以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る塗布装置1の全体構成を模式的に示す図である。塗布装置1は、基板Sの上面Sfに塗布液を塗布する基板処理装置である。基板Sは、例えば、液晶表示装置用のガラス基板である。なお、基板Sは、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、磁気・光ディスク用のガラス又はセラミック基板、有機EL用ガラス基板、太陽電池用ガラス基板又はシリコン基板、その他フレキシブル基板およびプリント基板などの電子機器向けの各種被処理基板であってもよい。塗布装置1は、例えばスリットコータである。なお、塗布装置1の各要素の配置関係を説明するため、図面においては、XYZ座標系を定義している。基板Sの搬送方向は、「X方向」である。X方向において基板Sが進行する方向(搬送方向の下流へ向かう方)が+X方向、その逆方向(搬送方向の上流へ向かう方)が-X方向である。また、X方向に直交する方向はY方向であり、X方向及びY方向に直交する方向はZ方向である。以下の説明では、Z方向を鉛直方向とし、X方向およびY方向を水平方向とする。Z方向において、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向とする。
塗布装置1は、+X方向に向かって順に、入力コンベヤ100と、入力移載部2と、浮上ステージ部3と、出力移載部4と、出力コンベヤ110とを備えている。入力コンベヤ100と、入力移載部2と、浮上ステージ部3と、出力移載部4と、出力コンベヤ110とは、基板Sが通過する搬送経路を形成している。また、塗布装置1は、基板搬送部5と、塗布機構7と、塗布液供給機構8と、制御ユニット9とをさらに備えている。
基板Sは、上流側から入力コンベヤ100に搬送される。入力コンベヤ100は、コロコンベヤ101と、回転駆動機構102とを備えている。回転駆動機構102は、コロコンベヤ101の各コロを回転させる。コロコンベヤ101の各コロの回転によって、基板Sは、水平姿勢で下流(+X方向)に搬送される。「水平姿勢」とは、基板Sの主面(面積が最大の面)が水平面(XY平面)に対して平行な状態をいう。
入力移載部2は、コロコンベヤ21と回転・昇降駆動機構22とを備えている。回転・昇降駆動機構22は、コロコンベヤ21の各コロを回転させるとともに、コロコンベヤ21を昇降させる。コロコンベヤ21の回転によって、基板Sは、水平姿勢で下流(+X方向)に搬送される。また、コロコンベヤ21の昇降により、基板SのZ方向における位置が変更される。基板Sは、入力コンベヤ100から入力移載部2を介して浮上ステージ部3へ移載される。
図1に示すように、浮上ステージ部3は、略平板状である。浮上ステージ部3は、X方向に沿って3分割されている。浮上ステージ部3は、+X方向に向かって順に、入口浮上ステージ31と、塗布ステージ32と、出口浮上ステージ33とを備えている。入口浮上ステージ31の上面、塗布ステージ32の上面、および出口浮上ステージ33の上面は、同一平面上にある。浮上ステージ部3は、リフトピン駆動機構34と、浮上制御機構35と、昇降駆動機構36とをさらに備えている。リフトピン駆動機構34は、入口浮上ステージ31に配置されたいくつかのリフトピンを昇降させる。浮上制御機構35は、基板Sを浮上させるための圧縮空気を、入口浮上ステージ31、塗布ステージ32、および出口浮上ステージ33に供給する。昇降駆動機構36は、出口浮上ステージ33を昇降させる。
入口浮上ステージ31の上面、および、出口浮上ステージ33の上面には、浮上制御機構35から供給される圧縮空気を噴出する多数の噴出穴がマトリクス状に配置されている。各噴出穴から圧縮空気が噴出すると、基板Sが浮上ステージ部3に対して上方に浮上する。すると、基板Sの下面Sbが浮上ステージ部3の上面から離間しつつ、水平姿勢で支持される。基板Sが浮上した状態における、基板Sの下面Sbと浮上ステージ部3の上面との間の距離(浮上量)は、例えば、10μm以上500μm以下である。
塗布ステージ32の上面には、浮上制御機構35から供給される圧縮空気を噴出する噴出穴と、気体を吸引する吸引穴とが、X方向およびY方向において、交互に配置されている。浮上制御機構35は、噴出穴からの圧縮空気の噴出量と、吸引穴からの空気の吸引量とを制御する。これにより、塗布ステージ32の上方を通過する基板Sの上面SfのZ方向における位置が規定値となるように、塗布ステージ32に対する基板Sの浮上量が精密に制御される。なお、塗布ステージ32に対する基板Sの浮上量は、後述するセンサ61またはセンサ62の検出結果に基づいて、制御ユニット9により算出される。また、塗布ステージ32に対する基板Sの浮上量は、好ましくは、気流制御によって高精度に調整可能とされる。
浮上ステージ部3に搬入された基板Sは、コロコンベヤ21から+X方向への推進力が付与され、入口浮上ステージ31上に搬送される。入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33は、基板Sを浮上状態で支持する。浮上ステージ部3として、例えば、特許第5346643号に記載された構成が採用されてもよい。
基板搬送部5は、浮上ステージ部3の下方に配置されている。基板搬送部5は、チャック機構51と、吸着・走行制御機構52とを備える。チャック機構51は、吸着部材に設けられた吸着パッド(図示省略)を備えている。チャック機構51は吸着パッドを基板Sの下面Sbの周縁部に当接させることにより、基板Sを下側から支持する。吸着・走行制御機構52は、吸着パッドに負圧を付与することにより、基板Sを吸着パッドに吸着する。また、吸着・走行制御機構52は、基板搬送部5をX方向に往復走行させる。
チャック機構51は、基板Sの下面Sbが浮上ステージ部3の上面よりも高い位置に位置する状態で、基板Sを保持する。基板Sは、チャック機構51により周縁部が保持された状態で、浮上ステージ部3から付与される浮力により水平姿勢を維持する。
図1に示すように、塗布装置1は、板厚測定用のセンサ61を備えている。センサ61は、コロコンベヤ21の近傍に配置されている。センサ61は、チャック機構51に保持された基板Sの上面SfのZ方向における位置を検出する。また、センサ61の直下に基板Sを保持していない状態のチャック(図示省略)が位置することで、センサ61は吸着部材の上面である吸着面の鉛直方向Zにおける位置を検出可能となっている。
チャック機構51は、浮上ステージ部3に搬入された基板Sを保持しつつ、+X方向に移動する。これにより、基板Sが入口浮上ステージ31の上方から塗布ステージ32の上方を経由して、出口浮上ステージ33の上方へ搬送される。そして、基板Sは、出口浮上ステージ33から出力移載部4へ移動される。
出力移載部4は、基板Sを出口浮上ステージ33の上方の位置から出力コンベヤ110へ移動させる。出力移載部4は、コロコンベヤ41と、回転・昇降駆動機構42とを備えている。回転・昇降駆動機構42は、コロコンベヤ41を回転駆動するとともに、コロコンベヤ41をZ方向に沿って昇降させる。コロコンベヤ41の各コロが回転することによって、基板Sが+X方向へ移動する。また、コロコンベヤ41が昇降することによって、基板SがZ方向に変位する。
出力コンベヤ110は、コロコンベヤ111と、回転駆動機構112とを備えている。出力コンベヤ110は、コロコンベヤ111の各コロの回転により基板Sを+X方向に搬送し、基板Sを塗布装置1外へ払い出す。なお、入力コンベヤ100および出力コンベヤ110は、塗布装置1の一部である。ただし、入力コンベヤ100及び出力コンベヤ110は、塗布装置1とは別の装置に組み込まれていてもよい。
塗布機構7は、基板Sの上面Sfに塗布液を塗布する。塗布機構7は、基板Sの搬送経路の上方に配置されている。塗布機構7は、ノズル71を有する。ノズル71は、下面にスリット状の吐出口を有するスリットノズルである。ノズル71は、位置決め機構(不図示)に接続されている。位置決め機構は、ノズル71を、塗布ステージ32の上方の塗布位置(図1中、実線で示す位置)と、後述するメンテナンス位置との間で移動させる。塗布液供給機構8は、ノズル71に接続されている。塗布液供給機構8がノズル71に塗布液を供給することによって、ノズル71の下面に配置された吐出口から塗布液が吐出される。
図2は、塗布液供給機構8の構成を示す図である。塗布液供給機構8は、ポンプ81と、配管82と、塗布液補充ユニット83と、配管84と、開閉弁85と、圧力計86と、駆動部87とを備えている。ポンプ81は、塗布液をノズル71に送給するための送給源であり、体積変化により塗布液を送給する。ポンプ81は、例えば、特開平10-61558号公報に記載されたベローズタイプのポンプを採用してもよい。図2に示すように、ポンプ81は、径方向において弾性膨張収縮自在である可撓性チューブ811を有している。可撓性チューブ811の一方端は、配管82を介して塗布液補充ユニット83と接続されている。可撓性チューブ811の他方端は、配管84を介してノズル71と接続されている。
図2に示すように、ポンプ81は、軸方向において弾性変形自在であるベローズ812を有している。ベローズ812は、小型ベローズ部813と、大型ベローズ部814と、ポンプ室815と、作動ディスク部816とを有している。ポンプ室815は、可撓性チューブ811とベローズ812との間に配置されている。ポンプ室815には、非圧縮性媒体が封入されている。作動ディスク部816は、駆動部87に接続されている。
塗布液補充ユニット83は、塗布液を貯留する貯留タンク831を有している。貯留タンク831は、配管82を介してポンプ81と接続されている。配管82には、開閉弁833が介挿されている。開閉弁833は、制御ユニット9からの指令に応じて開閉する。開閉弁833が開かれると、貯留タンク831からポンプ81の可撓性チューブ811への塗布液の補給が可能となる。また、開閉弁833が閉じると、貯留タンク831からポンプ81の可撓性チューブ811への塗布液の補充が規制される。
配管84は、ポンプ81の出力側に接続されている。開閉弁85は、配管84に介挿されている。開閉弁85は、制御ユニット9からの指令に応じて開閉する。開閉弁85が開閉することにより、ノズル71に対する塗布液の送液と送液停止とが切り替えられる。圧力計86は、配管84に配置されている。圧力計86は、ノズル71に送液される塗布液の圧力(吐出圧力)を検出し、検出した圧力値を示す信号を制御ユニット9に出力する。
駆動部87は、制御ユニット9からの指令に応じて、所定の移動パターン(時間経過に対する作動ディスク部816の速度の変化を示すパターン)で作動ディスク部816を軸方向に変位させる。作動ディスク部816の変位により、ベローズ812の内側の容積が変化する。これにより、可撓性チューブ13が径方向に膨張収縮してポンプ動作を実行し、塗布液補充ユニット83から補給される塗布液がノズル71に向けて送給される。このように、作動ディスク部816の移動パターンは、ノズル71から吐出される塗布液の吐出特性(吐出圧力の時間変化)と密接に関係しているため、移動パターンに応じて、所定の吐出特性が得られる。
図2に示すように、塗布液供給機構8から塗布液が供給されるノズル71には、センサ62が配置されている。センサ62は、基板SのZ方向における高さを非接触で検知する。センサ62は、制御ユニット9と電気的に接続されている。センサ62の検出結果に基づいて、制御ユニット9は、浮上している基板Sと、塗布ステージ32の上面との間の距離(離間距離)を測定する。そして、制御ユニット9は、測定した離間距離に基づいて、位置決め機構によるノズル71の塗布位置を調整する。なお、センサ62としては、光学式センサ、または、超音波センサを適用できる。
塗布機構7は、ノズル洗浄待機ユニット72を備えている。ノズル洗浄待機ユニット72は、メンテナンス位置に配置されたノズル71に対して所定のメンテナンスを行う。ノズル洗浄待機ユニット72は、ローラ721と、洗浄部722と、ローラバット723とを有している。ノズル洗浄待機ユニット72は、ノズル71に対して洗浄および液だまりの形成を行うことによって、ノズル71の吐出口を塗布処理に適した状態に整える。また、塗布装置1においては、塗布液に加わる吐出圧力を評価するため、ノズル71がメンテナンス位置に配置された状態で、ノズル71から塗布液を吐出する擬似吐出が実行される。
図3は、制御ユニット9の構成例を示すブロック図である。制御ユニット9は、塗布装置1の各要素の動作を制御する。制御ユニット9は、コンピュータであって、演算部91と、記憶部93と、ユーザインターフェース95とを備えている。演算部91は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などで構成されるプロセッサである。記憶部93は、RAM(Random Access Memory)などの一過性の記憶装置、および、HDD(Hard Disk Drive)およびSDD(Solid State Drive)などの非一過性の補助記憶装置で構成される。
ユーザインターフェース95は、ユーザに情報を表示するディスプレイ、ユーザによる入力操作を受け付ける入力機器を有している。制御ユニット9としては、例えばデスクトップ型、ラップトップ型、あるいはタブレット型のコンピュータを用いることができる。
記憶部93は、吐出圧力評価プログラム97と、コスト関数データ生成プログラム98とを記憶する。吐出圧力評価プログラム97と、コスト関数データ生成プログラム98とは、例えば記録媒体Mによって提供される。記録媒体Mは、吐出圧力評価プログラム97またはコスト関数データ生成プログラム98を、コンピュータである制御ユニット9によって読取可能に記録している。記録媒体Mは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)などの光学ディスク、磁気ディスクなどである。
演算部91は、吐出圧力評価プログラム97を実行することにより、吐出圧力の測定を実行する測定実行部911と、測定された吐出圧力を、コスト関数を用いて評価する圧力評価部913として機能する。また、演算部91は、コスト関数データ生成プログラム98を実行することにより、コスト関数データ生成部915として機能する。
図4は、吐出圧力評価プログラム97に基づいて実行される吐出圧力評価方法の一例を示すフローチャートである。吐出圧力測定工程S101では、測定実行部911が、吐出圧力評価プログラム97に規定される移動パターンに基づいて、作動ディスク部816を移動させることによって、ノズル71から吐出液を吐出させる(擬似吐出)。これにより、作動ディスク部816は、大局的には、速度ゼロから所定の目標速度まで加速し、目標速度で所定の期間において等速移動してから、目標速度から速度ゼロまで減速する。なお、特許文献2に記載されているように、作動ディスク部816の速度が最高速度に達してから目標速度に安定するまでの局所的な期間においては、作動ディスク部816の速度(パラメータ)が調整されて移動パターンが設定されている。
本例では、吐出圧力評価プログラム97は、吐出圧力が次の手順で変化するように、作動ディスク部816の移動パターンを規定している。
・吐出圧力が、初期圧力Piから初期圧力Piよりも大きい目標圧力Ptまで増加する。
・吐出圧力が、目標圧力Ptで安定する。
・吐出圧力が、目標圧力Ptから初期圧力Piまで減少する。
吐出圧力測定工程S101において、測定実行部911は、作動ディスク部816の移動に伴いノズル71から塗布液を吐出させることと並行して、所定のサンプリング周期で圧力計86による吐出圧力の測定値を周期的に取得する。測定実行部911は、ノズル71から塗布液が吐出される吐出期間Tt(図5参照)において、塗布液に与えられた吐出圧力を測定し、取得した吐出圧力を吐出圧力データ99として記憶部93に記憶させる。吐出圧力データ99は、時刻と当該時刻で測定された吐出圧力の値とを対応付けて示すデータである。
測定結果評価工程S102において、圧力評価部913は、吐出圧力データ99が示す吐出圧力の時間変化を、コスト関数を用いて評価する。コスト関数は、内部関数として指標値算出関数を有する。指標値算出関数は、吐出圧力データ99が示す吐出圧力の時間変化から、所定の評価項目毎の指標値Vi(特徴量)を算出する。また、コスト関数は、算出された指標値Viを重み付けして統合(総和)する。コスト関数は、吐出圧力データ99をx、指標値算出関数Viとして、次式で表される。
y=Σw(i)×Vi(x)
次に、指標値算出関数が算出する指標値について、評価項目毎に詳述する。
図5は、吐出圧力の評価に用いられる各期間を説明するための図である。図5に示すグラフは、吐出圧力の時間変化を表しており、横軸は時刻を、縦軸は吐出圧力を、それぞれ示している。なお、図6以降に示す各グラフにおいても、横軸は時刻を、縦軸は吐出圧力を、それぞれ示している。
図5に示すように、吐出圧力測定工程S101において、測定実行部911は、ノズル71からの塗布液の吐出を開始する前から、ノズル71からの塗布液の吐出を終了した後に亘って(すなわち、吐出期間Ttの前後に亘って)、吐出圧力データ99を取得する。なお、ノズル71からの塗布液の吐出を開始する時刻taにおける吐出圧力と、ノズル71からの塗布液の吐出を終了した時刻teにおける吐出圧力とは、初期圧力Piとなっている。ただし、吐出の開始時および終了時それぞれの圧力が、常に初期圧力Piに一致するとは限らない。
図5に示すように、吐出期間Ttは、立ち上がり期間Taと、遷移期間Tbと、定常期間Tcと、立ち下がり期間Tdとに分割される。立ち上がり期間Taは、塗布液供給機構8がノズル71からの塗布液の吐出を開始する時刻ta(すなわち、塗布液供給機構8が作動ディスク部816の移動を開始する時刻ta)から、吐出圧力が目標圧力Ptに到達する時刻tbまでの期間である。つまり、時刻taにおいてノズル71からの塗布液の吐出が開始されると、吐出圧力は、時刻taから時刻tbまでの間に、初期圧力Piから目標圧力Ptまで増加する。
遷移期間Tbは、時刻tbから、所定の振動減衰期間を経過する時刻tcまでの期間である。この振動減衰期間は、吐出圧力の時間変化が安定するのに要する期間であり、例えばユーザによるユーザインターフェース95への入力操作によってあらかじめ設定され、記憶部93に記憶されている。
定常期間Tcは、時刻tcから、塗布液供給機構8が吐出圧力の減少を開始する時刻td(すなわち、塗布液供給機構8が作動ディスク部816の目標速度からの減速を開始する時刻td)までの期間である。つまり、塗布液供給機構8は、時刻tcから時刻tdまでの間、作動ディスク部816を等速で移動させ、時刻tdに作動ディスク部816の減速を開始する。なお、定常期間Tcにおいて、吐出圧力は基本的に目標圧力Ptで安定する。ただし、定常期間Tcにおいても、吐出圧力の時間変化は微小な振動を含んでいる。このため、定常期間Tcにおいて、吐出圧力は、目標圧力Ptよりも大きくなったり、小さくなったりする。
遷移期間Tbと定常期間Tcとは、定圧期間Tbcを構成する。つまり、定圧期間Tbcは、時刻tbから時刻tdの間の期間である。
立ち下がり期間Tdは、時刻tdから、塗布液供給機構8がノズル71からの塗布液の吐出を終了する時刻te(すなわち、塗布液供給機構8が作動ディスク部816を停止させる時刻te)までの期間である。つまり、吐出圧力は、時刻tdから時刻teまでの間に初期圧力Piまで減少し、時刻teにおいて、ノズル71からの塗布液の吐出が停止する。
図6は、吐出圧力の時間変化に対して圧力評価部913が実行する演算の一例を模式的に示す図である。図6に示すように、圧力評価部913は、吐出圧力の時間変化を時間で微分することによって、吐出圧力の時間変化の1回微分D1を算出する。さらに、圧力評価部913は、吐出圧力の時間変化の1回微分D1を時間で微分することによって、吐出圧力の時間変化の2回微分D2を算出する。また、圧力評価部913は、次の各式に基づき、平均絶対誤差MAEおよび二乗平均平方根誤差RMSEを算出する。
MAE(α、β)=(1/n)・(Σ|α-β|)
RMSE(α、β)=((1/n)・(Σ(α-β)2))1/2
nは、データ数である。
図7は、特徴量Fv1に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図7に示す評価項目では、定常期間Tcにおける吐出圧力の平均値(すなわち定常圧力Pm)と初期圧力Piとの差に相当する振幅を有する台形波形と、吐出圧力データ99との誤差(理想台形絶対誤差)に基づき、吐出圧力データ99が示す吐出圧力の時間変化が評価される。
具体的には、立ち上がり期間Taのうち、所定の下側基準圧力と、当該下側基準圧力より大きい所定の上側基準圧力との間における吐出圧力の時間変化に対して線形回帰分析が実行されて、立ち上がり回帰直線Lr_Rが算出される。この立ち上がり回帰直線Lr_Rは、時刻t11から時刻t12の間で、初期圧力Piから定常圧力Pmまで線形に増加する。
同様に、立ち下がり期間Tdのうち、上側基準圧力と下側基準圧力との間における吐出圧力の時間変化に対して線形回帰分析が実行されて、立ち下がり回帰直線Lr_Fが算出される。この立ち下がり回帰直線Lr_Fは、時刻t13から時刻t14の間で、定常圧力Pmから初期圧力Piまで線形に減少する。
なお、下側基準圧力および上側基準圧力は、初期圧力Piより大きくて目標圧力Ptより小さい圧力であり、例えばユーザによるユーザインターフェース95への入力操作によって設定されて、記憶部93に記憶される。例えば、下側基準圧力は、初期圧力Piと目標圧力Ptとの差の絶対値の20%の圧力を初期圧力Piに加算した圧力としてもよい。また、上側基準圧力は、初期圧力Piと目標圧力Ptとの差の絶対値の80%の圧力を初期圧力Piに加算した圧力としてもよい。
また、時刻taから時刻t11までの区間に対して、開始時近似直線Lr_sが設定される。この開始時近似直線Lr_sは、初期圧力Piを示す傾きがゼロの直線である。つまり、開始時近似直線Lr_sは、ノズル71からの塗布液の吐出開始時点(時刻ta)から、立ち上がり回帰直線Lr_Rの開始時点までを接続する直線である。なお、回帰直線の状態(傾き)によっては、時刻t11は時刻taより前になり、時刻t12は時刻tbより後になることもある。このように、t11<taとなる場合には、開始時近似直線Lr_sは省略される。
また、時刻t14から時刻teまでの区間に対して、終了時近似直線Lr_eが設定される。この終了時近似直線Lr_eは、初期圧力Piを示す傾きがゼロの直線である。つまり、終了時近似直線Lr_eは、立ち下がり回帰直線Lr_Fの終了時点から、ノズル71からの塗布液の吐出終了時点(時刻te)までを接続する直線である。なお、te<t14となる場合には、終了時近似直線Lr_eは省略される。
さらに、時刻t12から時刻t13の区間に対して、定常直線Lr_mが設定される。この定常直線Lr_mは、定常圧力Pmを示す傾きがゼロの直線である。つまり、定常直線Lr_mは、立ち上がり回帰直線Lr_Rの終了時点(時刻t12)と立ち下がり回帰直線Lr_Fの開始時点(時刻t13)とを接続する、定常圧力Pmを示す直線である。
以上のように、圧力評価部913は、時系列で配列された開始時近似直線Lr_s、立ち上がり回帰直線Lr_R、定常直線Lr_m、立ち下がり回帰直線Lr_Fおよび終了時近似直線Lr_eで構成された近似波形WF1を算出する。そして、圧力評価部913は、時刻taから時刻teまでの吐出期間Ttの全体において、吐出圧力データ99と近似波形WF1との間の平均絶対誤差MAE(理想台形絶対誤差)を、特徴量Fv1として算出する。圧力評価部913は、算出した特徴量Fv1を、指標値V1として、記憶部93に記憶させる。
図7の特徴量Fv1に基づく評価によれば、吐出期間Ttの全体における吐出圧力の時間変化が理想的な形状(すなわち、台形形状)から大きく乖離する場合に、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
図8は、特徴量Fv2に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図8の評価項目では、吐出圧力の立ち上がりの滑らかさが評価される。具体的には、立ち上がり期間Taのうち、下側基準圧力P2_lと、当該下側基準圧力P2_lより大きい上側基準圧力P2_uとの間における吐出圧力の時間変化に対して曲線回帰分析が実行されて、立ち上がり回帰曲線Nrが算出される。この曲線回帰分析は二次曲線によって実行される。
下側基準圧力P2_lは初期圧力Piに設定される。また、上側基準圧力P2_uは、下側基準圧力P2_lより大きくて目標圧力Ptより小さい圧力である。上側基準圧力P2_uは、例えばユーザによるユーザインターフェース95への入力操作によって設定され、記憶部93に記憶される。上側基準圧力P2_uは、初期圧力Piと目標圧力Ptとの差の絶対値の20%の圧力を初期圧力Piに加算した圧力としてもよい。この立ち上がり回帰曲線Nrは、時刻t21から時刻t22の間で、下側基準圧力P2_l(初期圧力Pi)から上側基準圧力P2_uまで増加する。なお、時刻t21は時刻taに一致し、時刻t22は時刻taより後で時刻tbより前の時刻である。
圧力評価部913は、立ち上がり回帰曲線Nrで構成された波形WF2を算出する。そして、圧力評価部913は、時刻t21から時刻t22までの立ち上がり初期期間Ta_sにおいて、吐出圧力データ99と波形WF2との間の二乗平均平方根誤差RMSEを、特徴量Fv2として算出する。そして、圧力評価部913は、算出した特徴量Fv2を、指標値V2として、記憶部93に記憶させる。
図8の特徴量Fv2に基づく評価によれば、ノズル71からの塗布液の吐出開始前の状態の影響を受けて、吐出開始直後の吐出圧力に異常が発生した場合に、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。なお、曲線回帰分析に使用可能な曲線は二次曲線に限られず、指数関数などの別の曲線でもよい。
図9は、特徴量Fv3に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図9の評価項目では、立ち上がり期間Taが一定期間内に収まっているかが評価される。具体的には、圧力評価部913は、初期圧力Piから目標圧力Ptへ吐出圧力が増大するのに要する時刻taから時刻tbまでの立ち上がり期間Taの長さ(=tb-ta)を特徴量Fv3として算出する。そして、圧力評価部913は、算出した特徴量Fv3を、指標値V3として記憶部93に記憶させる。
図9の特徴量Fv3に基づく評価によれば、目標圧力Ptまでの立ち上がりに時間を要する吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
図10は、特徴量Fv4を説明するための図である。図10(A)は、特徴量Fv4に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図10(B)は、特徴量Fv4に基づく評価によって不適正と判断される吐出圧力の時間変化の例を示す図である。図10(A)の評価項目では、吐出圧力の立ち上がりにおける異常の有無が評価される。
具体的には、圧力評価部913は、時刻taから時刻tbまでの立ち上がり期間Taについて、吐出圧力の時間変化の1回微分D1を算出して、1回微分波形WF4を求める。そして、圧力評価部913は、立ち上がり期間Taにおいて、1回微分波形WF4が、所定の閾値Th4と交差する回数を、特徴量Fv4として求める。図10(A)の例では、1回微分波形WF4と閾値Th4(例えば、0.002)とは、時刻t41および時刻t42のそれぞれで交差しており、交差回数(特徴量Fv4)は2回となる。圧力評価部913は、算出した特徴量Fv4を、指標値V4として記憶部93に記憶させる。
図10(A)の特徴量Fv4に基づく評価によれば、立ち上がり期間Taにおける吐出圧力の時間変化に段が生じた場合に(例えば、図10(B)に示すように)、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
図11は、特徴量Fv5を説明するための図である。図11(A)は、特徴量Fv5に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図11(B)は、特徴量Fv5に基づく評価によって不適正と判断される吐出圧力の時間変化の例を示す図である。図11(A)の評価項目では、吐出圧力の立ち上がりにおける異常の有無が評価される。
具体的には、圧力評価部913は、時刻taから時刻tbまでの立ち上がり期間Taについて、吐出圧力の時間変化の2回微分D2を算出して、2回微分波形WF5を求める。そして、圧力評価部913は、立ち上がり期間Taにおいて、2回微分波形WF5の絶対値が、所定の閾値Th5と交差する回数を、特徴量Fv5として求める。図11(A)の例では、2回微分波形WF5の絶対値と閾値Th5(例えば、0.0002)とは、時刻t51、t52、t53およびt54のそれぞれで交差しており、交差回数(特徴量Fv5)は4回となる。圧力評価部913は、算出した特徴量Fv5を、指標値V5として記憶部93に記憶させる。
図11(A)の特徴量Fv5に基づく評価によれば、立ち上がり期間Taにおける吐出圧力の時間変化に段が生じた場合に(例えば、図11(B)に示すように)、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
図12は、特徴量Fv6に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図12の評価項目では、吐出圧力の立ち上がりが後半において失速していないかが評価される。具体的には、圧力評価部913は、時刻taから時刻tbまでの立ち上がり期間Taについて、吐出圧力の時間変化の2回微分D2を算出して、2回微分波形WF6を求める。
そして、圧力評価部913は、立ち上がり期間Taにおいて、2回微分波形WF6が、所定の正の閾値(Th5)より大きくなる時間T_1stと、2回微分波形WF6が所定の負の閾値(-Th5)より小さくなる時間T_2ndとをそれぞれ求める。ここで、正の閾値と負の閾値とは、同一の絶対値(Th5)を有して、互いに異なる符号を有する。かかる正および負の閾値の絶対値(Th5)は、上記の特徴量Fv5による評価で用いた閾値Th5のそれと等しい。そして、圧力評価部913は、これらの時間の比(=T_1st/T_2nd)を、特徴量Fv6として求める。さらに、圧力評価部913は、次式に基づき、特徴量Fv6を変換する。
Fv6=|1-Fv6|
圧力評価部913は、変換された特徴量Fv6を、指標値V6として記憶部93に記憶させる。
塗布液の塗布対象となる基板Sの搬送速度は、加速期間の後半においても失速することなく目標速度に到達する。したがって、塗布液に与えられる吐出圧力も立ち上がり期間Taにおいて失速することなく、目標圧力Ptに到達することが好適となる。これに対して、図12の特徴量Fv6に基づく評価によれば、立ち上がり期間Taにおいて吐出圧力が失速した場合に、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
図13は、特徴量Fv7に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図13の評価項目では、立ち上がりの終了時における吐出圧力の時間変化の鋭さが評価される。具体的には、立ち上がり期間Taのうち、下側基準圧力P7_lと、当該下側基準圧力P7_lより大きい上側基準圧力P7_uとの間における吐出圧力の時間変化に対して直線回帰分析が実行されて、立ち上がり終期回帰直線Lrが算出される。ここで、下側基準圧力P7_lは、初期圧力Piと目標圧力Ptとの差の絶対値の80%の圧力を初期圧力Piに加算した圧力であり、上側基準圧力P7_uは、初期圧力Piと目標圧力Ptとの差の絶対値の90%の圧力を初期圧力Piに加算した圧力であり、吐出圧力は、時刻t71から時刻t72までの間に、下側基準圧力P7_lから上側基準圧力P7_uへ増大する。
この立ち上がり終期回帰直線Lrは、時間経過に伴って増大して、時刻t73において定常圧力Pm(定常期間Tcにおける吐出圧力の平均値)に到達する。こうして、時刻t71から時刻t73の区間に対して、立ち上がり終期回帰直線Lrが設定される。さらに、圧力評価部913は、時刻t73から時刻tbまでの間において定常圧力Pmを示す傾きがゼロの延設直線Lmを設定する。上述の通り、時刻tbは、吐出圧力が目標圧力Ptに到達する時刻であり、立ち上がり期間Taの終了時刻に相当する。つまり、この延設直線Lmは、立ち上がり終期回帰直線Lr(の終了時点)から立ち上がり期間Taの終了時点まで延設するように設けられる。なお、tb<t73の場合には、延設直線Lmは省略される。
こうして、時系列で配列された立ち上がり終期回帰直線Lrおよび延設直線Lmで構成された近似波形WF7が算出される。そして、圧力評価部913は、吐出圧力が目標圧力Ptの90%となる時刻t72から100%となる時刻tbまでの立ち上がり終期期間Ta_eにおいて、吐出圧力データ99と近似波形WF7との間の差を示す値を、特徴量Fv7として算出する。具体的には、重み基準時間幅Tw=t73-t72が設定される。そして、重み付き二乗平方根誤差和が、次式に基づき算出される。
Fv7=(Σ(P_measure-WF7)2×W)1/2
P_measure=吐出圧力データ99
時刻t≦t73+2×Twの範囲でW=1
時刻t>t73+2×Twの範囲でW=w
wは、1より大きい重み係数であり、例えば10である
圧力評価部913は、算出した特徴量Fv7を、指標値V7として圧力評価部913に記憶させる。図13の特徴量Fv7に基づく評価によれば、立ち上がりの勢いが弱く丸みを帯びた波形を吐出圧力の時間変化が示す場合に、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
図14は、特徴量Fv8に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図14の評価項目では、吐出圧力の立ち上がりに発生するオーバーシュートの程度が評価される。具体的には、圧力評価部913は、吐出圧力が最大値Pmaxに達した時刻t81において、吐出圧力の2回微分D2の符号(正/負)を求める。そして、圧力評価部913は、吐出圧力の2回微分D2の符号が、時刻t81での符号から2回切り替わる時刻t82を算出する。そして、時刻t81から時刻t82までの初期振動期間Tb_sにおける吐出圧力の時間変化が評価される。
具体的には、この初期振動期間Tb_sにおける吐出圧力の時間変化の最小値P8minが求められて、定常圧力Pmおよび圧力P8minのうち、小さい方の圧力が、対象圧力Pgに選択される。そして、最大圧力Pmaxと対象圧力Pgとの差、すなわち次式に基づき、特徴量Fv8が算出される。
Fv8=Pmax-Pg
圧力評価部913は、算出した特徴量Fv8を、指標値V8として記憶部93に記憶させる。図14の特徴量Fv8に基づく評価によれば、立ち上がりの勢いが強く、大きなオーバーシュートを吐出圧力の時間変化が示す場合に、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
図15は、特徴量Fv9に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図15の評価項目では、遷移期間Tbにおける吐出圧力の時間変化の安定度が評価される。具体的には、圧力評価部913は、遷移期間Tbにおける吐出圧力と、定常期間Tcにおける吐出圧力の平均値である定常圧力Pmとについて、次式に基づき、二乗平均平方根誤差RMSE(P_measure,Pm)を特徴量Fv9として算出する。
Fv9=RMSE(P_measure,Pm)
P_measure=吐出圧力データ99
圧力評価部913は、算出した特徴量Fv9を、指標値V9として記憶部93に記憶させる。図15の特徴量Fv9に基づく評価によれば、吐出圧力の時間変化が遷移期間Tbにおいてリンギングを示す場合に、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
図16は、特徴量Fv10に基づき吐出圧力の時間変化を評価する評価項目を説明するための図である。図16に示す評価項目では、定圧期間Tbcにおける吐出圧力の時間変化の安定度が評価される。具体的には、圧力評価部913は、定圧期間Tbcにおいて、吐出圧力の最大値Pmaxと最小値P10minとを求める。そして、圧力評価部913は、定圧期間Tbcにおける最大圧力Pmaxと最小圧力P10minとの差、すなわち次式に基づき、特徴量Fv10を算出する。
Fv10=Pmax-P10min
圧力評価部913は、算出した特徴量Fv10を、指標値V10として記憶部93に記憶させる。図16の特徴量Fv10に基づく評価によれば、塗布液の膜厚に影響の大きな定常期間Tcにおいて大きなばらつきを吐出圧力の時間変化が示す場合に、この吐出圧力に対して大きなスコア(すなわち、否定的評価)を与えることができる。
測定結果評価工程S102において、圧力評価部913は、特徴量Fv1~Fv10のそれぞれを吐出圧力データ99から抽出した結果に基づき、指標値V1~V10を算出する。そして、圧力評価部913は、指標値V1~V10から、吐出圧力データ99が示す吐出圧力の時間変化に対する最終的な評価値(最終評価値)を算出する。具体的には、吐出圧力データ99をコスト関数に入力する。すると、その内部の指標値算出関数で指標値V1~V10がそれぞれ算出され、さらにそれらを重み付けして足し合わせることによって得られるコスト値を、最終評価値として取得する。次に、コスト関数における重み(wi)を示すコスト関数データ991の生成手順について説明する。
<コスト関数データの生成手順>
図17は、コスト関数データ991の生成手順を概念的に示す図である。図18は、コスト関数データ991の生成手順の流れを示す図である。
コスト関数データ991を生成するため、まず、複数パターンの吐出圧力データ99が準備される(図18:吐出圧力データ準備工程S1)。具体的には、図17に示すように、複数パターンの制御パラメータA,B,C・・・で塗布装置1を動作させた場合における、複数パターンの吐出圧力データ99が準備される。吐出圧力データ99は、塗布装置1の動作状態を示す測定データの一例である。
吐出圧力データ準備工程S1によって複数パターンの吐出圧力データ99が準備されると、各吐出圧力データ99に対してランク付与が行われる(ランク付与工程S2)。ランク付与は、具体的には、複数の吐出圧力データ99を、あらかじめ設定された複数段階のランク(階級)に分類することによって実現される。複数段階のランクは、例えば、「非常に良い」、「良い」、「普通」、「悪い」および「非常に悪い」等、5~10段階で構成される。コスト関数データ生成部915は、ユーザが分類したランクに応じて、吐出圧力データ99にランク(「1」、「2」、「3」・・・等の数値)を付与する。本例では、目視において、吐出圧力データ99の圧力波形が理想的な吐出波形に近いほど(すなわち、良好な圧力波形であるほど)、付与されるランクの値が小さくなるように設定される。
ランク付与工程S2では、制御ユニット9がランク付与の対象である複数の吐出圧力データ99の圧力波形をディスプレイに表示するとともに、ユーザがディスプレイに表示された圧力波形を1つずつ目視で確認しつつランクを付与する操作を行う。そして、コスト関数データ生成部915は、ユーザの操作入力に応じて、各吐出圧力データ99にランクを付与する。各吐出圧力データ99に付与されたランクは、記憶部93に適宜保存される。このように、コスト関数データ生成部915は、吐出圧力データ99にランクを付与するランク付与部として機能する。なお、圧力評価部913が吐出圧力データ99毎の指標値V1~V10を算出し、算出された指標値V1~V10が、吐出圧力データ99とともにディスプレイに表示されてもよい。このようにすることで、ユーザが指標値V1~V10を指標にしてランク付けを行うことができるため、ランク付けの精度を向上できる。
図18に示すように、ランク付与工程S2が完了すると、重み決定工程S3が実行される。重み決定工程S3では、コスト関数における各指標値V1~V10に対する重みが決定される。図19は、図18に示す重み決定工程S3の流れを示す図である。図19に示すように、重み決定工程S3では、まず、ユーザがコスト関数の重みを調整する作業を行う(重み調整工程S31)。この重み調整は、後述するGUI(重み調整ウインドウAW1)を介して行われる。重みが調整されると、コスト関数データ生成部915は、調整された重みが適用されたコスト関数を用いて、各吐出圧力データ99に対するコスト値をそれぞれ算出する(コスト値算出工程S32)。コスト値が算出されると、コスト関数データ生成部915は、各吐出圧力データ99について、ランクとコスト値の相関を示す相関情報をディスプレイに表示する(相関情報表示工程S33)。
図20は、重み調整ウインドウAW1の例を示す図である。重み調整ウインドウAW1は、コスト関数データ生成部915がディスプレイに表示するGUIの1要素である。重み調整ウインドウAW1は、重み調整領域AR1と、分布表示領域AR2と、分布表示選択領域AR3と、相関係数表示領域AR4と、確定ボタンBT1とを有している。重み調整領域AR1は、各指標値の重みを調整するアイコン等が表示される領域である。重み調整領域AR1は、複数の指標値(ここでは、3つの指標値X,Y,Z)の重みを調整するための複数のインジケータID1を有している。インジケータID1は、重みの値を示す矢印アイコンを有している。ユーザが矢印アイコンを左右に移動させることにより、対応する指標値の重みを小さくしたり、大きくしたりすることができる。このように、ユーザがインジケータID1を操作する工程は、重みを調整する重み調整工程S31に相当する。
分布表示領域AR2は、各吐出圧力データ99について、あらかじめ付与されたランクと、コスト関数が出力するコスト値との関係を示す分布(以下、「ランク-コスト値分布」と称する。)が表示される領域である。ランク-コスト値分布は、ランクとコスト値との相関を示す相関情報の一例である。図20に示すように、ランク-コスト値分布は、横軸をランク値、縦軸をコスト値として、分布表示領域AR2に表示される。分布表示選択領域AR3は、分布表示領域AR2に表示される分布のタイプを選択するための領域である。本例では、分布表示選択領域AR3は、ユーザが「散布図」と「箱ひげ図」の2つのタイプから1つを選択するためのラジオボタンを有している。「散布図」が選択された場合、図20に示すように、分布表示領域AR2にランク-コスト値分布が散布図で表示される。また、「箱ひげ図」が選択された場合、分布表示領域AR2にランク-コスト値分布が「箱」と「ひげ」で表現された箱ひげ図で表示される。なお、コスト関数データ生成部915は、ランク-コスト値分布とともに、ランクとコスト値の関係を示す回帰直線RL1を表示してもよい。回帰直線RL1は、ランクとコスト値との相関を示す相関情報である。回帰直線RL1が表示されることによって、ユーザが回帰直線RL1を指標として、各指標値の重みを適切に調整できる。
図20に示すランク-コスト値分布では、5つの各ランクに対して、いくつかの吐出圧力データ99が分類されている。図示のように、付与されたランクが同じであっても、コスト値が異なる場合には、吐出圧力データ99を示すドットが同一ランク内でコスト値の大きさに応じて縦軸方向に広がって分布することとなる。
相関係数表示領域AR4は、相関係数を表示するための領域である。コスト関数データ生成部915は、ランク-コスト値分布から、ランクとコスト値との関係を示す相関係数を算出し、算出した相関係数を相関係数表示領域AR4に表示する。相関係数は、ランクとコスト値との関係を示す相関情報の一例である。
コスト関数データ生成部915は、ユーザがインジケータID1を操作することによって重みを調整するたびに、調整された重みに基づくコスト値の算出(コスト値算出工程S32)を行う。そして、コスト関数データ生成部915は、ディスプレイに表示される相関情報(ランク-コスト値分布、相関係数、回帰直線RL1)を更新する。これにより、ユーザは、リアルタイムに更新される相関情報を確認しながら、コスト関数の重みの調整を行うことができる。ユーザは、ディスプレイに表示される相関情報を確認しながら、ランクとコスト値との相関ができるだけ高くなるように、コスト関数の重みを調整する。これにより、目視によるランク付けに対応するコスト値を出力するように、コスト関数の重みが調整される。
確定ボタンBT1は、調整された重みを確定する際に押下されるアイコンである。ユーザは、重みを確定する場合、当該確定ボタンBT1を押下する操作を行う。コスト関数データ生成部915は、確定ボタンBT1が押下されたかを判定する(図19:判定工程S34)。確定ボタンBT1が押下された場合、コスト関数データ生成部915は、調整された重みを最終的なコスト関数の重みに確定する。確定された重みは、コスト関数データ991として、記憶部93に保存される(図3等参照)。このように、コスト関数データ生成部915は、重みを決定する重み決定部として機能する。
なお、指標値V1~V10について、その値の大きさに応じて、重みを条件分岐させてもよい。例えば、各指標値について、閾値を設定し、指標値が閾値未満の場合には、その閾値に対する重み(係数)をゼロとしてもよい。また、その指標値が閾値以上の場合には重みを1としてもよい。
<効果>
吐出圧力データ99の圧力波形から、複数の特徴量Fv1~Fv10を決めて、各指標値V1~V10を取得することが可能である。しかしながら、指標値V1~V10に基づいて、吐出圧力データ99を評価するコスト関数(目的関数)を設計するには、通常、熟練の経験や知識を要する。これに対して、本実施形態では、吐出圧力データ99に対して目視によりランク付けをし、コスト関数の出力(コスト値)とランクとの相関が高くなるように、コスト関数の重みが調整される。これにより、目視によるランク付けと一致するコスト値を出力するように、コスト関数を設計できる。したがって、吐出圧力データ99の評価に関して熟練の経験や知識が乏しい場合でも、コスト関数を適切に設計できる。
また、ランク付けの段階数(M段)を、対象の吐出圧力データ99の数(N個)よりも小さくすることにより、ランク付けを容易にすることができる。特に、ランクの段数を吐出圧力データ99の数に比べて充分少ない数(例えば、5~10段階)とすることによって、各吐出圧力データ99に対して容易にランク付けを行うことができる。したがって、吐出圧力データ99の評価に関して経験や知識が乏しいユーザでも、コスト関数を適切に設計できる。
<2. 第2実施形態>
第1実施形態では、ユーザによる重みの調整に基づいて、最終的な重み(コスト関数データ991)が決定されている。しかしながら、重みの決定方法は、このような手動によるものに限定されるものではなく、自動で行われてもよい。
図21は、第2実施形態に係るコスト関数データ生成部915を示す図である。図22は、コスト関数を表現するニューラルネットワークNN1を示す図である。図21に示すように、コスト関数データ生成部915は、学習部916を備えている。学習部916は、図22に示すニューラルネットワークNN1を用いて機械学習を行う。ニューラルネットワークNN1は、入力層L11と、中間層L13と、出力層L15とを有している。入力層L11には、複数の評価項目の指標値(指標値V1~V10)が入力される。出力層は、コスト値を出力する。ニューラルネットワークNN1は、複数の吐出圧力データ99の各指標値V1~V10を入力とし、複数の吐出圧力データ99に対応するコスト値の集合を出力するように構成される。
学習部916は、ニューラルネットワークNN1の出力であるコスト値の集合と、吐出圧力データ99にあらかじめ付与されているランクの集合との相関が高くなるように、機械学習を行う。すなわち、学習部916は、コスト値とランクの相関係数を目的関数として、相関係数が最大化するように、機械学習を行う。学習部916の機械学習により、ニューラルネットワークNN1における重みのパラメータが調整される。そして、機械学習が完了することにより、重みが最終的に決定される。このように、重みが決定されたニューラルネットワークNN1は、複数の指標値V1~V10からコスト値を計算するコスト関数として利用できる。
コスト関数データ生成部915が学習部916を備える場合、機械学習によってコスト関数(ニューラルネットワークNN1)における重みを自動で決定できる。このため、手動によって重みを調整する場合と比べて、コスト関数の重みの決定にかかる労力を低減できる。
ニューラルネットワークNN1の学習に対して充分な数の学習用データを準備する場合、作業量が大きいために多くの労力が必要となる。これに対して、上記のように、複数の吐出圧力データ99を入力として、ランクの集合とコスト値の集合との相関係数を目的関数とする機械学習を行う場合、学習用データとして使用する吐出圧力データ99を組み替えることで、学習用データを擬似的に水増しできる。したがって、吐出圧力データ99の収集およびランク付けの労力を軽減しながら、機械学習を適切に実施することができる。
ニューラルネットワークNN1の深さは、学習対象の複雑さによって選択するとよい。例えば、それぞれの指標に係数をかけて足し合わせるだけでよいような場合は、中間層L13を省略してもよい。ニューラルネットワークNN1における層の数が少なくなると、複雑な重み付けルールを表現することが困難となる。しかしながら、少ない学習用データで安定して学習を成功させることができる。
<3. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば上記実施形態では、配管82に取り付けられた圧力計86により検出された圧力値に基づいて吐出特性を計測しているが、圧力計86の取付位置はこれに限定されず、ノズル71に送給される塗布液の圧力を検出することができる位置であれば、その取付位置は任意である。
また、上記実施形態では、ベローズタイプのポンプ81を用いているが、ポンプの種類はこれに限定されるものではなく、例えばピストンを用いたシリンジタイプのポンプ(例えば特開2008-101510号公報)を用いてもよい。
また、上記実施形態では、基板Sを浮上させた状態で基板Sの上面Sfに塗布液を供給する塗布装置1に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、ノズルに処理液を送給することで当該ノズルから基板の上面に処理液を供給して所定の処理を施す基板処理技術全般に本発明を適用することが可能である。
コスト関数は、上記の特徴量Fv1~Fv10の指標値V1~V10全てを重み付けして評価することは必須ではない。コスト関数は、これらの指標値V1~V10の一部のみに基づいてコスト値を出力するように構成されていてもよい。
また、圧力評価部913およびコスト関数データ生成部915は、塗布装置1の要素である制御ユニット9によって実現されている。しかしながら、圧力評価部913またはコスト関数データ生成部915は、塗布装置1とは別の装置(コスト関数データ生成装置)によって実現されてもよい。
上記各実施形態では、測定データが、塗布装置1の吐出圧力データ99である場合について説明したが、測定データは、これに限定されるものではない。測定データは、対象物を処理する処理装置における温度データ、速度データなど、測定可能なデータであれば、どのようなものでもよい。また、測定データは、実際の観測で得られるデータに限定されるものではなく、シミュレーションにより取得されるデータであってもよい。例えば、コンピュータ上で塗布装置1における擬似吐出をシミュレーションし、そのときに塗布液に付与される圧力の時間変化が、吐出圧力データ99として取得されてもよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。