JP7733177B2 - ベルト伝動機構 - Google Patents
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Description
例えば、ロボットアーム駆動用のベルト伝動機構に備わるオートテンショナとして、特許文献1には、先端にテンションローラを有する2つの支持アーム18A,18B(テンションローラの基軸部と揺動軸とを接続する部材)をそれぞれ独立して揺動自在に設けると共に、ばねが支持アーム間に張設された構成(特許文献1の図2参照)が開示されている。
ト後、正逆回転を小刻みに繰り返してしまうことによるもの、と考えられる。
回転自在に支持された従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に巻き掛けられた歯付ベルトと、
前記駆動プーリの回転中心と前記従動プーリの回転中心とを結ぶプーリ中心線を挟む両側の位置でそれぞれの基軸部を中心に回転自在に設けられ、前記歯付ベルトに接触する2つのテンションローラを介して、前記歯付ベルトの張力を自動的に適度に保つオートテンショナと、
を有するベルト伝動機構であって、
前記オートテンショナは、
前記2つのテンションローラの回転中心同士を結ぶローラ中心線と前記プーリ中心線との交点から離間した、前記プーリ中心線上の点または前記プーリ中心線の延長線上の点を通り、前記駆動軸と平行な方向に延びるように設けられた揺動軸と、
前記2つのテンションローラを、互いに引き寄せる方向又は互いに離間させる方向に付勢するばねと、を備え、かつ、
前記2つのテンションローラが、前記揺動軸を中心に、揺動自在に構成されており、
前記ベルト伝動機構は、前記2つのテンションローラの揺動を規制する規制手段をさらに備え、
前記規制手段は、
前記2つのテンションローラが、前記揺動軸を中心に、前記駆動プーリおよび前記従動プーリが停止した状態である釣り合い位置から前記ばねの付勢方向と反対の方向に揺動するのを規制する位置に設けられていることを特徴としている。
そのため、ばねの付勢力が比較的弱く設けられ、かつ、2つのテンションローラが揺動軸を中心に揺動するように構成されたオートテンショナを備え、歯付ベルトの張力を比較的低く(歯付ベルトが緩まない程度に低く)保つように構成されたベルト伝動機構において、従動プーリの負荷(ひいては従動プーリの慣性モーメント)が増加した場合でも、正逆切替時(正逆の停止時)において駆動プーリの停止直後に、歯付ベルトの張り側において歯付ベルトの張力が増加するとともに、歯付ベルトの緩み側において歯付ベルトの張力が減少しても(歯付ベルトが緩みすぎても)、歯付ベルトの張り側に位置するテンションローラが、歯付ベルトに押されて歯付ベルトの張り側に変位(揺動軸を中心に揺動)することを抑制することができる。
したがって、本構成によれば、当該ベルト伝動機構において、従動プーリの負荷が増加しても、正逆切替時(正逆の停止時)における駆動プーリ停止直後に、2つのテンションローラごと、揺動軸を中心にしばらくの間、歯付ベルトの張り側と緩み側が小刻みに入れ替わる態様で正逆の揺動を小刻みに繰り返してしまうことに連動して、従動プーリもオーバーシュートまたはアンダーシュートした後、正逆の回転を小刻みに繰り返してしまうことを抑制することができる。
一方の端部には、一方の前記テンションローラの前記基軸部が設けられるとともに、他方の端部が、前記揺動軸に対して回転自在に支持されている、第1揺動アームと、
一方の端部には、他方の前記テンションローラの前記基軸部が設けられるとともに、他方の端部が、前記揺動軸に対して回転自在に支持されている、第2揺動アームと、を有し、
前記2つのテンションローラは、前記第1揺動アームおよび前記第2揺動アームを介して、前記揺動軸を中心に揺動するように構成されており、
前記規制手段は、前記第1揺動アームおよび前記第2揺動アームに接触可能な位置に設けられていることを特徴としてもよい。
前記ばねが、前記2つのテンションローラの各前記基軸部間の前記ローラ中心線上に張設され、前記2つのテンションローラを付勢することを特徴としてもよい。
前記ばねが、引張ばねであり、
前記2つのテンションローラは、前記歯付ベルトの外周面に接触するように設けられていることを特徴としてもよい。
前記駆動プーリの直径が、前記従動プーリの直径よりも小さいことを特徴としてもよい。
そのため、本構成によれば、2つのテンションローラが揺動軸を中心に揺動不能な構成(2つのテンションローラにばねの付勢力のみが作用している構成)であって、駆動軸と平行な方向に見てプーリ中心線と直交する方向にしか2つのテンションローラが変位できない構成と比較し、ベルトの張り側において、一方のテンションローラがばねによる減衰(ばねの付勢力に抗する方向の変位)を抑えつつ、揺動軸を中心に揺動することにより素早く変位できる効果をより大きくすることができる。ひいては、ベルト伝動機構において、正逆切替時(正逆の起動/停止時)の駆動に対する応答性をより高い水準に確保することができる。
当該ロボットアームを駆動させることを特徴としてもよい。
本実施形態は、スカラロボットと称される水平多関節ロボット10(産業用ロボット)の第2アーム11に組込まれ、歯付ベルト4を介して駆動プーリ2の回転力を従動プーリ3に伝達する際に、歯付ベルト4の張力を自動的に適度に保つためのオートテンショナ5が付加された、ロボットアーム駆動用ベルト伝動機構1(以下、単に「ベルト伝動機構1」と略する場合あり)に本発明を適用した一例である。
ベルト伝動機構1は、図1及び図2に示すように、第2アーム11の後方側(一方側の端部)において、サーボモータ20(駆動源:2段減速方式の2段目の機構に適用した場合は、1段目のベルト式減速機構に備わるサーボモータ)の駆動力を、駆動軸21(2段減速方式の2段目の機構に適用した場合は、1段目のベルト式減速機構の従動軸(不図示)と同軸に延びる、2段目のベルト式減速機構の駆動軸)を介して伝達する駆動プーリ2と、第2アーム11の前方側(他方側の端部)において、手首部12が取り付けられたボールねじスプライン軸13に接続される従動軸31に、駆動力を伝達する従動プーリ3と、駆動プーリ2と従動プーリ3との間に無端状に巻き掛けられる歯付ベルト4と、回転自在に設けられた、第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52を介して、歯付ベルト4の張力を自動的に適度に保つオートテンショナ5と、第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52の揺動を規制する規制部材6(規制手段)とで構成されている。
また、図2で、左方を前方(他方)、右方を後方(一方)と定義する。また、図3で、揺動軸53の中心軸Rを中心とした径方向を単に径方向、中心軸Rを中心とした周方向を単に周方向と定義する。また、図3及び図4で、上下方向を上下方向、左右方向を水平方向と定義する。
駆動プーリ2は、サーボモータ20の駆動力によって正逆回転可能に駆動される駆動軸21に固定されている。また、従動プーリ3は、ボールねじスプライン軸13が接続される従動軸31に固定されている。
駆動プーリ2と従動プーリ3との間の速度比(従動プーリ3の直径/駆動プーリ2の直径)は、例えば1~4程度である。本実施形態では、速度比(減速比)が4になるように、従動プーリ3は、駆動プーリ2よりもピッチ径が4倍程度大きいものを使用している。
歯付ベルト4の静止時のベルト張力(駆動プーリ2が停止している状態でのベルト張力)は、歯付ベルト4が緩まない程度の水準で、例えば1~5N程度/ベルト1mm幅である(本実施形態は5N/ベルト1mm幅)。
駆動プーリ2と従動プーリ3との回転角度差(正逆切替時に最大)の許容範囲は、設計態様により決定される。なお、上記「回転角度差」とは、応答性を表す一指標(代用特性)であり、「駆動プーリと従動プーリとの回転角度(°)の差の大きさ」のことである。
歯付ベルト4は、図13に示すように、心線42がベルト長手方向に沿って螺旋状に埋設された背部43と、背部43の内周面(背部43の一方の表面に相当)にベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部44とを有する。本実施形態では、複数の歯部44は、背部43の内周面に一体成形されている。また、歯部44は、ベルト幅方向に沿って延びている(つまり歯部44は直歯である)。また、歯付ベルト4の内周面、即ち、歯部44の表面、および背部43の内周面の一部(歯部44が設けられていない部分)は、歯布45で構成(被覆)されている。なお、背部43の外周面(背部43の他方の表面に相当)は、布等(背布)で被覆されていない。
歯付ベルト4のベルト幅方向の長さ(幅)は、例えば、6mm~35mm程度である(本実施形態は10mm)。
歯付ベルト4の背部43及び歯部44は、ゴム組成物で構成され、このゴム組成物のゴム成分としては、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム等が用いられる。これらのゴム成分は、単独または組み合わせて使用できる。背部43及び歯部44を構成するゴム組成物のゴム成分は、特に安価という観点では、クロロプレンゴムが好ましい(本実施形態もクロロプレンゴム)。尚、歯部44と背部43を構成するゴム組成物は、同じゴム組成物を使用しても、異なるゴム組成物を使用してもよい。背部43及び歯部44を構成するゴム組成物は、必要に応じて、慣用の各種添加剤(または配合剤)を含んでいてもよい。歯部44を構成するゴム組成物(歯ゴム)の硬さは、歯付ベルト4の伝動性能(特に耐歯飛び性)を確保する観点からは、JIS K6253(2012)に準拠し、雰囲気温度23℃(23±2℃)でタイプAデュロメータを用いて測定した硬度で、73~83°程度であることが好ましい。
歯付ベルト4の歯部44の歯形状は同期伝動(かみ合い伝動)が可能な限りにおいて、一般的な直歯(スグバ)と称される歯形状でも、はす歯(歯面の接触角が斜めとなる歯)と称される歯形状でもよい。本実施形態のベルト伝動機構1に用いた歯付ベルト4は、直歯としている。
心線42は、複数本のストランドを撚り合わせて形成された撚りコードで構成される。1本のストランドは、フィラメント(長繊維)を束ねて引き揃えて形成されていてよい。ベルト伝動機構1における正逆切替時の駆動に対する応答性を高める観点から、フィラメントの材質は、高強度(高弾性率)かつ低伸度なものが好ましく、例えば、無アルカリガラス繊維(Eガラス繊維)、高強度ガラス繊維または炭素繊維である。低コストの観点からは、無アルカリガラス繊維(Eガラス繊維)がより好ましい。心線42の径は、歯付ベルト4の屈曲性(歯付ベルト4を駆動プーリ2や従動プーリ3に巻き掛けた際の歯付ベルト4のしなやかさ)を良くする観点、つまり、ベルトピッチラインの上下動による歯付ベルト4の速度むらを抑え、高い位置決め精度を確保する観点から、細径であることが好ましい。心線42の径は、例えば0.15mm~0.60mm程度である(本実施形態は、心線種がEガラス繊維およびKガラス繊維で心線径が0.35mm、炭素繊維で心線径が0.53mm)。
なお、表1には比較のためEガラス繊維の組成も記載している。このような高強度ガラス繊維としては、Kガラス繊維、Uガラス繊維(共に日本硝子繊維社製)、Tガラス繊維(日東紡績社製)、Rガラス繊維(Vetrotex社製)、Sガラス繊維、S-2ガラス繊維、ZENTRONガラス繊維(すべてOwensCorning Fiberglass社製)等があげられる。
歯布45は、耐摩耗性等の観点から、経糸と緯糸を一定の規則によって縦横に交錯させて織られた織布で構成されることが好ましい。歯布45としては、織布の経糸をベルト幅方向に、緯糸をベルト長手方向に延びるように配置するのが好ましい。それにより、歯布45のベルト長手方向の伸縮性を確保できる。なお、歯布45は、織布の緯糸をベルト幅方向に、経糸をベルト長手方向に延びるように配置してもよい。この場合、経糸として、伸縮性を有する弾性糸を用いてもよい。歯布45を構成する繊維の材質としては、ナイロン、アラミド、ポリエステル、ポリベンゾオキサゾール、綿等の何れかまたはこれらの組み合わせを採用できる。
歯布45として用いる織布は、背部43及び歯部44との接着性を高めるために、接着処理が施されていてもよい。接着処理としては、織布をレゾルシン-ホルマリン-ラテックス(RFL液)に浸漬後、加熱乾燥して、表面に均一に接着層を形成する方法が一般的である。
本実施形態に係る歯付ベルト4は、例えば、以下の工法(圧入工法)で作製される。まず、歯付ベルト4の歯部44に対応する複数の溝部(凹条)を有する円筒状モールドの外周面に、歯布45を形成する繊維織物を巻き付ける。続いて、巻き付けた繊維織物の外周面に、心線42を構成する撚りコードを螺旋状に所定のピッチで(円筒状モールドの軸方向に所定のピッチを有するように)巻き付ける。さらにその外周側に、背部43及び歯部44を形成する未加硫ゴムシートを巻き付けて未加硫のベルト成形体(未加硫積層体)を形成する。
オートテンショナ5は、図2~図4に示すように、第2アーム11の筐体に固定された揺動軸53と、先端部561(第1揺動アーム56の一方の端部に相当)に、第1テンションローラ51が回転自在に支持された第1基軸部51Aが設けられるとともに、基端部562(第1揺動アーム56の他方の端部に相当)が、揺動軸53に対して回転自在に支持された第1揺動アーム56と、先端部571(第2揺動アーム57の一方の端部に相当)に、第2テンションローラ52が回転自在に支持された第2基軸部52Aが設けられるとともに、基端部572(第2揺動アーム57の他方の端部に相当)が、揺動軸53に対して回転自在に支持された第2揺動アーム57と、第1基軸部51Aと第2基軸部52Aとを、第1テンションローラ51の回転中心51Cと第2テンションローラ52の回転中心52Cとを結ぶローラ中心線RLに沿って、互いに引き寄せる方向に付勢するばね54と、を有している。
第1テンションローラ51は、第1基軸部51Aに転がり軸受(不図示)を介して中心軸R2を中心に回転自在(揺動自在)に支持された、円筒形状をしたローラ部材である。第2テンションローラ52も、第2基軸部52Aに転がり軸受(不図示)を介して中心軸R3を中心に回転自在(揺動自在)に支持された、円筒形状をしたローラ部材である。
第1基軸部51Aは、図3及び図4に示すように、第1テンションローラ51を、転がり軸受(不図示)を介して中心軸R2を中心に回転自在に支持する基端部分である。
第1基軸部51Aは、後述する第1揺動アーム56の先端部561に設けられた孔(めねじ部)に挿通するためのおねじ部が下方に延びている。
同様に、第2基軸部52Aは、図3に示すように、第2テンションローラ52を、転がり軸受(不図示)を介して中心軸R3を中心に回転自在に支持する基端部分である。
第2基軸部52Aは、後述する第2揺動アーム57の先端部571に設けられた孔(めねじ部)に挿通するためのおねじ部が下方に延びている。
そして、第1基軸部51Aと第2基軸部52Aとの間には、後述するばね54が張設されている。
揺動軸53は、図3に示すように、上下方向に延在する円柱状の胴部531と、胴部531の上端から径方向外側に延びるフランジ部532と、胴部531の下方の端面(下端面)の中心部分から下方に延びる締結部533とを有し、これらが一体に形成された金属部品である。
ばね54は、本実施形態では引張ばねを採用している。
引張ばねは、自然長よりも長くなる方向に引っ張った状態(縮む方向に自己弾性回復力が働く状態)で、第1基軸部51Aと第2基軸部52Aとの間のローラ中心線RL上に張設されており、第1基軸部51Aと第2基軸部52Aとを、ローラ中心線RLに沿って(ローラ中心線RL上を)、互いに引き寄せる方向に付勢する。即ち、ばね54は、第1基軸部51Aに回転自在に設けられた第1テンションローラ51と第2基軸部52Aに回転自在に設けられた第2テンションローラ52とを、ローラ中心線RLに沿って(ローラ中心線RL上を)、互いに引き寄せる方向に付勢する。
ばね線は、JISG3560:1994に準拠した、断面円形等のばね用オイルテンパー線とするのがよく、本実施形態は上記規格に準拠した断面円形のばね用オイルテンパー線を採用している。
ばね線の直径、ならびに、ばねの巻き径及び巻き長さ(自然長)は、ベルト伝動機構1毎(特にはベルト張力の水準毎)に所定のばね特性が繰り返し得られるよう設計されて決定される。
このように、本構成(ばね54の張設構造)は、比較的簡素に形成可能である。
第1揺動アーム56および第2揺動アーム57は、互いに独立した、アルミニウム合金鋳物(例えばADC12)等からなる金属部品である。
第1揺動アーム56の基端部562は、図3に示すように、揺動軸53に(後述の摺動部材55(軸受)を介して)回転自在に支持されている。
同様に、第2揺動アーム57の基端部572も、図3に示すように、揺動軸53に(後述の摺動部材55(軸受)を介して)回転自在に支持されている。
第1揺動アーム56及び第2揺動アーム57は、図2に示すように、オートテンショナ5としてベルト伝動機構1に設けられた状態において、全体として上方から見て略C字形の形状を呈する様形成されている。
第1揺動アーム56の先端部561には、図4に示すように、軸R2(第1テンションローラ51の中心軸)を中心に(先端部561と基端部562との間のアーム部分の下端面よりも)下方に円筒状に突出する凸部561Aが形成されている。この凸部561Aを含め、先端部561における、軸R2を中心に上下方向に貫通する孔に、めねじ部が形成されている。また、ばね54のばね端部541Aが下方から凸部561Aに挿通され凸部561Aの上端(根元)の外周部分に係止されている。
これにより、第1揺動アーム56の先端部561において、上方から第1基軸部51A(おねじ部主体)が蝶合により固定されることで、ばね端部541Aが凸部561Aを介して第1基軸部51Aに係止されることになる。
これにより、第2揺動アーム57の先端部571において、上方から第2基軸部52A(おねじ部主体)が蝶合により固定されることで、ばね端部541Bが凸部571Aを介して第2基軸部52Aに係止されることになる。
同様に、第2揺動アーム57の先端部571には、第2テンションローラ52が回転自在に支持された第2基軸部52Aが移動不能に固定(蝶合)された状態になる。
そして、第1基軸部51Aには、ばね端部541Aが挿通され、第2基軸部52Aには、ばね端部541Bが挿通されることにより、ばね54は、互いのばね端部541A、541Bの係止位置が側面視で同一平面上にあり(上下方向にずれず)、且つ、互いのばね端部541A、541Bが脱落不能な態様で、第1基軸部51Aと第2基軸部52Aとの間に張設されることになる(図3参照)。
第1揺動アーム56の基端部562は、上方に延びるフランジ形状をしており、上方から見て円筒状に形成されている。具体的には、図3に示すように、基端部562の上端面が、後述する摺動部材55の上部筒状摺動部551における上下方向に延びる円筒状部分551Aの上端から径方向外側に延びる板状部分551Bの下端面に接触可能な位置まで上方に延在しており、基端部562の下端面が後述する摺動部材55の板状摺動部552の上端面に接触している。
また、基端部562は、上部筒状摺動部551における上下方向に延びる円筒状部分551Aの外周面に接触可能な位置まで径方向内側に延在している。基端部562の径方向内側端面の直径(内径)は、上部筒状摺動部551の円筒状部分551Aの外周面の直径(外径)と同じか僅かに大きい(図3参照)。
また、基端部572は、下部筒状摺動部553における上下方向に延びる円筒状部分553Aの外周面に接触可能な位置まで径方向内側に延在している。基端部572の径方向内側端面の直径(内径)は、下部筒状摺動部553の円筒状部分553Aの外周面の直径(外径)と同じか僅かに大きい(図3参照)。
摺動部材55は、図3に示すように、上部筒状摺動部551と、板状摺動部552と、下部筒状摺動部553とを有し、これらは別体に形成されている。上部筒状摺動部551と下部筒状摺動部553とは、同じ構成(形状、寸法)のものである。
板状摺動部552は、環状の板状に形成されている板状部分552Aと、板状部分552Aの径方向内側において、上方向及び下方向に延びる円筒状部分552Bとを有している。
下部筒状摺動部553は、上下方向に延びる円筒状部分553Aと、円筒状部分553Aの下端から径方向外側に延びる板状部分553Bとを有している。
規制部材6は、図2、図3、図18及び図19に示すように、上下方向に延在する平面視でコの字状をしたブロック状の金属部品である。具体的には、図2及び図18に示すように、規制部材6は、プーリ中心線PLに直交する方向に延在する本体部61と、本体部61の一方の端部から前方に延在し、第1揺動アーム56の側面56aに接触可能な接触面62aを有する第1揺動アーム規制部62と、本体部61の他方の端部から前方に延在し、第2揺動アーム57の側面57aに接触可能な接触面63aを有する第2揺動アーム規制部63とが一体に形成された金属部品である。
同様に、第2揺動アーム規制部63の接触面63aは、駆動プーリ2および従動プーリ3が停止した状態である釣り合い位置において、第2揺動アーム57の側面57aに面接触するような形状(傾斜面)・配置関係をしている。なお、第2テンションローラ52がばね54の付勢により付勢方向に移動する際には、第2揺動アーム規制部63の接触面63aと第2揺動アーム57の側面57aとの面接触は解除される。
換言すれば、第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52が、共に揺動軸53を中心に、駆動プーリ2および従動プーリ3が停止した状態である釣り合い位置から、ばね54の付勢方向と反対の方向(ばね54が引張ばねの場合は第1テンションローラ51と第2テンションローラ52とを互いに離間させる方向)には揺動することができないようにすることができる。
例えば、図12に示すように、規制部材261、262は、ピン状に形成されて、プーリ中心線PLを挟む両側の位置にそれぞれ配置される態様でもよい。
(1)歯付ベルト4の取付
オートテンショナ5は設けられているが、規制部材6が付加されていないベルト伝動機構1に対して、第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52が歯付ベルト4に接触する態様で、歯付ベルト4を所定のベルト取付張力(例えば5N/mm幅)で駆動プーリ2と従動プーリ3との間(軸間距離固定)に巻き掛ける。つまり、規制部材6がまだ付加されていない状態(図7の状態に相当)にする。
この駆動プーリ2および従動プーリ3が停止している状態では、駆動軸21と平行な方向に見て(以下、上方から見て)、ローラ中心線RLとプーリ中心線PLとが直交した態様で、第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)と歯付ベルト4の外周面とが互いに接触し釣り合っている(図7参照)。
上記のように駆動プーリ2および従動プーリ3が停止している状態で、規制部材6をベルト伝動機構1内の所定位置に固定し、本実施形態のベルト伝動機構1が完成する。
ここで、所定位置とは、所定のベルト取付張力(例えば5N/mm幅)下で、上方から見て、ローラ中心線RLとプーリ中心線PLとが直交した態様で、第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52と歯付ベルト4の外周面とが互いに接触し釣り合っており、かつ、規制部材6の第1揺動アーム規制部62の接触面62aが、第1揺動アーム56の側面56aに負荷なく面接触可能となり、規制部材6の第2揺動アーム規制部63の接触面63aが、第2揺動アーム57の側面57aに負荷なく面接触可能となる位置である。
(1:起動前)
ロボットアーム駆動用のベルト伝動機構1において、駆動プーリ2の回転起動前、即ち、駆動プーリ2が停止している状態では、駆動軸21と平行な方向に見て(以下、上方から見て)、ローラ中心線RLとプーリ中心線PLとが直交した態様で、2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)と歯付ベルト4の外周面とが互いに接触し釣り合っており、且つ、規制部材6の第1揺動アーム規制部62の接触面62aが、第1揺動アーム56の側面56aに負荷なく面接触し、規制部材6の第2揺動アーム規制部63の接触面63aが、第2揺動アーム57の側面57aに負荷なく面接触している(図2参照)。
(2-1:歯付ベルト4の張り側において)
図5に示すように、駆動プーリ2が矢印Z方向に回転起動すると、歯付ベルト4の張り側において、歯付ベルト4の張力が増加し、歯付ベルト4の張り側に位置する一方のテンションローラである第1テンションローラ51が、歯付ベルト4の張力により歯付ベルト4に押されて歯付ベルト4の張り方向に変位しようとする。
この際、規制部材6の第1揺動アーム規制部62の接触面62aが、第1テンションローラ51が支持された第1揺動アーム56の側面56aに面接触して、第1テンションローラ51が歯付ベルト4の張り方向に変位するのを規制する。これにより、ばね54で接続(付勢)された、2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)が、揺動軸53を中心(中心軸R)に揺動するのを抑制する。
一方、図5に示すように、駆動プーリ2が矢印Z方向に回転起動すると、歯付ベルト4の緩み側においては、歯付ベルト4の張力が減少し、歯付ベルト4に緩みが生じることになるが、歯付ベルト4の緩み側に位置する他方のテンションローラである第2テンションローラ52が、ばね54の付勢力により、図5のX方向に変位することで歯付ベルト4の緩みを解消しようとする。
この際、歯付ベルト4の張り側において、規制部材6の第1揺動アーム規制部62の接触面62aが、第1テンションローラ51が支持された第1揺動アーム56の側面56aに面接触して、第1テンションローラ51が歯付ベルト4の張り方向に変位するのを規制している。これにより、第1テンションローラ51の歯付ベルト4の張り方向への変位を抑制できる分、規制部材6を備えていない構成(図8)と比較し、緩み側に位置する第2テンションローラ52の中立位置から歯付ベルト4の緩みを解消できる位置までの変位量が僅かで済む。具体的には、規制部材6を備えている構成の場合(図5)は、規制部材6を備えていない構成の場合(図8)と比較し、緩み側に位置する第2テンションローラ52の変位量が1/10程度と僅かで済む。
(3-1:歯付ベルト4の張り側において)
図6に示すように、駆動プーリ2が矢印Z方向に回転中に停止すると、歯付ベルト4の張り側(図6の下方側)において、歯付ベルト4の張力が増加し、歯付ベルト4の張り側に位置する他方のテンションローラである第2テンションローラ52が、歯付ベルト4の張力により歯付ベルト4に押されて歯付ベルト4の張り方向に変位しようとする。
この際、規制部材6の第2揺動アーム規制部63の接触面63aが、第2テンションローラ52が支持された第2揺動アーム57の側面57aに面接触して、第2テンションローラ52が歯付ベルト4の張り方向に変位するのを規制する。これにより、ばね54で接続(付勢)された、2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)が、揺動軸53を中心(中心軸R)に揺動するのを抑制する。
一方、図6に示すように、駆動プーリ2が矢印Z方向に回転中に停止すると、歯付ベルト4の緩み側(図6の上方側)においては、歯付ベルト4の張力が減少し、歯付ベルト4に緩みが生じることになるが、歯付ベルト4の緩み側に位置する一方のテンションローラである第1テンションローラ51が、ばね54の付勢力により、図6のX方向に変位することで歯付ベルト4の緩みを解消しようとする。
この際、歯付ベルト4の張り側において、規制部材6の第2揺動アーム規制部63の接触面63aが、第2テンションローラ52が支持された第2揺動アーム57の側面57aに面接触して、第2テンションローラ52が歯付ベルト4の張り方向に変位するのを規制している。これにより、第2テンションローラ52の歯付ベルト4の張り方向への変位を抑制できる分、規制部材6を備えていない構成(図9)と比較し、緩み側に位置する第1テンションローラ51の中立位置から歯付ベルト4の緩みを解消できる位置までの変位量が僅かで済む。具体的には、規制部材6を備えている構成の場合(図6)は、規制部材6を備えていない構成の場合(図9)と比較し、緩み側に位置する第1テンションローラ51の変位量が1/10程度と僅かで済む。
また、本構成では、ばね54が2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)の第1基軸部51Aと第2基軸部52Aとの間に張設されている。
このため、2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)が揺動軸53を中心に(揺動軸53と直交する面に沿って)揺動自在な構成であっても、ばね54が2つのテンションローラの基軸部間に張設されていない構成[例えば、ばねが2つのテンションローラの各基軸部と揺動軸とを接続する各部材間(互いに独立した2つのアーム部材間)に張設されている構成(図10:特許文献1の図2相当)等]と比較し、駆動軸21と平行な方向に見て、揺動の中心点(中心軸R:歯付ベルト4の緩み側においては「支点」)と、歯付ベルト4の緩み側においてばね54の付勢力が加わる点(つまり、歯付ベルト4の緩み側においては「力点」)との離間距離が長い。その分、歯付ベルト4の緩み側において、第1テンションローラ51又は第2テンションローラ52と緩み側の歯付ベルト4とが接触する点(つまり、歯付ベルト4の緩み側においては「作用点」)により大きな力が働くため、歯付ベルト4の緩み側において、第1テンションローラ51又は第2テンションローラ52の応答性(動作速度)がより向上する。これにより、歯付ベルト4の緩みを解消する方向(ばね54の付勢方向)にばね54の付勢力を応答よく作用させ易くなり、ひいては、2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)の駆動プーリ2に対する応答性(動作速度)をさらに高めることができる。
上記構成(図2)の規制部材6によれば、オートテンショナ5において、2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)が、共に揺動軸53を中心(中心軸R)に、駆動プーリ2および従動プーリ3が停止した状態である釣り合い位置から、ばね54の付勢方向と反対の方向(ばね54が引張ばねの場合、第1テンションローラ51と第2テンションローラ52とを互いに離間させる方向)に揺動することはできず、ばね54の付勢方向のみに揺動することが可能になる。
そのため、ばね54の付勢力が比較的弱く設けられ、かつ、2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)が揺動軸53を中心に揺動するように構成されたオートテンショナ5を備え、歯付ベルト4の張力を比較的低く(歯付ベルト4が緩まない程度に低く)保つように構成されたベルト伝動機構1において、従動プーリ3の負荷(ひいては従動プーリ3の慣性モーメント)が増加した場合(例えばロボットアーム駆動用ベルト伝動機構1において、従動プーリ3の負荷トルクが1N・m程度から3N・m程度に増加した場合)でも、正逆切替時(正逆の停止時)において駆動プーリ2の停止直後に、歯付ベルト4の張り側において歯付ベルト4の張力が増加するとともに、歯付ベルト4の緩み側において歯付ベルト4の張力が減少しても(歯付ベルト4が緩みすぎても)、歯付ベルト4の張り側に位置するテンションローラ(正逆の停止時であれば、第2テンションローラ52)が歯付ベルト4に押されて歯付ベルト4の張り側に変位(揺動軸53を中心に揺動)することを抑制することができる(図6)。
換言すると、本構成によれば、正逆切替時(正逆の停止時)における従動プーリ3の減衰性を高い水準に確保すること[ひいては、正逆切替時の駆動に対する応答性を高い水準に確保すること(つまり正逆切替時の駆動プーリ2と従動プーリ3との回転角度差を十分に抑制すること)]ができる。つまり、本構成によれば、従動プーリ3の負荷が増加しても、ベルト伝動機構1の位置決め精度を繰り返し確保する(同期伝動を確実なものとする)ことができる。
ベルト伝動機構1は、従動プーリ3の回転トルクを所定の水準に確保するため、駆動プーリ2の直径が従動プーリ3の直径よりも小さい場合(所謂、減速機構として機能する場合)が一般的であるが、駆動プーリ2及び従動プーリ3の直径が同じ場合もある。例えば、駆動プーリ2と従動プーリ3との間隔が狭く、且つ、減速比(プーリ径の比)が大きいベルト伝動機構においては、小径側の駆動プーリ2において、歯付ベルト4の接触角が小さくなり、歯付ベルト4の緩みが大きいと、歯付ベルト4の歯飛びが起こりやすくなる懸念があるが、本構成によれば、駆動プーリ2(駆動プーリ2及び従動プーリ3が同径の場合を含む)、または、(駆動、従動に依らず)小径側のプーリにおいて、歯付ベルト4の接触角が小さくなるのを抑制できることで、歯付ベルト4の歯飛びを生じにくくすることができる。
そのため、本構成によれば、2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)が揺動軸53を中心に揺動不能な構成(2つのテンションローラにばねの付勢力のみが作用している構成)であって、駆動軸と平行な方向に見てプーリ中心線PLと直交する方向にしか2つのテンションローラが変位できない構成と比較し、歯付ベルト4の張り側において、第1テンションローラ51がばね54による減衰(ばね54の付勢力に抗する方向の変位)を抑えつつ、揺動軸53を中心に揺動することにより素早く変位できる効果をより大きくすることができる。ひいては、ベルト伝動機構1において、正逆切替時(正逆の起動/停止時)の駆動に対する応答性をより高い水準に確保することができる。
上記実施形態では、揺動軸53の中心軸R(揺動の中心点)は、第1テンションローラ51の回転中心51Cと第2テンションローラ52の回転中心52Cとを結ぶローラ中心線RLとプーリ中心線PLとの交点から駆動プーリ2側に離間した、プーリ中心線PL上の点を通り、駆動軸21と平行な方向に延びた構成をしている。
しかし、図11に示すように、揺動軸53の中心軸R(揺動の中心点)は、第1テンションローラ51の回転中心51Cと第2テンションローラ52の回転中心52Cとを結ぶローラ中心線RLとプーリ中心線PLとの交点から従動プーリ3に離間した、プーリ中心線PL上の点を通り、駆動軸21と平行な方向に延びた構成をしていてもよい。
具体的には、駆動軸21が、オートテンショナ5の2つのテンションローラ(第1テンションローラ51及び第2テンションローラ52)と揺動軸53との間に配置された構成であってもよい。
なお、以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(各供試体で共通)
(歯付ベルト:図13)
・歯部の形状:歯形状は、直歯に属するH歯形(断面が略半丸形の形状)とした。
・歯数:200
・歯ピッチ:3mm
・ベルト長さ:600mm
・ベルト幅:10mm
(心線)
・構成:各供試体の各歯付ベルトに使用する心線として、表2に示す構成のA1~A3の撚りコードを作製した。
・A1の心線(撚りコード)は、以下の手順で作成した。
JIS R 3413(2012)に記載されている呼称ECG-150のガラス繊維(Eガラス繊維)のフィラメント(9ミクロン径)を束ねて引き揃えて、3本のストランドとした。この3本のストランドを、表3に示す組成のRFL液(18~23℃)に3秒間通過させることにより浸漬した後、200~280℃で3分間加熱乾燥して、表面に均一に接着層を形成した。この接着処理の後に、3本のストランドを、撚り数12回/10cmで下撚りして、上撚りは与えず、片撚りで径が約0.35mmの撚りコードを用意した。
A2の心線(撚りコード)は、ガラス繊維をKCG150に変更した以外はA1と同様に作成した。
A3の心線(撚りコード)は、用いたストランドを、炭素繊維のフィラメント(3K)を束ねて引き揃えた1本のストランドとした以外は、A1、A2の心線と同じ手順で作成し、片撚りで径が0.53mmの撚りコードとした。
ここで、表2に示した心線(長手方向)の弾性率(引張弾性率)の測定方法について説明する。
オートグラフ((株)島津製作所製「AGS-J10kN」)の下側固定部と上側ロードセル連結部にチャック(掴み具)を取り付け、心線の両端部をチャックで掴む。
次に、心線を250mm/分の速度で切断するまで引っ張ったときに測定された応力-歪み曲線において、比較的直線関係にある領域(100~200N)の直線の傾きを心線の引張弾性率として算出した。
・各供試体の歯布に用いた繊維織物の構成は次の1種類とした。
組成は、緯糸が66ナイロン、経糸が66ナイロンである。糸構成は、緯糸が44dtexのウーリー加工糸であり、経糸が44dtexである。織り構成は、綾織りである。そして、上記構成の歯布を、表3に示したRFL処理液にて、RFL処理を行った。その後、表4に示した未加硫ゴムシートと同じゴム組成物をトルエンに溶解したゴム糊にて接着処理し、更に、表4に示した組成のゴム組成物シートを積層してコート処理を行った。
・表4に示す組成[ゴム成分:クロロプレンゴム(CR)]のゴム組成物をバンバリーミキサーで混練りし、この練りゴムをカレンダーロールに通して所定厚みの圧延ゴムシートとして、各供試体の各歯付ベルトを構成する背部及び歯部形成用の未加硫ゴムシートを作製した。
・調製したゴム組成物(未加硫ゴムシート)を165°C、30分間の条件でプレス加硫することによって得られた加硫ゴムシートの硬度は、JIS K 6253(2012)に準拠し、雰囲気温度23℃(23±2℃)でタイプAデュロメータを用いて測定した硬度で、約81であった。
・なお、表4中※印の成分は下記の通りである。
※2 大内新興化学工業社製「ノクラックMB」
※3 大内新興化学工業社製「N-シクロヘキシル-2ベンゾチアゾールスルフェンアミド」
※4 東海カーボン社製「シースト3」
※5 正同化学工業社製「酸化亜鉛3種」
・上記使用材料で説明した、心線(接着処理品)、歯布(接着処理品)、ならびにゴム組成物(未加硫ゴムシート)をそれぞれ使用して、上記実施の形態に記載した通常の圧入工法にて、各供試体の各歯付ベルトを作製した。なお、加硫は、161℃で25分間行った。また、背部を所定の厚みに構成するため、加硫して得られたベルトスリーブに対して、背面を一定厚さ研磨したうえで、一定幅に切断し、各供試体の各歯付ベルトを得た。
・通常の圧入工法で歯付ベルトを作製したため、背部及び歯部は同じ組成のゴム組成物で構成されている。そのため、各歯付ベルトにおいて、背部を構成するゴム組成物の硬さと、歯部を構成するゴム組成物の硬さとは、略同じである。
・実施例1~4(実施例1、3~4は図2、実施例2は図10参照)、及び、比較例1~4(比較例2~4は不図示、比較例1は図7参照)のベルト伝動機構は、いずれも、駆動プーリ及び従動プーリが直歯歯付プーリで、かつ軸間固定の2軸レイアウトとし、一方(駆動プーリ)の回転軸に接続可能な軸荷重検知器(ロードセル)を備えたものとした。
・駆動プーリの歯数/プーリ径(心線ラインを想定):21歯/20.054mm
・従動プーリの歯数/プーリ径(心線ラインを想定):84歯/80.214mm
・減速比:4(従動プーリは、駆動プーリよりもピッチ径が4倍大きい)
・ベルト取付張力:要求されるベルト取付張力の水準は、5N/mm幅(ベルト1mm幅当たり5N)程度とした。
本明細書では、実走行直前[空運転(ならし走行)を行った後]に、静止状態で測定されたベルト張力を「ベルト取付張力」として扱っている。
ベルト取付張力は、一方(駆動プーリ)の回転軸に接続した軸荷重検知器(ロードセル)によって検知される軸荷重から算出した。
・軸間距離は、220mm(基準値)とした。
(実施例1、3~4)
・上記実施形態に記載したオートテンショナおよび規制手段(規制部材)(図3、図4参照)を、図2に示す態様でベルト伝動機構に付与した。つまり、実施例1、3~4のオートテンショナおよび規制手段は、いずれも同一の構成で、2つのテンションローラに対して、2つのテンションローラの各基軸部間に張設されたばね(引張ばね)の付勢作用と、揺動軸を中心とする揺動作用とが共に働くように構成されたオートテンショナ、ならびに、歯付ベルトをプーリ間に装着した後、第1揺動アームおよび第2揺動アームに接触可能に設けられる(後述する評価試験機の台上に固定(ボルト止め)される)態様の規制手段である。なお、規制手段は、アルミニウム合金鋳物(ADC12)からなり、平面視で1つのブロック状に形成された金属部品とした。
・図10に示すように、ばね(引張ばね)が2つのアーム部材間(一方の揺動アームと他方の揺動アームとの間)に張設されていることを除いては、実施例1、3~4(図2参照)と同一構成の、オートテンショナおよび規制手段を作製し、ベルト伝動機構に付与した。
・図7に示すように、ベルト伝動機構に規制手段を有しない構成を前提として、実施例1、3~4(図2参照)と同一構成のオートテンショナのみを作製し、ベルト伝動機構に付与した。
・ベルト伝動機構に規制手段を有しない構成を前提として、実施例1のオートテンショナ(図2参照)をベースに、2つのテンションローラに対して、ばね(引張ばね)の付勢作用のみが働き、揺動軸を中心とする揺動作用が働かないように構成されたオートテンショナ(不図示)のみを作製し、ベルト伝動機構に付与した。
・ベルト伝動機構にオートテンショナおよび規制手段を有しない構成(つまり、駆動プーリ、従動プーリ、歯付ベルトのみの構成)とした(不図示)。
・ベルト伝動機構に規制手段を有しない構成を前提として、実施例1のオートテンショナ(図2参照)をベースに、2つのテンションローラに対して、ばねの付勢作用が働かず、揺動軸を中心とする揺動作用のみが働くように構成されたオートテンショナ(不図示)のみを作製し、ベルト伝動機構に付与した。
各供試体(実施例1~4、比較例1~4)について、本願課題を解決し得るベルト伝動機構が得られたかどうかを見極めるために、エージングの必要性[ベルト走行初期の張力低下の自動調整(是正)可否]、減衰性(正逆の停止時における従動プーリの減衰性)、ならびに応答性(正逆切替時の駆動に対する応答性)を検証した。
(方法、判定基準)
エージング[空運転(ならし走行)後、軸間距離の調整等によるベルトの張直し(張力調整作業)]を行わなくても、所定のベルト取付張力(5N/mm幅程度)を確保することができた場合は、ベルト走行初期の張力低下を自動的に調整(是正)することができると評価し、a判定とした。
所定のベルト取付張力(5N/mm幅程度)を確保するために、エージング[空運転(ならし走行)後、軸間距離の調整等によるベルトの張直し(張力調整作業)]が必要であった場合は、ベルト走行初期の張力低下を自動的に調整(是正)することができないと評価し、b判定とするとともに、以降の試験(応答性試験)を見送った。
本用途での実使用に対する適正(エージングの必要性)の観点から、a判定のベルト伝動機構を合格レベルとした。
(試験名)
減衰性および応答性試験
(試験機)
試験には応答性評価試験機を使用した(図14参照)。
応答性評価試験機は、2軸のプーリ間に巻き掛けられた歯付ベルトを頻繁な正逆回転を伴う試験パターン(サイクルパターン)にて走行させて、各軸に取り付けた1対のロータリーエンコーダ(回転角度検出器)が出力する回転パルス信号にて、走行中の各プーリの回転数の時系列変化、ならびに走行中の回転角度差(駆動軸の回転角度-従動軸の回転角度)の時系列変化を検出できるように構成されている。
プーリレイアウトは、前述のベルト伝動機構(図2)と同じである。つまり、応答性評価試験機のプーリのレイアウトは、駆動プーリと、従動プーリと、を有し、軸間距離は220mmで固定した。
また、本用途(ロボットアーム駆動用)を想定し、所定の負荷トルクを付与できるよう、従動側にフライホイールを取り付けた。
また、本用途(ロボットアーム駆動用)を想定し、駆動プーリの回転角度および従動プーリの回転角度を高精度に検出できるよう、1対のロータリーエンコーダは、ともに回転角度の分解能に優れたもの[角度分解能が0.0044°のエンコーダ(CANON社製R-1L)]を使用した。
常温下、所定のベルト取付張力(5N/mm幅程度)でプーリ間(軸間距離固定)に巻き掛けられた歯付ベルトを、表5に示す試験条件(駆動プーリの回転数のみ変量)、および図15に示す試験パターン(サイクルパターン)にて、頻繁な正逆回転を250サイクル繰り返すように走行させた。得られた各プーリ(駆動プーリ、従動プーリ)の回転数の時系列変化のグラフ(不図示)、ならびに、得られた回転角度差の時系列変化のグラフ(不図示)から、変量した従動プーリの負荷トルク(0.8、3N・m)ならびに変量した駆動プーリの回転数(2、5rps)毎に、正逆の停止時における従動プーリの反転の有無、ならびに回転角度差(絶対値の最大値)の水準を試験結果として読み取った。
なお、当該回転角度差は、時系列に見て、正逆切替時[正逆の起動(加速時)/停止時(減速時)]にオーバーシュート及びアンダーシュートを起こすため、その絶対値は、正逆切替時(頻度:1サイクル当たり4回)に最大となる。駆動プーリの各回転数に対応する、正逆切替時の加減速度は、表6、7に示した。
減衰性(正逆の停止時における従動プーリの減衰性)の判定として、正逆の停止時における従動プーリの反転(正回転から逆回転、または逆回転から正回転)の有無を指標(反転が無ければ減衰性を高い水準に確保することができ、ひいては正逆切替時の駆動に対する応答性を高い水準に確保することができる)とし、
正逆切替時(正逆の停止時)において、
従動プーリの負荷トルク毎および駆動プーリの加減速度毎の従動プーリの反転が全く認められなかった場合(つまり、正逆の停止時に従動プーリがオーバーシュートまたはアンダーシュートを起こすのみの場合)をa判定、
従動プーリの負荷トルク毎および駆動プーリの加減速度毎の従動プーリの反転が一度でも認められた場合をb判定とした。
本用途での実使用に対する適正(減衰性)の観点から、a判定のベルト伝動機構を合格レベルとした。
応答性(正逆切替時の駆動に対する応答性)の判定として、正逆切替時の、駆動プーリと従動プーリとの回転角度差を指標(絶対値が小さいほど応答性が高く、位置決め精度を繰り返し確保でき、同期伝動を確実なものとすることができる)とし、
正逆切替時(正逆の起動/停止時)において、
従動プーリの負荷トルク毎および駆動プーリの加減速度毎の回転角度差(絶対値)が常時0.1°以内であった場合をa判定、
従動プーリの負荷トルク毎および駆動プーリの加減速度毎の回転角度差(絶対値)が一度でも0.1°を上回ったが、常時0.2°以内であった場合をb判定、
従動プーリの負荷トルク毎および駆動プーリの加減速度毎の回転角度差(絶対値)が一度でも0.2°を上回った場合をc判定とした。
本用途での実使用に対する適正(応答性)の観点から、a判定、b判定のベルト伝動機構を合格レベルとした。
本課題を解決し得るベルト伝動機構としての総合的な判定(ランク付け)の基準は、上記3つの評価項目(エージングの必要性、減衰性、応答性)における判定の結果から、以下の通りとした。
ランクA:上記の評価項目で、すべてa判定であった場合は、実用上全く問題ないものと判断し、最良のランクとした。
ランクB:エージングの必要性および減衰性の評価項目が共にa判定であり、かつ、応答性の評価項目がb判定であった場合は、実用上問題ないが、やや劣るランクとした。
ランクC:エージングの必要性および減衰性の評価項目で、1つでもb判定があった場合、および/または、応答性の評価項目がc判定であった場合は、本課題の解決策として不充分なランク(不合格)とした。
検証結果を表6~表7に示す。
(オートテンショナの構成、ならびに規制手段の搭載の有無を変更した比較)
実施例1のベルト伝動機構(2つのテンションローラに対して、2つのテンションローラの各基軸部間に張設されたばねの付勢作用と、揺動軸を中心とする揺動作用とが共に働くように構成したオートテンショナ、および規制手段を搭載)をベースに、オートテンショナの構成(オートテンショナの搭載の有無を含む)、または規制手段の搭載の有無を変更し、比較した。
なお、実施例1~2のうち、ばねが2つのテンションローラの各基軸部間に張設されている実施例1は、応答性もa判定(総合判定でもAランク)となったが、ばねが2つのテンションローラの各基軸部間に張設されておらず、2つのアーム部材間に張設されている実施例2は、応答性が合格レベルであるが実施例1(a判定)よりもやや劣るb判定(総合判定でもBランク)となった。
一方、オートテンショナをベルト伝動機構に有しない比較例3、ならびに2つのテンションローラに対して、ばねの付勢作用が働かず、揺動軸を中心とする揺動作用のみが働くオートテンショナをベルト伝動機構に有する比較例4は、エージングが必要(b判定)となり、総合判定でランクCであった。
実施例1の歯付ベルト(Eガラス繊維:A1)をベースに、歯付ベルトの心線を構成する繊維材料(フィラメントの材質)を変更し、比較した。実施例1よりも弾性率が大きい高強度ガラス繊維(Kガラス繊維:A2)の心線を用いた実施例3、実施例3よりもさらに弾性率が大きい炭素繊維(A3)の心線を用いた実施例4と、心線(即ちベルト)がより高弾性率かつ低伸度なものになるほど、従動プーリの負荷トルク毎および駆動プーリの回転数毎の回転角度差(絶対値の最大値)の水準が小さくなり、応答性(正逆切替時の駆動に対する応答性)が高くなる傾向が見られ、これらの条件(実施例1、3~4)ではランクAであった。
以上の検証結果から、実施例1~4のベルト伝動機構をロボットアーム駆動用途等の正逆回転可能に駆動されるベルト伝動機構に適用した場合は、2つのテンションローラに対して、ばね(引張ばね)の付勢作用と、揺動軸を中心とする揺動作用とが共に働くように構成されたオートテンショナ、ならびに、2つのテンションローラが、揺動軸を中心に、駆動プーリおよび従動プーリが停止している状態の釣り合い位置からばねの付勢方向と反対の方向に揺動するのを規制する規制手段を備えているため、エージング[空運転(ならし走行)後、軸間距離の調整等によるベルトの張直し(張力調整作業)]を行わなくても、所定のベルト取付張力(5N/mm幅程度)を確保して、ベルト走行初期の張力低下を自動的に調整(是正)することができるとともに、正逆回転を伴う動作の速度(駆動プーリの加減速度)が10~25回転/s2と比較的大きい水準下で、従動プーリの負荷が0.8N・mから3N・mに増加しても、正逆の停止時における従動プーリの減衰性の指標となる従動プーリの反転の有無を「反転無し」の状態にすることができ、さらに、正逆切替時の駆動に対する応答性の指標となる回転角度差(絶対値)についても許容範囲内(0.2°以内)に常時収めることができたことから、従動プーリの負荷が増加しても、位置決め精度を繰り返し確保して、同期伝動を確実なものにし易くできた。
11 第2アーム
2 駆動プーリ
21 駆動軸
22 回転中心
3 従動プーリ
31 従動軸
32 回転中心
4 歯付ベルト
5 オートテンショナ
51 第1テンションローラ
51A 第1基軸部
52 第2テンションローラ
52A 第2基軸部
53 揺動軸
54 ばね
55 摺動部材
56 第1揺動アーム
561 先端部
562 基端部
57 第2揺動アーム
571 先端部
572 基端部
6 規制部材(規制手段)
61 本体部
62 第1揺動アーム規制部
63 第2揺動アーム規制部
R 中心軸
PL プーリ中心線
RL ローラ中心線
Claims (8)
- 駆動源によって正逆回転可能に駆動される駆動軸に固定された駆動プーリと、
回転自在に支持された従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に巻き掛けられた歯付ベルトと、
前記駆動プーリの回転中心と前記従動プーリの回転中心とを結ぶプーリ中心線を挟む両側の位置でそれぞれの基軸部を中心に回転自在に設けられ、前記歯付ベルトに接触する2つのテンションローラを介して、前記歯付ベルトの張力を自動的に適度に保つオートテンショナと、
を有するベルト伝動機構であって、
前記オートテンショナは、
前記2つのテンションローラの回転中心同士を結ぶローラ中心線と前記プーリ中心線との交点から離間した、前記プーリ中心線上の点または前記プーリ中心線の延長線上の点を通り、前記駆動軸と平行な方向に延びるように設けられた揺動軸と、
前記2つのテンションローラを、互いに引き寄せる方向又は互いに離間させる方向に付勢するばねと、を備え、かつ、
前記2つのテンションローラが、前記揺動軸を中心に、揺動自在に構成されており、
前記ベルト伝動機構は、前記2つのテンションローラの揺動を規制する規制手段をさらに備え、
前記規制手段は、
前記2つのテンションローラが、前記揺動軸を中心に、前記駆動プーリおよび前記従動プーリが停止した状態である釣り合い位置から前記ばねの付勢方向と反対の方向に揺動できないようにする位置に設けられていることを特徴とする、ベルト伝動機構。 - 前記オートテンショナは、
一方の端部には、一方の前記テンションローラの前記基軸部が設けられるとともに、他方の端部が、前記揺動軸に対して回転自在に支持されている、第1揺動アームと、
一方の端部には、他方の前記テンションローラの前記基軸部が設けられるとともに、他方の端部が、前記揺動軸に対して回転自在に支持されている、第2揺動アームと、を有し、
前記2つのテンションローラは、前記第1揺動アームおよび前記第2揺動アームを介して、前記揺動軸を中心に揺動するように構成されており、
前記規制手段は、前記第1揺動アームおよび前記第2揺動アームに接触可能な位置に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のベルト伝動機構。 - 前記ばねは、前記2つのテンションローラの各前記基軸部間の前記ローラ中心線上に張設され、前記2つのテンションローラを付勢することを特徴とする、請求項1に記載のベルト伝動機構。
- 前記揺動軸は、前記ローラ中心線と前記プーリ中心線との交点から前記従動プーリ側に離間していることを特徴とする、請求項1に記載のベルト伝動機構。
- 前記2つのテンションローラは、前記駆動プーリ側、または、前記駆動プーリ及び前記従動プーリのうち直径が小さい方のプーリ側に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のベルト伝動機構。
- 前記ばねは、引張ばねであり、
前記2つのテンションローラは、前記歯付ベルトの外周面に接触するように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のベルト伝動機構。 - 前記駆動プーリの直径は、前記従動プーリの直径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のベルト伝動機構。
- 前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、ロボットアームに固定され、
当該ロボットアームを駆動させることを特徴とする、請求項1~7の何れかに記載のベルト伝動機構。
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