JP7729752B2 - 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜および全固体型リチウムイオン電池 - Google Patents
硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜および全固体型リチウムイオン電池Info
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Description
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%であるときの粒子径d50が0.1μm以上100μm以下の硫化物系無機固体電解質材料であって、
以下(方法)に従って測定した付着面積が10%以下である、
硫化物系無機固体電解質材料が提供される。
(方法)
(1)JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.017μm以上0.023μm以下、最大高さRzが0.14μm以上0.18μm以下、十点平均粗さRzjisが0.12μm以上0.16μm以下であり、縦8cm×横9cmのSUS304プレートを、縦辺を水平面との接線として水平面に対する傾斜が45°となるように設置する。
(2)目開き250μmの篩を用いて、上記SUS304プレート上に硫化物系無機固体電解質材料10gを上記水平面から10cmの高さから、上記SUS304プレート全体に上記硫化物系無機固体電解質材料がかかるようにふるい落とす。
(3)上記SUS304プレートの上端から5cmの高さから、47gのジルコニアボール1個を上記SUS304プレートの上端のみに当たり、上記SUS304プレートの硫化物系無機固体電解質材料が付着した面には当たらないように3回落とす。
(4)衝撃が加わった後の上記SUS304プレートの上記硫化物系無機固体電解質材料が付着した面の面積を測定し、上記SUS304プレートの片面の面積に対する割合(付着面積)を算出する。
上記硫化物系無機固体電解質材料を主成分として含む固体電解質膜が提供される。
正極活物質層を含む正極と、電解質層と、負極活物質層を含む負極とを備えた全固体型リチウムイオン電池であって、
上記正極活物質層、上記電解質層および上記負極活物質層のうち少なくとも一つが、上記硫化物系無機固体電解質材料を含む全固体型リチウムイオン電池が提供される。
はじめに、本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料について説明する。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%であるときの粒子径d50が0.1μm以上100μm以下の硫化物系無機固体電解質材料であって、以下(方法)に従って測定した付着面積が10%以下である、硫化物系無機固体電解質材料である。
(1)JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.017μm以上0.023μm以下、最大高さRzが0.14μm以上0.18μm以下、十点平均粗さRzjisが0.12μm以上0.16μm以下であり、縦8cm×横9cmのSUS304プレートを、縦辺を水平面との接線として水平面に対する傾斜が45°となるように設置する。
(2)目開き250μmの篩を用いて、上記SUS304プレート上に硫化物系無機固体電解質材料10gを上記水平面から10cmの高さから、上記SUS304プレート全体に上記硫化物系無機固体電解質材料がかかるようにふるい落とす。
(3)上記SUS304プレートの上端から5cmの高さから、47gのジルコニアボール1個を上記SUS304プレートの上端のみに当たり、上記SUS304プレートの硫化物系無機固体電解質材料が付着した面には当たらないように3回落とす。
(4)衝撃が加わった後の上記SUS304プレートの上記硫化物系無機固体電解質材料が付着した面の面積を測定し、上記SUS304プレートの片面の面積に対する割合(付着面積)を算出する。
また、従来のメカニカルミリング方法を用いて製造された硫化物系無機固体電解質材料は、反応が不十分な硫化物系無機固体電解質材料が、製造装置から回収された硫化物系無機固体電解質材料中に混入することにより、製造バッチごとのリチウムイオン伝導性にバラつきが生じることがあった。
この理由は定かではないが、SUS304プレートに対する付着面積が少ないということは、不安定で反応性が高い未反応の原料組成物が少ないということに言い換えることができる。その結果、従来のハンドリング性およびリチウムイオン伝導性を維持しつつも、製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきが少ない硫化物系無機固体電解質材料が提供できるものと考えられる。
また、付着面積の下限値は特に限定されないが、例えば、0%以上である。
(i)硫化物系無機固体電解質材料の原料配合割合
(ii)製造方法
以上の2点を適切に選択することが好ましい。ここで、(i)原料配合割合としては、後述する当該硫化物系無機固体電解質材料中のPの含有量に対するLiの含有量のモル比(Li/P)およびPの含有量に対するSの含有量のモル比(S/P)を後述の範囲とすることが好ましい。
また、(ii)製造方法としては、内壁面が表面粗さの小さい平滑面である装置を用いることが好ましい。このような内壁面が平滑面である装置の例として、後述する装置10が挙げられる。
硫化物系無機固体電解質材料の粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、得られる固体電解質膜のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
また、Pの含有量に対するSの含有量のモル比(S/P)が好ましくは1.0以上10.0以下であり、より好ましくは2.5以上6.0以下であり、さらに好ましくは3.0以上5.0以下であり、さらにより好ましくは3.5以上4.8以下であり、特に好ましくは3.7以上4.5以下である。
ここで、本実施形態の固体電解質材料中のLi、P、およびSの含有量は、例えば、ICP発光分光分析により求めることができる。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度が上記下限値以上であると、より一層電池特性に優れた全固体型リチウムイオン電池を得ることができる。
また、硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の上限値は特に限定されないが、例えば、3.0×10-3S・cm-1以下である。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を適用した全固体型リチウムイオン電池の例としては、正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層されたものが挙げられる。この場合、固体電解質層が硫化物系無機固体電解質材料により構成されたものである。
次に、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法は、従来の硫化物系無機固体電解質材料の製造方法とは異なるものである。SUS304プレートに対する付着面積が上記範囲内にある本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、硫化物系無機固体電解質材料の組成比率や、原料である無機組成物をガラス化すること等の製造条件を高度に制御することが重要である。
より具体的には、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、以下の(A)および(B)の工程を含む製造方法により得ることができる。また、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法は、以下の(C)の工程をさらに含んでもよい。
工程(B):無機組成物を機械的処理することにより、原料である無機化合物同士を化学反応させながら無機組成物をガラス化する工程
工程(C):得られた硫化物系無機固体電解質材料を粉砕、分級、または造粒する工程
はじめに、原料である2種以上の無機化合物を含む無機組成物を準備する。
無機化合物としては機械的処理により互いに化学反応して、構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物系無機固体電解質材料を生成する化合物を2種以上用いる。これらの無機化合物は、生成させる硫化物系無機固体電解質材料に応じて適宜選択することができ、例えば、硫化リチウム、硫化リン、窒化リチウム等を用いることができる。
2種以上の無機化合物を混合する方法としては各無機化合物を均一に混合できる混合方法であれば特に限定されないが、例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、打撃粉砕装置、ミキサー(パグミキサー、リボンミキサー、タンブラーミキサー、ドラムミキサー、V型混合器等)、気流粉砕機等を用いて混合することができる。
各無機化合物を混合するときの攪拌速度や処理時間、温度、反応圧力、混合物に加えられる重力加速度等の混合条件は、混合物の処理量によって適宜決定することができる。
ここで、本実施形態において、硫化リチウムには多硫化リチウムも含まれる。
本実施形態の窒化リチウムとしては特に限定されず、市販されている窒化リチウム(例えば、Li3N等)を使用してもよいし、例えば、金属リチウム(例えば、Li箔)と窒素ガスとの反応により得られる窒化リチウムを使用してもよい。高純度な固体電解質材料を得る観点および副反応を抑制する観点から、不純物の少ない窒化リチウムを使用することが好ましい。
つづいて、無機組成物を機械的処理することにより、原料である無機化合物同士を化学反応させながら無機組成物をガラス化する。
ここで、機械的処理は、原料である2種以上の無機化合物を機械的に衝突させることにより、化学反応させながら無機組成物をガラス化させることができるものであり、例えば、メカノケミカル処理等が挙げられる。
また、不活性雰囲気下とは、真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下のことである。上記不活性雰囲気下では、水分の接触を避けるために露点が-50℃以下であることが好ましく、-60℃以下であることがより好ましい。上記不活性ガス雰囲気下とは、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下のことである。これらの不活性ガスは、製品への不純物の混入を防止するために、高純度である程好ましい。混合系への不活性ガスの導入方法としては、混合系内が不活性ガス雰囲気で満たされる方法であれば特に限定されないが、不活性ガスをパージする方法、不活性ガスを一定量導入し続ける方法等が挙げられる。
通常は、線源としてCuKα線を用いたX線回折分析をしたとき、無機組成物の回折ピークが消失または低下していたら、無機組成物はガラス化され、所望の硫化物系無機固体電解質材料が得られていると判断することができる。
ここで、このような硫化物系無機固体電解質材料の製造に好ましく用いられる装置10について、図面を用いて説明する。
この理由は定かではないが、粉砕部200の装置内壁面を算術平均粗さRaが小さい平滑面とすることにより、未反応の原料組成物および硫化物系無機固体電解質材料の装置内壁面への付着および堆積を防止し、粉砕部200に未反応の原料組成物および硫化物系無機固体電解質材料を投入しやすくなったと考えられる。その結果、未反応の原料組成物および硫化物系無機固体電解質材料のメカノケミカル処理が進みやすくなり、原料組成物が未反応のまま回収されることを防止できるものと考えられる。
具体的には、粉砕部200の装置内壁面のJIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaの上限値が0.02μmであることが好ましく、0.015μmがさらに好ましく、0.01μmがより好ましく、0.005μmが特に好ましい。
また、粉砕部200の装置内壁面の算術平均粗さRaの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.001μm以上であり、0.003μm以上である。
また、粉砕部200の装置内壁面の最大高さRzの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.01μm以上であり、0.03μm以上である。
また、粉砕部200の装置内壁面の十点平均粗さRzjisの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.01μm以上であり、0.03μm以上である。
具体的には、第1回収部、第2回収部、第1収容部、第2収容部、第1配管、第2配管、第3配管、第4配管、第5配管および第6配管から選択される1部または2部以上の部分における装置内壁面のJIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaの上限値が0.02μmであることが好ましく、0.015μmがさらに好ましく、0.01μmがより好ましく、0.005μmが特に好ましい。上記算術平均粗さRaを上記上限値以下とすることで、得られる硫化物系無機固体電解質材料の製造バッチごとのリチウムイオン伝導性のバラつきをより低減させることが可能である。
また、上記算術平均粗さRaの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.001μm以上であり、0.003μm以上である。
また、上記最大高さRzの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.01μm以上であり、0.03μm以上である。
また、上記十点平均粗さRzjisの下限値は特に限定されないが、例えば、0μm以上であり、0.01μm以上であり、0.03μm以上である。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法では、必要に応じて、得られた硫化物系無機固体電解質材料を粉砕、分級、または造粒する工程をさらにおこなってもよい。例えば、粉砕により微粒子化し、その後、分級操作や造粒操作によって粒子径を調整することにより、所望の粒子径を有する硫化物系無機固体電解質材料を得ることができる。上記粉砕方法としては特に限定されず、ミキサー、気流粉砕、乳鉢、回転ミル、コーヒーミル等公知の粉砕方法を用いることができる。また、上記分級方法としては特に限定されず、篩等公知の方法を用いることができる。
これらの粉砕または分級は、空気中の水分との接触を防ぐことができる点から、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下で行うことが好ましい。
次に、本実施形態に係る固体電解質膜について説明する。
本実施形態に係る固体電解質膜は、前述した本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を主成分として含む固体電解質膜である。
本実施形態に係る固体電解質膜を適用した全固体型リチウムイオン電池の例としては、正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層されたものが挙げられる。この場合、固体電解質層が固体電解質膜により構成されたものである。
加圧成形体とすることにより、無機固体電解質材料同士の結合が起こり、得られる固体電解質膜の強度はより一層高くなる。その結果、無機固体電解質材料の欠落や、無機固体電解質材料表面のクラックの発生をより一層抑制できる。
これにより、固体電解質材料間の接触性が改善され、固体電解質膜の界面接触抵抗を低下させることができる。その結果、固体電解質膜のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。そして、このようなリチウムイオン伝導性に優れた固体電解質膜を用いることにより、得られる全固体型リチウムイオン電池の電池特性を向上できる。
なお、「バインダー樹脂を実質的に含まない」とは、本実施形態の効果が損なわれない程度には含有してもよいことを意味する。また、固体電解質層と正極層または負極層との間に粘着性樹脂層を設ける場合、固体電解質層と粘着性樹脂層との界面近傍に存在する粘着性樹脂層由来の粘着性樹脂は、「固体電解質膜中のバインダー樹脂」から除かれる。
上記硫化物系無機固体電解質材料を加圧する方法は特に限定されず、例えば、金型のキャビティ表面上に粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を堆積させた場合は金型と押し型によるプレス、粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を基材表面上に堆積させた場合は金型と押し型によるプレスやロールプレス、平板プレス等を用いることができる。
硫化物系無機固体電解質材料を加圧する圧力は、例えば、10MPa以上500MPa以下である。
硫化物系無機固体電解質材料を加熱する温度は、例えば、40℃以上500℃以下である。
つぎに、本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池600について説明する。図5は、本発明に係る実施形態の全固体型リチウムイオン電池600の構造の一例を模式的に示した断面図である。本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池600はリチウムイオン二次電池であるが、リチウムイオン一次電池であってもよい。
また、実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池600は、正極層610と、固体電解質層620と、負極層630とにより構成される単位セルを2つ以上積層させることにより、バイポーラ型リチウムイオン電池とすることもできる。
全固体型リチウムイオン電池600の形状は特に限定されず、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状が挙げられる。
正極活物質層の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
正極活物質としては特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池の正極層に使用可能な一般的に公知の正極活物質を用いることができる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)、固溶体酸化物(Li2MnO3-LiMO2(M=Co、Ni等))、リチウム-マンガン-ニッケル酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)、オリビン型リチウムリン酸化物(LiFePO4)等の複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子;Li2S、CuS、Li-Cu-S化合物、TiS2、FeS、MoS2、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物等の硫化物系正極活物質;硫黄を含浸したアセチレンブラック、硫黄を含浸した多孔質炭素、硫黄と炭素の混合粉等の硫黄を活物質とした材料;等を用いることができる。これらの正極活物質は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、より高い放電容量密度を有し、かつ、サイクル特性により優れる観点から、硫化物系正極活物質が好ましく、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物から選択される一種または二種以上がより好ましい。
また、Li-Ti-S化合物は構成元素としてLi、Ti、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるチタン硫化物と硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
Li-V-S化合物は構成元素としてLi、V、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるバナジウム硫化物と硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
正極活物質層中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
負極活物質層の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
負極活物質としては特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池の負極層に使用可能な一般的に公知の負極活物質を用いることができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、樹脂炭、炭素繊維、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素質材料;スズ、スズ合金、シリコン、シリコン合金、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を主体とした金属系材料;ポリアセン、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性ポリマー;金属リチウム;リチウムチタン複合酸化物(例えばLi4Ti5O12)等が挙げられる。これらの負極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
負極活物質層中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
はじめに、以下の実施例および比較例における評価方法を説明する。
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)を用いて、レーザー回折散乱法により、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料の粒度分布を測定した。測定結果から、各硫化物系無機固体電解質材料について、体積基準の累積分布における50%累積時の粒径(d50、粒子径)をそれぞれ求めた。
実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料について、以下に示すふるいかけ試験を行った。以下、図6に硫化物系無機固体電解質材料740のふるいかけの模式図を、図7にジルコミアボール780により衝撃を与える模式図を示す。以降の説明は、図6および図7を参照して説明する。
JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.020μm、最大高さRzが0.16μm、十点平均粗さRzjisが0.14μmのSUS304を、縦8cm×横9cmとなるように切断加工し、SUS304プレート710とした。その後、上記SUS304プレートを、水平面720に対する設置角度730が45°となるようにテーブル上に設置した。次いで、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料740 10gを、目開き250μmの篩750を用いて、上記水平面720からの高さ760が10cmとなる位置から、硫化物系無機固体電解質材料740がSUS304プレート710全体にふるいかかるようにふるい落とした。さらに、SUS304プレート710の上端からの高さ770が5cmとなる位置から、47gのジルコニアボール780(ニッカトー社製、直径2.5cmの真球状)を、SUS304プレート710の上端のみに当たり、SUS304プレート710の硫化物系無機固体電解質材料740が付着した面には当たらないように3回落とすことで、SUS304プレート710に衝撃を加えた。最後に、衝撃が加わった後のSUS304プレート710の硫化物系無機固体電解質材料740が付着した面をカメラにて撮影し、その写真を画像処理ソフトPaint.net(v4.2.16)にて粉付着部と未付着部に分離、画像解析ソフトImageJ(1.52a)にて粉付着部の面積を測定し、SUS304プレート710の片面の面積72cm2に対する割合(付着面積)を算出した。
図8に、実施例および比較例の硫化物系無機固体電解質材料を用いたふるいかけ試験後のSUS304プレートの様子および付着面積の算出結果を示す。
ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメント社製、SPS3000)を用いて、ICP発光分光分析法により測定し、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料中の各元素の質量%をそれぞれ求め、それに基づいて、各元素のモル比をそれぞれ計算した。
実施例および比較例の硫化物系無機固体電解質材料をそれぞれ10バッチ用意し、各バッチにおいて交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度の測定をおこなった。
リチウムイオン伝導度の測定は、バイオロジック社製のポテンショスタット/ガルバノスタットSP-300を用いた。試料の大きさはφ9.5mm、厚さ1.3mm、測定条件は、印加電圧10mV、測定温度27.0℃、測定周波数域0.1Hz~3MHz、電極はLi箔とした。
ここで、リチウムイオン伝導度測定用の試料としては、プレス装置を用いて、実施例および比較例で得られた粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を290℃で2時間アニールした後、270MPa、10分間プレスして得られる厚さ1.3mmの板状の硫化物系無機固体電解質材料を用いた。
その後、実施例および比較例において、測定した硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の10バッチの平均値を算出した。この10バッチの平均値を、各実施例および比較例における硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度とした。
実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料をそれぞれ10バッチ用意し、各バッチにおいて上記(4)で上述した交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度の測定をおこなった。
つづいて、実施例および比較例において、測定したリチウムイオン伝導度の10バッチの平均値を算出した。その後、10バッチ中のリチウムイオン伝導度の安定性について、以下の3段階より評価を行った。
A:平均値の0.85倍以下1.15倍以上の測定値が無い
B:平均値の0.85倍以下1.15倍以上の測定値が1~2バッチある
C:平均値の0.85倍以下1.15倍以上の測定値が3バッチ以上ある
構成元素としてLi、PおよびSを含む粉末状の硫化物系無機固体電解質材料を以下の手順で作製した。
原料には、Li2S(古河機械金属社製、純度99.9%)、P2S5(関東化学社製)、およびLi3N(古河機械金属社製)をそれぞれ使用した。
つづいて、装置10(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.005μm、Rz:0.030μm、Rzjis:0.026μm)に各原料をLi2S:P2S5:Li3N=71.0:23.7:5.3(モル%)になるように投入し、70時間のメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:3.0μm、Rz:18.8μm、Rzjis:17μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:1.5μm、Rz:7.0μm、Rzjis:6.1μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:1.0μm、Rz:5.7μm、Rzjis:4.6μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.5μm、Rz:2.4μm、Rzjis:2.1μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.3μm、Rz:1.6μm、Rzjis:1.2μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.1μm、Rz:0.6μm、Rzjis:0.5μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
原料は、実施例1と同様のものを用いた。
つづいて、実施例1における装置10を従来の装置(JIS B 0601(2013)に従って測定した装置内壁面のRa:0.05μm、Rz:0.29μm、Rzjis:0.24μm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてメカニカルミリングを行い、硫化物系無機固体電解質材料を得た。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
100 送風部
102 ガス入口
104 ガス出口
106 インバーター
110 バッファタンク
112 ガス入口
114 ガス出口
116 調整口
200 粉砕部
202 ガス入口
204 材料供給管
206 材料排出管
208 ガス排出口
212 回転テーブル
214 ボール
216 押圧部
220 カバー部
300 第1回収部
302 吸引口
304 材料排出口
306 ガス排出口
308 材料供給口
310 第1収容部
400 第2回収部
402 吸引口
404 材料排出口
406 ガス排出管
410 第2収容部
500 減圧部
600 全固体型リチウムイオン電池
610 正極層
620 固体電解質層
630 負極層
710 SUS340プレート
720 水平面
730 設置角度
740 硫化物系無機固体電解質材料
750 篩
760 水平面720からの高さ
770 SUS304プレート710の上端からの高さ
780 ジルコニアボール
D 排気ダクト
Le 第1ライン
Lh 第2ライン
Pa 配管
Pb 第5配管
Pc 第2配管
Pd 第6配管
Pe 第1配管
Pf 第3配管
Pg 配管
Ph 第4配管
Pi 配管
Pj 配管
Pk 配管
Pl 配管
Pm 配管
Pn 配管
Po 配管
S 系
Va1 バルブ
Vb1 第5バルブ
Vc1 バルブ
Vc2 第2バルブ
Vc3 バルブ
Vd1 第6バルブ
Ve1 第1バルブ
Ve2 バルブ
Vf1 第3バルブ
Vg1 バルブ
Vh1 バルブ
Vh2 バルブ
Vi1 バルブ
Vi2 バルブ
Vj1 バルブ
Vk1 バルブ
Vl1 バルブ
Vm1 バルブ
Vn1 バルブ
Vo1 バルブ
Claims (6)
- レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の累積度数分布曲線において累積度数が50%であるときの粒子径d50が0.1μm以上100μm以下の硫化物系無機固体電解質材料であって、
以下(方法)に従って測定した付着面積が10%以下である、
硫化物系無機固体電解質材料。
(方法)
(1)JIS B 0601(2013)に従って測定した算術平均粗さRaが0.017μm以上0.023μm以下、最大高さRzが0.14μm以上0.18μm以下、十点平均粗さRzjisが0.12μm以上0.16μm以下であり、縦8cm×横9cmのSUS304プレートを、縦辺を水平面との接線として水平面に対する傾斜が45°となるように設置する。
(2)目開き250μmの篩を用いて、前記SUS304プレート上に硫化物系無機固体電解質材料10gを前記水平面から10cmの高さから、前記SUS304プレート全体に前記硫化物系無機固体電解質材料がかかるようにふるい落とす。
(3)前記SUS304プレートの上端から5cmの高さから、47gのジルコニアボール1個を前記SUS304プレートの上端のみに当たり、前記SUS304プレートの硫化物系無機固体電解質材料が付着した面には当たらないように3回落とす。
(4)衝撃が加わった後の前記SUS304プレートの前記硫化物系無機固体電解質材料が付着した面の面積を測定し、前記SUS304プレートの片面の面積に対する割合(付着面積)を算出する。 - 請求項1に記載の硫化物系無機固体電解質材料であって、
構成元素として、Li、P、およびSを含む硫化物系無機固体電解質材料。 - 請求項2に記載の硫化物系無機固体電解質材料であって、
前記硫化物系無機固体電解質材料中の前記Pの含有量に対する前記Liの含有量のモル比(Li/P)が1.0以上10.0以下であり、前記Pの含有量に対する前記Sの含有量のモル比(S/P)が1.0以上10.0以下である硫化物系無機固体電解質材料。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の硫化物系無機固体電解質材料であって、
27.0℃、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz~7MHzの測定条件における交流インピーダンス法で測定したリチウムイオン伝導度が1.0×10-4S・cm-1以上である、硫化物系無機固体電解質材料。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の硫化物系無機固体電解質材料を含む固体電解質膜。
- 正極活物質層を含む正極と、電解質層と、負極活物質層を含む負極とを備えた全固体型リチウムイオン電池であって、
前記正極活物質層、前記電解質層および前記負極活物質層のうち少なくとも一つが、請求項1~4のいずれか1項に記載の硫化物系無機固体電解質材料を含む全固体型リチウムイオン電池。
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