低級脂肪族アルコールとの混合比を1:9以下、さらには2:8以下とすることができる。また、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水と多価アルコールとの混合比を8:2以上、あるいは1:9以下とすることができ、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族ケトンとの混合比を9:1以上、あるいは2:8以下とすることができる。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温または還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
以上のようにして得られた抽出液、当該抽出液の濃縮物または当該抽出液の乾燥物から化合物(I)を単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、抽出物を展開溶媒に溶解し、シリカゲルやアルミナ等の多孔質物質、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体やポリメタクリレート等の多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付して、化合物(I)を含む画分を回収する方法等が挙げられる。この場合、展開溶媒は使用する固定相に応じて適宜選択すればよいが、例えば固定相としてシリカゲルを用いた順相クロマトグラフィーにより抽出物を分離する場合、展開溶媒としてはクロロホルム:メタノール=95:5等が挙げられる。さらに、カラムクロマトグラフィーにより得られた化合物(I)を含む画分を、ODSを用いた逆相シリカゲルクロマトグラフィー、再結晶、液-液向流抽出、イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー等の任意の有機化合物精製手段を用いて精製してもよい。
〔肝機能向上剤〕
以上のようにして得られる化合物(I)は、優れた肝機能向上作用を有しているため、肝機能向上剤の有効成分として用いることができる。また、肝機能向上剤を製造するために、化合物(I)を使用することができる。
本実施形態の肝機能向上剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の幅広い用途に使用することができる。
ここで、化合物(I)が有する肝機能向上作用は、肝細胞グルタチオン産生促進作用、肝細胞アデノシン三リン酸(ATP)産生促進作用、または肝細胞増殖促進作用に基づいて発揮されることが好ましい。ただし、化合物(I)が有する肝機能向上作用は上記作用に基づいて発揮される肝機能向上作用に限定されるものではない。
また、化合物(I)は、その肝細胞グルタチオン産生促進作用、肝細胞ATP産生促進作用、または肝細胞増殖促進作用を利用して、それぞれ肝細胞グルタチオン産生促進用途、肝細胞ATP産生促進用途、または肝細胞増殖促進用途に用いることができる。すなわち、本実施形態の肝機能向上剤は、化合物(I)を有効成分とする肝細胞グルタチオン産生促進剤、肝細胞ATP産生促進剤、または肝細胞増殖促進剤として用いることもできる。
なお、本実施形態に係る肝機能向上剤の有効成分として、単離した化合物(I)に替えて、化合物(I)を含有する組成物を用いてもよい。ここで、本実施形態における「化合物(I)を含有する組成物」には、化合物(I)を含有する植物を抽出原料として得られる抽出物、化合物(I)を含有する醗酵物、及び当該醗酵物を抽出原料として得られる抽出物が含まれる。また、「抽出物」には、抽出処理により得られる抽出液、当該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、または当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物が含まれる。
本実施形態に係る肝機能向上剤の有効成分として、化合物(I)を含有する組成物を用いる場合は、組成物中に化合物(I)が0.1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。化合物(I)の純度を高めたものを有効成分として使用することによって、より一層作用効果に優れた肝機能向上剤を得ることができる。
本実施形態の肝機能向上剤は、化合物(I)または化合物(I)を含有する組成物のみからなるものでもよいし、化合物(I)または化合物(I)を含有する組成物を製剤化したものでもよい。
本実施形態の肝機能向上剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。肝機能向上剤は、他の組成物(例えば、後述する経口組成物等)に配合して使用することができるほか、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
本実施形態の肝機能向上剤を製剤化した場合、化合物(I)または化合物(I)を含有する組成物の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
なお、本実施形態の肝機能向上剤は、必要に応じて、肝機能向上作用を有する他の天然抽出物等を、化合物(I)または化合物(I)を含有する組成物とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態の肝機能向上剤の患者に対する投与方法としては、経口投与、腹腔内投与、静脈投与、皮下投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防又は治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本実施形態の肝機能向上剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態の肝機能向上剤は、有効成分である化合物(I)が有する作用により、肝機能を向上させることができる。肝機能向上用途に包含されるものとして:エタノール摂取に起因した症状(例えば二日酔い等)の予防、治療または改善;脂肪肝、アルコール性肝炎や薬剤性肝炎等の肝炎、肝硬変等の予防、治療または改善;などの用途が挙げられる。
ただし、本実施形態の肝機能向上剤は、これらの用途以外にも、肝機能向上作用、好ましくは、肝細胞グルタチオン産生促進作用、肝細胞ATP産生促進作用、または肝細胞増殖促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
例えば、本実施形態の肝機能向上剤または前述した肝細胞グルタチオン産生促進剤は、化合物(I)が有する肝細胞グルタチオン産生促進作用を通じて、白内障、パーキンソン病等、生体内グルタチオン濃度の低下と関連した疾患の予防、治療または改善などの用途に用いることができる。
また、本実施形態の肝機能向上剤または前述した肝細胞ATP産生促進剤は、化合物(I)が有する肝細胞ATP産生促進作用を通じて、疲労感・倦怠感の回復等の用途に用いることができる。
本実施形態の肝機能向上剤または前述した肝細胞増殖促進剤は、化合物(I)が有する肝細胞増殖促進作用を通じて、肝臓の再生医療等の用途に用いることができる。
また、本実施形態の肝機能向上剤は、肝機能向上作用において優れた作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
〔肝機能向上用経口組成物〕
化合物(I)は、肝機能向上作用において優れた作用を有しているため、経口組成物に配合するのに好適である。この場合、化合物(I)または化合物(I)を含有する組成物をそのまま配合してもよいし、化合物(I)から製剤化した、肝機能向上剤を配合してもよい。
化合物(I)もしくは化合物(I)を含有する組成物、または化合物(I)もしくは化合物(I)を含有する組成物から製剤化した肝機能向上剤を経口組成物に配合することにより、肝機能向上用途に好適な経口組成物とすることができる。上記作用は、経口組成物に付与されることで作用効果が発揮されやすいため、好適である。
ここで、経口組成物とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「経口組成物」は、経口的に摂取される一般食品、飼料、健康食品、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品,機能性表示飲食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。本実施形態に係る経口組成物は、当該経口組成物またはその包装に、化合物(I)が有する好ましい作用を表示することのできる経口組成物であることが好ましく、保健機能食品(特定保健用食品,機能性表示食品,栄養機能食品)、医薬部外品または医薬品であることが特に好ましい。
化合物(I)もしくは化合物(I)を含有する組成物、または化合物(I)もしくは化合物(I)を含有する組成物から製剤化した肝機能向上剤を経口組成物に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる経口組成物の一般的な摂取量を考慮して、化合物(I)の成人1日あたりの摂取量が約1~1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象経口組成物が顆粒状、錠剤状またはカプセル状の経口組成物の場合、化合物(I)もしくは化合物(I)を含有する組成物、または化合物(I)もしくは化合物(I)を含有する組成物から製剤化した肝機能向上剤の添加量は、添加対象経口組成物に対して通常0.1~100質量%であり、好ましくは5~100質量%である。
本実施形態の経口組成物は、化合物(I)をその活性を妨げないような任意の経口組成物に配合したものであってもよいし、化合物(I)を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
本実施形態の経口組成物を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の経口組成物にすることができる。
化合物(I)を配合し得る経口組成物は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などが挙げられ、これらの経口組成物に化合物(I)を配合するときに、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
なお、本実施形態の肝機能向上剤および肝機能向上用経口組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
以下、試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。なお、本試験例においては、被験試料として化合物(I)(東京化成工業社製,3-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)propionic Acid,試料1)を使用した。
〔試験例1〕肝細胞におけるグルタチオン産生促進作用試験
化合物(I)(試料1)について、肝細胞におけるグルタチオン産生促進作用を以下のように試験した。
正常ヒト肝細胞(Hepatocyte)を、10%FBS含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10 cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有DMEMで希釈した後、48wellプレートに1wellあたり200μLずつ播種し、一晩培養した。
培養後、1%FBS含有DMEMに溶解した被験試料(試料1,終濃度は下記表1を参照)を各wellに200μLずつ添加し、さらに24時間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加の1%FBS含有DMEMを用いて同様に培養した。培養終了後、各wellから培地を抜き、400μLのPBS(-)にて洗浄した後、150μLのM-PER(PIERCE社製)を用いて細胞を溶解した。
このうちの100μLを用いて総グルタチオンの定量を行った。すなわち、96wellプレートに溶解した細胞抽出液100μL、0.1mol/Lのリン酸緩衝液50μL、2mmol/LのNADPH25μLおよび3.2units/mLのグルタチオンレダクターゼ25μLを加え37℃で10分間加温した後、10mmol/Lの5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオン(富士フィルム和光純薬社製)を使用して作成した検量線をもとに算出した。得られた値を総タンパク量当たりのグルタチオン量に補正した後、下記式に基づいてグルタチオン産生促進率(%)を算出した。
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:試料無添加の細胞における総タンパク量当たりのグルタチオン量
B:被験試料を添加した細胞における総タンパク量当たりのグルタチオン量
結果を表1に示す。
表1に示すように、化合物(I)(試料1)は、肝細胞において優れたグルタチオン産生促進作用を有しているものと認められた。
〔試験例2〕肝細胞におけるATP産生促進作用試験
化合物(I)(試料1)について、肝細胞におけるATP産生促進作用を以下のように試験した。
正常ヒト肝細胞(Hepatocyte)を、10%FBS含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有DMEMで希釈した後、96wellプレートに1wellあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、培地を除去し、10%FBS含有DMEMに溶解した被験試料(試料1,終濃度は下記表2を参照)を各wellに100μLずつ添加し、2時間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加の10%FBS含有DMEMを用いて同様に培養した。
ATP産生促進作用は、ホタルルシフェラーゼ発光法を用いて細胞内のATP量を測定することにより評価した。すなわち、2時間培養後、ATP測定試薬(東洋ビーネット社製,商品名「『細胞の』ATP測定試薬」)を各ウェルに100μLずつ添加し、ルシフェラーゼによる化学発光反応を行った。反応後、細胞内ATP量に比例した化学発光量を、化学発光測定装置(Thermo Fisher Scientific社製,製品名:Varioskan LUX マルチモードマイクロプレートリーダー)を用いて測定した。得られた結果から、下記式によりATP産生促進率(%)を算出した。
ATP産生促進率(%)=A/B×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:被験試料を添加した細胞における化学発光量
B:試料無添加の細胞における化学発光量
結果を表2に示す。
表2に示すように、化合物(I)(試料1)は、肝細胞において優れたATP産生促進作用を有しているものと認められた。
〔試験例3〕肝細胞増殖促進作用試験
化合物(I)(試料1)について、以下のようにして肝細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト肝細胞を、10%FBS含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.25×10cells/mLの細胞密度になるように1%FBS含有DMEMで希釈した後、96wellプレートに1wellあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、培地を除去し、1%FBS含有DMEMに溶解した被験試料(試料1,終濃度は下記表3を参照)を各wellに200μLずつ添加し、さらに3日間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加の1%FBS含有DMEMを用いて同様に培養した。
培養終了後、MTTアッセイにより肝細胞増殖促進作用を測定した。すなわち、培地を除去し、PBS(-)で調製した0.4mg/mL MTTを各wellに100μLずつ添加し、さらに2時間培養した後、細胞内に生成したブルーホルマザンを2-プロパノール100μLで抽出した。この抽出液について、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。測定結果から、下記式に基づいて、肝細胞増殖促進率(%)を算出した。
肝細胞増殖促進率(%)=A/B×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:被験試料を添加した細胞でのブルーホルマザン生成量
B:試料無添加の細胞でのブルーホルマザン生成量
結果を表3に示す。
表3に示すように、化合物(I)(試料1)は、優れた肝細胞増殖促進作用を有していると認められた。
〔配合例1〕
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
化合物(I) 5.0mg
ドロマイト(カルシウム20%、マグネシウム10%含有) 83.4mg
カゼインホスホペプチド 16.7mg
ビタミンC 33.4mg
マルチトール 136.8mg
コラーゲン 12.7mg
ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
〔配合例2〕
常法により、以下の組成を有するカプセル剤を製造した。なお、カプセルとしては、1号ハードゼラチンカプセルを使用した。
<1カプセル(1錠200mg)中の組成>
化合物(I) 10.0mg
コーンスターチ 70.0mg
乳糖 100.0mg
乳酸カルシウム 10.0mg
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L) 10.0mg
〔配合例3〕
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
化合物(I) 0.3質量%
ソルビット 12.0質量%
安息香酸ナトリウム 0.1質量%
香料 1.0質量%
硫酸カルシウム 0.5質量%
精製水 残部(100質量%)
本発明の本実施形態の肝機能向上剤、および肝機能向上用経口組成物は、肝機能を向上させることができ、これにより:エタノール摂取に起因した症状(例えば二日酔い等)の予防、治療または改善;脂肪肝、アルコール性肝炎や薬剤性肝炎等の肝炎、肝硬変等の予防、治療または改善;などに大きく貢献することができる。

Claims (2)

  1. 下記式(I)で表される化合物を有効成分とし、
    肝細胞グルタチオン産生促進作用および/または肝細胞増殖促進作用に基づく肝機能向上用途に用いられる
    ことを特徴とする肝機能向上剤。
  2. 下記式(I)で表される化合物を配合し
    肝細胞グルタチオン産生促進作用および/または肝細胞増殖促進作用に基づく肝機能向上用途に用いられる
    ことを特徴とする肝機能向上用経口組成物。
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